説明

サンプリング波形測定装置及びサンプリング波形測定方法

【課題】本発明は、高い消光比と短いゲート幅を両立することの可能なサンプリング波形測定装置の提供を目的とする。
【解決手段】本願発明のサンプリング波形測定装置は、サンプリング用光パルスPsを発生するサンプリング用光パルス発生部11と、被測定光信号Pxおよびサンプリング用光パルスPsが入力されサンプリング後の光信号Pyを出力する電界吸収型光変調器12と、光信号Pyを受光する受光器15と、を備え、等価サンプリング方式で被測定光信号Pxの波形を測定するサンプリング波形測定装置101において、サンプリング用光パルス発生部11は、サンプリング用光パルスPsとして、光パワーの時間波形に複数のピークを有するパルス群を発生し、電界吸収型光変調器12は、複数のピークのうち少なくとも2番目以降のピークによって被測定光信号Pxを1回サンプリングすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分解能の等価サンプリングを行うサンプリング波形測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電界吸収型光変調器の相互吸収飽和特性を用いた光サンプリングが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。図25は、サンプリング波形測定装置の一例を示す概略構成図である。図25に示すサンプリング波形測定装置91は、一定周期のサンプリング用光パルスPsを発生する光パルス発生部111と、被測定光信号Pxとサンプリング用光パルスPsが入力されて光信号Pyを出力する電界吸収型光変調器12と、電界吸収型光変調器12に逆バイアス電圧を入力する逆バイアス電圧発生器13と、電界吸収型光変調器12から出射されたサンプリング後の光信号Pyを光電変換する受光器15と、を有する。サンプリング用光パルスPsが入力された際の電界吸収型光変調器12の相互吸収飽和による光ゲート動作を利用して被測定光信号Pxをサンプリングし、受光器15からの電気信号Dyを観察することで、等価サンプリング方式で被測定光信号Pxを測定/評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2008/087809
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図26は、サンプリング用光パルスPsのパワーとゲート幅の関係の一例であり、(a)はサンプリング用光パルスPsのパワーが小さい場合を示し、(b)はサンプリング用光パルスPsのパワーが大きい場合を示す。ここで、図中において、Psはサンプリング用光パルスを示し、Cは電界吸収型光変調器12に発生する電荷を示し、Vは電界吸収型光変調器12に発生する電圧を示し、Lは電界吸収型光変調器12における被測定光信号Pxの損失の大きさを示す。
【0005】
サンプリング波形測定装置91において、サンプリング用光パルスPsのパワーが小さい場合は、図26(a)に示すように、電界吸収型光変調器12に発生する電圧Vは飽和しないため、ゲート幅は短い。しかし、電界吸収型光変調器12の損失Lは低くなりきらないため、光ゲートの消光比が小さい。このため、光ゲートが完全に開かず、十分なS/N比が得られない問題があった。
【0006】
サンプリング波形測定装置91において、光ゲートの消光比が大きくなるようにサンプリング用光パルスPsのパワーを大きくすると、電界吸収型光変調器12で発生する光電流が飽和し、図26(b)に示すように、電界吸収型光変調器12に発生する電圧Vが飽和する。この影響によって、電界吸収型光変調器12の損失Lが低くなっている時間が長くなり、ゲート幅が長くなり、サンプリングの時間分解能が悪化する問題があった。
【0007】
上記のように、サンプリング波形測定装置91においては、高い消光比と短いゲート幅を両立することが困難であった。そこで、本発明は、高い消光比と短いゲート幅を両立することの可能なサンプリング波形測定装置及びサンプリング波形測定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明のサンプリング波形測定装置及びサンプリング波形測定方法は、サンプリング用光パルスPsとして、光パワーの時間波形に複数のピークを有するパルス群を用いる。
【0009】
具体的には、本願発明のサンプリング波形測定装置は、サンプリング用光パルスを発生するサンプリング用光パルス発生部(11)と、被測定光信号および前記サンプリング用光パルスが入力され、前記サンプリング用光パルスが入力された際の相互吸収飽和による光ゲート動作を利用して前記被測定光信号をサンプリングする電界吸収型光変調器(12)と、前記電界吸収型光変調器から出力された光信号を電気信号に変換する受光器(15)と、を備え、等価サンプリング方式で前記被測定光信号の波形を測定するサンプリング波形測定装置(101)において、前記サンプリング用光パルス発生部は、前記サンプリング用光パルスとして、光パワーの時間波形に複数のピークを有するパルス群を発生し、前記電界吸収型光変調器は、前記複数のピークのうち少なくとも2番目以降のピークによって前記被測定光信号を1回サンプリングすることを特徴とする。
【0010】
複数のピークのうちの最初のピークでは光ゲートを開かせず、少なくとも2番目以降のピークで光ゲートを開かせる。このような構成とすることで、複数のピークのうちの最初のピークが電界吸収型光変調器12に入力された際に電界吸収型光変調器12に発生した電荷Cは、最後のピークが入力される時までに多くが消滅するため、電界吸収型光変調器12の電圧Vの飽和を防ぐことが出来る。一方、光起電力効果によって電界吸収型光変調器12に生じる電圧Vは電荷Cよりも長い減衰時間を持つため、複数のピークを入力することによって光ゲートが十分に開き、高い消光比が得られる。したがって、高い消光比と短いゲート幅を両立することが可能となる。
【0011】
本願発明のサンプリング波形測定装置では、前記サンプリング用光パルス発生部は、前記時間波形に複数のピークを有するパルス群として、複数の光パルスを発生し、前記電界吸収型光変調器は、前記複数の光パルスのうちの少なくとも2番目以降の光パルスによって前記被測定光信号を1回サンプリングする構成を採用することができる。
この場合、前記サンプリング用光パルス発生部は、前記複数の光パルスとして、2つの光パルスを発生する構成を採用することができる。
【0012】
本願発明のサンプリング波形測定装置では、前記サンプリング用光パルス発生部は、前記時間波形に複数のピークを有するパルス群として、複数の極大点を有する光パルスを発生し、前記電界吸収型光変調器は、前記複数の極大点のうちの少なくとも2番目以降の極大点によって前記被測定光信号を1回サンプリングする構成を採用することができる。
この場合、前記サンプリング用光パルス発生部は、前記複数の極大点を有する光パルスとして、2つの極大点を有する光パルスを発生する構成を採用することができる。
【0013】
本願発明のサンプリング波形測定装置では、前記サンプリング用光パルス発生部は、1つの光パルスを一定周期で発生する光パルス発生器(21)と、前記光パルス発生器からの光パルスを時間軸上で多重化する光パルス多重化手段(22)と、を備える構成を採用することができる。
【0014】
本願発明のサンプリング波形測定装置では、前記光パルス多重化手段は、前記光パルスの偏波を変える偏波変更手段(22−1)と、前記偏波変更手段の出力光が入力され偏波によって屈折率の異なる複屈折媒質(22−2)と、を備える構成を採用することができる。
【0015】
本願発明のサンプリング波形測定装置では、前記光パルス多重化手段は、前記光パルスの偏波を変える偏波変更手段(22−1)と、前記偏波変更手段の出力光が入力され偏波によって屈折率の異なる複屈折媒質(22−2)と、前記複屈折媒質の出力光の特定方向の偏光成分を抽出する偏光子(22−3)と、を備える構成を採用することができる。
【0016】
本願発明のサンプリング波形測定装置では、前記光パルス多重化手段は、前記光パルスを複数の光路に分岐する光分岐部(22−4)と、前記複数の光路の一部または全部に時間遅延を与える光遅延部(22−5)と、前記複数の光路を合波する光合波部(22−6)と、を備える構成を採用することができる。
【0017】
