サーバ装置、制御装置、サーバラック、冷却制御プログラム及び冷却制御方法
【課題】冷却に要する消費電力を低減するサーバ装置及びサーバラック、並びにサーバ装置の冷却に要する消費電力を低減する制御装置、冷却制御プログラム及び冷却制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】複数のサーバ20と、複数のサーバを格納するサーバラック10と、少なくとも1つのファン30と、ファンが回転することにより発生し、サーバを通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部40と、サーバ内の温度が、予め定めた目標温度となるように、風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部511と、弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、サーバ内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、ファンを動作させるファン制御部512と、を備える。
【解決手段】複数のサーバ20と、複数のサーバを格納するサーバラック10と、少なくとも1つのファン30と、ファンが回転することにより発生し、サーバを通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部40と、サーバ内の温度が、予め定めた目標温度となるように、風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部511と、弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、サーバ内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、ファンを動作させるファン制御部512と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、サーバの冷却技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サーバコンピュータ等の電子機器として、高集積化や拡張性に優れたブレードサーバが注目されている。ブレードサーバの筺体(サーバラック)内には、ブレードと呼ばれる複数のコンポーネントが収納されている。各ブレードには、CPU(Central Processing Unit)、メモリ及びHDD(Hard Disk Drive)等、コンピュータとして必要な要素を実装した基板が収容されている。
【0003】
各ブレードの基板に実装されたCPUやHDD等の各要素は、その動作により発熱する。各要素の発熱によってブレード内の温度が高くなりすぎると、CPU等が熱暴走するおそれがある。そこで、ブレード、あるいは、サーバ装置の冷却方法について、様々な技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−231493号公報
【特許文献2】特開平11−204974号公報
【特許文献3】特開平6−348369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、データセンター等では、サーバ装置数の増加に伴い、その冷却に要する消費電力の削減が課題となっている。また、環境問題への対応としても、サーバ装置の消費電力の低減が求められている。しかしながら、特許文献1〜3に記載された技術では、サーバ装置の冷却に無駄な電力を消費している可能性があった。
【0006】
本件は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、冷却に要する消費電力を低減するサーバ装置及びサーバラック、並びにサーバ装置の冷却に要する消費電力を低減する制御装置、冷却制御プログラム及び冷却制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、明細書開示のサーバ装置は、複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体と、少なくとも1つのファンと、前記少なくとも1つのファンが回転することにより発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部と、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部と、前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、を備える。
【0008】
また、明細書開示の制御装置は、筐体に格納された複数の電子装置内に冷却風を発生させる少なくとも1つのファンと、前記冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部とを制御する制御装置であって、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部と、前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、を備える。
【0009】
また、明細書開示のサーバラックは、複数の電子装置を格納するサーバラックであって、少なくとも1つのファンと、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記少なくとも1つのファンの回転により発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部と、前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、を有する制御装置と、を備える。
【0010】
また、明細書開示の冷却制御プログラムは、複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体とを備えるサーバ装置を冷却するための冷却制御プログラムであって、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記筐体に備えられた少なくとも1つのファンの回転によって発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御ステップと、前記弁開度制御ステップで制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御ステップと、をコンピュータに実行させる。
【0011】
また、明細書開示の冷却制御方法は、複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体とを備えるサーバ装置の冷却制御方法であって、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記筐体に備えられた少なくとも1つのファンの回転により発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御ステップと、前記弁開度制御ステップで制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
明細書開示のサーバ装置及びサーバラックによれば、冷却に要する消費電力を低減できる。また、明細書開示の制御装置、冷却制御プログラム、及び冷却制御方法によれば、サーバ装置の冷却に要する消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。
【図2】サーバの構成の一例を示す図である。
【図3】風量調整部の構成の一例を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る制御装置が有する機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】第1の実施形態に係る制御装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態に係る制御装置が実行する制御の一例を示す制御ブロック図である。
【図8】風量調整部及びファンの制御をそれぞれ独立して行う制御系の制御ブロック図の一例を示している。
【図9】ファンの風量−圧力特性の一例を示す図である。
【図10】比較例1に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。
【図11】シミュレーションに用いられるサーバの数学モデルの一例である。
【図12】シミュレーションに用いられるサーバラックの数学モデルの一例である。
【図13】比較例1、2、及び第1の実施形態に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力のシミュレーション結果を示す図である。
【図14】第1の実施形態に係るサーバ装置の他の構成例を示す図である。
【図15】第1の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図の別例である。
【図16】弁開度制御部が風量調整部の弁開度を煙突圧力、外気温、及び各サーバの消費電力から算出する方法の一例を示している。
【図17】変形例1に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。
【図18】変形例1に係る制御装置が有する機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図19】変形例2に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。
【図20】変形例2に係る負荷調整部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図21】変形例2に係る弁開度制御部及びファン制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図22】変形例3に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。
【図23】比較例1、比較例2、及び変形例1〜3に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力のシミュレーション結果である。
【図24】負荷が0%になったサーバの電源を遮断した場合における、サーバ装置の冷却に要する消費電力のシミュレーション結果である。
【図25】第1の実施形態及び変形例1〜3に係る制御装置が実行する制御の別例を示す制御ブロック図である。
【図26】サーバ装置の冷却システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、発明を実施するための形態を説明する。
<第1の実施形態>
【0015】
図1は、第1の実施形態に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。サーバ装置100は、サーバラック(筐体)10、複数のサーバ(電子装置)20−1〜20−9、ファン30、風量調整部40−1〜40−9、及び制御装置50を備える。
【0016】
サーバラック10は、複数のサーバ20−1〜20−9を格納する。サーバラック10には、サーバ20−1〜20−9を通過する冷却風の通路となる煙突部101が設けられている。本実施形態では、サーバラック10は、9つのサーバを格納することとするが、サーバラック10が格納するサーバの数は、本実施形態に限られるものではない。なお、以後の説明では特に区別する必要のない限り、サーバ20−1〜20−9をサーバ20と記載する。
【0017】
ファン30は、その回転により、サーバラック10内の空気を排出、又は、サーバラック10内に空気を導入する。ファン30は、空気の排出、あるいは、導入によって、サーバ20−1〜20−9を通過する冷却風を発生させる。本実施形態では、ファン30は、サーバラック10内の空気を排出することによって、冷却風を発生させるものとする。図1では、ファン30が回転することによって発生する冷却風の向きを矢印で示している。なお、本実施形態では、サーバ装置100が備えるファン30の数は1つとするが、サーバ装置100が備えるファン30の数は2以上であってもよい。
【0018】
風量調整部40−1〜40−9は、サーバ20−1〜20−9を通過する冷却風の風量を調整する。本実施形態では、風量調整部40は、サーバ20−1〜20−9に対して、それぞれ設けられているものとする。なお、以後の説明では特に区別する必要のない限り、風量調整部40−1〜40−9を風量調整部40と記載する。
【0019】
風量調整部40は、サーバ20が備えていてもよいし、サーバラック10が備えていてもよい。本実施形態では、図2に示すように、各サーバ20に風量調整部40が設けられているものとする。
【0020】
図3は、風量調整部40の構成の一例を示す図である。図3(A)に示すように、風量調整部40は、排気口(吸気口)401、シャッタ402、及び駆動機構403を備える。風量調整部40は、駆動機構403により、シャッタ402を左右方向(図3(A):矢印方向)に移動させることで弁開度を調整し、排気口401を通過する冷却風の風量を調整する。以降の説明において、弁開度0%は、シャッタ402により排気口401が完全に閉じられた状態を示し、弁開度100%は、排気口401が完全に開放された状態を示すものとする。なお、風量調整部40の構成は、図3(A)に限られるものではない。例えば、図3(B)に示すように、ルーバ状に配列された複数の板の向きを変えることによって、風量を調整する構成であってもよい。
