説明

サイド補強用ゴム組成物およびランフラットタイヤ

【課題】優れたランフラット耐久性とタイヤの振動の低減の双方を兼ね備えたランフラットタイヤとすることができるサイド補強用ゴム組成物およびそのサイド補強用ゴム組成物を用いて形成されたサイド補強層を有するランフラットタイヤを提供する。
【解決手段】ジエン系ゴムと、中空非金属繊維と、を含み、中空非金属繊維がジエン系ゴム100質量部に対して2質量部以上120質量部以下含まれており、中空非金属繊維の平均繊維外径が10μm以上200μm以下であり、中空非金属繊維の平均繊維長が0.1mm以上20mm以下であるサイド補強用ゴム組成物およびそのサイド補強用ゴム組成物を用いて形成されたサイド補強層を有するランフラットタイヤである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイド補強用ゴム組成物およびランフラットタイヤに関し、特に、優れたランフラット耐久性とタイヤの振動の低減の双方を兼ね備えたランフラットタイヤとすることができるサイド補強用ゴム組成物およびそのサイド補強用ゴム組成物を用いて形成されたサイド補強層を有するランフラットタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、タイヤのサイドウォール部の内側に配置された高硬度のサイド補強層を有するランフラットタイヤが実用化されており、パンクにより空気圧が失われた状態(タイヤの内圧がゼロの状態)になった場合でもタイヤの剛性を維持し、繰り返し屈曲を受けた場合でもゴムの破損を軽減して、ある程度の距離を走行できるようになっている。これにより、スペアタイヤを常備する必要性がなくなるため、車両全体における重量の軽量化を期待することができる。しかしながら、ランフラットタイヤのパンク時におけるランフラット走行には、速度および距離の制限があるため、さらなるランフラットタイヤの耐久性(ランフラット耐久性)の向上が望まれている。
【0003】
ランフラット耐久性を向上させる方法としては、サイド補強層を厚く形成することにより変形を抑え、変形による破壊を防ぐ方法が考えられる。しかしながら、この方法においては、サイド補強層の増量に伴ってタイヤの重量が大きくなるため、ランフラットタイヤの当初の目的である車両全体における重量の軽量化に反することになる。
【0004】
また、ランフラット耐久性を向上させる方法としては、カーボンブラック等の補強用充填剤を増量することでサイド補強層の硬度をさらに向上させて変形を抑える方法も考えられる。しかしながら、この方法においては、混練りおよび押出し等の工程において、混練機の負荷が大きくなり、また、加硫後のゴムの発熱性が高くなることから、ランフラット耐久性の向上はあまり期待できない。
【0005】
また、特許文献1には、所定のゴム、カーボンブラックおよびシリカを所定量含有するゴム組成物を用いて所定の方法により作製したサイド補強用ゴムを有することにより、タイヤの振動を低減し、ランフラット耐久性を向上させたランフラットタイヤが開示されている。
【特許文献1】特開2005−280534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示のランフラットタイヤのタイヤの振動の低減およびランフラット耐久性のいずれについてもさらなる改善が求められている。
【0007】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、優れたランフラット耐久性とタイヤの振動の低減の双方を兼ね備えたランフラットタイヤとすることができるサイド補強用ゴム組成物およびそのサイド補強用ゴム組成物を用いて形成されたサイド補強層を有するランフラットタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ジエン系ゴムと、中空非金属繊維と、を含み、中空非金属繊維がジエン系ゴム100質量部に対して2質量部以上120質量部以下含まれており、中空非金属繊維の平均繊維外径が10μm以上200μm以下であり、中空非金属繊維の平均繊維長が0.1mm以上20mm以下であるサイド補強用ゴム組成物である。
【0009】
ここで、本発明のサイド補強用ゴム組成物において、中空非金属繊維は、ガラスファイバーおよびカーボンファイバーの少なくとも一方からなることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、上記のサイド補強用ゴム組成物を用いて形成されたサイド補強層を有するランフラットタイヤである。
【0011】
ここで、本発明のランフラットタイヤにおいては、サイド補強層のタイヤ周方向の複素弾性率E1、タイヤ径方向の複素弾性率E2およびタイヤ径方向の損失弾性率E2”が下記の関係式(1)〜(3):
E1≧12MPa …(1)
E1/E2≧1.5 …(2)
E2”/(E2)2≦9×10-9Pa-1 …(3)
を満たすことが好ましい。
【0012】
なお、本明細書において、「MPa」および「Pa」はそれぞれ単位を示しており、「MPa」はメガパスカルを意味し、「Pa」はパスカルを意味している。
