説明

サンプル−回答型のマイクロ流体カートリッジ

診断、分子または生物化学アッセイを実行するためのマイクロ流体カートリッジおよび方法であって、アッセイに必要な全ての乾燥および/または液体試薬はカートリッジに含まれ、アッセイは試料の添加だけを必要とする。マイクロ流体カートリッジの運転中の気泡妨害および試薬流出の問題を克服するために、空圧液圧特徴、チャンバーおよびダイアフラム技術が導入される。アッセイの実行のためにカートリッジがホスト機器中に挿入され、カートリッジは消耗可能に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)項の下、2010年1月29日に出願された米国仮特許出願第61/299,534号の利益を主張し、この米国仮特許出願はその全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
背景
分野
本開示は診断、分子および生物化学アッセイのためのマイクロ流体装置および方法に関し、さらに詳細には、カートリッジ上の試薬貯蔵器から流体を調剤および分配し、ポンプ送入、加熱および混合し、気泡混入(bubble entrainment)および試薬流出なしに乾燥試薬を再水和するためのマイクロ流体技術に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
マイクロ流体装置は診断アッセイのための手段として用途が拡大してきた。米国特許第5,304,487号においてWildingによって説明された装置は、再使用可能なシリコン基板上に形成された「中規模」チャンネルおよびチャンバーからなり、カートリッジ外の注射器ポンプから流体試薬が注入された。カートリッジ上の流体や試薬貯蔵および送達は考慮されなかった。しかし、実際の市場用途は、「消費可能な」カートリッジ−特定のアッセイまたは一連のアッセイのために必要な全ての試薬を自ら含む廃棄可能で単一使用の「サンプル−回答(sample−to−answer)」型のカートリッジの方向へ導いた。これは、試料の持ち出しまたは取り扱いに伴う汚染を絶対回避しなければならない分子生物アッセイ用途の場合特に真実である。
【0004】
基板上の試薬は液体および乾燥試薬の形状の両方を含むことができる。それらの両方の試薬の種類は、満足できる製品を実現するためにいくつかの問題を抱えていた。ここで、われわれはカートリッジのチャンネルおよびチャンバーの初期濡れ性および乾燥試薬の再水和に伴う液体取り扱いの課題に対処する。マイクロ流体チャンネルおよびチャンバーを含むカートリッジ、特にプラスチック本体を有するカートリッジの充填および運転中に、液体の濡れ性はしばしば不均一であり、表面に対して前進するメニスカスによる流体カラム中または角部にエアポケットが含まれるのがまれではない。生物試料のポンプ搬送および混合の間に、装置のアッセイ性能に悪影響を与える泡および気泡が形成し得る。気泡は乾燥試薬を含むチャンネルまたはチャンバーの不均一な充填によって発生し得る。試薬再水和、濡れ性および通気は気泡形成の問題に関連している。問題は、例えばDubrowの米国特許第6,068,752号、およびKennedyの米国特許第6,086、740号に記載されたより複雑な流体ネットワーク、およびBuechlerの米国特許出願第2005/0136552号またはWyzgolの米国特許出願第2004/024051号に記載されたキャピラリ流駆動装置において悪化し、これらはプラスチック本体の装置において極めて困難であることが立証された。
【0005】
気泡は脱気による試料液体の加熱中にも発生し得る。気体の溶解性は温度に逆比例し、加熱された溶液が容易に過飽和することは周知である。脱気による気泡の原因は、マイクロ流体の空洞における機械的なまたは超音波混合などの間に液体が剪断力を受ける空洞である。
【0006】
気泡はマイクロ流体の「キュベット」中の液体の光学的問いかけを妨害する。光の通路は気泡表面の湾曲および/または光を屈折する気泡によって生じるレンズ効果のため変化し得る。また、気泡は気泡境界の溶質濃度変化、プロテイン構造の変性、バルクの加熱速度および液体中の温度の均一性を変化することによって生物化学反応を妨害し得る。例えば、熱安定性のあるポリメラーゼが目標核酸の複製を増幅するために用いられるPCR反応において、流体中の気泡の存在は加熱および冷却を不均一にし、プロセスの効率を低下させ感度を制限する。また、気泡の存在は反応チャンバー中の流体の容積を減少させ、10〜50μL以下のアナライト検出に依存するアッセイにおいて、反応チャンバー中に混入された大きな気泡の存在はアッセイを不可能にすることができる。
【0007】
速度決定に依存する反応において、気泡は光学的傾斜の決定および基質の適切な入手可能性で反応を開始するために必要な乾燥試薬の均一な急速再水和を劇的に妨害し得る。蛍光プローブ、酵素、緩衝剤または制御アナライトなどのさまざまな乾燥試薬は、マイクロ流体装置のチャンバー内に配置することができ、アッセイの適切な遂行に必要である。濡れの間に1つ以上の気泡の混入は乾燥試薬と試料の不完全な溶解および混合を招き、それによって反応効率を損ない、試験の感度を低下させる。
【0008】
特許文献1において、Leiは圧力降下を平衡化し、したがって複数の流れ通路を通る流れを平衡化するように、表面張力特徴および/または断面積を用いることによって並列チャンネル中の流れ抵抗を変化させることを提案する。ひとつの例において、不十分な流体洗浄および空気気泡を混入しがちな、流れの再循環の形成または流体の停滞を回避するように、複数の排出チャンネルを用いて井戸からの流体を排出する。しかし、それらの特徴の各々は試行錯誤によって設計しなければならず、したがって、設計は恒久的ではなく、異なるアッセイに容易に適合しない。寸法および表面化学物質の顕微鏡的変化はマイクロ流体回路製造において制御が困難なので、本方法はマイクロ流体カード内のサブ回路間の流れを並列に等しく分割する問題の実際的な解決を実証しなかった。濡れ性を改善する特徴を備えるダイアフラムの使用の説明は提供されなかった。
【0009】
Ulmanella(特許文献2)は、例えば、メニスカスがチャンバーの床を横断する際にその先端を遅くし、または停止するエネルギー障壁を設置することによって、または底面上に複数の溝またはポストを使用することによって、または毛管作用を調節するためにチャンバーの深さに彫刻することによって、または注射器ポンプの使用によって、または遠心機によって、またはチャンバーの出口側に真空を用いることによって、チャンバーの底面を物理的に修正することによって、マイクロ流体チャンバーを充填する流体のメニスカスを制御する努力を報告した。これらの方法はいずれも問題の実際的な解決を立証しなかった。毛管作用は極めて予測が困難であり、空気ポケットの形成を促進する傾向があり、従来技術に一般に実施された注射器ポンプの使用または真空の適用は流体に剪断力を与え、抵抗の少ない通路に流体を動かす傾向にあり、問題を悪化させる。例えば、並列の複数の診断アッセイ通路に試料または試薬を分割するために有用な、単一の入口から分岐する2つ以上のマイクロ流体チャンネルが流体に提供される時、流体は濡れ性のある通路を最も容易に充填し、より高い流体抵抗を有する通路を空にし得る。当業者には周知のように、チャンネル間の非常に僅かな差は、単一チャンネルの優先的な濡れを招き、分岐する並列チャンネルを濡らさない。
【0010】
さらにUlmanellaはマイクロ流体チャンバーの濡れ性における乾燥試薬の効果に取り組み、中央に点在する乾燥試薬を含むチャンバーの充填効率は50%未満であり、入口側に点在する試薬を有するチャンバーは65%の濡れ効率であるが、出口側に点在する試薬を有するチャンバーは気泡の無い充填効率が95%に増加したと結論付けた。しかし、乾燥試薬がチャンバーの下流出口に位置する場合にあり得るように、下流チャンネルに流出することによって試薬の濃度が希釈されないように、チャンバーは試薬が再水和される前に完全に濡れることが望ましいので、製造中に試薬をミリメートルの精度で点在配置することは必要ではなく、また乾燥試薬点の存在で濡れ性を達成する十分な手段ではない。
【0011】
例えば、基板のプラズマ処理または疎水性を低減する界面活性剤の組み込みによって、およびチャンネル交差点にラディアスを与えることによって、マイクロ流体チャンネルまたはチャンバーにおける界面および表面張力の低減を達成できることは周知である。また、これらの処理は濡れ性を向上させることが知られているが、機械的に混入された気泡および熱的脱気、空洞化または停滞ゾーンから得られる気泡の除去には有効ではない。実際に、界面活性剤は気相の安定な気泡および泡を形成する傾向を高めることができ、その永続性によってアッセイの機能を損なうことができる。さらに、プラズマ処理などのプロセスによる表面の改質は製造における制御の困難さが予測され、恒久的ではなく装置貯蔵の間に徐々に劣化し得る。したがって、アッセイチャンネルの初期濡れの間に、乾燥試薬の再水和中の気泡の形成と混入を低減し、装置の運転中に気泡の蓄積と障害を防止または低減する機械的手段および方法を開発することが望ましく、本発明の目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,637,463号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0280856号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のマイクロ流体カートリッジ(ここではより一般的に「装置」と呼ぶ)は一般に可撓性プラスチック本体から形成され、その中で行われる診断または生物アッセイの必要性に応じて流体的に相互連絡するパターン形成された流体チャンネルおよびチャンバーを含む。アッセイは試料を1つ以上の試薬と1つ以上のステップで、典型的に装置の1つ以上のチャンネルまたはチャンバー中で、試料中のアナライトの存在または不在を示す検出可能な生成物を形成するのに有効な時間および温度で反応させることによって行われる。カートリッジは典型的に消費可能である。すなわち、それらは一度使用され、次いで廃棄され、1つ以上のアッセイに必要な全ての試薬を含む。
【0014】
アッセイを行うために、本発明の装置は、分光光度計または色原体または対象の目標アナライトの存在、不在、および/または量を示す蛍光色素分子の検出のための蛍光計など、光学検出(または他の検出手段)に依存するホスト機器中に挿入される。好ましい実施形態において、装置中の光学窓がホスト機器の検出手段に連結する。しかし、光学窓中の1つ以上の気体気泡はアナライトの検出を阻害し得る。また、気泡は例えば、アンプリコンまたは生物化学または分子反応の他の生成物などの検出可能な生成物を形成するのに必要な反応を妨害し、気泡は、反応混合物の不均一な加熱、不十分な混合、または乾燥試薬の不完全な、または時期を逸した再構成の原因になり得る。
【0015】
使用において、試料流体は本発明の装置中に導入され、次いで装置の流体連絡チャンネルおよびチャンバーは生物的液体試料単独、液体試薬、または試料と1つ以上の液体試薬の混合物のいずれかで濡らされる。装置の濡れ可能に流体連絡する態様は装置の「液圧ワーク(hydraulic work)」と呼ばれ、1つ以上のチャンネルとチャンバーを有するマイクロ流体サブ回路を含む。液圧の制御は別個の二次ネットワークまたは装置中のチャンバーとチャンネルのマニホルドとして重ね合わせられ、加圧空気および真空の外部源を供給された空圧駆動バルブ、ポンプ、およびダイアフラムによって行われる。この二次ネットワークは装置の「空圧ワーク(pneumatic work)」と呼ばれる。したがって、装置は液体または複数の液体を輸送するための一次「液圧ネットワーク」および気体を輸送するための二次「空圧ネットワーク」からなる。空圧ネットワークはカートリッジがアッセイを行うために連結されるホスト機器のバルブとポンプのロジックに従って、(a)プロセス制御および(b)液圧ネットワークを経由して液体または複数の液体を駆動するための正または負の圧力を提供する。
【0016】
装置の液圧チャンネルおよびチャンバー内に配設された任意の乾燥試薬の再水和を含んで、液体試薬の取り扱いおよび混合は、気泡が液圧系の濡れの間に既に混入された点で問題であった。これは特に初期濡れの間に起こり、気泡が装置を通って急速に進み、続いて混合および加熱に伴う空洞化または脱気などによってメニスカスに巻き込まれる。本発明は1つ以上の流体取り扱い機構および方法によってこの問題に対処する。
【0017】
本発明の機構、特徴および方法は、
(1)液圧の下で液体容積を受動的に保存し、濡れ可能な下流のマイクロ流体サブ回路のチャンネルまたはチャンバーの濡れの間に液体容積を放出するように構成された弾性のエネルギー保存空圧液圧ダイアフラム、
(2)液体試薬を貯蔵し放出するための液体中心を有する二重層の空圧液圧ダイアフラム、
(3)濡れの間に液圧チャンバーからヘッド空間を除去するために構成された空圧液圧ダイアフラム、または、
(4)バルブ付き入口を備える第1液圧チャンバーに連結する第1空圧液圧ダイアフラムと、バルブ付き入口を備える第2液圧チャンバーに連結する第2空圧液圧ダイアフラムと、第1および第2液圧チャンバーの間を直接連絡する高められたチャンネルと、を含む一対の空圧液圧ダイアフラムを特徴とする空圧液圧ダイアフラムを含み、この対は、第1および第2の空圧液圧ダイアフラムを横断して反対の圧力差を加えることによって連絡チャンネルを経由して液体を往復交換するために構成され、液圧チャンバーおよびダイアフラムは、アッセイの濡れ、充填、ポンプ送入または再水和ステップの間に気泡の混入または試薬の流出を防止または低減するために構成される。
【0018】
さまざまな例示的実施形態によれば、1つ以上の液体試薬は製造の際に装置上に封止された貯蔵器中に配設される。乾燥試薬はチャンネルまたはチャンバー中に印刷または「点在」され、使用の時に再水和される。液体試薬は緩衝剤、希釈剤、溶剤、溶離剤、洗浄剤、および再水和剤として機能する。これらの能力において、液体はそれらの封止された貯蔵器から空圧駆動によって装置の液圧系に分配される。
【0019】
好ましい液体試薬実施形態において、本発明の封止された液体保存貯蔵器は、液体中心を備える二層ダイアフラム、装置の空圧ワークと液圧ワークを封止して分離する二重ダイアフラムとして構成される。二重ダイアフラムは2つの液体中心によって分離された不浸透性フィルム層から構成され、ダイアフラムが液圧チャンバーと空圧チャンバーを分離するように、縁部の周囲にクリンピングまたは溶融され、装置中に封止される。装置の空圧ワークに面する上部層は、破裂に抵抗する組成物を有するフィルムから形成され、装置の液圧ワークに面する下部層は、破裂に敏感な組成物を有するフィルムから構成される。ダイアフラムの空圧側の加圧は液体充填された貯蔵器を流体受容ボウル中に配設された針(sharp)または「とげ(barb)」を動かして下部層を刺すが、上部層は刺さない。破裂に続いて、液体は液圧チャンバー中に流れ、そこから装置のマイクロ流体の濡れ可能なチャンネル中に流れる。ダイアフラムの空圧側に圧力を加えることによって、試薬の1つ以上の容積は圧力下で液圧ワーク中に動かされ、逆の圧力によって、流体は逆流することができる。
【0020】
この態様において、本発明のアッセイカートリッジはその中に、
(a)空圧ワークの空圧チャンバーと液圧ワークの液圧チャンバーを封止して分離する二重層ダイアフラムであって、二重層ダイアフラムは空圧ワークに面する第1側と液圧ワークに面する第2側を有し、第1層はその第1側を形成し、第2層はその第2側を形成し、第1および第2層はその間に液体中心として液体容積を閉じ込める二重層ダイアフラム、
(b)液体容積を受け取り、下流のマイクロ流体サブ回路に輸送するための液体出口、
(c)液圧チャンバー中に配設された針または「とげ」であって、ダイアフラムを横断する圧力差を加えることによって二重層ダイアフラムが駆動されて針と接触して突き刺す時、針は第2層を選択的に破裂させ、液体容積を液圧ワーク中に放出する針、を有することを特徴とする。
【0021】
驚くべきことに、液体は無傷に留まるダイアフラムの第1層に加えられた空圧圧力の連続的なパルスの作用によって基板上の試薬貯蔵器から一連の小さな液体容積で放出することができる。
【0022】
