説明

サンプル管ホルダ

サンプル管の垂直および側方運動を制限するためのサンプル管ホルダが提供される。該サンプル管ホルダは、サンプル管を実質的に垂直配向に維持するための、フィンガースプリングの組を有するサンプル管分室と、サンプル管の垂直移動性を限定するためのリテーナとを有する。流体移動装置は、サンプル管分室の上方に並べられるリテーナの開口部を通してサンプル管に到達する。開口部が形成される案内構造が備えられ、サンプル管に付随するキャップの側方運動を制限する。サンプル管ホルダ基部のタブと、運搬装置近接の静止構造に固定される止め具とは、自動サンプリング手順の最中に、サンプル管ホルダの垂直運動を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、米国特許仮出願第60/672,609号(2005年4月19日出願)の利益を主張し、該仮出願の内容はこのように、本明細書において参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、複数のサンプル管を把持、整列、および/または保持するための、サンプル管ホルダに関する。本発明のサンプル管ホルダは、自動サンプリングシステムおよび貫通可能な閉鎖装置を有するサンプル管との使用に特に適する。
【背景技術】
【0003】
現在、自動分析器は、さまざまな目的でサンプル管の内容物を検査するために、一般に使用されている。これらの自動分析器には、しばしばサンプル管を流体移動ステーションに移送するための運搬装置が含まれ、移動ステーションでは、ロボットピペットまたはその他の流体移動装置が、材料をサンプル管に、あるいはサンプル管から移動する。ロボットピペットによる正確な材料移動を確実にするためには、分析器内で運搬されるサンプル管が、実質的に直立配向に維持されることが重要である。さらに、ロボットピペットを使用してサンプル管に付随する貫通可能な閉鎖装置を貫通する用途に対しては、閉鎖装置の保持力が、それによりサンプル管の除去につながる、ロボットピペットの回収力を上回ることが可能であるように、サンプル管を支えるためのホルダもまた、サンプル管を保持する能力があることが重要である。サンプル管の除去は、試験室のワークフローを妨げ、サンプルの損失、さらに悪いことには分析器の汚染を招く可能性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ロボットピペットを備える自動分析器による使用に特に適する、複数のサンプル管の把持および整列のためのサンプル管ホルダを提供する。本発明のサンプル管ホルダは、基部と、基部の上方に位置付けられ、かつ基部と構造的に相関する第一のサンプル管把持構造と、第一のサンプル管把持構造の上方に位置付けられ、かつ第一のサンプル管把持構造と構造的に相関する第二のサンプル管把持構造とを有する。各サンプル管把持構造は、一連の開口部と、各開口部周辺から内向きに下垂する1組の相隔たるフィンガースプリングとを有し、第一のサンプル管把持構造の開口部は、第二のサンプル管把持構造の開口部と同軸上に並べられる。開口部は、それを通してサンプル管を収納する大きさであり、好ましくは各サンプル管把持構造の略平面部材(プレートなど)に形成される。フィンガースプリングは、好ましくはサンプル管把持構造の略平面部材の底面から下垂し、フィンガースプリングの各組は、その間にサンプル管を摩擦的に把持するように構成および配置され、好ましくはロボットピペットによるサンプリングに対して実質的に直立位置に把持される。
【0005】
貫通可能なキャップを有するサンプル管の使用を伴い、貫通可能なキャップとキャップを貫通するために使用される流体移動装置との間の摩擦力が意図しないサンプル管の除去につながる可能性がある用途など、サンプル管の格納が問題を起こすような使用に対しては、サンプル管ホルダは好ましくは案内構造と、案内構造によって解放可能に係合されるリテーナとを備える。案内構造は、第二のサンプル管把持構造の上方に位置付けられ、かつ第二のサンプル管把持構造と構造的に相関し、一連の開口部を有する案内構造を備え、案内構造の各開口部は、前記第一および第二のサンプル管把持構造における整列した開口部の組と同軸上に並べられ、またそれを通してサンプル管を収納する大きさである。リテーナは一連の開口部を有し、リテーナの各開口部は、案内構造の開口部のうちの1つと同軸上に並べられ、それを通るサンプル管の通路を遮断する大きさである。案内構造とリテーナとの開口部は、好ましくは略平面部材(プレートなど)に形成される。
【0006】
本明細書で使用される「構造的に相関する」という語句は、言及される構造が、互いに直接的あるいは間接的に連結され得ることを意味する。「間接的に」という用語は、本明細書では、連結されている構造を接続する介在構造が存在することを意味するために使用される。
【0007】
サンプル管把持構造、案内構造、および/またはリテーナの開口部は、1組の整列し、間隔をあけられた開口部を構成し得、あるいはさらに好ましくは、2組以上の整列し、間隔をあけられた開口部を構成し得る。特に好適な実施形態では、2組の略平行開口部が各プレートに形成され、サンプルの並列処理を可能とする。
【0008】
本発明の一実施形態では、第一のサンプル管把持構造を第二のサンプル管把持構造に連結するためのスペーサが含まれる。第一および第二のサンプル管把持構造のフィンガースプリング間に空間的隔離を提供することにより、スペーサは、サンプル管ホルダによって把持されるサンプル管を実質的に直立配向に維持することを援助する。本発明の特に好適なスペーサは一連の室を画定し、各室は、第一および第二のサンプル管把持構造における整列した開口部の組と並べられ、その間に延在する。スペーサの各室は、その中にサンプル管を収納する大きさである。
【0009】
本発明の別の実施形態では、一連の仕切りが基部から上向きに延在し、基部を複数のサンプル管収納ウェルに分割する。各サンプル管収納ウェルは、スペーサ、および対応する第一および第二のサンプル管把持構造における整列した開口部の組の下に設置され、集合的にサンプル管分室を形成する。サンプル管分室は、サンプル管を互いに分離し、サンプル管の間のキャリーオーバー汚染の防止を助ける。各サンプル管分室には好ましくはスロットが形成され、室の対向する面、および/またはサンプル管分室に含まれるサンプル管に貼付された機械可読情報(例えば、スキャン可能なバーコード)が見えるようにする。室の表面に貼付され、スロットを通して見ることができる機械可読情報は、サンプル管が室に存在するかどうかを判断するために使用され得(すなわち、サンプル管が存在すると、機械可読情報は遮断され、リーダやスキャナによって検出されない)、またサンプル管の表面に貼付され、スロットを通して見ることができる機械可読情報は、患者識別および/または試験情報を提供し得る。
【0010】