【0013】
さらに、本発明のランフラットタイヤは、上記のサイド補強用ゴム組成物を用いて形成されたビードエイペックスを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、優れたランフラット耐久性とタイヤの振動の低減の双方を兼ね備えたランフラットタイヤとすることができるサイド補強用ゴム組成物およびそのサイド補強用ゴム組成物を用いて形成されたサイド補強層を有するランフラットタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0016】
<ジエン系ゴム>
本発明に用いられるジエン系ゴムとしては、たとえば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、スチレンイソプレンゴム、イソプレンブタジエンゴム等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、本発明のサイド補強用ゴム組成物を用いて形成したサイド補強層の耐屈曲疲労特性を向上させる観点からは、天然ゴム(NR)およびブタジエンゴム(BR)の少なくとも一方を用いることが好ましく、天然ゴム(NR)およびブタジエンゴム(BR)の双方を含むジエン系ゴムを用いることがより好ましい。
【0017】
ここで、天然ゴム(NR)としては、従来からゴム工業で使用されているRSS#3、TSR20等のグレードの天然ゴム(NR)を用いることができる。
【0018】
また、本発明に用いられるジエン系ゴムが天然ゴム(NR)を含む場合には、天然ゴム(NR)の含有量は、ジエン系ゴム全体の20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。天然ゴム(NR)の含有量がジエン系ゴム全体の20質量%以上である場合、特に30質量%以上である場合には、本発明のサイド補強用ゴム組成物の加工性が向上する傾向にある。
【0019】
また、本発明に用いられるジエン系ゴムが天然ゴム(NR)を含む場合には、天然ゴム(NR)の含有量は、ジエン系ゴム全体の80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。天然ゴム(NR)の含有量がジエン系ゴム全体の80質量%以下である場合、特に70質量%以下である場合には、本発明のサイド補強用ゴム組成物を用いて形成したサイド補強層の耐熱性および耐屈曲疲労特性が向上してランフラット耐久性がより向上する傾向にある。
【0020】
また、ブタジエンゴム(BR)としては、従来からゴム工業で使用されているものを用いることができる。
【0021】
ここで、本発明に用いられるジエン系ゴムがブタジエンゴム(BR)を含む場合には、ブタジエンゴム(BR)の含有量は、ジエン系ゴム全体の20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。ブタジエンゴム(BR)の含有量がジエン系ゴム全体の20質量%以上である場合、特に30質量%以上である場合には、本発明のサイド補強用ゴム組成物を用いて形成したサイド補強層の耐屈曲疲労特性が向上してランフラット耐久性がより向上する傾向にある。
【0022】
また、本発明に用いられるジエン系ゴムがブタジエンゴム(BR)を含む場合には、ブタジエンゴム(BR)の含有量は、ジエン系ゴム全体の80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。ブタジエンゴム(BR)の含有量がジエン系ゴム全体の80質量%以下である場合、特に70質量%以下である場合には、本発明のサイド補強用ゴム組成物の加工性が向上する傾向にある。
【0023】
なかでも、ブタジエンゴム(BR)としては、本発明のサイド補強用ゴム組成物を用いて形成したサイド補強層が高硬度となり、発熱性が低くなるという理由から、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶を含有するブタジエンゴム(SPB含有BR)を用いることが好ましい。
【0024】
ここで、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶を含有するブタジエンゴム(SPB含有BR)中のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶(SPB)の含有量は、SPB含有BR全体の1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。SPBの含有量がSPB含有BR全体の1質量%以上である場合、特に5質量%以上である場合には、本発明のサイド補強用ゴム組成物を用いて形成したサイド補強層の剛性がより高くなってランフラット耐久性をより向上することができる傾向にある。
【0025】