本願発明のサンプリング波形測定装置では、前記サンプリング用光パルス発生部は、周波数チャープを伴った1つの光パルスを一定周期で発生する光パルス発生器(21c)と、前記光パルスが入力され波長分散を持つ波長分散媒質(23)と、を備える構成を採用することができる。
【0018】
本願発明のサンプリング波形測定装置では、前記サンプリング用光パルス発生部は、1つの光パルスを一定周期で発生する光パルス発生器(21)と、前記光パルスが入力され自己位相変調を生じる光非線形媒質(24)と、前記光非線形媒質の出力光が入力され波長分散を持つ波長分散媒質(23)と、を備える構成を採用することができる。
【0019】
具体的には、本願発明のサンプリング波形測定方法は、サンプリング用光パルスを発生するサンプリング用光パルス発生手順(S111)と、被測定光信号および前記サンプリング用光パルスが電界吸収型光変調器(12)に入力され、前記サンプリング用光パルスが入力された際の前記電界吸収型光変調器における相互吸収飽和による光ゲート動作を利用して前記被測定光信号をサンプリングして光信号を出力するサンプリング手順(S112)と、前記サンプリング手順で出力した光信号を電気信号に変換する受光手順(S113)と、を順に有し、等価サンプリング方式で前記被測定光信号の波形を測定するサンプリング波形測定方法であって、前記サンプリング用光パルス発生手順において、前記サンプリング用光パルスとして、光パワーの時間波形に複数のピークを有するパルス群を発生し、前記サンプリング手順において、前記複数のピークのうち少なくとも2番目以降のピークによって前記被測定光信号を1回サンプリングすることを特徴とする。
【0020】
複数のピークのうちの最初のピークでは光ゲートを開かせず、少なくとも2番目以降のピークで光ゲートを開かせる。このような手順とすることで、複数のピークのうちの最初のピークが電界吸収型光変調器12に入力された際に電界吸収型光変調器12に発生した電荷Cは、最後のピークが入力される時までに多くが消滅するため、電界吸収型光変調器12の電圧Vの飽和を防ぐことが出来る。一方、光起電力効果によって電界吸収型光変調器12に生じる電圧Vは電荷Cよりも長い減衰時間を持つため、複数のピークを入力することによって光ゲートが十分に開き、高い消光比が得られる。したがって、高い消光比と短いゲート幅を両立することが可能となる。
【0021】
本願発明のサンプリング波形測定方法では、前記サンプリング用光パルス発生手順において、前記時間波形に複数のピークを有するパルス群として、複数の光パルスを発生し、前記サンプリング手順において、前記複数の光パルスのうちの少なくとも2番目以降の光パルスによって前記被測定光信号を1回サンプリングすることができる。
この場合、前記サンプリング用光パルス発生手順において、前記複数の光パルスとして、2つの光パルスを発生することができる。
【0022】
本願発明のサンプリング波形測定方法では、前記サンプリング用光パルス発生手順において、前記時間波形に複数のピークを有するパルス群として、複数の極大点を有する光パルスを発生し、前記サンプリング手順において、前記複数の極大点のうちの少なくとも2番目以降の極大点によって前記被測定光信号を1回サンプリングすることができる。
この場合、前記サンプリング用光パルス発生手順において、前記複数の極大点を有する光パルスとして、2つの極大点を有する光パルスを発生することができる。
【0023】
本願発明のサンプリング波形測定方法では、前記サンプリング用光パルス発生手順において、1つの光パルスを一定周期で発生する光パルス発生手順と、前記光パルス発生手順で発生した光パルスを時間軸上で多重化する光パルス多重化手順と、を順に有することができる。
【0024】
本願発明のサンプリング波形測定方法では、前記光パルス多重化手順において、前記光パルスの偏波を変える偏波変更手順と、前記偏波変更手順で偏波を変えた出力光が入力され偏波によって屈折率の異なる複屈折媒質(22−2)を通過させる複屈折手順と、を順に有することができる。
【0025】
本願発明のサンプリング波形測定方法では、前記光パルス多重化手順において、前記光パルスの偏波を変える偏波変更手順と、前記偏波変更手順で偏波を変えた出力光が入力され偏波によって屈折率の異なる複屈折媒質(22−2)を通過させる複屈折手順と、前記複屈折媒質の出力光の特定方向の偏光成分を抽出する偏光成分抽出手順と、を順に有することができる。
【0026】
本願発明のサンプリング波形測定方法では、前記光パルス多重化手順において、前記光パルスを複数の光路に分岐する光分岐手順と、前記複数の光路の一部または全部に時間遅延を与える光遅延手順と、前記複数の光路を合波する光合波手順と、を順に有することができる。
【0027】
本願発明のサンプリング波形測定方法では、前記サンプリング用光パルス発生手順において、周波数チャープを伴った1つの光パルスを一定周期で発生する光パルス発生手順と、前記光パルスが入力され波長分散を持つ波長分散媒質(23)を通過させる波長分散手順と、を順に有することができる。
【0028】
本願発明のサンプリング波形測定方法では、前記サンプリング用光パルス発生手順において、1つの光パルスを一定周期で発生する光パルス発生手順と、前記光パルスが入力され自己位相変調を生じる光非線形媒質(24)を通過させる位相変調手順と、前記光非線形媒質の出力光が入力され波長分散を持つ波長分散媒質(23)を通過させる波長分散手順と、を順に有することができる。
【0029】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、高い消光比と短いゲート幅を両立することの可能なサンプリング波形測定装置及びサンプリング波形測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態に係るサンプリング波形測定装置の一例を示す構成概略図である。
【図2】本実施形態に係るサンプリング波形測定方法の一例を示す流れ図である。
【図3】電界吸収型光変調器の入出力信号の一例を示し、(a)は被測定光信号Pxを示し、(b)はサンプリング用光パルスPsを示し、(c)は電界吸収型光変調器の損失を示し、(d)は電界吸収型光変調器から出力される光信号Pyを示す。
【図4】本実施形態に係るサンプリング波形測定装置におけるサンプリング用光パルスPsのパワーとゲート幅の関係の一例を示し、(a)はピークが1つの場合を示し、(b)は複数のピークが2つの光パルスからなる場合を示し、(c)は複数のピークが2つの極大点を有する光パルスからなる場合を示す。
【図5】電界吸収型光変調器の消光特性の一例を示す。
【図6】複数のピークを有するパルス群が2つの光パルスからなる場合のサンプリング用光パルスPsの一例である。
【図7】複数のピークを有するパルス群が2つの極大点を有する光パルスからなる場合のサンプリング用光パルスPsの一例である。
【図8】複数のピークを有するパルス群が3つの光パルスからなる場合のサンプリング用光パルスPsの一例である。
【図9】複数のピークを有するパルス群が3つの極大点を有する光パルスからなる場合のサンプリング用光パルスPsの一例である。
【図10】サンプリング用光パルス発生部の第1例の別形態を示す。
【図11】サンプリング用光パルス発生部の他の形態を示し、(a)は第2例を示し、(b)は第3例を示す。
【図12】光パルス多重化手段の構成例であり、(a)は第1の構成例を示し、(b)は第2の構成例を示し、(c)は第3の構成例を示す。
【図13】光パルス多重化手段の第1の構成例の具体例であり、(a)は第1の具体例を示し、(b)は第2の具体例を示す。
【図14】光パルス多重化手段の第1の構成例の具体例であり、(a)は第3の具体例を示し、(b)は第4の具体例を示す。
【図15】光パルス多重化手段の第1の構成例の具体例であり、(a)は第5の具体例を示し、(b)は第6の具体例を示す。
【図16】光パルス多重化手段の第2の構成例の具体例であり、(a)は第1の具体例を示し、(b)は第2の具体例を示す。
【図17】光パルス多重化手段の第2の構成例の具体例であり、(a)は第3の具体例を示し、(b)は第4の具体例を示す。
【図18】光パルス多重化手段の第2の構成例の具体例であり、(a)は第5の具体例を示し、(b)は第6の具体例を示す。
【図19】光パルス多重化手段の第3の構成例の具体例であり、(a)は第1の具体例を示し、(b)は第2の具体例を示す。
