説明

サンプラー及び液体吸入・供給装置

【課題】 サンプル吸引ノズル等の液体吸入・供給ノズルを移動させる方式であって、装置の設置面積が小さく、液体吸入・供給ノズルを移動させるための装置による障害を受けることなく液体容器の設置又は取外しが容易にでき、さらには部品点数が少なく低コストのサンプラー及び液体吸入・供給装置を提供することにある。
【解決手段】 サンプル容器は固定し、サンプル吸引ノズルが、X,Y座標上を移動するノズルホルダに保持され、各位置でZ軸上を上下に移動するサンプラーにおいて、X,Yいずれかの一軸は、ノズルホルダを取り付けたレバーの回転角度で制御し、他の軸は、ノズルホルダを取り付けたレバーの回転軸からの径を伸縮して制御するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル容器中に収容されたサンプルや試料をサンプル吸引ノズルで吸引して分析装置や反応器等へ送り込み、又は分取クロマトグラフカラムや反応器から出て来る液が導入される分画ノズルを移動させながら、複数に分画された受け取り容器に順次供給するように構成されたサンプラー及び液体吸入・供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サンプル容器の区画されたサンプル収容部内に収容されている多くのサンプルや試料(以下サンプルという)を、該サンプル収容部内からサンプル吸引ノズルで吸引して、分析装置や反応器等のサンプル使用先に送り込むサンプラーには、一般に、次の2つの方式が用いられている。
(1)サンプル吸引ノズルを上下方向のみに移動させ、サンプル容器をサンプル吸引ノズルに対応して水平方向に移動させる方式。
この方式には、前記サンプル容器をX,Y2軸方向に移動させる方式と、該サンプル容器を回転移動するターンテーブル方式がある。前記サンプル容器は、新しい容器の設置と液排出後の取外しが毎回行なわれる。
【0003】
(2)前記サンプル容器を固定し、前記サンプル吸引ノズルをX,Y,Z3方向に移動させる方式。
この方式においては、サンプル吸引ノズルと該サンプル吸引ノズルのZ軸上下機構とはX軸方向及びY軸方向のガイドレールでガイドされ、ボールねじやタイミングベルトを介して駆動される。また、前記サンプル吸引ノズル及びZ軸上下機構はサンプル容器の上方に設置され、前記ガイドレール、ボールねじ、タイミングベルト等のX,Y軸駆動機構もサンプル容器の上方又は側部に設置される。
この方式においても、前記サンプル容器は、新しい容器の設置と液排出後の取外しが毎回行なわれる。
前記(2)と同様な方式に、特許文献1(特開平7−140127号公報)に開示されているような、分画ノズルをX,Y2軸方向に移動する方式がある。
【0004】
【特許文献1】特開平7−140127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記(1)のように、サンプル吸引ノズルを上下方向のみに移動させ、サンプル容器をサンプル吸引ノズルに対応して水平方向に移動させる方式では、サンプル吸引ノズルの配管が短くなるという長所があるが、装置の設置面積が大きくなるという問題点がある。
一方、前記(2)のように、サンプル容器を固定し、サンプル吸引ノズルをX,Y,Z3方向に移動させる方式では、装置の設置面積は前記(1)の方式よりも小さくなるという長所があるが、サンプル吸引ノズルを移動させるため該サンプル吸引ノズルの配管が長くなるという問題点がある。
【0006】
しかるに、前記サンプラーを、ドラフトチャンバーやクーリングボックス内の狭小な場所に設置するにあたっては、前記(2)の方式、つまりサンプル容器を固定してサンプル吸引ノズルをX,Y,Z3方向に移動させる方式を採用せざるを得ないこととなる。
しかしながら、前記(2)のような、サンプル容器を固定してサンプル吸引ノズルをX,Y,Z3方向に移動させる方式を用いる場合には、前記のようにサンプル吸引ノズルを移動させるため該サンプル吸引ノズルの配管が長くなるという問題点があり、また装置を小型化した設計にすると、サンプル容器の設置又は取外しを行なう際に、サンプル吸引ノズル及び該サンプル吸引ノズルをX,Y,Z3方向に移動させるための駆動装置及びX軸方向、Y軸方向のガイドレールが、設置又は取外し作業の障害になって、該サンプル容器の設置又は取外しが困難になる。反面、かかる問題の発生を回避すると装置が大型化する。
