説明

サスペンションアームの取付構造

【課題】部品数を削減したサスペンションアームの取付構造を提供する。
【解決手段】車体フレーム15に車輪を支持しているサスペンションアーム11の取付構造12において、サスペンションアーム11は、車輪18から車体フレーム15へ延びる車輪側アーム本体28と、第1車体側アーム本体31と、第2車体側アーム本体32と、を備え、車体フレーム15は、第2車体側アーム本体32の端面34に、一方の端面36を当接している内筒37を有する緩衝部材25と、緩衝部材25を支持し車体フレーム15と一体のブラケット部21と、を備え、第2車体側アーム本体32は、端面34に内筒37と同心に形成されためねじ部41と、めねじ部41に、内筒37の他方から嵌合してねじ込まれるおねじ部材42と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪を支持して車体側との間に配置された揺動自在なサスペンションアームの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サスペンションアームの取付構造では、車体側に車輪を連結する略L型のロアアーム(サスペンションアーム)において、ロアアームの車体前方側の前支持部がフロントサイドメンバにブッシュ及びボルトで軸支されているとともに、ロアアームの車体後方側の後支持部には、ブッシュが嵌合され、そのブッシュが、車体側にブラケットで取付けられているものがある(例えば、特許文献1(第2図)参照)。
【0003】
しかし、従来技術(特許文献1)では、ロアアームの後支持部を車体側にブラケットで取付けているため、部品数が増加するという問題がある。
また、ブラケットを取付ける作業が繁雑となるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−289415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、部品数を削減し、取付けが容易なサスペンションアームの取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車体フレームに車輪を揺動可能に支持しているサスペンションアームの取付構造において、サスペンションアームは、車輪の中央から車体フレームへ向かって延びる車輪側アーム本体と、車輪側アーム本体に連なって延びて車体フレームに取付けられている第1車体側アーム本体と、第1車体側アーム本体から車両前方又は車両後方へ向かって延びて車体フレームに取付けられている第2車体側アーム本体と、を備え、車体フレームは、第2車体側アーム本体の端面に、一方の端面を当接している内筒を有する緩衝部材と、緩衝部材を支持し車体フレームと一体のブラケット部と、を備え、第2車体側アーム本体は、端面に内筒と同心に形成されためねじ部と、めねじ部に、内筒の他方から嵌合してねじ込まれるおねじ部材と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明では、サスペンションアームは、車輪の中央から車体フレームへ向かって延びる車輪側アーム本体と、車輪側アーム本体に連なって延びて車体フレームに取付けられている第1車体側アーム本体と、第1車体側アーム本体から車両前方又は車両後方へ向かって延びて車体フレームに取付けられている第2車体側アーム本体と、を備え、車体フレームは、第2車体側アーム本体の端面に、一方の端面を当接している内筒を有する緩衝部材と、緩衝部材を支持し車体フレームと一体のブラケット部と、を備え、第2車体側アーム本体は、端面に内筒と同心に形成されためねじ部と、めねじ部に、内筒の他方から嵌合してねじ込まれるおねじ部材と、を備えているので、ブラケット部を車体フレーム(サブフレーム)に一体にでき、部品数を削減することができる。
【0008】
また、車体フレームとブラケット部とを一体とすることで、車体フレームに別体のブラケットをボルト止めした構成をとるよりも剛性を確保することができ、操縦安定性や乗り心地性能を向上させることができる。
【0009】
さらに、車体フレームに第1車体側アーム本体を支持すると、第2車体側アーム本体の端面は、緩衝部材に含まれる内筒の一方の端面にほぼ一致するので、内筒の他方からおねじ部材をねじ込むだけでよく、サスペンションアームの取付けは容易になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例に係るサスペンションアームの取付構造を示す平面図である。
【図2】実施例に係るサスペンションアームの取付構造の斜視図である。
【図3】実施例に係るサスペンションアームの取付構造の断面図である。
【図4】実施例に係るサスペンションアームの取付構造による部品数削減の機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
実施例に係るサスペンションアーム11の取付構造12は、図1に示すように、車両13のフロントサスペンション14に採用され、サスペンションアーム11を車体フレームであるところのサブフレーム15に支持する構造である。以降で具体的に説明していく。
