サーバ、車載装置、及び、評価システム
【課題】サーバで受信される診断情報の鮮度にばらつきがある場合でも、一定の信頼性のある評価情報を車載装置のユーザに提供することができる技術を提供する。
【解決手段】サーバは、更新処理を月単位と日単位とでそれぞれ実行し、このうち、月単位の更新処理では、前月の診断データを記憶部より抽出し(S405)、診断ポイントをユーザID単位でまとめ、累計ポイントを算出する(S410)。そして、この累計ポイントに基づいて、相対的な順位やステータス(Gold,Silver,Blue)等の評価データを算出する(S415)。したがって、特定の期間(前月)に対応する診断データに基づいてこれらの評価データが算出されるため、サーバへ診断データが集まってくるタイミングにばらつきがある場合でも、一定の信頼性のある評価データを提供することができる。
【解決手段】サーバは、更新処理を月単位と日単位とでそれぞれ実行し、このうち、月単位の更新処理では、前月の診断データを記憶部より抽出し(S405)、診断ポイントをユーザID単位でまとめ、累計ポイントを算出する(S410)。そして、この累計ポイントに基づいて、相対的な順位やステータス(Gold,Silver,Blue)等の評価データを算出する(S415)。したがって、特定の期間(前月)に対応する診断データに基づいてこれらの評価データが算出されるため、サーバへ診断データが集まってくるタイミングにばらつきがある場合でも、一定の信頼性のある評価データを提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置より送られてきた診断情報に基づく評価情報を生成し、生成した評価情報を車載装置に提供するサーバ、そのサーバに対して診断情報を提供するとともにサーバから評価情報の提供を受けてユーザに報知する車載装置、及び、これらをシステムとして構成した評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境に関する関心や社会貢献が世界的なブームとなっており、このような時代背景の中、地球環境問題に関する活動は避けて通れない状況にある。また、自動車関連メーカーにとって、それら地球環境に関する諸問題をクリアすることは、安全に関する取組みと同様、社会的使命となっている。
【0003】
しかし、これら取組みは企業努力だけでは限界があり、個々のドライバーが環境に優しい運転を行うことが望まれる。また、環境に優しい運転は、安全運転にも繋がることから、各ドライバーの運転技術を向上させることは非常に重要テーマである。
【0004】
運転技術を向上させる一つの方法として、ドライバーの運転内容を診断して数値化し、それを評価ポイントとしてドライバーに付与することが考えられる。そして、その評価ポイントによってドライバーのランク付けを行ったり、評価ポイントの累積値に応じて車両等の購入の際に割引を行ったりすることが考えられる。
【0005】
このような評価ポイントを応用した仕組みを実現するシステムの一つとして、車両に搭載された診断装置で各ドライバーの診断を行い、その診断結果をセンタサーバ(以下、単に「サーバ」と称す。)に送信し、サーバで診断結果に基づいて各ドライバーの評価(例えばランク付け)を行うシステムが考えられる。このようなシステムでは、診断結果をサーバに送信する方法として大きく二つの方法が考えられる。
【0006】
一つ目の方法は、車両に搭載されたDCM(Data Communication Module)を介して評価結果をサーバに送信する方法である。この方法であれば、DCMが基地局と通信可能な状況でありさえすれば、診断結果の算出を終えたタイミングで診断装置がサーバに診断結果を送信することができる。したがって、サーバで受信された診断結果は、直近に診断された結果である可能性が高く、鮮度の良い診断結果であると言える。
【0007】
二つ目の方法は、乗員が車両に持ち込んだ携帯電話等の携帯端末(通信機能を有する携帯端末)を介し、診断結果をサーバに送信する方法である。この方法であれば、車両にDCMが搭載されていなくても、乗員が車両に携帯端末を持ち込むことによって診断結果をサーバに送信することができる。しかしながら、診断結果が診断装置からサーバに送信されるタイミングは、ユーザの意思に左右されやすく、サーバで受信された診断結果の鮮度は安定しない。また、未送信の診断結果がまとまって送信される場合もある。
【0008】
サーバへの診断結果の送信方法について、このように二つの方法があると、現時点でサーバに集まっている診断結果に基づいて例えばドライバーの相対的なランキング表を生成すると、ランキングが時々刻々と変化してしまうため、ランキングの信頼性が低下する。
【0009】
ところで、このようにサーバにおいてランキング情報を生成するシステムに関しては、下記の特許文献1〜5に記載された技術が知られている。
特許文献1に記載された技術は、インターネット網や携帯電話を用いた通信ゲームに関するもので、そのゲームのランキングを閲覧できるようにしたものである。しかしながら、このゲーム端末は常時接続されることが前提となっており、その結果もセンタ側に逐次蓄積されるものであるため、上述したような問題は発生しない。
【0010】
また、特許文献2に記載された技術は、移動体に通信網を介して情報を提供する情報提供サービスシステムにおいて、移動体から通信網を介して取得した移動体情報に基づいて運転技術情報を作成し、少なくとも1つのランキンググループ(例えば、車種、車両タイプ、走行環境等を考慮したグループ)内での順位付けを行い、その順位付けされた運転技術情報を各移動体へ提供するものである。この文献には、「運転技術ランキング」「燃費ランキング」に関する内容が記載されているが、このランキングをどのような時間間隔でランキングするか、また、どのような仕組みで移動体情報をアップロードするかについて具体的に記載されていない。
【0011】
また、特許文献3に記載された技術は、エコ活動参加者の環境負荷削減活動を評価し、報償を与えることによってさらにエコ活動に関わる動機付けを行うことを可能にするエコ活動支援方法に関する技術である。この文献には、「エコ活動参加者に与えられる報償は、報償スポンサ−が提供する金銭や製品、また、エコ活動実績を二酸化炭素排出量に換算した後、二酸化炭素排出権取引市場で売却して得る利益、または、実績をランキング表示してインターネットを介して公表することによって得られる名誉がある」との記載があるが(特許文献3の段落「0067」)、ランキングについての具体的な内容は記載されていない。
【0012】
また、特許文献4に記載された技術は、運転者による車両の運転操作から安全運転度を算出し、その算出された安全運転度に基づいてランク付けを行い、安全運転を励行するものである。本文献の中には「センタ105では、ナビゲーション装置100から送信されデータベース60cに蓄積された各運転者の安全運転度を基に運転者のランク付けを行い、データベース60cに運転者毎に記憶する」との記載はあるが(引用文献4の段落「0151」)、安全運転度に関するデータ送信は、1日毎に行われることが前提になっている。このため、センタで受信されるデータの鮮度には1日以上のばらつきはなく、鮮度のばらつきに関する工夫は引用文献4には記載されていない。
【特許文献1】特開2002−224453号公報
【特許文献2】特開2003−208696号公報
【特許文献3】特開2005−92871号公報
【特許文献4】特開2007−172487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した問題にかんがみなされたものであり、サーバで受信される診断情報の鮮度にばらつきがある場合でも、一定の信頼性のある評価情報を車載装置のユーザに提供することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載のサーバは、サーバ側通信手段と、受信情報記憶手段と、評価情報生成手段と、送信手段とを備える。サーバ側通信手段は、車載装置と通信を行うための手段である。受信情報記憶手段は、診断情報、その診断情報に係るタイムスタンプ、及び、ユーザ特定情報を、サーバ側通信手段を介して車載装置より取得し、これらを対応付けて受信情報として記憶する手段である。評価情報生成手段は、受信情報記憶手段が記憶する受信情報を参照し、過去の所定の期間に含まれるタイムスタンプに対応する診断情報より、所定の期間の評価情報をユーザと対応付けて生成し、生成した評価情報をユーザと対応付けて記憶する手段である。送信手段は、評価情報生成手段が記憶する評価情報のうち、サーバ側通信手段を介して車載装置が要求したユーザに対応する評価情報を、サーバ側通信手段を介して要求元の車載装置へ送信する手段である。なお、評価情報としては、車載装置において行われた評価の結果の情報であってもよいし、評価に用いられる情報であって車載装置において収集された情報であってもよい。
【0015】
このような手段を備えるサーバであれば、所定の期間に対応する診断情報に基づいて評価情報が生成されるため、サーバへ情報が集まってくるタイミングにばらつきがある場合でも、所定の期間を適切に設定することにより、一定の信頼性のある評価情報を提供することができる。
【0016】
ところで、上述したように、診断情報をサーバに送信する方法としては、車両に常時搭載された通信装置、例えば、DCM(Data Communication Module)を介して評価情報をサーバに送信する方法と、乗員が車両に持ち込んだ携帯電話等の携帯端末を介して診断情報をサーバに送信する方法とが考えられる。この場合、DCMを介してサーバに送られてくる診断情報は、携帯端末を介してサーバに送られてくる診断情報に比較して鮮度が良い。そのような鮮度が良い診断情報を送信してくるDCMを介して通信を行う車載装置に対しては、携帯端末を介して通信を行う車載装置よりも何らかの優遇を提供できると良い。そして、優遇が提供できれば、DCMを介して通信を行う車載装置が増え、ひいては鮮度の良い診断情報がサーバにさらに集まることとなる。
【0017】
そのような優遇策を提供できるサーバの一つとして、例えば、請求項2に記載のようなサーバを構成することが考えられる。すなわち、サーバ側通信手段が車載装置と通信を行う際、その車載装置が車両に常時搭載された通信装置経由で通信を行う車載装置であるか否かを判定する判定手段をさらに備えるようにサーバを構成し、評価情報生成手段は、所定の期間の一つであって、上記通信装置経由で通信を行う車載装置向けの期間により、上記通信装置経由で通信を行う車載装置向けの評価情報をさらに生成して記憶し、送信手段は、上記通信装置経由で通信を行う車載装置であると判定手段により判定された車載装置に対してのみ、上記通信装置経由で通信を行う車載装置向けの評価情報を送信するようにサーバを構成することが考えられる。具体的には例えば、携帯端末を介して通信を行う車載装置に対しては、先月の診断情報に基づいて生成された評価情報と先週の診断情報に基づいて生成された評価情報を提供し、DCMを介して通信を行う車載装置に対しては、さらに、昨日の診断情報に基づいて生成された評価情報を提供することが考えられる。
【0018】
このようなサーバであれば、鮮度が良い診断情報を送信してくる可能性が高い車載装置、すなわち、車両に常時搭載された通信装置経由で通信を行う車載装置に対して、特別な評価情報を提供することができる。その結果、車両に常時搭載された通信装置経由で通信を行う車載装置が増え、鮮度の良い診断情報がより集まることとなる。
【0019】
ところで、上記所定の期間は、その長さによって繰り返されるとよい。つまり、請求項3に記載のように、評価情報生成手段は、上記所定の期間の長さで繰り返し評価情報を生成するようになっているとよい。具体的には例えば、所定の期間として「一週間」と設定した場合、毎週、前週に対応する評価情報を生成するとよい。
【0020】
このようになっていれば、期間毎の評価情報を比較することができ、例えば、前の期間よりも評価が上がったとか下がったとかという比較ができる。
ところで、「ユーザ」を個人という単位ではなく、サーバにおける登録ユーザという単位で捉えると、例えば、夫婦で1つのユーザをサーバへ登録することを許容する運用も考えられる。このような場合、夫婦で複数台の車両を保有している場合や、夫婦のうちのどちらかが保有車両以外にレンタカーを運転した場合等には、複数の車載装置から同時期に同一のユーザについての診断情報がサーバに送信される可能性がある。「ユーザ」を個人という単位で捉えているならば、同時期に同一のユーザについての診断情報がサーバに送信された場合、異常情報としてその診断情報を破棄することもできる。しかし、「ユーザ」をサーバにおける登録ユーザという単位で捉えている場合には、同時期に同一のユーザについての診断情報がサーバに送信されたということをもって、診断情報を破棄することはできない。けれども、車載装置の故障等によって複数回、同一の診断情報がサーバに送信されてしまう場合が想定され、このような場合は異常情報としてその診断情報を破棄することが好ましい。
【0021】
そこで、請求項4に記載のようなサーバが考えられる。つまり、受信情報記憶手段が、受信情報と共に、車載装置を特定することができる車載装置特定情報を、サーバ側通信手段を介して車載装置より取得し、受信情報と対応付けて記憶し、評価情報生成手段が、タイムスタンプ、ユーザ特定情報及び車載装置特定情報の組み合わせが重複する診断情報については、評価情報を生成しないようになったサーバが考えられる。
【0022】
このようなサーバであれば、「ユーザ」をサーバにおける登録ユーザという単位で捉えている場合であっても、車載装置の故障等によって重複して送信された診断情報が用いられて、評価情報が生成されることを防止できる。
【0023】
ところで、評価情報としては、診断情報に基づくものであればどのような情報であってもよいが、例えば、ユーザの相対的な順位であるとよい。すなわち、請求項5に記載のように、評価情報生成手段は、期間内に係る診断情報毎にポイントを求め、期間内におけるポイントの累計値である第一の累計値により、ユーザの相対的な順位を決定し、その決定した順位を評価情報とし、ユーザと対応付けて記憶するようになっているとよい。
【0024】
このようになっていれば、相対的な順位を知ったユーザは、より順位を上げたいと考え、運転技術の向上を図る努力をすると考えられる。
また、評価情報は、相対的なものではなく絶対的なもの、例えば、ステータスであってもよい。すなわち、請求項6に記載のように、評価情報生成手段は、期間内に係る診断情報毎にポイントを求め、期間内におけるポイントの累計値である第二の累計値により、ユーザが複数の絶対的なステータスのうちのいずれのステータスに属するかを決定し、その決定したステータスを特定する情報であるステータス情報を評価情報とし、ユーザと対応付けて記憶するようになっているとよい。
【0025】
このようになっていれば、自身のステータスを知ったユーザは、より上位のステータスを得ようと考え、運転技術の向上を図る努力をすると考えられる。