また、SPBの含有量は、SPB含有BR全体の25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。SPBの含有量がSPB含有BR全体の25質量%以下である場合、特に20質量%以下である場合には、本発明のサイド補強用ゴム組成物を用いて形成したサイド補強層中においてシンジオタクチック成分が凝集塊をつくることに起因するランフラット耐久性の低下を有効に抑止できる傾向にある。
【0026】
なお、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶を含有するブタジエンゴム(SPB含有BR)としては、たとえば宇部興産(株)製のVCR−412、450、617、800等を用いることができる。
【0027】
<中空非金属繊維>
本発明に用いられる中空非金属繊維としては、たとえば、中空のガラスファイバー、カーボンファイバー等の中空非金属無機繊維、中空のレーヨン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、芳香族ポリアミド繊維、ウレタン繊維、アラミド繊維等の中空非金属有機繊維が挙げられ、これらの中空非金属繊維は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、引張方向および圧縮方向のいずれにも剛性が高いという理由から、ガラスファイバーおよび/またはカーボンファイバーを用いることが好ましく、ガラスファイバーを用いることがより好ましい。
【0028】
また、本発明に用いられる中空非金属繊維の平均繊維外径は10μm以上200μm以下である。中空非金属繊維の平均繊維外径が10μm未満である場合には中空非金属繊維の製造が困難となり、200μmを超える場合には中空非金属繊維の分散性が悪化し、ジエン系ゴムとの接着力が低下する。
【0029】
また、中空非金属繊維の製造をより容易にする観点からは、本発明に用いられる中空非金属繊維の平均繊維外径は20μm以上であることが好ましい。また、中空非金属繊維の分散性を向上させてジエン系ゴムとの接着力を向上させる観点からは、本発明に用いられる中空非金属繊維の平均繊維外径は50μm以下であることが好ましい。
【0030】
なお、中空非金属繊維の平均繊維外径は、それぞれの中空非金属繊維の長手方向に直交する横断面の径のうち最長の径(長径)を測定し、その測定値から中空非金属繊維全体の平均値を算出することにより求めることができる。
【0031】
また、中空非金属繊維の平均繊維内径(中空非金属繊維の中空部の長径の平均値)は、中空非金属繊維の平均繊維外径の5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。中空非金属繊維の平均繊維内径が中空非金属繊維の平均繊維外径の5%以上である場合、特に10%以上である場合には、中空非金属繊維を中空にしたことによる効果が十分に得られる傾向にある。
【0032】
また、中空非金属繊維の平均繊維内径は、中空非金属繊維の平均繊維外径の90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましい。中空非金属繊維の平均繊維内径が中空非金属繊維の平均繊維外径の90%以下である場合、特に80%以下である場合には、中空非金属繊維の肉厚があまり薄くならず、中空非金属繊維の破壊を有効に抑止することができる傾向にある。
【0033】
なお、中空非金属繊維の平均繊維内径は、それぞれの中空非金属繊維の長手方向に直交する横断面の中空部の径のうち最長の径(長径)を測定し、その測定値から中空非金属繊維全体の平均値を算出することにより求めることができる。
【0034】
また、本発明に用いられる中空非金属繊維の平均繊維長は0.1mm以上20mm以下である。中空非金属繊維の平均繊維長が0.1mm未満である場合には、中空非金属繊維を配合したことによる中空非金属繊維の配向方向の剛性向上効果が不十分となる。また、中空非金属繊維の平均繊維長が20mmを超える場合には、中空非金属繊維の分散性が悪化する。
【0035】
また、中空非金属繊維の配向方向の剛性向上効果をより向上させる観点からは、中空非金属繊維の平均繊維長は0.2mm以上であることが好ましい。また、中空非金属繊維の分散性をより向上させる観点からは、中空非金属繊維の平均繊維長は10mm以下であることが好ましい。
【0036】
なお、中空非金属繊維の平均繊維長は、それぞれの中空非金属繊維の長手方向の長さを測定し、その測定値から中空非金属繊維全体の平均値を算出することにより求めることができる。
【0037】
また、本発明に用いられる中空非金属繊維の含有量は、上記のジエン系ゴム100質量部に対して2質量部以上120質量部以下である。中空非金属繊維の含有量が上記のジエン系ゴム100質量部に対して2質量部未満である場合には、中空非金属繊維を配合したことによる中空非金属繊維の配向方向におけるサイド補強層の剛性向上効果が不十分となる。また、中空非金属繊維の含有量が上記のジエン系ゴム100質量部に対して120質量部よりも多い場合には、本発明のサイド補強用ゴム組成物の加工性が悪化する。
【0038】
