説明

サーミスタ材料、温度センサおよびその製造方法

【課題】 非焼成で安定したサーミスタ特性が得られ、さらに耐熱性に優れたサーミスタ材料、温度センサおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 サーミスタ材料が、HfとAlとNとからなる窒化物で形成され、抵抗率が1〜10000Ωcm、B定数が2000K以上である。特に、Hf−Al−Nの三成分系状態図で、Hf:Al:Nの組成比が原子%で、13.1:21.9:65.0(A点)、20.6:19.9:59.5(B点)、28.6:12.4:58.9(C点)、43.4:0.1:56.4(D点)、37.1:0.5:62.4(E点)、23.6:11.9:64.5(F点)であるA点〜F点で囲まれる範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性に優れたサーミスタ材料およびこれを用いた温度センサ並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、情報機器、通信機器、医療用機器、住宅設備機器、自動車用伝送機器等の温度センサ(流量センサも含む)として、大きな負の温度係数を有する酸化物半導体の焼結体からなるサーミスタがある。このサーミスタは、高精度および高感度を得るために高いB定数が求められている。従来、サーミスタ材料としては、Mn,Co,Ni,Fe等の遷移金属酸化物が一般的に用いられている。これらの遷移金属酸化物のサーミスタ材料は、安定なサーミスタ特性を得るために、600℃程度の焼成が必要である。
【0003】
例えば、特許文献1には、一般式:M(但し、MはTa、Nb、Cr、Ti及びZrの少なくとも1種、AはAl、Si及びBの少なくとも1種を示す。0.1≦x≦0.8、0<y≦0.6、0.1≦z≦0.8、x+y+z=1)で示される窒化物からなるサーミスタ用材料が提案されている。このサーミスタ用材料は、スパッタリングで成膜され、得られた薄膜をさらに350〜600℃で熱処理を施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−319737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、特許文献1に記載のサーミスタ材料は、TaAlN系材料などであるが、組成比を調整することでサーミスタ特性を示すものの、高温環境下での抵抗特性の変化が大きく、耐熱性が低いという不都合があった。また、安定したサーミスタ特性を得るために焼成工程が必要であり、フィルム上などに形成した状態で焼成させることができないと共に製造コストが高くなるという問題もあった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、非焼成で安定したサーミスタ特性が得られ、さらに耐熱性に優れたサーミスタ材料、温度センサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明のサーミスタ材料は、HfとAlとNとからなる窒化物で形成され、抵抗率が1〜10000Ωcm、B定数が2000K以上であることを特徴とする。
このサーミスタ材料では、HfとAlとNとからなるHfAlN系の窒化物で形成され、抵抗率が1〜10000Ωcm、B定数が2000K以上であるので、非焼成でもTaAlN系材料などより優れた耐熱性を有し、高B定数で安定したサーミスタ特性が得られる。
【0008】
また、第2の発明のサーミスタ材料は、第1の発明において、Hf−Al−Nの三成分系状態図で、Hf:Al:Nの組成比が原子%で、13.1:21.9:65.0(A点)、20.6:19.9:59.5(B点)、28.6:12.4:58.9(C点)、43.4:0.1:56.4(D点)、37.1:0.5:62.4(E点)、23.6:11.9:64.5(F点)であるA点〜F点で囲まれる範囲にあることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ材料では、Hf−Al−Nの三成分系状態図で、上記A点〜F点で囲まれる範囲にあるので、少なくとも抵抗率が6.0〜2200Ωcm、B定数が2052〜3257Kのサーミスタ特性が得られる。
【0009】
