サブミクロンのポリテトラフルオロエチレン粉末の生成方法およびその生成物
【課題】 本発明は、リアクタ・ラテックス状のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を処理することによって、レオロジ調整剤,界面活性剤,湿潤剤,pH調整剤,その他の安定化添加剤なしに、安定した状態を維持する乾燥サブミクロンPTFE粉末を生成する。
【解決手段】 本発明は、エマルジョン重合処理によって生成されるリアクタ・ラテックスPTFEに対して、重合の間または後に、電子ビームまたはガンマ線で照射を行うことによって、流動性に優れ、凝集し難く、取扱時に粉塵となって空気中に舞い難い乾燥サブミクロンPTFE粉末を生成し、所望の利用溶媒にPTFEを容易に分散可能にする。
【解決手段】 本発明は、エマルジョン重合処理によって生成されるリアクタ・ラテックスPTFEに対して、重合の間または後に、電子ビームまたはガンマ線で照射を行うことによって、流動性に優れ、凝集し難く、取扱時に粉塵となって空気中に舞い難い乾燥サブミクロンPTFE粉末を生成し、所望の利用溶媒にPTFEを容易に分散可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、サブミクロンのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を生成するための改良方法に関する。特に、本発明は、リアクタ・ラテックス状のPTFEに照射処理を施すことによってサブミクロンのPTFE粉末を生成する方法に関する。更に、本発明は、本明細書に開示された方法によって生成されたサブミクロンのPTFE粉末に関し、その粉末は、流動性に優れ、所望の溶媒に容易に分散可能であり、凝集し難く、取扱時に粉塵となって空気中に舞うことが少ない。また、本発明は、水性溶媒および有機溶媒にサブミクロンの大きさでPTFE粒子を分散させる改良方法、およびそのような方法に従って生成された分散物に関する。
【背景技術】
【0002】
リアクタ・ラテックス状のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびそのようなリアクタ・ラテックスPTFE材料を生成する方法は、当業者に周知である。本明細書では、「リアクタ・ラテックス状のPTFE」および「リアクタ・ラテックスPTFE」とは、乳化重合(エマルジョン重合)処理を経てPTFEの合成から生じた生成物であり一次粒子サイズのPTFE粒子の水溶液である懸濁液を意味する。「ラテックス」という用語は、本分野で一般に用いられているように、重合物質すなわちゴムのような物質の重合や分散によって得られた合成ゴムやプラスチックの水乳濁液(水エマルジョン)を意味する。
【0003】
リアクタ・ラテックスPTFEにおけるPTFE粒子の一次粒子サイズは、約0.1μm(マイクロメートル)から約0.5μmであることが多い。リアクタ・ラテックスPTFEの抽出物は、通例、約10重量パーセントから約40重量パーセントの固体PTFE粒子を水溶液中に含む。
【0004】
そのようなリアクタ・ラテックスPTFE材料の多くは、過度の時間経過や温度変化に対して不安定であるという特徴を有する。例えば、あるリアクタ・ラテックス生成物のPTFE粒子は、低温で保管されたとしても、10日程の期間で崩壊することがある。更に、周知のリアクタ・ラテックスPTFE生成物のPTFE粒子は、運搬時などに軽い物理的な撹拌,振動を受けた場合に、崩壊,凝固,汚損する傾向がある。崩壊,凝固,汚損したPTFE粒子は、溶媒中で容易に分散しないことから、そのような生成物中のPTFE粒子を利用する上で、その特有の不安定性は欠点になる。
【0005】
したがって、従来は、リアクタ・ラテックスPTFE生成物を用いて、有用なPTFE乾燥粉末生成物や、有用な液体PTFE分散物を生成する場合には、PTFE粒子を「最終生成物」として安定化させるために、リアクタ・ラテックスPTFE生成物に、レオロジ調整剤(増粘剤),界面活性剤,pH調整剤などを加えることが必要である場合が多かった。そのPTFE最終生成物は、低温で維持する必要がある。したがって、リアクタ・ラテックスPTFE出発材料から有用なPTFE最終製品を生成することに関する周知の処理は、コストおよび時間を要する作業であることが多かった。乳化重合によるPTFEの生成を論じる関連文献には、S.Ebnesajjadの「Fluoroplastics Volume 1:Non−Melt Processible Fluoroplastics, The Defenitive User’s Guide and Databook」、Plastics Design Library(2000)があり、この関連文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0006】
上述の関連文献には、水性溶媒や有機溶媒などの種々の溶媒中で安定し容易に分散可能なサブミクロンのPTFE粉末を生成するために、リアクタ・ラテックス状のPTFEを処理して回収することができる方法が必要であることが示されている。
【0007】
電子ビーム放射またはガンマ線放射を用いた照射は、本発明の方法の主要な工程である。前述の処理や特許文献には、有用なPTFE最終製品の生成時における照射の重要性が開示されている。しかしながら、それらの開示は、乾燥した粉末PTFE材料の照射に焦点を当てている。
【0008】
例えば、PTFEの照射に関する初期の開示は、Dillonの米国特許No.3,766,031に含まれており、その明細書には、トレイにPTFEを配置して照射を施す方法が開示されている。その明細書は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0009】
更に、Neuberg et al.の米国特許No.4,748,005および米国特許No.4,777,192は、本発明の譲受人によって所有され、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。その特許文献には、リボンブレンダ内にPTFE材料を配置して、そのブレンダによってPTFE材料を撹拌しつつ、そのブレンダの一部分に電子ビームを照射する工業用集中処理が開示されている。
【0010】
PTFE粒子の照射方法およびPTFE粒子の照射に用いられる装置が開示されている他の特許文献には、Luniewski et al.の米国特許No.5,149,727、5,296,113、および米国特許No.5,968,997があり、それらの明細書は、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0011】
本発明と異なり、酸素(O2)を容易に得ることができる周囲空気の中で、乾燥した粉末PTFE材料に対する照射の場合には、空気中のO2が、乾燥したPTFEと相互作用することによって、PTFEポリマ鎖の末端で末端基(例えば、−COF基)が形成される。その後、その末端基は水と反応して、−COOH基が形成される。
【0012】
従来技術として、対象となる溶媒の中で容易に分散してサブミクロン粒子になるPTFE粉末を生成する他の方法が開示されている。例えば、2003年3月14日に出願され共有譲渡された米国特許出願No.10/389,569に開示された方法によって、サブミクロンのPTFEを生成可能な手法が開示されている。しかしながら、その方法は、溶媒などの中での粉砕工程のような処理工程を含むことが多いため、容易に分散可能なサブミクロンのPTFE粉末をPTFE出発材料から生成するのに要する時間およびコストが増加してしまう。
【0013】
一般に、容易に分散可能なサブミクロンのPTFE粉末は、サブミクロンすなわち小さな粒子サイズのPTFE粉末製品を用いる多くの最終用途が存在することから重要なものである。例えば、PTFE粉末生成物は、PTFEテープ,PTFEチューブ,焼結PTFEシート,焼結PTFEテープの生成に利用可能である。さらに、少量(例えば、約0.1から2重量パーセント)の粉末PTFEは、様々な組成物に配合されて、次の好ましい有用な特性を提供することが可能である。
(i)インクに配合された場合に、損傷および摩擦に対する優れた耐性を提供する特性
(ii)化粧品に配合された場合に、シルクのような肌触りを提供する特性
(iii)日焼け止めに配合された場合に、紫外線の遮蔽すなわちSPF(日焼け防止指数)を増大させる特性
(iv)油脂類に配合された場合に、優れた潤滑作用を提供する特性
(v)コーティング剤および熱可塑性プラスチックに配合された場合に、摩耗耐性,化学耐性,耐候性,耐水性,膜硬度を向上させる特性
【0014】
サブミクロンのPTFE粉末および分散物のためのより具体的な最終用途は、以下に示されるが、これらに限定されるものではない。
(i)無電解ニッケル皮膜にサブミクロンPTFE粒子を均一に分散して配合し、その皮膜の摩擦および摩耗の特性を改善する最終用途(Hadley et al.,Metal Finishing,85:51−53(1987年12月))
(ii)電気コネクタの接続部における表面仕上げ層にサブミクロンPTFE粒子を配合して、その表面仕上げ層に耐摩耗性を提供する最終用途(Abys et al.の米国特許No.6,274,254)
(iii)光導波ファイバの一部である界面層の固体潤滑剤としての膜形成結合剤にサブミクロンPTFE粒子を用いる最終用途(Chienの米国特許No.5,181,268)
(iv)乾燥エンジンオイル添加剤にサブミクロンPTFE粉末を、(粒状のPTFE粉末およびTiO2と共に)用いて、荷重負担面のスリップ性を増大させる最終用途(McCreadyの米国特許No.4,888,122)
(v)金属および合金の表面処理システム用に、自触媒反応を起こすリン酸ニッケルにサブミクロンPTFE粒子を混合して、結果として生じる表面に、潤滑作用,低摩擦,耐摩耗性を提供する最終用途(「Niflor Engineered Composite Coatings」、Hay N.,International,Ltd.(1989))
PTFEの最終用途の別の具体的な例としては、エンジンオイルへのPTFEの添加、油脂増粘剤としてのPTFEの利用、工業潤滑油添加剤としてのPTFEの利用が挙げられる(Willson,Industrial Lubrication and Tribology,44:3−5(1992年3月/4月))。
【0015】
さらに、PTFE粉末は、非湿潤性を改善し、繊維およびその繊維から作られる繊維製品の摩擦係数を下げることから、ある繊維を製造するために用いられるポリマへの添加剤として、分散可能なサブミクロンPTFE粉末を用いることは重要である。その結果、分散可能なサブミクロンPTFE粉末を配合した繊維は、濾過および脱水処理に用いられる織物製品などの工業織物製品に有用である。分散可能なPTFE粉末を配合した上述の繊維は、カーペット,運動着用織物製品,上着用織物製品,熱気球,車や飛行機の座席,傘などの製造に用いられることもある。そのような織物にPTFEを配合することにより、洗浄の容易化,摩擦係数の低減,耐摩耗性の向上など、多くの利点を織物製品に与えることができる。2003年10月1日に出願された国際特許出願No.PCT/US03/31263および国際特許出願No.PCT/US03/31264には、サブミクロンサイズで分散可能なPTFE粉末の合成繊維製造への利用について詳しく論じられている。
【0016】
サブミクロンPTFE粉末およびサブミクロンPTFE分散物を配合する多くの利用や、前述した最終用途のような最終用途について、溶媒に与えられる有利な効果は、PTFE粒子の化学的不活性性や低摩擦性に由来する。さらに、サブミクロンPTFE粒子は、このように粒子サイズが小さいため、大きいPTFE粒子に比べると、重量に対する表面積の比がかなり大きくなる。そのため、サブミクロンPTFE粒子は、(大きいPTFE粒子に比べて)、同じ重量で配合された場合に、所望の溶媒に対して、より良好に有用な効果を提供することができる。その結果、サブミクロンPTFE粉末およびサブミクロンPTFE分散物を生成するための新規の方法は、多くの最終用途,生成物,配合物について非常に有利である。
【0017】
要するに、対象となる溶媒の中でサブミクロンサイズの粒子として容易に分散可能なPTFE粉末を生成するために、リアクタ・ラテックス状のPTFEを処理して回収することができる方法が必要とされている。さらに、リアクタ・ラテックス状のPTFEからサブミクロンPTFE粉末を生成する方法であって、その結果生じるサブミクロンPTFE粉末は、流動性に優れ、所望の溶媒の中で容易に分散し、凝集し難いものであり、高価な化学添加剤や、多大な時間,力学的エネルギも必要とせずに、所望の溶媒の中にサブミクロンのPTFE粉末を分散できる方法が必要とされている。本発明は、これらの課題に対処するために、対象となる溶媒においてサブミクロンサイズの粒子として容易に分散可能な安定したサブミクロンのPTFEを生成する方法を開示している。具体的には、本発明の方法で生成され対象溶媒に分散されたサブミクロンPTFEは、次のような好ましい有利な特性を提供する。
(i)インクに配合された場合には、損傷および摩擦に対する優れた耐性
(ii)化粧品に配合された場合には、シルクのような肌触り
(iii)日焼け止めに配合された場合には、紫外線の遮蔽性の向上
(iv)油脂類に配合された場合には、優れた潤滑作用
(v)コーティング剤および熱可塑性プラスチックに配合された場合には、優れた摩耗耐性,化学耐性,耐候性,耐水性,膜硬度
(vi)繊維に配合された場合には、紫外線安定性および引張強さの向上
【発明の開示】
【0018】
本発明は、概して、リアクタ・ラテックス状のPTFEを加熱して、乾燥粉末状のPTFE粒子を回収し、所望の利用溶媒の中に容易に分散可能なサブミクロンPTFE粉末を得るための方法に関する。さらに、本発明は、本方法に従って生成されたサブミクロンPTFE粉末生成物に関し、そのサブミクロンPTFE粉末は、自由に流れ、凝集しにくく、所望の利用溶媒の中での分散が容易であり、取り扱う際に粉塵となって空気中に舞う傾向がない。
【0019】
本明細書で用いるように、一般的な化学物質の略語「PTFE」は、ポリテトラフルオロエチレンを意味する。ただし、説明の簡略化のために、本明細書では、一般的な用語「PTFE」は、共重合体材料の大部分がポリテトラフルオロエチレンである場合の共重合体を示す際にも用いられる。例えば、本明細書では、「PTFE」という用語は、以下の重合体と共重合されたポリテトラフルオロエチレン、すなわち、次の重合体を更に含むポリテトラフルオロエチレンを示すためも用いられる。
・フッ化エチレンプロピレン共重合体(「FEP」)
・テトラフルオロエチレンおよびパ―フルオロビニルエーテルの共重合体であるペルフルオロアルコキシ樹脂(「PFA」)
・エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(「ETFE」)
・ポリクロロトリフルオロエチレン(「PCTFE」)
・エチレンおよびクロロトリフルオロエチレンの共重合体である「ECTFE」
・ポリフッ化ビニリデン(「PVDF」)
・ポリフッ化ビニル(「PVF」)
本明細書で、上述の重合体の一つと共重合されたポリテトラフルオロエチレンを示すために「PTFE」という用語が用いられた場合には、共重合体に含まれる実際のポリテトラフルオロエチレンは、約70重量パーセント以上であることが意図されている。
【0020】
また、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE),エチレンと共重合されたPCTFE(ECTFE),フッ化ビニリデン(VDF)と共重合されたPCTFEを、PTFEまたは上述のPTFE共重合体の代わりに用いることも意図されており、この変形は本発明の範囲内である。
【0021】
さらに、本明細書で用いられている専門用語に関して、「乾燥サブミクロンPTFE粉末」という表現は、本発明の方法で生成されるPTFE粉末の最終生成物を示し、乾燥サブミクロンPTFE粉末が、選択された利用溶媒に配合される際に、PTFE粒子は、サブミクロンサイズに分散可能である。
【0022】
本発明の方法で始めに用意されるPTFE出発材料は、リアクタ・ラテックスPTFEであり、通例、約10%から約40%の固体PTFEを含む水溶液である。通例、PTFEリアクタ・ラテックス出発材料の中のPTFE粒子は、1.0μm未満の一次粒子サイズであり、更に具体的には、約0.1μmから約0.5μmの一次粒子サイズである。その粒子サイズは、与えられた材料サンプルにおける粒子サイズの分布の平均から決定される。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、PTFEリアクタ・ラテックス出発材料は、エマルジョン重合処理の反応生成物である。出発材料を生成するためのエマルジョン重合反応の条件は様々であってよく、重合の条件に対する一部の変更例では、上述したよりも更に小さな一次粒子サイズ(例えば、0.05μm)であるPTFEリアクタ・ラテックス材料が生成されても良いことに注意されたい。これらのことから、本発明の方法によれば、ほぼ全ての粒子サイズが1.0μm未満になるように分散可能なPTFE粉末を生成することができる。
【0024】
本方法の好ましい実施形態では、リアクタ・ラテックスPTFE出発材料は、電子ビーム放射により、約5ないし約120メガラド、好ましくは、約15ないし約120メガラド、最も好ましくは、約25ないし約120メガラドの照射量で照射される。本発明の好ましい別の実施形態では、PTFEリアクタ・ラテックス材料は、ガンマ線放射を用いて照射される。
【0025】
特に好ましい実施形態では、リアクタ・ラテックスPTFE材料への照射は、リアクタ・ラテックス材料を生成するためのエマルジョン重合反応の後に実施される。しかしながら、別の実施形態において、エマルジョン重合反応の合間に照射が実施され、結果として生じるリアクタ・ラテックス材料が、反応の終了時に既に照射されているようにしても良いことが意図されている。
【0026】
リアクタ・ラテックスPTFEは、水溶液に懸濁されたPTFE粒子を含むため、そのPTFE粒子への照射は、背景技術の節で詳述した乾燥PTFE粒子への照射とは異なる。具体的には、照射は、大気中ほどは酸素と容易に反応できない水中環境で実施されるため、一部の末端基(例えば、−COF基などであり、通例は、水と反応して−COOH基を形成する)の形成が防止される。
【0027】
照射工程に続いて、本発明の一部の実施形態は、照射されたPTFEリアクタ・ラテックス材料を分散物の一つとして直接利用する。具体的には、エマルジョン反応物質が、重合後に照射された場合、または、エマルジョン反応物質が、重合中に照射された場合、照射されたPTFEリアクタ・ラテックス材料は、25%の分散物として用いられても良い(図1)。
【0028】
別の実施形態では、被照射PTFEリアクタ・ラテックス材料は、凝集しない分散物を生成するために、PTFEの濃度が固体として50から70重量パーセントに増加するように濃縮されてもよい。一部の実施形態では、次に、照射および濃縮されたPTFEリアクタ・ラテックス材料は、60−70%に濃縮された分散物として用いられてもよい。更なる実施形態では、このPTFEの濃縮工程は、サブミクロンPTFEとして容易に分散する乾燥サブミクロンPTFE粉末を回収する前の中間工程として用いられてもよい。
【0029】
ただし、特に好ましい実施形態では、固体のPTFEを濃縮水溶液から回収する工程が、照射および濃縮されたPTFEリアクタ・ラテックス材料に対して実施される。乾燥サブミクロンPTFE粉末の回収は、濾過・乾燥,水の蒸発の他、濾過・乾燥後の遠心分離など、任意の周知の処理で実施することができる
【0030】
本発明の乾燥サブミクロンPTFE粉末は、所望の利用溶媒に分散された際に、サブミクロンサイズの粒子として容易に分散可能である。乾燥サブミクロンPTFE粉末が、十分に分散可能か否か判定する方法は、所望の利用溶媒に粉末が分散された際のPTFE粒子の粒子サイズ分析を含む。例えば、イソプロピルアルコール(IPA)の中で、PTFE粒子の約100%が1.00μm未満になるように分散可能な良質なPTFE粉末が必要な場合には、本発明の方法を用いて乾燥サブミクロンPTFE粉末を生成し、その粉末サンプルをIPAのサンプルに分散させ、分散されたサンプルの粒子サイズ分析を実施する。その粒子サイズ分析は、後に詳述する標準的なMalvern粒子サイズ分析器を用いて行われても良い。
【0031】
PTFEリアクタ・ラテックス材料は、照射,濃縮,乾燥を経て、乾燥サブミクロンPTFE粉末として回収されると、所望の利用溶媒の中に分散される。通例、分散されたPTFE粒子のほぼ全てが、1.00μm未満の粒子サイズであることが観察される。したがって、予想以上に、本発明の方法に従って生成された乾燥サブミクロンPTFE粉末は、多くの所望の利用溶媒の中に容易に分散可能であり、選択された利用溶媒の中の粉末の塊に対して必要となる混合や撹拌は低いレベルで済む。乾燥サブミクロンPTFE粉末を、例えば、溶媒,樹脂,被膜の他、所望の利用溶媒に分散させる場合には、PTFE粉末は、サブミクロンサイズのPTFE粒子として分散する。
