説明

サブサンプリングを用いる可動台MRI

磁気共鳴撮像装置の主磁場の制限された一様領域でサンプリングされた複数の信号から対象の画像を形成する新しい磁気共鳴撮像方法が記載されている。台の上に配置された患者は、主磁石の孔を通って連続的に移動され、前記患者の所定領域のスピンが送信アンテナからの励起パルスにより励起され、この結果、画像が前記制限された領域を大きく越える領域にわたり形成される。データは、前記患者の励起された領域内の維持された磁化及びプリサチュレーション条件を持つ時間の連続した測定のブロックとして定義される複数の受信状況において少なくとも1つの受信アンテナを用いて前記制限された領域においてアンダーサンプリングされる。前記アンダーサンプリングによる折り返しアーチファクトは、前記受信アンテナの既知の感度パターン及び/又は前記受信状況を決定する選択された要素の性質を用いて展開される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴装置の主磁場の制限された一様領域(homogeneity region)内でサンプリングされた複数の信号から対象の画像を形成する磁気共鳴(MR)方法に関し、ここで台の上に配置された患者は、画像が前記磁気共鳴撮像装置の主磁場の制限された領域を大きく越える領域に対して形成されるように、主磁石の孔(bore)を通って連続的に移動される。
【0002】
本発明は、前記方法を実行するMR装置及びコンピュータプログラムにも関する。
【背景技術】
【0003】
患者にとって、MR撮像装置の超電導主磁石(main superconductive magnet)の大きな孔の中に配置されるのは、非常に居心地が悪いので、より短い磁石を使用して、患者台又は寝台を磁石の孔を通して移動する傾向がある。このような装置は、例えば欧州特許出願公開公報EP-A-1024371に記載されている。MR撮像装置において、励起パルスは、磁場が一様である磁石の孔の制限された領域に印加される。収集されたデータサンプルは、フーリエ変換されて前記制限された領域の体積画像を形成する。モータは、関心領域が良い磁場の領域を通過するように患者寝台を連続的に移動する。前記収集されたデータサンプルは、動きを補償するように補正され、この結果、体積画像は、前記制限された領域の体積画像より長く形成される。
【0004】
上述のMR撮像は、従来の撮像シーケンスで実行され、連続して撮像された体積間の重複さえも中心領域の誤差により生成されたアーチファクトを切り捨てるために好まれるので、非常に長い時間を要する。明らかに、RF送信コイル及びRF受信コイルは、前記主磁石の基準フレーム内、即ち直接的な近傍に配置される。しかしながら、患者の異なる場所に配置されたボディコイルによる撮像は、この参考文献の論点ではなかった。いずれにしろ、ボディコイルの使用は、容易には抑制されることができない追加のアーチファクトを生じる可能性があることが既知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、撮像が大幅に短い時間期間に実行されるように比較的短い主磁石及び可動台を用いてMR撮像方法を改良することである。本発明の他の目的は、この方法を実行するMR装置及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的は、請求項1に記載の方法により、請求項11に記載のMR装置により、及び請求項13に記載のコンピュータプログラムにより達成される。
【0007】
本発明は、制限された一様領域を持つ、より短い主磁石が使用されることができるが、データがアンダーサンプリングのために大幅に短い時間でサンプリングされることができ、したがって走査時間が、可動台又はベッドを有する従来のMR撮像に対して大幅に減少されるという主要な利点を有する。本発明の他の利点は、視野の方向が如何なる方向にも向けられることができ、例えば流れアーチファクトが適切な方向に向けられることができ、又は前記患者の組織構造に対する好適な向きに単一のスライスを向けることができることである。
【0008】
本発明のこれら及び他の利点は、従属請求項及び本発明の模範的実施例が添付図面に関して記載される以下の記載に開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
基本原理及び記号
図1において、患者1は可動台又はベッド2に固定して配置される。局所コイルLC1ないしLC5のセットは患者1に対して固定して配置され、したがって配置“患者1”、“ベッド2”及び“局所コイルLC1ないしLC5”は、前記患者に関する座標系3において互いに固定された関係で配置される。ベクトル

