説明

サイクロン式分離装置

【課題】分離されたゴミの再混合というリスクを低減させること。
【解決手段】本発明は、ゴミ混合エアを接線方向的に内部へと導入する入口(16)を有したサイクロンボディ(12)を具備したサイクロン式分離装置に関するものである。サイクロンボディ(12)には、清浄化したエアを導出する中央出口(18)が設けられている。装置(10)は、さらに、サイクロンボディ(12)の内部に連通した導入部(30)と、収集部(32)と、を有したゴミ収集チャンバ(14)を具備している。装置(10)は、さらに、ゴミ収集チャンバ(14)の収集部(32)に対して連通した第1端と、サイクロンボディ(12)の内部に対して連通した第2端を、を有したエア戻りダクト(42)を具備している。これにより、ゴミ収集チャンバへとエアを分流できるとともに、導入部を通過させずにサイクロンボディ内へと分流エアを戻すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイクロン式分離装置、および、ゴミ混合エアからゴミを分離するための方法に関するものである。限定するものではないが、本発明は、特に、真空掃除機において好適に使用されるサイクロン式分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サイクロン式分離装置は、周知である。そのような装置においては、ゴミ混合エアが、サイクロンボディの内部へと接線方向的に導入される。ゴミ混合エアは、サイクロンボディの内表面に沿って螺旋経路を描く。このため、混合されているゴミに対して遠心力が作用する。サイクロンボディの底部において、エア流は、サイクロンボディの軸線に平行な移動方向へと、移動方向を反転させ、ゴミは、エア流から分離される。分離されたゴミは、サイクロンボディの底部に収集される。一方、清浄化されたエアは、サイクロンボディの上部中央に設置された出口を通って、装置から導出される。家庭用真空掃除機に対しての、このタイプの分離装置の応用例は、欧州特許出願公開明細書第0 042 723号、米国特許明細書第5,160,356号、および、米国特許明細書第5,078,761号に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開明細書第0 042 723号
【特許文献2】米国特許明細書第5,160,356号
【特許文献3】米国特許明細書第5,078,761号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このタイプの構成の欠点は、収集されたゴミの量が増加するにつれて、収集されたゴミがエア流内に再度混合されてしまうというリスクが、増大することである。収集したゴミを移送して内部に集積するためのゴミ収集チャンバをサイクロンボディから離間したところに設けることによって、この種の問題点を解決しようとする、いくつかの試みが、既になされている。 Electrolux 社によって製造され“CYCLONE POWER BAGLESS HOME CLEANING SYSTEM”(Model Number Z58102T)という商標名で販売されている円筒形真空掃除機は、そのような特徴点を有している。同様の構成は、国際特許出願第9611047号に示されている。理論的には、収集されたゴミは、メインのエア流から離間した状態に維持され、これにより、再混合というリスクが低減されて、ゴミを装置から廃棄するまでに、より多量の分離されたゴミを収集することができる。しかしながら、ゴミ収集チャンバが、このゴミ収集チャンバに対する入口を除いては、すべての部分において閉塞されていることにより、ゴミ収集チャンバ内へと流入するエアは、ゴミ収集チャンバ内において複雑な経路を通り、最終的には、入口を通ってゴミ収集チャンバから出ていくしかない。このため、ゴミ収集チャンバ内においては、かなりの程度の乱流が発生し、既に分離されたゴミが、戻りエアによって、メインのエア流内へと戻ってしまうこととなる。閉塞されたゴミ収集チャンバ内に存在する乱流状況における他の欠点は、分離されたゴミが、ゴミ収集チャンバをなす様々な部材に対して付着してしまうことである。これにより、ゴミ収集チャンバからのゴミの廃棄操作が、かなり面倒なものとなってしまう。使用者がゴミ収集チャンバ内のゴミに対して触れないようにする廃棄手段を使用することが要望されている場合には、ゴミの廃棄操作が、さらに、面倒なものとなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、分離されたゴミの再混合というリスクを低減させたようなサイクロン式分離装置を提供することである。本発明の他の目的は、装置のゴミ収集容量を改良したようなサイクロン式分離装置を提供することである。本発明のさらに他の目的は、分離されたゴミの再混合というリスクを低減させていると同時に装置のゴミ収集容量を増大させているようなサイクロン式分離装置を提供することである。本発明のさらなる目的は、使用者がゴミ収集チャンバ内のゴミに対して触れないようにして容易にかつ簡便にゴミの廃棄を行い得るようなサイクロン式分離装置を提供することである。本発明のなおも他の目的は、分離されたゴミの再混合というリスクを低減させるような、ゴミ混合エアからのゴミの分離方法を提供することである。
