説明

サンプリング容器及びその使用、並びに、サンプルを採取するための方法

【課題】容器充填システムからの媒体のサンプリング中に媒体を受け入れるための容器であって、過圧又は減圧が加えられた場合に破損も破裂もせず、サンプリングプ中にサンプリング装置が危険にならず、採取される媒体サンプルが汚染されず、いつでも分析されることが可能な容器を提供する。
【解決手段】容器は、閉鎖された底部領域と、底部領域に隣接するとともに底部領域に対してほぼ直交方向に延在する周囲壁と、底部領域に対向するとともに周囲壁に隣接する充填領域とを備える。充填領域は容器ネックを含み、容器ネックは、底部領域に対しほぼ直交方向に延在し、充填開口部を含む。容器ネックの外周上の少なくとも一部には、雄ねじが配置されている。雄ねじは、外径が44mm以上かつ46mm以下であり、谷径が41mm以上かつ43mm以下である。雄ねじの縁の少なくとも一部が半径が0.95mm以上かつ1.05mm以下の丸みを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の冒頭に記載された、容器充填システムからの媒体のサンプリング中に媒体を受け入れるための容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器充填システムからの媒体のサンプリング中に媒体を受け入れるための容器又はボトルが、先行技術により知られている。しかし、これらの容器は、一般にガラスから成っており、ガラスは充填プロセス中に、例えば過圧又は減圧により割れたり裂けたりするなどの特性を示す。
【0003】
容器は、容器の開口部がサンプリングヘッドの受け入れ装置内にある状態で、例えば外部環境に対して気密に又は実質的に気密に、通気開口部に滅菌フィルタを用いてシールされるように配置される。その間、サンプリングを行う人は、サンプリング(採取)される媒体を、充填システムに接続されたサンプリングコックから接続ラインを通してサンプリングヘッドに流し、容器内に流入させる。このため、冷温又は高温の媒体が容器内に導入され、容器内で生じる過圧又は減圧によって容器が損傷する可能性や、破裂する可能性がある。
【0004】
サンプリングを行う人は、サンプリングされる媒体を取り出す間に容器の付近又はすぐ傍にいるので、周囲に飛散するガラスの破片により深刻に負傷する場合がある。
サンプリングを行う人に対する物的傷害を回避するために、例えば先行技術においては、ボトルが破裂した場合にサンプリングを行う人をボトルの周囲に飛散するガラスの破片から保護するよう、サンプリングプロセスにおいてガラスボトルを覆うプラスチック製カバーが用いられる。
【0005】
しかし、サンプリング容器が破損すると、サンプルが破損容器及びそのガラス破片により汚染されるので、サンプル(試料)自体を使用することができない。これは、冷温−無菌容器充填システムからのサンプリングの場合に特に深刻である。冷温−無菌容器充填システムの場合、製品安全上の理由により、システムの細菌状態を、全製造期間を通じて詳細に分析して提供しなければならない。
【0006】
また、プラスチックカバーを付けて破裂試験を実施したところ、ガラス破片がプラスチックカバーから漏れ出ることを完全に防止することができないことがわかった。プラスチックカバーキャップが容器又はねじ連結部に固定されるように留めつけられていないので、ガラス破片がこのねじ連結とプラスチックカバーとの間にも侵入して、サンプリングを行う人を負傷させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、例えば容器充填システムからの媒体のサンプリング中に媒体を受け入れるための容器であって、過圧又は減圧が加えられた場合に破損も破裂もせず、サンプリングプ中にサンプリング装置が危険にならず、採取される媒体サンプルが汚染されず、いつでも分析されることが可能な容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の容器により達成される。