【0032】
本発明の方法は、サブミクロンPTFE粉末およびサブミクロンPTFE分散物を生成する周知の方法を超える利点を有する。例えば、本方法は、界面活性剤、レオロジ剤すなわち調整剤、pH調整剤の添加を必要としない。しかしながら、上述の物質(およびその他の物質)は、必要に応じて、ユーザが選択した特定の利用溶媒に添加されてもよい。
【0033】
さらに、本方法で生成されるサブミクロンPTFE粉末は、流動性に劣り所望の利用溶媒の中に分散しない凝集物を形成し難い。また、本発明の方法で生成され所望の利用溶媒の中に分散されたサブミクロンPTFEは、次のような好ましい有利な特性を提供する。
(i)インクに配合された場合には、損傷および摩擦に対する優れた耐性
(ii)化粧品に配合された場合には、シルクのような肌触り
(iii)日焼け止めに配合された場合には、紫外線の遮蔽性の向上
(iv)油脂類に配合された場合には、優れた潤滑作用
(v)コーティング剤および熱可塑性プラスチックに配合された場合には、優れた摩耗耐性,化学耐性,耐候性,耐水性,膜硬度
(vi)繊維に配合された場合には、紫外線安定性および引張強さの向上
理論に縛られたくはないが、PTFEリアクタ・ラテックス材料の照射工程は、PTFE粒子がより容易に分散しつつ、粘性およびフィブリル化などの典型的な傾向を示さないように、一次PTFE粒子の粘稠度を変化させると考えられる。
【0034】
本発明については、本明細書に開示された具体的な実施形態に関連して、以下で詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明は、PTFE原料の表面の酸化を抑える環境でPTFE原料を処理して、所望の利用溶媒の中で容易に分散可能な乾燥サブミクロンのPTFE粉末を生成する方法を開示する。その環境は、例えば、水中の環境であってもよい。本発明の一つの方法では、リアクタ・ラテックス状のPTFEを、原料として用いて処理を施す。次に、処理された原料は、サブミクロンサイズのPTFE粒子が所望の利用溶媒の中で容易に分散するような乾燥粉末状のPTFE粒子として回収される。さらに、本発明は、本方法に従って形成された乾燥サブミクロンPTFE粉末に関し、その乾燥サブミクロンPTFE粉末は、自由に流れ、取り扱う際に粉塵として空気中に舞うことが少なく、所望の利用溶媒または媒体の中に配合された際に凝集しにくい。
【0036】
前述のように、本方法で用いるために始めに用意されるPTFEの出発材料は、リアクタ・ラテックスPTFEであり、通例、約10%から約40%の固体PTFEを含む水溶液である。このPTFEのリアクタ・ラテックス出発材料は、エマルジョン重合反応によって生成されても良い。
【0037】
本発明で利用可能なPTFE出発材料の例は、市販の生成物を含む。極度の不安定性のため、ほとんどの市販のリアクタ・ラテックスPTFEは、レオロジ調整剤,界面活性剤,湿潤剤,pH調整剤などを含んでいることに注意されたい。本発明の代表的な実施形態では、リアクタ・ラテックスPTFEは、レオロジ調整剤,界面活性剤,湿潤剤,pH調整剤などを加える前に照射され、これらの添加剤を必要とせずに安定した乾燥サブミクロンPTFE粉末が生成される。しかしながら、本発明の更なる実施形態では、安定化されたリアクタ・ラテックス、すなわち、添加剤を含有するリアクタ・ラテックスに照射を行って、乾燥サブミクロンPTFE粉末を生成しても良い。
【0038】
本発明での利用に適切な市販のPTFEリアクタ・ラテックス出発材料の別の例は、S.Ebnesajjadの「Fluoroplastics Volume 1:Non−Melt Processible Fluoroplastics, The Defenitive User’s Guide and Databook」、Plastics Design Library(2000)に開示されており、これは、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0039】
上述したように、「PTFE」という用語は、本明細書では、ポリテトラフルオロエチレンと様々な共重合体とを意味し、共重合体材料の大部分はポリテトラフルオロエチレンであり、より具体的には、含有共重合体の約70重量%以上がポリテトラフルオロエチレンである。
【0040】
本発明の好ましい一実施形態では、PTFEリアクタ・ラテックス材料は、電子ビーム放射を用いて照射される。本発明の好ましい別の実施形態では、PTFEリアクタ・ラテックス材料は、ガンマ線放射を用いて照射される。
【0041】
本発明の方法では、結果として生じる乾燥サブミクロンPTFE粉末は、粘稠度が低いことが好ましく、粒子によって形成される弱い塊の全てを取り除くために、例えば、プラスチック容器内で最小限に揺するだけで足りることが好ましい。あるいは、結果として生じる乾燥サブミクロンPTFE粉末の抽出物は、回収工程によって形成される弱い塊の全てを取り除くために、一般の粉末材料用の装置で処理しても良い。例えば、乾燥サブミクロンPTFE粉末の抽出物は、収集プロセスによって形成される弱い塊の全てを取り除くために、エアミルで一通り処理しても良い。上述の方法に従って生成された生成物は、その後、容易に分散可能なサブミクロンPTFE粉末となることが好ましい。
【0042】
本発明の方法に従って形成された乾燥サブミクロンPTFE粉末は、流動性に優れ、凝集し難いといった所望の特性を有する。したがって、結果として生じる乾燥サブミクロンPTFE粉末は、選択された利用溶媒すなわち対象となる媒体の中で分散する能力が向上する。選択された利用溶媒の中で分散する能力が向上すると、本方法に従って生成された乾燥サブミクロンのPTFE粉末は、所望の特性をその溶媒に提供することが可能になる。
【0043】
本発明の更なる実施形態では、界面活性剤,湿潤剤,懸濁剤は、乾燥サブミクロンPTFE粉末と共に用いられることによって、選択された利用溶媒すなわち対象となる媒体の中で凝集する傾向を長期間に渡って低減することができる。
【0044】
本発明の方法は、重要な工程として、サブミクロンサイズであることを確認するために、乾燥サブミクロンPTFE粉末の粒子のサイズを分析する。具体的には、「サブミクロン」および「サブミクロンサイズ」という用語は、本明細書では、本方法で形成されたPTFE粉末のサンプルの粒子サイズの分析結果を示す。その分析において、粒子サイズ試験溶媒の中のPTFE粒子数のうち85%以上が1.00μm未満のサイズであり、粒子サイズ試験溶媒の中のPTFE粒子数のうち90%以上が1.00μm未満のサイズであることがより好ましく、粒子サイズ試験溶媒の中のPTFE粒子数のうち95%以上が1.00μm未満のサイズであることが最も好ましい。
【0045】
本発明の一部の好ましい実施形態では、結果として生じるサブミクロンPTFE粉末の粒子サイズの分析は、Malvern Mastersizer 2000 Particle Size Analyzerを用いて実施される。それは、レーザ散乱粒子サイズ分布分析器であり、英国マルヴァーンのMalvern Instruments Ltd.から入手可能である。PTFE粒子の粒子サイズ分析については、分析すべきサブミクロンPTFE粉末のサンプルが、乾燥した状態であるか、特定の液体分散剤に分散されているかに応じて、種々の異なる手順が用いられる。
【0046】
本方法に従って生成された乾燥サブミクロン粉末のサンプルが分析される際に、標準的な操作手順が設定されても良い。例えば、一部の好ましい実施形態では、乾燥サブミクロンPTFE粉末の粒子サイズを分析するために、Malvern Mastersizerに設定された乾燥粉末PTFEのQSOP(「品質標準操作手順」)が選択されても良い。このQSOPについての概要は、次の表1に示される。
【0047】
【表1】
【0048】
具体的には、Mastersizerは、乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルが検査される際に、Scirocco 2000乾式アクセサリを用いる。好ましい実施形態では、Scirocco 2000の蓋が開けられ、約2グラムの乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルが、サンプルトレイに置かれ、蓋が閉められる。次いで、Mastersizer 2000のソフトウェアプログラムが、適切なアイコンを選択することによって起動し、所望のSOP(ここでは、乾燥サブミクロンPTFE粉末のためのQSOP)が選択され、サンプル情報が入力される。次いで、開始を押すことにより、粒子サイズの分析が開始される。
【0049】
好ましい実施形態では、粒子サイズの測定値の微小偏差を平均化するために、乾燥サブミクロンPTFE粉末の粒子サイズ分析は、約1分の総記録時間あたり約5回繰り返される。
【0050】
本発明に従って生成された乾燥サブミクロンPTFE粉末が、特定の液体利用溶媒すなわち分散剤の中に分散される場合には、PTFE粒子の粒子サイズを測定するために、乾燥サブミクロンPTFE粉末の分散剤として選択された液体に応じて異なる手順が用いられる。Malvern Mastersizer 2000は、ここでも、PTFE粉末の液体分散物の粒子サイズ分析のために用いられるが、Scirocco 2000乾式アクセサリではなく、Hydro 2000Sが用いられる。さらに、Malvern Mastersizerによる粒子サイズ分析の全ての工程期間中に、サブミクロンPTFE粉末が液体の利用溶媒の中に分散されたサンプルに対して、キャリア溶液が必要となる。
【0051】
「分散剤」(すなわち、粒子サイズ分析のためにサブミクロンPTFE粉末が分散される液体の媒体)として、IPAが選択される実施形態では、約2グラムの乾燥サブミクロンPTFE粉末は、20mL容量のプラスチック製キュベット内に収容されても良く、そのキュベットは、20mLのマークまでIPAで満たされても良い。このように、IPAは、キャリア溶液として機能する。また、約0.2グラムのSurfynol TG−E界面活性剤(STGE)が、IPAキャリア溶液に加えられてもよい。STGEは、Air Products and Chemical, Inc.が製造する非イオン界面活性剤であり、選択されたキャリア溶液にサブミクロンPTFEの分散物が導入された際に、分散を早め維持する助けとなる。次に、キュベットは、固く蓋をされ、乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルをIPAの中に分散させるために、約30秒間振られる。次に、キュベットが開けられ、サンプルは、約1分間超音波撹拌される。別の実施形態では、約2重量パーセントの乾燥サブミクロンPTFE粉末が、与えられた量のIPAに追加され、粉末は、約3−5分間、ブレンダすなわち高速分散器によって、IPAと混合される。次いで、Mastersizer 2000のソフトウェアプログラムが、適切なアイコンを選択することによって起動しても良い。所望のSOP(ここでは、IPA内に分散されたサブミクロンPTFE粉末のためのSOP)が設定され、サンプル情報が入力される。IPA内に分散させたサブミクロンPTFE粉末粒子の粒子サイズを測定する際に用いられるMalvern MastersizerのためのSOPについての概要は、次の表2に示される。
【0052】
【表2】
【0053】
次に、Malvern Mastersizerシステムは、システムの分散剤としてIPAが用いられているためIPAで洗浄される。IPAおよびPTFEの両方に対して適切な屈折率の値(表2に示された値)が、Mastersizerで設定され、バックグラウンド値が測定される。次に、PTFE粒子の粒子サイズを正確に測定するために、必要な量のサンプルが加えられたことを示すメッセージが現れるまで、IPA内に分散された乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルがMastersizerに加えられる。
【0054】
次いで、超音波撹拌器が50%の出力で作動され、「開始」ボタンが押される。粒子サイズ測定値は、取得される粒子サイズ測定値における微小偏差を平均化するために、約5回(例えば、5分間に1分毎に1回)取得されても良い。
【0055】
本方法に従って生成されIPAの中に分散された乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルに対して粒子サイズ分析を行った代表的な研究では、約95%以上のPTFE粒子が1ミクロン未満の粒子サイズであることが示された。
【0056】
さらに、Malvern Mastersizerの粒子サイズ分析器は、本方法に従って生成された乾燥サブミクロンPTFE粉末が鉱物油の中に分散された実施形態において、サブミクロンPTFE粒子の粒子サイズを判定するために用いられてもよい。この実施形態のためのキャリア溶液を準備するために、約15mLのLonzest SMO界面活性剤が、1ガロンの鉱物油(Magiesol Oil #47など)と混合されてもよい。次に、約1グラムの乾燥サブミクロンPTFE粉末が、プラスチック製キュベットに入れられ、約20mLの鉱物油キャリア溶液が、キュベットに加えられても良い。次いで、その混合物は、約30秒間振られる。次に、サンプルは、1分間、超音波撹拌される。別の実施形態では、試験対象の分散されたサブミクロンPTFE粉末のサンプルは、本方法に従って生成された約2重量パーセントの乾燥サブミクロンPTFE粉末を、約3−5分間、ブレンダすなわち高速分散器を用いて鉱物油の中に混合することによって準備される。約5−10滴のIPAおよび5−10滴の水が、システムに加えられても良い。
【0057】
次に、鉱物油の中に分散させた乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルの粒子サイズ分析のために、Malvern MastersizerにおいてSOPが設定される。このSOPについては、次の表3に示される。
【0058】
【表3】
【0059】
次に、Malvern Mastersizerシステムは、最初にIPAで洗浄され、次に、上述の鉱物油キャリア溶液で洗浄される。次いで、バックグラウンド値が測定される。次に、PTFE粒子の粒子サイズを測定するために、十分なサンプルが加えられたことを示すメッセージが現れるまで、鉱物油溶液の中に分散させた乾燥サブミクロンPTFE粉末を含むサンプルがMastersizerに加えられる。次いで、超音波撹拌器が50%の出力で作動され、「開始」ボタンが押される。粒子サイズ測定値は、得られた粒子サイズ測定値における微小偏差を平均化するために、約5回(例えば、1分あたり約5−7回)繰り返されても良い。
【0060】
本方法に従って生成され鉱物油の中に分散させた乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルに対する代表的な粒子サイズ分析の結果によると、約95%以上のPTFE粒子が1ミクロン未満の粒子サイズであることが示される。
【0061】
同様に、Malvern Mastersizerは、乾燥サブミクロンPTFE粉末が水の中に分散された実施形態において、乾燥サブミクロンPTFE粒子の粒子サイズを判定するために用いられてもよい。具体的には、約1グラムの乾燥サブミクロンPTFE粉末が、20mL容量のプラスチック製キュベットに入れられ、そこに、10mLのIPAが加えられても良い。次いで、そのキュベットは蓋をされ、約15秒間十分に振られる。次に、10mLの水がキュベットに加えられ、それら内容物は、約15秒間振られる。続いて、約0.2グラム(またはピペットで10滴)のSTGE界面活性剤が、キュベットに加えられる。キュベットは再び蓋をされ、約15秒間振られる。次に、キュベットが開けられ、サンプルは、1分間、超音波撹拌される。別の実施形態では、本方法に従って生成された約2重量パーセントの乾燥サブミクロンPTFE粉末が、与えられた量の水の中に分散され、約2重量パーセントのSTGE界面活性剤が加えられる。その実施形態では、分散物は、約3−5分間、ブレンダすなわち高速分散器を用いて混合される。次に、約98%の水と約2%のSTGE界面活性剤との溶液が準備され、キャリア溶液として機能する。
【0062】
本方法に従って生成され水の中に分散された乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルの粒子サイズ分析に用いられるSOPについての概要は、表4に示される。
【0063】
【表4】
【0064】
次に、Mastersizerシステムは、IPAで洗浄され、水で2回洗い流される。次いで、0.3グラムのSTGE界面活性剤が、Mastersizerシステムに加えられる。次いで、バックグラウンド値が測定される。次に、粒子サイズを判定するために、十分なサンプルが加えられたことを示すメッセージが現れるまで、水の中に分散させた乾燥サブミクロンPTFE粉末を含むサンプルがMastersizerに加えられる。次いで、超音波撹拌器が50%の出力で作動され、「開始」ボタンが押される。乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルの粒子サイズ測定値は、得られた粒子サイズ測定値における微小偏差を平均化するために、通例は、約5回(例えば、1分あたり約5−7回)取得されても良い。
【0065】
本方法に従って生成され水の中に分散させた乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルに対する代表的な粒子サイズ分析によると、PTFE粒子の約95%以上が1ミクロン未満のサイズである粒子サイズ分布が示される。
【0066】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、決して本発明を限定するものではない。
【0067】
実施例:
実施例1:未照射PTFEリアクタ・ラテックスのサンプルと、本発明による被照射PTFEリアクタ・ラテックスのサンプルの最初の比較
この実施例では、リアクタ・ラテックスPTFEの3つのサンプルに対して、粒子サイズ分析が実施された。サンプル1.1は、製造業者から入手したリアクタ・ラテックスPTFE出発材料の未照射サンプルである。サンプル1.2は、28メガラドの照射量で照射されたリアクタ・ラテックスPTFEのサンプルである。サンプル1.3は、28メガラドの照射量で照射されたリアクタ・ラテックスPTFEのサンプルであり、この分析サンプルについては、少量の凝固が観察された。
【0068】
これら3つのサンプルの粒子サイズ分析は、上述のMalvern Mastersizer 2000を用いて行われた。具体的には、3つのサンプルの各々が、IPAと少量の界面活性剤から成るMalvern内の循環流体に液滴として加えられた。図2は、サンプル1.1、すなわち、リアクタ・ラテックスPTFEの未照射サンプルの粒子サイズ分布を示すグラフである。図2には、平均粒子サイズの値が0.201であり、PTFE粒子の100%が1.00μmの大きさであることが示されている。
【0069】
図3は、サンプル1.2の粒子サイズ分布を示すグラフであり、リアクタ・ラテックスPTFEは、28メガラドで照射されている。サンプルは、照射後に一部が塊となったため、ブフナ漏斗を通して濾過した後、その固体を集めて50℃で乾燥させて、非常に細かい粉末を得た。平均粒子サイズの値が0.200μmであり、PTFE粒子の100.00%が1.00μm未満のサイズであった。次いで、その粉末は、IPAの中に再び分散され、可変速分散器を用いて1分間超音波撹拌され、PTFEは、サブミクロンの粒子として容易に再び分散した。
【0070】
図4は、サンプル1.3の粒子サイズ分布を示すグラフであり、リアクタ・ラテックスPTFEは、28メガラドで照射されている。このグラフは、平均粒子サイズの値が3.272μmであり、PTFE粒子の88.00%が1.00μm未満のサイズであったことを示す。図4は、約10μmと約100μmの間に小さなピークを示しており、それは、少量の粒子の凝固が生じたことを意味する。サンプル1.3については、粒子の凝固を除去するためのフィルタリングを行わずに、固体が収集され、50℃で乾燥された。次いで、サンプル1.3から収集された粉末は、IPAの中に再び分散され、可変速分散器を用いて1分間超音波撹拌され、PTFEは、サブミクロンの粒子として容易に再び分散した。
【0071】
したがって、実施例1の結果によれば、未照射リアクタ・ラテックスPTFEは、本質的に小さい粒子サイズを有しているが、そのサンプルは非常に不安定であることが示される。逆に、被照射リアクタ・ラテックスPTFEは、安定したままであり、平均粒子サイズ分布を増大させる少量の塊を引き起こしうる。しかしながら、被照射リアクタ・ラテックスPTFEの塊は、容易にサブミクロンサイズに再分散して、全体的に小さな粒子サイズ分布を有するサンプルが生成される。
