ゴルフクラブヘッド
【課題】低重心化を図りつつ打球音の改良を図る上で有利なゴルフクラブヘッドを提供する。
【解決手段】ゴルフクラブヘッド10は、中空部25と、中空部25を除いたゴルフクラブヘッド10の箇所を構成する無垢の板材20とを含んで構成されている。中空部25は、フェース面12に沿ってフェース面12の左右方向全長にわたって延在する横部22と、横部22の左右両側に接続され横部22の左右両側から横部22の左右方向の幅よりも小さい幅でそれぞれ後方に延在する縦部24とを備えている。無垢の板材20は、横部22の後方で両側の縦部24の間に配置され、無垢の板材20が配置された箇所において無垢の板材20の厚さ方向の一方の面によりクラウン面14が構成されると共に無垢の板材20の他方の面によりソール面16が構成されている。
【解決手段】ゴルフクラブヘッド10は、中空部25と、中空部25を除いたゴルフクラブヘッド10の箇所を構成する無垢の板材20とを含んで構成されている。中空部25は、フェース面12に沿ってフェース面12の左右方向全長にわたって延在する横部22と、横部22の左右両側に接続され横部22の左右両側から横部22の左右方向の幅よりも小さい幅でそれぞれ後方に延在する縦部24とを備えている。無垢の板材20は、横部22の後方で両側の縦部24の間に配置され、無垢の板材20が配置された箇所において無垢の板材20の厚さ方向の一方の面によりクラウン面14が構成されると共に無垢の板材20の他方の面によりソール面16が構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブにより打撃したゴルフボールの飛距離を向上するためには、打ち出し角度を大きくすること(高打角化)と、ゴルフボールの逆回転量(バックスピン)を低く抑えること(低スピン化)とが必要である。
高打角化と低スピン化を図るためには、ゴルフクラブヘッドの重心をより低い位置にすること(低重心化)が効果的である。
すなわち、ゴルフクラブヘッドの重心が低くなるほど、フェース部でゴルフボールを打撃した際に、ロフト角度が大きくなる方向にフェース部(ゴルフクラブヘッド)が変位しやすくなる。
このため、打撃したゴルフボールの打ち出し角度が高くなる。さらには、フェース部のロフト角度が大きくなる方向への変位によってギア効果が生じるため、ゴルフボールにはバックスピンと反対側の回転方向に回転(トップスピン)がかかり、スピン量が小さくなる。すなわち、低スピン化される。このようにして、高打出し、低スピンが実現され、飛距離を確保する上で有利となる。
【0003】
このようなことから本出願人は、低重心化を図る上で有利なゴルフクラブヘッドを提案している(特許文献1参照)。
このゴルフクラブヘッドは、クラウン部に内側へ凸曲面をなす凹部が形成された中空構造を設け、凹部はソール部の底面に向けて深く窪んだ形状になっている。
そして、凹部の底部を形成する壁部と、凹部に対向するソール部の部分を形成する壁部とが近接した状態で対向しあるいは接合されている。
このようなゴルフクラブヘッドによれば、ゴルフクラブヘッドの重心位置が凹部の底面に近い位置まで低下するため低重心化を図る上で有利となり、飛距離を確保する上で有利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−35915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ゴルフクラブヘッドでは、凹部の底部を形成する壁部とソール部を形成する壁部との2つの壁部が対向しあるいは接合されていることから、ゴルフクラブヘッドでゴルフボールを打撃した際にそれら2つの壁部が振動して生じる音が互いに打ち消し合う傾向となる。
そのため、ゴルフクラブヘッドから生じる打球音(打撃音)をゴルファにとってより心地良いものとする上で、具体的には、打球音の音色をより高音とし、かつ、打球音の残響時間をより長くする上で改良の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低重心化を図りつつ打球音の改良を図る上で有利なゴルフクラブヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、上下の高さを有して左右に延在するフェース面と、前記フェース面の上部から後方に延在するクラウン面と、前記フェース面の下部と前記クラウン面の下部とを接続するソール面とを備えるゴルフクラブヘッドであって、中空部と、前記中空部を除いた前記ゴルフクラブヘッドの箇所を構成する無垢の板材とを含み、前記中空部は、前記フェース面に沿って前記フェース面の左右方向全長にわたって延在する横部を含んで構成され、前記無垢の板材が配置された箇所において前記無垢の板材の厚さ方向の一方の面により前記クラウン面が構成されると共に前記無垢の板材の他方の面により前記ソール面が構成され、前記ゴルフクラブヘッドを基準面に対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した状態で平面視したとき前記フェース面の中心点から前記ゴルフクラブヘッドの最も後方に位置する箇所までの前後方向の距離を前記基準面に投影した寸法をヘッド長さAとし、前記設置した状態で前記ゴルフクラブヘッドを前記フェース面の前方から見たとき前記基準面に対して22.23mm上方に位置するヒール側の箇所から最もトウ側に位置する端部までの距離を前記基準面に投影した寸法をヘッド幅Bとし、前記設置した状態で平面視したとき前記フェース面の中心点を通り前後方向に延在する中心線上において前記中心点から前記中空部の最も後方に位置する箇所までの距離を前記基準面に投影した寸法を中空部厚さCとした場合、ヘッド長さAは60mm以上110mm以下、ヘッド幅Bは95mm以上120mm以下、A<Bであり、中空部厚さCは15mm以上ヘッド長さA以下であり、前記設置した状態で、前記ゴルフクラブの全投影面積に占める前記無垢の板材の投影面積の割合が30%以上50%以下であることを特徴とする。
なお、ヘッド長さAおよびヘッド幅Bの定義は、「2010年度財団法人日本ゴルフ協会のゴルフ規則」の「付属規則IIクラブのデザイン」の「4b寸法、体積、慣性モーメント」の欄に記載されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のゴルフクラブヘッドによれば、無垢の板材によりクラウン面の部分とソール面の部分とが構成されているため、ゴルフクラブヘッドの重心位置を無垢の板材に近い位置まで下げることができ、ゴルフクラブヘッドの低重心化を図る上で有利となる。
また、無垢の板材の厚さ方向の両面がゴルフクラブヘッドの上下に開放されているため、ゴルフボールを打撃した際に無垢の板材に発生する1次共振周波数の振動が他の部材に打ち消されることがないため、打球音の高さをゴルファにとって心地良いものとし、かつ、打球音の残響時間を長く確保する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の斜視図である。
【図2】第1の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図3】第1の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の正面図である。
【図4】第1の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の下面図である。
【図5】図1のW−W線断面図である。
【図6】図1のX−X線断面図である。
【図7】変形例における図1のX−X線断面図である。
【図8】他の変形例における図1のX−X線断面図である。
【図9】図2のY−Y線断面図である。
【図10】図5のZ−Z線断面図である。
【図11】第2の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図12】第2の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の無垢の板材20の基準面Gへの投影面積を示す図である。
【図13】第2の実施の形態の変形例におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図14】第3の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図15】第3の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の無垢の板材20の基準面Gへの投影面積を示す図である。
【図16】第2の実施の形態の変形例におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図17】第4の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図18】第4の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の無垢の板材20の基準面Gへの投影面積を示す図である。
【図19】第5の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図20】第5の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図21】周波数分析結果を示す線図である。
【図22】図19における周波数ピーク部分の拡大図である。
【図23】真の1次共振周波数を特定するための計算式を示す図である。
【図24】実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1〜図4に示すように、ゴルフクラブヘッド10は、本例ではフェアウェイウッドクラブ用であり、上下の高さを有して左右に延在するフェース面12と、フェース面12の上部から後方に延在しゴルフクラブヘッド10の上面を構成するクラウン面14と、フェース面12の下部とクラウン面14の下部とを接続しゴルフクラブヘッド10の下面を構成するソール面16とを備えている。
クラウン面14の左右方向の一端寄りの箇所にはホーゼル18が起立され、ホーゼル18に不図示のシャフトの一端が挿入して取着されることでのシャフトがゴルフクラブヘッド10に連結される。
【0010】
図1、図2、図5、図6、図9、図10に示すように、ゴルフクラブヘッド10は、中空部25と、中空部25を除いたゴルフクラブヘッド10の箇所を構成する無垢の板材20とを含んで構成されている。
中空部25は、フェース面12に沿ってフェース面12の左右方向全長にわたって延在する横部22と、横部22の左右両側に接続され横部22の左右両側から横部22の左右方向の幅よりも小さい幅でそれぞれ後方に延在する縦部24とを備えている。
無垢の板材20は、横部22の後方で両側の縦部24の間に配置され、無垢の板材20が配置された箇所において無垢の板材20の厚さ方向の一方の面によりクラウン面14が構成されると共に無垢の板材20の他方の面によりソール面16が構成されている。
無垢の板材20とは、複数枚の板材が接合されたものではなく、単一の一枚の板材で構成されているものをいう。
なお、図2において上方から見た場合の横部22、縦部24の輪郭を破線で示している。