本発明の各フィンガースプリングは、アーム部および端部を含む。フィンガースプリングのアーム部は、例えば、断面に曲面または平面を有し得、また好ましくは湾曲し、第一および第二のサンプル管把持構造に形成された開口部周辺の基部から下向きかつ内向きに延在する。サンプル管がフィンガースプリングの組に挿入されるときに、フィンガースプリングがより一様に曲がるように、また基部の応力を減少させるために、アーム部は好ましくは空洞の裏面を有し、基部から端部の方向に移動するにつれて寸法が小さくなる。フィンガースプリングの端部は、好ましくは、把持するサンプル管との1つ以上の接点を提供する、輪郭をつけた表面を有する。例えば、フィンガースプリングの端部は、サンプル管との1つの接点を可能とするように凸状に成形され得、あるいはサンプル管との途切れない接触または複数の接点を提供するように、先広がりであり得る。凸状に成形された端部は、サンプル管の挿入と除去を最も容易にするが、一方サンプル管との途切れない接触または複数の接点を有する端部は、安定性を増し、サンプル管を略直立配向に維持するために必要なフィンガースプリングの数を減らし得る。平底サンプル管を円滑に挿入するために、各フィンガースプリングのアーム部から端部への移行部は、好ましくは滑らかな輪郭をつけられる。
【0011】
第一および第二のサンプル管把持構造における、整列したフィンガースプリングの組は、互いに間隔をあけられ、サンプル管ホルダによって把持されるサンプル管の垂直安定性を最大化する。基部に対する第一のサンプル管把持構造の位置は、好ましくは、第一のサンプル管把持構造から下垂するフィンガースプリングの端部が、サンプル管の垂直安定性に影響する可能性がある輪郭をつけた底部(例えば、丸みを帯びた、または円錐台形状の底部)にではなく、サンプル管の閉側壁の略平行部分に、接触するような位置である。第一および第二のサンプル管把持構造における開口部の大きさ、またそれに応じて、フィンガースプリングの各組の部材が互いに間隔をあけられる程度は、サンプル管ホルダによる使用が意図されるサンプル管の直径によって決定される。論理的には、フィンガースプリングの間の間隔は、サンプル管ホルダによる使用が意図される最大直径のサンプル管を収容し、またフィンガースプリングの端部が、使用が考えられる最小直径のサンプル管に接触して撓められるように、調整されなければならない。フィンガースプリングは、好ましくはスペーサまたはサンプル管分室内に含まれるサンプル管に貼付された機械可読情報が遮断されずに見られるように配向される。好適なフィンガースプリングの組は、4つのフィンガースプリングを含むが、フィンガースプリングの位置と用途と端部の形状とによって、それよりも少ないまたは多いフィンガースプリングが使用され得る(例えば、端部が、サンプル管との途切れない接触または複数の接点を有する場合には、より少ないフィンガースプリングが必要とされ得る)。
【0012】
本発明の好適な実施形態の案内構造における開口部は、好ましくは、各サンプル管と連結されるキャップの閉側壁の少なくとも一部が、サンプル管がサンプル管ホルダ内に完全に挿入されるとき、開口部のうちの1つを画定する閉壁内に含まれる(すなわち、サンプル管の閉底端が基部に接触する)ように設置される。理想的には、キャップの一部が案内構造の開口部内に含まれるとき、キャップの縦軸は、キャップを貫通する流体移動装置(例えば、ピペットチップ)の縦軸から約0.10インチ(2.54mm)以下だけ逸れ、キャップの縦軸は、開口部の縦軸から約0.020インチ(0.508mm)以下だけ逸れる。許容される逸脱量は、もちろん流体移動装置とキャップの開口部の大きさとに依存する。ロボットピペット装置で貫通する前に、キャップを正確にセンタリングすることで、キャップを貫通するのに必要な力が限定され得、それにより正確なピペット操作が提供され得る。
【0013】
リテーナを案内構造に連結するために、好ましくはラッチシステムが使用されるが、ねじまたはクリップなど、その他の締め具が使用され得る。好適な実施形態では、1対のラッチが案内構造から上向きに延在し、リテーナの上面に形成された切り欠きを係合して、リテーナを案内構造に対する固定位置に維持する。ラッチと切り欠きは、好ましくは案内構造とリテーナのそれぞれの端部に設置される。リテーナは、手動でラッチの上端を外向きに押すことによって、案内構造から解除され得る。リテーナは、好ましくは案内構造から取り外し可能である(すなわち、構造的接続がない)が、リテーナはまた、リテーナを案内構造に枢動可能に取り付ける1つまたは複数のヒンジや、リテーナを使用中に固定位置に把持する締め具などの他の手段によって、案内構造に連結され得る。
【0014】
本発明の代替的な実施形態では、複数のサンプル管を実質的に直立配向に収納および把持するための一連のサンプル管分室を画定する基部を含む、サンプル管ホルダが提供される。サンプル管を実質的に直立配向に把持するために、各サンプル管分室は、一例として、特定のサンプル管の直径に合致するスロット、あるいはバネまたは間隔をあけられ内向きに下垂する1組のフィンガースプリングを備え得る。このサンプル管ホルダは、実質的に上記と同様の案内構造およびリテーナをさらに含み、案内構造は基部の上方に位置付けられ、かつ基部と構造的に相関し、案内構造の各開口部はサンプル管分室のうちの1つと並べられる。
【0015】
本発明のさらなる実施形態は、サンプリング手順中に、サンプル管ホルダが自動運搬装置から持ち上げられる問題を、基部の各側面から外向きに横方向に延在する1つのタブまたは一連のタブを含むことによって解決する。1つまたは複数のタブは、サンプル管ホルダが、カルーセルまたはベルトなどの運搬装置上で自動ピペットステーション内に動かされているとき、サンプル管ホルダの対向する側面に位置付けられた少なくとも1対の止め具の下で自在に動くように構成および設置される。止め具は、運搬装置近接の静止構造に固定され、自動ピペットステップ中にサンプル管ホルダが持ち上げられる場合には、サンプル管ホルダと係合し、それが運搬装置から除去されることを防止する。サンプル管ホルダの持ち上げは、サンプル管ホルダに把持されるサンプル管の貫通可能なキャップの材料が、自動ピペットステーションに付随するピペットまたはピペットチップを、それがサンプル管から回収されるときに、拘束する場合に最もよく起こる。貫通可能なキャップの例は、Andersonらによって米国特許第6,716,396号において、およびKacianらによって米国特許第6,893,612号において開示されており、これらの各特許の内容はここに、本明細書において参考として援用される。核酸ベースの検出アッセイの実施に使用される自動ピペットステーションおよび運搬装置の例は、Ammannらによって米国特許第6,335,166号(この内容はここに、本明細書において参考として援用される)において開示されており、この市販用の実施形態は、TIGRIS DTS(R) SystemとしてGen−Probe Incorporatedから入手可能である。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態では、上記の任意の実施形態と同様の管ホルダをピペットステーションに運搬し、ピペットステーションの自動ピペットを使用して、ピペットチップなどの流体移動装置により、サンプル管ホルダによって把持されるサンプル管からサンプル材料を回収するための方法が提供される。特に好適な実施形態では、自動ピペットの流体移動装置はサンプル管の貫通可能なキャップを突刺し、流体移動装置は、サンプル管ホルダからサンプル管を除去することなく、サンプル管から除去される。サンプル管から回収された材料は、特定の化学的または生物学的成分についてサンプルを調べるなどの、分析の対象とされ得る。サンプル材料中の特定の有機体またはウイルスの存在を示す標的配列の存在を検出するための核酸ベースアッセイは、特に好適である。例えば、Kohneによる米国特許第5,641,631号を参照されたい。かかるアッセイの検出感度を向上させるためには、標的配列の複製数を増加させるための増幅ステップが所望され得る。多数の増幅手順が、「Nucleic Acid Amplification Technologies」(H.H.Leeら、1997年、Birkhauser Boston、ISBN 0−8176−3921−7)に記載されている。