容器充填システムからの媒体のサンプリング中に媒体を受け入れるための本発明による容器は、閉鎖された底部領域と、前記底部領域に隣接するとともに該底部領域に対してほぼ直交方向に延在する周囲壁と、前記底部領域に対向するとともに前記周囲壁に隣接する充填領域とを備える。前記充填領域自体が、前記底部領域に対してほぼ直交方向に延在し、充填開口部を含む容器ネックを備える。前記容器ネックの外周上の少なくとも一部には、雄ねじ(outer thread)が配置されている。
【0009】
この雄ねじは、外径が44mm以上かつ46mm以下であり、谷径が41mm以上かつ43mm以下であ。雄ねじの縁の少なくとも一部は、半径(曲率半径)が0.95mm以上かつ1.05mm以下の丸みを有している。また、前記容器のネック又は雄ねじは、前記容器が周囲環境に対して媒体密にシールされるようにサンプリング中にサンプリングヘッドの受け入れ手段内に配置可能である。さらに、本発明による前記容器はプラスチック材料から成る。
【0010】
従って、プラスチック材料から製造される前記容器又はボトルの前記周囲壁、前記底部領域及び前記充填領域だけでなく、好ましくは、前記容器ネック(その上に雄ねじが、好ましくはカッティング若しくは圧延により形成され、又は配置される)も、プラスチック材料から構成又は形成される。本発明による前記容器は、一体として形成されるのが好ましい。
【0011】
しかし、前記容器のネック及び/又は前記雄ねじが金属材料から形成され、且つ、前記容器の前記充填領域上に、例えばオーバーモールドプロセス中に配置されることも考えられる。さらには、前記容器ネックが雄ねじを有さず、その代わりに雌ねじを有することも可能である。例えば、ねじのタイプは、前記受け入れ手段の構造設計に、又は、前記容器に用いられるシールに依存する。
【0012】
すなわち、前記受け入れ手段自体が、雄ねじがねじ込まれることができる雌ねじを有する場合には、前記容器ネックが、前記容器が前記受け入れ手段にねじ込まれるための雄ねじを有することが考えられる。従って、本発明による前記容器のシールは、前記受け入れ装置の前記雌ねじに構造的に対応する雌ねじを有する必要がある。
【0013】
また、本発明による前記容器が、前記サンプリングヘッドに、受け入れ手段によってではなく、その代わりに、前記サンプリングヘッドに直接接続されることも可能である。
このためには、前記サンプリングヘッドもまた、本発明による前記容器がねじ込まれることができる雌ねじを有することが有利であろう。
【0014】
或いは、前記サンプリングヘッドが有する雌ねじに、本発明による前記容器の前記雄ねじをねじ込むことができない場合には、本発明による前記容器と前記サンプリングヘッドとの間にアダプタ要素を配置することが考えられる。この場合、前記アダプタ要素は、前記サンプリングヘッドの前記雌ねじにねじ込まれることができる雄ねじを備える。
【0015】
本発明による前記容器は、好ましくは、ポリ乳酸(ポリラクチド)、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン又はこれらの材料の組合せから成る。しかし、本発明による前記容器は前記プラスチック材料に限定されない。むしろ、本発明による前記容器が、媒体を受け入れるための容器として用いるのに適した任意の市販のプラスチック材料から製造されることができる。
【0016】
さらに、前記容器が1つのプラスチック材料のみから成るのではなく、例えば、慣用のプラスチック材料の混合物、又はこれらの材料を組み合わせた組立体から成ることも、これらの材料が、媒体を受け入れるための容器として相互接続され且つ用いられることができる限りにおいて、考えられる。
【0017】
すなわち、例えば、前記底部領域は、周囲壁のプラスチック材料とは異なるプラスチック材料から成っていてよく、周囲壁は、前記充填領域又は前記容器ネックのプラスチック材料とは異なるプラスチック材料から成っていてよい。或いは、前記容器が多層構造であることも可能である。
【0018】
さらに、本発明による前記容器は、好ましくは、オートクレーブ処理されている。すなわち、本発明による前記容器は、例えば、オートクレーブ(すなわち、ガス密に密閉されることができる圧力容器)により滅菌されることができ、従って、前記容器は、例えば滅菌プロセス中に変形しないように、耐圧性で且つ耐熱性でなければならない。
【0019】