また、図5に示すように、横部22の下側を仕切るソール面16に上方に突出する膨出部26を設け、ゴルフクラブヘッド10の低重心化を図っている。
また、本実施の形態では、縦部24の輪郭は図6に示すような形状であるが、図7、図8に示すように、縦部24の輪郭の一部がゴルフクラブヘッド10の幅方向の中心に向かって膨出した形状であってもよい。
【0011】
図1に示すように、クラウン面14は、前部クラウン面1402と、対向クラウン面1404と、下部クラウン面1406と、縦部形成用壁面1408とを有している。
前部クラウン面1402は、フェース面12の上部から後方に延在し横部22の上側を仕切っている。
図1、図6に示すように、縦部形成用壁面1408は、縦部24の上方を仕切る上壁面1408Aと、縦部24の内側側方を仕切る内壁面1408Bとを有している。なお、縦部24の外側側方と下側はソール面16で仕切られている。
【0012】
図1に示すように、対向クラウン面1404は、前部クラウン面1402の後部に接続され両側の縦部24の間で横部22の後側を仕切っている。
なお、横部22の左右両側と下側はソール面16により仕切られている。
図1、図5に示すように、対向クラウン面1404は、両側の内壁面1408Bの間で前部クラウン面1402の後部からソール面16側に向かって延在する上部対向クラウン面1404Aと、上部対向クラウン面1404Aの下部から後方に偏位しつつソール面16側に向かって延在する下部対向クラウン面1404Bとを含んで構成されている。
下部対向クラウン面1404Bは、後方に凸状の湾曲面で形成されている。
【0013】
下部クラウン面1406は、前部クラウン面1402と、対向クラウン面1404と、両側の縦部24を形成する上壁面1408Aおよび内壁面1408Bとを除いたクラウン面14の残りの箇所を構成している。
言い換えると、クラウン面14から横部22を形成する壁面および両側の縦部24を形成する壁面を除いた残りの箇所が下部クラウン面1406となっている。
すなわち、下部クラウン面1406は、横部22の後方かつ両側の縦部24の間でソール面16寄りに位置して前後左右方向に延在している。
無垢の板材20は、その厚さ方向の一方の面により下部クラウン面1406を構成しており、その他方の面により下部クラウン面1406に対応するソール面16の箇所を構成している。
すなわち、下部クラウン面1406が位置する箇所が無垢の板材20となっている。
【0014】
そして、図2、図3に示すように、ゴルフクラブヘッド10を基準面G(水平面)に対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した状態で平面視したときフェース面12の中心点Pcからゴルフクラブヘッド10の最も後方に位置する箇所Peまでの前後方向の距離を基準面Gに投影した寸法をヘッド長さAとする。
なお、フェース面12の中心点Pcは、フェース面12の幾何学的中心であり、中心点Pcの規定方法としては従来公知のさまざまな方法が採用可能である。
前記の設置した状態でゴルフクラブヘッド10をフェース面12の前方から見たとき基準面Gに対して予め定められた距離H(H=22.23mm、0.875インチ)上方に位置するヒール側の箇所Phから最もトウ側に位置する端部Ptまでの距離を基準面Gに投影した寸法をヘッド幅Bとする。
前記設置した状態で平面視したときフェース面12の中心点Pcから中空部25が最も後方に位置する箇所Pfまでの前後方向の距離を基準面Gに投影した寸法を中空部厚さCとする。
前記設置した状態で平面視したときフェース面12の中心点Pcを通り前後方向に延在する中心線上において中心点Pcから中空部25の最も後方に位置する箇所までの距離を基準面Gに投影した寸法を中空部厚さCとする。
【0015】
本実施の形態では、ヘッド長さAを60mm以上110mm以下とし、ヘッド幅Bを95mm以上120mm以下とし、A<Bであり、中空部厚さCを15mm以上ヘッド長さA未満とし、前記設置した状態で、ゴルフクラブヘッド10の全投影面積に占める無垢の板材20の投影面積の割合を30%以上50%以下とした。
ヘッド長さAが60mm以上110mm以下の範囲を満たすと、打球音(高さと残響:高音で残響が長い)と重心高さ(低重心化)の点で有利となり、前記の範囲を下回ると、打球音(残響が短い)の点で不利があり、前記の範囲を上回ると、打球音(高さが低い)と重心高さ(高くなる)の点で不利がある。
ヘッド幅Bの範囲を規定する理由は、A寸法を規定した理由と同じである。
A<Bが成立すると、ゴルファーが見た時のイメージ(伝統的な形で違和感が無い)の点で有利となり、不成立であると違和感がある点で不利がある。
中空部厚さCが上記の範囲を満たすと、打球音(高さと残響:高音で残響が長い)の点で有利となり、前記の範囲を下回ると、打球音(残響が短い)の点で不利があり、前記の範囲を上回ると、打球音(高さが低い)の点で不利がある。
ゴルフクラブヘッド10の全投影面積に占める無垢の板材20の投影面積の割合が上記の範囲を満たすと、打球音(高さと残響:高音で残響が長い)と重心高さ(低重心化)の点で有利となり、前記の範囲を下回ると、打球音(残響が短い)の点で不利があり、前記の範囲を上回ると、打球音(高さが低い)と重心高さ(高くなる)の点で不利がある。
【0016】
また、前記設置した状態でロフト角が11度以上25度以下であり、かつ、ゴルフクラブヘッド10の重心位置をフェース面12に垂直に投影させた重心点の基準面Gからの高さが21mm以下であることが、ゴルフクラブヘッド10の低重心化を図る上でより有利となる。
また、前記設置した状態でゴルフクラブ10の全投影面積が100cm2以下であることが、打球音(高さと残響:高音で残響が長い)と重心高さ(低重心化)の上でより有利となる。
【0017】
次にゴルフクラブヘッド10の作用効果について説明する。
ゴルフクラブヘッド10は、無垢の板材20を用いて構成され、無垢の板材20によりクラウン面14の部分とソール面16の部分とが構成されている。
そのため、ゴルフクラブヘッド10の重心位置を無垢の板材20に近い位置まで下げることができるため、ゴルフクラブヘッド10の低重心化を図る上で有利となり、したがって、飛距離を確保する上で有利となる。
また、無垢の板材20の厚さ方向の両面がゴルフクラブヘッド10の上下に開放されているため、ゴルフボールを打撃した際に無垢の板材20に発生する1次共振周波数の振動が他の部材に打ち消されることがない。そのため、打球音の高さをゴルファにとって心地良いものとし(言い換えると4000Hz以上の1次共振周波数の成分が多く含まれる音とし)、かつ、打球音の残響時間を長く確保する上で有利となる。
特に、従来技術で挙げたゴルフクラブヘッドでは、凹部の底部を形成する壁部とソール部を形成する壁部との2つの壁部が対向しあるいは接合されていることから、2つの壁部が振動して生じる音が互いに打ち消し合う傾向となる不利があったが、本実施の形態では、そのような不利が解消され、ゴルファにとって心地良い打球音を発生させる上で有利となる。
【0018】
また、本実施の形態では、横部22に接続し横部22の左右方向の幅よりも小さい幅で横部22から後方に延在する縦部24が設けられている。
したがって、打球音が反響する空間の体積を大きく確保できるため、打球音の残響時間を長くする上で有利となる。
また、縦部24を形成する縦部形成用壁面1408によってゴルフクラブヘッド10の剛性が高められることから、打球音の周波数を高くする上でより有利となる。
【0019】
また、本実施の形態では、対向クラウン面1404は、両側の内壁面1408Bの間で前部クラウン面1402の後部からソール面16側に向かって延在する上部対向クラウン面1404Aと、上部対向クラウン面1404Aの下部から後方に偏位しつつソール面16側に向かって延在する下部対向クラウン面1404Bとを含んで構成されている。
したがって、対向クラウン面1404の面積を大きくすることで打撃時の加振によって振動する部分の面積を大きくでき、打球音の大きさを確保する上で有利となる。
さらに、下部対向クラウン面1404Bは、後方に凸状の湾曲面で形成されているため、下部対向クラウン面1404Bの部分の面積を大きくすることで打撃時の加振によって振動する部分の面積をより大きくでき、打球音の大きさを確保する上でより有利となる。
【0020】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について図11、図12を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態においては、第1の実施の形態と同一の部分、部材には同一の符号を付してその説明を省略するかあるいは簡単に行う。
第2の実施の形態は、図11に示すように、中空部25と、中空部25を除いたゴルフクラブヘッド10の箇所を構成する無垢の板材20とを含んで構成されている。中空部25は、横部22とこの横部22の左右方向の中央から後方に延在する1つの縦部24とにより構成されている。縦部24は、横部22の左右方向の幅よりも小さい幅で横部22に接続され、後方に至るにつれてその幅および高さが小さく形成されている。
縦部24の上側と左右側方は、縦部形成用壁面1408で形成され、縦部形成用壁面1408は、縦部24の上方を仕切る上壁面1408Aと、縦部24の左右側方を仕切る2つの内壁面1408Bとを有している。なお、縦部24の下側はソール面16で仕切られている。
【0021】
無垢の板材20は、横部22の後方かつ縦部24の左右両側で前後に延在している。
したがって、無垢の板材20が2枚用いられ、それら無垢の板材20が配置された箇所において無垢の板材20の厚さ方向の一方の面によりクラウン面14が構成されると共に無垢の板材20の他方の面によりソール面16が構成されている。
第2の実施の形態においても、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合については第1の実施の形態と同様に規定される。
また、第2の実施の形態では、ヘッド長さAと中空部厚さCとが等しい。
なお、図11において上方から見た場合の横部22、縦部24の輪郭を破線で示し、図12において無垢の板材20を基準面Gに投影した部分をハッチングで示す。以下の図13〜図16においても、破線とハッチングを同様に施している。
このような第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0022】
(第2の実施の形態の変形例)
次に第2の実施の形態の変形例について図13を参照して説明する。
図11、図12に示す第2の実施の形態では、横部22の上部後側が対向クラウン面1404で仕切られていたが、この変形例では、縦部24がその高さを減少しつつ後方に延在しているため、対向クラウン面1404は設けられていない。
すなわち、縦部形成用壁面1408は、縦部24の上方を仕切る上壁面1408Aと、縦部24の左右側方を仕切る2つの内壁面1408Bを有し、上壁面1408Aは、その前端が前部クラウン面1402の後部に接続され、後方に至るにつれてその高さが次第に減少している。
このような変形例によっても図11、図12に示す第2の実施の形態と同様な効果が奏される。