また、前記(2)の方式では、サンプル吸引ノズルを複雑な装置を用いて移動させる構成であることから、部品点数が多くなって高コストになる。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、サンプル吸引ノズル等の液体吸入・供給ノズルを移動させる方式であって、装置の設置面積が小さく、液体吸入・供給ノズルを移動させるための装置による障害を受けることなく液体容器の設置又は取外しが容易にでき、さらには部品点数が少なく低コストのサンプラー及び液体吸入・供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来技術の有する課題を解決するために、請求項1の発明は、サンプル容器は固定し、サンプル吸引ノズルが、X,Y座標上を移動するノズルホルダに保持され、各位置でZ軸上を上下に移動するサンプラーにおいて、X,Yいずれかの一軸は、ノズルホルダを取り付けたレバーの回転角度で制御し、他の軸は、ノズルホルダを取り付けたレバーの回転軸からの径を伸縮して制御するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項1において、前記液体ノズルの駆動手段は具体的には請求項2〜請求項4のように構成するのが好ましい。
すなわち、請求項2においては、前記ノズルホルダを取り付けたレバーにラックを設け、該ラックを複数のガイドローラでガイドし、該ラックに噛み合うピニオン歯車でレバーを伸縮させ駆動するように構成する。
【0010】
また、請求項3においては、前記ノズルホルダを取り付けたレバーを複数のローラでガイドし、該レバーに押し付けた摩擦駆動ローラでレバーを伸縮するように構成する。また、請求項4においては、ノズルホルダに保持されたサンプル吸引ノズルと、ノズル上下駆動機構間をプッシュプルケーブルで連結するように構成する。
【0011】
また、請求項5の発明は、液体容器をベースに固定し、該液体容器に液体を供給又は該液体容器から液体を吸入する供給口を有する液体ノズルが水平方向のX,Y軸座標上を前記液体容器の所要位置まで移動可能に構成されるとともに、該液体ノズルが上下方向のZ軸座標上を上下動するように構成された液体供給・吸入装置において、ステッピングモータからなるX軸駆動モータの出力軸に支持ブロックを該出力軸とともに可逆回動可能に固定し、該支持ブロックにレバーをY軸駆動モータによって駆動されるレバー往復動装置により往復動可能に支持し、前記レバーに上下動可能に取り付けられたガイド部材に前記液体ノズルを取り付けるとともにZ軸駆動モータの回転により該ガイド部材を往復動せしめるガイド部材往復動装置に該ガイド部材を連結し、前記液体ノズルの移動制御を、前記X軸,Y軸のいずれか一方の軸については前記X軸駆動モータによるレバーの回動角度で制御するとともに、他方の軸については前記レバー往復動装置により前記レバーの前記回動軸からの長さを変化させて制御し、前記液体ノズルのZ軸方向の移動制御を前記Z軸駆動モータの回転により行うように構成したこと構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項5において、具体的には請求項6又は請求項7のように構成するのが好ましい。
すなわち、請求項6においては、前記レバーにラックを設けるとともに該レバーをガイド部材でガイドし、前記ラックに噛み合うとともに前記Y軸駆動モータによって回転駆動されるピニオン歯車を設けて、前記Y軸駆動モータにより前記ピニオン歯車を回転駆動して前記ラックを往復動させて、前記レバーを前記ガイド部材でガイドして移動させることにより前記回転軸からの長さを変化させるように構成する。
【0013】
請求項7においては、前記レバーをガイド部材でガイドし、前記Y軸駆動モータによって回転駆動される摩擦駆動ローラを設けて、前記Y軸駆動モータにより前記摩擦駆動ローラを回転駆動しながら該摩擦駆動ローラを前記レバーに押付けて該摩擦駆動ローラとレバーとを摩擦接触せしめて、前記レバーを前記ガイド部材でガイドして移動させることにより前記回転軸からの長さを変化させるように構成する。
【発明の効果】
【0014】
上述のように、請求項1ないし4に係るサンプラーでは、サンプル容器は固定し、サンプル吸引ノズルが、X,Y座標上を移動するノズルホルダに保持され、各位置でZ軸上を上下に移動するサンプラーにおいて、X,Yいずれかの一軸は、ノズルホルダを取り付けたレバーの回転角度で制御し、他の軸は、ノズルホルダを取り付けたレバーの回転軸からの径を伸縮して制御するようにした基本構成を採用している。
これによって、サンプル容器の設置時及び取り外し時には、吸引ノズル及びノズルホルダを取り付けたレバーが、このような操作の邪魔にならないように移動する。
【0015】
