サイクロン分離装置
【課題】圧縮部材を適時に回転駆動することで,圧縮部材の回転駆動に伴う電力消費量を抑制することができるサイクロン集塵装置を提供すること。
【解決手段】空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,フィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集するサイクロン分離装置であって,前記捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材と,前記補集容器内における補集対象物を検知する第1の検知手段を備えたサイクロン集塵装置,及び前記捕集容器に流入する空気の前記捕集容器内部空間より上流側流路における補集対象物の通過を検知する第2の検知手段とを備えてなるサイクロン分離装置。
【解決手段】空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,フィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集するサイクロン分離装置であって,前記捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材と,前記補集容器内における補集対象物を検知する第1の検知手段を備えたサイクロン集塵装置,及び前記捕集容器に流入する空気の前記捕集容器内部空間より上流側流路における補集対象物の通過を検知する第2の検知手段とを備えてなるサイクロン分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,捕集対象物を遠心分離するサイクロン分離装置に係り,特に,捕集された比較的大きい捕集対象物の捕集量を増加させることの出来るサイクロン分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,略円筒状の捕集容器の中心部に設けられた排気部から前記捕集容器内の空気を排気することにより,前記捕集容器の円周部に設けられた空気吸い込み部から吸い込まれた空気を前記捕集容器の内周面に沿って旋回させた後,フィルタ手段を経て前記排気部から排気し,前記空気に含まれる比較的大きい塵埃を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい塵埃を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置の一例としてのサイクロン集塵装置が,特許文献1として知られている。
このサイクロン集塵装置は,比較的大きい塵埃を旋回させることで遠心力によって捕集し,空気流に乗って飛翔する比較的小さい塵埃については,空気流中においたフィルタ手段によって捕集するものであるため,騒音が少なく,集塵効率についても改善されたものである。
【0003】
上記のようなサイクロン集塵装置を一般家庭で使用すると,布団や衣類から生じる綿ホコリが集塵ごみ容積の大半を占める。この綿ホコリを構成する繊維等は,それ自体が弾性を持つため,塵埃の密度は小さく,頻繁に集塵部から取り除く(捨てる)必要がある。また,このような塵埃は,軽くて容易に飛散するため,外部のごみ箱等に廃棄する際,塵埃が舞い散って再飛散することで使用者が不快に感じるという問題がある。
【0004】
しかしながら,上記特許文献1に記載のサイクロン集塵装置は,あくまで空気の流れに頼って塵埃を捕集するものであるため,捕集された前記繊維などの低密度の埃を一定以上に圧縮することが出来ず,限られた塵埃の捕集空間における塵埃の集積度をそれほど向上させることが出来るものではない。従って,捕集された塵埃を頻繁に捨てないと捕集効率が低下するので,ゴミを捨てる手間がかかる点,あるいは,塵埃を捨てる時に,塵埃が硬く圧縮されておらず,空気中で分散されやすいので,ごみ箱等に廃棄する際,塵埃が舞い散って再飛散することによる不快感を解消することが出来ないという問題を解決することが出来ない。
【0005】
このような課題を解決するためには,捕集された塵埃を出来るだけ固く圧縮する必要がある。このような,塵埃の圧縮手段を備えたサイクロン分離装置が本出願人によって出願された(特願2008−072942)。このサイクロン分離装置は,内周面が略円筒状の捕集容器を備え,該捕集容器の円周部にその周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記フィルタ手段において捕集するものであり,さらに前記捕集容器内に,該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材を備えたものである。
【0006】
このサイクロン分離装置では,上記圧縮部材が上記垂直中心軸を中心に回転することによって,上記螺旋状曲面の下面で捕集された塵埃などの捕集対象物が硬く圧縮され,ゴミを捨てる手間が省力され,あるいは,塵埃を捨てる時に,塵埃が空気中で分散され,ごみ箱等に廃棄する際,塵埃が舞い散って再飛散することによる不快感を解消することが出来るといった,多くの長所が発揮される。
【特許文献1】特開2006−75584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように上記出願(特願2008−072942)の明細書に開示されたサイクロン分離装置は優れた機能を発揮するが,上記圧縮部材の回転にはそれなりの消費電力が必要であるので,その機能をさらに向上させるには,掃除工程中の適切な時間帯に圧縮部材を回転させて,不要な時間帯には回転させないような制御を行うことで無駄な電力消費を抑制することが望ましい。
【0008】
従って,本発明は上記事情に鑑み創案されたものであり,前記圧縮部材を適時に回転駆動することで,圧縮部材の回転駆動に伴う電力消費量を抑制することができるサイクロン分離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために,本出願にかかる第1の発明は,
内周面が略円筒状の捕集容器を備え,該捕集容器の円周部にその周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置であって,
前記捕集容器内に設けられ,該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材と,
前記補集容器内における補集対象物を検知する第1の検知手段とを備えてなるサイクロン分離装置として構成されている。
第2の発明は,内周面が略円筒状の捕集容器を備え,該捕集容器の円周部にその周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置であって,
前記捕集容器内に設けられ,該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材と,
前記捕集容器に流入する空気の前記捕集容器内部空間より上流側流路における補集対象物の通過を検知する第2の検知手段とを備えてなるサイクロン分離装置として構成されている。
第1の発明では,前記第1の検知手段によって,捕集容器内における捕集対象物の捕集量などが検出されるので,捕集量が適当な量となった時に圧縮部材を回転させて捕集対象物を圧縮処理することができる。
また第2の発明では,第2の検知手段により前記捕集容器内部空間に空気流に乗って流入する補集対象物の通過が検知されるので,上記通過量を積分すると言った処理を行うことで,捕集容器内に堆積する捕集対象物の量などが検出されるので,捕集量が適当な量となった時に圧縮部材を回転させて捕集対象物を圧縮処理することができる。
前記圧縮部材は,モータなどの圧縮部材駆動手段によって自動的に回転駆動されることが望ましい。このような駆動手段を設けることで,圧縮部材の回転制御を自動化し省力化することができる
そして,前記圧縮部材の回転量を検知する回転量検知手段をさらに備えることで,圧縮部材による圧縮の程度を自動的に管理することができる。
さらに,前記圧縮部材のトルク反力を検知するトルク反力検知手段をさらに備えることで,異物のひっかかり等や,捕集対象物の過多による圧縮部材の回転抵抗を自動的に測定することができ,前記圧縮部材駆動手段を構成するモータなどの過負荷を未然に防止することができる。
前記圧縮部材駆動手段は,前記フィルタ手段の清掃機構を駆動するための手段と兼用させることができる。これによって装置の簡素化によるコストダウンや装置の小型化が可能となる。
掃除などの捕集工程を開始するときに,以前に捕集した捕集対象物が捕集容器内にたまっていることが往々にしてありうる。上記のような以前の捕集物が圧縮されないままに捕集容器内に蓄積されていると,後の捕集時に抵抗となって捕集量増加をさせることの妨げとなりうる。そこで,前記補集対象物の補集工程の開始前に前記圧縮部材駆動手段を駆動して,捕集容器内の空気抵抗を少なくすることが望ましい。
上記のような補集工程の開始前に圧縮部材駆動手段を駆動するに際しては,補集工程の開始前に前記第1及び/若しくは第2の検知手段によって捕集対象物の捕集状態を検知し,その検知された状態に応じて圧縮部材駆動手段を駆動するようにしてもよい。
また,前記圧縮部材が回転駆動された後に,前記第1及び/若しくは第2の検知手段によって捕集対象物の捕集状態を検知すること,つまり,圧縮部材によって捕集対象物を圧縮しつつ,前記第1及び/若しくは第2の検知手段によって捕集対象物の捕集状態を検知して,その検知された状態に応じて,圧縮部材の回転駆動を継続或いは停止することで,圧縮部材の回転による過負荷を防止することが望ましい。
同様に,圧縮部材駆動手段が,前記回転量検知手段による検知結果に応じて前記圧縮部材を回転駆動してもよい。
例えば圧縮部材が過負荷になった場合,圧縮部材の回転数が低下すると思われる。従って,前記圧縮部材駆動手段が,前記回転量検知手段によって検知された回転量が予め定められた回転量より少ない場合に,過負荷と判断して前記圧縮部材の回転駆動を停止するようにすることが望ましい。
同様に圧縮部材が過負荷になった場合,圧縮部材の回転におけるトルク反力が増加すると思われる。従って,前記圧縮部材駆動手段が,前記トルク反力検知手段による検知結果に応じて前記圧縮部材の回転駆動を行うことが望ましい。
具体的には,前記圧縮部材駆動手段が,前記トルク反力検知手段によって検知されたトルク反力が予定より大きい場合,前記圧縮部材の回転駆動を停止することで,圧縮部材の過負荷を未然に防止することができる。
捕集対象物のひっかかり係り等によって回転抵抗が増加した場合の解消策として,圧縮部材の回転方向を逆にすることが,効果的である。従って,前記圧縮部材駆動手段が,前記回転量検知手段及び/若しくはトルク反力検知手段の検知結果に応じて,前記圧縮部材の回転方向を逆転するような制御を取り入れることが望ましい。
【0010】
前記捕集対象物が,塵埃である場合には,本発明に係るサイクロン分離装置は,サイクロン集塵装置として適用される。
【発明の効果】
【0011】
本出願の第1及び第2の発明は上記のように,内周面が略円筒状の捕集容器を備え,該捕集容器の円周部にその周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置であって,前記捕集容器内に設けられ,該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材を備えてなるサイクロン分離装置として構成されている。
【0012】
従って,前記圧縮部の回転によって,捕集された比較的大きい捕集対象物を,その回転によって圧縮することができる。
その結果,塵埃などの捕集対象物に対する圧縮力を維持することが出来,同時に該螺旋状曲面の上面側は集塵容器の空間として確保される。従って,大量の捕集対象物を捕集容器に蓄積してもサイクロン分離装置部分の性能が維持されるため吸い込み力が低下せず,長時間にわたって高い捕集効率を維持できる。
また上記第1及び第2の発明によれば,上記のように捕集対象物について固く圧縮された状態を保持することで,圧縮力を解除し時にも,再度空中に飛散するような問題を生じず,またそのままの形で後処理に回したり,捨てたりすることが出来る。
さらに上記第1の発明では,前記補集容器内における補集対象物を検知する第1の検知手段或いは,前記捕集容器に流入する空気の前記捕集容器内部空間より上流側流路における補集対象物の通過を検知する第2の検知手段を備えているので,前記第1の検知手段によって,捕集容器内における捕集対象物の捕集量などが検出され,捕集量が適当な量となった時に圧縮部材を回転させて捕集対象物を圧縮処理することができる。
また第2の発明では,第2の検知手段により前記捕集容器内部空間に空気流に乗って流入する補集対象物の通過が検知されるので,上記通過量を積分すると言った処理を行うことで,捕集容器内に堆積する捕集対象物の量などが検出されるので,捕集量が適当な量となった時に圧縮部材を回転させて捕集対象物を圧縮処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は,本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xの外観図,図2及び図3は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を説明するための断面図,図4は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yに設けられた螺旋状回転圧縮部を説明するための図((a)は,下方から見た斜視図,(b)は,上方から見た斜視図),図5は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yに設けられた上部フィルタユニット13を説明するための図,図6は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を螺旋状回転圧縮部を中心として説明するための断面図,図7は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を説明するための一部断面図を含む分解斜視図,図8は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの螺旋状回転圧縮部への回転力伝達経路を説明するための断面図,図9は,螺旋状回転圧縮部の回転によって,塵埃が圧縮・積層される状況を説明するサイクロン集塵装置Yの断面図,図10は,螺旋状回転圧縮部への塵埃の貯まり具合を説明するサイクロン集塵装置Yの断面図,図11は,直円筒状の集塵容器が用いられた場合のサイクロン集塵装置Yの断面図,図12は,螺旋部の設定位置を説明するためのサイクロン集塵装置Yの断面図,図13は,螺旋部の設定位置を説明するためのサイクロン集塵装置Yの斜視図,図14は,集塵容器に形成されるリブを説明するためのサイクロン集塵装置Yの側断面図,図15は,集塵容器に形成されるリブを説明するためのサイクロン集塵装置Yの水平断面図である。
