説明

サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブ

【課題】外部接続基板の外部端子に接続される接続端子の断線を防止することができるサスペンション用基板を提供する。
【解決手段】本発明によるサスペンション用基板1は、絶縁層10と、絶縁層10の一方の面に設けられた金属支持層20と、絶縁層10の他方の面に設けられた配線層30であって、複数の配線31と、配線31の各々に接続され、外部接続基板131の外部端子132に接合可能な接続端子33と、を有する配線層30と、を備えている。金属支持層20は、テール部3に設けられ、接続端子33を露出させる金属開口部21と、金属開口部21を画定し、接続端子33の長手方向に直交する一対の金属開口端縁23と、を有している。金属開口端縁23の各々の両端部には、凹部25が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブに係り、とりわけ、外部接続基板の外部端子に接続される接続端子の断線を防止することができるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハードディスクドライブ(HDD)は、データが記憶されるディスクに対してデータの書き込みおよび読み取りを行う磁気ヘッドスライダが実装されたサスペンション用基板を備えている。このようなサスペンション用基板は、磁気ヘッドスライダが実装されるヘッド部から、外部接続基板(FPC基板、フレキシブルプリント基板)が接合されるテール部に延びるように形成されており、金属支持層と、金属支持層に絶縁層を介して積層された複数の配線を有する配線層と、を備えている。各配線に電気信号を流すことにより、ディスクに対してデータの書き込みまたは読み取りが行われるようになっている。
【0003】
サスペンション用基板のテール部には、上述したように、FPC基板が接合されるようになっている。すなわち、サスペンション用基板のテール部には、各配線に接続された接続端子(フライングリード)が設けられており、各フライングリードが、金属支持層および絶縁層に形成された矩形状の開口部に並列配置されて露出し、この開口部を介して、各フライングリードが、FPC基板のFPC端子に超音波接合または半田接合されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−31915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、開口部において並列されている複数のフライングリードのうち両外側に位置するフライングリードは、フライングリードに沿って延びる開口部の側縁に近接している。このことにより、両外側のフライングリードは、開口部の内方に位置するフライングリードより、金属支持層によって強固に保持されることになる。このため、超音波接合時、両外側のフライングリードには、内方のフライングリードより大きな応力がかかり、断線しやすいという問題がある。
【0006】
また、超音波接合する際、位置合わせのずれ等によってFPC基板に対してサスペンション用基板が傾斜することがある。この場合には、この傾斜により、両外側に位置するフライングリードのうちFPC基板から離れた方のフライングリードの変形量が増え、当該フライングリードにかかる応力が増大する。このため、この場合においても、フライングリードが断線するという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、外部接続基板の外部端子に接続される接続端子の断線を防止することができるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ヘッドスライダが実装されるヘッド部から、外部接続基板が接合されるテール部に延びるサスペンション用基板において、絶縁層と、前記絶縁層の一方の面に設けられた金属支持層と、前記絶縁層の他方の面に設けられた配線層であって、複数の配線と、前記配線の各々に接続され、前記外部接続基板の外部端子に接合可能な接続端子と、を有する前記配線層と、を備え、前記金属支持層は、前記テール部に設けられ、前記接続端子を露出させる金属開口部と、前記金属開口部を画定し、前記接続端子の長手方向に直交する一対の金属開口端縁と、を有し、前記金属開口端縁の各々の両端部には、凹部が設けられていることを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
【0009】
上述した本発明によれば、接続端子を露出させる金属開口部を画定する各金属開口端縁の両端部には、凹部が設けられている。このことにより、外部接続基板の外部端子とサスペンション用基板の接続端子とを接合する際、各接続端子、とりわけ両外側に位置する接続端子にかかる応力を低減することができる。このため、接続端子の断線を防止することができる。
【0010】
なお、上述したサスペンション用基板においては、前記絶縁層は、前記接続端子を露出させる絶縁開口部と、前記絶縁開口部を画定し、前記接続端子の長手方向に直交する一対の絶縁開口端縁と、を有し、前記金属開口端縁の各々は、対応する前記絶縁開口端縁に対して前記絶縁開口部の反対側に位置している、ことが好ましい。このことにより、各接続端子にかかる応力を、絶縁開口端縁に対応する位置に生じる応力と、金属開口端縁に対応する位置に生じる応力とに分散させることができ、接続端子の断線をより一層防止することができる。
