説明

サラシア属植物を含有する食品組成物

【課題】高い濃度、高い活性でサラシア属植物成分を含有しても変色が抑制された食品組成物の提供。
【解決手段】サラシア属植物の抽出物と、クルクミノイド類とを含有し、下式で決定される値が0.1以上であることを特徴とする食品組成物。
(式)食品組成物重量(mg)/スクラーゼの50%阻害濃度(μg/ml)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サラシア属植物を含有する食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
サラシア属植物の根や幹はインドやスリランカの伝統医学アーユルヴェーダにおいて天然薬物として利用されてきた。スリランカではサラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)の根皮がリュウマチ、淋病、皮膚病の治療に有効であるとともに、初期糖尿病の治療に用いられると伝承されている。インドではサラシア・オブロンガ(S. oblonga)の根が同様の治療に用いられるほか、サラシア・キネンシス(S. chinensis)も糖尿病の治療に用いるとされている(非特許文献1)。
【0003】
このようにサラシア属植物には糖尿病の予防や初期治療に有効であることが伝承されている。近年ではサラシア属植物に血糖値上昇抑制作用があり、その作用メカニズムがα−グルコシダーゼ活性阻害に基づく糖吸収抑制作用によるものであることが報告されている(非特許文献1)。
【0004】
近年、数々の植物由来成分を含有する食品等が開発されてきており、それらの中にサラシア属植物が含まれているものもある(例えば特許文献1、2)。
【0005】
【非特許文献1】FOOD Style 21、第6巻、第5号、第72〜78頁
【特許文献1】特開2001-178410号公報
【特許文献2】特開2007-246541公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サラシア属植物の効果を活かすため、より高い濃度、高い活性で添加しようとすると、変色が生じることが判明した。
すなわち、本発明は、高い濃度、高い活性でサラシア属植物成分を含有しつつ、変色することを抑制した食品組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため鋭意検討した結果、サラシア属植物の抽出物を含有する組成物中に、クルクミノイド類を加えることで、変色を低減できることを見出した。更に、本発明の食品組成物は、驚くべきことに腹部膨満感を抑制できた。
具体的には、下記構成よりなる。
【0008】
<1>
サラシア属植物の抽出物と、クルクミノイド類とを含有し、下式で決定される値が0.1以上であることを特徴とする食品組成物。
(式) 食品組成物重量(mg)/スクラーゼの50%阻害濃度(μg/ml)
【0009】
<2>
さらに茶類の抽出物を含有することを特徴とする、上記<1>に記載の食品組成物。
【0010】
<3>
前記茶類が緑茶またはウーロン茶であることを特徴とする、上記<1>または<2>に記載の食品組成物。
【0011】
<4>
クルクミノイド類が、ウコン属植物に由来することを特徴とする、上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の食品組成物。
【0012】
<5>
容器詰飲料、カプセルまたは錠剤の形態であることを特徴とする、上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の食品組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明によって、高い濃度、高い活性でサラシア属植物成分を含有していても、変色することのなく、また腹部膨満感を抑制できる食品組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
・サラシア属植物の抽出物
本発明のサラシア属植物とは、主としてスリランカやインドや東南アジア地域に自生するニシキギ科の植物で、より具体的にはサラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・オブロンガ(S. oblonga)、サラシア・プリノイデス(S. prinoides)、サラシア・キネンシス(S. chinensis)から選ばれる1種類以上の植物が用いられる。
本発明において、サラシア属植物の抽出物は、根、幹、葉、花、果実など可食部の粉砕物、乾燥物、抽出物またはその乾燥粉末(エキス末)などを意味する。1種類以上の部位を混合して使用しても良い。より好ましくは根、幹から抽出したエキス末が用いられる。
