説明

サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法

【課題】高周波特性を向上させることができるサスペンション用基板を提供する。
【解決手段】本発明によるサスペンション用基板1は、第1絶縁層10と、第1絶縁層10に設けられた金属支持層20と、第1絶縁層10に設けられ、接続配線部31を有する第1配線層30と、第1絶縁層10に設けられ、第1配線層30を覆う第2絶縁層40と、第2絶縁層40に設けられ、第1配線51と第2配線52とを含む複数の配線を有する第2配線層50と、を備えている。第2配線層50の第1配線51は、ヘッド側端子部4から延びるヘッド側配線部51aと、ヘッド側配線部51aから分割された複数の分割配線部51b、51cと、を含んでいる。第2絶縁層40に、第2絶縁層40を貫通する複数の導電接続部73a、73bが設けられ、第1配線51の各分割配線部51b、51cは、対応する導電接続部73a、73bを介して、接続配線部31に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法に係り、とりわけ、高周波特性を向上させることができるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハードディスクドライブ(HDD)は、データが記憶されるディスクに対してデータの書き込みおよび読み取りを行う磁気ヘッドスライダが実装されたサスペンション用基板を備えている。このサスペンション用基板は、金属支持層と、金属支持層に絶縁層を介して積層された複数の配線を有する配線層と、を備えており、各配線に電気信号を流すことにより、ディスクに対してデータの書き込みまたは読み取りを行うようになっている。
【0003】
近年、信号伝送を高速化して、情報処理量を増大させるとともに処理スピードを向上させることが要求されている。このためには、差動インピーダンスなどの電気特性を向上させることが必要となる。
【0004】
このことに対処するために、例えば、特許文献1に示すようなサスペンション用基板が知られている。ここでは、第1の書込用配線パターンおよび第2の書込用配線パターンが、分割された2つの線路をそれぞれ有し、第1の書込用配線パターンの分割された線路と第2の書込用配線パターンの分割された線路とが、交互に配列されている。このようにして、第1の書込用配線パターンと第2の書込用配線パターンとの間の差動インピーダンスを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−114366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、データの高速化に伴い、サスペンション用基板の配線を分布定数回路として設計し、サスペンション用基板に実装される磁気ヘッドと、当該サスペンション用基板に接続されるプリアンプとのインピーダンスマッチングを取るために、差動インピーダンスを低減させつつ、高周波特性の改善が望まれている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に示すサスペンション用基板においては、第1の書込用配線パターンおよび第2の書込用配線パターンは、ステンレスからなる金属支持層に積層されたベース絶縁層上に配置されている。このため、各書込用配線パターンが金属支持層に近接するため、金属支持層に電磁誘導等を介して流れる不要な電流により信号減衰され、各書込用配線パターンの高周波特性を向上させることが困難になっている。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、高周波特性を向上させることができるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ヘッドスライダが実装され、当該ヘッドスライダに接続されるヘッド側端子部を含むヘッド領域から、外部接続基板が接続されるテール端子部を含むテール領域に延びるサスペンション用基板において、第1絶縁層と、第1絶縁層の一方の面に設けられた金属支持層と、第1絶縁層の他方の面に設けられ、接続配線部を有する第1配線層と、第1絶縁層に設けられ、第1配線層を覆う第2絶縁層と、第2絶縁層に設けられ、第1配線と第2配線とを含む複数の配線を有する第2配線層と、を備え、第2配線層の第1配線は、ヘッド側端子部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分割された複数の分割配線部と、を含み、第2絶縁層に、当該第2絶縁層を貫通する複数の導電接続部が設けられ、第1配線の各分割配線部は、対応する導電接続部を介して、第1配線層の接続配線部に接続されていることを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
【0010】
なお、上述したサスペンション用基板において、第2配線は、ヘッド側端子部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分割された複数の分割配線部と、を含み、第1配線の分割配線部と、第2配線の分割配線部とは、交互に配置されている、ことが好ましい。
【0011】
また、上述したサスペンション用基板において、第2配線層の第2配線は、テール端子部から延び、各分割配線部に接続されたテール側配線部を含み、第1配線層は、接続配線部よりテール領域側に設けられた第2の接続配線部を有し、第2絶縁層において、当該第2絶縁層を貫通する複数の第2の導電接続部が設けられ、第2配線の各分割配線部は、対応する第2の導電接続部を介して、第1配線層の第2の接続配線部に接続されている、ことが好ましい。
【0012】
また、上述したサスペンション用基板において、第1配線層の接続配線部および第2の接続配線部は、第2配線層の複数の配線と同一の材料により形成されている、ことが好ましい。
【0013】
また、上述したサスペンション用基板において、第1配線層の接続配線部は、ヘッド領域に配置され、第2の接続配線部は、テール領域に配置されている、ことが好ましい。
【0014】
また、上述したサスペンション用基板において、金属支持層のうち第1配線層の接続配線部および第2の接続配線部に対応する部分が、切り欠かれている、ことが好ましい。