【0013】
フロントサスペンション14は、車体(図に示していない)に締結する車体フレーム(サブフレーム)15と、サブフレーム15に揺動自在に連結したサスペンションアーム(ロアアーム)11と、サブフレーム15の外端部16、すなわち近傍の車輪18に向いている外端部16に一体に鋳造したブラケット部21と、ブラケット部21から所定距離だけ離して外端部16に取付けられたコ字状の支持ブラケット22と、支持ブラケット22に第1緩衝部材24を介して、ブラケット部21に緩衝部材であるところの第2緩衝部材25を介して取付けられているサスペンションアーム(ロアアーム)11と、を備えている。
【0014】
車体フレームは、サブフレーム15で、サブフレーム15は、鉄を鋳造したもので、ブラケット部21を一体に鋳造している。なお、車体フレームはサブフレーム15以外でもよい。鉄の鋳造品を用いたが、アルミニウム合金の鋳物でも可能である。
【0015】
車体フレーム(サブフレーム)15に車輪18を揺動可能に支持しているサスペンションアーム11の取付構造12において、サスペンションアーム11は、車輪18を支持して車輪18の中央から車体フレーム(サブフレーム)15へ向かって延びる車輪側アーム本体28と、車輪側アーム本体28に連なって延びて車体フレーム(サブフレーム)15に取付けられている第1車体側アーム本体31と、第1車体側アーム本体31から車両13後方(矢印a1の方向)へ向かって延びて車体フレーム(サブフレーム)15に取付けられている第2車体側アーム本体32と、を備え、車体フレーム(サブフレーム)15は、第2車体側アーム本体32の端面34に、一方の端面36を当接している内筒37を有する緩衝部材(第2緩衝部材)25と、緩衝部材(第2緩衝部材)25を支持し車体フレーム(サブフレーム)15と一体のブラケット部21と、を備え、第2車体側アーム本体32は、端面34に内筒37と同心に形成されためねじ部41と、めねじ部41に、内筒37の他方から矢印a2のように嵌合してねじ込まれるおねじ部材42と、を備えている。
【0016】
なお、第2車体側アーム本体32は、第1車体側アーム本体31から車両13後方へ向かって延びているが、車両13前方(矢印a3の方向)へ向かって延ばすことも可能である。
【0017】
サスペンションアーム(ロアアーム)11は、旋回外輪側の切れ角αが大きく取れるもので、平面視(図1の視点)で、車輪18の駆動回転中心軸線Chに対し、車両13後方へ第1車体側アーム本体31を設け、第1車体側アーム本体31に対し、車両13後方へ第2車体側アーム本体32をサブフレーム15の外端部16に沿って延ばしている。ロアアーム11は、鉄の鋳造、あるいは鉄製のプレス板を溶接したものである。
【0018】
第2車体側アーム本体32は、詳しくは、本体45が閉断面で、閉断面の形状を楕円形に形成して楕円の短径で形成された短径部のうち車両13上方へ向けた天部47に平面視(図1の視点)でU形に切り欠いた第1開先48を形成し、車両13下方へ向けた底部51に平面視(図1の視点)でU形に切り欠いた第2開先(第1開先48と同様)を形成し、本体45の先端部52に接合めねじ部材54が端面34を車両13後方へ向けて嵌められ、言い換えると、接合めねじ部材54が接合めねじ部材54の軸線Cbを車両13前後方向へ延ばして嵌合し、嵌合した接合めねじ部材54と先端部52の第1開先48、第2開先とを溶接を施す(ビード部55)ことで一体的に固定し、先端部52の縁開先56と接合めねじ部材54の位置決めフランジ57とを溶接を施す(ビード部58)ことで一体的に固定している。
第2車体側アーム本体32の長さは、緩衝部材(第2緩衝部材)25の端面36までである。
【0019】
接合めねじ部材54は、略円柱形状で、先端部52に所定長さ嵌合している嵌合軸部61が形成され、嵌合軸部61に連ねてボス部62が形成され、嵌合軸部61とボス部62の境界に位置決めフランジ57が第2車体側アーム本体32の楕円形の閉断面を封じる形状に形成され、ボス部62の端面34に嵌合穴部63が開けられ、嵌合穴部63に連ね且つ同心にめねじ部41が所定の深さで形成されている。そして、嵌合穴部63及びにめねじ部41におねじ部材42が嵌る。
【0020】
おねじ部材42は、めねじ部41にねじ込まれるおねじ部65が切られ、おねじ部65に連ねて嵌合穴部63に嵌る支持嵌合軸部66が形成され、支持嵌合軸部66に連ねてフランジ付き頭部67が形成され、そして、支持嵌合軸部66が緩衝部材(第2緩衝部材)25に嵌る。
【0021】
緩衝部材(第2緩衝部材)25は、おねじ部材42に嵌合している内筒37が形成され、内筒37の外径部に弾性部材71が設けられ、弾性部材71の外径部に外筒72が設けられている。
内筒37は、支持嵌合軸部66に所定の公差で嵌る内径部が形成され、外径部が接合めねじ部材54の外径と一致又は外径以上で形成され、一方の端面36が形成され、ブラケット部21に保持されている。
【0022】