【0017】
本発明のサンプル管ホルダは、例えば直線的な、または曲線の形状を有し得るが、曲線形状が特に好ましい。サンプル管ホルダは、好ましくは、Ammannらによって米国特許第6,335,166号に開示されているカルーセルのような、自動サンプルカルーセル上での使用に適応する曲線形状を有する。
【0018】
本発明のこれらのおよびその他の特長、局面、および利点は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面を検討した後に、当業者には明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
添付の図面で図解されるサンプル管ホルダは、多数の重複する特長を含む。図面を検討し、特長が示される以下の説明を読むことによって、発明者が、ここに示される同様の特長の代表的な番号のみに対して参照番号を提供することによって、過剰な数の参照番号を含むことを避けるように意図していることが、当業者には明らかとなる。
【0020】
本発明は、さまざまな形態で実施され得るが、以下の説明および添付の図面は、本発明の特定の例として、これらの形態の一部を開示することを単に意図する。したがって、本発明は、ここに記載あるいは図解される形態または実施形態に限定されることを意図しない。本発明の完全な範囲は、特許請求の範囲において記載される。
【0021】
図面を参照すると、サンプル管300を把持し、材料がサンプル管から除去されているときには、サンプル管ホルダの垂直運動を限定するための、本発明の好適なサンプル管ホルダ10が示される。本発明のサンプル管ホルダ10は、自動ピペットシステムを使用するプラスチックピペットチップによって貫通可能な密閉キャップ310を有する、サンプル管300との組み合わせで好適に使用される。サンプル管ホルダ10と併用される好適なピペットシステムは、カリフォルニア州サニーベールのCavro Inc.から入手可能な型番RSP9000のRobotic Sample Processorである。(本明細書において記載されるように、本発明のサンプル管ホルダは、キャップを外したサンプル管との併用にも適応できる。)貫通可能なキャップ310を突刺してサンプルを回収するための適切な整列を確実にするために、本発明のサンプル管ホルダ10は、支えているサンプル管300を実質的に不動にし、それによってサンプリング手順中のサンプル管の垂直および側方運動を制限する。本発明のサンプル管ホルダ10と共に使用されるサンプル管300は、サンプル収集キットと共に提供される移送管であり得、サンプル収集キットは、サンプルを輸送および、核酸ベースアッセイによる分析または特定の病原体あるいはウイルスの診断用の免疫学的検定を含む、将来の分析のために、収納および保存するために使用される。かかるサンプルは、例えば血液、尿、唾液、痰、粘液、またはその他の身体分泌液、膿、羊水、脳脊髄液、精液、組織標本、検便用サンプル、環境試料、食品、化学物質、粉末、粒子、または顆粒を含み得る。サンプル管の容器要素320が対象材料(例えば、動物、環境、工業、食品、または水のサンプル)を収納および保持するように成形されているならば、サンプル管300は、任意の形状または成分であり得る。槽要素320は、閉鎖端と、キャップ310を固定するように構成される開口端(例えば、対になる螺旋ねじ山)とを含む。好適なサンプル管は、Andersonらによって米国特許第6,716,396号に、およびKacianらによって米国特許第6,893,612号に開示されている。一般的に、サンプル管300の成分が、アッセイの性能を有意に妨げたり、またはアッセイの結果を変えたりしないように、サンプルに対して基本的に不活性であることが重要である。
【0022】
本発明のサンプル管ホルダ10は、任意の一般的形状であり得るが、好ましくは自動運搬装置での使用に適応する直線あるいは曲線形状を有する。サンプル管ホルダ10の要素は、射出成形の当業者に周知の手法を用いて形成され得る。サンプル管ホルダ10の要素を成形するために使用される好適な材料は、15%のグラスファイバを有するポリエーテルスルホン(PES)であるが、これはミネソタ州ウィノーナのRTP Companyから製品番号RTP 1402として入手可能である。
【0023】
図1に図解されるように、本発明による特に好適なサンプル管ホルダ10は、基部30と、基部の上方に位置付けられ、かつ基部と連結される第一のフィンガースプリングプレート60と、第二のフィンガースプリングプレート120と、第二のフィンガープレートと第一のフィンガースプリングプレートとを隔て、かつ間接的に連結するスペーサ150と、第二のフィンガースプリングプレートの上方に位置付けられ、かつ第二のフィンガースプリングプレートと連結される案内構造190と、案内構造の上方に位置付けられ、かつ案内構造と解放可能に係合されるリテーナ220とを含む。サンプル管ホルダ10の各フィンガースプリングプレート60、120は、フィンガースプリングプレートの底面64、124の開口部周囲辺りから下垂する、4つの相隔たるフィンガースプリング100(参照番号「100」は、図中で参照番号「100a」および「100b」によって識別される、図解されたフィンガースプリングの実施形態のいずれかを指す)の組を有する、平行な2列の相隔たる開口部62、122を有する。
【0024】
図3に図解される代替の実施形態では、案内構造190およびリテーナ220を除いては、図1および図2に示されるサンプル管ホルダ10の全ての特長を共有するサンプル管ホルダ20が示される。この実施形態は、開口サンプル管がキャップまたはその他の閉鎖装置で密閉されていないが、ロボットピペット装置による正確なピペット操作を確実にするために、実質的に垂直配向に維持されなければならない場合の応用に特に有用である。代替のサンプル管ホルダ20に追加される顕著なものは、第二のフィンガースプリングプレート120に連結され、そこから上向きに延在する1対のフィンガーグリップ22である。フィンガーグリップ22はまた、後述のように組立てねじ(図示しない)を収納および把持する大きさのボス24を含む。案内構造190およびリテーナ220を除き、好適なサンプル管ホルダ10の引き続いての構造的説明は、図3に図解される代替のサンプル管ホルダ20にも同様に当てはまる。
【0025】
実施では、サンプル管300は、図9に示す案内構造190の先細開口部192を通して、図2に示されるサンプル管分室250内に挿入される。案内構造190の各開口部192は、第一および第二のフィンガースプリングプレート60、120の開口部62、122の組と同軸上に並べられ、また各開口部62、122、192は、サンプル管ホルダ10での使用が意図される最大直径を有するサンプル管300を収容する大きさである。開口部62、122、192は、同じ大きさあるいは異なる大きさであり得る。