【0015】
また、上述したサスペンション用基板において、第2配線層の第1配線と第2配線は、一対の書込用配線を構成している、ことが好ましい。
【0016】
また、上述したサスペンション用基板において、第2配線層の複数の配線は、一対の読取用配線を有している、ことが好ましい。
【0017】
また、上述したサスペンション用基板において、ヘッド側端子部の少なくとも一部は、第2絶縁層の第2配線層側の面に設けられている、ことが好ましい。
【0018】
また、上述したサスペンション用基板において、第1配線層は、実装されるレーザーダイオードに電源を供給する電源配線を有している、ことが好ましい。
【0019】
また、上述したサスペンション用基板において、第1配線層の電源配線は、平面視で、第2配線層の複数の配線のうち最外側に位置する配線より外側に配置されている、ことが好ましい。
【0020】
また、上述したサスペンション用基板において、第1絶縁層の厚さは、第2絶縁層の厚さ以下である、ことが好ましい。
【0021】
本発明は、ベースプレートと、ベースプレートに、ロードビームを介して取り付けられた上述したいずれかのサスペンション用基板と、を有することを特徴とするサスペンションを提供する。
【0022】
本発明は、上述したサスペンションと、サスペンションに実装されたヘッドスライダと、を有することを特徴とするヘッド付サスペンションを提供する。
【0023】
本発明は、上述したヘッド付サスペンションを有することを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
【0024】
本発明は、ヘッドスライダが実装され、当該ヘッドスライダに接続されるヘッド側端子部を含むヘッド領域から、外部接続基板が接続されるテール端子部を含むテール領域に延びるサスペンション用基板の製造方法において、第1絶縁層と、第1絶縁層の一方の面に設けられた金属支持層と、第1絶縁層の他方の面に設けられた第1配線層と、を有する積層体を準備する工程と、第1配線層において、接続配線部を形成する工程と、第1絶縁層に、第1配線層を覆うように第2絶縁層を形成すると共に、接続配線部に対応する位置に、当該第2絶縁層を貫通する複数の絶縁層貫通孔を形成する工程と、第2絶縁層に、第1配線と第2配線とを含む複数の配線を有する第2配線層を形成する工程と、を備え、第2配線層を形成する工程において、第2配線層の第1配線は、ヘッド側端子部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分割される複数の分割配線部と、を含むように形成されると共に、各絶縁層貫通孔に導電接続部が形成され、第1配線の各分割配線部は、対応する導電接続部を介して、第1配線層の接続配線部に接続されることを特徴とするサスペンション用基板の製造方法を提供する。
【0025】
なお、上述したサスペンション用基板の製造方法において、第2配線層を形成する工程において、第2配線層の第2配線は、ヘッド側端子部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分割される複数の分割配線部と、を含むように形成され、第1配線の分割配線部と、第2配線の分割配線部とが、交互に配置される、ことが好ましい。
【0026】
また、上述したサスペンション用基板の製造方法において、接続配線部を形成する工程において、第1配線層の接続配線部よりテール領域側に第2の接続配線部が形成され、絶縁層貫通孔を形成する工程において、第2の接続配線部に対応する位置に、第2絶縁層を貫通する複数の第2の絶縁層貫通孔が形成され、第2配線層を形成する工程において、第2配線層の第2配線は、テール端子部から延び、各分割配線部に接続されるテール側配線部を含むように形成されると共に、各第2の絶縁層貫通孔に第2の導電接続部が形成され、第2配線の各分割配線部は、対応する第2の導電接続部を介して、第1配線層の第2の接続配線部に接続される、ことが好ましい。
【0027】
また、上述したサスペンション用基板の製造方法において、第1配線層の接続配線部および第2の接続配線部は、第2配線層の複数の配線と同一の材料により形成される、ことが好ましい。
【0028】
また、上述したサスペンション用基板の製造方法において、金属支持層において、第1配線層の接続配線部および第2の接続配線部に対応する部分を切り欠く工程を更に備えた、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、第2配線層の第1配線が複数の分割配線部を有し、当該第2配線層が、第2絶縁層、第1配線層および第1絶縁層を介して金属支持層に積層されている。このことにより、第1配線を有する第2配線層を金属支持層から離すことができ、第1配線において伝送される電気信号が、金属支持層に電磁誘導等を介して流れる不要な電流により信号減衰されることを抑制することができる。このため、第2配線層の各配線の高周波特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板の一例を示す平面図。
【図2】図2(a)は、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板において、ヘッド側ジャンパー部を示す平面図、図2(b)は、テール側ジャンパー部を示す平面図。
【図3】図3は、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板において、ヘッド側ジャンパー部を含む断面構造を示す図。
【図4】図4は、本発明の実施の形態におけるサスペンションの一例を示す平面図。
【図5】図5は、本発明の実施の形態におけるヘッド付サスペンションの一例を示す平面図。
【図6】図6は、本発明の実施の形態におけるハードディスクドライブの一例を示す斜視図。
【図7】図7(a)〜(e)は、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板の製造方法を示す図。
【図8】図8は、図3の変形例を示す図。
