説明

サッシ

【課題】3枚以上の可動障子を設けた場合において縦框が並設されることなく可動障子を配置することのできるサッシを提供する。
【解決手段】一方の縦枠12に隣接する第1可動障子2は外レール14に案内され、第1可動障子2に隣接する第2可動障子3は内レール13に案内され、第2可動障子3に隣接する第3可動障子4は外レール14に案内され、第2召合せ框25と第3召合せ框26は第2可動障子3が第1可動障子2側に移動する方向と反対側に開口する煙返し部25a、26aを室外側面に有し、第1召合せ框24と第4召合せ框27は各障子が閉じた状態で第2召合せ框25と第3召合せ框26の各煙返し部と噛合する煙返し部24a、27aを室内側面に有し、第3召合せ框26の煙返し部26aは室外端部が第2召合せ框25の煙返し部25aの室外端部より室外側寄りに形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体内に少なくとも3枚以上の可動障子を納めてなるサッシに関し、特に可動障子を枠体内に室内外の互い違い状に納めてなるサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体内に複数枚の可動障子を納めたサッシが知られている。特に、枠体内に3枚以上の可動障子を納めた場合、可動障子をどのように配置するかによって、各可動障子の開閉範囲が異なることとなる。従来のサッシでは、4枚引きサッシの場合、縦枠側の2枚の可動障子を室外側に配置し、中央の2枚の可動障子を室内側に配置し、中央の2枚の可動障子は縦框の外周面同士が当接することで閉じた状態となるようにされていた。このようなサッシとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開平7−145692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のサッシでは縦框の外周面同士が当接する2枚の障子を有していたため、可動障子が閉じた状態において室内側から見て2本の縦框が並設配置された状態となる。近年、サッシにおいて障子の框をできるだけ細く見せることが求められており、2本の縦框が並設配置される従来のサッシは、このニーズに応えることができなかった。
【0004】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、3枚以上の可動障子を設けた場合において縦框が並設されることなく可動障子を配置することのできるサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係るサッシは、上下枠及び左右の縦枠を枠組みしてなる枠体内に少なくとも3枚以上の可動障子を納めてなるサッシにおいて、
前記下枠は上面に長手方向に沿う内レールと外レールとを有し、一方の前記縦枠に隣接する第1可動障子は前記外レールに案内され、前記第1可動障子に隣接する第2可動障子は前記内レールに案内され、前記第2可動障子に隣接する第3可動障子は前記外レールに案内され、
前記第1可動障子は前記第2可動障子と室内外方向に対向する第1召合せ框を有し、前記第2可動障子は前記第1召合せ框と対向する第2召合せ框と、前記第3可動障子と室内外方向に対向する第3召合せ框を有し、前記第3可動障子は前記第3召合せ框と対向する第4召合せ框を有し、
前記第2召合せ框と第3召合せ框は前記第2可動障子が第1可動障子側に移動する方向と反対側に開口する煙返し部を室外側面に有し、前記第1召合せ框と第4召合せ框は各障子が閉じた状態で前記第2召合せ框と第3召合せ框の各煙返し部と噛合する煙返し部を室内側面に有し、前記第3召合せ框の煙返し部は室外端部が前記第2召合せ框の煙返し部の室外端部より室外側寄りに形成されることを特徴として構成されている。
【0006】
また、本発明に係るサッシは、前記第3召合せ框の煙返し部は前記室外側面の内周端部に形成され、室外側に向かって伸びる当接面部と、該当接面部の室外端部から前記第3召合せ框の外周側に向かって伸びる噛合部とからなり、前記当接面部は前記第2可動障子の全開状態において前記第1可動障子を構成する第1召合せ框の外周面に当接することを特徴として構成されている。
【0007】
さらに、本発明に係るサッシは、前記第3召合せ框の煙返し部を構成する当接面部は、前記噛合部が前記第4召合せ框の煙返し部と噛合した状態において、前記第3召合せ框と対向する第4召合せ框の外周面と略面一状とされてなることを特徴として構成されている。