【0006】
本発明は、請求項1に記載されたようなサイクロン式分離装置を提供する。また、本発明は、請求項21に記載されたような、ゴミ混合エアからゴミを分離するための方法を提供する。好ましい特徴点や有利な特徴点は、従属請求項において規定されている。
【0007】
ゴミ収集チャンバの収集部とサイクロンボディの内部との双方に連通したエア戻りダクトを設けていることにより、ゴミ収集チャンバ内へと流入したエアがサイクロンボディ内へと戻り得るような個別の出口経路がもたらされる。このことは、多くの利点を有している。第1に、ゴミ収集チャンバ内のエア流の乱流度合いが小さくなり、そのため、ダストの再巻込が低減する。第2に、サイクロンボディ内のメインエア流に対して再導入されるエアの量が少ないまたはないことにより、メインエア流の乱流度合いが小さくなる。第3に、ゴミ収集チャンバ内へと流入するエア量を少なくできることにより、分離されたゴミやファイバを、収集部内の限定された領域内へと収集することができ、分離されたゴミやファイバを、その限定領域から容易に廃棄することができる。要望によっては、使用者が収集ゴミに触れることなく、容易に廃棄することができる。
【0008】
エア戻りダクトの第2端が、サイクロンボディ内の当該連通箇所におけるエア流通方向に対して鋭角でもって傾斜した方向で、サイクロンボディの内部に対して、連通していることが好ましい。このことは、使用時にエア戻りダクトの第2端を通過するエア流が、ベンチュリ効果によってゴミ収集チャンバからサイクロンボディ内へとエアを抽気し得ることにより、有利である。このことは、ゴミ収集チャンバを通しての円滑なエア流を形成を補助する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明によるサイクロン式分離装置を示す斜視図である。
【図2】図1の装置を示す側面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿った矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明を限定するものではなく単なる例示としての実施形態について、説明する。
【0011】
図面には、本発明によるサイクロン式分離装置(10)が示されている。装置(10)は、サイクロン式真空掃除機内に備えられるのに特に好適なものである。サイクロン式分離装置(10)は、サイクロンボディ(12)と、ゴミ収集チャンバ(14)と、を備えている。サイクロンボディ(12)は、全体的に円筒形状とされている。サイクロンボディ(12)は、サイクロンボディ(12)の内部に対して接線方向的に連通するように形成されたゴミ混合エア入口(16)を有している。サイクロンボディ(12)は、さらに、サイクロンボディ(12)の上端中央に配置されかつサイクロンボディと同軸的なものとされた出口(18)を有している。入口(16)および出口(18)の直径は、実質的に互いに同じとされている。サイクロンボディ(12)の上端には穴開きシュラウド(20)が、シール的に設けられており、サイクロンボディ(12)の内部へと向けて上端から懸架されている。このシュラウド(20)は、サイクロンボディ(12)および出口(18)と同軸的であり、先端部(20a)が閉塞されている。シュラウド(20)は、入口(16)を通ってサイクロンボディ(12)内へと流入したエアを出口(18)を通って導出することを可能とするための、多数の貫通穴(22)を有している。シュラウド(20)の機能および目的は、上述した米国特許明細書第5,078,761号に示されているように、サイクロンボディ(12)内へと流入した綿毛や微細ファイバが出口(18)から導出されるというリスクを低減することである。
【0012】
ゴミ収集チャンバ(14)は、サイクロンボディ(12)の底端部においてサイクロンボディ(12)と連通している。すなわち、入口(16)および出口(18)から離間している、サイクロンボディ(12)の底端部においてサイクロンボディ(12)と連通している。ゴミ収集チャンバ(14)は、上から見たときにはサイクロンボディ(12)から横方向に延出されており、全体的にU字形構成を有している(図3)。ゴミ収集チャンバ(14)は、サイクロンボディ(12)と収集部(32)とを連接する接線方向延出部分の形態とされた導入部(30)を有している。導入部(30)は、U字形部(30c)へと連なる直線部(30b)に対して連通する開口部(30a)を有している。各部分(30a,30b,30c)の形状は、導入部(30)に沿った流通方向から見たときには、全体的に矩形形状とされている。しかしながら、側方において導入部(30)を規定している外壁(34)は、少なくとも内側部分においては、円滑に湾曲している。これにより、各部分(30a,30b,30c)は、急激な曲がりや突然の方向変化を一切有していない。