【図9】図9(a)は、図3の他の変形例を示す図であって、ヘッド側ジャンパー部を含む断面構造を示す図、図9(b)は、テール側ジャンパー部を含む断面構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1乃至図7を用いて、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法について説明する。
【0032】
図1に示すように、サスペンション用基板1は、後述するヘッドスライダ112(図5参照)が実装され、当該ヘッドスライダ112に接続されるヘッド側端子部4を含むヘッド領域2から外部接続基板113が接続されるテール端子部5を含むテール領域3に延びるように形成されている。ここで、ヘッド領域2は、実装されるヘッドスライダ112の周囲であって当該ヘッドスライダ112に接続されるヘッド側端子部4に近接した領域を意味しており、テール領域3は、外部接続基板113に接続されるテール端子部5に近接した領域を意味している。なお、外部接続基板113としては、例えば、フレキシブルプリント基板を挙げることができる。
【0033】
図1および図3に示すように、サスペンション用基板1は、絶縁層10と、絶縁層10の一方の面に設けられ、導電性を有する金属支持層20と、絶縁層10の他方の面に設けられた第1配線層30と、第1絶縁層10に設けられ、第1配線層30を覆う第2絶縁層40と、第2絶縁層40に設けられ、複数の配線を有する第2配線層50と、を備えている。第2配線層50の複数の配線は、一対の書込用配線を構成する第1配線51および第2配線52と、一対の読取用配線を構成する第3配線53および第4配線54と、を含んでいる。すなわち、図3に示すように、書込用配線を構成する第1配線51および第2配線52と、読取用配線を構成する第3配線53および第4配線54とは、いずれも、第2絶縁層40上に設けられている。
【0034】
図2および図3に示すように、第1配線層30は、ヘッド側ジャンパー配線部(接続配線部)31と、テール側ジャンパー配線部(第2の接続配線部)32と、実装されるレーザーダイオード114(図5参照)に電源を供給する電源配線33と、を有している。なお、レーザーダイオード114は、熱アシスト記録方式に対応するヘッドスライダ112の裏面に搭載されるものであり、熱アシスト記録方式とは、磁性粒子を小さくして高密度化されたディスク123(図6参照)において、磁気記録を行う部分を瞬間的に加熱することによって、常温では困難な、保磁力の高い記録を可能とする記録方式である。この電源配線33は、平面視で(図1または図2のように見た場合)、第2配線層50の複数の配線、すなわち、最外側(図2および図3の右側)に位置する第2配線52の分割配線部より、外側に配置されている。これにより、外来雑音等による信号伝送への影響を低減することができる。なお、図1においては、図面を明瞭にするために、電源配線33は省略されている。
【0035】
ヘッド領域2に設けられたヘッド側端子部4の少なくとも一部は、第2絶縁層40の第2配線層50の側の面に設けられている。すなわち、ヘッド側端子部4は、第1絶縁層10上に設けられ、第1配線層30の電源配線33に接続されたレーザーダイオード用端子(電源端子、図示せず)と、第2絶縁層40上に設けられ、第2配線層50の各配線51〜54に接続された複数のヘッド端子4aと、を有している。このようにして、ヘッド側端子部4は、2段構成となって、多数のパッドを有する高機能のヘッドスライダ112の対応するパッドに接続可能になっている。なお、レーザーダイオード用端子は、第1配線層30の電源配線33と同一の材料により形成され、ニッケル(Ni)めっきおよび金(Au)めっきが施されている。また、ヘッド端子4aは、第2配線層50の各配線51〜54と同一の材料により形成され、レーザーダイオード用端子と同様にしてニッケルめっきおよび金めっきが施されている。
【0036】
図1乃至図3に示すように、第1配線51は、ヘッド側端子部4のヘッド端子4aから延びる第1ヘッド側配線部51aと、この第1ヘッド側配線部51aから分割された複数(例えば、2つ)の第1分割配線部51b、51cと、を含んでおり、第1ヘッド側配線部51aは、ヘッド領域2に設けられたヘッド側ジャンパー部71を介して、各第1分割配線部51b、51cに分割するように接続されている。また、第1配線51は、テール端子部5から延びる第1テール側配線部51dを更に含んでおり、各第1分割配線部51b、51cは、第2絶縁層40上において、後述するテール側ジャンパー部72の近傍で、第1テール側配線部51dから分割するように接続されている。
【0037】
第2配線52は、ヘッド側端子部4のヘッド端子4aから延びる第2ヘッド側配線部52aと、この第2ヘッド側配線部52aから分割された複数(例えば、2つ)の第2分割配線部52b、52cと、を含んでいる。各第2分割配線部52b、52cは、第2絶縁層40上において、ヘッド側ジャンパー部71の近傍で、第2ヘッド側配線部52aから分割するように接続されている。また、第2配線52は、テール端子部5から延びる第2テール側配線部52dを更に含んでおり、各第2分割配線部52b、52cは、テール領域3に設けられたテール側ジャンパー部72を介して、第2テール側配線部52dから分割するように接続されている。
【0038】
第1配線51の各第1分割配線部51b、51cと、第2配線52の各第2分割配線部52b、52cとは、交互に配置されている。すなわち、2つの第1分割配線部51b、51cの間に、一方の第2分割配線部52bが介在されており、2つの第2分割配線部52b、52cの間に、他方の第1分割配線部51cが介在されている。このようにして、第1配線51と第2配線52とにより、インターリーブ配線構造が形成されている。
【0039】
図2(a)に示すように、ヘッド側ジャンパー部71において、第2絶縁層40を貫通する2つのヘッド側絶縁層貫通孔(絶縁層貫通孔)41a、41bが設けられ、各ヘッド側絶縁層貫通孔41a、41bにヘッド側導電接続部(導電接続部、ビア)73a、73bが設けられている。ヘッド側導電接続部73a、73bに対応する位置に、第1配線層30のヘッド側ジャンパー配線部31が設けられており、第1配線51の各第1分割配線部51b、51cは、対応するヘッド側導電接続部73a、73bを介して、第1配線層30のヘッド側ジャンパー配線部31に接続されるようになっている。すなわち、一方の第1分割配線部51bは、一方のヘッド側導電接続部73aを介してヘッド側ジャンパー配線部31に接続され、他方の第1分割配線部51cは、他方のヘッド側導電接続部73bを介して当該ヘッド側ジャンパー配線部31に接続されている。また、第1ヘッド側配線部51aは、ヘッド側導電接続部73aを介して、第1分割配線部51bに接続されている。
