説明

サージ保護システム、サーバ、雷規模判別方法、及び、プログラム

【課題】雷サージから電気機器を保護するだけでなく、エリア内で発生した雷の規模を検出する。
【解決手段】基地局管理エリア1内に配置された各基地局BS〜BSの制御装置10〜10は、サージ電圧が印加された際に、外部インタフェースにより雷サージから基地局BS内の装置を保護するだけでなく、複数のヒューズを用いて検出したサージ電圧の値をサーバ20に送信する。サーバ20は、所定時間内に各制御装置10〜10から受信したサージ電圧の値に基づいて、基地局管理エリア1内全体で発生した落雷の規模を判別して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サージ保護システム、サーバ、雷規模判別方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商用電源又は機器側からの雷サージの侵入を検知し、強制的に商用電源からの電源供給を遮断するサージ保護装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、雷サージを検出した際に電気機器を電源ラインから切り離すことにより、雷サージから電気機器を保護することを特徴とするサージ保護装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−296047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のサージ保護装置では、雷サージから電気機器を保護することができるものの、サージ保護装置が設置されているエリア全体として、どの程度の規模の雷が発生したのかまでは分からなかった。
【0006】
本発明は、上述事情に鑑みてなされたものであり、雷サージから電気機器を保護するだけでなく、エリア内で発生した雷の規模を検出することが可能なサージ保護システム、サーバ、雷規模判別方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るサージ保護システムは、
所定エリア内に配置された複数のサージ保護装置と、前記各サージ保護装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバとを備えるサージ保護システムであって、
前記各サージ保護装置は、
サージ電圧の値を検出するサージ電圧検出手段と、
前記サージ電圧検出手段が検出したサージ電圧の値を示すサージ電圧検出情報を前記サーバに送信するサージ電圧送信手段と、を備え、
前記サーバは、
各前記サージ保護装置から所定の時間内に受信したサージ電圧検出情報に基づいて、前記所定エリア内で発生した雷の規模を判別する雷規模判別手段と、
前記雷規模判別手段が判別した雷の規模を示す情報を表示する雷規模表示手段と、を備える、
ことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るサーバは、
所定エリア内に配置された複数のサージ保護装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバであって、
各前記サージ保護装置から所定の時間内に受信したサージ電圧の値を示すサージ電圧検出情報に基づいて、前記所定エリア内で発生した雷の規模を判別する雷規模判別手段と、
前記雷規模判別手段が判別した雷の規模を示す情報を表示する雷規模表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る雷規模判別方法は、
所定エリア内に配置された複数のサージ保護装置から所定の時間内にサージ電圧の値を示すサージ電圧検出情報を受信し、
前記受信したサージ電圧検出情報に基づいて、前記所定エリア内で発生した雷の規模を判別し、
前記判別した雷の規模を示す情報を表示する、
ことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係るプログラムは、
所定エリア内に配置された複数のサージ保護装置と通信ネットワークを介して接続されるコンピュータを、
各前記サージ保護装置から所定の時間内に受信したサージ電圧の値を示すサージ電圧検出情報に基づいて、前記所定エリア内で発生した雷の規模を判別する雷規模判別手段、
前記雷規模判別手段が判別した雷の規模を示す情報を表示する雷規模表示手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、雷サージから電気機器を保護するだけでなく、エリア内で発生した雷の規模を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るサージ保護システムの構成を示すブロック図である。