【0072】
実施例2:種々の照射量によるリアクタ・ラテックスPTFEの照射(質的結果)
この実施例では、リアクタ・ラテックスPTFE出発材料の6つのサンプルが、0メガラド(対照サンプル)から55メガラドの範囲の照射量で照射された。照射量は、次の表5に示される。各サンプルの照射に続いて、約50グラムの各リアクタ・ラテックスPTFEサンプルが、別個のガラスビーカに入れられた。次に、各サンプルは、オーブンに入れられ、約55℃の温度で乾燥された。各サンプルの重さは、ほぼ1時間ごとに観察され、サンプルの重さが安定すると、すなわち、サンプルが乾燥すると、そのサンプルを冷ました。
【0073】
乾燥粉末の各々は、次に、ユーザの指で各粉末の少量のサンプルを挟んで質的に観察され、それにより、各サンプルの粘性のレベルが判定された。以下は、その観察結果である。
【0074】
【表5】
【0075】
このように、表5の結果には、約20メガラド以上の照射量でのリアクタ・ラテックスPTFEの照射が、粘性のないPTFE粉末を実現することが示されている。その低レベルの粘性は、その粉末が、凝集しにくく、対象となる利用溶媒の中で容易に分散することを示す。
【0076】
実施例3:種々の照射量によるリアクタ・ラテックスPTFEの照射(量的結果)
上述の実施例2で報告された質的分析に続いて、実施例2で論じられたサンプルの内の2つに対して粒子サイズ分析を行った。具体的には、粒子サイズ分析のために選択されたサンプルは、20メガラドで照射されたサンプル2.4と、55メガラドで照射されたサンプル2.6である。
【0077】
各サンプルは、「Touch−top」コーヒーミル(KRUPSから入手可能、商品番号208o−70、白、120ボルト)を用いて粉砕された。粉砕後、2つの粉砕されたサンプルの各々は、正確に1.0グラムずつ、別個の20mLプラスチック瓶に入れられ、そこに10mLのIPAおよび10mLの水が加えられた。各サンプルは、蓋をされて、約30秒間、手で振られた。次に、約10滴のSTGE界面活性剤が加えられた。STGE界面活性剤を加えた後、各サンプルは、粒子サイズを測定する前に、3分間超音波撹拌された。
【0078】
粒子サイズ分析は、上述したようにMalvern Mastersizer 2000を用いて行われ、サンプルは、PTFEの粒子サイズの測定中に超音波撹拌され、それにより、粒子サイズを変化させ、粒子がサブミクロンサイズに到達するのに必要な時間を左右する弱い塊や沈殿が防止された。
【0079】
20メガラドで照射されたサンプル2.4について、PTFE粒子の粒子サイズは、粒子サイズ測定中の20分間の超音波撹拌の後にサブミクロンサイズに達した。具体的には、20分間の超音波撹拌後に粒子サイズ測定されたPTFE粒子の平均粒子サイズの値は0.370μmであり、PTFE粒子の98.90%が1.00μm未満のサイズであった。20分間の超音波撹拌後に粒子サイズ分析されたサンプル2.4の粒子サイズ分布のグラフが図5に示されている。さらに、図5Aには、超音波撹拌および粒子サイズ測定が行われた20分間にわたる粒子サイズ分布の曲線を重ねて示すグラフが示されている。図5Aから、ユーザは、20分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布が変化した様子を見ることができる。
【0080】
55メガラドで照射されたサンプル2.6について、PTFE粒子の粒子サイズは、粒子サイズ測定中の3分間だけの超音波撹拌後にサブミクロンサイズに達した。具体的には、3分間の超音波撹拌後に粒子サイズ測定されたPTFE粒子の平均粒子サイズの値は0.483μmであり、PTFE粒子の92.70%が1.00μm未満のサイズであった。3分間の超音波撹拌後に粒子サイズ分析されたサンプル2.6の粒子サイズ分布のグラフが図6に示されている。さらに、図6Aには、超音波撹拌および粒子サイズ測定が行われた3分間にわたる粒子サイズ分布の曲線を重ねて示すグラフが示されている。図6Aから、ユーザは、3分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布が変化した様子を見ることができる。
【0081】
この例の結果によると、リアクタ・ラテックスPTFEのサンプルに照射することにより生成された乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する水への分散性は、照射量に伴って増大することが示されている。具体的には、PTFE粒子の分散性の増大は、サンプル2.4(20メガラドで照射)がサブミクロンサイズに到達するまでに必要な20分間の超音波撹拌時間に比べて、サンプル2.6(55メガラドで照射)がサブミクロンサイズに到達するまでに必要な超音波撹拌時間(3分間)が、かなり低減されていることから容易に観察される。
【0082】
実施例4:サブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ測定値の比較(種々の照射量で照射されたリアクタ・ラテックス)
この実施例では、まず、リアクタ・ラテックスPTFE出発材料の12の異なるサンプルが準備された。12のサンプルは、次の表6に示すように、2つのpHレベルの一方に維持され、種々の照射量で電子ビーム照射を受けた。
【0083】
【表6】
【0084】
サンプル4.1から4.12の各々は、示された電子ビーム照射量で照射された後、50℃で乾燥され、乾燥サブミクロンPTFE粉末が収集された。次に、各サンプルを液体の中に分散して粒子サイズ測定値を取得することにより、各粉末の分散性が判定された。
【0085】
粒子サイズ分析の際には、分散剤として水が用いられ、およそ1分ごとに粒子サイズ測定値が取得された。サンプルは、粒子サイズ分析の全体を通して超音波撹拌され、試験されるサンプル内のPTFE粒子の100%がサブミクロンサイズに達するまで、1分ごとに測定値が取得された。したがって、各サンプルの100%が1.00μmのPTFE粒子サイズに達するための時間が判断された。得られた結果は、次の表7に記録されている。
【0086】
【表7】
【0087】
各サンプルのPTFE粒子の100%がサブミクロンのサイズに達した後の各サンプルに関する粒子サイズ分布のグラフが示されている。具体的には、図7は、サンプル4.1に関する24分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図8は、サンプル4.2に関する27分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図9は、サンプル4.3に関する20分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図10は、サンプル4.4に関する7分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図11は、サンプル4.5に関する7分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図12は、サンプル4.6に関する18分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図13は、サンプル4.7に関する14分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図14は、サンプル4.8に関する11分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図15は、サンプル4.9に関する10分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図16は、サンプル4.10に関する10分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図17は、サンプル4.11に関する1分未満の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図18は、サンプル4.12に関する15分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示す。
【0088】
表7に示す結果によると、照射のレベルが高くなるほど、各サンプルのPTFE粒子の100%が水に分散してサブミクロンのサイズになるのに必要な超音波撹拌の時間が低減することが分かる。表7の結果は、図19のグラフを作成するために用いられている。具体的には、図19は、(粒子サイズ分析が行われている間に)PTFE粉末サンプル(サンプル4.1ないし4.12)におけるPTFE粒子の100%がサブミクロンサイズに達するのに必要な照射時間(分)と、サンプルが受けた電子ビームの照射量(メガラド)とをプロットしたものである。グラフ上の丸点は、pH調整が施されていないサンプル4.1,4.3,4.5,4.7,4.9,4.11を表す。グラフ上に「X」で示された点は、約7−8の間でpH調整されたサンプル4.2,4.4,4.6,4.8,4.10,4.12を表す。図19のグラフから最良適合直線およびx切片を求めることによって、約65メガラドの照射量では、乾燥サブミクロンPTFEを水に分散させてPTFE粒子の100.00%を1.00μm未満のサイズにするのに超音波撹拌が必要なくなると判断できる。
【0089】
上述の12のサンプルの内の4つについては、サンプルの100%がサブミクロンの粒子サイズに達するのに必要な照射時間の間に、さらに詳細な粒子サイズ分析が行われた。具体的には、これら4つの選択されたサンプルについて、サンプルが連続的に超音波撹拌されている間に、粒子サイズ測定値が取得およびプロットされ、各PTFE粉末サンプル内のPTFE粒子がサブミクロンサイズに分散するのに必要な超音波撹拌の時間が決定された。
【0090】
まず、サンプル4.1(PTFEリアクタ・ラテックス出発材料が5メガラドで照射されたPTFE粉末のサンプル)の結果が取得された。超音波撹拌と粒子サイズ測定が32分間継続されて得られたデータは、次の表8に記録されている。
【0091】
【表8】
【0092】
24分間の超音波撹拌後に得られた粒子サイズ分布のグラフを示す図20Qは、サンプル4.1のPTFE粒子の100%が1.00μm未満のサイズとなる点を表していることに注意されたい。このように、その24分間の分布曲線すべてを示す粒子サイズ分布のグラフが得られ、図21に示されている。図21に重ね合わせて示した結果から、ユーザは、サンプル4.1に対する24分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布が変化した様子を見ることができる。
【0093】
表8に記録された結果から、サンプル4.1の粒子サイズの平均値が時間に対してプロットされ、図22に示されている。平均粒子サイズの値が、約19分後にサブミクロンになっていることから、約19分以上の時間が経過すると、サンプル内のPTFE粒子は、良好にサブミクロンサイズに分散することが示されている。同様に、1.00μm未満のサイズのPTFE粒子の割合が、時間と共に増大する様子を示すプロットがなされた。そのプロットは、図23に示されており、約19分間の超音波撹拌および粒子サイズ分析の後に、ほぼ100%のPTFE粒子が、1.00μm未満のサイズになり、サブミクロンサイズに分散されることが明らかになっている。
【0094】
また、サンプル4.5(PTFEリアクタ・ラテックス出発材料が25メガラドで照射されたPTFE粉末のサンプル)の詳細な粒子サイズのデータが取得された。超音波撹拌と粒子サイズ測定が22分間継続されて得られたデータは、次の表9に記録されている。
【0095】
【表9】
【0096】
7分間の超音波撹拌後に得られた粒子サイズ分布のグラフを示す図24Fは、サンプル4.5のPTFE粒子の100%が1.00μm未満のサイズとなる点を表していることに注意されたい。このように、その7分間の分布曲線すべてを示す粒子サイズ分布のグラフが得られ、図25に示されている。図25に重ね合わせて示した結果から、ユーザは、サンプル4.5に対する7分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間にPTFE粒子の粒子サイズ分布が変化した様子を見ることができる。
【0097】
表9に記録された結果から、サンプル4.5の粒子サイズの平均値が時間に対してプロットされ、図26に示されている。平均粒子サイズの値が、約7分後にサブミクロンになっていることから、約7分以上の時間が経過すると、サンプル内のPTFE粒子は、良好にサブミクロンサイズに分散することが示されている。同様に、1.00μm未満のサイズのPTFE粒子の割合が、時間と共に増大する様子を示すプロットがなされた。そのプロットは、図27に示されており、約7分間の超音波撹拌および粒子サイズ分析の後に、ほぼ100%のPTFE粒子が、1.00μm未満のサイズになり、サブミクロンサイズに分散されることが明らかになっている。
【0098】
さらに、サンプル4.6(PTFEリアクタ・ラテックス出発材料が25メガラドで照射され約7−8の中性pHを有するようpH調整されたPTFE粉末のサンプル)の詳細な粒子サイズのデータが取得された。超音波撹拌と粒子サイズ測定が24分間継続されて得られたデータは、次の表10に記録されている。
【0099】
【表10】
【0100】
18分間の超音波撹拌後に得られた粒子サイズ分布のグラフを示す図28Jは、サンプル4.6のPTFE粒子の100%が1.00μm未満のサイズとなる点を表していることに注意されたい。このように、その18分間の分布曲線すべてを示す粒子サイズ分布のグラフが得られ、図29に示されている。図29に重ね合わせて示した結果から、ユーザは、サンプル4.6に対する18分間の超音波撹拌および粒子サイズ分析の間に粒子サイズ分布が変化した様子を見ることができる。
【0101】
表10に記録された結果から、サンプル4.6の粒子サイズの平均値が時間に対してプロットされ、図30に示されている。平均粒子サイズの値が、約18分後にサブミクロンになっていることから、約18分以上の時間が経過すると、サンプル内のPTFE粒子は、良好にサブミクロンサイズに分散することが示されている。同様に、1.00μm未満のサイズのPTFE粒子の割合が、時間と共に増大する様子を示すプロットがなされた。そのプロットは、図31に示されており、約18分間の超音波撹拌および粒子サイズ分析の後に、ほぼ100%のPTFE粒子が、1.00μm未満のサイズになり、サブミクロンサイズに分散されることが明らかになっている。
【0102】
最後に、この実施例では、サンプル4.11(PTFEリアクタ・ラテックス出発材料が55メガラドの照射量で照射されたPTFE粉末のサンプル)の詳細な粒子サイズのデータが取得された。超音波撹拌と粒子サイズ測定が5分間継続され、得られたデータは、次の表11に記録されている。
【0103】
【表11】
【0104】
約1分間だけの超音波撹拌後に得られた粒子サイズ分布のグラフを示す図32Bは、サンプル4.11のPTFE粒子の100%が1.00μm未満のサイズとなる点を表していることに注意されたい。このように、約1分間の二つの分布曲線を示す粒子サイズ分布のグラフが得られ、図33に示されている。図33に示した結果から、ユーザは、サンプル4.11に対する1分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布曲線が急速に変化した様子を見ることができる。
【0105】
表11に記録された結果から、サンプル4.11の粒子サイズの平均値が時間に対してプロットされ、図34に示されている。平均粒子サイズの値が、約1分未満の後にサブミクロンになっていることから、1分にすぎない時間が経過すると、サンプル内のPTFE粒子は、良好にサブミクロンサイズに分散することが示されている。同様に、1.00μm未満のサイズのPTFE粒子の割合が、時間と共に増大する様子を示すプロットがなされた。そのプロットは、図35に示されており、約1分間だけの超音波撹拌および粒子サイズ分析の後に、ほぼ100%のPTFE粒子が、1.00μm未満のサイズになり、サブミクロンサイズに分散されることが明らかになっている。
【0106】
実施例4の結果は、一般に、PTFEリアクタ・ラテックスのサンプルへの電子ビームの照射量が増大すると、乾燥サブミクロンPTFE粉末内のPTFE粒子が、大幅に短い時間でサブミクロンのサイズに分散したことを示している。例えば、5メガラドにすぎない照射量で照射されたサンプル4.1については、粒子サイズ分析中の超音波撹拌は、PTFE粉末のサンプル4.1におけるPTFE粒子がサブミクロンのサイズに分散するために、約18−19分以上の間継続する必要があった。一方、55メガラドの照射量で照射されたサンプル4.11については、粒子サイズ分析中の超音波撹拌は、PTFE粉末のサンプル4.11におけるPTFE粒子がサブミクロンのサイズに分散するために、約1分未満の間しか継続する必要がなかった。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の方法についての種々の実施形態における工程を示す工程系統図である。
【図2】IPAに分散させた未照射リアクタ・ラテックスPTFE材料の対照サンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図3】IPAに分散させた被照射PTFEリアクタ・ラテックスのサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図4】IPAに分散させた被照射PTFEリアクタ・ラテックスのサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図5】本発明によって生成され水に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する20分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分布のグラフである。
【図5A】図5で分析されたサンプルに関する20分間の超音波撹拌に亘る粒子サイズ分布の結果を重ねて示す図である。
【図6】本発明によって生成され水に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに対する3分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分布のグラフである。
【図6A】図6で分析されたサンプルに関する3分間の超音波撹拌に亘る粒子サイズ分布の結果を重ねて示す図である。
【図7】粉砕のための溶媒としてブチルカルビトールが用いられIPAに分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフであって、100.00%が1.00μm未満を示す粒子サイズ分布のグラフである。
【図8】比較のための6つの異なる回収方法の1つを用いる際に、粉砕のための溶媒としてIPAが用いられ鉱物油に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図9】比較のための6つの異なる回収方法の1つを用いる場合に、粉砕のための溶媒としてIPAが用いられ鉱物油に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図10】比較のための6つの異なる回収方法の1つを用いる場合に、粉砕のための溶媒としてIPAが用いられ鉱物油に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図11】比較のための6つの異なる回収方法の1つを用いる場合に、粉砕のための溶媒としてIPAが用いられ鉱物油に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図12】比較のための6つの異なる回収方法の1つを用いる場合に、粉砕のための溶媒としてIPAが用いられ鉱物油に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図13】比較のための6つの異なる回収方法の1つを用いる場合に、粉砕のための溶媒としてIPAが用いられ鉱物油に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図14】ボールミルの中で溶媒としてのIPAと混合された被照射PTFE出発材料のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図15】ボールミルの中で溶媒としてのIPAと混合された未照射PTFE出発材料のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図16】本発明によって生成されたPTFE粒子を有機物に分散したサンプルに関する(Microtrac粒子サイズ分析器を用いて作成された)粒子サイズ分布のグラフであって、90%以上が0.81μm未満を示す粒子サイズ分布のグラフである。