【0011】
本発明は、ベースプレートと、前記ベースプレートに、ロードビームを介して取り付けられた上述のサスペンション用基板と、を備えたことを特徴とするサスペンションを提供する。
【0012】
本発明は、上述のサスペンションと、サスペンションに実装された前記ヘッドスライダと、を備えたことを特徴とするヘッド付サスペンションを提供する。
【0013】
本発明は、上述のヘッド付サスペンションを備えたことを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、外部接続基板の外部端子に接続される接続端子の断線を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板の一例を示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板において、テール部を示す裏面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板において、テール部の断面を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態におけるサスペンションの一例を示す平面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態におけるヘッド付サスペンションの一例を示す平面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態におけるハードディスクドライブの一例を示す斜視図である。
【図7】図7(a)、(b)は、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板において、フライングリードをFPC基板のFPC端子に接合する方法を説明する図であって、フライングリードの並列方向に沿った断面構造を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板において、フライングリードをFPC基板のFPC端子に接合する方法を説明する裏面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板において、テール部の変形例を示す裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至図9を用いて、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブについて説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0017】
図1に示すように、サスペンション用基板1は、後述するヘッドスライダ(図5参照)112が実装されるヘッド部2から、FPC基板(外部接続基板、フレキシブルプリント基板)131が実装されるテール部3に延びるように形成されている。なお、本実施の形態におけるヘッド部2は、実装されるヘッドスライダ112に接続されるヘッド端子32に近接した領域を意味し、テール部3は、FPC基板131に接続される後述するフライングリード33に近接した領域を意味している。
【0018】
図1、図3および図7に示すように、サスペンション用基板1は、絶縁層10と、絶縁層10の一方の面に設けられた金属支持層20と、絶縁層10の他方の面に設けられた配線層30と、を備えている。このうち配線層30は、読取配線および書込配線を含む複数の配線31と、各配線31に接続され、FPC基板131(図7参照)のFPC端子(外部端子)133に接合可能なフライングリード(接続端子)33と、を有している。なお、各フライングリード33は、細長の矩形状に形成されている。また、各フライングリード33には、さらに試験線34が接続されており、サスペンション用基板1の製造時に、各配線31の導通検査などを行うことができるようになっている。
【0019】
図1乃至図3に示すように、金属支持層20は、テール部3に設けられ、金属開口部21を含む金属枠体部22を有している。また、絶縁層10には、金属開口部21に対応するように絶縁開口部11が設けられている。金属開口部21および絶縁開口部11上で、フライングリード33は、サスペンション用基板1の延びる方向とは直交する方向に沿って並列配置され(横並列タイプ)、金属開口部21および絶縁開口部11に露出している。すなわち、本実施の形態においては、テール部3は、図1および図2に示すように、サスペンション用基板1の延びる方向に沿って延びるように矩形状に形成されており、金属開口部21および絶縁開口部11が、テール部3の長手方向に沿って矩形状に形成され、これら金属開口部21および絶縁開口部11上で、フライングリード33が、テール部3の長手方向に直交する方向に沿って並列配置されている。なお、図8においては、8つのフライングリード33が設けられている例を示しているが、フライングリード33の個数はこれに限られることはない。
【0020】
