サンプリングされた振幅リードチャネル
【課題】アナログ・ディジタル変換器、タイミングリカバリVCOあるいはシ
ーケンス検出器のコストを増大させたり、それらをさらに複雑にしたりすること
なく、高いユーザデータレートおよび密度で動作可能である、コンピュータ記憶
システム用のサンプリングされた振幅リードチャネルを提供する。
【解決手段】サンプリングされた振幅リードチャネルは、ディスク記憶媒体上
に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスを非同
期的にサンプリングするサンプリングデバイスと、同期サンプル値を発生する補
間されたタイミングリカバリと、同期サンプル値から2進データを検出するシー
ケンス検出器とを備えている。
ーケンス検出器のコストを増大させたり、それらをさらに複雑にしたりすること
なく、高いユーザデータレートおよび密度で動作可能である、コンピュータ記憶
システム用のサンプリングされた振幅リードチャネルを提供する。
【解決手段】サンプリングされた振幅リードチャネルは、ディスク記憶媒体上
に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスを非同
期的にサンプリングするサンプリングデバイスと、同期サンプル値を発生する補
間されたタイミングリカバリと、同期サンプル値から2進データを検出するシー
ケンス検出器とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の属する技術分野〕
本発明は、ディジタルコンピュータ用の記憶システム(例えば、磁気ディスクドライブや光ディスクドライブなど)の制御に関する。より具体的には、本発明は、アナログリード信号の非同期サブサンプリング、補間されたタイミングリカバリおよび再変調/復調シーケンス検出器を用いる、サンプリングされた振幅リードチャネルに関する。
【0002】
〔技術の技術〕
コンピュータ記憶システム(例えば、光学システム、磁気システムなど)は、記憶媒体(典型的には、回転する磁気ディスクまたは光ディスクのかたちをとる)の表面上に、ディスクの表面特性を変化させることによりディジタルデータを記録する。ディジタルデータは、半径方向に複数の同心円状トラックまたは螺旋状トラックのかたちで2進データをディスク上へと記録するライトトランスデューサ(ライトヘッド)の動作を変調するようにはたらく。例えば、磁気記録システムでは、ディジタルデータは、一連の磁束の遷移を磁化可能なディスクの表面上に記録するために、ライトコイル中の電流を変調する。また、例えば、光学記録システムでは、ディジタルデータは、一連の「ピット」を光ディスクの表面上へと記録するために、レーザビームの強度を変調する。この記録されたデータをリードする時には、回転するディスクの近傍に位置づけられたリードトランスデューサ(リードヘッド)は、媒体上の変化を検出し、対応するパルスのシーケンスをアナログリード信号に発生する。これらのパルスは、それからリードチャネル回路により検出、復号化されてディジタルシーケンスを再生する。
【0003】
パルスをディジタルシーケンスに検出・復号化することは、従来のアナログリードチャネルでは簡単なピーク検出器によっておこなわれてきた。また、もっと最近の設計では、サンプリングされた振幅リードチャネルにおける離散時間シーケンス検出器によっておこなわれている。離散時間シーケンス検出器のほうが、簡単なアナログパルス検出器よりも好ましい。なぜなら、離散時間シーケンス検出器は、符号間干渉(ISI)を補償することができるので、チャネルノイズの影響を受けにくいからである。その結果、離散時間シーケンス検出器は、記憶システムの容量を増大させ、その信頼性を高めることができる。公知の離散時間シーケンス検出方法としては、離散時間パルス検出(DPD)、ビタビ検出を用いたパーシャルレスポンス(PR)、最尤シーケンス検出(MLSD)、判定帰還
等化(DFE)、改善された判定帰還等化(EDFE)、および判定帰還を用いた固定遅延ツリー検索(FDTS/DF)などが挙げられる。
【0004】
従来のピーク検出リードチャネルでは、アナログ回路が、リードヘッドにより発生された連続時間アナログリード信号におけるピークを検出する。このアナログリード信号は、複数のビットセル期間に「セグメント化」され、これらの時間セグメントの間で解釈される。あるビットセル期間内にピークが存在すると、「1」ビットとして検出され、一方、ピークが存在しない時には、「0」ビットとして検出される。検出時に最も誤差が発生しやすいのは、これらのビットセルがアナログパルスデータと正しく一致していないときである。そこで、このような検出誤差を最小限にとどめるために、平均すればこれらのビットセルの中心にピークが発生するように、タイミングリカバリを用いてこれらのビットセル期間を調整する。タイミング情報が得られるのはピークが検出された時だけなので、入
力されたデータストリームは通常、ランレングス制限(RLL)され、連続する「0」ビットの数を制限する。
【0005】
データの密度を高めようとして複数のデータトラック上に多数のパルスを緊密にパックしても、符号間干渉(ISI)や、間隔が狭くなって互いにオーバーラップするパルスによってリード信号にもたらされる歪みなどが原因で、検出誤差はやはり発生する。この干渉がもとで、ビットセルのピークがそのセル内からシフトしたり、そのピークの大きさが低下したりするので、結局、検出誤差は起こってしまう。ISIの影響は、データ密度を低くすることによって、または、「1」ビットと「1」ビットとの間の「0」ビットの数を確実に最小とするような符号化スキームを用いることによって抑えることができる。例えば、(d、k)ランレングス制限(RLL)された符号は、「1」ビットと「1」ビットとの間の「0」ビットの最小数をdに制約し、連続する「0」ビットの最大数をkに制
約する。典型的な(1、7)RLL 2/3レートの符号は、8ビットのデータワードを12ビットのコードワードに符号化し、(1、7)制約を満たしている。
【0006】
ビタビ検出を用いたパーシャルレスポンス(PR)のようなサンプリングされた振幅検出は、符号間干渉やチャネルノイズの影響を補償することによってデータ密度を高めることを可能にする。従来のピーク検出システムとは異なり、サンプリングされた振幅による記録は、パルスデータの実際の値を離散した時間点において解釈することによってディジタルデータを検出する。この目的のために、リードチャネルは、アナログリード信号をサンプリングするサンプリングデバイスと、サンプルをボーレート(符号ビットレート)に同期させるタイミングリカバリ回路とを備えている。これらのパルスをサンプリングする前に、可変利得増幅器が、リード信号の振幅を定格値に調整し、ローパスアナログフィルタが、リード信号をフィルタリングすることによって、チャネルノイズおよびエイリアシ
ングノイズを減衰させる。サンプリングの後、ディジタル等化器が、所望のパーシャルレスポンスに従ってサンプル値を等化し、ビタビ検出器のような離散時間シーケンス検出器が、それらの等化されたサンプル値を文脈に従って解釈することによって、そのディジタルデータについて最尤(most likely)のシーケンスを決める(すなわち、最尤シーケンス検出(MLSD)をおこなう)。MLSDは、検出アルゴリズムにおいて、ISIおよびチャネルノイズの影響を考慮に入れることによって、検出誤差が発生する可能性を低くする。これによって、従来のアナログピーク検出リードチャネルに比べて、有効な信号対雑音比を増大させることができ、また、ある与えられた(d、k)制約に対して、はるかに高いデータ密度を実現することができる。
【0007】
サンプリングされた振幅技術をディジタル通信チャネルに適用した例は、既に多くの文献に見られる。例えば、Y. KabalおよびS. Pasupathyの「パーシャルレスポンス信号化」、IEEE Trans. Commun. Tech.、第COM-23巻、第921〜934頁、1975年9月、Edward A. LeeおよびDavid G. Messerschmittの「ディジタル通信」、Kluwer Academic Publishers、Boston、1990年、およびG.D. Forney, Jr.の「ビタビアルゴリズム」、Proc. IEEE、第61巻、第268〜278頁、1973年3月などを参照のこと。
【0008】
サンプリングされた振幅技術を磁気記憶システムに適用した例も、既に多くの文献に見られる。例えば、Roy D. Cideciyan、Francois Dolivo、Walter HirtおよびWolfgang Schottの「ディジタル磁気記録用PRMLシステム」、IEEE Journal on Selected Areas in Communications、第10巻、第1号、1992年1月、第38〜56頁、Woodらの「磁気記録チャネル上のクラスIVパーシャルレスポンスのビタビ検出」、IEEE Trans. Commun.、第Com-34巻、第5号、第454〜461頁、1986年5月、Cokerらの「リジッドディスクドライブにおけるPRMLの実施」、IEEE Trans. on Magnetics、第27巻、第6号、1991年11月、Carleyらの「FDTS/DFシーケンス検出を後におこなう適応連続時間等化」、Digest of The Magnetic Recording Conference、1994年8月15〜17日、第C3頁、Moonらの「判定帰還を用いた固定遅延ツリー検索用の複雑さの制限された等化器設計」、IEEE Tra
ns. on Magnetics、第30巻、第5号、1994年9月、Abbottらの「磁気記憶チャネルの適応判定帰還等化用のタイミングリカバリ」、Globecom '90 IEEE Global Telecommunications Conference 1990、 San Diego、CA、1990年11月、第1794〜1799頁、Abbottらの「等化およびオフトラック干渉を用いたディジタル磁気記録の性能」、IEEE Transactions on Magnetics、第27巻、第1号、1991年1月、Cioffiらの「磁気ディスク記憶チャネルにおける適応等化」、IEEE Communication Magazine、1990年2月、およびRoger Woodの「改善された判定帰還等化」、Intermag '90などを参照のこと。
【0009】
本明細書に開示される原理は、特にどのような離散時間シーケンス検出方法を用いるかには関わりなく、適用可能である。本発明は、上に列挙したシーケンス検出方法のすべてに適用可能であるばかりか、上には挙げなかったその他の検出方法にも適用可能であり、さらに、将来開発される技術にさえも適用可能である。
【0010】
従来のピーク検出システムと同様に、サンプリングされた振幅検出においても、ディジタルシーケンスを正確に抽出するためにはタイミングリカバリが必要である。ピーク検出システムにおいておこなわれているように、各ピークがビットセル期間のそれぞれの中心に一致するように連続的な信号処理をおこなうのではなく、サンプリングされた振幅システムは、複数のパルスサンプルをボーレートに同期させる。従来のサンプリングされた振幅リードチャネルでは、タイミングリカバリは、信号サンプル値と、推定されたサンプル値との間の誤差を最小化することによって、サンプリングクロックを同期させる。パルス検出器、つまりスライサは、リード信号サンプルから推定されたサンプル値を決める。たとえISIが存在していても、これらのサンプル値は推定可能であり、また、これらのサ
ンプル値は、信号サンプル値を併用することによって、判定により向きの決められた帰還システムでアナログパルスのサンプリングの同期をとることにも用いることができる。
【0011】
通常、位相同期ループ(PLL)を用いることによって、タイミングリカバリを用い、判定により向きの決められた帰還システムを実現することができる。PLLは、推定されたサンプルと、リード信号サンプルとの間の差に基づいて、位相誤差を発生する位相検出器を備えている。PLLのループフィルタは、この位相誤差をフィルタリングする。そして、フィルタリングされた位相誤差は、チャネルサンプルをボーレートに同期させるように作用する。
【0012】
従来は、この位相誤差によって、典型的には可変周波数発振器(VFO)の出力である、サンプリングクロックの周波数を調整していた。VFOの出力により、アナログ・ディジタル(A/D)変換器のようなサンプリングデバイスを制御することによって、サンプリングをボーレートに同期させることができる。
【0013】
ビタビ検出を用いたパーシャルレスポンス(PR)は、前述したように、サンプリングされた振幅リードチャネルにおいて、同期サンプル値から記録されたディジタルデータを検出するために通常用いられている方法である。最もよく用いられるビタビ型のシーケンス検出方法としては、インタリーブされたスライディング閾値検出器が2つ必要になるだけのコスト的に有効な実現形態である、d=0レート8/9 PR4と、高密度でビット誤り率(BER)を改善することができるが、より高度な加算/比較/選択(ASC)型のシーケンス検出器が必要になる実現形態である、d=1レート2/3 EEPR4とがある。
【0014】
EEPR4リードチャネルにおけるd=1の制約は、対応するトレリス符号の最小距離を増大させる(また、これに伴い、BERを低下させる)。さらに、この制約は、状態の個数を減らすことによってシーケンス検出器の複雑さを緩和するとともに、そのコストを下げ、トレリスモデルにおいて対称性を確立することによって、さらに簡単な構成とすることを可能にする。しかし、d=1システムに伴う欠点もいくつかある。
【0015】
〔発明が解決しようとする課題〕
すなわち、d=1リードチャネルでは、(d=1の場合のレート2/3をd=0の場合のレート8/9と比較すれば)符号化効率が低下するので、ユーザデータレートも低下する。よって、より高いユーザデータレートを実現するためには、より高速でより複雑なタイミングリカバリおよびA/D回路(すなわち、より高い周波数のタイミングリカバリのVCOおよびA/D変換器)を用いて、チャネルデータレート(符号ビットレート)を増大させなければならない。このような構成は好ましくない。なぜなら、コスト面で有効ではないからである。また、符号レートの低下が原因でd=1リードチャネルに起こるこの特有の問題も、データレートをさらに押し上げれば、d=0リードチャネルでも起こりうる問題になる。さらに、前述したように、d=1 EPR4/EEPR4シーケンス検出
器は、トレリスモデルがさらに複雑になっているので、実施するにはそのぶん余分なコストを要する。
【0016】
よって、アナログ・ディジタル変換器、タイミングリカバリVCOあるいはシーケンス検出器のコストを増大させたり、それらをさらに複雑にしたりすることなく、高いユーザデータレートおよび密度で動作可能である、コンピュータ記憶システム用のサンプリングされた振幅リードチャネルがいま必要とされている。また、本発明のもう一つの局面は、アナログリード信号がサブサンプリングされる時に、より高いユーザデータ密度でd=0リードチャネルのパフォーマンスを改善する符号化スキームを用いることにある。
【0017】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、アナログ・ディジタル変換器、タイミングリカバリVCOあるいはシーケンス検出器のコストを増大させたり、それらをさらに複雑にしたりすることなく、高いユーザデータレートおよび密度で動作可能である、コンピュータ記憶システム用のサンプリングされた振幅リードチャネルを提供することにある。また他の目的は、アナログリード信号がサブサンプリングされる時に、より高いユーザデータ密度でd=0リードチャネルのパフォーマンスを改善する符号化スキームを提供することにある。
【0018】
〔課題を解決するための手段〕
本発明によるディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された、補間された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルは、該2進データが所定のボーレートで記録される、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、(a)該アナログリード信号を該ボーレートの9/10以下のサンプリングレートでサブサンプリングすることによって、サブサンプリングされた値を発生する、サンプリングデバイスと、(b)該サブサンプリングされた値に応答して、補間されたサンプル値を発生する、補間器と、(c)該補間されたサンプル値から検出されたシーケンスを発生する、離散時間検出器と、を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0019】
ある実施形態では、前記離散時間検出器が、最小距離誤り事象を増大させる符号制約に従って動作する。
【0020】
ある実施形態では、前記符号制約が(d、k)ランレングス制限された符号制約(ここで、d>0である)である。
【0021】
ある実施形態では、前記補間器が、(a)サンプリングクロックと前記ボーレートとの間の周波数差に比例する周波数オフセットΔfを発生する、周波数オフセット発生器と、(b)モジュロTsおよび該周波数オフセットΔfをアキュムレートすることによって、補間間隔τを発生する、モジュロTsアキュムレータであって、Tsは該サンプリングクロックの所定のサンプル周期である、モジュロTsアキュムレータと、を備えている。
【0022】
ある実施形態では、前記周波数オフセット発生器が、(a)補間されたサンプル値と、推定されたサンプリング値との間の位相誤差Δθを検出する、位相誤差検出器と、(b)該位相誤差Δθをフィルタリングすることによって、前記周波数オフセットΔfを発生する、ループフィルタと、を備えている。
【0023】
ある実施形態では、前記位相誤差検出器が、離散時間パルス検出器を備えている。
【0024】
ある実施形態では、前記離散時間パルス検出器が、判定帰還等化を備えている。
【0025】
ある実施形態では、第1の等化されたサンプル値を発生する第1の等化器と、第2の等化されたサンプル値を発生する第2の等化器と、をさらに備えている、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、(a)前記離散時間パルス検出器が、該第1の等化されたサンプル値に応答し、(a)該離散時間パルス検出器が、該第2の等化されたサンプル値に応答する。
【0026】
ある実施形態では、前記補間器が、前記離散時間検出器のクロックを合わせるデータクロックをさらに発生する。
【0027】
ある実施形態では、前記離散時間検出器が、前記リード信号の非線形特性にマッチングされた状態遷移表に従って動作する。
【0028】
ある実施形態では、前記非線形効果が、1次パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の非線形低減である部分消去効果である。
【0029】
ある実施形態では、前記離散時間検出器が、(a)前記補間されたサンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する予備シーケンスを検出する、復調器と、(b)該予備シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器と、(c)該補間されたサンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器と、(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該予備シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器と、(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該予備シーケンスを訂正する、誤り検出器と、を備えている。
【0030】
ある実施形態では、前記再変調器が、1次パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の前記非線形低減を補償する部分消去補償器を備えている。
【0031】
ある実施形態では、前記離散時間検出器が、検出された誤り事象について妥当性を検査する誤り検出妥当性判定器をさらに備えている。
【0032】
本発明によるディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるサブサンプリングパルスにより発生された離散時間サンプル値のサブサンプリングされたシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルは、該2進データが所定のボーレートで記録される、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、(a)該アナログリード信号を該ボーレートの9/10以下のサンプリングレートでサブサンプリングすることによって、サブサンプリングされた値を発生する、サンプリングデバイスと、(b)該サブサンプリングされた値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、(c)該同期サンプル値から該2進データを検出する、離散時間シーケンス検出器と、を備えており、そのことによ
り上記目的が達成される。
【0033】
ある実施形態では、前記離散時間シーケンス検出器が、前記リード信号の非線形特性にマッチングされた状態遷移表に従って動作する。
【0034】
ある実施形態では、前記非線形効果が、1次パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の非線形低減である部分消去効果である。
【0035】
ある実施形態では、前記シーケンス検出器が、サブサンプリングされたリード信号に実質的にマッチングされた状態遷移表に従って動作する。
【0036】
ある実施形態では、前記サンプリングレートが、前記ボーレートの1/2の10%以内である。
【0037】
ある実施形態では、前記状態遷移表が、以下の表1
【0038】
【表1】
【0039】
である。
【0040】
ある実施形態では、前記状態遷移表が、以下の表2
【0041】
【表2】
【0042】
である。
【0043】
ある実施形態では、前記タイミングリカバリが、(a)前記同期サンプル値に応答して、推定されたサンプル値を発生する、スライサと、(b)複数の該推定されたサンプル値に応答して、少なくとも1つの勾配係数を発生する、制御ロジックと、(c)該同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値を発生する、加算器と、(d)サンプル誤り値を該勾配係数により乗算する乗算器であって、該乗算が、推定された位相誤差を発生するのに用いられる、乗算器と、を有する位相誤差推定器を備えている。
【0044】
ある実施形態では、(a)前記タイミングリカバリが、ユーザデータの前に記録されたアクイジションプリアンブルのサブサンプル値を対象に動作し、かつ(b)該アクイジションプリアンブルが、前記ボーレートの2倍よりも長い周期で前記ディスク上にライトされる。
【0045】
本発明によるディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルは、(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、非同期サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、(b)該非同期サンプル値を補間することによって、同期サンプル値を発生する、補間器と、(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器、(c)該同期サンプル値および該推
定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器、および(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り検出器、を有する、離散時間検出器と、を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0046】
ある実施形態では、前記復調器が、前記2進シーケンスの符号および大きさを出力する。
【0047】
ある実施形態では、前記再変調器が、前記2進シーケンスをNRZIシーケンスに変換するNRZI変換器を備えている。
【0048】
ある実施形態では、前記再変調器が、1次パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の前記非線形低減を補償する部分消去補償器を備えている。
【0049】
ある実施形態では、前記誤りパターン検出器が、所定の誤り事象にマッチングされた複数の離散時間フィルタを備えている。
【0050】
ある実施形態では、前記サンプル誤り値のシーケンスを低次パーシャルレスポンス領域から高次パーシャルレスポンス領域に変換する手段をさらに備えている、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、前記誤りパターン検出器が、該高次パーシャルレスポンス領域において前記ビット誤りを検出する。
【0051】
ある実施形態では、前記復調器が、PR4シーケンス検出器を備えている。
【0052】
ある実施形態では、検出された誤り事象について妥当性を検査し、もし該検出された誤り事象が妥当であるのなら、前記誤り訂正器をイネーブルする、誤り検出妥当性判定器をさらに備えている。
【0053】
ある実施形態では、前記補間器が、前記離散時間検出器のクロックを合わせるデータクロックをさらに発生する。
【0054】
本発明によるディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルは、(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、該離散時間サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、(b)該離散時間サンプル値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器であって、1次
パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の前記非線形低減を補償する部分消去補償器を備えている、再変調器、(c)該同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器、および(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り検出器を有する、離散時間検出器と、を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0055】
ある実施形態では、検出された誤り事象について妥当性を検査し、もし該検出された誤り事象が妥当であるのなら、前記誤り訂正器をイネーブルする、誤り検出妥当性判定器をさらに備えている。
【0056】
本発明によるディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルは、(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、該離散時間サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、(b)該離散時間サンプル値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器、(c)該同期
サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、(d)該サンプル誤り値に応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器であって、それぞれが所定の誤り事象にマッチングされている、複数の離散時間フィルタと、該離散時間フィルタに応答して、ピーク誤り事象を検出する、ピーク検出器と、を備えている誤りパターン検出器、および(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り訂正器を有する、離散時間検出器と、を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0057】