さらに、本発明による前記容器は、例えば前記充填システムからサンプル媒体を取り出しているときに(従って、前記サンプル媒体を本発明による前記容器に充填しているときに)破裂しないように、少なくとも2バールまで、より好ましくは、少なくとも6.5バールまでの圧力に耐えられることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明による前記容器は、例えば高温サンプル媒体の前記充填プロセス中に前記容器又は前記容器の壁部が変形も裂損もしないように、好ましくは耐減圧性でもあることを特徴とする。これは、例えば、壁厚を画定することにより可能にされ、本発明による前記容器の周囲壁の壁厚は、例えば0.3mm以上かつ1mm以下であり、好ましくは、0.4mm以上かつ0.5mm以下であり、本発明による前記容器の前記底部領域の壁厚は、本発明による前記容器の前記周囲壁の壁厚よりも、少なくとも部分的に厚い。
【0021】
しかし、前記充填プロセス中の前記容器の変形又は破裂を防止するために容器の壁厚が1mmよりも大きいこと(最大で5mm)も考えられる。従って、本発明による前記容器は、サンプル媒体の採取中及び採取後にも、すなわち、前記容器が過圧又は減圧されているときも、割れによる破損領域を生じない。従って、サンプリングを行う人が、例えば、本発明による前記容器を前記サンプリングヘッドから取り外しているときに、本発明による前記容器の飛散する破片により又は本発明による前記容器の取り扱いにより損傷されることがない。
【0022】
本発明による前記容器は、好ましい実施形態において、少なくとも2リットルの容量を有するが、2リットル未満の容量、例えば、1リットル若しくは0.75リットル、0.5リットル若しくは0.3リットル以下、又は、2リットルよりも大きい容量、例えば、2.5リットル、3リットル若しくは5リットル以上の容量も可能である。
【0023】
さらなる好ましい実施形態によれば、前記容器ネックは壁部又は周囲壁を含む。この壁部又は周囲壁は、前記充填開口部の領域にて、前記壁部に対してほぼ直交方向に配置された終端縁部を有し、これにより、対応するシール要素が、媒体密のシールをもたらすように配置される。
【0024】
すなわち、この終端縁は、前記容器内に充填される前記媒体を前記容器の周囲環境に対してシールするために、対応するシール要素又は対応するシールワッシャをこの終端縁上に容易に配置することができるように、平坦に又は平らに設計される。
本発明による前記容器をサンプリングヘッド上に又はサンプリングヘッド内に容易に配置するために、この目的に適したアダプタ要素を用いることが考えられる。アダプタ要素は、本発明による前記容器を前記サンプリングヘッドに、前記受け入れ手段を補助として媒体密に接続する。
【0025】
このようなアダプタ要素は、好ましくは環状であり、好ましくは、金属材料(好ましくは、非常に頑強で、例えば高度の耐熱性及び耐腐食性を特徴とする)から成る。
しかし、前記アダプタ要素を、セラミック材料から、又はプラスチック材料から形成することも考えられる。
【0026】
前記アダプタ要素は、好ましくは、内側の、ほぼ平坦な内壁と、雄ねじがその上に形成された外壁とを含む。前記アダプタ要素のこの雄ねじは、先に既に記載した前記雄ねじの構造設計に対応し得る。或いは、前記アダプタ要素のこの雄ねじは、前記容器の前記雄ねじと、構造に関して異なっていてもよい。
【0027】
しかし、前記アダプタ要素の前記雄ねじは、前記アダプタ要素を前記サンプリングヘッド上に配置することを保証するために、前記サンプリングヘッドの雌ねじに、構造設計に関して対応しているべきである。前記アダプタ要素の一方の側を前記サンプリングヘッド上に配置し、そして、前記アダプタ要素の、前記一方(第1)の側に対向する第2の側を、前記容器の前記充填開口部の側に、従って、前記充填開口部より上に配置することができる。
【0028】
先に既に述べたように、前記アダプタ要素と本発明による前記容器との間に、好ましくは、シール要素が、本発明による前記容器内に充填されるサンプル媒体が周囲環境に対して十分にシールされるように配置される。好ましい実施形態において、前記アダプタ要素は、第1の側に、ほぼ環状のシール座部を含み、この座部を介して、前記アダプタ要素が前記サンプリングヘッド上に配置される。
【0029】