金属支持層20は、上述した金属開口部21を画定し、フライングリード33の長手方向に直交する一対の金属開口端縁23と、一対の金属開口端縁23と共に金属開口部21を画定し、フライングリード33の長手方向に沿って延びる一対の金属開口側縁24と、を有している。各金属開口端縁23の両端部には、凹部25が設けられ、金属開口部21の両側部(図2における左側部および右側部)を、フライングリード33の長手方向に拡大させている。各凹部25の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、半円状、半楕円状、矩形状、V字形状、U字形状、スリット形状など、任意の形状とすることができる。なお、「直交」とは、厳密に判断されるものではなく、製造誤差等により生じ得る程度の誤差を含んだ概念である。
【0021】
図2および図3に示すように、絶縁層10は、絶縁開口部11を画定し、フライングリード33の長手方向に直交する一対の絶縁開口端縁12を有している。各金属開口端縁23は、対応する絶縁開口端縁12に対して絶縁開口部11の反対側に位置している。すなわち、ヘッド部2の側(図2における上側)の金属開口端縁23は、ヘッド部2の側の絶縁開口端縁12よりヘッド部2の側に位置すると共に、テール部3の側(図2における下側)の金属開口端縁23は、テール部3の側の絶縁開口端縁12よりテール部3の側に位置している。このようにして、金属開口部21が絶縁開口部11より大きく形成されている。
【0022】
ところで、図1に示すサスペンション用基板1は、複数のサスペンション用基板1がフレーム50(図2において、その一部のみを示す)に連結された状態で作製されて、このフレーム50から断裁して得られるようになっている。そして、図2に示すように、サスペンション用基板1とフレーム50との間の断裁領域においては、断裁カッター(図示せず)の摩耗を低減するために、金属支持層20が切り欠かれて形成された断裁溝51が設けられている。
【0023】
また、絶縁層10上には、図1乃至図3に示す配線層30の配線31および試験線34を覆い、配線31および試験線34の腐食を防止するための保護層40(図7参照)が設けられている。なお、図1乃至図3においては、図面を明瞭にするために、保護層40は省略している。
【0024】
次に、各構成部材について詳細に述べる。
【0025】
絶縁層10の材料としては、所望の絶縁性を有する材料であれば特に限定されることはないが、例えば、ポリイミド(PI)を用いることが好適である。なお、絶縁層10の材料は、感光性材料であっても非感光性材料であっても用いることができる。また、絶縁層10の厚さは、5μm〜30μm、とりわけ8μm〜10μmであることが好ましい。このことにより、金属支持層20と各配線31との間の絶縁性能を確保するとともに、サスペンション用基板1全体としての剛性が喪失されることを防止することができる。
【0026】
配線31は、電気信号を伝送するための導体として構成されており、配線31の材料としては、所望の導電性を有する材料であれば特に限定されることはないが、銅(Cu)を用いることが好適である。銅以外にも、純銅に準ずる電気特性を有する材料であれば用いることもできる。ここで、配線31の厚さは、例えば1μm〜18μm、とりわけ9μm〜12μmであることが好ましい。このことにより、配線31の伝送特性を確保するとともに、サスペンション用基板1全体としての柔軟性が喪失されることを防止することができる。なお、試験線34は、配線31と同一の材料および同一の厚みからなっている。
【0027】
ヘッド端子32およびフライングリード33は、配線31と同一の材料および同一の厚みからなっており、それぞれの露出された部分に金めっきが施されている。
【0028】
金属支持層20の材料としては、所望の導電性、弾力性、および強度を有するものであれば特に限定されることはないが、例えば、ステンレス、アルミニウム、ベリリウム銅、またはその他の銅合金を用いることができ、好ましくはステンレスを用いることが好適である。金属支持層20の厚さは、10μm〜30μm、とりわけ15μm〜20μmとすることができる。このことにより、金属支持層20の導電性、剛性、および弾力性を確保することができる。
【0029】
保護層40の材料としては、樹脂材料、例えば、ポリイミドを用いることが好適である。なお、保護層40の材料は、感光性材料であっても非感光性材料であっても用いることができる。
【0030】
次に、図4により、本実施の形態におけるサスペンション101について説明する。図4に示すサスペンション101は、ベースプレート102と、ベースプレート102上に取り付けられ、サスペンション用基板1の金属支持層20を保持するロードビーム103と、ロードビーム103に取り付けられたサスペンション用基板1と、を備えている。
【0031】
続いて、図5により、本実施の形態におけるヘッド付サスペンション111について説明する。図5に示すヘッド付サスペンション111は、上述したサスペンション101と、サスペンション用基板1のヘッド部2に実装されたヘッドスライダ112と、を備えている。
【0032】
次に、図6により、本実施の形態におけるハードディスクドライブ121について説明する。図6に示すハードディスクドライブ121は、ケース122と、このケース122に回転自在に取り付けられ、データが記憶されるディスク123と、このディスク123を回転させるスピンドルモータ124と、ディスク123に所望のフライングハイトを保って近接するように設けられ、ディスク123に対してデータの書き込みおよび読み取りを行うヘッドスライダ112を含むヘッド付サスペンション111と、を備えている。このうちヘッド付サスペンション111は、ケース122に対して移動自在に取り付けられており、ケース122にはヘッド付サスペンション111のヘッドスライダ112をディスク123上に沿って移動させるボイスコイルモータ125が取り付けられている。また、ヘッド付サスペンション111は、ボイスコイルモータ125にアーム126を介して取り付けられると共に、ハードディスクドライブ121を制御する制御部(図示せず)に接続されたFPC基板131(図7参照)に接合されている。すなわち、サスペンション用基板1のフライングリード33に、FPC基板131の絶縁板133上に設けられたFPC端子132が接合されて、電気信号が、サスペンション用基板1とFPC基板131を介して、制御部とヘッドスライダ112との間で伝送されるようになっている。