本発明によるディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、離散時間サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、(b)該離散時間サンプル値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器、(c)該
同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器、(e)検出された誤り事象について妥当性を検査する、誤り検出妥当性判定器、および(f)該ビット誤りの該大きさおよび該位置、ならびに、該誤り検出妥当性判定器に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り訂正器を有する、離散時間検出器と、を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0058】
以下に作用を説明する。
【0059】
2進データを記録するコンピュータディスク記憶システム用のサンプリングされた振幅リードチャネルが開示される。このサンプリングされた振幅リードチャネルは、ディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスを非同期的にサンプリングするサンプリングデバイスと、同期サンプル値を発生する補間されたタイミングリカバリと、同期サンプル値から2進データを検出するシーケンス検出器とを備えている。シーケンス検出器は、ビット誤りを有しうる予備2進シーケンスを検出する復調器と、推定されたサンプル値に再変調する再変調器と、サンプル誤り値を発生する手段と、ビット誤りを検出する誤りパターン検出器と、誤り検出妥当性判定器と、ビット誤りを訂正する誤り検出器とを備えている。再変調器は、1次パルスの近傍に位置する2
次パルスによりもたらされた1次パルスの振幅の非線形低減を補償する部分消去回路を備えている。誤りパターン検出器は、ピーク誤りパターン検出器を備えている。再変調器は、また、誤りパターンが検出された場合には、検出されたその誤りパターンが完全に処理されるまで、誤りパターン検出器をディセーブルする手段も備えている。誤り検出妥当性判定器は、検出された誤り事象について妥当性を検査し、もしそれが妥当であるのなら、誤り訂正器の動作をイネーブルする。
【0060】
復調器は、d=0制約に従って動作することによって、d=1リードチャネルに伴うコストの上昇およびさらなる複雑化を回避しつつ、より高速なユーザデータレートを実現することができる。復調器はまた、2つのスライディング閾値検出器を含む、簡単なインタリーブされたPR4ビタビ検出器として実施されてもよい。誤りパターン検出器および誤り訂正器は、より高いパーシャルレスポンス領域(例えば、EPR4)で動作することにより、コストを上昇させたり、さらに複雑したりすることなく、シーケンス検出器のパフォーマンスを大幅に改善することができる。
【0061】
また、高データレートコンピュータシステム用の、サブサンプリングされた離散時間リードチャネルも開示される。このリードチャネルは、チャネルボーレート(符号ビットレート)よりも大幅に低いレートでアナログリード信号を非同期的にサンプリングし、非同期サンプル値を補間することによって、ボーレートに実質的に同期された補間されたサンプル値を発生し、かつ、補間されたサンプル値からディジタルデータを検出するように動作する。本発明以外の方法によれば高いデータレートでは大幅な劣化を招く、制約されていないリードチャネル(d=0リードチャネル)のパフォーマンスを、本発明によるサブサンプリング技法を用いて改善するために、符号化スキームは、劣化を招くデータシーケンスをコードアウト(code out)する。
【0062】
リード信号は、同期的にサンプリングされるのではなく、サブサンプリングされるので、より高いユーザデータレートを実現するために、A/Dの帯域幅を広くとる必要はない。また、補間されたタイミングリカバリでは、帯域幅の広い同期のとられたVCOは必要なくなる。実際に、本発明によるVCOは、リード/ライトヘッドがディスク上のデータゾーン間を遷移するときのみ、周波数を変化させる(ゾーン分割記録は、ディスクが所定数のゾーンに分割され、ディスク上の所定数の連続するトラックが1つのゾーンに分類され、データレートが内側のゾーンから外側のゾーンへと大きくなるようにする技術である)。さらに、符号化スキームは、サブサンプリングによる高データレートでのパフォーマンスの低下を、劣化を招くデータシーケンスをコードアウトすることによって補償する。
【0063】
〔発明の実施の形態〕
本願は、以下の同時係属中の米国特許出願、すなわち、「ユーザデータおよび埋め込まれたサーボデータを磁気媒体からリードするためのサンプリングされた振幅リードチャネル」と題された米国特許出願第08/440,515号、「サンプル推定等化、欠陥スキャニング、チャネル品質、ディジタルサーボ復調、タイミングリカバリ用のPIDフィルタおよびDCオフセット制御を含むサンプリングされた振幅リードチャネル」と題された米国特許出願第08/341,251号、「同期パーシャルレスポンス記録のための改善されたタイミングリカバリ」と題された米国特許出願第08/313,491号、および「サンプリングされた振幅磁気記録のための改善された欠陥許容シンクマーク検出器」と題された米国特許出願第08/533,797号に関連している。本願は、また、以下に掲げるいくつかの米国特許、すなわち、「同期波形サンプリング用のタイミングリカバリ回路」と題された米国特許第5,359,631号、「複雑さの低減されたビタビ型シーケンス検出器のための方法および装置」と題された米国特許第5,291,499号、「同期波形サンプリングのための利得制御回路」と題された米国特許第5,297,184号、「ディジタルパルス検出器」と題された米国特許第5,329,554号、および「同期リードチャネル」と題された米国特許第5,424,881号にも関連している。上に列挙した特許出願および特許のすべては、同一の譲受人に譲渡されており、本願でも、それらのすべてが参考として援用される。
【0064】
本発明の上記局面および利点、ならびにその他の局面および利点は、添付の図面を参照しながら以下に述べる本発明の詳細な説明を読めば、よりよく理解できるであろう。
【0065】
(従来のサンプリングされた振幅リードチャネル)
図1をここで参照すれば、従来のサンプリングされた振幅リードチャネルの詳細なブロック図が示されている。ライト動作のあいだ、ユーザデータ2またはデータ発生器4からのプリアンブルデータ(例えば2Tのプリアンブルデータ)が、媒体上にライトされる。RLL符号化器6は、RLL制約条件にしたがって、ユーザデータ2を2進シーケンスb(n)8に符号化する。プリコーダ10は、記録チャネル18および等化器フィルタの伝達関数を補償し、プリコードされたシーケンス〜b(n)12をつくるために、2進シーケンスb(n)8をプリコードする。プリコードされたシーケンス〜b(n)12は、〜b(N)=0をa(N)=−1に、かつ〜b(N)=1をa(N)=+1に翻訳すること(14)によって、シンボルa(n)16に変換される。ライト回路9は、シンボルa(
n)16に応答して、ボーレート1/Tで記録ヘッドコイル中の電流を変調することによって、2進シーケンスを媒体上に記録する。周波数シンセサイザ52は、ボーレートライトクロック54をライト回路9に供給する。また、周波数シンセサイザ52は、記録ヘッドがどのゾーンの上に位置しているかによってチャネルデータレート信号(CDR)30により調整される。
【0066】
記録された2進シーケンスを媒体からリードするとき、タイミングリカバリ28は、まず、リードチャネルへの入力としてマルチプレクサ60を通してライトクロック54を選択することによって、ライト周波数にロックする。いったんライト周波数にロックされると、マルチプレクサ60は、記録されたユーザデータよりも前にディスク上に記録されたアクイジションプリアンブルを得るために、リードヘッドからの信号19をリードチャネルへの入力として選択する。可変利得増幅器22は、アナログリード信号58の振幅を調整し、アナログフィルタ20は、エイリアシングノイズを減衰させるのと同時に、所望の応答を得るために初期等化をおこなう。サンプリングデバイス24は、アナログフィルタ20からのアナログリード信号62をサンプリングし、離散時間等化器フィルタ26は、所望の応答を得るためにサンプル値25をさらに等化する。パーシャルレスポンス記録においては、所望の応答は、例えば、しばしば表3から選択される。
【0067】
【表3】
【0068】
等化の後、リード信号58の振幅と、サンプリングデバイス24の周波数および位相とをそれぞれ調整するために、等化されたサンプル値32は、判定により向きの決められた利得制御50と、タイミングリカバリ回路28とに与えられる。等化されたサンプル32をボーレートに同期させるために、タイミングリカバリは、ライン23を介してサンプリングデバイス24の周波数を調整する。温度、電圧およびプロセスのばらつきに対してタイミングリカバリ周波数を所定の値に揃えるために、周波数シンセサイザ52は、センタ周波数の粗い設定値をライン64を介してタイミングリカバリ回路28に与える。チャネルデータレート(CDR)信号30は、シンセサイザ52の周波数範囲を、現在のゾーンについてのデータレートにしたがって調整する。利得制御50は、チャネルの周波数応答の大きさを所望のパーシャルレスポンスに一致させるために、ライン21を介して可変利得増幅器22の利得を調整する。
【0069】
等化されたサンプル32は、最尤(ML)ビタビシーケンス検出器のような離散時間シーケンス検出器34にも送られる。離散時間シーケンス検出器34は、サンプル値から推定された2進シーケンス^b(n)33を検出する。RLL復号化器36は、シーケンス検出器34からの推定された2進シーケンス^b(n)33を、推定されたユーザデータ37に復号化する。データシンク検出器66は、RLL復号化器36の動作をフレームに同期させるために、データセクタ15の中のシンクマーク70(図2Bに示す)を検出する。誤差がなければ、推定された2進シーケンス^b(n)33は、記録された2進シーケンスb(n)8と一致し、復号化されたユーザデータ37は、記録されたユーザデータ2と一致する。
【0070】
(データフォーマット)
図2Aは、1連の同心円状データトラック13を備えた磁気媒体のデータフォーマットの1例を示す。ここで、それぞれのデータトラック13は、サーボウェッジ17の埋め込まれた複数のセクタ15を有している。サーボコントローラ(不図示)が、サーボウェッジ17におけるサーボデータを処理し、そのサーボデータに応答して、リード/ライトヘッドを所望のトラック上に位置づける。また、サーボコントローラは、サーボウェッジ17内のサーボバーストを処理することによって、データをライトしたり、リードしたりしながら、所望のトラックのセンタライン上にヘッドを位置合わせし続ける。サーボウェッジ17は、簡単な離散時間パルス検出器によっても、あるいは離散時間シーケンス検出器34によっても検出されうる。もしシーケンス検出器34がサーボデータを検出すれば、サーボウェッジ17のフォーマットは、ユーザデータセクタ15と同様に、プリアンブルおよびシンクマークを含むことになる。
【0071】
図2Bは、アクイジションプリアンブル68、シンクマーク70およびユーザデータ72を備えたユーザデータセクタ15のフォーマットを示す。タイミングリカバリは、アクイジションプリアンブル68を用いて、正しいサンプリング周波数および位相を、ユーザデータ72をリードする前に得ており、シンクマーク70は、ユーザデータ72の始まりを区切る。
【0072】
記憶密度の全体を増加させるために、ディスクは、1トラック当たり14個のデータセクタを有する外側のゾーン11と、1トラック当たり7個のデータセクタを有する内側のゾーン27とに区分される。実用時には、ディスクは、実際には、ゾーン当たりのセクタ数が互いに異なる複数のゾーンに区分される。その場合、データは、それぞれ異なるデータレートで各ゾーンに記録され、また、そこから検出されることになる。
【0073】
(改善されたサンプリングされた振幅リードチャネル)
図3は、本発明による改善されたサンプリングされた振幅リードチャネルを示している。図3では、図1の従来のサンプリングされたタイミングリカバリ28は、補間されたタイミングリカバリB100に置き換えられている。さらに、ライト周波数シンセサイザ52は、ライト動作中にライト回路9に与えられるボーレートライトクロック54を発生するか、または、リード動作中にサンプリングデバイス24と、離散時間等化器フィルタ26と、補間されたタイミングリカバリB100とを、現在のゾーンに対する周波数(CDR30)でクロック合わせする非同期リードクロック54を発生する。代わりに実施可能な形態では、第1の周波数シンセサイザがライトクロックを発生し、第2の周波数シンセサイザがリードクロックを発生する。
【0074】
補間されたタイミングリカバリB100は、等化されたサンプル値32を補間することによって、現在のゾーンのデータレートと実質的に同期のとられた補間されたサンプル値B102を発生する。離散時間シーケンス検出器34は、補間されたサンプル値B102(同期のとられたサンプル値)から、ユーザデータを表現する推定された2進シーケンス33を検出する。また、補間されたタイミングリカバリ回路B100は、利得制御50、離散時間シーケンス検出器34、シンクマーク検出器66およびRLL復号化器36の動作をクロック合わせする、周波数同期データクロックB104を発生する。
【0075】
(従来のタイミングリカバリ)
図1に示す従来のサンプリングタイミングリカバリ28の全体図が、図4Aに示されている。可変周波数発振器(VFO)B164の出力23は、典型的にはディジタルリードチャネルにおけるアナログ・ディジタル変換器(A/D)であるサンプリングデバイス24のサンプリングクロックを制御する。マルチプレクサB159は、アクイジションのあいだは等化されていないサンプル値25を選択し、トラッキングのあいだは等化されたサンプル値32を選択することによって、付随するレイテンシを避けるために、アクイジションのあいだ、離散等化器フィルタ26をタイミングループから除く。位相誤差検出器B155は、ラインB149を介して受け取られたサンプル値と、ラインB143上の、d=0のPR4リードチャネルにおけるスライサのようなサンプル値推定器B141からの推定されたサンプル値〜Ykとに応答して、位相誤差を発生する。ループフィルタB160は、位相誤差をフィルタリングすることによって、サンプリングクロック23と、ボーレートとの間の周波数差に比例した値に落ちつく周波数オフセットΔf B167を発生する。周波数オフセットΔf B167は、周波数シンセサイザ52からのセンタ周波数制御信号64とともに、サンプリングクロック23をVFO B164の出力において調整することによって、サンプリングをボーレートに同期させる。
【0076】
ゼロ位相スタート回路B162は、VFO B164の動作をアクイジションの始めに停止させることによって、サンプリングクロック23と、リード信号62との間の初期位相誤差を最小にする。これは、VFO B164をディセーブルし、アナログリード信号62におけるゼロクロスを検出し、検出されたゼロクロスと第1のボーレートサンプルとの間の所定の遅延の後にVFO B164を再びイネーブルすることによっておこなわれる。
【0077】
(補間されたタイミングリカバリ)
本発明による補間されたタイミングリカバリB100は、図4Bに示されている。図4Aの従来のタイミングリカバリにおけるVFO B164は、モジュロTsアキュムレータB120および補間器B122に置き換えられている。さらに予期されたサンプル値発生器B151は、補間されたサンプル値B102に応答して、位相誤差検出器B155によって用いられる予期されたサンプルYk+τを発生することによって、アクイジションのあいだの位相誤差を計算する。マルチプレクサB153は、スライサB141からの推定されたサンプル値〜Yk+τを選択し、トラッキングのあいだに位相誤差検出器B155によって使えるようにする。後で詳しく述べるように、データクロックB104は、サンプリングクロック54と、モジュロTsアキュムレータB120からのマスク信号B124とに応答して、ANDゲートB126の出力において発生される。位相誤差検出器B155およびスライサB141は、図4Aの離散等化器フィルタ26の出力におけるチャネルサンプル値32の代わりに、補間器B122の出力における補間されたサンプル値B102を処理する。PIDループフィルタB161は、図4AのループフィルタB160に似た閉ループ周波数応答を制御する。
【0078】
本発明による補間されたタイミングリカバリにおいて、プリアンブルを獲得する前に、VFOを参照周波数にロックさせることはもはや必要ではなく、(図1のように)ライトクロック54をアナログ受信フィルタ20にマルチプレクシングすること(60)は、必要ではない。さらにサンプリングデバイス24および離散等化器フィルタ26は、それらに付随する遅延とともに、タイミングリカバリループから除かれている。アクイジションとトラッキングとのあいだに等化器フィルタ26の周辺でマルチプレクシングすること(B159)は、必要ではない。しかしユーザデータ72をトラッキングする前にプリアンブル68を獲得することはやはり必要である。この目的のために、図4Aのゼロ位相スタート回路B162と同様に、アクイジションの始めに、ゼロ位相スタート回路B163は、補間されたサンプル値と、ボーレートとの間の初期位相誤差を最小化する。しかしサンプリングVFO B164の動作を停止させる代わりに、補間されたタイミングリカバリのゼロ位相スタート回路B163は、A/D24のサンプル値25からの初期位相誤差τを計算し、この初期位相誤差をモジュロTsアキュムレータB120にロードする。
【0079】
モジュロTsアキュムレータB120、データクロックB104、および補間器B122については、以下に詳細に説明する。
【0080】
(補間器)
図4Bの補間器B122は、サンプリングされた2Tのアクイジションプリアンブル信号B200を示す図5を参照すれば理解できるだろう。ターゲット同期サンプル値B102は、黒丸として示されており、非同期チャネルサンプル値32は、垂直の矢印として示されている。サンプリングされたプリアンブル信号の下にあるのは、サンプリングクロック54、データクロックB104およびマスク信号B124の対応するタイミング信号を表すタイミングチャートである。図5に示すように、プリアンブル信号B200は、ボーレート(ターゲット値のレート)よりもわずかに速くサンプリングされている。
【0081】
補間器の機能は、チャネルサンプル値を補間することによってターゲットサンプル値を推定することである。例示を目的として、簡単な推定アルゴリズムである線形補間を考える。
【0082】
Y(N−1)=x(N−1)+τ・(x(N)−x(N−1)) (1)ここでx(N−1)およびx(N)は、ターゲットサンプルのまわりにあるチャネルサンプルであり、τは、チャネルサンプル値x(N−1)と、ターゲットサンプル値との間の時間差に比例する補間間隔である。補間間隔τは、PIDループフィルタB161の出力において周波数オフセット信号Δf B167をアキュムレートするモジュロTsアキュムレータB120の出力において発生される。
【0083】
τ=(ΣΔf)MOD Ts (2)
ここで、Tsはサンプリングクロック54のサンプリング周期である。サンプリングクロック54は、アナログリード信号62をボーレートよりもわずかに速くサンプリングするので、アキュムレートされた周波数オフセットΔf、つまりTsによって割られた整数が1だけ増加するときにはいつも、データクロックをマスクする必要がある。データクロックB104およびモジュロTsアキュムレータB120によって発生されるマスク信号B124の動作は、図5のタイミングチャートを参照すれば理解できよう。
【0084】
補間器が上述の簡単な線形方程式(1)を実現するとすれば、チャネルサンプル値B202およびB204は、ターゲットサンプル値B206に対応する補間されたサンプル値を発生するのに用いられる。補間間隔τ B208は、上述の方程式(2)にしたがって発生される。次のターゲット値B210に対応する次の補間されたサンプル値は、チャネルサンプル値B204およびB212から計算される。このプロセスは、周囲を「包みこみ」、実際にτ B216となる(すなわちアキュムレートされた周波数オフセットΔf、すなわちTsによって割られた整数が1だけ増加することによって、マスク信号B124をアクティベートする)とき以外は、補間間隔τ B214がTsよりも大きくなるまで続く。ターゲットサンプル値B220に対応する補間されたサンプル値が、チャネルサンプル値B218およびB222からではなく、チャネルサンプル値B222およびB224から計算されるように、この時点において、データクロックB104は、マスク信号B124によってマスクされる。
【0085】
方程式(1)の簡単な線形補間は、アナログリード信号がボーレートよりもずっと高い周波数でサンプリングされるときにしかうまくはたらかない。より高い周波数でチャネルを動作させることは、その複雑さとコストとを増すことになるので望ましくない。よって、好ましい実施の形態では、補間器B122は、2つよりも多くのチャネルサンプルに応答して、補間されたサンプル値を計算するフィルタとして実現される。
【0086】
理想的な離散時間位相補間フィルタは、大きさの応答が平坦であり、τの群遅延が一定である。
【0087】
Cτ(ejω)=ejωτ (3)
これは、理想的なインパルス応答をもつ。
【0088】
sinc(π・(n−τ/Ts)) (4)
残念ながら、上述の非因果的な無限インパルス応答である(4)は実現できない。よって、補間フィルタのインパルス応答は、理想インパルス応答である(4)に最もよく一致する近似になるように設計される。これは、実際の補間フィルタの周波数応答と、理想補間フィルタである(3)の周波数応答との間の平均2乗誤差を最小にすることによって得られる。この近似は、入力信号のスペクトルを考慮に入れることによって改善されうる。つまり実際の補間スペクトルによって乗算された入力スペクトルと、理想補間スペクトルによって乗算された入力スペクトルとの間の平均2乗誤差を最小にすることによって以下のようになる。
【0089】
/Cτ(ejω)x(ejω)−Cτ(ejω)x(ejω) (5)
ここで/Cτ(ejω)は、実際の補間フィルタのスペクトルであり、またx(ejω)は、入力信号のスペクトルである。また「/」は、「バー」を示す。方程式(5)から、平均2乗誤差は、以下の数1により表される。
【0090】
【数1】
【0091】
ここでx(ejω)は、リードチャネルのスペクトル(例えば、表3のPR4、EPR4、EEPR4や他のパーシャルレスポンススペクトル)である。
【0092】
実際には、上述の平均2乗誤差方程式である数1は、入力信号のスペクトルがある所定の定数0≦ω≦απに帯域制限されると特定することによって以下のように書き直すことができる。ここで0<α<1である。つまり
|x(ejω)|=0、ただし|ω|≧απ
である。すると数1は、以下のようになる。
【0093】
【数2】
【0094】
この数2の最小化問題に対する解決策としては、例えば、実際の補間フィルタをその係数によって表現し、かつ伝統的な平均2乗の観点から誤差を最小化できる係数の解を求める方法が挙げられる。
【0095】
実際の補間フィルタは、FIR多項式として以下の数3のように表現すること
ができる。
【0096】
【数3】
【0097】
ここで、2Rは各補間フィルタにおけるタップ数であり、また、サンプル周期Tsは1に正規化されている。係数の個数が偶数である補間フィルタに対する数学的微分法について以下に説明する。係数の個数が奇数である補間フィルタを微分できるように、以下の演算法を改変することは当業者の技量内で十分に可能であろう。
【0098】
数3を数2に代入すると、係数Cτ(n)によって所望の数式を得ることができる。
【0099】
【数4】
【0100】
次のステップは、係数Cτ(n)について数4の導関数をとり、かつそれらを0に初期化することである。
【0101】
【数5】
【0102】
慎重に変形すれば、数5により以下の数6が導かれる。
【0103】
【数6】
【0104】
ただし、n0=−R,...,0, 1,..., R−1である。
φ(r)を以下の数7のように規定し、
【0105】
【数7】
【0106】
また数7を数6に代入すると、以下の数8のようになる。
【0107】
【数8】
【0108】
ただし、n0=−R,...,0, 1,..., R−1である。
数8は、係数Cτ(n)によって2R線形方程式のセットを規定している。数8は、より簡潔に行列形式で以下のように表現することができる。
【0109】
ΦTCτ=Φτ
ここで、Cτは以下の形式の列ベクトルである。
【0110】
Cτ=[cτ(−R),..., cτ(0),..., cτ(R−1)]t
ΦTは、以下の形式のテープリッツ行列である。
【0111】
【数9】
【0112】
また、Φτは以下の形式の列ベクトルである。
Φτ=[φ(−R+τ),..., φ(τ),φ(1+τ),..., φ(R−1+τ)]t (6)
方程式(6)の解は、以下の方程式(7)のようになる。
【0113】
Cτ=ΦT-1Φτ (7)
ここで、ΦT-1は公知の方法を用いて解を求めることができる逆行列である。 表4は、2R=6、α=0.8およびx(ejω)=PR4であるときの方程式(7)から計算される係数Cτ(n)の例を示している。また、図6には、6つのタップを有するFIRフィルタの実施の形態を示している。シフトレジスタB250は、サンプリングクロックレート54でチャネルサンプル32を受け取る。フィルタ係数Cτ(n)は、係数レジスタファイルB252に格納され、τ B128の現在の値に従って対応する乗算器に与えられる。これらの係数は、シフトレジスタB250に格納されているチャネルサンプル32によって乗算される。その結果得られた積の和がとられ(B254)、その和は遅延レジスタB256に格納される。係数レジスタファイルB252および遅延レジスタB256は、上述したマスキング機能を実現するデータクロックB104によってクロックが合わせられる。
【0114】
【表4】
【0115】
図示しない代替の実施の形態においては、τの互いに異なる値に対応する係数を有する複数のスタティックFIRが、シフトレジスタB250におけるサンプル値をフィルタリングする。各フィルタは補間値を出力し、補間間隔の現在の値τ B128は、対応するフィルタの出力を補間器B122の出力B102として選択する。図6では、1つのフィルタの係数は一定の間隔で更新されないので、このように多数のフィルタを用いる実施の形態によれば、補間器B122の速度を増大させることができ、またリードチャネル全体のスループットを高めることができる。
【0116】
(コストの低減された補間器)
より効率が高く、コストの低減された実施の形態では、補間フィルタのすべての係数をメモリに格納するのではなく、図6に示す係数レジスタファイルB252が、フィルタ係数Cτ(n)をτの関数としてリアルタイムで計算する。フィルタ係数Cτ(n)は、例えば、τにおける所定の多項式に従ってリアルタイムで計算することができる(例えば、Farrowに付与された「連続的な可変ディジタル遅延回路」と題された米国特許第4,866,647号を参照のこと。この特許の開示については本願も参考として援用している)。また、フィルタ係数をリアルタイムで計算するための別の好ましい実施の形態においては、それらの係数のランクを低くした行列表現に従って、フィルタ係数を推定する。
【0117】
係数レジスタファイルB252に格納されているフィルタ係数のバンクは、M×N行列AM×Nとして表現することができる。ここで、Nは補間フィルタの深さ(つまり、方程式(7)に従って計算されたインパルス応答における係数Cτ(n)の個数)であり、またMは補間間隔の個数(すなわち、τ間隔の個数)である。より効率が高く、コストの低減されたこの実施の形態は、AM×N行列の全体をメモリに格納するのではなく、AM×N行列の因数分解および特異値分解(SVD)をおこなうことによって実現される。
【0118】
AM×N行列をFM×N行列およびGN×N行列に因数分解できる場合を考える。
【0119】
AM×N=FM×N・GN×N
こうすると、NをLで置換(ここで、L<Nであり、より好ましくはL<<Nである)してFM×N行列およびGN×N行列の大きさを小さくすることによって、AM×N行列のランクを低くした近似値をつくることができる。言い換えれば、掛け合わせるとその積がAM×N行列に最も近似するFM×L行列とGL×N行列とを見つければよい。