【0008】
さらにまた、本発明に係るサッシは、前記第3召合せ框の煙返し部は前記室外側面の内周端よりも前記第2可動障子の外周側に形成され、前記第4召合せ框の室内側面は前記煙返し部より前記第3可動障子の外周側が室外側寄りに形成されることを特徴として構成されている。
【0009】
そして、本発明に係るサッシは、前記枠体には前記第3可動障子に隣接する第4可動障子を納め、該第4可動障子は前記内レールに案内されることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るサッシによれば、一方の縦枠に隣接する第1可動障子は外レールに案内され、第1可動障子に隣接する第2可動障子は内レールに案内され、第2可動障子に隣接する第3可動障子は外レールに案内され、第2召合せ框と第3召合せ框は第2可動障子が第1可動障子側に移動する方向と反対側に開口する煙返し部を室外側面に有し、第1召合せ框と第4召合せ框は各障子が閉じた状態で第2召合せ框と第3召合せ框の各煙返し部と噛合する煙返し部を室内側面に有し、第3召合せ框の煙返し部は室外端部が第2召合せ框の煙返し部の室外端部より室外側寄りに形成されることにより、各可動障子がいずれも召合せ框の対向により隣接するので、縦框を左右に突き合わせる場合に比べて框を細く見せることができ、意匠性を向上させることができる。また、煙返し部の構成により第2可動障子を第1可動障子側に移動させることができ、可動障子の可動パターンを多様にすることができる。
【0011】
また、本発明に係るサッシによれば、第3召合せ框の煙返し部は室外側面の内周端部に形成され、室外側に向かって伸びる当接面部と、当接面部の室外端部から第3召合せ框の外周側に向かって伸びる噛合部とからなり、当接面部は第2可動障子の全開状態において第1可動障子を構成する第1召合せ框の外周面に当接することにより、煙返し部によって第2可動障子の移動範囲を確実に規制することができる。
【0012】
さらに、本発明に係るサッシによれば、第3召合せ框の煙返し部を構成する当接面部は、噛合部が第4召合せ框の煙返し部と噛合した状態において、第3召合せ框と対向する第4召合せ框の外周面と略面一状とされてなることにより、第3召合せ框の内周面から第4召合せ框の外周面に渡って略面一状とすることができ、意匠性の向上を図ることができる。
【0013】
さらにまた、本発明に係るサッシによれば、第3召合せ框の煙返し部は室外側面の内周端よりも第2可動障子の外周側に形成され、第4召合せ框の室内側面は煙返し部より第3可動障子の外周側が室外側寄りに形成されることにより、第2可動障子を第1可動障子側に移動させた際、第3召合せ框の煙返し部が第1可動障子に当接しないようにすることができるので、第2可動障子をより縦枠寄りに移動させることができ、第2可動障子を開くことにより形成される開口を大きくすることができる。
【0014】
そして、本発明に係るサッシによれば、枠体には第3可動障子に隣接する第4可動障子を納め、第4可動障子は内レールに案内されることにより、縦框同士が突き合わされないようにしつつ枠体内にさらに多くの可動障子を納めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態におけるサッシの縦断面図を、図2には本実施形態におけるサッシの横断面図を、それぞれ示している。図2に示すように本実施形態のサッシは、枠体1内に4枚の可動障子2、3、4、5を納めて構成されている。これら4枚の可動障子のうち、第1可動障子2と第3可動障子4は、枠体1の室外寄りに配置され、第2可動障子3と第4可動障子5は、枠体1の室内寄りに配置される。すなわち、各可動障子は隣接する可動障子と室内外方向に互い違いとなるように配置されている。なお、枠体1内には可動障子が納められる領域の室外側に網戸が納められる。
【0016】
図1及び図2に示すように、サッシを構成する枠体1は、上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12を方形状に枠組みして構成されている。下枠11の上面には内レール13と外レール14が突出状に形成されており、内レール13は可動障子のうち室内寄りに配置される第2可動障子3及び第4可動障子5を下枠11の長手方向に案内し、外レール14は可動障子のうち室外寄りに配置される第1可動障子2及び第3可動障子4を下枠11の長手方向に案内する。