【図20】光パルス多重化手段の第3の構成例の具体例であり、(a)は第3の具体例を示し、(b)は第4の具体例を示す。
【図21】光パルス多重化手段の第3の構成例の具体例であり、(a)は第5の具体例を示し、(b)は第6の具体例を示す。
【図22】サンプリング用光パルス発生部の第2例の具体例であり、(a)は第1の具体例を示し、(b)は第2の具体例を示す。
【図23】サンプリング用光パルス発生部の第3例の具体例であり、(a)は第1の具体例を示し、(b)は第2の具体例を示す。
【図24】サンプリング用光パルス発生部の第3例の第3の具体例を示す。
【図25】サンプリング波形測定装置の一例を示す概略構成図である。
【図26】サンプリング用光パルスPsのパワーとゲート幅の関係の一例であり、(a)はサンプリング用光パルスPsのパワーが小さい場合を示し、(b)はサンプリング用光パルスPsのパワーが大きい場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0033】
図1は、本実施形態に係るサンプリング波形測定装置の一例を示す構成概略図である。本実施形態に係るサンプリング波形測定装置101は、サンプリング用光パルス発生部11と、電界吸収型光変調器12と、逆バイアス電圧発生器13と、光カプラ14と、受光器15と、を備える。
【0034】
サンプリング用光パルス発生部11は、サンプリング用光パルスPsを発生する。光カプラ14は、サンプリング用光パルスPsを電界吸収型光変調器12に入射させる。電界吸収型光変調器12には、被測定光信号Pxおよびサンプリング用光パルスPsが入力され、サンプリング用光パルスPsが入力された際の相互吸収飽和による光ゲート動作を利用して被測定光信号Pxをサンプリングする。
【0035】
サンプリング後の光信号Pyは、電界吸収型光変調器12から出射される。光カプラ14は、光信号Pyを受光器15に入射させる。受光器15は、電界吸収型光変調器12から出力された光信号Pyを電気信号に変換し、電気信号Dyを出力する。電気信号Dyを観察することで、等価サンプリング方式で被測定光信号Pxの波形を測定する。
【0036】
本実施形態では、サンプリング用光パルス発生部11は、サンプリング用光パルスPsとして、光パワーの時間波形に複数のピークを有するパルス群を発生する。そして、電界吸収型光変調器12は、複数のピークのうち少なくとも2番目以降のピークによって被測定光信号Pxを1回サンプリングする。
【0037】
サンプリング波形測定装置101は、本実施形態に係るサンプリング波形測定方法を実行する。図2に、本実施形態に係るサンプリング波形測定方法の一例を示す。実施形態に係るサンプリング波形測定方法は、サンプリング用光パルス発生手順S111と、サンプリング手順S112と、受光手順S113と、を順に有する。
【0038】
サンプリング用光パルス発生手順S111では、サンプリング用光パルスPsを発生する。サンプリング手順S112では、被測定光信号Pxおよびサンプリング用光パルスPsが電界吸収型光変調器12に入力され、サンプリング用光パルスPsが入力された際の電界吸収型光変調器12における相互吸収飽和による光ゲート動作を利用して被測定光信号Pxをサンプリングして光信号Pyを出力する。受光手順S113では、サンプリング手順S112で出力した光信号Pyを電気信号Dyに変換する。これらの手順を実行して、本実施形態に係るサンプリング波形測定方法は、等価サンプリング方式で被測定光信号Pxの波形を測定する。
【0039】
サンプリング用光パルス発生手順S111において、サンプリング用光パルスPsとして、光パワーの時間波形に複数のピークを有するパルス群を発生する。例えば、時間波形に複数のピークを有するパルス群として、複数の光パルスを発生する。又は、時間波形に複数のピークを有するパルス群として、複数の極大点を有する光パルスを発生する。
【0040】
サンプリング手順S112において、複数のピークのうち少なくとも2番目以降のピークによって被測定光信号Pxを1回サンプリングする。例えば、複数の光パルスのうちの少なくとも2番目以降の光パルスによって被測定光信号Pxを1回サンプリングする。又は、複数の極大点のうちの少なくとも2番目以降の極大点によって被測定光信号Pxを1回サンプリングする。複数の光パルスは、例えば2つの光パルスである。複数の極大点を有する光パルスは、例えば2つ極大点を有する光パルスである。
【0041】
図3に、電界吸収型光変調器12の入出力信号の一例を示し、(a)は被測定光信号Pxを示し、(b)はサンプリング用光パルスPsを示し、(c)は電界吸収型光変調器12の損失を示し、(d)は電界吸収型光変調器12から出力される光信号Pyを示す。電界吸収型光変調器12には、図3(a)に示す被測定光信号Pxと、図3(b)に示すサンプリング用光パルスPsが入力される。電界吸収型光変調器12の損失は、図3(c)に示すように、サンプリング用光パルスPsのうちの2つ目のピークによって減少する(光ゲートが開く)。図3では、理解を容易にするため、サンプリング用光パルスPsの2つ目のピークの時刻に光ゲートが開くように描かれているが、実際には2つ目のピークから少し遅れて光ゲートが開く場合がある。光ゲートが開いたときに入力された被測定光信号Pxが、図3(d)に示す光信号Pyとして出力される。
【0042】
ここで、光ゲートが開くとは、サンプリングに十分な消光比が得られる状態をいう。光ゲートが開かないとは、損失が大きく、電界吸収型光変調器12から出力される光信号Pyのパワーが無視できる程度に小さいことをいう。
【0043】
サンプリング用光パルスPsの周期Tpは、直前のサンプリング用光パルスPsによって発生した電荷及び電圧が定常状態に戻る時間より長い時間間隔であり、受光器15の応答時間に応じて設定することができ、例えば略25nsである。複数のピークの間隔Tsは、1つのサンプリング用光パルスPsに含まれる複数のピークのうちの直前に入力されたピークによって発生した電荷がほぼ消滅し、かつ、直前に入力されたピークによって発生した電圧が下がりきらない時間間隔であり、例えば略10psである。
【0044】
時間波形に複数のピークを有するパルス群は、例えば、複数の光パルス又は複数の極大点を有する光パルスからなる。複数の光パルスの場合、サンプリング用光パルス発生部11は、サンプリング用光パルスPsとして、複数の光パルスを発生する。この場合、電界吸収型光変調器12は、複数の光パルスのうちの少なくとも2番目以降の光パルスによって被測定光信号Pxを1回サンプリングする。複数の極大点を有する光パルスの場合、サンプリング用光パルス発生部11は、サンプリング用光パルスPsとして、複数の極大点を有する光パルスを発生する。この場合、電界吸収型光変調器12は、複数の極大点のうちの少なくとも2番目以降の極大点によって被測定光信号Pxを1回サンプリングする。
【0045】
図4に、サンプリング波形測定装置101におけるサンプリング用光パルスPsのパワーとゲート幅の関係の一例を示し、(a)はピークが1つの場合を示し、(b)は複数のピークが2つの光パルスからなる場合を示し、(c)は複数のピークが2つの極大点を有する光パルスからなる場合を示す。図中において、Psはサンプリング用光パルスを示し、Cは電界吸収型光変調器12に発生する電荷を示し、Vは電界吸収型光変調器12に発生する電圧を示し、Lは電界吸収型光変調器12における被測定光信号Pxの損失の大きさを示す。
【0046】
本実施形態では、1つのピークpは、電界吸収型光変調器12に発生する電圧Vが飽和しない程度のパワーPWに設定しておく。このため、1つのピークpのみが入力されても、図4(a)に示すように、サンプリング用光パルスPsによって発生する電界吸収型光変調器12に発生する電圧Vによっては、電界吸収型光変調器12の損失Lは十分に低くならず、光ゲートは開かない。
【0047】
ピークを2つにした場合、図4(b)及び図4(c)に示すように、1つ目のピークが電界吸収型光変調器12に入力された際に発生した電荷Cは、2つ目のピークが入力される時までに多くが消滅する。一方、光起電力効果によって電界吸収型光変調器12に生じる電圧Vは電荷Cよりも長い減衰時間を持つ。そこで、電荷Cがある程度消滅し、かつ、電圧Vが下がりきらないタイミングで、2つ目のピークpを電界吸収型光変調器12に入力する。
【0048】