【0021】
制御装置50は、サーバ20内の温度が目標温度となるように、ファン30の回転数、および風量調整部40の弁開度を制御する。
【0022】
次に、図4を参照して、制御装置50のハードウェア構成の一例について説明する。制御装置50は、入出力部501、ROM(Read Only Memory)502、中央処理装置(CPU)503、RAM(Random Access Memory)504を備える。
【0023】
入出力部501は、サーバ20−1〜20−9、風量調整部40−1〜40−9、及びファン30との間でデータ及び制御信号の入出力を行う。ROM502は、サーバ20内の温度を目標温度とするための風量調整部40の弁開度及びファン30の回転数を求めるプログラム(詳細は後述)等を格納する。CPU503は、ROM502に格納されたプログラムを読み込んで実行する。RAM504は、プログラムを実行する際に使用される一時的なデータを保存する。
【0024】
次に、ROM502に格納されたプログラムのCPU503による演算によって実現される、制御装置50の機能の一例について説明する。図5は、制御装置50が備える機能の一例を示す機能ブロック図である。図5に示すように、制御装置50は、弁開度制御部511及びファン制御部512を備える。
【0025】
弁開度制御部511は、サーバ20−1〜20−9のそれぞれから、各サーバ内の温度を取得する。弁開度制御部511は、サーバ内の温度を、例えば、サーバ内のCPUに設置された温度センサから取得できる。また、弁開度制御部511は、サーバ内の温度を、例えば、各サーバにインストールされた温度計測用のソフトウェアから取得できる。
【0026】
弁開度制御部511は、各サーバ内の温度を予め定めた目標温度とするための風量調整部40−1〜40−9の弁開度を、それぞれ算出する。弁開度制御部511は、風量調整部40−1〜40−9の弁開度が算出した弁開度となるように、風量調整部40−1〜40−9を制御する。
【0027】
ファン制御部512は、弁開度制御部511が算出した風量調整部40−1〜40−9の弁開度を取得する。ファン制御部512は、取得した弁開度のうち最も高い(最も開いている)弁開度を、予め定めた目標開度とするためのファンの回転数を算出する。なお、本実施形態では、目標開度は100%であるとする。ファン制御部512は、算出した回転数でファンが回転するように、ファンを制御する。
【0028】
次に、第1の実施形態に係る制御装置が実行する処理の一例について説明する。図6は制御装置50が実行する処理の一例を示すフローチャートである。また、図7は、制御装置50の制御ブロック図の一例である。
【0029】
まず、弁開度制御部511は、各サーバ内の温度を取得する(ステップS11)。次に、弁開度制御部511は、ステップS11で取得した温度情報に基づいて、風量調整部40の弁開度を算出する(ステップS13)。具体的には、図7に示すように、弁開度制御部511は、サーバ20−1〜20−9から取得したサーバ内の温度と、目標温度との温度差をサーバ毎に算出する。弁開度制御部511は、算出した温度差に弁開度算出用の調整定数を乗算し、風量調整部40−1〜40−9のそれぞれの弁開度を算出する。なお、弁開度算出用の調整定数は、シミュレーションや実験等によって予め求められているものとする。
【0030】
弁開度制御部511は、風量調整部40の弁開度がステップS13で算出した弁開度となるように、風量調整部40を制御する(ステップS15)。
【0031】
一方、ファン制御部512は、弁開度制御部511が算出した風量調整部40の弁開度のうち、最も高い弁開度を選択する(ステップS17)。ファン制御部512は、最も高い弁開度を目標開度とするために必要なファン回転数を算出する(ステップS19)。具体的には、図7に示すように、ファン制御部512は、弁開度制御部511が算出した弁開度のうち最も高い(最も開いている)弁開度と、目標開度(100%)との差を求める。ファン制御部512は、求めた開度差に回転数算出用の調整定数を乗算し、ファンの回転数を算出する。なお、回転数算出用の調整定数は、シミュレーションや実験等によって予め求められているものとする。
【0032】
上述の説明からも明らかなように、本実施形態に係る制御系は、風量調整部40の弁開度の制御とファン30の回転数の制御とが結合した制御系となっている。
【0033】
ファン制御部512は、算出した回転数でファンが回転するように、ファンを制御する(ステップS21)。
【0034】
弁開度制御部511及びファン制御部512は、上述のステップS11〜ステップS21の処理を繰り返す。
【0035】
次に、図7に示す制御系を用いることによって、サーバ装置100の冷却に要する消費電力が低減される原理について説明する。ここでは、風量調整部40及びファン30の制御をそれぞれ独立して行う制御系を比較例として用いる。
【0036】
図8は、風量調整部40及びファン30の制御をそれぞれ独立して行う制御系の制御ブロック図の一例を示している。図8の制御系では、ファン回転数を、煙突部101内の圧力(煙突圧力)と目標圧力との差に基づいて算出する点が、図7の制御系と異なる。すなわち、比較例に係る制御系では、弁開度制御部511´で算出された弁開度は、ファン回転数の制御には用いられない。
【0037】
図9は、ファン30の風量−圧力特性の一例を示す図である。図9に示すように、ファンの回転数ごとに、風量と圧力とは特定の関係を有している。また、図9において、煙突圧力が一定となる比較例に係る制御系(図8の制御系)の風量−圧力特性は、線Xで示される。そして、本実施形態に係る制御系(図7の制御系)において風量調整部40の弁開度が100%の場合の風量−圧力特性は、線Yで表される。
【0038】
ここで、例えば、サーバ20−1〜20−9にかかる負荷がそれぞれ100%の場合、サーバ内の温度を目標温度とするためには、風量Q1の冷却風が必要であるとする。この場合、Q1と線Xとの交点、及びQ1と線Yとの交点は、いずれもAである。これは、比較例に係る制御系及び本実施形態に係る制御系において、サーバ内の温度を目標温度とするファンの回転数が、交点Aを通過する風量−圧力特性を示す回転数(2500[rpm])であることを意味する。
【0039】
次に、例えば、サーバ20−1〜20−9にかかる負荷がそれぞれ50%の場合、サーバ内の温度を目標温度とするためには、風量Q2の冷却風が必要であるとする。この場合、比較例に係る制御系では、Q2と線Xとの交点は、Eである。つまり、サーバ20の負荷が50%である場合、比較例に係る制御系では、サーバ内の温度を目標温度とするためのファンの回転数は、交点Eを通過する風量−圧力特性を示す回転数(1500[rpm])となる。一方、本実施形態に係る制御系では、Q2と線Yとの交点は、Cである。つまり、本実施形態に係る制御系では、サーバ内の温度を目標温度とするためのファンの回転数は、交点Cを通過する風量―圧力特性線を示す回転数(1000[rpm])となる。
【0040】
一般に、ファンの回転数とファンの消費電力とは比例する。したがって、サーバ20の負荷が100%よりも低い場合には、本実施形態に係る制御系のほうが、比較例に係る制御系よりも消費電力を削減できる。
【0041】
なお、本実施形態に係る制御系において、風量調整部40の弁開度が80%の場合の風量−圧力特性が、線Zで表されるとする。ここで、サーバ20にかかる負荷が50%の場合には、弁開度が80%であっても、本実施形態に係る制御系の方が、比較例に係る制御系よりもファンの回転数を低くできる(交点D)。しかしながら、図9からも明らかなように、弁開度が100%のほうが、弁開度が80%の場合よりもファンの回転数をさらに低くすることができる(点C)。そこで、例えば、弁開度制御部511がサーバ20内の温度を目標温度とするための弁開度として、80%を算出したとする。この場合、ファン制御部512は、弁開度制御部511が制御する弁開度80%よりも高い弁開度(例えば100%)において、サーバ内の温度を目標温度にするための冷却風の風量(Q2)を達成するファンの回転数を求める。そして、ファン制御部512が、ファン30を、上述の方法によって求めた回転数(1000[rpm])で動作させることによって、サーバ装置100の冷却に要する消費電力をさらに削減できる。
【0042】
次に、第1の実施形態に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力について説明する。なお、ここで、図10に示すように、風量調整部40を備えず、ファン30のみ備えるサーバ装置を比較例1とする。また、風量調整部40及びファン30を備えるが、風量調整部40及びファン30の制御は、図8に示したように独立した制御系で行うサーバ装置を比較例2とする。
【0043】
比較例1、比較例2、及び第1の実施形態に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力をシミュレーションによって求めた。サーバ20については図11に示す数学モデルを用い、サーバラック10については、図12に示す数学モデルを用いてシミュレーションを行った。また、サーバ20−1〜20−9の平均負荷は30%であるとして、シミュレーションを行った。
【0044】
上述の条件の下で実施されたシミュレーションの結果を、図13に示す。図13から明らかなように、第1の実施形態に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力は、比較例1の消費電力を約75%削減した消費電力となっている。また、第1の実施形態に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力は、比較例2の消費電力を約15%削減した消費電力となっている。
【0045】
以上、第1の実施形態によれば、サーバ装置100において、弁開度制御部511は、複数のサーバ20−1〜20−9の温度が、それぞれ目標温度となるように、複数の風量調整部40−1〜40−9の各弁開度を制御する。そして、ファン制御部512は、弁開度制御部511が制御する弁開度よりも高い弁開度において、サーバ20内の温度を目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、ファン30を回転させる。これにより、図9で示したように、ファンの回転数が最小化されるため、サーバ装置100の冷却に要する消費電力を低減することができる。また、本実施形態に係るサーバ装置によれば、風量調整部40とファン30とをそれぞれ独立した制御系により制御するサーバ装置と比較して、冷却に要する消費電力を約15%削減できる。
【0046】
なお、上述の説明では、CPUに設置した温度センサや、計測ソフトウェアによってサーバ内の温度を取得することとしたが、サーバ20の構造によっては、温度の取得が難しい場合もある。この場合、例えば、煙突部101内の圧力(煙突圧力)、サーバラック10の外気温、及び各サーバの消費電力を用いて弁開度を算出することができる。この場合、サーバ装置100は、図1で説明した構成に加えて、煙突部101に煙突内の圧力を計測する圧力計60、及びサーバラック10の外気温を測定する外気温計70とを備えていればよい(図14)。
【0047】
図15は、制御装置50の機能ブロック図の別例である。弁開度制御部511は、圧力計60から煙突圧力、外気温計70から外気温、及びサーバ20から各サーバの消費電力を取得する。サーバ20の消費電力は、例えば、サーバ20に備えられた電源の電源プロファイルを計測することで求められる。あるいは、サーバにインストールされた計測ソフトウェアを用いてCPUの計算負荷を計測し、計算負荷と消費電力との関係を表す計算式に基づいて、消費電力を算出することもできる。
【0048】
弁開度制御部511は、煙突圧力、外気温、及び各サーバの消費電力から、サーバ内の温度を目標温度とするための弁開度を算出する。弁開度は、例えば、仮想的なフィードバック制御系を数学的モデルを用いて構築し、構築した数学的モデルに、煙突圧力、外気温、消費電力を算入することによって算出できる。あるいは、シミュレーション又は実験により消費電力及び煙突圧力と温度との対応関係を表すテーブルを作成しておき、当該テーブルを参照して弁開度を算出することも可能である。また、上記の両方法を組み合わせてもよい。
【0049】
図16は、弁開度制御部511が、煙突圧力、外気温、及び各サーバの消費電力から、風量調整部40の弁開度を算出する方法の一例を示している。
【0050】
図16(A)において、弁開度制御部511は、2次元テーブルT1を参照して、取得した消費電力及び外気温から冷却に必要な空気量を求める。ここで用いられる2次元テーブルT1は、消費電力及び外気温とサーバ内の温度を目標温度にするために必要な空気量との関係を表している。
【0051】
次に、弁開度制御部511は、空気量と風量調整部40手前の圧力P1(図16(B)参照)との関係を表すテーブルT2を用いて、風量調整部40手前の圧力P1を導出する。
【0052】
次に、弁開度制御部511は、風量調整部40手前の圧力P1と、煙突圧力P2(図16(B)参照)との差(圧力差)を求め、所定の計算式を用いて、圧力差から風量調整部40の空気抵抗を求める。そして、弁開度制御部511は、風量調整部40の空気抵抗と弁開度との関係を表すテーブルT3を参照して、弁開度を算出する。上述したアルゴリズムを使用することによって、弁開度制御部511は、煙突圧力、外気温、及び各サーバの消費電力から風量調整部40の弁開度を算出できる。なお、図16(A)に示す2次元テーブルT1〜T3は、実験やシミュレーションにより予め求められているものとする。