また、中空非金属繊維を配合したことによる中空非金属繊維の配向方向におけるサイド補強層の剛性向上効果をより向上させる観点からは、中空非金属繊維の含有量は、上記のジエン系ゴム100質量部に対して5質量部以上であることが好ましい。また、本発明のサイド補強用ゴム組成物の加工性をより向上させる観点からは、中空非金属繊維の含有量は、上記のジエン系ゴム100質量部に対して100質量部以下であることが好ましい。
【0039】
<その他添加剤>
本発明のサイド補強用ゴム組成物には上記のジエン系ゴム成分および中空非金属繊維以外にも、その他の添加剤として、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤および老化防止剤等を適宜配合してもよい。
【0040】
ここで、充填剤としては、たとえばカーボンブラックや炭酸カルシウム等を用いることができる。カーボンブラックは、たとえばHAF、ISAF、SAF等のチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラックおよびサーマルブラック等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、なかでも、HAF、ISAFおよびSAFからなる群から選択された少なくとも1種を用いることが好ましい。カーボンブラックの含有量は、上記のジエン系ゴム100質量部に対して40質量部以上80質量部以下であることが好ましい。
【0041】
また、加硫剤としては、有機過酸化物もしくは硫黄系加硫剤を用いることができる。有機過酸化物としては、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3あるいは1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、硫黄系加硫剤としては、たとえば、硫黄、モルホリンジスルフィド等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、加硫剤としては、硫黄を用いることが好ましい。
【0042】
また、加硫促進剤としては、たとえば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含有するもの等を用いることができる。スルフェンアミド系としては、たとえばCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物等を用いることができる。チアゾール系としては、たとえばMBT(2−メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、亜鉛塩、銅塩、シクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール等のチアゾール系化合物等を用いることができる。チウラム系としては、たとえばTMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物を用いることができる。チオウレア系としては、たとえばチオカルバミド、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジオルトトリルチオ尿素等のチオ尿素化合物等を用いることができる。グアニジン系としては、たとえばジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、オルトトリルビグアニド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン系化合物を用いることができる。ジチオカルバミン酸系としては、たとえばエチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛とピペリジンの錯塩、ヘキサデシル(またはオクタデシル)イソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジアミルジチオカルバミン酸カドミウム等のジチオカルバミン酸系化合物等を用いることができる。アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系としては、たとえばアセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド−アンモニア反応物等のアルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系化合物等を用いることができる。イミダゾリン系としては、たとえば2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系化合物等を用いることができる。キサンテート系としては、たとえばジブチルキサントゲン酸亜鉛等のキサンテート系化合物等を用いることができる。
【0043】
また、加硫促進助剤としては、たとえば、ステアリン酸、酸化亜鉛(亜鉛華)等を単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。酸化亜鉛は、脂肪酸と錯化合物を形成し、加硫促進効果を高めることができる。