【図17】本発明によって生成されたPTFE粒子を大規模に水へ分散したサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフであって、100.00%が1.00μm未満を示す粒子サイズ分布のグラフである。
【図18】本発明によって生成され粉砕のための溶媒としてIPAが用いられIPAおよび水の混合物に分散されたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフであって、81.51%が1.00μm未満を示す粒子サイズ分布のグラフである。
【図19】28メガラドで照射され未粉砕でIPAおよび水の混合物に分散されたPTFE出発材料のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフであって、4.27%が1.00μm未満を示す粒子サイズ分布のグラフである。
【図20A】5メガラドで照射され0分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20B】5メガラドで照射され2分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20C】5メガラドで照射され3分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20D】5メガラドで照射され4分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20E】5メガラドで照射され5分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20F】5メガラドで照射され6分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20G】5メガラドで照射され7分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20H】5メガラドで照射され8分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20I】5メガラドで照射され10分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20J】5メガラドで照射され12分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20K】5メガラドで照射され13分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20L】5メガラドで照射され16分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20M】5メガラドで照射され19分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20N】5メガラドで照射され20分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20O】5メガラドで照射され21分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20P】5メガラドで照射され22分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20Q】5メガラドで照射され24分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20R】5メガラドで照射され25分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20S】5メガラドで照射され26分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20T】5メガラドで照射され30分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20U】5メガラドで照射され32分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図21】24分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布が変化した様子を示すために、図20の粒子サイズ分布曲線を重ね合わせて示す図である。
【図22】5メガラドで照射されたサンプルの平均PTFE粒子サイズと、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフである。
【図23】5メガラドで照射されて1.00μm未満の粒子サイズになったPTFE粒子の割合と、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフである。
【図24A】25メガラドで照射され0分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24B】25メガラドで照射され1分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24C】25メガラドで照射され2分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24D】25メガラドで照射され3分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24E】25メガラドで照射され5分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24F】25メガラドで照射され7分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24G】25メガラドで照射され8分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24H】25メガラドで照射され10分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24I】25メガラドで照射され12分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24J】25メガラドで照射され13分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24K】25メガラドで照射され15分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24L】25メガラドで照射され17分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24M】25メガラドで照射され18分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24N】25メガラドで照射され19分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24O】25メガラドで照射され20分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24P】25メガラドで照射され22分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図25】7分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布が変化した様子を示すために、図24の粒子サイズ分布曲線を重ね合わせて示す図である。
【図26】25メガラドで照射されたサンプルの平均PTFE粒子サイズと、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフ。
【図27】25メガラドで照射されて1.00μm未満の粒子サイズになったPTFE粒子の割合と、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフである。
【図28A】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、0分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28B】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、0.5分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28C】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、1.5分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28D】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、2分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28E】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、3分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28F】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、4分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28G】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、7分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28H】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、12分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28I】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、14分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28J】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、18分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28K】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、21分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28L】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、23分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28M】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、24分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図29】18分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布が変化した様子を示すために、図28の粒子サイズ分布曲線を重ね合わせて示す図である。
【図30】25メガラドで照射されて7から8のpHに調整されたリアクタ・ラテックスPTFEサンプルの平均PTFE粒子サイズと、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフ。
【図31】25メガラドで照射されて7から8のpHに調整されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成され1.00μm未満の粒子サイズになったPTFE粒子の割合と、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフ。
【図32A】55メガラドで照射され0分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図32B】55メガラドで照射され1分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図32C】55メガラドで照射され2分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図32D】55メガラドで照射され3分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図32E】55メガラドで照射され4分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図32F】55メガラドで照射され5分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図33】1分間の超音波撹拌の間に粒子サイズ分布が変化した様子を示すために、55メガラドで照射され0分間および1分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布の曲線を重ね合わせて示す図である。
【図34】55メガラドで照射されたサンプルの平均PTFE粒子サイズと、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフである。
【図35】55メガラドで照射されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成され1.00μm未満の粒子サイズになったPTFE粒子の割合と、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、サブミクロンのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を生成するための改良方法に関する。特に、本発明は、リアクタ・ラテックス状のPTFEに照射処理を施すことによってサブミクロンのPTFE粉末を生成する方法に関する。更に、本発明は、本明細書に開示された方法によって生成されたサブミクロンのPTFE粉末に関し、その粉末は、流動性に優れ、所望の溶媒に容易に分散可能であり、凝集し難く、取扱時に粉塵となって空気中に舞うことが少ない。また、本発明は、水性溶媒および有機溶媒にサブミクロンの大きさでPTFE粒子を分散させる改良方法、およびそのような方法に従って生成された分散物に関する。
【背景技術】
【0002】
リアクタ・ラテックス状のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびそのようなリアクタ・ラテックスPTFE材料を生成する方法は、当業者に周知である。本明細書では、「リアクタ・ラテックス状のPTFE」および「リアクタ・ラテックスPTFE」とは、乳化重合(エマルジョン重合)処理を経てPTFEの合成から生じた生成物であり一次粒子サイズのPTFE粒子の水溶液である懸濁液を意味する。「ラテックス」という用語は、本分野で一般に用いられているように、重合物質すなわちゴムのような物質の重合や分散によって得られた合成ゴムやプラスチックの水乳濁液(水エマルジョン)を意味する。
【0003】
リアクタ・ラテックスPTFEにおけるPTFE粒子の一次粒子サイズは、約0.1μm(マイクロメートル)から約0.5μmであることが多い。リアクタ・ラテックスPTFEの抽出物は、通例、約10重量パーセントから約40重量パーセントの固体PTFE粒子を水溶液中に含む。
【0004】
そのようなリアクタ・ラテックスPTFE材料の多くは、過度の時間経過や温度変化に対して不安定であるという特徴を有する。例えば、あるリアクタ・ラテックス生成物のPTFE粒子は、低温で保管されたとしても、10日程の期間で崩壊することがある。更に、周知のリアクタ・ラテックスPTFE生成物のPTFE粒子は、運搬時などに軽い物理的な撹拌,振動を受けた場合に、崩壊,凝固,汚損する傾向がある。崩壊,凝固,汚損したPTFE粒子は、溶媒中で容易に分散しないことから、そのような生成物中のPTFE粒子を利用する上で、その特有の不安定性は欠点になる。
【0005】
したがって、従来は、リアクタ・ラテックスPTFE生成物を用いて、有用なPTFE乾燥粉末生成物や、有用な液体PTFE分散物を生成する場合には、PTFE粒子を「最終生成物」として安定化させるために、リアクタ・ラテックスPTFE生成物に、レオロジ調整剤(増粘剤),界面活性剤,pH調整剤などを加えることが必要である場合が多かった。そのPTFE最終生成物は、低温で維持する必要がある。したがって、リアクタ・ラテックスPTFE出発材料から有用なPTFE最終製品を生成することに関する周知の処理は、コストおよび時間を要する作業であることが多かった。乳化重合によるPTFEの生成を論じる関連文献には、S.Ebnesajjadの「Fluoroplastics Volume 1:Non−Melt Processible Fluoroplastics, The Defenitive User’s Guide and Databook」、Plastics Design Library(2000)があり、この関連文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0006】
上述の関連文献には、水性溶媒や有機溶媒などの種々の溶媒中で安定し容易に分散可能なサブミクロンのPTFE粉末を生成するために、リアクタ・ラテックス状のPTFEを処理して回収することができる方法が必要であることが示されている。
【0007】
電子ビーム放射またはガンマ線放射を用いた照射は、本発明の方法の主要な工程である。前述の処理や特許文献には、有用なPTFE最終製品の生成時における照射の重要性が開示されている。しかしながら、それらの開示は、乾燥した粉末PTFE材料の照射に焦点を当てている。
【0008】
例えば、PTFEの照射に関する初期の開示は、Dillonの米国特許No.3,766,031に含まれており、その明細書には、トレイにPTFEを配置して照射を施す方法が開示されている。その明細書は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0009】
更に、Neuberg et al.の米国特許No.4,748,005および米国特許No.4,777,192は、本発明の譲受人によって所有され、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。その特許文献には、リボンブレンダ内にPTFE材料を配置して、そのブレンダによってPTFE材料を撹拌しつつ、そのブレンダの一部分に電子ビームを照射する工業用集中処理が開示されている。
【0010】
PTFE粒子の照射方法およびPTFE粒子の照射に用いられる装置が開示されている他の特許文献には、Luniewski et al.の米国特許No.5,149,727、5,296,113、および米国特許No.5,968,997があり、それらの明細書は、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0011】
本発明と異なり、酸素(O2)を容易に得ることができる周囲空気の中で、乾燥した粉末PTFE材料に対する照射の場合には、空気中のO2が、乾燥したPTFEと相互作用することによって、PTFEポリマ鎖の末端で末端基(例えば、−COF基)が形成される。その後、その末端基は水と反応して、−COOH基が形成される。
【0012】
従来技術として、対象となる溶媒の中で容易に分散してサブミクロン粒子になるPTFE粉末を生成する他の方法が開示されている。例えば、2003年3月14日に出願され共有譲渡された米国特許出願No.10/389,569に開示された方法によって、サブミクロンのPTFEを生成可能な手法が開示されている。しかしながら、その方法は、溶媒などの中での粉砕工程のような処理工程を含むことが多いため、容易に分散可能なサブミクロンのPTFE粉末をPTFE出発材料から生成するのに要する時間およびコストが増加してしまう。
【0013】