は、この座標系又は基準系3に対する位置を示す。更に、主磁場4には、ベッドが矢印6の方向に前後に移動されることができる孔5が設けられる。磁石/勾配システム7は、主磁場4及び複数の受信コイル8−一般には1又は0−、並びに送信コイル(描かれていない)を有する。これらの受信コイル8及び送信コイルは、“大域的(global)”であると示される。磁石/勾配システム7の要素は全て、主磁石4に関する他の座標系9により定義される他の固定された関係で関連する。受信コイル8及び前記送信コイルは大きく、前記ベッドの運動の方向(矢印6)に滑らかな感度パターンを持つと更に仮定される。磁石座標系9は、患者座標系3に対する距離

によりオフセットされる。患者1の性質、例えば体の陽子密度は、患者座標系3に明らかに与えられ、

と表現される。理想的には、i=1〜5である局所コイルLCiの1つの受信感度パターン

についても同様である。これに対し、受信コイル7の感度パターンは、

と記載される。
【0010】
ここで表現“受信状況(receive situation)”が導入され、これは、時間の連続した測定のブロックを意味し、この間に台2が主磁石4の“一様サイズ”の比較的小さな距離(例えば半分若しくは3分の1又はその間)だけ移動する。単一の受信状況の間に、(プリサチュレーション・スラブ(presaturation slab)、体積選択等のような)全ての磁化プレパレーション(magnetization preparations)は、おおむね患者1と共に“移動”する。単一の受信状況の間に、全ての関心のあるk空間が、(潜在的に重要である)アンダーサンプリングを除き、カバーされる。k空間全体の完全走査は、Kの受信状況をカバーする。原理的に、MR収集シーケンスは、前記“磁化プレパレーション”が位置を変えることができ、収集されたk空間グリッドにオフセットが存在する可能性があることを除き、全ての受信状況に対して同一である。しかしながら、これは概念の改良である。
【0011】
受信状況の間、コイルLC1ないしLC5は、患者1から情報を受信する。(I+J)個の情報セットが供給され、ここでIは局所受信コイルの数であり、Jは大域受信コイルの数である。これらのセットの幾つかは、例えば受信コイルLC1ないしLC5が完全に主磁石4の一様体積(homogeneity volume)の外である場合に、実際には0である可能性がある。K個の受信状況が存在する。したがって、全体で、情報はK・(I+J)個の“受信インスタンス(receive instances)”に集められる。
【0012】
本発明の基本アイデア
臨床医は、患者1の関心のある比較的大きな体積からの情報を望む。データは、台又はベッド2が主磁石4に対して移動している間に収集される。磁石4に対する変位

はいつでも既知である。MR収集の全体は、複数の受信状況に分割される。各状況の間に、励起又はプリサチュレーションプロファイルは、患者1と共に“移動”する。前記収集されたデータは、前記データが収集された台2のオフセットに対して位相補正される。受信状況の間に、患者1からの情報は、如何なる向きの如何なるMR撮像シーケンスを使用しても収集される。実際には、アーチファクト(例えば流れアーチファクト)を適切な方向に向けるか、又は単一のスライスを特定の人間組織構造に対する好適な向きに向けることは有用であるかもしれない。しかしながら、前記情報は、著しくアンダーサンプリングされている可能性がある。この方法の例は図2にスケッチされている。受信状況ごとに対して、ボックス11により示される体積を名目上収集する。この大多数は、1次元の行、2次元の行、又は例えば螺旋形収集の場合の折り返し位置(folding location)の連続体であることさえあり得る。
【0013】
ここで、受信状況は同じサブサンプリングパターンを有する。異なる受信状況間の唯一の違いは、以下の選択された要素、即ち、
1.励起又は飽和プロファイル(患者1に対する)
2.前記送信コイルの送信パターン
3.固定された受信コイル8の受信パターン
4.受信器システムの周波数応答パターン
の性質に対する重み付けである。
【0014】
項目2及び3に関して、理論的には、可動台2を用いて、これらのパターンは1つの状況内でも変化するが、状況ごとの運動が甚だしく大きくない場合には、これは無視されることができることに注意する。
【0015】
加えて、受信コイル(局所又は大域)は、独自の感度パターンを有する。したがって受信コイル及び受信状況の組み合わせである受信インスタンスは、前記コイル感度パターンと前記受信状況の組み合わされたパターン(励起、飽和、送信及び周波数応答)との積である異なる“全体パターン”を“見る”。
【0016】
折り返し点(folding point)12の大多数は、受信インスタンスごとの全ての前記“全体パターン”を使用して展開される(unfolded)。これは、SENSE法(例えばK. Pruessmann他、Proc. ISMRM、1998、要約 pp.579、799、803及び2087)のように行われるが、形式的には、展開マトリクス(unfolding matrix)は、より大きい可能性がある。そうでなければ、式の系は適度に安定であることができ、即ち、例えば各状況に対して、多くの折り返し点12は、励起スラブの外になるので、実際には0パターンを“見る”かもしれない。前記台の運動はフレキシブルであり、即ち、これは線形、非線形且つ非単調又は2次元であることができることに更に注意すべきである。制限は、これが1つの受信状況の間に過剰に、例えば前記一様体積の半分も移動してはならないことである。
【0017】
パターンの測定
較正
SENSE法において、コイル感度プロファイルのマップは利用可能でなければならない。このようなマップは、基準又は明確なファントムを有する粗い較正測定値で与えられることができる。他の可能性は、アレイコイル素子からの信号と、前記台上の前記患者の基準コイルからの信号との比の低解像度マップを使用することである。本発明において、同様な基準測定が与えられる。データは一般に2次元の台運動を含む台運動パターンにおいて収集されることができるが、ここで線形の1次元運動が、データ収集に使用される。
【0018】
関連する原理のより良い理解のために、初めにレビューすると、
1.前記患者の各位置

