説明

サーモトロピック液晶ポリマーの成形及びそこから作製される物品

メソゲンを含むサーモトロピック液晶ポリマー(TLCP)を含む組成物を成形する方法であって、型凹部を有する型に微細特徴チャンバを備える特徴凹部(43)を提供する工程と、組成物を加熱して溶融組成物を形成する工程と、移動する溶融組成物の流れ方向に対して、微細特徴チャンバ(49)を充填する溶融TLCP中のメソゲンの少なくとも一部分の流れ整列をもたらす流量速度で移動する溶融組成物を、微細特徴チャンバに充填する工程と、微細特徴チャンバの少なくとも固化したTLCPのメソゲンが、それらの流れ整列を維持するように、溶融組成物を固化する工程と、を含む。成形品は、本体と、本体から突出する3次元構造特徴と、を備え、微小寸法を有する微細特徴要素を含み、微小寸法におけるTLCPメソゲンが流れ整列状態にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ポリマーの使用に関し、特に、サーモトロピック液晶ポリマーの使用に関し、より具体的に、サーモトロピック液晶ポリマーによる成形及びそこから成形される物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー材料を成形品に成形するために使用される多様なプロセス及び機材が存在する。射出成型は、多くの異なる種類のポリマー物品を成形するために広く使用されるプロセスの一種である。基本的に2種類の射出成型技法がある。1つの種類の射出成型技法は、例えば、図1A及び1Bに示されるもの等の、コールドランナーシステム10を使用する。典型的には、コールドランナー射出成型システム10は、往復ネジ押出成形機(図示せず)に依存して、ノズルシート13を通して型11と流体連通しているノズル12を介して、溶融ポリマー材料を型11に供給する。型11は、第1の型半体14と、第1の型半体14を通して形成されたスプルー通路16を含む型凹部を画定する第2の型半体15と、を有し、ノズル12から供給された溶融ポリマー材料を、型凹部の一部を形成する本体凹部の中へ指向する。本体凹部17は、溶融ポリマー材料を、それぞれ別個のゲート開口部21及び22を通して、スプルー16から2つの部分凹部19及び20に指向するランナー通路18を含む。ゲート21及び22は、対応する部分凹部19及び20に射出された溶融ポリマー材料の流れ場を決定する。スプルー16及び本体凹部17を充填する溶融ポリマー材料が固化した後、型半体14及び15を分離し、固化した物品を除去する。成形品の除去を容易にするために、複数個の押出ピン23を第2の型半体15に載置し、成形品を第2の半体15から押出すように使用する。
【0003】
別の種類の射出成型技法は、ホットランナー成形システムを使用する。ホットランナー射出成型システムは、溶融ポリマー材料が、部分凹部へと通過する時に溶融状態を維持するように、スプルー及びランナー凹部が加熱されることを除いて、構成がコールドランナーシステムに類似している。したがって、ホットランナーシステムでは、部分凹部へと射出される溶融ポリマー材料は、典型的には、固化され最終的に型から除去される、唯一の溶融ポリマー材料である。
【0004】
そのような従来の射出成形システム及び他の成形システムを使用して、広範な特徴設計及びサイズを有する、多様な成形品が形成されている。そのような機材を使用して、物品に成形するために、多様な異なるポリマー材料も使用されている。射出成型品を作製する際に使用されることが知られている1つのポリマー材料は、サーモトロピック液晶ポリマー(TLCP)である。分子レベルで、TLCPは、ポリマー鎖においてセグメントを形成する剛性部分からなる。これらの剛性部分は、「メソゲン」として知られている。TLCPは、他の特性の中で、高衝撃耐性、低い熱膨張係数、化学分解に対する耐性、低重量、高強度、及び高弾性率のうちの1つ以上を含み得る、所望の特性を呈することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の成形システムを使用する既知のポリマー成形材料で充填することができる、型特徴設計及びサイズに対して制限がある。したがって、より小さく更に複雑な設計特徴を有する物品を成形することができる、成形システム、特に射出成型システムが継続的に必要とされている。本発明は、このニーズを満たす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、方法は、射出成型、ないしは別の方法で物品を成形するために提供される。方法は、少なくとも1つの、融解処理可能な又は複数個のメソゲンを含むサーモトロピック液晶ポリマー(TLCP)を含む組成物を提供する工程と、型凹部を備え、型凹部が、少なくとも1つの特徴凹部を備え、各特徴凹部が、少なくとも1つの微細特徴チャンバを備える、型を提供する工程と、を含む。方法は、組成物を加熱して、溶融TLCPを含む溶融組成物を形成する工程と、型凹部に所望量の溶融組成物を充填する工程と、を更に含む。型凹部は、少なくとも1つの微細特徴チャンバを充填する溶融組成物が、移動する溶融組成物の流れ方向に対して、対応する溶融TLCP(すなわち、少なくとも1つの微細特徴チャンバを充填する溶融TLCP)中のメソゲンのすべて又は少なくとも大部分の流れ整列をもたらす流速で移動するように充填される。溶融組成物は、少なくとも1つの微細特徴チャンバの少なくとも固化したTLCPのメソゲン(すなわち、得られる成形品の対応する少なくとも1つの微細特徴要素におけるメソゲン)が、それらの流れ整列を維持するように固化される。
【0007】
この方法で使用される型凹部は、本体凹部から伸長し、接続される各特徴凹部とともに、本体凹部を更に備える。この実施形態を用いて、型凹部を充填する工程は、本体凹部を所望量の溶融組成物で充填する工程を含み、本体凹部を充填する溶融組成物の少なくとも一部分が、対応する溶融TLCP(すなわち、本体凹部を充填する溶融TLCP)中のメソゲンの流れ混転をもたらす第1の流速で移動するようにする。更に、各微細特徴チャンバを充填する溶融組成物の流速は、第1の流速よりも速い第2の流速である。
【0008】
別の実施形態では、型凹部を充填する工程は、本体凹部を所望量の溶融組成物で充填する工程を含み、本体凹部を充填する溶融組成物の少なくとも一部分が、本体凹部を充填する溶融TLCP中のメソゲンの流れ整列をもたらす流速で移動するようにする。この実施形態を用いて、溶融組成物を固化する工程は、本体凹部内のメソゲンの流れ整列が維持されるか、又は少なくとも減少するように行うことができる。少なくとも減少される本体凹部中のメソゲンの流れ整列を得るために、固化する工程は、本体凹部を充填する溶融組成物を固化する前に、各微細特徴チャンバを充填する溶融組成物を固化する工程と、本体凹部中のメソゲンの流れ整列が少なくとも減少するよう十分な時間が経過した後、本体凹部中の溶融組成物を固化する工程も含むことができる。本体凹部のメソゲンの流れ整列はまた、溶融TCLPを固化することによって少なくとも減少させることができ、各微細特徴チャンバ及び本体凹部中のメソゲンの流れ整列が維持され、本体凹部内の固化したTCLPを再溶解し、本体凹部の再溶解したTCLPを再固化するようにする。
【0009】
本発明の別の態様では、本体と、本体と一体であり、そこから突出する少なくとも1つの3D構造特徴を備える成形品が提供される。各構造特徴は、少なくとも1つ又は複数個の微細特徴要素を含み、各微細特徴要素は、微小寸法を有する。各構造特徴は、少なくとも1つの、融解処理可能な又は複数個のメソゲンを有するサーモトロピック液晶ポリマー(TLCP)を含み、流れ整列状態(すなわち、メソゲンの流れ混転から生じる整列と比較して、比較的異方性の整列を有する状態)で、微小寸法におけるメソゲンの少なくとも一部分を有する。この物品の本体は、上記方法のいずれかに従い、本体凹部を使用して形成することができる。この物品の少なくとも1つの構造特徴は、上記方法のいずれかに従い、少なくとも1つの特徴凹部を使用して形成することもできる。更に、この物品の少なくとも1つの微細特徴要素は、上記方法のいずれかに従い、少なくとも1つの微細特徴チャンバを使用して形成することができる。
【0010】