【0013】
収集部(32)は、円筒形チャンバ(32a)を有している。この円筒形チャンバ(32a)に対しては、U字形部(30c)のうちの、開口部(30a)から離れた方の端部が、開口している。円筒形チャンバ(32a)を規定している壁(36)は、サイクロンボディの壁と一緒に気密シールを形成し得るよう、ポイント(38)のところにおいて、サイクロンボディ(12)の壁に対して当接している。壁(36)のうちの、ポイント(38)とU字形部(30c)との間に延在しかつ直線部(30b)に対向した部分には、壁を貫通している複数の貫通穴(40)が形成されている。図1からわかるように、複数の貫通穴(40)は、複数の水平方向列をなすようにして、かつ、互いに隣接した水平方向列どうしが互いにオフセットされているようにして、配置されている。
【0014】
複数の貫通穴(40)は、エア戻りダクト(42)に対して連通している。エア戻りダクト(42)は、部分的には、収集部(32)を規定している壁(36)によって、部分的には、導入部(30)を規定している壁(34)によって、および、部分的には、サイクロンボディ(12)の壁によって、形成されている。エア戻りダクト(42)は、さらに、上壁(44)および下壁(46)によって形成されている。エア戻りダクト(42)は、サイクロンボディ(12)の壁を貫通して延在する開口(48)を有してなる出口を備えている。これにより、エア戻りダクト(42)は、サイクロンボディ(12)の内部に対して連通している。開口(48)は、ゴミ混合エアの流入方向(矢印A)から見て、ゴミ収集チャンバ(14)の開口部(30a)よりも下流側において、サイクロンボディ(12)の内部へと開口するようにして、サイクロンボディ(12)の壁に配置されている。開口部(30a)の下流側エッジと、開口(48)の上流側エッジと、の間の周縁方向離間角度(α)は、サイクロンボディ(12)内を循環するメインのエア流がなすサイクロン流に対する擾乱を最小とし得るよう、比較的小さな値に維持されている。周縁方向離間角度(α)は、理想的にはおよそ15°とされ、最大で40°とすることができる。
【0015】
開口(48)は、サイクロンボディ(12)内のメインのエア流の、開口(48)がサイクロンボディ内へと開口しているところにおける流通方向(A)に対して、鋭角(β)でもって傾斜している。ここでは、鋭角(β)は、およそ30°として図示されている。鋭角(β)は、20°〜50°の範囲とすることができる。開口(48)が傾斜していることは、エア戻りダクト(42)からサイクロンボディ(12)内へと再導入されるエアが再導入時にメインのエア流を乱してしまうというリスクを低減する。しかしながら、また、エア戻りダクト(42)内のエアが、メインのエア流に基づくベンチュリ効果によって、サイクロンボディ(12)内へと抽気されることが望ましい。
【0016】
ゴミ収集チャンバ(14)の収集部(32)には、収集したゴミを収集部から除去するための手段が設けられている。円筒形チャンバ(32a)の直下には、円筒形コンジット(50)が連接されている。円筒形コンジット(50)は、円筒形チャンバ(32a)と同様の直径を有している。円筒形チャンバ(32a)のフロア(52)は、(任意の周知構成によって)スライド可能にまたは回転移動可能に、設置されている。これにより、フロア(52)は、円筒形チャンバ(32a)と円筒形コンジット(50)の内部との間のバリアを形成する位置(図2において実線で示す位置)から、変位可能とされている。変位した位置(図2において破線で示す位置)においては、円筒形チャンバ(32a)は、円筒形コンジット(50)の内部に対して直接的に連通することとなる。円筒形コンジット(50)の下端(50a)は、開放されている。
【0017】
円筒形チャンバ(32a)の上側においては、第2の円筒形コンジット(54)が連通状態で連接されている。第2円筒形コンジット(54)は、円筒形チャンバ(32a)および円筒形コンジット(50)の双方に対して軸方向に位置合わせされている。この場合にも、第2円筒形コンジット(54)の直径は、円筒形チャンバ(32a)の直径と、実質的に同様のものとされている。第2円筒形コンジット(54)の内部には、プランジャー(56)が、スライド可能に設けられている。プランジャー(56)の上面に対しては、駆動部材(58)が固定されている。第2円筒形コンジット(54)、円筒形チャンバ(32a)、円筒形コンジット(50)、および、プランジャー(56)に関しての、それぞれの構成および寸法は、第2円筒形コンジット(54)内に完全に位置している状態から円筒形コンジット(50)内に完全に位置している状態へとプランジャー(56)が移動し得るようなものとされている。それら2つの状態間を移動する際には、プランジャー(56)は、円筒形チャンバ(32a)を通過する。必要であれば、プランジャー(56)は、円筒形コンジット(50)内において円筒形コンジット(50)の下端(50a)に位置したあるいは隣接した位置にまで、移動させることができる。