また、サンプル吸引ノズルの上下駆動機構を固定部に設置する構成とし、上下駆動機構とサンプル吸引ノズルを保持したノズルホルダ間を請求項4のように、プッシュプルケーブルで連結することができ、これによって、サンプル吸引ノズル部を小型、軽量化することができる。
【0016】
また、前記基本構成では、請求項2、請求項3のような構成を採用することができ、X及びY軸に関する制御用のガイドレールやボールネジ、タイミングベルト等の駆動機構を不要として、部品点数を減らすことができる。かつ、前記上下駆動機構を固定部に移動することにより、さらに軽量化を図り、簡潔でコスト的にも有利な装置構成とすることができる。
また、装置構成を小型化することにより、サンプル吸引ノズルの配管が長くなるという、前記した従来の問題点も解消する。
【0017】
また、請求項5ないし7の発明によれば、ステッピングモータからなるX軸駆動モータの出力軸に支持ブロックを固定して該支持ブロックにレバーを該回動軸とともに可逆回動可能に支持するとともに、該支持ブロックに前記レバーをY軸駆動モータにより駆動されるレバー往復動装置により往復動可能に支持して、前記X軸駆動モータによって前記支持ブロックを介して前記レバーを可逆回動することにより前記X軸についてレバーの回動角度での制御を行ない、前記レバー往復動装置によって前記レバーを前記支持ブロックに支持された形態で往復動せしめることによりY軸について前記レバーの前記回動軸からの長さを変化させる制御を行ない、さらにZ軸駆動モータの回転をピニオン歯車とラックとの噛み合いによるロッドの往復動により液体ノズルのZ軸方向の移動制御を行うように構成したので、
X軸駆動モータによって支持ブロックを可逆回動させてレバーの端部をX軸方向に移動制御するとともに、該支持ブロックにレバーを往復動可能に支持してレバー往復動装置によって該レバーをY軸方向に移動制御し、さらに液体ノズルのZ軸方向の移動制御をZ軸駆動モータの回転で行うことにより、該液体ノズルをX,Y,Zの3軸方向に自在に移動制御して、液体容器内の液体内に進入又は該液体内から退出させることができる。
【0018】
したがって、液体ノズルの上下移動をZ軸駆動モータの回転により個別に行い、X軸駆動モータによって前記支持ブロックを可逆回動させるとともに該支持ブロックに往復動可能に支持されたレバー及び該レバーに取り付けた前記液体ノズルをY軸駆動モータによって往復動させることにより、液体ノズルを液体容器の上方で自在に移動させることができて、これにより、液体容器の設置又は取外しを、前記支持ブロック、レバー等の液体ノズル駆動系及び液体ノズルに支障されることなく容易に行なうことができる。
また、レバー回動装置を構成するステッピングモータの出力軸に固定した支持ブロックを可逆回動させるとともに該支持ブロックに往復動可能に支持されたレバーをレバー往復動装置により往復動させ、さらにZ軸駆動モータの回転をピニオン歯車とラックとの噛み合いによるロッドの往復動により、前記レバーに取り付けられた液体ノズルをZ軸方向に移動せしめる構成で、液体ノズルのX軸,Y軸の水平2方向及びZ軸の上下方向の自在な移動を可能としたので、小型コンパクトな構造となって、装置の設置面積が少なくて済み、さらに従来技術のようなガイドレールや、ボールねじ、タイミングベルト等の駆動機構が不要となり、構造が簡単で部品点数が少なく低コストの装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るサンプラーの正面図(図2のA矢視図)、図2は前記サンプラーの平面図、図3は前記サンプラーの側面図(図2のB矢視図)である。
図1〜図3において、2はベース、1は該ベース2の前方側に形成された凹部に固定されたサンプル容器で、この例では該サンプル容器1は96穴ディープウェルを使用しているが、複数の試験管をX,Y方向に並べて構成することも可能である。
100は前記ベース2上の後方側に取り付けられた吸引ノズル駆動機構であり、次のように構成されている。
【0020】
3はX軸駆動モータで、ステッピングモータからなり、図3のように出力軸3aを垂直にして、モータ取付金具4を介して前記ベース2上に固定されている。
5はY軸駆動ブロック(支持ブロック)で、板状の下部部材5aと板状の上部部材5bとを複数個(この例では4個)の連結ステー5cで連結して形成される。前記Y軸駆動ブロック5は、その下部部材5aを前記X軸駆動モータ3の出力軸3aの上端部に固定ネジ5dを介して固定され、これにより前記出力軸3aとともに可逆的に回動可能となっている。
6は前記Y軸駆動ブロック5の側部に取り付けられたX軸シャッタ、7は前記ベース2上に取り付けられたX軸原点センサであり、該X軸シャッタ6とX軸原点センサ7とにより後述するサンプル吸引ノズル11のX軸方向(左右方向)の位置決めがなされる。