2つ目のピークpが入力されると、2つ目のピークpが入力された時点での電圧Vからさらに電圧Vが上がり、電圧Vに達する。これにより、光ゲート動作に必要な電圧Vまで電圧Vを上げ、電界吸収型光変調器12の損失Lを低下させて、サンプリングを行うことができる。このとき、電荷Cがある程度消滅しているため、光電流及び電圧Vは飽和せず、光ゲートのゲート幅が狭くなる。したがって、高い消光比と短いゲート幅を両立することができる。
【0049】
図5に、電界吸収型光変調器12の消光特性の一例を示す。電界吸収型光変調器12の損失は、電界吸収型光変調器12によって定められた一定電圧で急激に低くなる。電圧Vはこの一定電圧よりも低く、電圧Vはこの一定電圧よりも高くなるように設定する。
【0050】
なお、図3及び図4では、サンプリング用光パルスPsの複数のピークpのパワーが等しい例を示したが、複数のピークpのパワーは異なっていてもよい。1つ目のピークのパワーをPW以下に設定すれば1つ目のピークによって光ゲートは開かず、2つ目のピークのパワーは2つ目のピークによって光ゲートが開くように設定すれば良く、必ずしも2つのピークのパワーを等しくする必要はない。図6及び図7に、複数のピークが2つである場合のピークのパワーの組み合わせの一例を示す。
【0051】
図6は、複数のピークを有するパルス群が2つの光パルスからなる場合のサンプリング用光パルスPsの一例であり、(a)は2つの光パルスのパワーが等しい場合を示し、(b)は2つ目の光パルスのパワーが1つ目の光パルスのパワーよりも大きい場合を示し、(c)は2つ目の光パルスのパワーが1つ目の光パルスのパワーよりも小さい場合を示す。図7は、複数のピークを有するパルス群が2つの極大点を有する光パルスからなる場合のサンプリング用光パルスPsの一例であり、(a)は2つの極大点のパワーが等しい場合を示し、(b)は2つ目の極大点のパワーが1つ目の極大点のパワーよりも大きい場合を示し、(c)は2つ目の極大点のパワーが1つ目の極大点のパワーよりも小さい場合を示す。
【0052】
また、図6では、サンプリング用光パルス発生部11は、サンプリング用光パルスPsとして、2つの光パルスを発生する例を示した。又、図7では、サンプリング用光パルス発生部11は、サンプリング用光パルスPsとして、2つの極大点を有する光パルスを発生する例を示した。このように、図6及び図7では、サンプリング用光パルスPsの複数のピークが2つのピークである例を示したが、サンプリング用光パルスPsの複数のピークは3つ以上であってもよい。図8及び図9に、複数のピークが3つである場合のパワーの組み合わせの一例を示す。
【0053】
図8は、複数のピークを有するパルス群が3つの光パルスからなる場合のサンプリング用光パルスPsの一例である。図8(a)は3つの光パルスのパワーが等しい場合を示す。図8(b)は最初の光パルスのパワーが他の光パルスのパワーよりも小さい場合を示す。図8(c)は最後の光パルスのパワーが他の光パルスのパワーよりも小さい場合を示す。図8(d)は途中の光パルスのパワーが前後の光パルスのパワーよりも小さい場合を示す。図8(e)は途中の光パルスのパワーが前後の光パルスのパワーよりも大きい場合を示す。図8(f)は各光パルスのパワーが異なりかつ順に大きくなっている場合を示す。図8(g)は各光パルスのパワーが異なりかつ順に小さくなっている場合を示す。
【0054】
図9は、複数のピークを有するパルス群が3つの極大点を有する光パルスからなる場合のサンプリング用光パルスPsの一例である。図9(a)は3つの極大点のパワーが等しい場合を示す。図9(b)は最初の極大点のパワーが他の極大点のパワーよりも小さい場合を示す。図9(c)は最後の極大点のパワーが他の極大点のパワーよりも小さい場合を示す。図9(d)は途中の極大点のパワーが前後の極大点のパワーよりも小さい場合を示す。図9(e)は途中の極大点のパワーが前後の極大点のパワーよりも大きい場合を示す。図9(f)は各極大点のパワーが異なりかつ順に大きくなっている場合を示す。図9(g)は各極大点のパワーが異なりかつ順に小さくなっている場合を示す。
【0055】
以下、サンプリング用光パルス発生部11の具体例について説明する。
図1に、サンプリング用光パルス発生部11の第1例を示す。サンプリング用光パルス発生部11の第1例は、例えば、光パルス発生器21と、光パルス多重化手段22と、を備える。光パルス発生器21は、1つの光パルスを一定周期で発生する。光パルス多重化手段22は、光パルス発生器21からの1つの光パルスを時間軸上で多重化する。
【0056】
この場合、図2に示すサンプリング用光パルス発生手順において、光パルス発生手順と、光パルス多重化手順と、を順に有する。光パルス発生手順では、1つの光パルスを一定周期で発生する。光パルス多重化手順では、光パルス発生手順で発生した光パルスを時間軸上で多重化する。
【0057】
ここで、一定周期は、サンプリング用光パルスPsの周期Tpである。サンプリング用光パルス発生部11の第1例を用いることで、1つの光パルスから時間波形に複数のピークを有するパルス群を生成することができる。
【0058】
光パルス多重化手段22は多段構成であってもよい。これにより、サンプリング用光パルスPsのピークの数を増加することができる。例えば、図10に示すように、光パルス多重化手段22の後段に、さらに光パルス多重化手段22dを備える。この構成を採用することで、サンプリング用光パルスPsのピークを4つにすることができる。なお、多段構成は、2段に限らず、3段以上であってもよい。
【0059】
図11に、サンプリング用光パルス発生部11の他の形態を示し、(a)は第2例を示し、(b)は第3例を示す。図11(a)に示すサンプリング用光パルス発生部11の第2例は、光パルス発生器21cと、波長分散媒質23と、を備える。光パルス発生器21cは、周波数チャープを伴った1つの光パルスを一定周期で発生する。
【0060】
この場合、図2に示すサンプリング用光パルス発生手順において、光パルス発生手順と、波長分散手順と、を順に有する。光パルス発生手順では、周波数チャープを伴った1つの光パルスを一定周期で発生する。波長分散手順では、光パルスが入力され波長分散を持つ波長分散媒質23を通過させる。
【0061】
ここで、一定周期は、サンプリング用光パルスPsの周期Tpである。波長分散媒質23は、光パルスが入力され波長分散を持つ。サンプリング用光パルス発生部11の第2例では、光パルスが周波数チャープを伴っているため、波長分散媒質23において、1つの光パルスの部分(例えば、前方、中央、後方)によって遅延時間が異なる。したがって、サンプリング用光パルス発生部11の第2例は、1つの光パルスから時間波形に複数のピークを有するパルス群を発生させることができる。
【0062】
図11(b)に示すサンプリング用光パルス発生部11の第3例は、光パルス発生器21と、光非線形媒質24と、波長分散媒質23と、を備える。光パルス発生器21は、1つの光パルスを一定周期で発生する。光非線形媒質24は、光パルスが入力され自己位相変調を生じる。波長分散媒質23は、光非線形媒質24の出力光が入力され波長分散を持つ。
【0063】
この場合、図2に示すサンプリング用光パルス発生手順において、光パルス発生手順と、位相変調手順と、波長分散手順と、を順に有する。光パルス発生手順では、1つの光パルスを一定周期で発生する。位相変調手順では、光パルスが入力され自己位相変調を生じる光非線形媒質24を通過させる。波長分散手順では、光非線形媒質24の出力光が入力され波長分散を持つ波長分散媒質23を通過させる。
【0064】
ここで、一定周期は、サンプリング用光パルスPsの周期Tpである。波長分散媒質23には、例えば、標準シングルモードファイバ又は分散補償ファイバを用いることができる。光非線形媒質24には、例えば、分散シフトファイバ又は高非線形ファイバを用いることができる。本実施形態では、光パワーの時間波形に複数のピークを発生させることができればよいので、周波数チャープの符号は正負いずれであってもよい。また、分散は正常分散であってもよいし、異常分散であってもよい。
【0065】
サンプリング用光パルス発生部11の第3例では、光非線形媒質24のカー効果によって自己位相変調を生じ、光パルスに周波数チャープが発生する。そのため、光非線形媒質24を通過させることで、周波数チャープを伴った1つの光パルスを生成することができる。波長分散媒質23は、光非線形媒質24の出力光が入力され波長分散を持つ。これにより、1つの光パルスの部分(例えば、前方、中央、後方)によって遅延時間が異なる。したがって、サンプリング用光パルス発生部11の第3例は、1つの光パルスから時間波形に複数のピークを有するパルス群を生成することができる。