【0044】
また、老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックス等を適宜選択して単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
<ランフラットタイヤ>
図1に、本発明のランフラットタイヤの一例の左上半分の模式的な断面を示す。図1においては、理解を容易にするために主要部だけに断面を示す斜線を付し、主要部以外の部分においては断面を示す斜線は省略している。すなわち、ランフラットタイヤを切断した場合には、図1に示す断面において斜線を付している部分以外の部分も同一断面に現れる。
【0046】
ここで、本実施の形態におけるランフラットタイヤ1は、トレッド部5と、トレッド部5の両端からタイヤ径方向内側に延びるサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側の端に接続されるビード部7とを備えている。
【0047】
また、ビード部7に配置した一対のビードコア6間にカーカスプライ3が延在しており、カーカスプライ3が、トレッド部5、サイドウォール部2およびビード部7を補強している。
【0048】
また、カーカスプライ3は、本体部と、その端部をビードコア6の周りでタイヤ径方向の内側から外側へ巻き返して係止している巻返部とからなっており、カーカスプライ3のタイヤ径方向の外側に第1のベルト層4aおよび第2のベルト層4bが積層してなるベルト層4が配置されている。さらに、カーカスプライ3のタイヤ軸方向の内側にサイド補強層8が設置されており、そのサイド補強層8のさらにタイヤ軸方向の内側にインナーライナー11が設置されている。
【0049】
サイドウォール部2のタイヤ軸方向の内側にサイド補強層8を設置することによって、ランフラット耐久性を向上することができる。本実施の形態では、サイド補強層8は、サイドウォール部2の内側に、横断面形状がタイヤ径方向に厚さが漸減する略三日月状をなして配置されているがこの形状に限定されないことは言うまでもない。
【0050】
また、ビード部7は、ビードコア6とビードエイペックス9とを含んでいる。ビードエイペックス9は、カーカスプライ3の本体部と巻返部との間で、ビードコア6の外周面に隣接して配置されている。また、カーカスプライ3の巻返部のタイヤ軸方向の外側にクリンチ10が設置されている。
【0051】
実施の形態におけるランフラットタイヤ1は、通常のタイヤの製造方法により製造することができる。たとえば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の公知のゴム用混練機を使用して上記の成分を混合することによって、本発明のサイド補強用ゴム組成物を作製する。そして、作製した本発明のサイド補強用ゴム組成物をサイド補強層8の形状に成形し、他のタイヤ部材とともに未加硫のグリーンタイヤを作製し、このグリーンタイヤを加硫することによってランフラットタイヤ1を作製することができる。
【0052】
また、ランフラットタイヤ1は、上記のようにして作製した本発明のサイド補強用ゴム組成物から帯状のゴムストリップを形成し、そのゴムストリップをタイヤ周方向に巻き付けることによって得られるサイド補強層8を他のタイヤ部材とともに加硫することによっても作製することができる。より具体的には、上記のようにして作製した本発明のサイド補強用ゴム組成物から、未加硫の状態で、所定サイズのゴムストリップを作製することによって、サイド補強用ゴム組成物中の中空非金属繊維を一定の方向に配向させた未加硫のゴムストリップを形成する。そして、未加硫のカーカスプライ3のタイヤ軸方向の外側にタイヤ軸を中心として渦巻き状に巻き付けることによって未加硫のサイド補強層8を形成し、この未加硫のサイド補強層8を他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫のグリーンタイヤを作製し、このグリーンタイヤを加硫することによってランフラットタイヤ1を作製することができる。このような方法でランフラットタイヤ1を作製することによって、上記の中空非金属繊維をタイヤ周方向に配向させることが可能になるため、ランフラットタイヤ1中のサイド補強層8の弾性率を高くすることができ、また弾性率が高くなったことによりサイド補強層8の厚さを薄くすることができるため、ランフラット耐久性および乗り心地をともに向上させることができる。
【0053】
ここで、上記の本発明のサイド補強用ゴム組成物からなるゴムストリップの幅は0.5cm以上であることが好ましく、1cm以上であることがより好ましい。ゴムストリップの幅が0.5cm以上である場合、特に1cm以上である場合には、ランフラットタイヤ1の生産性がより向上する傾向にある。
【0054】
また、本発明のサイド補強用ゴム組成物からなるゴムストリップの幅は5cm以下であることが好ましく、3cm以下であることがより好ましい。ゴムストリップの幅が5cm以下である場合、特に3cm以下である場合には、より精度良くサイド補強層8を形成することが可能となるため、ランフラットタイヤ1の特性をより均一にすることができる傾向にある。