【図2】基地局内の構成を示す図である。
【図3】制御装置の構成を示す図である。
【図4】ヒューズ部の構成を示す図である。
【図5】サーバの構成を示すブロック図である。
【図6】落雷規模判別処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るヒューズ部の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るサージ保護システム100の構成を示すブロック図である。サージ保護システム100は、基地局管理エリア1内に配置された4つの基地局BS〜BSの制御装置10〜10と、サーバ20と、を備える。各制御装置10〜10とサーバ20とは、インターネット等のネットワーク2を介して接続される。なお、基地局BS〜BS 及び制御装置10〜10のそれぞれを区別しない場合には、基地局BS、制御装置10と符号を付して以下説明する。
【0015】
制御装置(サージ保護装置)10は、図1に示すように、基地局BS内に設置されており、内蔵されている外部インタフェース11と信号線3とを介して複数の外部装置4と接続して、各外部装置4を監視、制御する。なお、外部装置4は、例えば、基地局BS内のエアコンや照明、及び、無線端末との間で無線装置を行うための装置等が該当し、電力を必要とする装置である。なお、外部装置4の雷サージに対する耐圧は、制御装置10の耐圧よりも小さいものとする。
また、制御装置10は、外部装置4と制御装置10自身とを、雷サージから保護するサージ保護装置として機能する。以下、制御装置10の電気機器の監視、制御機能については説明を簡略化し、雷サージ保護機能について主に説明する。
【0016】
制御装置10は、図1に示すように、外部インタフェース11と、内部回路12と、通信部13と、を備える。
【0017】
外部インタフェース11は、信号線3を介して各外部装置4と接続され、各外部装置4と通信を行う。落雷によって誘導雷や直撃雷を受けた場合、信号線3を介して、外部装置4からサージ電圧が制御装置10に印加されることが考えられる。外部インタフェース11は、サージ電圧が印加されたときに、制御装置10に影響を及ぼさないように保護する雷サージ保護機能を有する。
【0018】
外部インタフェース11は、メイン回路111と、ダイオード群112と、ヒューズ部113とを備える。
【0019】
メイン回路111は、CPU(Central Processing Unit)等を備え、外部装置4から送信されたデータを内部回路12に出力する処理や、内部回路12から出力された通信データを外部装置4に送信する処理を実行する。
【0020】
ダイオード群112は、高負荷のサージ電圧により発生した雷サージ電流5が制御装置10に負荷されないように、雷サージ電流5がヒューズ部113に流れるように切り替える。制御装置10には、制御対象となる全ての外部装置4からサージ電圧が印加される可能性がある。このため、ダイオード群112は、外部装置4と接続されている全ての信号線3に、正常に動作する電圧よりも大きな電圧で、予め定めた値を越えたサージ電圧が印加された場合、メイン回路111側にサージ電圧が印加されないように、サージ電圧により発生した雷サージ電流5をヒューズ部113に流す。これにより、制御装置10の内部回路12にサージ電圧が印加されることを防止することができる。よって、制御装置10が雷サージにより故障を防止することができる。
【0021】
ヒューズ部113は、ダイオード群112によって流されてきた雷サージ電流5をフレームグランド(以下、「FG」とする)に流す。また、ヒューズ部113は、雷サージ電流5が予め定めた電流容量以上であるか否かを、自身に含まれるそれぞれ容量の異なるヒューズの溶断によって検出し、雷サージ電流5が予め定めた電流容量以上であることを検出した場合、内部回路12に、その旨を通知する断通知信号91〜94を出力する。
【0022】
ヒューズ部113の構成について、図1を参照して説明する。ヒューズ部113は、4個のヒューズ71〜74と、4個の抵抗61〜64とを有する。
【0023】
各ヒューズ71〜74は、サージ電圧により発生する雷サージ電流5が、設定されている電流容量を超えた際に溶断する。また、各ヒューズ71〜74は、スイッチ(以下、「SW」とする)81〜84を有する。
【0024】