【0066】
図12は、光パルス多重化手段22の構成例であり、(a)は第1の構成例を示し、(b)は第2の構成例を示し、(c)は第3の構成例を示す。
図12(a)に示す光パルス多重化手段22の第1の構成例は、偏波変更手段22−1と、複屈折媒質22−2と、を備える。偏波変更手段22−1は、光パルスの偏波を変える。複屈折媒質22−2は、偏波変更手段22−1の出力光が入力され偏波によって屈折率が異なる。
【0067】
この場合、図2に示すサンプリング用光パルス発生手順の光パルス多重化手順において、光パルスの偏波を変える偏波変更手順と、偏波変更手順で偏波を変えた出力光が入力され偏波によって屈折率の異なる複屈折媒質22−2を通過させる複屈折手順と、を順に有する。
【0068】
光パルス多重化手段22の第1の構成例では、光パルスの偏波を変えるので、1つの光パルスは2つの偏波成分を持つ。複屈折媒質22−2を通過させることで、複屈折媒質22−2から出力される光パルスを時間領域で分離することができる。したがって、光パルス多重化手段22の第1の構成例は、光パルス発生器21からの光パルスを時間軸上で多重化することができる。
【0069】
電界吸収型光変調器12に発生する電荷及び電圧は、サンプリング用光パルスPsの偏波によって異なる場合がある。この場合、複屈折媒質22−2から出力された等パワーの2つの光パルスによって電界吸収型光変調器12で発生する電圧は異なることとなる。そこで、偏波変更手段22−1を調整して、図4(b)及び図4(c)で説明した電圧Vとなるように2つの光パルスのパワー比を調整することができる。
【0070】
図12(b)に示す光パルス多重化手段22の第2の構成例は、偏波変更手段22−1と、複屈折媒質22−2と、偏光子22−3と、を備える。偏光子22−3は、複屈折媒質22−2の出力光の特定方向の偏光成分を抽出する。
【0071】
この場合、図2に示すサンプリング用光パルス発生手順の光パルス多重化手順において、光パルスの偏波を変える偏波変更手順と、偏波変更手順で偏波を変えた出力光が入力され偏波によって屈折率の異なる複屈折媒質22−2を通過させる複屈折手順と、複屈折媒質の出力光の特定方向の偏光成分を抽出する偏光成分抽出手順と、を順に有する。
【0072】
光パルス多重化手段22の第2の構成例では、光パルスの偏波を変えることで、1つの光パルスに、2つの偏波を発生させることができる。複屈折媒質22−2を通過させることで、複屈折媒質22−2から出力される光パルスを時間領域で分離することができる。特定方向の偏光成分を抽出することで、電界吸収型光変調器12の偏波依存性に影響されずに、図4(b)及び図4(c)で説明した電圧Vとなるように、偏波変更手段22−1又は偏光子22−3の角度を調整して2つの光パルスのパワー比を調整することができる。したがって、光パルス多重化手段22の第2の構成例は、電界吸収型光変調器12に発生する電荷及び電圧の調整を容易にすることができる。
【0073】
図12(c)に示す光パルス多重化手段22の第3の構成例は、光分岐部22−4と、光遅延部22−5と、光合波部22−6と、を備える。光分岐部22−4は、光パルスを複数の光路に分岐する。光遅延部22−5は、複数の光路の一部または全部に時間遅延を与える。光合波部22−6は、複数の光路を合波する。
【0074】
この場合、図2に示すサンプリング用光パルス発生手順の光パルス多重化手順において、光パルスを複数の光路に分岐する光分岐手順と、複数の光路の一部または全部に時間遅延を与える光遅延手順と、複数の光路を合波する光合波手順と、を順に有する。
【0075】
光パルス多重化手段22の第3の構成例では、光パルスを複数の光路に分岐して、複数の光パルスに時間遅延を与え、複数の光パルスを合波することで、1つの光パルスを時間領域で分離することができる。したがって、光パルス多重化手段22の第3の構成例は、光パルス発生器21からの光パルスを時間軸上で多重化することができる。
【0076】
図12(a)、図12(b)及び図12(c)に示したように、光パルス多重化手段22は光パルス発生器21からの光パルスを時間軸上で2つの光パルスに多重化することができる。2つの光パルスの間隔がそれぞれの光パルスのパルス幅よりも大きい場合、図4(b)のようなサンプリング用光パルスPsとなる。2つの光パルスの間隔が光パルスのそれぞれのパルス幅よりも小さい場合、図4(c)のようなサンプリング用光パルスPsとなる。このように、複屈折媒質22−2の長さ若しくは屈折率差(ビート長)又はこれらの組み合わせ、或いは光遅延部22−5の長さ若しくは屈折率又はこれらの組み合わせを調整することで、図4(b)及び図4(c)のいずれのサンプリング用光パルスPsであっても発生することができる。また、複数のピークの間隔Tsを変えることができる。
【0077】
図13は、光パルス多重化手段の第1の構成例の具体例であり、(a)は第1の具体例を示し、(b)は第2の具体例を示す。図13(a)に示す光パルス多重化手段の第1の構成例の第1の具体例では、偏波変更手段22−1が、光ファイバを一定の角度だけ回転して接続する構成となっている。これにより、偏波変更手段22−1は光パルスの偏波を変える。偏波変更手段22−1の回転角度によって2つの光パルスのパワー比を調整することができる。また、複屈折媒質22−2は、偏波保持ファイバで構成されている。なお、光ファイバの接続はコネクタ接続であってもよいし、融着接続であってもよい。
【0078】
図13(b)に示す光パルス多重化手段の第1の構成例の第2の具体例では、図13(a)に示す光パルス多重化手段の第1の構成例の第1の具体例に、さらに偏波変更手段22−7を備える。偏波変更手段22−7は、光ファイバを一定の角度だけ回転して接続することによって、複屈折媒質22−2からの光パルスの偏波を変える。電界吸収型光変調器12に発生する電荷及び電圧は、サンプリング用光パルスPsの偏波によって異なる場合がある。そこで、偏波変更手段22−7を備えることで、図4(b)及び図4(c)で説明した電圧Vとなるように、2つの光パルスの偏波を調整することもできる。
【0079】
図14は、光パルス多重化手段の第1の構成例の具体例であり、(a)は第3の具体例を示し、(b)は第4の具体例を示す。図14(a)に示す光パルス多重化手段の第1の構成例の第3の具体例では、偏波変更手段22−1が波長板で構成されている。これにより、偏波変更手段22−1は光パルスの偏波を変える。波長板の角度によって2つの光パルスのパワー比を調整することができる。また、複屈折媒質22−2は、偏波保持ファイバで構成されている。
【0080】
図14(b)に示す光パルス多重化手段の第1の構成例の第4の具体例では、図14(a)に示す光パルス多重化手段の第1の構成例の第3の具体例に、さらに偏波変更手段22−7を備える。偏波変更手段22−7は、波長板を用いて複屈折媒質22−2からの光パルスの偏波を変える。電界吸収型光変調器12に発生する電荷及び電圧は、サンプリング用光パルスPsの偏波によって異なる場合がある。そこで、図4(b)及び図4(c)で説明した電圧Vとなるように、偏波変更手段22−7の波長板の角度によって2つの光パルスの偏波を調整することもできる。
【0081】
図15は、光パルス多重化手段の第1の構成例の具体例であり、(a)は第5の具体例を示し、(b)は第6の具体例を示す。図15(a)に示す光パルス多重化手段の第1の構成例の第5の具体例では、偏波変更手段22−1が偏波制御器で構成されている。これにより、偏波変更手段22−1は光パルスの偏波を変える。偏波制御器の角度によって2つの光パルスのパワー比を調整することができる。また、複屈折媒質22−2は、偏波保持ファイバで構成されている。
【0082】
図15(b)に示す光パルス多重化手段の第1の構成例の第6の具体例では、図15(a)に示す光パルス多重化手段の第1の構成例の第5の具体例に、さらに偏波変更手段22−7を備える。偏波変更手段22−7は、偏波制御器を用いて複屈折媒質22−2からの光パルスの偏波を変える。電界吸収型光変調器12に発生する電荷及び電圧は、サンプリング用光パルスPsの偏波によって異なる場合がある。そこで、偏波変更手段22−7を備えることで、図4(b)及び図4(c)で説明した電圧Vとなるように、2つの光パルスの偏波を調整することもできる。