第3の発明の温度センサは、絶縁性基材と、該絶縁性基材上に形成された薄膜状の感熱部と、前記絶縁性基材上に形成され前記感熱部に接続された一対のパターン配線とを備え、前記感熱部が、第1または第2の発明のサーミスタ材料で形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、感熱部が、第1または第2の発明のサーミスタ材料で形成されているので、高B定数で耐熱性に優れていると共に安定したサーミスタ特性の感熱部により、高精度で高感度なセンサが得られる。
【0010】
また、第4の発明の温度センサは、第3の発明において、前記絶縁性基材が絶縁性フィルムであることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、絶縁性基材が絶縁性フィルムであるので、薄型で全体がフィルム状の温度センサとなり、フレキシブルで凹凸が小さく、設置自由度を大幅に向上させることができる。
【0011】
第5の発明における温度センサの製造方法は、第3または第4の発明の温度センサを作製する方法であって、絶縁性基材上に薄膜状の感熱部をパターン形成する工程と、前記絶縁性基材上に前記感熱部に接続させて一対のパターン配線をパターン形成する工程とを有し、前記感熱部をパターン形成する工程において、第1または第2の発明のサーミスタ材料をスパッタリングにより成膜することを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、感熱部をパターン形成する工程において、第1または第2の発明のサーミスタ材料をスパッタリングにより成膜するだけでよく、焼成工程が不要なため、製造コストが低いと共に絶縁性基材の材料選択の自由度が高い。特に、絶縁性基材として絶縁性フィルムを採用する場合には、焼成工程による絶縁性フィルムの劣化がなく、安定したサーミスタ特性の感熱部を絶縁性フィルム上に成膜することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサーミスタ材料、温度センサおよびその製造方法によれば、HfAlN系の窒化物で形成され、抵抗率が1〜10000Ωcm、B定数が2000K以上であるので、非焼成でもTaAlN系材料などより優れた耐熱性を有し、高B定数で安定したサーミスタ特性が得られる。
したがって、本発明のサーミスタ材料を用いることで、絶縁性フィルム上に安定したサーミスタ特性の感熱部を非焼成で形成することができ、このように作製された本発明の温度センサによれば、フレキシブルで凹凸が少なく、非接触給電装置やバッテリー等の狭い隙間に挿入して設置することや、曲面に設置することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るサーミスタ材料、温度センサおよびその製造方法の第1実施形態において、HfとAlとNとの組成比範囲を示す3元系の三角図(三成分系状態図)である。
【図2】第1実施形態において、温度センサの製造方法を工程順に示す斜視図である。
【図3】本発明に係るサーミスタ材料、温度センサおよびその製造方法の第2実施形態において、温度センサの製造方法を工程順に示す斜視図である。
【図4】本発明に係るサーミスタ材料、温度センサおよびその製造方法の実施例において、抵抗率とB定数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るサーミスタ材料、温度センサおよびその製造方法の第1実施形態を、図1および図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0015】
本実施形態のサーミスタ材料は、HfとAlとNとからなる窒化物で形成され、抵抗率が1〜10000Ωcm、B定数が2000K以上であり、図1に示すように、Hf−Al−Nの三成分系状態図で、Hf:Al:Nの組成比が原子%で、13.1:21.9:65.0(A点)、20.6:19.9:59.5(B点)、28.6:12.4:58.9(C点)、43.4:0.1:56.4(D点)、37.1:0.5:62.4(E点)、23.6:11.9:64.5(F点)であるA点〜F点で囲まれる範囲にある。