場合によって、二重層ダイアフラムの第1層は破裂抵抗層であり、第2層は破裂感受性層である。液体反応物、緩衝剤、再水和流体、溶剤、または希釈剤を含むことができる。液体の基板上の貯蔵は、例えば、下流のチャンバーまたはチャンネルに配設された乾燥試薬を再水和すること、固相の洗浄、目標アナライトまたは複数のアナライトを固相基質から溶離すること、希釈を行うこと、クロマトグラフ的分離を行うこと、反応を開始または停止すること、目標アナライトまたは複数のアナライトを検出すること、持ち出し汚染の可能性を最小にすることに有用である。場合によって、液体容積は脱気され、二重層ダイアフラムは気体不浸透性である。有利なことに、あらゆる混入された気泡は脱気された液体中に再吸収される傾向があり、脱気された液体はPCRにおける熱循環などに有用なように、加熱での脱気に感受性がない。
【0023】
装置は一般に平坦であるが、それらはホスト機器に典型的に平面から約15度の傾斜位置(すなわち、基面に対して角度をつけて)に搭載してもよく、各マイクロ流体サブ回路の下流側で排気される。液体試料または試薬が液圧サブ回路中に上流で導入されると、空気は下流に移動し排気される。液体試料および試薬は徐々に装置を動いて充填する。カードを10〜35度に傾斜させることによって、呼び水(ここでは「濡れ」と呼ぶ)の間に装置中の空気は液圧ワークからより容易に移動されることが見出された。傾斜されたカードの初期充填中に前進メニスカスを注意深く管理することによって、特に充填中の気泡混入の問題は大きく低減または防止される。
【0024】
したがって、場合によって、液圧ワークはホスト機器の傾斜台上の基面に対して10〜35度で搭載される時に運転するために構成してもよく、少なくとも1つの液圧チャンバーは、チャンバーから気体の排気または気泡を放出するために、そのチャンバーに対して上部に配置された出口および連絡チャンネルを備えて構成される。
【0025】
本発明の他の態様において、濡れの間の気泡の混入は、弾性的に拡大または膨張した空圧液圧ダイアフラムの受動的弛緩を含む充填機構によって制限される。この受動的機構は毛管による充填およびポンプ作動または真空による能動的移動による充填よりも優れていることが見出された。液体は最初に圧力の下で「液圧チャンバー」の上部に積み重ねられた「空圧チャンバー」を有する特別に設計されたマニホルド中に駆動され、2つのチャンバーは液圧チャンバーの天井の上に広げられた弾性ダイアフラムによって分離される。場合によって、替りに液体は下部チャンバー中に吸引してもよいが、上部空圧チャンバーが排気され大気圧に開放されるのが有利である。2つのチャンバーの位置は(説明のために「上部」および「下部」または「頂部」および「底部」と呼ぶが)相対的であり、装置の運転を制限しない。液体容積が液体受容チャンバー中に入ると、ダイアフラムは容積を保持するために拡大し、戻り力およびバネ定数を有するポテンシャルエネルギーの形の変形エネルギーを弾性的に保存する。ダイアフラム材料および変形条件は材料の「弾性限界」を超えないように選択される。次いで、バルブを下流チャンネルまたは複数のチャンネルに開くことによって、大きく膨張して拡大したダイアフラムはその弛緩状態に戻り、流体は前進するメニスカス中に気泡の混入なしに下流の流体構造を緩やかに充填する。
【0026】
この機構および方法は、流れが複数のチャンネル中に分割され、驚くほど有利であることが実証された。弾性ダイアフラムを有し、各々同期して開く個別のバルブ付き出口を備える複数の液体受容チャンバーを備える上流の輸送マニホルドを提供することによって、全てのチャンネル中への流れが本質的に等しく、十分であるように、複数の下流の流体サブ回路に並列に液体の流れを起動し維持するための液圧は分離または「量子化」される。下流チャンネル当たりの総圧力および容積は、下流チャンネル中への液体の流れの回復が下流チャンネルを望ましい目標に充填するのに必要な容積であるように、バネ定数および弾性ダイアフラム部材の変形を選択することによって正確に較正することができ、輸送マニホルドの各ダイアフラムによって送達された移動容積は、複数の並列チャンネルまたはサブ回路の中に等しく流れを分割する流体運転、並列の複数のアッセイを意図した装置中の必要な流体運転にとって不十分でも過剰でもない。これは当分野における技術的な前進である。いかなる下流の空気も前進メニスカスによって容易に移動され、この手段によって下流の排気に運ばれる。
【0027】
この態様において、本発明のアッセイカートリッジは、
(a)複数のチャンバーを有する輸送マニホルドを含み、複数のチャンバーの各チャンバーはその間に封止されて搭載された弾性のエネルギー保存空圧液圧ダイアフラムによって液圧チャンバーおよび空圧チャンバーに分離され、入口を通って直列または並列に各液圧チャンバー中に入った液体容積は、前記輸送マニホルド全体にわたってその移動容積に比例する等圧圧力に従い、各エネルギー保存空圧液圧ダイアフラムを膨張させ、
(b)充填が完了した後、輸送マニホルド全体の液圧を平衡させるために入口はバルブによって閉鎖可能であり、
(c)並列の排気された複数の下流チャンネルを含み、複数のチャンネルの1つのチャンネルは輸送マニホルドの各液圧チャンバーに流体連絡し、各排気された下流チャンネルは、充填および加圧中に閉鎖され、排出および減圧中に開くためのバルブを有し、それによって、膨張状態の弾性の空圧液圧ダイアフラムの液圧は、複数の排気された下流チャンネルが並列に等しく濡れる間にメニスカスを前進させる仕事へ受動的に変換される。
【0028】
より一般的に、濡れまたは「呼び水」は、そこに流体的に接続された濡れ可能な下流のマイクロ流体回路を通ってメニスカスを前進させる仕事を行い、それによってその中のあらゆる気体は気泡の混入なしに下流の排気へ移動する、流体的に膨張した状態における弾性空圧液圧ダイアフラムの機械的特性を利用することによって改善される。この原理は、複数の下流のマイクロ流体サブ回路に並列に流体を等しく分割するのに特に有利である。このようにして、複数のアッセイを並列に行うことができ、単一の試料は分離した下流の検出手段を有する並列アッセイのために等しく分割することができる。驚くべきことに、弾性ダイアフラムの機械的特性を較正して、1つ以上の下流のマイクロ流体サブ回路を目標まで充填することができ、例えば、所定容積中の乾燥溶剤の所定の量を再構成するのに有用である。
【0029】
また、マイクロ流体装置は典型的に下流の液圧ネットワーク内に配設された少なくとも1つの乾燥試薬を含む。これらの試薬は典型的に製造中に点在または印刷される。アッセイの間、乾燥試薬は試料によって、または上述のように分配された液体試薬と接触することによって再水和される。思いがけず、われわれは受動的液体濡れ機構および本明細書に説明する方法が、気泡の混入なしに、乾燥試薬の再水和に有利に適していることを見出した。当分野における他の技術的進歩である。
【0030】
関連する実施形態において、乾燥試薬が点在する下流チャンバー中に空圧起動ダイアフラムを提供することによって、これらの試薬点を覆うダイアフラムは、(a)試薬ゾーン(典型的にチャンバーの床および中央)がチャンバー濡れプロセス中にバルク流体と接触するのを一時的に封止する、(b)本質的に乾燥試薬上のヘッド空間の全てを除去または駆逐するように、加圧することができることをわれわれは見出した。ダイアフラムは、液圧ダイアフラムを充填するために変形する時、チャンバーの周辺部が完全に封止されない。ダイアフラムの周辺に入る液体は、チャンバーの下部縁部の周りに逸らされ、いかなる残留空気も容易に移動して充填中に液圧から排気される。ダイアフラムを横切る圧力差を弛緩または逆転することによって、追加の流体は混入気泡の形成なしにチャンバー中に容易に吸引される。試薬はチャンバーの下流出口がバルブで閉鎖された後にだけ再水和され、それによって試薬の流出による損失を低減する。したがって、乾燥試薬チャンバーの減少したデッド容積は利点になる。幸せなことに、このようにして乾燥試薬点は再水和する試薬または試料の所望の容積を正確に再構成することができ、試薬の生物活性はアッセイ条件にとって定量的に正しくなり、当分野における有用な改善である。
【0031】
したがって、本発明は、上流の入口および下流の排気を備える下流反応チャンバーを有する少なくとも1つのマイクロ流体サブ回路を特徴とすることができ、下流の反応チャンバーは乾燥試薬の点または複数の点を含み、空圧液圧ダイアフラムが、ヘッド空間の空気を移動させ、濡れの間に試薬点または複数の点の周囲および上部に一時的な保護テントを形成するようにダイアフラムがチャンバーの床に対して膨張する第1の位置、およびチャンバーを液体容積で充填し、気泡混入または試薬の流出なしに最高の強度で試薬点を露出および溶解するように、ダイアフラムが弛緩位置またはチャンバーの天井に対して吸引される第2位置で運転するように構成されることをさらに特徴とする。乾燥試薬点は緩衝剤、酵素、共酵素、共同因子、ポリメラーゼ、プライマー、分子ビーコン、プローブ、蛍光色素分子、脱水素酵素、オキシダーゼ、反応体、色原体、基質、抗体、抗原、または対照物とすることができる。
【0032】
また、気泡の混入を制限しながらマイクロ流体カートリッジを濡らす方法が特許請求され、
(a)各前記液圧チャンバー中の液体容積を覆う弾性空圧液圧ダイアフラムが拡大膨張され、それによって複数の液圧チャンバー中の液体容積を加圧するように、入口を通ってマイクロ流体カードの輸送マニホルドを形成する複数の液圧チャンバー中に液体をポンプ送入すること、
(b)輸送マニホルドの各液圧チャンバーからの出口をバルブで開き、各出口は排気された下流のマイクロ流体サブ回路に流体接続されること、
(c)膨張した弾性ダイアフラムの受動的な弛緩によって、気泡の混入なしに、前記各濡れ可能な下流のマイクロ流体サブ回路の中に実質的に等しい分量で液体容積を分割することを含む。
【0033】
弾性ダイアフラムの受動的な弛緩によってマイクロ流体装置を濡らすことは、毛管作用または能動的なポンプ送入による濡れとは容易に区別され、当分野で知られる気泡混入の困難性を克服するのに驚くほど有利であることが実証された。
【0034】
また、その中への気泡混入を制限しながら、乾燥試薬点を含むマイクロ流体カートリッジを濡らす方法が特許請求され、
(a)各液圧チャンバー中の液体容積を覆う弾性空圧液圧ダイアフラムが膨張し、それによって液体容積を等圧加圧するように、入口を通ってマイクロ流体カードの複数の液圧チャンバー中に液体容積をポンプ送入すること、
(b)複数の下流反応チャンバー中の第2ダイアフラムを加圧し、各下流の反応チャンバーは乾燥試薬点を含み、第2ダイアフラムは試薬の周囲および上部を封止し、下流反応チャンバーからヘッド空間の空気を移動するための一時的な保護テントを形成すること、
(c)各液圧チャンバーからの出口をバルブで開き、各出口は複数の下流反応チャンバーの1つに流体接続すること、
(d)下流反応チャンバーの一時的テントの周囲を濡らし、膨張した弾性空圧液圧ダイアフラムを弛緩させることによって、反応チャンバーからあらゆる残留空気を排除し、液体容積は前進するメニスカスを形成すること、
(e)場合によって下流反応チャンバーからの下流バルブを閉じること、
(f)一時的なテントを持ち上げて液体容積の残る部分を反応チャンバー中に送り、それによって、気泡混入または試薬流出なしに最高強度で試薬点を溶解すること、を含む。一時的なテントは弛緩によって、または第2ダイアフラム部材を横断する圧力差を逆転させることによって持ち上げられる。
【0035】
他の方法において、チャンネルによって直列に相互接続される時、空圧液圧ダイアフラムを備える一対のチャンバーを用いて、流体を往復動でポンプ送入するためにPCRのための濡れおよび試薬溶解を助けることができる。交互に正と負の空圧パルスを第1チャンバー中の第1ダイアフラムに加えることによって、第2チャンバー中の第2ダイアフラムは同期して駆動される。第2ダイアフラムは、第1ダイアフラムのパルス状エネルギーを収容して弾性的に保存するように機能する弾性ダイアフラムとすることができる。混合は液体容積を2つのチャンバー間で前後に送ることによって容易に達成される。各液圧チャンバーに薄い熱交換フィルムおよび適切な接触加熱要素を設けることによって「2つのゾーン」PCRが容易に達成される。改善された装置において、初期の濡れおよびポンプ送入の間に、気泡が重力で上昇してチャンバーを浄化するように、チャンバー間の連絡チャンネルが輪郭を描かれて高い位置に置かれ、加熱中に形成する追加の気泡を混入するであろう。相互連絡チャンネルは10〜35度の傾斜で運転されるように構成される輪郭を有して、気泡からの妨害を低減するように対のチャンバーの高い側に配置されるのが好ましい。流体は目標核酸の変性温度の第1チャンバーとアニール温度の第2の間で循環される。装置のプラスチック本体はPCRの間、装置の寄生的熱容量を制限する。熱サイクルあたり8秒以下の速度の核酸増幅が容易に達成される。
【0036】
PCRのために、増幅試薬が装置に設けられる。典型的に、第1チャンバーは第1試薬または複数の試薬を含み、第2チャンバーは第2試薬または複数の試薬を含む。典型的に、試薬は各チャンバーの中央または中央近くに点在する。再水和流体のメニスカスまたは試料が点在試薬を溶解しそれらを溶剤の先端とともに下流に運ぶ際に起きる再水和およびいかなる流出も制限するように、初期の濡れの間に、チャンバー中のダイアフラムは試薬を押し下げ覆うように膨らんで膨張する。初期の濡れの後、流体をチャンバー中に吸入しその中の試薬を溶解するように、ダイアフラムに吸引圧力を加えることができる。替りに、下流のチャンバーを液圧的に膨らませ、試薬を溶解するように上流のチャンバーを加圧してもよい。流れの流体方向は混合および再水和を改善するように一回以上逆転することができる。
【0037】
したがって、本発明は「2ゾーン熱サイクル」のための熱伝導部およびPCR増幅を駆動し制御するための空圧手段を備える空圧連結を有するホスト機器に用いるためのカートリッジを含むことができる。装置は目標核酸を循環的に変性およびアニールするように、2つの相互接続された液圧チャンバー中の対のダイアフラムの往復空圧液圧作用によって働き、カートリッジは、気泡の混入なしに液体によるチャンバーの濡れを改善するために、本発明の1つ以上の濡れ性特徴を有利に有する。また、装置は濡れの間の流出損失なしに固定容積中の試薬を溶解するのに有利であり、プライマー、緩衝剤、および他の試薬が再構成時に一定の強度であることを確実にする。
【0038】
したがって、本発明のさまざまな態様は診断および生物化学的アッセイのためのマイクロ流体カートリッジの運転における新規な利便性を提供し、これらの装置に伴う問題の長い原因であった気泡妨害を制限するための機構および方法として有利であることが見出される。
【0039】
以下の説明において、本発明のいくつかの態様および実施形態が明らかになるであろう。これらの態様および実施形態は単に例示および説明のためであり、本発明を制限しないことが理解されるであろう。他の特徴および利点は以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1Aおよび1Bは、本発明の廃棄可能な単一使用のサンプル−回答型のマイクロ流体カートリッジの2つの透視図を示し、カートリッジはアッセイのための全ての試薬を含み、生物試料の導入だけを必要とする。
【図2】図2は、アッセイを実行するためのホスト機器中のアッセイカートリッジの挿入を示す図である。
【図3】図3Aは、ホスト機器の機構中に挿入されたカートリッジの詳細図である。機構は図3Bに示した加熱マニホルドおよび空圧制御インターフェースを含む。
【図4】図4は、液体試薬を運ぶ液体中心フォイルダイアフラムパックを備える廃棄可能なマイクロ流体カートリッジの展開図である。
【図5】図5Aは、生物試料から核酸目標を抽出するためのマイクロ流体回路の透視図である。図5Bは、抽出プロセスの概要図である。
【図6】図6A〜6Gは、液体を破裂させてマイクロ流体装置の液圧ワークに放出するための液体試薬中心および針または「とげ」を備える二層二重ダイアフラムから形成された試薬貯蔵器の図である。
【図7】図7Aおよび7Bは、ホスト機器に搭載される際に斜に傾斜されたマイクロ流体カートリッジを示す図である。
【図8A】図8Aおよび8Bは、マイクロ流体カートリッジ上でPCRを実行するためのチャンネルおよびチャンバーのネットワークの虫瞰図であり、乾燥試薬の位置も記される。
【図8B】図8Aおよび8Bは、マイクロ流体カートリッジ上でPCRを実行するためのチャンネルおよびチャンバーのネットワークの虫瞰図であり、乾燥試薬の位置も記される。