【0083】
図16は、光パルス多重化手段の第2の構成例の具体例であり、(a)は第1の具体例を示し、(b)は第2の具体例を示す。図16(a)に示す光パルス多重化手段の第2の構成例の第1の具体例では、図13(a)に示す光パルス多重化手段の第1の構成例の第1の具体例に、さらに偏光子22−3を備える。複屈折媒質22−2を構成する偏波保持ファイバから出力される2つの光パルスの偏光方向がそれぞれ0°及び90°である場合、偏光子22−3は0°及び90°以外の任意の方向の偏光成分、例えば45°又は−45°の偏光成分を抽出する。偏波変更手段22−1又は偏光子22−3の角度によって2つの光パルスのパワー比を調整することができる。
【0084】
図16(b)に示す光パルス多重化手段の第2の構成例の第2の具体例では、図16(a)に示す光パルス多重化手段の第2の構成例の第1の具体例に、さらに偏波変更手段22−7を備える。偏波変更手段22−7は、複屈折媒質22−2を構成する偏波保持ファイバと偏光子22−3の間に配置される。複屈折媒質22−2を構成する偏波保持ファイバから出力される2つの光パルスの偏光方向がそれぞれ0°と90°である場合、偏波変更手段22−7は2つの光パルスの偏波を0°及び90°以外の任意の方向の偏波に変える。例えば、偏波変更手段22−7は2つの光パルスの偏波を45°と−45°に変える。偏光子22−3は、偏波変更手段22−7の出力光の特定方向の偏光成分を抽出する。特定方向の偏光成分は、例えば0°又は90°の偏光成分である。
【0085】
電界吸収型光変調器12に発生する電荷及び電圧は、サンプリング用光パルスPsの偏波によって異なる場合がある。この場合に、光パルス多重化手段の第2の構成例の第1の具体例及び第2の具体例では偏光子22−3から出力された2つの光パルスの偏光方向が同一であるため、電界吸収型光変調器12の偏波依存性に影響されずに図4(b)及び図4(c)で説明した電圧Vとなるように、偏波変更手段22−1又は偏光子22−3の角度を調整して2つの光パルスのパワー比を調整することができる。また、第2の具体例では、偏波変更手段22−7を用いて2つの光パルスの偏波を変えることで、図4(b)及び図4(c)で説明した電圧Vとなるように、偏光子22−3から出力される2つの光パルスのパワー比を調整することもできる。
【0086】
図17は、光パルス多重化手段の第2の構成例の具体例であり、(a)は第3の具体例を示し、(b)は第4の具体例を示す。図17(a)に示す光パルス多重化手段の第2の構成例の第3の具体例では、図14(a)に示す光パルス多重化手段の第1の構成例の第3の具体例に、さらに偏光子22−3を備える。複屈折媒質22−2を構成する偏波保持ファイバから出力される2つの光パルスの偏光方向がそれぞれ0°及び90°である場合、偏光子22−3は0°及び90°以外の任意の方向の偏光成分、例えば45°又は−45°の偏光成分を抽出する。波長板又は偏光子の角度によって2つの光パルスのパワー比を調整することができる。
【0087】
図17(b)に示す光パルス多重化手段の第2の構成例の第4の具体例では、図17(a)に示す光パルス多重化手段の第2の構成例の第3の具体例に、さらに偏波変更手段22−7を備える。偏波変更手段22−7は、複屈折媒質22−2を構成する偏波保持ファイバと偏光子22−3の間に配置される。複屈折媒質22−2を構成する偏波保持ファイバから出力される2つの光パルスの偏光方向がそれぞれ0°と90°である場合、偏波変更手段22−7は2つの光パルスの偏波を0°及び90°以外の任意の方向の偏波に変える。例えば、偏波変更手段22−7は2つの光パルスの偏波を45°と−45°に変える。偏光子22−3は、偏波変更手段22−7の出力光の特定方向の偏光成分を抽出する。特定方向の偏光成分は、例えば0°又は90°の偏光成分である。
【0088】
電界吸収型光変調器12に発生する電荷及び電圧は、サンプリング用光パルスPsの偏波によって異なる場合がある。この場合に、光パルス多重化手段の第2の構成例の第3の具体例及び第4の具体例では偏光子22−3から出力された2つの光パルスの偏光方向が同一であるため、電界吸収型光変調器12の偏波依存性に影響されずに図4(b)及び図4(c)で説明した電圧Vとなるように、偏波変更手段22−1又は偏光子22−3の角度を調整して2つの光パルスのパワー比を調整することができる。また、第4の具体例では偏波変更手段22−7を用いて2つの光パルスの偏波を変えることで、図4(b)及び図4(c)で説明した電圧Vとなるように、偏光子22−3から出力される2つの光パルスのパワー比を調整することもできる。このとき、偏波変更手段22−1及び偏波変更手段22−7が波長板で構成されているため、2つの光パルスのパワー比の調整を精密に行うことができる。
【0089】
図18は、光パルス多重化手段の第2の構成例の具体例であり、(a)は第5の具体例を示し、(b)は第6の具体例を示す。図18(a)に示す光パルス多重化手段の第2の構成例の第5の具体例では、図15(a)に示す光パルス多重化手段の第1の構成例の第5の具体例に、さらに偏光子22−3を備える。複屈折媒質22−2を構成する偏波保持ファイバから出力される2つの光パルスの偏光方向がそれぞれ0°及び90°である場合、偏光子22−3は0°及び90°以外の任意の方向の偏光成分、例えば45°又は−45°の偏光成分を抽出する。偏光制御器又は偏光子の角度によって2つの光パルスのパワー比を調整することができる。
【0090】
図18(b)に示す光パルス多重化手段の第2の構成例の第6の具体例では、図18(a)に示す光パルス多重化手段の第2の構成例の第5の具体例に、さらに偏波変更手段22−7を備える。偏波変更手段22−7は、複屈折媒質22−2を構成する偏波保持ファイバと偏光子22−3の間に配置される。複屈折媒質22−2を構成する偏波保持ファイバから出力される2つの光パルスの偏光方向がそれぞれ0°と90°である場合、偏波変更手段22−7は2つの光パルスの偏波を0°及び90°以外の任意の方向の偏波に変える。例えば、偏波変更手段22−7は2つの光パルスの偏波を45°と−45°に変える。偏光子22−3は、偏波変更手段22−7の出力光の特定方向の偏光成分を抽出する。特定方向の偏光成分は、例えば0°又は90°の偏光成分である。
【0091】
電界吸収型光変調器12に発生する電荷及び電圧は、サンプリング用光パルスPsの偏波によって異なる場合がある。この場合に、光パルス多重化手段の第2の構成例の第5の具体例及び第6の具体例では偏光子22−3から出力された2つの光パルスの偏光方向が同一であるため、電界吸収型光変調器12の偏波依存性に影響されずに図4(b)及び図4(c)で説明した電圧Vとなるように、偏波変更手段22−1又は偏光子22−3の角度を調整して2つの光パルスのパワー比を調整することができる。また、第6の具体例では、偏波変更手段22−7を用いて2つの光パルスの偏波を変えることで、図4(b)及び図4(c)で説明した電圧Vとなるように、偏光子22−3から出力される2つの光パルスのパワー比を調整することもできる。このとき、偏波変更手段22−1及び偏波変更手段22−7が偏波制御器で構成されているため、2つの光パルスのパワーの調整を容易に行うことができる。
【0092】
図19は、光パルス多重化手段の第3の構成例の具体例であり、(a)は第1の具体例を示し、(b)は第2の具体例を示す。図19(a)に示す光パルス多重化手段の第3の構成例の第1の具体例では、PLC(Planar Lightwave Circuit)に、図12に示す光分岐部22−4、光遅延部22−5及び光合波部22−6が形成されている。光分岐部22−4と光合波部22−6の間の伝搬経路の長さが異なることで、図12に示す光遅延部22−5を構成している。これにより、複数の光路の全部に時間遅延を与えている。
【0093】
光パルス多重化手段22にPLCを用いることで、光パルス多重化手段22の構成を簡単にすることができる。また、1個のPLC内で光パルス多重化手段を構成することができるため、安定したピーク間隔Tsを得ることができる。
【0094】