このサーミスタ材料は、半導体の性状を呈し、温度が上昇すると抵抗が低くなる負特性、いわゆるNTCサーミスタ(Negative Temperature Coefficient Thermistor)の性質を有したHfAlN系窒化物である。
【0016】
また、本実施形態の温度センサ1は、図2の(a)に示すように、絶縁性基材2と、該絶縁性基材2上に形成された薄膜状の感熱部3と、絶縁性基材2上に形成され感熱部3に接続された一対のパターン配線4とを備え、感熱部3が、上記サーミスタ材料で形成されている。
上記絶縁性基材2は、例えば熱酸化膜付きのシリコン基板やアルミナ基板等の絶縁基板である。
上記感熱部3は、上記サーミスタ材料を絶縁性基材2の上面に、スパッタリング法により平面視略正方形状に成膜されたサーミスタ薄膜である。
【0017】
一対のパターン配線4は、感熱部3の上面に形成され互いに対向した一対の櫛歯部4aと、各櫛歯部4aに接続された一対の引き出し電極である電極パッド部4bと、を有している。
また、パターン配線4は、絶縁性基材2の上面から感熱部3の上面に亘ってTiとPtとの積層金属膜でパターン形成された一対のTi/Pt層と、電極パッド部4bとなる部分のPt層上に形成されたAu膜とで形成されている。
【0018】
なお、絶縁性材料で形成された絶縁被覆層で感熱部3を封止しても構わない。この絶縁被覆層は、感熱部3及び櫛歯部4aを内部に封止する保護膜であり、例えば、表面に滴下した樹脂モールド材又はセラミックスモールド材又はガラスペーストを焼成してモールドしたものが採用される。また、感熱部3及び櫛歯部4a上にSiO2膜を保護膜として形成し、この上に絶縁被覆層を形成しても構わない。
【0019】
次に、このように構成された温度センサ1の製造方法について、図2の(a)(b)を参照して説明する。
【0020】
まず、図2の(a)に示すように、絶縁性基材2となるウエハW表面に感熱部3をパターン形成する薄膜形成工程を行う。すなわち、上記組成比のHf−Al複合ターゲットを用いて、ウエハW(絶縁性基材2)の全面に反応性スパッタ法により窒素雰囲気で上記サーミスタ材料、すなわちHfAlの窒化物膜を成膜する。
続いて、フォトリソグラフィ技術により、HfAlの窒化物膜の上面であって感熱部3を形成する領域にフォトレジスト膜をパターニングする。そして、フォトレジスト膜をマスクとして、Arによるドライエッチング加工によりマスクされていない窒化物膜を選択的に除去する。
【0021】
さらに、マスクとしていたフォトレジスト膜を除去する。これにより、ウエハW(絶縁性基材2)の上面に平面視略正方形状の感熱部3をパターン形成することができる。
次いで、感熱部3の上面からウエハW(絶縁性基材2)の上面に亘って、所定のスパッタ条件でTi層とPt層との積層金属膜をスパッタリング法で成膜する。続いて、フォトリソグラフィ技術により、Ti/Pt層の上面であって一対のパターン配線4を形成する領域にフォトレジスト膜をパターニングする。
【0022】
そして、フォトレジスト膜をマスクとして、Arによるドライエッチング加工によりマスクされていないTi/Pt層を選択的に除去する。そして、マスクとしていたフォトレジスト膜を除去する。これにより、感熱部3の上面に櫛歯部4aをパターン形成することができる。この後、図2の(b)に示すように、ダイシングを行ってチップ状に切り出すことで、チップ状の温度センサ1が作製される。
【0023】
このように本実施形態のサーミスタ材料では、HfとAlとNとからなる窒化物で形成され、抵抗率が1〜10000Ωcm、B定数が2000K以上であるので、非焼成でもTaAlN系材料などより優れた耐熱性を有し、高B定数で安定したサーミスタ特性が得られる。特に、このサーミスタ材料では、Hf−Al−Nの三成分系状態図で、上記A点〜F点で囲まれる範囲にあるので、少なくとも抵抗率が6.0〜2200Ωcm、B定数が2052〜3257Kのサーミスタ特性が得られる。
【0024】
また、本実施形態の温度センサ1では、感熱部3が、上記サーミスタ材料で形成されているので、高B定数で耐熱性に優れていると共に安定したサーミスタ特性の感熱部3により、高精度で高感度なセンサが得られる。
【0025】