一般に、容易に分散可能なサブミクロンのPTFE粉末は、サブミクロンすなわち小さな粒子サイズのPTFE粉末製品を用いる多くの最終用途が存在することから重要なものである。例えば、PTFE粉末生成物は、PTFEテープ,PTFEチューブ,焼結PTFEシート,焼結PTFEテープの生成に利用可能である。さらに、少量(例えば、約0.1から2重量パーセント)の粉末PTFEは、様々な組成物に配合されて、次の好ましい有用な特性を提供することが可能である。
(i)インクに配合された場合に、損傷および摩擦に対する優れた耐性を提供する特性
(ii)化粧品に配合された場合に、シルクのような肌触りを提供する特性
(iii)日焼け止めに配合された場合に、紫外線の遮蔽すなわちSPF(日焼け防止指数)を増大させる特性
(iv)油脂類に配合された場合に、優れた潤滑作用を提供する特性
(v)コーティング剤および熱可塑性プラスチックに配合された場合に、摩耗耐性,化学耐性,耐候性,耐水性,膜硬度を向上させる特性
【0014】
サブミクロンのPTFE粉末および分散物のためのより具体的な最終用途は、以下に示されるが、これらに限定されるものではない。
(i)無電解ニッケル皮膜にサブミクロンPTFE粒子を均一に分散して配合し、その皮膜の摩擦および摩耗の特性を改善する最終用途(Hadley et al.,Metal Finishing,85:51−53(1987年12月))
(ii)電気コネクタの接続部における表面仕上げ層にサブミクロンPTFE粒子を配合して、その表面仕上げ層に耐摩耗性を提供する最終用途(Abys et al.の米国特許No.6,274,254)
(iii)光導波ファイバの一部である界面層の固体潤滑剤としての膜形成結合剤にサブミクロンPTFE粒子を用いる最終用途(Chienの米国特許No.5,181,268)
(iv)乾燥エンジンオイル添加剤にサブミクロンPTFE粉末を、(粒状のPTFE粉末およびTiO2と共に)用いて、荷重負担面のスリップ性を増大させる最終用途(McCreadyの米国特許No.4,888,122)
(v)金属および合金の表面処理システム用に、自触媒反応を起こすリン酸ニッケルにサブミクロンPTFE粒子を混合して、結果として生じる表面に、潤滑作用,低摩擦,耐摩耗性を提供する最終用途(「Niflor Engineered Composite Coatings」、Hay N.,International,Ltd.(1989))
PTFEの最終用途の別の具体的な例としては、エンジンオイルへのPTFEの添加、油脂増粘剤としてのPTFEの利用、工業潤滑油添加剤としてのPTFEの利用が挙げられる(Willson,Industrial Lubrication and Tribology,44:3−5(1992年3月/4月))。
【0015】
さらに、PTFE粉末は、非湿潤性を改善し、繊維およびその繊維から作られる繊維製品の摩擦係数を下げることから、ある繊維を製造するために用いられるポリマへの添加剤として、分散可能なサブミクロンPTFE粉末を用いることは重要である。その結果、分散可能なサブミクロンPTFE粉末を配合した繊維は、濾過および脱水処理に用いられる織物製品などの工業織物製品に有用である。分散可能なPTFE粉末を配合した上述の繊維は、カーペット,運動着用織物製品,上着用織物製品,熱気球,車や飛行機の座席,傘などの製造に用いられることもある。そのような織物にPTFEを配合することにより、洗浄の容易化,摩擦係数の低減,耐摩耗性の向上など、多くの利点を織物製品に与えることができる。2003年10月1日に出願された国際特許出願No.PCT/US03/31263および国際特許出願No.PCT/US03/31264には、サブミクロンサイズで分散可能なPTFE粉末の合成繊維製造への利用について詳しく論じられている。
【0016】
サブミクロンPTFE粉末およびサブミクロンPTFE分散物を配合する多くの利用や、前述した最終用途のような最終用途について、溶媒に与えられる有利な効果は、PTFE粒子の化学的不活性性や低摩擦性に由来する。さらに、サブミクロンPTFE粒子は、このように粒子サイズが小さいため、大きいPTFE粒子に比べると、重量に対する表面積の比がかなり大きくなる。そのため、サブミクロンPTFE粒子は、(大きいPTFE粒子に比べて)、同じ重量で配合された場合に、所望の溶媒に対して、より良好に有用な効果を提供することができる。その結果、サブミクロンPTFE粉末およびサブミクロンPTFE分散物を生成するための新規の方法は、多くの最終用途,生成物,配合物について非常に有利である。
【0017】
要するに、対象となる溶媒の中でサブミクロンサイズの粒子として容易に分散可能なPTFE粉末を生成するために、リアクタ・ラテックス状のPTFEを処理して回収することができる方法が必要とされている。さらに、リアクタ・ラテックス状のPTFEからサブミクロンPTFE粉末を生成する方法であって、その結果生じるサブミクロンPTFE粉末は、流動性に優れ、所望の溶媒の中で容易に分散し、凝集し難いものであり、高価な化学添加剤や、多大な時間,力学的エネルギも必要とせずに、所望の溶媒の中にサブミクロンのPTFE粉末を分散できる方法が必要とされている。本発明は、これらの課題に対処するために、対象となる溶媒においてサブミクロンサイズの粒子として容易に分散可能な安定したサブミクロンのPTFEを生成する方法を開示している。具体的には、本発明の方法で生成され対象溶媒に分散されたサブミクロンPTFEは、次のような好ましい有利な特性を提供する。
(i)インクに配合された場合には、損傷および摩擦に対する優れた耐性
(ii)化粧品に配合された場合には、シルクのような肌触り
(iii)日焼け止めに配合された場合には、紫外線の遮蔽性の向上
(iv)油脂類に配合された場合には、優れた潤滑作用
(v)コーティング剤および熱可塑性プラスチックに配合された場合には、優れた摩耗耐性,化学耐性,耐候性,耐水性,膜硬度
(vi)繊維に配合された場合には、紫外線安定性および引張強さの向上
【発明の開示】
【0018】
本発明は、概して、リアクタ・ラテックス状のPTFEを加熱して、乾燥粉末状のPTFE粒子を回収し、所望の利用溶媒の中に容易に分散可能なサブミクロンPTFE粉末を得るための方法に関する。さらに、本発明は、本方法に従って生成されたサブミクロンPTFE粉末生成物に関し、そのサブミクロンPTFE粉末は、自由に流れ、凝集しにくく、所望の利用溶媒の中での分散が容易であり、取り扱う際に粉塵となって空気中に舞う傾向がない。
【0019】
本明細書で用いるように、一般的な化学物質の略語「PTFE」は、ポリテトラフルオロエチレンを意味する。ただし、説明の簡略化のために、本明細書では、一般的な用語「PTFE」は、共重合体材料の大部分がポリテトラフルオロエチレンである場合の共重合体を示す際にも用いられる。例えば、本明細書では、「PTFE」という用語は、以下の重合体と共重合されたポリテトラフルオロエチレン、すなわち、次の重合体を更に含むポリテトラフルオロエチレンを示すためも用いられる。
・フッ化エチレンプロピレン共重合体(「FEP」)
・テトラフルオロエチレンおよびパ―フルオロビニルエーテルの共重合体であるペルフルオロアルコキシ樹脂(「PFA」)
・エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(「ETFE」)
・ポリクロロトリフルオロエチレン(「PCTFE」)
・エチレンおよびクロロトリフルオロエチレンの共重合体である「ECTFE」
・ポリフッ化ビニリデン(「PVDF」)
・ポリフッ化ビニル(「PVF」)
本明細書で、上述の重合体の一つと共重合されたポリテトラフルオロエチレンを示すために「PTFE」という用語が用いられた場合には、共重合体に含まれる実際のポリテトラフルオロエチレンは、約70重量パーセント以上であることが意図されている。
【0020】
また、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE),エチレンと共重合されたPCTFE(ECTFE),フッ化ビニリデン(VDF)と共重合されたPCTFEを、PTFEまたは上述のPTFE共重合体の代わりに用いることも意図されており、この変形は本発明の範囲内である。
【0021】
さらに、本明細書で用いられている専門用語に関して、「乾燥サブミクロンPTFE粉末」という表現は、本発明の方法で生成されるPTFE粉末の最終生成物を示し、乾燥サブミクロンPTFE粉末が、選択された利用溶媒に配合される際に、PTFE粒子は、サブミクロンサイズに分散可能である。
【0022】
本発明の方法で始めに用意されるPTFE出発材料は、リアクタ・ラテックスPTFEであり、通例、約10%から約40%の固体PTFEを含む水溶液である。通例、PTFEリアクタ・ラテックス出発材料の中のPTFE粒子は、1.0μm未満の一次粒子サイズであり、更に具体的には、約0.1μmから約0.5μmの一次粒子サイズである。その粒子サイズは、与えられた材料サンプルにおける粒子サイズの分布の平均から決定される。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、PTFEリアクタ・ラテックス出発材料は、エマルジョン重合処理の反応生成物である。出発材料を生成するためのエマルジョン重合反応の条件は様々であってよく、重合の条件に対する一部の変更例では、上述したよりも更に小さな一次粒子サイズ(例えば、0.05μm)であるPTFEリアクタ・ラテックス材料が生成されても良いことに注意されたい。これらのことから、本発明の方法によれば、ほぼ全ての粒子サイズが1.0μm未満になるように分散可能なPTFE粉末を生成することができる。
【0024】
本方法の好ましい実施形態では、リアクタ・ラテックスPTFE出発材料は、電子ビーム放射により、約5ないし約120メガラド、好ましくは、約15ないし約120メガラド、最も好ましくは、約25ないし約120メガラドの照射量で照射される。本発明の好ましい別の実施形態では、PTFEリアクタ・ラテックス材料は、ガンマ線放射を用いて照射される。
【0025】
特に好ましい実施形態では、リアクタ・ラテックスPTFE材料への照射は、リアクタ・ラテックス材料を生成するためのエマルジョン重合反応の後に実施される。しかしながら、別の実施形態において、エマルジョン重合反応の合間に照射が実施され、結果として生じるリアクタ・ラテックス材料が、反応の終了時に既に照射されているようにしても良いことが意図されている。
【0026】
リアクタ・ラテックスPTFEは、水溶液に懸濁されたPTFE粒子を含むため、そのPTFE粒子への照射は、背景技術の節で詳述した乾燥PTFE粒子への照射とは異なる。具体的には、照射は、大気中ほどは酸素と容易に反応できない水中環境で実施されるため、一部の末端基(例えば、−COF基などであり、通例は、水と反応して−COOH基を形成する)の形成が防止される。
【0027】
照射工程に続いて、本発明の一部の実施形態は、照射されたPTFEリアクタ・ラテックス材料を分散物の一つとして直接利用する。具体的には、エマルジョン反応物質が、重合後に照射された場合、または、エマルジョン反応物質が、重合中に照射された場合、照射されたPTFEリアクタ・ラテックス材料は、25%の分散物として用いられても良い(図1)。
【0028】
別の実施形態では、被照射PTFEリアクタ・ラテックス材料は、凝集しない分散物を生成するために、PTFEの濃度が固体として50から70重量パーセントに増加するように濃縮されてもよい。一部の実施形態では、次に、照射および濃縮されたPTFEリアクタ・ラテックス材料は、60−70%に濃縮された分散物として用いられてもよい。更なる実施形態では、このPTFEの濃縮工程は、サブミクロンPTFEとして容易に分散する乾燥サブミクロンPTFE粉末を回収する前の中間工程として用いられてもよい。
【0029】
ただし、特に好ましい実施形態では、固体のPTFEを濃縮水溶液から回収する工程が、照射および濃縮されたPTFEリアクタ・ラテックス材料に対して実施される。乾燥サブミクロンPTFE粉末の回収は、濾過・乾燥,水の蒸発の他、濾過・乾燥後の遠心分離など、任意の周知の処理で実施することができる
【0030】
本発明の乾燥サブミクロンPTFE粉末は、所望の利用溶媒に分散された際に、サブミクロンサイズの粒子として容易に分散可能である。乾燥サブミクロンPTFE粉末が、十分に分散可能か否か判定する方法は、所望の利用溶媒に粉末が分散された際のPTFE粒子の粒子サイズ分析を含む。例えば、イソプロピルアルコール(IPA)の中で、PTFE粒子の約100%が1.00μm未満になるように分散可能な良質なPTFE粉末が必要な場合には、本発明の方法を用いて乾燥サブミクロンPTFE粉末を生成し、その粉末サンプルをIPAのサンプルに分散させ、分散されたサンプルの粒子サイズ分析を実施する。その粒子サイズ分析は、後に詳述する標準的なMalvern粒子サイズ分析器を用いて行われても良い。
【0031】
PTFEリアクタ・ラテックス材料は、照射,濃縮,乾燥を経て、乾燥サブミクロンPTFE粉末として回収されると、所望の利用溶媒の中に分散される。通例、分散されたPTFE粒子のほぼ全てが、1.00μm未満の粒子サイズであることが観察される。したがって、予想以上に、本発明の方法に従って生成された乾燥サブミクロンPTFE粉末は、多くの所望の利用溶媒の中に容易に分散可能であり、選択された利用溶媒の中の粉末の塊に対して必要となる混合や撹拌は低いレベルで済む。乾燥サブミクロンPTFE粉末を、例えば、溶媒,樹脂,被膜の他、所望の利用溶媒に分散させる場合には、PTFE粉末は、サブミクロンサイズのPTFE粒子として分散する。
【0032】
本発明の方法は、サブミクロンPTFE粉末およびサブミクロンPTFE分散物を生成する周知の方法を超える利点を有する。例えば、本方法は、界面活性剤、レオロジ剤すなわち調整剤、pH調整剤の添加を必要としない。しかしながら、上述の物質(およびその他の物質)は、必要に応じて、ユーザが選択した特定の利用溶媒に添加されてもよい。
【0033】
さらに、本方法で生成されるサブミクロンPTFE粉末は、流動性に劣り所望の利用溶媒の中に分散しない凝集物を形成し難い。また、本発明の方法で生成され所望の利用溶媒の中に分散されたサブミクロンPTFEは、次のような好ましい有利な特性を提供する。
(i)インクに配合された場合には、損傷および摩擦に対する優れた耐性
(ii)化粧品に配合された場合には、シルクのような肌触り
(iii)日焼け止めに配合された場合には、紫外線の遮蔽性の向上
(iv)油脂類に配合された場合には、優れた潤滑作用
(v)コーティング剤および熱可塑性プラスチックに配合された場合には、優れた摩耗耐性,化学耐性,耐候性,耐水性,膜硬度
(vi)繊維に配合された場合には、紫外線安定性および引張強さの向上
理論に縛られたくはないが、PTFEリアクタ・ラテックス材料の照射工程は、PTFE粒子がより容易に分散しつつ、粘性およびフィブリル化などの典型的な傾向を示さないように、一次PTFE粒子の粘稠度を変化させると考えられる。
【0034】
本発明については、本明細書に開示された具体的な実施形態に関連して、以下で詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明は、PTFE原料の表面の酸化を抑える環境でPTFE原料を処理して、所望の利用溶媒の中で容易に分散可能な乾燥サブミクロンのPTFE粉末を生成する方法を開示する。その環境は、例えば、水中の環境であってもよい。本発明の一つの方法では、リアクタ・ラテックス状のPTFEを、原料として用いて処理を施す。次に、処理された原料は、サブミクロンサイズのPTFE粒子が所望の利用溶媒の中で容易に分散するような乾燥粉末状のPTFE粒子として回収される。さらに、本発明は、本方法に従って形成された乾燥サブミクロンPTFE粉末に関し、その乾燥サブミクロンPTFE粉末は、自由に流れ、取り扱う際に粉塵として空気中に舞うことが少なく、所望の利用溶媒または媒体の中に配合された際に凝集しにくい。
【0036】
前述のように、本方法で用いるために始めに用意されるPTFEの出発材料は、リアクタ・ラテックスPTFEであり、通例、約10%から約40%の固体PTFEを含む水溶液である。このPTFEのリアクタ・ラテックス出発材料は、エマルジョン重合反応によって生成されても良い。
【0037】
本発明で利用可能なPTFE出発材料の例は、市販の生成物を含む。極度の不安定性のため、ほとんどの市販のリアクタ・ラテックスPTFEは、レオロジ調整剤,界面活性剤,湿潤剤,pH調整剤などを含んでいることに注意されたい。本発明の代表的な実施形態では、リアクタ・ラテックスPTFEは、レオロジ調整剤,界面活性剤,湿潤剤,pH調整剤などを加える前に照射され、これらの添加剤を必要とせずに安定した乾燥サブミクロンPTFE粉末が生成される。しかしながら、本発明の更なる実施形態では、安定化されたリアクタ・ラテックス、すなわち、添加剤を含有するリアクタ・ラテックスに照射を行って、乾燥サブミクロンPTFE粉末を生成しても良い。
【0038】
本発明での利用に適切な市販のPTFEリアクタ・ラテックス出発材料の別の例は、S.Ebnesajjadの「Fluoroplastics Volume 1:Non−Melt Processible Fluoroplastics, The Defenitive User’s Guide and Databook」、Plastics Design Library(2000)に開示されており、これは、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0039】
上述したように、「PTFE」という用語は、本明細書では、ポリテトラフルオロエチレンと様々な共重合体とを意味し、共重合体材料の大部分はポリテトラフルオロエチレンであり、より具体的には、含有共重合体の約70重量%以上がポリテトラフルオロエチレンである。
【0040】
本発明の好ましい一実施形態では、PTFEリアクタ・ラテックス材料は、電子ビーム放射を用いて照射される。本発明の好ましい別の実施形態では、PTFEリアクタ・ラテックス材料は、ガンマ線放射を用いて照射される。
【0041】
本発明の方法では、結果として生じる乾燥サブミクロンPTFE粉末は、粘稠度が低いことが好ましく、粒子によって形成される弱い塊の全てを取り除くために、例えば、プラスチック容器内で最小限に揺するだけで足りることが好ましい。あるいは、結果として生じる乾燥サブミクロンPTFE粉末の抽出物は、回収工程によって形成される弱い塊の全てを取り除くために、一般の粉末材料用の装置で処理しても良い。例えば、乾燥サブミクロンPTFE粉末の抽出物は、収集プロセスによって形成される弱い塊の全てを取り除くために、エアミルで一通り処理しても良い。上述の方法に従って生成された生成物は、その後、容易に分散可能なサブミクロンPTFE粉末となることが好ましい。
【0042】
本発明の方法に従って形成された乾燥サブミクロンPTFE粉末は、流動性に優れ、凝集し難いといった所望の特性を有する。したがって、結果として生じる乾燥サブミクロンPTFE粉末は、選択された利用溶媒すなわち対象となる媒体の中で分散する能力が向上する。選択された利用溶媒の中で分散する能力が向上すると、本方法に従って生成された乾燥サブミクロンのPTFE粉末は、所望の特性をその溶媒に提供することが可能になる。
【0043】
本発明の更なる実施形態では、界面活性剤,湿潤剤,懸濁剤は、乾燥サブミクロンPTFE粉末と共に用いられることによって、選択された利用溶媒すなわち対象となる媒体の中で凝集する傾向を長期間に渡って低減することができる。
【0044】
本発明の方法は、重要な工程として、サブミクロンサイズであることを確認するために、乾燥サブミクロンPTFE粉末の粒子のサイズを分析する。具体的には、「サブミクロン」および「サブミクロンサイズ」という用語は、本明細書では、本方法で形成されたPTFE粉末のサンプルの粒子サイズの分析結果を示す。その分析において、粒子サイズ試験溶媒の中のPTFE粒子数のうち85%以上が1.00μm未満のサイズであり、粒子サイズ試験溶媒の中のPTFE粒子数のうち90%以上が1.00μm未満のサイズであることがより好ましく、粒子サイズ試験溶媒の中のPTFE粒子数のうち95%以上が1.00μm未満のサイズであることが最も好ましい。
【0045】
本発明の一部の好ましい実施形態では、結果として生じるサブミクロンPTFE粉末の粒子サイズの分析は、Malvern Mastersizer 2000 Particle Size Analyzerを用いて実施される。それは、レーザ散乱粒子サイズ分布分析器であり、英国マルヴァーンのMalvern Instruments Ltd.から入手可能である。PTFE粒子の粒子サイズ分析については、分析すべきサブミクロンPTFE粉末のサンプルが、乾燥した状態であるか、特定の液体分散剤に分散されているかに応じて、種々の異なる手順が用いられる。
【0046】
