説明

サスペンション装置

【課題】リーフスプリングが中間部より後側で折損しても、リーフスプリングの後方部分が下方向きに傾動して地面と接触することを防止し得るようにする。
【解決手段】一枚のリーフスプリング5の中間部でアクスル2を懸架するようにしたサスペンション装置に関し、リーフスプリング5が中間部より後側で折損した場合にシャックル6に対するリーフスプリング5の後方部分の下方へ向けた傾動を規制する第一規制手段と、シャックル6の後方へ向けた所定角度以上の揺動を規制する第二規制手段(掛止爪13)とを備え、リーフスプリング5の後端部と前記シャックル6との連結箇所に配設されて前記リーフスプリング5の後端部と一体に回動し且つ所定の回動位置で前記シャックル6と係合する突起12bを備えたブッシュ12により前記第一規制手段を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アクスルをフレームに懸架する為に用いられるサスペンション装置には、各種の形式を採用したものがあるが、それらのうちで複数枚のリーフスプリングを積層して成るサスペンション装置は、構造が簡単でコストが安く済む上に強度が大きくて耐久性も高いという特徴を有しており、従来よりトラック等の車両に広く用いられている。
【0003】
斯かるサスペンション装置においては、万一、リーフスプリングの何れかが折損してもアクスルの位置決めが可能となるようリーフスプリングを複数枚重ねて装着するのが常識であったが、このようにすることで車両重量が嵩むという問題があり、一枚のリーフスプリングでサスペンション装置を構成して軽量化を図ることが検討されている。
【0004】
尚、この種のリーフサスペンションに関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−173986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、リーフスプリングを一枚にしてしまうと、アクスルを懸架している中間部より後側でリーフスプリングが折損した場合に、その折損箇所より後側のリーフスプリングが下方向きに傾動して地面と接触し、これを支えにして車体が棒高跳び状に持ち上がって車輪が地面から離間してしまう虞れがあり、例えば、前輪側の場合には、操舵不能や制動不能の状態に陥ることが懸念され、後輪側の場合は、制動不能の状態や、駆動力を地面に伝えられない状態に陥ることが懸念された。
【0007】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、リーフスプリングが中間部より後側で折損しても、リーフスプリングの後方部分が下方向きに傾動して地面と接触することを防止し得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、サイドレールのアクスルを挟んだ前後位置にフロントブラケットとリヤブラケットとを配設し、一枚のリーフスプリングの前端部をフロントブラケットに枢着し且つ後端部を前後に揺動自在なシャックルを介してリヤブラケットに枢着し、前記リーフスプリングの中間部で前記アクスルを懸架するようにしたサスペンション装置であって、前記リーフスプリングが中間部より後側で折損した場合に該リーフスプリングの後方部分の下方へ向けた傾動を規制する第一規制手段と、前記シャックルの後方へ向けた所定角度以上の揺動を規制する第二規制手段とを備え、前記リーフスプリングの後端部と前記シャックルとの連結箇所に配設されて前記リーフスプリングの後端部と一体に回動し且つ所定の回動位置で前記シャックルと係合する突起を備えたブッシュにより前記第一規制手段が構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
而して、このようにすれば、リーフスプリングが中間部より後側で折損した場合に、シャックルの後方へ向けた所定角度以上の揺動が第二規制手段により規制される一方、第一規制手段を成すブッシュの突起が所定の回動位置でシャックルと係合して更なる回動が不可となり、これによりリーフスプリングの下方へ向けた所定角度以上の傾動が規制されるので、折損したリーフスプリングの後方部分が地面に接触する虞れがなくなる。
【0010】
また、本発明は、サイドレールのアクスルを挟んだ前後位置にフロントブラケットとリヤブラケットとを配設し、一枚のリーフスプリングの前端部をフロントブラケットに枢着し且つ後端部を前後に揺動自在なシャックルを介してリヤブラケットに枢着し、前記リーフスプリングの中間部で前記アクスルを懸架するようにしたサスペンション装置であって、前記リーフスプリングが中間部より後側で折損した場合に該リーフスプリングの後方部分の下方へ向けた傾動を規制する第一規制手段と、前記シャックルの後方へ向けた所定角度以上の揺動を規制する第二規制手段とを備え、前記リーフスプリングの後端部に装着されて該リーフスプリングの後端部と一体に回動し且つ所定の回動位置で前記リヤブラケットと係合する突起を備えた係合部材により前記第一規制手段が構成されていることを特徴とするものでもある。