【図8C】図8Cおよび8Dは、虫瞰図における代替のカートリッジ構成を示す図である。
【図8D】図8Cおよび8Dは、虫瞰図における代替のカートリッジ構成を示す図である。
【図9】図9A〜9Lは、輸送マニホルドによる受動的な初期濡れ機構の概要図である。
【図10A】図10A〜10Cは、試薬がPCRの調製において再水和される輸送マニホルドの運転を示す。操作の流れは、図10D〜10Gで続けられる。
【図10B】図10A〜10Cは、試薬がPCRの調製において再水和される輸送マニホルドの運転を示す。操作の流れは、図10D〜10Gで続けられる。
【図10C】図10A〜10Cは、試薬がPCRの調製において再水和される輸送マニホルドの運転を示す。操作の流れは、図10D〜10Gで続けられる。
【図10D】図10D〜10Gは、往復動ダイアフラム作用を備える二重チャンバーを用いるPCR増幅を示す図である。
【図10E】図10D〜10Gは、往復動ダイアフラム作用を備える二重チャンバーを用いるPCR増幅を示す図である。
【図10F】図10D〜10Gは、往復動ダイアフラム作用を備える二重チャンバーを用いるPCR増幅を示す図である。
【図10G】図10D〜10Gは、往復動ダイアフラム作用を備える二重チャンバーを用いるPCR増幅を示す図である。
【図11】図11は、試薬を分配するために液体中心を備える二層二重ダイアフラムが用いられる、試料から核酸を抽出する方法のステップを説明する図である。
【図12】図12は、液体中心を備える二層二重ダイアフラムから分配された液体で液圧ワークのマイクロ流体チャンネルを呼び水する方法のステップを示す図である。
【図13】図13は、気泡の混入なしに乾燥試薬を再水和するための方法のステップを示す図である。
【図14A】図14Aおよび14Cは、逆転写酵素介在PCRのためのマイクロ流体チャンネルおよびチャンバーのネットワークの虫瞰図である。
【図14B】図14Bは、cDNAの生成のためのインラインチャンバーの詳細図である。
【図14C】図14Aおよび14Cは、逆転写酵素介在PCRのためのマイクロ流体チャンネルおよびチャンバーのネットワークの虫瞰図である。
【図14D】図14Dおよび14Eは、修正された特徴を備えるカートリッジの代替構成を示す図である。
【図14E】図14Dおよび14Eは、修正された特徴を備えるカートリッジの代替構成を示す図である。
【図15】図15は、蛍光終点を監視するための本発明の装置の検出チャンバーの光学窓の使用を示す図である。
【図16】図16は、PCRを実行するための2ピースマイクロ流体カード組み立て体および互換性のあるホスト機器とカードを連結するためのガスケットを備える空圧連結のさらに詳細を示す図である。
【図17】図17は、反応混合物の温度を高くしながら、試料の複数走査を含む、カートリッジの検出チャンバーにおける正および負の蛍光アッセイを示すプロット図である。
【図18】図18Aおよび18Bは、図17のプールされたデータの解析である。互換性のあるホスト機器に連結されたとき、分子ビーコン−アンプリコン二重体のスキャンはカートリッジのFRET溶融曲線能力を示す。
【図19】図19は、互換性のあるホスト機器とともに用いられるときに本発明の装置で得られたアンプリコンのFRETデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の詳細説明は説明のための特定の詳細を含むが、当業者であれば、以下の詳細に対する多くの変形および代替が特許請求された発明の範囲内であることを理解するであろう。以下の定義は特許請求された発明を説明する助けとして記載される。
定義
「カートリッジ」はホスト機器中に挿入することによって運転するために設計された分析装置である。ホスト機器はアッセイの実行のために空圧圧力、パルス、および検出手段を供給する。カートリッジは液圧ワークおよび空圧ワークを含み、埋め込まれたマイクロ流体チャンネルおよびチャンバーを備える埋め込まれたマイクロ流体「カード」を含むことができる。試料および試薬液体はカートリッジまたはカードの液圧ネットワーク中に送られる。流体の流れは選択された接合、チャンネル、およびチャンバーで液圧と連結する空圧ネットワークによって制御および駆動される。典型的にカートリッジまたはカードの本体は可撓性プラスチックから作られ、積層、成型、またはその組み合わせによって形成することができる。プラスチックは、ポリカーボナート、ポリエチレンテレフタラート、環状ポリオレフィン、アクリラート、メタクリラート、ポリスチレン、グラフトおよびブロックコポリマー、およびその複合体を含むことができるが、制限されない。好ましいカートリッジはロール材から作られ、その上に印刷された乾燥試薬を含む。
【0042】
装置の「液圧ワーク」:アッセイの過程の中で試料または液体試薬によって濡らされることを意図する連絡チャンネルおよびチャンバーのネットワークまたは複数のネットワークを含む。液圧ネットワークはアッセイのステップを実行するためのマイクロ流体サブ回路で構成される。
【0043】
装置の「空圧ワーク」:空圧的に起動されるバルブ、ポンプ、ダイアフラムおよび装置の液圧を駆動し制御するのに有用な相互接続回路およびマニホルドのネットワークまたは複数のネットワークを含む。カートリッジ装置の空圧ワークはホスト機器上の正および負の圧力源、およびバルブ、ダイアフラム、ポンプ、および液圧ワーク中の液体を制御し駆動する他の空圧的に起動される要素に連結する。
【0044】
装置の「マイクロ流体ワーク(microfluidic work)」:アッセイの過程において濡らされた内部チャンネルおよびチャンバーのネットワークまたは複数のネットワークから形成される液圧ワーク、および、ホスト機器上の正および負の圧力源によって動かされる回路を駆動するバルブ制御およびポンプから形成される空圧ワークを含む。
【0045】
マイクロ流体ワークは、マイクロ流体サブ回路に分割することができ、各サブ回路は液体試料または試薬に特定の機能を実行するためのチャンネルおよびチャンバーを含む。マイクロ流体サブ回路は直列のサブ回路(核酸目標または複数の目標の抽出、増幅および検出など)および試料の分割によって単一試料上の複数の目標の同時アッセイなどのための並列のサブ回路およびネットワークに編成することができる。
【0046】
「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「上へ(up)」、「下へ(down)」、「上部(above)」、「下部(below)」、「上方へ(upward)」、「下方へ(downward)」、「優れた(superior to)」、「床(floor)」、「天井(roof)」、等は、交差する配管線に直交する「基面(ground plane)」などの特定の参照枠が参照されない限り、相対位置を示すもので絶対位置ではない。
【0047】
「濡れ」(wet out)はカートリッジの液圧ワークの内部のプラスチック表面の初期水和を指す。界面張力効果のため、初期濡れは大きなエネルギー障壁の克服を含み、これらの装置における毛管流れに対する抵抗の主要要因である。
【0048】
「目標アナライト」:または「対象アナライト」または「目標分子」は、核酸、プロテイン、抗原、抗体、炭水化物、細胞成分、リピド、リセプタリガンド、薬品などの小さな分子等を含むことができる。目標核酸は、遺伝子、遺伝子の一部、遺伝子の規則的配列、mRNA、rRNA、tRNA、siRNA、cDNAを含み、単一ストランド、二重ストランド、三重ストランドとすることができる。いくつかの核酸目標は多形性、単一ヌクレオチド多形性、対立性変異体などの欠失および交互分割順序を有する。複数の目標ドメインは単一分子中に存在することができ、例えば免疫原は複数の抗原決定子を含むことができる。抗体は変動領域、不変領域、および抗体の不動化に有用なFc領域を含む。目標アナライトは製造されたカートリッジには一般に提供されないが、アッセイされる液体試料中に含まれ、対照的に、典型的に「対照アナライト」がカートリッジに提供され、または特定の型の試料中に定常的に存在し、アッセイの適切な実行を確保するためにアッセイされる。当分野において周知のように、スパイクされた試料をいくつかの品質管理試験および較正のために用いることができる。
【0049】
「増幅手段」:その祖父時代の技術はポリメラーゼ連鎖反応(PCRと呼ばれる)であり、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、第4,800,159号、Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Md.1989)およびInnisら(“PCR Protocols”,Academic Press,Inc,San Diego Calif.,1990)に詳細が記載される。ポリメラーゼ連鎖反応の方法論は熱サイクルを必要とし、当分野に周知である。簡単に言えば、PCRにおいて、目標配列の反対の相補ストランド上の領域に相補的である2つのプライマー配列が調製される。過剰のデオキシヌクレオシドトリフォスファートがDNAポリメラーゼ、例えばTaqポリメラーゼと一緒に反応混合物に加えられる。目標配列が試料中に存在する場合、プライマーは目標に結合し、ポリメラーゼはヌクレオチドに添加することによってプライマーをマーカー配列に沿って伸長させるであろう。反応混合物の温度を上下することによって、伸長したプライマーはテンプレートから解離して反応生成物を形成し、過剰のプライマーはテンプレートおよび反応生成物に結合し、反応は繰り返される。蛍光挿入剤を加えることによって、PCR生成物は実時間で検出することができる。
【0050】
他の増幅実験記録はLAMP(DNAのループ介在等温増幅)逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、リガーゼ連鎖反応(「LCR」)、転写に基づく増幅システム(TAS)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)を含み、「回転サークル(Rolling Circle)」、「RACE」および「片側PCR」(「非対称PCR」とも称される)も用いることができ、検出可能なプローブに対するストランド相補性が過剰に合成される利点を有する。
【0051】
これらのさまざまな非PCR増幅の実験報告は診断アッセイにおいてさまざまな利点を有するが、PCRは分子生物学研究所および臨床診断において働き馬に留まる。マイクロ流体PCRについて本明細書に開示された実施形態は、1つ以上のさまざまな増幅実験方向を実施することの可能な一般的なマイクロ流体装置の代表および例であると考えられる。
【0052】
典型的に、核酸増幅または伸長は、増幅反応を実行するための反応成分を含む「マスター混合物」と異なる配列を有することのできる1つ以上の目標核酸を混合し、この反応混合物を目標核酸の増幅を可能にする温度条件に露出することを含む。マスター混合物中の反応成分は反応混合物のpHを制御することのできる緩衝剤、核酸の合成に必要なエネルギーとヌクレオシドを提供する1つ以上の天然ヌクレオチド(しばしば等しい濃度で存在するA、C、G、およびTまたはUに相当)、核酸合成の開始を促進するためにテンプレートに結合するプライマーまたは対のプライマー、および合成されている相補核酸ストランドにヌクレオチドを加えるポリメラーゼを含むことができる。しかし、増幅のための手段は、核酸目標を検出する助けとして、Prudentの米国特許第7,514,212号、およびMarshallの米国特許第7,517,651号、および第7,541,147号などに説明された改質された、または「非標準的な」または「非天然」ベースの使用を含む。
【0053】
本明細書中に用いられる「検出のための手段」:終点、すなわち、アッセイの結果を表示するための装置を指し、品質的または量的とすることができ、分光光度計、蛍光計、照度計、光電子増倍管、光ダイオード、比濁度計、光子カウンタ、電圧計、電流計、pH計、容量センサ、無線周波数送信機、磁性抵抗計、またはホール効果装置を装備する機械を含むことができる。カバープレート中の拡大レンズ、光学フィルタ、着色流体および標識プローブを用いて検出およびアッセイ結果の説明に用いることができる。「標識」または「タグ」は、発色団および蛍光色素分子、および従来技術に知られた化学発光などの染料を含むが、制限されない。磁性ビーズ上に修飾され、ZnSでコートされたCdSeなどのQDots、およびQDotsのアマルガム化および常磁性Feマイクロ粒子は、本発明のアッセイの感度を改善する便利な方法である。また、検出終点消光蛍光も論じられる。また、酵素に連携する免疫測定に伴うさまざまな基質および生成物の発色団は当分野において周知であり、例えば「アップコンバートする」蛍光色素分子など、アッセイの感度を改善するために、検出信号の増幅のための手段を提供する。
【0054】
「分子ビーコン」:は、溶液中に特定の核酸の存在を報告するように設計された単一ストランドのヘアピン形状オリゴヌクレオチドプローブである。分子ビーコンは、ステム、ヘアピンループ、終点標識蛍光色素分子、および対向終点標識消光剤の4つの成分からなる。ヘアピン状のビーコンが目標に結合しないとき、蛍光色素分子および消光剤は互いに近接して位置し、蛍光は抑圧される。相補的な目標ヌクレオチド配列の存在において、ビーコンのステムが開いて目標に混成される。これは蛍光色素分子と消光剤を分離し、蛍光色素分子の蛍光を発光させる。替りに、分子ビーコンは終点標識ドナーの近くで発光する蛍光色素分子を含む。「波長移動分子ビーコン」は、蛍光色素分子がより強く発光可能にする追加のハーベスタ蛍光色素分子を組み込む。分子ビーコンの現在の概説はWang Kら、2009、DNAの分子技術:分子ビーコンを含む。Angew Chem Int Ed Engl、48(5):856〜870、Cissell KAら、2009、Resonance energy transfer methods of RNA detection、Anal Bioanal Chem 393(1):125〜35、およびLi Yら、2008、Molecular Beacons:an optimal mutifunctional biological probe、Biochem Biophys Res Comm373(4):457〜61。最近の進歩は、Cady NC、2009、Quantum dot molecular beacons for DNA detection。Methods Mol Biol 554:367〜79を含む。
【0055】
蛍光核酸アッセイは標識付きプライマーの増幅およびプローブに基づく検出化学を含む。蛍光生成物はアッセイの終りに、または実時間で増幅された生成物の量を測定することによってアッセイすることができる。制限するものではないが、中でも、3’消光剤構造による5’レポーター染料の置換とポリメラーゼ媒介加水分解に依存するTaqMan Probe(Applied Biosystem)、FRET混成プローブ、二重オリゴFRETに基づくプローブ(Roche)、マイナーグルーブバインダー共役混成プローブ(MGBプローブ、Applied Biosystems),Eclipseプローブ、Locked NA プローブ(Exiqon/Roche)、Amplifluor primer chemistries、Scorpions primer chemistries、LUX primers、Qzyme primers、RT−PCR、は全て本発明に適している。蛍光プローブは、Syber Green(登録商標)(Molecular Probes)、臭化エチジウム、またはチアゾールオレンジ、FRETプローブ、TaqManプローブ(登録商標)(Roche Molecular Systems)、分子ビーコンプローブ、Black Hole Quencher(商標)(Biosearch Technology)、MGB−Eclipse(登録商標)プローブ(Nanogen)、Scorpion(商標)(DxS Ltd)プローブ、LUX(商標)プライマープローブ(Invitrogen)、Sunrise(商標)プローブ(Oncor)、MGB−Pleiades(nanogen)等の挿入プローブを含む。プローブ技術における最近の進歩は、例えば、Lukhtanov EAら、2007、低い背景と高い混成励起蛍光を有するNovel DNAプローブ、Nucl Acids Res35:e30に概説される。逆転写はRNA目標の解析に用いられ、別のステップでcDNAを形成する必要がある。最近の進歩は、Krasnoperov LNら、[2010、Luminescent probes for ultrasensitive detection of nucleic acids、Bioconjug Chem 2010 Jan19 epub]を含む。