本方法に従って生成された乾燥サブミクロン粉末のサンプルが分析される際に、標準的な操作手順が設定されても良い。例えば、一部の好ましい実施形態では、乾燥サブミクロンPTFE粉末の粒子サイズを分析するために、Malvern Mastersizerに設定された乾燥粉末PTFEのQSOP(「品質標準操作手順」)が選択されても良い。このQSOPについての概要は、次の表1に示される。
【0047】
【表1】
【0048】
具体的には、Mastersizerは、乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルが検査される際に、Scirocco 2000乾式アクセサリを用いる。好ましい実施形態では、Scirocco 2000の蓋が開けられ、約2グラムの乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルが、サンプルトレイに置かれ、蓋が閉められる。次いで、Mastersizer 2000のソフトウェアプログラムが、適切なアイコンを選択することによって起動し、所望のSOP(ここでは、乾燥サブミクロンPTFE粉末のためのQSOP)が選択され、サンプル情報が入力される。次いで、開始を押すことにより、粒子サイズの分析が開始される。
【0049】
好ましい実施形態では、粒子サイズの測定値の微小偏差を平均化するために、乾燥サブミクロンPTFE粉末の粒子サイズ分析は、約1分の総記録時間あたり約5回繰り返される。
【0050】
本発明に従って生成された乾燥サブミクロンPTFE粉末が、特定の液体利用溶媒すなわち分散剤の中に分散される場合には、PTFE粒子の粒子サイズを測定するために、乾燥サブミクロンPTFE粉末の分散剤として選択された液体に応じて異なる手順が用いられる。Malvern Mastersizer 2000は、ここでも、PTFE粉末の液体分散物の粒子サイズ分析のために用いられるが、Scirocco 2000乾式アクセサリではなく、Hydro 2000Sが用いられる。さらに、Malvern Mastersizerによる粒子サイズ分析の全ての工程期間中に、サブミクロンPTFE粉末が液体の利用溶媒の中に分散されたサンプルに対して、キャリア溶液が必要となる。
【0051】
「分散剤」(すなわち、粒子サイズ分析のためにサブミクロンPTFE粉末が分散される液体の媒体)として、IPAが選択される実施形態では、約2グラムの乾燥サブミクロンPTFE粉末は、20mL容量のプラスチック製キュベット内に収容されても良く、そのキュベットは、20mLのマークまでIPAで満たされても良い。このように、IPAは、キャリア溶液として機能する。また、約0.2グラムのSurfynol TG−E界面活性剤(STGE)が、IPAキャリア溶液に加えられてもよい。STGEは、Air Products and Chemical, Inc.が製造する非イオン界面活性剤であり、選択されたキャリア溶液にサブミクロンPTFEの分散物が導入された際に、分散を早め維持する助けとなる。次に、キュベットは、固く蓋をされ、乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルをIPAの中に分散させるために、約30秒間振られる。次に、キュベットが開けられ、サンプルは、約1分間超音波撹拌される。別の実施形態では、約2重量パーセントの乾燥サブミクロンPTFE粉末が、与えられた量のIPAに追加され、粉末は、約3−5分間、ブレンダすなわち高速分散器によって、IPAと混合される。次いで、Mastersizer 2000のソフトウェアプログラムが、適切なアイコンを選択することによって起動しても良い。所望のSOP(ここでは、IPA内に分散されたサブミクロンPTFE粉末のためのSOP)が設定され、サンプル情報が入力される。IPA内に分散させたサブミクロンPTFE粉末粒子の粒子サイズを測定する際に用いられるMalvern MastersizerのためのSOPについての概要は、次の表2に示される。
【0052】
【表2】
【0053】
次に、Malvern Mastersizerシステムは、システムの分散剤としてIPAが用いられているためIPAで洗浄される。IPAおよびPTFEの両方に対して適切な屈折率の値(表2に示された値)が、Mastersizerで設定され、バックグラウンド値が測定される。次に、PTFE粒子の粒子サイズを正確に測定するために、必要な量のサンプルが加えられたことを示すメッセージが現れるまで、IPA内に分散された乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルがMastersizerに加えられる。
【0054】
次いで、超音波撹拌器が50%の出力で作動され、「開始」ボタンが押される。粒子サイズ測定値は、取得される粒子サイズ測定値における微小偏差を平均化するために、約5回(例えば、5分間に1分毎に1回)取得されても良い。
【0055】
本方法に従って生成されIPAの中に分散された乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルに対して粒子サイズ分析を行った代表的な研究では、約95%以上のPTFE粒子が1ミクロン未満の粒子サイズであることが示された。
【0056】
さらに、Malvern Mastersizerの粒子サイズ分析器は、本方法に従って生成された乾燥サブミクロンPTFE粉末が鉱物油の中に分散された実施形態において、サブミクロンPTFE粒子の粒子サイズを判定するために用いられてもよい。この実施形態のためのキャリア溶液を準備するために、約15mLのLonzest SMO界面活性剤が、1ガロンの鉱物油(Magiesol Oil #47など)と混合されてもよい。次に、約1グラムの乾燥サブミクロンPTFE粉末が、プラスチック製キュベットに入れられ、約20mLの鉱物油キャリア溶液が、キュベットに加えられても良い。次いで、その混合物は、約30秒間振られる。次に、サンプルは、1分間、超音波撹拌される。別の実施形態では、試験対象の分散されたサブミクロンPTFE粉末のサンプルは、本方法に従って生成された約2重量パーセントの乾燥サブミクロンPTFE粉末を、約3−5分間、ブレンダすなわち高速分散器を用いて鉱物油の中に混合することによって準備される。約5−10滴のIPAおよび5−10滴の水が、システムに加えられても良い。
【0057】
次に、鉱物油の中に分散させた乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルの粒子サイズ分析のために、Malvern MastersizerにおいてSOPが設定される。このSOPについては、次の表3に示される。
【0058】
【表3】
【0059】
次に、Malvern Mastersizerシステムは、最初にIPAで洗浄され、次に、上述の鉱物油キャリア溶液で洗浄される。次いで、バックグラウンド値が測定される。次に、PTFE粒子の粒子サイズを測定するために、十分なサンプルが加えられたことを示すメッセージが現れるまで、鉱物油溶液の中に分散させた乾燥サブミクロンPTFE粉末を含むサンプルがMastersizerに加えられる。次いで、超音波撹拌器が50%の出力で作動され、「開始」ボタンが押される。粒子サイズ測定値は、得られた粒子サイズ測定値における微小偏差を平均化するために、約5回(例えば、1分あたり約5−7回)繰り返されても良い。
【0060】
本方法に従って生成され鉱物油の中に分散させた乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルに対する代表的な粒子サイズ分析の結果によると、約95%以上のPTFE粒子が1ミクロン未満の粒子サイズであることが示される。
【0061】
同様に、Malvern Mastersizerは、乾燥サブミクロンPTFE粉末が水の中に分散された実施形態において、乾燥サブミクロンPTFE粒子の粒子サイズを判定するために用いられてもよい。具体的には、約1グラムの乾燥サブミクロンPTFE粉末が、20mL容量のプラスチック製キュベットに入れられ、そこに、10mLのIPAが加えられても良い。次いで、そのキュベットは蓋をされ、約15秒間十分に振られる。次に、10mLの水がキュベットに加えられ、それら内容物は、約15秒間振られる。続いて、約0.2グラム(またはピペットで10滴)のSTGE界面活性剤が、キュベットに加えられる。キュベットは再び蓋をされ、約15秒間振られる。次に、キュベットが開けられ、サンプルは、1分間、超音波撹拌される。別の実施形態では、本方法に従って生成された約2重量パーセントの乾燥サブミクロンPTFE粉末が、与えられた量の水の中に分散され、約2重量パーセントのSTGE界面活性剤が加えられる。その実施形態では、分散物は、約3−5分間、ブレンダすなわち高速分散器を用いて混合される。次に、約98%の水と約2%のSTGE界面活性剤との溶液が準備され、キャリア溶液として機能する。
【0062】
本方法に従って生成され水の中に分散された乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルの粒子サイズ分析に用いられるSOPについての概要は、表4に示される。
【0063】
【表4】
【0064】
次に、Mastersizerシステムは、IPAで洗浄され、水で2回洗い流される。次いで、0.3グラムのSTGE界面活性剤が、Mastersizerシステムに加えられる。次いで、バックグラウンド値が測定される。次に、粒子サイズを判定するために、十分なサンプルが加えられたことを示すメッセージが現れるまで、水の中に分散させた乾燥サブミクロンPTFE粉末を含むサンプルがMastersizerに加えられる。次いで、超音波撹拌器が50%の出力で作動され、「開始」ボタンが押される。乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルの粒子サイズ測定値は、得られた粒子サイズ測定値における微小偏差を平均化するために、通例は、約5回(例えば、1分あたり約5−7回)取得されても良い。
【0065】
本方法に従って生成され水の中に分散させた乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルに対する代表的な粒子サイズ分析によると、PTFE粒子の約95%以上が1ミクロン未満のサイズである粒子サイズ分布が示される。
【0066】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、決して本発明を限定するものではない。
【0067】
実施例:
実施例1:未照射PTFEリアクタ・ラテックスのサンプルと、本発明による被照射PTFEリアクタ・ラテックスのサンプルの最初の比較
この実施例では、リアクタ・ラテックスPTFEの3つのサンプルに対して、粒子サイズ分析が実施された。サンプル1.1は、製造業者から入手したリアクタ・ラテックスPTFE出発材料の未照射サンプルである。サンプル1.2は、28メガラドの照射量で照射されたリアクタ・ラテックスPTFEのサンプルである。サンプル1.3は、28メガラドの照射量で照射されたリアクタ・ラテックスPTFEのサンプルであり、この分析サンプルについては、少量の凝固が観察された。
【0068】
これら3つのサンプルの粒子サイズ分析は、上述のMalvern Mastersizer 2000を用いて行われた。具体的には、3つのサンプルの各々が、IPAと少量の界面活性剤から成るMalvern内の循環流体に液滴として加えられた。図2は、サンプル1.1、すなわち、リアクタ・ラテックスPTFEの未照射サンプルの粒子サイズ分布を示すグラフである。図2には、平均粒子サイズの値が0.201であり、PTFE粒子の100%が1.00μmの大きさであることが示されている。
【0069】
図3は、サンプル1.2の粒子サイズ分布を示すグラフであり、リアクタ・ラテックスPTFEは、28メガラドで照射されている。サンプルは、照射後に一部が塊となったため、ブフナ漏斗を通して濾過した後、その固体を集めて50℃で乾燥させて、非常に細かい粉末を得た。平均粒子サイズの値が0.200μmであり、PTFE粒子の100.00%が1.00μm未満のサイズであった。次いで、その粉末は、IPAの中に再び分散され、可変速分散器を用いて1分間超音波撹拌され、PTFEは、サブミクロンの粒子として容易に再び分散した。
【0070】
図4は、サンプル1.3の粒子サイズ分布を示すグラフであり、リアクタ・ラテックスPTFEは、28メガラドで照射されている。このグラフは、平均粒子サイズの値が3.272μmであり、PTFE粒子の88.00%が1.00μm未満のサイズであったことを示す。図4は、約10μmと約100μmの間に小さなピークを示しており、それは、少量の粒子の凝固が生じたことを意味する。サンプル1.3については、粒子の凝固を除去するためのフィルタリングを行わずに、固体が収集され、50℃で乾燥された。次いで、サンプル1.3から収集された粉末は、IPAの中に再び分散され、可変速分散器を用いて1分間超音波撹拌され、PTFEは、サブミクロンの粒子として容易に再び分散した。
【0071】
したがって、実施例1の結果によれば、未照射リアクタ・ラテックスPTFEは、本質的に小さい粒子サイズを有しているが、そのサンプルは非常に不安定であることが示される。逆に、被照射リアクタ・ラテックスPTFEは、安定したままであり、平均粒子サイズ分布を増大させる少量の塊を引き起こしうる。しかしながら、被照射リアクタ・ラテックスPTFEの塊は、容易にサブミクロンサイズに再分散して、全体的に小さな粒子サイズ分布を有するサンプルが生成される。
【0072】
実施例2:種々の照射量によるリアクタ・ラテックスPTFEの照射(質的結果)
この実施例では、リアクタ・ラテックスPTFE出発材料の6つのサンプルが、0メガラド(対照サンプル)から55メガラドの範囲の照射量で照射された。照射量は、次の表5に示される。各サンプルの照射に続いて、約50グラムの各リアクタ・ラテックスPTFEサンプルが、別個のガラスビーカに入れられた。次に、各サンプルは、オーブンに入れられ、約55℃の温度で乾燥された。各サンプルの重さは、ほぼ1時間ごとに観察され、サンプルの重さが安定すると、すなわち、サンプルが乾燥すると、そのサンプルを冷ました。
【0073】
乾燥粉末の各々は、次に、ユーザの指で各粉末の少量のサンプルを挟んで質的に観察され、それにより、各サンプルの粘性のレベルが判定された。以下は、その観察結果である。
【0074】
【表5】
【0075】
このように、表5の結果には、約20メガラド以上の照射量でのリアクタ・ラテックスPTFEの照射が、粘性のないPTFE粉末を実現することが示されている。その低レベルの粘性は、その粉末が、凝集しにくく、対象となる利用溶媒の中で容易に分散することを示す。
【0076】
実施例3:種々の照射量によるリアクタ・ラテックスPTFEの照射(量的結果)
上述の実施例2で報告された質的分析に続いて、実施例2で論じられたサンプルの内の2つに対して粒子サイズ分析を行った。具体的には、粒子サイズ分析のために選択されたサンプルは、20メガラドで照射されたサンプル2.4と、55メガラドで照射されたサンプル2.6である。
【0077】
各サンプルは、「Touch−top」コーヒーミル(KRUPSから入手可能、商品番号208o−70、白、120ボルト)を用いて粉砕された。粉砕後、2つの粉砕されたサンプルの各々は、正確に1.0グラムずつ、別個の20mLプラスチック瓶に入れられ、そこに10mLのIPAおよび10mLの水が加えられた。各サンプルは、蓋をされて、約30秒間、手で振られた。次に、約10滴のSTGE界面活性剤が加えられた。STGE界面活性剤を加えた後、各サンプルは、粒子サイズを測定する前に、3分間超音波撹拌された。
【0078】
粒子サイズ分析は、上述したようにMalvern Mastersizer 2000を用いて行われ、サンプルは、PTFEの粒子サイズの測定中に超音波撹拌され、それにより、粒子サイズを変化させ、粒子がサブミクロンサイズに到達するのに必要な時間を左右する弱い塊や沈殿が防止された。
【0079】
20メガラドで照射されたサンプル2.4について、PTFE粒子の粒子サイズは、粒子サイズ測定中の20分間の超音波撹拌の後にサブミクロンサイズに達した。具体的には、20分間の超音波撹拌後に粒子サイズ測定されたPTFE粒子の平均粒子サイズの値は0.370μmであり、PTFE粒子の98.90%が1.00μm未満のサイズであった。20分間の超音波撹拌後に粒子サイズ分析されたサンプル2.4の粒子サイズ分布のグラフが図5に示されている。さらに、図5Aには、超音波撹拌および粒子サイズ測定が行われた20分間にわたる粒子サイズ分布の曲線を重ねて示すグラフが示されている。図5Aから、ユーザは、20分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布が変化した様子を見ることができる。
【0080】
55メガラドで照射されたサンプル2.6について、PTFE粒子の粒子サイズは、粒子サイズ測定中の3分間だけの超音波撹拌後にサブミクロンサイズに達した。具体的には、3分間の超音波撹拌後に粒子サイズ測定されたPTFE粒子の平均粒子サイズの値は0.483μmであり、PTFE粒子の92.70%が1.00μm未満のサイズであった。3分間の超音波撹拌後に粒子サイズ分析されたサンプル2.6の粒子サイズ分布のグラフが図6に示されている。さらに、図6Aには、超音波撹拌および粒子サイズ測定が行われた3分間にわたる粒子サイズ分布の曲線を重ねて示すグラフが示されている。図6Aから、ユーザは、3分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布が変化した様子を見ることができる。
【0081】
この例の結果によると、リアクタ・ラテックスPTFEのサンプルに照射することにより生成された乾燥サブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する水への分散性は、照射量に伴って増大することが示されている。具体的には、PTFE粒子の分散性の増大は、サンプル2.4(20メガラドで照射)がサブミクロンサイズに到達するまでに必要な20分間の超音波撹拌時間に比べて、サンプル2.6(55メガラドで照射)がサブミクロンサイズに到達するまでに必要な超音波撹拌時間(3分間)が、かなり低減されていることから容易に観察される。
【0082】
実施例4:サブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ測定値の比較(種々の照射量で照射されたリアクタ・ラテックス)
この実施例では、まず、リアクタ・ラテックスPTFE出発材料の12の異なるサンプルが準備された。12のサンプルは、次の表6に示すように、2つのpHレベルの一方に維持され、種々の照射量で電子ビーム照射を受けた。
【0083】
【表6】
【0084】
サンプル4.1から4.12の各々は、示された電子ビーム照射量で照射された後、50℃で乾燥され、乾燥サブミクロンPTFE粉末が収集された。次に、各サンプルを液体の中に分散して粒子サイズ測定値を取得することにより、各粉末の分散性が判定された。
【0085】
粒子サイズ分析の際には、分散剤として水が用いられ、およそ1分ごとに粒子サイズ測定値が取得された。サンプルは、粒子サイズ分析の全体を通して超音波撹拌され、試験されるサンプル内のPTFE粒子の100%がサブミクロンサイズに達するまで、1分ごとに測定値が取得された。したがって、各サンプルの100%が1.00μmのPTFE粒子サイズに達するための時間が判断された。得られた結果は、次の表7に記録されている。
【0086】
【表7】
【0087】
各サンプルのPTFE粒子の100%がサブミクロンのサイズに達した後の各サンプルに関する粒子サイズ分布のグラフが示されている。具体的には、図7は、サンプル4.1に関する24分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図8は、サンプル4.2に関する27分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図9は、サンプル4.3に関する20分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図10は、サンプル4.4に関する7分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図11は、サンプル4.5に関する7分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図12は、サンプル4.6に関する18分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図13は、サンプル4.7に関する14分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図14は、サンプル4.8に関する11分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図15は、サンプル4.9に関する10分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図16は、サンプル4.10に関する10分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図17は、サンプル4.11に関する1分未満の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示し、図18は、サンプル4.12に関する15分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分析の粒子サイズ分布のグラフを示す。