【0014】
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xの概略構成について説明する。
図1に示すように,前記電気掃除機Xは,掃除機本体部1,吸気口部2,接続管3,接続ホース4,操作ハンドル5などを備えて概略構成されている。前記掃除機本体部1には,不図示の電動送風機,サイクロン集塵装置Y,制御装置Zなどが内蔵されている。なお,前記サイクロン集塵装置Yについては後段で詳述する。
前記電動送風機は,吸気を行うための送風ファン及び該送風ファンを回転駆動する送風駆動モータを有している。前記制御装置Zは,CPUやRAM,ROMなどの制御機器を有してなり,前記電気掃除機Xを統括的に制御する。具体的には,前記制御装置Zでは,前記CPUが前記ROMに記憶された制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
なお,前記操作ハンドル5には,ユーザが前記電気掃除機Xの稼働の有無や運転モードの選択操作などを行うための操作スイッチ(不図示)が設けられている。また,その操作スイッチの近傍には,前記電気掃除機Xの現在の状態を表示するLEDなどの表示部(不図示)も設けられている。
【0015】
前記掃除機本体部1は,該掃除機本体部1の前端に接続された前記接続ホース4と,該接続ホース4に接続された前記接続管3とを介して前記吸気口部2に接続されている。
従って,前記電気掃除機Xでは,前記掃除機本体部1に内蔵された前記電動送風機(不図示)が作動されることにより,前記吸気口部2からの吸気が行われる。そして,前記吸気口部2から吸気された空気は,前記接続管3及び前記接続ホース4を通じて前記サイクロン集塵装置Yに流入する。前記サイクロン集塵装置Yでは,吸い込まれた空気から塵埃が遠心分離される。なお,前記サイクロン集塵装置Yで塵埃が分離された後の空気は,前記掃除機本体部1の後端に設けられた不図示の排気口から排気される。
【0016】
以下,図2〜6を参照しつつ,本発明に係るサイクロン集塵装置の一例であるサイクロン集塵装置Yについて詳説する。
図2及び図3に示すように,前記サイクロン集塵装置Yは,筐体10,内周面が略円筒状で,上記筐体10に対して着脱自在の集塵容器11(捕集容器の一例),内筒12,上部フィルタユニット13,塵埃受部14及び除塵駆動機構15などを備えて概略構成されている。
前記サイクロン集塵装置Yでは,前記集塵容器11,前記内筒12,前記上部フィルタユニット13,及び前記塵埃受部14が,垂直の中心軸Pを中心に同軸状に配置されている。また,前記サイクロン集塵装置Yは,前記掃除機本体部1に着脱可能に構成されている。
上記筐体10は,フィルタ122を備えた内筒12を備えている。
このサイクロン集塵装置Yでは,略円筒状の集塵容器11の中心部に設けられた前記内筒12から前記集塵容器11内の空気を排気することにより,前記集塵容器11の円周部に設けられた空気流入口111a(図7参照)から吸い込まれた空気を集塵容器11の内周面に沿って旋回させた後,フィルタ手段の一例である前記上部フィルタユニット13などを経て前記内筒12を経て排気し,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記集塵容器11の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記上部フィルタユニット13などにおいて捕集するものである。
【0017】
前記集塵容器11は,吸い込まれた空気から分離された塵埃を収容するための内周面が円筒状で,且つ外形も円筒状の容器である。前記集塵容器11は,前記サイクロン集塵装置Yの筐体10に着脱可能に構成されている。ユーザは,前記掃除機本体部1から前記サイクロン集塵装置Yを取り出した後,該サイクロン集塵装置Yから前記集塵容器11を取り外して,該集塵容器11内の塵埃を廃棄する。なお,前記サイクロン集塵装置Yの筐体10と前記集塵容器11との間には,環状のシール部材161が設けられている。このシール部材161により,前記筐体10及び前記集塵容器11の間の空気の漏れが防止される。
また,前記集塵容器11の底部には,前記内筒12に設けられた後述の回転軸部123bに嵌合する嵌合部11aが設けられている。前記嵌合部11aの外周部には,前記内筒12の回転軸部123bとの隙間を埋めるための環状のシール部材11bが設けられている。このシール部材11bにより,前記回転軸部123b及び前記集塵容器11の間の空気の漏れが防止される。
【0018】
さらに,前記集塵容器11には,前記接続ホース4(図1参照)が接続される接続部111が設けられている。前記吸気口部2から前記接続管3及び前記接続ホース4を通じて吸い込まれた空気は,前記接続部111から前記集塵容器11内に流入する。
ここで,前記接続部111の前記集塵容器11への空気流入口(不図示)は,前記接続ホース4からの空気が前記集塵容器11内で旋回するように形成されている。具体的に,前記空気流入口(不図示)は,前記集塵容器11側の出口が該集塵容器11の円周方向に向くように形成されている。従って,前記集塵容器11では,吸い込まれた空気を旋回させることで該空気に含まれた塵埃が遠心力によって分離(遠心分離)される。そして,前記集塵容器11で遠心分離された塵埃は,該集塵容器11の底部に収容される(図2,3の塵埃D1)。
一方,塵埃が分離された後の空気は,前記集塵容器11から矢印(図2)で示す排気経路112に沿って前記掃除機本体部1に設けられた不図示の排気口から外部に排気される。ここで,前記集塵容器11から前記排気口(不図示)までの前記排気経路112上には,前記内筒12,前記塵埃受部14,及び前記上部フィルタユニット13が順に配置されている。
【0019】
前記内筒12は,前記集塵容器11内に配置された円筒状の部材である。ここで,前記内筒12は,前記塵埃受部14によって回転可能に支持されている。具体的に,前記内筒12は,該内筒12の上端に設けられた環状の凹部12aが,前記塵埃受部14の下端に設けられた環状の支持部14cに支持されることにより回転可能な状態で吊り下げられている。なお,前記内筒12を回転可能に支持する構成は,これに限られるものではない。例えば,前記内筒12の上下の端部を軸支することが一例として考えられる。
さらに,前記内筒12の上端には,後述の傾斜除塵部材134に設けられた係合部134cに係合する複数の連結部12bが設けられている。前記連結部12bは,前記内筒12の上端の開口縁部に上方に突出して設けられたリブである。
前記内筒12は,前記連結部12b及び前記係合部134cの係合によって,前記傾斜除塵部材134に一体回転可能に連結されている。これにより,前記内筒12は,前記傾斜除塵部材134に連動して回転することになる。なお,前記内筒12及び前記傾斜除塵部材134の連結構造はこれに限られない。例えば,前記内筒12及び前記傾斜除塵部材134各々に設けられた嵌合部を嵌合させることにより一体回転可能に連結する構成が考えられる。
【0020】
また,前記内筒12の上部には,前記集塵容器11で塵埃が分離された後の空気を,前記上部フィルタユニット13に向けて排気するための内筒排気口121が形成されている。そして,前記内筒排気口121には,該内筒排気口121全体を覆う円筒状を成す内筒フィルタ122が設けられている。前記内筒フィルタ122は,前記内筒排気口121を通過する空気を濾過する。
例えば,前記内筒フィルタ122は,メッシュ状のエアフィルタ等である。なお,前記内筒フィルタ122は,前記内筒排気口121の内側又は外側のいずれに設けられていてもよい。また,前記排気口121及び前記内筒フィルタ122に換えて,前記内筒12にメッシュ状の孔を形成する構成も考えられる。その場合は,そのメッシュ状の孔が前記内筒排気口121及び前記内筒フィルタ122として機能する。
【0021】
一方,前記内筒12の下部には,前記集塵容器11内の塵埃を圧縮するための螺旋状回転圧縮部123が設けられている。
ここで,図2及び図3に加えて螺旋状回転圧縮部123の斜視図である図4を参照しつつ,前記螺旋状回転圧縮部123について説明する。
図2〜4に示されているように,前記螺旋状回転圧縮部123には,螺旋部123a,回転軸部123b,円盤状遮蔽部材123cが設けられている。
前記回転軸部123bは,前記集塵容器11の底部に設けられた前記嵌合部11aに嵌合される中空円筒である。前述したように,前記回転軸部123b及び前記嵌合部11aの間には前記シール部材11b(図2,3参照)が介在する。
【0022】
円盤状遮蔽部材123cは,前記集塵容器11内において,後述する旋回流の遠心分離力により塵埃を分離する上側空間の部分(分離部104)と,塵埃を蓄積する下側空間の部分(集塵部105)との仕切りの役割を果たす。これにより,捕集した塵埃が巻き上がり,内筒フィルタ122を詰まらせる事を防ぐ。また,円盤状であるため,サイクロン気流中に含まれる塵埃が引っかかることが無く,塵埃を効率的に集塵容器11の底部へ誘導することができる。
【0023】
また,前記回転軸部123bには,該回転軸部123bを中心にして,前記集塵室105の底面に向かって螺旋状に延び,その上下面が,前記垂直中心軸Pを中心とする螺旋状曲面を備えて湾曲した板状の螺旋部123a(圧縮部材の一例)が設けられている。前記螺旋部123aは,後述するように前記内筒12が回転されるとき,前記集塵容器11内に蓄積された塵埃を集塵容器11の底部向かって移動させる。この時,前記圧縮部材の前記螺旋状曲面が,該螺旋状曲面を螺子と想定したときに,該圧縮部材の回転により螺子が後退するように形成されていることにより,この螺旋状曲面でゴミを圧縮することができる。
この時,前記螺旋部123aの前記螺旋状曲面は図6矢印Aの旋回気流と同様の傾斜方向をもって形成されていることが好ましい。このような螺旋部123aを図6矢印Aの旋回と反対方向に回転させることで前記集塵容器11内の塵埃は,該集塵容器11内面との摩擦によって,該集塵容器11底部へ移動することになる。
ただし,前記螺旋部123aの前記螺旋状曲面を,前記集塵容器11の内周面に沿って旋回する気流の傾き方向とは反対の方向に傾斜させることも可能である。この時,螺旋部123aの回転方向は,図6矢印Aの旋回気流の旋回方向と同一,即ち,螺旋部123aを螺子と想定したとき,螺旋部123aの回転により螺子が後退する方向になる。
さらに,前記内筒12が回転されるとき,前記集塵容器11の底部まで移動した塵埃に対して前記螺旋部123aは,前記集塵容器11の底部との摩擦によって,上記底面との間で塵埃を回転により回転軸中心から外側に向かって押し出し圧縮することになる。このような構成によれば,塵埃が回転によって固く圧縮されるので,前記集塵容器11の塵埃の蓄積可能量を増加させることができる。従って,例えば前記集塵容器11の小型化を実現することが可能である。また,固く圧縮された塵埃は,容易に解けないので,取り出し時にも空気中に飛散する問題がなく,そのままの形でゴミとして廃棄することが出来る。
【0024】
一方,前記内筒12の内筒フィルタ122で濾過された後の空気は,該内筒12内を通じて前記上部フィルタユニット13に導かれる。
ここで,図2及び図3に加えて図5を参照しつつ,前記上部フィルタユニット13について説明する。ここに,図5(a)は,前記上部フィルタユニット13を上方から見た斜視図,図5(b)は,前記上部フィルタユニット13を下方から見た斜視図である。
前記上部フィルタユニット13は,HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)131,フィルタ除塵部材132及び傾斜除塵部材134などを有している。
【0025】
前記HEPAフィルタ131は,前記内筒12から排気されて前記排気経路112上を流れる空気をさらに濾過するエアフィルタの一種である。
前記HEPAフィルタ131は,前記垂直中心軸Pの周りに環状に配置固定された複数枚のフィルタの集合で構成されている。なお,複数枚のフィルタ各々は,例えば図5(b)に示すような骨組みに固定される。また,前記HEPAフィルタ131に含まれた複数枚のフィルタは,略水平方向に凹凸を繰り返すプリーツ状に配置されている。これにより,前記HEPAフィルタ131におけるフィルタ面積が十分に確保されている。なお,前記HEPAフィルタ131の下端と前記筐体10との間には,環状のシール部材162が設けられている。これにより,前記HEPAフィルタ131と前記筐体10との間の空気の漏れが防止される。
また,図2及び図3に示すように,前記HEPAフィルタ131の中央には,後述のフィルタ除塵部材132に設けられた連結部133が嵌挿される中空部131aが形成されている。また,前記中空部131aには,前記連結部133を回転可能に支持する支持部131bが設けられている。
【0026】
前述したように,前記サイクロン集塵装置Yでは,前記内筒フィルタ122及び前記HEPAフィルタ131の二段階で空気を濾過することにより塵埃の捕集力が高められている。
但し,前記HEPAフィルタ131に塵埃が堆積して目詰まりが生じると,空気の通過抵抗が大きくなる。そのため,前記電動送風機(不図示)の負荷が大きくなり吸塵力が低下するおそれがある。そこで,前記上部フィルタユニット13には,前記HEPAフィルタ131に付着した塵埃を除去する前記フィルタ除塵部材132が設けられている。
【0027】
前記フィルタ除塵部材132は,前記HEPAフィルタ131の中央部に設けられた前記支持部131bによって回転可能に支持されている。具体的に,前記フィルタ除塵部材132には,前記支持部131bに回転可能に支持される連結部材133が設けられている。