【0056】
化学染料に加えて、プローブはグリーン蛍光プロテイン、量子ドット、およびナノドットを含み、これらは全て蛍光である。核酸や抗体などの分子、およびアッセイ目標に親和性を有する他の分子は蛍光色素分子で標識を付けて本発明の蛍光アッセイに有用なプローブを形成することができる。
【0057】
「FRET」(蛍光共鳴エネルギー移動)は、分子相互作用の研究を可能にする蛍光技術である。それは、2つの分子が混成の時のように近接する時、1つの蛍光色素分子から他の蛍光色素分子へのエネルギーの移動に依存する(すなわち、ドナーおよび消光剤)。最近の進歩はCarmona AKら、2009、The use of fluorescence resonance energy transfer(FRET)peptides for measurement of clinically important proteolytic enzymes、Ann Acad Bras Cienc81(3):381〜92を含む。
【0058】
文脈が要求しない限り、以下の明細書および請求項を通して、用語「含む(comprise)」、および「含む(comprises)」や「含む(comprising)」など、その変形は開放され、包含、すなわち「含むが制限しない」の意味に解釈される。この明細書を通して、「一つの実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「一つの態様(one aspect)」または「態様(an aspect)」の参照は、実施形態または態様に関して説明される特定の特徴、構造または特性が、必ずしも本発明の全ての実施形態ではなく、1つの実施形態を含むことができることを意味する。さらに、本明細書に開示される本発明の特徴、構造、特性は適切に1つ以上の実施形態に任意に組み合わせることができる。「従来の(conventional)」は、本発明が関係する従来技術に既知であることを指す用語である。「約(about)」、および「一般に(generally)は不正確さの広い表現であり、「多かれ少なかれ(more or less)」、「概略(approximately)」、または「だいたい(just about)」の意味で「ほとんど(almost)」である状態を説明するもので、変形は、無意味な、明らかな、または等しく有用な、または等しい機能であり、標準、規準、または制限に対して明らかに僅かな例外の存在をさらに示す。
【0059】
図面の説明
図面に戻って、図1Aおよび1Bは本発明の廃棄可能な、単一使用の、サンプル−回答型のマイクロ流体カートリッジの2つの透視図を示し、カートリッジはアッセイのための全ての試薬を含み生物試料の導入だけを必要とする。この代表的実施形態において、カートリッジ100は取り扱いにおける利便性のためにカバープレート103を備える保護架台または本体102を含む。カバープレートは試料添加のための入口ポート104を含み収容する。カートリッジの突出ノーズ105はホスト機器のドッキングベイ中に挿入される(図2)。カートリッジ本体の突出ノーズは、それを制限しないが、ホスト機器に挿入されるとき、目標の反射照明および蛍光検出のためにドッキングベイの裏面ミラーに整列した光学窓切り欠き101を含む。また、カートリッジの下側には、マイクロ流体カートリッジのゾーンを加熱するための熱伝導部110、およびカートリッジをドッキングベイ中にホスト機器の空圧制御インターフェースに封止して着座させる廃棄可能なガスケット111がある。カートリッジ本体は図16に示すようにマイクロ流体カードを含むことができるが、マイクロ流体の仕事は場合によってカートリッジ本体に一体化することができる。
【0060】
図2はホスト機器200のドッキングベイ201へのアッセイカートリッジ100の可逆的挿入(二重矢印)を示す。アッセイの実行は示されるように一般にオペレーターインターフェースで制御される。光学窓101はホスト機器の架台202内部の検出装置に整列する。
【0061】
図3Aはホスト機器の機構中に挿入されたカートリッジの詳細図である。傾斜した搭載プレート300は機構(およびカートリッジ)を固定角度θ(図7B参照)で傾斜させるのに用いられ、これは初期濡れの間の空気および気泡混入の排気に役立つ。ホスト機器は、軌道に搭載された走査検出ヘッド303およびカートリッジの光学窓101に連結するためのモーター付きクランプ機構304を備える光学組み立て体を含む。光学組み立て体およびドッキングベイは傾斜した搭載プレートにボルト締めされた浮遊台の部分として搭載されるが、カートリッジが熱制御モジュール310および空圧連結ポート330にクランプできるように、図3Bに示されるように懸垂搭載される。ホスト機器、ドッキングベイ、および光学パッケージのさらなる説明は、「PORTABLE HIGH GAIN FLUORESENCE DETECTION SYSTEM」の名称の同時係属国際特許出願公開第WO2010/088514号に提供され、その全てを参照して本願に組み込まれている。
【0062】
熱制御モジュール310および10個の空圧ポートを備える空圧制御インターフェース330は傾斜した搭載プレート300の部分図を含む図3Bにより詳細に示される。カートリッジの下側(熱伝導部として熱伝導性ポリマーの薄い層で封止される)は、第1、第2、第3および第4「ゾーン」の加熱要素(311、312、313、314)の上部表面に接触する。冷却のためにファン315が提供される。第1加熱要素の上部面にはミラー面320が設けられ、ドッキングベイに整列されるとき、カートリッジの光学窓101を通ってホスト機器の光学系と一緒に透過照明および反射光および/または蛍光発光を混入するために運転する。
【0063】
図4は、脆い液体貯蔵器中の基板上(on−board)の液体試薬を備える廃棄可能なマイクロ流体カートリッジ100の展開図である。各試薬貯蔵器は液体試薬を運ぶ二層の二重ダイアフラムパックである。カートリッジ架台は筺体内の分離した井戸426中の試薬貯蔵器(421、422、423、424)を支持する。本明細書に示されるカートリッジはPCR用に設計されたカートリッジであり、4つの液体試薬を含む。カートリッジ架台102の前方ノーズ105上の光学窓切り欠き101が再び図示される。また、カバープレート103の下部の架台の内部にはアッセイ中に発生した液体廃棄物を隔離するための吸収パッド430がある。カートリッジ100は廃棄可能であり生物危害廃棄物の損失を防ぐために封止される。装置のカバー蓋103上の試料入口104は装置において単独の外部からアクセス可能な流体ポートである。全ての試薬(あらゆる乾燥試薬およびあらゆる液体試薬または再水和流体)は装置の構造内に提供される。
【0064】
カートリッジ架台の下側に、マイクロ流体ワークを含む2つの「カード」、「基板外カード(outboard card)」410および「基板内カード(inboard card)」400が提供される。これらのカードは積層および/または成型層から作られ、PCRアッセイ用に設計された液圧および空圧ネットワークを含む。これらは一般に可撓性でありポリエチレンテレフタラートおよびポリカーボナートなどのプラスチックから作られるが、それに制限されない。ディスク409は試料から核酸の抽出に用いられるガラス固相吸収剤である。シールパッチ425は固相ディスク409の装着後に基板外カードの液圧ワークを封止するために必要である。
【0065】
基板外カード410は、液体試薬貯蔵器421、422、423、424および固相吸収ディスク409と一緒に仕事をする流体回路を含み、図5Bに示される実験計画によって核酸を抽出する。基板内カード400は2つのカード400および410の間の流体連結(カード接合を形成するための重なり合う舌411a/411b)を経由して精製された核酸を受容し、カードに埋設されたマイクロ流体の液圧ネットワーク内で増幅および検出を行う。基板内カードは、カード本体内に封入された検出チャンバーの頂部および底部を封止する検出窓101aを形成する薄い表面フィルムを含む。これらのチャンバーは50μL未満の流体を含み、図3Bの加熱ブロックと接触することによって加熱される。ガスケット111はカードの舌411bの基板内カードの下部表面に対して空圧制御インターフェースを封止するために提供され、マイクロ流体装置内のホスト機器の空圧分配マニホルドに接続し展延する。
【0066】
図5Aは、カートリッジ架台および液体試薬貯蔵器と連結して生物試料から核酸目標を抽出する基板外カード411の透視図であり、図5Bは抽出プロセスの概要図である。Boom法(米国特許第5,234,809号)に基づく抽出プロセスにおいて、試料は最初にカオトロピック剤と界面活性剤の混合物からなる溶解緩衝剤と混合され、固相吸収剤409と接触する。廃棄物に運ばれる複数の洗浄緩衝剤の分別で洗浄の後、吸収された核酸501は希釈した緩衝剤溶液で溶離され、舌411aの下部の流体連絡ポートシステムを通って基板内カード400上の輸送マニホルドに運ばれる(白抜き矢印、図7Aへ)。この輸送マニホルドの液体内容物は以下に説明するように核酸増幅のために用いられる。抽出の各ステップにおいて、液体試薬が必要である。各液体試薬は液体中心を備える二層箔ダイアフラム中に保存され、液体は、二層ダイアフラムを針に対して動かし、ダイアフラムの下部層(だけ)を破裂させ、カードの液圧ワーク中に液体を駆動する空圧アクチュエータの制御下で放出される。このプロセスは図6A〜6Gに示される。
【0067】
図6A〜6Gは、貯蔵器の下部に配設された液体試薬中心601および「針」610または「とげ」を有する二層(すなわち2つの層)ダイアフラム(層602、603)から形成された試薬貯蔵ポーチ600のさまざまな図を提供し、井戸426で形成され、封止された内部チャンバー615中で、針の先端は2つのダイアフラム層603a/603bの下部に対向して上方に向く。液体内容物を破裂させてマイクロ流体カートリッジまたはカードの液圧ワーク中に放出する針部材610が形成される。
【0068】
図6Aは液体中心を閉じ込める2つのダイアフラム層からなる流体充填されたポーチまたは貯蔵器を示す。2つの層は図6Bおよび6Cのポーチを通る断面で示される。層602と603は液体中心601を閉じ込める。2つの層は縁部604で封止される。ポリエステルおよび他のプラスチック層で被覆された箔がダイアフラム層602、603を形成するのに用いられる。頂部層602は一般に強靭であり、可撓性で破裂に抵抗する。対照的に、底部層603は針610によって破裂され、ここでは尺度なしに示された試薬出口チャンネル611(図6D)を経由してその内容物をカートリッジのマイクロ流体ワーク中に放出するように設計される。図6Bは、封止された縁部604aを備える液体中心601aを閉じ込める、ダイアフラム層602aおよび603aによる両凸状貯蔵器を示し、図6Cは、封止された縁部604bを備える液体中心601bを閉じ込める、ダイアフラム層602bおよび603bによる平凸状貯蔵器を示し、各々組み立ておよび使用において特に有利である。
【0069】
図6Dにおいて、試薬貯蔵器は、カートリッジ筺体の試薬チャンバー615中の液体中心601を閉じ込める二重ダイアフラムとして搭載されて示される。リップシール605は液圧ワーク612から空圧ワーク606を分離する。これに制限されるものではないが、リップシール605はUV活性化接着剤による接着または当分野で既知の他の封止方法によって形成することができる。空圧制御ポート607を通る空気によって加圧されるとき、二重ダイアフラム組み立て体(600)の下部表面は、底部フィルム層603は破裂するが頂部フィルム層602は破裂しないように、針610に向かって押される(図6B〜6C)。このようにして、機構は微小寸法の空圧ダイアフラム起動液体分配器になる。驚くべきことに、液体中心が穿孔されると、連続的な空圧パルスを用いて出口チャンネル611を通って連続的なマイクロリットルの液体容積を液圧ワーク中に動かすことができる。試薬出口チャンネル611は、濡れ、混合、溶離等に依存するアッセイ反応に関わる液圧ネットワークのチャンネルおよびチャンバーに流体連絡する。プラスチックカバー層616および617は、チャンバー615を封止する。
【0070】
図6E〜6Gは、下部フィルム層602の破裂が針の輪郭の周りを自動封止しないように設計された針部材610の詳細図を提供する。図6Eは正面立面図であり、図6Fは側部立面図であり、図6GはCAD描画の等角図である。示された正確な形状および詳細寸法に制限されないが、針は二等分された円錐620、またはとげ先端621を有する円錐の視野角錐体、突出する凸状第2ファセット623の成型された追加によって修正される平坦な第1面622、および出口チャンネル611の口を形成する窪んだ凹状の第3ファセット624として形成される。針の突出する先端中に繊細に成型された窪み(窪んだ第3ファセット624)は、特に第2ファセット623の雄の凸状と組み合わせて、ダイアフラム603中の破裂を閉じるフィルム層の傾向を乱し、したがって、液体中心ダイアフラムを穿孔し排出するために形成された本質的に空圧的に起動された「栓」としての運転を確実にする。栓は開放を維持し、流体は制御されたポート607を経由して加えられた空圧圧力に応答して自由に流れる。パン625は貯蔵器の流体を出口チャンネル611に排出するのを助ける。
【0071】
多くの実験の後、破られた円錐のとげ先端621が0.004〜0.0045インチの半径にされる時、針の穿孔動作は最も有利に効果的であることが見出され、この特徴のための好ましい半径は0.004インチ(インチの千分の4インチ)である。比較によってこの範囲外の針が効率的であるとは見出されなかった。場合によって、本発明のマイクロ流体カートリッジは試薬貯蔵器を穿孔するための針を有し、針が円錐の視野角錐体部分であり、円錐は二重ダイアフラムの破裂感受性のある層を選択的に穿孔するための先端を備えて形成され、先端は0.0040〜0.0045インチの半径の切断点を有することを特徴とすることができる。
【0072】
円錐の視野角錐体部分には平坦な第1ファセット、平坦な第1ファセット上に形成された凸状第2ファセット、および凹状第2ファセット上に形成された凹状第3ファセットが設けられ、凹状第3ファセットは、そこから下がって放出された液体を液圧ワーク中に排出する流体出口の口を形成する。
【0073】
液体中心を備える試薬貯蔵器の好ましい実施形態において、二重層ダイアフラムの第1層は破裂抵抗性があり、針に近い第2層は破裂に感受性がある。第1層は破裂抵抗性があるように構成された外側のナイロンフィルムで積層されたポリマーとすることができ、第2層は破裂に感受性のある外側のポリエチレンテレフタラートフィルムで積層されたポリマーとすることができる。また、適切なポリマー層は、サンドイッチされた金属化層を含むことができ、例えばTechnipaq Inc(Crystal Lake、IL)からポリエチレン/金属/ポリマー裏打サンドイッチ三層構造で積層されて入手可能である。流体ポーチの2つのダイアフラム部材の間の向かい合わせ可能なポリエチレンフィルムは熱封止を可能にするために有用である。UV活性化接着剤はカートリッジ筺体にダイアフラムを組み立てるためのシールまたはガスケットを形成するのに用いることができる。
【0074】
図7Aおよび7Bは、ホスト機器に搭載される際に傾斜された基板内マイクロ流体カード400を示す。図7Bに詳細が示されるように、カードはその側部が約15度(θ)に傾けられ、カードに含まれた3つの検出チャンバーを通した断面図である。カードの傾きは、カード中の空気が濡れおよび充填中に1つ以上の排気ポートに浮力で導かれるように構成され、発生したいかなる気泡もカードの上流のチャンネルおよびチャンバーに混入され、カードの加熱されたゾーンおよび検出チャンバーへ入るのを制限される。図5Bの核酸溶離運転からの流体501は図示されたように基板内カードに入り、以下の図に説明されるマイクロ流体チャンネルおよびチャンバーのネットワーク中に径路を辿る。10〜35度の傾斜は気泡混入による妨害を低減するのに有用であり、アッセイ中その上にマイクロ流体カードまたはカートリッジが支持される傾斜した台に適応するようにホスト機器を構成することによって、自動アッセイシステム用に実施することができることが見出された。また、重要な通路から気泡をさらに隔離するために振動補助を提供することもできる。また、これらの特徴は初期濡れの間の空気の除去を助け、したがって、気泡形成のために入手可能な空気全体を低減する。