【0033】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0034】
本実施の形態におけるサスペンション用基板1をサブトラクティブ法により製造する場合、まず、絶縁層10と、絶縁層10の一方の面に設けられた金属支持層20と、絶縁層10の他方の面に設けられた配線層30と、を有する積層体(図示せず)を準備する。続いて、配線層30が、所望の形状にエッチングされて、配線31、ヘッド端子32、フライングリード33および試験線34が形成される。次に、絶縁層10上に、各配線31および試験線34を覆う保護層40が形成されて、絶縁層10が所望の形状にエッチングされる。この際、テール部3において、絶縁層10が切り欠かれて絶縁開口部11が形成される。その後、金属支持層20がエッチングされて、金属開口部21を含む金属枠体部22および凹部25が形成される。このようにして、本実施の形態におけるサスペンション用基板1が得られる。なお、サスペンション用基板1は、アディティブ法により製造してもよい。
【0035】
得られたサスペンション用基板1に、ベースプレート102およびロードビーム103が溶接により取り付けられて本実施の形態によるサスペンション101が得られる。このサスペンション101のヘッド部2に、ヘッドスライダ112が実装されて、図5に示すヘッド付きサスペンション111が得られる。
【0036】
図5に示すヘッド付きサスペンション111がアーム126に取り付けられると共に、サスペンション用基板1のテール部3にFPC基板131が接合されて、図6に示すハードディスクドライブ121が得られる。
【0037】
サスペンション用基板1にFPC基板131を接合する場合、まず、サスペンション用基板1のフライングリード33に対向するように、FPC基板131のFPC端子132が位置合わせされる。続いて、図7(a)に示すように、ボンディングツール60が超音波振動しながらフライングリード33の上面に当接し、フライングリード33を下方(FPC端子132の側)へ押圧する。この際、フライングリード33は、柔軟性を有しているため、ボンディングツール60からの押圧力を受けて変形する。また、ボンディングツール60は、図8に示すように、複数のフライングリード33を一度に超音波接合可能な矩形状の断面を有しており、その長手方向が、フライングリード33の並列方向に沿うようにフライングリード33に押し当てられる。次に、ボンディングツール60がフライングリード33を押圧することにより、図7(b)に示すように、フライングリード33がFPC端子132に当接する。その後、フライングリード33とFPC端子132との界面に超音波振動が伝播し、フライングリード33とFPC端子132とが超音波接合される。このようにして、サスペンション用基板1のテール部3に、FPC基板131が接合される。
【0038】
図6に示すハードディスクドライブ121においてデータの書き込みおよび読み取りを行う際、ボイスコイルモータ125によりヘッド付サスペンション111のヘッドスライダ112がディスク123上に沿って移動し、スピンドルモータ124により回転しているディスク123に所望のフライングハイトを保って近接する。このことにより、ヘッドスライダ112とディスク123との間で、データの受け渡しが行われる。この間、サスペンション用基板1とFPC基板131を介して、制御部とヘッドスライダ112との間で電気信号が伝送される。このうち、サスペンション用基板1においては、ヘッド端子32とフライングリード33とに接続された各配線31により電気信号が伝送される。
【0039】
このように本実施の形態によれば、フライングリード33を露出させる金属開口部21を画定する各金属開口端縁23の両端部には、凹部25が設けられている。このことにより、金属開口部21の両側部をフライングリード33の長手方向に拡大させることができ、金属支持層20の各金属開口端縁23の近傍領域を柔軟にさせることができる。このため、FPC基板131のFPC端子132とサスペンション用基板1のフライングリード33とを超音波接合する際、各フライングリード33、とりわけ両外側(図2における最左側および最右側)に位置するフライングリード33にかかる応力を低減することができる。このため、フライングリード33の断線を防止することができる。
【0040】
ところで、金属開口端縁23の両端部に、上述したような凹部25が設けられていない場合、金属支持層20がエッチングによって外形加工される場合には、金属開口部21の角部は、直角に形成されることはなく、例えば円弧形状などでなだらかに形成される。この場合、金属支持層20の各金属開口端縁23の近傍領域の剛性が増大するという問題がある。
【0041】