【0015】
該エキス末は、前述の可食部等から溶媒抽出によって得られたものを乾燥させたものである。抽出溶媒としては、水、またはメタノール、エタノールを初めとするアルコール類、あるいは水とアルコール類またはアセトンなどのケトン類との混合溶媒から選択されてよい。好ましくは水、アルコール、含水アルコールを用いる。より好ましくは、抽出溶媒として熱水もしくはエタノールあるいは含水エタノールを用いる。前記含水アルコールのアルコール濃度は、30〜90質量%、好ましくは40〜70質量%の濃度のものを使用すればよい。
乾燥方法は噴霧乾燥、凍結乾燥などが挙げられるが、これに限られるものではない。
【0016】
スクラーゼ50%阻害濃度(IC50値)は以下の方法で測定する。
【0017】
[実験法1] スクラーゼIC50値の測定
サンプル溶液の準備:チューブに2mgのサンプルを量り取り、水2mLを加えてよく懸濁し、1mg/mL濃度のサンプル溶液を作成する。これをそれぞれ0、50、100、250、500μg/mLとなるように水で希釈する。
【0018】
基質液の準備:0.2Mマレイン酸バッファー(pH6.0)にスクロース濃度100mMとなるようにスクロースを溶解し、これを基質液とする。
【0019】
粗酵素液の準備:10mLの生理食塩水に1gのintestinal acetone powder rat(SIGMA社製)を懸濁した後、遠心分離(3,000rpm,4℃,5min)した。得られた上清を分離し、粗酵素液とする。
【0020】
前述の各濃度のサンプル溶液500μLに対し、基質液400μLを添加し、水浴中37℃にて5分間予備加温した。ここにそれぞれ、粗酵素液を100μL添加し、37℃にて60分間反応させた。反応終了後、95℃にて2分間加温することで酵素を失活させて反応を停止させた。生成したグルコース濃度を市販のキット・ムタロターゼ・グルコースオキシダーゼ法(グルコースCIIテストワコー、和光純薬工業(株))を使用して定量を行う。
【0021】
ブランクの準備:前述の各濃度のサンプル溶液250μLに対し、基質液200μL、粗酵素液50μLを添加し、直ちに95℃にて2分間加温することで酵素を熱失活させ、ブランクデータとする。
【0022】
得られた値より検量線を作成し、酵素活性を50%阻害する濃度(IC50値)を求める。
【0023】
サラシア属植物の抽出物のスクラーゼの50%阻害濃度(IC50値)は、10μg/ml以上300μg/ml以下が好ましく、10μg/ml以上200μg/ml以下がより好ましく、10μg/ml以上100μg/ml以下が特に好ましい。
【0024】
食品組成物の1日あたりの摂取量または目安摂取量を設定する場合は、組成物1日量中のサラシア属植物の抽出物の量として、例えばIC50値が50μg/mlのサラシア属植物抽出物を用いる場合、10〜600mgが好ましく、15〜300mgがより好ましく、20〜100mgが特に好ましい。
食品組成物中の好ましいサラシア属植物の量は、上記の1日あたりの好ましい量より適宜計算できる。例えば、1日摂取量が3錠の錠剤を作製した場合、1錠あたり1日量の1/3を含有することが好ましい。すなわち、サラシア属植物の抽出物を好ましくは3〜200mg、より好ましくは5〜100mg、特に好ましくは7〜33mg含有する。また、例えば、1日摂取量が1本の容器詰飲料を作製した場合、1本あたり1日量を含有することが好ましい。すなわち、例えばIC50値が50μg/mlのサラシア属植物抽出物を用いる場合、10〜600mgが好ましく、15〜300mgがより好ましく、20〜100mgが特に好ましい。
【0025】
また、下記の式1で求められる値が、0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、1.7以上であることが特に好ましい。
本発明の食品組成物は、下記の式2で求められる食品組成物全体としてのIC50値が、0.1以上であり、0.1〜7.5が好ましく、0.15〜450がより好ましく、0.3〜3.75が特に好ましい。
【0026】
[式1]
サラシア属植物抽出物の1日摂取量(mg)/IC50値(μg/ml)
[式2]
食品組成物質量(mg)/IC50値(μg/ml)
【0027】
サラシア属植物の抽出物がエキス末である場合、その平均粒子径は、0.1〜500μmが好ましく、1〜200μmがより好ましく、5〜100μmが特に好ましい。エキス末を保管する場合、酸素との接触を避けるため、また、微生物との接触を避けて腐敗や発酵を防ぐため、密閉容器中に保管することが好ましい。乾燥剤や脱酸素剤を使用してもよい。保管温度は25℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましく、15℃以下が特に好ましい。