溶融組成物は、溶融TLCP中のメソゲンの流れ整列をもたらす速度で流れることから、溶融組成物は、少なくとも1つの微細特徴チャンバを充填することができる。流れ整列であるこれらのメソゲンがなければ、溶融組成物は、少なくとも1つの微細特徴チャンバを適切に充填することができないであろう。つまり、少なくとも1つの微細特徴チャンバは、その意図される目的に好適であるように、対応する成形微細特徴要素を形成するのに十分な溶融組成物で充填されないであろう。更に、固化した少なくとも1つの微細特徴要素中のメソゲンは、その意図される目的に必要な物理特性(例えば、剛性、屈曲強度、又は他の機械的特性)を有する、少なくとも1つの微細特徴要素を提供するために十分に流れ整列される。
【0011】
用語「含む」及びその変化形は、これらの用語が説明文及び特許請求の範囲において現れる場合、限定的な意味を有するものではない。
【0012】
用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ、又は他の状況下において他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の引用は、他の実施形態が有用でないことを含意するものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0013】
本明細書で使用する時、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」、及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。したがって、例えば、「1つの(a)」微細特徴チャンバ群を含む型凹部は、その型凹部が「少なくとも1つ」又は「1つ以上の」微細特徴チャンバを含むことを意味すると解釈することができる。更に、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。
【0014】
用語「及び/又は」は、1つ若しくはすべての列挙した要素、又は2つ以上の列挙した要素のいずれかの組み合わせを意味する。更に、用語「又は」は、その内容に別段の明確な指示がなされていない場合は、一般に「及び/又は」を含む意味で用いられている。
【0015】
数値の範囲を端点によって列挙したものは、その範囲に包含されるすべての数値(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)及びその範囲内の任意の範囲を含む。
【0016】
用語「ポリマー」は、ポリマー、コポリマー(例えば、2種以上の異なるモノマーを使用して形成されたポリマー)、オリゴマー及びこれらの組み合わせ、並びに混和性ブレンド中で形成され得るポリマー、オリゴマー、又はコポリマーを含むと理解されるであろう。
【0017】
本発明の上述の概要は、本発明の開示される各実施形態又はすべての実施を記載することを目的としていない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願のいくつかの箇所で、実施例の一覧として説明を提供するが、実施例は種々の組み合わせにて使用することが可能である。いずれの場合にも、記載した一覧は、代表的な群としてのみ役立つものであり、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】先行技術に従う、コールドランナー射出成型装置の型ダイの断面側面図。
【図1B】図1Aのコールドランナー射出成型装置の型ダイの半体の型凹部を示す透視図。
【図2A】本発明の一実施形態に従う、コールドランナー射出成型装置の積層ラミネート型半体の型凹部の面を示す斜視図。
【図2B】図2Aのコールドランナー射出成型装置の型半体の領域2Bの拡大図。
【図2C】図2Aの金型ダイ半体の断面概略末端図。
【図3A】図2Aの型半体において使用できる、型半体プレートの積層ラミネートの一実施形態の等角斜視図。
【図3B】図2Aの型半体において使用できる、型半体プレートの積層ラミネートの別の実施形態の等角斜視図。
【図3C】図2Aの型半体において使用できる、型プレートの積層ラミネートの別の実施形態の顕微鏡写真の拡大平面図。
【図4A】溶融TLCP中のメソゲンを流れ整列するように、溶融TLCPを充填した型凹部の特徴凹部の断面平面図。
【図4B】溶融TLCP中のメソゲンを流れ整列するように、溶融TLCPを充填した型凹部の細密特徴チャンバの断面平面図。
【図5】型半体プレート間のその特徴凹部から空気を脱気させる、型プレートの積層ラミネートの斜視図。
【図6A】本発明の一実施形態に従う成形品の平面図。
【図6B】図6Aの成形品の拡大側面図。
【図7A】可撓性本体を有する、本発明の別の実施形態に従う成形品の斜視図。
【図7B】その本体が一方向に沿って屈曲した図7Aの成形品の側面図。
【図7C】その本体が図7Bにおいて本体が屈曲している方向に直交する方向に沿って屈曲した図7Aの成形品の側面図。
【図8A】本発明の別の実施形態に従う成形品の後部の部分斜視図。
【図8B】図8Aの成形品の断面側面図。
【図8C】図8Aの成形品の上部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施形態を説明する際、明瞭化のために特定の技術用語が使用される。しかしながら、本発明は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図せず、そのように選択された各用語は、同様に作動するすべての技術的相当物を含む。本発明の成形工程は、以下の利点の1つ以上を含む1つ以上の利点を提供することができる。TLCP中のメソゲンが、成形中に流れ整列及び/又は流れ混転する程度を選択的に制御することによって、成形品の巨視的な特性を調整する能力、結果として得られる成形品において、物品成形凹部の形状を確実に複製する能力、サブマイクロメートル寸法の物品特徴を生成する能力、異方性物理特性を有する微細物品特徴を生成する能力、及び/又は均衡した物理メゾスコピック特性を有する微細物品特徴を生成する能力。
【0020】
方法実施形態1
物品を成形する(例えば、射出成型する)一方法において、本発明に従って、少なくとも1つのサーモトロピック、ないしは別の方法で融解処理可能な液晶ポリマー(TLCP)からなる、本質的にTLCPからなる、TLCPを含む、全体的にTLCPから形成される、実質的に(すなわち、少なくとも約50%及び好ましくは少なくとも約60%)TLCPから形成されるか、又は少なくとも部分的にTLCPから形成される、組成物が提供される。TLCPは、複数個のメソゲン基又は分子メソゲンを含む。そのようなTLCPメソゲンは、多くの場合、TLCPのポリマーの主鎖構造に組み込まれる異方性分子部分として画定される。適切なTLCPは、例えば、芳香族脂肪族化合物、芳香族ポリエステル、ポリアゾメチン、ポリアミド、及びこれらの組み合わせからなるコポリマーを含むことができる。
【0021】
この成形プロセスにおいて使用される型は、1つ又は複数個の特徴凹部(例えば、マイクロニードル成形凹部)を含む型凹部を含む。各特徴凹部は、特徴凹部と流体連通するように接続された1つ以上の微細特徴チャンバを備える。組成物は、溶融TLCPを含む溶融組成物を形成するように加熱される。型凹部は、各特徴凹部、又は少なくとも各微細特徴チャンバを充填する溶融組成物が、各特徴凹部を充填するか、又は各微細特徴チャンバを充填する溶融TLCP中の全量又は少なくとも相当量のTLCPメソゲンの流れ整列を生じさせるのに十分速い流速で移動するように、所望量の溶融組成物で充填される。これらのTLCPメソゲンは、溶融組成物が各特徴凹部又は少なくとも各微細特徴チャンバを充填する時、溶融組成物の流れ方向に対して流れ整列される。型凹部は、例えば、ネジ若しくは他の押出成形機、プランジャ若しくはピストン配列、又は型凹部を充填できるあらゆる他の適切な技法を使用して、溶融組成物を型凹部に押し入れることによって充填することができる。1つ以上の微細特徴チャンバが、溶融組成物で所望の程度に充填された後、溶融組成物は、冷却されることによって(例えば、型を冷却することによって)、又は少なくとも放置して冷ますことによって(例えば、型を放置して冷ますことによって)固化される。各特徴凹部、又は少なくとも各微細特徴チャンバ内の溶融組成物は、最初に固化することができる。溶融組成物は、少なくとも各精密特徴チャンバのTLCPメソゲンの全量又は少なくとも相当量(パーセンテージ)の流れ整列が、完全に維持されるか、又は少なくとも実質的に維持されるように固化される。少なくとも微細特徴チャンバ内で形成された成形品の部分が、選択した適用に望ましい単向性又は異方性の物理特性を呈する場合、かなりの割合のTLCPメソゲンが、流れ整列されていると考えられる。