ところで、車載装置のユーザは、上述したような信頼性の高い評価情報としてのステータスが得られるのであれば、たとえ多少信頼性が劣ったとしても、より現在の状況に近い
評価情報や、より努力結果が細かくわかる評価情報について、さらに得たいと考える。
【0026】
そこで、請求項7に記載のようなサーバが考えられる。つまり、評価情報生成手段が、直前の期間以降に係る前断情報毎にポイントを求め、直前の期間以降のポイントの累計値である第三の累計値により、上記ステータスが細分化された複数のランクのうちのいずれのランクにユーザが属するかを決定し、その決定したランクを特定する情報であるランク情報についても評価情報とし、ユーザと対応付けてさらに記憶するようになったサーバが考えられる。
【0027】
このようなサーバであれば、車載装置のユーザは、現在の状況に近く、努力結果が細かくわかる情報(ランク)についても知ることができる。
なお、上述したようなステータスとの関係を有するランクについても、評価情報として算出するようになったサーバであると、車載装置に送信されるステータスと、車載装置に送信されるランクが属するステータスとで、齟齬が生じるケースが発生し得る。具体的には、決定されたステータスと、決定されたランクが属するステータスとが異なる場合があり得る。これは、ステータスを算出した際に利用した診断情報の期間と、ランクを算出した際に利用した期間が異なるからであるが、このような齟齬が生じると、ステータスとランクとを同時に並べてユーザに表示するような場合に、ユーザに混乱を生じさせるおそれがある。
【0028】
そこで、請求項8に記載のようなサーバが考えられる。つまり、評価情報生成手段が、ランクの決定に際し、第三の累計値が、直前の期間のステータスにおける最低ランクの条件に満たない場合でも、直前の期間のステータスにおける最低ランクに属するものとしてランクを決定し、第三の累計値が、直前の期間のステータスにおける最高ランクの条件を超える場合でも、直前の期間のステータスにおける最高ランクに属するものとしてランクを決定するようになったサーバが考えられる。
【0029】
このようなサーバであれば、上述した齟齬の発生を防止することができる。
ところで、上述したサーバに対応する車載装置とてしては、例えば、請求項9に記載のような、車載装置側通信手段と、車載装置側記憶手段と、報知手段と、第一制御手段と、第二制御手段とを備えた車載装置が考えられる。車載装置側通信手段はサーバと通信を行う手段である。車載装置側記憶手段は、診断情報、その診断情報に係るタイムスタンプ、及び、ユーザ特定情報を記憶する手段である。報知手段は、情報を報知する手段である。第一制御手段は、車載装置側記憶手段に記憶されている診断情報、タイムスタンプ、及び、ユーザ特定情報を、車載装置側通信手段を介してサーバへ送信する手段である。第二制御手段は、車載装置側通信手段に記憶されているユーザ特定情報に対応する評価情報を、車載装置側通信手段を介してサーバに要求し、車載装置側通信手段を介してサーバより送信されてきた評価情報を報知手段に報知させる手段である。
【0030】
このような車載装置であれば、サーバへ情報を送信するタイミングにばらつきがある場合でも、サーバより一定の信頼性のある評価情報を受信し、ユーザに提供(報知)することができる。
【0031】
なお、何らかの事情、例えばユーザの操作ミス等により、サーバに対して診断情報を重複して送信することを防ぐためには、例えば、請求項10に記載のように、第一制御手段は、車載装置側記憶手段に記憶されている診断情報をサーバへ送信すると、車載装置側記憶手段に記憶されている診断情報を削除するようになっているとよい。
【0032】
このようになっていれば、サーバに診断情報が重複して送信されることを防止することができる。
ところで、上述したサーバと上述した車載装置とを組み合わせた評価システムとして発明を構成してもよい(請求項11)。なお、このような評価システムであっても、上述したサーバの効果や車載装置の効果を得ることができることは言うまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0034】
[構成の説明]
図1は、本発明の実施形態である評価システム5を表すブロック図である。評価システム5は、サーバ10と、診断装置20a,20bと、DCM40と、携帯電話50と、公衆ネットワーク60とを有する。サーバ10は、公衆ネットワーク60と接続され、その公衆ネットワーク60を介してDCM40及び携帯電話50と通信を行う。そして、DCM40は診断装置20aと接続され、携帯電話50は診断装置20bと接続されているため、サーバ10は、結果として、診断装置20aと診断装置20bとも通信を行うことができる。なお、サーバ10と公衆ネットワーク60は、有線接続されている。また、DCM40と公衆ネットワーク60、及び、携帯電話50と公衆ネットワーク60は、携帯電話事業者等が提供する広域無線通信パケット網によって接続されている。また、DCM40と診断装置20aは、有線接続されている。また、携帯電話50と診断装置20bは、Bluetooth(登録商標)によって接続されている。また、図1には、DCM40と診断装置20a、携帯電話50と診断装置20bは、それぞれ一組ずつしか描かれていないが、実際は複数存在する。
【0035】
(1)サーバ10
まず、サーバ10の構成について、図2のブロック図を用いて説明する。サーバ10は、通信部11と、記憶部12と、操作部13と、制御部14とを備える。
【0036】
通信部11は、公衆ネットワーク60と通信を行うための機能を有しており、制御部14によって制御される。
記憶部12は、不揮発性の記憶媒体(例えば、ハードディスク等)を有しており、後述する診断データ、後述する評価データ、及び、制御部14が実行するプログラム等を記憶する。
【0037】
操作部13は、キーボード、マウス等を備え、サーバ10の管理者からの指令を受け付けることができる。
制御部14は、CPU,DRAM,ROM,フラッシュメモリ,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びフラッシュメモリ等に記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。具体的な処理内容については後述する。
【0038】
(2)診断装置20a,20b
次に、診断装置20a,20bについて説明する。なお、以下においては、診断装置20aと診断装置20bとを区別する必要がある場合を除き、診断装置20としてまとめて説明する。
【0039】
図3は、診断装置20の概略構成を示すブロック図である。診断装置20は車両に搭載され、車両の現在位置を検出する検出部21と、Bluetoothによる無線通信を行うBT通信部25と、ユーザからの各種指示を入力するための操作スイッチ群28と、操作スイッチ群28と同様に各種指示を入力可能であって診断装置20の本体とは別体となったリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)27と、リモコン27からの信号を入力するリモコンセンサ26と、地図データや音声データ等が記録された地図記憶媒体からデータを入力する地図データ入力部29と、地図や各種情報の表示を行うための表示部30と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部31と、ユーザ等が発話した音声を入力して音声信号に変換する音声入力部32と、車内LANに接続された各種ECU等と通信を行う車内LAN通信部33と、各種情報を記憶する記憶部34と、上述した検出部21,BT通信部25,操作スイッチ群28,リモコンセンサ26,地図データ入力部29,音声入力部32,車内LAN通信部33,記憶部34からの入力に応じて各種処理を実行し、BT通信部25,表示部30,音声出力部31,車内LAN通信部33,記憶部34を制御する制御部39とを備えている。
【0040】
検出部21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を制御部39へ出力するGPS信号受信部22と、車両に加えられる回転運動の大きさを検出してその検出結果を制御部39へ出力するジャイロスコープ23と、車両の走行した距離を検出してその検出結果を制御部39へ出力する距離センサ24とを備えている。そして、これら各部22〜24からの出力信号に基づいて制御部39が、車両の位置,方位,速度等を算出する。なお、GPS信号受信部22からの出力信号に基づいて現在位置を求める方式は様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式のいずれであってもよい。
【0041】
操作スイッチ群28は、表示部30の表示面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部30の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成される。なお、タッチパネルと表示部30とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、そのいずれを用いてもよい。
【0042】
リモコン27は、複数のボタンから構成されており、いずれかのボタンが押下されるとそのボタンの種類に応じた信号が赤外線等の近距離無線通信を介してリモコンセンサ26に届くように構成されている。
【0043】
リモコンセンサ26は、リモコン27から送られる信号を受信し、受信した信号を制御部39へ出力するようになっている。
BT通信部25は、Bluetoothによって携帯電話と通信を行う機能を有する。
【0044】
地図データ入力部29は、図示しない地図データ記憶媒体(例えばハードディスクやDVD−ROM等)に記憶された各種データを入力するための装置である。地図データ記憶媒体には、地図データ(ノードデータ、リンクデータ、道路幅員データ、道路種別データ、通行規制データ、リンク旅行時間、道路名称データ、交差点データ等)、POIデータ(POI名称データ、ジャンルデータ、位置データ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。なお、地図データ記憶媒体からこれらのデータを入力する代わりに、通信ネットワークを介してこれらのデータを入力するようになっていてもよい。
【0045】
表示部30は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等からなり、表示部30の表示画面には、検出部21にて検出した車両の現在位置と地図データ入力部29より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、施設のガイド等も表示できる。
【0046】
音声出力部31は、スピーカを有し、制御部39より入力された音声信号をスピーカより音声として出力することができる。
音声入力部32は、マイクを有し、マイクに入力された利用者の音声に基づく音声信号を制御部39に出力することができる。利用者は、マイクに対して発話することにより、診断装置20に対して音声による指令を入力することができる。
【0047】
車内LAN通信部33は、車内LAN(図示せず)に接続された各種のECU(エンジンECU、AT−ECU、ブレーキECU等)や各種のセンサ(車速センサ、シフトポジションセンサ、前照灯センサ等)との通信を担う。
【0048】
記憶部34は、不揮発性の記憶媒体(例えば、ハードディスク、SSD等)からなり、各種の情報を記憶することができる。
制御部39は、CPU,DRAM,ROM,フラッシュメモリ,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びフラッシュメモリ等に記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。例えば、検出部21からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出する現在位置算出処理や、地図データ入力部29を介して読み込んだ現在走行中の道路の交通規則を特定する交通規則特定処理や、検出部21からの各検出信号に基づいて算出した車速が交通規則特定処理によって特定された交通規則に合致しているかどうかといった種々の診断をしてその診断結果を記憶部34に記憶する診断処理等を実行する。
【0049】
(3)DCM40
DCM40は、診断装置20aが搭載された車両と同一の車両に搭載された通信モジュール(Data Communication Module)であり、車両のドライバー等が容易に車両から取り外すことができないものである。DCM40は、診断装置20aと有線接続されるとともに、公衆ネットワーク60と無線パケット通信を行い、公衆ネットワーク60につながったサーバ10と通信を行うことができる。したがって、診断装置20とサーバ10との間での通信を可能にする。
【0050】
(4)携帯電話50
通話機能、メール送受信機能、Web閲覧機能、Bluetooth通信機能、無線パケット通信機能等を有する周知の携帯電話である。なお、Bluetooth通信機能というのは、携帯電話50の近傍(10m以下)に存在する他の装置(例えば診断装置20)とBluetooth通信によってデータを送受信する機能である。また、無線パケット通信機能というのは、公衆ネットワーク60に接続された他の装置(例えばサーバ10)と広域無線通信によってデータを送受信する機能である。携帯電話50は、Bluetooth通信機能と無線パケット通信機能とを組み合わせて動作させることもできる(つまり、診断装置20とサーバ10との間で通信を可能にする)。
【0051】
[診断装置20の動作の説明]
まず、診断装置20の動作について説明する。診断装置20は、下記の診断装置側送信処理Aと診断装置側送信処理Bについて、択一的に実行する。なお、診断装置20aは、DCM40と接続されていることが予め登録されているため、診断装置側送信処理Aを実行し、診断装置20bは、DCM40と接続されていることが予め登録されていないため、診断装置側送信処理Bを実行する。また、診断装置20は、診断装置側送信処理A,B以外にも診断処理を実行する。この診断処理は、例えば、車両が停止した毎に、前回の停止時以降になされた運転操作を診断し、その診断結果を点数化して診断データとして記憶する処理である。具体的な診断方法については、周知の技術を利用することとし、説明は省略する。
【0052】
(1)診断装置側送受信処理A
診断装置20aの制御部39が実行する車載装置側送受信処理Aについて、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、診断装置側送受信処理Aは、診断装置20aへの電力供給が開始された際、例えば、搭載車両のアクセサリスイッチがオンになった際に、実行が開始される処理である。
【0053】