【0018】
上述した装置は、以下のようにして動作する。ゴミ混合エアは、ゴミ混合エア入口(16)に沿って、装置(10)内へと導入される。その後、ゴミ混合エアは、サイクロンボディ(12)内へと接線方向的に流入し、入口(16)の向きに見たときに、ゴミ混合エアは、サイクロンボディ(12)の上端から下端へと向けてサイクロンボディ(12)の内表面に沿った全体的螺旋経路を描いて移動する。エア流が方向を反転させ、サイクロンボディ(12)の下端から上向きに移動し始めた時には、ゴミが、メインのエア流から分離される。メインのエア流は、シュラウド(20)に形成された貫通穴(22)を経由して、出口(18)を通って装置(10)から導出される。
【0019】
サイクロンボディ(12)の下端においてメインのエア流から分離されたゴミおよびダスト粒子は、サイクロンボディ(12)の下端回りにおける円形経路に沿っての移動を継続する。ゴミおよびダスト粒子は、部分的には慣性によってまた部分的にはメインエア流からの少量(好ましくは10%以下、最大でも20%)の分流によって、ゴミ収集チャンバ(14)の導入部(30)の開口部(30a)内へと搬送される。ゴミおよびダスト粒子は、導入部(30)へと流入してきた分流エアによって、直線部(30b)に沿ってさらにはU字形部(30c)に沿って、搬送される。ゴミおよびダスト粒子は、導入部に沿って搬送され続け、最終的には、ゴミ収集チャンバ(14)の収集部(32)へと到達する。円筒形チャンバ(32a)の寸法が、導入部(30)の寸法よりもやや大きいことにより、慣性的な分離が起こり、ゴミおよびダスト粒子は、円筒形チャンバ(32a)内へと堆積する。
【0020】
導入部(30)内へと流入しさらには収集部(32)へと流入した分流エアは、壁(36)の貫通穴(40)を通過し、エア戻りダクト(42)内へと到達する。貫通穴(40)を通してエアが抜けることにより、分流エアからのゴミおよびダスト粒子のさらなる分離が促進され、すべての大きなゴミおよびダスト粒子は、この時点で、円筒形チャンバ(32a)内に保持される。一方、分流エアは、エア戻りダクト(42)から、開口(48)を通ることによって、サイクロンボディ(12)へと再導入される。サイクロンボディ(12)内における、流通方向(A)に対しての開口(48)の長さ方向における傾斜は、サイクロンボディ(12)内への分流エアの戻りを促進する。この場合、上述したように、サイクロンボディ(12)内におけるメインエア流の循環に対しての擾乱は、最小である。しかしながら、角度(β)は、開口(48)がなす開口部分を横切ってのメインエア流の通過によるベンチュリ効果によって、分流エアがエア戻りダクト(42)からサイクロンボディ(12)内へと吸引され得るように、十分に大きなものとされている。
【0021】
開口(48)が、サイクロンボディ(12)の壁において、導入部(30)の開口部(30a)の近傍箇所に形成されていることが好ましい。このことは、ゴミ収集チャンバ(14)に向けての少量のエアの分流によっておよびサイクロンボディ(12)内への分流エアの戻りによってメインエア流に対して何らかの擾乱が引き起こされる場合に、この擾乱の発生位置が、サイクロンボディ(12)の周縁部分における比較的小さな領域に限定されるという点において、有利である。
【0022】
収集部(32)の円筒形チャンバ(32a)が満杯となったときに円筒形チャンバ(32a)からゴミを廃棄するに際しては、まず最初に、装置(10)を停止させる。そして、容器(60)を円筒形コンジット(50)の下端(50a)の直下に配置する。円筒形チャンバ(32a)のフロア(52)を、図2において破線で示しているような開放位置に向けて、設置されている何らかの手段によって、変位させる。そして、プランジャー(56)を、図1に示す位置から下向きに移動させ、プランジャー(56)が円筒形チャンバ(32a)を通過するようにする。これにより、円筒形チャンバ(32a)内に収集されたゴミおよびダスト粒子は、円筒形チャンバ(32a)から押し出され、円筒形コンジット(50)内へと落下するまたは押し出される。これにより、円筒形コンジット(50)の壁に対して付着していないゴミおよびダスト粒子は、容器(60)内へと落下することとなる。場合によっては、プランジャー(56)は、円筒形コンジット(50)の下端(50a)近傍に位置するところにまで、下向きに移動させることができる。このようにして、円筒形チャンバ(32a)内に既に収集された実質的にすべてのゴミおよびダスト粒子が、容器(60)内へと集められることとなる。その後、プランジャー(56)を、初期位置にまで引っ込めることができ、フロア(52)を、閉塞位置(図2において実線で示す位置)にまで戻すことができる。そして、容器(60)は、簡便なやり方で、シールした後に廃棄することができる。その後、装置(10)を、再度、使用することができる。