【0028】
・クルクミノイド類
本発明の組成物が含有するクルクミノイド類としては、クルクミン、テトラヒドロクルクミンおよびそれらの誘導体が好ましい。
クルクミノイド類としては、具体的には下記一般式(I)で表されるクルクミン類または下記一般式(I)で表されるテトラヒドロクルクミン類(II)ものが好ましい。
【0029】
【化1】

【0030】
【化2】

【0031】
式中、R1〜R10は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはアリール基を表し、互いに連結して環を形成していてもよい。
3、R8の少なくとも一方が水酸基であることが好ましく、両方が水酸基であることがより好ましい。
、Rの少なくとも一方がアルコキシ基であることが好ましく、両方がアルコキシ基であることがより好ましい。アルコキシ基は好ましくはメトキシ基である。
1、R、R5、R6、R、R10は好ましくは水素原子である。
【0032】
即ち、本発明のクルクミノイド類としては、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、テトラヒドロデメトキシクルクミン、テトラヒドロビスデメトキシクルクミン等が好ましく、より好ましくはクルクミンまたはテトラヒドロクルクミンが挙げられる。
【0033】
本発明のクルクミノイド類は、一種単独でも複数併用して用いてもよい。また、互変異性体を有するものは、ケト型、エノール型、それらの混合物の何れであってもよい。
【0034】
本発明におけるクルクミノイド類は、合成物であってもよいが、植物由来のものが好ましく、より好ましくはウコン属植物に由来するものである。
即ち、ショウガ目ショウガ科ウコン属(Curcuma)の植物の粉末などの破砕物または抽出物であることがより好ましい。
ウコン属植物としては、ウコン(C. longa)、春ウコン(C. aromatica)、紫ウコン(C. zedoaria)等が挙げられ、もっとも好ましくはウコン(C. longa)由来のものが用いられる。
ウコン属植物由来のクルクミノイド類は、各種公知の方法を用いて破砕・抽出を行って得てもよいし、各種市販品を用いることもできる。
ウコン属植物のエキス末を使用する場合、エキス末中のクルクミノイド含有量は、ウコン属植物エキス末100重量部中、50重量部以上が好ましく、70重量部以上がより好ましく、80重量部以上が特に好ましい。
【0035】
本発明の食品組成物におけるクルクミノイド類の含有量は、サラシア属植物の抽出物100重量部に対し、10〜1000重量部が好ましく、20〜500重量部がより好ましく、50〜150重量部が特に好ましい。
【0036】
本発明の食品組成物は、サラシア属植物の抽出物と、クルクミノイド類とを含有するが、それぞれ液体であっても固体であってもよく、エマルジョンを形成していてもよい。
本発明の食品組成物を液体とする場合、溶媒は経口摂取可能なものであれば特に制限はないが、水およびエタノールから選ばれる1種以上が好ましく、特に好ましくは水である。
本発明の食品組成物がエマルジョンを形成する場合、エマルジョンの型に特に制限はないが、水中油型エマルジョンが好ましい。各成分が含有される相は油相でも水相でも良いが、サラシア属植物の抽出物が水相に、クルクミノイド類が油相に含有されることが好ましい。
【0037】
・茶類の抽出物
本発明の食品組成物は、さらに茶類の抽出物を含有することが好ましい。
茶類としては、ツバキ科の常緑樹である茶の木(Camellia sinensis)より作製されたものが好ましい。茶の木は、インドやスリランカ、東南アジアで栽培されているアッサミカ(C. sinensis var. assamica)と中国や日本で栽培されているカメリア・シネンシスのどちらも用いられる。
好ましくは茶の葉の抽出物を用いる。尚、茶の葉は収穫後すぐに用いたり加熱処理したもの(いわゆる緑茶)を用いてもよいし、発酵させたものを用いてもよい。発酵させた茶としては、ウーロン茶のような半発酵茶、紅茶のような全発酵茶、プーアル茶のように後発酵させたものなどが挙げられる。本発明においては、緑茶抽出物またはウーロン茶抽出物を用いることがより好ましく、ウーロン茶抽出物を用いることが最も好ましい。
抽出には、通常、好ましくは水、アルコール、含水アルコールを用いる。より好ましくは、抽出溶媒として熱水もしくはエタノールあるいは含水エタノールを用いる。前記含水アルコールのアルコール濃度は、30〜90質量%、好ましくは40〜70質量%の濃度のものを使用すればよい。乾燥方法は噴霧乾燥、凍結乾燥などが挙げられるが、これに限られるものではない。