診断装置20aの制御部39は、診断装置側送受信処理Aの実行を開始すると、まず、DCM40が公衆ネットワーク60に接続可能な状態か否かを判定する(S105)。例えば、制御部39が主導し、サーバ10へ所定のパケットをDCM40に送信させ、そのパケットの応答が所定時間内にサーバ10よりDCM40に届いたか否かを判定することによって上記判定を行うことが考えられる。制御部39は、このS105において、DCM40は公衆ネットワーク60に接続可能な状態であると判定した場合は(S105:Yes)、S110へ処理を移行し、DCM40は公衆ネットワーク60に接続可能な状態でないと判定した場合は(S105:No)、DCM40が公衆ネットワーク60に接続可能になるまで本ステップにとどまる。
【0054】
DCM40を介して通信可能と判定した場合に進むS110では、記憶部34に診断データがあるか否か否かを判定する。なお、本実施形態でいう「診断データ」は、以下の情報から構成される。
【0055】
・ユーザID:ユーザを一意に識別するためのID
・診断装置ID:診断装置を一意に識別するためのID
・タイムスタンプ:診断データが生成された日時を示す情報
・診断ポイント:診断を行った結果の点数(ポイント)
このような診断データが、診断タイミング毎(例えば、車両が停車したタイミング毎)に生成されて記憶部34に逐次記憶される。
【0056】
制御部39は、S110において、診断データが記憶部34にあると判定した場合は(S110:Yes)、S115へ処理を移行し、一方、診断データは記憶部34にないと判定した場合は(S110:No)、S125へ処理を移行する。
【0057】
診断データが記憶部34にあると判定した場合に進むS115では、制御部39は、その診断データを記憶部34より読み出し、DCM40を介してサーバ10へ送信することを開始する。なお、診断データをサーバ10へ送信することに先立ち、サーバ10に対して診断データの受信要求を送信する。また、送信した診断データについては、記憶部34から削除する。
【0058】
続いて、制御部39は、記憶部34に記憶されている診断データを全て送信したか否かを判定する(S120)。診断データを全て送信したと判定した場合は(S120:Yes)、S125へ処理を移行し、一方、診断データがまだ残っていると判定した場合は(S120:No)、記憶部34に記憶されている診断データが全て送信されるまで本ステップにとどまる。
【0059】
S110で否定判定された場合、又は、S120で肯定判定された場合に進むS125では、制御部39は、記憶部34に記憶されている評価データの更新日時を調べ、評価データが所定期間以上前のものか否かを判定する。ここでいう「所定期間」というのは、例えば、1日や1週間といった程度の期間が考えられる。ここで「評価データ」について説明する。評価データは、サーバ10で生成されて診断装置10に送られてくるデータである。そして、評価データは、以下の情報から構成されており、ユーザ単位で存在するデータである。
【0060】
・ユーザID:ユーザを識別するためのID
・月間順位:前月の相対的な順位である。
・累計ポイント点数:年初から前日までの診断データに含まれる診断ポイントの累計
ポイント
・ステータス情報:前月の診断データに基づいて決定されたステータスを表す情報
(例:「Gold」)
・ランク情報:月初から前日までの診断データに基づいて決定されたランクを表す情
報(例:「3」)
・前年自己ベスト:前年の最も良かった月間順位とその月である。
【0061】
・本年自己ベスト:本年の最も良かった月間順位とその月である。
・更新日時:評価データが更新された日時である。
制御部39は、このS125において、記憶部34に記憶されている評価データの更新日時は所定期間以上前のものであると判定した場合は(S125:Yes)、S135へ処理を移行し、一方、記憶部34に記憶されている評価データの更新日時は所定期間以上前のものでないと判定した場合は(S125:No)、S130へ処理を移行する。
【0062】
記憶部34に記憶されている評価データの更新日時は所定期間以上前のものでないと判定した場合に進むS130では、記憶部34に記憶されている評価データに基づく評価を表示部30に表示する。表示例については後述する。その後、制御部39は、本処理(診断装置側送受信処理A)を終了する。
【0063】
一方、記憶部34に記憶されている評価データの更新日時が所定期間以上前のものであると判定された場合に進むS135では、制御部39は、最新の評価データを送信する旨の要求である送信要求を、DCM40を介してサーバ10へ送信する。なお、この送信要求は、制御部39のフラッシュメモリに予め登録されているユーザIDを含めて送信する。
【0064】
続いて、制御部39は、DCM40を介してサーバ10より評価データを受信する(S140)。なお、受信した評価データは記憶部34に上書き記憶させる。
続いて、制御部39は、サーバ10より評価データの受信を完了したか否かを判定する(S145)。これは、例えば、サーバ10より送信終了を意味する指令を受信した場合に、評価データの受信を完了したと判定することが考えられる。制御部39は、このS145において、サーバ10より評価データの受信を完了したと判定した場合は(S145:Yes)、S150へ処理を移行し、一方、サーバ10より評価データの受信を完了していないと判定した場合は(S145:No)、S155へ処理を移行する。
【0065】
サーバ10より評価データの受信を完了したと判定した場合に進むS150では、受信した最新の評価データに基づく評価を表示部30に表示する。表示例については後述する。その後、制御部39は、本処理(診断装置側送受信処理A)を終了する。
【0066】
一方、サーバ10より評価データの受信を完了していないと判定した場合に進むS155では、受信がタイムアウトしたか否かを判定する。具体的には、例えば、サーバ10より評価データ又は送信終了を意味する指令を受信することなく、所定時間(例えば、1分間)経過したか否かを判定することにより、受信がタイムアウトしたか否かを判定することが考えられる。制御部39は、このS155において、受信がタイムアウトとしたと判定した場合は(S155:Yes)、S160へ処理を移行し、一方、受信はタイムアウトしていないと判定した場合は(S155:No)、S145へ処理を戻す。
【0067】
受信はタイムアウトとしたと判定した場合に進むS160では、記憶部34に記憶されている評価データに基づく評価を表示部30に表示する。表示例については後述する。その後、制御部39は、S125へ処理を戻す。
【0068】
(2)診断装置側送受信処理B
次に、診断装置20bの制御部39が実行する診断装置側送受信処理Bについて、図5のフローチャートを用いて説明する。なお、診断装置側送受信処理Bは、診断装置20bへの電力供給が開始された際、例えば、搭載車両のアクセサリスイッチがオンになった際に、実行が開始される処理である。
【0069】
診断装置20bの制御部39は、診断装置側送受信処理Bの実行を開始すると、まず、BT通信部25を介して携帯電話50と通信可能であるか否かを判定する(S205)。例えば、所定のパケットを、BT通信部25を介して携帯電話50へ送信し、その応答が所定時間内に得られるか否かで判定する方法が考えられる。制御部39は、このS205において、BT通信部25を介して携帯電話50と通信可能であると判定した場合は(S205:Yes)、S210へ処理を移行し、一方、BT通信部25を介して携帯電話50と通信可能でないと判定した場合は(S205:No)、BT通信部25を介して携帯電話50と通信可能になるまで本ステップにとどまる。
【0070】
BT通信部25を介して携帯電話50と通信可能であると判定した場合に進むS210では、診断データを送信する旨の操作が操作スイッチ群28に対してユーザよりなされたか否かを判定する。診断データを送信する旨の操作がなされたと判定した場合は(S210:Yes)、S215へ処理を移行し、診断データを送信する旨の操作はなされていないと判定した場合は(S210:No)、S205へ処理を戻す。
【0071】
診断データを送信する旨の操作がなされたと判定した場合に進むS215では、制御部39は、携帯電話50が、公衆ネットワーク60に接続可能な状態であるか否かを判定する。例えば、制御部39が主導し、サーバ10へ所定のパケットを携帯電話50に送信させ、そのパケットの応答がサーバ10より携帯電話50に届いたか否かを判定することによって上記判定を行うことが考えられる。制御部39は、このS215において、携帯電話50は公衆ネットワーク60に接続可能な状態であると判定した場合は(S215:Yes)、上述した診断装置側送受信処理AのS110及びS110に続く処理を実行し、一方、携帯電話50は公衆ネットワーク60に接続可能な状態でないと判定した場合は(S215:No)、上述したS205に処理を戻す。なお、上述した診断装置側送受信処理AのS110及びS110に続く処理を実行する場合は、診断装置側送受信処理Aの説明において記載したDCM40を携帯電話50と読み替えて実行するものとする。
【0072】
[サーバ10の動作の説明]
次にサーバ10の動作について説明する。
(1)サーバ側送受信処理
サーバ10の制御部14が実行するサーバ側送受信処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、サーバ側送受信処理は、診断装置20より何らかの要求、具体的には、受信要求又は送信要求を受け付けた際に実行が開始される。なお、ここでいう「受信要求」というのは、診断装置20より送信される受信要求であり、上述した診断装置側送受信処理AのS115で送信される受信要求である。また、ここでいう「送信要求」というのは、診断装置20より送信される送信要求であり、上述した診断装置側送受信処理AのS135で送信される送信要求である。
【0073】
制御部14は、サーバ側送受信処理の実行を開始すると、まず受けた要求は受信要求か否かを判定する(S305)。受けた要求は受信要求であると判定した場合は(S305:Yes)、S310へ処理を移行し、受けた要求は受信要求ではないと判定した場合は(S305:No)、S315へ処理を移行する。
【0074】
受けた要求は受信要求であると判定した場合に進むS310では、制御部14は、診断装置20より診断データを受信して記憶部12に記憶する。記憶を終えると、制御部14は、S315へ処理を移行する。
【0075】
S315では、制御部14は送信要求を診断装置20より受けたか否かを判定する。送信要求を受けたと判定した場合は(S315:Yes)、S325へ処理を移行し、送信要求を受けていないと判定した場合は(S315:No)、S320へ処理を移行する。
【0076】
送信要求を受けていないと判定した場合に進むS320では、最初にS315の判定を行ってから所定時間が経過したか否かを判定する。ここで言う「所定時間」としては、例えば、1分程度が考えられる。制御部14は、このS320において、所定時間経過したと判定した場合は(S320:Yes)、本処理(サーバ側送受信処理)を終了し、まだ所定時間経過していないと判定した場合は(S320:No)、S315へ処理を戻す。
【0077】
送信要求を受けたと判定した場合に進むS325では、制御部14は、送信要求の中に含まれるユーザIDに対応する評価データを記憶部12より読み出して送信する。送信が完了すると、制御部14は、本処理(サーバ側送受信処理)を終了する。
【0078】
(2)更新処理(月単位)
次に、サーバ10の制御部14が実行する更新処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。なお、更新処理(月単位)は、毎月の始めに実行が開始される処理である。
【0079】
制御部14は、更新処理(月単位)の実行を開始すると、前月の診断データを記憶部12より抽出する(S405)。
続いて、制御部14は、S405で抽出された診断データ毎に診断ポイントを特定し、その特定した診断ポイントをユーザID単位でまとめ、各ユーザの合計診断ポイントを累計ポイントとして算出する(S410)。
【0080】
続いて、制御部14は、S410で算出した各ユーザの累計ポイントに応じて、相対的な順位及びステータスを決定し、その情報を記憶部12に記憶させる(S415)。制御部14は、相対的な順位及びステータスの情報を記憶部12に記憶させると、本処理(更新処理(月単位))を終了する。
【0081】
(3)更新処理(日単位)
次に、サーバ10の制御部14が実行する更新処理(日単位)について、図8のフローチャートを用いて説明する。なお、更新処理(日単位)は、毎日の0:00に実行が開始される処理である。
【0082】
制御部14は、更新処理(日単位)の実行を開始すると、今月の始めから昨日までの診断データを記憶部12より抽出する(S505)。
続いて、制御部14は、S505で抽出された診断データ毎に診断ポイントを特定し、その特定した診断ポイントをユーザID単位でまとめ、各ユーザの合計診断ポイントを累計ポイントとして算出する(S510)。
【0083】
続いて、制御部14は、S510で算出した各ユーザの累計ポイントに応じて、ランクを決定し、その情報を記憶部12に記憶させる(S415)。なお、ランクの決定の際には、今月の始めから昨日までの診断データに基づいて決定されたランクが、前月の診断データに基づいて決定されたステータス内に含まれるようにランクを決定する。この具体例については後述する。制御部14は、ランクの情報を記憶部12に記憶させると、本処理(更新処理(日単位))を終了する。
【0084】
[ステータスとランクについて]
次に、図9の説明表を用いて、ステータスとランクについて説明する。
ステータスとしては、「Gold」、「Silver」、「Blue」の3つのステータスが存在する。「Gold」は、ハイクラスとしての位置づけである。「Silver」は、ミドルクラスとしての位置づけである。「Blue」はエントリークラスとしての位置づけである。
【0085】
また、各ステータスには、ランクとして「1」「2」「3」が存在する。数字が小さいほど評価は高い。
なお、ステータス「Blue」、ランク「3」が、評価の初期ステータス及びランクである。
【0086】
[ステータスとランクが変動する様子について]
次に、図10のグラフを用いて、ステータスとランクの変動について説明する。
図10(a)は、ステータスの変動を示すグラフである。1月1日から2月1日の期間に表示部10に表示されるステータスは、当該期間の累計ポイントにかかわらず初期の評価ステータスである「Blue」である(1月1日から診断を開始した場合)。2月1日から3月1日の期間に表示されるステータスは、直前の期間である1月1日から2月1日の期間の累計ポイントに基づいて決定される「Blue」である。3月1日から4月1日の期間に表示されるステータスは、直前の期間である2月1日から3月1日の期間の累計ポイントに基づいて決定される「Silver」である。4月1日から5月1日の期間に表示されるステータスは、直前の期間である3月1日から4月1日の期間の累計ポイントに基づいて決定される「Blue」である。
【0087】
このように、直前の期間(前月)の累計ポイントに基づいて決定されるステータスが翌期間(当月)のステータスとして表示部30に表示される。