【0023】
図1および図2においては、図示の明瞭化のために、プランジャー(56)と第2円筒形コンジット(54)との間の緊密な接触が図示されていないけれども、プランジャー(56)は、第2円筒形コンジット(54)の壁に対して良好なシールを形成していなければならないことは、理解されるであろう。プランジャー(56)と第2円筒形コンジット(54)との間には、エアを進入させてはならない。プランジャー(56)と第2円筒形コンジット(54)との間にエアが進入してしまうと、分離装置(10)の動作が悪くなってしまう。また、当業者であれば、円筒形チャンバ(32a)からの廃棄を行うための他の手段を容易に考えるであろうことは、理解されるであろう。例えば、ゴミ収集チャンバ(14)の収集部(32)は、導入部(30)のうちの、開口部(30a)からは遠くに位置した方の端部に対して、容易にかつ迅速に取り付け得るような使い捨てタイプのカプセルとして形成することができる。このカプセルの取付は、接着テープやスナップ取付や他の任意の従来手段によって行うことができる。円筒形コンジット(50,54)やプランジャーを設けることに代えて、カプセルが使用されている場合には、カプセルが満杯になったときには、単にカプセルを取り外して廃棄することができる。要するに、円筒形チャンバ(32a)内に収集されたゴミおよびダスト粒子の廃棄方法は、本発明にとっての本質ではない。
【0024】
サイクロンにおいて分離されたゴミおよびダストを、サイクロンボディ(12)から離間した位置において収集することの利点は、周知である。本発明による構成の利点は、ゴミ収集チャンバ(14)の導入部(30)に沿って少量のエア流を分流する(分岐させる)ことによって、収集チャンバ(32)にまで搬送されなければならない分離ゴミを、より信頼性高く収集チャンバ(32)内に堆積させることである。(従来技術のように)閉塞された収集部の場合には、収集部内において予測できない擾乱が発生してしまい、ゴミ収集部内におけるアクセスしにくい場所にゴミおよびダストが堆積してしまうこととなる。本発明においては、分流エアをサイクロンボディ(12)内に戻すような出口通路を設けていることにより、より円滑でかつより予測可能なエア流パターンを確立することができる。
【0025】
当業者には、他の変形や変更が可能である。例えば、サイクロンボディ(12)の形状が円筒形であることは、必須ではない。サイクロンボディ(12)の形状は、円錐台形状とすることができる。また、上述の装置は、図1の装置(10)から導出される可能性のあるわずかのゴミおよびダストをさらに精度良く清浄化し得るよう出口(18)の下流側にさらに1つ以上のサイクロン式分離器を有しているようなサイクロン式分離装置の一部を形成することもできる。また、ゴミ収集部(32)からゴミを廃棄するための他の手段を使用することもでき、それも本発明の範囲内である。一例として、容器(60)は、円筒形コンジット(50)の下端(50a)に対してスライド的にシールすることができ、フロア(52)を省略して、円筒形チャンバ(32a)内に収集されたゴミおよびファイバを、容器(60)内へと直接的に落下させることができる。容器(60)が満杯になったときには、容器(60)を取り外すことはできる。容器(60)は、ゴミを廃棄した後に再取付することも、あるいは、交換することも、できる。また、プランジャー(56)は、場合によっては、省略することができる。
【0026】
上記装置は、プラスチック材料から製造することが考えられる。しかしながら、適切な部材を製造するために適した他の適切な材質を使用することもできる。
【0027】
サイクロン式真空掃除機において上記装置を使用可能とするためには、装置のゴミ混合エア入口を、真空掃除機のクリーニングヘッドまたはホースと竿とからなるアセンブリに対して連通させる。装置の出口は、クリーニングヘッドまたはホースと竿とからなるアセンブリを通して装置内へとゴミ混合エアを吸引し得るモータ/ファンユニットに対して接続される。エア流から微粒ダストを分離し得るような1つまたは複数の他のサイクロンを、上記装置とモータとの間に配置することもできる。また、モータは、超微粒ダスト粒子を捕集し得る1つまたは複数のフィルタによって保護することができる。しかしながら、上述した装置は、真空掃除機以外の用途においても使用することができ、サイクロン的分離が使用されるすべての場合において一般的に応用することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 サイクロン式分離装置
