説明

サッシ

【課題】固定障子を横方向に連設する場合において、縦框の連結部分を幅細として意匠性を高めたサッシを提供する。
【解決手段】固定障子の縦框は枠体の内周面と対向する枠側縦框22と、隣接する固定障子の縦框と互いに連結される連結縦框とからなり、連結縦框は第1連結縦框23と第2連結縦框32とからなり、第1連結縦框と第2連結縦框は連結される2枚の固定障子の一方側と他方側にそれぞれ配置されて互いに連結され、第1連結縦框は第2連結縦框より室内側の室内端部に中空部23cを有し、第2連結縦框は第1連結縦框より室外側の室外端部に中空部と略同じ幅を有した取付部32cを有し、第1連結縦框の中空部23cには室内側露出面に樹脂縦カバー体25を取付け、第2連結縦框の取付部32cには室外側露出面に室外カバー体17を取付けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体内に複数の固定障子を横方向に連設し納めてなるサッシに関し、特に固定障子の縦框同士を連結することで横方向に連設してなるサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物開口部に設けられる枠体内に障子を納めてなるサッシにおいて、障子を固定障子とし、複数の固定障子を横方向に連設してなるものが知られている。複数の障子を横方向に連設する場合、障子間に方立を設け、障子を構成する縦框をそれぞれ方立に固定することにより、連結をなすようにしていた。このように方立を用いて複数の障子を横方向に連設したものとしては、固定障子と可動障子の組み合わせではあるが、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開平10−68269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、障子の框は幅細のものがデザイン的に求められているが、方立を用いて障子を連結すると、連結部分の幅が大きくなってしまい、框を幅細に見せることが困難であった。また、障子を構成する框体について断熱性及び意匠性を高めるため、金属框の室内側に樹脂框を配設した複合サッシが知られているが、複合サッシの場合には金属部分と樹脂部分とがあるために、縦框同士の連結部分がより複雑な構造となり、框を幅細に見せることがより一層困難となっていた。
【0004】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、固定障子を横方向に連設する場合において、縦框の連結部分を幅細として意匠性を高めたサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係るサッシは、建物開口部に設けられる枠体内に複数の固定障子を横方向に連設し納めてなるサッシにおいて、
前記固定障子は上下框と左右の縦框を方形状に框組みしてなる框体内にパネル体を納めてなり、前記縦框は前記枠体の内周面と対向する枠側縦框と、隣接する固定障子の縦框と互いに連結される連結縦框とからなり、該連結縦框は第1連結縦框と第2連結縦框とからなり、該第1連結縦框と第2連結縦框は連結される2枚の固定障子の一方側と他方側にそれぞれ配置されて互いに連結され、
前記第1連結縦框は第2連結縦框より室内側の室内端部に中空部を有し、前記第2連結縦框は第1連結縦框より室外側の室外端部に前記中空部と略同じ幅を有した取付部を有し、
前記第1連結縦框の中空部には室内側露出面に樹脂縦カバー体を取付け、前記第2連結縦框の取付部には室外側露出面に室外カバー体を取付けてなることを特徴として構成されている。
【0006】
また、本発明に係るサッシは、前記第1連結縦框は前記第2連結縦框の取付部に室内側から当接する室外面部を有し、該室外面部と取付部がネジ止めされると共に、前記第2連結縦框の室内側端部で前記第1連結縦框とネジ止めされることで、前記第1連結縦框と第2連結縦框とが連結されることを特徴として構成されている。
【0007】