図10(b)は、ランクの変動を示すグラフである。5月の累計ポイントは、5月10日にステータス「Blue」に属するランク「2」(以下、ランクについて、「B−2」といった形式で記載する。)の閾値に達し、5月20日に「B−1」のランクの閾値に達し、5月25日頃に「S−3」の閾値に達している。実際に表示部30に表示されるランクは、5月1日から5月10日は、「B−3」が表示され(実際にはランクとしては「3」のみが表示部30に表示される)、5月10日から5月20日は「B−2」が表示され(実際にはランクとしては「2」のみが表示部30に表示される)、5月20日から6月1日までは「B−1」が表示される(実際にはランクとしては「1」のみが表示部30に表示される)。このように、月が変わるまでは、別のステータスに属するランクには移行しない。
【0088】
6月1日以降に表示部30に表示されるランクは、前月末の時点で前月の累計ポイントがステータス「Silver」の閾値を超えているため、当該月の累計ポイントが「S−3」の閾値に満たなくても「S−3」が表示され(6月1日から6月25日)、当該月の累計ポイントが「S−2」の閾値を超えた時点(6月25日)から月末までは、「S−2」が表示される(実際にはランクとしては「2」のみが表示される)。
【0089】
7月1日以降に表示部30に表示されるランクは、前月末の時点で前月の累計ポイントがステータス「Silver」の閾値を超えているため、当該月の累計ポイントが「S−3」の閾値に満たなくても「S−3」が表示される(実際にはランクとしては「3」のみが表示される)。
【0090】
[診断装置に表示される診断結果について]
次に、図11の画面例を用いて、評価データに基づいて表示部30に表示される評価画面を説明する。
【0091】
図11に示すように、評価画面には、ユーザIDより特定されるユーザ名と、前月の月間順位と、前年の月間順位の自己ベストと、当月の累計ポイントと、前月のステータスと、当月のランクと、評価データの更新日時とが表示される。
【0092】
[実施形態の効果]
サーバ10は、更新処理を月単位と日単位とでそれぞれ実行し、このうち、月単位の更新処理では、前月の診断データを記憶部12より抽出し(S405)、診断ポイントをユーザID単位でまとめ、累計ポイントを算出する(S410)。そして、この累計ポイントに基づいて、相対的な順位やステータス(Gold,Silver,Blue)等の評価データを算出する(S415)。したがって、特定の期間(前月)に対応する診断データに基づいてこれらの評価データが算出されるため、サーバへ診断データが集まってくるタイミングにばらつきがある場合でも、一定の信頼性のある評価データを提供することができる。
【0093】
また、サーバ10は、累計ポイントに基づいてユーザの相対的な順位を決定し、その決定した順位を、ユーザと対応づけられた評価データの一つとして記憶し、診断装置20に提供する。
【0094】
したがって、相対的な順位を知ったユーザは、より上位の順位を得ようと考え、運転技術の向上を図る努力をすると考えられる。
また、サーバ10は、累計ポイントに基づいてユーザのステータスを決定し、その決定したステータスを、ユーザと対応づけられた評価データの一つとして記憶し、診断装置20に提供する。
【0095】
したがって、ステータスを知ったユーザは、より上位のステータスを得ようと考え、運転技術の向上を図る努力をすると考えられる。
また、サーバ10は、今月の初めから前日までに対応する診断データを記憶部12より抽出し(S505)、診断ポイントをユーザ単位でまとめ、累計ポイントを算出する(S510)。そして、サーバ10は、この累計ポイントに基づいてユーザのランクを決定し、その決定したランクを、ユーザと対応づけられた評価データの一つとして記憶し、診断装置20に提供する。
【0096】
したがって、ユーザは、一定の信頼性のあるステータスに加え、現在の状況に近く、努力結果が細かくわかる情報(ランク)についても知ることができる。
また、サーバ10は、ランクの決定の際、今月の始めから昨日までの診断データに基づいて決定されたランクが、前月の診断データに基づいて決定されたステータス内に含まれるようにランクを決定する(図10(b)の6月1日以降を参照)。
【0097】
したがって、ステータスと、ランクが属するステータスとで、齟齬が生じるケースが発生することを防止できる。
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲に記載した用語との対応を示す。
【0098】
サーバ10の通信部11がサーバ側通信手段に相当し、サーバ10の記憶部12が受診情報記憶手段に相当する。
診断データが受信情報に相当し、診断データにおける診断ポイントが診断情報に相当し、診断データにおけるユーザIDがユーザ特定情報に相当し、診断データにおける車載装置IDが車載装置特定情報に相当する。
【0099】
評価データが評価情報に相当し、サーバ10の制御部14が評価情報生成手段に相当し、サーバ10の通信部11が送信手段に相当する。
サーバ10の制御部14が実行する更新処理(月単位)のS410において算出する累計ポイントが第一の累計値及び第二の累計値に相当する。また、サーバ10の制御部14が実行する更新処理(日単位)のS510において算出する累計ポイントが第一の累計値及び第三の累計値に相当する。
【0100】
診断装置20が車載装置に相当し、診断装置20の記憶部34が車載装置側記憶手段に相当し、診断装置20の表示部30が報知手段に相当する。また、診断装置20の制御部39が実行する診断装置側送受信処理AのS115が第一制御手段としての機能に相当する。また、診断装置20の制御部39が実行する診断装置側送受信処理AのS140が第二制御手段としての機能に相当する。
【0101】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、サーバ10は、DCM40経由で診断データを送信してくる診断装置20aにも、携帯電話50経由で診断データを送信してくる診断装置20bにも、前月の診断データに基づいて決定したステータスや順位を提供していた。しかし、DCM40経由で診断データを送信してくる診断装置20aと、携帯電話50経由で診断データを送信してくる診断装置20bとで、ステータスや順位の決定に用いる診断データの期間を変更してもよい。例えば、DCM40経由で診断データを送信してくる診断装置20aに対しては、上述した前月の診断データに基づいて決定したステータスや順位に加え、前週の診断データに基づいてステータスや順位を決定し、その決定したステータスや順位についても提供するようにしてもよい。なお、サーバ10には、通信相手がDCM40経由で診断データを送信してくる診断装置20aであるか、それとも携帯電話50経由で診断データを送信してくる診断装置20bであるかを判定する機能が必要になるが、この機能が、特許請求の範囲に記載した判定手段としての機能に相当する。
【0102】
このように、DCM経由で診断データを送信してくる診断装置20aと、携帯電話50経由で診断データを送信してくる診断装置20bとで、提供する情報を変え、DCM経由で診断データを送信してくる診断装置20aを優遇すれば、DCM40経由で通信を行う診断装置20aが増え、結果として鮮度の良い診断データがサーバ10に集まりやすくなる。
【0103】
(2)サーバ10は、診断装置20より診断データを受信して記憶部12に記憶する際(S310)、新たに受信した診断データに含まれる診断装置IDとタイムスタンプの組み合わせが、既に記憶部12に記憶されている場合には、その新たに受信した診断データを記憶部12に記憶させないようにするとよい。つまり、診断装置IDとタイムスタンプの組み合わせが重複する診断データについては、評価データを生成する際に利用できないようにするとよい。
【0104】
このようになっていれば、「ユーザ」をサーバ10における登録ユーザという単位で捉えている場合であっても、診断装置20の故障等によって診断データが重複して送信された場合に、重複した診断データが用いられて評価データが生成されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】評価システムの構成を示すブロック図である。
【図2】サーバの構成を説明するためのブロック図である。
【図3】診断装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】診断装置側送受信処理Aを説明するためのフローチャートである。
【図5】診断装置側送受信処理Bを説明するためのフローチャートである。
【図6】サーバ側送受信処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】更新処理(月単位)を説明するためのフローチャートである。
【図8】更新処理(日単位)を説明するためのフローチャートである。
【図9】ステータス及びランクの説明表である。
【図10】ステータス及びランクが変動する様子を説明するための説明図である。
【図11】診断装置の表示部に表示される評価結果画面の一例である。
【符号の説明】
【0106】
5…評価システム、10…サーバ、11…通信部、12…記憶部、13…操作部、14…制御部、20,20a,20b…診断装置、21…検出部、22…GPS信号受信部、23…ジャイロスコープ、24…距離センサ、25…BT通信部、26…リモコンセンサ、27…リモコン、28…操作スイッチ群、29…地図データ入力部、30…表示部、31…音声出力部、32…音声入力部、33…車内LAN通信部、34…記憶部、39…制御部、40…DCM、50…携帯電話、60…公衆ネットワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置より送られてきた診断情報に基づく評価情報を生成し、生成した評価情報を車載装置に提供するサーバ、そのサーバに対して診断情報を提供するとともにサーバから評価情報の提供を受けてユーザに報知する車載装置、及び、これらをシステムとして構成した評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境に関する関心や社会貢献が世界的なブームとなっており、このような時代背景の中、地球環境問題に関する活動は避けて通れない状況にある。また、自動車関連メーカーにとって、それら地球環境に関する諸問題をクリアすることは、安全に関する取組みと同様、社会的使命となっている。
【0003】
しかし、これら取組みは企業努力だけでは限界があり、個々のドライバーが環境に優しい運転を行うことが望まれる。また、環境に優しい運転は、安全運転にも繋がることから、各ドライバーの運転技術を向上させることは非常に重要テーマである。
【0004】
運転技術を向上させる一つの方法として、ドライバーの運転内容を診断して数値化し、それを評価ポイントとしてドライバーに付与することが考えられる。そして、その評価ポイントによってドライバーのランク付けを行ったり、評価ポイントの累積値に応じて車両等の購入の際に割引を行ったりすることが考えられる。
【0005】
このような評価ポイントを応用した仕組みを実現するシステムの一つとして、車両に搭載された診断装置で各ドライバーの診断を行い、その診断結果をセンタサーバ(以下、単に「サーバ」と称す。)に送信し、サーバで診断結果に基づいて各ドライバーの評価(例えばランク付け)を行うシステムが考えられる。このようなシステムでは、診断結果をサーバに送信する方法として大きく二つの方法が考えられる。
【0006】
一つ目の方法は、車両に搭載されたDCM(Data Communication Module)を介して評価結果をサーバに送信する方法である。この方法であれば、DCMが基地局と通信可能な状況でありさえすれば、診断結果の算出を終えたタイミングで診断装置がサーバに診断結果を送信することができる。したがって、サーバで受信された診断結果は、直近に診断された結果である可能性が高く、鮮度の良い診断結果であると言える。
【0007】
二つ目の方法は、乗員が車両に持ち込んだ携帯電話等の携帯端末(通信機能を有する携帯端末)を介し、診断結果をサーバに送信する方法である。この方法であれば、車両にDCMが搭載されていなくても、乗員が車両に携帯端末を持ち込むことによって診断結果をサーバに送信することができる。しかしながら、診断結果が診断装置からサーバに送信されるタイミングは、ユーザの意思に左右されやすく、サーバで受信された診断結果の鮮度は安定しない。また、未送信の診断結果がまとまって送信される場合もある。
【0008】
サーバへの診断結果の送信方法について、このように二つの方法があると、現時点でサーバに集まっている診断結果に基づいて例えばドライバーの相対的なランキング表を生成すると、ランキングが時々刻々と変化してしまうため、ランキングの信頼性が低下する。
【0009】
ところで、このようにサーバにおいてランキング情報を生成するシステムに関しては、下記の特許文献1〜5に記載された技術が知られている。
特許文献1に記載された技術は、インターネット網や携帯電話を用いた通信ゲームに関するもので、そのゲームのランキングを閲覧できるようにしたものである。しかしながら、このゲーム端末は常時接続されることが前提となっており、その結果もセンタ側に逐次蓄積されるものであるため、上述したような問題は発生しない。
【0010】
また、特許文献2に記載された技術は、移動体に通信網を介して情報を提供する情報提供サービスシステムにおいて、移動体から通信網を介して取得した移動体情報に基づいて運転技術情報を作成し、少なくとも1つのランキンググループ(例えば、車種、車両タイプ、走行環境等を考慮したグループ)内での順位付けを行い、その順位付けされた運転技術情報を各移動体へ提供するものである。この文献には、「運転技術ランキング」「燃費ランキング」に関する内容が記載されているが、このランキングをどのような時間間隔でランキングするか、また、どのような仕組みで移動体情報をアップロードするかについて具体的に記載されていない。
【0011】
また、特許文献3に記載された技術は、エコ活動参加者の環境負荷削減活動を評価し、報償を与えることによってさらにエコ活動に関わる動機付けを行うことを可能にするエコ活動支援方法に関する技術である。この文献には、「エコ活動参加者に与えられる報償は、報償スポンサ−が提供する金銭や製品、また、エコ活動実績を二酸化炭素排出量に換算した後、二酸化炭素排出権取引市場で売却して得る利益、または、実績をランキング表示してインターネットを介して公表することによって得られる名誉がある」との記載があるが(特許文献3の段落「0067」)、ランキングについての具体的な内容は記載されていない。
【0012】