次に、本発明に係るサーミスタ材料、温度センサおよびその製造方法の第2実施形態について、図3を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0026】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態の温度センサ1では、感熱部4が基板状の絶縁性基材2上に形成されたチップ状のセンサであるのに対し、第2実施形態の温度センサ21は、図3の(d)に示すように、感熱部3が絶縁性フィルム(絶縁性基材)22上にパターン形成されている点である。
【0027】
すなわち、第2実施形態の温度センサ21は、薄型のフィルム状温度センサであって、帯状の絶縁性フィルム22と、該絶縁性フィルム22上の先端側に形成された薄膜状の上記感熱部3と、感熱部3に接続され絶縁性フィルム22上に形成された一対のパターン配線24とを備えている。
上記絶縁性フィルム22は、例えばポリイミド樹脂シートであって帯状に形成されている。
【0028】
上記一対のパターン配線24は、感熱部3上に互いに対向状態に配した櫛形パターンで形成された一対の櫛歯部24aと、一対の櫛歯部24aに接続されて絶縁性フィルム22の延在方向に延びる一対の直線部24bと、一対の直線部24bに接続され絶縁性フィルム22上の基端側に形成された一対の電極端子部24cとを備えている。
一対のパターン配線24は、例えばCr膜とAu膜との積層金属膜でパターン形成されている。
上記感熱部3は、絶縁性フィルム22上に接着剤で張られたポリイミドカバーレイフィルム25で覆われている。
【0029】
次に、本実施形態の温度センサ21の製造方法について、図3の(a)〜(d)を参照して説明する。
【0030】
まず、例えば、図3の(a)に示す厚さ50μmのポリイミド樹脂シートの絶縁性フィルム22上に、スパッタ法によってCr膜を厚さ20nm形成し、さらにその上にAu膜を厚さ100nm形成する。
次に、積層されたCr膜とAu膜との上にレジスト液をバーコーターで塗布し、80℃で10minプリベークした後、露光装置で所定の櫛形電極構造のパターン形状に感光し、不要部分を除去する。さらに、図3の(b)に示すように、所定の溶液でウエットエッチングによって一対のパターン配線24を所定パターンでパターニングする。
【0031】
このパターン配線24が形成された絶縁性フィルム22上に、図3の(c)に示すように、メタルマスクを介して反応性スパッタ法により上記HfAlNの窒化物膜である感熱部3を所定形状で厚さ500nm成膜する。
その後、図3の(d)に示すように、この窒化物膜の感熱部3を覆うように絶縁性フィルム22上に接着剤付きのポリイミドカバーレイフィルム25を載せ、プレス機によって150℃で2MPaの圧力で30min加圧し、接着させる。なお、この際、電極端子部24cを形成するパターン配線24の基端部上は除いてポリイミドカバーレイフィルム25を接着する。
【0032】
次に、一対のパターン配線24の基端部上にめっき液によって厚さ3μmのNiめっき層および厚さ10μmのSnめっき層を形成して一対の電極端子部24cとし、厚さ0.1mmのフィルム状温度センサ21が作製される。なお、一対の電極端子部24cにそれぞれ外部の回路部と接続されたリード線(図示略)の一端を半田材で接合し、温度センサ21と外部の回路部とを電気的に接続する。
【0033】
このように本実施形態の温度センサ21では、絶縁性基材が絶縁性フィルム22であるので、薄型で全体がフィルム状の温度センサとなり、フレキシブルで凹凸が小さく、設置自由度を大幅に向上させることができる。すなわち、温度センサ21が薄いフィルム状であるので、熱容量も小さく、温度計測の応答性が高いと共に、設置場所も確保し易くなる。例えば、本実施形態の温度センサ21を非接触給電装置やバッテリー等の狭い隙間に挿入して設置することや、曲面に設置することも可能になる。
【実施例】
【0034】
次に、第1実施形態の温度センサを実際に作製した実施例について評価した結果を示す。
本発明の実施例を以下の工程により作製した。まず、反応性スパッタ法にて、表1に示す様々な組成比としたHf−Al複合ターゲットを用いて、熱酸化膜付きSiウエハ上に厚さ500μmのHfAlの窒化物膜(感熱部)を形成した複数の実施例を作製した。なお、Hf−Al−Nの三成分系状態図で、Hf:Al:Nの組成比が上記A点〜F点で囲まれる範囲外となるものも併せて作製した。
【0035】