【0120】
AM×N≒FM×L・GL×N
次に、図7に示すように、(以下の説明を読めばさらに明らかになるように)チャネルサンプル値32を受け取るように接続されたFIRフィルタB260のバンクとしてGL×N行列を実現し、かつτ B128を指数とするルックアップテーブルB262としてFM×L行列を実現することによって、補間フィルタのたたみ込み処理をおこなうことができる。代わりに実施可能な形態では、AM×N行列を3つの以上の行列(すなわち、A≒FGH...)に因数分解できることは、当業者には理解できよう。
【0121】
FM×L行列とGL×N行列とを見出すための好ましい方法は、以下の数10によって得られる、2乗誤差の和を最小化することである。
【0122】
【数10】
【0123】
数10の解は、AM×N行列を特異値分解することによって得られる。この特異値分解は以下のステップを含んでいる。
1.(M≧Nであると仮定すると)以下に示す素因子分解をおこなうことができるSVDをAM×N行列に対しておこなうステップであって、
AM×N=UM×N・DN×N・VN×N、ここで
UM×Nは、M×Nユニタリ行列であり、
DN×Nは、N×N対角行列であり{σ1、σ2、...σN}(ここでσiはAM×Nの特異値であり、かつσ1≧σ2...≧σN≧0である)、
VN×NはN×Nユニタリ行列である、ステップと、
2.所定の数であるL個の最大特異値σを選択することによって、大きさの小さくなった対角行列DL×Lを生成するステップと、
【0124】
【数11】
【0125】
3.UM×N行列から最初のL本の列を抽出することによって、大きさの小さくなったUM×L行列を形成するステップと、
【0126】
【数12】
【0127】
4.VN×N行列から最初のL本の行を抽出することによって、大きさの小さくなったVL×N行列を形成するステップと、
【0128】
【数13】
【0129】
5.FM×L行列とGL×N行列とを以下の関係を満たすように規定するステップと、
FM×L・GL×N=UM×L・DL×L・VL×N≒AM×N
(例えば、FM×L=UM×L・DL×LおよびGL×N=VL×Nとする)を含んでいる。
上述したように、多項式とランクの低くされた行列とを用いてコストの低減された実施の形態において、補間フィルタ係数Cτ(n)は、τの関数としてリアルタイムで計算される。すなわち、フィルタのインパルス応答h(n)は以下の数14に従って近似される。
【0130】
【数14】
【0131】
ここで、f(i、τ)はτにおける所定の関数(例えば、τにおける多項式、つまりτは上記FM×L行列の指数となる)であり、Lは近似の正確さを決める度合い(例えば、多項式の次数または上記FM×L行列の列の幅)であり、かつGi(n)は所定の行列(例えば、多項式つまり上記GL×N行列の係数)である。Lが増大するにつれて、数14の近似されたフィルタ係数Cτ(n)は、方程式(7)により得られる理想の係数に近づく傾向にある。数14から、補間フィルタの出力Y(x)の出力は、以下の数15のように表現されることになる。
【0132】
【数15】
【0133】
ここで、U(x)はチャネルサンプル値32であり、Nは補間フィルタ係数Cτ(n)の個数である。
【0134】
ここで再び図6を参照すると、係数レジスタファイルは、数14に従って補間フィルタ係数Cτ(n)を計算した後、これらの係数Cτ(n)をチャネルサンプルU(x)32とたたみ込むことによって、ボーレートと同期のとられた、補間されたサンプル値B102を発生することができる。しかし、数15を整理することによって、補間フィルタのより効率の高い実施の形態を以下の数16のように実現することができる。
【0135】
【数16】
【0136】
図7は、数16による補間フィルタの好ましい実施の形態を示す。多項式を用いる実施の形態において、τの関数はτにおける多項式であり、また、行列Gi(n)はこの多項式の係数である。またランクの低くされた行列を用いる実施の形態において、τの関数は上記FM×L行列B262の指数となり、数16における第2の和は、
【0137】
【数17】
【0138】
図7に示すように、FIRフィルタB260のバンクとして実現される。数16においても、Lは近似関数f(i、τ)の深さ(例えば、多項式の次数、つまり上記FM×L行列の列の幅)であり、また、Nは補間フィルタのインパルス応答の深さ(つまり、インパルス応答における係数の個数)である。N=8であり、かつL=3の場合に最良のパフォーマンス/コストバランスが得られることが判明している。しかし、今後、IC技術が進歩して、ゲート当たりのコストの低下が進むにつれて、これらの値を大きくすることができよう。
【0139】
(d=0再変調/復調検出器)
d=0 RLL制約を用いるサンプリングされた振幅記憶システムでは、リードチャネルは、通常、PR4レスポンスに等化され、離散時間シーケンス検出器は、通常、一対のインタリーブされたスライディング閾値ビタビ検出器として実施される。PR4等化が好ましいのは、より高次のd=0シーケンス検出器(例えば、EPR4やEEPR4など)では、トレリスモデルにおける状態の数が増えるので、実施するには、より複雑で、より高価になってしまうからである。しかし、EPR4領域において最小距離誤り事象をサーチし、その後、誤り事象が検出された時にPR4検出器の出力を訂正することによって、従来のPR4シーケンス検出器を改良することも可能である。このようにして、シーケンス検出器のパフォーマンスを、d=0 EPR4ほど複雑にせず、またd=0 EPR4
よりも低いコストで、EPR4検出器のパフォーマンスに近づけることができる。
【0140】
d=0リードチャネルに用いられる改良されたPR4検出器の好ましい実施の形態は、図8Aに示されている。この検出器は、以下のステップに従って動作する。
【0141】
1.従来のPR4シーケンス検出器の出力を理想のPR4サンプル値のシーケンスに再変調し、
2.理想のPR4サンプル値をリード信号サンプル値から減算することによって、PR4サンプル誤り値のシーケンスを発生し、
3.PR4サンプル誤り値をEPR4サンプル誤り値に変換し、
4.EPR4サンプル誤り値を、支配的なEPR4誤り事象にマッチングされ
たフィルタのバンクを用いてフィルタリングし、
5.最大の大きさのマッチドフィルタ出力を選択し、もしその大きさが所定の閾値を上回っていれば、その訂正が妥当であるのなら、その判定に従ってPR4の検出された2進シーケンスを訂正する(つまり、その結果、有効なPR4シーケンスが得られる)。
【0142】
図8Aの改良されたPR4検出器は、検出された2進シーケンスを推定されたPR4サンプルシーケンスに再変調し、その後、EPR4領域において検出された誤りを訂正することによって、リード信号を復調するので、この検出器を再変調/復調検出器(remod/demod detector)と呼ぶことにする。
【0143】
さて、ここで図8Aを詳細に参照すれば、従来のPR4シーケンス検出器B400は、リード信号サンプル値32から予備2進シーケンスB412を検出する。PR4検出器B400は、好ましくは、一対のインタリーブされたスライディング閾値ビタビ検出器として実施される。ただし、両インタリーブにおける遷移の符号B410は、再変調器(remodulator)B402により保存されて用いられる。符号ビットB410には、それぞれのインタリーブにおいてPR4検出器B400により出力された「1」ビットおよび「0」ビットがそれぞれ関連づけられる。例えば、もし偶数のインタリーブにおいて正の遷移が検出されれば、PR4検出器B400は、負の遷移が検出されるまで、複数の「+0」値が後に続く「+1」を出力する。符号ビットB410は、検出された2進シーケンスB412と共に、理想のPR4サンプルシーケンスB414へと再変調するのに用いられる。
【0144】
再変調器は、符号つきPR4/SNRZI変換器B404(SNRZIは、符号つきNRZIの短縮形である)と、部分消去補償器B406と、1+DフィルタB408とを備えている。これらの詳細については、後で説明する。再変調されたサンプルシーケンスB414が、現在のリード信号サンプルB416から減算されることによって、PR4サンプル誤りシーケンスB420を発生する(遅延B418は、PR4シーケンス検出器B400および再変調器B402の遅延を処理するために、リード信号サンプルを遅延させる)。PR4サンプル誤りシーケンスB420は、その後、1+DフィルタB422に通されることによって、EPR4サンプル誤りシーケンスB424を発生する。
【0145】
支配的なEPR4誤り事象にマッチングされた誤りパターン検出器B426は、EPR4サンプル誤りシーケンスB424を処理する。そして、もしEPR4誤り事象が検出されれば、対応する訂正信号B428が、誤り訂正回路B430に与えられる。誤り訂正回路B430は、PR4シーケンス検出器B400により出力された検出された2進シーケンスB412における誤りビットを訂正する。
【0146】
再変調器回路B402の詳細は、図8Bに示されている。再変調器回路B402は、SNRZI変換器B404と、部分消去補償器B406と、1+DフィルタB408と、利得B430と、加算器B432とを備えている。SNRZI変換器B404は、検出された2進ビットB412(すなわち、0または1)および関連づけられた符号ビット(すなわち、±1または±0)B410をPR4シーケンス検出器B400から受け取る。1/1+DフィルタB434は、検出された2進シーケンスB412をフィルタリングすることによって、対応するSNRZIの大きさサンプルのシーケンスB436を発生する。検出された2進シーケンスB412の符号ビットB410は、SNRZI符号ビットに直接、変換される。
【0147】
あるいは、SNRZI変換器B404は、検出された2進シーケンスB412および関連づけられた符号ビットB410によりインデックスのつけられたルックアップテーブルとして実施されてもよい。ルックアップテーブルによる実施の形態では、疑似破局的な誤り事象(すなわち、PR4シーケンス検出器B400においてマージされていないパスを結果として生じさせる誤り)の場合でも、誤りの伝搬を回避できる。ルックアップテーブルへのエントリは、表5に示されている。
【0148】
【表5】
【0149】
検出された2進シーケンスがSNRZIシーケンス(Snと表される)に変換された後、部分消去補償器B406は、SNRZIサンプルの大きさを調整することによって、隣接する磁束の遷移によりパルス振幅にもたらされた非線形低減を補償する。すなわち、Sn-1B438におけるSNRZIサンプルの大きさは、もしSnB442またはSn-2B444のいずれかに隣接する遷移があるのなら、±APEB440(ここで、|±APE|<1)にまで低減される。また、Sn-1B438の大きさは、もしSnB442およびSn-2B444の両方に隣接する遷移があるのなら、±(APE×APE)にまで低減される。部分消去補償器B406を実施するために、Sn、Sn-1およびSn-2として表されるSNRZIサンプルは、表6に示されているエントリに従ってSn-1の改変された値(SPn-1B446と表される)を出力するルックアップテーブルB446のインデックスとなる。
【0150】
【表6】
【0151】
部分消去の効果を補償した後、改変されたSNRZIサンプルSPn-1B448は、1+DフィルタB408に通されることによって、SNRZIサンプルを推定されたPR4サンプルシーケンスB450に変換する。AGC50のループは、リード信号の振幅を平均すれば理想のPR4の大きさになるように調整することによって、部分消去の非線形効果を補償しようと試みるので、利得乗算器B430は、再変調されたPR4シーケンスB450の大きさを調整することによって、AGC50によりなされた調整を補償する。利得乗算器B430の出力における推定されたPR4サンプルシーケンスB413は、その後、加算器B432において実際のリード信号サンプル値B416から減算されることによって、PR4サンプル誤りシーケンスB420を発生する。
【0152】
ここで再び図8Aを参照すれば、PR4サンプル誤りシーケンスB420が、1+DフィルタB422に通されることによって、EPR4サンプル誤りシーケンスB424を発生している。EPR4サンプル誤りシーケンスB424は、その後、最小距離EPR4誤り事象にマッチングされた誤りパターン検出器B426により処理される。最小距離EPR4誤り事象の例は、図8C〜図8Eに示されている。図8Cは、NRZ領域におけるPR4検出器の3つの最小距離誤り事象を示しており、図8Dは、PR4領域における同じ誤り事象を示しており、図8Eは、EPR4領域における誤り事象を示している。図8EのEPR4誤りシーケンスは、図8Dの対応するPR4誤りシーケンスを1+Dフィルタに通すことによって発生されうることには留意されたい。よって、誤りパターン検出器B
426は、PR4誤りシーケンスにマッチングされたフィルタのバンクが後続する1+Dフィルタとして実施されうる。回路をさらに簡単にするためには、EPR4サンプル誤りシーケンスに変換するための図8Aの1+DフィルタB422を、誤りパターン検出器B426における1+Dフィルタと組み合わせることによって、図8Fに示されているように、単一の1+2D+D2フィルタB450を形成してもよい。
【0153】
図8Fに示されている1+2D+D2フィルタB450の出力は、フィルタのバンクB452に接続される。これらのフィルタはそれぞれ、図8Dに示されているPR4誤りシーケンスの対応する一つにマッチングされたインパルス応答を有している。加算器B456の出力X1 B454は、図8Dの第1の誤りシーケンスに対応しており、出力X2 B458は、図8Dの第2の誤りシーケンスに対応しており、出力X3 B460は、図8Dの第3の誤りシーケンスに対応している。マッチドフィルタの出力は、所定の閾値と比較され、もしその閾値を超えているのなら、誤り検出信号がアサートされる。例えば、比較器B462は、X1出力B454を閾値(TH1AまたはTH1B)と比較し、もしX1 B454がその閾値を超えているのなら、F1信号B464がアサートされる。また
、比較器B462は、検出された誤りの極性を示す(すなわち、図8C〜図8Eに示されている誤りの極性は反転されてもよい)符号ビットF11 B465を出力する。
【0154】
もしダイビット、クワッドビットまたは6ビットの遷移シーケンスに関連づけられた誤り事象が起これば、対応するマッチドフィルタの出力と比較される閾値レベルは、部分消去の効果を補償するために低減される(ここでも、部分消去は、隣接する(1つ以上の)パルスによりもたらされたパルス振幅の低減である)。例えば、マルチプレクサB470は、もしDn+5B476においてダイビットシーケンスが検出されたか、誤検出された(つまり、誤って検出された)のなら(すなわち、時刻Dn+5およびDn+4におけるNRZIビットが共に非ゼロであるか、または共にゼロであるのなら)、閾値TH1AB472をX1 B454と比較するために選択する。そうでない場合には、マルチプレクサB470は、閾値TH1BをX1 B454と比較するために選択する。同様に、マルチプレクサB478は、もしDn+5B476においてクワッドビットシーケンスが検出されたか、誤検出された(つまり、誤って検出された)のなら(すなわち、時刻Dn+5、Dn+4、Dn+3およびDn+2におけるNRZIビットがすべて非ゼロであるか、またはすべてゼロであるのなら)、閾値TH2AをX2 B458と比較するために選択する。そうでない場合には、マルチプレクサB478は、閾値TH2BをX2 B458と比較するために選択する。最後に、マルチプレクサB480は、もしDn+5B476において6ビットの遷移シーケンスが検出されたか、誤検出された(つまり、誤って検出された)のなら(すなわち、時刻Dn+5、Dn+4、Dn+3、Dn+2、Dn+1およびDnにおけるNRZIビットがすべて非ゼロであるか、またはすべてゼロであるのなら)、閾値TH3AをX3 B460と比較するために選択する。そうでない場合には、マルチプレクサB480は、閾値TH3BをX3 B460と比較するために選択する。閾値THXAは、閾値THXBに図8Bの部分消去低減係数APEB440を掛け合わせた値として計算される。また、この回路は、TH1A=TH2A=TH3AおよびTH1B=TH2B=TH3Bに設定することによって、簡単にすることもできる。
【0155】
MAX回路B482は、マッチドフィルタの出力X1、X2およびX3を比較し、最大の絶対振幅を有するマッチドフィルタ出力に対応する信号FA、FBまたはFCをアサートする。信号FA、FBおよびFCは、後述するように、検出された2進シーケンスを訂正するのに用いられる。
【0156】
ピーク誤り検出器回路B484は、マッチドフィルタ出力X1、X2およびX3ならびに最大絶対振幅信号FA、FBおよびFCに応答して、時刻n B490における最大マッチドフィルタ出力を、時刻n−1 B492における最大マッチドフィルタ出力と比較する(B486)。もし時刻nにおける最大フィルタ出力が、時刻n−1における出力よりも小さいのなら、信号FAH B494がアサートされ、ピーク誤り信号が検出されたことを示す。FAH信号B494は、図8Aの誤り訂正回路B430の動作をイネーブルする。
【0157】
図示されていない代わりに実施可能な形態では、図8Fの信号FA、FB、FCおよびFAHは、フィルタの出力そのものではなく、フィルタの出力と比較器の閾値との間の差を用いて発生される。すなわち、MAX回路B482は、フィルタの出力Xkと、それに対応する閾値THkとの間の差として計算された3つの値を比較し、ピーク誤り検出器B484は 、これらの差分値におけるピークを求める。この実施の形態は、もしそれぞれの誤り事象について異なる閾値が用いられるのなら、好ましい。
【0158】
図8Aの誤り訂正器回路B430の詳細は、図8Gおよび図8Hに示されている。図8Gにおいて、誤りパターン検出器B426からのF1〜F3、FA〜FCおよびFAH信号B428は、それぞれの誤り事象ANDゲートB496A〜B496Cに入力される。これらのゲートの出力は、INHIBIT信号B500によりANDゲートB498A〜B498Cを通してイネーブルされる。もし対応するマッチドフィルタの出力がTH閾値(F1、F2またはF3)を超えており、かつ、それが最大の誤り事象(FA、FBまたはFC)であり、かつ、それがピーク誤り事象であり(FAH B494がアサートされる)、かつ、INHIBIT信号B500がアサートされないのなら、誤り事象(C1、C2またはC3)が検出される。検出された誤り事象(C1、C2およびC3)、誤り事
象符号(F11、F22およびF33)、検出された2進シーケンスB412および符号ビットB410は、誤り妥当性判定器(error validator)および訂正器B502に入力される。誤り妥当性判定器および訂正器B502は、もし検出された誤り事象が妥当であるのなら、検出された2進シーケンスB412(および符号ビット410)を訂正する。
【0159】
INHIBIT信号B500は、以下のように作用する。すなわち、もし妥当な誤り事象が検出されれば、検出された誤り事象の長さに等しい数のクロックサイクルのあいだ、INHIBIT信号B500をアサートする。すなわち、現在の誤り事象が訂正されるまで、後続する誤り事象は処理しない。
【0160】
INHIBIT信号B500は、カウンタB522、レジスタB524、マルチプレクサB526およびORゲートB504を用いて実施される。もし妥当な誤り事象が検出されれば(B508A、B508BまたはB508Cがアサートされれば)、ORゲートB504の出力が、レジスタB524の出力(すなわち、INHIBIT信号B500)をハイに設定する。それによって、ANDゲートB498A〜B498Cをディセーブルする。検出された誤り事象は、マルチプレクサB526を介してカウント値3、5または7をそれぞれ選択し、ORゲートB504の出力は、そのカウント値をカウンタB522にロードする。次に、DATA CLOCKがカウンタB522のクロックを合わせる。そして、このカウントが最終のカウントに達すると、TC信号B528が、レジスタB524をリセットすることによって、ANDゲートB498A〜B498Cを再びイ
ネーブルする。
【0161】
それぞれC1、C2およびC3として表される、ANDゲートB498A〜B498Cの出力は、マッチドフィルタにより誤りパターン検出器B426において検出されうる3つの誤り事象に対応している。これらの信号は、図8Hに示すように一連のレジスタB520を通してシフトする時に、検出された2進シーケンスB412(および符号ビットB410)を訂正するのに用いられる。しかし、検出された誤り事象に従って2進シーケンスを訂正する前に、その訂正そのものの妥当性が検査される。
【0162】
もし、例えば、検出誤りをもたらすノイズがリード信号と同じ極性を有しているのなら、誤り事象が間違って検出されることもある。この点を明らかにするために、図8Dに示されている第1の誤り事象を考える。PR4信号が、ノイズの影響で誤ってダイビットデータシーケンスとして検出されたものとすると、このノイズをキャンセルするための訂正は、検出されたPR4シーケンス(+1、+0、−1)にシーケンス(−1、−0、+1)を加算することになる。しかし、もしダイビットデータシーケンスが、実際に、加えられたノイズと同じ位置に記録されているのなら、逆極性の誤り事象が検出されることになるので、その際の訂正は、シーケンス(+1、+0、−1)を検出されたシーケンス(+1、+0、−1)に加算することになる。その結果、訂正されたシーケンスは、(+2、
+0、−2)となる。この場合、PR4シーケンス検出器B400は、正しい判定を下していることになるので、検出された2進シーケンスB412は、訂正されるべきではない。
【0163】
ここで、再び図8Hを参照すると、検出されたデータシーケンスに訂正を施す前に、検出された誤り事象について妥当性を検査する回路が設けられている。ルックアップテーブルB528は、検出された誤り事象を、検出されたPR4シーケンスに対して評価する。訂正により有効なPR4シーケンスが得られる場合のみ、PR4シーケンス検出器B400により出力された、検出された2進シーケンスB412(および符号ビットB410)に対して訂正が施される。すなわち、それぞれの誤り事象について、検出されたPR4シーケンスは、予想される可能なPR4シーケンスとマッチングしていなければならない。そうでなければ、訂正が施されることはない。
【0164】
動作時には、ルックアップテーブルB528は、検出された誤り事象(C1、C2またはC3)、誤り事象の符号(マルチプレクサB530を通して、検出された誤り事象により選択されるF11、F22またはF33)および対応する検出されたPR4データ(2進シーケンスB412および符号ビットB410)をDn+6B506、Dn+4B510、Dn+2B514およびDnB518において受け取る。もしC1誤り事象が検出されれば、以下の表7を用いて、ルックアップテーブルB528は、Dn+6B506およびDn+4B510において、検出されたPR4シーケンスと、予想されたPR4シーケンスと比較する。もしマッチングが見られれば、Dn+6およびDn+4における訂正されたPR4データは、シフトレジスタB520内に挿入される。そうでない場合には、検出されたPR4シーケンスは、訂正されないままでシフトレジスタB520内に再び格納される。同様に、もしC2誤り事象が検出されれば、以下の表8を用いて、ルックアップテーブルB528は、Dn+6B506、Dn+4B510、およびDn+2B514において、検出されたPR4シーケンスと、予想されたPR4シーケンスと比較する。もしマッチングが見られれば、Dn+6、Dn+4およびDn+2における訂正されたPR4データは、シフトレジスタB520内に挿入される。そうでない場合には、検出されたPR4シーケンスは、訂正されないままでシフトレジスタB520内に再び格納される。最後に、もしC3誤り事象が検出されれば、以下の表9を用いて、ルックアップテーブルB528は、Dn+6B506、Dn+4B510、Dn+2B514、およびDnB518において、検出されたPR4シーケンスと、予想されたPR4シーケンスと比較する。もしマッチングが見られれば、Dn+6、Dn+4、Dn+2およびDnにおける正しいPR4データは、シフトレジスタB520内に挿入される。そうでない場合には、検出されたPR4シーケンスは、訂正されないままでシフトレジスタB520内に再び格納される。訂正された2進シーケンスB412(および符号ビットB410)は、その後、シフトレジスタB520からシフトアウトされ、リードチャネルによりさらに処理される。
【0165】
【表7】
【0166】
【表8】
【0167】
【表9】
【0168】
(サブサンプリングされたリードチャネル)
上述の議論では、図4Bの補間されたタイミングリカバリは、オーバーサンプリングされたシステムとして説明された。すなわち、アナログリード信号62がわずかにオーバーサンプリングされた(24)後、「ダウンサンプリングされる」(すなわち、補間されるB122)ことによって、ボーレートに同期されたサンプル値B102を発生する。しかし、アナログリード信号を大幅にアンダーサンプリングした後に、「アップサンプリングする」ことによって、同期サンプルを発生することも可能である。このことは、ボーレートよりもはるかに低いレート(例えば、ボーレートの2/3)でサンプリングし(24)、その後、図4Bの補間されたタイミングリカバリ回路を用いてボーレートのサンプル値に補間すること(B122)によって実現される。サブサンプリングおよび補間をおこな
うことにより、A/Dの速度制約は緩和され、図4AのタイミングリカバリVCO B164は不要になる。その結果、リードチャネルの全スループットを向上させることができる。
【0169】
サブサンプリングがリードチャネルのパフォーマンスを低下させる範囲を決定する、すなわち、パフォーマンスの低下のほうが、リード信号をサブサンプリングすることにより得られたユーザデータレートの利得よりも重大になる閾値を見出すために、コンピュータシミュレーションがおこなわれた。まず、いかなる符号制約も課さずに(d=0)、サブサンプリングされたリードチャネルがシミュレーションされた。その結果は、図9Aに示されている。このグラフは、さまざまなユーザデータ密度(1直線トラックインチあたりのユーザデータビット数)についてサブサンプリングする(帯域幅をボーレートの分数として減少させる)ことによってもたらされた距離損失(パフォーマンス低下)の等高線的プロットである。図9Aに示されているように、符号制約なしで(d=0)サブサンプリングされたレートで動作するリードチャネルは、サブサンプリングの量が増加するにつれて、高いデータ密度では、急速にそのパフォーマンスが低下する。
【0170】
最尤シーケンス検出器について最小距離誤り事象を増大させる符号制約を導入した後、同じコンピュータシミュレーションがおこなわれた。具体的には、RLL d=1制約が導入された。その結果は、図9Bに示されている。図9Bに示されているように、符号制約は、高いユーザデータ密度でも、リードチャネルのパフォーマンスを大幅に改善している。実際、ボーレートの1/2および3.5のユーザ密度までのサブサンプリングの場合には、パフォーマンスの低下は実質的にない。d=1以外のその他同様の符号制約もまた、サブサンプリングの存在下にパフォーマンスを改善しうることは、当業者には認識できるであろう。
【0171】
符号化されていない時の(d=0)制約およびd=1符号制約の両方の場合について、パルス形状p(t)にマッチングされたフィルタと、xk=x(kT)を生成するサンプラと、ノイズホワイトニングフィルタ(noise whitening filter)と、ビタビ(または等価な)検出アルゴリズムとを含む、最適なMLSDシーケンス検出器に対してシミュレーションがおこなわれた。よって、図9Aおよび図9Bと同様な結果は、サブサンプリングの度合いを変化させる可能な最良のパフォーマンスに対する理論上の限界である。実用的なシーケンス検出方法は、最適なMLSDの近似であり、それらの方法もまた、サブサンプリングの度合いが増大する(帯域幅が減少するにつれて)につれて、同様に劣化する。
【0172】
(従来のd=1サブサンプリングされたリードチャネル)
図9Bを再び参照すると、d=1の符号制約を用い、かつ、ボーレートのおよそ1/2までのレートでサブサンプリングをおこなう時には、最適なMLSDリードチャネルのパフォーマンスの低下は実質的にない。これは、朗報である。なぜなら、このことは、より実用的なリードチャネルもまた、パフォーマンスの大幅な低下なしに、同様のサブサンプリングレートで動作するであろうことを意味しているからである。ボーレートの2/3でサブサンプリングをおこない、上述の補間されたタイミングリカバリを用いて、従来のd=1、レート2/3リードチャネルについてコンピュータシミュレーションをおこなったところ、そのようなリードチャネルもこのケースに該当することが確認された。