【0017】
上枠10にも、内案内部15と外案内部16が室内外にそれぞれ形成されており、内案内部15は第2可動障子3及び第4可動障子5を、外案内部16は第1可動障子2及び第3可動障子4を、それぞれ案内する。これによって、各可動障子は上下枠10、11の長手方向に沿って走行自在とされる。
【0018】
図2に示すように、一方の縦枠12に隣接する第1可動障子2は、枠体1の室外寄りに配置されて外レール14に案内される。第1可動障子2は上框20と下框21及び左右の縦框22、22を方形状に框組みしてなる框体6内にガラス板からなるパネル体7を納めて構成されている。左右の縦框22のうち、外周面が縦枠12と対向する側の縦框22は、枠側縦框23として形成され、それと反対側の縦框22は、第2可動障子3の框体6と対向する第1召合せ框24として形成されている。
【0019】
枠側縦框23は、縦枠12と対向する外周面側に気密材23aを有し、この気密材23aが縦枠12の内周面に形成される突出片12aに当接することで、第1可動障子2と縦枠12間の気密性を確保するようにしている。一方、第1召合せ框24は、外周面に外周当接部材24bを有している。外周当接部材24bは、第3可動障子4の外周面と対向して、その框体6との衝突を緩和すると共に、後述するように第2可動障子3に対するストッパとしても機能する。また、第1召合せ框24の第2可動障子3と対向する室内側面には、第1可動障子2の内周側に向かって開口する煙返し部24aが形成されている。
【0020】
第1可動障子2に隣接する第2可動障子3は、枠体1の室内寄りに配置されて内レール13に案内される。第2可動障子3は上框20と下框21及び左右の縦框22、22を方形状に框組みしてなる框体6内にガラス板からなるパネル体7を納めて構成されている。左右の縦框22は、一方が第1可動障子2の第1召合せ框24と対向する第2召合せ框25として、他方が第3可動障子4と対向する第3召合せ框26として、それぞれ形成されている。
【0021】
第2召合せ框25は、外周面にクレセント25bを備え、第1可動障子2と第2可動障子3とを施錠することができるようにされている。また、第2召合せ框25の第1召合せ框24と対向する室外側面には、第1召合せ框24の煙返し部24aと噛合するように、第2可動障子3の内周側に向かって開口する煙返し部25aが形成されている。第2召合せ框25の煙返し部25aは、室外側面の厚みの範囲に形成されており、第2召合せ框25から室外側に突出するようには形成されていないのに対し、第1召合せ框24の煙返し部24aは、室内側面の厚みの範囲よりも室内側に突出するように形成され、第2召合せ框25の煙返し部25aと噛合するようにされている。
【0022】
第1可動障子2は隣接する縦枠12から離れる方向に移動自在とされ、第2可動障子3は第1可動障子2の移動方向と反対側に移動自在とされるので、第2召合せ框25の煙返し部25aは、第2可動障子3の移動の際、第1召合せ框24の室内側面と対向した状態となるのに対し、第1召合せ框24の煙返し部24aは、第1可動障子2の移動に伴って第2召合せ框25と離れる方向に移動するので、第1召合せ框24の煙返し部24aを室内側に突出させ、第2召合せ框25の煙返し部25aを突出しないように形成することで、第1召合せ框24と第2召合せ框25間の対向距離を小さくしつつ、煙返し部24a、25aが対向する召合せ框と干渉しないようにすることができる。
【0023】
第2可動障子3の他方側の縦框22である第3召合せ框26は、室外側面の内周端部に煙返し部26aを有している。第3召合せ框26の煙返し部26aは、第2可動障子3の外周側に向かって開口しており、第2召合せ框25の煙返し部25aと同じ方向を向くように形成されている。また、これらの第2召合せ框25の煙返し部25aと第3召合せ框の煙返し部26aは、いずれも第2可動障子3が第1可動障子2側に移動する方向と反対側を向くように開口しており、したがって第2可動障子3は単独で第1可動障子2側に移動することができる。
【0024】
第2可動障子3に隣接する第3可動障子4は、枠体1の室外寄りに配置されて外レール14に案内される。第3可動障子4は上框20と下框21及び左右の縦框22、22を方形状に框組みしてなる框体6内にガラス板からなるパネル体7を納めて構成されている。左右の縦框22は、一方が第2可動障子3の第3召合せ框26と対向する第4召合せ框27として、他方が第4可動障子5と対向し第1可動障子2の召合せ框と同様に形成された第1召合せ框24として形成されている。