【0053】
ファン制御部512の機能は、図5で説明した機能と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
上述したように、弁開度制御部511は、各サーバの消費電力、煙突圧力、及び外気温に基づき、所定の条件式、及び、数学モデルの少なくとも一方を用いてサーバ20内の温度が、予め定めた目標温度となるように、風量調整部40の弁開度を制御できる。これにより、温度センサや、温度測定プログラム等によるサーバ内の温度の取得が困難な場合であっても、他の取得可能な情報を用いて、消費電力を低減するための制御を実行できる。
【0055】
上述した実施形態は、以下のような変形例もとりうる。
<変形例1>
【0056】
変形例1は、各サーバをグループ化したサーバ装置である。変形例1に係るサーバ装置の構成は、第1の実施形態に係るサーバ装置と同様(図1と同様)である。しかし、変形例1では、サーバ20を、図17に示すように、グループG1〜G3の3つのグループに分けている。なお、本実施形態では、サーバ20を3つのグループに分けたが、グループ数は本実施形態に限られるものではない。また、本実施形態では、各グループに含まれるサーバ20の数を3としたが、各グループに含まれるサーバの数は本実施形態に限られるものではなく、また、各グループで同一である必要もない。例えば、グループG1が2つ、グループG2が2つ、グループG3が5つのサーバを含むように、グループを分けてもよい。グループをどのように構成するかは、シミュレーションなどによって各構成の効率を算出し、比較することによって決定してもよい。
【0057】
次に、変形例1に係る制御装置の機能の一例について説明する。図18は、変形例1に係る制御装置の機能ブロック図の一例である。制御装置50は、弁開度制御部511及びファン制御部512に加え、負荷調整部513を備える。
【0058】
負荷調整部513は、サーバ装置100に要求された処理を各グループに分散させ、各グループが分担する処理負荷を調整する。つまり、負荷調整部513は、各グループを1つの情報処理装置としてみなしている(仮想化)。また、負荷調整部513は、グループに割り当てられた処理を、グループに含まれる各サーバに分散し、各サーバが分担する処理負荷を調整する。なお、負荷調整部513が実行する処理の詳細については、後述する変形例2で説明する。
【0059】
例えば、負荷調整部513は、グループG1、G2、及びG3の処理負荷の比が、1:1:1となるように各グループに処理を分散させる。あるいは、負荷調整部513は、各グループの処理負荷の比が、2:1:1となるように、各グループに処理を分散させる。また、負荷調整部513は、グループG1に含まれるサーバ20−1、20−2、及び20−3の処理負荷の比が、1:1:1となるように、各サーバに処理を分散させる。
【0060】
弁開度制御部511は、グループに属するサーバから、サーバ内の温度を取得する。そして、弁開度制御部511は、取得したサーバ内の温度のうち最も高いサーバ内の温度を、目標温度とするための弁開度を算出する。弁開度制御部511は、同一のグループに含まれるサーバに対し設けられた全ての風量調整部40の弁開度が、算出した弁開度となるように風量調整部40を制御する。例えば、グループG1に含まれるサーバ20−1〜20−3のうち、サーバ20−2内の温度が最も高かったとする。この場合、弁開度制御部511は、サーバ20−2内の温度を目標温度とするための弁開度を算出する。算出した弁開度が、例えば、50%であった場合、弁開度制御部511は、グループG1に含まれるサーバ20−1〜20−3に対しそれぞれ設けられた風量調整部40−1〜40−3の弁開度を50%とする。弁開度制御部511は、グループ毎に、上述の処理を実行する。
【0061】
ファン制御部512が実行する処理は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
<変形例2>
【0062】
変形例1では、各サーバに対してそれぞれ風量調整部40が設けられていた。変形例2は、グループごとに風量調整部40を設けるものである。
【0063】
図19は、変形例2に係るサーバ装置の構成の一例を示している。変形例2では、図19に示すように、G1〜G3の各グループに対して、それぞれ風量調整部40−1〜40−3が設けられている。
【0064】
変形例2に係る制御装置の機能は、変形例1に係る制御装置の機能とほぼ同一であるため、説明を省略する。ただし、変形例2では、弁開度制御部511は、グループに属する各サーバ内の温度のうち最も高いサーバ内の温度を、目標温度とするための弁開度を算出する。そして、弁開度制御部511は、グループに対し設けられた風量調整部40の弁開度が、算出した弁開度となるように風量調整部40を制御する。
【0065】
次に、変形例2に係る制御装置が実行する処理の一例について説明する。図20及び図21は、変形例2に係る制御装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0066】
まず、図20を参照して、負荷調整部513が実行する処理の一例について説明する。なお、本処理は、変形例1に係る負荷調整部が実行する処理と共通する。負荷調整部513は、各グループに処理を分散させ、各グループが分担する処理負荷を調整する(ステップS31)。次に、負荷調整部513は、グループに含まれる各サーバに処理を分散し、各サーバが分担する処理負荷を調整する(ステップS33)。負荷調整部513は、ステップS31及びステップS33の処理を繰り返す。
【0067】
次に、図21を参照して、弁開度制御部511及びファン制御部512が実行する処理の一例について説明する。まず、弁開度制御部511は、各サーバ内の温度、又は、煙突圧力、外気温及び各サーバの消費電力を取得する(ステップS41)。
【0068】
次に、弁開度制御部511は、グループ内で最も高いサーバ内の温度、又は、最も高い消費電力を用いて、グループ毎に設けられた各風量調整部40の弁開度を算出する(ステップS43)。
【0069】
弁開度制御部511は、各風量調整部40の弁開度がステップS43で算出した弁開度となるように、風量調整部40を制御する(ステップS45)。
【0070】
一方、ファン制御部512は、弁開度制御部511が算出した各風量調整部40の弁開度のうち、最も高い弁開度を選択する(ステップS47)。ファン制御部512は、最も高い弁開度を目標開度とするファン回転数を算出する(ステップS49)。ファン制御部512は、算出した回転数でファンが回転するように、ファンを制御する(ステップS51)。
【0071】
弁開度制御部511及びファン制御部512は、上述のステップS41〜ステップS51の処理を繰り返す。
<変形例3>
【0072】
変形例2では、各グループに対してそれぞれ風量調整部40が設けられていたが、変形例3は、1つ以上のグループに対して風量調整部40を設けないものである。図22は、変形例3に係るサーバ装置の構成の一例を示した図である。図22では、グループG1に対する風量調整部40が取り除かれている。なお、本実施形態では、グループG1に対して風量調整部40を設けない構成としたが、風量調整部40を設けないグループの数は1つに限定されるものではない。また、グループG1以外のグループに対する風量調整部40を取り除いてもよい。
【0073】
図22に示す構成において、負荷調整部513は、あるグループの処理負荷が、他のグループよりも高くなるように、各グループに処理を分散させる。この場合、他のグループよりも処理負荷が高いグループに含まれるサーバ内の温度が最も高くなる。その結果、他のグループよりも処理負荷が高いグループに対し設けられた風量調整部40の弁開度が、他のグループに対し設けられた風量調整部40の弁開度よりも高くなる。そこで、変形例3では、他のグループよりも処理負荷が高いグループに対する風量調整部40を取り除き、常に、弁開度が100%となるようにしている。例えば、負荷調整部513は、グループG1の処理負荷を、グループG2及びG3の負荷よりも大きくなるように調整する。この場合、グループG1に対しては、風量調整部40を設けない。なお、本構成は、変形例1にも適用可能である。例えば、変形例1では、グループG1に含まれるサーバ20−1〜20−3に対して設けられた風量調整部40−1〜40−3を取り除くことができる。
【0074】
次に、変形例1〜3に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力について説明する。比較例1、比較例2及び変形例1〜3の実施形態に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力をシミュレーションによって求めた。シミュレーションの際に用いたサーバ及びサーバラックの数学的モデルは、それぞれ図11及び図12である。
【0075】
まず、シミュレーションに用いた条件A〜Cについて、図23(A)を用いて説明する。なお、各条件において、サーバ装置100の平均負荷は30%とした。条件Aでは、負荷調整部513によって、グループG1、G2、G3がそれぞれ30%ずつ負荷を分担するよう調整した。
【0076】
条件Bでは、負荷調整部513によって、グループG1が60%、G2が30%、G3が0%の負荷を分担するよう調整した。
【0077】
条件Cでは、負荷調整部513によって、グループG1が90%、G2及びG3が0%の負荷を分担するように調整した。
【0078】
シミュレーションの結果を、図23(B)に示す。いずれの場合でも変形例1に係るサーバ装置の消費電力が、比較例2に係るサーバ装置(図8:弁開度の制御とファンの回転数制御とを独立して実施するサーバ装置)の消費電力よりも低くなっている。また、各グループが分担する負荷比の違いにより、図13に示した第1の実施形態の消費電力と比較して、更に消費電力が削減される場合がある。
【0079】
以上の説明からも明らかなように、変形例1によれば、各サーバに対して風量調整部40が設けられている場合に、負荷調整部513が、サーバ20をグループ化した各グループが分担する負荷、及び各グループに含まれるサーバ20の負荷を調整し、弁開度制御部511が、同一のグループに属するサーバに対して設けられた各風量調整部40の弁開度を同一にする。これによれば、負荷調整部513によって、最も冷却効率がよくなるように各グループに負荷を分散させることができるため、さらに消費電力を低減できる。
【0080】
また、変形例2によれば、負荷調整部513が、サーバ20をグループ化した各グループが分担する負荷を調整し、風量調整部40は、グループごとにそれぞれ設けられている。これによれば、消費電力を低減するとともに、風量調整部40の個数を削減できるため、サーバ装置100の製造コストを低減でき、また、風量調整部40の耐故障性を向上できる。
【0081】
また、変形例3によれば、他のグループよりも負荷が高く設定された1以上のグループに対しては、前記風量調整部40を設けない。これによれば、消費電力を低減するとともに、風量調整部40の個数を変形例2よりもさらに削減できるため、サーバ装置100の製造コストを低減でき、また、風量調整部40の耐故障性を向上できる。
【0082】
なお、上述した変形例1〜変形例3において、負荷調整部513は、いずれかのグループの処理負荷が0%となるように、各グループが分担する処理負荷を調整し、処理負荷が0%となったグループに含まれるサーバ20の電源を切断してもよい。これにより、負荷が0%となったサーバを冷却する必要がなくなるため、さらに消費電力を削減できる。なお、本構成は、第1の実施形態にも適用することが可能である。
【0083】
ここで、負荷調整部513によって、処理負荷が0%となったグループに含まれるサーバ20の電源を切断した場合の、サーバ装置100の冷却に要する消費電力のシミュレーション結果について説明する。図24は、負荷が0%になったサーバの電源を遮断した場合における、サーバ装置の冷却に要する消費電力のシミュレーション結果である。
【0084】
図24(A)では、グループG1が60%、G2が30%、G3が0%の負荷を分担するよう調整し、かつ、負荷が0%になったグループG3に含まれるサーバの電源を遮断する場合を、条件Eとした。また、負荷調整部513によって、グループG1が90%、G2及びG3が0%の負荷を分担するように調整し、負荷が0%となったグループG2及びG3に含まれるサーバの電源を遮断する場合を、条件Fとした。
【0085】
図24(B)から明らかなように、図23(B)に示した条件Bにおける消費電力を、条件Eにおける消費電力と比較すると、条件Bよりも条件Eの方が、消費電力が低くなっている。また、図23(B)に示した条件Cにおける消費電力を、条件Fにおける消費電力と比較すると、条件Cよりも条件Fの方が、消費電力が低くなっている。以上の説明から明らかなように、負荷調整部513が、負荷が0%となったグループに含まれるサーバの電源を遮断することによって、電源が遮断されたサーバ20を冷却する必要がなくなる。これにより、さらにサーバ装置100の冷却に要する消費電力を削減できる。
【0086】
以上、本件の好ましい実施形態について詳述したが、本件は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0087】