【0022】
商業的に関連するTLCPにおいて、メソゲンは、「ネマチック」として知られる配列における構造秩序を誘導する、液晶ポリマーの最も基本の単位を構成し、長距離配向秩序を表示するが、ほんの短距離のパッキング又は位置秩序の中間相単位を特徴とする。「ディレクター」として定義される平均配向方向(又はベクトル)に沿ったメソゲンの配列は、メソゲン分子配向のランダム分布(すなわち、異方性)に対して0〜完全分子整列に対して1の範囲である、分子異方性因子(以下「異方性因子」と称する)を特徴とすることができる。
【0023】
本明細書で使用する時、用語「溶融TLCP」は、溶融状態である(すなわち、そのメソゲンが流れ混転し得る)すべてのTLCPだけでなく、そのメソゲンを結晶性領域に配向された中実(例えば、メソゲンが流れ整列している)の形態で有し、残りは溶融される(例えば、1つ又は複数個の流体非晶質領域の形態である)。
【0024】
本明細書で使用する時、用語「流れ整列」は、流れ方向に対して、少なくとも約0.4〜1.0、好ましくは少なくとも約0.5〜1.0未満、及びより好ましくは約0.6〜1.0未満の範囲で、異方性因子を呈するTLCPメソゲンを指す。
【0025】
本発明に従って、各精密特徴チャンバを充填する溶融組成物は、適用に応じて、微小寸法の各精密特徴チャンバを充填するTLCPメソゲンの少なくとも約30%〜100%、35%〜100%、40%〜100%、45%〜100%、50%〜100%、55%〜100%、60%〜100%、65%〜100%、70%〜100%、75%〜100%、80%〜100%、85%〜100%、90%〜100%、又は95%〜100%が流れ整列である場合、そのTLCPメソゲンの実質的な部分が流れ整列であると考えられる。微細特徴チャンバ内のそのような微小寸法は、例えば、壁の厚さ、針の先端の直径等を形成する微細特徴チャンバの部分であり得る。それに応じて、各微細特徴チャンバによって形成された成形品の部分は、そのような各微細特徴(例えば、壁の厚さ、針の先端の直径等)の微小寸法における、TLCPメソゲンの少なくとも約30%〜100%、35%〜100%、40%〜100%、45%〜100%、50%〜100%、55%〜100%、60%〜100%、65%〜100%、70%〜100%、75%〜100%、80%〜100%、85%〜100%、90%〜100%、又は95%〜100%が流れ整列である場合、整列されたTLCPメソゲンの実質的な部分を有すると考えられる。いくつかの適用(例えば、マイクロニードル)について、各微細特徴チャンバの微小寸法における、TCLPメソゲンの最大約25%が流れ混転であること(すなわち、成形品の対応する部分の微小寸法の最大約25%が等方性であること)が望ましい場合がある。他の適用について、各微細特徴チャンバ内の流れ混転TLCPメソゲンの量が多いほど、耐容であり得る。他の適用について、最低限であっても、各微細特徴チャンバ内の流れ混転TLCPメソゲンは必須であり得る。
【0026】
TLCPメソゲンは、TLCPが溶融される成形温度で、流れ整列状態から速やかに回転を開始する。結果として、少なくとも微細特徴チャンバ内の溶融TLCPは、微細特徴チャンバが充填された後、急速に固化し、相当量の流れ整列したメソゲンが、微細特徴チャンバによって形成された成形品の部分において依然として流れ整列であることを確実にするはずである。各微細特徴チャンバの寸法及び特徴チャンバを画定する型の部分、並びに型のその部分を形成するために使用される材料は、微細特徴チャンバの溶融TLCPの冷却速度に影響し得る。例えば、微細特徴チャンバの微小寸法が小さいほど(例えば、成形品の壁特徴の厚さを画定する寸法)、固化される溶融TLCPが少ないため、冷却速度は速くなる。更に、型が熱伝導率の低い材料、例えば、ステンレス鋼対熱伝導率の高い材料、例えば、銅合金で作製される場合、熱伝導率の低い型材料は、より遅い速度で溶融TLCPから遠くへ熱を伝導するため、型設計が大型化又は巨大化するほど冷却速度は遅くなる。この冷却速度は、適量のTLCPメソゲンが、固化した成形品において望ましい物理特性を提供するように、流れ整列状態を維持するか否かを決定する。
【0027】
流れ整列TLCPメソゲンは、各特徴凹部によって形成されたか、又は少なくとも各微細特徴チャンバによって形成された物品の成形要素全体で認められ得る。あるいは、別の方法としては、各特徴凹部によって形成されたか、又は少なくとも各微細特徴チャンバによって形成された成形要素の流れ配列TLCPメソゲンは、外側領域又は厚さと比較して、流れ整列でない(例えば、大部分又は完全に流れ混転であるか、ないしは別の方法で等方性である)TLCPメソゲンを含有する溶融組成物の芯を包み込む外側領域又は厚さ(例えば、皮膚)において認めることができる。流れ整列TLCPメソゲンのそのような外側領域又は厚さは、3つの可能な条件下で形成することができる。(1)微小寸法が大きすぎて、微小寸法全体で充分に高い流速を可能にすることができない場合、(2)外側部分のみが、メソゲンを流れ整列状態で固化するのに十分急速に冷却される場合、又は(3)(1)及び(2)の両方。微小寸法が、十分に小さく、溶融TLCPの冷却速度が十分に速い場合、微小寸法全体の溶融TLCP中のすべてのメソゲンは、流れ整列状態であることができ、溶融TLCPが固化した時に流れ整列を維持することができる。
【0028】
図4Aを参照して、本発明に従って特徴凹部43を充填する溶融TLCP組成物のすべての又は少なくとも実質的な外側領域又は厚さ41は、TLCPメソゲンを流れ混転状態から流れ整列状態に遷移するのに十分に速い流速で(剪断流速ベクトル47によって表される)、流れ方向45に沿って移動する(拡大された領域49を参照)。凹部41は、成形された物品の薄壁部分を成形するために設計される。外厚は、外側領域41におけるメソゲンと比較して、流れ整列でないTLCPメソゲンを含有する溶融組成物の芯51を包み込む(例えば、芯51内のメソゲンは、大部分又は完全に流れ混転であるか、ないしは別の方法で等方性であり得る)。凹部43の壁53と接触している外厚41の部分は、典型的には、接触時に固化して、流れ整列状態のメソゲンを有する皮膚55を形成する。速度ベクトル47は、一般に、溶融組成物の流れ方向45に平行である。
【0029】
図4Bを参照して、溶融組成物中のTLCPメソゲンの流れ整列状態は、微細特徴チャンバ等(例えば、マイクロニードル57の先端)の型凹部の非常に密閉された空間領域への溶融組成物の注入を可能にする。チャンバ57の全体容積のすべて又は大部分は、流れ整列メソゲンを有する溶融TLCP組成物59で充填される(拡大された領域66を参照)。溶融組成物59がチャンバ57を充填すると、流れ整列メソゲンは、針の先端の頂点に集束する流れ方向(矢印67で表される)に従う。そのような集束によって、チャンバ57の寸法に応じて、流れるメソゲンは、相互に干渉する傾向があり、チャンバ57の完全な充填を妨げる場合があり、空の空間68を残す。流れ整列組成物59は、組成物59中のメソゲンと比較して、流れ整列でないTLCPメソゲンを含有する微小芯61を含んでもよい(例えば、芯61内のメソゲンは、大部分又は完全に流れ混転であるか、ないしは別の方法で等方性であり得る)。凹部57の壁63と接触している流れ整列組成物59の一部分は、典型的には、接触時に固化して、同程度の流れ整列状態のメソゲンを有する皮膚65を形成する。
【0030】
方法実施形態2