【0023】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について図14、図15を参照して説明する。
第3の実施の形態は、図14に示すように、中空部25と、中空部25を除いたゴルフクラブヘッド10の箇所を構成する無垢の板材20とを含んで構成されている。中空部25は、横部22とこの横部22の左右方向の中央から後方に延在する1つの縦部24とにより構成されている。縦部24は、その後部が左右に分かれており、縦部24は後方に至るにつれてその高さが小さく形成されている。
縦部24の上側と左右側方は、縦部形成用壁面1408で形成され、縦部形成用壁面1408は、縦部24の上方を仕切る上壁面1408Aと、縦部24の左右側方を仕切る3つの内壁面1408Bとを有している。なお、縦部24の下側はソール面16で仕切られている。
無垢の板材20は、横部22の後方かつ縦部24の前部の左右両側で前後に延在しており、また、縦部24の後部の間で前後に延在している。
したがって、無垢の板材20が3枚用いられ、それら無垢の板材20が配置された箇所において無垢の板材20の厚さ方向の一方の面によりクラウン面14が構成されると共に無垢の板材20の他方の面によりソール面16が構成されている。
第3の実施の形態においても、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合については第1の実施の形態と同様に規定される。
このような第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0024】
(第3の実施の形態の変形例)
次に第3の実施の形態の変形例について図16を参照して説明する。
図14、図15に示す第3の実施の形態では、横部22の上部後側が対向クラウン面1404で仕切られていたが、この変形例では、縦部24がその高さを減少しつつ後方に延在しているため、対向クラウン面1404は設けられていない。
すなわち、上壁面1408Aは、その前端が前部クラウン面1402の後部に接続され、後方に至るにつれてその高さが次第に減少している。
このような変形例によっても図14、図15に示す第3の実施の形態と同様な効果が奏される。
【0025】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について図17、図18を参照して説明する。
第4の実施の形態は、図17に示すように、縦部24を用いておらず、無垢の板材20が第1の中空部22の後方のクラウン面14全域を構成しており、無垢の板材20が配置された箇所において無垢の板材20の厚さ方向の一方の面によりクラウン面14が構成されると共に無垢の板材20の他方の面によりソール面16が構成されている。
第4の実施の形態においても、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合については第1の実施の形態と同様に規定される。
このような第4の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0026】
(第5の実施の形態)
次に第5の実施の形態について図19、図20を参照して説明する。
第5の実施の形態は、図19、図20に示すように、本発明をフェアウェイウッドクラブとアイアンとの中間のユーティリティクラブ用のゴルフヘッドクラブに適用したものである。
第5の実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、ゴルフクラブヘッド10は、中空部25と、中空部25を除いたゴルフクラブヘッド10の箇所を構成する無垢の板材20とを含んで構成されている。中空部25は、フェース面12に沿ってフェース面12の左右方向全長にわたって延在する横部22と、横部22の左右両側に接続され横部22の左右両側から横部22の左右方向の幅よりも小さい幅でそれぞれ後方に延在する縦部24とを備えている。
そして、クラウン面14から横部22を形成する壁面および両側の縦部24を形成する壁面を除いた残りの箇所が下部クラウン面1406となっている。すなわち、横部22の後方箇所である下部クラウン面1406が無垢の板材20の厚さ方向の一方の面で構成され、他方の面でソール面16が構成されている。
第5の実施の形態においても、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合については第1の実施の形態と同様に規定される。
このような第5の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0027】
以下、本発明の実験例について説明するが、まず、ゴルフクラブヘッド10から発生する打球音の評価方法について説明しておく。
ゴルフクラブヘッド10から発生する打球音は、ゴルフクラブヘッド10のフェース面12がゴルフボールを打撃した際に生じる衝撃によってゴルフクラブヘッド10のフェース面12、クラウン面14、ソール面16のそれぞれが振動することによって発生する音によって構成されている。
【0028】
打球音の周波数の計測は例えば以下のような方法で行われる。
予めゴルフクラブヘッド10のホーゼル18を宙吊りあるいは軽く支持しておく。
フェース面12、クラウン面14、ソール面16のそれぞれをハンマで加振(打撃)して振動させ、加振により発生する打撃音を騒音計で測定する。
なお、ハンマで加振するフェース面12、クラウン面14、ソール面16の箇所は、それぞれの幾何学中心とすればよい。また、デザイン性を与えるためにソール面16が複数の領域に区分されているような場合には、最も面積の大きな領域の幾何学中心をハンマで加振すればよい。
騒音計で測定された打撃音をA/Dコンバータを介してパソコンに取り込み、公知の手法、例えばFFT(Fast Fourier Transformation)等を用いて周波数分析を行い、音圧(振動)が最も大きな周波数を1次共振周波数として特定する。
このようにしてフェース面12、クラウン面14、ソール面16のそれぞれの1次共振周波数を測定する。
【0029】
なお、打撃音を騒音計で測定することに代えて、以下の方法を用いても良い。
1)フェース面12、クラウン面14、ソール面16のそれぞれに加速度ピックアップを取り付けておく。加振により発生する振動の加速度信号を加速度ピックアップで測定し、加速度信号の周波数分析を行うことで1次共振周波数を測定する。
2)フェース面12、クラウン面14、ソール面16のそれぞれの振動を、レーザ振動計(レーザドップラ振動計)で測定する。加振により発生する振動の加速度信号をレーザ振動計で測定し、加速度信号の周波数分析を行うことで1次共振周波数を測定する。
【0030】
ところで、加速度信号を測定する場合、図21に示すように、周波数分析の結果、加速度Lが同程度の第1、第2の周波数f1、f2によって2つのピークが得られた場合、第1、第2の周波数f1、f2の中間の周波数を真の1次共振周波数として特定することが1次共振周波数をより正確に評価する上で好ましい。
そこで、本実施の形態では、以下に示す手順によって、第1、第2の周波数f1、f2の加重平均を算出することにより真の1次共振周波数f0を求める。
【0031】
図22は、図21におけるピーク部分の拡大図である。
図22に示すように、例えば、データDnをピーク値として、その前後の複数のデータDn−1、Dn−2、Dn+1、Dn+2は、データDnから離れるにしたがって低下する。
しかしながら、各データは離散的に計測されていることから、図22に示す例では、真のピーク値は図中記号●で示すように、データDnよりもさらに高い値であることが予測される。
したがって、図23の式(1)により第1の周波数f1の真のピーク値L1を求め、式(2)により第2の周波数f2の真のピーク値L2を求める。式(1)、式(2)において、Liは複数のデータを示している。なお、データDn−1、Dn−2、Dn+1、Dn+2と5個のデータを用いる場合を例示したが、データの個数は任意である。
【0032】
真のピーク値L1,L2が求められたならば、図23の式(3)、式(4)により、dB値で示されている加速度のピーク値L1,L2をそれぞれ加速度のリニア値Acc1,Acc2に変換する。
次に、図23の式(5)〜(8)により、加速度のリニア値Acc1,Acc2を変位Disp1,Disp2に変換する。
変位Disp1,Disp2が求められたならば、図23の式(9)により変位Disp1,Disp2を用いて第1、第2の周波数f1、f2の加重平均を求め、この加重平均の値を真の1次共振周波数f0として得る。
【0033】
人間の聴覚の特性上、1次共振周波数が4000Hz以上である打球音はゴルファにとって心地良いものと評価され、1次共振周波数が3000Hz以下の打球音はゴルファにとって心地良いと評価され難い。
また、フェース面12、クラウン面14、ソール面16の3箇所の1次共振周波数の全てが4000Hz以上となると、打球音はゴルファにとって心地良いものと評価されるが、3箇所のうち1箇所でも1次共振周波数が2000Hzあるいは3000Hz以下であると、打球音はゴルファにとって心地良いと評価され難い。特に、面積が広い部分で1次共振周波数が2000Hzあるいは3000Hz以下であると、音圧も大きくなり、ゴルファーは、心地悪く感じる。これは、低い1次共振周波数の打球音の影響が支配的となるためであると考えられる。したがって、3箇所全ての1次共振周波数が4000Hz以上であることが心地良い打球音を得る上で好ましい。
また、打球音の残響時間は、長い方がゴルファにとって心地良いものと評価され、短くなるほどゴルファにとって心地良いと評価され難い。
【0034】
図24は本発明に係るゴルフクラブヘッド10の実験結果を示す図である。
なお、実験条件は次のとおりである。
試料となるゴルフクラブヘッドについて、フェース面12の中央部、クラウン面14の中央部、ソール面16の中央部のそれぞれをハンマで加振して振動させ、加振により発生する打撃音を騒音計で測定し、それぞれの場所における1次共振周波数を前述のような方法によって特定した。
【0035】
また、評価項目は以下のとおりである。
1)実際にゴルフボールをゴルフクラブヘッド10で打撃した場合の球音の高低を指数で評価した。実験例1の指数を100とし指数が大きいほど評価が良いことを示す。
2)実際にゴルフボールをゴルフクラブヘッド10で打撃した場合の打球音の残響時間を指数で評価した。実験例1の指数を100とし指数が大きいほど評価が良いことを示す。
3)実際にゴルフボールをゴルフクラブヘッド10で打撃した場合の飛距離を指数で評価した。実験例1の指数を100とし指数が大きいほど飛距離が長いことを示す。
4)前記設置した状態でのゴルフクラブヘッドの重心位置をフェース面12に垂直に投影させた重心点の基準面Gからの高さを測定した。
【0036】
実験例3は、第1の実施の形態に対応しており、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合の全てが規定を満たしている。
実験例7は、第2の実施の形態に対応しており、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合の全てが規定を満たしている。