例えば、第1の実施形態及び変形例1〜3において、図25に示すように、弁開度及びファン回転数の算出において、不感帯を設けるようにしてもよい。これにより、シャッタ402が絶えず移動することを抑制することで、シャッタ402の移動に要する消費電力の削減や、磨耗による風量調整部40の破損等を防止できる。また、弁開度制御部511は、弁開度が同一の状態が、所定の時間継続する場合には、シャッタ402を駆動する駆動機構403の電源を切るようにしてもよい。これにより、さらに、サーバ装置100の冷却に要する消費電力を低減できる。
【0088】
また、上記実施形態では、制御装置50は、サーバラック10に備え付けられていたが、図26(A)に示すように、サーバ装置100とネットワークを経由して接続されていてもよい。この場合、制御装置50は、ネットワーク90を介してサーバ装置100に制御信号を送信し、風量調整部40の弁開度及びファン30の回転数を制御する。また、制御装置50は、複数のサーバ装置100を制御することも可能である。また、サーバ装置100と制御装置50がケーブル等により直接接続されていてもよい(図26(B))。
【0089】
なお、上記の制御機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、制御装置50が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記制御機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0090】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0091】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0092】
(付記1)
複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体と、少なくとも1つのファンと、前記少なくとも1つのファンが回転することにより発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する複数の風量調整部と、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記複数の風量調整部の各弁開度を制御する弁開度制御部と、前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、を備えるサーバ装置。
(付記2)
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷を調整する負荷調整部を備え、前記風量調整部は、前記グループごとにそれぞれ設けられている付記1に記載のサーバ装置。
(付記3)
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷を調整する負荷調整部を備え、前記グループのうち、他のグループよりも負荷が高く設定された1以上のグループに対しては、前記風量調整部を設けず、他のグループに対してはそれぞれ前記風量調整部を設ける付記1に記載のサーバ装置。
(付記4)
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷、及び各グループに含まれる電子装置の負荷を調整する負荷調整部を備え、前記風量調整部は、前記複数の電子装置に対してそれぞれ設けられ、前記弁開度制御部は、同一のグループに属する電子装置に対して設けられた各風量調整部の弁開度を同一にする付記1に記載のサーバ装置。
(付記5)
前記負荷調整部は、1以上のグループの負荷が0となるように各グループが分担する負荷を調整するとともに、負荷が0となったグループに含まれる電子装置の電源を遮断する付記2から4のいずれかに記載のサーバ装置。
(付記6)
前記弁開度制御部は、前記風量調整部の弁開度において、同一の値が所定の時間以上継続する場合に、前記風量調整部の弁を駆動する駆動機構の電源を遮断する付記1から5のいずれかに記載のサーバ装置。
(付記7)
前記弁開度制御部は、各電子装置の消費電力、前記ファンによる空気の導入又は排気の強さを表す煙突圧力、及び前記筐体外の温度を表す外気温に基づき、所定の条件式、及び、数学モデルの少なくとも一方を用いて前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記複数の風量調整部の各弁開度を制御する付記1から6のいずれかに記載のサーバ装置。
(付記8)
筐体に格納された複数の電子装置内に冷却風を発生させる少なくとも1つのファンと、前記冷却風の風量を弁の開閉により調整する複数の風量調整部とを制御する制御装置であって、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記複数の風量調整部の各弁開度を制御する弁開度制御部と、前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、備える制御装置。
(付記9)
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷を調整する負荷調整部を備え、前記風量調整部は、前記グループごとにそれぞれ設けられている付記8に記載の制御装置。
(付記10)
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷を調整する負荷調整部を備え、前記グループのうち、他のグループよりも負荷が高く設定された1以上のグループに対しては、前記風量調整部を設けず、他のグループに対してはそれぞれ前記風量調整部を設ける付記8に記載の制御装置。
(付記11)
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷、及び各グループに含まれる電子装置の負荷を調整する負荷調整部を備え、前記風量調整部は、前記複数の電子装置に対してそれぞれ設けられ、前記弁開度制御部は、同一のグループに属する電子装置に対して設けられた各風量調整部の弁開度を同一にする付記8に記載の制御装置。
(付記12)
前記負荷調整部は、1以上のグループの負荷が0となるように各グループが分担する負荷を調整するとともに、負荷が0となったグループに含まれる電子装置の電源を遮断する付記9から11のいずれかに記載の制御装置。
(付記13)
前記弁開度制御部は、前記風量調整部の弁開度において、同一の値が所定の時間以上継続する場合に、前記風量調整部の弁を駆動する駆動機構の電源を遮断する付記8から12のいずれかに記載の制御装置。
(付記14)
前記弁開度制御部は、各電子装置の消費電力、前記ファンによる空気の導入又は排気の強さを表す煙突圧力、及び前記筐体外の温度を表す外気温に基づき、所定の条件式、及び、数学モデルの少なくとも一方を用いて前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記複数の風量調整部の各弁開度を制御する付記8から13のいずれかに記載の制御装置。
(付記15)
複数の電子装置を格納するサーバラックであって、少なくとも1つのファンと、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記少なくとも1つのファンの回転により発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する複数の風量調整部の各弁開度を制御する弁開度制御部と、前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、を有する制御装置と、を備えるサーバラック。
(付記16)
複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体とを備えるサーバ装置を冷却するための冷却制御プログラムであって、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記筐体に備えられた少なくとも1つのファンの回転によって発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する複数の風量調整部の各弁開度を制御する弁開度制御ステップと、前記弁開度制御ステップで制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御ステップと、をコンピュータに実行させる冷却制御プログラム。
(付記17)
複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体とを備えるサーバ装置の冷却制御方法であって、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記筐体に備えられた少なくとも1つのファンの回転により発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する複数の風量調整部の各弁開度を制御する弁開度制御ステップと、前記弁開度制御ステップで制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御ステップと、を備える冷却制御方法。
【符号の説明】
【0093】
10…サーバラック
20、20−1〜20−9…サーバ
30…ファン
40、40−1〜40−9…風量調整部
50…制御装置
100…サーバ装置
511…弁開度制御部
512…ファン制御部
513…負荷調整部
【技術分野】
【0001】
本件は、サーバの冷却技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サーバコンピュータ等の電子機器として、高集積化や拡張性に優れたブレードサーバが注目されている。ブレードサーバの筺体(サーバラック)内には、ブレードと呼ばれる複数のコンポーネントが収納されている。各ブレードには、CPU(Central Processing Unit)、メモリ及びHDD(Hard Disk Drive)等、コンピュータとして必要な要素を実装した基板が収容されている。
【0003】
各ブレードの基板に実装されたCPUやHDD等の各要素は、その動作により発熱する。各要素の発熱によってブレード内の温度が高くなりすぎると、CPU等が熱暴走するおそれがある。そこで、ブレード、あるいは、サーバ装置の冷却方法について、様々な技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−231493号公報
【特許文献2】特開平11−204974号公報
【特許文献3】特開平6−348369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、データセンター等では、サーバ装置数の増加に伴い、その冷却に要する消費電力の削減が課題となっている。また、環境問題への対応としても、サーバ装置の消費電力の低減が求められている。しかしながら、特許文献1〜3に記載された技術では、サーバ装置の冷却に無駄な電力を消費している可能性があった。
【0006】
本件は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、冷却に要する消費電力を低減するサーバ装置及びサーバラック、並びにサーバ装置の冷却に要する消費電力を低減する制御装置、冷却制御プログラム及び冷却制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、明細書開示のサーバ装置は、複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体と、少なくとも1つのファンと、前記少なくとも1つのファンが回転することにより発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部と、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部と、前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、を備える。
【0008】
また、明細書開示の制御装置は、筐体に格納された複数の電子装置内に冷却風を発生させる少なくとも1つのファンと、前記冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部とを制御する制御装置であって、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部と、前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、を備える。
【0009】
また、明細書開示のサーバラックは、複数の電子装置を格納するサーバラックであって、少なくとも1つのファンと、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記少なくとも1つのファンの回転により発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部と、前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、を有する制御装置と、を備える。
【0010】
また、明細書開示の冷却制御プログラムは、複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体とを備えるサーバ装置を冷却するための冷却制御プログラムであって、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記筐体に備えられた少なくとも1つのファンの回転によって発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御ステップと、前記弁開度制御ステップで制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御ステップと、をコンピュータに実行させる。