上記の方法実施形態1の1バージョンにおいて、提供される型凹部は、溶融組成物が本体凹部から各特徴凹部へと流れることができるように、各特徴凹部が本体凹部から伸長して流体連通するように接続された本体凹部を更に含む。この方法実施形態2において、型凹部を充填する工程は、本体凹部を所望量の溶融組成物で充填する工程を含み、本体凹部を充填するために使用される溶融組成物のすべて又は少なくとも実質的な部分は、第1の流速で移動し、第1の流速は、本体凹部を充填する溶融TLCP中のメソゲンの全量、相当量、又は少なくとも一部の流れ混転を引き起こす。典型的には、本体凹部を充填する溶融組成物の芯又は中心領域は、第1の流速で移動し、流れ混転している。この芯は、本体凹部を充填する溶融組成物の実質的な部分を形成する。少なくともいくつかの適用について、芯は、約65%〜約99%の範囲の溶融組成物の量で形成される時、そのような実質的な部分を形成する。TLCPメソゲンを流れ混転から流れ整列に遷移させるのに必要な速度は、例えば、温度依存であり得る溶融組成物の密度、流動性、及び粘度、並びに本体凹部の容積及び断面寸法(すなわち、形状)を含む多数の因子に依存し得る。
【0031】
またこの方法実施形態2において、本体凹部のすべて又は少なくとも実質的な部分が溶融組成物で充填された後、1つ以上の微細特徴チャンバを含む、本体凹部に接続された1つ以上の特徴凹部が充填される。各特徴凹部を充填するか、又は少なくとも各微細特徴チャンバを充填する、溶融組成物の流速は、第1の流速よりも速い第2の流速又は高い流速に増加される。この第2の流速は、各特徴凹部を充填するか、又は少なくとも各微細特徴チャンバを充填する、溶融TLCP中のメソゲンのすべて又は少なくとも実質的な量の流れ整列を引き起こすのに十分速い。TLCPメソゲンは、成形組成物が各特徴凹部、又は少なくとも各微細特徴チャンバを充填する時、溶融組成物の流れ方向に対して流れ整列する。微細特徴チャンバのすべてが所望の程度まで溶融組成物で充填された後、溶融組成物は冷却されるか、又は少なくとも放置して冷まし(例えば、型を放置して冷ますことによって)、型凹部内(すなわち、本体凹部、各特徴凹部、及び各精密特徴チャンバ内)の溶融組成物を固化させる。
【0032】
本体凹部内のメソゲンが、流れ混転状態、又は流れ整列状態で固化されるか否かに関わらず、本体凹部を使用して、成形される物品の本体部分を形成することができるか、あるいは、別の方法としては、本体凹部を使用して、成形品の部分を形成しない構造を形成することができる(例えば、本体凹部は、スプルー又はランナーを形成するように設計することができる)。成形品の部分を形成する場合、本体凹部は、例えば、フィルム形状、プレート形状、ハブ形状、又は物品の他の成形本体部分を形成するように設計することができる。成形品の部分を形成しない場合、本体凹部は、例えば、廃棄又は再利用され得るスプルー又はランナーを形成するように設計することができる。本体凹部は、複数個の特徴凹部を一緒に結合する、マニホールド本体凹部の形態であり得る。そのようなマニホールド本体凹部において形成された固化組成物は、成形される物品の一部を形成しない場合がある。結果として、そのようなマニホールド本体凹部内の固化組成物を廃棄又は再利用することが望ましい場合がある。同様に、特徴凹部は、複数個の微細特徴チャンバを一緒に結合し、本体凹部と連通する、マニホールド特徴凹部の形態であり得る。そのようなマニホールド特徴凹部において形成された固化組成物は、成形される物品の一部を形成しない場合がある。結果として、そのようなマニホールド特徴凹部内の固化組成物を廃棄又は再利用することが望ましい場合がある。
【0033】
各微細特徴チャンバは、対応する特徴凹部の少なくとも1つの先頭部分又はすべてを画定することができる。各微細特徴チャンバはまた、非常に微細な1つ以上の特徴を形成することができる。本明細書で使用する時、「非常に微細な」特徴は、約20マイクロメートル(ミクロン)以下の少なくとも1つの微小寸法を有する特徴である(例えば、厚さを有する壁特徴)。型のそのような微細特徴チャンバに溶融組成物を充填し、冷却した後、得られた成形品の微細特徴を形成するために、本発明に従って、溶融TLCPは、1を超える流れ混転パラメータを呈し(すなわち、|λ|>1)、微細特徴を形成するために使用される溶融TLCP中のメソゲンは、約0.25以上(すなわち、少なくとも約0.25)、好ましくは約0.5以上の異方性因子を呈するように整列されるはずである。
【0034】
成形品の微細特徴におけるそのような実質的なメソゲン整列(すなわち、ネマチック整列)は、微細特徴が、そうでなければ成形品の所望の機能又は適用を行うために不適切な機械的特性を呈することを可能にし得る。例えば、手の圧力のみを印加することによって、ヒトの皮膚を貫通し得るマイクロニードルとして機能するのに十分硬くするには、そのようなマイクロニードル特徴の少なくとも最初の末端及び先端(例えば、マイクロニードルの後部からその基部に向けて容積の少なくとも約0.1%〜約2%)が、マイクロニードルの長手方向軸と同軸(すなわち、実質的に平行)であるように、実質的なネマチック整列を呈する、メソゲンを有するTLCP材料で作製される必要がある(すなわち、少なくとも約0.4、好ましくは少なくとも約0.5の異方性因子を呈するように)。
【0035】
本明細書で使用する時、用語「流れ混転」は、所望の型凹部を充填する溶融TLCPのバルクフローの間、分子TLCPメソゲンの「流れの渦度軸」を中心としたネマチックディレクターの連続回転を促進する、剪断における不均衡な流体力学トルクを指す。したがって、固化TLCPメソゲンが「流れ混転状態」であるという陳述は、固化されたが流れ混転状態(すなわち、流れ混転に供された後)であるTLCPメソゲンを指す。
【0036】
本体凹部で形成された成形品の部分において、均衡した機械的特徴を促進するように(例えば、メゾスコピック特性の均衡を保証するように)、溶融組成物のポリマー相(すなわち、メソゲンが組み込まれるポリマーの主鎖)において十分に高い欠陥密度を維持するために、特徴凹部を充填する前、又は少なくとも各微細特徴チャンバを充填する前に、溶融TLCPが流れ混転を呈することは重要であり得る。TLCPメソゲンの流れ整列は、特に唯一の流れ整列がある場合、非常に高い流動誘起異方性因子につながる可能性があり、結果として、形成される最終物品において、高い単向性の機械的特徴をもたらし得る。幾つかの適用について、高い単向性の機械的特徴は、本体凹部において形成される成形品の部分において望ましくない場合がある(例えば、マイクロエレクトロニクスセンサー、デュアルインラインメモリモジュール(DIMM)コネクタ、ソケット、LEDハウジング、マイクロギア等)。他の適用について、成形品の本体部分において、そのような高い単向性の機械的特性が望ましい場合がある(例えば、中実及び中空マイクロニードルアレイ、マイクロ流体ミキサー、手術装置コンポーネント等)。
【0037】
本体凹部において均衡した機械的特性を有する必要がない場合(例えば、本体凹部が最終物品の一部を形成せず、廃棄又は再利用される場合)、溶融組成物が本体凹部において流れ混転する必要はないか、又は望ましくない場合さえある。そのような本体凹部は、例えば、型凹部のランナー又はスプルー凹部部分を形成することができる。そのような本体凹部におけるTLCPメソゲンの流れ混転は、本体凹部の形状及び寸法によって制限され得る(例えば、コールドランナー又はスプルー凹部)。溶融組成物を、大きい断面領域(流れ混転が起こる)を有する開口部から、より小さい開口部(流れ整列が起こる)を通して押し入れることによって、溶融組成物は、そのメソゲンが均衡流れ混転特徴を有する(例えば、組成物が加熱押出しバレル内で溶融する)緩和状態から、流れ整列状態への急速な遷移を呈し得る。例えば、溶融組成物は、押出しバレル内の比較的大きい開口部から、押出しバレルからつながるノズル内の比較的小さいオリフィスを通って、そのような使い捨て本体凹部(例えば、コールドスプルー又はランナー凹部)に直接注入することができる。
【0038】
好ましくは、溶融組成物の第1の流速は、本体部分が完全又は少なくとも実質的に溶融組成物で充填されるまで、第2の流速に増加されない。特徴凹部の1つ以上、又は少なくとも微細特徴チャンバの1つ以上が、溶融組成物を充填する前であるか、又は充填を開始する時、本体凹部は、溶融組成物で実質的に充填されると考えられる。第1の流速は、約0.0インチ/秒(ミリメートル/秒又はmm/s)〜最大約4インチ/秒(108mm/s)の範囲であることが望ましい場合がある。第1の流速は、約0.25インチ/秒(6.35ミリメートル/秒又はmm/s)〜最大約3インチ/秒(76.2mm/s)の範囲であることが好ましい場合がある。