【0011】
而して、このようにすれば、リーフスプリングが中間部より後側で折損した場合に、シャックルの後方へ向けた所定角度以上の揺動が第二規制手段により規制される一方、第一規制手段を成す係合部材の突起が所定の回動位置でリヤブラケットと係合して更なる回動が不可となり、これによりリーフスプリングの下方へ向けた所定角度以上の傾動が規制されるので、折損したリーフスプリングの後方部分が地面に接触する虞れがなくなる。
【0012】
更に、本発明は、サイドレールのアクスルを挟んだ前後位置にフロントブラケットとリヤブラケットとを配設し、一枚のリーフスプリングの前端部をフロントブラケットに枢着し且つ後端部を前後に揺動自在なシャックルを介してリヤブラケットに枢着し、前記リーフスプリングの中間部で前記アクスルを懸架するようにしたサスペンション装置であって、前記リーフスプリングが中間部より後側で折損した場合に該リーフスプリングの後方部分の下方へ向けた傾動を規制する第一規制手段と、前記シャックルの後方へ向けた所定角度以上の揺動を規制する第二規制手段とを備え、前記リーフスプリングの後端部に形成されてシャックル下部の水平ピンに対し回動自在に巻き掛けられ且つその巻き掛け方向の先端側に向かうにつれ板厚が小さくなるようにテーパ形状が付されて所定の回動位置で板厚の増加により前記リヤブラケットと係合するように構成されたアイにより前記第一規制手段が構成されていることを特徴とするものでもある。
【0013】
而して、このようにすれば、リーフスプリングが中間部より後側で折損した場合に、シャックルの後方へ向けた所定角度以上の揺動が第二規制手段により規制される一方、第一規制手段を成すアイが所定の回動位置で板厚の増加によりリヤブラケットと係合して更なる回動が不可となり、これによりリーフスプリングの下方へ向けた所定角度以上の傾動が規制されるので、折損したリーフスプリングの後方部分が地面に接触する虞れがなくなる。
【発明の効果】
【0014】
上記した本発明のサスペンション装置によれば、リーフスプリングが中間部より後側で折損しても、リーフスプリングの下方へ向けた所定角度以上の傾動を規制することができ、該リーフスプリングの後方部分が下方向きに傾動して地面と接触する事態を未然に防止することができるので、前記リーフスプリングの後方部分を支えにして車体が棒高跳び状に持ち上がってしまうことを確実に回避して安全性の大幅な向上を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のサスペンション装置の第一形態例を示す側面図である。
【図2】図1の要部の拡大図である。
【図3】図1のブッシュの詳細を示す斜視図である。
【図4】図1のリーフスプリングの折損発生時の状態を示す側面図である。
【図5】本発明のサスペンション装置の第二形態例を示す側面図である。
【図6】図5のリーフスプリングの折損発生時の状態を示す側面図である。
【図7】本発明のサスペンション装置の第三形態例を示す側面図である。
【図8】図7のリーフスプリングの折損発生時の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1〜図4は本発明のサスペンション装置の第一形態例を示すもので、図1に示す如く、本形態例においては、サイドレール1のアクスル2を挟んだ前後位置にフロントブラケット3とリヤブラケット4とを配設し、一枚のリーフスプリング5の前端部をフロントブラケット3に枢着し且つ後端部を前後に揺動自在なシャックル6を介してリヤブラケット4に枢着し、前記リーフスプリング5の中間部で前記アクスル2を懸架するようにしている。
【0018】
より具体的には、前記アクスル2がリーフスプリング5の中間部下面にUボルト7を介して結合されるようになっており、また、前記リーフスプリング5の前端部が上向きに巻かれてアイ8として形成され、該アイ8がサイドレール1側のフロントブラケット3に装備された水平ピン9に対し回動自在に巻き掛けられていると共に、前記リーフスプリング5の後端部が前端部側と同様に上向きに巻かれてアイ10として形成され、該アイ10がサイドレール1側のリヤブラケット4に水平ピン11’を中心に前後に揺動自在に装備されたシャックル6下部の水平ピン11に対し回動自在に巻き掛けられている。
【0019】