実験例8は、第3の実施の形態に対応しており、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合の全てが規定を満たしている。
【0037】
実験例1は、ゴルフクラブヘッドがフェース面に沿って延在する前部中空部と、前部中空部の後部に接続され後部にいたるほど下方に変位する後部中空部とを備えるものである。
そして、後部中空部の上部のクラウン面を形成する上側壁部と後部中空部の下部のソール面を形成する下側壁部との間を接続する複数のリブが形成されているものである。
【0038】
実験例2は、前記の従来技術に対応するゴルフクラブヘッドであり、クラウン部に形成された凹部の底部を形成する壁部と、凹部に対向するソール部の部分を形成する壁部とが近接した状態で対向しあるいは接合されている。
【0039】
実験例4、5、6、9は、第1の実施の形態と同様に、中空部25が、フェース面12に沿ってフェース面12の左右方向全長にわたって延在する横部22と、横部22の左右両側に接続され横部22の左右両側から横部22の左右方向の幅よりも小さい幅でそれぞれ後方に延在する縦部24とを備えている。
実験例4は、中空部厚さC、関係式A<Bが規定を満たしているが、ヘッド長さA、ヘッド幅B、無垢の板材20の投影面積の割合が規定を満たしていない。
具体的には、ヘッド長さAおよびヘッド幅Bが規定の範囲を上回っており、無垢の板材20の投影面積の割合が規定の範囲を上回っている。
【0040】
実験例5は、中空部厚さC、関係式A<Bが規定を満たしているが、ヘッド長さAおよびヘッド幅B、無垢の板材20の投影面積の割合が規定を満たしていない。
具体的には、ヘッド長さAおよびヘッド幅Bが規定の範囲を下回っており、無垢の板材20の投影面積の割合が規定の範囲を下回っている。
【0041】
実験例6は、ヘッド長さA、ヘッド幅B、関係式A<Bが規定を満たしているが、中空部厚さC、無垢の板材20の投影面積の割合が規定を満たしていない。
具体的には、中空部厚さCが規定の範囲を下回っており、無垢の板材20の投影面積の割合が規定の範囲を上回っている。
【0042】
実験例9は、中空部厚さC、関係式A<Bを満たしているが、ヘッド長さAおよびヘッド幅B、無垢の板材20の投影面積の割合が規定を満たしていない。
具体的には、ヘッド長さAおよびヘッド幅Bが規定の範囲を上回っており、無垢の板材20の投影面積の割合が規定の範囲を上回っている。また、ゴルフクラブヘッド10の全投影面積が100cm2を上回っている。
【0043】
図24からわかるように、実験例3、7、8と、実験例1、2、4、5、6、9と比較すると、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合の全てが規定を満たしていると、打球音の高さ、打球音の残響時間の長さ、飛距離の点で有利となっていることがわかる。
具体的には、以下の点で有利となっている。
1)各1次共振周波数が4500Hz〜6300Hzであり4000Hzを上回っている。
2)打球音の高さの評価が実験例1、2、4、5、6、9の評価以上である。
3)打球音の残響時間が実験例1、2、4、5、6、9の評価を上回っている。
4)フェース面12上における重心点の基準面Gからの高さが20mm〜20.2mmとなり、低重心化が図られている。
5)飛距離が実験例1、2、4、5、6、9よりも長い。
【0044】
実験例1は、実験例3と同程度の打球音の高さであるが、実験例3、7、8に比較して残響時間が短く、飛距離も短いものとなっている。
残響時間が短い理由は、ゴルフクラブヘッドの形状によるものであり、飛距離が短い理由は、重心点の高さが23.5mmと高いためである。
【0045】
実験例2は、実験例3、7、8に比較して飛距離はそれほど悪くないが、打球音の高さ、残響時間が実験例3、7、8に比較して短いものとなっている。
打球音の高さ、残響時間が実験例3、7、8に比較して短い理由は、2枚の壁部が対向あるいは接合しているため、振動が打ち消されることによる。
【0046】
実験例4は、実験例3、7、8に比較して打球音の高さが低く、飛距離も短いものとなっている。
打球音が低い理由は、無垢の板材20の面積が大きすぎることによって、1次共振周波数が2800Hz,3000Hzと低いためである。
飛距離が短い理由は、ゴルフクラブヘッド10の全投影面積が大きいため、重心深度が深くなりフェース面12上の重心点の位置が22.5mmと高くなるためである。
【0047】
実験例5は、実験例3、7、8に比較して打球音は高いものの、残響時間が短く、飛距離も短いものとなっている。
残響時間が短い理由は、無垢の板材20の面積が小さすぎることにより、振動が短時間で収束してしまうためである。
飛距離が短い理由は、ゴルフクラブヘッド10の全投影面積が小さいため、重心深度が浅くなりすぎるためである。
【0048】
実験例6は、実験例3、7、8に比較して、残響時間はそれほど短くないが、打球音が低く、飛距離も短いものとなっている。
打球音が低いが残響時間が長い理由は、無垢の板材20の面積が大きすぎることにより、低い音での振動が続くためである。
飛距離が短い理由は、無垢の板材20の面積が大きすぎることにより、剛性が低下するためである。
【0049】
実験例9は、実験例3、7、8に比較して、残響時間はそれほど短くないが、打球音が低く、飛距離も短いものとなっている。
打球音が低いが残響時間が長い理由は、ゴルフクラブヘッド10の全投影面積と無垢の板材20の面積との双方が大きすぎることにより、低い音での振動が続くためである。
飛距離が短い理由は、ゴルフクラブヘッド10の全投影面積が大きすぎることにより、重心深度が深くなりフェース面12上の重心点の位置が23mmと高くなるためである。
【符号の説明】
【0050】
10……ゴルフクラブヘッド、12……フェース面、14……クラウン面、1402……前部クラウン面と、1404……対向クラウン面、1404A……上部対向クラウン面、1404B……下部対向クラウン面、1406……下部クラウン面、16……ソール面、20……無垢の板材、22……第1中空部、24……第2中空部、25……中空部、A……ヘッド長さ、B……ヘッド幅、C……中空部厚さ。
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブにより打撃したゴルフボールの飛距離を向上するためには、打ち出し角度を大きくすること(高打角化)と、ゴルフボールの逆回転量(バックスピン)を低く抑えること(低スピン化)とが必要である。
高打角化と低スピン化を図るためには、ゴルフクラブヘッドの重心をより低い位置にすること(低重心化)が効果的である。
すなわち、ゴルフクラブヘッドの重心が低くなるほど、フェース部でゴルフボールを打撃した際に、ロフト角度が大きくなる方向にフェース部(ゴルフクラブヘッド)が変位しやすくなる。
このため、打撃したゴルフボールの打ち出し角度が高くなる。さらには、フェース部のロフト角度が大きくなる方向への変位によってギア効果が生じるため、ゴルフボールにはバックスピンと反対側の回転方向に回転(トップスピン)がかかり、スピン量が小さくなる。すなわち、低スピン化される。このようにして、高打出し、低スピンが実現され、飛距離を確保する上で有利となる。
【0003】
このようなことから本出願人は、低重心化を図る上で有利なゴルフクラブヘッドを提案している(特許文献1参照)。
このゴルフクラブヘッドは、クラウン部に内側へ凸曲面をなす凹部が形成された中空構造を設け、凹部はソール部の底面に向けて深く窪んだ形状になっている。
そして、凹部の底部を形成する壁部と、凹部に対向するソール部の部分を形成する壁部とが近接した状態で対向しあるいは接合されている。
このようなゴルフクラブヘッドによれば、ゴルフクラブヘッドの重心位置が凹部の底面に近い位置まで低下するため低重心化を図る上で有利となり、飛距離を確保する上で有利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−35915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ゴルフクラブヘッドでは、凹部の底部を形成する壁部とソール部を形成する壁部との2つの壁部が対向しあるいは接合されていることから、ゴルフクラブヘッドでゴルフボールを打撃した際にそれら2つの壁部が振動して生じる音が互いに打ち消し合う傾向となる。
そのため、ゴルフクラブヘッドから生じる打球音(打撃音)をゴルファにとってより心地良いものとする上で、具体的には、打球音の音色をより高音とし、かつ、打球音の残響時間をより長くする上で改良の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低重心化を図りつつ打球音の改良を図る上で有利なゴルフクラブヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、上下の高さを有して左右に延在するフェース面と、前記フェース面の上部から後方に延在するクラウン面と、前記フェース面の下部と前記クラウン面の下部とを接続するソール面とを備えるゴルフクラブヘッドであって、中空部と、前記中空部を除いた前記ゴルフクラブヘッドの箇所を構成する無垢の板材とを含み、前記中空部は、前記フェース面に沿って前記フェース面の左右方向全長にわたって延在する横部を含んで構成され、前記無垢の板材が配置された箇所において前記無垢の板材の厚さ方向の一方の面により前記クラウン面が構成されると共に前記無垢の板材の他方の面により前記ソール面が構成され、前記ゴルフクラブヘッドを基準面に対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した状態で平面視したとき前記フェース面の中心点から前記ゴルフクラブヘッドの最も後方に位置する箇所までの前後方向の距離を前記基準面に投影した寸法をヘッド長さAとし、前記設置した状態で前記ゴルフクラブヘッドを前記フェース面の前方から見たとき前記基準面に対して22.23mm上方に位置するヒール側の箇所から最もトウ側に位置する端部までの距離を前記基準面に投影した寸法をヘッド幅Bとし、前記設置した状態で平面視したとき前記フェース面の中心点を通り前後方向に延在する中心線上において前記中心点から前記中空部の最も後方に位置する箇所までの距離を前記基準面に投影した寸法を中空部厚さCとした場合、ヘッド長さAは60mm以上110mm以下、ヘッド幅Bは95mm以上120mm以下、A<Bであり、中空部厚さCは15mm以上ヘッド長さA以下であり、前記設置した状態で、前記ゴルフクラブの全投影面積に占める前記無垢の板材の投影面積の割合が30%以上50%以下であることを特徴とする。
なお、ヘッド長さAおよびヘッド幅Bの定義は、「2010年度財団法人日本ゴルフ協会のゴルフ規則」の「付属規則IIクラブのデザイン」の「4b寸法、体積、慣性モーメント」の欄に記載されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のゴルフクラブヘッドによれば、無垢の板材によりクラウン面の部分とソール面の部分とが構成されているため、ゴルフクラブヘッドの重心位置を無垢の板材に近い位置まで下げることができ、ゴルフクラブヘッドの低重心化を図る上で有利となる。