【0011】
また、明細書開示の冷却制御方法は、複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体とを備えるサーバ装置の冷却制御方法であって、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記筐体に備えられた少なくとも1つのファンの回転により発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御ステップと、前記弁開度制御ステップで制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
明細書開示のサーバ装置及びサーバラックによれば、冷却に要する消費電力を低減できる。また、明細書開示の制御装置、冷却制御プログラム、及び冷却制御方法によれば、サーバ装置の冷却に要する消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。
【図2】サーバの構成の一例を示す図である。
【図3】風量調整部の構成の一例を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る制御装置が有する機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】第1の実施形態に係る制御装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態に係る制御装置が実行する制御の一例を示す制御ブロック図である。
【図8】風量調整部及びファンの制御をそれぞれ独立して行う制御系の制御ブロック図の一例を示している。
【図9】ファンの風量−圧力特性の一例を示す図である。
【図10】比較例1に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。
【図11】シミュレーションに用いられるサーバの数学モデルの一例である。
【図12】シミュレーションに用いられるサーバラックの数学モデルの一例である。
【図13】比較例1、2、及び第1の実施形態に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力のシミュレーション結果を示す図である。
【図14】第1の実施形態に係るサーバ装置の他の構成例を示す図である。
【図15】第1の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図の別例である。
【図16】弁開度制御部が風量調整部の弁開度を煙突圧力、外気温、及び各サーバの消費電力から算出する方法の一例を示している。
【図17】変形例1に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。
【図18】変形例1に係る制御装置が有する機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図19】変形例2に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。
【図20】変形例2に係る負荷調整部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図21】変形例2に係る弁開度制御部及びファン制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図22】変形例3に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。
【図23】比較例1、比較例2、及び変形例1〜3に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力のシミュレーション結果である。
【図24】負荷が0%になったサーバの電源を遮断した場合における、サーバ装置の冷却に要する消費電力のシミュレーション結果である。
【図25】第1の実施形態及び変形例1〜3に係る制御装置が実行する制御の別例を示す制御ブロック図である。
【図26】サーバ装置の冷却システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、発明を実施するための形態を説明する。
<第1の実施形態>
【0015】
図1は、第1の実施形態に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。サーバ装置100は、サーバラック(筐体)10、複数のサーバ(電子装置)20−1〜20−9、ファン30、風量調整部40−1〜40−9、及び制御装置50を備える。
【0016】
サーバラック10は、複数のサーバ20−1〜20−9を格納する。サーバラック10には、サーバ20−1〜20−9を通過する冷却風の通路となる煙突部101が設けられている。本実施形態では、サーバラック10は、9つのサーバを格納することとするが、サーバラック10が格納するサーバの数は、本実施形態に限られるものではない。なお、以後の説明では特に区別する必要のない限り、サーバ20−1〜20−9をサーバ20と記載する。
【0017】
ファン30は、その回転により、サーバラック10内の空気を排出、又は、サーバラック10内に空気を導入する。ファン30は、空気の排出、あるいは、導入によって、サーバ20−1〜20−9を通過する冷却風を発生させる。本実施形態では、ファン30は、サーバラック10内の空気を排出することによって、冷却風を発生させるものとする。図1では、ファン30が回転することによって発生する冷却風の向きを矢印で示している。なお、本実施形態では、サーバ装置100が備えるファン30の数は1つとするが、サーバ装置100が備えるファン30の数は2以上であってもよい。
【0018】
風量調整部40−1〜40−9は、サーバ20−1〜20−9を通過する冷却風の風量を調整する。本実施形態では、風量調整部40は、サーバ20−1〜20−9に対して、それぞれ設けられているものとする。なお、以後の説明では特に区別する必要のない限り、風量調整部40−1〜40−9を風量調整部40と記載する。
【0019】
風量調整部40は、サーバ20が備えていてもよいし、サーバラック10が備えていてもよい。本実施形態では、図2に示すように、各サーバ20に風量調整部40が設けられているものとする。
【0020】
図3は、風量調整部40の構成の一例を示す図である。図3(A)に示すように、風量調整部40は、排気口(吸気口)401、シャッタ402、及び駆動機構403を備える。風量調整部40は、駆動機構403により、シャッタ402を左右方向(図3(A):矢印方向)に移動させることで弁開度を調整し、排気口401を通過する冷却風の風量を調整する。以降の説明において、弁開度0%は、シャッタ402により排気口401が完全に閉じられた状態を示し、弁開度100%は、排気口401が完全に開放された状態を示すものとする。なお、風量調整部40の構成は、図3(A)に限られるものではない。例えば、図3(B)に示すように、ルーバ状に配列された複数の板の向きを変えることによって、風量を調整する構成であってもよい。
【0021】
制御装置50は、サーバ20内の温度が目標温度となるように、ファン30の回転数、および風量調整部40の弁開度を制御する。
【0022】
次に、図4を参照して、制御装置50のハードウェア構成の一例について説明する。制御装置50は、入出力部501、ROM(Read Only Memory)502、中央処理装置(CPU)503、RAM(Random Access Memory)504を備える。
【0023】
入出力部501は、サーバ20−1〜20−9、風量調整部40−1〜40−9、及びファン30との間でデータ及び制御信号の入出力を行う。ROM502は、サーバ20内の温度を目標温度とするための風量調整部40の弁開度及びファン30の回転数を求めるプログラム(詳細は後述)等を格納する。CPU503は、ROM502に格納されたプログラムを読み込んで実行する。RAM504は、プログラムを実行する際に使用される一時的なデータを保存する。
【0024】
次に、ROM502に格納されたプログラムのCPU503による演算によって実現される、制御装置50の機能の一例について説明する。図5は、制御装置50が備える機能の一例を示す機能ブロック図である。図5に示すように、制御装置50は、弁開度制御部511及びファン制御部512を備える。
【0025】
弁開度制御部511は、サーバ20−1〜20−9のそれぞれから、各サーバ内の温度を取得する。弁開度制御部511は、サーバ内の温度を、例えば、サーバ内のCPUに設置された温度センサから取得できる。また、弁開度制御部511は、サーバ内の温度を、例えば、各サーバにインストールされた温度計測用のソフトウェアから取得できる。
【0026】
弁開度制御部511は、各サーバ内の温度を予め定めた目標温度とするための風量調整部40−1〜40−9の弁開度を、それぞれ算出する。弁開度制御部511は、風量調整部40−1〜40−9の弁開度が算出した弁開度となるように、風量調整部40−1〜40−9を制御する。
【0027】
ファン制御部512は、弁開度制御部511が算出した風量調整部40−1〜40−9の弁開度を取得する。ファン制御部512は、取得した弁開度のうち最も高い(最も開いている)弁開度を、予め定めた目標開度とするためのファンの回転数を算出する。なお、本実施形態では、目標開度は100%であるとする。ファン制御部512は、算出した回転数でファンが回転するように、ファンを制御する。
【0028】
次に、第1の実施形態に係る制御装置が実行する処理の一例について説明する。図6は制御装置50が実行する処理の一例を示すフローチャートである。また、図7は、制御装置50の制御ブロック図の一例である。
【0029】
まず、弁開度制御部511は、各サーバ内の温度を取得する(ステップS11)。次に、弁開度制御部511は、ステップS11で取得した温度情報に基づいて、風量調整部40の弁開度を算出する(ステップS13)。具体的には、図7に示すように、弁開度制御部511は、サーバ20−1〜20−9から取得したサーバ内の温度と、目標温度との温度差をサーバ毎に算出する。弁開度制御部511は、算出した温度差に弁開度算出用の調整定数を乗算し、風量調整部40−1〜40−9のそれぞれの弁開度を算出する。なお、弁開度算出用の調整定数は、シミュレーションや実験等によって予め求められているものとする。
【0030】
弁開度制御部511は、風量調整部40の弁開度がステップS13で算出した弁開度となるように、風量調整部40を制御する(ステップS15)。
【0031】
一方、ファン制御部512は、弁開度制御部511が算出した風量調整部40の弁開度のうち、最も高い弁開度を選択する(ステップS17)。ファン制御部512は、最も高い弁開度を目標開度とするために必要なファン回転数を算出する(ステップS19)。具体的には、図7に示すように、ファン制御部512は、弁開度制御部511が算出した弁開度のうち最も高い(最も開いている)弁開度と、目標開度(100%)との差を求める。ファン制御部512は、求めた開度差に回転数算出用の調整定数を乗算し、ファンの回転数を算出する。なお、回転数算出用の調整定数は、シミュレーションや実験等によって予め求められているものとする。
【0032】
上述の説明からも明らかなように、本実施形態に係る制御系は、風量調整部40の弁開度の制御とファン30の回転数の制御とが結合した制御系となっている。
【0033】
ファン制御部512は、算出した回転数でファンが回転するように、ファンを制御する(ステップS21)。
【0034】
弁開度制御部511及びファン制御部512は、上述のステップS11〜ステップS21の処理を繰り返す。
【0035】
次に、図7に示す制御系を用いることによって、サーバ装置100の冷却に要する消費電力が低減される原理について説明する。ここでは、風量調整部40及びファン30の制御をそれぞれ独立して行う制御系を比較例として用いる。
【0036】
図8は、風量調整部40及びファン30の制御をそれぞれ独立して行う制御系の制御ブロック図の一例を示している。図8の制御系では、ファン回転数を、煙突部101内の圧力(煙突圧力)と目標圧力との差に基づいて算出する点が、図7の制御系と異なる。すなわち、比較例に係る制御系では、弁開度制御部511´で算出された弁開度は、ファン回転数の制御には用いられない。
【0037】
図9は、ファン30の風量−圧力特性の一例を示す図である。図9に示すように、ファンの回転数ごとに、風量と圧力とは特定の関係を有している。また、図9において、煙突圧力が一定となる比較例に係る制御系(図8の制御系)の風量−圧力特性は、線Xで示される。そして、本実施形態に係る制御系(図7の制御系)において風量調整部40の弁開度が100%の場合の風量−圧力特性は、線Yで表される。
【0038】
ここで、例えば、サーバ20−1〜20−9にかかる負荷がそれぞれ100%の場合、サーバ内の温度を目標温度とするためには、風量Q1の冷却風が必要であるとする。この場合、Q1と線Xとの交点、及びQ1と線Yとの交点は、いずれもAである。これは、比較例に係る制御系及び本実施形態に係る制御系において、サーバ内の温度を目標温度とするファンの回転数が、交点Aを通過する風量−圧力特性を示す回転数(2500[rpm])であることを意味する。
【0039】