【0025】
第4召合せ框27は、外周面に外周当接部材27bを有しており、第1召合せ框24の外周当接部材24bと対向しており、前述のように第1可動障子2と第3可動障子4の移動に伴う衝突を緩和する機能を有している。また、第4召合せ框27の第3召合せ框26と対向する室内側面には、第3可動障子4の外周側に向かって開口し第3召合せ框26の煙返し部26aと噛合する煙返し部27aが形成されている。
【0026】
第4召合せ框27の煙返し部27aは、第4召合せ框27の外周側端部が断面略コ字状をなすように形成されてなり、したがって煙返し部27aの室内端部は第4召合せ框27の室内側面より室内側に突出しないようにされている。第3召合せ框26の煙返し部26aは、第4召合せ框27の煙返し部27aと噛合するために第3召合せ框26の室外側面から室外側に向かって突出するように形成されており、室外端部が第2召合せ框25の煙返し部25aの室外端部より室外側寄りに形成される。具体的には、第3召合せ框26の煙返し部26aは、第3召合せ框26の室外側面から室外側に突出する当接面部26bと、当接面部26bの室外端部から第2可動障子3の外周側に向かって伸びる噛合部26cとで構成されている。
【0027】
このように、第3召合せ框26の煙返し部26aが、第2召合せ框25の煙返し部25aに対して段違い状に形成されていることにより、第2可動障子3の両側でそれぞれ第1可動障子2及び第3可動障子4の各煙返し部に対して噛合しつつ、第2可動障子3を単独で移動させても各可動障子と干渉しないようにすることができる。また、第2可動障子3を移動させた際に第4召合せ框27から離れる方向に移動する第3召合せ框26の煙返し部26aを、第4召合せ框27側に向かって突出するように形成したので、第3召合せ框26と第4召合せ框27を近接させつつ移動の際には互いに干渉しないようにすることができる。
【0028】
ここで、当接面部26bは、第2可動障子3と第3可動障子4が閉じた状態において、第4召合せ框27の外周面と略面一状となるように形成されている。これによって、第2可動障子3と第3可動障子4が閉じた状態において、第2可動障子3の内周面から第3可動障子4の外周面に渡って略面一とすることができ、意匠性を高くすることができる。なお、第1召合せ框24の外周面と第2召合せ框25の内周面についても、室内外に渡って略面一状をなすように形成されており、框をできるだけ細く見せることができるようにしている。
【0029】
第3可動障子4の他方側の縦框22を構成する第1召合せ框24は、第1可動障子2のものと全く同じ形状を有しており、第3可動障子4と対向する第4可動障子5は、第1召合せ框24と対向する側の縦框22に第2召合せ框25を配置し、他方の縦枠12と対向する側の縦框22に枠側縦框23を配置している。そして、これらの構成は第1可動障子2及び第2可動障子3について説明したものと同様である。
【0030】
図3には、図2の状態から第2可動障子3及び第3可動障子4を移動させた状態の図を示している。この図に示すように、第2可動障子3を第1可動障子2側に移動させて全開状態とすると、第2可動障子3を構成する第3召合せ框26は、煙返し部26aの当接面部26bが第1可動障子2の外周当接部材24bに当接する。これによって第2可動障子3はそれ以上移動できないので、外周当接部材24bが第2可動障子3のストッパとして機能していることになる。
【0031】
このように第3召合せ框26の煙返し部26aを、第2可動障子3の内周端部に設けたことで、煙返し部26aが第2可動障子3の移動を規制することとなる一方で、第4召合せ框27に第3可動障子4の外周端部に煙返し部27aを設けることができるので、第3可動障子4に第3召合せ框26の煙返し部26aと干渉しないようにするための段部を形成する必要がなく、第4召合せ框27の形状をシンプルにすることができる。
【0032】
各可動障子を開くパターンは、図3のように第2可動障子3を第1可動障子2側に、第3可動障子4を第4可動障子5側に、それぞれ移動させて枠体1の中央部を大きく開口させるものには限られない。図示しないが、第1可動障子2を第2可動障子3側に、第4可動障子5を第3可動障子4側に、それぞれ移動させて枠体1の両側をそれぞれ開口させることもできる。また、第1可動障子2と第2可動障子3及び第3可動障子4を全て第4可動障子5側に移動させるか、あるいは第2可動障子3と第3可動障子4及び第4可動障子5を全て第1可動障子2側に移動させることにより、枠体1の左右いずれか一方を大きく開口させることもできる。