【0055】
また、上記の本発明のサイド補強用ゴム組成物からなるゴムストリップの厚さは0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましい。ゴムストリップの厚さが0.5mm以上である場合、特に1mm以上である場合には、ランフラットタイヤ1の生産性がより向上する傾向にある。
【0056】
また、本発明のサイド補強用ゴム組成物からなるゴムストリップの厚さは5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。ゴムストリップの厚さが5mm以下である場合、特に3mm以下である場合には、渦巻き状に巻き付けられたゴムストリップ間の段差をより小さくすることができるため、ランフラットタイヤ1の特性をより均一にすることができる傾向にある。
【0057】
また、ランフラットタイヤ1のサイド補強層8のタイヤ周方向(図1の紙面に対して垂直な方向)の複素弾性率(E1)は12MPa以上(E1≧12MPa)であることが好ましく、18MPa以上(E1≧18MPa)であることがより好ましい。サイド補強層8のタイヤ周方向の複素弾性率(E1)が12MPa以上である場合、特に18MPa以上である場合には、ランフラット耐久性がより向上する傾向にある。
【0058】
また、ランフラットタイヤ1のサイド補強層8のタイヤ周方向の複素弾性率(E1)は150MPa以下(E1≦150MPa)であることが好ましく、120MPa以下(E1≦120MPa)であることがより好ましい。サイド補強層8のタイヤ周方向の複素弾性率(E1)が150MPa以下である場合、特に120MPa以下である場合には、ランフラットタイヤ1のサイド補強層8の柔軟性の低下に起因するタイヤの振動による乗り心地の悪化を有効に防止することができる傾向にある。
【0059】
また、ランフラットタイヤ1のサイド補強層8のタイヤ径方向(図1の紙面の上下方向)の複素弾性率(E2)は6MPa以上(E2≧6MPa)であることが好ましく、8MPa以上(E2≧8MPa)であることがより好ましい。サイド補強層8のタイヤ径方向の複素弾性率(E2)が6MPa以上である場合、特に8MPa以上である場合には、ランフラット走行をする際に必要な剛性を得ることができ、ランフラット耐久性をより向上することができる傾向にある。
【0060】
また、ランフラットタイヤ1のサイド補強層8のタイヤ径方向の複素弾性率(E2)は100MPa以下(E2≦100MPa)であることが好ましく、80MPa以下(E2≦80MPa)であることがより好ましい。サイド補強層8のタイヤ径方向の複素弾性率(E2)が100MPa以下である場合、特に80MPa以下である場合には、ランフラットタイヤ1のサイド補強層8の柔軟性の低下に起因するタイヤの振動による乗り心地の悪化を有効に防止することができる傾向にある。
【0061】
また、ランフラットタイヤ1のサイド補強層8のタイヤ周方向の複素弾性率(E1)とタイヤ径方向の複素弾性率(E2)との比(E1/E2)は1.5以上((E1/E2)≧1.5)であることが好ましく、1.8以上((E1/E2)≧1.8)であることがより好ましい。(E1/E2)が1.5以上である場合、特に1.8以上である場合には、ランフラット耐久性の向上とサイド補強層8の柔軟性の低下に起因するタイヤの振動による乗り心地の悪化の低下とをともに実現することができる傾向にある。
【0062】
また、ランフラットタイヤ1のサイド補強層8のタイヤ径方向の損失弾性率(E2”)とタイヤ径方向の複素弾性率の2乗((E2)2)との比(E2”/(E2)2)が9×10-9Pa-1以下であることが好ましく、7×10-9Pa-1以下であることがより好ましい。(E2”/(E2)2)が9×10-9Pa-1以下((E2”/(E2)2)≦9×10-9Pa-1)である場合、特に7×10-9Pa-1以下((E2”/(E2)2)≦7×10-9Pa-1)である場合には、ランフラット走行時の変形による発熱を抑え、サイド補強層8の熱劣化を抑制することができるため、ランフラット耐久性を向上させることができる傾向にある。
【0063】
なお、上記のE1、E2およびE2”はそれぞれ、ランフラットタイヤ1のサイド補強層8から試験片を切り出し、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて、測定温度70℃、初期歪み10%、動歪み±1%、周波数10Hzの条件で測定することができる。
【0064】
また、ランフラットタイヤ1のサイド補強層8の厚さは3mm以上であることが好ましく、4mm以上であることがより好ましい。サイド補強層8の厚さが3mm以上である場合、特に4mm以上である場合には、ランフラット走行時の剛性を保って、ランフラット耐久性がより向上する傾向にある。また、サイド補強層8の厚さは15mm以下であることが好ましく、12mm以下であることがより好ましい。サイド補強層8の厚さが15mm以下である場合、特に12mm以下である場合にはランフラットタイヤ1の軽量化に起因して乗り心地が良くなる傾向にある。