【0021】
前記Y軸駆動ブロック5上にはY軸駆動モータ8が出力軸(図示省略)を垂直で下方に向けて取り付けられている。9は該Y軸駆動モータ8の出力軸に固定されたピニオン歯車である。
10は前後方向に伸びる棒状に形成されたレバーで、前記Y軸駆動ブロック5上に前後方向(Y軸方向)に往復動自在に支持され、複数個(この例では2個)のガイドローラ14a,14bにガイドされて該Y軸駆動ブロック5上を往復動するようになっている。
前記レバー10の前方先端にはノズルホルダ12を介して、液体を吸引する吸引口を有するサンプル吸引ノズル(以下吸引ノズルという)11が取り付けられている。
13は該吸引ノズル11に接続された配管で、該吸引ノズル11で吸引された液体が該配管13を介して図示しないサンプル使用先に供給されるようになっている。
【0022】
前記レバー10には、長手方向に沿ってラック10aが刻設され、該ラック10aが前記ピニオン歯車9に噛み合うようになっている。14a,14bは前記レバー10の長手方向に複数個(この例では2個)されたガイドローラである。
したがって、前記レバー10は、前記Y軸駆動モータ8により前記ピニオン歯車9を回転駆動して前記ラック10aを往復動させ、前記ガイドローラ14a,14bにガイドされて、図2のS矢印のように、前記サンプル容器1の前後方向に往復動することとなり、これにより前記X軸駆動モータ3の出力軸3aの回転軸心からの距離を変化可能となる。
なお、前記ガイドローラ14a,14bに代えて、前記レバー10をスライド軸受で往復動可能に支持することも可能である。
【0023】
なお、図示を省略するが、前記のようなラック10a及びピニオン歯車9の組み合わせに代えて、摩擦駆動ローラを用いることも可能である。
すなわち、前記吸引ノズル11を取り付けた前記レバー10を前記ガイドローラ14a,14bでガイドし、前記Y軸駆動モータ8によって回転駆動される摩擦駆動ローラを設けて、前記Y軸駆動モータ8により前記摩擦駆動ローラを回転駆動しながら該摩擦駆動ローラを前記レバー10に押付けて、該摩擦駆動ローラとレバー10とを摩擦接触せしめ、前記レバー10を前記ガイドローラ14a,14bにガイドされて移動させる。これにより、前記レバー10は、前記X軸駆動モータ3の出力軸3aからの距離を変化させることが可能となる。
この場合は、前記ラック10a及びピニオン歯車のような歯形加工が不要となり、低コストとなる。
【0024】
図3において、15は前記レバー10に取り付けられたY軸シャッタ、16は前記Y軸駆動ブロック5にブラケット16aを介して取り付けられたY軸原点センサであり、該Y軸シャッタ15とY軸原点センサ16とにより前記吸引ノズル11のY軸方向(前後方向)の位置決めがなされる。
【0025】
101は前記ベース2の後部に設けられたノズル上下駆動機構であり、次のように構成されている。
図4はノズル上下駆動機構の吸引ノズル装着部の拡大側面図、図5はノズル上下駆動機構の駆動部の拡大側面図であり、図4〜5において、17は前記ベース2の後方側部に取り付けられた取付台で、該取付台17にはステッピングモータからなるZ軸駆動モータ18が出力軸(図2において、18aは出力軸の軸心)を水平にして取り付けられ、該出力軸の端部にはピニオン歯車19が固定されている。
20は垂直に設けられたロッドで、長手方向に沿って前記ピニオン歯車19と噛み合うラック20aが刻設されている。21a,21bは前記ロッド20の長手方向に複数個(この例では2個)されたガイドローラである。
したがって、前記ロッド20は、前記Z軸駆動モータ18により前記ピニオン歯車19を回転駆動して前記ラック20aを往復動させることにより、前記ガイドローラ21a,21bにガイドされて、図5のU矢印のように、上下方向に往復動することとなる。
【0026】
22は前記ロッド20に取り付けられたZ軸シャッタ、23は前記取付台17に取り付けられたZ軸原点センサであり、該Z軸シャッタ22とZ軸原点センサ23とにより前記吸引ノズル11のZ軸方向(上下方向)の位置決めがなされる。
24は一端側を前記ロッド20の上端部に連結されたプッシュプルケーブル芯線で、プッシュプルケーブルチューブ25の内周に相対移動可能に挿入されている。17aは前記プッシュプルケーブルチューブ25の一端側を前記取付台17の上部に固定するためのコネクタである。
【0027】
図1〜2のように、前記プッシュプルケーブル芯線24は、プッシュプルケーブルチューブ25の内周に相対移動可能に挿入された形態で、後述するように、前記上下駆動機構101の吸引ノズル11側に接続されている。