【0040】
テール側ジャンパー部72は、ヘッド側ジャンパー部71と同様の構造を有し、図1に示すように、ヘッド側ジャンパー部71よりテール領域3の側に設けられている。このテール側ジャンパー部72においては、図2(b)に示すように、第2絶縁層40を貫通する2つのテール側絶縁層貫通孔(第2の絶縁層貫通孔)42a、42bが設けられ、各テール側絶縁層貫通孔42a、42bにテール側導電接続部(第2の導電接続部、ビア)74a、74bが設けられている。テール側導電接続部74a、74bに対応する位置に、第1絶縁層30のテール側ジャンパー配線部32が設けられており、第2配線52の各第2分割配線部52b、52cは、対応するテール側導電接続部74a、74bを介して、第1配線層30のテール側ジャンパー配線部32に接続されるようになっている。すなわち、一方の第2分割配線部52bは、一方のテール側導電接続部74aを介してテール側ジャンパー配線部32に接続され、他方の第2分割配線部52cは、他方のテール側導電接続部74bを介してテール側ジャンパー配線部32に接続されている。また、第2テール側配線部52dは、テール側導電接続部74bを介して、第2分割配線部51cに接続されている。
【0041】
図3に示すように、第2絶縁層40上には、第2配線層50を覆う保護層60が設けられている。なお、図1および図2においては、図面を明瞭にするために、保護層60は省略されている。
【0042】
なお、図示しないが、第1絶縁層10と第1配線層30との間、並びに、第2絶縁層40と第2配線層50および導電接続部73a、73b、74a、74bとの間に、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、銅(Cu)からなり、約300nm厚さを有するシード層を介在させてもよい。この場合、各絶縁層10、40と対応する配線層30、50または導電接続部73a、73b、74a、74bとの間の密着性を向上させることができる。
【0043】
次に、各構成部材について詳細に述べる。
【0044】
第1絶縁層10および第2絶縁層40の材料としては、所望の絶縁性を有する材料であれば特に限定されることはないが、例えば、ポリイミド(PI)を用いることが好適である。なお、各絶縁層10、40の材料は、感光性材料であっても非感光性材料であっても用いることができる。また、第1絶縁層10の厚さは、第2絶縁層40の厚さ以下であることが好ましい。このうち第1絶縁層10の厚さは、3μm〜15μm、とりわけ、5μmであることが好まく、第2絶縁層40の厚さは、3μm〜10μm、とりわけ、5μmであることが好ましい。このことにより、金属支持層20と第1配線層30との絶縁性能、および、第1配線層30と第2配線層50との絶縁性能を確保すると共に、サスペンション用基板1全体としての剛性が喪失されることを防止することができる。
【0045】
第2配線層50の各配線51〜54および第1配線層30の各ジャンパー配線部31、32、電源配線33は、電気信号を伝送するための導体として構成され、同一の材料により形成されている。各配線33、51〜54および各ジャンパー配線部31、32の材料としては、所望の導電性を有する材料であれば特に限定されることはないが、銅(Cu)を用いることが好適である。銅以外にも、純銅に準ずる電気特性を有する材料であれば用いることもできる。ここで、各配線33、51〜54および各ジャンパー配線部31、32の厚さは、例えば1μm〜18μm、とりわけ5μm〜12μmであることが好ましい。このことにより、各配線33、51〜54および各ジャンパー配線部31、32の伝送特性を確保するとともに、サスペンション用基板1全体としての柔軟性が喪失されることを防止することができる。
【0046】
各導電接続部73a、73b、74a、74bの材料としては、所望の導電性を有する材料であれば特に限定されることはないが、銅またはニッケル等が挙げられる。本実施の形態においては、各導電接続部73a、73b、74a、74bは、第2配線層50の各配線51〜54と同一の材料により形成されている。
【0047】
金属支持層20の材料としては、所望の導電性、弾力性、および強度を有するものであれば特に限定されることはないが、例えば、ステンレス、アルミニウム、ベリリウム銅、またはその他の銅合金を用いることができ、好ましくはステンレスを用いることが好適である。なお、金属支持層20の厚さは、一例として、10μm〜30μm、とりわけ15μm〜25μmとすることができる。
【0048】
保護層60の材料としては、樹脂材料、例えば、ポリイミドを用いることが好適である。なお、保護層60の材料は、感光性材料であっても非感光性材料であっても用いることができる。保護層60の厚さは、3μm〜10μm、とりわけ5μmであることが好ましい。
【0049】
次に、図4により、本実施の形態におけるサスペンション101について説明する。図4に示すサスペンション101は、上述したサスペンション用基板1と、サスペンション用基板1の後述するヘッドスライダ112(図5参照)が実装される面とは反対側の面に設けられ、ヘッドスライダ112をディスク123(図6参照)に対して保持するためのロードビーム102とを有している。
【0050】
続いて、図5により、本実施の形態におけるヘッド付サスペンション111について説明する。図5に示すヘッド付サスペンション111は、上述したサスペンション101と、サスペンション用基板1のヘッド領域2に実装されるヘッドスライダ112とを有している。
【0051】