【0026】
各サンプル管分室250は、案内構造190の各開口部192の下、および基部30と第二のフィンガースプリングプレート120との間の略閉鎖空間によって画定される。基部30から始めると、図4は、基部が、分割壁32と、分割壁から横方向または半径方向外向きに、また床36から上向きに延在する一連の相隔たる仕切り34と、さらにサンプル管300の閉鎖底端を収納するための1組のウェル40を画定する1対の端壁38とを含むことを示している。一連の相隔たるリブ42も、分割壁32からウェル40内へと横方向または半径方向外向きに延在し、基部30に追加の強度を与える。基部30の床36の開口部44は、アッセイの終了時に、サンプル管ホルダ10の洗浄に使用された溶液を排出するために含まれる。かかる溶液の1つは、核酸ベース増幅アッセイのためのサンプリング後に、サンプル管ホルダ10に存在する可能性がある核酸を分解するために使用される、50%漂白剤溶液(すなわち、約5%〜約6.5%(w/v)の次亜塩素酸ナトリウムを含有する漂白剤溶液)である。GEN−PROBE(R) APTIMA COMBO 2(R) Assay Package Insert、IN0037 Rev. A/2003−08を参照されたい。
【0027】
図6は、図4に示される基部の分割壁32沿いの対となる凹所46を使用して、第一のフィンガースプリングプレートを基部30にかみ合わせるための、第一のフィンガースプリングプレート60の分割壁68沿いから下垂する、一連の相隔たるボス66を示している。基部30の側壁52の上面50周辺に延在する段部48も、第一のフィンガースプリングプレート60の側壁74の底面72周辺に延在する対となる下方段部70とかみ合う。基部30および第一のフィンガースプリングプレート60の対となる段部48、70の係合は、第一のフィンガースプリングプレートの屈曲を制限するのを助ける。第一のフィンガースプリングプレート60の望ましくない屈曲をさらに防止するために、第一のフィンガースプリングプレートの底面64から下垂する仕切り76は、側壁74近接に、基部30の側壁52近接の仕切り34から上向きに延在する隆起54とかみ合う収納穴78を含む。第一のフィンガースプリングプレート60が基部30に連結されるとき、基部30と第一のフィンガースプリングプレート60との分割壁32、68および仕切り34、76は略接触連絡となり、それによってさらに略閉鎖サンプル管分室250を画定する。
【0028】
第一のフィンガースプリングプレート60の上方にはスペーサ150があり、この構造は第一および第二のフィンガースプリングプレート60、120のフィンガースプリング100の互いの間隔をあけ、サンプル管分室250内の各サンプル管300の実質的垂直配列を確実にするために提供される。サンプル管300の配列不良は、付随の密閉キャップ310の貫通性、あるいは場合によりサンプル管内でのレベル検知手順に影響する可能性がある。図8は、スペーサ150の分割壁154に沿った一連の相隔たるボス152を示し、これは第一のフィンガースプリングプレート60の上面82における対となる一連の凹所80とかみ合う。スペーサ150の屈曲は、第一のフィンガースプリングプレート60の上面82と、スペーサの側壁160の底面158との周囲辺りに対となる段部84、156を含むことによって限定される。スペーサ150の分割壁154およびボス152から半径方向または横方向外向きに延在する相隔たる仕切り162は、側壁160近接に隆起164を含み、これは第一のフィンガースプリングプレート60の上面82における収納穴86とかみ合い、スペーサの屈曲をさらに限定する。分割壁154から横方向または半径方向外向きに延在する分岐壁166も、スペーサ150の強度に貢献する。分岐壁166は、一連の相隔たる開口部168を含み、分岐壁の各開口部は、第一および第二のフィンガースプリングプレート60、120の開口部62、122の組と同軸上に並べられ、それを通してサンプル管300を収納する大きさである。(第一のフィンガースプリングプレート60の上面82の凹所80を除き、第一および第二のフィンガースプリングプレート60、120は実質的に同様であるため、それぞれ図5および図6を参照して説明される。)サンプル管ホルダ10を組み立てるとき、スペーサ150の分割壁154および仕切り162は、第一のフィンガースプリングプレート60の上面82と接触連絡し、各開口部62上方の、側壁160、分割壁154の内に略含有され、かつ1対の近接の仕切り162の間、または仕切りの1つとスペーサの端壁170との間、の部分は、サンプル管分室250の一部を形成する室172を画定する。
【0029】
第一のフィンガースプリングプレート60と同様に、第二のフィンガースプリングプレートの分割壁128沿いから下垂する一連の相隔たるボス126は、スペーサの分割壁154沿いの対となる凹所174を使用して、第二のフィンガースプリングプレートをスペーサ150上にかみ合す。図6および図7を参照されたい。さらに、スペーサ150の側壁160の上面176周辺に延在する上方段部178は、第二のフィンガースプリングプレート120の側壁134の底面132周辺に延在する対となる下方段部130とかみ合う。他の要素と同様に、第二のフィンガースプリングプレート120の底面124から下垂する仕切り136は、側壁134近接に収納穴138を含み、これはスペーサ150の側壁160近接の仕切り162から上向きに延在する隆起180とかみ合い、第二のフィンガースプリングプレートの動きを限定する。第二のフィンガースプリングプレート120とスペーサ150との、仕切り136、162および分割壁128、154は、サンプル管ホルダ10が完全に組み立てられると、略接触連絡となり、それにより略閉鎖サンプル管分室250をさらに画定する。第二のフィンガースプリングプレート120の開口部122は、サンプル管分室250内への入口を構成する。
【0030】
図10および図11は、案内構造190の底面196と連結する一連の相隔たるボス194を示している。ボス194は、案内構造190の平行する2組の開口部192を隔てるリブ構造198に沿って位置付けられる。ボス194の1つの機能は、第二のフィンガースプリングプレートの上面142上の対となる凹所140を使用して、案内構造190を第二のフィンガースプリングプレート120上にかみ合わすことである。案内構造190の先細開口部192は、サンプル管300がサンプル管分室250内に完全に挿入されるとき、キャップ310の少なくとも一部を開口部内に位置付けることを助ける。好ましくは、サンプル管300が完全にサンプル管分室に挿入されたときに、キャップ310の縦軸は、開口部192の縦軸から約0.020インチ(0.508mm)以下だけ逸れ、キャップの縦軸は、キャップを貫通する流体移動装置の縦軸から約0.10インチ(2.54mm)以下だけ逸れる。また、リブ構造198に加え、周囲側壁200およびブリッジ202は、案内構造の底面196から下垂し各開口部192を囲む周縁204を連結することによって、案内構造190の構造的強度を向上させる。
【0031】