【0039】
特徴凹部及び/又は微細特徴チャンバを充填する溶融組成物の流速は、例えば、型凹部内及び型凹部に進入する溶融組成物に対して課される注入圧ないしは別の方法で印加される圧力を高めることによって増加させることができる。あるいは又は追加として、増加した流速は、溶融組成物が特徴凹部及び/又は微細特徴チャンバに進入するにつれて、溶融組成物の流速が増加するように、型凹部形状を設計することによって得ることができる。例えば、微小寸法を減少させるか、ないしは別の方法で、特徴凹部及び/又は微細特徴チャンバの断面を、既定通りに、本体凹部の断面と比較して制限することは、各特徴凹部及び/又は微細特徴チャンバに進入する溶融組成物の所望の高い流速を促進することができる。各特徴凹部又は少なくとも各微細特徴チャンバが、本体凹部よりも小さい容積を有し、好ましくは、その著しく小さい容積を有することが役立つこともあり得る。したがって、各微細特徴チャンバが完全に又は少なくとも実質的に所望量の溶融組成物で充填されるまで、溶融組成物に印加される高い圧力が維持され、及び/又は各微細特徴チャンバ内の溶融組成物が微細特徴を形成するように固化する。
【0040】
各特徴凹部又は少なくとも各微細特徴チャンバを充填する、溶融組成物のすべて、又は溶融組成物の少なくとも実質的な外側領域又は厚さは、第2の流速で移動する。幾つかの適用について、各特徴凹部を充填するか、又は少なくとも各微細特徴チャンバを充填する溶融組成物の容積で、約5%〜約20%の範囲で使用して形成される皮膚領域である場合、この外厚は実質的であり得る。第2の流速は、好ましくは、1つ又は複数個の微細特徴チャンバが、実質的又は完全に溶融組成物で充填されるまで維持される。流れ混転状態から流れ整列状態への遷移を保証するために、溶融組成物が、第1の流速から第2の流速への速度の急速な増加を経験することが望ましい場合があり、つまり、約3インチ/秒(76.2mm/s)以上が望ましい。
【0041】
方法実施形態3
上記の方法実施形態1の別バージョンにおいて、提供される型凹部は、本体凹部から伸長し、流体連通して接続される各特徴凹部を有する、本体凹部を更に備え、型凹部を充填する工程は、本体凹部を所望量の溶融組成物で充填する工程を含み、本体凹部を充填する溶融組成物のすべて又は少なくとも実質的な部分が、本体凹部を充填する溶融TLCP中のメソゲンの完全又は少なくとも実質的な流れ整列を引き起こす流速で移動するようにする。
【0042】
方法実施形態4
上記の方法実施形態3の1バージョンにおいて、方法は、本体凹部内のメソゲンの流れ整列が、完全に排除されるか、実質的に排除されるか、又は少なくとも著しく減少するように、溶融組成物を固化する工程を更に含む。本体凹部内のTLCPメソゲンの流れ整列は、本体凹部内の固化組成物が、精密特徴チャンバ内の固化組成物よりも可撓性が高い場合に著しく減少する。
【0043】
方法実施形態5
方法実施形態4の1バージョンにおいて、固化する工程は、本体凹部を充填する溶融組成物を固化する前に、各微細特徴チャンバを充填する溶融組成物を固化する工程を含み、本体凹部内の溶融組成物は、本体凹部内のメソゲンの流れ整列が、完全に排除されるか、実質的に排除されるか、又は少なくとも著しく減少するために十分な時間を有した後に固化される。幾つかの適用について、少なくとも約500ミリ秒は、本体凹部内のメソゲンの流れ整列が、印加される負荷なく、著しく減少するのに十分な時間である。
【0044】
方法実施形態6
方法実施形態3の別バージョンにおいて、方法は、本体凹部内のメソゲンの流れ整列が、完全又は少なくとも実質的に維持されるように、溶融組成物を固化する工程を含む。
【0045】
方法実施形態7
方法実施形態3の追加バージョンにおいて、固化する工程は、各特徴凹部及び本体凹部内のメソゲンの流れ整列が、完全又は少なくとも実質的に維持されるように、溶融TLCPを固化する工程を含む。このメソゲンの流れ整列は、各特徴凹部及び本体凹部内のTLCPを、厳密に同時に又は実質的に同時に固化することによって、そのように維持することができる。この種において、方法は、本体凹部内の固化TCLPのすべて又は少なくとも一部分を再溶解し、本体凹部内の再溶解したTCLPを再固化する工程を更に含む。このようにして、本体凹部内のメソゲンの流れ整列は、完全に排除されるか、実質的に排除されるか、又は著しく減少するか、又は少なくともいくらか減少する。
【0046】
方法実施形態8
方法実施形態2〜7のいずれか1つの1バージョンにおいて、本体凹部は、成形される物品の本体部分に対応する。
【0047】
方法実施形態9
方法実施形態2〜7のいずれか1つの別バージョンにおいて、本体凹部は、少なくとも1つの特徴凹部に溶融TLCPを供給するためのランナー又はスプルーとして機能し、本体凹部内で固化された溶融TCLPは、成形される物品の部分を形成しない。
【0048】
方法実施形態10
方法実施形態2の1バージョンにおいて、本体凹部を充填する溶融組成物の第1の流速は、約108ミリメートル/秒(mm/s)以下であり、好ましくは、約6.35mm/s〜約76.2mm/sの範囲である。
【0049】
方法実施形態11
方法実施形態3〜7のいずれか1つの1バージョンにおいて、本体凹部を充填する溶融組成物の流速は、少なくとも約76.2mm/sであり、好ましくは、約101.6mm/s〜約165mm/sの範囲である。
【0050】
方法実施形態12
方法実施形態1〜11のいずれか1つの1バージョンにおいて、少なくとも1つの微細特徴チャンバを充填する溶融組成物の流速は、少なくとも約51mm/sであり、好ましくは、約51mm/s〜約127mm/sの範囲である。
【0051】
方法実施形態13
方法実施形態1〜12のいずれか1つの1バージョンにおいて、TLCPは、芳香族脂肪族化合物、芳香族ポリエステル、ポリアゾメチン、ポリアミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0052】
方法実施形態14
方法実施形態1〜13のいずれか1つの1バージョンにおいて、型凹部は、複数個の特徴凹部を含み、各特徴凹部は、そこと流体連通するように接続された少なくとも1つの微細特徴チャンバを含む。
【0053】
方法実施形態15
方法実施形態1〜14のいずれか1つの1バージョンにおいて、各特徴凹部は、複数個の微細特徴チャンバを含む。
【0054】
方法実施形態16
方法実施形態1〜15のいずれか1つの1バージョンにおいて、少なくとも1つの微細特徴チャンバは、約90ナノメートル(nm)以上、又は好ましくは約100nm〜最大約20マイクロメートルを含む範囲の微小特徴寸法(例えば、厚さ)を有する。
【0055】
方法実施形態17
方法実施形態1〜16のいずれか1つの1バージョンにおいて、各微細特徴チャンバは、対応する特徴凹部の先頭部分を画定する。
【0056】
方法実施形態18
方法実施形態1〜16のいずれか1つの1バージョンにおいて、各微細特徴凹部は、その対応する少なくとも1つの微細特徴チャンバによって全体的に画定される。
【0057】
方法実施形態19
方法実施形態1〜16のいずれか1つの1バージョンにおいて、溶融組成物は、溶融組成物又は少なくとも溶融TLCPが固化するまで、完全に同一温度、少なくとも実質的に同一温度、又はほぼ同一温度で保持される。例えば、溶融組成物は、溶融組成物又は少なくとも溶融TLCPが固化されるまで使用されるTLCPの融点±50℃以内に保持されることが望ましい場合がある。
【0058】
方法実施形態20
方法実施形態1〜19のいずれか1つの1バージョンにおいて、溶融組成物は、約450°F(232℃)〜最高約800°F(427℃)を含む範囲内の温度である。
【0059】
方法実施形態21