【0173】
d=1サブサンプリングされたリードチャネルの本発明による好ましい実施の形態は、図10に示されている。この実施の形態は、形態および機能の面では図3に示されているリードチャネルと同様である。しかし、この実施の形態は、d=1システムであるので、図3のプリコーダ10は必要ない。また、アナログ受信フィルタ20の遮断周波数は、リード信号をサブサンプリングすることによってもたらされる増大したエイリアシングノイズを減衰させるために、低くされる。補間されたタイミングリカバリB100では、図11に示されているように、図4Bのスライサの代わりに、DFE遷移検出器B274が用いられる。また、第1の等化器26は、タイミングリカバリ遷移検出器B274に対して最適化されたEPR4等化を実現し、第2の等化器B270は、d=1シーケンス検出器34に対して最適化されたEEPR4等化を実現する。
【0174】
ここで、図11を参照すると、位相誤差検出器B272は、補間されたサンプル値B102と、アクイジションのあいだに予想された遷移Pk B288あるいはトラッキングのあいだに検出された遷移〜PkB284のいずれかとの関数として、位相誤差推定値を計算する。図11の予想された遷移発生器B286は、図4Bの発生器と同様に動作する。すなわち、この発生器B286は、ステートマシンを用いることによって予想された遷移PkB288を発生し、それによって、アクイジションプリアンブルを獲得しつつ、位相誤差推定値を計算する。
【0175】
図12は、図11のDFE遷移検出器B274のブロック図である。図12の判定帰還等化(DFE)は、遷移検出器B276の出力における推定された遷移においてサンプル値の符号として計算されたデータ推定値B281をフィルタリングし(B278)、加算器B282においてフィルタの出力B280を補間されたサンプルB102に加算することによって、実施される。その結果、判定により向きの決められた等化は、アナログリード信号62がサブサンプリングされる時の、遷移検出器B276の正確さを改善する。
【0176】
d=1リードチャネルの場合、図10に示されているシーケンス検出器34は、従来の技術を用いて実施されうる。好ましくは、複雑の低減されたビタビ型のシーケンス検出器として実施される。図9Bを再び参照すれば、ボーレートの1/2までのレートでサブサンプリングをおこなっても、最適なMLSDシステムがその影響を受けないということは、従来のリードチャネルもまた、サブサンプリングの存在下に適正に動作するということを示している。コンピュータシミュレーションの結果、従来のd=1、レート2/3の符号を用いる場合には、好ましいサブサンプリングレートは、ボーレートの2/3のレートであると確定された。実用時には、図5を参照して既に説明したようにデータクロックB104のマスキング動作を実施するために、ボーレートの2/3よりもわずかに高い(例えば、1%〜5%だけ高い)サンプリングレートが選択される。よって、図11で、A/D24、離散時間等化器フィルタ26および補間器B122のクロックを合わせる。また、周波数シンセサイザ52は、ボーレートをわずかに超えるレートで、データクロックANDゲートB126のクロックを合わせる(すなわち、周波数シンセサイザ52の出力54は、1/3(B121)だけ増加された後、ANDゲートB126のクロック合わせに用いられる)。
【0177】
従来のビタビ型シーケンス検出器および補間されたタイミングリカバリの代わりに、サブサンプリングされたトレリスモデルにマッチングされた改良されたシーケンス検出器が用いられる。サブサンプリングされたリード信号にマッチングされたシーケンス検出器は、そのパフォーマンスが低下する(そのパフォーマンスは、従来のピーク検出器により近い)ものの、その複雑さは、大幅に緩和される。次のセクションでは、本発明による、この代わりに実施可能な形態について説明する。
【0178】
(マッチングされたd=1サブサンプリングされたリードチャネル)
マッチングされたd=1サブサンプリングされたシーケンス検出器は、以下のように規定される。すなわち、サブサンプリングされたシーケンス検出器の状態遷移にマッチングさせるために、従来のd=1シーケンス検出器の状態遷移図を改良する検出器である。図13Aは、従来のEPR4、d=1のフルサンプルレートシステムの状態遷移図である。この状態図において、それぞれの円は、サンプリングされたリード信号(サンプル事例)における状態を表しており、矢印つきの直線は、次の入力サンプル値が与えられた時の、現在の状態から次の状態への遷移を表している。それぞれの状態遷移には、参照符号s/b(ここで、sは、サンプル値を表し、bは、検出された2進シーケンスの対応するビット値を表している)がラベルとしてつけられている。
【0179】
マッチングされたd=1サブサンプリングされたシーケンス検出器に関する本発明による好ましい実施の形態は、ボーレートの1/2のレートでサブサンプリングし、EPR4レスポンスへと等化させるためのものである。サブサンプリングは、図4Aに示されているように、従来の(すなわち、リード信号をボーレートの1/2のレートで同期をとってサンプリングする)同期サンプリングPLLを用いて実施される。あるいは、サブサンプリングは、リード信号をボーレートの1/2よりもわずかに高いレートで非同期的にサンプリングした後、補間を通してボーレートの1/2に同期させることによって、図4Bの補間されたタイミングリカバリ回路を用いても実施されうる。
【0180】
1/2サブサンプルレート、EPR4、d=1リード信号に対応する、改良された状態遷移図は、図13Bに示されている。それぞれの状態遷移には、参照符号(s1、s2)/(b1、b2)というラベルがつけられている。ここで、(s1、s2)は、2つの信号サンプル値を表しており、(b1、b2)は、検出された2進シーケンスに対応する2ビット値を表している。理解できることであろうが、s1およびs2サンプル値は、何らかの特定の状態を脱する状態遷移間で異なっている。よって、ボーレートの1/2のレートでのサブサンプリングは、2つのサンプル値のうちのいずれか一つのみ、すなわちs1またはs2のみを評価することと等価である。
【0181】
もし、s2サンプル値のみが評価されるのなら、図13Bの状態遷移図は、状態Cと状態Dとを組み合わせ、状態Aと状態Fとを組み合わせることによって、簡単にすることができる。なぜなら、これらの状態遷移は等価であるからである。この点を明らかにするために、現在の状態がAである場合を考える。もし入力サンプル値s2が1であるのなら、検出される出力ビットは10となり、次の状態はCになる。状態Cからの遷移で、もし次の入力サンプル値s2が0であるのなら、検出される出力ビットは00となり、次の状態はDになる。同様に、もし次の入力サンプル値s2もまた0であるのなら、検出される出力ビットは再び00となり、次の状態はDのままである。状態Cからの遷移で、もし次の入力サンプル値s2が−aであるのなら、検出される出力ビットは01となり、次の状態はEになる。同様に、状態Dからの遷移で、もし次の入力サンプル値s2が−aであるのなら、検出される出力ビットは01となり、次の状態はEになる。よって、状態CおよびDを組み合わせることができる。なぜなら、状態Eで終わる入力サンプルシーケンスは、同じ出力ビットシーケンスを発生するからである。同様の分析をおこなえば、パフォーマンスを低下させることなく、状態AおよびFを組み合わせることができることが分かるであろう。
【0182】
状態CおよびDならびに状態AおよびFを組み合わせた結果、簡略化された状態遷移図は、図13Cに示されている。図13Aに示されている従来のEPR4の図における6つの状態とは対照的に、わずか4つの状態しかないので、ACS型のビタビシーケンス検出器の実現形態は、大幅に縮小されている。
【0183】
しかし、サブサンプリングのために、(図4Aにおける同期サンプリングをおこなう場合でも、あるいは図4Bにおける同期補間をおこなう場合でも)タイミングリカバリ回路内の位相誤差検出器を改変しなければならない。図13Cの簡略化された状態遷移図は、従来のPR4状態図と同様であることには、留意されたい。実際、もしあるインタリーブ(例えば、b2)においてチャネル遷移のすべてが発生したのなら、その状態図は、正確にPR4の図と同じになる。コンピュータシミュレーションの結果、いくつかのケースは例外として、従来のPR4リードチャネルの位相誤差検出器が、本発明によるEPR4サブサンプリングされたリードチャネルに対して、有効な位相誤差推定値を生成することが確認された。例えば、遷移が一方のインタリーブからもう一方のインタリーブへと起こる
場合、推定された位相誤差は、大きさの点では正しいが、符号の点では正しくないものになる。このことは、ランダムなデータの存在下では、タイミングループが不安定になりうることを示している。
【0184】
間違った位相誤差推定値をもたらしうるデータシーケンスを求めるために、コンピュータサーチがおこなわれた。このサーチは、公知のタイミングオフセットを伴うサンプリングされたリード信号を、従来のPR4位相誤差検出器に入れ、可能なすべてのデータシーケンスについて計算された位相誤差を測定することにより実現された。これにともなって、位相誤差検出器用のアルゴリズムは、無効な位相誤差を結果として生じたこれらのデータシーケンスを補償するために、その後、改変された。
【0185】
図14は、本発明によるマッチングされた、d=1、サブサンプリングされたリードチャネルに用いられる、改良されたPR4位相誤差検出器B290のブロック図である。ここでも、図4Aの同期サンプリングされたタイミングリカバリ回路における位相誤差検出器B155、または、図4Bの補間されたタイミングリカバリ回路における位相誤差検出器B155の代わりに、図14の改良されたPR4検出器B290を用いることができることには、注意されたい。動作時には、同期サンプル値B292が、スライサ(閾値検出器)B294に入力される。スライサB294は、推定された理想のサンプル値B296を出力する(EPR4の場合、推定された出力値は、−2、−1、0、+2および+2の中から選択された値をとりうる)。推定されたサンプル値B296は、その後、遅延され
ること(B297)によって、遅延された推定されたサンプル値Sn、Sn-1、Sn-2およびSn-3のシーケンスを発生する。サンプル誤り値en-1B298は、リード信号サンプル値B292(1クロック周期だけ遅延されている(B302))をSn-1推定されたサンプル値B304から減算することによって、加算器B300において発生される。サンプル誤り値en-1B298は、遅延されること(B306)によって、第2のサンプル誤り値en-2B308を発生する。サンプル誤り値は、その後、それぞれの乗算器B314およびB316において係数C0B310およびC1B312によりスケーリングされる。ここで、スケーリング係数C0 B310およびC1 B312は、間違った位相誤差推定値をもたらしうるデータシーケンスを補償するために、推定されたサンプル値Sn、Sn-1、Sn-2およびSn-3の関数として計算される。ロジックB322は、係数を発生するためのサンプル値推定値Sn、Sn-1、Sn-2およびSn-3によりインデックスのつけられた2つのルックアップテーブルを含んでいる。ここで、テーブルのエントリは、上述したコンピュータサーチに従って求められた。係数C0B310の値は、表10に示されており、係数C1 B312の値は、表11に示されている。
【0186】
【表10】
【0187】
【表11】
【0188】
乗算器B314およびB316の出力におけるスケーリングされたサンプル誤り信号は、加算器B318において加算される。加算器B318の出力が、位相誤差推定値B320である。この位相誤差推定値は、上述したように、図4Aまたは図4Bのタイミングループフィルタに入力される。
【0189】
(サブサンプリングされたタイミングアクイジション)
図2Bを再び参照すると、データのそれぞれのセクタ15は、ユーザデータ72をリードする以前に、タイミングリカバリ28をボーレートに同期させるのに用いられるアクイジションプリアンブルフィールド68を備えている。アクイジションのあいだに結果として得られるリード信号は、例えば、図5に示す正弦波状2Tのアクイジションプリアンブルのような周期波形である。図4Bを参照して既に説明したように、プリアンブル68の周期性により、位相誤差を計算するのに用いられる予想されたサンプル値を発生するのが容易になる。参照符号NTは、ディスク上にライトされる時の(例えば、2Tのプリアンブルについて、ディスク上にライトされるシンボルシーケンスa(n)16が1010101010101、…である時の)プリアンブルの周期を表している。
【0190】
図4Aに示されている従来のタイミングリカバリ回路を再び参照すると、PLLは、サンプリングVFOクロック23をボーレートに同期させるために、アクイジションプリアンブル68を処理する。また、図4Bに示されている補間されたタイミングリカバリの場合、アクイジションプリアンブル68は、ユーザデータ72をトラッキングする以前に、補間間隔τ B128に対する開始値を計算するために、処理される。いずれの場合でも、アクイジション時間は、プリアンブル68の長さを最小化してユーザデータ用により広いディスク空間を取っておくことができるように、できるだけ短くすべきである。
【0191】
コンピュータシミュレーションの結果、サブサンプリングの存在下にアクイジションプリアンブル68の周期を長くすることによって、アクイジション処理を最適化できることが判明した。図10のd=1リードチャネルの場合、ボーレートの2/3のレートでサブサンプリングする時、3Tのアクイジションプリアンブル(100100100…)が好ましく、ボーレートの1/2のレートでサブサンプリングする時、4Tのアクイジションプリアンブル(100010001000…)が好ましい。
【0192】
本発明の目的は、本願明細書で以上に開示した各種実施の形態によって完全に実現される。しかし、本発明のさまざまな局面が、他の異なる実施の形態によっても本発明の本質的作用からはずれることなく実現可能であることは、当業者には理解できよう。例えば、ボーレートの1/2のレートで同期をとってサンプリングをおこなった後、フルのボーレートに固定された位相でアップサンプリングをおこなうことによって、同期サンプリングタイミングリカバリと、補間とを組み合わせて用いることもできる。このような改変およびその他の改変は、すべて本発明の範囲内である。以上に開示した特定の実施の形態は、あくまでも例示を目的とするものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。本発明の範囲は、添付の請求の範囲により適切に解釈されるべきである。
【0193】
〔発明の効果〕
本発明によれば、少なくとも以下の効果が得られる。すなわち、アナログ・ディジタル変換器、タイミングリカバリVCOあるいはシーケンス検出器のコストを増大させたり、それらをさらに複雑にしたりすることなく、高いユーザデータレートおよび密度で動作可能である、コンピュータ記憶システム用のサンプリングされた振幅リードチャネルを提供できる。
【0194】
また、アナログリード信号がサブサンプリングされる時に、より高いユーザデータ密度でd=0リードチャネルのパフォーマンスを改善する符号化スキームを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】タイミングリカバリがアナログリード信号のサンプリングをボーレートに同期させる、従来のサンプリングされた振幅リードチャネルのブロック図である。
【図2A】複数のユーザデータセクタおよび複数の埋め込みサーボデータセクタから構成される複数の同心円状トラックを有する磁気ディスクのデータフォーマットの一例を示す図である。
【図2B】ユーザデータセクタのフォーマットの一例を示す図である。
【図3】補間されたサンプル値と、離散時間シーケンス検出器のクロック合わせ動作のための同期データクロックとを発生する補間されたタイミングリカバリを有する、本発明による改善されたサンプリングされた振幅リードチャネルのブロック図である。
【図4A】同期のとられたサンプリングVFOを有する従来の技術によるサンプリングタイミングリカバリの詳細ブロック図である。
【図4B】非同期サンプリングと、ボーレートに実質的に同期された補間されたサンプル値を発生する補間器とを有する、本発明による補間されたタイミングリカバリの詳細ブロック図である。
【図5】アクイジションプリアンブルをリードする時の補間されたボーレートサンプルに関連するチャネルサンプルを示す図である。
【図6】タイミングリカバリ補間器用のFIRフィルタの実施の形態を示す図である。
【図7】タイミングリカバリ補間器用の代わりに実施可能な形態を示す図である。
【図8A】本発明によるd=0リードチャネルに用いられる、改良されたPR4シーケンス検出器(再変調/復調検出器)の全体図である。
【図8B】図8Aの再変調/復調シーケンス検出器の再変調器を詳細に示す図である。
【図8C】サンプリングされた振幅リードチャネルのNRZ領域における支配的な誤り事象を示す図である。
【図8D】サンプリングされた振幅リードチャネルのPR4領域における支配的な誤り事象を示す図である。
【図8E】サンプリングされた振幅リードチャネルのEPR4領域における支配的な誤り事象を示す図である。
【図8F】図8C〜図8Eの支配的な誤り事象とマッチングされたフィルタのバンクを備えた誤りパターン検出器を詳細に示す図である。
【図8G】図8Fの誤りパターン検出器が誤りを検出した時に、PR4ビタビ検出器により出力される、検出された2進シーケンスに含まれている誤りを訂正する回路を示す図である。
【図8H】検出された誤りパターンについて妥当性を検査する回路を示す図である。
【図9A】最小距離損失を、d=0リードチャネルにおいて用いられるサブサンプリングの度合いおよびチャネル密度の関数として表す等高線的プロットである。
【図9B】最小距離損失を、d=1リードチャネルにおいて用いられるサブサンプリングの度合いおよびチャネル密度の関数として表す等高線的プロットである。
【図10】d=1サブサンプリングされたリードチャネルのための本発明による好ましい実施の形態を示す図である。
【図11】本発明によるd=1サブサンプリングされたリードチャネルの補間されたタイミングリカバリを示すブロック図である。
【図12】d=1サブサンプリングされたリードチャネルのタイミングリカバリに用いられる本発明によるDFE遷移検出器の一実施の形態を示す図である。
【図13A】従来のEPR4ビタビ型シーケンス検出器の状態遷移図である。
【図13B】ボーレートの1/2でサブサンプリングされたリード信号にマッチングされた、改良されたEPR4ビタビ型シーケンス検出器の状態遷移図である。
【図13C】図13Bに示されている状態遷移図の簡略化されたバージョンを示す図である。
【図14】本発明によるd=1、EPR4、サブサンプリングされたリードチャネルに用いられる位相誤差検出器を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0196】
4 データ発生器
6 RLLエンコーダ
9 ライト回路
10 プリコーダ
18 磁気/光記録チャネル
20 アナログフィルタ
22 可変利得増幅器
24 A/D変換器
26 離散時間等化器フィルタ
34 離散時間シーケンス検出器
36 RLL復号化器
50 利得制御
52 周波数シンセサイザ
66 データシンク検出器
B100 補間されたタイミングリカバリ
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の属する技術分野〕
本発明は、ディジタルコンピュータ用の記憶システム(例えば、磁気ディスクドライブや光ディスクドライブなど)の制御に関する。より具体的には、本発明は、アナログリード信号の非同期サブサンプリング、補間されたタイミングリカバリおよび再変調/復調シーケンス検出器を用いる、サンプリングされた振幅リードチャネルに関する。
【0002】
〔技術の技術〕
コンピュータ記憶システム(例えば、光学システム、磁気システムなど)は、記憶媒体(典型的には、回転する磁気ディスクまたは光ディスクのかたちをとる)の表面上に、ディスクの表面特性を変化させることによりディジタルデータを記録する。ディジタルデータは、半径方向に複数の同心円状トラックまたは螺旋状トラックのかたちで2進データをディスク上へと記録するライトトランスデューサ(ライトヘッド)の動作を変調するようにはたらく。例えば、磁気記録システムでは、ディジタルデータは、一連の磁束の遷移を磁化可能なディスクの表面上に記録するために、ライトコイル中の電流を変調する。また、例えば、光学記録システムでは、ディジタルデータは、一連の「ピット」を光ディスクの表面上へと記録するために、レーザビームの強度を変調する。この記録されたデータをリードする時には、回転するディスクの近傍に位置づけられたリードトランスデューサ(リードヘッド)は、媒体上の変化を検出し、対応するパルスのシーケンスをアナログリード信号に発生する。これらのパルスは、それからリードチャネル回路により検出、復号化されてディジタルシーケンスを再生する。
【0003】
パルスをディジタルシーケンスに検出・復号化することは、従来のアナログリードチャネルでは簡単なピーク検出器によっておこなわれてきた。また、もっと最近の設計では、サンプリングされた振幅リードチャネルにおける離散時間シーケンス検出器によっておこなわれている。離散時間シーケンス検出器のほうが、簡単なアナログパルス検出器よりも好ましい。なぜなら、離散時間シーケンス検出器は、符号間干渉(ISI)を補償することができるので、チャネルノイズの影響を受けにくいからである。その結果、離散時間シーケンス検出器は、記憶システムの容量を増大させ、その信頼性を高めることができる。公知の離散時間シーケンス検出方法としては、離散時間パルス検出(DPD)、ビタビ検出を用いたパーシャルレスポンス(PR)、最尤シーケンス検出(MLSD)、判定帰還
等化(DFE)、改善された判定帰還等化(EDFE)、および判定帰還を用いた固定遅延ツリー検索(FDTS/DF)などが挙げられる。
【0004】
従来のピーク検出リードチャネルでは、アナログ回路が、リードヘッドにより発生された連続時間アナログリード信号におけるピークを検出する。このアナログリード信号は、複数のビットセル期間に「セグメント化」され、これらの時間セグメントの間で解釈される。あるビットセル期間内にピークが存在すると、「1」ビットとして検出され、一方、ピークが存在しない時には、「0」ビットとして検出される。検出時に最も誤差が発生しやすいのは、これらのビットセルがアナログパルスデータと正しく一致していないときである。そこで、このような検出誤差を最小限にとどめるために、平均すればこれらのビットセルの中心にピークが発生するように、タイミングリカバリを用いてこれらのビットセル期間を調整する。タイミング情報が得られるのはピークが検出された時だけなので、入
力されたデータストリームは通常、ランレングス制限(RLL)され、連続する「0」ビットの数を制限する。
【0005】
データの密度を高めようとして複数のデータトラック上に多数のパルスを緊密にパックしても、符号間干渉(ISI)や、間隔が狭くなって互いにオーバーラップするパルスによってリード信号にもたらされる歪みなどが原因で、検出誤差はやはり発生する。この干渉がもとで、ビットセルのピークがそのセル内からシフトしたり、そのピークの大きさが低下したりするので、結局、検出誤差は起こってしまう。ISIの影響は、データ密度を低くすることによって、または、「1」ビットと「1」ビットとの間の「0」ビットの数を確実に最小とするような符号化スキームを用いることによって抑えることができる。例えば、(d、k)ランレングス制限(RLL)された符号は、「1」ビットと「1」ビットとの間の「0」ビットの最小数をdに制約し、連続する「0」ビットの最大数をkに制
約する。典型的な(1、7)RLL 2/3レートの符号は、8ビットのデータワードを12ビットのコードワードに符号化し、(1、7)制約を満たしている。
【0006】
ビタビ検出を用いたパーシャルレスポンス(PR)のようなサンプリングされた振幅検出は、符号間干渉やチャネルノイズの影響を補償することによってデータ密度を高めることを可能にする。従来のピーク検出システムとは異なり、サンプリングされた振幅による記録は、パルスデータの実際の値を離散した時間点において解釈することによってディジタルデータを検出する。この目的のために、リードチャネルは、アナログリード信号をサンプリングするサンプリングデバイスと、サンプルをボーレート(符号ビットレート)に同期させるタイミングリカバリ回路とを備えている。これらのパルスをサンプリングする前に、可変利得増幅器が、リード信号の振幅を定格値に調整し、ローパスアナログフィルタが、リード信号をフィルタリングすることによって、チャネルノイズおよびエイリアシ
ングノイズを減衰させる。サンプリングの後、ディジタル等化器が、所望のパーシャルレスポンスに従ってサンプル値を等化し、ビタビ検出器のような離散時間シーケンス検出器が、それらの等化されたサンプル値を文脈に従って解釈することによって、そのディジタルデータについて最尤(most likely)のシーケンスを決める(すなわち、最尤シーケンス検出(MLSD)をおこなう)。MLSDは、検出アルゴリズムにおいて、ISIおよびチャネルノイズの影響を考慮に入れることによって、検出誤差が発生する可能性を低くする。これによって、従来のアナログピーク検出リードチャネルに比べて、有効な信号対雑音比を増大させることができ、また、ある与えられた(d、k)制約に対して、はるかに高いデータ密度を実現することができる。
【0007】
サンプリングされた振幅技術をディジタル通信チャネルに適用した例は、既に多くの文献に見られる。例えば、Y. KabalおよびS. Pasupathyの「パーシャルレスポンス信号化」、IEEE Trans. Commun. Tech.、第COM-23巻、第921〜934頁、1975年9月、Edward A. LeeおよびDavid G. Messerschmittの「ディジタル通信」、Kluwer Academic Publishers、Boston、1990年、およびG.D. Forney, Jr.の「ビタビアルゴリズム」、Proc. IEEE、第61巻、第268〜278頁、1973年3月などを参照のこと。
【0008】
サンプリングされた振幅技術を磁気記憶システムに適用した例も、既に多くの文献に見られる。例えば、Roy D. Cideciyan、Francois Dolivo、Walter HirtおよびWolfgang Schottの「ディジタル磁気記録用PRMLシステム」、IEEE Journal on Selected Areas in Communications、第10巻、第1号、1992年1月、第38〜56頁、Woodらの「磁気記録チャネル上のクラスIVパーシャルレスポンスのビタビ検出」、IEEE Trans. Commun.、第Com-34巻、第5号、第454〜461頁、1986年5月、Cokerらの「リジッドディスクドライブにおけるPRMLの実施」、IEEE Trans. on Magnetics、第27巻、第6号、1991年11月、Carleyらの「FDTS/DFシーケンス検出を後におこなう適応連続時間等化」、Digest of The Magnetic Recording Conference、1994年8月15〜17日、第C3頁、Moonらの「判定帰還を用いた固定遅延ツリー検索用の複雑さの制限された等化器設計」、IEEE Tra
ns. on Magnetics、第30巻、第5号、1994年9月、Abbottらの「磁気記憶チャネルの適応判定帰還等化用のタイミングリカバリ」、Globecom '90 IEEE Global Telecommunications Conference 1990、 San Diego、CA、1990年11月、第1794〜1799頁、Abbottらの「等化およびオフトラック干渉を用いたディジタル磁気記録の性能」、IEEE Transactions on Magnetics、第27巻、第1号、1991年1月、Cioffiらの「磁気ディスク記憶チャネルにおける適応等化」、IEEE Communication Magazine、1990年2月、およびRoger Woodの「改善された判定帰還等化」、Intermag '90などを参照のこと。