【0075】
図8Aおよび8Bはマイクロ流体カード400内でPCRを実行するためのチャンネルおよびチャンバーのネットワーク800の虫瞰図である。図はマイクロ流体サブ回路を形成する内部の濡れ可能な表面の外観を描くが、チャンネルおよびチャンバーの深さは明瞭さのために誇張されている。3つのチャンネルa、b、cが描かれる図8Aに示すように、溶離501(試料のいずれかの核酸を含む)はビア801を通ってカード中に運ばれ、3チャンバーの輸送マニホルド802’に入るが、この目的は、流体を3つの下流チャンネルに等しく分割し、内部プラスチック表面の初期濡れの間に気泡の混入を避けながら、流体を下流チャンバー804および805中にゆっくり均一に出現させることである。最初バルブ811は閉じられている。図8Bの機構は単一チャンネルを描く。
【0076】
最初に複数のチャンネル間に液体容積501を分割するのは、不均一な濡れのため問題であることが見出されたが、複数の増幅またはアッセイが並列に実行できるために望ましい。充填プロセスの最初の段階の間に、液体501は圧力下で、3つのチャンバーのマニホルド802’に入る。チャンバー802a、802b、802cの各々は連結する空圧チャンバー(すなわち、ダイアフラムによって分離された2つの空洞の積み重ね中の排気された上部空洞)から流体内容を分離し、充填中に受動的に拡大する弾性ダイアフラムによって水平に二分される(図9I〜9L、900参照)。このステップ中に圧力は複数のチャンネル間で等しくされる。充填中に、ダイアフラム下部の空気は排気口803を通って退出し、衛生状の特徴として、濡れた時に封止する気体透過性で液体不透過性のフィルタメンブレンを含む。連続的な加圧は、開放バルブ811(および全ての下流バルブ)によって放出されるとき、加圧された液体が均一に3つの(またはそれ以上)の並列チャンネル中に流れるように、復帰可能なバネ力またはチャンバー802の充填中に膨張した弾性ダイアフラム900によって実行される圧力によって動かされる際に、チャンバー802中のダイアフラムを膨らませる。復帰可能な圧力は正確に制御および制限でき、ダイアフラムのバネ定数の関数であり、弾性ダイアフラムの排除容積は正確に制御できるので、下流チャンネルの濡れまたは「呼び水」の程度はピペットを容積測定的に充填するようにして正確に較正することができ、これは当分野における明らかな進歩である。弾性ダイアフラムはダイアフラム材料としてポリウレタン、ポリビニリデンクロリド、および/またはポリエステルで達成された。それらの材料の1つはSaranex(商標)(Dow Chemical)であり、これは複合薄膜としてポリオレフィン層の間にサンドイッチされたポリビニリデンクロリドの押し出しシートである。他の材料を用いることもできる。
【0077】
したがって、有利に、各チャンバー802の受動的に拡大するダイアフラム900(図9A〜9L)は気泡の混入なしに、1つ以上の並列の下流チャンネル中に流体を分配するためのエネルギー保存装置になる。下流の容積を知ることによって、各並列チャンネルが容積測定ピペットのように目標まで充填され、充填容積は一般に各分岐の検出チャンバー806および最終バルブ構造812で不足するようになるが、チャンバー804および805を十分に濡らすように、拡大したダイアフラム中のエネルギーを調節することができる。濡れの間に、全ての下流構造は終端排気口807を経由して絶え間なく前進するメニスカスの前方の空気が清浄化され、望むならば、排気口803のために図示したように、疎水性の液体不浸透性で気体透過性のメンブレンで蓋をすることによって、衛生状態下で運転することができる。ダイアフラムの弛緩中の液体の流れは過剰の空圧圧力によって動かされず、毛管流れに依存せず、有限であるので、メニスカスの前進は段階的および規則的であり、その航跡中の空気ポケットの混入を制限する。これは当分野における技術的進歩であり、気泡の混入なしに並列の下流ネットワークの正確な充填を可能にする。方法はカードの傾斜およびチャンネルおよびチャンバーの接合部から角部の半径を除去することによって(しばしば、濡れに抵抗することのある表面張力の局部的増加に伴う)促進される。
【0078】
この方法のさらなる改善において、チャンバー804および805に内部ダイアフラムが設けられる。チャンバー802の受動的可撓性ダイアフラムとは異なり、チャンバー804および805のダイアフラムの空圧面は大気に排気されず、圧力マニホルドから供給される正の空圧圧力または負の空圧圧力によって駆動することができ、したがってポンプとして働く。充填サイクル中に、チャンバーのデッド容積を低減または除去するために、ダイアフラムは下方向に「テントを張る」または「膨らませて」下部液圧チャンバーの容積を占拠する。チャンバーの外側底部縁部上のこれらのダイアフラムを漏れ出た液体はチャンバーを完全に濡らし、あらゆる残留空気を追い払う。次いでバルブ812を閉じて放出されると、液体は上流から吸引されてチャンバーを充填し容積を埋める。
【0079】
この方法のさらなる改善において、乾燥試薬はチャンバー804および805に配置され、アッセイの本質に関する乾燥試薬の本質が実行される。試薬は一般にチャンバーの中心近くに点在する。初期濡れの間に、ダイアフラムは完全に下方向にテントを張って下部液圧チャンバーの容積を占拠し、その中のデッド容積を低減し、保護被覆してチャンバーの残留デッド容積が濡れる際に乾燥試薬点が溶解および流出するのを保護する。バルブ812が閉じられ、ダイアフラムを横断する圧力差を逆転することによってチャンバーが液体で満たされた後、試薬は急速かつ最高強度で溶解する。
【0080】
乾燥試薬の位置は図8Bに記される。見ることができるように、特定の機能を有する乾燥試薬は、指定されたチャンバーに配置される。乾燥試薬点821は、例えば、有利に目標テンプレートの存在で混合および変性されるマスター混合物およびプライマーを含む。このチャンバー804はテンプレート核酸の変性に十分な温度で加熱されるのが好ましい。チャンバー805は、例えば、乾燥ポリメラーゼ822を含み、プライマーおよび目標のアニールおよびポリマー化の開始に適した温度である。検出チャンバー806において、乾燥試薬点820は、例えば、増幅中に生成したアンプリコンの検出に用いられる「分子ビーコン」または挿入染料などのプローブを含む。検出チャンバー806は薄膜光学窓によって「頂部」および「底部」で接合され、増幅された目標の蛍光計検出のために反射して透過照明される。また、協働して、底部の薄膜層は図3Bに示したミラー面の加熱要素からの熱を伝達するのに効果的であり、アッセイ中にカードが連結し、したがって、以下に説明するように熱溶融曲線によるアッセイに有用な「熱光学窓」と呼ばれる。
【0081】
図8Cおよび8Dは代替のPCR用カートリッジ830を示す。このカートリッジにおいて、試料入口831で圧力下にカートリッジに入る試料501は三又833で分割され、疎水性排気口834で独立に排気される3つのチャンバー832a、832b、832cの各々を充填する。各チャンバー832は弾性空圧液圧ダイアフラムを含み、充填中に膨張する時、チャンバー中に含まれる液体容積に圧力を加える。チャンバーは上流ポンプから一連の加圧された容積を射出することによって充填することができる。分配マニホルドの3つの分岐中への流体流れは必ずしも等しく分割されず、輸送マニホルドが平衡化するので各チャンバー(832a、832b、832c)の容積および圧力は等圧になる。充填プロセス中、下流バルブ835は閉じられる。
【0082】
輸送マニホルド836の加圧が完了して平衡化された後、バルブ835は開かれて、受動的に液体内容物を増幅チャンバー837および838中に動かし(urge)ながら、チャンバー832の弾性ダイアフラムは弛緩できる。このプロセスの間、チャンバー837および838のダイアフラム要素は膨らんで、ヘッド空間が除去され、チャンバー中のいかなる乾燥試薬も前進するメニスカスによる流出が保護されるように、下部液圧チャンバーを占拠する。PCR増幅は図8Aおよび8Bに示すように実行される。下流のバルブ839は開かれて、バルブ835を閉じながらチャンバー837および838の両方のダイアフラムを加圧することによって、前チャンバー840を通してあらゆる増幅生成物を検出チャンバー846に運ぶ。いかなる空気も端末排気口847から排出される。前チャンバー中に印刷されまたは点在する乾燥プローブ841は検出チャンバーに射出される前にアンプリコンに溶解および混合されるのが有利であり、これは検出チャンバーに結合する熱光学窓の透過度を改善し、分子ビーコンまたはFRETプローブとして有用ないくつかの染料の自動蛍光を低減または防止する。図7に示したように、傾斜角度θでカードを運転することによって、空気は検出チャンバー上に配設された排気ポートに有利に追放される。
【0083】
図8Dに見ることができるように、検出チャンバー846、および増幅チャンバー837および838の入口、出口、および排気ポートは非対称的に配置される。カートリッジまたはカードがホスト機器の傾いた台上に傾斜されるとき(図3Aおよび7B参照)、増幅チャンバー間の連絡ポート(842、843)および検出チャンバーに付属する端末排気ポート(848)はチャンバー自体に対して上昇され、いかなる幾何形状の表面張力効果も克服するような輪郭にされる。したがって、システム中の空気は濡れの間に、最初にチャンバーの低い側を充填する前進する液体によってシステムから追い出されるのが好ましく、PCR中に液体の脱気に伴う加熱によって発生したあらゆる気泡は熱伝導を妨害しないように増幅チャンバー間で混入され、検出チャンバーに入らないことが好ましい。
【0084】
より多くの方法論の詳細において、図9A〜9Lは簡略化された時間的順序(chronology)および輸送マニホルドによる受動的初期濡れのステップまたは段階の概要を示す。前進するメニスカスを見ることができるように、断面および平面図が示される。最初の図、図9Aにおいて、輸送マニホルドチャンバー802中のダイアフラム900は上方に傾斜されて示され、左から開放バルブ910を通って入る液体試薬で膨れ、ダイアフラムの空圧面は905で大気に排気される。下流チャンバー903は乾燥し、バルブ911は閉じられる。試薬点905の初期乾燥状態は右側の図9Bの平面図に監視される。
【0085】
図9Cにおいて、バルブ910およびバルブ911の両方は閉じられ、バルブ912は排気のために開かれる。ダイアフラム900は加圧され、試薬点905の上にテントが張られる。チャンバー903のベースに接触するダイアフラムの接地面積は図9D中に点線902aで示される。
【0086】
図9Eにおいて、バルブ910は閉じられたままであり、バルブ911および912は開いている。図9Fの平面図に示すように、前進するメニスカスはチャンバー903に侵入を始める。
【0087】
図9Gにおいて、液体はチャンバー903を濡らし続け、ダイアフラムによって形成されたつぶれた天井の周りのチャンバーの周辺のあらゆるデッド容積を充填する。このプロセスは図9Iのスナップ写真で示される。チャンバー802の受動的に膨張したダイアフラム900の段階的収縮は左側の図9Gおよび9Iに低速度スナップ写真で示される。図9Kに、液体が輸送マニホルドチャンバー901から吸引され、チャンバー903を充填し乾燥試薬905を溶解するように、ダイアフラム902に加えられた圧力はバルブ910および912が閉じられる時、逆転できるのを見ることができる。完全な溶解は図9Lに図示される。このプロセス中に、空気は効率的に濡れた領域から追放され、最初にチャンバー903中のデッド空間の除去、次いでダイアフラム900の弛緩によって残留空気の段階的な除去、最終的に追放されたシステムの封止、およびチャンバー802の内容物をチャンバー903中に吸引して試薬溶液として溶解および定量的に混合される。下流のチャンバーを充填する液体の容積は、弾性ダイアフラム900およびチャンバー802の除去容積を設定することによって正確に制御することができ、受動的な下流流体濡れの速度は弾性ダイアフラム900のバネ定数を選択することによって制御される。
【0088】
図10A〜10CはPCR反応を呼び水する上記発明機構のさらに有利な使用を示し、核酸基質およびポリメラーゼの熱サイクルのための2つのゾーンを有するシステムが示される。全ての流体システムはカードまたはカートリッジ本体1000中に含まれる。輸送マニホルドチャンバー1001は大気に排気され、左側からバルブ1003を通って入る加圧された液体を保存可能な受動的弾性ダイアフラム1002を含む。図10Bに示すように、このダイアフラム1002は流体の進入の間に膨らみ、次いでバルブ1003が閉じられる。チャンバー1010および1020中のダイアフラム1011および1021は、それぞれ加圧されて乾燥試薬点1012および1022上に保護テントを張り、図10Bに示すようにチャンバーからデッド空間の空気を追い出す。下流バルブ1023および1033は追放された空気が端末排気口1034を経由してシステムから排気されるように、この段階で開く。図10Cにおいて、バルブ1004は開かれ、最初にチャンバーの呼び水に十分な量の液体がPCRを行う2つのチャンバーに入る。この順序は図10DからGに続く。流体は変性熱チャンバー1010を充填するのに十分な量が導入されるが、それ以上ではない。ダイアフラム1011への真空の印加はこのプロセスを助ける。図10Dは「熱」または「変性」チャンバー1010が真空下にあり、液体はチャンバーを充填するために吸引されたことを示す。あらゆる乾燥試薬1012が定量的に溶解され、核酸変性が十分になった後に、チャンバー1010の液体内容物は、試薬点1022の溶解の際にポリメラーゼ介在延長を開始できるように、プライマーのアニーリングに適した温度で第2チャンバー1020に移される。図10Eは、2つのダイアフラムの圧力差を逆転することによって熱チャンバーから「アニーリング」チャンバーへポンプ輸送された液体を示す。このプロセスは図10Fにおいて再び逆転され、1010(図3Bの加熱ブロック313に接触する)の熱ゾーンと1020(加熱ブロック312に接触する)のアニーリングゾーン間に液体を前後に動かす2つのダイアフラムの往復ポンプ輸送動作を示す。この往復空圧液圧動作は装置中の熱サイクルによる核酸増幅の基本である。図10Gに示すように、最終的に、あらゆるアンプリコンを有する流体は検出チャンバー中に注入される。本明細書に示される検出チャンバーには一対の光学窓1035が固定される。
【0089】
さらに複雑な構成において、例えば、PCR型増幅プロセスの前に、cDNAの逆転写酵素介在合成のための追加の温度ステーションおよび熱ブロック314(図3B)を備える付属の熱伝導部が用いられる。したがって、追加のチャンバーは有用であり、本発明の教示の論理的拡張によって、必要な変更を加えて、幾何形状および構成を変更することができる。濡れの間に、各チャンバーのダイアフラムは初期のデッド空間容積を低減するのに用いられる。続いて、ダイアフラム上に圧力差を加えることは、連続的なダイアフラム組み立て体およびバルブ要素を、装置の液圧ワークによる流体容積の液圧運動のためのポンプおよび混合要素として利用するために用いられる。逆転写装置の第1実施形態は図14A〜14Cに示され、以下でより詳細に説明される。
【0090】
図11〜13は上で説明した方法のステップを纏めたものである。図11は、試料から核酸を抽出する方法のステップを説明し、液体中心を備える二層二重ダイアフラムが試薬の分配のために用いられる。ホスト機器を開始した後、液体試料はマイクロ流体カートリッジ中に置かれ、カートリッジは機器のドッキングベイに挿入される。ホスト機器は実行されるアッセイの種類を指示するマイクロ流体カートリッジ上のバーコードを読み取る。液体試料は混合チャンバー中に吸引され、細胞溶解緩衝剤が分配されて液体試料と混合される。溶解緩衝剤を分配するために、針に対する空圧作動によって「液体中心ダイアフラム」が動かされ、ダイアフラムの下部層を破裂させ、液体をカード中にポンプ送入する。次いで、試料の溶解物はカードのチャンバー中に配置された固相核酸吸収剤と接触し、空になった試料溶解物は基板上廃棄物に導かれる。エタノール溶液は第2液体中心ダイアフラム部材から分配され、固相吸収剤からの汚染物を洗浄するのに用いられる。洗浄ステップは繰り返すことができる。洗浄物は基板上廃棄物に封鎖される。固相マトリックスは空気の流れの下で簡単に乾燥して残留溶媒を除去する。次いで、溶離緩衝剤が最終的な液体中心ダイアフラム貯蔵器から分配され、固相マトリックスに接触する。次いで、溶離された核酸501を有する溶離物は検出サブ回路中に入るために輸送マニホルドに移される。本明細書に提供される実施例において、PCR増幅による核酸アッセイは溶離物について行われる。本明細書の教示および図面から理解されるように、他の核酸増幅方法は当分野に置いて既知であり、本発明の装置のさまざまな成分を再構成することによって実施することができる。