このシール座部は、好ましくは、前記アダプタ要素のこの第1の側にて、前記外壁が周囲面の前記内壁よりもさらに延在し、若しくは、前記内壁が周囲面の前記外壁よりもさらに延在することを特徴とする。又は、前記周囲面の前記内壁及び前記外壁が、これらの壁の間に、リングシールが配置されることができる凹部が形成されるようにさらに延在することを特徴とする。
【0030】
前記アダプタ要素の前記凹部、及び、前記周囲面の、より長く延在する前記壁部又は側部は、前記リングシールが、隣接する前記サンプリングヘッドとのシールを保証するために前記アダプタ要素の前記周囲面をさらに超えて突出するように形成される。さらなる好ましい実施形態において、前記アダプタ要素は、前記サンプリングヘッド上に配置される前記第1の側に対向する第2の側に、ほぼ半径方向外側に延在する突出部を含む。
【0031】
例えば、この突出部は、ほぼ正方形又は楕円形の断面を有し得る。しかし、この突出部の形状は限定されない。前記突出部の考えられ得る全ての形状が、それらが、例えばリングシール又はOリングを安定させ、又は決められた位置に固定することを可能にするならば、用いられ得る。
【0032】
従って、さらなる好ましい実施形態において、前記アダプタ要素は、前記シール座部内に着脱可能に配置された第1のほぼ柔軟なリングシールを含み、また、好ましくは、前記突出部の領域に配置された第2のリングシールも含む。例えば、市販されているOリングが、リングシールとして用いられ得る。
【0033】
さらに、本発明による前記容器、及び、任意には前記アダプタ要素に加えて、前記容器を受け入れるための、又は前記容器をアダプタ要素上に配置するための受け入れ手段も含む組立体も、本発明の請求の範囲に含まれる。
前記受け入れ手段は、好ましくは、ほぼ環状であり、また、前記容器の雄ねじ上にねじ嵌めされることができる雌ねじを含む。
【0034】
従って、前記雌ねじは、前記容器の先に記載した雄ねじの構造的対応物である。従って、前記受け入れ手段は、本発明による前記容器を前記アダプタ要素に媒体密に接続する中間要素を構成し、前記アダプタ要素は、前記サンプリングヘッド内に媒体密にねじ込まれる。
【0035】
この目的のために、前記受け入れ手段は、好ましくは、前記アダプタ要素の少なくとも一部をガイドするための通し穴を含む。こうして、例えば、前記アダプタ要素の前記雄ねじの領域が前記受け入れ手段に押し込まれることができ、前記アダプタ要素の前記雄ねじは、最終的に前記受け入れ手段から突出する。
【0036】
前記突出部は、前記第2のリングシールが前記突出部上に配置された状態で、前記受け入れ手段を取り付けるために用いられ、これにより、前記第2のリングシールは、前記受け入れ手段と前記アダプタ要素との間の十分な媒体密のシールを保証する。従って、前記通し穴は、前記受け入れ手段の前記雌ねじのねじ谷径よりも実質的に小さい内径を有し、又は、前記突出部の前記外径よりも小さい内径を有する。こうして、前記アダプタ要素が、前記受け入れ要素内の前記通し穴を滑り抜けることが防止される。
【0037】
前記受け入れ手段は、好ましくはプラスチック材料から製造され、先行技術から知られる任意のプラスチック材料が、それらが前記受け入れ手段として用いるのに適しているならば、前記受け入れ手段を製造するために用いられることができる。前記受け入れ手段は、好ましくは、前記容器の材料と同一のプラスチック材料から製造される。
【0038】
しかし、前記受け入れ手段が、例えば、金属又はセラミック材料から製造されることも考えられ、しかし、この場合、前記受け入れ手段を本発明による容器上にねじ嵌めすることが可能でなければならないことが考慮されるべきである。
【0039】
さらに、前記組立体の使用も本発明の請求の範囲に含まれる。好ましくは、前記媒体を容器充填システムからサンプリングするための、好ましくはオートクレーブ内で滅菌された前記組立体が用いられる。本発明による前記容器の前記容器ネックが、前記サンプリングプロセス中にサンプリングヘッドの受け入れ手段内に、前記容器が周囲環境に対して媒体密に、又は実質的に媒体密にシールされるように少なくとも部分的に配置される。
【0040】