12 サイクロンボディ
14 ゴミ収集チャンバ
16 ゴミ混合エア入口(入口)
18 出口(中央出口)
20 穴開きシュラウド
30 導入部
32 収集部
40 貫通穴
42 エア戻りダクト
50 円筒形コンジット(出口コンジット)
56 プランジャー
α 周縁方向離間角度
β 鋭角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向軸を有しさらにゴミ混合エアを接線方向的に内部へと導入するための入口を有しさらに清浄化したエアを導出するための中央出口を有したサイクロンボディと;このサイクロンボディの前記長さ方向軸に対して実質的に垂直な方向に沿って前記サイクロンボディの内部に連通した導入部を有しさらに収集部を有したゴミ収集チャンバと;第1端と第2端とを有したエア戻りダクトと;を具備したサイクロン式分離装置において、
前記エア戻りダクトの前記第1端が、前記ゴミ収集チャンバの前記収集部に対して連通しているとともに、前記エア戻りダクトの前記第2端が、前記サイクロンボディの内部に対して連通していることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項2】
請求項1記載のサイクロン式分離装置において、
前記エア戻りダクトが、前記サイクロンボディの内部に対して接線方向的に連通していることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のサイクロン式分離装置において、
前記サイクロンボディが、一方の端部と他方の端部とを有し、
前記入口および前記中央出口は、前記サイクロンボディの前記一方の端部のところにまたは前記一方の端部の近傍に配置され、
前記ゴミ収集チャンバの前記導入部は、前記サイクロンボディの前記他方の端部のところにまたは前記他方の端部の近傍に配置されていることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のサイクロン式分離装置において、
前記エア戻りダクトの前記第2端が、前記ゴミ収集チャンバの前記導入部から周縁方向に離間したポイントにおいて前記サイクロンボディの内部に対して連通していることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項5】
請求項4記載のサイクロン式分離装置において、
前記エア戻りダクトの前記第2端が前記サイクロンボディの内部に対して連通している前記ポイントが、前記装置の使用時における前記ゴミ混合エアの回転方向から見たときに、前記ゴミ収集チャンバの前記導入部よりも下流側に位置していることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項6】
請求項4または5記載のサイクロン式分離装置において、
前記エア戻りダクトの前記第2端が前記サイクロンボディの内部に対して連通している前記ポイントと、前記ゴミ収集チャンバの前記導入部と、の間の周縁方向離間角度が、40°以下とされていることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項7】
請求項6記載のサイクロン式分離装置において、
前記エア戻りダクトの前記第2端が前記サイクロンボディの内部に対して連通している前記ポイントと、前記ゴミ収集チャンバの前記導入部と、の間の周縁方向離間角度が、15°とされていることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のサイクロン式分離装置において、
前記エア戻りダクトの前記第1端が、前記ゴミ収集チャンバの前記収集部に対して、穴開きスクリーンを介して連通していることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項9】
請求項8記載のサイクロン式分離装置において、
前記穴開きスクリーンが、前記ゴミ収集チャンバの前記収集部を形成している壁の一部によって形成されていることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項10】
請求項9記載のサイクロン式分離装置において、
前記ゴミ収集チャンバの前記収集部を形成している壁の前記一部には、複数の貫通穴が形成されていることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のサイクロン式分離装置において、
前記エア戻りダクトの前記第2端が、前記サイクロンボディ内の当該連通箇所におけるエア流通方向に対して鋭角でもって傾斜した方向で、前記サイクロンボディの内部に対して、連通していることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項12】
請求項11記載のサイクロン式分離装置において、