また,前記連結部133には,該連結部133に設けられたネジ穴133aに前記傾斜除塵部材134がネジ133bで螺着される。これにより,前記フィルタ除塵部材132及び前記傾斜除塵部材134が一体回転可能に連結される。なお,前記傾斜除塵部材134及び前記HEPAフィルタ131の間には,隙間を埋める環状のシール部材163が設けられている。これにより,前記傾斜除塵部材134及び前記HEPAフィルタ131の間の空気の漏れが防止される。
【0028】
前記フィルタ除塵部材132は,図2及び図5(a)に示すように,前記HEPAフィルタ131の上端部に接触するように該HEPAフィルタ131に沿って所定間隔で配置された二つの接触部132aを有している。前記接触部132aは板バネ状の弾性部材である。なお,前記接触部132aは,板バネ状の弾性部材に限られるものではない。また,前記接触部132aは,一つであっても或いはさらに複数であってもよい。
そして,前記フィルタ除塵部材132には,その外周部にギア132bが形成されている。このギア132bは,図2及び図3に示すように,前記サイクロン集塵装置Yに設けられた除塵駆動機構15に設けられたギア15aに噛合される。
【0029】
ここに,前記除塵駆動機構15は,図2に明らかな如く,前記掃除機本体部1側に設けられた不図示の駆動モータ(駆動手段の一例)(以下,「除塵駆動モータ」という)に連結される減速器及び該減速器に連結されたギア15aを有している。前記除塵駆動機構15では,前記除塵駆動モータの回転力が前記減速器を介して前記ギア15aに伝達される。そして,前記除塵駆動機構15のギア15aの回転力は,前記ギア132bに伝達される。これにより,前記フィルタ除塵部材132が回転される。
そして,上記フィルタ除塵部材132の回転は,前記したように,傾斜除塵部材134に伝達され,傾斜除塵部材134と一体に回転する内筒12及び内筒12と一体の螺旋状回転圧縮部123が前記垂直中心軸Pの周りに回転する。
なお,本実施の形態では,前記除塵駆動モータによって前記フィルタ除塵部材132が回転される場合を例に挙げて説明するが,前記除塵駆動モータに換えて,前記フィルタ除塵部材132を手動で回転させることのできる機構を設けることも他の実施例として考えられる。
さらに,除塵駆動モータ以外の別のモータによって,螺旋状回転圧縮部123を回転させることも当然考えられる。上部フィルタユニット13の除塵と,螺旋状回転圧縮部123の回転とを別に行いたい場合には,このような別駆動の方を採用することも考えられる。
【0030】
前記フィルタ除塵部材132が回転されると,該フィルタ除塵部材132に設けられた二つの前記接触部132a各々は,プリーツ状に形成された前記HEPAフィルタ131に断続的に衝突して振動を与える。従って,前記HEPAフィルタ131に付着した塵埃は,前記フィルタ除塵部材132から与えられる振動によって叩き落とされる。なお,前記除塵駆動モータ(不図示)が作動されるタイミングは,例えば前記電気掃除機Xにおける集塵動作の開始前や終了後であることが望ましい。これにより,前記電動送風機による吸気によって前記HEPAフィルタ131に下流側への気流がない状態で,前記HEPAフィルタ131の除塵を効果的に行うことができる。
【0031】
また,前述したように,前記塵埃受部14は,前記内筒12を回転可能に支持している。具体的に,前記塵埃受部14の開口14a縁部の下端には,前記内筒12の上端に設けられた環状の前記凹部12aに嵌合される環状の前記支持部14cが設けられている。これにより,前記内筒12は,前記塵埃受部14によって回転可能な状態で吊り下げられている。
【0032】
次に,前記した螺旋状回転圧縮部123の構造についてさらに詳しく説明する。
前述したように,サイクロン集塵装置Yは,概略円筒形状に形成され,上部に配置された上部フィルタユニット13と,下部に配置された集塵容器11とを備えて構成されている。
集塵容器11内に収納された前記内筒12の下端には,分離部104と集塵部105の境界部である円盤状遮蔽部材123cが一体的に接合されている。上記円盤状遮蔽部材123cとその下部の前記螺旋部123aの外径は,ほぼ同じで,分離部104の内径より小さく,円盤状遮蔽部材123cの外周と集塵容器11の内壁との間には隙間(クリアランス)106(図6)が存在している。隙間(クリアランス)106は,分離部104において分離した塵埃を集塵部105へ移動する場合に,ある程度の体積を持つ塵埃においてもスムーズに移動することができ,かつ一度集塵部105に移動・蓄積した塵埃を巻き上げ,内筒フィルタ122を詰まらさないようにするに適した値である。実験によれば13mm程度が望ましいことが分かった。
【0033】
さらにまた,上記螺旋部123aと集塵容器11内面との間の隙間(クリアランス)107(本発明における略円筒状の空間に相当する)は,集塵容器11の径が集塵容器11の底部に向かい小さくなる部分であるため,集塵容器11の底部に向かって小さくなるように構成されている。これにより,塵埃と集塵容器11の内壁側面との摩擦が大きくなり,螺旋状回転圧縮部123による中心軸P方向に塵埃を移動させる力が大きくなるため,されに効率的に圧縮が行なわれる。
【0034】
また,円盤状遮蔽部材123cは,高さ方向に所定の厚みを持つ。円盤状遮蔽部材123cの高さ方向の厚みは,分離部104における遠心分離性能に影響し,本実施例では,実験により求めた13mm程度としている。
【0035】
また,螺旋状回転圧縮部123の螺旋部123aは,前記したように上下の螺旋状曲面に挟まれて湾曲した板状に形成されており,円盤状遮蔽部材123cから下方に向かってほぼ垂直に伸びる回転軸部123bを中心にして,集塵容器11の底面に向かって始端(円盤状遮蔽部材123cとの接続部)から終端(下端)までが1周分以上,回転軸部123bの周囲に巻き付くように形成されている。上記巻き付き角度の望ましい数字としては,1.6周分である。このような巻き付きによって,螺旋部123aは,集塵容器11の内周面にそったサイクロン旋回気流(図6に矢印Aで示す)の回転方向に沿って下方に向かって傾斜する螺旋状の旋回面が形成されている。
【0036】
また,螺旋状回転圧縮部123の螺旋部123aの終端(下端)と集塵室105の底面との間には,隙間(クリアランス)108(図6参照)が介在している。これにより,回転軸中心から外側に向け押し出し,圧縮することが出来る塵埃量を大幅に増加することが出来る。
また上記隙間108の幅は,集塵室105の底部に押し付けられ,圧縮された塵埃が螺旋部分の終端と集塵室105底部の間に詰まることによる破損や,異物等の詰まりを起こすことを防ぐことができる値である。本実施例では,IEC規格に基づくDMT標準ゴミTYPE8を試験ゴミとして10g使用した実験により求めた上記隙間108の幅を6〜13mm程度としている。
【0037】
以上のように構成された電気掃除機の動作について以下に説明する。
図3,図6に示すように,分離室104の周方向に形成された接続部111の空気流入口111aから集塵容器11の分離室104に入った気流は,図6の矢印Aのように,分離室104の円筒状の内周面に沿って高速で旋回する。旋回気流中の比較的大きい塵埃には遠心力が作用して気流から分離され,集塵容器11の内壁へ押し付けられる。図2に示すように,空気の排気口121が,下方にあるため,その後,気流は旋回しながら,集塵室105に入る。図6において二点鎖線で示す矢印Aのように旋回する気流(主流)は,集塵室105の底面に到達した後は上昇に転じる。図6の例では,この螺旋状回転圧縮部123のまわりの間隙107を旋回する気流の回転方向と螺旋状回転圧縮部123の螺旋部123aの傾き方向が一致しており,サイクロン旋回気流を妨げることがない。このため,圧力損失が少なく効率的な遠心分離が可能であり,高い吸い込み仕事率が得られる。
【0038】
また,図6に二点鎖線で示す矢印Aの気流により運ばれる塵埃は,螺旋部123aの終端部(下端部)と集塵容器11の底面との間の空間112aに引っかかり(トラップされ),蓄積され,螺旋部123aの螺旋形状の湾曲面に沿って下側から順に積層されていく。このため,さらに圧力損失の増加を防ぐことができる。
【0039】
さらに,螺旋状回転圧縮部123のまわりの間隙107を旋回する気流の回転方向と螺旋状回転圧縮部123の螺旋部123aの傾き方向が一致しているため,蓄積・積層された塵埃は,気流によっても若干圧縮される。これにより,蓄積・積層された塵埃の容積が小さくなり,より効率的な塵埃捕集を達成できる。
【0040】
次に,塵埃の空気流による蓄積と積層の作用について説明する。
前述したように,吸引された塵埃は,分離部104において分離され,隙間106(図6)を通り,集塵部105へ導かれる。集塵部105においては,塵埃は隙間107を通り,隙間108によりせき止められる(トラップされる)ことにより,蓄積される。この蓄積は,螺旋状回転圧縮部123が回転されるごとに既に蓄積された塵埃の上に積層されていく。そのため,この集塵装置では,螺旋部123aに沿って,偏ることなく積層が成長していくため,集塵部105内で偏って蓄積されていくことがなく,同容積の集塵部と比較して集塵可能容量が飛躍的に向上する。
また,螺旋部123aは,サイクロン旋回気流の回転方向に沿って下方に向かって傾斜する方向性をもつ螺旋形状とすることが出来る。この場合には,サイクロンの気流による圧縮効果も得られる。これにより,さらに集塵可能容量が向上する。
【0041】
次に,回転圧縮の作用について具体的に説明する。
たとえば,送風駆動モータの駆動が停止されると,気流が旋回を止める。送風駆動モータの駆動停止が確認された後,除塵駆動機構15が駆動されると,上述したように内筒12,排気口121,円盤状遮蔽部材123c,螺旋状回転圧縮部123,回転軸部123bが一体となって,垂直中心軸Pを中心として,図8の矢印D方向(上面から見て,反時計方向)に回転する。このようにして,除塵駆動機構15による回転が,図8に示される第1の回転軸線152と第2の回転軸線153を介して回転軸部123bに伝達される。
こうして螺旋状回転圧縮部123が回転すると,螺子の原理により,回転軸方向(図9の矢印Eで示す垂直下向き方向)に推力が発生する。この推力により,集塵室105に蓄積されている図9の塵埃200は,回転軸方向に押し出され,集塵容器11の底面に押し付けられることにより回転軸方向に圧縮される。
このように,この実施形態では,圧縮部材の一例である螺旋状回転圧縮部123を回転駆動する圧縮部材駆動手段が,本発明における圧縮部材駆動手段の一例を構成し,前記フィルタ手段の一例である上部フィルタユニット13の清掃機構を駆動するための手段である除塵駆動機構15と兼用されているので,装置の兼用化により部品点数を減少させ,或いは装置を小型化させることに成功している。
【0042】
ところで,サイクロン集塵装置Yでは,塵埃が図10における300(ほぼ螺旋部123aの始端の位置)よりも上部まで積層された場合,上側から新たに塵埃201(図9参照)が吸引されて来ても,塵埃201は引っかかる部分がないため積層・集積することができず,内筒12の回りを回転し続けてしまう。回転し続けることにより,内筒フィルタ122に大量の塵埃が付着し,吸引力が急激に低下する。また,送風駆動モータに大きな負担がかかり,製品寿命を低下させる。
【0043】
しかしながら,この集塵装置Yでは,螺旋部123aの回転によって集塵容器の底面との間に蓄積した塵埃に回転を与え,これによって軸中心から外側に向かって押し出すことで圧縮するので,螺旋状回転圧縮部123と集塵容器11の底部との間の塵埃200は,一度圧縮されると,回転停止後,さらには,集塵容器11を解放して圧縮力が解除された後も,圧縮状態が保持される。
【0044】
このように,圧縮状態が保持されることにより,塵埃は高さ300よりも下部で保持されることになり,上方から新たに塵埃201が吸引された場合でも,塵埃は集積され,螺旋状回転圧縮部123の回転により,新たな塵埃201をさらに圧縮することが出来,効率的な連続圧縮を行うことが出来る。その結果,実験によれば,同容量の集塵部において約3倍の集塵可能容量向上効果が確認された。
【0045】
また,この集塵装置Yでは,一度の吸引によって,大量の塵埃を捕塵し,塵埃の高さが図10における300まで到達した場合でも,螺旋部123aと接触している塵埃と一体となり,回転軸方向へ押し出され,圧縮を行うことができる。
【0046】
また,螺旋状回転圧縮部123が回転し圧縮動作を行うものであるため,螺旋状回転圧縮部123の回転によって塵埃に軸回転中心から外側向きの力が発生する。そのため,塵埃は円筒状の回転軸部123b部分にはあまり付着しない傾向があり,メンテナンス性が飛躍的に高まる。さらに,塵埃が螺旋状回転圧縮部123に付着した場合においても,螺旋状回転圧縮部123が回転することによって,塵埃を下方へ押し出し圧縮する際に塵埃により,剥がされていく。このように,螺旋状回転圧縮部123のメンテナンス性は非常に高い。
【0047】
さらに,前記したように,圧縮後の塵埃はドーナツ型に固められ一体化しているため,ゴミ捨て時のゴミ飛散やこぼれ落ちなどを防ぐことができ,効率的なゴミ捨てが行える。
【0048】
螺旋状回転圧縮部123の回転を,モータなどの駆動手段によって行なうことにより,送風駆動モータの駆動中(吸引中)に螺旋状回転圧縮部123を自動的に回転させることができる。この動作によって,塵埃を捕集・集積すると同時に塵埃を圧縮することができる。これにより,さらに効率的に圧縮することができ,上記の効果がさらに高まる。また,一度に大量の塵埃を吸引した場合でも圧縮が可能なため,長時間連続して掃除を行うことができる。
【0049】
さらにまた,送風駆動モータの駆動中(吸引中)に螺旋状回転圧縮部123を間欠的に回転させることにより,塵埃の捕集と同時に圧縮を行うことが出来るとともに,螺旋状回転圧縮部123を長い時間にわたって駆動し続けることがないため,消費電力の増加を防ぎ,駆動機構の寿命に伴う製品寿命を高めることができる。さらに,圧縮部駆動機構が駆動する際の騒音を低減することができ,より静かで使用しやすいサイクロン集塵装置が得られる。
【0050】
次に,上記螺旋状回転圧縮部123に駆動態様について説明する。
例えば集塵容器11内部の捕集対象物の堆積状態などを検知するセンサを配することにより,その検知結果に応じて螺旋状回転圧縮部123を回転させ,或いは停止させるという間欠回転制御が可能になる。
図7(a)は,集塵容器11を含む集塵装置全体の分解斜視図,(b)は,(a)に示した集塵容器11を後記する光学センサ500の光軸505を含む水平面で切断した断面図である。