図13は、リテーナ220の底面224から下垂し、図9ではボス194の上方に示されている案内構造190の対となる凹所206に挿入され、リテーナを案内構造上にかみ合す役割を果たす、1組の相隔たるボス222を示す。リテーナ220のボス222が案内構造190の凹所206に挿入されると、案内構造の端部210に設置される1対のラッチ208は、リテーナ220の上面228に形成される相当する1対の切り欠き226(本明細書において、集合的に「ラッチシステム」とする)を係合し、リテーナを案内構造に対して解放可能に把持する。各ラッチ208は、リテーナが案内構造190に連結されるときに、リテーナ220の側壁232の端部230の上方を摺動するための傾斜面212と、リテーナの上面228を切り欠き226のうち1つの部分に係合するための出っ張り214とを有する。図2は、サンプル管300が含まれた好適なサンプル管ホルダ10が完全に組み立てられた状態を示している。
【0032】
基部30、第一のフィンガースプリングプレート60、スペーサ150、および第二のフィンガースプリングプレート120のスルーホール56、88、182、144を通して挿入され(図4〜図8参照)、案内構造190から下垂する対応する1組のボス194とネジ係合する(図10参照)組立てねじ(図示しない)は、サンプル管ホルダ10のこれら5つの要素を相互に対して固定位置に維持するように作用する。超音波溶接または接着剤を含む、要素を連結するための別の手段も意図される。
【0033】
サンプル管300に適用され得る機械可読情報270(例えば、バーコード)が見えるようにするため、各サンプル管分室250は、好ましくは垂直スロット260を含む。図2に示すように、スロット260は、基部30、第一のフィンガースプリングプレート60、スペーサ150、および第二のフィンガースプリングプレート120の側壁52、74、160、134を通して延在する開口部である。機械可読情報270は、例えばサンプル管300に含まれる内容物や、かかる内容物に対して実施されるアッセイについての情報を提供し得る。
【0034】
自動化された用途に対しては、ピペット操作前に、サンプル管分室250にサンプル管300が存在するかどうかを判断するための手段もまた含まれ得る。かかる手段は、図1および図2に示すように、各サンプル管分室250内のスペーサ150の分割壁154に適用される機械可読情報280(例えば、バーコード)を解釈する装置(図示しない)を含み得る。サンプル管300またはその内容物が不透明あるいは分割壁の機械可読情報280が見えない程度の半透明である場合、あるいは干渉ラベル270がサンプル管に貼付されている場合には、装置は、サンプル管の背後の機械可読情報を読み取りまたは検出することができない。機械可読情報280の読み取りあるいは検出ができないときには、装置は、自動サンプリングシステムに付随する操作を制御するコンピュータに、サンプル管300がサンプル管分室250に存在することを伝達することができる。その結果、自動サンプリングシステムに付随するロボットピペット(図示しない)は、サンプル管分室250内のサンプル管300から所定の量のサンプルを取り出すように指示される。しかし、サンプル管分室250がサンプル管300を含まない場合には、装置は対応する機械可読情報280を読み取り、あるいは検出し、コンピュータにサンプル管分室にサンプル管300が存在しないことを伝達する。その結果、ロボットピペットは、その特定のサンプル管分室250を無視するように指示される。
【0035】
サンプル管分室250内の整列したフィンガースプリング100の組は、サンプル管300の枢動を限定するために、互いに縦方向に間隔をあけられる。複数のフィンガースプリング100は、第一および第二のフィンガースプリングプレート60、120の各開口部62、122の周囲辺りに配列され、サンプル管300が垂直配列から滑脱することを防止する。図6に図解される特に好適な実施形態では、フィンガースプリング100の各組は、合計4つのフィンガースプリングを含む。この数が好適であるのは、フィンガースプリング100の間隔を均等にあけることができ、その結果として、サンプル管300またはスペーサ150の分割壁154のいずれかの機械可読情報270、280の観察を干渉しないからである。代替案として、均等に間隔をあけられた3つのフィンガースプリング100が、フィンガースプリングの各組を構成する場合には、1組における1つのフィンガースプリングが、サンプル管300またはその対応するサンプル管分室250に付随する機械可読情報270、280の観察を遮り得る。
【0036】
図14および図16に示すように、各フィンガースプリング100は、内向きに湾曲する柔軟アーム102と、サンプル管300がサンプル管分室250に挿入あるいはサンプル管分室から回収されるときに、サンプル管300と滑り摩擦接触となる遠位端104、106とを含む。フィンガースプリング100aの遠位端104とサンプル管300との間の摩擦接触を限定するために、遠位端は、図14および図15に図解されるように、好ましくは滑らかな凸状に輪郭をとり、サンプル管との単一接点を有する。図16および図17に示す代替の実施形態では、フィンガースプリング100bの遠位端106は、サンプル管300との連続するあるいは複数の接点を提供するために広がっている。後者の実施形態の遠位端106は、サンプル管300をよりしっかりと掴み得て、従って、サンプル管の実質的垂直配列を提供するための、フィンガースプリングの組に必要とされるフィンガースプリング100bの数を限定することができる。
【0037】
柔軟アーム102の実質的に均一な曲げを実現するために、柔軟アームの大きさは、フィンガースプリング100が第一および第二のフィンガースプリングプレート60、120の底面64、124から下垂するところの基部108から、から遠位端104、106の方向に向けて移動するにつれて小さくなる。さらに、柔軟アーム102の裏面は、好ましくは凹所110を含み、柔軟アームの材料を抑え、またサンプル管分室250内に挿入されたサンプル管300による撓みに対してより柔軟にする。このように、フィンガースプリング100は、応力をより良く分散するために、主に柔軟アーム102の下方部分に沿って曲がるように設計される。当業者には周知の、構造の弾性解析を行う方法が、加えられた負荷からフィンガースプリングが受ける応力および変位を推定するために、フィンガースプリングの設計に適用され得、これには有限要素法(FEM)が含まれる。例えば、Y.C.Fungによる「Foundations of Sold Mechanics」(1965年、Prentice−Hall、ISBN 0−13−329912−0)、A.C.UguralおよびS.K.Fensterによる「Advanced Strength and Applied Elasticity」(1975年、Elsevier、ISBN 0−444−00160−3)、およびR.J.RoarkおよびW.C.Youngによる「Formulas for Stress and Strain第5版」(1975年、McGraw−Hill、ISBN 0−07−053031−9)を参照されたい。前記の各参考文献はここに、本明細書において参考として援用される。
【0038】