【0009】
本明細書に開示される原理は、特にどのような離散時間シーケンス検出方法を用いるかには関わりなく、適用可能である。本発明は、上に列挙したシーケンス検出方法のすべてに適用可能であるばかりか、上には挙げなかったその他の検出方法にも適用可能であり、さらに、将来開発される技術にさえも適用可能である。
【0010】
従来のピーク検出システムと同様に、サンプリングされた振幅検出においても、ディジタルシーケンスを正確に抽出するためにはタイミングリカバリが必要である。ピーク検出システムにおいておこなわれているように、各ピークがビットセル期間のそれぞれの中心に一致するように連続的な信号処理をおこなうのではなく、サンプリングされた振幅システムは、複数のパルスサンプルをボーレートに同期させる。従来のサンプリングされた振幅リードチャネルでは、タイミングリカバリは、信号サンプル値と、推定されたサンプル値との間の誤差を最小化することによって、サンプリングクロックを同期させる。パルス検出器、つまりスライサは、リード信号サンプルから推定されたサンプル値を決める。たとえISIが存在していても、これらのサンプル値は推定可能であり、また、これらのサ
ンプル値は、信号サンプル値を併用することによって、判定により向きの決められた帰還システムでアナログパルスのサンプリングの同期をとることにも用いることができる。
【0011】
通常、位相同期ループ(PLL)を用いることによって、タイミングリカバリを用い、判定により向きの決められた帰還システムを実現することができる。PLLは、推定されたサンプルと、リード信号サンプルとの間の差に基づいて、位相誤差を発生する位相検出器を備えている。PLLのループフィルタは、この位相誤差をフィルタリングする。そして、フィルタリングされた位相誤差は、チャネルサンプルをボーレートに同期させるように作用する。
【0012】
従来は、この位相誤差によって、典型的には可変周波数発振器(VFO)の出力である、サンプリングクロックの周波数を調整していた。VFOの出力により、アナログ・ディジタル(A/D)変換器のようなサンプリングデバイスを制御することによって、サンプリングをボーレートに同期させることができる。
【0013】
ビタビ検出を用いたパーシャルレスポンス(PR)は、前述したように、サンプリングされた振幅リードチャネルにおいて、同期サンプル値から記録されたディジタルデータを検出するために通常用いられている方法である。最もよく用いられるビタビ型のシーケンス検出方法としては、インタリーブされたスライディング閾値検出器が2つ必要になるだけのコスト的に有効な実現形態である、d=0レート8/9 PR4と、高密度でビット誤り率(BER)を改善することができるが、より高度な加算/比較/選択(ASC)型のシーケンス検出器が必要になる実現形態である、d=1レート2/3 EEPR4とがある。
【0014】
EEPR4リードチャネルにおけるd=1の制約は、対応するトレリス符号の最小距離を増大させる(また、これに伴い、BERを低下させる)。さらに、この制約は、状態の個数を減らすことによってシーケンス検出器の複雑さを緩和するとともに、そのコストを下げ、トレリスモデルにおいて対称性を確立することによって、さらに簡単な構成とすることを可能にする。しかし、d=1システムに伴う欠点もいくつかある。
【0015】
〔発明が解決しようとする課題〕
すなわち、d=1リードチャネルでは、(d=1の場合のレート2/3をd=0の場合のレート8/9と比較すれば)符号化効率が低下するので、ユーザデータレートも低下する。よって、より高いユーザデータレートを実現するためには、より高速でより複雑なタイミングリカバリおよびA/D回路(すなわち、より高い周波数のタイミングリカバリのVCOおよびA/D変換器)を用いて、チャネルデータレート(符号ビットレート)を増大させなければならない。このような構成は好ましくない。なぜなら、コスト面で有効ではないからである。また、符号レートの低下が原因でd=1リードチャネルに起こるこの特有の問題も、データレートをさらに押し上げれば、d=0リードチャネルでも起こりうる問題になる。さらに、前述したように、d=1 EPR4/EEPR4シーケンス検出
器は、トレリスモデルがさらに複雑になっているので、実施するにはそのぶん余分なコストを要する。
【0016】
よって、アナログ・ディジタル変換器、タイミングリカバリVCOあるいはシーケンス検出器のコストを増大させたり、それらをさらに複雑にしたりすることなく、高いユーザデータレートおよび密度で動作可能である、コンピュータ記憶システム用のサンプリングされた振幅リードチャネルがいま必要とされている。また、本発明のもう一つの局面は、アナログリード信号がサブサンプリングされる時に、より高いユーザデータ密度でd=0リードチャネルのパフォーマンスを改善する符号化スキームを用いることにある。
【0017】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、アナログ・ディジタル変換器、タイミングリカバリVCOあるいはシーケンス検出器のコストを増大させたり、それらをさらに複雑にしたりすることなく、高いユーザデータレートおよび密度で動作可能である、コンピュータ記憶システム用のサンプリングされた振幅リードチャネルを提供することにある。また他の目的は、アナログリード信号がサブサンプリングされる時に、より高いユーザデータ密度でd=0リードチャネルのパフォーマンスを改善する符号化スキームを提供することにある。
【0018】
〔課題を解決するための手段〕
本発明によるディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された、補間された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルは、該2進データが所定のボーレートで記録される、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、(a)該アナログリード信号を該ボーレートの9/10以下のサンプリングレートでサブサンプリングすることによって、サブサンプリングされた値を発生する、サンプリングデバイスと、(b)該サブサンプリングされた値に応答して、補間されたサンプル値を発生する、補間器と、(c)該補間されたサンプル値から検出されたシーケンスを発生する、離散時間検出器と、を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0019】
ある実施形態では、前記離散時間検出器が、最小距離誤り事象を増大させる符号制約に従って動作する。
【0020】
ある実施形態では、前記符号制約が(d、k)ランレングス制限された符号制約(ここで、d>0である)である。
【0021】
ある実施形態では、前記補間器が、(a)サンプリングクロックと前記ボーレートとの間の周波数差に比例する周波数オフセットΔfを発生する、周波数オフセット発生器と、(b)モジュロTsおよび該周波数オフセットΔfをアキュムレートすることによって、補間間隔τを発生する、モジュロTsアキュムレータであって、Tsは該サンプリングクロックの所定のサンプル周期である、モジュロTsアキュムレータと、を備えている。
【0022】
ある実施形態では、前記周波数オフセット発生器が、(a)補間されたサンプル値と、推定されたサンプリング値との間の位相誤差Δθを検出する、位相誤差検出器と、(b)該位相誤差Δθをフィルタリングすることによって、前記周波数オフセットΔfを発生する、ループフィルタと、を備えている。
【0023】
ある実施形態では、前記位相誤差検出器が、離散時間パルス検出器を備えている。
【0024】
ある実施形態では、前記離散時間パルス検出器が、判定帰還等化を備えている。
【0025】
ある実施形態では、第1の等化されたサンプル値を発生する第1の等化器と、第2の等化されたサンプル値を発生する第2の等化器と、をさらに備えている、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、(a)前記離散時間パルス検出器が、該第1の等化されたサンプル値に応答し、(a)該離散時間パルス検出器が、該第2の等化されたサンプル値に応答する。
【0026】
ある実施形態では、前記補間器が、前記離散時間検出器のクロックを合わせるデータクロックをさらに発生する。
【0027】
ある実施形態では、前記離散時間検出器が、前記リード信号の非線形特性にマッチングされた状態遷移表に従って動作する。
【0028】
ある実施形態では、前記非線形効果が、1次パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の非線形低減である部分消去効果である。
【0029】
ある実施形態では、前記離散時間検出器が、(a)前記補間されたサンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する予備シーケンスを検出する、復調器と、(b)該予備シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器と、(c)該補間されたサンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器と、(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該予備シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器と、(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該予備シーケンスを訂正する、誤り検出器と、を備えている。
【0030】
ある実施形態では、前記再変調器が、1次パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の前記非線形低減を補償する部分消去補償器を備えている。
【0031】
ある実施形態では、前記離散時間検出器が、検出された誤り事象について妥当性を検査する誤り検出妥当性判定器をさらに備えている。
【0032】
本発明によるディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるサブサンプリングパルスにより発生された離散時間サンプル値のサブサンプリングされたシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルは、該2進データが所定のボーレートで記録される、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、(a)該アナログリード信号を該ボーレートの9/10以下のサンプリングレートでサブサンプリングすることによって、サブサンプリングされた値を発生する、サンプリングデバイスと、(b)該サブサンプリングされた値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、(c)該同期サンプル値から該2進データを検出する、離散時間シーケンス検出器と、を備えており、そのことによ
り上記目的が達成される。
【0033】
ある実施形態では、前記離散時間シーケンス検出器が、前記リード信号の非線形特性にマッチングされた状態遷移表に従って動作する。
【0034】
ある実施形態では、前記非線形効果が、1次パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の非線形低減である部分消去効果である。
【0035】
ある実施形態では、前記シーケンス検出器が、サブサンプリングされたリード信号に実質的にマッチングされた状態遷移表に従って動作する。
【0036】
ある実施形態では、前記サンプリングレートが、前記ボーレートの1/2の10%以内である。
【0037】
ある実施形態では、前記状態遷移表が、以下の表1
【0038】
【表1】
【0039】
である。
【0040】
ある実施形態では、前記状態遷移表が、以下の表2
【0041】
【表2】
【0042】
である。
【0043】
ある実施形態では、前記タイミングリカバリが、(a)前記同期サンプル値に応答して、推定されたサンプル値を発生する、スライサと、(b)複数の該推定されたサンプル値に応答して、少なくとも1つの勾配係数を発生する、制御ロジックと、(c)該同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値を発生する、加算器と、(d)サンプル誤り値を該勾配係数により乗算する乗算器であって、該乗算が、推定された位相誤差を発生するのに用いられる、乗算器と、を有する位相誤差推定器を備えている。
【0044】
ある実施形態では、(a)前記タイミングリカバリが、ユーザデータの前に記録されたアクイジションプリアンブルのサブサンプル値を対象に動作し、かつ(b)該アクイジションプリアンブルが、前記ボーレートの2倍よりも長い周期で前記ディスク上にライトされる。
【0045】
本発明によるディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルは、(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、非同期サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、(b)該非同期サンプル値を補間することによって、同期サンプル値を発生する、補間器と、(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器、(c)該同期サンプル値および該推
定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器、および(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り検出器、を有する、離散時間検出器と、を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0046】
ある実施形態では、前記復調器が、前記2進シーケンスの符号および大きさを出力する。
【0047】
ある実施形態では、前記再変調器が、前記2進シーケンスをNRZIシーケンスに変換するNRZI変換器を備えている。
【0048】
ある実施形態では、前記再変調器が、1次パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の前記非線形低減を補償する部分消去補償器を備えている。
【0049】
ある実施形態では、前記誤りパターン検出器が、所定の誤り事象にマッチングされた複数の離散時間フィルタを備えている。
【0050】
ある実施形態では、前記サンプル誤り値のシーケンスを低次パーシャルレスポンス領域から高次パーシャルレスポンス領域に変換する手段をさらに備えている、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、前記誤りパターン検出器が、該高次パーシャルレスポンス領域において前記ビット誤りを検出する。
【0051】
ある実施形態では、前記復調器が、PR4シーケンス検出器を備えている。
【0052】
ある実施形態では、検出された誤り事象について妥当性を検査し、もし該検出された誤り事象が妥当であるのなら、前記誤り訂正器をイネーブルする、誤り検出妥当性判定器をさらに備えている。
【0053】
ある実施形態では、前記補間器が、前記離散時間検出器のクロックを合わせるデータクロックをさらに発生する。
【0054】
本発明によるディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルは、(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、該離散時間サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、(b)該離散時間サンプル値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器であって、1次
パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の前記非線形低減を補償する部分消去補償器を備えている、再変調器、(c)該同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器、および(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り検出器を有する、離散時間検出器と、を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0055】
ある実施形態では、検出された誤り事象について妥当性を検査し、もし該検出された誤り事象が妥当であるのなら、前記誤り訂正器をイネーブルする、誤り検出妥当性判定器をさらに備えている。
【0056】
本発明によるディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルは、(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、該離散時間サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、(b)該離散時間サンプル値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器、(c)該同期
サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、(d)該サンプル誤り値に応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器であって、それぞれが所定の誤り事象にマッチングされている、複数の離散時間フィルタと、該離散時間フィルタに応答して、ピーク誤り事象を検出する、ピーク検出器と、を備えている誤りパターン検出器、および(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り訂正器を有する、離散時間検出器と、を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0057】
本発明によるディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、離散時間サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、(b)該離散時間サンプル値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器、(c)該
同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器、(e)検出された誤り事象について妥当性を検査する、誤り検出妥当性判定器、および(f)該ビット誤りの該大きさおよび該位置、ならびに、該誤り検出妥当性判定器に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り訂正器を有する、離散時間検出器と、を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0058】
以下に作用を説明する。
【0059】
2進データを記録するコンピュータディスク記憶システム用のサンプリングされた振幅リードチャネルが開示される。このサンプリングされた振幅リードチャネルは、ディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスを非同期的にサンプリングするサンプリングデバイスと、同期サンプル値を発生する補間されたタイミングリカバリと、同期サンプル値から2進データを検出するシーケンス検出器とを備えている。シーケンス検出器は、ビット誤りを有しうる予備2進シーケンスを検出する復調器と、推定されたサンプル値に再変調する再変調器と、サンプル誤り値を発生する手段と、ビット誤りを検出する誤りパターン検出器と、誤り検出妥当性判定器と、ビット誤りを訂正する誤り検出器とを備えている。再変調器は、1次パルスの近傍に位置する2
次パルスによりもたらされた1次パルスの振幅の非線形低減を補償する部分消去回路を備えている。誤りパターン検出器は、ピーク誤りパターン検出器を備えている。再変調器は、また、誤りパターンが検出された場合には、検出されたその誤りパターンが完全に処理されるまで、誤りパターン検出器をディセーブルする手段も備えている。誤り検出妥当性判定器は、検出された誤り事象について妥当性を検査し、もしそれが妥当であるのなら、誤り訂正器の動作をイネーブルする。
【0060】
復調器は、d=0制約に従って動作することによって、d=1リードチャネルに伴うコストの上昇およびさらなる複雑化を回避しつつ、より高速なユーザデータレートを実現することができる。復調器はまた、2つのスライディング閾値検出器を含む、簡単なインタリーブされたPR4ビタビ検出器として実施されてもよい。誤りパターン検出器および誤り訂正器は、より高いパーシャルレスポンス領域(例えば、EPR4)で動作することにより、コストを上昇させたり、さらに複雑したりすることなく、シーケンス検出器のパフォーマンスを大幅に改善することができる。
【0061】
また、高データレートコンピュータシステム用の、サブサンプリングされた離散時間リードチャネルも開示される。このリードチャネルは、チャネルボーレート(符号ビットレート)よりも大幅に低いレートでアナログリード信号を非同期的にサンプリングし、非同期サンプル値を補間することによって、ボーレートに実質的に同期された補間されたサンプル値を発生し、かつ、補間されたサンプル値からディジタルデータを検出するように動作する。本発明以外の方法によれば高いデータレートでは大幅な劣化を招く、制約されていないリードチャネル(d=0リードチャネル)のパフォーマンスを、本発明によるサブサンプリング技法を用いて改善するために、符号化スキームは、劣化を招くデータシーケンスをコードアウト(code out)する。
【0062】
リード信号は、同期的にサンプリングされるのではなく、サブサンプリングされるので、より高いユーザデータレートを実現するために、A/Dの帯域幅を広くとる必要はない。また、補間されたタイミングリカバリでは、帯域幅の広い同期のとられたVCOは必要なくなる。実際に、本発明によるVCOは、リード/ライトヘッドがディスク上のデータゾーン間を遷移するときのみ、周波数を変化させる(ゾーン分割記録は、ディスクが所定数のゾーンに分割され、ディスク上の所定数の連続するトラックが1つのゾーンに分類され、データレートが内側のゾーンから外側のゾーンへと大きくなるようにする技術である)。さらに、符号化スキームは、サブサンプリングによる高データレートでのパフォーマンスの低下を、劣化を招くデータシーケンスをコードアウトすることによって補償する。
【0063】
〔発明の実施の形態〕
本願は、以下の同時係属中の米国特許出願、すなわち、「ユーザデータおよび埋め込まれたサーボデータを磁気媒体からリードするためのサンプリングされた振幅リードチャネル」と題された米国特許出願第08/440,515号、「サンプル推定等化、欠陥スキャニング、チャネル品質、ディジタルサーボ復調、タイミングリカバリ用のPIDフィルタおよびDCオフセット制御を含むサンプリングされた振幅リードチャネル」と題された米国特許出願第08/341,251号、「同期パーシャルレスポンス記録のための改善されたタイミングリカバリ」と題された米国特許出願第08/313,491号、および「サンプリングされた振幅磁気記録のための改善された欠陥許容シンクマーク検出器」と題された米国特許出願第08/533,797号に関連している。本願は、また、以下に掲げるいくつかの米国特許、すなわち、「同期波形サンプリング用のタイミングリカバリ回路」と題された米国特許第5,359,631号、「複雑さの低減されたビタビ型シーケンス検出器のための方法および装置」と題された米国特許第5,291,499号、「同期波形サンプリングのための利得制御回路」と題された米国特許第5,297,184号、「ディジタルパルス検出器」と題された米国特許第5,329,554号、および「同期リードチャネル」と題された米国特許第5,424,881号にも関連している。上に列挙した特許出願および特許のすべては、同一の譲受人に譲渡されており、本願でも、それらのすべてが参考として援用される。
【0064】
本発明の上記局面および利点、ならびにその他の局面および利点は、添付の図面を参照しながら以下に述べる本発明の詳細な説明を読めば、よりよく理解できるであろう。
【0065】
(従来のサンプリングされた振幅リードチャネル)
図1をここで参照すれば、従来のサンプリングされた振幅リードチャネルの詳細なブロック図が示されている。ライト動作のあいだ、ユーザデータ2またはデータ発生器4からのプリアンブルデータ(例えば2Tのプリアンブルデータ)が、媒体上にライトされる。RLL符号化器6は、RLL制約条件にしたがって、ユーザデータ2を2進シーケンスb(n)8に符号化する。プリコーダ10は、記録チャネル18および等化器フィルタの伝達関数を補償し、プリコードされたシーケンス〜b(n)12をつくるために、2進シーケンスb(n)8をプリコードする。プリコードされたシーケンス〜b(n)12は、〜b(N)=0をa(N)=−1に、かつ〜b(N)=1をa(N)=+1に翻訳すること(14)によって、シンボルa(n)16に変換される。ライト回路9は、シンボルa(
n)16に応答して、ボーレート1/Tで記録ヘッドコイル中の電流を変調することによって、2進シーケンスを媒体上に記録する。周波数シンセサイザ52は、ボーレートライトクロック54をライト回路9に供給する。また、周波数シンセサイザ52は、記録ヘッドがどのゾーンの上に位置しているかによってチャネルデータレート信号(CDR)30により調整される。
【0066】
記録された2進シーケンスを媒体からリードするとき、タイミングリカバリ28は、まず、リードチャネルへの入力としてマルチプレクサ60を通してライトクロック54を選択することによって、ライト周波数にロックする。いったんライト周波数にロックされると、マルチプレクサ60は、記録されたユーザデータよりも前にディスク上に記録されたアクイジションプリアンブルを得るために、リードヘッドからの信号19をリードチャネルへの入力として選択する。可変利得増幅器22は、アナログリード信号58の振幅を調整し、アナログフィルタ20は、エイリアシングノイズを減衰させるのと同時に、所望の応答を得るために初期等化をおこなう。サンプリングデバイス24は、アナログフィルタ20からのアナログリード信号62をサンプリングし、離散時間等化器フィルタ26は、所望の応答を得るためにサンプル値25をさらに等化する。パーシャルレスポンス記録においては、所望の応答は、例えば、しばしば表3から選択される。
【0067】
【表3】
【0068】
等化の後、リード信号58の振幅と、サンプリングデバイス24の周波数および位相とをそれぞれ調整するために、等化されたサンプル値32は、判定により向きの決められた利得制御50と、タイミングリカバリ回路28とに与えられる。等化されたサンプル32をボーレートに同期させるために、タイミングリカバリは、ライン23を介してサンプリングデバイス24の周波数を調整する。温度、電圧およびプロセスのばらつきに対してタイミングリカバリ周波数を所定の値に揃えるために、周波数シンセサイザ52は、センタ周波数の粗い設定値をライン64を介してタイミングリカバリ回路28に与える。チャネルデータレート(CDR)信号30は、シンセサイザ52の周波数範囲を、現在のゾーンについてのデータレートにしたがって調整する。利得制御50は、チャネルの周波数応答の大きさを所望のパーシャルレスポンスに一致させるために、ライン21を介して可変利得増幅器22の利得を調整する。
【0069】
等化されたサンプル32は、最尤(ML)ビタビシーケンス検出器のような離散時間シーケンス検出器34にも送られる。離散時間シーケンス検出器34は、サンプル値から推定された2進シーケンス^b(n)33を検出する。RLL復号化器36は、シーケンス検出器34からの推定された2進シーケンス^b(n)33を、推定されたユーザデータ37に復号化する。データシンク検出器66は、RLL復号化器36の動作をフレームに同期させるために、データセクタ15の中のシンクマーク70(図2Bに示す)を検出する。誤差がなければ、推定された2進シーケンス^b(n)33は、記録された2進シーケンスb(n)8と一致し、復号化されたユーザデータ37は、記録されたユーザデータ2と一致する。
【0070】