また、特許文献4に記載された技術は、運転者による車両の運転操作から安全運転度を算出し、その算出された安全運転度に基づいてランク付けを行い、安全運転を励行するものである。本文献の中には「センタ105では、ナビゲーション装置100から送信されデータベース60cに蓄積された各運転者の安全運転度を基に運転者のランク付けを行い、データベース60cに運転者毎に記憶する」との記載はあるが(引用文献4の段落「0151」)、安全運転度に関するデータ送信は、1日毎に行われることが前提になっている。このため、センタで受信されるデータの鮮度には1日以上のばらつきはなく、鮮度のばらつきに関する工夫は引用文献4には記載されていない。
【特許文献1】特開2002−224453号公報
【特許文献2】特開2003−208696号公報
【特許文献3】特開2005−92871号公報
【特許文献4】特開2007−172487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した問題にかんがみなされたものであり、サーバで受信される診断情報の鮮度にばらつきがある場合でも、一定の信頼性のある評価情報を車載装置のユーザに提供することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載のサーバは、サーバ側通信手段と、受信情報記憶手段と、評価情報生成手段と、送信手段とを備える。サーバ側通信手段は、車載装置と通信を行うための手段である。受信情報記憶手段は、診断情報、その診断情報に係るタイムスタンプ、及び、ユーザ特定情報を、サーバ側通信手段を介して車載装置より取得し、これらを対応付けて受信情報として記憶する手段である。評価情報生成手段は、受信情報記憶手段が記憶する受信情報を参照し、過去の所定の期間に含まれるタイムスタンプに対応する診断情報より、所定の期間の評価情報をユーザと対応付けて生成し、生成した評価情報をユーザと対応付けて記憶する手段である。送信手段は、評価情報生成手段が記憶する評価情報のうち、サーバ側通信手段を介して車載装置が要求したユーザに対応する評価情報を、サーバ側通信手段を介して要求元の車載装置へ送信する手段である。なお、評価情報としては、車載装置において行われた評価の結果の情報であってもよいし、評価に用いられる情報であって車載装置において収集された情報であってもよい。
【0015】
このような手段を備えるサーバであれば、所定の期間に対応する診断情報に基づいて評価情報が生成されるため、サーバへ情報が集まってくるタイミングにばらつきがある場合でも、所定の期間を適切に設定することにより、一定の信頼性のある評価情報を提供することができる。
【0016】
ところで、上述したように、診断情報をサーバに送信する方法としては、車両に常時搭載された通信装置、例えば、DCM(Data Communication Module)を介して評価情報をサーバに送信する方法と、乗員が車両に持ち込んだ携帯電話等の携帯端末を介して診断情報をサーバに送信する方法とが考えられる。この場合、DCMを介してサーバに送られてくる診断情報は、携帯端末を介してサーバに送られてくる診断情報に比較して鮮度が良い。そのような鮮度が良い診断情報を送信してくるDCMを介して通信を行う車載装置に対しては、携帯端末を介して通信を行う車載装置よりも何らかの優遇を提供できると良い。そして、優遇が提供できれば、DCMを介して通信を行う車載装置が増え、ひいては鮮度の良い診断情報がサーバにさらに集まることとなる。
【0017】
そのような優遇策を提供できるサーバの一つとして、例えば、請求項2に記載のようなサーバを構成することが考えられる。すなわち、サーバ側通信手段が車載装置と通信を行う際、その車載装置が車両に常時搭載された通信装置経由で通信を行う車載装置であるか否かを判定する判定手段をさらに備えるようにサーバを構成し、評価情報生成手段は、所定の期間の一つであって、上記通信装置経由で通信を行う車載装置向けの期間により、上記通信装置経由で通信を行う車載装置向けの評価情報をさらに生成して記憶し、送信手段は、上記通信装置経由で通信を行う車載装置であると判定手段により判定された車載装置に対してのみ、上記通信装置経由で通信を行う車載装置向けの評価情報を送信するようにサーバを構成することが考えられる。具体的には例えば、携帯端末を介して通信を行う車載装置に対しては、先月の診断情報に基づいて生成された評価情報と先週の診断情報に基づいて生成された評価情報を提供し、DCMを介して通信を行う車載装置に対しては、さらに、昨日の診断情報に基づいて生成された評価情報を提供することが考えられる。
【0018】
このようなサーバであれば、鮮度が良い診断情報を送信してくる可能性が高い車載装置、すなわち、車両に常時搭載された通信装置経由で通信を行う車載装置に対して、特別な評価情報を提供することができる。その結果、車両に常時搭載された通信装置経由で通信を行う車載装置が増え、鮮度の良い診断情報がより集まることとなる。
【0019】
ところで、上記所定の期間は、その長さによって繰り返されるとよい。つまり、請求項3に記載のように、評価情報生成手段は、上記所定の期間の長さで繰り返し評価情報を生成するようになっているとよい。具体的には例えば、所定の期間として「一週間」と設定した場合、毎週、前週に対応する評価情報を生成するとよい。
【0020】
このようになっていれば、期間毎の評価情報を比較することができ、例えば、前の期間よりも評価が上がったとか下がったとかという比較ができる。
ところで、「ユーザ」を個人という単位ではなく、サーバにおける登録ユーザという単位で捉えると、例えば、夫婦で1つのユーザをサーバへ登録することを許容する運用も考えられる。このような場合、夫婦で複数台の車両を保有している場合や、夫婦のうちのどちらかが保有車両以外にレンタカーを運転した場合等には、複数の車載装置から同時期に同一のユーザについての診断情報がサーバに送信される可能性がある。「ユーザ」を個人という単位で捉えているならば、同時期に同一のユーザについての診断情報がサーバに送信された場合、異常情報としてその診断情報を破棄することもできる。しかし、「ユーザ」をサーバにおける登録ユーザという単位で捉えている場合には、同時期に同一のユーザについての診断情報がサーバに送信されたということをもって、診断情報を破棄することはできない。けれども、車載装置の故障等によって複数回、同一の診断情報がサーバに送信されてしまう場合が想定され、このような場合は異常情報としてその診断情報を破棄することが好ましい。
【0021】
そこで、請求項4に記載のようなサーバが考えられる。つまり、受信情報記憶手段が、受信情報と共に、車載装置を特定することができる車載装置特定情報を、サーバ側通信手段を介して車載装置より取得し、受信情報と対応付けて記憶し、評価情報生成手段が、タイムスタンプ、ユーザ特定情報及び車載装置特定情報の組み合わせが重複する診断情報については、評価情報を生成しないようになったサーバが考えられる。
【0022】
このようなサーバであれば、「ユーザ」をサーバにおける登録ユーザという単位で捉えている場合であっても、車載装置の故障等によって重複して送信された診断情報が用いられて、評価情報が生成されることを防止できる。
【0023】
ところで、評価情報としては、診断情報に基づくものであればどのような情報であってもよいが、例えば、ユーザの相対的な順位であるとよい。すなわち、請求項5に記載のように、評価情報生成手段は、期間内に係る診断情報毎にポイントを求め、期間内におけるポイントの累計値である第一の累計値により、ユーザの相対的な順位を決定し、その決定した順位を評価情報とし、ユーザと対応付けて記憶するようになっているとよい。
【0024】
このようになっていれば、相対的な順位を知ったユーザは、より順位を上げたいと考え、運転技術の向上を図る努力をすると考えられる。
また、評価情報は、相対的なものではなく絶対的なもの、例えば、ステータスであってもよい。すなわち、請求項6に記載のように、評価情報生成手段は、期間内に係る診断情報毎にポイントを求め、期間内におけるポイントの累計値である第二の累計値により、ユーザが複数の絶対的なステータスのうちのいずれのステータスに属するかを決定し、その決定したステータスを特定する情報であるステータス情報を評価情報とし、ユーザと対応付けて記憶するようになっているとよい。
【0025】
このようになっていれば、自身のステータスを知ったユーザは、より上位のステータスを得ようと考え、運転技術の向上を図る努力をすると考えられる。
ところで、車載装置のユーザは、上述したような信頼性の高い評価情報としてのステータスが得られるのであれば、たとえ多少信頼性が劣ったとしても、より現在の状況に近い
評価情報や、より努力結果が細かくわかる評価情報について、さらに得たいと考える。
【0026】
そこで、請求項7に記載のようなサーバが考えられる。つまり、評価情報生成手段が、直前の期間以降に係る前断情報毎にポイントを求め、直前の期間以降のポイントの累計値である第三の累計値により、上記ステータスが細分化された複数のランクのうちのいずれのランクにユーザが属するかを決定し、その決定したランクを特定する情報であるランク情報についても評価情報とし、ユーザと対応付けてさらに記憶するようになったサーバが考えられる。
【0027】
このようなサーバであれば、車載装置のユーザは、現在の状況に近く、努力結果が細かくわかる情報(ランク)についても知ることができる。
なお、上述したようなステータスとの関係を有するランクについても、評価情報として算出するようになったサーバであると、車載装置に送信されるステータスと、車載装置に送信されるランクが属するステータスとで、齟齬が生じるケースが発生し得る。具体的には、決定されたステータスと、決定されたランクが属するステータスとが異なる場合があり得る。これは、ステータスを算出した際に利用した診断情報の期間と、ランクを算出した際に利用した期間が異なるからであるが、このような齟齬が生じると、ステータスとランクとを同時に並べてユーザに表示するような場合に、ユーザに混乱を生じさせるおそれがある。
【0028】
そこで、請求項8に記載のようなサーバが考えられる。つまり、評価情報生成手段が、ランクの決定に際し、第三の累計値が、直前の期間のステータスにおける最低ランクの条件に満たない場合でも、直前の期間のステータスにおける最低ランクに属するものとしてランクを決定し、第三の累計値が、直前の期間のステータスにおける最高ランクの条件を超える場合でも、直前の期間のステータスにおける最高ランクに属するものとしてランクを決定するようになったサーバが考えられる。
【0029】
このようなサーバであれば、上述した齟齬の発生を防止することができる。
ところで、上述したサーバに対応する車載装置とてしては、例えば、請求項9に記載のような、車載装置側通信手段と、車載装置側記憶手段と、報知手段と、第一制御手段と、第二制御手段とを備えた車載装置が考えられる。車載装置側通信手段はサーバと通信を行う手段である。車載装置側記憶手段は、診断情報、その診断情報に係るタイムスタンプ、及び、ユーザ特定情報を記憶する手段である。報知手段は、情報を報知する手段である。第一制御手段は、車載装置側記憶手段に記憶されている診断情報、タイムスタンプ、及び、ユーザ特定情報を、車載装置側通信手段を介してサーバへ送信する手段である。第二制御手段は、車載装置側通信手段に記憶されているユーザ特定情報に対応する評価情報を、車載装置側通信手段を介してサーバに要求し、車載装置側通信手段を介してサーバより送信されてきた評価情報を報知手段に報知させる手段である。
【0030】
このような車載装置であれば、サーバへ情報を送信するタイミングにばらつきがある場合でも、サーバより一定の信頼性のある評価情報を受信し、ユーザに提供(報知)することができる。
【0031】
なお、何らかの事情、例えばユーザの操作ミス等により、サーバに対して診断情報を重複して送信することを防ぐためには、例えば、請求項10に記載のように、第一制御手段は、車載装置側記憶手段に記憶されている診断情報をサーバへ送信すると、車載装置側記憶手段に記憶されている診断情報を削除するようになっているとよい。
【0032】
このようになっていれば、サーバに診断情報が重複して送信されることを防止することができる。
ところで、上述したサーバと上述した車載装置とを組み合わせた評価システムとして発明を構成してもよい(請求項11)。なお、このような評価システムであっても、上述したサーバの効果や車載装置の効果を得ることができることは言うまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0034】
[構成の説明]
図1は、本発明の実施形態である評価システム5を表すブロック図である。評価システム5は、サーバ10と、診断装置20a,20bと、DCM40と、携帯電話50と、公衆ネットワーク60とを有する。サーバ10は、公衆ネットワーク60と接続され、その公衆ネットワーク60を介してDCM40及び携帯電話50と通信を行う。そして、DCM40は診断装置20aと接続され、携帯電話50は診断装置20bと接続されているため、サーバ10は、結果として、診断装置20aと診断装置20bとも通信を行うことができる。なお、サーバ10と公衆ネットワーク60は、有線接続されている。また、DCM40と公衆ネットワーク60、及び、携帯電話50と公衆ネットワーク60は、携帯電話事業者等が提供する広域無線通信パケット網によって接続されている。また、DCM40と診断装置20aは、有線接続されている。また、携帯電話50と診断装置20bは、Bluetooth(登録商標)によって接続されている。また、図1には、DCM40と診断装置20a、携帯電話50と診断装置20bは、それぞれ一組ずつしか描かれていないが、実際は複数存在する。
【0035】
(1)サーバ10
まず、サーバ10の構成について、図2のブロック図を用いて説明する。サーバ10は、通信部11と、記憶部12と、操作部13と、制御部14とを備える。
【0036】
通信部11は、公衆ネットワーク60と通信を行うための機能を有しており、制御部14によって制御される。
記憶部12は、不揮発性の記憶媒体(例えば、ハードディスク等)を有しており、後述する診断データ、後述する評価データ、及び、制御部14が実行するプログラム等を記憶する。
【0037】
操作部13は、キーボード、マウス等を備え、サーバ10の管理者からの指令を受け付けることができる。
制御部14は、CPU,DRAM,ROM,フラッシュメモリ,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びフラッシュメモリ等に記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。具体的な処理内容については後述する。
【0038】
(2)診断装置20a,20b
次に、診断装置20a,20bについて説明する。なお、以下においては、診断装置20aと診断装置20bとを区別する必要がある場合を除き、診断装置20としてまとめて説明する。
【0039】