次に、例えば、サーバ20−1〜20−9にかかる負荷がそれぞれ50%の場合、サーバ内の温度を目標温度とするためには、風量Q2の冷却風が必要であるとする。この場合、比較例に係る制御系では、Q2と線Xとの交点は、Eである。つまり、サーバ20の負荷が50%である場合、比較例に係る制御系では、サーバ内の温度を目標温度とするためのファンの回転数は、交点Eを通過する風量−圧力特性を示す回転数(1500[rpm])となる。一方、本実施形態に係る制御系では、Q2と線Yとの交点は、Cである。つまり、本実施形態に係る制御系では、サーバ内の温度を目標温度とするためのファンの回転数は、交点Cを通過する風量―圧力特性線を示す回転数(1000[rpm])となる。
【0040】
一般に、ファンの回転数とファンの消費電力とは比例する。したがって、サーバ20の負荷が100%よりも低い場合には、本実施形態に係る制御系のほうが、比較例に係る制御系よりも消費電力を削減できる。
【0041】
なお、本実施形態に係る制御系において、風量調整部40の弁開度が80%の場合の風量−圧力特性が、線Zで表されるとする。ここで、サーバ20にかかる負荷が50%の場合には、弁開度が80%であっても、本実施形態に係る制御系の方が、比較例に係る制御系よりもファンの回転数を低くできる(交点D)。しかしながら、図9からも明らかなように、弁開度が100%のほうが、弁開度が80%の場合よりもファンの回転数をさらに低くすることができる(点C)。そこで、例えば、弁開度制御部511がサーバ20内の温度を目標温度とするための弁開度として、80%を算出したとする。この場合、ファン制御部512は、弁開度制御部511が制御する弁開度80%よりも高い弁開度(例えば100%)において、サーバ内の温度を目標温度にするための冷却風の風量(Q2)を達成するファンの回転数を求める。そして、ファン制御部512が、ファン30を、上述の方法によって求めた回転数(1000[rpm])で動作させることによって、サーバ装置100の冷却に要する消費電力をさらに削減できる。
【0042】
次に、第1の実施形態に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力について説明する。なお、ここで、図10に示すように、風量調整部40を備えず、ファン30のみ備えるサーバ装置を比較例1とする。また、風量調整部40及びファン30を備えるが、風量調整部40及びファン30の制御は、図8に示したように独立した制御系で行うサーバ装置を比較例2とする。
【0043】
比較例1、比較例2、及び第1の実施形態に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力をシミュレーションによって求めた。サーバ20については図11に示す数学モデルを用い、サーバラック10については、図12に示す数学モデルを用いてシミュレーションを行った。また、サーバ20−1〜20−9の平均負荷は30%であるとして、シミュレーションを行った。
【0044】
上述の条件の下で実施されたシミュレーションの結果を、図13に示す。図13から明らかなように、第1の実施形態に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力は、比較例1の消費電力を約75%削減した消費電力となっている。また、第1の実施形態に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力は、比較例2の消費電力を約15%削減した消費電力となっている。
【0045】
以上、第1の実施形態によれば、サーバ装置100において、弁開度制御部511は、複数のサーバ20−1〜20−9の温度が、それぞれ目標温度となるように、複数の風量調整部40−1〜40−9の各弁開度を制御する。そして、ファン制御部512は、弁開度制御部511が制御する弁開度よりも高い弁開度において、サーバ20内の温度を目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、ファン30を回転させる。これにより、図9で示したように、ファンの回転数が最小化されるため、サーバ装置100の冷却に要する消費電力を低減することができる。また、本実施形態に係るサーバ装置によれば、風量調整部40とファン30とをそれぞれ独立した制御系により制御するサーバ装置と比較して、冷却に要する消費電力を約15%削減できる。
【0046】
なお、上述の説明では、CPUに設置した温度センサや、計測ソフトウェアによってサーバ内の温度を取得することとしたが、サーバ20の構造によっては、温度の取得が難しい場合もある。この場合、例えば、煙突部101内の圧力(煙突圧力)、サーバラック10の外気温、及び各サーバの消費電力を用いて弁開度を算出することができる。この場合、サーバ装置100は、図1で説明した構成に加えて、煙突部101に煙突内の圧力を計測する圧力計60、及びサーバラック10の外気温を測定する外気温計70とを備えていればよい(図14)。
【0047】
図15は、制御装置50の機能ブロック図の別例である。弁開度制御部511は、圧力計60から煙突圧力、外気温計70から外気温、及びサーバ20から各サーバの消費電力を取得する。サーバ20の消費電力は、例えば、サーバ20に備えられた電源の電源プロファイルを計測することで求められる。あるいは、サーバにインストールされた計測ソフトウェアを用いてCPUの計算負荷を計測し、計算負荷と消費電力との関係を表す計算式に基づいて、消費電力を算出することもできる。
【0048】
弁開度制御部511は、煙突圧力、外気温、及び各サーバの消費電力から、サーバ内の温度を目標温度とするための弁開度を算出する。弁開度は、例えば、仮想的なフィードバック制御系を数学的モデルを用いて構築し、構築した数学的モデルに、煙突圧力、外気温、消費電力を算入することによって算出できる。あるいは、シミュレーション又は実験により消費電力及び煙突圧力と温度との対応関係を表すテーブルを作成しておき、当該テーブルを参照して弁開度を算出することも可能である。また、上記の両方法を組み合わせてもよい。
【0049】
図16は、弁開度制御部511が、煙突圧力、外気温、及び各サーバの消費電力から、風量調整部40の弁開度を算出する方法の一例を示している。
【0050】
図16(A)において、弁開度制御部511は、2次元テーブルT1を参照して、取得した消費電力及び外気温から冷却に必要な空気量を求める。ここで用いられる2次元テーブルT1は、消費電力及び外気温とサーバ内の温度を目標温度にするために必要な空気量との関係を表している。
【0051】
次に、弁開度制御部511は、空気量と風量調整部40手前の圧力P1(図16(B)参照)との関係を表すテーブルT2を用いて、風量調整部40手前の圧力P1を導出する。
【0052】
次に、弁開度制御部511は、風量調整部40手前の圧力P1と、煙突圧力P2(図16(B)参照)との差(圧力差)を求め、所定の計算式を用いて、圧力差から風量調整部40の空気抵抗を求める。そして、弁開度制御部511は、風量調整部40の空気抵抗と弁開度との関係を表すテーブルT3を参照して、弁開度を算出する。上述したアルゴリズムを使用することによって、弁開度制御部511は、煙突圧力、外気温、及び各サーバの消費電力から風量調整部40の弁開度を算出できる。なお、図16(A)に示す2次元テーブルT1〜T3は、実験やシミュレーションにより予め求められているものとする。
【0053】
ファン制御部512の機能は、図5で説明した機能と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
上述したように、弁開度制御部511は、各サーバの消費電力、煙突圧力、及び外気温に基づき、所定の条件式、及び、数学モデルの少なくとも一方を用いてサーバ20内の温度が、予め定めた目標温度となるように、風量調整部40の弁開度を制御できる。これにより、温度センサや、温度測定プログラム等によるサーバ内の温度の取得が困難な場合であっても、他の取得可能な情報を用いて、消費電力を低減するための制御を実行できる。
【0055】
上述した実施形態は、以下のような変形例もとりうる。
<変形例1>
【0056】
変形例1は、各サーバをグループ化したサーバ装置である。変形例1に係るサーバ装置の構成は、第1の実施形態に係るサーバ装置と同様(図1と同様)である。しかし、変形例1では、サーバ20を、図17に示すように、グループG1〜G3の3つのグループに分けている。なお、本実施形態では、サーバ20を3つのグループに分けたが、グループ数は本実施形態に限られるものではない。また、本実施形態では、各グループに含まれるサーバ20の数を3としたが、各グループに含まれるサーバの数は本実施形態に限られるものではなく、また、各グループで同一である必要もない。例えば、グループG1が2つ、グループG2が2つ、グループG3が5つのサーバを含むように、グループを分けてもよい。グループをどのように構成するかは、シミュレーションなどによって各構成の効率を算出し、比較することによって決定してもよい。
【0057】
次に、変形例1に係る制御装置の機能の一例について説明する。図18は、変形例1に係る制御装置の機能ブロック図の一例である。制御装置50は、弁開度制御部511及びファン制御部512に加え、負荷調整部513を備える。
【0058】
負荷調整部513は、サーバ装置100に要求された処理を各グループに分散させ、各グループが分担する処理負荷を調整する。つまり、負荷調整部513は、各グループを1つの情報処理装置としてみなしている(仮想化)。また、負荷調整部513は、グループに割り当てられた処理を、グループに含まれる各サーバに分散し、各サーバが分担する処理負荷を調整する。なお、負荷調整部513が実行する処理の詳細については、後述する変形例2で説明する。
【0059】
例えば、負荷調整部513は、グループG1、G2、及びG3の処理負荷の比が、1:1:1となるように各グループに処理を分散させる。あるいは、負荷調整部513は、各グループの処理負荷の比が、2:1:1となるように、各グループに処理を分散させる。また、負荷調整部513は、グループG1に含まれるサーバ20−1、20−2、及び20−3の処理負荷の比が、1:1:1となるように、各サーバに処理を分散させる。
【0060】
弁開度制御部511は、グループに属するサーバから、サーバ内の温度を取得する。そして、弁開度制御部511は、取得したサーバ内の温度のうち最も高いサーバ内の温度を、目標温度とするための弁開度を算出する。弁開度制御部511は、同一のグループに含まれるサーバに対し設けられた全ての風量調整部40の弁開度が、算出した弁開度となるように風量調整部40を制御する。例えば、グループG1に含まれるサーバ20−1〜20−3のうち、サーバ20−2内の温度が最も高かったとする。この場合、弁開度制御部511は、サーバ20−2内の温度を目標温度とするための弁開度を算出する。算出した弁開度が、例えば、50%であった場合、弁開度制御部511は、グループG1に含まれるサーバ20−1〜20−3に対しそれぞれ設けられた風量調整部40−1〜40−3の弁開度を50%とする。弁開度制御部511は、グループ毎に、上述の処理を実行する。
【0061】
ファン制御部512が実行する処理は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
<変形例2>
【0062】
変形例1では、各サーバに対してそれぞれ風量調整部40が設けられていた。変形例2は、グループごとに風量調整部40を設けるものである。
【0063】
図19は、変形例2に係るサーバ装置の構成の一例を示している。変形例2では、図19に示すように、G1〜G3の各グループに対して、それぞれ風量調整部40−1〜40−3が設けられている。
【0064】
変形例2に係る制御装置の機能は、変形例1に係る制御装置の機能とほぼ同一であるため、説明を省略する。ただし、変形例2では、弁開度制御部511は、グループに属する各サーバ内の温度のうち最も高いサーバ内の温度を、目標温度とするための弁開度を算出する。そして、弁開度制御部511は、グループに対し設けられた風量調整部40の弁開度が、算出した弁開度となるように風量調整部40を制御する。
【0065】
次に、変形例2に係る制御装置が実行する処理の一例について説明する。図20及び図21は、変形例2に係る制御装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0066】
まず、図20を参照して、負荷調整部513が実行する処理の一例について説明する。なお、本処理は、変形例1に係る負荷調整部が実行する処理と共通する。負荷調整部513は、各グループに処理を分散させ、各グループが分担する処理負荷を調整する(ステップS31)。次に、負荷調整部513は、グループに含まれる各サーバに処理を分散し、各サーバが分担する処理負荷を調整する(ステップS33)。負荷調整部513は、ステップS31及びステップS33の処理を繰り返す。
【0067】
次に、図21を参照して、弁開度制御部511及びファン制御部512が実行する処理の一例について説明する。まず、弁開度制御部511は、各サーバ内の温度、又は、煙突圧力、外気温及び各サーバの消費電力を取得する(ステップS41)。
【0068】
次に、弁開度制御部511は、グループ内で最も高いサーバ内の温度、又は、最も高い消費電力を用いて、グループ毎に設けられた各風量調整部40の弁開度を算出する(ステップS43)。
【0069】
弁開度制御部511は、各風量調整部40の弁開度がステップS43で算出した弁開度となるように、風量調整部40を制御する(ステップS45)。
【0070】