【0091】
図12は、図6Dに示すように、液体中心601を有する二層二重ダイアフラムから分配される液体でチャンネルおよびチャンバーに液圧ワークの「呼び水」する(すなわち濡らして装填する)方法のステップを説明する。緩衝剤を含む試薬貯蔵器の破裂によって放出された溶離緩衝剤で核酸抽出物501を溶離した後、液体は固相吸収剤409に接触する時(図4)、吸収された核酸を効率的に採取するように振動させることができる。次いで、チャンバーを覆う弾性ダイアフラムが膨らみ、ポテンシャルエネルギーを保存するように、溶離物はマイクロ流体カードの輸送チャンバー中に圧力下でポンプ送入される。輸送チャンバー入口は封止され、輸送マニホルド全体の圧力は急速に平衡化される。次いで、各チャンネルへの下流バルブは開かれる。全ての下流の流体チャンネルおよびチャンバーはこの運転中に排気され、これは下流の濡れ可能な表面を濡らし、または呼び水するのに有用である。有利に、弾性ダイアフラムが弛緩すると、その保存されたエネルギーを放出し、ダイアフラムの弾性はゆっくり、しかししっかりと液体容積を下流チャンネルおよびチャンバー中に並列に等しく動かし、前進するメニスカスは気泡の混入なしにあらゆる残留空気を追い出す。当分野の進歩である。液体容積はこのようにして分岐する並列の流体通路中に分割される。
【0092】
図13は気泡混入または試薬流出なしに乾燥試薬を再水和する方法のステップを説明する。本発明のカートリッジの製造中に、乾燥試薬点は試薬チャンバーの中心に印刷される。試薬チャンバーは重なり合う加圧可能なダイアフラムで構成される。液体試料が加えられ、カートリッジはホスト機器のドッキングベイに挿入され、これはカートリッジの運転のための圧力およびバルブ命令を供給する。試料は最初に圧力下で未排気の輸送チャンバー中にポンプ送入され、これは輸送チャンバー中の液体を覆う弾性エネルギー保存ダイアフラムを膨らませる。前述の下流の試薬チャンバーは排気され、その中の加圧可能なダイアフラムは乾燥された試薬点の周囲および上部に一時的な保護封止を形成するために加圧される。次いで、輸送チャンバーの下流バルブが開かれ弾性ダイアフラムは弛緩し、ダイアフラムの回復の弾性エネルギーはゆっくり試料流体を下流の試薬チャンバー中に動かし、保護一時シールの周囲のあらゆる残留空気を追い出す。最終的に、加圧可能なダイアフラム上の圧力差は逆転または弛緩される。当分野における進歩である、試薬点が気泡の混入なしに試料流体中に最高強度で有利に溶解するように、試薬点を被覆せず液体の全容積を試薬チャンバー中に吸引する。
【0093】
図14Aおよび14Cは逆転写介在PCRのためのマイクロ流体チャンネルおよびチャンバーのネットワークの虫瞰図である。3つの並列チャンネルa、b、cを有する装置が示される。試料501は、例えば、3つ(またはそれ以上)の分離した複数のアッセイを並列に実行できるようにチャンネル間に分割される。前に示した実施形態とは異なり、ここでは試薬1220はダイアフラム起動チャンバーではなくチャンネル1205中に印刷される。しかし、図9で表現された受動的濡れの原理は維持される。上流のポンプによって呼び水された液体はエネルギー保存ダイアフラムの受動的弛緩によってチャンネル中に放出される。この原理は混入空気の制限および共通の輸送マニホルドから分岐する並列チャンネル中の流体の流れの釣り合いに効果的であり、各チャンネルには個別の受動的ダイアフラムが設けられる。この受動的に駆動される濡れ原理を用いる本明細書で実現される装置は、当分野における進歩であり、従来技術の毛管濡れおよび能動的な濡れ装置の両方の欠点を克服する。
【0094】
一実施形態において、図14Aおよび14Cは本発明の他のマイクロ流体カード内でrtPCRを実行するためのチャンネルおよびチャンバーのネットワーク1200を示す。この「虫瞰図」のチャンネルおよびチャンバーの深さは明瞭さのために誇張される。溶離物501(試料のあらゆる核酸を含む)はビア1201を通ってカード中に向けられ、流体相互接続する3チャンバーの輸送マニホルド1202に入り、その目的は流体を3つの下流流体通路に等しく分割するためであり、内部のプラスチック表面の初期濡れの間に気泡の混入を避けながら、下流バルブ1204、試薬チャンネル1205、バルブ1206を通ってチャンバー1207中に流体をゆっくり均一に動かすためである。バルブ1204は最初閉じられる。
【0095】
充填プロセスの第1段階の間、液体501は圧力下で多チャンバーのマニホルド1202に入る。各チャンバー1202は、チャンバー中の排気された上部空圧空洞から流体内容物を分離し、充填中に受動的に膨張する弾性ダイアフラムによって水平に二分される(図9、900参照)。充填中に、ダイアフラム下の空気は排気口1203を通って退出し、衛生上の特徴として、濡れた時に封止して圧力の増加を可能にする、ダイアフラムを膨張させる気体透過性で液体不透過性のフィルタメンブレンを含む。連続的な加圧は、バルブ1204(およびその下流の全てのバルブ)を開くことによって放出されるとき、弾性ダイアフラムによって発揮される回復可能な力によって動かされる際に、加圧された液体が3つ(またはそれ以上)の並列の下流チャンネル中に均一に流れるように、チャンバー1202中のダイアフラムを液体で膨らませる。回復可能な圧力は制御および制限することができ、ダイアフラムのバネ定数の関数である。弾性ダイアフラムの定量的変位は制御できるので、下流チャンネルの濡れ(または「呼び水」)の程度はピペットを定量的に目標まで充填する方法で較正される。試料を等しく分割する能力はマイクロ流体装置中で並列にアッセイを実行するのに有利であり、各チャンネル中の流れは等しい速度で進むことを保証しないので、毛管流および吸引または正の変位方法(注射器ポンプなど)によって試みる時問題であった。驚くべきことに、輸送マニホルド中に組み合わせたダイアフラムの受動的弛緩によって駆動される濡れの原理を用いて、複数の並列チャンネルについてこの問題は有利に解決される。
【0096】
チャンバー1207および1208には液圧チャンバーと空圧チャンバーの間を連結する内部ダイアフラムが固定される。しかし、チャンバー1202の受動的可撓性ダイアフラムとは異なり、チャンバー1207および1208のダイアフラム面は大気に排気されず、外部源から供給される正の空圧圧力または負の空圧圧力によって能動的に駆動でき、したがって、ポンプとして働く。充填サイクルの間に、チャンバーのあらゆるデッド容積を低減または除去するために、ダイアフラムは液圧空洞中に完全に膨張して下がる。チャンバーの外側底部縁のこれらのダイアフラムを漏れ出る液体はチャンバーを完全に濡らし、あらゆる残留空気を追い出す。ついで、バルブ1209を閉じた後にダイアフラムを放出すると、液体は吸引圧力下で上流から吸引され、液圧チャンバー1207の容積全体を充填し、空気はシステムから完全に排出された。
【0097】
変形において、空圧チャンバーの1つは大気に排気され、排気されないダイアフラムの動作に従属する。2つのチャンバーはバルブによって残りの回路要素から隔離される。活性ダイアフラムが正の圧力で脈動するとき、液体は隣接チャンバーに動かされる。活性ダイアフラムが負の圧力で脈動するとき、液体は隣接チャンバーから吸引される。場合によって、受動的ダイアフラムは弾性ダイアフラムとすることができる。
【0098】
この方法のさらに他の改善において、乾燥試薬はチャンバー1207および1208およびチャンネル1205中に配置される。試薬は一般に通路の呼吸が印刷ヘッドによってアクセス可能にする液圧チャンバーまたはチャンネルの床上に点在する。チャンネル1205中に点在する試薬1220は適切な緩衝剤中の逆転写酵素およびヌクレオチド基質を含む。典型的に、PCRマスターマトリックスおよび適切なプライマーはチャンバー1207中に試薬点1221として提供される。点1222は脱水されたTaq試薬点である。点1223は場合によって蛍光プローブなどの検出試薬を含む。複数の分離した点はロール式またはシート式プロセスで各チャンバーまたはチャンネルに印刷することができる。
【0099】
溶離物501中のRNA目標は一般に20〜45℃の温度で逆転写酵素の働きによってcDNAに変換される。この動作はチャンネル1205内で溶離緩衝剤中に実施され、バルブ1204および1206が乾燥試薬点1220を含む変更されたチャンネル部分1205によって分離される図14Bにより詳細に示される。試薬、例えば逆転写酵素は、特別に変更されたチャンネル部分を通過する試料中に溶解する。完全な酵素作用のための基質およびあらゆる共同因子も提供される。
【0100】
初期濡れの間に、チャンバー1207および1208中のダイアフラムは、その中のデッド容積を低減するように完全に液圧チャンバー中に膨張して下がり、ダイアフラムによって提供される被覆は、重なり合う乾燥試薬点または複数の点が濡れ中の早期溶解および流出するのを封止して保護する。排気口1211は一般に滑らかに前進するメニスカスとして侵入する流体によって追い出された空気を排気する。バルブ1209が閉じられチャンバー1207が液体によって充填された後、ダイアフラム上の逆転圧力によって(すなわち、液体をチャンバー中に吸引する)、バルブ1206も閉じられる。RNA目標からcDNAを形成する必要のなかった直接PCRプロセスについて本質的に図8で説明したように、点在するいかなる試薬も希釈なしに急速且つ最高強度で溶解する。したがって、装置の再構成は柔軟性があり、さまざまな分子アッセイプロセスに適合することができる。
【0101】
チャンバー1207はテンプレート核酸の変性に十分な温度で加熱されるのが好ましい。チャンバー1208は、例えば、乾燥ポリメラーゼ1222を含み、プライマーおよび目標のアニーリングおよびポリマー化の開始に適切な温度である。PCRの熱出発は、例えばチャンバー1208中のTaqポリメラーゼ試薬点1222の溶解によって開始される。次いで、2つのチャンバー1207および1208のダイアフラムに印加された交流圧力によって、流体はダイアフラムの往復空圧液圧動作によって変性からアニール条件に前後して動くことができ、増幅はこのプロセスにおいてアンプリコンを発生させるのに鎖伸長および増幅が好結果であることが見出された。検出チャンバー1210において、乾燥試薬点1223は、例えば、増幅中に生成されたあらゆるアンプリコンを検出するために用いられる「分子ビーコン」などのプローブを含む。前述のように、検出チャンバー1210は薄膜光学窓によって頂部および底部に接合され、増幅された目標の蛍光検出のために反射透過照明される。また、底部の薄膜層もアッセイ中にカードが連結する図3Bに示したミラー面加熱要素から協働して熱を伝導するのに効率的であり、したがって、「熱光学窓」と呼ぶことができ、以下に説明するように(図17、18A、18B)、熱溶融曲線によってアンプリコン識別をアッセイまたは確認するのに有用である。
【0102】
図14Dおよび14EはPCR用の代替カートリッジ1230を示す。このカートリッジにおいて、圧力下でカートリッジの試料入口1231に入る溶離物501は、三又1233で分割され、3つの各チャンバー1232a、1232b、1232cを充填し、疎水性排気口1234で独立に排気される。各チャンバー1232は弾性空圧液圧ダイアフラムを含み、これは拡大または膨張するとき、チャンバー中に含まれる液体容積上に圧力を加える。必要ならば、チャンバーは上流ポンプから連続的な加圧された容積を注入することによって充填することができ、分配マニホルドの3つの分岐中への流体の流れは必ずしも等しく分割されず、各チャンバー(1232a、1232b、1232c)中の容積および圧力は輸送マニホルドが平衡化するので等しくなる。充填プロセスの間、下流バルブ1235は閉じられる。
【0103】
輸送マニホルド1236の加圧が完了した後、液体内容物を逆転写チャンネル1238中に受動的に動かす間、チャンバー1232の弾性ダイアフラムが弛緩できるように、バルブ1235および1237は開かれる。逆転写は逆転写に適合する緩衝剤、基質および温度条件の下で行われる。緩衝剤およびあらゆるエンハンサーは一般にチャンバー1238中の乾燥試薬点1257として供給される。次いで、試料は増幅チャンバー1247および1248中に動かされる。各増幅チャンバーには空圧液圧ダイアフラムが設けられる。このプロセスの間、チャンバー1247および1248のダイアフラム要素は、ヘッド空間が除去されるように空圧圧力の下で膨らみ、液圧チャンバー中にテントを張って試薬点を被覆する膨張したダイアフラムによって、チャンバー中のあらゆる乾燥試薬が前進するメニスカスによって流出するのを保護する。PCR増幅は、図14Aおよび14Cについて説明したように、逆転写によって作られたcDNA上に実行される。下流バルブ1249は開かれて、バルブ1237が閉じている間、両方のチャンバー1247および1248のダイアフラムを加圧することによって、あらゆる増幅生成物は前チャンバー1250を通って検出チャンバー1251に送られる。各段階で、システム中のあらゆる空気は端末排気口1252を通って排出される。前チャンバー1250中に印刷または点在された乾燥プローブ1253は、検出チャンバー中に注入する前に溶解され、アンプリコンと混合されるのが有利であり、これは検出チャンバーに結合する熱光学窓の透過度を改善し、分子ビーコンまたはFRETプローブとして有用ないくつかの染料の自動蛍光を低減または防止する。
【0104】
図14Eに見ることができるように、検出チャンバー1251および増幅チャンバー1247および1248の入口、出口および排気ポートは非対称的に配置される。装置がホスト機器の傾斜台上で傾けられる時(図3Aおよび7B参照)、増幅チャンバー間の連絡ポート(1254、1255)および検出チャンバーに付属する端末排気ポート(1256)でチャンバー自体に対して上昇され、幾何形状のあらゆる表面張力効果を克服するような輪郭にされる。したがって、システム中の空気は濡れの間に最初にチャンバーの下部側を充填する前進する液体によってシステムから追い出されるのが好ましく、PCRのための往復動ポンピングの間に液体の脱気に伴う加熱によって発生したあらゆる気泡は、熱伝導を妨害しないように、また検出チャンバーに入らないように増幅チャンバーの間で混入されるのが好ましい。
【0105】
替りに、逆転写酵素cDNAおよび増幅は図8のカートリッジの1つで実行することができる。これは、逆転写酵素(MMLV−RT、AMV−RT)および基質を第1増幅チャンバー804中に点在させ、40〜50℃の最初の低温放置によって達成される。核酸はRNAアーゼ抑制剤の存在中に抽出される。1ポートrtPCRのための適切な緩衝剤は文献に記載され、本質的にRNA目標の予備増幅に帰着し、したがって検出可能な分子目標の感度および範囲を改善する。1ポートrtPCRのための緩衝剤システムは、例えば、Young[Youngら、1993、Detection of Hepatitis C virus RNA by a combined reverse transcription −polymerase chain reaction assay.J Clin Microbiol 31:882〜86]他によって説明される。一般に、RNAアーゼ抑制剤が加えられる。
【0106】
図15は蛍光終点を監視する本発明の装置の検出チャンバーの光学窓の使用を示す。対物レンズ1520は液体試料1501を保持する検出チャンバー1500を透過照明するのに用いられる。検出チャンバーは上部光学窓1502および下部光学窓1503に連結される。チャンバーは加熱ブロック311のミラー面320に着座し、加熱ブロックはしたがってチャンバー中の色原体または蛍光色素分子によって吸収または発光される反射光線のための光学通路を反射する機能と、流体中の検出化学の温度を調節する二重の機能を満足する。この構成は、例えば、FRET検出および核酸目標の検出を確認するために価値を有する。