ブラケット部21は、車体フレーム(サブフレーム)15に一体に形成され、緩衝部材(第2緩衝部材)25の外径部を嵌め、第2車体側アーム本体32を貫通させないで保持している。
【0023】
次に、サスペンションアーム(ロアアーム)11の取付け要領、サスペンションアーム11の取付構造12の作用を図4で簡単に説明する。
まず、車体フレーム(サブフレーム)15のブラケット部21に緩衝部材(第2緩衝部材)25を嵌める。その次に、近傍のコ字形の支持ブラケット22に第1車体側アーム本体31の第1緩衝部材24を嵌め、支持ブラケット22及び第1緩衝部材24にボルト75を通して、ナット76にねじ込む。ボルト75をねじ込むと、他方の緩衝部材(第2緩衝部材)25に対して、第2車体側アーム本体32のめねじ部41は、ほぼ一致するので、つまり、自動的にほぼ位置決めされるので、最後に、緩衝部材(第2緩衝部材)25の他方から(車両後方から)緩衝部材(第2緩衝部材)25におねじ部材42を通して、第2車体側アーム本体32の嵌合穴部63に嵌めて、めねじ部41に最後(所望の軸力(例えばトルク管理))までねじ込む。
これでサスペンションアーム(ロアアーム)11の取付けは完了する。
【0024】
このように、サスペンションアーム11の取付構造12では、車体フレーム(サブフレーム)15の一方の支持ブラケット22にサスペンションアーム(ロアアーム)11の一端(第1車体側アーム本体31)を嵌めると、サスペンションアーム(ロアアーム)11の他端(第2車体側アーム本体32)はほとんど自動的に車体フレーム(サブフレーム)15の他方(ブラケット部21、詳しくは緩衝部材(第2緩衝部材)25)に対して位置決めされるので、そのまま1本ねじ込むだけで他端(第2車体側アーム本体32)を取付けることができる。
つまり、第2車体側アーム本体32を形成することで、ブラケット部21を車体フレーム(サブフレーム)15に一体にでき、部品数を削減することができる。
【0025】
第2車体側アーム本体32は、平面視(図1の視点)で、天部47にU形に切り欠いた第1開先48を形成し、底部51にU形に切り欠いた第2開先を形成し、接合めねじ部材54に嵌合軸部61を形成したので、ビード部55の溶接長を長くすることができ、強度を高めることができる。
【0026】
第2車体側アーム本体32では、緩衝部材(第2緩衝部材)25に設けた内筒37の一方の端面36から所定の距離に先端部52の縁開先56を形成し、接合めねじ部材54に位置決めフランジ57を形成しているので、先端部52に嵌合軸部61を嵌めて縁開先56に位置決めフランジ57を当接すると、自動的に第2車体側アーム本体32の端面34までの長さを定めることができ、第2車体側アーム本体32の製造は容易になる。
【0027】
また、第2車体側アーム本体32は、閉断面の形状を楕円形に形成しても、接合めねじ部材54に位置決めフランジ57を形成することで、楕円の長径で形成されている長径側部77にすみ肉溶接のビード部58で結合することができ、強度を高めることができる。
【0028】
尚、本発明のサスペンションアームの取付構造は、実施の形態では、サブフレームに採用されているが、サブフレーム以外にも採用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のサスペンションアームの取付構造は、車両のフロントサスペンションに好適である。
【符号の説明】
【0030】
11…サスペンションアーム、12…サスペンションアームの取付構造、13…車両、15…車体フレーム(サブフレーム)、18…車輪、21…ブラケット部、25…緩衝部材(第2緩衝部材)、28…車輪側アーム本体、31…第1車体側アーム本体、32…第2車体側アーム本体、34…第2車体側アーム本体の端面、36…内筒の一方の端面、37…内筒、41…めねじ部、42…おねじ部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームに車輪を揺動可能に支持しているサスペンションアームの取付構造において、
前記サスペンションアームは、前記車輪の中央から前記車体フレームへ向かって延びる車輪側アーム本体と、該車輪側アーム本体に連なって延びて前記車体フレームに取付けられている第1車体側アーム本体と、該第1車体側アーム本体から車両前方又は前記車両後方へ向かって延びて前記車体フレームに取付けられている第2車体側アーム本体と、を備え、
前記車体フレームは、前記第2車体側アーム本体の端面に、一方の端面を当接している内筒を有する緩衝部材と、該緩衝部材を支持し前記車体フレームと一体のブラケット部と、を備え、
前記第2車体側アーム本体は、前記端面に前記内筒と同心に形成されためねじ部と、該めねじ部に、前記内筒の他方から嵌合してねじ込まれるおねじ部材と、を備えていることを特徴とするサスペンションアームの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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