図7に示した集塵容器11の下部側面を覆うカバー502内には,投光部504及び受光部503を備えた光学センサ500が設けられている。光学センサ500は上記センサの一例である。この場合,投光部504及び受光部503は,捕集容器の一例である集塵容器11の底部近くを光軸505が横切るように,例えば分離部104の周辺であって,圧縮部材123とは干渉しない部分を上記光軸505が通過するように配置することが適切である。
上のように光学センサ500の光軸505が,圧縮部材123と干渉しないように配置することで,回転する圧縮部材123によって光軸505が遮られて光学センサ500にノイズが生じるという不都合が回避される。また,この実施形態に係るサイクロン式集塵装置では,旋回する空気流による遠心力で塵埃が集塵容器11の内周面近くに堆積するものであるので,光学センサ500を,図7(b)のように,集塵容器11の内周面に沿って配置することで,塵埃の堆積量を正確に測定することができる。上記光学センサ500の一例として赤外線センサが考えられる。光学センサ500は,上記集塵容器11の垂直側壁508にその軸心が水平あるいは垂直(光軸507の方向)となるように配置されてもよく,受光量の多少に基づいて集塵容器11の底部近くに貯まった塵埃の量を検出することができる。光学センサ500が第1の検知手段の一例である。上記光学センサ500によって,捕集容器11内における塵埃の捕集量が検出されるので,この捕集量が適当な量となった時に圧縮部材123を回転させて塵埃を圧縮処理することができる。
このように,分離部104と集塵容器11の間に塵埃がたまっている場合は螺旋状回転圧縮部123を回転させるという制御により,運転中における塵埃の圧縮とサイクロン方式による分離能力回復を必要なタイミングで自動的に行うことができる。
【0051】
さらに,前記集塵容器に流入する空気の前記集塵容器内部空間より上流側流路における塵埃の通過を検知する光学センサを設けることにより,その部分を一定量の塵埃が通過したら螺旋状回転圧縮部123を回転させるという逐次的な間欠制御を行うこともできる。例えば,図7(a)に示すように,接続部111の空気流通方向上流の流路に塵埃の通過を検知する赤外線センサ506を備える。この赤外線センサ506は,塵埃の通過のみを検知し,その絶対量は検知できないとしても,連続して所定時間(例えば10秒間)検知状態になった場合や,総検知時間が所定時間(例えば数10秒)に達した場合,相当量の塵埃が集塵容器11内に蓄積されたと判断されるので,その時点で圧縮部123を回転させることにより,ほぼ一定量に達した塵埃を固く圧縮するという間欠制御が実現できる。
上記赤外線センサ506が,本発明における第2の検知手段の一例である。
【0052】
また,螺旋状回転圧縮部123をモータなどの駆動手段によって自動的に回転させる場合に,回転負荷が大きすぎる状態のまま回転を強行すると駆動手段や螺旋状回転圧縮部123を損傷する可能性がある。そのため,何らかの手段で負荷が大きくなっている状態を事前に検知し,停止や逆転などの対応を行って,過負荷を未然に防止する必要がある。
回転負荷の検出手段の一例として,螺旋状回転圧縮部123の回転速度を観測する手法が考えられる。
例えばモータなどの駆動手段151(図8参照)の軸152について回転量を検知する図外の光学式エンコーダを配し,回転量が例えば通常時(定格負荷時の回転速度などから換算)の1/3まで落ちている場合は,駆動手段151による螺旋状回転圧縮部123の回転を停止するという制御が可能である。
また,回転負荷の検出手段の一例として,螺旋状圧縮部123の回転に対するトルク反力を観測する手法も考えられる。例えば駆動手段151がDCモータである場合,トルク反力の一例としてモータ電流を容易に観測することができ,モータ電流が定格の1.5倍に達した場合は螺旋状回転圧縮部123の回転を停止するという制御が可能である。
【0053】
これら回転負荷が大きくなっている状態においては,これ以上の圧縮不可能なほど塵埃が圧縮・集積された場合以外にも,例えばクリアランス107の一部など,どこかの空隙に塵埃が詰まって抵抗を生じている場合も考えられる。このような場合を想定し,塵埃の詰まりを解消する目的で,上記の螺旋状回転圧縮部123の回転量の検出や螺旋状回転圧縮部123の回転負荷の検出といった手段により回転負荷を検知した場合に,上記のように一定時間螺旋状回転圧縮部123を逆転させる制御も行うことによりロバストな圧縮システムが実現できる。
具体的には,回転負荷が大きくなっていることを検知したら螺旋状回転圧縮部123を2秒間ほど逆回転し,再度順方向回転に切り替える。この順方向回転中にも同様の回転負荷が検知された場合は回転を停止する,という手順で実現可能である。
【0054】
掃除などの塵埃の捕集工程を開始するときに,以前に捕集した捕集対象物である塵埃が集塵容器11内にたまっていることが往々にしてありうる。上記のような以前の塵埃が圧縮されないままに集塵容器11内に蓄積されていると,後の捕集時に抵抗となって捕集量を増加させることの妨げとなりうる。そこで,掃除工程の開始前に前記螺旋状回転圧縮部123の駆動手段を駆動して,集塵容器11内の空気抵抗を予め少なくすることが望ましい。
【0055】
上記のような集塵工程(掃除工程)の開始前に螺旋状回転圧縮部123の駆動手段を駆動するに際しては,集塵工程の開始前に前記赤外線センサ500(第1の検知手段)及び/若しくは赤外線センサ506(第2の検知手段)によって塵埃の捕集状態を検知し,その検知された状態に応じて螺旋状回転圧縮部123の駆動手段を駆動するようにしてもよい。
【0056】
また,前記螺旋状回転圧縮部123が回転駆動された後に,前記赤外線センサ500(第1の検知手段)及び/若しくは赤外線センサ506(第2の検知手段)によって塵埃の捕集状態を検知すること,つまり,螺旋状回転圧縮部123によって捕集された塵埃を圧縮しつつ,前記赤外線センサ500(第1の検知手段)及び/若しくは赤外線センサ506(第2の検知手段)によって塵埃の捕集状態を検知して,その検知された状態に応じて,螺旋状回転圧縮部123の回転駆動を継続或いは停止することで,螺旋状回転圧縮部123の回転による過負荷を防止することが望ましい。
【0057】
また,集塵容器11の内壁側面に図14に示す縦方向のリブ400を設けることにより,螺旋状回転圧縮部123と集塵容器11とのクリアランスを部分的に小さくすることが出来る。このような構成によって,螺旋状回転圧縮部123による回転軸方向の推力が大きくなるため,さらに効率的に圧縮が行える。また,集塵容器11の内壁側面のリブ400は集塵容器11底面に向かうに連れ螺旋状回転圧縮部123と集塵容器11とのクリアランスが小さくなるようにつけられることで,さらに効率的に塵埃を圧縮することが出来る。
リブ400は,1本でも効果があるが,バランス上,複数,均等に設けることが望ましい。
また,螺旋部123aと集塵容器11の内壁側面との間の塵埃を押し出すための摩擦を発生させるための抵抗を生じさせる構造は,集塵容器11の内壁側面にリブ400に限らず,抵抗となる凹凸や表面処理でもよい。
【0058】
図11に示す螺旋状回転圧縮部123においては,螺旋部123aの外周端と集塵室105の内壁側面との間に隙間(クリアランス)107を有し,集塵容器11の内周部の径が一定であり,集塵容器11の底部に向かい小さくなる部分がない。即ち,前記隙間(クリアランス)107は,集塵容器11の底部に向かって一定である。その他の構成は実施の形態1と同様である。このような集塵容器11の場合,内径が集塵容器11の底部に向かい小さくなる部分がないため,集塵部105の容積が増加し,かつ一定の回転軸方向の推力で圧縮を行えるため,より多くの塵埃を蓄積・積層することが出来る。また,隙間(クリアランス)107は,集塵容器11の底部に向かって一定であるため,塵埃と集塵室11の内壁側面との摩擦も変化せず,一定の回転軸方向の推力で圧縮を行えるため,螺旋状回転圧縮部123が,塵埃の詰りによって固定されるロックを防ぐ効果が得られる。
【0059】
螺旋形状回転圧縮部123がロックせずに回転し続けることで,集塵部105の単位体積当りに集塵できるゴミ容量が多くなり,同じゴミ容量を集塵する場合,よりコンパクトで軽量な電気掃除機を提供することができる。その結果,取り回しを行いやすくなり,ユーザの負担を軽減することができ,ユーザの掃除効率を飛躍的に高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xの外観図。
【図2】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を説明するための断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を説明するための断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yに設けられた螺旋状回転圧縮部を説明するための図((a)は,下方から見た斜視図,(b)は,上方から見た斜視図)。
【図5】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yに設けられた上部フィルタユニット13を説明するための図。
【図6】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を螺旋状回転圧縮部を中心として説明するための断面図。
【図7】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を説明するための一部断面図を含む分解斜視図。
【図8】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの螺旋状回転圧縮部への回転力伝達経路を説明するための断面図。
【図9】螺旋状回転圧縮部の回転によって,塵埃が圧縮・積層される状況を説明するサイクロン集塵装置Yの断面図。
【図10】螺旋状回転圧縮部への塵埃の貯まり具合を説明するサイクロン集塵装置Yの断面図。
【図11】直円筒状の集塵容器が用いられた場合のサイクロン集塵装置Yの断面図。
【図12】螺旋部の設定位置を説明するためのサイクロン集塵装置Yの断面図。
【図13】螺旋部の設定位置を説明するためのサイクロン集塵装置Yの斜視図。
【図14】集塵容器に形成されるリブを説明するためのサイクロン集塵装置Yの側断面図。
【図15】集塵容器に形成されるリブを説明するためのサイクロン集塵装置Yの水平断面図。
【符号の説明】
【0061】
10…筐体(分離装置本体)
11…集塵容器(捕集容器)
12…内筒
13…上部フィルタユニット
14…集塵受部
15…除塵駆動機構
104…分離部
105…集塵部
123…螺旋状回転圧縮部
123a…螺旋部(圧縮部)
123b…回転軸部
123c…円盤状遮蔽部材
123d…始端部
200,201…塵埃
400…リブ
【技術分野】
【0001】
本発明は,捕集対象物を遠心分離するサイクロン分離装置に係り,特に,捕集された比較的大きい捕集対象物の捕集量を増加させることの出来るサイクロン分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,略円筒状の捕集容器の中心部に設けられた排気部から前記捕集容器内の空気を排気することにより,前記捕集容器の円周部に設けられた空気吸い込み部から吸い込まれた空気を前記捕集容器の内周面に沿って旋回させた後,フィルタ手段を経て前記排気部から排気し,前記空気に含まれる比較的大きい塵埃を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい塵埃を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置の一例としてのサイクロン集塵装置が,特許文献1として知られている。
このサイクロン集塵装置は,比較的大きい塵埃を旋回させることで遠心力によって捕集し,空気流に乗って飛翔する比較的小さい塵埃については,空気流中においたフィルタ手段によって捕集するものであるため,騒音が少なく,集塵効率についても改善されたものである。
【0003】
上記のようなサイクロン集塵装置を一般家庭で使用すると,布団や衣類から生じる綿ホコリが集塵ごみ容積の大半を占める。この綿ホコリを構成する繊維等は,それ自体が弾性を持つため,塵埃の密度は小さく,頻繁に集塵部から取り除く(捨てる)必要がある。また,このような塵埃は,軽くて容易に飛散するため,外部のごみ箱等に廃棄する際,塵埃が舞い散って再飛散することで使用者が不快に感じるという問題がある。
【0004】
しかしながら,上記特許文献1に記載のサイクロン集塵装置は,あくまで空気の流れに頼って塵埃を捕集するものであるため,捕集された前記繊維などの低密度の埃を一定以上に圧縮することが出来ず,限られた塵埃の捕集空間における塵埃の集積度をそれほど向上させることが出来るものではない。従って,捕集された塵埃を頻繁に捨てないと捕集効率が低下するので,ゴミを捨てる手間がかかる点,あるいは,塵埃を捨てる時に,塵埃が硬く圧縮されておらず,空気中で分散されやすいので,ごみ箱等に廃棄する際,塵埃が舞い散って再飛散することによる不快感を解消することが出来ないという問題を解決することが出来ない。
【0005】
このような課題を解決するためには,捕集された塵埃を出来るだけ固く圧縮する必要がある。このような,塵埃の圧縮手段を備えたサイクロン分離装置が本出願人によって出願された(特願2008−072942)。このサイクロン分離装置は,内周面が略円筒状の捕集容器を備え,該捕集容器の円周部にその周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記フィルタ手段において捕集するものであり,さらに前記捕集容器内に,該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材を備えたものである。
【0006】
このサイクロン分離装置では,上記圧縮部材が上記垂直中心軸を中心に回転することによって,上記螺旋状曲面の下面で捕集された塵埃などの捕集対象物が硬く圧縮され,ゴミを捨てる手間が省力され,あるいは,塵埃を捨てる時に,塵埃が空気中で分散され,ごみ箱等に廃棄する際,塵埃が舞い散って再飛散することによる不快感を解消することが出来るといった,多くの長所が発揮される。