方法実施形態1〜20のいずれか1つの1バージョンにおいて、少なくとも型凹部は、溶融組成物が固化するまで、完全に同一温度、少なくとも実質的に同一温度、又はほぼ同一温度で保持される。例えば、溶融組成物が固化するまで使用されるTLCPの融点の約50℃以内に保持されることが望ましい場合がある。好ましくは、型凹部は、TLCPの熱変形温度よりも低い温度で保持される(例えば、約40℃〜最大150℃を含む範囲の型凹部温度)。TLCPの「熱変形」温度は、特定の負荷下で、樹脂的に変形しない温度を指す。例えば、熱変形温度は、TLCPが印加される射出成型圧下で流れない温度であり得る。TLCPが他の印加される外力下で流れない温度でもあり得る。
【0060】
方法実施形態22
方法実施形態1〜20のいずれか1つの1バージョンにおいて、少なくとも各微細特徴チャンバは、少なくとも1つの微細特徴チャンバ内で溶融組成物を固化する間、完全に同一温度、少なくとも実質的に同一温度、又はほぼ同一温度で保持される。例えば、各微細特徴チャンバを、少なくとも1つの微細特徴チャンバ内で溶融組成物が固化する間に使用されるTLCPの融点の±30℃以内に保持することが望ましい場合がある。
【0061】
方法実施形態23
方法実施形態1〜22のいずれか1つの1バージョンにおいて、各充填する工程は、溶融組成物を型凹部に押し入れることによって行われる。換言すれば、型凹部は、溶融組成物を型凹部に押し入れることによって、所望量の溶融組成物で充填することができる。
【0062】
方法実施形態24
方法実施形態2の1バージョンにおいて、第1の流速と第2の流速との間の差異は、少なくとも約0.5インチ/秒(12.7mm/s)であり、好ましくは約1.0インチ/秒(25.4mm/s)〜約5.0インチ/s(127mm/s)の範囲である。
【0063】
方法実施形態25
方法実施形態1〜24のいずれか1つの1バージョンにおいて、組成物を溶解し、型凹部を溶融組成物で完全に、少なくとも実質的に、又はほぼ充填する間の時間は、約5.00分以下である。型凹部は、約4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、0.45、0.40、0.35、0.30、0.25、0.20、0.15、0.10、又は0.05分以下で充填されることが好ましい場合がある。
【0064】
方法実施形態26
方法実施形態1〜24のいずれか1つの1バージョンにおいて、組成物を溶解し、型凹部を溶融組成物で完全に、少なくとも実質的に、又はほぼ充填し、型凹部内の溶融組成物を固化するのにかかる時間は、合計約5.00分以下である。この時間は、約3秒〜最長約5分の範囲であることが好ましい場合がある。
【0065】
方法実施形態27
方法実施形態1〜26のいずれか1つの1バージョンにおいて、少なくとも1つの微細特徴チャンバ内で固化されたTLCPの分子メソゲンは、少なくとも1つの微細特徴チャンバを充填する移動溶融組成物の流れ方向に対して、0.4〜最大1.0の範囲の異方性因子によって分子的に整列している。少なくとも約0.5〜最大1.0未満の範囲の異方性因子によって、及び好ましくは約0.6〜1.0未満の範囲の異方性因子によって明らかとなるように、適用に応じて、各微細特徴チャンバ内のTLCP分子メソゲンの少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%が、分子的に整列しているという望ましい結果を得ることができる。
【0066】
方法実施形態28
方法実施形態1〜27のいずれか1つの1バージョンにおいて、各微細特徴チャンバ内の溶融組成物の固化は、微細特徴チャンバが、適用に応じて、溶融組成物で充填された後、約5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6又は0.5秒未満以内に起こる。約5秒以上経過した後、流れ整列メソゲンは、非常に弛緩しているため、整列したメソゲンを有するTLCPを使用することによって得ようとしている改善された物理特性を提供するために十分に整列していない。
【0067】
方法実施形態29
方法実施形態1〜28のいずれか1つの1バージョンにおいて、提供される型は、対向する主表面を有する複数個のプレートを備える。プレートは、各特徴凹部又は少なくとも各微細特徴チャンバを画定するように設計される。各プレートの主表面の少なくとも一方又は両方は、プレートの別の主表面と接触し、少なくとも微細特徴チャンバ、及び好ましくは少なくとも特徴凹部に捕獲されたガスを脱気することができるか、ないしは別の方法で、型凹部を充填する間に、プレート間を通すことによって型から外に逃がすようにする。そのような型は、例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許仮出願番号第61/168,268号に開示される。プレートは、本体凹部の少なくとも一部分を画定することが望ましい場合がある。本体凹部のすべてが、1つの型半体において、そのようなプレートによって画定されることが望ましい場合がある。そのようなプレートを使用して、1つの型半体、他の型半体、又は両方の型半体によって画定された全体型凹部を画定することが望ましい場合もある。
【0068】
方法実施形態30
方法実施形態29の1バージョンにおいて、各特徴凹部又は少なくとも各微細特徴チャンバは、複数個のプレート間のサブマイクロメートルの間隙によって脱気される。
【0069】
一般的に、物品を成形する場合、型凹部の脱気が必要である。型凹部を充填する間の脱気は、移動した空気が凹部を出るのを可能にし、したがって、型凹部をより均一に溶融組成物で充填することができる。一般的に、型は、一緒に噛合して型凹部を形成する2つの型半体を含む。そのような型半体の脱気は、多くの場合、主脱気孔及び二次脱気孔又は出口通路によって提供される。そのような主脱気孔及び二次脱気孔は、それぞれ約10μm及び約100μmディープチャネルによって提供することができる。主脱気孔及び二次脱気孔は、凹部から空気を遠ざけるように型の第1の型半体の主表面内に切削されている。主脱気孔は、空気の流出路を確保する一方、併せて空気と比較して大きな粘度の差の故に溶融高分子材料が進入することを妨げもする。二次脱気孔は、排気されている空気が型半体の分割線を通って自由に流れ出ることができることを確実にする。脱気はまた、結果として得られる成形品を型から取り出すために使用する突出ピンによっても達成できる。これら主脱気孔及び二次脱気孔が凹部の巨視的部分の空気の大まかな排気を確実にするのに役に立つ一方、それぞれの凹部の充填不足を軽減するのには役に立たず、その結果凹部の不完全な充填を招き、結果として得られる成形品は、対応する型凹部の特徴と密接に合致する特徴を有しない。
【0070】
様々な型凹部の1つ以上又はすべてを脱気することは、複数個のプレート間のサブマイクロメートルの間隙によって提供することができる。積層ラミネートでは、それぞれのプレートの第1の主表面及び第2の主表面は研磨されておらず、各主表面に僅かな粗さが残っている。積層ラミネートを形成するプレートは、全体領域、実質的に全体領域、又は各プレートの第1及び第2の主表面の選択領域に表面粗さを含み得る。そのような表面粗さは、30RMS(二乗平均平方)μインチ(0.762RMSμm)以下、20RMSμインチ(0.508RMSμm)以下、10RMSμインチ(0.254RMSμm)以下、又は更には4RMSμインチ(0.102RMSμm)以下であり得る。複数個のプレートが相互に密接に接触しているが、接触するプレート表面のサブマイクロメートルの粗さは、押される空気が、隣接するプレート間で脱気される適用可能な型凹部(例えば、本体凹部、特徴凹部、及び/又は微細特徴チャンバ)を残すようにすることができる。更に、ガス抜きはサブマイクロメートルの範囲であるので、溶融組成物は、排気された空気に対して格段に高いその粘度の故に、型凹部内に封じ込められる。サブマイクロメートルのガス抜きは積層ラミネート型内の完全な排気を可能とし、その結果10〜20°F低い成形温度、25〜30%低い射出圧力、より短いサイクル時間(20〜30秒速い)の熱可塑性射出成形が可能となり、型及び微細工具の双方の寿命が延びる。サブマイクロメートルのガス抜きは、得られる成形品において、より微細な特徴サイズ(例えば、より鋭い針先端のサイズ)を可能にすることもできる。例えば、本発明に従って作製されたマイクロニードルは、20、10、7、5、2、1、0.8、又は更に0.5μm以下の先端直径を有することができる。