すなわち、前記ノズル上下駆動機構101の吸引ノズル装着部近傍を示す図4において、26はガイド棒で、下端部に前記吸引ノズル11が固定され、上端部に前記プッシュプルケーブル芯線24が固定されている。27はガイドチューブで、該ガイドチューブ27内に前記ガイド棒26が往復動可能に挿入されている。
また、前記ガイドチューブ27は長手方向2箇所において、前記レバー10の前方先端に固定された前記ノズルホルダ12の支持部12aに固定、支持されている。
【0028】
このように構成することにより、前記Z軸駆動モータ18によりピニオン歯車19を回転駆動してラック20a及びロッド20を往復動させ、該ロッド20の上下方向つまりZ軸方向移動により前記プッシュプルケーブル芯線24が前記プッシュプルケーブルチューブ25内を往復移動し、該プッシュプルケーブル芯線24に連結されたガイド棒26及び吸引ノズル11が、前記ガイドチューブ27内を図4W矢印のように上下方向(Z軸方向)に往復動せしめられることとなる。
【0029】
また、ステッピングモータからなる前記Z軸駆動モータ18及びステッピングモータからなる前記X軸駆動モータ3及びステッピングモータからなる前記Y軸駆動モータ8は、図示しないモータコントローラによって、可逆的な回動又は可逆的な回転を制御される。
なお、Z軸駆動モータ18によるラックとピニオン歯車を採用した機構は、これに限定されるものではない。摩擦ローラを採用した機構、電動シリンダ、空圧シリンダ、油圧シリンダ、ソレノイド等の他の直線運動機構も勿論代替して採用することができる。
【0030】
以上の構成によって、前記レバー10の先端部に取り付けられた吸引ノズル11は、該レバー10とともに、図2のように、ステッピングモータからなるX軸駆動モータ3によってN1方向に可逆的に回動されることによりX軸方向(左右方向)に往復移動し、ステッピングモータからなるY軸駆動モータ8によって前記ピニオン歯車9をN2方向に可逆的に回転駆動して前記ラック10aを往復動させることによりY軸方向(前後方向)に往復移動する。
さらに、前記吸引ノズル11は、前記レバー10に支持された状態で、図5のようにステッピングモータからなるZ軸駆動モータ18によって前記ピニオン歯車19を可逆的に回転駆動して前記ラック20a及びロッド20を図5U矢印のように往復動させ、図4のようにプッシュプルケーブル芯線24及びガイド棒26を介して図4W矢印のように上下方向(Z軸方向)に往復移動せしめられる。
これにより、前記吸引ノズル11は、前記サンプル容器1上をX,Y,Z3軸方向に自在に移動し、該サンプル容器1の所望の孔から液体を吸引可能となる。
【0031】
次に、この実施形態の動作を説明する。
図示しない装置用の電源を入れ、Z軸原点センサ23がZ軸シャッタ22を検出していないときは、ステッピングモータからなる前記Z軸駆動モータ18をたとえば左方向に回転して前記ラック20a及びロッド20を下方に移動し、該Z軸原点センサ23がZ軸シャッタ22を検出しているときはZ軸駆動モータ18をたとえば右方向に回転して前記ラック20a及びロッド20を上方に移動し、Z軸原点センサ23がZ軸シャッタ22を不検出になったらZ軸駆動モータ18をたとえば左方向に回転して前記ラック20a及びロッド20を下方に移動し、Z軸シャッタ22の不検出から検出に変わる位置を前記Z軸駆動モータ18の原点とする。
【0032】
また、X軸原点センサ7がX軸シャッタ6を検出していないときはステッピングモータからなる前記X軸駆動モータ3を左方向に回動し、該X軸原点センサ7がX軸シャッタ6を検出しているときは前記X軸駆動モータ3を右方向に回動し、次いで該X軸原点センサ7がX軸シャッタ6を不検出になったら前記X軸駆動モータ3を左方向に回動して、X軸シャッタ6の不検出から検出に変わる位置を前記X軸駆動モータ3の原点とする。
【0033】
次に、Y軸原点センサ16がY軸シャッタ15を検出していないときは、ステッピングモータからなる前記Y軸駆動モータ8をたとえば左方向に回転して前記レバー10及び吸引ノズル11を受け取り容器1の後方に移動し、該Y軸原点センサ16がY軸シャッタ15を検出しているときは前記レバー10及び吸引ノズル11をサンプル容器1の前方に移動し、次いで該Y軸原点センサ16がY軸シャッタ15を不検出になったらY軸駆動モータ8をたとえば左方向に回転して前記レバー10及び吸引ノズル11を後方に移動し、Y軸シャッタ15の不検出から検出に変わる位置を前記Y軸駆動モータ8の原点とする。
【0034】
