説明

ゴム組成物

【課題】例えば自動車用グリースカップ材料として用いられた場合などに要求される、耐熱性、耐オゾン性、耐寒性および金属あるいは樹脂との接着性を同時に満足せしめるゴム組成物を提供する。
【解決手段】クロロプレンゴム99〜85重量%および塩素化ポリエチレンゴム1〜15重量%よりなるブレンドゴム100重量部当り、(A)分子量450〜650のポリエーテルエステル系可塑剤または(B)分子量450〜900のポリエーテルエステル系可塑剤と分子量350〜500のエステル系可塑剤との両者10〜30重量部および2種以上の芳香族アミン系老化防止剤3〜10重量部を含有するゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物に関する。更に詳しくは、自動車用グリースカップ成形材料等として好適に用いられるゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に加硫ゴムは、他の物質にはみられないような広い歪領域で良好な弾性を有するため、自動車用ダストカバー、ダストブーツなどのグリースを封入、シールし、ダストの侵入を防ぐといった機能を有するグリースカップとして広く用いられている。この内、金属製や樹脂製などの支持体に接着させたうえで用いられるグリースカップでは、支持体との接着性はもちろん、近年のエンジンの高性能化および車のコンパクト化により、これらに用いられるゴム組成物の耐熱性、耐寒性および耐オゾン性などの要求が厳しくなっており、例えば下記特許文献に記載されているゴム組成物では、支持体との接着性を満足させたまま、これらの要求を満たすことが困難になってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−223841号公報
【特許文献2】特開平11−343367号公報
【特許文献3】特開2000−291798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、例えば自動車用グリースカップ材料として用いられた場合などに要求される、耐熱性、耐オゾン性、耐寒性および金属あるいは樹脂との接着性を同時に満足せしめるゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる本発明の目的は、クロロプレンゴム99〜85重量%および塩素化ポリエチレンゴム1〜15重量%よりなるブレンドゴム100重量部当り、(A)分子量450〜650のポリエーテルエステル系可塑剤または(B)分子量450〜900のポリエーテルエステル系可塑剤と分子量350〜500のエステル系可塑剤との両者10〜30重量部および2種以上の芳香族アミン系老化防止剤3〜10重量部を含有するゴム組成物によって達成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明のゴム組成物より得られる加硫成形品は、すぐれた耐熱性、耐オゾン性、耐寒性および金属あるいは樹脂との接着性を示すので、グリースカップ、例えば自動車用ダストカバーなどとして有効に用いられる。その結果、ダストカバーの耐寒性を損なうことなく、耐熱性およびゴム-支持体間の接着性を、安定して付与することを可能としている。
【0007】
ここで、本発明でいうグリースカップとは、内部に封入されている潤滑剤の流失を防ぐとともに、外部からの泥水や塵芥ゴミ等の侵入を防ぐといった機能を有するものをいい、例えばダストカバー、ダストブーツ、ベロー等で呼称されるものを含む。これらの使用場所は、主として動力伝達装置のジョイント部であり、広く自動車、機械等の部品として用いられている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
クロロプレンゴムは、2-クロロ-1,3-ブタジエンを乳化重合させることにより得られるゴムであり、一般に重合時の分子量の均一性や安定性を得るために重合調整剤を用いるが、この調整剤としてイオウ、チウラムジスルフィドのイオウ変性タイプまたはメルカプタンなどの非イオウ変性タイプがあり、本発明ではいずれのタイプのものも用いることができる。実際には、市販品である電気化学製品DR31(非イオウ変性タイプ)、同社製品DORDM40(イオウ変性タイプ)などをそのまま用いることができる。
【0009】
塩素化ポリエチレンゴムは、ポリエチレンの粉末または粒子を水性懸濁液中で塩素化するか、あるいは有機溶媒中に溶解したポリエチレンを塩素化することによって得られるものであり、好ましくは水性懸濁液中で塩素化することにより得られるものが用いられる。塩素化ポリエチレンゴムは、一般にはその塩素含有量が5〜50重量%の非結晶性または結晶性の塩素化ポリエチレンであり、本発明では5〜50重量%、好ましくは塩素含有量が25〜45重量%の非結晶性塩素化ポリエチレンが用いられる。かかる塩素化ポリエチレンゴムとしては、市販品である東ソー製品CN5020(塩素含有量40重量%)、同社製品CN1800(同10重量%)等をそのまま用いることができる。