なお、雷サージ電流5が流れる上流側から下流側に向かって電流容量が大きくなるように、各ヒューズの電流容量は設定される。また、最も下流側であるヒューズ74の電流容量は、制御装置10の耐圧と同じ高さの電圧によって発生する電流の大きさと同じにするのが望ましい。また、ヒューズ73の電流容量は、外部装置4の耐圧と同じ高さの電圧によって発生する電流の大きさと同じにするのが望ましい。ここでは、サージ電圧が1kV、2kV、3kV、4kVで溶断するように、それぞれのヒューズ71〜74の電流容量が設定されているものとして、以下説明する。
【0025】
なお、制御装置10の耐圧とは、制御装置10が耐えることのできる最大電圧のことである。制御装置10の場合は、雷サージ保護機能によって保護されているため、より詳細には、制御装置10に直接印加される電圧が、制御装置10が耐えることのできる大きさまで小さくなるように、ダイオード群112によって電流の一部又は全部をFGに流しきることのできる大きさの電圧のうち、最大の電圧が制御装置10の耐圧となる。なお、制御装置10の耐圧は、外部装置4の耐圧よりも大きいものとする。
【0026】
SW81〜84は、ヒューズ71〜74が溶断した時にONとなるスイッチである。SW81〜84がONとなって、シグナルグランド(以下、「SG」とする)と接続されることによる信号変化が断通知信号91〜94として内部回路12に出力される。つまり、断通知信号91〜94は、各ヒューズ71〜74の溶断を通知する信号である。
【0027】
抵抗61〜64は、ヒューズ71〜74が溶断したときに、雷サージ電流5がヒューズ72〜74及びFGに流れるようにするための抵抗である。なお、抵抗61〜64は、想定される大電流が流れても破損しないような、十分な定格電力を有するのが望ましい。
【0028】
以上に説明したように、ヒューズ部113は、ダイオード群112によって流されてきた雷サージ電流5がヒューズ71〜74の電流容量以内である場合、雷サージ電流5をFGに流す。また、雷サージ電流5が各ヒューズ71〜74の電流容量よりも大きい場合、雷サージ電流5をFGに流すとともに、対応するヒューズ71〜74を溶断して、その溶断を内部回路12に通知する。これにより、ヒューズ部113は、内部回路12に対して、サージ電圧の大きさを細分化して通知することが可能となる。
【0029】
図1に戻り、内部回路12は、CPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、ROMに格納されているプログラムを実行することにより、制御装置10の主要な処理を実行する。例えば、内部回路12は、外部装置4を監視又は制御するための通信データを外部インタフェース11のメイン回路111に出力する。また、内部回路12は、この監視又は制御に応じて、外部装置4から送信された通信データを取得したメイン回路111から、この通信データの出力を受ける。なお、内部回路21のROMには、制御装置10を他の制御装置10と識別可能なID情報が格納されているものとする。
【0030】
通信部13は、NIC(Network Interface Card)等を備え、内部回路12の制御に基づいて、ネットワーク2を介して、サーバ20と通信(情報の送受信)を行う。例えば、通信部13は、ネットワーク2を介して、発生したサージ電圧の大きさを示す情報をサーバ20に送信する。
【0031】
図1に戻り、サーバ20は、各基地局BS内の制御装置10とネットワーク2を介して接続され、各基地局BSを監視、制御する。また、サーバ20は、各制御装置10から受信した情報に基づいて、基地局管理エリア1内で発生した落雷の規模を判別する。サーバ20は、図1に示すように、通信部21と、記憶部22と、操作部23と、表示部24と、制御部25と、を備える。
【0032】
通信部21は、NIC(Network Interface Card)等を備え、制御部25の制御に基づいて、ネットワーク2を介して、制御装置10と通信(情報の送受信)を行う。例えば、通信部21は、ネットワーク2を介して、制御装置10から、発生したサージ電圧の大きさを示す情報を受信する。
【0033】
記憶部22は、ハードディスク等を備え、種々の情報やデータを記憶する。
操作部23は、サーバ20に様々な情報を入力するために使用するものであり、ボタン、キー等の入力装置を備える。
表示部24は、様々な情報を出力するものであり、ディスプレイ等の表示装置を備える。
【0034】