これに対して、本実施の形態によれば、上述したように、金属開口端縁23の両端部に凹部25が設けられることにより、金属支持層20の各金属開口端縁23の近傍領域を確実に柔軟にさせることができ、超音波接合時におけるフライングリード33にかかる応力を低減することができる。
【0042】
また、本実施の形態によれば、各フライングリード33にかかる応力を、絶縁開口端縁12に対応する位置に生じる応力と、金属開口端縁23に対応する位置に生じる応力とに分散させることができる。このため、フライングリード33の断線をより一層防止することができる。
【0043】
なお、本実施の形態においては、各金属開口端縁23が、対応する絶縁開口端縁12に対して絶縁開口部11の反対側に位置している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、各金属開口端縁23を、対応する絶縁開口端縁12に一致させてもよい。すなわち、上述したように、金属開口端縁23の両端部に凹部25を設けることによりフライングリード33にかかる応力を低減することができるため、金属開口部21を小さくして絶縁開口部11に一致させることができる。この場合、金属支持層20における金属開口部21の周辺領域に、他の構造物、例えば、配線31のインピーダンスを低減するための貫通孔(マイクロウィンドウ)や、配線接続用の金属支持層分離体(ランド)等を形成することができ、設計自由度を向上させ、各配線31のインピーダンスを低減することが可能となる。
【0044】
また、本実施の形態においては、フライングリード33が、サスペンション用基板1の延びる方向とは直交する方向に沿って並列配置(横並列タイプ)されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図9に示すように、フライングリード33が、サスペンション用基板1の延びる方向に沿って並列配置(縦並列タイプ)されていてもよい。この場合においても、各フライングリード33、とりわけ両外側(図9における最上側および最下側)に位置するフライングリード33にかかる応力を低減することができ、フライングリード33の断線を防止することができる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明によるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブは、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 サスペンション用基板
2 ヘッド部
3 テール部
10 絶縁層
11 絶縁開口部
12 絶縁開口端縁
20 金属支持層
21 金属開口部
22 金属枠体部
23 金属開口端縁
24 金属開口側縁
25 凹部
30 配線層
31 配線
32 ヘッド端子
33 フライングリード
34 試験線
40 保護層
50 フレーム
51 断裁溝
60 ボンディングツール
101 サスペンション
102 ベースプレート
103 ロードビーム
111 ヘッド付サスペンション
112 ヘッドスライダ
121 ハードディスクドライブ
122 ケース
123 ディスク
124 スピンドルモータ
125 ボイスコイルモータ
126 アーム
131 FPC基板
132 FPC端子
133 絶縁板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドスライダが実装されるヘッド部から、外部接続基板が接合されるテール部に延びるサスペンション用基板において、
絶縁層と、
前記絶縁層の一方の面に設けられた金属支持層と、
前記絶縁層の他方の面に設けられた配線層であって、複数の配線と、前記配線の各々に接続され、前記外部接続基板の外部端子に接合可能な接続端子と、を有する前記配線層と、を備え、
前記金属支持層は、前記テール部に設けられ、前記接続端子を露出させる金属開口部と、前記金属開口部を画定し、前記接続端子の長手方向に直交する一対の金属開口端縁と、を有し、
前記金属開口端縁の各々の両端部には、凹部が設けられていることを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
前記絶縁層は、前記接続端子を露出させる絶縁開口部と、前記絶縁開口部を画定し、前記接続端子の長手方向に直交する一対の絶縁開口端縁と、を有し、
前記金属開口端縁の各々は、対応する前記絶縁開口端縁に対して前記絶縁開口部の反対側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項3】
ベースプレートと、
前記ベースプレートに、ロードビームを介して取り付けられた請求項1または2に記載の前記サスペンション用基板と、を備えたことを特徴とするサスペンション。
【請求項4】
請求項3に記載の前記サスペンションと、
前記サスペンションに実装された前記ヘッドスライダと、を備えたことを特徴とするヘッド付サスペンション。
【請求項5】
請求項4に記載の前記ヘッド付サスペンションを備えたことを特徴とするハードディスクドライブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−69366(P2013−69366A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206181(P2011−206181)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】