【0010】
クロロプレンゴムと塩素化ポリエチレンゴムとは、前者が約99〜85重量%、好ましくは約97〜90重量%の割合で、また後者が約1〜15重量%、好ましくは約3〜10重量%となるような割合で用いられる。塩素化ポリエチレンゴムがこれより少ない割合で用いられると、耐熱性や支持体との接着性に問題が生じるようになり、一方これより多い割合で用いられると耐寒性に問題が生じるようになる。
【0011】
上記割合のクロロプレンゴムおよび塩素化ポリエチレンゴムよるなるブレンドゴムには、(A)ポリエーテルエステル系可塑剤または(B)ポリエーテルエステル系可塑剤とエステル系可塑剤との両者が、ブレンドゴム100重量部に対して10〜30重量部、好ましくは15〜30重量部の割合で添加される。可塑剤がこれ以下の配合割合で用いられると、耐寒性が悪化するようになり、一方これ以上の配合割合で用いられると金属等との接着性が悪化するようになる。
【0012】
ポリエーテルエステル系可塑剤が単独で用いられる態様(A)にあっては、その分子量が450〜650、好ましくは500〜600のものが用いられる。実際には、市販品であるADEKA製品RS-700等が用いられる。ポリエーテルエステル系可塑剤であっても、分子量がこれ以下のものが用いられると、耐熱性が悪化するようになり、一方分子量がこれ以上のものが用いられると、耐寒性が悪化するようになる。
【0013】
一方、ポリエーテルエステル系可塑剤がエステル系可塑剤と併用される態様(B)にあっては、ポリエーテルエステル系可塑剤として分子量450〜900のものを、分子量350〜500、好ましくは400〜500のエステル系可塑剤、例えばジオクチルセバケート等のセバケート系エステル、ジイソデシルアジペート、ジブチルグリコールアジペート、ジブチルカルビトールアジペート等のアジペート系エステル、ジオクチルアゼレート等のアゼレート系エステル、ジオクチルフタレート等のフタレート系エステルなどと併用することができる。
【0014】
この態様(B)にあっては、可塑剤合計量中ポリエーテルエステル系可塑剤が35重量%以上、好ましくは50〜75重量%の割合で、またエステル系可塑剤が65重量%以下、好ましくは50〜25重量%の割合で用いられる。この場合、ポリエーテルエステル系可塑剤として用いられる分子量が450〜900、好ましくは500〜900の可塑剤中、分子量450〜650の可塑剤については態様(A)でも用いられているので、分子量が500〜650の範囲内のポリエーテルエステル系可塑剤については、態様(A)に従って単独で用いられ、また態様(B)に従ってエステル系可塑剤との併用という形で用いることもできる。なお、分子量が650〜900の範囲内のポリエーテルエステル系可塑剤としては、実際には市販品であるADEKA製品RS-735等が用いられる。
【0015】
ブレンドゴムには、さらに2種以上の芳香族アミン系老化防止剤が、合計してブレンドゴム100重量部当り3〜10重量部、好ましくは4〜8重量部の割合で配合される。老化防止剤の配合割合がこれより少ないと、耐熱性と耐オゾン性を付与することが難しく、一方老化防止剤の配合割合がこれより多いと、加硫阻害による成形性への影響または加硫物表面へのブルーミングといった問題が生じるため好ましくない。
【0016】
芳香族アミン系老化防止剤としては、N-フェニル-1-ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4'-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p-(p-トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N'-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミンなどの芳香族アミン系化合物の内、少なくとも2種以上が併用される。好ましくはN-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミンを1成分として含有する芳香族アミン系化合物、具体的にはそれと4,4'-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンとの組合せが用いられ、その割合は前者の30〜60重量%に対し、後者が40〜70重量%であることが好ましい。ここで、芳香族アミン系老化防止剤が1種類しか用いられないと、耐熱性と耐寒性を両立させることが難しくなる。
【0017】