【0033】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態のサッシは、第1の実施形態のサッシと概ね同様の構成を有しているが、第3召合せ框26と第4召合せ框27の構成が異なっている。このため、図面は横断面図のみを示す。図4には、本実施形態におけるサッシの横断面図であって第1可動障子2から第3可動障子4までの拡大図を示している。
【0034】
図4に示すように、第3召合せ框26の室外側面には室外側に向かって突出する煙返し部26aが形成され、第4召合せ框27の室内側面には第3召合せ框26の煙返し部26aと噛合する煙返し部27aが形成されている。第3召合せ框26の煙返し部26aは、室外側面の内周端よりも第2可動障子3の外周側寄りに形成されており、またそれに対応して第4召合せ框27の煙返し部27aは、室内側面の外周端よりも第3可動障子4の内周側寄りに形成されている。
【0035】
これに伴い、第4召合せ框27の室内側面には、第2可動障子3を開く際に第3召合せ框26の煙返し部26aが干渉しないように、段部27cが形成されている。このため、第3召合せ框26と第4召合せ框27の間の間隔は、第1の実施形態に比べて大きくなる。
【0036】
図5には、図4の状態から第2可動障子3及び第3可動障子4を移動させた状態の図を示している。枠体1を構成する下枠11には、内レール13が形成される領域の端部に端部ブロック30が配置されている。第1可動障子2側に移動された第2可動障子3は、第2召合せ框25の外周面が端部ブロック30に当接することにより、それ以上の移動が規制される。この際、第1の実施形態と異なり、第3召合せ框26の煙返し部26aは第1召合せ框24に設けられる外周当接部材24bと離隔した状態となっている。
【0037】
このように、第3召合せ框26の煙返し部26aを室外側面の内周端よりも第2可動障子3の外周側寄りに形成し、それに対応して第4召合せ框27の煙返し部27aを室内側面の外周端よりも第3可動障子4の内周側寄りに形成したことで、第2可動障子3を第1可動障子2側に移動させた際に、第3召合せ框26の煙返し部26aが第1可動障子2に当接することなく、第2召合せ框25の外周面が端部ブロック30に当接するようにできるので、第2可動障子3を全開状態として形成される開口をより大きくすることができる。
【0038】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態のサッシの横断面図を図6に示している。この図に示すように、本実施形態のサッシは、枠体1内に6枚の可動障子を納めて構成されている。これら6枚の可動障子は、図中左側から順に第1可動障子2、第2可動障子3、第3可動障子4、第4可動障子5、第5可動障子8、及び第6可動障子9であり、第1可動障子2、第3可動障子4及び第5可動障子8は枠体1の室外寄りに配置されて外レール14に案内され、第2可動障子3、第4可動障子5及び第6可動障子9は枠体1の室内寄りに配置されて内レール13に案内される。
【0039】
ここで、第1可動障子2と第2可動障子3及び第3可動障子4の構成は、第1の実施形態と同様である。第4可動障子5は、第3可動障子4と対向する縦框22が第2召合せ框25である点は第1の実施形態と同様であるのに対し、他方の縦框22には第1の実施形態とは異なり第3召合せ框26が配置される。第5可動障子8は、第3可動障子4と同じ構成を有し、第6可動障子9は、第1の実施形態における第4可動障子5と同じ構成を有している。すなわち本実施形態は、第1の実施形態における第3可動障子4と第4可動障子5の間に、さらに第2可動障子3と第3可動障子4と同じ構成を有した可動障子を配置したものであって、第4可動障子5を第3可動障子4側に移動自在とするため、第4可動障子5を構成する第2召合せ框25と第3召合せ框26にそれぞれ移動方向と反対側に開口する煙返し部25a、26aを形成している。
【0040】