ここで、図2に拡大して示す如く、リーフスプリング5の後端部のアイ10をシャックル6下部の水平ピン11に巻き掛けるに際しては、水平ピン11とアイ10との間にブッシュ12が介装されるようになっているが、本形態例においては、前記ブッシュ12の外筒部分12aにおける周方向適宜位置に、車幅方向(図2の図面に対し直角な方向)の両側に張り出す一対の突起12b(図3参照)が形成されており、リーフスプリング5が中間部より後側で折損した場合に前記リーフスプリング5の後方部分の下方へ向けた傾動を規制する第一規制手段として前記ブッシュ12が機能するようになっている。
【0020】
即ち、リーフスプリング5が中間部より後側で折損した場合に、前記ブッシュ12がリーフスプリング5の後端部を成すアイ10と一体に回動して所定の回動位置で前記突起12bが前記シャックル6と係合し、前記リーフスプリング5の後方部分の下方へ向けた傾動が規制されるようになっている。
【0021】
また、前記シャックル6の後方へ向けた所定角度以上の揺動を規制する第二規制手段として、前記シャックル6の上端部に、後方へ向けて所要長さ張り出す掛止爪13が突設されており、折損発生時に前記リーフスプリング5の後方部分の荷重が作用してシャックル6が後方へ向け揺動しようとしても、前記掛止爪13がリヤブラケット4の段差部4aと係合してシャックル6の後方へ向けた所定角度以上の揺動を規制するようになっている。
【0022】
ここで、図1及び図2はトラック等の対象車両が定積載状態となっている場合を図示しており、斯かる状態でシャックル6の掛止爪13がリヤブラケット4の段差部4aと係合して後方への揺動が規制される一方、ブッシュ12の突起12bはシャックル6に対し所要の間隔を保たれるようになっており、この間隔は空積載状態となっても僅かに残るようにしてある。
【0023】
即ち、リーフスプリング5の後端部は、定積載状態で平坦化した時に最も後方へ張り出すことになるため、定積載状態でシャックル6の掛止爪13がリヤブラケット4の段差部4aと係合して後方への揺動が規制されるようにしておけば、シャックル6の機能を損なわなくて済み、また、突起12bとシャックル6との間隔が空積載状態となっても僅かに残るようにしておけば、サスペンションストローク範囲で突起12bがシャックル6に当たらないようにすることが可能である。
【0024】
ただし、ブッシュ12の突起12bにより規制されるリーフスプリング5の後方部分の傾動角度は、アクスル2の直後でリーフスプリング5に折損が生じて後方部分長さが最も大きくなるようなケースでも、リーフスプリング5の後方部分の地面Gへの接触を確実に防止できる角度範囲内で決める必要がある。
【0025】
而して、このようにサスペンション装置を構成すれば、図4に示す如く、リーフスプリング5が中間部より後側で折損した場合に、シャックル6の後方へ向けた所定角度以上の揺動が掛止爪13とリヤブラケット4の段差部4aとの係合により規制される一方、ブッシュ12の突起12bが所定の回動位置でシャックル6と係合して更なる回動が不可となり、これによりリーフスプリング5の下方へ向けた所定角度以上の傾動が規制されるので、折損したリーフスプリング5の後方部分が地面Gに接触する虞れがなくなる。
【0026】
従って、上記形態例によれば、リーフスプリング5が中間部より後側で折損しても、リーフスプリング5の下方へ向けた所定角度以上の傾動を規制することができ、該リーフスプリング5の後方部分が下方向きに傾動して地面Gと接触する事態を未然に防止することができるので、前記リーフスプリング5の後方部分を支えにして車体が棒高跳び状に持ち上がってしまうことを確実に回避して安全性の大幅な向上を図ることができる。
【0027】
図5及び図6は本発明のサスペンション装置の第二形態例を示すもので、図5に示す如く、本形態例においては、先の第一形態例の場合で第一規制手段を突起12bを備えたブッシュ12により構成していたことに替えて、前記リーフスプリング5の後端部を成すアイ10の外周面上側に装着されて該アイ10と一体に回動し且つ所定の回動位置で前記リヤブラケット4の下端部と係合する突起14aを備えた係合部材14により前記第一規制手段を構成するようにしている。
【0028】
即ち、リーフスプリング5が中間部より後側で折損した場合に、前記係合部材14がリーフスプリング5の後端部を成すアイ10と一体に回動して所定の回動位置で前記突起14aが前記リヤブラケット4の下端部と係合し、前記リーフスプリング5の後方部分の下方へ向けた傾動が規制されるようになっている。
【0029】
また、この第二形態例においても、前記シャックル6の後方へ向けた所定角度以上の揺動を規制する第二規制手段として、前記シャックル6の上端部に、後方へ向けて所要長さ張り出す掛止爪13が突設されており、折損発生時に前記リーフスプリング5の後方部分の荷重が作用してシャックル6が後方へ向け揺動しようとしても、前記掛止爪13がリヤブラケット4の段差部4aと係合してシャックル6の後方へ向けた所定角度以上の揺動を規制するようになっている。
【0030】