図3は、診断装置20の概略構成を示すブロック図である。診断装置20は車両に搭載され、車両の現在位置を検出する検出部21と、Bluetoothによる無線通信を行うBT通信部25と、ユーザからの各種指示を入力するための操作スイッチ群28と、操作スイッチ群28と同様に各種指示を入力可能であって診断装置20の本体とは別体となったリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)27と、リモコン27からの信号を入力するリモコンセンサ26と、地図データや音声データ等が記録された地図記憶媒体からデータを入力する地図データ入力部29と、地図や各種情報の表示を行うための表示部30と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部31と、ユーザ等が発話した音声を入力して音声信号に変換する音声入力部32と、車内LANに接続された各種ECU等と通信を行う車内LAN通信部33と、各種情報を記憶する記憶部34と、上述した検出部21,BT通信部25,操作スイッチ群28,リモコンセンサ26,地図データ入力部29,音声入力部32,車内LAN通信部33,記憶部34からの入力に応じて各種処理を実行し、BT通信部25,表示部30,音声出力部31,車内LAN通信部33,記憶部34を制御する制御部39とを備えている。
【0040】
検出部21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を制御部39へ出力するGPS信号受信部22と、車両に加えられる回転運動の大きさを検出してその検出結果を制御部39へ出力するジャイロスコープ23と、車両の走行した距離を検出してその検出結果を制御部39へ出力する距離センサ24とを備えている。そして、これら各部22〜24からの出力信号に基づいて制御部39が、車両の位置,方位,速度等を算出する。なお、GPS信号受信部22からの出力信号に基づいて現在位置を求める方式は様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式のいずれであってもよい。
【0041】
操作スイッチ群28は、表示部30の表示面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部30の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成される。なお、タッチパネルと表示部30とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、そのいずれを用いてもよい。
【0042】
リモコン27は、複数のボタンから構成されており、いずれかのボタンが押下されるとそのボタンの種類に応じた信号が赤外線等の近距離無線通信を介してリモコンセンサ26に届くように構成されている。
【0043】
リモコンセンサ26は、リモコン27から送られる信号を受信し、受信した信号を制御部39へ出力するようになっている。
BT通信部25は、Bluetoothによって携帯電話と通信を行う機能を有する。
【0044】
地図データ入力部29は、図示しない地図データ記憶媒体(例えばハードディスクやDVD−ROM等)に記憶された各種データを入力するための装置である。地図データ記憶媒体には、地図データ(ノードデータ、リンクデータ、道路幅員データ、道路種別データ、通行規制データ、リンク旅行時間、道路名称データ、交差点データ等)、POIデータ(POI名称データ、ジャンルデータ、位置データ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。なお、地図データ記憶媒体からこれらのデータを入力する代わりに、通信ネットワークを介してこれらのデータを入力するようになっていてもよい。
【0045】
表示部30は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等からなり、表示部30の表示画面には、検出部21にて検出した車両の現在位置と地図データ入力部29より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、施設のガイド等も表示できる。
【0046】
音声出力部31は、スピーカを有し、制御部39より入力された音声信号をスピーカより音声として出力することができる。
音声入力部32は、マイクを有し、マイクに入力された利用者の音声に基づく音声信号を制御部39に出力することができる。利用者は、マイクに対して発話することにより、診断装置20に対して音声による指令を入力することができる。
【0047】
車内LAN通信部33は、車内LAN(図示せず)に接続された各種のECU(エンジンECU、AT−ECU、ブレーキECU等)や各種のセンサ(車速センサ、シフトポジションセンサ、前照灯センサ等)との通信を担う。
【0048】
記憶部34は、不揮発性の記憶媒体(例えば、ハードディスク、SSD等)からなり、各種の情報を記憶することができる。
制御部39は、CPU,DRAM,ROM,フラッシュメモリ,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びフラッシュメモリ等に記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。例えば、検出部21からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出する現在位置算出処理や、地図データ入力部29を介して読み込んだ現在走行中の道路の交通規則を特定する交通規則特定処理や、検出部21からの各検出信号に基づいて算出した車速が交通規則特定処理によって特定された交通規則に合致しているかどうかといった種々の診断をしてその診断結果を記憶部34に記憶する診断処理等を実行する。
【0049】
(3)DCM40
DCM40は、診断装置20aが搭載された車両と同一の車両に搭載された通信モジュール(Data Communication Module)であり、車両のドライバー等が容易に車両から取り外すことができないものである。DCM40は、診断装置20aと有線接続されるとともに、公衆ネットワーク60と無線パケット通信を行い、公衆ネットワーク60につながったサーバ10と通信を行うことができる。したがって、診断装置20とサーバ10との間での通信を可能にする。
【0050】
(4)携帯電話50
通話機能、メール送受信機能、Web閲覧機能、Bluetooth通信機能、無線パケット通信機能等を有する周知の携帯電話である。なお、Bluetooth通信機能というのは、携帯電話50の近傍(10m以下)に存在する他の装置(例えば診断装置20)とBluetooth通信によってデータを送受信する機能である。また、無線パケット通信機能というのは、公衆ネットワーク60に接続された他の装置(例えばサーバ10)と広域無線通信によってデータを送受信する機能である。携帯電話50は、Bluetooth通信機能と無線パケット通信機能とを組み合わせて動作させることもできる(つまり、診断装置20とサーバ10との間で通信を可能にする)。
【0051】
[診断装置20の動作の説明]
まず、診断装置20の動作について説明する。診断装置20は、下記の診断装置側送信処理Aと診断装置側送信処理Bについて、択一的に実行する。なお、診断装置20aは、DCM40と接続されていることが予め登録されているため、診断装置側送信処理Aを実行し、診断装置20bは、DCM40と接続されていることが予め登録されていないため、診断装置側送信処理Bを実行する。また、診断装置20は、診断装置側送信処理A,B以外にも診断処理を実行する。この診断処理は、例えば、車両が停止した毎に、前回の停止時以降になされた運転操作を診断し、その診断結果を点数化して診断データとして記憶する処理である。具体的な診断方法については、周知の技術を利用することとし、説明は省略する。
【0052】
(1)診断装置側送受信処理A
診断装置20aの制御部39が実行する車載装置側送受信処理Aについて、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、診断装置側送受信処理Aは、診断装置20aへの電力供給が開始された際、例えば、搭載車両のアクセサリスイッチがオンになった際に、実行が開始される処理である。
【0053】
診断装置20aの制御部39は、診断装置側送受信処理Aの実行を開始すると、まず、DCM40が公衆ネットワーク60に接続可能な状態か否かを判定する(S105)。例えば、制御部39が主導し、サーバ10へ所定のパケットをDCM40に送信させ、そのパケットの応答が所定時間内にサーバ10よりDCM40に届いたか否かを判定することによって上記判定を行うことが考えられる。制御部39は、このS105において、DCM40は公衆ネットワーク60に接続可能な状態であると判定した場合は(S105:Yes)、S110へ処理を移行し、DCM40は公衆ネットワーク60に接続可能な状態でないと判定した場合は(S105:No)、DCM40が公衆ネットワーク60に接続可能になるまで本ステップにとどまる。
【0054】
DCM40を介して通信可能と判定した場合に進むS110では、記憶部34に診断データがあるか否か否かを判定する。なお、本実施形態でいう「診断データ」は、以下の情報から構成される。
【0055】
・ユーザID:ユーザを一意に識別するためのID
・診断装置ID:診断装置を一意に識別するためのID
・タイムスタンプ:診断データが生成された日時を示す情報
・診断ポイント:診断を行った結果の点数(ポイント)
このような診断データが、診断タイミング毎(例えば、車両が停車したタイミング毎)に生成されて記憶部34に逐次記憶される。
【0056】
制御部39は、S110において、診断データが記憶部34にあると判定した場合は(S110:Yes)、S115へ処理を移行し、一方、診断データは記憶部34にないと判定した場合は(S110:No)、S125へ処理を移行する。
【0057】
診断データが記憶部34にあると判定した場合に進むS115では、制御部39は、その診断データを記憶部34より読み出し、DCM40を介してサーバ10へ送信することを開始する。なお、診断データをサーバ10へ送信することに先立ち、サーバ10に対して診断データの受信要求を送信する。また、送信した診断データについては、記憶部34から削除する。
【0058】
続いて、制御部39は、記憶部34に記憶されている診断データを全て送信したか否かを判定する(S120)。診断データを全て送信したと判定した場合は(S120:Yes)、S125へ処理を移行し、一方、診断データがまだ残っていると判定した場合は(S120:No)、記憶部34に記憶されている診断データが全て送信されるまで本ステップにとどまる。
【0059】
S110で否定判定された場合、又は、S120で肯定判定された場合に進むS125では、制御部39は、記憶部34に記憶されている評価データの更新日時を調べ、評価データが所定期間以上前のものか否かを判定する。ここでいう「所定期間」というのは、例えば、1日や1週間といった程度の期間が考えられる。ここで「評価データ」について説明する。評価データは、サーバ10で生成されて診断装置10に送られてくるデータである。そして、評価データは、以下の情報から構成されており、ユーザ単位で存在するデータである。
【0060】
・ユーザID:ユーザを識別するためのID
・月間順位:前月の相対的な順位である。
・累計ポイント点数:年初から前日までの診断データに含まれる診断ポイントの累計
ポイント
・ステータス情報:前月の診断データに基づいて決定されたステータスを表す情報
(例:「Gold」)
・ランク情報:月初から前日までの診断データに基づいて決定されたランクを表す情
報(例:「3」)
・前年自己ベスト:前年の最も良かった月間順位とその月である。
【0061】
・本年自己ベスト:本年の最も良かった月間順位とその月である。
・更新日時:評価データが更新された日時である。
制御部39は、このS125において、記憶部34に記憶されている評価データの更新日時は所定期間以上前のものであると判定した場合は(S125:Yes)、S135へ処理を移行し、一方、記憶部34に記憶されている評価データの更新日時は所定期間以上前のものでないと判定した場合は(S125:No)、S130へ処理を移行する。
【0062】
記憶部34に記憶されている評価データの更新日時は所定期間以上前のものでないと判定した場合に進むS130では、記憶部34に記憶されている評価データに基づく評価を表示部30に表示する。表示例については後述する。その後、制御部39は、本処理(診断装置側送受信処理A)を終了する。
【0063】
一方、記憶部34に記憶されている評価データの更新日時が所定期間以上前のものであると判定された場合に進むS135では、制御部39は、最新の評価データを送信する旨の要求である送信要求を、DCM40を介してサーバ10へ送信する。なお、この送信要求は、制御部39のフラッシュメモリに予め登録されているユーザIDを含めて送信する。
【0064】
続いて、制御部39は、DCM40を介してサーバ10より評価データを受信する(S140)。なお、受信した評価データは記憶部34に上書き記憶させる。
続いて、制御部39は、サーバ10より評価データの受信を完了したか否かを判定する(S145)。これは、例えば、サーバ10より送信終了を意味する指令を受信した場合に、評価データの受信を完了したと判定することが考えられる。制御部39は、このS145において、サーバ10より評価データの受信を完了したと判定した場合は(S145:Yes)、S150へ処理を移行し、一方、サーバ10より評価データの受信を完了していないと判定した場合は(S145:No)、S155へ処理を移行する。
【0065】
サーバ10より評価データの受信を完了したと判定した場合に進むS150では、受信した最新の評価データに基づく評価を表示部30に表示する。表示例については後述する。その後、制御部39は、本処理(診断装置側送受信処理A)を終了する。
【0066】
一方、サーバ10より評価データの受信を完了していないと判定した場合に進むS155では、受信がタイムアウトしたか否かを判定する。具体的には、例えば、サーバ10より評価データ又は送信終了を意味する指令を受信することなく、所定時間(例えば、1分間)経過したか否かを判定することにより、受信がタイムアウトしたか否かを判定することが考えられる。制御部39は、このS155において、受信がタイムアウトとしたと判定した場合は(S155:Yes)、S160へ処理を移行し、一方、受信はタイムアウトしていないと判定した場合は(S155:No)、S145へ処理を戻す。
【0067】
受信はタイムアウトとしたと判定した場合に進むS160では、記憶部34に記憶されている評価データに基づく評価を表示部30に表示する。表示例については後述する。その後、制御部39は、S125へ処理を戻す。
【0068】
(2)診断装置側送受信処理B
次に、診断装置20bの制御部39が実行する診断装置側送受信処理Bについて、図5のフローチャートを用いて説明する。なお、診断装置側送受信処理Bは、診断装置20bへの電力供給が開始された際、例えば、搭載車両のアクセサリスイッチがオンになった際に、実行が開始される処理である。
【0069】