一方、ファン制御部512は、弁開度制御部511が算出した各風量調整部40の弁開度のうち、最も高い弁開度を選択する(ステップS47)。ファン制御部512は、最も高い弁開度を目標開度とするファン回転数を算出する(ステップS49)。ファン制御部512は、算出した回転数でファンが回転するように、ファンを制御する(ステップS51)。
【0071】
弁開度制御部511及びファン制御部512は、上述のステップS41〜ステップS51の処理を繰り返す。
<変形例3>
【0072】
変形例2では、各グループに対してそれぞれ風量調整部40が設けられていたが、変形例3は、1つ以上のグループに対して風量調整部40を設けないものである。図22は、変形例3に係るサーバ装置の構成の一例を示した図である。図22では、グループG1に対する風量調整部40が取り除かれている。なお、本実施形態では、グループG1に対して風量調整部40を設けない構成としたが、風量調整部40を設けないグループの数は1つに限定されるものではない。また、グループG1以外のグループに対する風量調整部40を取り除いてもよい。
【0073】
図22に示す構成において、負荷調整部513は、あるグループの処理負荷が、他のグループよりも高くなるように、各グループに処理を分散させる。この場合、他のグループよりも処理負荷が高いグループに含まれるサーバ内の温度が最も高くなる。その結果、他のグループよりも処理負荷が高いグループに対し設けられた風量調整部40の弁開度が、他のグループに対し設けられた風量調整部40の弁開度よりも高くなる。そこで、変形例3では、他のグループよりも処理負荷が高いグループに対する風量調整部40を取り除き、常に、弁開度が100%となるようにしている。例えば、負荷調整部513は、グループG1の処理負荷を、グループG2及びG3の負荷よりも大きくなるように調整する。この場合、グループG1に対しては、風量調整部40を設けない。なお、本構成は、変形例1にも適用可能である。例えば、変形例1では、グループG1に含まれるサーバ20−1〜20−3に対して設けられた風量調整部40−1〜40−3を取り除くことができる。
【0074】
次に、変形例1〜3に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力について説明する。比較例1、比較例2及び変形例1〜3の実施形態に係るサーバ装置の冷却に要する消費電力をシミュレーションによって求めた。シミュレーションの際に用いたサーバ及びサーバラックの数学的モデルは、それぞれ図11及び図12である。
【0075】
まず、シミュレーションに用いた条件A〜Cについて、図23(A)を用いて説明する。なお、各条件において、サーバ装置100の平均負荷は30%とした。条件Aでは、負荷調整部513によって、グループG1、G2、G3がそれぞれ30%ずつ負荷を分担するよう調整した。
【0076】
条件Bでは、負荷調整部513によって、グループG1が60%、G2が30%、G3が0%の負荷を分担するよう調整した。
【0077】
条件Cでは、負荷調整部513によって、グループG1が90%、G2及びG3が0%の負荷を分担するように調整した。
【0078】
シミュレーションの結果を、図23(B)に示す。いずれの場合でも変形例1に係るサーバ装置の消費電力が、比較例2に係るサーバ装置(図8:弁開度の制御とファンの回転数制御とを独立して実施するサーバ装置)の消費電力よりも低くなっている。また、各グループが分担する負荷比の違いにより、図13に示した第1の実施形態の消費電力と比較して、更に消費電力が削減される場合がある。
【0079】
以上の説明からも明らかなように、変形例1によれば、各サーバに対して風量調整部40が設けられている場合に、負荷調整部513が、サーバ20をグループ化した各グループが分担する負荷、及び各グループに含まれるサーバ20の負荷を調整し、弁開度制御部511が、同一のグループに属するサーバに対して設けられた各風量調整部40の弁開度を同一にする。これによれば、負荷調整部513によって、最も冷却効率がよくなるように各グループに負荷を分散させることができるため、さらに消費電力を低減できる。
【0080】
また、変形例2によれば、負荷調整部513が、サーバ20をグループ化した各グループが分担する負荷を調整し、風量調整部40は、グループごとにそれぞれ設けられている。これによれば、消費電力を低減するとともに、風量調整部40の個数を削減できるため、サーバ装置100の製造コストを低減でき、また、風量調整部40の耐故障性を向上できる。
【0081】
また、変形例3によれば、他のグループよりも負荷が高く設定された1以上のグループに対しては、前記風量調整部40を設けない。これによれば、消費電力を低減するとともに、風量調整部40の個数を変形例2よりもさらに削減できるため、サーバ装置100の製造コストを低減でき、また、風量調整部40の耐故障性を向上できる。
【0082】
なお、上述した変形例1〜変形例3において、負荷調整部513は、いずれかのグループの処理負荷が0%となるように、各グループが分担する処理負荷を調整し、処理負荷が0%となったグループに含まれるサーバ20の電源を切断してもよい。これにより、負荷が0%となったサーバを冷却する必要がなくなるため、さらに消費電力を削減できる。なお、本構成は、第1の実施形態にも適用することが可能である。
【0083】
ここで、負荷調整部513によって、処理負荷が0%となったグループに含まれるサーバ20の電源を切断した場合の、サーバ装置100の冷却に要する消費電力のシミュレーション結果について説明する。図24は、負荷が0%になったサーバの電源を遮断した場合における、サーバ装置の冷却に要する消費電力のシミュレーション結果である。
【0084】
図24(A)では、グループG1が60%、G2が30%、G3が0%の負荷を分担するよう調整し、かつ、負荷が0%になったグループG3に含まれるサーバの電源を遮断する場合を、条件Eとした。また、負荷調整部513によって、グループG1が90%、G2及びG3が0%の負荷を分担するように調整し、負荷が0%となったグループG2及びG3に含まれるサーバの電源を遮断する場合を、条件Fとした。
【0085】
図24(B)から明らかなように、図23(B)に示した条件Bにおける消費電力を、条件Eにおける消費電力と比較すると、条件Bよりも条件Eの方が、消費電力が低くなっている。また、図23(B)に示した条件Cにおける消費電力を、条件Fにおける消費電力と比較すると、条件Cよりも条件Fの方が、消費電力が低くなっている。以上の説明から明らかなように、負荷調整部513が、負荷が0%となったグループに含まれるサーバの電源を遮断することによって、電源が遮断されたサーバ20を冷却する必要がなくなる。これにより、さらにサーバ装置100の冷却に要する消費電力を削減できる。
【0086】
以上、本件の好ましい実施形態について詳述したが、本件は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0087】
例えば、第1の実施形態及び変形例1〜3において、図25に示すように、弁開度及びファン回転数の算出において、不感帯を設けるようにしてもよい。これにより、シャッタ402が絶えず移動することを抑制することで、シャッタ402の移動に要する消費電力の削減や、磨耗による風量調整部40の破損等を防止できる。また、弁開度制御部511は、弁開度が同一の状態が、所定の時間継続する場合には、シャッタ402を駆動する駆動機構403の電源を切るようにしてもよい。これにより、さらに、サーバ装置100の冷却に要する消費電力を低減できる。
【0088】
また、上記実施形態では、制御装置50は、サーバラック10に備え付けられていたが、図26(A)に示すように、サーバ装置100とネットワークを経由して接続されていてもよい。この場合、制御装置50は、ネットワーク90を介してサーバ装置100に制御信号を送信し、風量調整部40の弁開度及びファン30の回転数を制御する。また、制御装置50は、複数のサーバ装置100を制御することも可能である。また、サーバ装置100と制御装置50がケーブル等により直接接続されていてもよい(図26(B))。
【0089】
なお、上記の制御機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、制御装置50が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記制御機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0090】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0091】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0092】
(付記1)
複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体と、少なくとも1つのファンと、前記少なくとも1つのファンが回転することにより発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する複数の風量調整部と、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記複数の風量調整部の各弁開度を制御する弁開度制御部と、前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、を備えるサーバ装置。
(付記2)
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷を調整する負荷調整部を備え、前記風量調整部は、前記グループごとにそれぞれ設けられている付記1に記載のサーバ装置。
(付記3)
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷を調整する負荷調整部を備え、前記グループのうち、他のグループよりも負荷が高く設定された1以上のグループに対しては、前記風量調整部を設けず、他のグループに対してはそれぞれ前記風量調整部を設ける付記1に記載のサーバ装置。
(付記4)
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷、及び各グループに含まれる電子装置の負荷を調整する負荷調整部を備え、前記風量調整部は、前記複数の電子装置に対してそれぞれ設けられ、前記弁開度制御部は、同一のグループに属する電子装置に対して設けられた各風量調整部の弁開度を同一にする付記1に記載のサーバ装置。
(付記5)
前記負荷調整部は、1以上のグループの負荷が0となるように各グループが分担する負荷を調整するとともに、負荷が0となったグループに含まれる電子装置の電源を遮断する付記2から4のいずれかに記載のサーバ装置。
(付記6)
前記弁開度制御部は、前記風量調整部の弁開度において、同一の値が所定の時間以上継続する場合に、前記風量調整部の弁を駆動する駆動機構の電源を遮断する付記1から5のいずれかに記載のサーバ装置。
(付記7)
前記弁開度制御部は、各電子装置の消費電力、前記ファンによる空気の導入又は排気の強さを表す煙突圧力、及び前記筐体外の温度を表す外気温に基づき、所定の条件式、及び、数学モデルの少なくとも一方を用いて前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記複数の風量調整部の各弁開度を制御する付記1から6のいずれかに記載のサーバ装置。
(付記8)
筐体に格納された複数の電子装置内に冷却風を発生させる少なくとも1つのファンと、前記冷却風の風量を弁の開閉により調整する複数の風量調整部とを制御する制御装置であって、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記複数の風量調整部の各弁開度を制御する弁開度制御部と、前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、備える制御装置。
(付記9)
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷を調整する負荷調整部を備え、前記風量調整部は、前記グループごとにそれぞれ設けられている付記8に記載の制御装置。
(付記10)
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷を調整する負荷調整部を備え、前記グループのうち、他のグループよりも負荷が高く設定された1以上のグループに対しては、前記風量調整部を設けず、他のグループに対してはそれぞれ前記風量調整部を設ける付記8に記載の制御装置。
(付記11)
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷、及び各グループに含まれる電子装置の負荷を調整する負荷調整部を備え、前記風量調整部は、前記複数の電子装置に対してそれぞれ設けられ、前記弁開度制御部は、同一のグループに属する電子装置に対して設けられた各風量調整部の弁開度を同一にする付記8に記載の制御装置。
(付記12)
前記負荷調整部は、1以上のグループの負荷が0となるように各グループが分担する負荷を調整するとともに、負荷が0となったグループに含まれる電子装置の電源を遮断する付記9から11のいずれかに記載の制御装置。
(付記13)
前記弁開度制御部は、前記風量調整部の弁開度において、同一の値が所定の時間以上継続する場合に、前記風量調整部の弁を駆動する駆動機構の電源を遮断する付記8から12のいずれかに記載の制御装置。
(付記14)