また、無垢の板材の厚さ方向の両面がゴルフクラブヘッドの上下に開放されているため、ゴルフボールを打撃した際に無垢の板材に発生する1次共振周波数の振動が他の部材に打ち消されることがないため、打球音の高さをゴルファにとって心地良いものとし、かつ、打球音の残響時間を長く確保する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の斜視図である。
【図2】第1の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図3】第1の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の正面図である。
【図4】第1の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の下面図である。
【図5】図1のW−W線断面図である。
【図6】図1のX−X線断面図である。
【図7】変形例における図1のX−X線断面図である。
【図8】他の変形例における図1のX−X線断面図である。
【図9】図2のY−Y線断面図である。
【図10】図5のZ−Z線断面図である。
【図11】第2の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図12】第2の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の無垢の板材20の基準面Gへの投影面積を示す図である。
【図13】第2の実施の形態の変形例におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図14】第3の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図15】第3の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の無垢の板材20の基準面Gへの投影面積を示す図である。
【図16】第2の実施の形態の変形例におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図17】第4の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図18】第4の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の無垢の板材20の基準面Gへの投影面積を示す図である。
【図19】第5の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図20】第5の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の平面図である。
【図21】周波数分析結果を示す線図である。
【図22】図19における周波数ピーク部分の拡大図である。
【図23】真の1次共振周波数を特定するための計算式を示す図である。
【図24】実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1〜図4に示すように、ゴルフクラブヘッド10は、本例ではフェアウェイウッドクラブ用であり、上下の高さを有して左右に延在するフェース面12と、フェース面12の上部から後方に延在しゴルフクラブヘッド10の上面を構成するクラウン面14と、フェース面12の下部とクラウン面14の下部とを接続しゴルフクラブヘッド10の下面を構成するソール面16とを備えている。
クラウン面14の左右方向の一端寄りの箇所にはホーゼル18が起立され、ホーゼル18に不図示のシャフトの一端が挿入して取着されることでのシャフトがゴルフクラブヘッド10に連結される。
【0010】
図1、図2、図5、図6、図9、図10に示すように、ゴルフクラブヘッド10は、中空部25と、中空部25を除いたゴルフクラブヘッド10の箇所を構成する無垢の板材20とを含んで構成されている。
中空部25は、フェース面12に沿ってフェース面12の左右方向全長にわたって延在する横部22と、横部22の左右両側に接続され横部22の左右両側から横部22の左右方向の幅よりも小さい幅でそれぞれ後方に延在する縦部24とを備えている。
無垢の板材20は、横部22の後方で両側の縦部24の間に配置され、無垢の板材20が配置された箇所において無垢の板材20の厚さ方向の一方の面によりクラウン面14が構成されると共に無垢の板材20の他方の面によりソール面16が構成されている。
無垢の板材20とは、複数枚の板材が接合されたものではなく、単一の一枚の板材で構成されているものをいう。
なお、図2において上方から見た場合の横部22、縦部24の輪郭を破線で示している。
また、図5に示すように、横部22の下側を仕切るソール面16に上方に突出する膨出部26を設け、ゴルフクラブヘッド10の低重心化を図っている。
また、本実施の形態では、縦部24の輪郭は図6に示すような形状であるが、図7、図8に示すように、縦部24の輪郭の一部がゴルフクラブヘッド10の幅方向の中心に向かって膨出した形状であってもよい。
【0011】
図1に示すように、クラウン面14は、前部クラウン面1402と、対向クラウン面1404と、下部クラウン面1406と、縦部形成用壁面1408とを有している。
前部クラウン面1402は、フェース面12の上部から後方に延在し横部22の上側を仕切っている。
図1、図6に示すように、縦部形成用壁面1408は、縦部24の上方を仕切る上壁面1408Aと、縦部24の内側側方を仕切る内壁面1408Bとを有している。なお、縦部24の外側側方と下側はソール面16で仕切られている。
【0012】
図1に示すように、対向クラウン面1404は、前部クラウン面1402の後部に接続され両側の縦部24の間で横部22の後側を仕切っている。
なお、横部22の左右両側と下側はソール面16により仕切られている。
図1、図5に示すように、対向クラウン面1404は、両側の内壁面1408Bの間で前部クラウン面1402の後部からソール面16側に向かって延在する上部対向クラウン面1404Aと、上部対向クラウン面1404Aの下部から後方に偏位しつつソール面16側に向かって延在する下部対向クラウン面1404Bとを含んで構成されている。
下部対向クラウン面1404Bは、後方に凸状の湾曲面で形成されている。
【0013】
下部クラウン面1406は、前部クラウン面1402と、対向クラウン面1404と、両側の縦部24を形成する上壁面1408Aおよび内壁面1408Bとを除いたクラウン面14の残りの箇所を構成している。
言い換えると、クラウン面14から横部22を形成する壁面および両側の縦部24を形成する壁面を除いた残りの箇所が下部クラウン面1406となっている。
すなわち、下部クラウン面1406は、横部22の後方かつ両側の縦部24の間でソール面16寄りに位置して前後左右方向に延在している。
無垢の板材20は、その厚さ方向の一方の面により下部クラウン面1406を構成しており、その他方の面により下部クラウン面1406に対応するソール面16の箇所を構成している。
すなわち、下部クラウン面1406が位置する箇所が無垢の板材20となっている。
【0014】
そして、図2、図3に示すように、ゴルフクラブヘッド10を基準面G(水平面)に対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した状態で平面視したときフェース面12の中心点Pcからゴルフクラブヘッド10の最も後方に位置する箇所Peまでの前後方向の距離を基準面Gに投影した寸法をヘッド長さAとする。
なお、フェース面12の中心点Pcは、フェース面12の幾何学的中心であり、中心点Pcの規定方法としては従来公知のさまざまな方法が採用可能である。
前記の設置した状態でゴルフクラブヘッド10をフェース面12の前方から見たとき基準面Gに対して予め定められた距離H(H=22.23mm、0.875インチ)上方に位置するヒール側の箇所Phから最もトウ側に位置する端部Ptまでの距離を基準面Gに投影した寸法をヘッド幅Bとする。
前記設置した状態で平面視したときフェース面12の中心点Pcから中空部25が最も後方に位置する箇所Pfまでの前後方向の距離を基準面Gに投影した寸法を中空部厚さCとする。
前記設置した状態で平面視したときフェース面12の中心点Pcを通り前後方向に延在する中心線上において中心点Pcから中空部25の最も後方に位置する箇所までの距離を基準面Gに投影した寸法を中空部厚さCとする。
【0015】
本実施の形態では、ヘッド長さAを60mm以上110mm以下とし、ヘッド幅Bを95mm以上120mm以下とし、A<Bであり、中空部厚さCを15mm以上ヘッド長さA未満とし、前記設置した状態で、ゴルフクラブヘッド10の全投影面積に占める無垢の板材20の投影面積の割合を30%以上50%以下とした。
ヘッド長さAが60mm以上110mm以下の範囲を満たすと、打球音(高さと残響:高音で残響が長い)と重心高さ(低重心化)の点で有利となり、前記の範囲を下回ると、打球音(残響が短い)の点で不利があり、前記の範囲を上回ると、打球音(高さが低い)と重心高さ(高くなる)の点で不利がある。
ヘッド幅Bの範囲を規定する理由は、A寸法を規定した理由と同じである。
A<Bが成立すると、ゴルファーが見た時のイメージ(伝統的な形で違和感が無い)の点で有利となり、不成立であると違和感がある点で不利がある。
中空部厚さCが上記の範囲を満たすと、打球音(高さと残響:高音で残響が長い)の点で有利となり、前記の範囲を下回ると、打球音(残響が短い)の点で不利があり、前記の範囲を上回ると、打球音(高さが低い)の点で不利がある。
ゴルフクラブヘッド10の全投影面積に占める無垢の板材20の投影面積の割合が上記の範囲を満たすと、打球音(高さと残響:高音で残響が長い)と重心高さ(低重心化)の点で有利となり、前記の範囲を下回ると、打球音(残響が短い)の点で不利があり、前記の範囲を上回ると、打球音(高さが低い)と重心高さ(高くなる)の点で不利がある。
【0016】
また、前記設置した状態でロフト角が11度以上25度以下であり、かつ、ゴルフクラブヘッド10の重心位置をフェース面12に垂直に投影させた重心点の基準面Gからの高さが21mm以下であることが、ゴルフクラブヘッド10の低重心化を図る上でより有利となる。
また、前記設置した状態でゴルフクラブ10の全投影面積が100cm2以下であることが、打球音(高さと残響:高音で残響が長い)と重心高さ(低重心化)の上でより有利となる。
【0017】
次にゴルフクラブヘッド10の作用効果について説明する。
ゴルフクラブヘッド10は、無垢の板材20を用いて構成され、無垢の板材20によりクラウン面14の部分とソール面16の部分とが構成されている。
そのため、ゴルフクラブヘッド10の重心位置を無垢の板材20に近い位置まで下げることができるため、ゴルフクラブヘッド10の低重心化を図る上で有利となり、したがって、飛距離を確保する上で有利となる。
また、無垢の板材20の厚さ方向の両面がゴルフクラブヘッド10の上下に開放されているため、ゴルフボールを打撃した際に無垢の板材20に発生する1次共振周波数の振動が他の部材に打ち消されることがない。そのため、打球音の高さをゴルファにとって心地良いものとし(言い換えると4000Hz以上の1次共振周波数の成分が多く含まれる音とし)、かつ、打球音の残響時間を長く確保する上で有利となる。