(データフォーマット)
図2Aは、1連の同心円状データトラック13を備えた磁気媒体のデータフォーマットの1例を示す。ここで、それぞれのデータトラック13は、サーボウェッジ17の埋め込まれた複数のセクタ15を有している。サーボコントローラ(不図示)が、サーボウェッジ17におけるサーボデータを処理し、そのサーボデータに応答して、リード/ライトヘッドを所望のトラック上に位置づける。また、サーボコントローラは、サーボウェッジ17内のサーボバーストを処理することによって、データをライトしたり、リードしたりしながら、所望のトラックのセンタライン上にヘッドを位置合わせし続ける。サーボウェッジ17は、簡単な離散時間パルス検出器によっても、あるいは離散時間シーケンス検出器34によっても検出されうる。もしシーケンス検出器34がサーボデータを検出すれば、サーボウェッジ17のフォーマットは、ユーザデータセクタ15と同様に、プリアンブルおよびシンクマークを含むことになる。
【0071】
図2Bは、アクイジションプリアンブル68、シンクマーク70およびユーザデータ72を備えたユーザデータセクタ15のフォーマットを示す。タイミングリカバリは、アクイジションプリアンブル68を用いて、正しいサンプリング周波数および位相を、ユーザデータ72をリードする前に得ており、シンクマーク70は、ユーザデータ72の始まりを区切る。
【0072】
記憶密度の全体を増加させるために、ディスクは、1トラック当たり14個のデータセクタを有する外側のゾーン11と、1トラック当たり7個のデータセクタを有する内側のゾーン27とに区分される。実用時には、ディスクは、実際には、ゾーン当たりのセクタ数が互いに異なる複数のゾーンに区分される。その場合、データは、それぞれ異なるデータレートで各ゾーンに記録され、また、そこから検出されることになる。
【0073】
(改善されたサンプリングされた振幅リードチャネル)
図3は、本発明による改善されたサンプリングされた振幅リードチャネルを示している。図3では、図1の従来のサンプリングされたタイミングリカバリ28は、補間されたタイミングリカバリB100に置き換えられている。さらに、ライト周波数シンセサイザ52は、ライト動作中にライト回路9に与えられるボーレートライトクロック54を発生するか、または、リード動作中にサンプリングデバイス24と、離散時間等化器フィルタ26と、補間されたタイミングリカバリB100とを、現在のゾーンに対する周波数(CDR30)でクロック合わせする非同期リードクロック54を発生する。代わりに実施可能な形態では、第1の周波数シンセサイザがライトクロックを発生し、第2の周波数シンセサイザがリードクロックを発生する。
【0074】
補間されたタイミングリカバリB100は、等化されたサンプル値32を補間することによって、現在のゾーンのデータレートと実質的に同期のとられた補間されたサンプル値B102を発生する。離散時間シーケンス検出器34は、補間されたサンプル値B102(同期のとられたサンプル値)から、ユーザデータを表現する推定された2進シーケンス33を検出する。また、補間されたタイミングリカバリ回路B100は、利得制御50、離散時間シーケンス検出器34、シンクマーク検出器66およびRLL復号化器36の動作をクロック合わせする、周波数同期データクロックB104を発生する。
【0075】
(従来のタイミングリカバリ)
図1に示す従来のサンプリングタイミングリカバリ28の全体図が、図4Aに示されている。可変周波数発振器(VFO)B164の出力23は、典型的にはディジタルリードチャネルにおけるアナログ・ディジタル変換器(A/D)であるサンプリングデバイス24のサンプリングクロックを制御する。マルチプレクサB159は、アクイジションのあいだは等化されていないサンプル値25を選択し、トラッキングのあいだは等化されたサンプル値32を選択することによって、付随するレイテンシを避けるために、アクイジションのあいだ、離散等化器フィルタ26をタイミングループから除く。位相誤差検出器B155は、ラインB149を介して受け取られたサンプル値と、ラインB143上の、d=0のPR4リードチャネルにおけるスライサのようなサンプル値推定器B141からの推定されたサンプル値〜Ykとに応答して、位相誤差を発生する。ループフィルタB160は、位相誤差をフィルタリングすることによって、サンプリングクロック23と、ボーレートとの間の周波数差に比例した値に落ちつく周波数オフセットΔf B167を発生する。周波数オフセットΔf B167は、周波数シンセサイザ52からのセンタ周波数制御信号64とともに、サンプリングクロック23をVFO B164の出力において調整することによって、サンプリングをボーレートに同期させる。
【0076】
ゼロ位相スタート回路B162は、VFO B164の動作をアクイジションの始めに停止させることによって、サンプリングクロック23と、リード信号62との間の初期位相誤差を最小にする。これは、VFO B164をディセーブルし、アナログリード信号62におけるゼロクロスを検出し、検出されたゼロクロスと第1のボーレートサンプルとの間の所定の遅延の後にVFO B164を再びイネーブルすることによっておこなわれる。
【0077】
(補間されたタイミングリカバリ)
本発明による補間されたタイミングリカバリB100は、図4Bに示されている。図4Aの従来のタイミングリカバリにおけるVFO B164は、モジュロTsアキュムレータB120および補間器B122に置き換えられている。さらに予期されたサンプル値発生器B151は、補間されたサンプル値B102に応答して、位相誤差検出器B155によって用いられる予期されたサンプルYk+τを発生することによって、アクイジションのあいだの位相誤差を計算する。マルチプレクサB153は、スライサB141からの推定されたサンプル値〜Yk+τを選択し、トラッキングのあいだに位相誤差検出器B155によって使えるようにする。後で詳しく述べるように、データクロックB104は、サンプリングクロック54と、モジュロTsアキュムレータB120からのマスク信号B124とに応答して、ANDゲートB126の出力において発生される。位相誤差検出器B155およびスライサB141は、図4Aの離散等化器フィルタ26の出力におけるチャネルサンプル値32の代わりに、補間器B122の出力における補間されたサンプル値B102を処理する。PIDループフィルタB161は、図4AのループフィルタB160に似た閉ループ周波数応答を制御する。
【0078】
本発明による補間されたタイミングリカバリにおいて、プリアンブルを獲得する前に、VFOを参照周波数にロックさせることはもはや必要ではなく、(図1のように)ライトクロック54をアナログ受信フィルタ20にマルチプレクシングすること(60)は、必要ではない。さらにサンプリングデバイス24および離散等化器フィルタ26は、それらに付随する遅延とともに、タイミングリカバリループから除かれている。アクイジションとトラッキングとのあいだに等化器フィルタ26の周辺でマルチプレクシングすること(B159)は、必要ではない。しかしユーザデータ72をトラッキングする前にプリアンブル68を獲得することはやはり必要である。この目的のために、図4Aのゼロ位相スタート回路B162と同様に、アクイジションの始めに、ゼロ位相スタート回路B163は、補間されたサンプル値と、ボーレートとの間の初期位相誤差を最小化する。しかしサンプリングVFO B164の動作を停止させる代わりに、補間されたタイミングリカバリのゼロ位相スタート回路B163は、A/D24のサンプル値25からの初期位相誤差τを計算し、この初期位相誤差をモジュロTsアキュムレータB120にロードする。
【0079】
モジュロTsアキュムレータB120、データクロックB104、および補間器B122については、以下に詳細に説明する。
【0080】
(補間器)
図4Bの補間器B122は、サンプリングされた2Tのアクイジションプリアンブル信号B200を示す図5を参照すれば理解できるだろう。ターゲット同期サンプル値B102は、黒丸として示されており、非同期チャネルサンプル値32は、垂直の矢印として示されている。サンプリングされたプリアンブル信号の下にあるのは、サンプリングクロック54、データクロックB104およびマスク信号B124の対応するタイミング信号を表すタイミングチャートである。図5に示すように、プリアンブル信号B200は、ボーレート(ターゲット値のレート)よりもわずかに速くサンプリングされている。
【0081】
補間器の機能は、チャネルサンプル値を補間することによってターゲットサンプル値を推定することである。例示を目的として、簡単な推定アルゴリズムである線形補間を考える。
【0082】
Y(N−1)=x(N−1)+τ・(x(N)−x(N−1)) (1)ここでx(N−1)およびx(N)は、ターゲットサンプルのまわりにあるチャネルサンプルであり、τは、チャネルサンプル値x(N−1)と、ターゲットサンプル値との間の時間差に比例する補間間隔である。補間間隔τは、PIDループフィルタB161の出力において周波数オフセット信号Δf B167をアキュムレートするモジュロTsアキュムレータB120の出力において発生される。
【0083】
τ=(ΣΔf)MOD Ts (2)
ここで、Tsはサンプリングクロック54のサンプリング周期である。サンプリングクロック54は、アナログリード信号62をボーレートよりもわずかに速くサンプリングするので、アキュムレートされた周波数オフセットΔf、つまりTsによって割られた整数が1だけ増加するときにはいつも、データクロックをマスクする必要がある。データクロックB104およびモジュロTsアキュムレータB120によって発生されるマスク信号B124の動作は、図5のタイミングチャートを参照すれば理解できよう。
【0084】
補間器が上述の簡単な線形方程式(1)を実現するとすれば、チャネルサンプル値B202およびB204は、ターゲットサンプル値B206に対応する補間されたサンプル値を発生するのに用いられる。補間間隔τ B208は、上述の方程式(2)にしたがって発生される。次のターゲット値B210に対応する次の補間されたサンプル値は、チャネルサンプル値B204およびB212から計算される。このプロセスは、周囲を「包みこみ」、実際にτ B216となる(すなわちアキュムレートされた周波数オフセットΔf、すなわちTsによって割られた整数が1だけ増加することによって、マスク信号B124をアクティベートする)とき以外は、補間間隔τ B214がTsよりも大きくなるまで続く。ターゲットサンプル値B220に対応する補間されたサンプル値が、チャネルサンプル値B218およびB222からではなく、チャネルサンプル値B222およびB224から計算されるように、この時点において、データクロックB104は、マスク信号B124によってマスクされる。
【0085】
方程式(1)の簡単な線形補間は、アナログリード信号がボーレートよりもずっと高い周波数でサンプリングされるときにしかうまくはたらかない。より高い周波数でチャネルを動作させることは、その複雑さとコストとを増すことになるので望ましくない。よって、好ましい実施の形態では、補間器B122は、2つよりも多くのチャネルサンプルに応答して、補間されたサンプル値を計算するフィルタとして実現される。
【0086】
理想的な離散時間位相補間フィルタは、大きさの応答が平坦であり、τの群遅延が一定である。
【0087】
Cτ(ejω)=ejωτ (3)
これは、理想的なインパルス応答をもつ。
【0088】
sinc(π・(n−τ/Ts)) (4)
残念ながら、上述の非因果的な無限インパルス応答である(4)は実現できない。よって、補間フィルタのインパルス応答は、理想インパルス応答である(4)に最もよく一致する近似になるように設計される。これは、実際の補間フィルタの周波数応答と、理想補間フィルタである(3)の周波数応答との間の平均2乗誤差を最小にすることによって得られる。この近似は、入力信号のスペクトルを考慮に入れることによって改善されうる。つまり実際の補間スペクトルによって乗算された入力スペクトルと、理想補間スペクトルによって乗算された入力スペクトルとの間の平均2乗誤差を最小にすることによって以下のようになる。
【0089】
/Cτ(ejω)x(ejω)−Cτ(ejω)x(ejω) (5)
ここで/Cτ(ejω)は、実際の補間フィルタのスペクトルであり、またx(ejω)は、入力信号のスペクトルである。また「/」は、「バー」を示す。方程式(5)から、平均2乗誤差は、以下の数1により表される。
【0090】
【数1】
【0091】
ここでx(ejω)は、リードチャネルのスペクトル(例えば、表3のPR4、EPR4、EEPR4や他のパーシャルレスポンススペクトル)である。
【0092】
実際には、上述の平均2乗誤差方程式である数1は、入力信号のスペクトルがある所定の定数0≦ω≦απに帯域制限されると特定することによって以下のように書き直すことができる。ここで0<α<1である。つまり
|x(ejω)|=0、ただし|ω|≧απ
である。すると数1は、以下のようになる。
【0093】
【数2】
【0094】
この数2の最小化問題に対する解決策としては、例えば、実際の補間フィルタをその係数によって表現し、かつ伝統的な平均2乗の観点から誤差を最小化できる係数の解を求める方法が挙げられる。
【0095】
実際の補間フィルタは、FIR多項式として以下の数3のように表現すること
ができる。
【0096】
【数3】
【0097】
ここで、2Rは各補間フィルタにおけるタップ数であり、また、サンプル周期Tsは1に正規化されている。係数の個数が偶数である補間フィルタに対する数学的微分法について以下に説明する。係数の個数が奇数である補間フィルタを微分できるように、以下の演算法を改変することは当業者の技量内で十分に可能であろう。
【0098】
数3を数2に代入すると、係数Cτ(n)によって所望の数式を得ることができる。
【0099】
【数4】
【0100】
次のステップは、係数Cτ(n)について数4の導関数をとり、かつそれらを0に初期化することである。
【0101】
【数5】
【0102】
慎重に変形すれば、数5により以下の数6が導かれる。
【0103】
【数6】
【0104】
ただし、n0=−R,...,0, 1,..., R−1である。
φ(r)を以下の数7のように規定し、
【0105】
【数7】
【0106】
また数7を数6に代入すると、以下の数8のようになる。
【0107】
【数8】
【0108】
ただし、n0=−R,...,0, 1,..., R−1である。
数8は、係数Cτ(n)によって2R線形方程式のセットを規定している。数8は、より簡潔に行列形式で以下のように表現することができる。
【0109】
ΦTCτ=Φτ
ここで、Cτは以下の形式の列ベクトルである。
【0110】
Cτ=[cτ(−R),..., cτ(0),..., cτ(R−1)]t
ΦTは、以下の形式のテープリッツ行列である。
【0111】
【数9】
【0112】
また、Φτは以下の形式の列ベクトルである。
Φτ=[φ(−R+τ),..., φ(τ),φ(1+τ),..., φ(R−1+τ)]t (6)
方程式(6)の解は、以下の方程式(7)のようになる。
【0113】
Cτ=ΦT-1Φτ (7)
ここで、ΦT-1は公知の方法を用いて解を求めることができる逆行列である。 表4は、2R=6、α=0.8およびx(ejω)=PR4であるときの方程式(7)から計算される係数Cτ(n)の例を示している。また、図6には、6つのタップを有するFIRフィルタの実施の形態を示している。シフトレジスタB250は、サンプリングクロックレート54でチャネルサンプル32を受け取る。フィルタ係数Cτ(n)は、係数レジスタファイルB252に格納され、τ B128の現在の値に従って対応する乗算器に与えられる。これらの係数は、シフトレジスタB250に格納されているチャネルサンプル32によって乗算される。その結果得られた積の和がとられ(B254)、その和は遅延レジスタB256に格納される。係数レジスタファイルB252および遅延レジスタB256は、上述したマスキング機能を実現するデータクロックB104によってクロックが合わせられる。
【0114】
【表4】
【0115】
図示しない代替の実施の形態においては、τの互いに異なる値に対応する係数を有する複数のスタティックFIRが、シフトレジスタB250におけるサンプル値をフィルタリングする。各フィルタは補間値を出力し、補間間隔の現在の値τ B128は、対応するフィルタの出力を補間器B122の出力B102として選択する。図6では、1つのフィルタの係数は一定の間隔で更新されないので、このように多数のフィルタを用いる実施の形態によれば、補間器B122の速度を増大させることができ、またリードチャネル全体のスループットを高めることができる。
【0116】
(コストの低減された補間器)
より効率が高く、コストの低減された実施の形態では、補間フィルタのすべての係数をメモリに格納するのではなく、図6に示す係数レジスタファイルB252が、フィルタ係数Cτ(n)をτの関数としてリアルタイムで計算する。フィルタ係数Cτ(n)は、例えば、τにおける所定の多項式に従ってリアルタイムで計算することができる(例えば、Farrowに付与された「連続的な可変ディジタル遅延回路」と題された米国特許第4,866,647号を参照のこと。この特許の開示については本願も参考として援用している)。また、フィルタ係数をリアルタイムで計算するための別の好ましい実施の形態においては、それらの係数のランクを低くした行列表現に従って、フィルタ係数を推定する。
【0117】
係数レジスタファイルB252に格納されているフィルタ係数のバンクは、M×N行列AM×Nとして表現することができる。ここで、Nは補間フィルタの深さ(つまり、方程式(7)に従って計算されたインパルス応答における係数Cτ(n)の個数)であり、またMは補間間隔の個数(すなわち、τ間隔の個数)である。より効率が高く、コストの低減されたこの実施の形態は、AM×N行列の全体をメモリに格納するのではなく、AM×N行列の因数分解および特異値分解(SVD)をおこなうことによって実現される。
【0118】
AM×N行列をFM×N行列およびGN×N行列に因数分解できる場合を考える。
【0119】
AM×N=FM×N・GN×N
こうすると、NをLで置換(ここで、L<Nであり、より好ましくはL<<Nである)してFM×N行列およびGN×N行列の大きさを小さくすることによって、AM×N行列のランクを低くした近似値をつくることができる。言い換えれば、掛け合わせるとその積がAM×N行列に最も近似するFM×L行列とGL×N行列とを見つければよい。
【0120】
AM×N≒FM×L・GL×N
次に、図7に示すように、(以下の説明を読めばさらに明らかになるように)チャネルサンプル値32を受け取るように接続されたFIRフィルタB260のバンクとしてGL×N行列を実現し、かつτ B128を指数とするルックアップテーブルB262としてFM×L行列を実現することによって、補間フィルタのたたみ込み処理をおこなうことができる。代わりに実施可能な形態では、AM×N行列を3つの以上の行列(すなわち、A≒FGH...)に因数分解できることは、当業者には理解できよう。
【0121】
FM×L行列とGL×N行列とを見出すための好ましい方法は、以下の数10によって得られる、2乗誤差の和を最小化することである。
【0122】
【数10】
【0123】
数10の解は、AM×N行列を特異値分解することによって得られる。この特異値分解は以下のステップを含んでいる。
1.(M≧Nであると仮定すると)以下に示す素因子分解をおこなうことができるSVDをAM×N行列に対しておこなうステップであって、
AM×N=UM×N・DN×N・VN×N、ここで
UM×Nは、M×Nユニタリ行列であり、
DN×Nは、N×N対角行列であり{σ1、σ2、...σN}(ここでσiはAM×Nの特異値であり、かつσ1≧σ2...≧σN≧0である)、
VN×NはN×Nユニタリ行列である、ステップと、
2.所定の数であるL個の最大特異値σを選択することによって、大きさの小さくなった対角行列DL×Lを生成するステップと、
【0124】
【数11】
【0125】
3.UM×N行列から最初のL本の列を抽出することによって、大きさの小さくなったUM×L行列を形成するステップと、
【0126】
【数12】
【0127】
4.VN×N行列から最初のL本の行を抽出することによって、大きさの小さくなったVL×N行列を形成するステップと、
【0128】
【数13】
【0129】
5.FM×L行列とGL×N行列とを以下の関係を満たすように規定するステップと、
FM×L・GL×N=UM×L・DL×L・VL×N≒AM×N
(例えば、FM×L=UM×L・DL×LおよびGL×N=VL×Nとする)を含んでいる。
上述したように、多項式とランクの低くされた行列とを用いてコストの低減された実施の形態において、補間フィルタ係数Cτ(n)は、τの関数としてリアルタイムで計算される。すなわち、フィルタのインパルス応答h(n)は以下の数14に従って近似される。
【0130】
【数14】
【0131】
ここで、f(i、τ)はτにおける所定の関数(例えば、τにおける多項式、つまりτは上記FM×L行列の指数となる)であり、Lは近似の正確さを決める度合い(例えば、多項式の次数または上記FM×L行列の列の幅)であり、かつGi(n)は所定の行列(例えば、多項式つまり上記GL×N行列の係数)である。Lが増大するにつれて、数14の近似されたフィルタ係数Cτ(n)は、方程式(7)により得られる理想の係数に近づく傾向にある。数14から、補間フィルタの出力Y(x)の出力は、以下の数15のように表現されることになる。
【0132】
【数15】
【0133】
ここで、U(x)はチャネルサンプル値32であり、Nは補間フィルタ係数Cτ(n)の個数である。
【0134】
ここで再び図6を参照すると、係数レジスタファイルは、数14に従って補間フィルタ係数Cτ(n)を計算した後、これらの係数Cτ(n)をチャネルサンプルU(x)32とたたみ込むことによって、ボーレートと同期のとられた、補間されたサンプル値B102を発生することができる。しかし、数15を整理することによって、補間フィルタのより効率の高い実施の形態を以下の数16のように実現することができる。
【0135】
【数16】
【0136】
図7は、数16による補間フィルタの好ましい実施の形態を示す。多項式を用いる実施の形態において、τの関数はτにおける多項式であり、また、行列Gi(n)はこの多項式の係数である。またランクの低くされた行列を用いる実施の形態において、τの関数は上記FM×L行列B262の指数となり、数16における第2の和は、
【0137】
【数17】
【0138】
図7に示すように、FIRフィルタB260のバンクとして実現される。数16においても、Lは近似関数f(i、τ)の深さ(例えば、多項式の次数、つまり上記FM×L行列の列の幅)であり、また、Nは補間フィルタのインパルス応答の深さ(つまり、インパルス応答における係数の個数)である。N=8であり、かつL=3の場合に最良のパフォーマンス/コストバランスが得られることが判明している。しかし、今後、IC技術が進歩して、ゲート当たりのコストの低下が進むにつれて、これらの値を大きくすることができよう。
【0139】
(d=0再変調/復調検出器)
d=0 RLL制約を用いるサンプリングされた振幅記憶システムでは、リードチャネルは、通常、PR4レスポンスに等化され、離散時間シーケンス検出器は、通常、一対のインタリーブされたスライディング閾値ビタビ検出器として実施される。PR4等化が好ましいのは、より高次のd=0シーケンス検出器(例えば、EPR4やEEPR4など)では、トレリスモデルにおける状態の数が増えるので、実施するには、より複雑で、より高価になってしまうからである。しかし、EPR4領域において最小距離誤り事象をサーチし、その後、誤り事象が検出された時にPR4検出器の出力を訂正することによって、従来のPR4シーケンス検出器を改良することも可能である。このようにして、シーケンス検出器のパフォーマンスを、d=0 EPR4ほど複雑にせず、またd=0 EPR4
よりも低いコストで、EPR4検出器のパフォーマンスに近づけることができる。
【0140】
d=0リードチャネルに用いられる改良されたPR4検出器の好ましい実施の形態は、図8Aに示されている。この検出器は、以下のステップに従って動作する。
【0141】
1.従来のPR4シーケンス検出器の出力を理想のPR4サンプル値のシーケンスに再変調し、
2.理想のPR4サンプル値をリード信号サンプル値から減算することによって、PR4サンプル誤り値のシーケンスを発生し、
3.PR4サンプル誤り値をEPR4サンプル誤り値に変換し、
4.EPR4サンプル誤り値を、支配的なEPR4誤り事象にマッチングされ
たフィルタのバンクを用いてフィルタリングし、
5.最大の大きさのマッチドフィルタ出力を選択し、もしその大きさが所定の閾値を上回っていれば、その訂正が妥当であるのなら、その判定に従ってPR4の検出された2進シーケンスを訂正する(つまり、その結果、有効なPR4シーケンスが得られる)。
【0142】
図8Aの改良されたPR4検出器は、検出された2進シーケンスを推定されたPR4サンプルシーケンスに再変調し、その後、EPR4領域において検出された誤りを訂正することによって、リード信号を復調するので、この検出器を再変調/復調検出器(remod/demod detector)と呼ぶことにする。
【0143】
さて、ここで図8Aを詳細に参照すれば、従来のPR4シーケンス検出器B400は、リード信号サンプル値32から予備2進シーケンスB412を検出する。PR4検出器B400は、好ましくは、一対のインタリーブされたスライディング閾値ビタビ検出器として実施される。ただし、両インタリーブにおける遷移の符号B410は、再変調器(remodulator)B402により保存されて用いられる。符号ビットB410には、それぞれのインタリーブにおいてPR4検出器B400により出力された「1」ビットおよび「0」ビットがそれぞれ関連づけられる。例えば、もし偶数のインタリーブにおいて正の遷移が検出されれば、PR4検出器B400は、負の遷移が検出されるまで、複数の「+0」値が後に続く「+1」を出力する。符号ビットB410は、検出された2進シーケンスB412と共に、理想のPR4サンプルシーケンスB414へと再変調するのに用いられる。
【0144】
再変調器は、符号つきPR4/SNRZI変換器B404(SNRZIは、符号つきNRZIの短縮形である)と、部分消去補償器B406と、1+DフィルタB408とを備えている。これらの詳細については、後で説明する。再変調されたサンプルシーケンスB414が、現在のリード信号サンプルB416から減算されることによって、PR4サンプル誤りシーケンスB420を発生する(遅延B418は、PR4シーケンス検出器B400および再変調器B402の遅延を処理するために、リード信号サンプルを遅延させる)。PR4サンプル誤りシーケンスB420は、その後、1+DフィルタB422に通されることによって、EPR4サンプル誤りシーケンスB424を発生する。
【0145】
支配的なEPR4誤り事象にマッチングされた誤りパターン検出器B426は、EPR4サンプル誤りシーケンスB424を処理する。そして、もしEPR4誤り事象が検出されれば、対応する訂正信号B428が、誤り訂正回路B430に与えられる。誤り訂正回路B430は、PR4シーケンス検出器B400により出力された検出された2進シーケンスB412における誤りビットを訂正する。
【0146】
再変調器回路B402の詳細は、図8Bに示されている。再変調器回路B402は、SNRZI変換器B404と、部分消去補償器B406と、1+DフィルタB408と、利得B430と、加算器B432とを備えている。SNRZI変換器B404は、検出された2進ビットB412(すなわち、0または1)および関連づけられた符号ビット(すなわち、±1または±0)B410をPR4シーケンス検出器B400から受け取る。1/1+DフィルタB434は、検出された2進シーケンスB412をフィルタリングすることによって、対応するSNRZIの大きさサンプルのシーケンスB436を発生する。検出された2進シーケンスB412の符号ビットB410は、SNRZI符号ビットに直接、変換される。
【0147】
あるいは、SNRZI変換器B404は、検出された2進シーケンスB412および関連づけられた符号ビットB410によりインデックスのつけられたルックアップテーブルとして実施されてもよい。ルックアップテーブルによる実施の形態では、疑似破局的な誤り事象(すなわち、PR4シーケンス検出器B400においてマージされていないパスを結果として生じさせる誤り)の場合でも、誤りの伝搬を回避できる。ルックアップテーブルへのエントリは、表5に示されている。
【0148】
【表5】
【0149】