前記弁開度制御部は、各電子装置の消費電力、前記ファンによる空気の導入又は排気の強さを表す煙突圧力、及び前記筐体外の温度を表す外気温に基づき、所定の条件式、及び、数学モデルの少なくとも一方を用いて前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記複数の風量調整部の各弁開度を制御する付記8から13のいずれかに記載の制御装置。
(付記15)
複数の電子装置を格納するサーバラックであって、少なくとも1つのファンと、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記少なくとも1つのファンの回転により発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する複数の風量調整部の各弁開度を制御する弁開度制御部と、前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、を有する制御装置と、を備えるサーバラック。
(付記16)
複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体とを備えるサーバ装置を冷却するための冷却制御プログラムであって、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記筐体に備えられた少なくとも1つのファンの回転によって発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する複数の風量調整部の各弁開度を制御する弁開度制御ステップと、前記弁開度制御ステップで制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御ステップと、をコンピュータに実行させる冷却制御プログラム。
(付記17)
複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体とを備えるサーバ装置の冷却制御方法であって、前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記筐体に備えられた少なくとも1つのファンの回転により発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する複数の風量調整部の各弁開度を制御する弁開度制御ステップと、前記弁開度制御ステップで制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御ステップと、を備える冷却制御方法。
【符号の説明】
【0093】
10…サーバラック
20、20−1〜20−9…サーバ
30…ファン
40、40−1〜40−9…風量調整部
50…制御装置
100…サーバ装置
511…弁開度制御部
512…ファン制御部
513…負荷調整部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子装置と、
前記複数の電子装置を格納する筐体と、
少なくとも1つのファンと、
前記少なくとも1つのファンが回転することにより発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部と、
前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部と、
前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、
を備えるサーバ装置。
【請求項2】
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷を調整する負荷調整部を備え、
前記風量調整部は、前記グループごとにそれぞれ設けられている請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷を調整する負荷調整部を備え、
前記グループのうち、他のグループよりも負荷が高く設定された1以上のグループに対しては、前記風量調整部を設けず、他のグループに対してはそれぞれ前記風量調整部を設ける請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷、及び各グループに含まれる電子装置の負荷を調整する負荷調整部を備え、
前記風量調整部は、前記複数の電子装置に対してそれぞれ設けられ、
前記弁開度制御部は、同一のグループに属する電子装置に対して設けられた各風量調整部の弁開度を同一にする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記負荷調整部は、1以上のグループの負荷が0となるように各グループが分担する負荷を調整するとともに、負荷が0となったグループに含まれる電子装置の電源を遮断する請求項2から4のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記弁開度制御部は、前記風量調整部の弁開度において、同一の値が所定の時間以上継続する場合に、前記風量調整部の弁を駆動する駆動機構の電源を遮断する請求項1から5のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項7】
筐体に格納された複数の電子装置内に冷却風を発生させる少なくとも1つのファンと、前記冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部とを制御する制御装置であって、
前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部と、
前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、
備える制御装置。
【請求項8】
複数の電子装置を格納するサーバラックであって、
少なくとも1つのファンと、
前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記少なくとも1つのファンの回転により発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部と、
前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、を有する制御装置と、
を備えるサーバラック。
【請求項9】
複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体とを備えるサーバ装置を冷却するための冷却制御プログラムであって、
前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記筐体に備えられた少なくとも1つのファンの回転によって発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御ステップと、
前記弁開度制御ステップで制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御ステップと、
をコンピュータに実行させる冷却制御プログラム。
【請求項10】
複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体とを備えるサーバ装置の冷却制御方法であって、
前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記筐体に備えられた少なくとも1つのファンの回転により発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御ステップと、
前記弁開度制御ステップで制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御ステップと、
を備える冷却制御方法。
【請求項1】
複数の電子装置と、
前記複数の電子装置を格納する筐体と、
少なくとも1つのファンと、
前記少なくとも1つのファンが回転することにより発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部と、
前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部と、
前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、
を備えるサーバ装置。
【請求項2】
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷を調整する負荷調整部を備え、
前記風量調整部は、前記グループごとにそれぞれ設けられている請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷を調整する負荷調整部を備え、
前記グループのうち、他のグループよりも負荷が高く設定された1以上のグループに対しては、前記風量調整部を設けず、他のグループに対してはそれぞれ前記風量調整部を設ける請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記複数の電子装置をグループ化した各グループが分担する負荷、及び各グループに含まれる電子装置の負荷を調整する負荷調整部を備え、
前記風量調整部は、前記複数の電子装置に対してそれぞれ設けられ、
前記弁開度制御部は、同一のグループに属する電子装置に対して設けられた各風量調整部の弁開度を同一にする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記負荷調整部は、1以上のグループの負荷が0となるように各グループが分担する負荷を調整するとともに、負荷が0となったグループに含まれる電子装置の電源を遮断する請求項2から4のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記弁開度制御部は、前記風量調整部の弁開度において、同一の値が所定の時間以上継続する場合に、前記風量調整部の弁を駆動する駆動機構の電源を遮断する請求項1から5のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項7】
筐体に格納された複数の電子装置内に冷却風を発生させる少なくとも1つのファンと、前記冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部とを制御する制御装置であって、
前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部と、
前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、
備える制御装置。
【請求項8】
複数の電子装置を格納するサーバラックであって、
少なくとも1つのファンと、
前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記少なくとも1つのファンの回転により発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御部と、
前記弁開度制御部が制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御部と、を有する制御装置と、
を備えるサーバラック。
【請求項9】
複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体とを備えるサーバ装置を冷却するための冷却制御プログラムであって、
前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記筐体に備えられた少なくとも1つのファンの回転によって発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御ステップと、
前記弁開度制御ステップで制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御ステップと、
をコンピュータに実行させる冷却制御プログラム。
【請求項10】
複数の電子装置と、前記複数の電子装置を格納する筐体とを備えるサーバ装置の冷却制御方法であって、
前記複数の電子装置内の温度が、予め定めた目標温度となるように、前記筐体に備えられた少なくとも1つのファンの回転により発生し、前記複数の電子装置を通過する冷却風の風量を弁の開閉により調整する風量調整部の弁開度を制御する弁開度制御ステップと、
前記弁開度制御ステップで制御する弁開度よりも高い弁開度において、前記電子装置内の温度を前記目標温度にするための冷却風の風量を達成するファンの回転数で、前記少なくとも1つのファンを動作させるファン制御ステップと、
を備える冷却制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−212720(P2012−212720A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76453(P2011−76453)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(509333830)フジツウ テクノロジー ソリューションズ インテレクチュアル プロパティ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(509333830)フジツウ テクノロジー ソリューションズ インテレクチュアル プロパティ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【Fターム(参考)】
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