【0088】
表7に示す結果によると、照射のレベルが高くなるほど、各サンプルのPTFE粒子の100%が水に分散してサブミクロンのサイズになるのに必要な超音波撹拌の時間が低減することが分かる。表7の結果は、図19のグラフを作成するために用いられている。具体的には、図19は、(粒子サイズ分析が行われている間に)PTFE粉末サンプル(サンプル4.1ないし4.12)におけるPTFE粒子の100%がサブミクロンサイズに達するのに必要な照射時間(分)と、サンプルが受けた電子ビームの照射量(メガラド)とをプロットしたものである。グラフ上の丸点は、pH調整が施されていないサンプル4.1,4.3,4.5,4.7,4.9,4.11を表す。グラフ上に「X」で示された点は、約7−8の間でpH調整されたサンプル4.2,4.4,4.6,4.8,4.10,4.12を表す。図19のグラフから最良適合直線およびx切片を求めることによって、約65メガラドの照射量では、乾燥サブミクロンPTFEを水に分散させてPTFE粒子の100.00%を1.00μm未満のサイズにするのに超音波撹拌が必要なくなると判断できる。
【0089】
上述の12のサンプルの内の4つについては、サンプルの100%がサブミクロンの粒子サイズに達するのに必要な照射時間の間に、さらに詳細な粒子サイズ分析が行われた。具体的には、これら4つの選択されたサンプルについて、サンプルが連続的に超音波撹拌されている間に、粒子サイズ測定値が取得およびプロットされ、各PTFE粉末サンプル内のPTFE粒子がサブミクロンサイズに分散するのに必要な超音波撹拌の時間が決定された。
【0090】
まず、サンプル4.1(PTFEリアクタ・ラテックス出発材料が5メガラドで照射されたPTFE粉末のサンプル)の結果が取得された。超音波撹拌と粒子サイズ測定が32分間継続されて得られたデータは、次の表8に記録されている。
【0091】
【表8】
【0092】
24分間の超音波撹拌後に得られた粒子サイズ分布のグラフを示す図20Qは、サンプル4.1のPTFE粒子の100%が1.00μm未満のサイズとなる点を表していることに注意されたい。このように、その24分間の分布曲線すべてを示す粒子サイズ分布のグラフが得られ、図21に示されている。図21に重ね合わせて示した結果から、ユーザは、サンプル4.1に対する24分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布が変化した様子を見ることができる。
【0093】
表8に記録された結果から、サンプル4.1の粒子サイズの平均値が時間に対してプロットされ、図22に示されている。平均粒子サイズの値が、約19分後にサブミクロンになっていることから、約19分以上の時間が経過すると、サンプル内のPTFE粒子は、良好にサブミクロンサイズに分散することが示されている。同様に、1.00μm未満のサイズのPTFE粒子の割合が、時間と共に増大する様子を示すプロットがなされた。そのプロットは、図23に示されており、約19分間の超音波撹拌および粒子サイズ分析の後に、ほぼ100%のPTFE粒子が、1.00μm未満のサイズになり、サブミクロンサイズに分散されることが明らかになっている。
【0094】
また、サンプル4.5(PTFEリアクタ・ラテックス出発材料が25メガラドで照射されたPTFE粉末のサンプル)の詳細な粒子サイズのデータが取得された。超音波撹拌と粒子サイズ測定が22分間継続されて得られたデータは、次の表9に記録されている。
【0095】
【表9】
【0096】
7分間の超音波撹拌後に得られた粒子サイズ分布のグラフを示す図24Fは、サンプル4.5のPTFE粒子の100%が1.00μm未満のサイズとなる点を表していることに注意されたい。このように、その7分間の分布曲線すべてを示す粒子サイズ分布のグラフが得られ、図25に示されている。図25に重ね合わせて示した結果から、ユーザは、サンプル4.5に対する7分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間にPTFE粒子の粒子サイズ分布が変化した様子を見ることができる。
【0097】
表9に記録された結果から、サンプル4.5の粒子サイズの平均値が時間に対してプロットされ、図26に示されている。平均粒子サイズの値が、約7分後にサブミクロンになっていることから、約7分以上の時間が経過すると、サンプル内のPTFE粒子は、良好にサブミクロンサイズに分散することが示されている。同様に、1.00μm未満のサイズのPTFE粒子の割合が、時間と共に増大する様子を示すプロットがなされた。そのプロットは、図27に示されており、約7分間の超音波撹拌および粒子サイズ分析の後に、ほぼ100%のPTFE粒子が、1.00μm未満のサイズになり、サブミクロンサイズに分散されることが明らかになっている。
【0098】
さらに、サンプル4.6(PTFEリアクタ・ラテックス出発材料が25メガラドで照射され約7−8の中性pHを有するようpH調整されたPTFE粉末のサンプル)の詳細な粒子サイズのデータが取得された。超音波撹拌と粒子サイズ測定が24分間継続されて得られたデータは、次の表10に記録されている。
【0099】
【表10】
【0100】
18分間の超音波撹拌後に得られた粒子サイズ分布のグラフを示す図28Jは、サンプル4.6のPTFE粒子の100%が1.00μm未満のサイズとなる点を表していることに注意されたい。このように、その18分間の分布曲線すべてを示す粒子サイズ分布のグラフが得られ、図29に示されている。図29に重ね合わせて示した結果から、ユーザは、サンプル4.6に対する18分間の超音波撹拌および粒子サイズ分析の間に粒子サイズ分布が変化した様子を見ることができる。
【0101】
表10に記録された結果から、サンプル4.6の粒子サイズの平均値が時間に対してプロットされ、図30に示されている。平均粒子サイズの値が、約18分後にサブミクロンになっていることから、約18分以上の時間が経過すると、サンプル内のPTFE粒子は、良好にサブミクロンサイズに分散することが示されている。同様に、1.00μm未満のサイズのPTFE粒子の割合が、時間と共に増大する様子を示すプロットがなされた。そのプロットは、図31に示されており、約18分間の超音波撹拌および粒子サイズ分析の後に、ほぼ100%のPTFE粒子が、1.00μm未満のサイズになり、サブミクロンサイズに分散されることが明らかになっている。
【0102】
最後に、この実施例では、サンプル4.11(PTFEリアクタ・ラテックス出発材料が55メガラドの照射量で照射されたPTFE粉末のサンプル)の詳細な粒子サイズのデータが取得された。超音波撹拌と粒子サイズ測定が5分間継続され、得られたデータは、次の表11に記録されている。
【0103】
【表11】
【0104】
約1分間だけの超音波撹拌後に得られた粒子サイズ分布のグラフを示す図32Bは、サンプル4.11のPTFE粒子の100%が1.00μm未満のサイズとなる点を表していることに注意されたい。このように、約1分間の二つの分布曲線を示す粒子サイズ分布のグラフが得られ、図33に示されている。図33に示した結果から、ユーザは、サンプル4.11に対する1分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布曲線が急速に変化した様子を見ることができる。
【0105】
表11に記録された結果から、サンプル4.11の粒子サイズの平均値が時間に対してプロットされ、図34に示されている。平均粒子サイズの値が、約1分未満の後にサブミクロンになっていることから、1分にすぎない時間が経過すると、サンプル内のPTFE粒子は、良好にサブミクロンサイズに分散することが示されている。同様に、1.00μm未満のサイズのPTFE粒子の割合が、時間と共に増大する様子を示すプロットがなされた。そのプロットは、図35に示されており、約1分間だけの超音波撹拌および粒子サイズ分析の後に、ほぼ100%のPTFE粒子が、1.00μm未満のサイズになり、サブミクロンサイズに分散されることが明らかになっている。
【0106】
実施例4の結果は、一般に、PTFEリアクタ・ラテックスのサンプルへの電子ビームの照射量が増大すると、乾燥サブミクロンPTFE粉末内のPTFE粒子が、大幅に短い時間でサブミクロンのサイズに分散したことを示している。例えば、5メガラドにすぎない照射量で照射されたサンプル4.1については、粒子サイズ分析中の超音波撹拌は、PTFE粉末のサンプル4.1におけるPTFE粒子がサブミクロンのサイズに分散するために、約18−19分以上の間継続する必要があった。一方、55メガラドの照射量で照射されたサンプル4.11については、粒子サイズ分析中の超音波撹拌は、PTFE粉末のサンプル4.11におけるPTFE粒子がサブミクロンのサイズに分散するために、約1分未満の間しか継続する必要がなかった。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の方法についての種々の実施形態における工程を示す工程系統図である。
【図2】IPAに分散させた未照射リアクタ・ラテックスPTFE材料の対照サンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図3】IPAに分散させた被照射PTFEリアクタ・ラテックスのサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図4】IPAに分散させた被照射PTFEリアクタ・ラテックスのサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図5】本発明によって生成され水に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する20分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分布のグラフである。
【図5A】図5で分析されたサンプルに関する20分間の超音波撹拌に亘る粒子サイズ分布の結果を重ねて示す図である。
【図6】本発明によって生成され水に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに対する3分間の超音波撹拌後の粒子サイズ分布のグラフである。
【図6A】図6で分析されたサンプルに関する3分間の超音波撹拌に亘る粒子サイズ分布の結果を重ねて示す図である。
【図7】粉砕のための溶媒としてブチルカルビトールが用いられIPAに分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフであって、100.00%が1.00μm未満を示す粒子サイズ分布のグラフである。
【図8】比較のための6つの異なる回収方法の1つを用いる際に、粉砕のための溶媒としてIPAが用いられ鉱物油に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図9】比較のための6つの異なる回収方法の1つを用いる場合に、粉砕のための溶媒としてIPAが用いられ鉱物油に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図10】比較のための6つの異なる回収方法の1つを用いる場合に、粉砕のための溶媒としてIPAが用いられ鉱物油に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図11】比較のための6つの異なる回収方法の1つを用いる場合に、粉砕のための溶媒としてIPAが用いられ鉱物油に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図12】比較のための6つの異なる回収方法の1つを用いる場合に、粉砕のための溶媒としてIPAが用いられ鉱物油に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図13】比較のための6つの異なる回収方法の1つを用いる場合に、粉砕のための溶媒としてIPAが用いられ鉱物油に分散させたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図14】ボールミルの中で溶媒としてのIPAと混合された被照射PTFE出発材料のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図15】ボールミルの中で溶媒としてのIPAと混合された未照射PTFE出発材料のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフである。
【図16】本発明によって生成されたPTFE粒子を有機物に分散したサンプルに関する(Microtrac粒子サイズ分析器を用いて作成された)粒子サイズ分布のグラフであって、90%以上が0.81μm未満を示す粒子サイズ分布のグラフである。
【図17】本発明によって生成されたPTFE粒子を大規模に水へ分散したサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフであって、100.00%が1.00μm未満を示す粒子サイズ分布のグラフである。
【図18】本発明によって生成され粉砕のための溶媒としてIPAが用いられIPAおよび水の混合物に分散されたサブミクロンPTFE粉末のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフであって、81.51%が1.00μm未満を示す粒子サイズ分布のグラフである。
【図19】28メガラドで照射され未粉砕でIPAおよび水の混合物に分散されたPTFE出発材料のサンプルに関する粒子サイズ分布のグラフであって、4.27%が1.00μm未満を示す粒子サイズ分布のグラフである。
【図20A】5メガラドで照射され0分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20B】5メガラドで照射され2分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20C】5メガラドで照射され3分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20D】5メガラドで照射され4分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20E】5メガラドで照射され5分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20F】5メガラドで照射され6分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20G】5メガラドで照射され7分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20H】5メガラドで照射され8分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20I】5メガラドで照射され10分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20J】5メガラドで照射され12分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20K】5メガラドで照射され13分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20L】5メガラドで照射され16分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20M】5メガラドで照射され19分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20N】5メガラドで照射され20分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20O】5メガラドで照射され21分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20P】5メガラドで照射され22分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20Q】5メガラドで照射され24分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20R】5メガラドで照射され25分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20S】5メガラドで照射され26分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20T】5メガラドで照射され30分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図20U】5メガラドで照射され32分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図21】24分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布が変化した様子を示すために、図20の粒子サイズ分布曲線を重ね合わせて示す図である。
【図22】5メガラドで照射されたサンプルの平均PTFE粒子サイズと、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフである。
【図23】5メガラドで照射されて1.00μm未満の粒子サイズになったPTFE粒子の割合と、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフである。
【図24A】25メガラドで照射され0分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24B】25メガラドで照射され1分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24C】25メガラドで照射され2分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24D】25メガラドで照射され3分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24E】25メガラドで照射され5分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24F】25メガラドで照射され7分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24G】25メガラドで照射され8分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24H】25メガラドで照射され10分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24I】25メガラドで照射され12分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24J】25メガラドで照射され13分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24K】25メガラドで照射され15分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24L】25メガラドで照射され17分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24M】25メガラドで照射され18分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24N】25メガラドで照射され19分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24O】25メガラドで照射され20分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図24P】25メガラドで照射され22分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図25】7分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布が変化した様子を示すために、図24の粒子サイズ分布曲線を重ね合わせて示す図である。