この際のスパッタ条件は、到達真空度1×10−6Pa、スパッタガス圧0.67Pa、ターゲット電圧300Vで、窒素ガス分圧は20〜100%と変えて作製した。
上記で得られた感熱部の薄膜は、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)にて元素分析を行った。また、4端子法にて25℃の比抵抗を測定した。また、上記感熱部の薄膜の上にスパッタ法でPt膜を形成した。
【0036】
そして、その上にレジスト液をスピンコーターで塗布し、80℃で10minプリベークした。さらに、露光装置で不要部分を除去後、Arによるドライエッチングにて所望の櫛型電極構造にパターンニングしてパターン配線を形成した。次に、チップ状にダイシングを行い、チップ状の温度センサとした。
このように作製した温度センサについて、25℃及び50℃の抵抗値を測定し、B定数を算出した結果を、表1および図1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
この評価の結果からわかるように、HfとAlとNとの組成比が、図1に示すように、3元系の三角図(Hf−Al−Nの三成分系状態図)において、各点で示すように点A、〜Fで囲まれる領域内で、抵抗率1〜10000Ωcm以上、B定数2000K以上のサーミスタ特性を達成した。
【0039】
また、作製した温度センサを、空気中で125℃、100時間の耐熱放置試験を行い、抵抗値変化率およびB定数変化率を調べた結果を表2に示す。なお、リファレンスの比較例として、Ta−Al複合ターゲットを用いて反応性スパッタ法にて作製した表3に示す組成比のTaAlの窒化物膜からなる温度センサも、同様に耐熱放置試験を行った。その結果を併せて表3に示す。
【0040】
【表2】

【表3】

【0041】
これらの評価の結果、TaAl材料で感熱部を構成した比較例の温度センサは、抵抗値変化11.0%、B定数変化率1.5%と大きいのに対し、上記組成比範囲のHfAl材料で感熱部を構成した本実施例の温度センサでは、抵抗値変化率1.9%、B定数変化0.7%と大幅に小さく、優れた耐熱性が得られている。
【0042】
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態および上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1,21…温度センサ、2…絶縁性基材、3…感熱部、4,24…パターン配線、22…絶縁性フィルム(絶縁性基材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HfとAlとNとからなる窒化物で形成され、抵抗率が1〜10000Ωcm、B定数が2000K以上であることを特徴とするサーミスタ材料。
【請求項2】
請求項1に記載のサーミスタ材料において、
Hf−Al−Nの三成分系状態図で、Hf:Al:Nの組成比が原子%で、
13.1:21.9:65.0(A点)、
20.6:19.9:59.5(B点)、
28.6:12.4:58.9(C点)、
43.4:0.1:56.4(D点)、
37.1:0.5:62.4(E点)、
23.6:11.9:64.5(F点)であるA点〜F点で囲まれる範囲にあることを特徴とするサーミスタ材料。
【請求項3】
絶縁性基材と、
該絶縁性基材上に形成された薄膜状の感熱部と、
前記絶縁性基材上に形成され前記感熱部に接続された一対のパターン配線とを備え、
前記感熱部が、請求項1または2に記載のサーミスタ材料で形成されていることを特徴とする温度センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の温度センサにおいて、
前記絶縁性基材が絶縁性フィルムであることを特徴とする温度センサ。
【請求項5】
請求項3または4に記載の温度センサを作製する方法であって、
絶縁性基材上に薄膜状の感熱部をパターン形成する工程と、
前記絶縁性基材上に前記感熱部に接続させて一対のパターン配線をパターン形成する工程とを有し、
前記感熱部をパターン形成する工程において、請求項1または2に記載のサーミスタ材料をスパッタリングにより成膜することを特徴とする温度センサの製造方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図1】
image rotate