【0107】
目標分子1510から放射されるフォトンは円錐状に放射することができ、対物レンズによって捕捉され、またはミラー面320から反射することができ、したがって、目標分子の虚像1511を形成し、再び対物レンズによって捕捉されて感度を高める。したがって、検出チャンバーは加熱ブロック311の本体中の「仮想検出チャンバー」(点線)によって反射される。検出チャンバー中に形成される気泡1505は、装置がホスト機器内のドッキングベイ中に配設される傾斜角度θによってチャンバーの中心から重力で取り除かれるのが有利である(図7B参照)。また、協働して、ミラーの平滑な表面320は熱伝達を改善し、下部光学窓1503は熱伝導フィルムとして働く。熱伝導フィルムは非常に薄いことが有利であり、加熱ブロック311と熱接触される。好ましい熱伝導フィルムは共譲渡されている米国特許第7,544,506号および第7,648,835号に記載されるが、例えば類似寸法の環状ポリオレフィンフィルムを含むこともできる。したがって、組み立て体は熱光学窓として機能し、あらゆるアンプリコンまたは存在する他の検出可能な種の改善された加熱および光学呼びかけ信号を達成する。
【0108】
図16はPCRを実行するためのマイクロ流体ワークの複雑さの代表的レベルおよびマイクロ流体ワークをホスト機器に連結するためのガスケットを備える空圧連結を示す。説明の目的で示されるのは、マイクロ流体サブ回路を備える液圧ワークおよび分子検出アッセイを運転するための空圧ワークを含む流体チャンネルおよびチャンバーであり、その例示的詳細は本明細書に説明された。基板外カード410および内基板カード400は共通の空圧接合部で結合され、空圧制御インターフェースに対する運転の間、空圧制御およびカードの液圧ワークを駆動するために排気可能なガスケット405を用いて封止される。このサブアセンブリー1600は一般に図4に参照して示されるように、試薬貯蔵器を含むカートリッジ架台中に搭載される。カードのマイクロ流体ワークは、アッセイの経過中に濡らされる内部チャンネルおよびチャンバーのネットワークまたは複数のネットワークから形成された液圧ワークと、バルブ制御およびホスト機器上の正および負の気体圧力源によって動かされる回路を駆動するポンプから形成された空圧ワークを含む。ダイアフラムバルブは空圧的に開かれ、閉じられてアッセイのステップを制御する。また、液圧ワークと空圧ワークの間の連結に配設された大きなダイアフラムは、流体を動かすため、および流体の動的な動き(urging)を輸送マニホルドの弾性的に膨張したダイアフラム要素および/または例えば、増幅チャンバー中の受動的に駆動されるポンプの形でポテンシャルエネルギーに変換するための空圧液圧装置として働く。この図において、外基板カード410は生物サンプルから核酸を抽出する役割があり、内基板カード400は増幅および検出のために用いられる。他の組み合わせは本発明の範囲および精神内であると容易に考えられ、これは例示的に提供された実施例によって制限されない。
【0109】
図17、18A、18Bは本発明の流体カートリッジで得られたアッセイ結果の種類の代表であるがそれに制限されない。図17はアンプリコンに混成された分子ビーコンのために収集された走査データである。走査軸(プロットのx軸)はそれぞれ正および負の試験条件を代表する検出井戸を横断し、信号が検出井戸に制限されるのを見ることができる。図において、検出チャンバー中の温度が計画的に変更される際に、試料は繰り返し走査される。走査は光学走査装置の空間忠実度を示すためにプロットに重ねられる。35℃、65℃、70℃、75℃、80℃の試験条件について蛍光走査が記録される。40、45、50、55、60℃および85、90℃プロットでの試験走査は、予想されたように十分な差がなく、個別に記録されない。蛍光信号は温度の関数であるのを見ることができる。この実施例における蛍光消光は二重ストランドプローブ目標が溶融される時増加する、すなわち、信号は35℃で最大であり、80℃では本質的に存在しないことが観察された。図18Aにおいて、データは正(2301、実線)および負(目標なし、2302、点線)の試験条件について、信号対温度が報告される。図18Bにおいて、第1の誘導体がプロットされ、約70℃のFRET溶融温度を示唆する。
【実施例】
【0110】
(実施例I)
実施例として、本発明の装置は、便などのヒトの試料中の病原体の核酸の検出によって、感染性疾患の診断に有用であることが示される。腸内細菌科状O抗原血清型およびstxおよびstx遺伝子(志賀毒素について)を遺伝子学的に検出するのに有用なrfb遺伝子を例示する。これらの遺伝子は、例えば、下痢疾患において重要なShigella、Salmonella、Campylobacter、Escherichia coli血清型に見出される。
【0111】
陰性便の綿棒標本を2.5mLのPBSで希釈し、O157:H7バクテリア培養物を加えた。希釈された試料250μLを本発明のカートリッジ上で分析するために装填した。これらのカートリッジはPCRおよび分子ビーコンアンプリコン検出に必要な全ての乾燥および液体試薬を含んだ。DNA抽出の後、目標およびプライマーは94℃で2分間変性され、次いで熱サイクル当たり約12秒でPCR増幅のために循環した。装填の後、カートリッジに互換性があるように設定された、熱的、空圧および光学連結を有する機器を用いて試料上で多重核酸アッセイを行った。増幅の内部の陽性対照としてバクテロイドDNAが用いられた。また、陰性の対照も実施し、偽陽性は生成しなかった。
【0112】
バクテロイドのためにFAMの標識を付けたプローブは第1蛍光によって検出される(励起485nm、放射535nm)。CAL蛍光レッド610で標識を付けたプローブ(励起590nm、放射610nm)を用いてこのアッセイの目標アナライトを検出する。二重増幅生成物は、400,000コピーで予想される内部対照背景に対して、抽出あたり最低80近くの目標コピーで検出され、高いレベルの感度と特異性を示唆した。光学系の詳細は、「PORTABLE HIGH GAIN FLUORESCENCE DETECTION SYSTEM」の標題で国際特許出願公開第PCT/US10/22581に記載され、これは同時係属中であり、全ての目的のために参照して本願に全体が援用される。
【0113】
本発明の装置で便試料中のstx2(2411)、stx1(2412)およびrfb(2413)遺伝子について検出されたアンプリコンのFRET曲線は図19に示される。対照データは示されない。
【0114】
(実施例II)
基板上乾燥および液体試薬を用いて、血液試料を処理し、30分以内で、はしかウイルスに伴うRNAが検出された。第1ステップで、図14に示した装置の1つで約50℃の定温放置温度で試料からcDNAが形成され、次いで、逆転写生成物は、一般に「Integrated Nucleic Acid Assay」の名称で共同譲渡され係属中出願の米国特許第7,544,506号、第7,648,835号、第7763,453号、および第7,763,453号に記載される、二重温度ゾーン制御を備える2つのマイクロ流体チャンバー(1221、1222)を用いてPCRが行われ、これらは共同譲渡され、全ての目的のために参照して本願に全体が援用される。次いで、アンプリコンは増幅された目標に導かれたFAM蛍光標識付き分子ビーコンを用いて検出される。場合によって、1ポット反応混合物中の多重増幅によって、California Red標識付きRNA酵素P白血球エクソン配列(これは一般にヒトのあらゆる真正血液試料の特徴である)からなる対照を用いてアッセイが検証される。
【0115】
本発明の要素および特徴のさまざまな組み合わせを示す他の実施例は容易に実証される。本発明の教示により構成される装置は、例えば、バクテリア(
【0116】
【化1】

【0117】
を含む)、リケッチア属微小球菌試薬(Clamydia pneumoniae、Chlamydia trachomatis、Rickettsia prowazekii、またはRickettsia typhiを含む)、ウイルス性試薬(はしかウイルス、HIVウイルス、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、デング熱ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、エンテロウイルス、インフルエンザウイルス、トリインフルエンザ、コロナウイルス、SARSコロナウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、ハンタウイルス、狂犬病ウイルス、アルゼンチン出血熱ウイルス、マチュポウイルス、サビアウイルス、グアナリトウイルス、コンゴ‐クリミヤ出血熱ウイルス、ラッサ出血熱ウイルス(Lassa Hemorrhagic Fever virus)、マールブルグウイルス(Marburg virus)、エボラウイルス、リフトバレー熱ウイルス、キャサヌール森林病ウイルス、オムスク出血熱、黄熱ウイルス、天然痘ウイルス、レトロウイルス、サル痘ウイルス、および足および口疾患ウイルスを含む)、真菌類試薬(Coccidiodes immitis、Candida albicans、Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Blastomyces dermatitidis、Sporotrhix schenki、またはAspergillus fumigatesを含む)、寄生試薬(
【0118】
【化2】

【0119】
を含む)、または、抗生物質抵抗性遺伝子、毒性または毒素産生能に関連する遺伝子、分子マーカー、単一ヌクレオチド多形性、昆虫遺伝子、蜂疾患試薬遺伝子、植物遺伝子、植物疾患試薬、病原性または発癌性条件を有する細胞に関連する分子マーカー、ミトコンドリアヌクレオチド配列、プラスミド配列、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、または興味深いまたは有用になり得る目標核酸のパネル等、を含む遺伝子または配列から選択された感染剤に関連する目標核酸(DNAまたはRNAのいずれか)のための分子アッセイに用いることができる。また、家畜、獣医および水産養殖用途を広く含んで、哺乳動物または脊椎動物中の感染試薬の分子診断に有用になり得る。また、より一般的に病原性状態、例えば感染性他の条件から患う植物、動物または昆虫における診断用途、また、本発明の特徴を有するカートリッジ装置を用いる免疫学的および生物化学的アッセイが考えられ、診断使用に特許請求される。
【0120】
上述は本発明の好ましい実施形態の説明であるが、様々な代替、修正、組み合わせ、および等価のものを用いることが可能である。したがって、本発明の範囲は上述の説明を参照して決定すべきではなく、その全範囲および等価のものと一緒に、付属の請求項を参照して決定すべきである。付属の請求項は、制限が、「のための手段」の句を用いて所定の請求項に明確に記載されない限り、手段+機能の制限を含むものとは解釈されない。
【0121】
この明細書に参照され、および/または付属する提出物に記載された、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許文献および刊行物は、その全体を参照して本願に援用される。さらに他の実施形態を提供するために、様々な特許、出願および刊行物の概念を用いることが必要な場合、実施形態の態様を修正することができる。上記詳細な説明に照らして実施形態にこれらの、および他の変更を加えることができる。一般に、以下の請求項において、用いられる用語は明細書および請求項に開示された特定の実施形態に請求項を制限するものと解釈すべきではなく、それらの請求項が権利を与えられた全範囲の等価の物と一緒に、全ての可能な実施形態を含むものと解釈すべきである。したがって、請求項は本開示の特定事項によって制限されない。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的試料中の目標の1つまたは複数のアナライトのアッセイのためのマイクロ流体カートリッジであって、前記マイクロ流体カートリッジは、
(a)プラスチックの熱絶縁性カートリッジ本体であって、
(i)試料入口と、1つ以上の基板上のアッセイのための液体または乾燥試薬と、前記上流入口に流体接続され下流排気口で排気されるチャンネルおよびチャンバーを備える濡れ可能な下流のマイクロ流体サブ回路とを含む、液圧ワーク、ならびに
(ii)空圧圧力を受け取る1つまたは複数の入り口と、空圧サブ回路であって、前記空圧圧力を前記空圧サブ回路から伝えるためのチャンネルおよびチャンバーを備える空圧サブ回路とを含む空圧ワーク、
を囲む、本体と、
(b)前記濡れ可能なマイクロ流体サブ回路の液圧チャンバーと前記空圧サブ回路の空圧チャンバーを連結するように構成された少なくとも1つの空圧液圧ダイアフラムと
を含み、
前記空圧液圧ダイアフラムが、前記液圧チャンバーに面する第1の側および前記空圧チャンバーに面する第2の側を有し、
前記空圧液圧ダイアフラムが、
(A)前記濡れ可能なマイクロ流体サブ回路の下流チャンネルまたはチャンバーの濡れの間に、液圧の下で液体容積を受動的に保存し、前記液体容積を放出するように構成された、弾性の、エネルギー保存空圧液圧ダイアフラム、
(B)液体試薬を保存し放出するための液体中心を有する二重層の空圧液圧ダイアフラム、
(C)濡れの間に液圧チャンバーからヘッド空間を除去するように構成された空圧液圧ダイアフラム、
(D)第1液圧チャンバーをバルブ付き入口に連結する第1空圧液圧ダイアフラム、および第2液圧チャンバーをバルブ付き出口に連結する第2空圧液圧ダイアフラムを含む一対の空圧液圧ダイアフラム、および前記第1液圧チャンバーおよび第2液圧チャンバーの間の上昇された相互連絡チャンネル
から選択され、前記対は、前記第1空圧液圧ダイアフラムおよび第2空圧液圧ダイアフラム上に逆の圧力差を加えることによって前記チャンネルを通して流体を相互に交換するように構成され、
前記液圧チャンバーおよびダイアフラムは、アッセイの濡れ、充填、ポンプ輸送または再水和ステップの間の気泡混入または試薬流出を防止または低減するように構成されることを特徴とする、マイクロ流体カートリッジ。
【請求項2】
前記液圧ワークが、ホスト機器の傾斜した台上の基面に対して10〜35度の傾斜角度θで搭載されるときに作動するように構成され、少なくとも1つの液圧チャンバーが、前記チャンバーから気体を排気し、または気泡を排出するように前記チャンバーに対して上方に配置された出口および相互連絡チャンネルで構成される、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項3】
前記液圧ワークが、前記上流入口に流体接続されて1つ以上の下流排気口で排気されるチャンネルおよびチャンバーを備える複数の濡れ可能な下流のマイクロ流体サブ回路を含み、前記複数の濡れ可能なマイクロ流体サブ回路が各々並列にアッセイを行うように構成され、前記濡れ可能なマイクロ流体サブ回路の各々には分離した検出チャンバーが設けられる、請求項1または2に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項4】
膨張状態における前記弾性空圧液圧ダイアフラムの液圧および液体容積が、下流のバルブを開くことによって濡れ可能な下流のマイクロ流体サブ回路に流体接続された前記濡れ可能な下流のマイクロ流体サブ回路中のメニスカスを前進させるワークに受動的に変換され、それによってあらゆる気体を前記下流排気口に排気する、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項5】
前記受動的に作動される弾性空圧液圧ダイアフラムの前記液体容積および液圧が、前記下流のマイクロ流体サブ回路を目標まで充填するように較正される、請求項4に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項6】
下流の濡れ可能なマイクロ流体サブ回路の複数のチャンバーが、下流の濡れ可能なマイクロ流体サブ回路を目標まで等しく充填するように各々弾性の受動的に運転される空圧液圧ダイアフラムで構成され、各前記サブ回路が各々並列にアッセイを実行するように較正され、各前記サブ回路には分離した検出チャンバーが設けられる、請求項5に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項7】