において、幾つかの位置依存組織性質(陽子密度、T1、T2、流れ、拡散...に関する全てのデータ)が既知である。
2.前記患者の各位置

において、局所コイルLCiの感度パターン

が得られることができる。大域コイルに対する結合のために

に対する依存性が存在するかもしれないが、これはここでは無視される。
3.全てのコイル(大域又は局所、送信又は受信)のパターンは、特に3T以上の主磁場における誘電共振により影響を受ける可能性がある。この効果は、全てのコイルのコイル感度に対して純粋に乗算的であると見なされることができ、−前記患者及び前記患者における位置のみに依存する効果であり、したがって前記コイル又はコイル位置に依存しないと仮定される。1.5Tの主磁場に対して、前記効果は無視することができる。誘電共振効果は、

で示される。各コイルは実際には感度

を“見る”。
4.前記大域コイルは、磁石フレーム内の前記患者の実際の位置に独立であると近似される感度パターンをも有する(もちろん明示的に計上される誘電共振効果を除く)。この感度パターンは、

と表現される。
5.全体の受信パターンは、所定の読み出し勾配方向において

と示される受信器周波数応答の効果を含むこともできる。
【0019】
所定の測定タイプに対して、横向き磁化(transverse magnetisation)は、送信パターン−即ち大域コイルが使用される場合の磁石座標系9における位置−、及び組織性質−即ち患者座標系3における位置−の両方に依存する非線形効果である。これは非常に扱うのが難しいので、近似が必要であり、これは非常に小さな先端角度(およそ5度以下)を持つFFE測定を使用することにより達成されることができる。この場合、前記横向き磁化は、

として近似されることができ、ここで

は、所定の測定に対する組織性質である“スピン密度”関数である(提案されている場合には、主に陽子密度に依存する)。αは

に比例するように近似された前記先端角度である。
【0020】
問題点
後でより詳しく記載される提案された方法の再構成に対して、理想的には

の全ての情報を知りたい(しかしながら最後の1つは重要ではない)。

の値は事前に知られていると仮定され、

の値は(少なくとも原理的には)較正測定の関心のある結果ではない。
【0021】
この問題点は、これら全てのパラメータが測定されるわけではないことである。所定の台位置

に対し、以下の値、即ち、
−前記局所コイルからの信号:

−前記大域コイルからの信号:

が測定される。
これら2つの信号の単純な商は、

となり、これは、

が一様でない場合に、直接的には役に立たない。
【0022】
第1の解決策
前記大域コイルのパターンは、既知であると仮定される(少なくとも1つ)。実際には、前記関数はロード依存である可能性があるが、これは、感度関数の較正されたロード依存性が存在し、前記ロードが容易に測定されることができるという事実により克服されることができる。
【0023】
複数の離散的な基準走査セグメントが収集される。このようなセグメントの間に、前記台は静止している。各セグメントは結果として完全な“画像”を生じる。この場合、前記台は、複数のセグメントにわたり、したがって

の複数の異なる値に対して進められる。

の情報はマトリクス

を計算することを可能にする。数学的に、各セグメントは、

の全範囲にわたり結果を与えるが、実際には、各セグメントは、全ての

の部分範囲にわたってのみ正確な結果を提供する。これらの部分的に重複する範囲は、最小二乗フィッティングを使用して結合されることができ、結果として

の完全なマップを生じる。
【0024】
第2の解決策
3次元測定は、周波数符号化が前記台運動方向−z方向に平行になるように適応される。サンプリング帯域幅は、この方向において非常に高い。他の2つの方向は位相符号化であり、一方は台運動と比較して“速い”。“遅い”位相符号化方向はkyと称される。患者座標系9において、主磁石4は前記患者に対してゆっくりと移動する。前記磁石の運動中に、プロファイルが、線形に増加するkyに対して収集される。図3において、ラインセグメント13は、主磁石4の一様体積により検出される患者1の部分を示す。
【0025】
Lは、主磁石4が位相符号化プロファイルの完全なセットに対してカバーする距離である。前記台の速度は、Lが最大で前記一様体積の半分−しかしそれ以下(例えば1/4)が好ましい−であるように整えられる。図3においてLは1/2に選択される。結果は、プロファイルが主磁石4の少なくとも2つの異なる位置(ここで無視される外縁領域を除く)に対してサンプリングされることになる。例えば、プロファイルkyは、変位

及び変位

の両方に対して測定されている。これは、主磁石4が位置

(この値が



との間にある限り)にある場合に測定された前記プロファイルを近似することを可能にする。これは、補間法(例えば、2つのプロファイルが利用可能な場合には線形補間、又は4つのプロファイルが存在する場合には三次スプライン)により行われることができる。これはプロファイルごとに行われることができ、磁石オフセット

における感度較正測定の完全な再構成を可能にする。
【0026】
しかしながら、これは、

の如何なる値に対しても行われることができる。この原理は、
−前記局所コイルからの信号:

と、
−前記大域コイルからの信号:

と、
を収集することを可能にする。
これは、“問題点”セクションとは反対に、

の1つの値だけでなく、全ての値に対して当てはまる。これは、
−前記局所コイルからの信号を

及び

に分離し、
−前記大域コイルからの信号を

及び

に分離する
ことを可能にする。
これは、

及び

の算出を可能にする。実際には、Fが既知である場合、

も算出されることができるが、不幸なことに誘電共振

は算出されることができないが、これは結果に対して重要ではない。
【0027】
実際のデータの受信及び再構成
セクション“本発明の基本アイデア”において、データの受信及び再構成は、大いに説明されている。前記データは、プロファイル間の比較的大きなステップを使用して収集され、結果として(名目上)小さな“折り返し体積(folding volume)”、即ちたくさんの折り返し(folding)を生じる。非カーテシアン・シーケンス(non-cartesian sequences)に対して、これは、データが比較的まばらにサンプリングされることを意味する。k空間の全範囲が1走査状況(scan situation)の間に収集され、1走査状況の間の変位は前記一様体積の一部(例えば1/3)である。入力サンプルは、

の非常に独特な値で収集される。これは、入力データのサンプルごとに

を乗算することにより考慮に入れられる。ここで、Tは、患者座標から斜め走査(oblique scan)に関連する走査座標への座標変換である。この演算は、たとえ前記一様体積のかなり外であっても、前記収集されたデータを前記患者の中心に“移動”する。明らかに、プロファイルごとに固定された

で補正することにより単純化することができる。
【0028】
前記走査状況は、平均オフセット

において収集された。これは、
−当該状況に対する送信プロファイル:

と、
−同様に大域コイル受信プロファイルと、
−同様に当該状況に対する周波数応答関数と、
を推定することに関連する。
【0029】
励起プロファイル及びプリサチュレーションプロファイルは、前記患者座標系に対して固定され、即ち主磁石4から見ると台2と共に移動する。したがって、これらは