【0038】
茶抽出物中には、ポリフェノールやカテキン類などの抗酸化物質を含有する。カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレートまたはエピガロカテキンガレートが含まれていることが好ましく、特に、エピガロカテキンガレートを含有することが好ましい。
茶抽出物は各種公知の方法を用いて破砕・抽出を行って得てもよいし、各種市販品を用いることもできる。
茶抽出物は、一種単独でも複数併用して用いてもよい。
本発明の食品組成物は、該茶抽出物を、0.1〜40質量%含有することが好ましく、0.5〜35質量%含有することが更に好ましく、1.0〜30質量%含有することが特に好ましい。
【0039】
本発明の食品組成物はヒトを含む哺乳類を対象とし、該哺乳類に経口的に投与される。本発明の食品組成物は、医薬部外品または医薬品であってもよい。
【0040】
本発明の食品組成物は、他に成分を含有していてもよく、他の成分としては、経口投与剤として薬学的若しくは食品衛生上許容される各種の担体、賦形剤、滑沢剤、安定剤、分散剤(増粘多糖類等)、結合剤、希釈剤、香味料、甘味料、風味剤、着色剤などを例示することができる。
特に本発明の食品組成物を液体とする場合、成分の沈殿防止のため、増粘多糖類等の分散剤を含有させることが好ましい。増粘多糖類としては、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、カラギナン、ペクチン、プルラン、カシアガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ゼラチン、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガム、マクロホモプシスガム、寒天、ラムザンガム、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、カードラン、ガティガム、微結晶セルロース、発酵セルロース、微小繊維状セルロース等のセルロース誘導体、化工澱粉、加工澱粉等が例示され、発酵セルロース、または、ジェランガムとペクチンの混合物が好ましい。
【0041】
本発明の食品組成物には、上記の他にビタミン、ビタミン様物質、タンパク質、アミノ酸、油脂、有機酸、炭水化物、植物由来原料、動物由来原料、微生物および微生物由来原料、食品用添加物、医薬品用添加物等、経口摂取可能な成分を適宜含有させることができる。
【0042】
本発明の組成物の形態は、本発明の効果を奏するものである限り特に制限されず、例えば、錠剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、咀嚼剤、カプセル剤、液剤、チュアブル剤、飲料等が挙げられる。その他の食品の形態であってもよい。好ましくは容器詰飲料、カプセルまたは錠剤である。
これらの形態は、当該分野で通常知られた慣用的な方法を用いて調製することができる。
なお、錠剤、丸剤及び顆粒剤の場合、必要に応じて慣用的な剤皮を施した剤形、例えば糖衣錠,ゼラチン被包剤、腸溶被包剤、フィルムコーティング剤等とすることもでき、また錠剤は二重錠等の多層錠とすることもできる。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を用いて本発明について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0044】
配合例 1−1〜1−11
サラシア・レティキュラータ(S. reticulata)0.5kgおよびサラシア・オブロンガ(S. oblonga)0.5kgの根及び幹の部分を粉砕後、10Lの水を加え、100℃、1時間の条件で抽出し、得られた抽出液を100メッシュのフィルターでろ過した後スプレー乾燥し、50gのエキス末を得た。
ウコンエキス末 … ウコンエキスパウダーET、日本スタンゲ(株)製 (クルクミノイド90重量%以上含有)
ウーロン茶エキス末 … ウーロン茶エキスM水性、丸善製薬(株)製
緑茶エキス末 … サンフェノン100S、太陽化学(株)製
結晶セルロース … 「ゼオラス」FD‐101、旭化成ケミカルズ社製
増粘多糖類 … ビストップ D−1796、三栄源エフ・エフ・アイ(株) (ジェランガムおよびペクチンを含有)
【0045】
表1の配合例1−1〜1−11の組成の混合粉末を打錠し、錠剤を作製した。
各錠剤を40℃75%RHで1週間保存し、錠剤表面の色の変化を10人の評価者により評価した。