検出された2進シーケンスがSNRZIシーケンス(Snと表される)に変換された後、部分消去補償器B406は、SNRZIサンプルの大きさを調整することによって、隣接する磁束の遷移によりパルス振幅にもたらされた非線形低減を補償する。すなわち、Sn-1B438におけるSNRZIサンプルの大きさは、もしSnB442またはSn-2B444のいずれかに隣接する遷移があるのなら、±APEB440(ここで、|±APE|<1)にまで低減される。また、Sn-1B438の大きさは、もしSnB442およびSn-2B444の両方に隣接する遷移があるのなら、±(APE×APE)にまで低減される。部分消去補償器B406を実施するために、Sn、Sn-1およびSn-2として表されるSNRZIサンプルは、表6に示されているエントリに従ってSn-1の改変された値(SPn-1B446と表される)を出力するルックアップテーブルB446のインデックスとなる。
【0150】
【表6】
【0151】
部分消去の効果を補償した後、改変されたSNRZIサンプルSPn-1B448は、1+DフィルタB408に通されることによって、SNRZIサンプルを推定されたPR4サンプルシーケンスB450に変換する。AGC50のループは、リード信号の振幅を平均すれば理想のPR4の大きさになるように調整することによって、部分消去の非線形効果を補償しようと試みるので、利得乗算器B430は、再変調されたPR4シーケンスB450の大きさを調整することによって、AGC50によりなされた調整を補償する。利得乗算器B430の出力における推定されたPR4サンプルシーケンスB413は、その後、加算器B432において実際のリード信号サンプル値B416から減算されることによって、PR4サンプル誤りシーケンスB420を発生する。
【0152】
ここで再び図8Aを参照すれば、PR4サンプル誤りシーケンスB420が、1+DフィルタB422に通されることによって、EPR4サンプル誤りシーケンスB424を発生している。EPR4サンプル誤りシーケンスB424は、その後、最小距離EPR4誤り事象にマッチングされた誤りパターン検出器B426により処理される。最小距離EPR4誤り事象の例は、図8C〜図8Eに示されている。図8Cは、NRZ領域におけるPR4検出器の3つの最小距離誤り事象を示しており、図8Dは、PR4領域における同じ誤り事象を示しており、図8Eは、EPR4領域における誤り事象を示している。図8EのEPR4誤りシーケンスは、図8Dの対応するPR4誤りシーケンスを1+Dフィルタに通すことによって発生されうることには留意されたい。よって、誤りパターン検出器B
426は、PR4誤りシーケンスにマッチングされたフィルタのバンクが後続する1+Dフィルタとして実施されうる。回路をさらに簡単にするためには、EPR4サンプル誤りシーケンスに変換するための図8Aの1+DフィルタB422を、誤りパターン検出器B426における1+Dフィルタと組み合わせることによって、図8Fに示されているように、単一の1+2D+D2フィルタB450を形成してもよい。
【0153】
図8Fに示されている1+2D+D2フィルタB450の出力は、フィルタのバンクB452に接続される。これらのフィルタはそれぞれ、図8Dに示されているPR4誤りシーケンスの対応する一つにマッチングされたインパルス応答を有している。加算器B456の出力X1 B454は、図8Dの第1の誤りシーケンスに対応しており、出力X2 B458は、図8Dの第2の誤りシーケンスに対応しており、出力X3 B460は、図8Dの第3の誤りシーケンスに対応している。マッチドフィルタの出力は、所定の閾値と比較され、もしその閾値を超えているのなら、誤り検出信号がアサートされる。例えば、比較器B462は、X1出力B454を閾値(TH1AまたはTH1B)と比較し、もしX1 B454がその閾値を超えているのなら、F1信号B464がアサートされる。また
、比較器B462は、検出された誤りの極性を示す(すなわち、図8C〜図8Eに示されている誤りの極性は反転されてもよい)符号ビットF11 B465を出力する。
【0154】
もしダイビット、クワッドビットまたは6ビットの遷移シーケンスに関連づけられた誤り事象が起これば、対応するマッチドフィルタの出力と比較される閾値レベルは、部分消去の効果を補償するために低減される(ここでも、部分消去は、隣接する(1つ以上の)パルスによりもたらされたパルス振幅の低減である)。例えば、マルチプレクサB470は、もしDn+5B476においてダイビットシーケンスが検出されたか、誤検出された(つまり、誤って検出された)のなら(すなわち、時刻Dn+5およびDn+4におけるNRZIビットが共に非ゼロであるか、または共にゼロであるのなら)、閾値TH1AB472をX1 B454と比較するために選択する。そうでない場合には、マルチプレクサB470は、閾値TH1BをX1 B454と比較するために選択する。同様に、マルチプレクサB478は、もしDn+5B476においてクワッドビットシーケンスが検出されたか、誤検出された(つまり、誤って検出された)のなら(すなわち、時刻Dn+5、Dn+4、Dn+3およびDn+2におけるNRZIビットがすべて非ゼロであるか、またはすべてゼロであるのなら)、閾値TH2AをX2 B458と比較するために選択する。そうでない場合には、マルチプレクサB478は、閾値TH2BをX2 B458と比較するために選択する。最後に、マルチプレクサB480は、もしDn+5B476において6ビットの遷移シーケンスが検出されたか、誤検出された(つまり、誤って検出された)のなら(すなわち、時刻Dn+5、Dn+4、Dn+3、Dn+2、Dn+1およびDnにおけるNRZIビットがすべて非ゼロであるか、またはすべてゼロであるのなら)、閾値TH3AをX3 B460と比較するために選択する。そうでない場合には、マルチプレクサB480は、閾値TH3BをX3 B460と比較するために選択する。閾値THXAは、閾値THXBに図8Bの部分消去低減係数APEB440を掛け合わせた値として計算される。また、この回路は、TH1A=TH2A=TH3AおよびTH1B=TH2B=TH3Bに設定することによって、簡単にすることもできる。
【0155】
MAX回路B482は、マッチドフィルタの出力X1、X2およびX3を比較し、最大の絶対振幅を有するマッチドフィルタ出力に対応する信号FA、FBまたはFCをアサートする。信号FA、FBおよびFCは、後述するように、検出された2進シーケンスを訂正するのに用いられる。
【0156】
ピーク誤り検出器回路B484は、マッチドフィルタ出力X1、X2およびX3ならびに最大絶対振幅信号FA、FBおよびFCに応答して、時刻n B490における最大マッチドフィルタ出力を、時刻n−1 B492における最大マッチドフィルタ出力と比較する(B486)。もし時刻nにおける最大フィルタ出力が、時刻n−1における出力よりも小さいのなら、信号FAH B494がアサートされ、ピーク誤り信号が検出されたことを示す。FAH信号B494は、図8Aの誤り訂正回路B430の動作をイネーブルする。
【0157】
図示されていない代わりに実施可能な形態では、図8Fの信号FA、FB、FCおよびFAHは、フィルタの出力そのものではなく、フィルタの出力と比較器の閾値との間の差を用いて発生される。すなわち、MAX回路B482は、フィルタの出力Xkと、それに対応する閾値THkとの間の差として計算された3つの値を比較し、ピーク誤り検出器B484は 、これらの差分値におけるピークを求める。この実施の形態は、もしそれぞれの誤り事象について異なる閾値が用いられるのなら、好ましい。
【0158】
図8Aの誤り訂正器回路B430の詳細は、図8Gおよび図8Hに示されている。図8Gにおいて、誤りパターン検出器B426からのF1〜F3、FA〜FCおよびFAH信号B428は、それぞれの誤り事象ANDゲートB496A〜B496Cに入力される。これらのゲートの出力は、INHIBIT信号B500によりANDゲートB498A〜B498Cを通してイネーブルされる。もし対応するマッチドフィルタの出力がTH閾値(F1、F2またはF3)を超えており、かつ、それが最大の誤り事象(FA、FBまたはFC)であり、かつ、それがピーク誤り事象であり(FAH B494がアサートされる)、かつ、INHIBIT信号B500がアサートされないのなら、誤り事象(C1、C2またはC3)が検出される。検出された誤り事象(C1、C2およびC3)、誤り事
象符号(F11、F22およびF33)、検出された2進シーケンスB412および符号ビットB410は、誤り妥当性判定器(error validator)および訂正器B502に入力される。誤り妥当性判定器および訂正器B502は、もし検出された誤り事象が妥当であるのなら、検出された2進シーケンスB412(および符号ビット410)を訂正する。
【0159】
INHIBIT信号B500は、以下のように作用する。すなわち、もし妥当な誤り事象が検出されれば、検出された誤り事象の長さに等しい数のクロックサイクルのあいだ、INHIBIT信号B500をアサートする。すなわち、現在の誤り事象が訂正されるまで、後続する誤り事象は処理しない。
【0160】
INHIBIT信号B500は、カウンタB522、レジスタB524、マルチプレクサB526およびORゲートB504を用いて実施される。もし妥当な誤り事象が検出されれば(B508A、B508BまたはB508Cがアサートされれば)、ORゲートB504の出力が、レジスタB524の出力(すなわち、INHIBIT信号B500)をハイに設定する。それによって、ANDゲートB498A〜B498Cをディセーブルする。検出された誤り事象は、マルチプレクサB526を介してカウント値3、5または7をそれぞれ選択し、ORゲートB504の出力は、そのカウント値をカウンタB522にロードする。次に、DATA CLOCKがカウンタB522のクロックを合わせる。そして、このカウントが最終のカウントに達すると、TC信号B528が、レジスタB524をリセットすることによって、ANDゲートB498A〜B498Cを再びイ
ネーブルする。
【0161】
それぞれC1、C2およびC3として表される、ANDゲートB498A〜B498Cの出力は、マッチドフィルタにより誤りパターン検出器B426において検出されうる3つの誤り事象に対応している。これらの信号は、図8Hに示すように一連のレジスタB520を通してシフトする時に、検出された2進シーケンスB412(および符号ビットB410)を訂正するのに用いられる。しかし、検出された誤り事象に従って2進シーケンスを訂正する前に、その訂正そのものの妥当性が検査される。
【0162】
もし、例えば、検出誤りをもたらすノイズがリード信号と同じ極性を有しているのなら、誤り事象が間違って検出されることもある。この点を明らかにするために、図8Dに示されている第1の誤り事象を考える。PR4信号が、ノイズの影響で誤ってダイビットデータシーケンスとして検出されたものとすると、このノイズをキャンセルするための訂正は、検出されたPR4シーケンス(+1、+0、−1)にシーケンス(−1、−0、+1)を加算することになる。しかし、もしダイビットデータシーケンスが、実際に、加えられたノイズと同じ位置に記録されているのなら、逆極性の誤り事象が検出されることになるので、その際の訂正は、シーケンス(+1、+0、−1)を検出されたシーケンス(+1、+0、−1)に加算することになる。その結果、訂正されたシーケンスは、(+2、
+0、−2)となる。この場合、PR4シーケンス検出器B400は、正しい判定を下していることになるので、検出された2進シーケンスB412は、訂正されるべきではない。
【0163】
ここで、再び図8Hを参照すると、検出されたデータシーケンスに訂正を施す前に、検出された誤り事象について妥当性を検査する回路が設けられている。ルックアップテーブルB528は、検出された誤り事象を、検出されたPR4シーケンスに対して評価する。訂正により有効なPR4シーケンスが得られる場合のみ、PR4シーケンス検出器B400により出力された、検出された2進シーケンスB412(および符号ビットB410)に対して訂正が施される。すなわち、それぞれの誤り事象について、検出されたPR4シーケンスは、予想される可能なPR4シーケンスとマッチングしていなければならない。そうでなければ、訂正が施されることはない。
【0164】
動作時には、ルックアップテーブルB528は、検出された誤り事象(C1、C2またはC3)、誤り事象の符号(マルチプレクサB530を通して、検出された誤り事象により選択されるF11、F22またはF33)および対応する検出されたPR4データ(2進シーケンスB412および符号ビットB410)をDn+6B506、Dn+4B510、Dn+2B514およびDnB518において受け取る。もしC1誤り事象が検出されれば、以下の表7を用いて、ルックアップテーブルB528は、Dn+6B506およびDn+4B510において、検出されたPR4シーケンスと、予想されたPR4シーケンスと比較する。もしマッチングが見られれば、Dn+6およびDn+4における訂正されたPR4データは、シフトレジスタB520内に挿入される。そうでない場合には、検出されたPR4シーケンスは、訂正されないままでシフトレジスタB520内に再び格納される。同様に、もしC2誤り事象が検出されれば、以下の表8を用いて、ルックアップテーブルB528は、Dn+6B506、Dn+4B510、およびDn+2B514において、検出されたPR4シーケンスと、予想されたPR4シーケンスと比較する。もしマッチングが見られれば、Dn+6、Dn+4およびDn+2における訂正されたPR4データは、シフトレジスタB520内に挿入される。そうでない場合には、検出されたPR4シーケンスは、訂正されないままでシフトレジスタB520内に再び格納される。最後に、もしC3誤り事象が検出されれば、以下の表9を用いて、ルックアップテーブルB528は、Dn+6B506、Dn+4B510、Dn+2B514、およびDnB518において、検出されたPR4シーケンスと、予想されたPR4シーケンスと比較する。もしマッチングが見られれば、Dn+6、Dn+4、Dn+2およびDnにおける正しいPR4データは、シフトレジスタB520内に挿入される。そうでない場合には、検出されたPR4シーケンスは、訂正されないままでシフトレジスタB520内に再び格納される。訂正された2進シーケンスB412(および符号ビットB410)は、その後、シフトレジスタB520からシフトアウトされ、リードチャネルによりさらに処理される。
【0165】
【表7】
【0166】
【表8】
【0167】
【表9】
【0168】
(サブサンプリングされたリードチャネル)
上述の議論では、図4Bの補間されたタイミングリカバリは、オーバーサンプリングされたシステムとして説明された。すなわち、アナログリード信号62がわずかにオーバーサンプリングされた(24)後、「ダウンサンプリングされる」(すなわち、補間されるB122)ことによって、ボーレートに同期されたサンプル値B102を発生する。しかし、アナログリード信号を大幅にアンダーサンプリングした後に、「アップサンプリングする」ことによって、同期サンプルを発生することも可能である。このことは、ボーレートよりもはるかに低いレート(例えば、ボーレートの2/3)でサンプリングし(24)、その後、図4Bの補間されたタイミングリカバリ回路を用いてボーレートのサンプル値に補間すること(B122)によって実現される。サブサンプリングおよび補間をおこな
うことにより、A/Dの速度制約は緩和され、図4AのタイミングリカバリVCO B164は不要になる。その結果、リードチャネルの全スループットを向上させることができる。
【0169】
サブサンプリングがリードチャネルのパフォーマンスを低下させる範囲を決定する、すなわち、パフォーマンスの低下のほうが、リード信号をサブサンプリングすることにより得られたユーザデータレートの利得よりも重大になる閾値を見出すために、コンピュータシミュレーションがおこなわれた。まず、いかなる符号制約も課さずに(d=0)、サブサンプリングされたリードチャネルがシミュレーションされた。その結果は、図9Aに示されている。このグラフは、さまざまなユーザデータ密度(1直線トラックインチあたりのユーザデータビット数)についてサブサンプリングする(帯域幅をボーレートの分数として減少させる)ことによってもたらされた距離損失(パフォーマンス低下)の等高線的プロットである。図9Aに示されているように、符号制約なしで(d=0)サブサンプリングされたレートで動作するリードチャネルは、サブサンプリングの量が増加するにつれて、高いデータ密度では、急速にそのパフォーマンスが低下する。
【0170】
最尤シーケンス検出器について最小距離誤り事象を増大させる符号制約を導入した後、同じコンピュータシミュレーションがおこなわれた。具体的には、RLL d=1制約が導入された。その結果は、図9Bに示されている。図9Bに示されているように、符号制約は、高いユーザデータ密度でも、リードチャネルのパフォーマンスを大幅に改善している。実際、ボーレートの1/2および3.5のユーザ密度までのサブサンプリングの場合には、パフォーマンスの低下は実質的にない。d=1以外のその他同様の符号制約もまた、サブサンプリングの存在下にパフォーマンスを改善しうることは、当業者には認識できるであろう。
【0171】
符号化されていない時の(d=0)制約およびd=1符号制約の両方の場合について、パルス形状p(t)にマッチングされたフィルタと、xk=x(kT)を生成するサンプラと、ノイズホワイトニングフィルタ(noise whitening filter)と、ビタビ(または等価な)検出アルゴリズムとを含む、最適なMLSDシーケンス検出器に対してシミュレーションがおこなわれた。よって、図9Aおよび図9Bと同様な結果は、サブサンプリングの度合いを変化させる可能な最良のパフォーマンスに対する理論上の限界である。実用的なシーケンス検出方法は、最適なMLSDの近似であり、それらの方法もまた、サブサンプリングの度合いが増大する(帯域幅が減少するにつれて)につれて、同様に劣化する。
【0172】
(従来のd=1サブサンプリングされたリードチャネル)
図9Bを再び参照すると、d=1の符号制約を用い、かつ、ボーレートのおよそ1/2までのレートでサブサンプリングをおこなう時には、最適なMLSDリードチャネルのパフォーマンスの低下は実質的にない。これは、朗報である。なぜなら、このことは、より実用的なリードチャネルもまた、パフォーマンスの大幅な低下なしに、同様のサブサンプリングレートで動作するであろうことを意味しているからである。ボーレートの2/3でサブサンプリングをおこない、上述の補間されたタイミングリカバリを用いて、従来のd=1、レート2/3リードチャネルについてコンピュータシミュレーションをおこなったところ、そのようなリードチャネルもこのケースに該当することが確認された。
【0173】
d=1サブサンプリングされたリードチャネルの本発明による好ましい実施の形態は、図10に示されている。この実施の形態は、形態および機能の面では図3に示されているリードチャネルと同様である。しかし、この実施の形態は、d=1システムであるので、図3のプリコーダ10は必要ない。また、アナログ受信フィルタ20の遮断周波数は、リード信号をサブサンプリングすることによってもたらされる増大したエイリアシングノイズを減衰させるために、低くされる。補間されたタイミングリカバリB100では、図11に示されているように、図4Bのスライサの代わりに、DFE遷移検出器B274が用いられる。また、第1の等化器26は、タイミングリカバリ遷移検出器B274に対して最適化されたEPR4等化を実現し、第2の等化器B270は、d=1シーケンス検出器34に対して最適化されたEEPR4等化を実現する。
【0174】
ここで、図11を参照すると、位相誤差検出器B272は、補間されたサンプル値B102と、アクイジションのあいだに予想された遷移Pk B288あるいはトラッキングのあいだに検出された遷移〜PkB284のいずれかとの関数として、位相誤差推定値を計算する。図11の予想された遷移発生器B286は、図4Bの発生器と同様に動作する。すなわち、この発生器B286は、ステートマシンを用いることによって予想された遷移PkB288を発生し、それによって、アクイジションプリアンブルを獲得しつつ、位相誤差推定値を計算する。
【0175】
図12は、図11のDFE遷移検出器B274のブロック図である。図12の判定帰還等化(DFE)は、遷移検出器B276の出力における推定された遷移においてサンプル値の符号として計算されたデータ推定値B281をフィルタリングし(B278)、加算器B282においてフィルタの出力B280を補間されたサンプルB102に加算することによって、実施される。その結果、判定により向きの決められた等化は、アナログリード信号62がサブサンプリングされる時の、遷移検出器B276の正確さを改善する。
【0176】
d=1リードチャネルの場合、図10に示されているシーケンス検出器34は、従来の技術を用いて実施されうる。好ましくは、複雑の低減されたビタビ型のシーケンス検出器として実施される。図9Bを再び参照すれば、ボーレートの1/2までのレートでサブサンプリングをおこなっても、最適なMLSDシステムがその影響を受けないということは、従来のリードチャネルもまた、サブサンプリングの存在下に適正に動作するということを示している。コンピュータシミュレーションの結果、従来のd=1、レート2/3の符号を用いる場合には、好ましいサブサンプリングレートは、ボーレートの2/3のレートであると確定された。実用時には、図5を参照して既に説明したようにデータクロックB104のマスキング動作を実施するために、ボーレートの2/3よりもわずかに高い(例えば、1%〜5%だけ高い)サンプリングレートが選択される。よって、図11で、A/D24、離散時間等化器フィルタ26および補間器B122のクロックを合わせる。また、周波数シンセサイザ52は、ボーレートをわずかに超えるレートで、データクロックANDゲートB126のクロックを合わせる(すなわち、周波数シンセサイザ52の出力54は、1/3(B121)だけ増加された後、ANDゲートB126のクロック合わせに用いられる)。
【0177】
従来のビタビ型シーケンス検出器および補間されたタイミングリカバリの代わりに、サブサンプリングされたトレリスモデルにマッチングされた改良されたシーケンス検出器が用いられる。サブサンプリングされたリード信号にマッチングされたシーケンス検出器は、そのパフォーマンスが低下する(そのパフォーマンスは、従来のピーク検出器により近い)ものの、その複雑さは、大幅に緩和される。次のセクションでは、本発明による、この代わりに実施可能な形態について説明する。
【0178】
(マッチングされたd=1サブサンプリングされたリードチャネル)
マッチングされたd=1サブサンプリングされたシーケンス検出器は、以下のように規定される。すなわち、サブサンプリングされたシーケンス検出器の状態遷移にマッチングさせるために、従来のd=1シーケンス検出器の状態遷移図を改良する検出器である。図13Aは、従来のEPR4、d=1のフルサンプルレートシステムの状態遷移図である。この状態図において、それぞれの円は、サンプリングされたリード信号(サンプル事例)における状態を表しており、矢印つきの直線は、次の入力サンプル値が与えられた時の、現在の状態から次の状態への遷移を表している。それぞれの状態遷移には、参照符号s/b(ここで、sは、サンプル値を表し、bは、検出された2進シーケンスの対応するビット値を表している)がラベルとしてつけられている。
【0179】
マッチングされたd=1サブサンプリングされたシーケンス検出器に関する本発明による好ましい実施の形態は、ボーレートの1/2のレートでサブサンプリングし、EPR4レスポンスへと等化させるためのものである。サブサンプリングは、図4Aに示されているように、従来の(すなわち、リード信号をボーレートの1/2のレートで同期をとってサンプリングする)同期サンプリングPLLを用いて実施される。あるいは、サブサンプリングは、リード信号をボーレートの1/2よりもわずかに高いレートで非同期的にサンプリングした後、補間を通してボーレートの1/2に同期させることによって、図4Bの補間されたタイミングリカバリ回路を用いても実施されうる。
【0180】
1/2サブサンプルレート、EPR4、d=1リード信号に対応する、改良された状態遷移図は、図13Bに示されている。それぞれの状態遷移には、参照符号(s1、s2)/(b1、b2)というラベルがつけられている。ここで、(s1、s2)は、2つの信号サンプル値を表しており、(b1、b2)は、検出された2進シーケンスに対応する2ビット値を表している。理解できることであろうが、s1およびs2サンプル値は、何らかの特定の状態を脱する状態遷移間で異なっている。よって、ボーレートの1/2のレートでのサブサンプリングは、2つのサンプル値のうちのいずれか一つのみ、すなわちs1またはs2のみを評価することと等価である。
【0181】
もし、s2サンプル値のみが評価されるのなら、図13Bの状態遷移図は、状態Cと状態Dとを組み合わせ、状態Aと状態Fとを組み合わせることによって、簡単にすることができる。なぜなら、これらの状態遷移は等価であるからである。この点を明らかにするために、現在の状態がAである場合を考える。もし入力サンプル値s2が1であるのなら、検出される出力ビットは10となり、次の状態はCになる。状態Cからの遷移で、もし次の入力サンプル値s2が0であるのなら、検出される出力ビットは00となり、次の状態はDになる。同様に、もし次の入力サンプル値s2もまた0であるのなら、検出される出力ビットは再び00となり、次の状態はDのままである。状態Cからの遷移で、もし次の入力サンプル値s2が−aであるのなら、検出される出力ビットは01となり、次の状態はEになる。同様に、状態Dからの遷移で、もし次の入力サンプル値s2が−aであるのなら、検出される出力ビットは01となり、次の状態はEになる。よって、状態CおよびDを組み合わせることができる。なぜなら、状態Eで終わる入力サンプルシーケンスは、同じ出力ビットシーケンスを発生するからである。同様の分析をおこなえば、パフォーマンスを低下させることなく、状態AおよびFを組み合わせることができることが分かるであろう。
【0182】
状態CおよびDならびに状態AおよびFを組み合わせた結果、簡略化された状態遷移図は、図13Cに示されている。図13Aに示されている従来のEPR4の図における6つの状態とは対照的に、わずか4つの状態しかないので、ACS型のビタビシーケンス検出器の実現形態は、大幅に縮小されている。
【0183】
しかし、サブサンプリングのために、(図4Aにおける同期サンプリングをおこなう場合でも、あるいは図4Bにおける同期補間をおこなう場合でも)タイミングリカバリ回路内の位相誤差検出器を改変しなければならない。図13Cの簡略化された状態遷移図は、従来のPR4状態図と同様であることには、留意されたい。実際、もしあるインタリーブ(例えば、b2)においてチャネル遷移のすべてが発生したのなら、その状態図は、正確にPR4の図と同じになる。コンピュータシミュレーションの結果、いくつかのケースは例外として、従来のPR4リードチャネルの位相誤差検出器が、本発明によるEPR4サブサンプリングされたリードチャネルに対して、有効な位相誤差推定値を生成することが確認された。例えば、遷移が一方のインタリーブからもう一方のインタリーブへと起こる
場合、推定された位相誤差は、大きさの点では正しいが、符号の点では正しくないものになる。このことは、ランダムなデータの存在下では、タイミングループが不安定になりうることを示している。
【0184】
間違った位相誤差推定値をもたらしうるデータシーケンスを求めるために、コンピュータサーチがおこなわれた。このサーチは、公知のタイミングオフセットを伴うサンプリングされたリード信号を、従来のPR4位相誤差検出器に入れ、可能なすべてのデータシーケンスについて計算された位相誤差を測定することにより実現された。これにともなって、位相誤差検出器用のアルゴリズムは、無効な位相誤差を結果として生じたこれらのデータシーケンスを補償するために、その後、改変された。
【0185】
図14は、本発明によるマッチングされた、d=1、サブサンプリングされたリードチャネルに用いられる、改良されたPR4位相誤差検出器B290のブロック図である。ここでも、図4Aの同期サンプリングされたタイミングリカバリ回路における位相誤差検出器B155、または、図4Bの補間されたタイミングリカバリ回路における位相誤差検出器B155の代わりに、図14の改良されたPR4検出器B290を用いることができることには、注意されたい。動作時には、同期サンプル値B292が、スライサ(閾値検出器)B294に入力される。スライサB294は、推定された理想のサンプル値B296を出力する(EPR4の場合、推定された出力値は、−2、−1、0、+2および+2の中から選択された値をとりうる)。推定されたサンプル値B296は、その後、遅延され