本発明のフィンガースプリング100は、1組のフィンガースプリングにおける少なくとも複数のフィンガースプリングが、サンプル管分室250に挿入されたサンプル管300と摩擦接触し、これらのサンプル管を実質的に垂直配向に維持するならば、同じまたは異なる大きさおよび形状であり得る。一定の実施形態では、サンプル管300を実質的に垂直配向に把持および維持するために、サンプル管分室250に1組のみのフィンガースプリング100が必要とされ得る。これは例えば、案内構造190の開口部192が、サンプル管300の開放端またはキャップ付の端部での側方運動を実質的に限定する場合にあり得る。フィンガースプリング100は、好ましくはさまざまな直径のサンプル管を収容する大きさと配向である。本発明のサンプル管ホルダ10が1種類の大きさのサンプル管300に使用される場合には、サンプル管300の寸法に合致するスロット、またはその他の固定手段が、サンプル管300をサンプル管分室250で実質的に垂直配向に把持するために、フィンガースプリング100の代わりをし得る。例えば、Sevignyらによる、米国特許公報第US−2003−0215365−A1号「Sample Carrier Having Sample Tube Blocking Means and Drip Shield for Use Therewith」を参照されたい。該特許公報の内容はここに、本明細書において参考として援用される。
【0039】
サンプル管300がサンプル管分室250に挿入されたあと、リテーナ220は、上述のラッチシステム208、226を使用して、案内構造190に確保される。キャップ310が容器320上で締められている場合には、キャップは好ましくはリテーナの底面224上のリテーナ220の開口部236を囲む接触周縁234から、約4分の1周以下にある。図2および図13を参照されたい。リテーナ220の開口部236は、案内構造190の開口部192と同軸上に配列され、またその下にあるサンプル管300のキャップ310よりも直径が小さい。リテーナ220の開口部236は、ピペットチップなどの流体移動装置の非干渉通路を可能とする程度に大きいが、しかし、流体移動装置上のキャップ310の保持力がサンプル管上のフィンガースプリング100の保持力を超える場合には、サンプル管300の上方向の動きを遮断する程度に小さい。確保されたリテーナ220は、好ましくは少なくとも3ポンド(13.34N)の上向きの力に耐え得る。
【0040】
図13に示されるように、一連の仕切り238は、分割壁240から横方向または半径方向外向きに、またリテーナ220の底面224から下向きに延在する。リテーナ220が案内構造190と係合するとき、リテーナの仕切り238および分割壁240は、案内構造の上面216と略接触連絡する。このように、サンプル管ホルダ10内に含まれるサンプル管300のキャップ310は互いに分離され、それにより二次汚染の機会を限定する。リテーナ220の上面228上の各開口部236を囲む周縁242も、リテーナの上面に存在する流体の流れを遮断することによって、二次汚染の機会を減らす。かかる流体は、流体移動装置から移動させられるサンプル材料を含み得る。
【0041】
識別の目的で、リテーナ220はまた、好ましくは機械可読情報290(例えば、スキャン可能なバーコード)に適応するための構造244を含む。図1に示されるように、構造244は側壁232の端部230から延在し、そこで機械可読情報を解釈するための装置(例えば、バーコードスキャナ)によって見取られる。機械可読情報290によって提供され得る関連情報は、例えばサンプル管ホルダ10の識別、サンプル管ホルダに把持されるサンプル材料の種類、および/またはそのサンプル材料に対しておこなわれる試験を含む。
【0042】
サンプル管ホルダ10の基部30は、回転する複数のサンプル管ホルダを自動サンプリングシステム内に把持するためのカルーセルなどの、サンプル管ホルダを移送するための運搬装置での使用に適応し得る。かかるカルーセル400の1つは、Ammannらによって米国特許第6,335,166号に開示されており、また図18に図解される。この特定のカルーセル400は、粉砕された、硬化されていないアルミニウムから形成され、リング404の周囲辺りの環状溝402と、複数の隆起した半径方向に延在する区切り406とを含む。区切り406は、溝402を、本発明のサンプル管ホルダ10を収容するように構成され得る9つの弓状サンプル管ホルダ収納ウェル408に区切る。個々のサンプル管ホルダ収納ウェル408は、サンプル管ホルダによって把持されるサンプル管300が分析のためのサンプル材料を回収するために、ロボットピペット(図示しない)の下に位置決めされるときに、サンプル管ホルダ10を直立位置に維持する寸法とされる。カルーセル400上の個々のサンプル管ホルダ10を追跡するために、上述のように、リテーナ220の構造244に機械可読情報290(例えば、スキャン可能なバーコード)を提供し得る。図3に示すサンプル管ホルダ20に対しては、機械可読情報は、例えばスペーサ150の端面170のうち1つに適用され得る。
【0043】
サンプル管ホルダ10を、カルーセル400またはその他のかかる運搬装置のサンプル管ホルダ収納ウェル408に維持するために、サンプル管ホルダが、図4および図12に示すように、基部30の側壁52から横方向外向きに延在する1つのタブまたは一連のタブ58を含むことが好ましい。図19は、タブ58を示すが、タブはサンプル管ホルダ10が垂直に持ち上げられた場合に、ピペットステーションのカルーセル400近接の固定面500に確保された取り付けブロック530、532に固定される内部および外部止め具506、508から横方向内向きに延在するひれ状構造502、504を係合し、それによってピペット操作手順中に、サンプル管ホルダがサンプル管ホルダ収納ウェル408から抜き取られることを防止するように、大きさを決められ、配置されている。止め具506、508の面板514、516の穴510、512は、止め具を取り付けブロック530、532にねじで締めるために使用されるが、その他の取り付け手段も可能である。図20〜図23に示される好適な実施形態では、止め具506、508のひれ状構造502、504は、好適なサンプル管ホルダ10の曲線形状に適応するための曲面端面518、520を有するが、サンプル管ホルダが、例えば直線形状を有し、運搬装置上を回転運動ではなく直線的に移動する場合には、平面端面を有し得る。止め具506、508は、好ましくは鍛造アルミニウムから作られ、サンプル管300に貼付されたラベル270のバーコードのスキャンを可能とする穴部522、524を含む。タブ58および止め具506、508を備えずに、流体移動装置によって貫通されるキャップ310の材料が、サンプル管300に対するフィンガースプリング100とリテーナ220との合計保持力よりも大きい保持力を、流体移動装置(例えば、ピペットチップ)に与える場合には、サンプル管ホルダ10の抜き取りが起きる可能性がある。
【0044】