【特許文献1】特開2006−75584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように上記出願(特願2008−072942)の明細書に開示されたサイクロン分離装置は優れた機能を発揮するが,上記圧縮部材の回転にはそれなりの消費電力が必要であるので,その機能をさらに向上させるには,掃除工程中の適切な時間帯に圧縮部材を回転させて,不要な時間帯には回転させないような制御を行うことで無駄な電力消費を抑制することが望ましい。
【0008】
従って,本発明は上記事情に鑑み創案されたものであり,前記圧縮部材を適時に回転駆動することで,圧縮部材の回転駆動に伴う電力消費量を抑制することができるサイクロン分離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために,本出願にかかる第1の発明は,
内周面が略円筒状の捕集容器を備え,該捕集容器の円周部にその周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置であって,
前記捕集容器内に設けられ,該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材と,
前記補集容器内における補集対象物を検知する第1の検知手段とを備えてなるサイクロン分離装置として構成されている。
第2の発明は,内周面が略円筒状の捕集容器を備え,該捕集容器の円周部にその周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置であって,
前記捕集容器内に設けられ,該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材と,
前記捕集容器に流入する空気の前記捕集容器内部空間より上流側流路における補集対象物の通過を検知する第2の検知手段とを備えてなるサイクロン分離装置として構成されている。
第1の発明では,前記第1の検知手段によって,捕集容器内における捕集対象物の捕集量などが検出されるので,捕集量が適当な量となった時に圧縮部材を回転させて捕集対象物を圧縮処理することができる。
また第2の発明では,第2の検知手段により前記捕集容器内部空間に空気流に乗って流入する補集対象物の通過が検知されるので,上記通過量を積分すると言った処理を行うことで,捕集容器内に堆積する捕集対象物の量などが検出されるので,捕集量が適当な量となった時に圧縮部材を回転させて捕集対象物を圧縮処理することができる。
前記圧縮部材は,モータなどの圧縮部材駆動手段によって自動的に回転駆動されることが望ましい。このような駆動手段を設けることで,圧縮部材の回転制御を自動化し省力化することができる
そして,前記圧縮部材の回転量を検知する回転量検知手段をさらに備えることで,圧縮部材による圧縮の程度を自動的に管理することができる。
さらに,前記圧縮部材のトルク反力を検知するトルク反力検知手段をさらに備えることで,異物のひっかかり等や,捕集対象物の過多による圧縮部材の回転抵抗を自動的に測定することができ,前記圧縮部材駆動手段を構成するモータなどの過負荷を未然に防止することができる。
前記圧縮部材駆動手段は,前記フィルタ手段の清掃機構を駆動するための手段と兼用させることができる。これによって装置の簡素化によるコストダウンや装置の小型化が可能となる。
掃除などの捕集工程を開始するときに,以前に捕集した捕集対象物が捕集容器内にたまっていることが往々にしてありうる。上記のような以前の捕集物が圧縮されないままに捕集容器内に蓄積されていると,後の捕集時に抵抗となって捕集量増加をさせることの妨げとなりうる。そこで,前記補集対象物の補集工程の開始前に前記圧縮部材駆動手段を駆動して,捕集容器内の空気抵抗を少なくすることが望ましい。
上記のような補集工程の開始前に圧縮部材駆動手段を駆動するに際しては,補集工程の開始前に前記第1及び/若しくは第2の検知手段によって捕集対象物の捕集状態を検知し,その検知された状態に応じて圧縮部材駆動手段を駆動するようにしてもよい。
また,前記圧縮部材が回転駆動された後に,前記第1及び/若しくは第2の検知手段によって捕集対象物の捕集状態を検知すること,つまり,圧縮部材によって捕集対象物を圧縮しつつ,前記第1及び/若しくは第2の検知手段によって捕集対象物の捕集状態を検知して,その検知された状態に応じて,圧縮部材の回転駆動を継続或いは停止することで,圧縮部材の回転による過負荷を防止することが望ましい。
同様に,圧縮部材駆動手段が,前記回転量検知手段による検知結果に応じて前記圧縮部材を回転駆動してもよい。
例えば圧縮部材が過負荷になった場合,圧縮部材の回転数が低下すると思われる。従って,前記圧縮部材駆動手段が,前記回転量検知手段によって検知された回転量が予め定められた回転量より少ない場合に,過負荷と判断して前記圧縮部材の回転駆動を停止するようにすることが望ましい。
同様に圧縮部材が過負荷になった場合,圧縮部材の回転におけるトルク反力が増加すると思われる。従って,前記圧縮部材駆動手段が,前記トルク反力検知手段による検知結果に応じて前記圧縮部材の回転駆動を行うことが望ましい。
具体的には,前記圧縮部材駆動手段が,前記トルク反力検知手段によって検知されたトルク反力が予定より大きい場合,前記圧縮部材の回転駆動を停止することで,圧縮部材の過負荷を未然に防止することができる。
捕集対象物のひっかかり係り等によって回転抵抗が増加した場合の解消策として,圧縮部材の回転方向を逆にすることが,効果的である。従って,前記圧縮部材駆動手段が,前記回転量検知手段及び/若しくはトルク反力検知手段の検知結果に応じて,前記圧縮部材の回転方向を逆転するような制御を取り入れることが望ましい。
【0010】
前記捕集対象物が,塵埃である場合には,本発明に係るサイクロン分離装置は,サイクロン集塵装置として適用される。
【発明の効果】
【0011】
本出願の第1及び第2の発明は上記のように,内周面が略円筒状の捕集容器を備え,該捕集容器の円周部にその周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置であって,前記捕集容器内に設けられ,該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材を備えてなるサイクロン分離装置として構成されている。
【0012】
従って,前記圧縮部の回転によって,捕集された比較的大きい捕集対象物を,その回転によって圧縮することができる。
その結果,塵埃などの捕集対象物に対する圧縮力を維持することが出来,同時に該螺旋状曲面の上面側は集塵容器の空間として確保される。従って,大量の捕集対象物を捕集容器に蓄積してもサイクロン分離装置部分の性能が維持されるため吸い込み力が低下せず,長時間にわたって高い捕集効率を維持できる。
また上記第1及び第2の発明によれば,上記のように捕集対象物について固く圧縮された状態を保持することで,圧縮力を解除し時にも,再度空中に飛散するような問題を生じず,またそのままの形で後処理に回したり,捨てたりすることが出来る。
さらに上記第1の発明では,前記補集容器内における補集対象物を検知する第1の検知手段或いは,前記捕集容器に流入する空気の前記捕集容器内部空間より上流側流路における補集対象物の通過を検知する第2の検知手段を備えているので,前記第1の検知手段によって,捕集容器内における捕集対象物の捕集量などが検出され,捕集量が適当な量となった時に圧縮部材を回転させて捕集対象物を圧縮処理することができる。
また第2の発明では,第2の検知手段により前記捕集容器内部空間に空気流に乗って流入する補集対象物の通過が検知されるので,上記通過量を積分すると言った処理を行うことで,捕集容器内に堆積する捕集対象物の量などが検出されるので,捕集量が適当な量となった時に圧縮部材を回転させて捕集対象物を圧縮処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は,本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xの外観図,図2及び図3は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を説明するための断面図,図4は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yに設けられた螺旋状回転圧縮部を説明するための図((a)は,下方から見た斜視図,(b)は,上方から見た斜視図),図5は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yに設けられた上部フィルタユニット13を説明するための図,図6は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を螺旋状回転圧縮部を中心として説明するための断面図,図7は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を説明するための一部断面図を含む分解斜視図,図8は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの螺旋状回転圧縮部への回転力伝達経路を説明するための断面図,図9は,螺旋状回転圧縮部の回転によって,塵埃が圧縮・積層される状況を説明するサイクロン集塵装置Yの断面図,図10は,螺旋状回転圧縮部への塵埃の貯まり具合を説明するサイクロン集塵装置Yの断面図,図11は,直円筒状の集塵容器が用いられた場合のサイクロン集塵装置Yの断面図,図12は,螺旋部の設定位置を説明するためのサイクロン集塵装置Yの断面図,図13は,螺旋部の設定位置を説明するためのサイクロン集塵装置Yの斜視図,図14は,集塵容器に形成されるリブを説明するためのサイクロン集塵装置Yの側断面図,図15は,集塵容器に形成されるリブを説明するためのサイクロン集塵装置Yの水平断面図である。
【0014】
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xの概略構成について説明する。
図1に示すように,前記電気掃除機Xは,掃除機本体部1,吸気口部2,接続管3,接続ホース4,操作ハンドル5などを備えて概略構成されている。前記掃除機本体部1には,不図示の電動送風機,サイクロン集塵装置Y,制御装置Zなどが内蔵されている。なお,前記サイクロン集塵装置Yについては後段で詳述する。
前記電動送風機は,吸気を行うための送風ファン及び該送風ファンを回転駆動する送風駆動モータを有している。前記制御装置Zは,CPUやRAM,ROMなどの制御機器を有してなり,前記電気掃除機Xを統括的に制御する。具体的には,前記制御装置Zでは,前記CPUが前記ROMに記憶された制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
なお,前記操作ハンドル5には,ユーザが前記電気掃除機Xの稼働の有無や運転モードの選択操作などを行うための操作スイッチ(不図示)が設けられている。また,その操作スイッチの近傍には,前記電気掃除機Xの現在の状態を表示するLEDなどの表示部(不図示)も設けられている。
【0015】
前記掃除機本体部1は,該掃除機本体部1の前端に接続された前記接続ホース4と,該接続ホース4に接続された前記接続管3とを介して前記吸気口部2に接続されている。
従って,前記電気掃除機Xでは,前記掃除機本体部1に内蔵された前記電動送風機(不図示)が作動されることにより,前記吸気口部2からの吸気が行われる。そして,前記吸気口部2から吸気された空気は,前記接続管3及び前記接続ホース4を通じて前記サイクロン集塵装置Yに流入する。前記サイクロン集塵装置Yでは,吸い込まれた空気から塵埃が遠心分離される。なお,前記サイクロン集塵装置Yで塵埃が分離された後の空気は,前記掃除機本体部1の後端に設けられた不図示の排気口から排気される。
【0016】
以下,図2〜6を参照しつつ,本発明に係るサイクロン集塵装置の一例であるサイクロン集塵装置Yについて詳説する。
図2及び図3に示すように,前記サイクロン集塵装置Yは,筐体10,内周面が略円筒状で,上記筐体10に対して着脱自在の集塵容器11(捕集容器の一例),内筒12,上部フィルタユニット13,塵埃受部14及び除塵駆動機構15などを備えて概略構成されている。
前記サイクロン集塵装置Yでは,前記集塵容器11,前記内筒12,前記上部フィルタユニット13,及び前記塵埃受部14が,垂直の中心軸Pを中心に同軸状に配置されている。また,前記サイクロン集塵装置Yは,前記掃除機本体部1に着脱可能に構成されている。
上記筐体10は,フィルタ122を備えた内筒12を備えている。
このサイクロン集塵装置Yでは,略円筒状の集塵容器11の中心部に設けられた前記内筒12から前記集塵容器11内の空気を排気することにより,前記集塵容器11の円周部に設けられた空気流入口111a(図7参照)から吸い込まれた空気を集塵容器11の内周面に沿って旋回させた後,フィルタ手段の一例である前記上部フィルタユニット13などを経て前記内筒12を経て排気し,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記集塵容器11の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記上部フィルタユニット13などにおいて捕集するものである。
【0017】
前記集塵容器11は,吸い込まれた空気から分離された塵埃を収容するための内周面が円筒状で,且つ外形も円筒状の容器である。前記集塵容器11は,前記サイクロン集塵装置Yの筐体10に着脱可能に構成されている。ユーザは,前記掃除機本体部1から前記サイクロン集塵装置Yを取り出した後,該サイクロン集塵装置Yから前記集塵容器11を取り外して,該集塵容器11内の塵埃を廃棄する。なお,前記サイクロン集塵装置Yの筐体10と前記集塵容器11との間には,環状のシール部材161が設けられている。このシール部材161により,前記筐体10及び前記集塵容器11の間の空気の漏れが防止される。
また,前記集塵容器11の底部には,前記内筒12に設けられた後述の回転軸部123bに嵌合する嵌合部11aが設けられている。前記嵌合部11aの外周部には,前記内筒12の回転軸部123bとの隙間を埋めるための環状のシール部材11bが設けられている。このシール部材11bにより,前記回転軸部123b及び前記集塵容器11の間の空気の漏れが防止される。