診断装置20bの制御部39は、診断装置側送受信処理Bの実行を開始すると、まず、BT通信部25を介して携帯電話50と通信可能であるか否かを判定する(S205)。例えば、所定のパケットを、BT通信部25を介して携帯電話50へ送信し、その応答が所定時間内に得られるか否かで判定する方法が考えられる。制御部39は、このS205において、BT通信部25を介して携帯電話50と通信可能であると判定した場合は(S205:Yes)、S210へ処理を移行し、一方、BT通信部25を介して携帯電話50と通信可能でないと判定した場合は(S205:No)、BT通信部25を介して携帯電話50と通信可能になるまで本ステップにとどまる。
【0070】
BT通信部25を介して携帯電話50と通信可能であると判定した場合に進むS210では、診断データを送信する旨の操作が操作スイッチ群28に対してユーザよりなされたか否かを判定する。診断データを送信する旨の操作がなされたと判定した場合は(S210:Yes)、S215へ処理を移行し、診断データを送信する旨の操作はなされていないと判定した場合は(S210:No)、S205へ処理を戻す。
【0071】
診断データを送信する旨の操作がなされたと判定した場合に進むS215では、制御部39は、携帯電話50が、公衆ネットワーク60に接続可能な状態であるか否かを判定する。例えば、制御部39が主導し、サーバ10へ所定のパケットを携帯電話50に送信させ、そのパケットの応答がサーバ10より携帯電話50に届いたか否かを判定することによって上記判定を行うことが考えられる。制御部39は、このS215において、携帯電話50は公衆ネットワーク60に接続可能な状態であると判定した場合は(S215:Yes)、上述した診断装置側送受信処理AのS110及びS110に続く処理を実行し、一方、携帯電話50は公衆ネットワーク60に接続可能な状態でないと判定した場合は(S215:No)、上述したS205に処理を戻す。なお、上述した診断装置側送受信処理AのS110及びS110に続く処理を実行する場合は、診断装置側送受信処理Aの説明において記載したDCM40を携帯電話50と読み替えて実行するものとする。
【0072】
[サーバ10の動作の説明]
次にサーバ10の動作について説明する。
(1)サーバ側送受信処理
サーバ10の制御部14が実行するサーバ側送受信処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、サーバ側送受信処理は、診断装置20より何らかの要求、具体的には、受信要求又は送信要求を受け付けた際に実行が開始される。なお、ここでいう「受信要求」というのは、診断装置20より送信される受信要求であり、上述した診断装置側送受信処理AのS115で送信される受信要求である。また、ここでいう「送信要求」というのは、診断装置20より送信される送信要求であり、上述した診断装置側送受信処理AのS135で送信される送信要求である。
【0073】
制御部14は、サーバ側送受信処理の実行を開始すると、まず受けた要求は受信要求か否かを判定する(S305)。受けた要求は受信要求であると判定した場合は(S305:Yes)、S310へ処理を移行し、受けた要求は受信要求ではないと判定した場合は(S305:No)、S315へ処理を移行する。
【0074】
受けた要求は受信要求であると判定した場合に進むS310では、制御部14は、診断装置20より診断データを受信して記憶部12に記憶する。記憶を終えると、制御部14は、S315へ処理を移行する。
【0075】
S315では、制御部14は送信要求を診断装置20より受けたか否かを判定する。送信要求を受けたと判定した場合は(S315:Yes)、S325へ処理を移行し、送信要求を受けていないと判定した場合は(S315:No)、S320へ処理を移行する。
【0076】
送信要求を受けていないと判定した場合に進むS320では、最初にS315の判定を行ってから所定時間が経過したか否かを判定する。ここで言う「所定時間」としては、例えば、1分程度が考えられる。制御部14は、このS320において、所定時間経過したと判定した場合は(S320:Yes)、本処理(サーバ側送受信処理)を終了し、まだ所定時間経過していないと判定した場合は(S320:No)、S315へ処理を戻す。
【0077】
送信要求を受けたと判定した場合に進むS325では、制御部14は、送信要求の中に含まれるユーザIDに対応する評価データを記憶部12より読み出して送信する。送信が完了すると、制御部14は、本処理(サーバ側送受信処理)を終了する。
【0078】
(2)更新処理(月単位)
次に、サーバ10の制御部14が実行する更新処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。なお、更新処理(月単位)は、毎月の始めに実行が開始される処理である。
【0079】
制御部14は、更新処理(月単位)の実行を開始すると、前月の診断データを記憶部12より抽出する(S405)。
続いて、制御部14は、S405で抽出された診断データ毎に診断ポイントを特定し、その特定した診断ポイントをユーザID単位でまとめ、各ユーザの合計診断ポイントを累計ポイントとして算出する(S410)。
【0080】
続いて、制御部14は、S410で算出した各ユーザの累計ポイントに応じて、相対的な順位及びステータスを決定し、その情報を記憶部12に記憶させる(S415)。制御部14は、相対的な順位及びステータスの情報を記憶部12に記憶させると、本処理(更新処理(月単位))を終了する。
【0081】
(3)更新処理(日単位)
次に、サーバ10の制御部14が実行する更新処理(日単位)について、図8のフローチャートを用いて説明する。なお、更新処理(日単位)は、毎日の0:00に実行が開始される処理である。
【0082】
制御部14は、更新処理(日単位)の実行を開始すると、今月の始めから昨日までの診断データを記憶部12より抽出する(S505)。
続いて、制御部14は、S505で抽出された診断データ毎に診断ポイントを特定し、その特定した診断ポイントをユーザID単位でまとめ、各ユーザの合計診断ポイントを累計ポイントとして算出する(S510)。
【0083】
続いて、制御部14は、S510で算出した各ユーザの累計ポイントに応じて、ランクを決定し、その情報を記憶部12に記憶させる(S415)。なお、ランクの決定の際には、今月の始めから昨日までの診断データに基づいて決定されたランクが、前月の診断データに基づいて決定されたステータス内に含まれるようにランクを決定する。この具体例については後述する。制御部14は、ランクの情報を記憶部12に記憶させると、本処理(更新処理(日単位))を終了する。
【0084】
[ステータスとランクについて]
次に、図9の説明表を用いて、ステータスとランクについて説明する。
ステータスとしては、「Gold」、「Silver」、「Blue」の3つのステータスが存在する。「Gold」は、ハイクラスとしての位置づけである。「Silver」は、ミドルクラスとしての位置づけである。「Blue」はエントリークラスとしての位置づけである。
【0085】
また、各ステータスには、ランクとして「1」「2」「3」が存在する。数字が小さいほど評価は高い。
なお、ステータス「Blue」、ランク「3」が、評価の初期ステータス及びランクである。
【0086】
[ステータスとランクが変動する様子について]
次に、図10のグラフを用いて、ステータスとランクの変動について説明する。
図10(a)は、ステータスの変動を示すグラフである。1月1日から2月1日の期間に表示部10に表示されるステータスは、当該期間の累計ポイントにかかわらず初期の評価ステータスである「Blue」である(1月1日から診断を開始した場合)。2月1日から3月1日の期間に表示されるステータスは、直前の期間である1月1日から2月1日の期間の累計ポイントに基づいて決定される「Blue」である。3月1日から4月1日の期間に表示されるステータスは、直前の期間である2月1日から3月1日の期間の累計ポイントに基づいて決定される「Silver」である。4月1日から5月1日の期間に表示されるステータスは、直前の期間である3月1日から4月1日の期間の累計ポイントに基づいて決定される「Blue」である。
【0087】
このように、直前の期間(前月)の累計ポイントに基づいて決定されるステータスが翌期間(当月)のステータスとして表示部30に表示される。
図10(b)は、ランクの変動を示すグラフである。5月の累計ポイントは、5月10日にステータス「Blue」に属するランク「2」(以下、ランクについて、「B−2」といった形式で記載する。)の閾値に達し、5月20日に「B−1」のランクの閾値に達し、5月25日頃に「S−3」の閾値に達している。実際に表示部30に表示されるランクは、5月1日から5月10日は、「B−3」が表示され(実際にはランクとしては「3」のみが表示部30に表示される)、5月10日から5月20日は「B−2」が表示され(実際にはランクとしては「2」のみが表示部30に表示される)、5月20日から6月1日までは「B−1」が表示される(実際にはランクとしては「1」のみが表示部30に表示される)。このように、月が変わるまでは、別のステータスに属するランクには移行しない。
【0088】
6月1日以降に表示部30に表示されるランクは、前月末の時点で前月の累計ポイントがステータス「Silver」の閾値を超えているため、当該月の累計ポイントが「S−3」の閾値に満たなくても「S−3」が表示され(6月1日から6月25日)、当該月の累計ポイントが「S−2」の閾値を超えた時点(6月25日)から月末までは、「S−2」が表示される(実際にはランクとしては「2」のみが表示される)。
【0089】
7月1日以降に表示部30に表示されるランクは、前月末の時点で前月の累計ポイントがステータス「Silver」の閾値を超えているため、当該月の累計ポイントが「S−3」の閾値に満たなくても「S−3」が表示される(実際にはランクとしては「3」のみが表示される)。
【0090】
[診断装置に表示される診断結果について]
次に、図11の画面例を用いて、評価データに基づいて表示部30に表示される評価画面を説明する。
【0091】
図11に示すように、評価画面には、ユーザIDより特定されるユーザ名と、前月の月間順位と、前年の月間順位の自己ベストと、当月の累計ポイントと、前月のステータスと、当月のランクと、評価データの更新日時とが表示される。
【0092】
[実施形態の効果]
サーバ10は、更新処理を月単位と日単位とでそれぞれ実行し、このうち、月単位の更新処理では、前月の診断データを記憶部12より抽出し(S405)、診断ポイントをユーザID単位でまとめ、累計ポイントを算出する(S410)。そして、この累計ポイントに基づいて、相対的な順位やステータス(Gold,Silver,Blue)等の評価データを算出する(S415)。したがって、特定の期間(前月)に対応する診断データに基づいてこれらの評価データが算出されるため、サーバへ診断データが集まってくるタイミングにばらつきがある場合でも、一定の信頼性のある評価データを提供することができる。
【0093】
また、サーバ10は、累計ポイントに基づいてユーザの相対的な順位を決定し、その決定した順位を、ユーザと対応づけられた評価データの一つとして記憶し、診断装置20に提供する。
【0094】
したがって、相対的な順位を知ったユーザは、より上位の順位を得ようと考え、運転技術の向上を図る努力をすると考えられる。
また、サーバ10は、累計ポイントに基づいてユーザのステータスを決定し、その決定したステータスを、ユーザと対応づけられた評価データの一つとして記憶し、診断装置20に提供する。
【0095】
したがって、ステータスを知ったユーザは、より上位のステータスを得ようと考え、運転技術の向上を図る努力をすると考えられる。
また、サーバ10は、今月の初めから前日までに対応する診断データを記憶部12より抽出し(S505)、診断ポイントをユーザ単位でまとめ、累計ポイントを算出する(S510)。そして、サーバ10は、この累計ポイントに基づいてユーザのランクを決定し、その決定したランクを、ユーザと対応づけられた評価データの一つとして記憶し、診断装置20に提供する。
【0096】
したがって、ユーザは、一定の信頼性のあるステータスに加え、現在の状況に近く、努力結果が細かくわかる情報(ランク)についても知ることができる。
また、サーバ10は、ランクの決定の際、今月の始めから昨日までの診断データに基づいて決定されたランクが、前月の診断データに基づいて決定されたステータス内に含まれるようにランクを決定する(図10(b)の6月1日以降を参照)。
【0097】
したがって、ステータスと、ランクが属するステータスとで、齟齬が生じるケースが発生することを防止できる。
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲に記載した用語との対応を示す。
【0098】
サーバ10の通信部11がサーバ側通信手段に相当し、サーバ10の記憶部12が受診情報記憶手段に相当する。
診断データが受信情報に相当し、診断データにおける診断ポイントが診断情報に相当し、診断データにおけるユーザIDがユーザ特定情報に相当し、診断データにおける車載装置IDが車載装置特定情報に相当する。
【0099】
評価データが評価情報に相当し、サーバ10の制御部14が評価情報生成手段に相当し、サーバ10の通信部11が送信手段に相当する。
サーバ10の制御部14が実行する更新処理(月単位)のS410において算出する累計ポイントが第一の累計値及び第二の累計値に相当する。また、サーバ10の制御部14が実行する更新処理(日単位)のS510において算出する累計ポイントが第一の累計値及び第三の累計値に相当する。
【0100】
診断装置20が車載装置に相当し、診断装置20の記憶部34が車載装置側記憶手段に相当し、診断装置20の表示部30が報知手段に相当する。また、診断装置20の制御部39が実行する診断装置側送受信処理AのS115が第一制御手段としての機能に相当する。また、診断装置20の制御部39が実行する診断装置側送受信処理AのS140が第二制御手段としての機能に相当する。
【0101】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、サーバ10は、DCM40経由で診断データを送信してくる診断装置20aにも、携帯電話50経由で診断データを送信してくる診断装置20bにも、前月の診断データに基づいて決定したステータスや順位を提供していた。しかし、DCM40経由で診断データを送信してくる診断装置20aと、携帯電話50経由で診断データを送信してくる診断装置20bとで、ステータスや順位の決定に用いる診断データの期間を変更してもよい。例えば、DCM40経由で診断データを送信してくる診断装置20aに対しては、上述した前月の診断データに基づいて決定したステータスや順位に加え、前週の診断データに基づいてステータスや順位を決定し、その決定したステータスや順位についても提供するようにしてもよい。なお、サーバ10には、通信相手がDCM40経由で診断データを送信してくる診断装置20aであるか、それとも携帯電話50経由で診断データを送信してくる診断装置20bであるかを判定する機能が必要になるが、この機能が、特許請求の範囲に記載した判定手段としての機能に相当する。