制御部25は、CPU、ROM、RAM等を備え、ROMに格納されているプログラムを実行することにより、サーバ20の各部を制御する。また、制御部25は、ソフトウェアタイマとしても機能し、現在時刻を取得したり、所定時間を計時することが可能である。また、制御部25は、各基地局BSの制御装置10から受信した情報に基づいて、基地局管理エリア1内で発生した落雷の規模を判別する落雷規模予想処理を実行する。落雷規模予想処理の詳細については後述する。
【0035】
続いて、第1の実施形態に係る落雷発生時のサージ保護システム1の動作について説明する。
落雷により基地局BSへの誘導雷や直撃雷が発生した場合、外部装置4から信号線3を介して、サージ電圧が制御装置10の外部インタフェース11に印加される。この際、外部インタフェース11のダイオード群112は、このサージ電圧によって発生した雷サージ電流5をヒューズ部113に流す。ヒューズ部113は、ダイオード群112から流れてきた雷サージ電流5を各ヒューズ71〜74を経由してFGに流す。これにより、サージ電圧が制御装置10に直接印加されないようにして、制御装置10を保護する。
【0036】
また、この際、ヒューズ部113の各ヒューズ71〜74は、流れる雷サージ電流5が自身の電流容量を超えると溶断し、溶断したことを示す断通知信号91〜94を内部回路12に出力する。
例えば、1.5kVのサージ電圧の印加により発生した雷サージ電流5が信号線3を介して流れた場合、サージ電圧が1kVで溶断するヒューズ71のみが溶断してスイッチ81がONとなり、制御装置10に断通知信号91が出力される。
また、2.5kVのサージ電圧の印加により発生した雷サージ電流5が信号線3を介して流れた場合、サージ電圧が1kV、2kVで溶断するヒューズ71、72が溶断してスイッチ81、82がONとなり、制御装置10に断通知信号91、92が出力される。
また、3.5kVのサージ電圧の印加により発生した雷サージ電流5が信号線3を介して流れた場合、サージ電圧が1kV、2kV、3kVで溶断するヒューズ71、72、73が溶断してスイッチ81、82、83がONとなり、制御装置10に断通知信号91、92、93が出力される。
また、4.5kVのサージ電圧の印加により発生した雷サージ電流5が信号線3を介して流れた場合、サージ電圧が1kV、2kV、3kV、4kVで溶断するヒューズ71、72、73、74が溶断してスイッチ81、82、83、84がONとなり、制御装置10に断通知信号91、92、93、94が出力される。
【0037】
内部回路12は、ヒューズ部113から断通知信号91〜94を受信すると、受信した断通知信号91〜94のパターンに基づいて、雷サージから外部装置4や自身を保護するための処理を実行する。例えば、断通知信号93を受信した場合、印加されたサージ電圧は外部装置4の耐圧以上であるため、内部回路12は、外部インタフェース11を介して、外部装置4への電源供給を遮断することにより、外部装置4の故障を回避する。
【0038】
また、内部回路12は、ヒューズ部113から断通知信号91〜94を受信すると、受信した断通知信号91〜94のパターンに基づいて、サージ電圧の値を判別する。
例えば、断通知信号91のみを受信した場合、制御部25は、1.5kVのサージ電圧が発生したと判別すればよい。また、断通知信号91、92を受信した場合、制御部25は、2.5kVのサージ電圧が発生したと判別すればよい。また、断通知信号91、92、93を受信した場合、内部回路12は、3.5kVのサージ電圧が発生したと判別すればよい。また、断通知信号91、92、93、94を受信した場合、制御部25は、4kV以上のサージ電圧が発生したと判別すればよい。
【0039】
続いて、制御部25は、通信部21を制御して、判別したサージ電圧の値を示すサージ電圧検出情報をサーバ20に送信する。
【0040】
一方、サーバ20では、図1に示す落雷規模判別処理が実施される。
サーバ20の電源が投入されると、制御部25は、所定時間内(例えば、1分以内)に、基地局BSの制御装置10から、サージ電圧検出情報を受信したか否かを判別する(ステップS11)。各基地局BSは、比較的狭い基地局管理エリア1内に配置されている。従って、落雷発生時には、所定時間内に各基地局BSの制御装置10〜10のそれぞれから、複数のサージ電圧検出情報を受信する可能性が高い。
【0041】
サージ電圧検出情報を受信していないと判別した場合(ステップS11;No)、各基地局BSで落雷によるサージ電圧は発生していないことがわる。従って、制御部25は、所定時間内に各制御装置10からサージ電圧検出情報を受信したか否かを判別する処理を繰り返す(ステップS11)。
【0042】