次に、図6により、本実施の形態におけるハードディスクドライブ121について説明する。図6に示すハードディスクドライブ121は、ケース122と、このケース122に回転自在に取り付けられ、データが記憶されるディスク123と、このディスク123を回転させるスピンドルモータ124と、ディスク123に所望のフライングハイトを保って近接するように設けられ、ディスク123に対してデータの書き込みおよび読み取りを行うヘッドスライダ112を含むヘッド付サスペンション111と、を有している。このうちヘッド付サスペンション111は、ケース122に対して移動自在に取り付けられており、ケース122にはヘッド付サスペンション111のヘッドスライダ112をディスク123上に沿って移動させるボイスコイルモータ125が取り付けられている。また、ヘッド付サスペンション111は、ボイスコイルモータ125にアーム126を介して取り付けられている。
【0052】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち本実施の形態によるサスペンション用基板1の製造方法について説明する。ここでは、一例として、ヘッド側ジャンパー部71の断面構造を示す図7を用いて、サブトラクティブ法によりサスペンション用基板1を製造する方法について説明する。なお、テール側ジャンパー部72は、ヘッド側ジャンパー部71と同様にして作製することができるため、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0053】
まず、第1絶縁層10と、第1絶縁層10の一方の面に設けられた導電性を有する金属支持層20と、第1絶縁層10の他方の面に設けられた第1配線層30と、を有する積層体80を準備する(図7(a)参照)。この場合、まず、金属支持層20を準備し、この金属支持層20上に、非感光性ポリイミドを用いた塗工方法により第1絶縁層10が形成される。続いて、第1絶縁層10上に、ニッケル、クロム、および銅がスパッタ工法により順次コーティングされ、シード層(図示せず)が形成される。その後、このシード層を導通媒体として、銅めっきにより第1配線層30が形成される。このようにして、第1絶縁層10と、金属支持層20と、第1配線層30と、を有する積層体75が得られる。
【0054】
続いて、第1配線層30において、ヘッド側ジャンパー配線部31が形成される(図7(b)参照)。この場合、第1配線層30上に、フォトファブリケーションの手法により、ドライフィルムを用いて、パターン状のレジスト(図示せず)が形成され、第1配線層30のうちレジストから露出された部分がエッチングされる。このことにより、ヘッド側ジャンパー配線部31が得られる。この際、電源配線33およびレーザーダイオード用端子(図示せず)が同様にして形成される。ここで、第1配線層30をエッチングする方法は、特に限定されるものではないが、ウェットエッチングを行うことが好ましい。また、エッチング液には、例えば、塩化第二鉄水溶液等の塩化鉄系エッチング液、または塩化銅水溶液等の塩化銅系エッチング液を用いることができる。エッチングが行われた後、レジストは除去される。
【0055】
次に、第1絶縁層10上に、第1配線層30を覆うように第2絶縁層40が形成されると共に、ヘッド側ジャンパー配線部31に対応する位置に、当該第2絶縁層40を貫通するヘッド側絶縁層貫通孔41a、41bが形成される(図7(c)参照)。この場合、まず、第1絶縁層10上に、第1配線層30を覆うように第2絶縁層40が形成される。続いて、形成された第2絶縁層40上に、パターン状のレジスト(図示せず)が形成され、第2絶縁層40のうちレジストから露出された部分がエッチングされて外形加工される。このことにより、第2絶縁層40を貫通するヘッド側絶縁層貫通孔41a、41bが得られる。なお、エッチング液には、例えば、有機アルカリ液を用いることができる。エッチングが行われた後、レジストは除去される。
【0056】
その後、図示しないが、第2絶縁層40上および、ヘッド側ジャンパー配線部31の露出した部分に、スパッタリングにより、シード層が形成される。
【0057】
次に、第2絶縁層40上に、各配線51〜54を有する第2配線層50が形成される(図7(d)参照)。また、この際、各ヘッド側絶縁層貫通孔41a、41bにヘッド側導電接続部73a、73bが形成される。この場合、第2絶縁層40上に、パターン状のレジスト(図示せず)が形成され、レジストの開口部に、電解銅めっき法によって、第2絶縁層40上に各配線51〜54が形成されると共に、各ヘッド側絶縁層貫通孔41a、41bにヘッド側導電接続部73a、73bが形成される。ここでは、第1配線51の各第1分割配線部51b、51cと、対応するヘッド側導電接続部73a、73bとが一体に形成される。また、この際、ヘッド端子4aが同様にして形成される。その後、レジストは除去される。
【0058】
第2配線層50が形成された後、第2絶縁層40上に、第2配線層50を覆う保護層60が形成される(図7(e)参照)。この場合、まず、第2絶縁層40上に、第2配線層50を覆うように保護層60が形成される。続いて、形成された保護層60上に、パターン状のレジスト(図示せず)が形成され、保護層60のうちレジストから露出された部分がエッチングされて外形加工される。なお、エッチング液には、例えば、有機アルカリ液を用いることができる。エッチングが行われた後、レジストは除去される。
【0059】
続いて、図示しないが、保護層60上に、パターン状のレジストが形成され、第1絶縁層10のうちレジストから露出された部分がエッチングされ、所望の形状に金属支持層20を露出させ、外形加工が施される。なお、エッチング液には、第2絶縁層40のエッチングに用いたエッチング液を用いることができる。エッチングが行われた後、レジストは除去される。
【0060】
次に、図示しないが、ヘッド側端子部(レーザーダイオード用端子およびヘッド端子4a)4およびテール端子部5に、ニッケルめっきおよび金めっきが順次施される。その後、金属支持層20がエッチングにより外形加工される。このようにして、本実施の形態におけるサスペンション用基板1が得られる。
【0061】
このようにして得られたサスペンション用基板1の下面に、ロードビーム102が取り付けられて図4に示すサスペンション101が得られる。このサスペンション101のヘッド領域2に、ヘッドスライダ112が実装されて図5に示すヘッド付サスペンション111が得られる。この場合、ヘッドスライダ112の複数のパッドが、対応するヘッド側端子部4に接続される。さらに、このヘッド付サスペンション111がハードディスクドライブ121のケース122に取り付けられて、図6に示すハードディスクドライブ121が得られる。