【0102】
このように、DCM経由で診断データを送信してくる診断装置20aと、携帯電話50経由で診断データを送信してくる診断装置20bとで、提供する情報を変え、DCM経由で診断データを送信してくる診断装置20aを優遇すれば、DCM40経由で通信を行う診断装置20aが増え、結果として鮮度の良い診断データがサーバ10に集まりやすくなる。
【0103】
(2)サーバ10は、診断装置20より診断データを受信して記憶部12に記憶する際(S310)、新たに受信した診断データに含まれる診断装置IDとタイムスタンプの組み合わせが、既に記憶部12に記憶されている場合には、その新たに受信した診断データを記憶部12に記憶させないようにするとよい。つまり、診断装置IDとタイムスタンプの組み合わせが重複する診断データについては、評価データを生成する際に利用できないようにするとよい。
【0104】
このようになっていれば、「ユーザ」をサーバ10における登録ユーザという単位で捉えている場合であっても、診断装置20の故障等によって診断データが重複して送信された場合に、重複した診断データが用いられて評価データが生成されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】評価システムの構成を示すブロック図である。
【図2】サーバの構成を説明するためのブロック図である。
【図3】診断装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】診断装置側送受信処理Aを説明するためのフローチャートである。
【図5】診断装置側送受信処理Bを説明するためのフローチャートである。
【図6】サーバ側送受信処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】更新処理(月単位)を説明するためのフローチャートである。
【図8】更新処理(日単位)を説明するためのフローチャートである。
【図9】ステータス及びランクの説明表である。
【図10】ステータス及びランクが変動する様子を説明するための説明図である。
【図11】診断装置の表示部に表示される評価結果画面の一例である。
【符号の説明】
【0106】
5…評価システム、10…サーバ、11…通信部、12…記憶部、13…操作部、14…制御部、20,20a,20b…診断装置、21…検出部、22…GPS信号受信部、23…ジャイロスコープ、24…距離センサ、25…BT通信部、26…リモコンセンサ、27…リモコン、28…操作スイッチ群、29…地図データ入力部、30…表示部、31…音声出力部、32…音声入力部、33…車内LAN通信部、34…記憶部、39…制御部、40…DCM、50…携帯電話、60…公衆ネットワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載装置と通信を行うためのサーバ側通信手段と、
診断情報、その診断情報に係るタイムスタンプ、及び、ユーザ特定情報を、前記サーバ側通信手段を介して前記車載装置より取得し、これらを対応付けて受信情報として記憶する受信情報記憶手段と、
前記受信情報記憶手段が記憶する前記受信情報を参照し、過去の所定の期間に含まれる前記タイムスタンプに対応する前記診断情報より、前記所定の期間の評価情報をユーザと対応付けて生成し、生成した前記評価情報をユーザと対応付けて記憶する評価情報生成手段と、
前記評価情報生成手段が記憶する前記評価情報のうち、前記サーバ側通信手段を介して前記車載装置が要求したユーザに対応する前記評価情報を、前記サーバ側通信手段を介して要求元の前記車載装置へ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のサーバにおいて、
前記サーバ側通信手段が前記車載装置と通信を行う際、その車載装置が車両に常時搭載された通信装置経由で通信を行う車載装置であるか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記評価情報生成手段は、前記所定の期間の一つであって、前記通信装置経由で通信を行う前記車載装置向けの期間により、前記通信装置経由で通信を行う前記車載装置向けの前記評価情報をさらに生成して記憶し、
前記送信手段は、前記通信装置経由で通信を行う前記車載装置であると前記判定手段により判定された前記車載装置に対してのみ、前記通信装置経由で通信を行う前記車載装置向けの前記評価情報を送信すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のサーバにおいて、
前記評価情報生成手段は、前記期間の長さで繰り返し前記評価情報を生成すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のサーバにおいて、
前記受信情報記憶手段は、前記受信情報と共に、車載装置を特定することができる車載装置特定情報を、前記サーバ側通信手段を介して前記車載装置より取得し、前記受信情報と対応付けて記憶し、
前記評価情報生成手段は、前記タイムスタンプ及び前記車載装置特定情報の組み合わせが重複する前記診断情報については、前記評価情報を生成しないこと、
を特徴とするサーバ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のサーバにおいて、
前記評価情報生成手段は、前記期間内に係る前記診断情報毎にポイントを求め、前記期間内における前記ポイントの累計値である第一の累計値により、前記ユーザの相対的な順位を決定し、その決定した順位を前記評価情報とし、前記ユーザと対応付けて記憶すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のサーバにおいて、
前記評価情報生成手段は、前記期間内に係る前記診断情報毎にポイントを求め、前記期間内における前記ポイントの累計値である第二の累計値により、前記ユーザが複数の絶対的なステータスのうちのいずれのステータスに属するかを決定し、その決定したステータスを特定する情報であるステータス情報を前記評価情報とし、前記ユーザと対応付けて記憶すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項7】
請求項6に記載のサーバにおいて、
前記評価情報生成手段は、直前の前記期間以降に係る前記診断情報毎にポイントを求め、直前の前記期間以降の前記ポイントの累計値である第三の累計値により、前記ステータスが細分化された複数のランクのうちのいずれのランクに前記ユーザが属するかを決定し、その決定したランクを特定する情報であるランク情報についても前記評価情報とし、前記ユーザと対応付けてさらに記憶すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項8】
請求項7に記載のサーバにおいて、
前記評価情報生成手段は、前記ランクの決定に際し、前記第三の累計値が、直前の前記期間のステータスにおける最低ランクの条件に満たない場合でも、直前の前記期間のステータスにおける最低ランクに属するものとしてランクを決定し、前記第三の累計値が、直前の前記期間のステータスにおける最高ランクの条件を超える場合でも、直前の前記期間のステータスにおける最高ランクに属するものとしてランクを決定すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載のサーバと通信を行う車載装置側通信手段と、
診断情報、その診断情報に係るタイムスタンプ、及び、ユーザ特定情報を記憶する車載装置側記憶手段と、
情報を報知する報知手段と、
前記車載装置側記憶手段に記憶されている前記診断情報、前記タイムスタンプ、及び、前記ユーザ特定情報を、前記車載装置側通信手段を介して前記サーバへ送信する第一制御手段と、
前記車載装置側通信手段に記憶されている前記ユーザ特定情報に対応する前記評価情報を、前記車載装置側通信手段を介して前記サーバに要求し、前記車載装置側通信手段を介して前記サーバより送信されてきた前記評価情報を前記報知手段に報知させる第二制御手段と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項10】
請求項9に記載の車載装置において、
前記第一制御手段は、前記車載装置側記憶手段に記憶されている前記診断情報を前記サーバへ送信すると、前記車載装置側記憶手段に記憶されている前記診断情報を削除すること、
を特徴とする車載装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載のサーバと、請求項9又は請求項10に記載の車載装置とを備える評価システム。
【請求項1】
車載装置と通信を行うためのサーバ側通信手段と、
診断情報、その診断情報に係るタイムスタンプ、及び、ユーザ特定情報を、前記サーバ側通信手段を介して前記車載装置より取得し、これらを対応付けて受信情報として記憶する受信情報記憶手段と、
前記受信情報記憶手段が記憶する前記受信情報を参照し、過去の所定の期間に含まれる前記タイムスタンプに対応する前記診断情報より、前記所定の期間の評価情報をユーザと対応付けて生成し、生成した前記評価情報をユーザと対応付けて記憶する評価情報生成手段と、
前記評価情報生成手段が記憶する前記評価情報のうち、前記サーバ側通信手段を介して前記車載装置が要求したユーザに対応する前記評価情報を、前記サーバ側通信手段を介して要求元の前記車載装置へ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のサーバにおいて、
前記サーバ側通信手段が前記車載装置と通信を行う際、その車載装置が車両に常時搭載された通信装置経由で通信を行う車載装置であるか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記評価情報生成手段は、前記所定の期間の一つであって、前記通信装置経由で通信を行う前記車載装置向けの期間により、前記通信装置経由で通信を行う前記車載装置向けの前記評価情報をさらに生成して記憶し、
前記送信手段は、前記通信装置経由で通信を行う前記車載装置であると前記判定手段により判定された前記車載装置に対してのみ、前記通信装置経由で通信を行う前記車載装置向けの前記評価情報を送信すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のサーバにおいて、
前記評価情報生成手段は、前記期間の長さで繰り返し前記評価情報を生成すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のサーバにおいて、
前記受信情報記憶手段は、前記受信情報と共に、車載装置を特定することができる車載装置特定情報を、前記サーバ側通信手段を介して前記車載装置より取得し、前記受信情報と対応付けて記憶し、
前記評価情報生成手段は、前記タイムスタンプ及び前記車載装置特定情報の組み合わせが重複する前記診断情報については、前記評価情報を生成しないこと、
を特徴とするサーバ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のサーバにおいて、
前記評価情報生成手段は、前記期間内に係る前記診断情報毎にポイントを求め、前記期間内における前記ポイントの累計値である第一の累計値により、前記ユーザの相対的な順位を決定し、その決定した順位を前記評価情報とし、前記ユーザと対応付けて記憶すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のサーバにおいて、
前記評価情報生成手段は、前記期間内に係る前記診断情報毎にポイントを求め、前記期間内における前記ポイントの累計値である第二の累計値により、前記ユーザが複数の絶対的なステータスのうちのいずれのステータスに属するかを決定し、その決定したステータスを特定する情報であるステータス情報を前記評価情報とし、前記ユーザと対応付けて記憶すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項7】
請求項6に記載のサーバにおいて、
前記評価情報生成手段は、直前の前記期間以降に係る前記診断情報毎にポイントを求め、直前の前記期間以降の前記ポイントの累計値である第三の累計値により、前記ステータスが細分化された複数のランクのうちのいずれのランクに前記ユーザが属するかを決定し、その決定したランクを特定する情報であるランク情報についても前記評価情報とし、前記ユーザと対応付けてさらに記憶すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項8】
請求項7に記載のサーバにおいて、
前記評価情報生成手段は、前記ランクの決定に際し、前記第三の累計値が、直前の前記期間のステータスにおける最低ランクの条件に満たない場合でも、直前の前記期間のステータスにおける最低ランクに属するものとしてランクを決定し、前記第三の累計値が、直前の前記期間のステータスにおける最高ランクの条件を超える場合でも、直前の前記期間のステータスにおける最高ランクに属するものとしてランクを決定すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載のサーバと通信を行う車載装置側通信手段と、
診断情報、その診断情報に係るタイムスタンプ、及び、ユーザ特定情報を記憶する車載装置側記憶手段と、
情報を報知する報知手段と、
前記車載装置側記憶手段に記憶されている前記診断情報、前記タイムスタンプ、及び、前記ユーザ特定情報を、前記車載装置側通信手段を介して前記サーバへ送信する第一制御手段と、
前記車載装置側通信手段に記憶されている前記ユーザ特定情報に対応する前記評価情報を、前記車載装置側通信手段を介して前記サーバに要求し、前記車載装置側通信手段を介して前記サーバより送信されてきた前記評価情報を前記報知手段に報知させる第二制御手段と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項10】
請求項9に記載の車載装置において、
前記第一制御手段は、前記車載装置側記憶手段に記憶されている前記診断情報を前記サーバへ送信すると、前記車載装置側記憶手段に記憶されている前記診断情報を削除すること、
を特徴とする車載装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載のサーバと、請求項9又は請求項10に記載の車載装置とを備える評価システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−39642(P2010−39642A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200035(P2008−200035)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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