【0018】
さらに,前記集塵容器11には,前記接続ホース4(図1参照)が接続される接続部111が設けられている。前記吸気口部2から前記接続管3及び前記接続ホース4を通じて吸い込まれた空気は,前記接続部111から前記集塵容器11内に流入する。
ここで,前記接続部111の前記集塵容器11への空気流入口(不図示)は,前記接続ホース4からの空気が前記集塵容器11内で旋回するように形成されている。具体的に,前記空気流入口(不図示)は,前記集塵容器11側の出口が該集塵容器11の円周方向に向くように形成されている。従って,前記集塵容器11では,吸い込まれた空気を旋回させることで該空気に含まれた塵埃が遠心力によって分離(遠心分離)される。そして,前記集塵容器11で遠心分離された塵埃は,該集塵容器11の底部に収容される(図2,3の塵埃D1)。
一方,塵埃が分離された後の空気は,前記集塵容器11から矢印(図2)で示す排気経路112に沿って前記掃除機本体部1に設けられた不図示の排気口から外部に排気される。ここで,前記集塵容器11から前記排気口(不図示)までの前記排気経路112上には,前記内筒12,前記塵埃受部14,及び前記上部フィルタユニット13が順に配置されている。
【0019】
前記内筒12は,前記集塵容器11内に配置された円筒状の部材である。ここで,前記内筒12は,前記塵埃受部14によって回転可能に支持されている。具体的に,前記内筒12は,該内筒12の上端に設けられた環状の凹部12aが,前記塵埃受部14の下端に設けられた環状の支持部14cに支持されることにより回転可能な状態で吊り下げられている。なお,前記内筒12を回転可能に支持する構成は,これに限られるものではない。例えば,前記内筒12の上下の端部を軸支することが一例として考えられる。
さらに,前記内筒12の上端には,後述の傾斜除塵部材134に設けられた係合部134cに係合する複数の連結部12bが設けられている。前記連結部12bは,前記内筒12の上端の開口縁部に上方に突出して設けられたリブである。
前記内筒12は,前記連結部12b及び前記係合部134cの係合によって,前記傾斜除塵部材134に一体回転可能に連結されている。これにより,前記内筒12は,前記傾斜除塵部材134に連動して回転することになる。なお,前記内筒12及び前記傾斜除塵部材134の連結構造はこれに限られない。例えば,前記内筒12及び前記傾斜除塵部材134各々に設けられた嵌合部を嵌合させることにより一体回転可能に連結する構成が考えられる。
【0020】
また,前記内筒12の上部には,前記集塵容器11で塵埃が分離された後の空気を,前記上部フィルタユニット13に向けて排気するための内筒排気口121が形成されている。そして,前記内筒排気口121には,該内筒排気口121全体を覆う円筒状を成す内筒フィルタ122が設けられている。前記内筒フィルタ122は,前記内筒排気口121を通過する空気を濾過する。
例えば,前記内筒フィルタ122は,メッシュ状のエアフィルタ等である。なお,前記内筒フィルタ122は,前記内筒排気口121の内側又は外側のいずれに設けられていてもよい。また,前記排気口121及び前記内筒フィルタ122に換えて,前記内筒12にメッシュ状の孔を形成する構成も考えられる。その場合は,そのメッシュ状の孔が前記内筒排気口121及び前記内筒フィルタ122として機能する。
【0021】
一方,前記内筒12の下部には,前記集塵容器11内の塵埃を圧縮するための螺旋状回転圧縮部123が設けられている。
ここで,図2及び図3に加えて螺旋状回転圧縮部123の斜視図である図4を参照しつつ,前記螺旋状回転圧縮部123について説明する。
図2〜4に示されているように,前記螺旋状回転圧縮部123には,螺旋部123a,回転軸部123b,円盤状遮蔽部材123cが設けられている。
前記回転軸部123bは,前記集塵容器11の底部に設けられた前記嵌合部11aに嵌合される中空円筒である。前述したように,前記回転軸部123b及び前記嵌合部11aの間には前記シール部材11b(図2,3参照)が介在する。
【0022】
円盤状遮蔽部材123cは,前記集塵容器11内において,後述する旋回流の遠心分離力により塵埃を分離する上側空間の部分(分離部104)と,塵埃を蓄積する下側空間の部分(集塵部105)との仕切りの役割を果たす。これにより,捕集した塵埃が巻き上がり,内筒フィルタ122を詰まらせる事を防ぐ。また,円盤状であるため,サイクロン気流中に含まれる塵埃が引っかかることが無く,塵埃を効率的に集塵容器11の底部へ誘導することができる。
【0023】
また,前記回転軸部123bには,該回転軸部123bを中心にして,前記集塵室105の底面に向かって螺旋状に延び,その上下面が,前記垂直中心軸Pを中心とする螺旋状曲面を備えて湾曲した板状の螺旋部123a(圧縮部材の一例)が設けられている。前記螺旋部123aは,後述するように前記内筒12が回転されるとき,前記集塵容器11内に蓄積された塵埃を集塵容器11の底部向かって移動させる。この時,前記圧縮部材の前記螺旋状曲面が,該螺旋状曲面を螺子と想定したときに,該圧縮部材の回転により螺子が後退するように形成されていることにより,この螺旋状曲面でゴミを圧縮することができる。
この時,前記螺旋部123aの前記螺旋状曲面は図6矢印Aの旋回気流と同様の傾斜方向をもって形成されていることが好ましい。このような螺旋部123aを図6矢印Aの旋回と反対方向に回転させることで前記集塵容器11内の塵埃は,該集塵容器11内面との摩擦によって,該集塵容器11底部へ移動することになる。
ただし,前記螺旋部123aの前記螺旋状曲面を,前記集塵容器11の内周面に沿って旋回する気流の傾き方向とは反対の方向に傾斜させることも可能である。この時,螺旋部123aの回転方向は,図6矢印Aの旋回気流の旋回方向と同一,即ち,螺旋部123aを螺子と想定したとき,螺旋部123aの回転により螺子が後退する方向になる。
さらに,前記内筒12が回転されるとき,前記集塵容器11の底部まで移動した塵埃に対して前記螺旋部123aは,前記集塵容器11の底部との摩擦によって,上記底面との間で塵埃を回転により回転軸中心から外側に向かって押し出し圧縮することになる。このような構成によれば,塵埃が回転によって固く圧縮されるので,前記集塵容器11の塵埃の蓄積可能量を増加させることができる。従って,例えば前記集塵容器11の小型化を実現することが可能である。また,固く圧縮された塵埃は,容易に解けないので,取り出し時にも空気中に飛散する問題がなく,そのままの形でゴミとして廃棄することが出来る。
【0024】
一方,前記内筒12の内筒フィルタ122で濾過された後の空気は,該内筒12内を通じて前記上部フィルタユニット13に導かれる。
ここで,図2及び図3に加えて図5を参照しつつ,前記上部フィルタユニット13について説明する。ここに,図5(a)は,前記上部フィルタユニット13を上方から見た斜視図,図5(b)は,前記上部フィルタユニット13を下方から見た斜視図である。
前記上部フィルタユニット13は,HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)131,フィルタ除塵部材132及び傾斜除塵部材134などを有している。
【0025】
前記HEPAフィルタ131は,前記内筒12から排気されて前記排気経路112上を流れる空気をさらに濾過するエアフィルタの一種である。
前記HEPAフィルタ131は,前記垂直中心軸Pの周りに環状に配置固定された複数枚のフィルタの集合で構成されている。なお,複数枚のフィルタ各々は,例えば図5(b)に示すような骨組みに固定される。また,前記HEPAフィルタ131に含まれた複数枚のフィルタは,略水平方向に凹凸を繰り返すプリーツ状に配置されている。これにより,前記HEPAフィルタ131におけるフィルタ面積が十分に確保されている。なお,前記HEPAフィルタ131の下端と前記筐体10との間には,環状のシール部材162が設けられている。これにより,前記HEPAフィルタ131と前記筐体10との間の空気の漏れが防止される。
また,図2及び図3に示すように,前記HEPAフィルタ131の中央には,後述のフィルタ除塵部材132に設けられた連結部133が嵌挿される中空部131aが形成されている。また,前記中空部131aには,前記連結部133を回転可能に支持する支持部131bが設けられている。
【0026】
前述したように,前記サイクロン集塵装置Yでは,前記内筒フィルタ122及び前記HEPAフィルタ131の二段階で空気を濾過することにより塵埃の捕集力が高められている。
但し,前記HEPAフィルタ131に塵埃が堆積して目詰まりが生じると,空気の通過抵抗が大きくなる。そのため,前記電動送風機(不図示)の負荷が大きくなり吸塵力が低下するおそれがある。そこで,前記上部フィルタユニット13には,前記HEPAフィルタ131に付着した塵埃を除去する前記フィルタ除塵部材132が設けられている。
【0027】
前記フィルタ除塵部材132は,前記HEPAフィルタ131の中央部に設けられた前記支持部131bによって回転可能に支持されている。具体的に,前記フィルタ除塵部材132には,前記支持部131bに回転可能に支持される連結部材133が設けられている。
また,前記連結部133には,該連結部133に設けられたネジ穴133aに前記傾斜除塵部材134がネジ133bで螺着される。これにより,前記フィルタ除塵部材132及び前記傾斜除塵部材134が一体回転可能に連結される。なお,前記傾斜除塵部材134及び前記HEPAフィルタ131の間には,隙間を埋める環状のシール部材163が設けられている。これにより,前記傾斜除塵部材134及び前記HEPAフィルタ131の間の空気の漏れが防止される。
【0028】
前記フィルタ除塵部材132は,図2及び図5(a)に示すように,前記HEPAフィルタ131の上端部に接触するように該HEPAフィルタ131に沿って所定間隔で配置された二つの接触部132aを有している。前記接触部132aは板バネ状の弾性部材である。なお,前記接触部132aは,板バネ状の弾性部材に限られるものではない。また,前記接触部132aは,一つであっても或いはさらに複数であってもよい。
そして,前記フィルタ除塵部材132には,その外周部にギア132bが形成されている。このギア132bは,図2及び図3に示すように,前記サイクロン集塵装置Yに設けられた除塵駆動機構15に設けられたギア15aに噛合される。
【0029】
ここに,前記除塵駆動機構15は,図2に明らかな如く,前記掃除機本体部1側に設けられた不図示の駆動モータ(駆動手段の一例)(以下,「除塵駆動モータ」という)に連結される減速器及び該減速器に連結されたギア15aを有している。前記除塵駆動機構15では,前記除塵駆動モータの回転力が前記減速器を介して前記ギア15aに伝達される。そして,前記除塵駆動機構15のギア15aの回転力は,前記ギア132bに伝達される。これにより,前記フィルタ除塵部材132が回転される。
そして,上記フィルタ除塵部材132の回転は,前記したように,傾斜除塵部材134に伝達され,傾斜除塵部材134と一体に回転する内筒12及び内筒12と一体の螺旋状回転圧縮部123が前記垂直中心軸Pの周りに回転する。
なお,本実施の形態では,前記除塵駆動モータによって前記フィルタ除塵部材132が回転される場合を例に挙げて説明するが,前記除塵駆動モータに換えて,前記フィルタ除塵部材132を手動で回転させることのできる機構を設けることも他の実施例として考えられる。
さらに,除塵駆動モータ以外の別のモータによって,螺旋状回転圧縮部123を回転させることも当然考えられる。上部フィルタユニット13の除塵と,螺旋状回転圧縮部123の回転とを別に行いたい場合には,このような別駆動の方を採用することも考えられる。
【0030】
前記フィルタ除塵部材132が回転されると,該フィルタ除塵部材132に設けられた二つの前記接触部132a各々は,プリーツ状に形成された前記HEPAフィルタ131に断続的に衝突して振動を与える。従って,前記HEPAフィルタ131に付着した塵埃は,前記フィルタ除塵部材132から与えられる振動によって叩き落とされる。なお,前記除塵駆動モータ(不図示)が作動されるタイミングは,例えば前記電気掃除機Xにおける集塵動作の開始前や終了後であることが望ましい。これにより,前記電動送風機による吸気によって前記HEPAフィルタ131に下流側への気流がない状態で,前記HEPAフィルタ131の除塵を効果的に行うことができる。
【0031】
また,前述したように,前記塵埃受部14は,前記内筒12を回転可能に支持している。具体的に,前記塵埃受部14の開口14a縁部の下端には,前記内筒12の上端に設けられた環状の前記凹部12aに嵌合される環状の前記支持部14cが設けられている。これにより,前記内筒12は,前記塵埃受部14によって回転可能な状態で吊り下げられている。
【0032】
次に,前記した螺旋状回転圧縮部123の構造についてさらに詳しく説明する。
前述したように,サイクロン集塵装置Yは,概略円筒形状に形成され,上部に配置された上部フィルタユニット13と,下部に配置された集塵容器11とを備えて構成されている。
集塵容器11内に収納された前記内筒12の下端には,分離部104と集塵部105の境界部である円盤状遮蔽部材123cが一体的に接合されている。上記円盤状遮蔽部材123cとその下部の前記螺旋部123aの外径は,ほぼ同じで,分離部104の内径より小さく,円盤状遮蔽部材123cの外周と集塵容器11の内壁との間には隙間(クリアランス)106(図6)が存在している。隙間(クリアランス)106は,分離部104において分離した塵埃を集塵部105へ移動する場合に,ある程度の体積を持つ塵埃においてもスムーズに移動することができ,かつ一度集塵部105に移動・蓄積した塵埃を巻き上げ,内筒フィルタ122を詰まらさないようにするに適した値である。実験によれば13mm程度が望ましいことが分かった。
【0033】
さらにまた,上記螺旋部123aと集塵容器11内面との間の隙間(クリアランス)107(本発明における略円筒状の空間に相当する)は,集塵容器11の径が集塵容器11の底部に向かい小さくなる部分であるため,集塵容器11の底部に向かって小さくなるように構成されている。これにより,塵埃と集塵容器11の内壁側面との摩擦が大きくなり,螺旋状回転圧縮部123による中心軸P方向に塵埃を移動させる力が大きくなるため,されに効率的に圧縮が行なわれる。
【0034】