前記組立体自体は、好ましくは、本発明による前記容器、前記アダプタ要素、及び、前記アダプタ要素を前記容器に接続する前記受け入れ手段から成り、前記アダプタ要素が前記サンプリングヘッド上に配置される。
【0041】
さらに、本発明による前記容器を用いて媒体を容器充填システムからサンプリングするための方法が提示される。この方法において、前記容器を、少なくとも1つのアダプタ要素に接続して組立体を形成し、この組立体を、好ましくはオートクレーブにて滅菌し、冷却後に最初にサンプリングヘッド上に配置する。次いで、サンプリングコック(好ましくは、前記容器充填システムのパイプラインに接続されている)を、決められたサンプリング量が前記システムから前記容器内に流入するように開放する。最後に、サンプリングプロセスが終了したならば、前記サンプリングコックを再び閉じて前記組立体を前記サンプリングヘッドから取り外し、好ましくは、その後、前記容器を前記組立体から分解して、シールにより閉鎖する。
【0042】
前記サンプリングヘッドは、有利には、サンプリングコックに接続された接続ラインに取り付けられる。有利には、前記決められたサンプリング量が、実質的に連続的に前記容器内に流入する。すなわち、サンプルの断続流(例えば、5分ごとに100ml)が容器内に入ることができる。
【0043】
前記接続ライン、前記サンプリングヘッド、前記アダプタ要素、前記受け入れ手段、及び、本発明による前記容器を相互接続し、又は互いに組み付けて組立体を形成する。これにより、これらの要素を組み立てられた状態で、オートクレーブにて又は蒸気滅菌器内で一緒に滅菌することも考えられる。例えば、この目的のために、上記の組立体を、滅菌前に予めアルミニウムフォイルで包むことが可能である。
【0044】
前記相互接続された部品が、好ましくはオートクレーブ内で冷却されたならば、この組立体は、例えば、容器充填システムのサンプリング地点に輸送される。その後初めて、実質的に無菌の周囲条件下でアルミニウムフォイルから取り出され、前記サンプリングコックに接続される。前記サンプリングコック自体は、好ましくは、パイプラインに組み付けられ、上記の組立体を接続する前に滅菌される。この滅菌は、特に好ましくは、飽和蒸気を循環させることにより、或いは、例えばブンゼンバーナを用いてアルコール溶液を噴霧するか若しくはアルコール溶液で洗い流すことにより行われる。
【0045】
前記組立体を前記サンプリングコック上に配置したならば、前記組立体に蒸気を施し、次いで、コックを開く。これにより、例えば、決められた量又は少量のサンプルが、本発明による前記容器内に一定に且つ連続的に流れ込むことができる。例えば、分析のために十分な量の媒体のサンプルを取り出したならば、前記サンプリングコックを再び閉じ、その後、前記組立体を、実質的に無菌の周囲条件下で前記サンプリングコックから取り外す。
【0046】
次いで、実質的に無菌の周囲条件下で、本発明による前記容器を、前記容器上に取り付けられた部品から分解し、次いで、前記容器を、好ましく無菌のシールヘッド又は蓋を用いて密封することが可能である。しかし、上記の組立体の全体を組立体の状態でオートクレーブ内で滅菌せず、そのかわりに、全ての部品(接続ライン、サンプリングヘッド、アダプタ要素、受け入れ手段及び/又は容器)を、例えばアルミニウムフォイルに包み、次いで、オートクレーブ内で別々に滅菌することも考えられる。従って、これらの個々の部品は、サンプリング地点にて初めてフィルム包装から取り出されて互いに組み付けられる。
【0047】
本発明のさらなる利点、目的及び特性を、添付図面に関する以下の説明を参照しつつ説明する。この図面において、サンプリングヘッドに配置された本発明による前記容器の一実施形態を例として示す。図面において、少なくとも原理上、機能的に類似の部品は、類似の参照番号により示す。これらの部品は、必ずしも全ての図面に記載されている訳ではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】サンプリング手段と、サンプリング手段のサンプリングヘッドに配置された本発明による容器の実施形態とを示す概略図である。
【図2】本発明による容器の雄ねじの実施形態の詳細を示す構造図である。
【図3】受け入れ手段の雌ねじの実施形態の詳細を示す構造図である。示す。