前記鋭角が、20°〜50°の範囲であることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項13】
請求項12記載のサイクロン式分離装置において、
前記鋭角が、30°であることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のサイクロン式分離装置において、
前記ゴミ収集チャンバが、収集したゴミを該ゴミ収集チャンバから除去するための手段を備えていることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項15】
請求項14記載のサイクロン式分離装置において、
収集したゴミを前記ゴミ収集チャンバから除去するための前記手段が、前記収集部に対して連通した開放可能出口コンジットと、貯蔵位置から前記収集部を通過して前記出口コンジット内へと移動可能とされこれにより収集ゴミを前記収集部から前記出口コンジット内へと搬送し得るものとされたプランジャーと、を備えていることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載のサイクロン式分離装置において、
前記サイクロンボディの内部に、前記中央出口を囲むようにして穴開きシュラウドが配置されていることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項17】
請求項16記載のサイクロン式分離装置において、
前記シュラウドが、円筒形であることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載のサイクロン式分離装置において、
前記サイクロンボディが、全体的に円筒形であることを特徴とするサイクロン式分離装置。
【請求項19】
真空掃除機であって、
請求項1〜18のいずれかに記載されたサイクロン式分離装置を具備していることを特徴とする真空掃除機。
【請求項20】
ゴミ混合エアからゴミを分離するための方法であって、
a)ゴミ混合エアを、長さ方向軸を有したサイクロンボディの内部へと接線方向的に導入することによって、サイクロン的手法によりサイクロンボディ内においてゴミを分離し;
b)前記サイクロンボディから離間したゴミ収集チャンバ内へと、前記サイクロンボディの前記長さ方向軸に対して垂直な方向に沿って、前記分離したゴミを搬送するとともに、前記分離したゴミを、前記ゴミ収集チャンバ内の収集部内に収集し;
c)前記ゴミ収集チャンバ内に流入したエアを、前記ゴミ収集チャンバの前記収集部から前記サイクロンボディの内部までにわたって延在しているエア戻りダクトを通して、前記サイクロンボディ内へと再導入する;
ことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、
前記ゴミ収集チャンバ内に流入したエアを、穴開きスクリーンを通過させることによって、前記エア戻りダクトへと移動させることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20または21記載の方法において、
前記サイクロンボディ内へと再導入されるエアを、前記サイクロンボディ内の当該再導入箇所におけるエア流通方向に対して鋭角でもって傾斜した方向で、前記サイクロンボディ内へと再導入することを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法において、
前記鋭角を、20°〜50°の範囲とすることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、
前記鋭角を、30°とすることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項20〜24のいずれかに記載の方法において、
前記ゴミ混合エアのうちの、前記ゴミ収集チャンバへと流入する比率を、20%以下とすることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、
前記ゴミ混合エアのうちの、前記ゴミ収集チャンバへと流入する比率を、10%以下とすることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−450(P2011−450A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179635(P2010−179635)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【分割の表示】特願2001−546789(P2001−546789)の分割
【原出願日】平成12年12月1日(2000.12.1)
【出願人】(500024469)ダイソン・テクノロジー・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】