サージ電圧検出情報を受信したと判別した場合(ステップS11;No)、制御部25は、受信したサージ電圧検出情報が示すサージ電圧の値に基づいて、基地局管理エリア1内で発生したサージ電圧の値を判別する(ステップS12)。具体的には、制御部25は、各制御装置10から受信したサージ電圧検出情報が示すサージ電圧の値の平均値を、基地局管理エリア1内で発生したサージ電圧の値と判別する。
【0043】
例えば、ステップS11で4つの基地局BSの各制御装置10から受信したサージ電圧検出情報が、何れも3.5kVのサージ電圧を示している場合、制御部25は、基地局管理エリア1内で3.5kVのサージ電圧が発生したと判別すればよい。
【0044】
また、ステップS11で4つの基地局BSの各制御装置10から受信したサージ電圧検出情報が、それぞれ、1.5kV、1.5kV、2.5kV、2.5kVのサージ電圧を示している場合、制御部25は、これらの平均を取り、基地局管理エリア1内で2kVのサージ電圧が発生したと判別すればよい。
【0045】
続いて、制御部25は、基地局管理エリア1内で発生した落雷の規模を示す情報として、ステップS12で判別した基地局管理エリア1内で発生したサージ電圧の値を、落雷発生時刻(ステップS11でサージ電圧検出情報を受信した時刻)とともに、表示部24に表示させる(ステップS13)。ユーザは、この表示を確認することにより、基地局管理エリア1内全体で、どの程度の雷が発生したかを把握することが可能となる。従って、基地局管理エリア1内を対象に、雷の規模に応じて警報を出したり、他の管理設備への電力供給を遮断するなどの対策をとることが可能となる。以上で、落雷規模判別処理は終了する。
【0046】
このように、本実施形態によれば、各基地局BS内に設置された制御装置10は、サージ電圧が印加された際に、雷サージから基地局BS内の装置を保護するだけでなく、複数のヒューズ71〜74を用いてサージ電圧の値を取得し、サーバ20に送信する。そして、サーバ20は、各制御装置10から受信したサージ電圧の値に基づいて、基地局管理エリア1内全体で発生した落雷の規模を判別する。従って、本実施形態に係る雷サージシステム100によれば、雷サージから電気機器を保護するだけでなく、基地局管理エリア1内で発生した雷の規模を検出することが可能となる。
【0047】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態に係るサージ保護システム100について詳細に説明する。なお、本発明の第2の実施形態に係るサージ保護システム100の構成は、ヒューズ部113の構成以外は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0048】
第2の実施形態に係るサージ保護システムのヒューズ部113の構成を図1に示す。第1の実施形態と比較して、第2の実施形態では、3つのヒューズ71〜73が並列に接続されていることを特徴とする。
【0049】
各ヒューズ71〜74の動作は基本的に、第1の実施形態と同様である。即ち、各ヒューズ71〜74は、サージ電圧により発生する雷サージ電流5が、設定されている電流容量を超えた際に溶断する。また、各ヒューズ71〜74は、スイッチ(以下、「SW」とする)81〜84を有する。
【0050】
なお、雷サージ電流が流れる最も下流側のヒューズ74の電流容量は、制御装置10の耐圧と同じ高さの電圧によって発生する電流の大きさと同じに設定されている。また、ヒューズ71〜73は、外部装置4の耐圧と同じ高さの電圧によって発生する電流の大きさと同じに設定されている。
【0051】
また、SW81〜84は、第1の実施形態と同様に、ヒューズ71〜74が溶断した時にONとなるスイッチであり、SW81〜84がONとなって、シグナルグランド(以下、「SG」とする)と接続されることによる信号変化が断通知信号91〜94として内部回路12に出力される。
【0052】
抵抗61〜64は、第1の実施形態と同様に、ヒューズ71〜74が溶断したときに、雷サージ電流5がヒューズ72〜74及びFGに流れるようにするための抵抗である。
【0053】
続いて、第2の実施形態に係るサージ保護システムの動作について説明する。
誘導雷や直撃雷によって発生した雷サージ電流5をヒューズ部113に流す動作は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0054】
印加された雷サージ電圧によりヒューズ部113に雷サージ電流5が流れる。ヒューズ71は、自身を流れる雷サージ電流5が電流容量を超えると溶断する。スイッチ81は、この溶断によってONとなり、断通知信号91を内部回路12に出力する。内部回路12は、断通知信号91を受けると、外部装置4を保護するために、外部インタフェース11を介して、外部装置4への電源供給を遮断する。また、制御部25は、断通知信号91から印加されたサージ電圧の大きさを判別し、サーバ20に送信する。