さらに、本発明に係るサッシは、前記第1連結縦框と第2連結縦框はそれぞれ前記パネル体の周縁部を納めるパネル体保持部を内周面に備え、前記第1連結縦框の中空部は前記第1連結縦框が備えるパネル体保持部の開口端部から前記第2連結縦框が備えるパネル体保持部の開口端部に渡る幅を有することを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るサッシによれば、固定障子の縦框は縦框と連結縦框とからなり、連結縦框は第1連結縦框と第2連結縦框とからなり、第1連結縦框と第2連結縦框は連結される2枚の固定障子の一方側と他方側にそれぞれ配置されて互いに連結され、第1連結縦框は第2連結縦框より室内側の室内端部に中空部を有し、第2連結縦框は第1連結縦框より室外側の室外端部に中空部と略同じ幅を有した取付部を有し、第1連結縦框の中空部には室内側露出面に樹脂縦カバー体を取付け、第2連結縦框の取付部には室外側露出面に室外カバー体を取付けてなることにより、第1連結縦框と第2連結縦框を連結することで連結部分の縦框を構成することとなり、2つの縦框を単に横方向に連設する場合に比べて縦框の連結部分を幅細とし、意匠性を高めることができる。
【0009】
また、本発明に係るサッシによれば、第1連結縦框は第2連結縦框の取付部に室内側から当接する室外面部を有し、室外面部と取付部がネジ止めされると共に、第2連結縦框の室内側端部で第1連結縦框とネジ止めされることで、第1連結縦框と第2連結縦框とが連結されることにより、各連結縦框を強固に固定し、幅細でも強度を高くすることができる。
【0010】
さらに、本発明に係るサッシによれば、第1連結縦框と第2連結縦框はそれぞれパネル体の周縁部を納めるパネル体保持部を内周面に備え、第1連結縦框の中空部は第1連結縦框が備えるパネル体保持部の開口端部から第2連結縦框が備えるパネル体保持部の開口端部に渡る幅を有することにより、中空部からパネル体保持部までの内周面を面一状とすることができ、意匠性をより高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1には、本実施形態におけるサッシの正面図を示している。この図に示すように、本実施形態におけるサッシは、建物開口部に設けられる枠体1内に3枚の固定障子2を横方向に連設し納めて構成されている。3枚の固定障子2は、左右の枠側障子3と、中央の中央障子4とからなっている。なお、図1はサッシを室外側から見たものである。また、図6にはサッシの斜視図を示している。
【0012】
枠体1は、上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12を方形状に枠組みして構成される。枠側障子3は、上框20と下框21、枠側縦框22及び連結縦框23を方形状に框組みしてなる框体5内にガラス板からなるパネル体6を納めて構成される。また、中央障子4は、上框30と下框31、及び左右の連結縦框32、32を方形状に框組みしてなる框体5内にガラス板からなるパネル体6を納めて構成される。なお、図1ではサッシを室外側から見ていることに伴い、枠側障子3と中央障子4との間に設けられる框は、中央障子4の連結縦框32のみが露出している。その構成については後で詳述する。
【0013】
図2にはサッシの縦断面図を、図3にはサッシの横断面図を、それぞれ示している。図2は枠側障子3が配置される領域における縦断面図である。枠体1を構成する上枠10は、外周面側において建物躯体に対して固定され、内周面の室外側に対向するように枠側障子3が配置され、固定されている。また、上枠10は金属製の金属上枠10aが断面中空状に形成され、金属上枠10aの内周面における室内側露出部分は樹脂上枠13により覆われる。樹脂上枠13の室内端部には、室内側に面する室内側部10bが形成され、その内周端部は枠側障子3の框体5における内周面位置と略同じ面内に配置されるので、室内側から枠側障子3の框体5を見えにくくし、意匠性を向上させることができる。
【0014】
枠体1を構成する下枠11は、外周面側において建物躯体に対して固定され、内周面の室外側に対向するように枠側障子3が配置される。また、下枠11は金属製の金属下枠11aが断面中空状に形成され、その上面を覆うように樹脂下枠14が設けられる。樹脂下枠14は、枠側障子3の室内端部から下枠11の室内端部に渡って設けられる。また、樹脂下枠14の上面は、室外端から室内端に渡るまで平坦面とされている。
【0015】
枠体1を構成する縦枠12は、外周面側において建物躯体に対して固定され、その内周面には、枠側障子3が固定される。また、縦枠12は、金属縦枠12aとその室内側内周面を覆う樹脂縦枠15とからなっている。樹脂縦枠15は、枠側障子3の室内端部から縦枠12の室内端部に渡って設けられる。また、樹脂縦枠15の内周面は、室外端から室内端に渡るまで平坦面とされている。