また,円盤状遮蔽部材123cは,高さ方向に所定の厚みを持つ。円盤状遮蔽部材123cの高さ方向の厚みは,分離部104における遠心分離性能に影響し,本実施例では,実験により求めた13mm程度としている。
【0035】
また,螺旋状回転圧縮部123の螺旋部123aは,前記したように上下の螺旋状曲面に挟まれて湾曲した板状に形成されており,円盤状遮蔽部材123cから下方に向かってほぼ垂直に伸びる回転軸部123bを中心にして,集塵容器11の底面に向かって始端(円盤状遮蔽部材123cとの接続部)から終端(下端)までが1周分以上,回転軸部123bの周囲に巻き付くように形成されている。上記巻き付き角度の望ましい数字としては,1.6周分である。このような巻き付きによって,螺旋部123aは,集塵容器11の内周面にそったサイクロン旋回気流(図6に矢印Aで示す)の回転方向に沿って下方に向かって傾斜する螺旋状の旋回面が形成されている。
【0036】
また,螺旋状回転圧縮部123の螺旋部123aの終端(下端)と集塵室105の底面との間には,隙間(クリアランス)108(図6参照)が介在している。これにより,回転軸中心から外側に向け押し出し,圧縮することが出来る塵埃量を大幅に増加することが出来る。
また上記隙間108の幅は,集塵室105の底部に押し付けられ,圧縮された塵埃が螺旋部分の終端と集塵室105底部の間に詰まることによる破損や,異物等の詰まりを起こすことを防ぐことができる値である。本実施例では,IEC規格に基づくDMT標準ゴミTYPE8を試験ゴミとして10g使用した実験により求めた上記隙間108の幅を6〜13mm程度としている。
【0037】
以上のように構成された電気掃除機の動作について以下に説明する。
図3,図6に示すように,分離室104の周方向に形成された接続部111の空気流入口111aから集塵容器11の分離室104に入った気流は,図6の矢印Aのように,分離室104の円筒状の内周面に沿って高速で旋回する。旋回気流中の比較的大きい塵埃には遠心力が作用して気流から分離され,集塵容器11の内壁へ押し付けられる。図2に示すように,空気の排気口121が,下方にあるため,その後,気流は旋回しながら,集塵室105に入る。図6において二点鎖線で示す矢印Aのように旋回する気流(主流)は,集塵室105の底面に到達した後は上昇に転じる。図6の例では,この螺旋状回転圧縮部123のまわりの間隙107を旋回する気流の回転方向と螺旋状回転圧縮部123の螺旋部123aの傾き方向が一致しており,サイクロン旋回気流を妨げることがない。このため,圧力損失が少なく効率的な遠心分離が可能であり,高い吸い込み仕事率が得られる。
【0038】
また,図6に二点鎖線で示す矢印Aの気流により運ばれる塵埃は,螺旋部123aの終端部(下端部)と集塵容器11の底面との間の空間112aに引っかかり(トラップされ),蓄積され,螺旋部123aの螺旋形状の湾曲面に沿って下側から順に積層されていく。このため,さらに圧力損失の増加を防ぐことができる。
【0039】
さらに,螺旋状回転圧縮部123のまわりの間隙107を旋回する気流の回転方向と螺旋状回転圧縮部123の螺旋部123aの傾き方向が一致しているため,蓄積・積層された塵埃は,気流によっても若干圧縮される。これにより,蓄積・積層された塵埃の容積が小さくなり,より効率的な塵埃捕集を達成できる。
【0040】
次に,塵埃の空気流による蓄積と積層の作用について説明する。
前述したように,吸引された塵埃は,分離部104において分離され,隙間106(図6)を通り,集塵部105へ導かれる。集塵部105においては,塵埃は隙間107を通り,隙間108によりせき止められる(トラップされる)ことにより,蓄積される。この蓄積は,螺旋状回転圧縮部123が回転されるごとに既に蓄積された塵埃の上に積層されていく。そのため,この集塵装置では,螺旋部123aに沿って,偏ることなく積層が成長していくため,集塵部105内で偏って蓄積されていくことがなく,同容積の集塵部と比較して集塵可能容量が飛躍的に向上する。
また,螺旋部123aは,サイクロン旋回気流の回転方向に沿って下方に向かって傾斜する方向性をもつ螺旋形状とすることが出来る。この場合には,サイクロンの気流による圧縮効果も得られる。これにより,さらに集塵可能容量が向上する。
【0041】
次に,回転圧縮の作用について具体的に説明する。
たとえば,送風駆動モータの駆動が停止されると,気流が旋回を止める。送風駆動モータの駆動停止が確認された後,除塵駆動機構15が駆動されると,上述したように内筒12,排気口121,円盤状遮蔽部材123c,螺旋状回転圧縮部123,回転軸部123bが一体となって,垂直中心軸Pを中心として,図8の矢印D方向(上面から見て,反時計方向)に回転する。このようにして,除塵駆動機構15による回転が,図8に示される第1の回転軸線152と第2の回転軸線153を介して回転軸部123bに伝達される。
こうして螺旋状回転圧縮部123が回転すると,螺子の原理により,回転軸方向(図9の矢印Eで示す垂直下向き方向)に推力が発生する。この推力により,集塵室105に蓄積されている図9の塵埃200は,回転軸方向に押し出され,集塵容器11の底面に押し付けられることにより回転軸方向に圧縮される。
このように,この実施形態では,圧縮部材の一例である螺旋状回転圧縮部123を回転駆動する圧縮部材駆動手段が,本発明における圧縮部材駆動手段の一例を構成し,前記フィルタ手段の一例である上部フィルタユニット13の清掃機構を駆動するための手段である除塵駆動機構15と兼用されているので,装置の兼用化により部品点数を減少させ,或いは装置を小型化させることに成功している。
【0042】
ところで,サイクロン集塵装置Yでは,塵埃が図10における300(ほぼ螺旋部123aの始端の位置)よりも上部まで積層された場合,上側から新たに塵埃201(図9参照)が吸引されて来ても,塵埃201は引っかかる部分がないため積層・集積することができず,内筒12の回りを回転し続けてしまう。回転し続けることにより,内筒フィルタ122に大量の塵埃が付着し,吸引力が急激に低下する。また,送風駆動モータに大きな負担がかかり,製品寿命を低下させる。
【0043】
しかしながら,この集塵装置Yでは,螺旋部123aの回転によって集塵容器の底面との間に蓄積した塵埃に回転を与え,これによって軸中心から外側に向かって押し出すことで圧縮するので,螺旋状回転圧縮部123と集塵容器11の底部との間の塵埃200は,一度圧縮されると,回転停止後,さらには,集塵容器11を解放して圧縮力が解除された後も,圧縮状態が保持される。
【0044】
このように,圧縮状態が保持されることにより,塵埃は高さ300よりも下部で保持されることになり,上方から新たに塵埃201が吸引された場合でも,塵埃は集積され,螺旋状回転圧縮部123の回転により,新たな塵埃201をさらに圧縮することが出来,効率的な連続圧縮を行うことが出来る。その結果,実験によれば,同容量の集塵部において約3倍の集塵可能容量向上効果が確認された。
【0045】
また,この集塵装置Yでは,一度の吸引によって,大量の塵埃を捕塵し,塵埃の高さが図10における300まで到達した場合でも,螺旋部123aと接触している塵埃と一体となり,回転軸方向へ押し出され,圧縮を行うことができる。
【0046】
また,螺旋状回転圧縮部123が回転し圧縮動作を行うものであるため,螺旋状回転圧縮部123の回転によって塵埃に軸回転中心から外側向きの力が発生する。そのため,塵埃は円筒状の回転軸部123b部分にはあまり付着しない傾向があり,メンテナンス性が飛躍的に高まる。さらに,塵埃が螺旋状回転圧縮部123に付着した場合においても,螺旋状回転圧縮部123が回転することによって,塵埃を下方へ押し出し圧縮する際に塵埃により,剥がされていく。このように,螺旋状回転圧縮部123のメンテナンス性は非常に高い。
【0047】
さらに,前記したように,圧縮後の塵埃はドーナツ型に固められ一体化しているため,ゴミ捨て時のゴミ飛散やこぼれ落ちなどを防ぐことができ,効率的なゴミ捨てが行える。
【0048】
螺旋状回転圧縮部123の回転を,モータなどの駆動手段によって行なうことにより,送風駆動モータの駆動中(吸引中)に螺旋状回転圧縮部123を自動的に回転させることができる。この動作によって,塵埃を捕集・集積すると同時に塵埃を圧縮することができる。これにより,さらに効率的に圧縮することができ,上記の効果がさらに高まる。また,一度に大量の塵埃を吸引した場合でも圧縮が可能なため,長時間連続して掃除を行うことができる。
【0049】
さらにまた,送風駆動モータの駆動中(吸引中)に螺旋状回転圧縮部123を間欠的に回転させることにより,塵埃の捕集と同時に圧縮を行うことが出来るとともに,螺旋状回転圧縮部123を長い時間にわたって駆動し続けることがないため,消費電力の増加を防ぎ,駆動機構の寿命に伴う製品寿命を高めることができる。さらに,圧縮部駆動機構が駆動する際の騒音を低減することができ,より静かで使用しやすいサイクロン集塵装置が得られる。
【0050】
次に,上記螺旋状回転圧縮部123に駆動態様について説明する。
例えば集塵容器11内部の捕集対象物の堆積状態などを検知するセンサを配することにより,その検知結果に応じて螺旋状回転圧縮部123を回転させ,或いは停止させるという間欠回転制御が可能になる。
図7(a)は,集塵容器11を含む集塵装置全体の分解斜視図,(b)は,(a)に示した集塵容器11を後記する光学センサ500の光軸505を含む水平面で切断した断面図である。
図7に示した集塵容器11の下部側面を覆うカバー502内には,投光部504及び受光部503を備えた光学センサ500が設けられている。光学センサ500は上記センサの一例である。この場合,投光部504及び受光部503は,捕集容器の一例である集塵容器11の底部近くを光軸505が横切るように,例えば分離部104の周辺であって,圧縮部材123とは干渉しない部分を上記光軸505が通過するように配置することが適切である。
上のように光学センサ500の光軸505が,圧縮部材123と干渉しないように配置することで,回転する圧縮部材123によって光軸505が遮られて光学センサ500にノイズが生じるという不都合が回避される。また,この実施形態に係るサイクロン式集塵装置では,旋回する空気流による遠心力で塵埃が集塵容器11の内周面近くに堆積するものであるので,光学センサ500を,図7(b)のように,集塵容器11の内周面に沿って配置することで,塵埃の堆積量を正確に測定することができる。上記光学センサ500の一例として赤外線センサが考えられる。光学センサ500は,上記集塵容器11の垂直側壁508にその軸心が水平あるいは垂直(光軸507の方向)となるように配置されてもよく,受光量の多少に基づいて集塵容器11の底部近くに貯まった塵埃の量を検出することができる。光学センサ500が第1の検知手段の一例である。上記光学センサ500によって,捕集容器11内における塵埃の捕集量が検出されるので,この捕集量が適当な量となった時に圧縮部材123を回転させて塵埃を圧縮処理することができる。
このように,分離部104と集塵容器11の間に塵埃がたまっている場合は螺旋状回転圧縮部123を回転させるという制御により,運転中における塵埃の圧縮とサイクロン方式による分離能力回復を必要なタイミングで自動的に行うことができる。
【0051】
さらに,前記集塵容器に流入する空気の前記集塵容器内部空間より上流側流路における塵埃の通過を検知する光学センサを設けることにより,その部分を一定量の塵埃が通過したら螺旋状回転圧縮部123を回転させるという逐次的な間欠制御を行うこともできる。例えば,図7(a)に示すように,接続部111の空気流通方向上流の流路に塵埃の通過を検知する赤外線センサ506を備える。この赤外線センサ506は,塵埃の通過のみを検知し,その絶対量は検知できないとしても,連続して所定時間(例えば10秒間)検知状態になった場合や,総検知時間が所定時間(例えば数10秒)に達した場合,相当量の塵埃が集塵容器11内に蓄積されたと判断されるので,その時点で圧縮部123を回転させることにより,ほぼ一定量に達した塵埃を固く圧縮するという間欠制御が実現できる。
上記赤外線センサ506が,本発明における第2の検知手段の一例である。
【0052】
また,螺旋状回転圧縮部123をモータなどの駆動手段によって自動的に回転させる場合に,回転負荷が大きすぎる状態のまま回転を強行すると駆動手段や螺旋状回転圧縮部123を損傷する可能性がある。そのため,何らかの手段で負荷が大きくなっている状態を事前に検知し,停止や逆転などの対応を行って,過負荷を未然に防止する必要がある。
回転負荷の検出手段の一例として,螺旋状回転圧縮部123の回転速度を観測する手法が考えられる。
例えばモータなどの駆動手段151(図8参照)の軸152について回転量を検知する図外の光学式エンコーダを配し,回転量が例えば通常時(定格負荷時の回転速度などから換算)の1/3まで落ちている場合は,駆動手段151による螺旋状回転圧縮部123の回転を停止するという制御が可能である。
また,回転負荷の検出手段の一例として,螺旋状圧縮部123の回転に対するトルク反力を観測する手法も考えられる。例えば駆動手段151がDCモータである場合,トルク反力の一例としてモータ電流を容易に観測することができ,モータ電流が定格の1.5倍に達した場合は螺旋状回転圧縮部123の回転を停止するという制御が可能である。
【0053】
これら回転負荷が大きくなっている状態においては,これ以上の圧縮不可能なほど塵埃が圧縮・集積された場合以外にも,例えばクリアランス107の一部など,どこかの空隙に塵埃が詰まって抵抗を生じている場合も考えられる。このような場合を想定し,塵埃の詰まりを解消する目的で,上記の螺旋状回転圧縮部123の回転量の検出や螺旋状回転圧縮部123の回転負荷の検出といった手段により回転負荷を検知した場合に,上記のように一定時間螺旋状回転圧縮部123を逆転させる制御も行うことによりロバストな圧縮システムが実現できる。
具体的には,回転負荷が大きくなっていることを検知したら螺旋状回転圧縮部123を2秒間ほど逆回転し,再度順方向回転に切り替える。この順方向回転中にも同様の回転負荷が検知された場合は回転を停止する,という手順で実現可能である。
【0054】
掃除などの塵埃の捕集工程を開始するときに,以前に捕集した捕集対象物である塵埃が集塵容器11内にたまっていることが往々にしてありうる。上記のような以前の塵埃が圧縮されないままに集塵容器11内に蓄積されていると,後の捕集時に抵抗となって捕集量を増加させることの妨げとなりうる。そこで,掃除工程の開始前に前記螺旋状回転圧縮部123の駆動手段を駆動して,集塵容器11内の空気抵抗を予め少なくすることが望ましい。