【0071】
図5を参照して、積層ラミネート型半体80の実施例は、特徴凹部を画定する溝86によって形成された対向する主表面84を有する、複数個のプレート82を含む。プレートの露出末端88は一緒に、型半体80を含む型によって形成された本体凹部の面の少なくとも一部を画定する。緩い積層状態から始まるプレート82は、例えば、矢印91によって示される方向でウェッジブロック90を使用することによって、一緒になって固く積層され、隣接するプレート82の対向する主表面84間が接触するようにする。各プレート82の主表面84を通して加工された2つの穴92は、プレート82を整列して一緒に保持するのに役立つピン94で埋められ、ウェッジブロック90の使用を容易にする。プレート82は、例えば、鋼(例えば、バネ鋼、H13、S7、420ステンレス鋼、高炭素鋼等)のあらゆる適切な型材料から作製することができる。それらの露出末端面88を除いて、各プレート82の残りは、典型的には、型半体80内に隠される。この実施例では、プレート82は、型半体80の一部を形成するブロック96内に載置される。ブロック96は、熱伝導性金属(例えば、Moldmax(登録商標)Thermal Management Solutions(Southfield MI)のベリリウム銅Moldstar(登録商標))で作製されることが望ましく、それを使用して、型凹部の周囲の適切な温度制御を維持し、成形品を冷却するための良好な熱遷移を提供する。この実施例について、ブロック96の部分は、プレート82の積層ラミネートの側面及び経路を見易くするために除去され、続いてプレート82間から外に空気を抜く。脱気経路は、矢印98で示される。
【0072】
上記の例示の方法のそれぞれを使用して、多様な異なる成形品を形成することができる。更に、各特徴凹部に溶融組成物を充填することによって、中空の構造特徴(例えば、中空針)、中実の構造特徴(例えば、中実の針又はピン)、又は双方の組み合わせをもたらすことができる。中空針等の中空物品は、例えば、参照することによりその全体が本明細書に既に組み込まれている、米国特許仮出願番号第61/168,268号に開示されるような型を使用して作製することができる。
【0073】
成形品実施形態1
成形品の一実施形態において、本発明に従って、成形品は、本体と、少なくとも1つ又は複数個の3D構造特徴(例えば、立方体、リブ、隆起部、中実又は中空針、ピン、フィン、ギア、チャネル、ソケット、ボビン、ポンプ、チップ、キャリア、スイッチ等)を含むが、それらはそれぞれ本体と一体であり、本体から伸長するか、ないしは別の方法で突出する。各構造特徴は、少なくとも1つ又は複数個の微細特徴要素を含む。そのような微細特徴要素は、例えば、3D構造特徴の先頭の端部又は先端を含むことができる(例えば、針又はピンの先端、ギア歯、チャネルの開口部を画定する対向端部、中空針のボア、マイクロ流体チャネルと流体連通する中空マイクロニードルのボア等)。各微細特徴要素は、微小寸法を有し、本体又は少なくとも各構造特徴は、複数個の分子的に敏感なメソゲンを有する、少なくとも1つの融解処理可能であるか、又はサーモトロピック液晶ポリマー(TLCP)からなるか、本質的にTLCPからなるか、TLCPを含むか、又はTLCPから全体的に、実質的に(すなわち、少なくとも約50%及び好ましくは少なくとも約60%)又は少なくとも一部が形成される。微小寸法における分子メソゲンのすべて又は少なくとも実質的な部分は、流れ整列状態である(すなわち、メソゲン流れ混転に起因する整列と比較して、比較的異方性の整列を有する状態)。
【0074】
この成形品は、上記方法のいずれかを使用して形成することができる。この物品の本体は、上記方法のいずれかに従って、本体凹部を使用して形成することができる。この物品の少なくとも1つの構造特徴は、上記方法のいずれかに従って、少なくとも1つの特徴凹部を使用して形成することもできる。更に、この物品の少なくとも1つの微細特徴要素は、上記方法のいずれかに従って、少なくとも1つの微細特徴チャンバを使用して形成することができる。
【0075】
成形品実施形態2
成形品実施形態1の1バージョンにおいて、各構造特徴の50%超が少なくとも1つのTLCPである。
【0076】
成形品実施形態3
成形品実施形態1又は2の1バージョンにおいて、各微細特徴要素の微小寸法におけるTLCPメソゲンの少なくとも約30%は、流れ整列されている。各微細特徴要素の微小寸法におけるTLCPメソゲンの少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%が流れ整列されている場合、成形された物品に応じて、各微細特徴要素は、流れ整列されたそのTLCPメソゲンの実質的な部分を有すると考えられる。そのような微小寸法は、例えば、壁の厚さ、針先端の寸法、マイクロニードルの先端、中空針又はマイクロニードルのボア又は穴、マイクロ流体チャネルのチャネル等を含むことができる。幾つかの適用について(例えば、マイクロニードルの先端)、流れ混転される各微小特徴要素の微小寸法におけるTLCPメソゲンの最大約25%を含むことが望ましい場合がある(すなわち、等方性である微小寸法の最大約25%)。
【0077】
成形品実施形態4
成形品実施形態1〜3のいずれか1つの1バージョンにおいて、少なくとも約0.3〜最大1.0未満の平均異方性因子、及び好ましくは約0.4〜1.0未満の範囲の異方性因子によって明らかとなるように、各微細特徴要素のTLCPメソゲンは、平均流れ整列を呈する。
【0078】
成形品実施形態5
成形品実施形態1〜4のいずれか1つの1バージョンにおいて、各微細特徴因子の微小寸法における流れ整列TLCPメソゲンは、少なくとも約0.5〜最大1.0未満の範囲の平均異方性因子、及び好ましくは約0.6又は0.7〜1.0未満の範囲の異方性因子によって明らかとなるように、平均分子整列を呈する。
【0079】
成形品実施形態6
成形品実施形態1〜5のいずれか1つの1バージョンにおいて、少なくとも1つの構造特徴におけるTLCPメソゲンのすべて又は少なくとも実質的な部分が、流れ整列状態である。つまり、これらのTLCPメソゲンは、流れ混転によって生じた等方性整列と比較して、比較的異方性の整列を有する。
【0080】
成形品実施形態7
成形品実施形態1〜6のいずれか1つの1バージョンにおいて、各構造特徴におけるTLCPメソゲンの少なくとも約10%が流れ整列されており、特に少なくとも1つの微細特徴要素における流れ整列分子メソゲンと比較した場合、各構造特徴におけるTLCPメソゲンの芯又はそうでなければ残りは、比較的等方性の整列を有する。各微細特徴におけるTLCP分子メソゲンの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%が流れ整列されている場合、成形された物品に応じて、各微細特徴は、流れ整列されたそのTLCPメソゲンの実質的な部分を有すると考えられる。
【0081】
成形品実施形態8
成形品実施形態1〜7のいずれか1つの1バージョンにおいて、各構造特徴におけるTLCPメソゲンは、少なくとも約0.2〜最大1.0未満の範囲の平均異方性因子、及び好ましくは約0.3又は0.4〜1.0未満の範囲の異方性因子によって明らかとなるように、平均流れ整列を呈する。
【0082】
成形品実施形態9
成形品実施形態1〜8のいずれか1つの1バージョンにおいて、各構造特徴における流れ整列TLCPメソゲンは、少なくとも約0.5〜最大1.0未満の範囲の平均異方性因子、及び好ましくは約0.6又は0.7〜1.0未満の範囲の異方性因子によって明らかとなるように、平均分子整列を呈する。
【0083】
成形品実施形態10
成形品実施形態7の1バージョンにおいて、特に少なくとも1つの微細特徴要素において流れ整列分子メソゲンと比較した場合、0.2未満の平均異方性因子によって明らかとなるように、各構造特徴におけるTLCPメソゲンの残りは、ランダム分子整列を呈する。
【0084】
成形品実施形態11
成形品実施形態7の1バージョンにおいて、各構造特徴におけるTLCPの残りは、完全又は少なくとも実質的に流れ混転した状態である。本明細書で使用する時、各構造特徴におけるTLCP分子メソゲンの残りは、それらが0.2未満の異方性因子を呈する場合、実質的に流れ混転状態であると考えられる。