図19(b)に示す光パルス多重化手段の第3の構成例の第2の具体例では、PLCに、図12に示す光分岐部22−4、光遅延部22−5及び光合波部22−6が形成されている。光分岐部22−4と光合波部22−6の間の伝搬経路の長さは等しく、片方の伝搬経路に屈折率の大きい媒質を配置することで、図12に示す光遅延部22−5を構成している。これにより、複数の光路の一部に時間遅延を与えている。屈折率の大きい媒質の屈折率や光路長を変えることで、2つの光パルスの間隔を変化させて、2つのピークの間隔Tsを変えることができる。
【0095】
図20は、光パルス多重化手段の第3の構成例の具体例であり、(a)は第3の具体例を示し、(b)は第4の具体例を示す。図20(a)に示す光パルス多重化手段の第3の構成例の第3の具体例では、図12に示す光分岐部22−4及び光合波部22−6がハーフミラーで構成されている。光分岐部22−4と光合波部22−6の間の伝搬経路の長さが異なるようにミラーが配置されることで、図12に示す光遅延部22−5が構成されている。これにより、複数の光路の全部に時間遅延を与えている。本構成を採用することで、図12に示す光分岐部22−4、光遅延部22−5及び光合波部22−6の各光路を自由空間とすることができる。また、光分岐部22−4、ミラー又は光合波部22−6の設置場所を移動させて、2つのピークの間隔Tsを変えることができる。
【0096】
図20(b)に示す光パルス多重化手段の第3の構成例の第4の具体例では、光分岐部22−4及び光合波部22−6がハーフミラーで構成されている。光分岐部22−4と光合波部22−6の間の伝搬経路の長さは等しく、片方の伝搬経路に屈折率の大きい媒質を配置することで、図12に示す光遅延部22−5を構成している。これにより、複数の光路の一部に時間遅延を与えている。屈折率の大きい媒質の屈折率や光路長を変えることで、2つの光パルスの間隔を変化させて、2つのピークの間隔Tsを変えることができる。
【0097】
図21は、光パルス多重化手段の第3の構成例の具体例であり、(a)は第5の具体例を示し、(b)は第6の具体例を示す。図21(a)に示す光パルス多重化手段の第3の構成例の第5の具体例では、光分岐部22−4及び光合波部22−6が光カプラで構成されている。光分岐部22−4及び光合波部22−6をつなぐ光ファイバの長さが異なることで、光遅延部22−5が構成されている。これにより、複数の光路の全部に時間遅延を与えている。光分岐部22−4及び光合波部22−6をつなぐ光ファイバの長さを変えることで、複数の光パルスの間隔を変化させて、2つのピークの間隔Tsを変えることができる。
【0098】
図21(b)に示す光パルス多重化手段の第3の構成例の第6の具体例では、光分岐部22−4及び光合波部22−6が光カプラで構成されている。光分岐部22−4と光合波部22−6の間の光ファイバの長さは等しく、片方の光ファイバに屈折率の大きい媒質を配置することで、光遅延部22−5を構成している。これにより、複数の光路の一部に時間遅延を与えている。本構成とすることで、屈折率の大きい媒質の屈折率や光路長を変えることで、複数の光パルスの間隔を変化させて、2つのピークの間隔Tsを変えることができる。
【0099】
なお、光パルス多重化手段の第3の構成例の具体例では、複数の光路が2つの光路である場合を示したが、複数の光路は3つ以上であってもよい。複数の光路を3つにすることで、サンプリング用光パルスPsを3つのピークを有するパルス群にすることができる。複数の光路が3つ以上である場合、第5の具体例と第6の具体例を組み合わせてもよい。
【0100】
図22は、サンプリング用光パルス発生部の第2例の具体例であり、(a)は第1の具体例を示し、(b)は第2の具体例を示す。図22(a)に示すサンプリング用光パルス発生部の第2例の第1の具体例では、光パルス発生器21cそのものが、周波数チャープを伴った1つの光パルスを発生する。そして、波長分散媒質23で複数のピークを発生させる。
【0101】
図22(b)に示すサンプリング用光パルス発生部の第2例の第2の具体例では、光パルス発生器21cは、CW(Continuous Wave)光源21−1と、光変調器21−2と、を備える。CW光源21−1は、連続光を発生する。光変調器21−2は、CW光源21−1からの連続光を強度変調して、光パルスを発生する。このとき、周波数チャープが発生する光変調器21−2を用いる。これにより、光パルス発生部21cは、周波数チャープを伴った1つの光パルスを生成する。そして、波長分散媒質23により時間波形に複数のピークを有するパルス群を発生させることができる。
【0102】
図23は、サンプリング用光パルス発生部の第3例の具体例であり、(a)は第1の具体例を示し、(b)は第2の具体例を示す。図23(a)に示すサンプリング用光パルス発生部の第3例の第1の具体例では、光パルス発生器21と、光非線形媒質24と、波長分散媒質23と、を備える。光非線形媒質24が分散シフトファイバ又は高非線形ファイバで構成され、波長分散媒質23が標準シングルモードファイバ又は分散補償ファイバで構成されている。光非線形媒質24のカー効果によって、光パルスの立ち上がり部にレッドチャープ、立ち下がり部にブルーチャープを発生させる。そして、波長分散媒質23では、光パルスの立ち上がり部と立ち下がり部で遅延時間が異なる。これにより、サンプリング用光パルス発生部11は、時間波形に複数のピークを有するパルス群を生成することができる。
【0103】
図23(b)に示すサンプリング用光パルス発生部の第3例の第2の具体例では、サンプリング用光パルス発生部の第3例の第1の具体例に、さらに光減衰器25を備える。光減衰器25は、光非線形媒質24からの光パルスのパワーを減衰させて波長分散媒質23に出力する。これにより、波長分散媒質23における非線形効果を低減し、波長分散の効果のみを得ることができる。
【0104】
図24は、サンプリング用光パルス発生部の第3例の第3の具体例を示す。サンプリング用光パルス発生部の第3例の第3の具体例は、サンプリング用光パルス発生部の第3例の第1の具体例に、さらにパルス幅調整用の波長分散媒質26を備える。光パルス発生器21からの光パルスは所定のスペクトル幅を持つため、波長分散媒質26の波長分散によって光パルスを所望のパルス幅にすることができる。光非線形媒質24は、波長分散媒質26からの光パルスの立ち上がり部にレッドチャープ、立ち下がり部ブルーチャープを発生させる。そして、波長分散媒質23では光パルスの立ち上がり部と立ち下がり部で遅延時間が異なる。これにより、サンプリング用光パルス発生部11は、光パワーの時間波形に複数のピークを有するパルス群を生成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、高分解能の光サンプリングを行うことができるので、情報通信産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0106】
11:サンプリング用光パルス発生部
12:電界吸収型光変調器
13:逆バイアス電圧発生器
14:光カプラ
15:受光器
21、111:光パルス発生器
21c:チャープを伴った光パルス発生器
21−1:CW光源
21−2:光変調器
22、22d:光パルス多重化手段
22−1、22−7:偏波変更手段
22−2:複屈折媒質
22−3:偏光子
22−4:光分岐部
22−5:光遅延部
22−6:光合波部
23、26:波長分散媒質
24:光非線形媒質
25:光減衰器
91、101:サンプリング波形測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリング用光パルスを発生するサンプリング用光パルス発生部(11)と、
被測定光信号および前記サンプリング用光パルスが入力され、前記サンプリング用光パルスが入力された際の相互吸収飽和による光ゲート動作を利用して前記被測定光信号をサンプリングする電界吸収型光変調器(12)と、
前記電界吸収型光変調器から出力された光信号を電気信号に変換する受光器(15)と、
を備え、
等価サンプリング方式で前記被測定光信号の波形を測定するサンプリング波形測定装置(101)において、
前記サンプリング用光パルス発生部は、前記サンプリング用光パルスとして、光パワーの時間波形に複数のピークを有するパルス群を発生し、
前記電界吸収型光変調器は、前記複数のピークのうち少なくとも2番目以降のピークによって前記被測定光信号を1回サンプリングすることを特徴とするサンプリング波形測定装置。
【請求項2】