【図26】25メガラドで照射されたサンプルの平均PTFE粒子サイズと、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフ。
【図27】25メガラドで照射されて1.00μm未満の粒子サイズになったPTFE粒子の割合と、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフである。
【図28A】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、0分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28B】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、0.5分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28C】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、1.5分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28D】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、2分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28E】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、3分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28F】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、4分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28G】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、7分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28H】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、12分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28I】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、14分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28J】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、18分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28K】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、21分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28L】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、23分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図28M】25メガラドで照射され、7から8のpHに調整されて、24分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図29】18分間の超音波撹拌および粒子サイズ測定の間に粒子サイズ分布が変化した様子を示すために、図28の粒子サイズ分布曲線を重ね合わせて示す図である。
【図30】25メガラドで照射されて7から8のpHに調整されたリアクタ・ラテックスPTFEサンプルの平均PTFE粒子サイズと、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフ。
【図31】25メガラドで照射されて7から8のpHに調整されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成され1.00μm未満の粒子サイズになったPTFE粒子の割合と、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフ。
【図32A】55メガラドで照射され0分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図32B】55メガラドで照射され1分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図32C】55メガラドで照射され2分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図32D】55メガラドで照射され3分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図32E】55メガラドで照射され4分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図32F】55メガラドで照射され5分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布のデータを示すグラフである。
【図33】1分間の超音波撹拌の間に粒子サイズ分布が変化した様子を示すために、55メガラドで照射され0分間および1分間だけ超音波撹拌されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成されたPTFE粉末に関する粒子サイズ分布の曲線を重ね合わせて示す図である。
【図34】55メガラドで照射されたサンプルの平均PTFE粒子サイズと、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフである。
【図35】55メガラドで照射されたリアクタ・ラテックスPTFEから生成され1.00μm未満の粒子サイズになったPTFE粒子の割合と、超音波撹拌の時間との関係を示すグラフ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性溶媒および有機溶媒を含む溶媒にサブミクロンサイズのポリテトラフルオロエチレン粒子として分散させるためのポリテトラフルオロエチレン生成物を生成する方法であって、
(a) ポリテトラフルオロエチレン原料を、該ポリテトラフルオロエチレン原料の表面酸化を抑制する環境に配置する工程と、
(b) 約5から約120メガラドの強度を有する放射線で前記ポリテトラフルオロエチレン原料を照射する工程と、
(c) 前記照射されたポリテトラフルオロエチレン材料の一部を、前記溶媒に分散させるための前記生成物として抽出する工程と
を備える方法。
【請求項2】
前記工程(a)は、ラテックス状のポリテトラフルオロエチレン原料を用意する工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ラテックス状のポリテトラフルオロエチレン原料を用意する工程は、乳化重合反応器からポリテトラフルオロエチレンを取り出す工程を含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記ラテックス状のポリテトラフルオロエチレン原料は、約10から約40重量パーセントのポリテトラフルオロエチレンを含む水溶液である請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記工程(a)および(b)は、界面活性剤,湿潤剤,増粘剤,pH調整剤を添加することなしに行われる請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記工程(a)で用意されたラテックス状のポリテトラフルオロエチレン原料は、界面活性剤,湿潤剤,増粘剤,pH調整剤、およびそれらの混合物の内のいずれかの添加剤によって安定化される請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記工程(b)における放射線は、電子ビーム放射線を含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記工程(b)における放射線は、ガンマ線を含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記生成物として抽出されたポリテトラフルオロエチレン材料の一部は、約25重量パーセントのポリテトラフルオロエチレン材料を固体として含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
更に、前記工程(c)に先立って、前記照射されたポリテトラフルオロエチレン材料を濃縮する工程(d)を備える請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記生成物として抽出されたポリテトラフルオロエチレン材料の一部は、約50から約70重量パーセントのポリテトラフルオロエチレン材料を固体として含む請求項10記載の方法。
【請求項12】
更に、前記工程(d)で濃縮されたポリテトラフルオロエチレン材料から乾燥ポリテトラフルオロエチレン材料を回収する工程(e)を備える請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記工程(e)は、濾過,乾燥,遠心分離,蒸発、およびそれらの組み合わせの内のいずれかの処理工程である請求項12記載の方法。
【請求項14】
更に、前記工程(e)による結果物の一部に対し粒子サイズ分析を実施する工程を備える請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記工程(a)および(b)は同時に実施される請求項1記載の方法。
【請求項16】
水性溶媒および有機溶媒を含む溶媒にサブミクロンサイズのポリテトラフルオロエチレン粒子を分散させるための方法であって、
サブミクロンサイズのポリテトラフルオロエチレン粒子が前記溶媒に分散するように、請求項1記載の方法によって生成されたポリテトラフルオロエチレン生成物を前記溶媒に混合する工程を備える方法。
【請求項17】
更に、請求項1記載の方法によって生成されたポリテトラフルオロエチレン生成物と一緒に添加剤を前記溶媒に混合する工程を備える請求項16記載の方法。
【請求項18】
請求項16記載の方法であって、
前記溶媒は、樹脂,重合体,単量体,ワックス、およびそれらの混合物の内のいずれかであり、
前記混合する工程は、単軸溶融押出装置,二軸溶融押出装置,多軸押出装置,バンバリミキサ,分散ミキサの内のいずれかの装置を用いて実施される方法。
【請求項19】
サブミクロンサイズのポリテトラフルオロエチレン粒子として溶媒に分散させるためのポリテトラフルオロエチレン粉末であって、
請求項1記載の方法を用いて生成され、流動性,分散性,非凝集性,非粘性,非繊維状分散性を有する前記ポリテトラフルオロエチレン粉末。
【請求項20】
請求項1記載の方法を用いて生成されたポリテトラフルオロエチレンを溶解した溶媒であって、
前記ポリテトラフルオロエチレンは、サブミクロンサイズの粒子として前記溶媒に分散し、
前記分散したポリテトラフルオロエチレン粒子の約50%を超える粒子は、約1.00マイクロメートル未満の大きさである溶媒。
【請求項1】
水性溶媒および有機溶媒を含む溶媒にサブミクロンサイズのポリテトラフルオロエチレン粒子として分散させるためのポリテトラフルオロエチレン生成物を生成する方法であって、
(a) ポリテトラフルオロエチレン原料を、該ポリテトラフルオロエチレン原料の表面酸化を抑制する環境に配置する工程と、
(b) 約5から約120メガラドの強度を有する放射線で前記ポリテトラフルオロエチレン原料を照射する工程と、
(c) 前記照射されたポリテトラフルオロエチレン材料の一部を、前記溶媒に分散させるための前記生成物として抽出する工程と
を備える方法。
【請求項2】
前記工程(a)は、ラテックス状のポリテトラフルオロエチレン原料を用意する工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ラテックス状のポリテトラフルオロエチレン原料を用意する工程は、乳化重合反応器からポリテトラフルオロエチレンを取り出す工程を含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記ラテックス状のポリテトラフルオロエチレン原料は、約10から約40重量パーセントのポリテトラフルオロエチレンを含む水溶液である請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記工程(a)および(b)は、界面活性剤,湿潤剤,増粘剤,pH調整剤を添加することなしに行われる請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記工程(a)で用意されたラテックス状のポリテトラフルオロエチレン原料は、界面活性剤,湿潤剤,増粘剤,pH調整剤、およびそれらの混合物の内のいずれかの添加剤によって安定化される請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記工程(b)における放射線は、電子ビーム放射線を含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記工程(b)における放射線は、ガンマ線を含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記生成物として抽出されたポリテトラフルオロエチレン材料の一部は、約25重量パーセントのポリテトラフルオロエチレン材料を固体として含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
更に、前記工程(c)に先立って、前記照射されたポリテトラフルオロエチレン材料を濃縮する工程(d)を備える請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記生成物として抽出されたポリテトラフルオロエチレン材料の一部は、約50から約70重量パーセントのポリテトラフルオロエチレン材料を固体として含む請求項10記載の方法。
【請求項12】
更に、前記工程(d)で濃縮されたポリテトラフルオロエチレン材料から乾燥ポリテトラフルオロエチレン材料を回収する工程(e)を備える請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記工程(e)は、濾過,乾燥,遠心分離,蒸発、およびそれらの組み合わせの内のいずれかの処理工程である請求項12記載の方法。
【請求項14】
更に、前記工程(e)による結果物の一部に対し粒子サイズ分析を実施する工程を備える請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記工程(a)および(b)は同時に実施される請求項1記載の方法。
【請求項16】
水性溶媒および有機溶媒を含む溶媒にサブミクロンサイズのポリテトラフルオロエチレン粒子を分散させるための方法であって、
サブミクロンサイズのポリテトラフルオロエチレン粒子が前記溶媒に分散するように、請求項1記載の方法によって生成されたポリテトラフルオロエチレン生成物を前記溶媒に混合する工程を備える方法。
【請求項17】
更に、請求項1記載の方法によって生成されたポリテトラフルオロエチレン生成物と一緒に添加剤を前記溶媒に混合する工程を備える請求項16記載の方法。
【請求項18】
請求項16記載の方法であって、
前記溶媒は、樹脂,重合体,単量体,ワックス、およびそれらの混合物の内のいずれかであり、
前記混合する工程は、単軸溶融押出装置,二軸溶融押出装置,多軸押出装置,バンバリミキサ,分散ミキサの内のいずれかの装置を用いて実施される方法。
【請求項19】
サブミクロンサイズのポリテトラフルオロエチレン粒子として溶媒に分散させるためのポリテトラフルオロエチレン粉末であって、
請求項1記載の方法を用いて生成され、流動性,分散性,非凝集性,非粘性,非繊維状分散性を有する前記ポリテトラフルオロエチレン粉末。
【請求項20】
請求項1記載の方法を用いて生成されたポリテトラフルオロエチレンを溶解した溶媒であって、
前記ポリテトラフルオロエチレンは、サブミクロンサイズの粒子として前記溶媒に分散し、
前記分散したポリテトラフルオロエチレン粒子の約50%を超える粒子は、約1.00マイクロメートル未満の大きさである溶媒。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【図20H】
【図20I】
【図20J】
【図20K】
【図20L】
【図20M】
【図20N】
【図20O】
【図20P】
【図20Q】
【図20R】
【図20S】
【図20T】
【図20U】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図24F】
【図24G】
【図24H】
【図24I】
【図24J】
【図24K】
【図24L】
【図24M】
【図24N】
【図24O】
【図24P】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図28E】
【図28F】
【図28G】
【図28H】
【図28I】
【図28J】
【図28K】
【図28L】
【図28M】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図32D】
【図32E】
【図32F】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【図20H】
【図20I】
【図20J】
【図20K】
【図20L】
【図20M】
【図20N】
【図20O】
【図20P】
【図20Q】
【図20R】
【図20S】
【図20T】
【図20U】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図24F】
【図24G】
【図24H】
【図24I】
【図24J】
【図24K】
【図24L】
【図24M】
【図24N】
【図24O】
【図24P】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図28E】
【図28F】
【図28G】
【図28H】
【図28I】
【図28J】
【図28K】
【図28L】
【図28M】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図32D】
【図32E】
【図32F】
【図33】
【図34】
【図35】
【公表番号】特表2006−527269(P2006−527269A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518846(P2005−518846)
【出願日】平成16年1月26日(2004.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/002209
【国際公開番号】WO2004/067608
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505281126)シャムロック・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SHAMROCK TECHNOLOGIES INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月26日(2004.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/002209
【国際公開番号】WO2004/067608
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505281126)シャムロック・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SHAMROCK TECHNOLOGIES INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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