次に、落雷の恐れがなくなった場合、制御装置10の内部回路12は、再び外部装置4に電源を供給する。このとき、本実施形態では、ヒューズ71は、交換等がされておらず、溶断したままとする。
【0055】
次に、再び落雷が発生した場合、雷サージ電流5は、抵抗61を経由してヒューズ72に流れる。ヒューズ72は、自身を流れる雷サージ電流5が電流容量を超えると溶断する。スイッチ82は、この溶断によってONとなり、内部回路12に断通知信号92を出力する。内部回路12は、断通知信号92を受けると、外部装置4を保護するために、外部インタフェース11を介して、外部装置4への電源供給を遮断する。また、内部回路12は、断通知信号91から印加されたサージ電圧の大きさを判別し、サーバ20に送信する。
次に、落雷の恐れがなくなった場合、制御装置10の内部回路12は、再び外部装置4に電源を供給する。このとき、本実施形態では、ヒューズ71、72は、交換等がされておらず、溶断したままとする。
【0056】
次に、再び落雷が発生した場合、雷サージ電流5は、抵抗61、62を経由してヒューズ73に流れる。ヒューズ73は、自身を流れる雷サージ電流5が電流容量を超えると溶断する。スイッチ83は、この溶断によってONとなり、内部回路12に断通知信号93を出力する。制御装置10は、断通知信号93を受けると、外部装置4を保護するために、外部インタフェース11を介して、外部装置4への電源供給を遮断する。また、内部回路12は、断通知信号93から印加されたサージ電圧の大きさを判別し、サーバ20に送信する。
なお、ヒューズ73が溶断した後に、ヒューズ部113に再び雷サージ電流5が流れてきた場合、雷サージ電流5は、抵抗63を経由してFGに流れることとなる。
【0057】
以上に説明したように、第2の実施形態では、同じ電流容量である3つのヒューズ71、72、73を並列に接続するようにしている。そのため、ヒューズ71、72、73の電流容量を超える雷サージ電流5をヒューズの交換なしに3回検出することができる。つまり、ヒューズ71、72、73の交換なしに同様の大きさのサージ電圧の印加を複数回、制御装置10に通知することができる。そのため、ヒューズ71、72、73の交換なしに、制御装置10から外部装置4への電源供給を遮断して故障を回避する制御を複数回行うことができる。
【0058】
以上に説明したように、第2の実施形態によれば、容易にヒューズの交換ができないシステムであっても、ヒューズの交換をすることなく、外部装置4とこの外部装置4を制御する制御装置10のように、サージ電圧に対する耐圧がそれぞれ異なる複数の装置をサージ電圧から適切に保護することができる。
【0059】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない部分での種々の変更は勿論可能である。
【0060】
例えば、上記各実施形態では、基地局管理エリア1内で発生した落雷の規模を示す情報として、各制御装置10から受信したサージ電圧の平均値を判別して表示した。しかしながら、判別したサージ電圧の平均値から、落雷の規模を「小」、「中」、「大」などと分類して表示してもよい。このようにすることで、ユーザにとって、落雷の規模をより実感し易い表示とすることができる。
【0061】
また、上記各実施形態では、各制御装置10から受信したサージ電圧検出情報が示すサージ電圧の値の平均値を、基地局管理エリア1内で発生した雷の規模として判別した。これに対し、基地局管理エリア1内の中心に近い位置に配置されている基地局BSの制御装置10から受信したサージ電圧検出情報が示すサージ電圧の値に、より大きな重みを付したサージ電圧の平均値を、基地局管理エリア1内で発生した雷の規模として判別してもよい。なお、この場合、サーバ20の記憶部22には、各基地局BSの位置情報や、基地局管理エリア1の中心位置情報等が予め記憶されている必要がある。
このようにすることで、基地局管理エリア1の中心に近い場所で発生したサージ電圧の値ほど、基地局管理エリア1で発生した雷の規模により強く反映される。従って、基地局管理エリア1で発生した雷の規模を、より正確に求めることが可能となる。
【0062】
また、上記各実施形態では、各制御装置10から受信したサージ電圧検出情報が示すサージ電圧の平均値を、基地局管理エリア1内で発生したサージ電圧の値として判別した。