【0016】
枠体1の室内側端部には、四周に渡ってアングル部16が室内側に向かって突出するように設けられている。アングル部16は、枠体1の室内側に四周に渡って設けられる額縁材の内周面に当接し、枠体1と額縁材が連続状となるようにしている。
【0017】
框体5を構成する上框20は、金属上框20aの室内側に樹脂上框24を設けて構成されている。樹脂上框24の内周面は、樹脂上枠13の内周面と略面一状となるように形成されている。樹脂上框24の内周面は平坦面として形成されており、また樹脂上枠13の内周面は、室内側部10bの内周端部と同じ高さを有しているため、樹脂上枠13と樹脂上框24とが一体化した内観を有している。
【0018】
框体5を構成する下框21は、金属下框21aからなり、その室内側内周端部には樹脂下枠14の室外端部が係合固定される。また、金属下框21aは全体が樹脂下枠14の上面よりも下方に配置される。これにより、金属下框21aは室内側に直接露出しないこととなり、意匠性を高めることができる。図2には、枠側障子3の断面図を示しているが、中央障子4も同じ縦断面形状を有して構成される。
【0019】
框体5を構成する枠側縦框22は、金属縦框22aにより構成されており、その室内側内周端部には、樹脂縦枠15の室外端部が係合固定される。金属縦框22aは全体が樹脂縦枠15の内周面よりも外周側に配置されるので、金属縦框22aは室内側に直接露出しないこととなり、意匠性を高めることができる。
【0020】
枠側障子3の連結縦框23と中央障子4の連結縦框32は、それぞれ異なる形状を有して構成されている。図4には枠側障子3と中央障子4の連結部分付近の拡大横断面図を、図5には枠側障子3と中央障子4の連結部分における縦框分解図を、それぞれ示している。以下、各障子の連結縦框を区別するため、枠側障子3の連結縦框23を第1連結縦框23と称し、中央障子4の連結縦框32を第2連結縦框32と称する。図4に示すように、これら第1連結縦框23と第2連結縦框32が連結固定されることにより、障子の連結部分における縦框が構成される。
【0021】
枠側障子3を構成する第1連結縦框23は、枠側障子3のパネル体6の周縁部を保持するパネル体保持部23aを備えている。パネル体保持部23aは、断面略コ字状に形成され、その底面部分が室内側に延出されて連結部23bを構成している。連結部23bの室内側は、第2連結縦框32よりも室内側に延出されて断面中空状の中空部23cが形成されている。
【0022】
第1連結縦框23の中空部23cには、その室内側露出面を覆うように樹脂縦カバー体25が設けられる。樹脂縦カバー体25は、断面略コ字状に形成されて中空部23cの室外側両側部にそれぞれ係合し固定される。また、樹脂縦カバー体25の室外端部は、それぞれ枠側障子3のパネル体6近傍及び中央障子4のパネル体6近傍まで伸びており、第1連結縦框23及び第2連結縦框32の中空部23cよりも室外側部分についても、室内側に露出しないように被覆している。
【0023】
一方、中央障子4を構成する第2連結縦框32は、中央障子4のパネル体6の周縁部を保持するパネル体保持部32aを備えている。第1連結縦框23のパネル体保持部23aと第2連結縦框32のパネル体保持部32aは、底面同士が互いに近接対向して配置される。また、パネル体保持部32aの底面部分は室内側に延出されて連結部32bを構成している。
【0024】
第2連結縦框32には、パネル体保持部32aの室外側外周端部から外周側に突出片が形成されており、パネル体保持部32aの室外面と合わせて取付部32cを構成している。取付部32cには、室外側から室外カバー体17が取付けられる。室外カバー体17は、取付部32cの室外露出面を覆うように形成されており、取付部32cが室外側に直接露出しないようにしている。
【0025】
第1連結縦框23のパネル保持部23aの室外面は、第2連結縦框32の取付部32cに室内側から当接する。この当接部分において、室外側からネジ止めがなされ、第1連結縦框23と第2連結縦框32が連結されている。また、第2連結縦框32の連結部32bは、第1連結縦框23の連結部23bから中空部23cにかけての形状に略沿う形状とされており、第1連結縦框23の連結部23b側から第2連結縦框32の連結部32bに対してネジ止めされて両者が固定される。このように、第1連結縦框23と第2連結縦框32は、第2連結縦框32の室外側部分と室内側部分でそれぞれネジ止め固定されているので、両者を強固に固定することができる。