【図4】アダプタ要素の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1に、本発明による容器の実施形態である容器1が示されている。容器1は、底部領域2、壁部3(すなわち、底部領域2から直交方向に延在する周囲壁3)、及び、周囲壁3から内側に、又は容器内へ所定の角度で延在する充填領域4を含む。容器ネック(首部)5が、充填領域4に隣接するように底部領域2に対向して接続されており、且つ、充填開口部(図示せず)を含む。
【0050】
この場合、「直交」(“orthogonal”)とは、垂直又はほぼ垂直を意味するものと理解される。従って、周囲壁3と底部域2とは直角を形成する。しかし、周囲壁3が初めに半径方向外側に延在し、次いで、容器1の上方領域にて再び半径方向内側に延在し、これにより、容器1が周囲部の凸状の膨らみを含み、従って凸状のボトルの形態に形成されることも考えられる。
【0051】
また、周囲壁3が初めに半径方向内側に延在し、その後、容器1の上方領域にて再び半径方向外側に湾曲することも可能である。これにより、容器1は、ほぼ砂時計の形状に形成される。従って、容器1が任意の所望の形状を有し、図1に示した形状に限定されないことが理解されよう。
【0052】
雄ねじ5aが容器ネック5の外周上に配置されている。すなわち、雄ねじ5aは、容器ネック5の材料から切り出され、或いは、圧延され、又は好ましくはモールディング若しくはキャスティングにより成形される。従って、容器1は、一体として製造される。
【0053】
容器1はサンプリング装置10に配置される。サンプリング装置10は、少なくとも、サンプリングヘッド7、サンプリングコック9、及び、サンプリングコック9とサンプリングヘッド7との間の接続部品8から成り、そして、サンプリングヘッド7の受け入れ手段6が、容器ネック5又は雄ねじ5aの少なくとも上方領域を、少なくとも部分的に、しかし、好ましくは完全に取り囲む。
【0054】
容器1の上方に配置されたアダプタ要素30も図示されており、アダプタ要素30は、容器1上に媒体密に(媒体を通漏らさないように)受け入れ手段6により固定され、且つ、雌ねじ(図示せず)を含むサンプリングヘッド6内に、雄ねじ(図示せず)を用いてねじ込まれている。従って、サンプル媒体の汚染(例えば周囲空気による)を防止するために、容器1又は容器1の入口開口部を周囲環境Uに対して媒体密にシールすることが可能である。
【0055】
少なくとも接続ライン8がサンプリングコック9及びサンプリングヘッド7に接続されたならば、接続プロセス中に入り込んだ可能性のあるいずれのバクテリアも再度除去されるように、蒸気接続ポイント17から飽和蒸気を供給することができる。
サンプリングされる媒体は、サンプリングコック9がその上に配置された充填システム(図示せず)から、サンプリングコック9を通して取り出され、接続部品8又は接続ライン8を通してサンプリングヘッド7に運ばれ、そして、容器1(サンプリングヘッド7上に配置され、又はサンプリングヘッド7に取り付けられている)に供給される。
【0056】
次いで、オートクレーブ処理される耐圧性の容器1は、サンプル媒体が充填された後に、サンプリングヘッド7の受け入れ手段6から再び取り外され、サンプル媒体の分析のための対応する製造部に輸送される。好ましくは、容器1とサンプリングヘッド7とから成る組立体が、組み立てられた状態で輸送される。この組立体は、製造部門において、滅菌環境状況下でのみ開放される。
【0057】
図2は、容器1の雄ねじ5aの実施形態の構造の詳細を示し、2つのエッジ20(頂部)及びねじピッチ領域(谷部)21が図示されている。雄ねじ5aの丸み付きエッジ20が丸いねじ山を示しており、エッジ20の半径Rは、エッジ20からねじピッチ21への遷移領域の半径Rよりも大きい。
【0058】
外径dは、ねじ谷径(core diameter)dよりも常に大きい。ねじ山プロファイルの深さcは、エッジ20の外径dとねじピッチ21のねじ谷径dとの差、及び、以下の式の両方から計算される。
【数1】

ピッチ数P、及び、ねじ山プロファイルの構造に関する定数kから計算されるねじ山プロファイル幅bを2で割る。
【0059】
ピッチ径dは、外径dとねじ谷径dとのほぼ間の値であり、例えば以下の式により計算される
【数2】