このように、内レール13に案内される室内寄りに配置された可動障子について、左右の煙返し部を同じ方向に開口するように形成することで、多数の可動障子を室内寄りと室外寄りの互い違い状に枠体1に納める場合であっても、室内寄りの可動障子を独立して移動させることができる。なお、可動障子の枚数をさらに増やして例えば8枚を枠体1内に納めるようにすることもできる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施形態におけるサッシの縦断面図である。
【図2】サッシの横断面図である。
【図3】図2の状態から第2可動障子及び第3可動障子を移動させた状態の図である。
【図4】第2の実施形態におけるサッシの横断面図であって第1可動障子から第3可動障子までの拡大図である。
【図5】図4の状態から第2可動障子及び第3可動障子を移動させた状態の図である。
【図6】第3の実施形態のサッシの横断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 枠体
2 第1可動障子
3 第2可動障子
4 第3可動障子
5 第4可動障子
6 框体
7 パネル体
10 上枠
11 下枠
12 縦枠
13 内レール
14 外レール
20 上框
21 下框
22 縦框
23 枠側縦框
24 第1召合せ框
24a 煙返し部
24b 外周当接部材
25 第2召合せ框
25a 煙返し部
25b クレセント
26 第3召合せ框
26a 煙返し部
26b 当接面部
26c 噛合部
27 第4召合せ框
27a 煙返し部
27b 外周当接部材
27c 段部
30 端部ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下枠及び左右の縦枠を枠組みしてなる枠体内に少なくとも3枚以上の可動障子を納めてなるサッシにおいて、
前記下枠は上面に長手方向に沿う内レールと外レールとを有し、一方の前記縦枠に隣接する第1可動障子は前記外レールに案内され、前記第1可動障子に隣接する第2可動障子は前記内レールに案内され、前記第2可動障子に隣接する第3可動障子は前記外レールに案内され、
前記第1可動障子は前記第2可動障子と室内外方向に対向する第1召合せ框を有し、前記第2可動障子は前記第1召合せ框と対向する第2召合せ框と、前記第3可動障子と室内外方向に対向する第3召合せ框を有し、前記第3可動障子は前記第3召合せ框と対向する第4召合せ框を有し、
前記第2召合せ框と第3召合せ框は前記第2可動障子が第1可動障子側に移動する方向と反対側に開口する煙返し部を室外側面に有し、前記第1召合せ框と第4召合せ框は各障子が閉じた状態で前記第2召合せ框と第3召合せ框の各煙返し部と噛合する煙返し部を室内側面に有し、前記第3召合せ框の煙返し部は室外端部が前記第2召合せ框の煙返し部の室外端部より室外側寄りに形成されることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
前記第3召合せ框の煙返し部は前記室外側面の内周端部に形成され、室外側に向かって伸びる当接面部と、該当接面部の室外端部から前記第3召合せ框の外周側に向かって伸びる噛合部とからなり、前記当接面部は前記第2可動障子の全開状態において前記第1可動障子を構成する第1召合せ框の外周面に当接することを特徴とする請求項1記載のサッシ。
【請求項3】
前記第3召合せ框の煙返し部を構成する当接面部は、前記噛合部が前記第4召合せ框の煙返し部と噛合した状態において、前記第3召合せ框と対向する第4召合せ框の外周面と略面一状とされてなることを特徴とする請求項2記載のサッシ。
【請求項4】
前記第3召合せ框の煙返し部は前記室外側面の内周端よりも前記第2可動障子の外周側に形成され、前記第4召合せ框の室内側面は前記煙返し部より前記第3可動障子の外周側が室外側寄りに形成されることを特徴とする請求項1記載のサッシ。
【請求項5】
前記枠体には前記第3可動障子に隣接する第4可動障子を納め、該第4可動障子は前記内レールに案内されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のサッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−37724(P2010−37724A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198155(P2008−198155)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】