特に、従来技術で挙げたゴルフクラブヘッドでは、凹部の底部を形成する壁部とソール部を形成する壁部との2つの壁部が対向しあるいは接合されていることから、2つの壁部が振動して生じる音が互いに打ち消し合う傾向となる不利があったが、本実施の形態では、そのような不利が解消され、ゴルファにとって心地良い打球音を発生させる上で有利となる。
【0018】
また、本実施の形態では、横部22に接続し横部22の左右方向の幅よりも小さい幅で横部22から後方に延在する縦部24が設けられている。
したがって、打球音が反響する空間の体積を大きく確保できるため、打球音の残響時間を長くする上で有利となる。
また、縦部24を形成する縦部形成用壁面1408によってゴルフクラブヘッド10の剛性が高められることから、打球音の周波数を高くする上でより有利となる。
【0019】
また、本実施の形態では、対向クラウン面1404は、両側の内壁面1408Bの間で前部クラウン面1402の後部からソール面16側に向かって延在する上部対向クラウン面1404Aと、上部対向クラウン面1404Aの下部から後方に偏位しつつソール面16側に向かって延在する下部対向クラウン面1404Bとを含んで構成されている。
したがって、対向クラウン面1404の面積を大きくすることで打撃時の加振によって振動する部分の面積を大きくでき、打球音の大きさを確保する上で有利となる。
さらに、下部対向クラウン面1404Bは、後方に凸状の湾曲面で形成されているため、下部対向クラウン面1404Bの部分の面積を大きくすることで打撃時の加振によって振動する部分の面積をより大きくでき、打球音の大きさを確保する上でより有利となる。
【0020】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について図11、図12を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態においては、第1の実施の形態と同一の部分、部材には同一の符号を付してその説明を省略するかあるいは簡単に行う。
第2の実施の形態は、図11に示すように、中空部25と、中空部25を除いたゴルフクラブヘッド10の箇所を構成する無垢の板材20とを含んで構成されている。中空部25は、横部22とこの横部22の左右方向の中央から後方に延在する1つの縦部24とにより構成されている。縦部24は、横部22の左右方向の幅よりも小さい幅で横部22に接続され、後方に至るにつれてその幅および高さが小さく形成されている。
縦部24の上側と左右側方は、縦部形成用壁面1408で形成され、縦部形成用壁面1408は、縦部24の上方を仕切る上壁面1408Aと、縦部24の左右側方を仕切る2つの内壁面1408Bとを有している。なお、縦部24の下側はソール面16で仕切られている。
【0021】
無垢の板材20は、横部22の後方かつ縦部24の左右両側で前後に延在している。
したがって、無垢の板材20が2枚用いられ、それら無垢の板材20が配置された箇所において無垢の板材20の厚さ方向の一方の面によりクラウン面14が構成されると共に無垢の板材20の他方の面によりソール面16が構成されている。
第2の実施の形態においても、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合については第1の実施の形態と同様に規定される。
また、第2の実施の形態では、ヘッド長さAと中空部厚さCとが等しい。
なお、図11において上方から見た場合の横部22、縦部24の輪郭を破線で示し、図12において無垢の板材20を基準面Gに投影した部分をハッチングで示す。以下の図13〜図16においても、破線とハッチングを同様に施している。
このような第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0022】
(第2の実施の形態の変形例)
次に第2の実施の形態の変形例について図13を参照して説明する。
図11、図12に示す第2の実施の形態では、横部22の上部後側が対向クラウン面1404で仕切られていたが、この変形例では、縦部24がその高さを減少しつつ後方に延在しているため、対向クラウン面1404は設けられていない。
すなわち、縦部形成用壁面1408は、縦部24の上方を仕切る上壁面1408Aと、縦部24の左右側方を仕切る2つの内壁面1408Bを有し、上壁面1408Aは、その前端が前部クラウン面1402の後部に接続され、後方に至るにつれてその高さが次第に減少している。
このような変形例によっても図11、図12に示す第2の実施の形態と同様な効果が奏される。
【0023】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について図14、図15を参照して説明する。
第3の実施の形態は、図14に示すように、中空部25と、中空部25を除いたゴルフクラブヘッド10の箇所を構成する無垢の板材20とを含んで構成されている。中空部25は、横部22とこの横部22の左右方向の中央から後方に延在する1つの縦部24とにより構成されている。縦部24は、その後部が左右に分かれており、縦部24は後方に至るにつれてその高さが小さく形成されている。
縦部24の上側と左右側方は、縦部形成用壁面1408で形成され、縦部形成用壁面1408は、縦部24の上方を仕切る上壁面1408Aと、縦部24の左右側方を仕切る3つの内壁面1408Bとを有している。なお、縦部24の下側はソール面16で仕切られている。
無垢の板材20は、横部22の後方かつ縦部24の前部の左右両側で前後に延在しており、また、縦部24の後部の間で前後に延在している。
したがって、無垢の板材20が3枚用いられ、それら無垢の板材20が配置された箇所において無垢の板材20の厚さ方向の一方の面によりクラウン面14が構成されると共に無垢の板材20の他方の面によりソール面16が構成されている。
第3の実施の形態においても、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合については第1の実施の形態と同様に規定される。
このような第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0024】
(第3の実施の形態の変形例)
次に第3の実施の形態の変形例について図16を参照して説明する。
図14、図15に示す第3の実施の形態では、横部22の上部後側が対向クラウン面1404で仕切られていたが、この変形例では、縦部24がその高さを減少しつつ後方に延在しているため、対向クラウン面1404は設けられていない。
すなわち、上壁面1408Aは、その前端が前部クラウン面1402の後部に接続され、後方に至るにつれてその高さが次第に減少している。
このような変形例によっても図14、図15に示す第3の実施の形態と同様な効果が奏される。
【0025】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について図17、図18を参照して説明する。
第4の実施の形態は、図17に示すように、縦部24を用いておらず、無垢の板材20が第1の中空部22の後方のクラウン面14全域を構成しており、無垢の板材20が配置された箇所において無垢の板材20の厚さ方向の一方の面によりクラウン面14が構成されると共に無垢の板材20の他方の面によりソール面16が構成されている。
第4の実施の形態においても、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合については第1の実施の形態と同様に規定される。
このような第4の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0026】
(第5の実施の形態)
次に第5の実施の形態について図19、図20を参照して説明する。
第5の実施の形態は、図19、図20に示すように、本発明をフェアウェイウッドクラブとアイアンとの中間のユーティリティクラブ用のゴルフヘッドクラブに適用したものである。
第5の実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、ゴルフクラブヘッド10は、中空部25と、中空部25を除いたゴルフクラブヘッド10の箇所を構成する無垢の板材20とを含んで構成されている。中空部25は、フェース面12に沿ってフェース面12の左右方向全長にわたって延在する横部22と、横部22の左右両側に接続され横部22の左右両側から横部22の左右方向の幅よりも小さい幅でそれぞれ後方に延在する縦部24とを備えている。
そして、クラウン面14から横部22を形成する壁面および両側の縦部24を形成する壁面を除いた残りの箇所が下部クラウン面1406となっている。すなわち、横部22の後方箇所である下部クラウン面1406が無垢の板材20の厚さ方向の一方の面で構成され、他方の面でソール面16が構成されている。
第5の実施の形態においても、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合については第1の実施の形態と同様に規定される。
このような第5の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0027】
以下、本発明の実験例について説明するが、まず、ゴルフクラブヘッド10から発生する打球音の評価方法について説明しておく。
ゴルフクラブヘッド10から発生する打球音は、ゴルフクラブヘッド10のフェース面12がゴルフボールを打撃した際に生じる衝撃によってゴルフクラブヘッド10のフェース面12、クラウン面14、ソール面16のそれぞれが振動することによって発生する音によって構成されている。
【0028】
打球音の周波数の計測は例えば以下のような方法で行われる。
予めゴルフクラブヘッド10のホーゼル18を宙吊りあるいは軽く支持しておく。
フェース面12、クラウン面14、ソール面16のそれぞれをハンマで加振(打撃)して振動させ、加振により発生する打撃音を騒音計で測定する。
なお、ハンマで加振するフェース面12、クラウン面14、ソール面16の箇所は、それぞれの幾何学中心とすればよい。また、デザイン性を与えるためにソール面16が複数の領域に区分されているような場合には、最も面積の大きな領域の幾何学中心をハンマで加振すればよい。
騒音計で測定された打撃音をA/Dコンバータを介してパソコンに取り込み、公知の手法、例えばFFT(Fast Fourier Transformation)等を用いて周波数分析を行い、音圧(振動)が最も大きな周波数を1次共振周波数として特定する。
このようにしてフェース面12、クラウン面14、ソール面16のそれぞれの1次共振周波数を測定する。
【0029】
なお、打撃音を騒音計で測定することに代えて、以下の方法を用いても良い。
1)フェース面12、クラウン面14、ソール面16のそれぞれに加速度ピックアップを取り付けておく。加振により発生する振動の加速度信号を加速度ピックアップで測定し、加速度信号の周波数分析を行うことで1次共振周波数を測定する。