本発明のサンプル管ホルダ10は、サンプリング手順中にサンプル管300を保護する装置との組み合わせで使用され得て、二次感染の機会をさらに限定し得る。図18および図19に示されるように、この装置は、好ましくはその下に位置するサンプル管ホルダ10上に天蓋を設けるカバープレート602を有する、水滴遮断装置600である。水滴遮断装置600の面取りされた1対の相隔たる開口部604、606は、流体移動装置に、開口部の下に中心を置かれる平行に整列した1組のサンプル管300への非干渉アクセスを提供する。水滴遮断装置600は、サンプル移動手順中に流体移動装置から移動させられる懸滴などの材料を捉える機能を有用にも果たし得る。面取りされた開口部604、606は、位置精度不良の流体移動装置を再方向付けするために特に有用であり、その一方では、水滴遮断装置600の上面608上の開口部604、606を囲む周縁(図示しない)は、カバープレート602上に収集された流体がサンプル管300に流れ込むことを防ぐ役目を果たし得る。取り付け用ポスト610は、水滴遮断装置600を固定面500のカルーセル400近接に確保するために使用し得る。水滴遮断装置600は、好ましくは、マサチューセッツ州ピッツフィールドのGE Plastics of PittsfieldからCycolac(R)MG47として入手可能な、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などの、実質的に非導電性のプラスチックから作られる。
【0045】
本発明のサンプル管ホルダは、一定の好適な実施形態を参照して、かなり詳細に説明、図示されてきたが、本発明のその他の実施形態も当業者には容易に理解される。したがって、本発明は、特許請求の範囲の精神と範囲に含まれる全ての変更と改変とを含むものと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明による好適なサンプル管ホルダの分解斜視図である。
【図2】図2は、図1のサンプル管ホルダの立側面図である。
【図3】図3は、本発明による別のサンプル管ホルダの斜視図である。
【図4】図4は、図1のサンプル管ホルダの基部の上面図である。
【図5】図5は、図1のサンプル管ホルダのフィンガースプリングプレートの上面図である。
【図6】図6は、図5のフィンガースプリングプレートの底面図である。
【図7】図7は、図1のサンプル管ホルダのスペーサの上面図である。
【図8】図8は、図7のスペーサの底面図である。
【図9】図9は、図1のサンプル管ホルダの案内構造の上面図である。
【図10】図10は、図9の案内構造の側面図である。
【図11】図11は、図10の案内構造の底面図である。
【図12】図12は、図1のサンプル管ホルダの上平面図である。
【図13】図13は、図1のサンプル管ホルダのリテーナの底面図である。
【図14】図14は、図6のフィンガースプリングプレートの底面から下垂する好適な1組のフィンガースプリングの、代表的な部分の斜視図である(フィンガースプリングプレートの開口部を分離する仕切りは図示されていない)。
【図15】図15は、図14のフィンガースプリングプレートの開口部の、代表的な部分の上面図である(近接の収納穴は図示されていない)。
【図16】図16は、図6のフィンガースプリングプレートの底面から下垂する代替の1組のフィンガースプリングの、代表的な部分の斜視図である(フィンガースプリングプレートの開口部を分離する仕切りは図示されていない)。
【図17】図17は、図16のフィンガースプリングプレートの開口部の、代表的な部分の上面図である(近接の収納穴は図示されていない)。
【図18】図18は、カルーセル上で移送されている、図1のサンプル管ホルダを示す。
【図19】図19は、図18に示される固定面に固定される止め具近接の水滴遮断装置の下で移送される、図12のサンプル管ホルダの、ライン19−19に沿って切断した、切断端面の斜視図である。
【図20】図20は、図19の切断面の斜視図に示される、内部止め具の正面斜視図である。
【図21】図21は、図20の内部止め具の背面斜視図である。
【図22】図22は、図19の切断面の斜視図に示される、外部止め具の正面斜視図である。
【図23】図23は、図22の外部止め具の背面斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
該基部の上方に位置付けられ、かつ該基部と構造的に相関する第一のサンプル管把持構造であって、該第一のサンプル管把持構造は、一連の開口部と各開口部周辺から内向きに下垂する1組の相隔たるフィンガースプリングとを有し、フィンガースプリングの各組がその間にサンプル管を摩擦的に把持するように構成および配置される、第一のサンプル管把持構造と、
該第一のサンプル管把持構造から間隔をあけられ、かつ該第一のサンプル管把持構造と構造的に相関する第二のサンプル管把持構造であって、該第二のサンプル管把持構造は、一連の開口部と各開口部周辺から内向きに下垂する1組の相隔たるフィンガースプリングとを有し、フィンガースプリングの各組はその間にサンプル管を摩擦的に把持するように構成および配置され、該第一のサンプル管把持構造の該開口部は該第二のサンプル管把持構造の該開口部と同軸上に並べられる、第二のサンプル管把持構造と、
を備える、サンプル管ホルダ。
【請求項2】
前記フィンガースプリングの遠位端は凸状の形状である、請求項1に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項3】
前記第一および第二のサンプル管把持構造のそれぞれは、底面を有する略平面部材を備え、前記フィンガースプリングは、前記各開口部の外周周辺で該略平面部材の該底面から下垂する、請求項1に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項4】
前記第一のサンプル管把持構造を前記第二のサンプル管把持構造と連結するためのスペーサをさらに備える、請求項1に記載のサンプル管ホルダであって、該スペーサは一連の室を画定し、各室は、該第一および第二のサンプル管把持構造における整列した開口部の組と並べられ、かつその間に延在し、また各室はその中にサンプル管を収納する大きさである、サンプル管ホルダ。
【請求項5】
各室はその中に形成されるスロットを有し、該室の対向する面または該室に含まれるサンプル管の機械可読情報を見ることを可能にする、請求項4に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項6】
前記第一および第二のサンプル管把持構造のそれぞれにおける一連の開口部は、2組の略平行開口部から成り、該2組の略平行開口部は前記スペーサの分割壁によって互いに隔てられる、請求項4に記載のサンプル管ホルダ。

【請求項7】
前記基部は、該基部を複数のサンプル管収納ウェルに分割する、間隔をあけられて上向きに延在する一連の仕切りを含み、各ウェルはサンプル管の遠位端を収納する大きさであり、また各ウェルは、室のうちの1つおよび前記第一および第二のサンプル管把持構造における整列した開口部の組の下に位置付けられて、集合的にサンプル管分室を形成する、請求項1に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項8】
前記サンプル管ホルダは曲線形状を有する、請求項7に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項9】
前記基部は1対の対向する端壁と1対の対向する側壁とを有し、該側壁のそれぞれは、そこから横方向に延在する1つ以上のタブを有し、該タブは、自動サンプリングシステムのサンプル管ホルダ運搬装置近接の止め具を動作可能に係合する大きさで配置されて、前記サンプル管ホルダの垂直運動を限定する、請求項1に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項10】