前記空圧液圧ダイアフラムが、ポリウレタンダイアフラム、ポリビニリデンクロリドダイアフラム、ポリオレフィンダイアフラム、ポリエステルダイアフラム、ポリエチレンダイアフラム、ポリエチレンテレフタラートダイアフラム、ナイロンダイアラム、またはその積層または共押し出し組み合わせであり、場合によって金属化フィルム層を含む、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項8】
前記請求項に記載のマイクロ流体カートリッジであって、
(a)複数のチャンバーを有する輸送マニホルドであって、入口を通って直列または並列に前記液圧チャンバー中に入る液体容積が、各々その排除容積に比例する等圧力に従って前記エネルギー保存空圧液圧ダイアフラムを膨張させるように、前記複数のチャンバーの各前記チャンバーが、それらの間に封止されて搭載された弾性のエネルギー保存空圧液圧ダイアフラムによって液圧チャンバーと空圧チャンバーに分離される輸送マニホルドと、
(b)前記入口が、充填が完了した後、前記輸送マニホルド全体に前記液圧を平衡化するためにバルブで閉鎖可能であることと、
(c)複数の排気された並列の下流チャンネルであって、前記複数のチャンネルの前記1つのチャンネルが、前記輸送マニホルドの前記液圧チャンバーの各々と流体連絡し、前記排気された下流のチャンネルが、充填および加圧の間に閉鎖し、排出および減圧の間に開くようなバルブを有し、それによって膨張状態における前記弾性空圧液圧ダイアフラムの前記液圧が、前記複数の排気された並列の下流チャンネルの初期濡れの間にメニスカスを前進させる仕事に受動的に変換されるチャンネルとをさらに特徴とする、マイクロ流体カートリッジ。
【請求項9】
各前記下流の排気されたチャンネルがマイクロ流体サブ回路への入口として流体的に構成され、
各前記弾性のエネルギー保存空圧液圧ダイアフラムが液体容積を各前記下流のマイクロ流体サブ回路間に等しく分割するように適合される、請求項8に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項10】
前記各マイクロ流体サブ回路が、液体試薬、乾燥試薬、またはその組み合わせを、液体試料と混合するために設けられた少なくとも1つの反応チャンバーを含み、目標の1つまたは複数のアナライトを検出する手段に連動するように構成された少なくとも1つの検出チャンバーを含む、請求項9に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項11】
前記空圧チャンバーが大気へと通気される前記請求項に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項12】
液体容積を前記液圧ワークのマイクロ流体サブ回路中に分配するための基板上試薬貯蔵器を含み、前記試薬貯蔵器が、
(a)前記空圧ワークの空圧チャンバーと前記液圧ワークの液圧チャンバーを封止して分離する二重層ダイアフラムであって、前記二重層ダイアフラムは、前記空圧ワークに面する第1の側と、前記液圧ワークに面する第2の側とを有し、第1層はその前記第1の側を形成し、第2層はその前記第2の側を形成し、前記第1層および第2層がそれらの間に液体中心として前記液体容積を閉じ込める、二重層ダイアフラムと、
(b)前記液体容積を受け取って前記下流のマイクロ流体サブ回路に送るための流体出口と、
(c)前記液圧チャンバー中に配置された針であって、前記二重層ダイアフラムが、前記ダイアフラムに圧力差を加えることによって、針に接触して穿孔するように動かされるとき、前記針が前記第2層を破裂させ、前記液体容積を前記液圧ワーク中に放出する針と、を特徴とする前記請求項に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項13】
前記二重層ダイアフラムの前記第1層が破裂抵抗性であり、前記第2層が破裂に感受性のある請求項12に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項14】
前記第1層が、破裂抵抗性であるように構成された外側のナイロンベース層を有する積層型ポリマーであり、前記第2層が破裂感受性のあるように構成された外側のポリエチレンテレフタラート部材を有する積層型ポリマーである請求項13に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項15】
前記基板上試薬貯蔵器がそれに加えられた空圧圧力の連続的なパルスの作用によって液体容積を連続的に放出するために構成される請求項12に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項16】
前記液体容積が、液体反応体、緩衝剤、再水和流体、または希釈剤を含み、前記液体容積が、下流のチャンバーまたはチャンネルに配設された乾燥試薬の再水和から選択されるアッセイステップ、固相の洗浄、固相基質からの目標の1つまたは複数のアナライトの溶離、希釈液の作製、クロマトグラフ分離の実施、反応の開始または停止、または前記目標の1つまたは複数のアナライトの検出のためであり、場合によって前記液体容積が脱気され、そして前記二重層ダイアフラムが気体不透過性である、請求項12〜15に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項17】
前記請求項に記載のマイクロ流体カートリッジであって、上流入口および下流排気口を備える下流反応チャンバーとして形成された液圧チャンバーを備える少なくとも1つのマイクロ流体サブ回路を含み、前記下流の反応チャンバーは乾燥試薬点または複数の点を含み、
前記空圧液圧ダイアフラムが、ヘッド空間の空気を排出し濡れの間に試薬の1つまたは複数の点の周囲および上に一時的な保護テントを形成するように、前記ダイアフラムがチャンバーの床に対して膨張する第1の位置、および前記チャンバーを液体容積で充填し、気泡混入または試薬流出なしに試薬点を開放して最高強度で溶解するように前記ダイアフラムが前記チャンバーの天井に対して弛緩位置にあるかまたは吸引される第2位置で作動するように構成されることをさらに特徴とする前記請求項に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項18】
前記乾燥試薬点が、緩衝剤、酵素、補酵素、補因子、ポリメラーゼ、プライマー、分子ビーコン、プローブ、蛍光色素分子、脱水酵素、オキシダーゼ、反応体、色原体、基質、抗体、抗原、または対照である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
PCRを実行するための前記請求項に記載のマイクロ流体カートリッジであって、前記マイクロ流体カートリッジが、
第1液圧チャンバーを覆う第1空圧液圧ダイアフラム、および第2液圧チャンバーを覆う第2空圧液圧ダイアフラムであって、ここで、前記第1液圧チャンバーおよび第2液圧チャンバーは流体相互接続チャンネルを有する、第1空圧液圧ダイアフラムおよび第2液圧チャンバーと、
第1加熱要素を並置するように構成された前記第1液圧チャンバーの第1熱伝導部および第2加熱要素を並置するように構成された第2液圧チャンバーの第2熱伝導部を備える2ゾーンのPCR熱サイクルのための熱伝導部と
をさらに含み、
前記第1空圧液圧ダイアフラムが、PCR増幅中、前記第1液圧チャンバーと第2液圧チャンバーとの間に相互の流体流れを駆動するための空圧手段で構成され、
前記相互接続チャンネルが、気泡からの妨害を低減するために10〜35度の傾斜角度θで作動されるように構成されることを特徴とするマイクロ流体カートリッジ。
【請求項20】
前記第2空圧液圧ダイアフラムが弾性ダイアフラムであり、前記空圧液圧ダイアフラムの動きによって受動的に仕事が行われる請求項19に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項21】
光学窓によって第1の対向側、および熱光学窓によって第2対向側に囲われた検出チャンバーをさらに含み、
空気および気泡をその上に上方に配設された排気ポートに排出するように、前記検出チャンバーが10〜35度の傾斜角度θで作動されるように構成されることを特徴とする、前記請求項に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項22】
ホスト機器中で消耗可能に使用するための前記請求項に記載の1つ以上の廃棄可能なマイクロ流体カートリッジを含むキットであって、前記マイクロ流体カートリッジが、核酸、プロテイン、抗原、抗体、メタボライト、または酵素のための少なくとも1つのアッセイを行うための基板上試薬を備え、場合によって、気密パッケージ中に不活性雰囲気を備える、キット。
【請求項23】
ホスト機器中に消耗可能に使用するための前記請求項に記載の1つ以上のマイクロ流体カートリッジを含むキットであって、前記マイクロ流体カートリッジが、少なくとも1つの核酸アッセイを行うための基板上試薬を備え、各カートリッジは使用説明書を備えて気密封止ポーチ中に梱包され、使用者は、アッセイされる生物学的液体試料を試料入口に置き、前記マイクロ流体カートリッジを前記ホスト機器中に挿入することだけが必要であり、前記カートリッジは、全てのプライマー、酵素補因子、塩、緩衝剤、ポリメラーゼ、およびバクテリア(
【化3】

を含む)、リケッチア属(Clamydia pneumoniae、Chlamydia trachomatis、Rickettsia prowazekii、またはRickettsia typhiを含む)、ウイルス(はしかウイルス、HIVウイルス、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、デング熱ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、エンテロウイルス、インフルエンザウイルス、トリインフルエンザ、コロナウイルス、SARSコロナウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、ハンタウイルス、狂犬病ウイルス、アルゼンチン出血熱ウイルス、マチュポウイルス、サビアウイルス、グアナリトウイルス、コンゴ‐クリミヤ出血熱ウイルス、ラッサ出血熱ウイルス(Lassa Hemorrhagic Fever virus)、マールブルグウイルス(Marbourg virus)、エボラウイルス、リフトバレー熱ウイルス、キャサヌール森林病ウイルス、オムスク出血熱、黄熱ウイルス、天然痘ウイルス、レトロウイルス、サル痘ウイルス、および足および口疾患ウイルスを含む)、真菌類因子(Coccidiodes immitis、Candida albicans、Cryptococcus neoformans,Histoplasma capsulatum、Blastomyces dematitidis、Sporotrhix schenki、またはAspergillus fumigatesを含む)、寄生因子(
【化4】

を含む)、抗生物質抵抗性遺伝子、毒性または毒素産生能に関連する遺伝子、分子マーカー、一塩基多型、昆虫遺伝子、蜂疾患因子遺伝子、植物遺伝子、植物疾患試薬、病原性または発癌性条件を有する細胞に関連する分子マーカー、ミトコンドリアヌクレオチド配列、プラスミド配列、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、または目標核酸のパネル等、に関連する目標核酸(DNAまたはRNAのいずれか)のための前記液体試料を試験する検出化学品を有する、キット。
【請求項24】
マイクロ流体カートリッジの中への気泡の混入を制限しながら前記マイクロ流体カートリッジを濡らす方法であって、
(a)各液圧チャンバー中の液体容積を覆う弾性空圧液圧ダイアフラムが拡大して膨張し、それによって複数の前記液圧チャンバー中の前記液体容積を等圧で加圧するように、入口を通ってマイクロ流体カードの複数の液圧チャンバー中へ前記液体容積をポンプ送入すること、
(b)各前記液圧チャンバーからの出口をバルブで開き、各前記出口が排気された下流のマイクロ流体サブ回路に流体接続されること、
(c)前記液体容積を実質的に等しい量で各前記濡れ可能な下流のマイクロ流体サブ回路に分割すること、を含む方法。
【請求項25】
マイクロ流体カートリッジの中に気泡の混入を制限しながら、乾燥試薬点を含むマイクロ流体カートリッジを濡らす方法であって、
(a)各液圧チャンバー中の液体容積を覆う弾性空圧液圧ダイアフラムが膨張し、それによって前記液体容積を等圧で加圧するように、入口を通ってマイクロ流体カードの複数の液圧チャンバー中へ前記液体容積をポンプ送入すること、
(b)複数の下流の反応チャンバー中の第2ダイアフラムを加圧し、各前記下流の反応チャンバーが乾燥試薬点を含み、前記第2ダイアフラムが前記試薬点の周囲および上部を封止し、前記下流の反応チャンバーからヘッド空間の空気を排除するために一時的な保護テントを形成すること、
(c)各前記液圧チャンバーからの出口をバルブで開き、各前記出口が前記複数の下流の反応チャンバーのうちの1つに流体接続されること、
(d)前記下流反応チャンバーを前記一時的なテントの周囲で濡らし、前記膨張した弾性空圧液圧ダイアフラムを弛緩させることによって、前記反応チャンバーからあらゆる残留空気を排除し、前記液体容積が前進するメニスカスを形成すること、
(e)場合によって、前記下流の反応チャンバーから下流バルブを閉じること、
(f)前記一時的なテントを持ち上げて前記液体容積の残留部分を各反応チャンバー中に運び、それによって気泡の混入または試薬の流出なしに最高強度で前記試薬点を溶解すること、を含む方法。
【請求項26】
前記乾燥試薬点が緩衝剤、酵素、補酵素、補因子、ポリメラーゼ、プライマー、分子ビーコン、プローブ、蛍光団、脱水酵素、反応体、色原体、基質、抗体、抗原、または対照である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
目標の1つまたは複数のアナライトをアッセイするための方法であって、実質的に気体不透過性である区画に封止して閉じ込められた基板上液体試薬を有するマイクロ流体カートリッジを供給することを含み、前記液体試薬が実質的に脱気され、前記カートリッジが前記液体試薬をその中のマイクロ流体ワーク中に分配する手段を有し、前記脱気された液体試薬が混合、ポンプ送入または加熱に伴う気泡の形成を防止または低減する方法。
【請求項28】
本願に開示され、または本願の明細書に個別にまたは集合的に示された装置、カード、カートリッジ、ステップ、特徴、要素、完全体、組成物および/または方法、および前記装置、カード、カートリッジ、ステップ、特徴、要素、完全体、組成物および/または方法の任意の1つ、または2つ以上および全ての組み合わせ。

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図6E】
image rotate

【図6F】
image rotate

【図6G】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図8D】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図10D】
image rotate

【図10E】
image rotate

【図10F】
image rotate

【図10G】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図14C】
image rotate

【図14D】
image rotate

【図14E】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公表番号】特表2013−518289(P2013−518289A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551339(P2012−551339)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/022973
【国際公開番号】WO2011/094577
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(503466853)マイクロニクス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】