2)フェース面12、クラウン面14、ソール面16のそれぞれの振動を、レーザ振動計(レーザドップラ振動計)で測定する。加振により発生する振動の加速度信号をレーザ振動計で測定し、加速度信号の周波数分析を行うことで1次共振周波数を測定する。
【0030】
ところで、加速度信号を測定する場合、図21に示すように、周波数分析の結果、加速度Lが同程度の第1、第2の周波数f1、f2によって2つのピークが得られた場合、第1、第2の周波数f1、f2の中間の周波数を真の1次共振周波数として特定することが1次共振周波数をより正確に評価する上で好ましい。
そこで、本実施の形態では、以下に示す手順によって、第1、第2の周波数f1、f2の加重平均を算出することにより真の1次共振周波数f0を求める。
【0031】
図22は、図21におけるピーク部分の拡大図である。
図22に示すように、例えば、データDnをピーク値として、その前後の複数のデータDn−1、Dn−2、Dn+1、Dn+2は、データDnから離れるにしたがって低下する。
しかしながら、各データは離散的に計測されていることから、図22に示す例では、真のピーク値は図中記号●で示すように、データDnよりもさらに高い値であることが予測される。
したがって、図23の式(1)により第1の周波数f1の真のピーク値L1を求め、式(2)により第2の周波数f2の真のピーク値L2を求める。式(1)、式(2)において、Liは複数のデータを示している。なお、データDn−1、Dn−2、Dn+1、Dn+2と5個のデータを用いる場合を例示したが、データの個数は任意である。
【0032】
真のピーク値L1,L2が求められたならば、図23の式(3)、式(4)により、dB値で示されている加速度のピーク値L1,L2をそれぞれ加速度のリニア値Acc1,Acc2に変換する。
次に、図23の式(5)〜(8)により、加速度のリニア値Acc1,Acc2を変位Disp1,Disp2に変換する。
変位Disp1,Disp2が求められたならば、図23の式(9)により変位Disp1,Disp2を用いて第1、第2の周波数f1、f2の加重平均を求め、この加重平均の値を真の1次共振周波数f0として得る。
【0033】
人間の聴覚の特性上、1次共振周波数が4000Hz以上である打球音はゴルファにとって心地良いものと評価され、1次共振周波数が3000Hz以下の打球音はゴルファにとって心地良いと評価され難い。
また、フェース面12、クラウン面14、ソール面16の3箇所の1次共振周波数の全てが4000Hz以上となると、打球音はゴルファにとって心地良いものと評価されるが、3箇所のうち1箇所でも1次共振周波数が2000Hzあるいは3000Hz以下であると、打球音はゴルファにとって心地良いと評価され難い。特に、面積が広い部分で1次共振周波数が2000Hzあるいは3000Hz以下であると、音圧も大きくなり、ゴルファーは、心地悪く感じる。これは、低い1次共振周波数の打球音の影響が支配的となるためであると考えられる。したがって、3箇所全ての1次共振周波数が4000Hz以上であることが心地良い打球音を得る上で好ましい。
また、打球音の残響時間は、長い方がゴルファにとって心地良いものと評価され、短くなるほどゴルファにとって心地良いと評価され難い。
【0034】
図24は本発明に係るゴルフクラブヘッド10の実験結果を示す図である。
なお、実験条件は次のとおりである。
試料となるゴルフクラブヘッドについて、フェース面12の中央部、クラウン面14の中央部、ソール面16の中央部のそれぞれをハンマで加振して振動させ、加振により発生する打撃音を騒音計で測定し、それぞれの場所における1次共振周波数を前述のような方法によって特定した。
【0035】
また、評価項目は以下のとおりである。
1)実際にゴルフボールをゴルフクラブヘッド10で打撃した場合の球音の高低を指数で評価した。実験例1の指数を100とし指数が大きいほど評価が良いことを示す。
2)実際にゴルフボールをゴルフクラブヘッド10で打撃した場合の打球音の残響時間を指数で評価した。実験例1の指数を100とし指数が大きいほど評価が良いことを示す。
3)実際にゴルフボールをゴルフクラブヘッド10で打撃した場合の飛距離を指数で評価した。実験例1の指数を100とし指数が大きいほど飛距離が長いことを示す。
4)前記設置した状態でのゴルフクラブヘッドの重心位置をフェース面12に垂直に投影させた重心点の基準面Gからの高さを測定した。
【0036】
実験例3は、第1の実施の形態に対応しており、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合の全てが規定を満たしている。
実験例7は、第2の実施の形態に対応しており、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合の全てが規定を満たしている。
実験例8は、第3の実施の形態に対応しており、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合の全てが規定を満たしている。
【0037】
実験例1は、ゴルフクラブヘッドがフェース面に沿って延在する前部中空部と、前部中空部の後部に接続され後部にいたるほど下方に変位する後部中空部とを備えるものである。
そして、後部中空部の上部のクラウン面を形成する上側壁部と後部中空部の下部のソール面を形成する下側壁部との間を接続する複数のリブが形成されているものである。
【0038】
実験例2は、前記の従来技術に対応するゴルフクラブヘッドであり、クラウン部に形成された凹部の底部を形成する壁部と、凹部に対向するソール部の部分を形成する壁部とが近接した状態で対向しあるいは接合されている。
【0039】
実験例4、5、6、9は、第1の実施の形態と同様に、中空部25が、フェース面12に沿ってフェース面12の左右方向全長にわたって延在する横部22と、横部22の左右両側に接続され横部22の左右両側から横部22の左右方向の幅よりも小さい幅でそれぞれ後方に延在する縦部24とを備えている。
実験例4は、中空部厚さC、関係式A<Bが規定を満たしているが、ヘッド長さA、ヘッド幅B、無垢の板材20の投影面積の割合が規定を満たしていない。
具体的には、ヘッド長さAおよびヘッド幅Bが規定の範囲を上回っており、無垢の板材20の投影面積の割合が規定の範囲を上回っている。
【0040】
実験例5は、中空部厚さC、関係式A<Bが規定を満たしているが、ヘッド長さAおよびヘッド幅B、無垢の板材20の投影面積の割合が規定を満たしていない。
具体的には、ヘッド長さAおよびヘッド幅Bが規定の範囲を下回っており、無垢の板材20の投影面積の割合が規定の範囲を下回っている。
【0041】
実験例6は、ヘッド長さA、ヘッド幅B、関係式A<Bが規定を満たしているが、中空部厚さC、無垢の板材20の投影面積の割合が規定を満たしていない。
具体的には、中空部厚さCが規定の範囲を下回っており、無垢の板材20の投影面積の割合が規定の範囲を上回っている。
【0042】
実験例9は、中空部厚さC、関係式A<Bを満たしているが、ヘッド長さAおよびヘッド幅B、無垢の板材20の投影面積の割合が規定を満たしていない。
具体的には、ヘッド長さAおよびヘッド幅Bが規定の範囲を上回っており、無垢の板材20の投影面積の割合が規定の範囲を上回っている。また、ゴルフクラブヘッド10の全投影面積が100cm2を上回っている。
【0043】
図24からわかるように、実験例3、7、8と、実験例1、2、4、5、6、9と比較すると、ヘッド長さA、ヘッド幅B、中空部厚さC、関係式A<B、無垢の板材20の投影面積の割合の全てが規定を満たしていると、打球音の高さ、打球音の残響時間の長さ、飛距離の点で有利となっていることがわかる。
具体的には、以下の点で有利となっている。
1)各1次共振周波数が4500Hz〜6300Hzであり4000Hzを上回っている。
2)打球音の高さの評価が実験例1、2、4、5、6、9の評価以上である。
3)打球音の残響時間が実験例1、2、4、5、6、9の評価を上回っている。
4)フェース面12上における重心点の基準面Gからの高さが20mm〜20.2mmとなり、低重心化が図られている。
5)飛距離が実験例1、2、4、5、6、9よりも長い。
【0044】
実験例1は、実験例3と同程度の打球音の高さであるが、実験例3、7、8に比較して残響時間が短く、飛距離も短いものとなっている。
残響時間が短い理由は、ゴルフクラブヘッドの形状によるものであり、飛距離が短い理由は、重心点の高さが23.5mmと高いためである。
【0045】
実験例2は、実験例3、7、8に比較して飛距離はそれほど悪くないが、打球音の高さ、残響時間が実験例3、7、8に比較して短いものとなっている。
打球音の高さ、残響時間が実験例3、7、8に比較して短い理由は、2枚の壁部が対向あるいは接合しているため、振動が打ち消されることによる。
【0046】
実験例4は、実験例3、7、8に比較して打球音の高さが低く、飛距離も短いものとなっている。
打球音が低い理由は、無垢の板材20の面積が大きすぎることによって、1次共振周波数が2800Hz,3000Hzと低いためである。
飛距離が短い理由は、ゴルフクラブヘッド10の全投影面積が大きいため、重心深度が深くなりフェース面12上の重心点の位置が22.5mmと高くなるためである。
【0047】
実験例5は、実験例3、7、8に比較して打球音は高いものの、残響時間が短く、飛距離も短いものとなっている。
残響時間が短い理由は、無垢の板材20の面積が小さすぎることにより、振動が短時間で収束してしまうためである。
飛距離が短い理由は、ゴルフクラブヘッド10の全投影面積が小さいため、重心深度が浅くなりすぎるためである。
【0048】
実験例6は、実験例3、7、8に比較して、残響時間はそれほど短くないが、打球音が低く、飛距離も短いものとなっている。
打球音が低いが残響時間が長い理由は、無垢の板材20の面積が大きすぎることにより、低い音での振動が続くためである。
飛距離が短い理由は、無垢の板材20の面積が大きすぎることにより、剛性が低下するためである。
【0049】
実験例9は、実験例3、7、8に比較して、残響時間はそれほど短くないが、打球音が低く、飛距離も短いものとなっている。
打球音が低いが残響時間が長い理由は、ゴルフクラブヘッド10の全投影面積と無垢の板材20の面積との双方が大きすぎることにより、低い音での振動が続くためである。
飛距離が短い理由は、ゴルフクラブヘッド10の全投影面積が大きすぎることにより、重心深度が深くなりフェース面12上の重心点の位置が23mmと高くなるためである。
【符号の説明】
【0050】
10……ゴルフクラブヘッド、12……フェース面、14……クラウン面、1402……前部クラウン面と、1404……対向クラウン面、1404A……上部対向クラウン面、1404B……下部対向クラウン面、1406……下部クラウン面、16……ソール面、20……無垢の板材、22……第1中空部、24……第2中空部、25……中空部、A……ヘッド長さ、B……ヘッド幅、C……中空部厚さ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の高さを有して左右に延在するフェース面と、前記フェース面の上部から後方に延在するクラウン面と、前記フェース面の下部と前記クラウン面の下部とを接続するソール面とを備えるゴルフクラブヘッドであって、