【0055】
上記のような集塵工程(掃除工程)の開始前に螺旋状回転圧縮部123の駆動手段を駆動するに際しては,集塵工程の開始前に前記赤外線センサ500(第1の検知手段)及び/若しくは赤外線センサ506(第2の検知手段)によって塵埃の捕集状態を検知し,その検知された状態に応じて螺旋状回転圧縮部123の駆動手段を駆動するようにしてもよい。
【0056】
また,前記螺旋状回転圧縮部123が回転駆動された後に,前記赤外線センサ500(第1の検知手段)及び/若しくは赤外線センサ506(第2の検知手段)によって塵埃の捕集状態を検知すること,つまり,螺旋状回転圧縮部123によって捕集された塵埃を圧縮しつつ,前記赤外線センサ500(第1の検知手段)及び/若しくは赤外線センサ506(第2の検知手段)によって塵埃の捕集状態を検知して,その検知された状態に応じて,螺旋状回転圧縮部123の回転駆動を継続或いは停止することで,螺旋状回転圧縮部123の回転による過負荷を防止することが望ましい。
【0057】
また,集塵容器11の内壁側面に図14に示す縦方向のリブ400を設けることにより,螺旋状回転圧縮部123と集塵容器11とのクリアランスを部分的に小さくすることが出来る。このような構成によって,螺旋状回転圧縮部123による回転軸方向の推力が大きくなるため,さらに効率的に圧縮が行える。また,集塵容器11の内壁側面のリブ400は集塵容器11底面に向かうに連れ螺旋状回転圧縮部123と集塵容器11とのクリアランスが小さくなるようにつけられることで,さらに効率的に塵埃を圧縮することが出来る。
リブ400は,1本でも効果があるが,バランス上,複数,均等に設けることが望ましい。
また,螺旋部123aと集塵容器11の内壁側面との間の塵埃を押し出すための摩擦を発生させるための抵抗を生じさせる構造は,集塵容器11の内壁側面にリブ400に限らず,抵抗となる凹凸や表面処理でもよい。
【0058】
図11に示す螺旋状回転圧縮部123においては,螺旋部123aの外周端と集塵室105の内壁側面との間に隙間(クリアランス)107を有し,集塵容器11の内周部の径が一定であり,集塵容器11の底部に向かい小さくなる部分がない。即ち,前記隙間(クリアランス)107は,集塵容器11の底部に向かって一定である。その他の構成は実施の形態1と同様である。このような集塵容器11の場合,内径が集塵容器11の底部に向かい小さくなる部分がないため,集塵部105の容積が増加し,かつ一定の回転軸方向の推力で圧縮を行えるため,より多くの塵埃を蓄積・積層することが出来る。また,隙間(クリアランス)107は,集塵容器11の底部に向かって一定であるため,塵埃と集塵室11の内壁側面との摩擦も変化せず,一定の回転軸方向の推力で圧縮を行えるため,螺旋状回転圧縮部123が,塵埃の詰りによって固定されるロックを防ぐ効果が得られる。
【0059】
螺旋形状回転圧縮部123がロックせずに回転し続けることで,集塵部105の単位体積当りに集塵できるゴミ容量が多くなり,同じゴミ容量を集塵する場合,よりコンパクトで軽量な電気掃除機を提供することができる。その結果,取り回しを行いやすくなり,ユーザの負担を軽減することができ,ユーザの掃除効率を飛躍的に高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xの外観図。
【図2】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を説明するための断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を説明するための断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yに設けられた螺旋状回転圧縮部を説明するための図((a)は,下方から見た斜視図,(b)は,上方から見た斜視図)。
【図5】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yに設けられた上部フィルタユニット13を説明するための図。
【図6】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を螺旋状回転圧縮部を中心として説明するための断面図。
【図7】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を説明するための一部断面図を含む分解斜視図。
【図8】本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの螺旋状回転圧縮部への回転力伝達経路を説明するための断面図。
【図9】螺旋状回転圧縮部の回転によって,塵埃が圧縮・積層される状況を説明するサイクロン集塵装置Yの断面図。
【図10】螺旋状回転圧縮部への塵埃の貯まり具合を説明するサイクロン集塵装置Yの断面図。
【図11】直円筒状の集塵容器が用いられた場合のサイクロン集塵装置Yの断面図。
【図12】螺旋部の設定位置を説明するためのサイクロン集塵装置Yの断面図。
【図13】螺旋部の設定位置を説明するためのサイクロン集塵装置Yの斜視図。
【図14】集塵容器に形成されるリブを説明するためのサイクロン集塵装置Yの側断面図。
【図15】集塵容器に形成されるリブを説明するためのサイクロン集塵装置Yの水平断面図。
【符号の説明】
【0061】
10…筐体(分離装置本体)
11…集塵容器(捕集容器)
12…内筒
13…上部フィルタユニット
14…集塵受部
15…除塵駆動機構
104…分離部
105…集塵部
123…螺旋状回転圧縮部
123a…螺旋部(圧縮部)
123b…回転軸部
123c…円盤状遮蔽部材
123d…始端部
200,201…塵埃
400…リブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面が略円筒状の捕集容器を備え,該捕集容器の円周部にその周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置であって,
前記捕集容器内に設けられ,該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材と,
前記補集容器内における補集対象物を検知する第1の検知手段とを備えてなるサイクロン分離装置。
【請求項2】
内周面が略円筒状の捕集容器を備え,該捕集容器の円周部にその周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置であって,
前記捕集容器内に設けられ,該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材と,
前記捕集容器に流入する空気の前記捕集容器内部空間より上流側流路における補集対象物の通過を検知する第2の検知手段とを備えてなるサイクロン分離装置。
【請求項3】
前記圧縮部材を自動的に回転駆動する圧縮部材駆動手段をさらに備えてなる請求項1または2に記載のサイクロン分離装置。
【請求項4】
前記圧縮部材の回転量を検知する回転量検知手段をさらに備えてなる請求項1〜3のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項5】
前記圧縮部材のトルク反力を検知するトルク反力検知手段をさらに備えてなる請求項1〜4のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項6】
前記圧縮部材駆動手段は,前記フィルタ手段の清掃機構を駆動するための手段と兼用されてなる請求項3〜5のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項7】
前記圧縮部材駆動手段が,前記圧縮部材を,補集対象物の補集工程の開始前に回転駆動されるように制御するものである請求項3〜6のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項8】
圧縮部材駆動手段が,補集工程の開始前に前記圧縮部材を駆動するに際して,補集工程の開始前に前記第1及び/若しくは第2の検知手段によって捕集対象物の捕集状態を検知し,その検知された状態に応じて圧縮部材を駆動するように制御してなる請求項3〜7のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項9】
圧縮部材駆動手段が,圧縮部材によって捕集対象物を圧縮しつつ,前記第1及び/若しくは第2の検知手段によって捕集対象物の捕集状態を検知して,その検知された状態に応じて,圧縮部材の回転駆動を継続或いは停止するように制御してなる請求項3〜8のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項10】
圧縮部材駆動手段が,前記回転量検知手段による検知結果に応じて前記圧縮部材を回転駆動する請求項4〜9のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項11】
前記圧縮部材駆動手段が,前記回転量検知手段によって検知された回転量が予め定められた回転量より少ない場合に過負荷と判断して前記圧縮部材の回転駆動を停止するように制御してなる請求項4〜10のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項12】
前記圧縮部材駆動手段が,前記トルク反力検知手段による検知結果に応じて前記圧縮部材の回転駆動を行うように制御してなる請求項5〜11のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項13】
前記捕集対象物が,塵埃である場合に,サイクロン集塵装置に適用されてなる請求項1〜12のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項1】
内周面が略円筒状の捕集容器を備え,該捕集容器の円周部にその周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置であって,
前記捕集容器内に設けられ,該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材と,
前記補集容器内における補集対象物を検知する第1の検知手段とを備えてなるサイクロン分離装置。
【請求項2】
内周面が略円筒状の捕集容器を備え,該捕集容器の円周部にその周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置であって,
前記捕集容器内に設けられ,該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材と,
前記捕集容器に流入する空気の前記捕集容器内部空間より上流側流路における補集対象物の通過を検知する第2の検知手段とを備えてなるサイクロン分離装置。
【請求項3】
前記圧縮部材を自動的に回転駆動する圧縮部材駆動手段をさらに備えてなる請求項1または2に記載のサイクロン分離装置。
【請求項4】
前記圧縮部材の回転量を検知する回転量検知手段をさらに備えてなる請求項1〜3のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項5】
前記圧縮部材のトルク反力を検知するトルク反力検知手段をさらに備えてなる請求項1〜4のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項6】
前記圧縮部材駆動手段は,前記フィルタ手段の清掃機構を駆動するための手段と兼用されてなる請求項3〜5のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項7】
前記圧縮部材駆動手段が,前記圧縮部材を,補集対象物の補集工程の開始前に回転駆動されるように制御するものである請求項3〜6のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項8】
圧縮部材駆動手段が,補集工程の開始前に前記圧縮部材を駆動するに際して,補集工程の開始前に前記第1及び/若しくは第2の検知手段によって捕集対象物の捕集状態を検知し,その検知された状態に応じて圧縮部材を駆動するように制御してなる請求項3〜7のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項9】
圧縮部材駆動手段が,圧縮部材によって捕集対象物を圧縮しつつ,前記第1及び/若しくは第2の検知手段によって捕集対象物の捕集状態を検知して,その検知された状態に応じて,圧縮部材の回転駆動を継続或いは停止するように制御してなる請求項3〜8のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項10】
圧縮部材駆動手段が,前記回転量検知手段による検知結果に応じて前記圧縮部材を回転駆動する請求項4〜9のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項11】
前記圧縮部材駆動手段が,前記回転量検知手段によって検知された回転量が予め定められた回転量より少ない場合に過負荷と判断して前記圧縮部材の回転駆動を停止するように制御してなる請求項4〜10のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項12】
前記圧縮部材駆動手段が,前記トルク反力検知手段による検知結果に応じて前記圧縮部材の回転駆動を行うように制御してなる請求項5〜11のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【請求項13】
前記捕集対象物が,塵埃である場合に,サイクロン集塵装置に適用されてなる請求項1〜12のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−4909(P2010−4909A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164041(P2008−164041)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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