評価は、下記の基準により点数づけを行い、平均点を各試料の色変化の点数とした。
0点 … 全く変化がなかった
1点 … ほとんど変化がなかった
2点 … 少し変化があったが、許容内であった
3点 … 少し変化があり、許容外であった
4点 … 変化があり、許容外であった
5点 … 大きく変化があり、許容外であった
色変化の点数は、0〜2点が好ましく、0〜1点がより好ましく、0〜0.5点が特に好ましい。
また、各錠剤の式1で決定される値Aを表1に併記した。
(式1) A = 食品組成物重量(mg)/スクラーゼの50%阻害濃度(μg/ml)
【0046】
【表1】

【0047】
配合例1−1(A=0.06)では保存による変色が問題ないレベルであるのに対し、配合例1−2〜1−5(A=0.13〜0.75)では、変色が大きかった。これに対し、クルクミノイド類を含有させることで、変色は問題ないレベルに減少した(配合例1−6〜1−9)。さらに、茶類の抽出物を含有させることにより、変色はさらに減少した(配合例1−10、1−11)。
【0048】
カプセル形態の食品の製造
配合例1−7、1−10の組成の粉末をそれぞれ透明ゼラチンハードカプセル(2号)に充填し、カプセル形態の食品を製造した。この食品を40℃75%RHで保存し、前記と同様に色変化の点数をつけたところ、それぞれ1.2、0.3であり、変色の少ないカプセル形態の食品が製造できた。
【0049】
配合例 2−1〜2−14
表2の配合例 液体2−1〜2−14の組成に従い、純水に各種エキス末および増粘多糖類を添加した後攪拌し、各種エキス末が溶解または均一に分散した液体組成物を調整した。
各液体組成物を40℃75%RHで1週間保存し、前記と同様に色変化の点数をつけ、結果を表2に示した。
【0050】
【表2】

【0051】
配合例2−1(A=0.06)では保存による変色が問題ないレベルであるのに対し、配合例2−2〜2−5(A=0.13〜0.75)では、変色が大きかった。これに対し、クルクミノイド類を含有させることで、変色は問題ないレベルに減少した(配合例2−6〜2−10)。さらに、茶類の抽出物を含有させることにより、変色はさらに減少した(配合例2−11、2−14)。
【0052】
これらの液体組成物に適宜酸味料、甘味料、香料などを加え、ガラス瓶に充填して、変色の少ない容器詰飲料を作製できた。
【0053】
配合例1−4、1−7、1−10および1−11に従って作製した錠剤、および配合例2−4、2−8、2−12および2−14に従って作成した容器詰飲料を、健康な男女10名に1日3回食前に3日間摂取してもらった。摂取によって呈した腹部膨満感について、下記の基準で点数づけをしてもらった。10名の平均点を腹部膨満感体感度として表3に記載した。
【0054】
腹部膨満感を感じない … 0点
腹部膨満感を少し感じる … 1点
腹部膨満感を感じる … 2点
腹部膨満感を強く感じる … 3点
【0055】
【表3】

【0056】
比較例では腹部膨満感体感度が高かった。これは、サラシア属植物の糖吸収抑制作用により、未消化の糖質が大腸に達し、腸内細菌によって分解発酵された際に生じるガスに起因するものと考えられる。それに対し、本発明では、クルクミノイド、茶抽出物を同時に含有させることにより、サラシア属植物の摂取に起因する腹部膨満感が低減された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サラシア属植物の抽出物と、クルクミノイド類とを含有し、下式で決定される値が0.1以上であることを特徴とする食品組成物。
(式) 食品組成物重量(mg)/スクラーゼの50%阻害濃度(μg/ml)
【請求項2】
さらに茶類の抽出物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の食品組成物
【請求項3】
前記茶類が緑茶またはウーロン茶であることを特徴とする、請求項1または2に記載の食品組成物
【請求項4】
クルクミノイド類が、ウコン属植物に由来することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品組成物
【請求項5】
容器詰飲料、カプセルまたは錠剤の形態であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品組成物

【公開番号】特開2009−219370(P2009−219370A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64452(P2008−64452)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】