中空部と、前記中空部を除いた前記ゴルフクラブヘッドの箇所を構成する無垢の板材とを含み、
前記中空部は、前記フェース面に沿って前記フェース面の左右方向全長にわたって延在する横部を含んで構成され、
前記無垢の板材が配置された箇所において前記無垢の板材の厚さ方向の一方の面により前記クラウン面が構成されると共に前記無垢の板材の他方の面により前記ソール面が構成され、
前記ゴルフクラブヘッドを基準面に対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した状態で平面視したとき前記フェース面の中心点から前記ゴルフクラブヘッドの最も後方に位置する箇所までの前後方向の距離を前記基準面に投影した寸法をヘッド長さAとし、
前記設置した状態で前記ゴルフクラブヘッドを前記フェース面の前方から見たとき前記基準面に対して22.23mm上方に位置するヒール側の箇所から最もトウ側に位置する端部までの距離を前記基準面に投影した寸法をヘッド幅Bとし、
前記設置した状態で平面視したとき前記フェース面の中心点を通り前後方向に延在する中心線上において前記中心点から前記中空部の最も後方に位置する箇所までの距離を前記基準面に投影した寸法を中空部厚さCとした場合、
ヘッド長さAは60mm以上110mm以下、ヘッド幅Bは95mm以上120mm以下、A<Bであり、
中空部厚さCは15mm以上ヘッド長さA以下であり、
前記設置した状態で、前記ゴルフクラブの全投影面積に占める前記無垢の板材の投影面積の割合が30%以上50%以下である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記クラウン面は、前記フェース面の上部から後方に延在し前記横部の上側を仕切る前部クラウン面と、前記前部クラウン面の後部に接続され前記横部の後側を仕切る対向クラウン面と、前記横部の後方で前記ソール面寄りに位置して前後左右方向に延在する下部クラウン面を有し、
前記無垢の板材の厚さ方向の一方の面により前記下部クラウン面が構成されると共に前記無垢の板材の他方の面により前記下部クラウン面に対応する前記ソール面の箇所が構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記中空部は、前記横部に接続し前記横部の左右方向の幅よりも小さい幅で前記横部から後方に延在する縦部を含んで構成され、
前部クラウン面と、前記対向クラウン面と、前記縦部を形成する壁面を除いた前記クラウン面の箇所が前記下部クラウン面となっている、
ことを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記縦部は、前記横部の左右両側からそれぞれ後方に延在している、
ことを特徴とする請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記縦部は、前記横部の左右方向の中央から後方に延在している、
ことを特徴とする請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記縦部は、前記横部の左右方向の中央から後方に延在し、その後部が左右に分かれている、
ことを特徴とする請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記対向クラウン面は、前記前部クラウン面の後部から前記ソール面側に向かって延在する上部対向クラウン面と、前記上部対向クラウン面の下部から後方に偏位しつつ前記ソール面側に向かって延在する下部対向クラウン面とを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項2乃至4に何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記下部対向クラウン面は、後方に凸状の湾曲面で形成されている、
ことを特徴とする請求項7記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記設置した状態でロフト角が11度以上25度以下であり、かつ、前記ゴルフクラブヘッドの重心位置を前記フェース面に垂直に投影させた重心点の前記基準面からの高さが21mm以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至8に何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記設置した状態で前記ゴルフクラブの全投影面積が100cm2以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至9に何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記ゴルフクラブヘッドは、フェアウェイウッドクラブ用あるいはユーティリティクラブ用のゴルフヘッドクラブである、
ことを特徴とする請求項1乃至10に何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項1】
上下の高さを有して左右に延在するフェース面と、前記フェース面の上部から後方に延在するクラウン面と、前記フェース面の下部と前記クラウン面の下部とを接続するソール面とを備えるゴルフクラブヘッドであって、
中空部と、前記中空部を除いた前記ゴルフクラブヘッドの箇所を構成する無垢の板材とを含み、
前記中空部は、前記フェース面に沿って前記フェース面の左右方向全長にわたって延在する横部を含んで構成され、
前記無垢の板材が配置された箇所において前記無垢の板材の厚さ方向の一方の面により前記クラウン面が構成されると共に前記無垢の板材の他方の面により前記ソール面が構成され、
前記ゴルフクラブヘッドを基準面に対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した状態で平面視したとき前記フェース面の中心点から前記ゴルフクラブヘッドの最も後方に位置する箇所までの前後方向の距離を前記基準面に投影した寸法をヘッド長さAとし、
前記設置した状態で前記ゴルフクラブヘッドを前記フェース面の前方から見たとき前記基準面に対して22.23mm上方に位置するヒール側の箇所から最もトウ側に位置する端部までの距離を前記基準面に投影した寸法をヘッド幅Bとし、
前記設置した状態で平面視したとき前記フェース面の中心点を通り前後方向に延在する中心線上において前記中心点から前記中空部の最も後方に位置する箇所までの距離を前記基準面に投影した寸法を中空部厚さCとした場合、
ヘッド長さAは60mm以上110mm以下、ヘッド幅Bは95mm以上120mm以下、A<Bであり、
中空部厚さCは15mm以上ヘッド長さA以下であり、
前記設置した状態で、前記ゴルフクラブの全投影面積に占める前記無垢の板材の投影面積の割合が30%以上50%以下である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記クラウン面は、前記フェース面の上部から後方に延在し前記横部の上側を仕切る前部クラウン面と、前記前部クラウン面の後部に接続され前記横部の後側を仕切る対向クラウン面と、前記横部の後方で前記ソール面寄りに位置して前後左右方向に延在する下部クラウン面を有し、
前記無垢の板材の厚さ方向の一方の面により前記下部クラウン面が構成されると共に前記無垢の板材の他方の面により前記下部クラウン面に対応する前記ソール面の箇所が構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記中空部は、前記横部に接続し前記横部の左右方向の幅よりも小さい幅で前記横部から後方に延在する縦部を含んで構成され、
前部クラウン面と、前記対向クラウン面と、前記縦部を形成する壁面を除いた前記クラウン面の箇所が前記下部クラウン面となっている、
ことを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記縦部は、前記横部の左右両側からそれぞれ後方に延在している、
ことを特徴とする請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記縦部は、前記横部の左右方向の中央から後方に延在している、
ことを特徴とする請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記縦部は、前記横部の左右方向の中央から後方に延在し、その後部が左右に分かれている、
ことを特徴とする請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記対向クラウン面は、前記前部クラウン面の後部から前記ソール面側に向かって延在する上部対向クラウン面と、前記上部対向クラウン面の下部から後方に偏位しつつ前記ソール面側に向かって延在する下部対向クラウン面とを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項2乃至4に何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記下部対向クラウン面は、後方に凸状の湾曲面で形成されている、
ことを特徴とする請求項7記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記設置した状態でロフト角が11度以上25度以下であり、かつ、前記ゴルフクラブヘッドの重心位置を前記フェース面に垂直に投影させた重心点の前記基準面からの高さが21mm以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至8に何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記設置した状態で前記ゴルフクラブの全投影面積が100cm2以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至9に何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記ゴルフクラブヘッドは、フェアウェイウッドクラブ用あるいはユーティリティクラブ用のゴルフヘッドクラブである、
ことを特徴とする請求項1乃至10に何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−10926(P2012−10926A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149865(P2010−149865)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【特許番号】特許第4683353号(P4683353)
【特許公報発行日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【特許番号】特許第4683353号(P4683353)
【特許公報発行日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
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