ここで、図5はトラック等の対象車両が定積載状態となっている場合を図示しており、斯かる状態でシャックル6の掛止爪13がリヤブラケット4の段差部4aと係合して後方への揺動が規制される一方、係合部材14の突起14aはリヤブラケット4の下端部に対し所要の間隔を保たれるようになっており、この間隔は空積載状態となっても僅かに残るようにしてある。
【0031】
即ち、リーフスプリング5の後端部は、定積載状態で平坦化した時に最も後方へ張り出すことになるため、定積載状態でシャックル6の掛止爪13がリヤブラケット4の段差部4aと係合して後方への揺動が規制されるようにしておけば、シャックル6の機能を損なわなくて済み、また、突起14aとリヤブラケット4の下端部との間隔が空積載状態となっても僅かに残るようにしておけば、サスペンションストローク範囲で突起14aがリヤブラケット4の下端部に当たらないようにすることが可能である。
【0032】
ただし、係合部材14の突起14aにより規制されるリーフスプリング5の後方部分の傾動角度は、アクスル2の直後でリーフスプリング5に折損が生じて後方部分長さが最も大きくなるようなケースでも、リーフスプリング5の後方部分の地面Gへの接触を確実に防止できる角度範囲内で決める必要がある。
【0033】
而して、このようにサスペンション装置を構成すれば、図6に示す如く、リーフスプリング5が中間部より後側で折損した場合に、シャックル6の後方へ向けた所定角度以上の揺動が掛止爪13とリヤブラケット4の段差部4aとの係合により規制される一方、係合部材14の突起14aが所定の回動位置でリヤブラケット4の下端部と係合して更なる回動が不可となり、これによりリーフスプリング5の下方へ向けた所定角度以上の傾動が規制されるので、折損したリーフスプリング5の後方部分が地面Gに接触する虞れがなくなる。
【0034】
従って、斯かる第二形態例の場合においても、リーフスプリング5が中間部より後側で折損した際に、リーフスプリング5の下方へ向けた所定角度以上の傾動を規制することができ、該リーフスプリング5の後方部分が下方向きに傾動して地面Gと接触する事態を未然に防止することができるので、前記リーフスプリング5の後方部分を支えにして車体が棒高跳び状に持ち上がってしまうことを確実に回避して安全性の大幅な向上を図ることができる。
【0035】
図7及び図8は本発明のサスペンション装置の第三形態例を示すもので、図7及び図8に示す如く、本形態例においては、先の第二形態例の場合で第一規制手段を突起14aを備えた係合部材14により構成していたことに替えて、前記リーフスプリング5の後端部に形成されてシャックル6下部の水平ピン11に対し回動自在に巻き掛けられ且つその巻き掛け方向の先端側に向かうにつれ板厚が小さくなるようにテーパ形状が付されて所定の回動位置で板厚の増加により前記リヤブラケット4の下端部と係合するように構成されたアイ10により前記第一規制手段を構成するようにしている。
【0036】
即ち、リーフスプリング5が中間部より後側で折損した場合に、前記リーフスプリング5の後端部を成すアイ10が回動して所定の回動位置で板厚の増加により前記リヤブラケット4の下端部と係合し、前記リーフスプリング5の後方部分の下方へ向けた傾動が規制されるようになっている。
【0037】
また、この第三形態例においても、前記シャックル6の後方へ向けた所定角度以上の揺動を規制する第二規制手段として、前記シャックル6の上端部に、後方へ向けて所要長さ張り出す掛止爪13が突設されており、折損発生時に前記リーフスプリング5の後方部分の荷重が作用してシャックル6が後方へ向け揺動しようとしても、前記掛止爪13がリヤブラケット4の段差部4aと係合してシャックル6の後方へ向けた所定角度以上の揺動を規制するようになっている。
【0038】
ここで、図7はトラック等の対象車両が定積載状態となっている場合を図示しており、斯かる状態でシャックル6の掛止爪13がリヤブラケット4の段差部4aと係合して後方への揺動が規制される一方、アイ10はリヤブラケット4の下端部に対し所要の間隔を保たれるようになっており、この間隔は空積載状態となっても僅かに残るようにしてある。
【0039】
即ち、リーフスプリング5の後端部は、定積載状態で平坦化した時に最も後方へ張り出すことになるため、定積載状態でシャックル6の掛止爪13がリヤブラケット4の段差部4aと係合して後方への揺動が規制されるようにしておけば、シャックル6の機能を損なわなくて済み、また、アイ10とリヤブラケット4の下端部との間隔が空積載状態となっても僅かに残るようにしておけば、サスペンションストローク範囲でアイ10がリヤブラケット4の下端部に当たらないようにすることが可能である。
【0040】
ただし、アイ10の板厚により規制されるリーフスプリング5の後方部分の傾動角度は、アクスル2の直後でリーフスプリング5に折損が生じて後方部分長さが最も大きくなるようなケースでも、リーフスプリング5の後方部分の地面Gへの接触を確実に防止できる角度範囲内で決める必要がある。