において既知である。局所コイルプロファイルも

において既知である(較正セクション参照)。これらの全てのコイルプロファイルは、各コイルに対する全体的な受信パターンに増やされることができる。全体として、Kの受信状況が存在する場合、情報はK・(I+J)の受信インスタンスに集められている。各インスタンスは異なる全体的な受信パターンを持つ。これは、患者1全体に対してK・(I+J)より少ない折り返された点が存在する場合に、SENSEのような再構成を可能にする。原理的に、この収集は全ての受信状況に対して同じままである。改良として、位相符号化が少量だけオフセットされることができる。これは、他の全ての述べられた符号化の上に追加の位相符号化を与え、SENSE再構成の安定性を向上する。
【0030】
幾何学的補正
上の推論の全てが完全に線形の勾配システムを仮定している。

の台変位は、(a)広範囲で上のように処理されている異なる重み付け、及び(b)サンプルに対する

の位相修正を生じると仮定する。不幸なことに、幾何学的歪は、他の重大な複雑にする要素である。オフセット

で収集された画像は、たとえ全ての重み付け及び変位

が計上されたとしても、オフセット

で収集された画像と比較される場合に幾何学的に歪んでいる。
【0031】
この問題は、前記励起及び送信プロファイルが大きくなる傾向にある場合に前記歪が小さくなる傾向にあるので、解決されることができる。これは、(a)幾何学的に非一様な領域に多すぎる励起が存在しないようにシーケンスを作成することにより、及び(b)これらの領域において低い送信感度を持つシステムを設計することにより果たされることができる。この解決策は、反復的再構成であり、この説明は図4に視覚的に与えられる。主要なアイデアは、基本的に、初めに幾何学的歪の存在を無視することにより結果画像を再構成することである。この結果について、全ての画像領域は、走査状況が存在するだけ多くの方向に歪まされる。歪んでいないバージョンを減算した歪んだバージョンは、“折り返し歪誤差”の推定値を与える。最終画像に対する受信インスタンスの寄与(又は重み)が既知である場合、前記折り返し歪誤差の推定値はこの結果から抽出されることができる。
【0032】
図4(a)において、概略的には異なる位置において2つの部分、即ちブロック16として示される第1部分及び心臓17として示される第2部分からなる非常に単純化された患者15が描かれている。図4(b)は、ブロック16が主として前記主磁石の中心にあり、心臓18がより離れており、したがって歪んでいるときの撮像を示す。図4(c)に示されるように、歪んだ心臓18は、アンダーサンプリングによりブロック16に折り重なる。まだ、心臓18は、より低い励起を見たので、より薄れている。図4(d)による他の受信状況において、心臓17は主磁石4の中心にあり、ブロック19はより離れており、したがって歪んでいる。アンダーサンプリングにより、これは、図4(e)に示されるような受信状況で測定される。したがって、図4(c)及び図4(e)で画像が実際に測定され、図4(f)は、図4(c)及び図4(e)の2つの線形結合からなるSENSE展開(unfolding)の後の結果を示す。これは不完全であり、例えば右の部分は、ブロック16と、減算されていない心臓18と、“間違って減算された”心臓17(破線)と、2次の誤差(点線)とからなる。図4(g)には、(f)が可能である条件下の(b)と同じ様式の意図的な歪が示される。図4(h)は、(f)の一部分が折り返された対の部分から減算され、(g)の一部が加算され、結果として2次アーチファクトのみを生じる最終結果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明が使用される磁気共鳴撮像システムを概略的に示す。
【図2】収集スキームの例を示す。
【図3】可動台を用いるk空間における収集スキームを示す。
【図4】本発明の説明に対する単純化された表示を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴撮像装置の主磁場の制限された一様領域においてサンプリングされた複数の信号から対象の画像を形成する磁気共鳴撮像方法であって、台の上に配置された患者が、主磁石の孔を通って連続的に移動され、前記患者の所定領域のスピンが送信アンテナからの励起パルスにより励起され、これにより画像が前記制限された領域を大きく越える領域にわたり形成される方法において、前記データが、前記患者の励起された領域内の維持された磁化及びプリサチュレーション条件を持つ時間の連続した測定のブロックとして定義されている複数の受信状況において少なくとも1つの受信アンテナを用いて前記制限された領域でアンダーサンプリングされ、前記アンダーサンプリングによる折り返しアーチファクトが、前記受信アンテナの感度パターン及び/又は前記受信状況を決定する選択された要素の性質を用いて展開されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記折り返しアーチファクトが、前記選択された要素として励起プロファイルを用いて展開されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記折り返しアーチファクトが、前記選択された要素として磁化プロファイル及びプリサチュレーションプロファイルを用いて