【0062】
図6に示すハードディスクドライブ121においてデータの書き込みおよび読み取りを行う際、ボイスコイルモータ125によりヘッド付サスペンション111のヘッドスライダ112がディスク123上に沿って移動し、スピンドルモータ124により回転しているディスク123に所望のフライングハイトを保って近接する。このことにより、ヘッドスライダ112とディスク123との間で、データの受け渡しが行われる。この間、サスペンション用基板1のヘッド側端子部4とテール端子部5との間を延びる各配線51〜54により電気信号が伝送される。
【0063】
このように本実施の形態によれば、第2配線層50の第1配線51および第2配線52は、一対の書込用配線としてインターリーブ配線構造を有し、当該第2配線層50が、第2絶縁層40、第1配線層30および第1絶縁層10を介して金属支持層20に積層されている。このことにより、第1配線51および第2配線52を、金属支持層20から離すことができ、第1配線51および第2配線52において伝送される電気信号が、金属支持層20に電磁誘導等を介して流れる不要な電流により信号減衰されることを抑制することができる。このため、第2配線層50の第1配線51および第2配線52の高周波特性を向上させることができる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、第1配線51および第2配線52と同様にして、第2絶縁層40上に、一対の読取用配線を構成する第3配線53および第4配線54が設けられている。このことにより、一対の書込用配線と同様に、第3配線53および第4配線54において伝送される電気信号が、金属支持層20に電磁誘導等を介して流れる不要な電流により信号減衰されることを抑制することができ、第3配線53および第4配線54の高周波特性を向上させることができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、上述したように、各配線51〜54を有する第2配線層50が、第2絶縁層40、第1配線層30および第1絶縁層10を介して金属支持層20に積層されるため、第2配線層50の各配線51〜54において伝送される電気信号が、金属支持層20に電磁誘導等を介して流れる不要な電流によって信号減衰されることを抑制することができる。このことにより、第1絶縁層10の厚さを低減し、サスペンション用基板1の全体の厚さを低減することができる。また、この場合、サスペンション用基板1の柔軟性を向上させて、反りを防止すると共に、使用される絶縁物量を低減することができ、サスペンション用基板1の軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、一対の書込用配線を構成する第2配線層50の第1配線51および第2配線52は、インターリーブ配線構造を有している。このことにより、第1配線51と第2配線52との間の差動インピーダンスを低減することができ、電気特性を向上させることができる。とりわけ、本実施の形態によれば、第1配線層30のヘッド側ジャンパー配線部31は、ヘッド領域2に配置されると共に、テール側ジャンパー配線部32は、テール領域3に配置されている。このことにより、各第1分割配線部51b、51cと各第2分割配線部52b、52cを長くすることができ、第1配線51と第2配線52との間の差動インピーダンスをより一層低減することができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、第2配線層50は、一対の書込用配線を構成する第1配線51および第2配線52と、一対の読取用配線を構成する第3配線53および第4配線54と、を有し、第1配線層30は、電源配線33を有している。このように、第1絶縁層10上に電源配線33が配置され、第2絶縁層40上にヘッドスライダ112と外部接続基板113とを接続する配線を配置させることにより、配線設計の自由度を向上させることができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、ヘッド側端子部4は、第1絶縁層10上に設けられ、第1配線層30の電源配線33に接続されたレーザーダイオード用端子(図示せず)と、第2絶縁層40上に設けられ、第2配線層50の各配線51〜54に接続されたヘッド端子4aと、を有している。このことにより、ヘッドスライダ112に接続されるヘッド側端子部4を2段構成とすることができ、多数のパッドを有する高機能のヘッドスライダ112を実装することが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、第1配線層30の電源配線33は、平面視で、第2配線層50の第1配線51および第2配線52のうち最外側に位置する配線より外側に配置されている。このことにより、外部ノイズから、第2配線層50の各配線51〜54を保護することができ、第2配線層50の各配線51〜54の電気特性を向上させることができる。
【0070】
さらに、本実施の形態によれば、第1配線層30の各ジャンパー配線部31、32は、第2配線層50の各配線51〜54と同一の材料により形成されている。このことにより、第1配線51および第2配線52が、対応するジャンパー配線部31、32によって導電性が低下することを防止することができる。
【0071】
なお、本実施の形態においては、第2配線層50が、一対の読取用配線を構成する第3配線53および第4配線54を有する例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1配線層30が、一対の読取用配線を有するようにしてもよい。言い換えると、読取用配線が、第1絶縁層10上に設けられていてもよい。また、第1配線層30が電源配線33を有する例について説明したが、第2配線層50が電源配線33を有するようにしてもよい。
【0072】
また、本実施の形態においては、第1配線層30の電源配線33が、平面視で、第2配線層50の第1配線51および第2配線52のうち最外側に位置する配線より外側に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、電源配線33は、第1絶縁層10上において、任意の位置に配置してもよい。