しかしながら、受信したサージ電圧検出情報が示すサージ電圧の値の最大値を、基地局管理エリア1内で発生したサージ電圧の値としてもよい。
【0063】
また、上記各実施形態では、制御装置10の内部回路12が、外部インタフェース11のヒューズ部113から受信した断通知信号91〜94に基づいてサージ電圧の値を判別してサーバ20に送信した。これに対して、内部回路12が、ヒューズ部113から受信した断通知信号91〜94を直接サーバ20に送信し、サーバ20が受信した断通知信号91〜94から、サージ電圧の大きさを判別してもよい。
【0064】
また、上記各実施形態では、ヒューズ部113のヒューズの数を4個として説明したが、ヒューズ部113の備えるヒューズの数は任意である。また、各ヒューズの電流容量も任意である。また、各制御装置10で、ヒューズ部113内のヒューズの数や電流容量が異なっていてもよい。
【0065】
また、本発明に係るサーバ20の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータや情報端末機器等に適用することで、当該パーソナルコンピュータ等を本発明に係るサーバ20として機能させることも可能である。
【0066】
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0067】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0068】
(付記1)
所定エリア内に配置された複数のサージ保護装置と、前記各サージ保護装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバとを備えるサージ保護システムであって、
前記各サージ保護装置は、
サージ電圧の値を検出するサージ電圧検出手段と、
前記サージ電圧検出手段が検出したサージ電圧の値を示すサージ電圧検出情報を前記サーバに送信するサージ電圧送信手段と、を備え、
前記サーバは、
各前記サージ保護装置から所定の時間内に受信したサージ電圧検出情報に基づいて、前記所定エリア内で発生した雷の規模を判別する雷規模判別手段と、
前記雷規模判別手段が判別した雷の規模を示す情報を表示する雷規模表示手段と、を備える、
ことを特徴とするサージ保護システム。
【0069】
(付記2)
前記雷規模判別手段は、前記所定の時間内に受信した複数のサージ電圧検出情報が示すサージ電圧の平均値を、前記所定エリア内で発生した雷の規模として判別する、
ことを特徴とする付記1に記載のサージ保護システム。
【0070】
(付記3)
前記雷規模判別手段は、前記所定エリアの中心に近い位置に配置されている前記サージ保護装置から受信したサージ電圧検出情報が示すサージ電圧の値により大きな重みを付した前記平均値を、前記所定エリア内で発生した雷の規模として判別する、
ことを特徴とする付記2に記載のサージ保護システム。
【0071】
(付記4)
前記雷規模判別手段は、前記所定の時間内に受信した複数のサージ電圧検出情報が示すサージ電圧の最大値を、前記所定エリア内で発生した雷の規模として判別する、
ことを特徴とする付記1に記載のサージ保護システム。
【0072】
(付記5)
前記サージ電圧検出手段は複数のヒューズを有し、各ヒューズの溶断によって、サージ電圧の値を検出する、
ことを特徴とする付記1乃至4の何れか1つに記載のサージ保護システム。
【0073】
(付記6)
前記複数のヒューズが並列に接続されている、
ことを特徴とする付記5に記載のサージ保護システム。
【0074】
(付記7)
所定エリア内に配置された複数のサージ保護装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバであって、
各前記サージ保護装置から所定の時間内に受信したサージ電圧の値を示すサージ電圧検出情報に基づいて、前記所定エリア内で発生した雷の規模を判別する雷規模判別手段と、
前記雷規模判別手段が判別した雷の規模を示す情報を表示する雷規模表示手段と、
を備えることを特徴とするサーバ。
【0075】
(付記8)
所定エリア内に配置された複数のサージ保護装置から所定の時間内にサージ電圧の値を示すサージ電圧検出情報を受信し、
前記受信したサージ電圧検出情報に基づいて、前記所定エリア内で発生した雷の規模を判別し、
前記判別した雷の規模を示す情報を表示する、
ことを特徴とする雷規模判別方法。
【0076】
(付記9)
所定エリア内に配置された複数のサージ保護装置と通信ネットワークを介して接続されるコンピュータを、