前記サンプリング用光パルス発生部は、前記時間波形に複数のピークを有するパルス群として、複数の光パルスを発生し、
前記電界吸収型光変調器は、前記複数の光パルスのうちの少なくとも2番目以降の光パルスによって前記被測定光信号を1回サンプリングすることを特徴とする請求項1に記載のサンプリング波形測定装置。
【請求項3】
前記サンプリング用光パルス発生部は、前記時間波形に複数のピークを有するパルス群として、複数の極大点を有する光パルスを発生し、
前記電界吸収型光変調器は、前記複数の極大点のうちの少なくとも2番目以降の極大点によって前記被測定光信号を1回サンプリングすることを特徴とする請求項1に記載のサンプリング波形測定装置。
【請求項4】
前記サンプリング用光パルス発生部は、前記複数の光パルスとして、2つの光パルスを発生することを特徴とする請求項2に記載のサンプリング波形測定装置。
【請求項5】
前記サンプリング用光パルス発生部は、前記複数の極大点を有する光パルスとして、2つの極大点を有する光パルスを発生することを特徴とする請求項3に記載のサンプリング波形測定装置。
【請求項6】
前記サンプリング用光パルス発生部は、
1つの光パルスを一定周期で発生する光パルス発生器(21)と、
前記光パルス発生器からの光パルスを時間軸上で多重化する光パルス多重化手段(22)と、
を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のサンプリング波形測定装置。
【請求項7】
前記光パルス多重化手段は、
前記光パルスの偏波を変える偏波変更手段(22−1)と、
前記偏波変更手段の出力光が入力され偏波によって屈折率の異なる複屈折媒質(22−2)と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載のサンプリング波形測定装置。
【請求項8】
前記光パルス多重化手段は、
前記光パルスの偏波を変える偏波変更手段(22−1)と、
前記偏波変更手段の出力光が入力され偏波によって屈折率の異なる複屈折媒質(22−2)と、
前記複屈折媒質の出力光の特定方向の偏光成分を抽出する偏光子(22−3)と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載のサンプリング波形測定装置。
【請求項9】
前記光パルス多重化手段は、
前記光パルスを複数の光路に分岐する光分岐部(22−4)と、
前記複数の光路の一部または全部に時間遅延を与える光遅延部(22−5)と、
前記複数の光路を合波する光合波部(22−6)と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載のサンプリング波形測定装置。
【請求項10】
前記サンプリング用光パルス発生部は、
周波数チャープを伴った1つの光パルスを一定周期で発生する光パルス発生器(21c)と、
前記光パルスが入力され波長分散を持つ波長分散媒質(23)と、
を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のサンプリング波形測定装置。
【請求項11】
前記サンプリング用光パルス発生部は、
1つの光パルスを一定周期で発生する光パルス発生器(21)と、
前記光パルスが入力され自己位相変調を生じる光非線形媒質(24)と、
前記光非線形媒質の出力光が入力され波長分散を持つ波長分散媒質(23)と、
を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のサンプリング波形測定装置。
【請求項12】
サンプリング用光パルスを発生するサンプリング用光パルス発生手順(S111)と、
被測定光信号および前記サンプリング用光パルスが電界吸収型光変調器(12)に入力され、前記サンプリング用光パルスが入力された際の前記電界吸収型光変調器における相互吸収飽和による光ゲート動作を利用して前記被測定光信号をサンプリングして光信号を出力するサンプリング手順(S112)と、
前記サンプリング手順で出力した光信号を電気信号に変換する受光手順(S113)と、
を順に有し、
等価サンプリング方式で前記被測定光信号の波形を測定するサンプリング波形測定方法であって、
前記サンプリング用光パルス発生手順において、前記サンプリング用光パルスとして、光パワーの時間波形に複数のピークを有するパルス群を発生し、
前記サンプリング手順において、前記複数のピークのうち少なくとも2番目以降のピークによって前記被測定光信号を1回サンプリングすることを特徴とするサンプリング波形測定方法。
【請求項13】
前記サンプリング用光パルス発生手順において、前記時間波形に複数のピークを有するパルス群として、複数の光パルスを発生し、
前記サンプリング手順において、前記複数の光パルスのうちの少なくとも2番目以降の光パルスによって前記被測定光信号を1回サンプリングすることを特徴とする請求項12に記載のサンプリング波形測定方法。
【請求項14】
前記サンプリング用光パルス発生手順において、前記時間波形に複数のピークを有するパルス群として、複数の極大点を有する光パルスを発生し、
前記サンプリング手順において、前記複数の極大点のうちの少なくとも2番目以降の極大点によって前記被測定光信号を1回サンプリングすることを特徴とする請求項12に記載のサンプリング波形測定方法。
【請求項15】
前記サンプリング用光パルス発生手順において、前記複数の光パルスとして、2つの光パルスを発生することを特徴とする請求項13に記載のサンプリング波形測定方法。
【請求項16】
前記サンプリング用光パルス発生手順において、前記複数の極大点を有する光パルスとして、2つの極大点を有する光パルスを発生することを特徴とする請求項14に記載のサンプリング波形測定方法。
【請求項17】
前記サンプリング用光パルス発生手順において、
1つの光パルスを一定周期で発生する光パルス発生手順と、
前記光パルス発生手順で発生した光パルスを時間軸上で多重化する光パルス多重化手順と、
を順に有することを特徴とする請求項12から16のいずれかに記載のサンプリング波形測定方法。
【請求項18】
前記光パルス多重化手順において、
前記光パルスの偏波を変える偏波変更手順と、
前記偏波変更手順で偏波を変えた出力光が入力され偏波によって屈折率の異なる複屈折媒質(22−2)を通過させる複屈折手順と、
を順に有することを特徴とする請求項17に記載のサンプリング波形測定方法。
【請求項19】
前記光パルス多重化手順において、
前記光パルスの偏波を変える偏波変更手順と、
前記偏波変更手順で偏波を変えた出力光が入力され偏波によって屈折率の異なる複屈折媒質(22−2)を通過させる複屈折手順と、
前記複屈折媒質の出力光の特定方向の偏光成分を抽出する偏光成分抽出手順と、
を順に有することを特徴とする請求項17に記載のサンプリング波形測定方法。
【請求項20】
前記光パルス多重化手順において、
前記光パルスを複数の光路に分岐する光分岐手順と、
前記複数の光路の一部または全部に時間遅延を与える光遅延手順と、
前記複数の光路を合波する光合波手順と、
を順に有することを特徴とする請求項17に記載のサンプリング波形測定方法。
【請求項21】
前記サンプリング用光パルス発生手順において、
周波数チャープを伴った1つの光パルスを一定周期で発生する光パルス発生手順と、
前記光パルスが入力され波長分散を持つ波長分散媒質(23)を通過させる波長分散手順と、
を順に有することを特徴とする請求項12から16のいずれかに記載のサンプリング波形測定方法。
【請求項22】
前記サンプリング用光パルス発生手順において、
1つの光パルスを一定周期で発生する光パルス発生手順と、
前記光パルスが入力され自己位相変調を生じる光非線形媒質(24)を通過させる位相変調手順と、
前記光非線形媒質の出力光が入力され波長分散を持つ波長分散媒質(23)を通過させる波長分散手順と、
を順に有することを特徴とする請求項12から16のいずれかに記載のサンプリング波形測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−102777(P2011−102777A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258271(P2009−258271)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】