前記のようにして、Z軸駆動モータ18及びX軸駆動モータ3及びY軸駆動モータ8の原点を検出したら、前記吸引ノズル11を、前記サンプル容器1の設置及び取外しの障害にならない位置に移動して、ソフト原点を設定する。
前記吸引ノズル11のソフト原点を設定したら、図示しないモータコントローラによって、ステッピングモータからなる前記X軸駆動モータ3の図2N1方向の可逆的な回動を制御することにより該レバー10及び該レバー10にノズルホルダ12及びガイド棒26を介して支持された吸引ノズル11をX軸方向(左右方向)に往復移動し、ステッピングモータからなる前記Y軸駆動モータ8及び前記ピニオン歯車9の図2N2方向に可逆的な回転を制御することにより、前記ラック10aを介して該レバー10及び吸引ノズル11をY軸方向(前後方向)往復移動させる。
【0035】
このようにして前記吸引ノズル11の水平方向位置つまりX―Y軸方向位置を、サンプル容器1の所定の孔(たとえばポジション1の孔)上に設定すると、前記モータコントローラの制御によりZ軸駆動モータ18によってラック20a及びロッド20を図5の上方に引き上げる。これにより吸引ノズル11はプッシュプルケーブル芯線24及びガイド棒26を介して図4の下方に移動して、前記サンプル容器1の所定の孔(たとえばポジション1の孔)内に挿入され、前記配管13に接続される吸引ポンプ(図示省略)によって所定の孔(たとえばポジション1の孔)内のサンプル液体を吸引し、所定の使用先に送り込む。
【0036】
以上のようにして、サンプル液体の吸引が終了すると、前記モータコントローラの制御によりZ軸駆動モータ18によってラック20a及びロッド20を図5の下方に引き上げ、プッシュプルケーブル芯線24及びガイド棒26を介して吸引ノズル11を前記サンプル容器1の所定の孔(たとえばポジション1の孔)から上方に引き上げる。
そして、吸引ノズル11を引き上げたら、前記と同様にして前記X軸駆動モータ3及びY軸駆動モータ8の駆動により吸引ノズル11の水平方向位置つまりX―Y軸方向位置をサンプル容器1の次の孔(たとえばポジション2の孔)上に設定し、前記と同様にしてZ軸駆動モータ18の駆動により吸引ノズル11を次の孔(たとえばポジション2の孔)に挿入して次の孔(たとえばポジション2の孔)内のサンプル液体を吸引する。
【0037】
以上のような水平方向位置つまりX―Y軸方向位置の設定及び吸引ノズル11による吸引が終了すると、前記吸引ノズル11を前記ソフト原点に戻して吸引操作を終了する。
かかる動作によって、前記レバー10及び吸引ノズル11を、前記サンプル容器1上を水平なX,Y2軸方向に自在に移動させ、かつサンプル容器1上をZ軸方向つまり上下方向に移動させて、サンプル容器1の所望の孔から液体を吸引することができる。
なお、前記吸引ノズル11によるサンプル容器1からの吸引工程から、次の吸引工程までの間に吸引ノズル11の洗浄工程を入れることができる。
【0038】
以上のように、かかる実施形態によれば、前記吸引ノズル11を上下動可能なガイド棒26に取り付けるとともに、Z軸駆動モータ18の回転をピニオン歯車19とラック20aとの噛み合いによりロッド20の往復動に変換してガイド棒26を往復動せしめるように、該ロッド20とガイド棒26とをプッシュプルケーブル芯線24を介して連結することにより、前記吸引ノズル11のZ軸方向の移動制御をZ軸駆動モータ18の回転によって行い該吸引ノズル11をサンプル容器1内の液体内に進入又は該液体内から退出するように構成したので、
前記Z軸駆動モータ18の回転をピニオン歯車19とラック20a及びロッド20を介してガイド棒26の往復動に変換することにより、吸引ノズル11の上下方向(Z軸方向)の移動制御をZ軸駆動モータ18の回転で行い、該吸引ノズル11をサンプル容器1の上方で自在に上下動させてサンプル容器1内の液体内に進入又は該液体内から退出させることができるとともに、サンプル容器1の設置又は取外しを、前記吸引ノズル11及び該吸引ノズル11の上下動機構に支障されることなく容易に行なうことができる。
【0039】
また、前記吸引ノズル11を上下動可能に取り付けたガイド棒26を、Z軸駆動モータ18の回転をピニオン歯車19とラック20aとの噛み合いによりロッド20の往復動に変換し、該ロッド20を、プッシュプルケーブル芯線24を介してガイド棒26に連結して、該ガイド棒26とともに前記吸引ノズル11を自在に上下動せしめるように構成したので、小型コンパクトな構造となって吸引ノズル11の上下動機構の設置スペースが少なくて済み、構造が簡単で部品点数が少なく低コストの装置となる。
【0040】