ること(B297)によって、遅延された推定されたサンプル値Sn、Sn-1、Sn-2およびSn-3のシーケンスを発生する。サンプル誤り値en-1B298は、リード信号サンプル値B292(1クロック周期だけ遅延されている(B302))をSn-1推定されたサンプル値B304から減算することによって、加算器B300において発生される。サンプル誤り値en-1B298は、遅延されること(B306)によって、第2のサンプル誤り値en-2B308を発生する。サンプル誤り値は、その後、それぞれの乗算器B314およびB316において係数C0B310およびC1B312によりスケーリングされる。ここで、スケーリング係数C0 B310およびC1 B312は、間違った位相誤差推定値をもたらしうるデータシーケンスを補償するために、推定されたサンプル値Sn、Sn-1、Sn-2およびSn-3の関数として計算される。ロジックB322は、係数を発生するためのサンプル値推定値Sn、Sn-1、Sn-2およびSn-3によりインデックスのつけられた2つのルックアップテーブルを含んでいる。ここで、テーブルのエントリは、上述したコンピュータサーチに従って求められた。係数C0B310の値は、表10に示されており、係数C1 B312の値は、表11に示されている。
【0186】
【表10】
【0187】
【表11】
【0188】
乗算器B314およびB316の出力におけるスケーリングされたサンプル誤り信号は、加算器B318において加算される。加算器B318の出力が、位相誤差推定値B320である。この位相誤差推定値は、上述したように、図4Aまたは図4Bのタイミングループフィルタに入力される。
【0189】
(サブサンプリングされたタイミングアクイジション)
図2Bを再び参照すると、データのそれぞれのセクタ15は、ユーザデータ72をリードする以前に、タイミングリカバリ28をボーレートに同期させるのに用いられるアクイジションプリアンブルフィールド68を備えている。アクイジションのあいだに結果として得られるリード信号は、例えば、図5に示す正弦波状2Tのアクイジションプリアンブルのような周期波形である。図4Bを参照して既に説明したように、プリアンブル68の周期性により、位相誤差を計算するのに用いられる予想されたサンプル値を発生するのが容易になる。参照符号NTは、ディスク上にライトされる時の(例えば、2Tのプリアンブルについて、ディスク上にライトされるシンボルシーケンスa(n)16が1010101010101、…である時の)プリアンブルの周期を表している。
【0190】
図4Aに示されている従来のタイミングリカバリ回路を再び参照すると、PLLは、サンプリングVFOクロック23をボーレートに同期させるために、アクイジションプリアンブル68を処理する。また、図4Bに示されている補間されたタイミングリカバリの場合、アクイジションプリアンブル68は、ユーザデータ72をトラッキングする以前に、補間間隔τ B128に対する開始値を計算するために、処理される。いずれの場合でも、アクイジション時間は、プリアンブル68の長さを最小化してユーザデータ用により広いディスク空間を取っておくことができるように、できるだけ短くすべきである。
【0191】
コンピュータシミュレーションの結果、サブサンプリングの存在下にアクイジションプリアンブル68の周期を長くすることによって、アクイジション処理を最適化できることが判明した。図10のd=1リードチャネルの場合、ボーレートの2/3のレートでサブサンプリングする時、3Tのアクイジションプリアンブル(100100100…)が好ましく、ボーレートの1/2のレートでサブサンプリングする時、4Tのアクイジションプリアンブル(100010001000…)が好ましい。
【0192】
本発明の目的は、本願明細書で以上に開示した各種実施の形態によって完全に実現される。しかし、本発明のさまざまな局面が、他の異なる実施の形態によっても本発明の本質的作用からはずれることなく実現可能であることは、当業者には理解できよう。例えば、ボーレートの1/2のレートで同期をとってサンプリングをおこなった後、フルのボーレートに固定された位相でアップサンプリングをおこなうことによって、同期サンプリングタイミングリカバリと、補間とを組み合わせて用いることもできる。このような改変およびその他の改変は、すべて本発明の範囲内である。以上に開示した特定の実施の形態は、あくまでも例示を目的とするものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。本発明の範囲は、添付の請求の範囲により適切に解釈されるべきである。
【0193】
〔発明の効果〕
本発明によれば、少なくとも以下の効果が得られる。すなわち、アナログ・ディジタル変換器、タイミングリカバリVCOあるいはシーケンス検出器のコストを増大させたり、それらをさらに複雑にしたりすることなく、高いユーザデータレートおよび密度で動作可能である、コンピュータ記憶システム用のサンプリングされた振幅リードチャネルを提供できる。
【0194】
また、アナログリード信号がサブサンプリングされる時に、より高いユーザデータ密度でd=0リードチャネルのパフォーマンスを改善する符号化スキームを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】タイミングリカバリがアナログリード信号のサンプリングをボーレートに同期させる、従来のサンプリングされた振幅リードチャネルのブロック図である。
【図2A】複数のユーザデータセクタおよび複数の埋め込みサーボデータセクタから構成される複数の同心円状トラックを有する磁気ディスクのデータフォーマットの一例を示す図である。
【図2B】ユーザデータセクタのフォーマットの一例を示す図である。
【図3】補間されたサンプル値と、離散時間シーケンス検出器のクロック合わせ動作のための同期データクロックとを発生する補間されたタイミングリカバリを有する、本発明による改善されたサンプリングされた振幅リードチャネルのブロック図である。
【図4A】同期のとられたサンプリングVFOを有する従来の技術によるサンプリングタイミングリカバリの詳細ブロック図である。
【図4B】非同期サンプリングと、ボーレートに実質的に同期された補間されたサンプル値を発生する補間器とを有する、本発明による補間されたタイミングリカバリの詳細ブロック図である。
【図5】アクイジションプリアンブルをリードする時の補間されたボーレートサンプルに関連するチャネルサンプルを示す図である。
【図6】タイミングリカバリ補間器用のFIRフィルタの実施の形態を示す図である。
【図7】タイミングリカバリ補間器用の代わりに実施可能な形態を示す図である。
【図8A】本発明によるd=0リードチャネルに用いられる、改良されたPR4シーケンス検出器(再変調/復調検出器)の全体図である。
【図8B】図8Aの再変調/復調シーケンス検出器の再変調器を詳細に示す図である。
【図8C】サンプリングされた振幅リードチャネルのNRZ領域における支配的な誤り事象を示す図である。
【図8D】サンプリングされた振幅リードチャネルのPR4領域における支配的な誤り事象を示す図である。
【図8E】サンプリングされた振幅リードチャネルのEPR4領域における支配的な誤り事象を示す図である。
【図8F】図8C〜図8Eの支配的な誤り事象とマッチングされたフィルタのバンクを備えた誤りパターン検出器を詳細に示す図である。
【図8G】図8Fの誤りパターン検出器が誤りを検出した時に、PR4ビタビ検出器により出力される、検出された2進シーケンスに含まれている誤りを訂正する回路を示す図である。
【図8H】検出された誤りパターンについて妥当性を検査する回路を示す図である。
【図9A】最小距離損失を、d=0リードチャネルにおいて用いられるサブサンプリングの度合いおよびチャネル密度の関数として表す等高線的プロットである。
【図9B】最小距離損失を、d=1リードチャネルにおいて用いられるサブサンプリングの度合いおよびチャネル密度の関数として表す等高線的プロットである。
【図10】d=1サブサンプリングされたリードチャネルのための本発明による好ましい実施の形態を示す図である。
【図11】本発明によるd=1サブサンプリングされたリードチャネルの補間されたタイミングリカバリを示すブロック図である。
【図12】d=1サブサンプリングされたリードチャネルのタイミングリカバリに用いられる本発明によるDFE遷移検出器の一実施の形態を示す図である。
【図13A】従来のEPR4ビタビ型シーケンス検出器の状態遷移図である。
【図13B】ボーレートの1/2でサブサンプリングされたリード信号にマッチングされた、改良されたEPR4ビタビ型シーケンス検出器の状態遷移図である。
【図13C】図13Bに示されている状態遷移図の簡略化されたバージョンを示す図である。
【図14】本発明によるd=1、EPR4、サブサンプリングされたリードチャネルに用いられる位相誤差検出器を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0196】
4 データ発生器
6 RLLエンコーダ
9 ライト回路
10 プリコーダ
18 磁気/光記録チャネル
20 アナログフィルタ
22 可変利得増幅器
24 A/D変換器
26 離散時間等化器フィルタ
34 離散時間シーケンス検出器
36 RLL復号化器
50 利得制御
52 周波数シンセサイザ
66 データシンク検出器
B100 補間されたタイミングリカバリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからの
アナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、
(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、非同期サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、
(b)該非同期サンプル値を補間することによって、同期サンプル値を発生する、補間器と、
(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、
(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、
(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器、
(c)該同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、
(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器、および
(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り検出器、を有する、離散時間検出器と、
を備えている、サンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項2】
前記復調器が、前記2進シーケンスの符号および大きさを出力する、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項3】
前記再変調器が、前記2進シーケンスをNRZIシーケンスに変換するNRZI変換器を備えている、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項4】
前記再変調器が、1次パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の前記非線形低減を補償する部分消去補償器を備えている、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項5】
前記誤りパターン検出器が、所定の誤り事象にマッチングされた複数の離散時間フィルタを備えている、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項6】
前記サンプル誤り値のシーケンスを低次パーシャルレスポンス領域から高次パーシャルレスポンス領域に変換する手段をさらに備えている、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、前記誤りパターン検出器が、該高次パーシャルレスポンス領域において前記ビット誤りを検出する、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項7】
前記復調器が、PR4シーケンス検出器を備えている、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項8】
検出された誤り事象について妥当性を検査し、もし該検出された誤り事象が妥当であるのなら、前記誤り訂正器をイネーブルする、誤り検出妥当性判定器をさらに備えている、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項9】
前記補間器が、前記離散時間検出器のクロックを合わせるデータクロックをさらに発生する、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項10】
ディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、
(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、該離散時間サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、
(b)該離散時間サンプル値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、
(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、
(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、
(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器であって、1次パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の前記非線形低減を補償する部分消去補償器を備えている、再変調器、
(c)該同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、
(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器、および
(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り検出器を有する、離散時間検出器と、
を備えている、サンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項11】
検出された誤り事象について妥当性を検査し、もし該検出された誤り事象が妥当であるのなら、前記誤り訂正器をイネーブルする、誤り検出妥当性判定器をさらに備えている、請求項10に記載のサンプリングされた振
幅リードチャネル。
【請求項12】
ディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、
(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、該離散時間サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、
(b)該離散時間サンプル値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、
(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、
(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、
(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器、
(c)該同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、
(d)該サンプル誤り値に応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器であって、
それぞれが所定の誤り事象にマッチングされている、複数の離散時間フィルタと、
該離散時間フィルタに応答して、ピーク誤り事象を検出する、ピーク検出器と、を備えている誤りパターン検出器、および
(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り訂正器を有する、離散時間検出器と、
を備えている、サンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項13】
ディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、
(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、離散時間サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、
(b)該離散時間サンプル値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、
(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、
(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、
(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器、
(c)該同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、
(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器、
(e)検出された誤り事象について妥当性を検査する、誤り検出妥当性判定器、および
(f)該ビット誤りの該大きさおよび該位置、ならびに、該誤り検出妥当性判定器に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り訂正器を有する、離散時間検出器と、
を備えている、サンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項1】
ディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからの
アナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、
(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、非同期サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、
(b)該非同期サンプル値を補間することによって、同期サンプル値を発生する、補間器と、
(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、
(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、
(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器、
(c)該同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、
(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器、および
(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り検出器、を有する、離散時間検出器と、
を備えている、サンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項2】
前記復調器が、前記2進シーケンスの符号および大きさを出力する、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項3】
前記再変調器が、前記2進シーケンスをNRZIシーケンスに変換するNRZI変換器を備えている、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項4】
前記再変調器が、1次パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の前記非線形低減を補償する部分消去補償器を備えている、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項5】
前記誤りパターン検出器が、所定の誤り事象にマッチングされた複数の離散時間フィルタを備えている、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項6】
前記サンプル誤り値のシーケンスを低次パーシャルレスポンス領域から高次パーシャルレスポンス領域に変換する手段をさらに備えている、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、前記誤りパターン検出器が、該高次パーシャルレスポンス領域において前記ビット誤りを検出する、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項7】
前記復調器が、PR4シーケンス検出器を備えている、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項8】
検出された誤り事象について妥当性を検査し、もし該検出された誤り事象が妥当であるのなら、前記誤り訂正器をイネーブルする、誤り検出妥当性判定器をさらに備えている、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項9】
前記補間器が、前記離散時間検出器のクロックを合わせるデータクロックをさらに発生する、請求項1に記載のサンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項10】
ディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、
(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、該離散時間サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、
(b)該離散時間サンプル値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、
(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、
(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、
(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器であって、1次パルスの近傍に位置する2次パルスによりもたらされた該1次パルスの振幅の前記非線形低減を補償する部分消去補償器を備えている、再変調器、
(c)該同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、
(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器、および
(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り検出器を有する、離散時間検出器と、
を備えている、サンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項11】
検出された誤り事象について妥当性を検査し、もし該検出された誤り事象が妥当であるのなら、前記誤り訂正器をイネーブルする、誤り検出妥当性判定器をさらに備えている、請求項10に記載のサンプリングされた振
幅リードチャネル。
【請求項12】
ディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、
(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、該離散時間サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、
(b)該離散時間サンプル値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、
(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、
(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、
(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器、
(c)該同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、
(d)該サンプル誤り値に応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器であって、
それぞれが所定の誤り事象にマッチングされている、複数の離散時間フィルタと、
該離散時間フィルタに応答して、ピーク誤り事象を検出する、ピーク検出器と、を備えている誤りパターン検出器、および
(e)該ビット誤りの該大きさおよび該位置に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り訂正器を有する、離散時間検出器と、
を備えている、サンプリングされた振幅リードチャネル。
【請求項13】
ディスク記憶媒体上に位置づけられたリードヘッドからのアナログリード信号におけるパルスをサンプリングすることによって発生された離散時間サンプル値のシーケンスから2進データをリードする、サンプリングされた振幅リードチャネルであって、
(a)該アナログリード信号をサンプリングすることによって、離散時間サンプル値のシーケンスを発生する、サンプリングデバイスと、
(b)該離散時間サンプル値を同期させることによって、同期サンプル値を発生する、タイミングリカバリと、
(c)該2進データを該同期サンプル値から検出する、離散時間検出器であって、
(a)該同期サンプル値に応答して、1以上のビット誤りを有する2進シーケンスを検出する、復調器、
(b)該2進シーケンスを推定されたサンプル値のシーケンスに変換する、再変調器、
(c)該同期サンプル値および該推定されたサンプル値に応答して、サンプル誤り値のシーケンスを発生する、加算器、
(d)該サンプル誤り値のシーケンスに応答して、該2進シーケンスにおける該ビット誤りの大きさおよび位置を検出する、誤りパターン検出器、
(e)検出された誤り事象について妥当性を検査する、誤り検出妥当性判定器、および
(f)該ビット誤りの該大きさおよび該位置、ならびに、該誤り検出妥当性判定器に応答して、該2進シーケンスを訂正する、誤り訂正器を有する、離散時間検出器と、
を備えている、サンプリングされた振幅リードチャネル。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【公開番号】特開2007−179739(P2007−179739A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53541(P2007−53541)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【分割の表示】特願平9−185595の分割
【原出願日】平成9年7月10日(1997.7.10)
【出願人】(502389641)ブロードコム・コーポレーシヨン (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【分割の表示】特願平9−185595の分割
【原出願日】平成9年7月10日(1997.7.10)
【出願人】(502389641)ブロードコム・コーポレーシヨン (1)
【Fターム(参考)】
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