以上の必須成分よりなるゴム組成物には、さらに充填剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤およびゴム物性や所望の接着性を損なわない範囲で、安定剤、粘着付与剤、離型剤、顔料、難燃剤、滑剤などを添加することができる。
【0018】
充填剤としては、カーボンブラック、クレー、珪藻土、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。また、粉末状固体充填剤、例えば各種の金属粉、ガラス粉、セラミックス粉、粒状あるいは粉末ポリマーなども所望の性能を損なわない範囲で用いることができる。
【0019】
加硫剤としては、用いられるクロロプレンゴムの種類に応じて酸化亜鉛、酸化マグネシウム、四酸化二鉛、一酸化鉛、イオウ、含イオウ化合物、有機過酸化物などが用いられる。含イオウ化合物、好ましくは有機含イオウ化合物としては、チオウレア系加硫剤、メルカプトトリアジン系加硫剤、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどが挙げられる。有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、ジ-第3-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド、1,3-ジ(第3ブチルパーオキシ)イソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、m-トレイルパーオキサイド、ジプロピオニルパーオキサイドなどが挙げられる。これらの加硫剤は、ゴム100重量部当り約1〜20重量部、好ましくは約2〜15重量部の割合で用いられる。また、加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、トリメチルチオウレア、ニッケルジブチルジチオカーバメートなどが用いられる。
【0020】
以上の各成分を用いてのゴム組成物の調製は、加硫剤および加硫促進剤を除く各成分を加熱混練機、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサ、プラベンダ、ニーダ、高剪断型ミキサなどを用いて混練りし、さらに加硫剤および加硫促進剤などを添加し、これら必要な成分を同時に混合し、加熱溶融混練することにより、容易に行うことができる。混練に際しては、ポリマーと可塑剤とを予め混練しておいたものに、さらに充填剤やその他の配合剤を混ぜ合わせることもできる。このような手順で混練を行うことにより、可塑剤添加による滑りや汚れで混練物にせん断エネルギーを与え難くなり、ひいては混練に時間がかかるといった事態を回避することができる。
【0021】
加硫成形は、公知の方法、例えば射出成形機、圧縮成形機、加硫プレスなどを用いて、一般に約150〜200℃で、約3〜60分間加熱することによって行われ、必要に応じて約150〜250℃で、約1〜24時間程度加熱する二次加硫も行われ、グリースカップなどが成形される。グリースカップ成形品としては、本発明のゴム組成物単体で構成されるものでも良く、金属やプラスチック等の補強材料を複合して構成されるものでもよい。
【0022】
ゴム加硫物と一体成形させる支持体の素材としては、金属製あるいは樹脂製のものが用いられる。金属材料としては、好ましくはJIS G4051(機械構造用炭素鋼材)に定められている炭素鋼やJIS H4000に定められているアルミニウムおよびアルミニウム合金、JIS G4303、4304、4305に定められているステンレス鋼材、JIS H3100に定められている銅および銅合金などが挙げられる。また樹脂材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。ゴム加硫物は、これらの支持体に接着処理された状態で用いられる。
【0023】
ゴム加硫物と支持体とを一体化させる接着剤としては、好ましくは熱可塑性樹脂系接着剤、熱硬化性樹脂系接着剤、エラストマー系接着剤が用いられる。熱可塑性樹脂系接着剤としては、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルアセタール系、アクリル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系などが、熱硬化性樹脂系接着剤としては、ユリア系、メラミン系、フェノール系、レゾルシノール系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエステル系などが、またエラストマー系接着剤としては、クロロプレン系、ニトリルゴム系、ブチルゴム系、ポリサルファイド系、シリコーンゴム系などが挙げられ、これらを主剤とした接着剤を用いることができる。
【実施例】
【0024】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0025】