【0065】
また、ランフラットタイヤ1のサイド補強層8だけでなくビードエイペックス9についても、本発明のサイド補強用ゴム組成物を用いて形成されることが好ましい。この場合には、ランフラットタイヤ1のランフラット耐久性をさらに向上することができる傾向にある。
【実施例】
【0066】
<ランフラットタイヤの作製>
表1に示す配合に従って、硫黄および加硫促進剤以外の成分を1.7リットルの密閉型バンバリーミキサーで150℃で5分間混練りし、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加してオープンロールを用いて混練りすることによって、実施例1〜2および比較例1〜3のぞれぞれの未加硫ゴム組成物を得た。
【0067】
なお、表1のゴムの欄に示されている数値は、天然ゴムとブタジエンゴムとの混合比(質量比)が表わされており、表1の添加剤の欄に示されている数値は、上記のゴムの配合量を100質量部としたときの各添加剤の配合量が質量部で表わされている。
【0068】
上記のようにして作製した実施例1〜2および比較例1〜3のぞれぞれの未加硫ゴム組成物から所定の大きさのゴムストリップをそれぞれ作製し、未加硫カーカスプライの内側面にタイヤ軸を中心として渦巻き状に巻きつけることによってサイド補強層を形成した。そして、このサイド補強層を他のタイヤ部材とともに貼り付けることによって未加硫のグリーンタイヤを作製した。そして、作製した未加硫のグリーンタイヤを加硫することによって、245/40ZR18サイズのランフラットタイヤを作製した。
【0069】
ここで、ランフラットタイヤは、実施例1〜2および比較例1〜3の未加硫ゴム組成物を用いた場合のそれぞれについて作製した。
【0070】
【表1】

【0071】
(注1)天然ゴム(NR):RSS#3
(注2)ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のVCR412(SPB含有BR、SPB含有量:12質量%、SPBの平均粒子径:250nm)
(注3)カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックE(N550)
(注4)中空ガラスファイバー:(株)フジクラ製のキャピラリーチューブ(平均繊維外径:80μm、平均繊維内径:40μm、平均繊維長:8mm)
(注5)非中空ガラスファイバー:エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製のマイクログラスチョップドストラント(平均繊維外径:33μm、平均繊維長:3mm)
(注6)ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸椿
(注7)亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
(注8)老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C
(注9)不溶性硫黄:四国化成工業(株)製のミュークロンOT
(注10)加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
<粘弾性試験>
上記のようにして作製したランフラットタイヤから所定サイズのサイド補強層を切り出し、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータで測定温度70℃、初期歪み10%、動歪み±1%、周波数10Hzの条件で、タイヤ周方向の複素弾性率(E1)ならびにタイヤ径方向の複素弾性率(E2)およびタイヤ径方向の損失弾性率(E2”)を測定した。また、これらの測定結果から、E1/E2およびE2”/(E2)2を算出した。これらの結果を表1に示す。
【0072】
<重量差>
実施例1〜2および比較例1〜3の未加硫ゴム組成物を用いて形成されたそれぞれのランフラットタイヤの重量と、比較例1の未加硫ゴム組成物を用いて形成されたランフラットタイヤの重量との重量差(g)を算出した。その結果を表1に示す。表1の重量差の欄の数値が小さいほど、軽量であることを示している。
【0073】
<ランフラット走行性試験>
実施例1〜2および比較例1〜3の未加硫ゴム組成物を用いて形成されたそれぞれのランフラットタイヤの空気内圧を0kPaとし、ドラム上を80km/hの速度で走行させ、ランフラットタイヤが破壊するまでの走行距離を測定した。そして、測定された走行距離から、実施例1〜2および比較例1〜3の未加硫ゴム組成物を用いて形成されたそれぞれのランフラットタイヤのランフラット性能指数を下記式(a)により算出した。その結果を表1のランフラット性能指数の欄に示す。表1のランフラット性能指数の欄の数値が大きいほどランフラット耐久性に優れることを示している。