【0073】
また、本実施の形態においては、ヘッド側ジャンパー配線部31がヘッド領域2に配置されると共に、テール側ジャンパー配線部32がテール領域3に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、ヘッド側ジャンパー配線部31は、ヘッド領域2よりもテール領域3の側に配置されてもよく、あるいは、テール側ジャンパー配線部32は、テール領域3よりもヘッド領域2の側に配置されてもよい。
【0074】
また、本実施の形態においては、第2配線層50の第1配線51が2つの第1分割配線部51b、51cを有している例について説明したが、このことに限られることはなく、第1配線51は、3つ以上の第1分割配線部を有し、ヘッド側ジャンパー配線部31によって接続されていてもよい。同様に、第2配線層50の第2配線52は、3つ以上の第2分割配線部を有し、テール側ジャンパー配線部32によって接続されていてもよい。
【0075】
さらに、本実施の形態においては、第2絶縁層40上に、第2配線層50を覆う保護層60が設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図8に示すように、このような保護層60を設けなくてもよい。なお、この場合には、第2配線層50の各配線51〜54および、各導電接続部73a、73b、74a、74bに、腐食防止のためのめっきが施されていることが好ましい。
【0076】
また、本実施の形態においては、図9に示すように、金属支持層20の一部を切り欠くようにしてもよい。すなわち、図9(a)、(b)に示す変形例においては、金属支持層20のうち第1配線層30のヘッド側ジャンパー配線部31に対応する部分が、切り欠かれており、ヘッド側開口部22aが形成され、このヘッド側開口部22aにおいて第1絶縁層10が露出している。同様に、金属支持層20のうち第1配線層30のテール側ジャンパー配線部32に対応する部分が、切り欠かれてテール側開口部22bが形成されており、このテール側開口部22bにおいて第1絶縁層10が露出している。このような切り欠きは、金属支持層20を外形加工する際に、エッチングによって形成することができる。なお、図9(a)、(b)においては、各開口部22a、22bの両側に金属支持層20の金属支持層本体21が設けられて、各開口部22a、22bが、金属支持層本体21によって囲まれているように形成されているが、各ジャンパー配線部31、32に対応する金属支持層20の部分が切り欠かれていれば、各開口部22a、22bの形状は、任意とすることができる。
【0077】
図9に示す変形例によれば、各ジャンパー配線部31、32において伝送される電気信号が、金属支持層20に電磁誘導等を介して流れる不要な電流により信号減衰されることをより一層抑制することができる。このため、第2配線層50の第1配線51および第2配線52の高周波特性をより一層向上させることができる。
【0078】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明によるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 サスペンション用基板
2 ヘッド領域
3 テール領域
4 ヘッド側端子部
4a ヘッド端子
5 テール端子部
10 第1絶縁層
20 金属支持層
21 金属支持層本体
22a ヘッド側開口部
22b テール側開口部
30 第1配線層
31 ヘッド側ジャンパー配線部
32 テール側ジャンパー配線部
33 電源配線
40 第2絶縁層
41a、41b ヘッド側絶縁層貫通孔
42a、42b テール側絶縁層貫通孔
50 第2配線層
51 第1配線
51a 第1ヘッド側配線部
51b、51c 第1分割配線部
51d 第1テール側配線部
52 第2配線
52a 第2ヘッド側配線部
52b、52c 第2分割配線部
52d 第2テール側配線部
53 第3配線
54 第4配線
60 保護層
71 ヘッド側ジャンパー部
72 テール側ジャンパー部
73a、73b ヘッド側導電接続部
74a、74b テール側導電接続部
80 積層体
101 サスペンション
102 ロードビーム
111 ヘッド付サスペンション
112 ヘッドスライダ
113 外部接続基板
114 レーザーダイオード
121 ハードディスクドライブ
122 ケース
123 ディスク
124 スピンドルモータ
125 ボイスコイルモータ
126 アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドスライダが実装され、当該ヘッドスライダに接続されるヘッド側端子部を含むヘッド領域から、外部接続基板が接続されるテール端子部を含むテール領域に延びるサスペンション用基板において、
第1絶縁層と、
第1絶縁層の一方の面に設けられた金属支持層と、
第1絶縁層の他方の面に設けられ、接続配線部を有する第1配線層と、
第1絶縁層に設けられ、第1配線層を覆う第2絶縁層と、
第2絶縁層に設けられ、第1配線と第2配線とを含む複数の配線を有する第2配線層と、を備え、
第2配線層の第1配線は、ヘッド側端子部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分割された複数の分割配線部と、を含み、
第2絶縁層に、当該第2絶縁層を貫通する複数の導電接続部が設けられ、
第1配線の各分割配線部は、対応する導電接続部を介して、第1配線層の接続配線部に接続されていることを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
第2配線は、ヘッド側端子部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分割された複数の分割配線部と、を含み、
第1配線の分割配線部と、第2配線の分割配線部とは、交互に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項3】
第2配線層の第2配線は、テール端子部から延び、各分割配線部に接続されたテール側配線部を含み、
第1配線層は、接続配線部よりテール領域側に設けられた第2の接続配線部を有し、