特に、前記Z軸駆動モータ18及びピニオン歯車19、ラック20aが形成されたロッド20等のガイド部材往復動装置等の大形部材をベース2に取り付け、移動側にガイド棒26及び吸引ノズル11を取り付けて該吸引ノズル11側と前記大形部材側とをプッシュプルケーブル芯線24で接続したので、ガイド棒26及び吸引ノズル11等の移動部を小型コンパクトで、かつ軽量化できる。
【0041】
また、かかる実施形態によれば、ステッピングモータからなるX軸駆動モータ3の出力軸3aにY軸駆動ブロック(支持ブロック)5を固定して該Y軸駆動ブロック5にレバー10を該出力軸3aとともに可逆回動可能に支持するとともに、該Y軸駆動ブロック5に前記レバー10をY軸駆動モータ8によって往復動可能な形態で支持して、前記X軸駆動モータ3によって前記Y軸駆動ブロック5を介して前記レバー10を可逆回動することによりX軸についてレバー10の回動角度での制御を行ない、前記Y軸駆動モータ8によって前記レバー10を前記Y軸駆動ブロック5に支持された形態で往復動せしめることによりY軸について前記レバー10の前記出力軸3aからの長さを変化させる制御を行ない、さらにZ軸駆動モータ18の回転をピニオン歯車19とラック20aとの噛み合いによるロッド20の往復動に変換して吸引ノズル11のZ軸方向(上下方向)の移動制御を行うように構成したので、
前記X軸駆動モータ3によって前記Y軸駆動ブロック5を可逆回動することにより、レバー10の端部をX軸方向に移動させるとともに、該Y軸駆動ブロック5にレバー10を往復動可能に支持して該レバー10をY軸方向に移動させ、さらに吸引ノズル11のZ軸方向の移動制御をZ軸駆動モータ18の回転で行うことにより、該吸引ノズル11をX,Y,Zの3軸方向に自在に移動制御して、サンプル容器1内の液体内に進入又は該液体内から退出させることができる。
【0042】
したがって、吸引ノズル11のZ軸方向の移動制御をZ軸駆動モータ18の回転により個別に行い、X軸駆動モータ3によってY軸駆動ブロック5を可逆回動させるとともに、Y軸駆動ブロック5に往復動可能に支持されたレバー10及び吸引ノズル11をサンプル容器1の上方で自在に移動させることにより、吸引ノズル11をサンプル容器の上方で自在に移動させることができて、これによりサンプル容器1の設置又は取外しを、前記Y軸駆動ブロック5、レバー10等の吸引ノズル駆動系及び該吸引ノズル11に支障されることなく容易に行なうことができる。
【0043】
また、ステッピングモータからなるX軸駆動モータ3の出力軸3aに固定したY軸駆動ブロック5を可逆回動させるとともに、該Y軸駆動ブロック5に往復動可能に支持されたレバー10をY軸駆動モータ8に連結されるピニオン歯車9とラック10aとの噛み合いにより往復動させ、さらにZ軸駆動モータ18の回転をピニオン歯車19とラック20aとの噛み合いによるロッド20の往復動により、前記レバー10に取り付けられた吸引ノズル11をZ軸方向(上下方向)に移動せしめる構成で、液体ノズルのX軸,Y軸の水平2方向及びZ軸の上下方向の自在な移動を可能としたので、小型コンパクトな構造となって、装置の設置面積が少なくて済み、さらに従来技術のようなガイドレールや、ボールねじ、タイミングベルト等の駆動機構が不要となり、構造が簡単で部品点数が少なく低コストの装置となる。
【0044】
以上の実施形態は、本発明を、吸引ノズル11を用いたサンプラーに適用したものであるが、本発明は、前記サンプル容器1に代えて多数の区画に分けられた受け取り容器を用い、前記吸引ノズル11に代えて受け取り容器の区画に液体を供給する分画ノズルを用いるように構成した液体供給装置にも、前記と同様な駆動方式で以って適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、サンプル吸引ノズル等の液体吸入・供給ノズルを移動させる方式であって、装置の設置面積が小さく、液体吸入・供給ノズルを移動させるための装置による障害を受けることなく液体容器の設置又は取外しが容易にでき、さらには部品点数が少なく低コストのサンプラー及び液体吸入・供給装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係るサンプラーの正面図(図2のA矢視図)である。
【図2】前記サンプラーの平面図である。
【図3】前記サンプラーの側面図(図2のB矢視図)である。
【図4】前記実施形態における吸引ノズル取付部の拡大側面図である。
【図5】前記実施形態におけるノズル上下動駆動機構の拡大平面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 サンプル容器
2 ベース
3 X軸駆動モータ
3a 出力軸
4 モータ取付金具