各前記サージ保護装置から所定の時間内に受信したサージ電圧の値を示すサージ電圧検出情報に基づいて、前記所定エリア内で発生した雷の規模を判別する雷規模判別手段、
前記雷規模判別手段が判別した雷の規模を示す情報を表示する雷規模表示手段、
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0077】
1 基地局管理エリア
2 ネットワーク
3 信号線
4 外部装置
5 雷サージ電流
10 制御装置
11 外部インタフェース
111 メイン回路
112 ダイオード群
113 ヒューズ部
12 内部回路
13 通信部
20 サーバ
21 通信部
22 記憶部
23 操作部
24 表示部
25 制御部
61〜64 抵抗
71〜74 ヒューズ
81〜84 スイッチ
BS 基地局
100 サージ保護システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定エリア内に配置された複数のサージ保護装置と、前記各サージ保護装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバとを備えるサージ保護システムであって、
前記各サージ保護装置は、
サージ電圧の値を検出するサージ電圧検出手段と、
前記サージ電圧検出手段が検出したサージ電圧の値を示すサージ電圧検出情報を前記サーバに送信するサージ電圧送信手段と、を備え、
前記サーバは、
各前記サージ保護装置から所定の時間内に受信したサージ電圧検出情報に基づいて、前記所定エリア内で発生した雷の規模を判別する雷規模判別手段と、
前記雷規模判別手段が判別した雷の規模を示す情報を表示する雷規模表示手段と、を備える、
ことを特徴とするサージ保護システム。
【請求項2】
前記雷規模判別手段は、前記所定の時間内に受信した複数のサージ電圧検出情報が示すサージ電圧の平均値を、前記所定エリア内で発生した雷の規模として判別する、
ことを特徴とする請求項1に記載のサージ保護システム。
【請求項3】
前記雷規模判別手段は、前記所定エリアの中心に近い位置に配置されている前記サージ保護装置から受信したサージ電圧検出情報が示すサージ電圧の値により大きな重みを付した前記平均値を、前記所定エリア内で発生した雷の規模として判別する、
ことを特徴とする請求項2に記載のサージ保護システム。
【請求項4】
前記雷規模判別手段は、前記所定の時間内に受信した複数のサージ電圧検出情報が示すサージ電圧の最大値を、前記所定エリア内で発生した雷の規模として判別する、
ことを特徴とする請求項1に記載のサージ保護システム。
【請求項5】
前記サージ電圧検出手段は複数のヒューズを有し、各ヒューズの溶断によって、サージ電圧の値を検出する、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のサージ保護システム。
【請求項6】
前記複数のヒューズが並列に接続されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のサージ保護システム。
【請求項7】
所定エリア内に配置された複数のサージ保護装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバであって、
各前記サージ保護装置から所定の時間内に受信したサージ電圧の値を示すサージ電圧検出情報に基づいて、前記所定エリア内で発生した雷の規模を判別する雷規模判別手段と、
前記雷規模判別手段が判別した雷の規模を示す情報を表示する雷規模表示手段と、
を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項8】
所定エリア内に配置された複数のサージ保護装置から所定の時間内にサージ電圧の値を示すサージ電圧検出情報を受信し、
前記受信したサージ電圧検出情報に基づいて、前記所定エリア内で発生した雷の規模を判別し、
前記判別した雷の規模を示す情報を表示する、
ことを特徴とする雷規模判別方法。
【請求項9】
所定エリア内に配置された複数のサージ保護装置と通信ネットワークを介して接続されるコンピュータを、
各前記サージ保護装置から所定の時間内に受信したサージ電圧の値を示すサージ電圧検出情報に基づいて、前記所定エリア内で発生した雷の規模を判別する雷規模判別手段、
前記雷規模判別手段が判別した雷の規模を示す情報を表示する雷規模表示手段、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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