実施例1
クロロプレンゴム(電気化学製品DCR31) 95重量部
塩素化ポリエチレンゴム(東ソー製品CN5020;Cl含量40%) 5 〃
FEFカーボンブラック(東海カーボン製品シーストSO) 35 〃
ステアリン酸(花王製品ルーナックS-30) 1 〃
ポリエーテルエステル系可塑剤(ADEKA製品RS-700;分子量約550) 20 〃
アミン系老化防止剤;N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル) 3 〃
-p-フェニレンジアミン(大内新興化学製品Nocrac 6C)
アミン系老化防止剤;4,4'-ビス(α,α-ジメチルベンジル) 3 〃
ジフェニルアミン(同社製品Nocrac CD)
酸化亜鉛(正同化学製品亜鉛華3号) 5 〃
酸化マグネシウム(協和化学製品キョーマグ♯150) 4 〃
2-メルカプトイミダゾリン(バイエル社製品バルカチットNPV/C) 1 〃
テトラメチルチウラムジサルファイド(大内新興化学製品ノクセラーTT) 1 〃
以上の各成分の内、加硫剤以外の各成分を3Lニーダで混練した後、オープンロールで加硫剤を加えてゴムシートとし、180℃、10MPa、5分間の条件でプレス加硫(一次加硫)して、150×150×2mmのスラブシートを成形した。
【0026】
得られた成形物について、次の各項目の測定および評価を行った。なお、接着性試験については、JIS K6256-2に準じた試験片が用いられた。
硬度:JIS K6253準拠;厚さ2mmのテストシートを3枚重ね合わせたものについて測定
耐熱性:JIS K6257準拠;120℃、70時間のオーブン加硫後の硬度変化(ポイント)を測定
し、0〜+10のものを○、+11〜+15のものを△、+16以上のものを×と評価
耐寒性:JIS K6261準拠;TR-10値を測定し、-40℃以下のものを○、-39〜-30℃のもの
を△、-29℃以上のものを×と評価
接着性:SPCC鋼板に、下塗り剤としてフェノール樹脂系接着剤(ロード・ファー・イー
スト社製品ケムロック205)を、また上塗り剤としてポリオレフィン系樹脂接着
剤(同社製品ケムロック6108)をいずれも50%トルエン溶液として塗布し、自然
乾燥した後、ゴム組成物を180℃、10MPa、5分間の条件で加熱加圧して加硫接
着してJIS K6256-2に準じた試験片を作成後、剥離試験を行い、さらにペンチ
により残留ゴムを剥離してゴム残率を算出し、ゴム残率が80〜100%のものを
○、60〜79%のものを×、59%以下のものを×と評価
耐オゾン性:JIS K6259準拠;オゾン濃度50±5pphm、温度40℃、伸長率0〜20%、伸長
周波数0.5Hz、試験時間250時間の条件で動的オゾン試験を行い、試験片に
おける亀裂の数と大きさの状態を表すランク付けが、C2より良であるもの
を○、C2より不良であるものを×と評価
【0027】
実施例2〜4、比較例1〜3
実施例1において、配合成分としてのクロロプレンゴム量および塩素化ポリエチレン量がそれぞれ変更された。なお、実施例4および比較例3では、塩素化ポリエチレン(塩素化PE)として、東ソー製品CN1800(塩素含量10重量%)が用いられた。
【0028】
実施例1〜4、比較例1〜3での測定および評価結果は、使用されたクロロプレンゴム量および塩素化ポリエチレン量(単位:重量部)と共に、次の表1に示される。
表1
比-1 実-1 実-2 実-3 比-2 実-4 比-3
〔配合成分〕
クロロプレンゴム 100 95 90 85 70 90 70
塩素化PE(Cl含量40%) − 5 10 15 30 − −
〃 (Cl含量10%) − − − − − 10 30
〔測定・評価結果〕
硬度(デュロA) 52 52 52 51 50 50 50
耐熱性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
耐寒性 ○ ○ ○ △ × ○ ×
接着性 × ○ ○ ○ ○ ○ ○
耐オゾン性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
【0029】
比較例4〜7
実施例1において、ポリエーテルエステル系可塑剤の種類およびその使用量が、表2に示される如くそれぞれ変更されて用いられた。
ポリエーテルエステル系可塑剤A:ADEKA製品RS-700、分子量約550
ポリエーテルエステル系可塑剤B:ADEKA製品RS-107、分子量434
ポリエーテルエステル系可塑剤C:ADEKA製品RS-735、分子量約850
【0030】
比較例8
実施例1において、ポリエーテルエステル系可塑剤の代りに、同量のイソデシルアジペート(新日本理化製品DIDA、分子量426)が用いられた。
【0031】