式中、Pはピッチであり、このねじにて、好ましくは、3mm〜5mmである。
【0060】
エッジ20の半径Rも、例えば、ねじ山プロファイル幅bに以下のように乗算することにより計算される。
【数3】

【0061】
図3は、図2の構造的対応物、すなわち、雄ねじ5aに構造的に類似した設計の雌ねじ5bを示す。図3aによれば、雌ねじ5bのエッジ23は丸み付きであり、エッジ23とねじピッチ24との間の遷移領域の半径Rよりも大きい半径Rを有する。雌ねじのねじ谷径Dも、常に、雌ねじの外径Dよりも小さい。例えば、ねじプロファイル深さc又はピッチ径Dのための計算は、好都合には、外径のための上記の式及び計算に対応する。
【0062】
図4は、環状のアダプタ要素30の実施形態を示しており、アダプタ要素30は、ほぼ平坦な内壁31と、外壁32とを含む。雄ねじ33が外壁32の外面上に配置されており、雄ねじ33は、例えば、カッティング若しくは圧延により製造され(例えば、金属アダプタ要素の場合)、又は、射出成形により成形されている(例えば、プラスチック材料要素の場合)。
【0063】
雄ねじ33は、構造設計に関して上記の雄ねじ5aに対応していても、或いは、このねじ5aとは異なる構造を有して設計されてもよい。さらに、アダプタ要素30は、半径方向外側に延在する突出部35を含む。突出部35の断面は基本的に矩形であり、これにより、リングシール37がこの突出部35の鉛直方向上部に損傷されずに配置されることができる。或いは、突出部35がアダプタ要素30の上に直接シールされ、リングシール37がさらに用いられなくてもよい。
【0064】
さらなるリングシール36又はワッシャ36が、ねじ山33の鉛直方向上部に配置されて、シール座部を形成している凹部34内に延在している。この凹部34は、垂直方向にて内壁31よりもさらに上方に延在する外壁32により形成されている。
【0065】
本出願の出願人は、本出願書類に開示される全ての特徴に関し、それらが従来技術に対して個々に又は組合せにて新規である限り、本発明に必須のものとして主張する権利を保持する。
【符号の説明】
【0066】
1 容器
2 底部領域
3 周囲壁
4 充填領域
5 容器ネック
5a 雄ねじ
5b 雌ねじ
6 受け入れ手段
7 サンプリングヘッド
8 接続部品又は接続ライン
9 サンプリングコック
10 サンプリング装置
17 蒸気接続ポイント
20 雄ねじのエッジ
21 雄ねじのねじピッチ
23 雌ねじのエッジ
24 雌ねじのねじピッチ
30 アダプタ要素
31 内壁
32 外壁
33 雄ねじ
34 シール座部
35 突出部
36 第1のリングシール
37 第2のリングシール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器充填システムからの媒体のサンプリング中に前記媒体を受け入れるための容器(1)であって、
閉鎖された底部領域(2)と、
前記底部領域(2)に隣接するとともに該底部領域(2)に対してほぼ直交方向に延在する周囲壁(3)と、
前記底部領域(2)に対向するとともに前記周囲壁(3)に隣接する充填領域(4)とを備え、
前記充填領域が、
前記底部領域に対してほぼ直交方向に延在し、充填開口部を含む容器ネック(5)と、
前記容器ネック(5)の外周上の少なくとも一部に配置された雄ねじ(5a)とを備え、
前記雄ねじ(5a)の外径が44mm以上かつ46mm以下であり、
前記雄ねじ(5a)の谷径が41mm以上かつ43mm以下であり、
前記雄ねじ(5a)の縁の少なくとも一部が、半径が0.95mm以上かつ1.05mm以下の丸みを有しており、
前記容器(1)が周囲環境(U)に対して媒体密でシールされるように、前記サンプリング中に、前記容器のネック(5)をサンプリングヘッド(7)の受け入れ手段(6)内に配置可能であり、
前記容器が、プラスチック材料から成ることを特徴とする容器(1)。
【請求項2】
前記容器(1)が、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン又はこれらの材料の組合せから成ることを特徴とする請求項1に記載の容器(1)。
【請求項3】
前記容器(1)が、オートクレーブ処理されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の容器(1)。