前記サンプル管ホルダは、前記第一および第二のサンプル管把持構造における整列した開口部の組の前記フィンガースプリングによって摩擦的に把持される、少なくとも1つのサンプル管を含む、請求項1に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項11】
前記第二のサンプル管把持構造の上方に位置付けられ、かつ該第二のサンプル管把持構造と構造的に相関する案内構造をさらに備える、請求項1に記載のサンプル管ホルダであって、該案内構造は一連の開口部を有し、該案内構造の各開口部はそれを通してサンプル管を収納する大きさであり、さらに該案内構造の各開口部は前記第一および第二のサンプル管把持構造における整列した開口部の組と同軸上に並べられる、サンプル管ホルダ。
【請求項12】
前記案内構造によって解放可能に係合されるリテーナをさらに備える、請求項11に記載のサンプル管ホルダであって、該リテーナは、該案内構造の前記開口部と同軸上に並べられる間隔をあけられた一連の開口部を有し、該リテーナの各開口部は、それを通るサンプル管の通路を遮断する大きさである、サンプル管ホルダ。
【請求項13】
前記案内構造の前記開口部は内向きに先細である、請求項12に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項14】
前記案内構造は、前記リテーナを解放可能に係合する、上向きに延在するラッチを含む、請求項12に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項15】
前記リテーナは、上面を有する略平面部材を備え、該上面は、前記ラッチによって解放可能に係合される切り欠きを含み、各ラッチは、傾斜面および該リテーナの該上面における該切り欠きのうちの1つを係合する出っ張りを有する、請求項14に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項16】
前記リテーナの前記上面は、その開口部それぞれの周辺に延在する周縁をさらに備える、請求項15に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項17】
前記案内構造は上面を有する略平面部材を備え、前記リテーナは底面およびそこから下垂する一連の仕切りを備え、その結果として、該仕切りが、該案内構造の各開口部近接の該案内構造の上面と略接触連絡する、請求項16に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項18】
前記リテーナの一連の開口部は2組の略平行開口部から成り、該2組の略平行開口部は該リテーナの該底面から下垂する分割壁によって互いに隔てられる、請求項17に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項19】
前記第一と第二のサンプル管把持構造を連結するためのスペーサをさらに備える、請求項12に記載のサンプル管ホルダであって、該スペーサは一連の室を画定し、各室は、該第一および第二のサンプル管把持構造における整列した開口部の組と並べられ、かつその間に延在し、また各室はその中にサンプル管を収納する大きさである、サンプル管ホルダ。
【請求項20】
前記基部は、該基部を複数のサンプル管収納ウェルに分割する、間隔をあけられて上向きに延在する一連の仕切りを含み、各ウェルは該サンプル管の遠位端を収納する大きさであり、また各ウェルは、前記室のうちの1つおよび前記第一と第二のサンプル管把持構造における整列した開口部の組の下に位置付けられて、集合的にサンプル管分室を形成する、請求項19に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項21】
前記サンプル管ホルダは、前記第一および第二のサンプル管把持構造における整列した開口部の組の前記フィンガースプリングによって摩擦的に把持される、少なくとも1つのサンプル管を含む、請求項12に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項22】
複数のサンプル管を実質的に直立配向に収納および把持するための一連のサンプル管分室を画定する、基部と、
前記基部の上方に位置付けられ、かつ該基部と構造的に相関する案内構造であって、該案内構造は一連の開口部を有し、該案内構造の各開口部はそれを通してサンプル管を収納する大きさであり、また該案内構造の各開口部は該サンプル管分室のうち1つと並べられる、案内構造と、
該案内構造によって解放可能に係合されるリテーナであって、該リテーナは、該案内構造の開口部と同軸上に並べられて間隔をあけられた一連の開口部を有し、該リテーナの各開口部は、それを通るサンプル管の通路を遮断する大きさである、リテーナと、
を備える、サンプル管ホルダ。
【請求項23】
各サンプル管分室は、サンプル管を実質的に直立配向に収納および把持する大きさのスロットを備える、請求項22に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項24】
各サンプル管分室は、下向きに下垂する1組のフィンガースプリングを備え、該フィンガースプリングはその間にサンプル管を摩擦的に把持するように構成および配置される、請求項22に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項25】
前記案内構造は、前記リテーナを解放可能に係合する、上向きに延在するラッチを含む、請求項22に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項26】
前記サンプル管ホルダは、前記サンプル管分室のうちの1つによって把持されるサンプル管を含み、該サンプル管は、前記案内構造の開口部の1つを画定する閉壁内に少なくとも部分的に含まれる、閉側壁を有するキャップを有し、該開口部は該サンプル管分室と並べられる、請求項22に記載のサンプル管ホルダ。
【請求項27】
複数のサンプル管を実質的に直立配向に収納および把持するための一連のサンプル管分室を画定する基部を備える、サンプル管ホルダであって、該基部は、1対の対向する端壁と1対の対向する側壁とを有し、該側壁のそれぞれは、そこから横方向に延在する1つ以上のタブを有し、該タブは、自動サンプリングシステムのサンプル管ホルダ運搬装置近接の止め具を動作可能に係合する大きさで配置されて、該サンプル管ホルダの垂直運動を限定する、サンプル管ホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2008−537147(P2008−537147A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507858(P2008−507858)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/014847
【国際公開番号】WO2006/113854
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(500506530)ジェン−プロウブ インコーポレイテッド (58)
【Fターム(参考)】