【0041】
而して、このようにサスペンション装置を構成すれば、図8に示す如く、リーフスプリング5が中間部より後側で折損した場合に、シャックル6の後方へ向けた所定角度以上の揺動が掛止爪13とリヤブラケット4の段差部4aとの係合により規制される一方、アイ10が所定の回動位置でリヤブラケット4の下端部と係合して更なる回動が不可となり、これによりリーフスプリング5の下方へ向けた所定角度以上の傾動が規制されるので、折損したリーフスプリング5の後方部分が地面Gに接触する虞れがなくなる。
【0042】
従って、斯かる第三形態例の場合においても、リーフスプリング5が中間部より後側で折損した際に、リーフスプリング5の下方へ向けた所定角度以上の傾動を規制することができ、該リーフスプリング5の後方部分が下方向きに傾動して地面Gと接触する事態を未然に防止することができるので、前記リーフスプリング5の後方部分を支えにして車体が棒高跳び状に持ち上がってしまうことを確実に回避して安全性の大幅な向上を図ることができる。
【0043】
尚、本発明のサスペンション装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 サイドレール
2 アクスル
3 フロントブラケット
4 リヤブラケット
5 リーフスプリング
6 シャックル
10 アイ(第一規制手段)
11 水平ピン
12 ブッシュ(第一規制手段)
12b 突起
13 掛止爪(第二規制手段)
14 係合部材(第一規制手段)
14a 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドレールのアクスルを挟んだ前後位置にフロントブラケットとリヤブラケットとを配設し、一枚のリーフスプリングの前端部をフロントブラケットに枢着し且つ後端部を前後に揺動自在なシャックルを介してリヤブラケットに枢着し、前記リーフスプリングの中間部で前記アクスルを懸架するようにしたサスペンション装置であって、
前記リーフスプリングが中間部より後側で折損した場合に該リーフスプリングの後方部分の下方へ向けた傾動を規制する第一規制手段と、前記シャックルの後方へ向けた所定角度以上の揺動を規制する第二規制手段とを備え、
前記リーフスプリングの後端部と前記シャックルとの連結箇所に配設されて前記リーフスプリングの後端部と一体に回動し且つ所定の回動位置で前記シャックルと係合する突起を備えたブッシュにより前記第一規制手段が構成されていることを特徴とするサスペンション装置。
【請求項2】
サイドレールのアクスルを挟んだ前後位置にフロントブラケットとリヤブラケットとを配設し、一枚のリーフスプリングの前端部をフロントブラケットに枢着し且つ後端部を前後に揺動自在なシャックルを介してリヤブラケットに枢着し、前記リーフスプリングの中間部で前記アクスルを懸架するようにしたサスペンション装置であって、
前記リーフスプリングが中間部より後側で折損した場合に該リーフスプリングの後方部分の下方へ向けた傾動を規制する第一規制手段と、前記シャックルの後方へ向けた所定角度以上の揺動を規制する第二規制手段とを備え、
前記リーフスプリングの後端部に装着されて該リーフスプリングの後端部と一体に回動し且つ所定の回動位置で前記リヤブラケットと係合する突起を備えた係合部材により前記第一規制手段が構成されていることを特徴とするサスペンション装置。
【請求項3】
サイドレールのアクスルを挟んだ前後位置にフロントブラケットとリヤブラケットとを配設し、一枚のリーフスプリングの前端部をフロントブラケットに枢着し且つ後端部を前後に揺動自在なシャックルを介してリヤブラケットに枢着し、前記リーフスプリングの中間部で前記アクスルを懸架するようにしたサスペンション装置であって、
前記リーフスプリングが中間部より後側で折損した場合に該リーフスプリングの後方部分の下方へ向けた傾動を規制する第一規制手段と、前記シャックルの後方へ向けた所定角度以上の揺動を規制する第二規制手段とを備え、
前記リーフスプリングの後端部に形成されてシャックル下部の水平ピンに対し回動自在に巻き掛けられ且つその巻き掛け方向の先端側に向かうにつれ板厚が小さくなるようにテーパ形状が付されて所定の回動位置で板厚の増加により前記リヤブラケットと係合するように構成されたアイにより前記第一規制手段が構成されていることを特徴とするサスペンション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−51403(P2012−51403A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193543(P2010−193543)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】