展開されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記折り返しアーチファクトが、前記選択された要素として前記受信器の周波数応答パターンを用いて展開されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記制限された領域内のデータのサンプリング中に、前記台が、多くとも前記制限された領域のサイズの半分にわたり移動されることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記主磁石システムに対して固定された関係で配置された少なくとも1つの大域受信アンテナが設けられ、前記台上の前記患者に対して固定された関係で配置された複数の局所受信アンテナが設けられることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
基準走査が、前記受信アンテナの感度パターンを得るために与えられることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記データが、前記制限された領域の異なる台位置における複数の離散的な基準走査セグメントにおいて収集され、各基準走査中に前記台が静止しており、前記基準走査により得られた前記データから前記局所コイルの感度パターンが計算されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記台が、k空間の走査時間に対する前記主磁石の前記一様領域の半分より低い速度で移動され、前記k空間が、行ごとに連続的に走査され、前記局所コイルの感度プロファイルが、異なる台位置における測定されたプロファイルの補間により計算されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプリングされたデータは、大部分でサンプリングされた前記データにおいて、前記主磁石の中心でサンプリングされた前記データ上に折り込む前記主磁石の中心のオフセットが、歪んでいない画像が再構成され、折り込み画像から減算されるように故意に歪まされることにより、反復的に再構成されることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
複数の信号からMR画像を得る磁気共鳴撮像装置において、
主磁石と、
前記患者の所定領域のスピンを励起する送信アンテナと、
主磁場の制限された一様領域において複数の信号をサンプリングする少なくとも1つの受信アンテナと、
患者を支える台と、
前記主磁石の孔を通って前記台を連続的に移動する手段と、
基準点に対する連続的に移動する前記台の位置に前記送信アンテナの周波数プロファイル及び前記受信アンテナの周波数プロファイルを適合する手段と、
前記患者の励起された領域における維持された磁化及びプリサチュレーション条件を持つ時間の連続した測定のブロックとして定義される所定の受信状況において前記制限された領域内でデータをサンプリングする手段と、
前記受信アンテナの感度パターン及び/又は前記受信状況を決定する選択された要素の性質を用いてアンダーサンプリングによる折り返しアーチファクトを展開する手段と、
を有する装置。
【請求項12】
前記主磁石システムに対して固定された関係で配置された少なくとも1つの大域受信アンテナと、前記台上の前記患者に対して固定された関係で配置された複数の局所受信アンテナとを更に有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
磁気共鳴方法を用いて画像を形成するコンピュータ使用可能媒体に記憶されたコンピュータプログラムにおいて、
主磁石により主磁場を作成するステップと、
送信アンテナにより前記患者の所定領域のスピンを励起するステップと、
少なくとも1つの受信アンテナにより前記主磁場の制限された一様領域で複数の信号をサンプリングするステップと、
患者を支える台を前記主磁石の孔を通って連続的に移動するステップと、
基準点に対する連続的に移動する前記台の位置に前記送信アンテナの周波数プロファイル及び前記受信アンテナの周波数プロファイルを適合するステップと、
前記患者の励起された領域における維持された磁化及びプリサチュレーション条件を持つ時間の連続した測定のブロックとして定義される所定の受信状況において前記制限された領域でデータをアンダーサンプリングするステップと、
前記受信アンテナの感度パターン及び/又は前記受信状況を決定する選択された要素の性質を用いて前記アンダーサンプリングによる折り返しアーチファクトを展開するステップと、
をコンピュータに制御させるコンピュータ読取可能プログラム手段を有するコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−519051(P2006−519051A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502603(P2006−502603)
【出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050131
【国際公開番号】WO2004/077086
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】