【0026】
また、第1連結縦框23の中空部23cは、第1連結縦框23のパネル体保持部23aの開口端部から第2連結縦框32のパネル体保持部32aの開口端部に渡る幅を有するように形成されている。また、中空部23cの室内露出面を覆う樹脂縦カバー体25は、第1連結縦框23側と第2連結縦框32側の各内周面がいずれも平面状に形成されており、障子が連結される縦辺の室内端部からパネル体保持部23a、32aに至るまでの内周面を面一状とすることができ、すっきりした内観とすることができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態では、中央障子4の両側に枠側障子3を配置して3枚の障子を横方向に連設するものを示したが、障子は2枚あるいは4枚以上であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態におけるサッシの正面図である。
【図2】サッシの縦断面図である。
【図3】サッシの横断面図である。
【図4】枠側障子と中央障子の連結部分付近の拡大横断面図である。
【図5】枠側障子と中央障子の連結部分における縦框分解図である。
【図6】サッシの斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 枠体
2 固定障子
3 枠側障子
4 中央障子
5 框体
6 パネル体
10 上枠
11 下枠
12 縦枠
13 樹脂上枠
14 樹脂下枠
15 樹脂縦枠
17 室外カバー体
20 上框
21 下框
22 枠側縦框
23 第1連結縦框
23a パネル体保持部
23b 連結部
23c 中空部
23d 室外面部
24 樹脂上框
25 樹脂縦カバー体
30 上框
31 下框
32 第2連結縦框
32a パネル体保持部
32b 連結部
32c 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に設けられる枠体内に複数の固定障子を横方向に連設し納めてなるサッシにおいて、
前記固定障子は上下框と左右の縦框を方形状に框組みしてなる框体内にパネル体を納めてなり、前記縦框は前記枠体の内周面と対向する枠側縦框と、隣接する固定障子の縦框と互いに連結される連結縦框とからなり、該連結縦框は第1連結縦框と第2連結縦框とからなり、該第1連結縦框と第2連結縦框は連結される2枚の固定障子の一方側と他方側にそれぞれ配置されて互いに連結され、
前記第1連結縦框は第2連結縦框より室内側の室内端部に中空部を有し、前記第2連結縦框は第1連結縦框より室外側の室外端部に前記中空部と略同じ幅を有した取付部を有し、
前記第1連結縦框の中空部には室内側露出面に樹脂縦カバー体を取付け、前記第2連結縦框の取付部には室外側露出面に室外カバー体を取付けてなることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
前記第1連結縦框は前記第2連結縦框の取付部に室内側から当接する室外面部を有し、該室外面部と取付部がネジ止めされると共に、前記第2連結縦框の室内側端部で前記第1連結縦框とネジ止めされることで、前記第1連結縦框と第2連結縦框とが連結されることを特徴とする請求項1記載のサッシ。
【請求項3】
前記第1連結縦框と第2連結縦框はそれぞれ前記パネル体の周縁部を納めるパネル体保持部を内周面に備え、前記第1連結縦框の中空部は前記第1連結縦框が備えるパネル体保持部の開口端部から前記第2連結縦框が備えるパネル体保持部の開口端部に渡る幅を有することを特徴とする請求項1または2記載のサッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−299441(P2009−299441A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158531(P2008−158531)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】