比較例4〜8での測定および評価結果は、配合成分としての可塑剤使用量(単位:重量部)と共に、次の表2に示される。なお、表2には、実施例1での結果が併記されている。
表2
比-4 実-1 比-5 比-6 比-7 比-8
〔配合成分〕
ポリエーテルエステル系可塑剤A 5 20 35
ポリエーテルエステル系可塑剤B 20
ポリエーテルエステル系可塑剤C 20
ジイソデシルアジペート 20
〔測定・評価結果〕
硬度(デュロA) 56 52 44 52 53 51
耐熱性 ○ ○ ○ × ○ ×
耐寒性 × ○ ○ ○ × ○
接着性 ○ ○ × ○ ○ ○
【0032】
実施例5、比較例9〜15
実施例1において、配合成分としての2種の芳香族アミン系老化防止剤(Nocrac 6C、Nocrac CD)使用量(単位:重量部)が、表3に示される如くに変更されて用いられた。
【0033】
これらの実施例、比較例での測定および評価結果は、次の表3に示される。なお、表3には、実施例1での結果が併記されている。
表3
実施例 比較例
10 11 12 13 14 15
〔配合成分〕
Nocrac 6C 3 2 6 − 2 12 − − 6
Nocrac CD 3 4 − 6 − − 2 12 6
〔測定・評価結果〕
硬度(デュロA) 52 51 51 51 52 50 53 45 48
耐熱性 ○ ○ × ○ × × × ○ ○
耐寒性 ○ ○ ○ × ○ △ ○ × ×
接着性 ○ ○ ○ △ ○ △ ○ × ×
【0034】
実施例6〜9、比較例16〜20
実施例1において、可塑剤としてポリエーテルエステル系可塑剤A〜C(比較例4〜7の記載参照)およびジイソデシルアジペート(DIDA、分子量426)またはジオクチルセバケート(新日本理化製品DOS、分子量426)の組み合せが用いられた。
【0035】
これらの実施例、比較例での測定および評価結果は、配合成分としての可塑剤使用量(単位:重量部)と共に、次の表4に示される。
表4
実施例 比較例
16 17 18 19 20
〔配合成分〕
ポリエーテルエステル系可塑剤A 10 15 15 − − 4 4 − −
ポリエーテルエステル系可塑剤B − − − − − − − − 10
ポリエーテルエステル系可塑剤C − − − 10 15 − − 4 −
ジイソデシルアジペート 10 5 − − 20 16 − − −
ジオクチルセバケート − − 5 10 − − 16 16 10
〔測定・評価結果〕
硬度(デュロA) 51 52 51 52 45 52 53 56 51
耐熱性 ○ ○ ○ ○ × × × × ×
耐寒性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
接着性 ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○
耐オゾン性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロプレンゴム99〜85重量%および塩素化ポリエチレンゴム1〜15重量%よりなるブレンドゴム100重量部当り、分子量450〜650のポリエーテルエステル系可塑剤10〜30重量部および2種以上の芳香族アミン系老化防止剤3〜10重量部を含有せしめてなるゴム組成物。
【請求項2】
クロロプレンゴム99〜85重量%および塩素化ポリエチレンゴム1〜15重量%よりなるブレンドゴム100重量部当り、分子量450〜900のポリエーテルエステル系可塑剤と分子量350〜500のエステル系可塑剤との両者10〜30重量部および2種以上の芳香族アミン系老化防止剤3〜10重量部を含有せしめてなるゴム組成物。
【請求項3】
可塑剤合計量中、ポリエーテルエステル系可塑剤が35重量%以上の割合で、またエステル系可塑剤が65重量%以下の割合でそれぞれ用いられた請求項2記載のゴム組成物。
【請求項4】
芳香族アミン系老化防止剤として、N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミンおよび4,4'-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンの組合せが用いられた請求項1または2記載のゴム組成物。
【請求項5】
グリースカップ成形材料として用いられる請求項1または2記載のゴム組成物。
【請求項6】
請求項5記載のゴム組成物を加硫成形して得られたグリースカップ。
【請求項7】
グリースカップが、金属製または樹脂製の支持体と接着されたグリースカップである請求項6記載のグリースカップ。

【公開番号】特開2010−106227(P2010−106227A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62447(P2009−62447)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】