5 Y軸駆動ブロック(支持ブロック)
6 X軸シャッタ
7 X軸原点センサ
8 Y軸駆動モータ
9 ピニオン歯車
10 レバー
10a ラック
11 吸引ノズル
12 ノズルホルダ
13 配管
14a,14b ガイドローラ
15 Y軸シャッタ
16 Y軸原点センサ
17 取付台
18 Z軸駆動モータ
19 ピニオン歯車
20 ロッド
20a ラック
21a,21b ガイドローラ
22 Z軸シャッタ
23 Z軸原点センサ
24 プッシュプルケーブル芯線
25 プッシュプルケーブルチューブ
26 ガイド棒
27 ガイドチューブ
100 吸引ノズル駆動機構
101 ノズル上下駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル容器は固定し、サンプル吸引ノズルが、X,Y座標上を移動するノズルホルダに保持され、各位置でZ軸上を上下に移動するサンプラーにおいて、X,Yいずれかの一軸は、ノズルホルダを取り付けたレバーの回転角度で制御し、他の軸は、ノズルホルダを取り付けたレバーの回転軸からの径を伸縮して制御するようにしたことを特徴とするサンプラー。
【請求項2】
前記ノズルホルダを取り付けたレバーにラックを設け、該ラックをガイド部材でガイドし、該ラックに噛み合うピニオン歯車でレバーを伸縮させ駆動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のサンプラー。
【請求項3】
前記ノズルホルダを取り付けたレバーをガイド部材でガイドし、該レバーに押し付けた摩擦駆動ローラでレバーを伸縮するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のサンプラー。
【請求項4】
ノズルホルダに保持されたサンプル吸引ノズルと、ノズル上下駆動機構間をプッシュプルケーブルで連結するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のサンプラー。
【請求項5】
液体容器をベースに固定し、該液体容器に液体を供給又は該液体容器から液体を吸入する供給口を有する液体ノズルが水平方向のX,Y軸座標上を前記液体容器の所要位置まで移動可能に構成されるとともに、該液体ノズルが上下方向のZ軸座標上を上下動するように構成された液体供給・吸入装置において、ステッピングモータからなるX軸駆動モータの出力軸に支持ブロックを該出力軸とともに可逆回動可能に固定し、該支持ブロックにレバーをY軸駆動モータによって駆動されるレバー往復動装置により往復動可能に支持し、前記レバーに上下動可能に取り付けられたガイド部材に前記液体ノズルを取り付けるとともにZ軸駆動モータの回転により該ガイド部材を往復動せしめるガイド部材往復動装置に該ガイド部材を連結し、前記液体ノズルの移動制御を、前記X軸,Y軸のいずれか一方の軸については前記X軸駆動モータによるレバーの回動角度で制御するとともに、他方の軸については前記レバー往復動装置により前記レバーの前記回動軸からの長さを変化させて制御し、前記液体ノズルのZ軸方向の移動制御を前記Z軸駆動モータの回転により行うように構成したことを特徴とする液体供給・吸入装置。
【請求項6】
前記レバーにラックを設けるとともに該レバーをガイド部材でガイドし、前記ラックに噛み合うとともに前記Y軸駆動モータによって回転駆動されるピニオン歯車を設けて、前記Y軸駆動モータにより前記ピニオン歯車を回転駆動して前記ラックを往復動させて、前記レバーを前記ガイド部材でガイドして移動させることにより前記回転軸からの長さを変化させるように構成したことを特徴とする請求項5に記載の液体供給・吸入装置。
【請求項7】
前記レバーをガイド部材でガイドし、前記Y軸駆動モータによって回転駆動される摩擦駆動ローラを設けて、前記Y軸駆動モータにより前記摩擦駆動ローラを回転駆動しながら該摩擦駆動ローラを前記レバーに押付けて該摩擦駆動ローラとレバーとを摩擦接触せしめて、前記レバーを前記ガイド部材でガイドして移動させることにより前記回転軸からの長さを変化させるように構成したことを特徴とする請求項5に記載の液体供給・吸入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−10388(P2007−10388A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189227(P2005−189227)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(598133506)株式会社 ユニフローズ (6)
【Fターム(参考)】