(ランフラット性能指数)=100×(実施例1〜2および比較例1〜3の未加硫ゴム組成物を用いて形成されたそれぞれのランフラットタイヤの走行距離)/(比較例1の未加硫ゴム組成物を用いて形成されたランフラットタイヤの走行距離) …(a)
<評価結果>
表1に示すように、ジエン系ゴム100質量部に対して中空ガラスファイバー10質量部を含む実施例1の未加硫ゴム組成物を用いて形成されたランフラットタイヤは、中空ガラスファイバーの代わりに非中空ガラスファイバーを含む比較例1の未加硫ゴム組成物を用いて形成されたランフラットタイヤと比べて、ランフラット性能指数は同等程度であったが、E1、E1/E2およびE2”/(E2)2の値が低いためにタイヤの振動が低減されており、さらに軽量化も図ることができていた。
【0074】
また、表1に示すように、ジエン系ゴム100質量部に対して中空ガラスファイバー15質量部を含む実施例2の未加硫ゴム組成物を用いて形成されたランフラットタイヤは、中空ガラスファイバーの代わりに非中空ガラスファイバーを含む比較例2の未加硫ゴム組成物を用いて形成されたランフラットタイヤと比べて、ランフラット性能指数は同等程度であったが、E1およびE1/E2の値が低いためにタイヤの振動が低減されており、さらに軽量化も図ることができていた。
【0075】
さらに、表1に示すように、ジエン系ゴム100質量部に対して中空ガラスファイバーを含む実施例1〜2の未加硫ゴム組成物を用いて形成されたランフラットタイヤは、中空ガラスファイバーおよび非中空ガラスファイバーのいずれも含有しない比較例3の未加硫ゴム組成物を用いて形成されたランフラットタイヤと比べて、ランフラット性能指数が大幅に向上することが確認された。
【0076】
したがって、ジエン系ゴム100質量部に対して中空ガラスファイバーを含む実施例1〜2の未加硫ゴム組成物を用いてサイド補強層を形成した場合には、比較例1〜3の未加硫ゴム組成物を用いた場合と比べて、優れたランフラット耐久性とタイヤの振動の低減の双方を兼ね備えたランフラットタイヤとすることができるため、実施例1〜2の未加硫ゴム組成物は、ランフラットタイヤのサイド補強層の形成に適していることが確認された。
【0077】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、優れたランフラット耐久性とタイヤの振動の低減の双方を兼ね備えたランフラットタイヤとすることができるサイド補強用ゴム組成物およびそのサイド補強用ゴム組成物を用いて形成されたサイド補強層を有するランフラットタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明のランフラットタイヤの一例の左上半分の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 ランフラットタイヤ、2 サイドウォール部、3 カーカスプライ、4 ベルト層、4a 第1のベルト層、4b 第2のベルト層、5 トレッド部、6 ビードコア、7 ビード部、8 サイド補強層、9 ビードエイペックス、10 クリンチ、11 インナーライナー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴムと、中空非金属繊維と、を含み、
前記中空非金属繊維が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して2質量部以上120質量部以下含まれており、
前記中空非金属繊維の平均繊維外径が10μm以上200μm以下であり、
前記中空非金属繊維の平均繊維長が0.1mm以上20mm以下であることを特徴とする、サイド補強用ゴム組成物。
【請求項2】
前記中空非金属繊維が、ガラスファイバーおよびカーボンファイバーの少なくとも一方からなることを特徴とする、請求項1に記載のサイド補強用ゴム組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のサイド補強用ゴム組成物を用いて形成されたサイド補強層を有する、ランフラットタイヤ。
【請求項4】
前記サイド補強層のタイヤ周方向の複素弾性率E1、タイヤ径方向の複素弾性率E2およびタイヤ径方向の損失弾性率E2”が下記の関係式(1)〜(3):
E1≧12MPa …(1)
E1/E2≧1.5 …(2)
E2”/(E2)2≦9×10-9Pa-1 …(3)
を満たすことを特徴とする、請求項3に記載のランフラットタイヤ。
【請求項5】
請求項1または2に記載のサイド補強用ゴム組成物を用いて形成されたビードエイペックスを有することを特徴とする、請求項3または4に記載のランフラットタイヤ。

【図1】
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【公開番号】特開2009−78595(P2009−78595A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247387(P2007−247387)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】