第2絶縁層において、当該第2絶縁層を貫通する複数の第2の導電接続部が設けられ、
第2配線の各分割配線部は、対応する第2の導電接続部を介して、第1配線層の第2の接続配線部に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のサスペンション用基板。
【請求項4】
第1配線層の接続配線部および第2の接続配線部は、第2配線層の複数の配線と同一の材料により形成されていることを特徴とする請求項3に記載のサスペンション用基板。
【請求項5】
第1配線層の接続配線部は、ヘッド領域に配置され、第2の接続配線部は、テール領域に配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載のサスペンション用基板。
【請求項6】
金属支持層のうち第1配線層の接続配線部および第2の接続配線部に対応する部分が、切り欠かれていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載のサスペンション用基板。
【請求項7】
第2配線層の第1配線と第2配線は、一対の書込用配線を構成していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のサスペンション用基板。
【請求項8】
第2配線層の複数の配線は、一対の読取用配線を有していることを特徴とする請求項7に記載のサスペンション用基板。
【請求項9】
ヘッド側端子部の少なくとも一部は、第2絶縁層の第2配線層側の面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のサスペンション用基板。
【請求項10】
第1配線層は、実装されるレーザーダイオードに電源を供給する電源配線を有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のサスペンション用基板。
【請求項11】
第1配線層の電源配線は、平面視で、第2配線層の複数の配線のうち最外側に位置する配線より外側に配置されていることを特徴とする請求項10に記載のサスペンション用基板。
【請求項12】
第1絶縁層の厚さは、第2絶縁層の厚さ以下であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のサスペンション用基板。
【請求項13】
ベースプレートと、
ベースプレートに、ロードビームを介して取り付けられた請求項1乃至12のいずれかに記載のサスペンション用基板と、を有することを特徴とするサスペンション。
【請求項14】
請求項13に記載のサスペンションと、
サスペンションに実装されたヘッドスライダと、を有することを特徴とするヘッド付サスペンション。
【請求項15】
請求項14に記載のヘッド付サスペンションを有することを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項16】
ヘッドスライダが実装され、当該ヘッドスライダに接続されるヘッド側端子部を含むヘッド領域から、外部接続基板が接続されるテール端子部を含むテール領域に延びるサスペンション用基板の製造方法において、
第1絶縁層と、第1絶縁層の一方の面に設けられた金属支持層と、第1絶縁層の他方の面に設けられた第1配線層と、を有する積層体を準備する工程と、
第1配線層において、接続配線部を形成する工程と、
第1絶縁層に、第1配線層を覆うように第2絶縁層を形成すると共に、接続配線部に対応する位置に、当該第2絶縁層を貫通する複数の絶縁層貫通孔を形成する工程と、
第2絶縁層に、第1配線と第2配線とを含む複数の配線を有する第2配線層を形成する工程と、を備え、
第2配線層を形成する工程において、第2配線層の第1配線は、ヘッド側端子部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分割される複数の分割配線部と、を含むように形成されると共に、各絶縁層貫通孔に導電接続部が形成され、
第1配線の各分割配線部は、対応する導電接続部を介して、第1配線層の接続配線部に接続されることを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
【請求項17】
第2配線層を形成する工程において、第2配線層の第2配線は、ヘッド側端子部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分割される複数の分割配線部と、を含むように形成され、
第1配線の分割配線部と、第2配線の分割配線部とが、交互に配置されることを特徴とする請求項16に記載のサスペンション用基板の製造方法。
【請求項18】
接続配線部を形成する工程において、第1配線層の接続配線部よりテール領域側に第2の接続配線部が形成され、
絶縁層貫通孔を形成する工程において、第2の接続配線部に対応する位置に、第2絶縁層を貫通する複数の第2の絶縁層貫通孔が形成され、
第2配線層を形成する工程において、第2配線層の第2配線は、テール端子部から延び、各分割配線部に接続されるテール側配線部を含むように形成されると共に、各第2の絶縁層貫通孔に第2の導電接続部が形成され、
第2配線の各分割配線部は、対応する第2の導電接続部を介して、第1配線層の第2の接続配線部に接続されることを特徴とする請求項17に記載のサスペンション用基板の製造方法。
【請求項19】
第1配線層の接続配線部および第2の接続配線部は、第2配線層の複数の配線と同一の材料により形成されることを特徴とする請求項18に記載のサスペンション用基板の製造方法。
【請求項20】
金属支持層において、第1配線層の接続配線部および第2の接続配線部に対応する部分を切り欠く工程を更に備えたことを特徴とする請求項18または19に記載のサスペンション用基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−221533(P2012−221533A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87446(P2011−87446)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】