【請求項4】
前記容器(1)の前記底部領域(2)の少なくとも一部の壁厚が、前記容器(1)の前記周囲壁(3)の壁厚よりも厚いことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項5】
前記容器ネック(5)が壁部を含み、
前記壁部が、前記充填開口部にて、前記壁部に対してほぼ直交方向に配置された終端縁部を有し、
前記媒体密のシールに対してシール要素が配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項6】
サンプルを採取するための組立体であって、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の容器と、
アダプタ要素(30)とを備え、
前記アダプタ要素(30)がほぼ環状であることを特徴とする組立体。
【請求項7】
前記アダプタ要素(30)が、内側に配置されたほぼ平坦な内壁(31)と、雄ねじ(33)が形成された外壁(32)とを備えることを特徴とする請求項6に記載の組立体。
【請求項8】
前記アダプタ要素(30)と前記容器(1)との間にシール要素を配置可能であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の組立体。
【請求項9】
前記アダプタ要素(30)が、シール座部(34)に着脱可能に配置された実質的に柔軟な第1のリングシール(36)を備えることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項10】
前記受け入れ手段(6)が、前記容器(1)の雄ねじ(5a)上にねじ嵌めされる雌ねじを備えることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項11】
前記受け入れ手段(6)が、プラスチック材料からつくられたことを特徴とする請求項6から請求項10のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項12】
組立体の使用であって、
容器充填システムから前記媒体をサンプリングするために、好ましくはオートクレーブにて滅菌された前記組立体が用いられ、
前記容器(1)が、周囲環境(U)に対して媒体蜜でシールされるように、前記サンプリング中に、前記容器(1)のネック(5)をサンプリングヘッド(7)の受け入れ手段(6)内に配置されることを特徴とする請求項6から請求項11のいずれか一項に記載の組立体の使用。
【請求項13】
媒体を容器充填システムからサンプリングするための方法であって、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の容器(1)が用いられ、
前記容器(1)を、少なくとも1つのアダプタ要素(30)に接続することにより滅菌された組立体を形成し、
前記容器(1)が、冷却後にのみサンプリングヘッド(7)に配置され、
決められたサンプリング量が前記容器(1)内に流入するようにサンプリングコックを開き、
前記サンプリングプロセスが終了したことに応じて、前記サンプリングコックを再び閉じて前記組立体を前記サンプリングヘッド(7)から取り外すことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記組立体がオートクレーブにて滅菌されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記容器(1)を前記組立体から分解してシールにより閉鎖する前に、前記組立体を前記サンプリングコック(9)から取り外すことを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−162322(P2012−162322A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−258622(P2011−258622)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(508120916)クロネス アーゲー (65)
【Fターム(参考)】