【0085】
成形品実施形態12
成形品実施形態7の別バージョンにおいて、各構造特徴におけるTLCPメソゲンのほぼすべて又は残りは、特に少なくとも1つの微細特徴要素における流れ整列分子メソゲンと比較して、比較的等方性の整列を有する(例えば、流れ混転状態を有する)。
【0086】
成形品実施形態13
成形品実施形態1〜12のいずれか1つの1バージョンにおいて、本体におけるTLCPメソゲンのほぼすべて、実質的な部分、又は少なくとも一部分が流れ整列状態である。つまり、本体におけるこれらのTLCPメソゲンは、流れ混転によって生じる等方性配向状態と比較して、比較的異方性の整列を有する。
【0087】
成形品実施形態14
成形品実施形態1〜13のいずれか1つの1バージョンにおいて、本体におけるTLCPメソゲンの少なくとも約10%が流れ整列であり、特に少なくとも1つの微細特徴要素における流れ整列分子メソゲンと比較した場合に、TLCPメソゲンの芯又はそうでなければ残りは、比較的等方性の配向状態を有する。本体におけるTLCPメソゲンの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%が流れ整列である場合、成形された物品に応じて、本体は、流れ整列されたそのTLCPメソゲンの実質的な部分を有すると考えられる。多くの適用について、本体において10%未満の流れ整列TLCPメソゲンを得ることは困難であり得る。
【0088】
成形品実施形態15
成形品実施形態1〜14のいずれか1つの1バージョンにおいて、ゼロ〜1未満の範囲の平均異方性因子、及び好ましくは約0.1〜1.0未満の範囲の異方性因子によって明らかとなるように、本体におけるTLCPメソゲンは、平均流れ整列を呈する。
【0089】
成形品実施形態16
成形品実施形態1〜15のいずれか1つの1バージョンにおいて、本体における流れ整列TLCPメソゲンは、少なくとも約0.1〜最大1.0未満の範囲の平均異方性因子によって明らかとなるように、平均分子整列を呈する。
【0090】
成形品実施形態17
成形品実施形態14の1バージョンにおいて、本体におけるTLCPメソゲンの残りは、特に少なくとも1つの微細特徴要素における流れ整列TLCPメソゲンと比較した場合、0.2未満の平均異方性因子によって明らかとなるように、ダム分子整列を呈する。
【0091】
成形品実施形態18
成形品実施形態14の別バージョンにおいて、本体におけるTLCPメソゲンの残りは、流れ混転状態である。
【0092】
成形品実施形態19
成形品実施形態1〜12のいずれか1つの1バージョンにおいて、本体におけるTLCPメソゲンのほぼすべては、特に少なくとも1つの微細特徴要素における流れ整列TLCPメソゲンと比較した場合、比較的等方性の配向状態を有する(例えば、流れ混転状態を有する)。
【0093】
成形品実施形態20
成形品実施形態1〜19のいずれか1つの1バージョンにおいて、本体は、成形品の部分を形成しない。例えば、本体は、再利用することができるか、ないしは別の方法で使い捨てされる。
【0094】
成形品実施形態21
成形品実施形態20の成形品において、本体は、使い捨てスプルー又はランナーを形成する。
【0095】
成形品実施形態22
成形品実施形態1〜21のいずれか1つの1バージョンにおいて、少なくとも1つの微細特徴要素の微小寸法(例えば、厚さ)は、約500マイクロメートル(μm)以下である。幾つかの成形品について、微小寸法は、約400マイクロメートル、300マイクロメートル、200マイクロメートル又は更には100マイクロメートルであることが好ましい場合がある。少なくとも1つの微細特徴因子の微小寸法は、少なくとも90ナノメートル(nm)であるか、又は約90nm〜最大約20マイクロメートルを含む範囲内であることが好ましい場合もある。
【0096】
成形品実施形態23
成形品実施形態22の1バージョンにおいて、少なくとも1つの微細特徴要素は、約0.50mm(500マイクロメートル)以下の厚さを有する壁を含む。
【0097】
成形品実施形態24
成形品実施形態23の1バージョンにおいて、少なくとも1つの微細特徴要素の壁厚は、約0.20mm(200マイクロメートル)以下である。
【0098】
成形品実施形態25
成形品実施形態1〜24のいずれか1つの1バージョンにおいて、少なくとも1つの微細特徴要素は、複数個の微細特徴要素であり、それぞれ10:1以上のアスペクト比を有する。
【0099】
成形品実施形態26
成形品実施形態1〜25のいずれか1つの1バージョンにおいて、少なくとも1つの微細特徴要素は、800nm以下の端部厚さを有する端部を含む。
【0100】
成形品実施形態27
成形品実施形態1〜24のいずれか1つの1バージョンにおいて、少なくとも1つの微細特徴要素は、複数個の微細特徴要素であり、各微細特徴要素は、800nm以下の先端半径を含む。
【0101】
成形品実施形態28
成形品実施形態1〜21の1バージョンにおいて、少なくとも1つの微細特徴要素の微小寸法(例えば、厚さ)は、約90ナノメートル(nm)〜最大約20マイクロメートルを含む範囲内である。
【0102】
成形品実施形態29
成形品実施形態1〜28のいずれか1つの1バージョンにおいて、少なくとも1つの微細特徴要素は、対応する構造特徴の先頭部分を画定する。例えば、微細特徴要素は、3D構造特徴の先頭端部又は先端であり得る(例えば、針又はピンポイント、ギア歯、チャネルの開口部を画定する対向端部、中空針又はマイクロニードルのボア又は穴等)。
【0103】
成形品実施形態30
成形品実施形態1〜29のいずれか1つの1バージョンにおいて、各構造特徴は、少なくとも1つの微細特徴要素によって全体的に画定される。
【0104】
成形品実施形態31
成形品実施形態1〜30のいずれか1つの1バージョンにおいて、サーモトロピック液晶ポリマー(TLCP)は、充填剤又は添加剤材料(例えば、粒子又はガラス繊維、グラファイト、炭素、鉱物等)で完全に又は実質的に充填されない。
【0105】
成形品実施形態32
成形品実施形態1〜30のいずれか1つの1バージョンにおいて、サーモトロピック液晶ポリマー(TLCP)は、充填剤又は添加剤材料(例えば、粒子又はガラス繊維、グラファイト、炭素、鉱物等)で実質的に又は少なくとも部分的に充填される。
【0106】
図2A〜2Cを参照して、コールドランナーダイ又は型は、第1又は積層ラミネート型半体34及び第2の型半体(図示せず)を含み、第1の型半体34を通して形成されたスプルーブッシング通路36を含む、型凹部を一緒に画定する。スプルーブッシング36は、そこを通して溶融組成物が受容されるスプルー(図示せず)を受容する。スプルー(図示せず)からの溶融組成物は、対応するコールドランナー通路38を通して、対応する端部ゲート開口部31を介して、4つの物品凹部37へと指向される。ゲート31は、対応する物品凹部37に注入された溶融組成物の流れ場を決定する。型凹部は、各物品凹部37の下流側に二次端部ゲート33及びランナー通路39を含み、巨視的な脱気及び均衡した部分放出を保証する。図2Bにおいて例示される物品凹部37のそれぞれは、本体凹部42と流体連通する複数個の特徴凹部40(例えば、中実又は中空マイクロニードルを形成するための)を含む。本体凹部42は、隣接するプレート46の対向する主表面48間に接触を形成するように、一緒に堅く積層された複数個のプレート46の露出末端面44によって少なくとも部分的に画定された主表面を含む。プレート46は一緒に、例えば、把持、結合、又はウェッジ遮断(例えば、図5を参照)を含む、物理的又は化学的手段を介して密接に接触して、一緒に堅く保持される積層ラミネート又はラミネート型を形成する。特徴凹部40は、プレート46の露出面44及び主表面48において形成された対応する角錘形ノッチ(想像線で示される)によって画定される。プレート46は、例えば、鋼(例えば、A2、M2、バネ鋼、H13、S7、420ステンレス鋼、高炭素鋼等)等のあらゆる適切な型材料から作製することができる。それらの露出面44を除いて、各プレート46の残りは、想像線でプレート46のいくつかについて示されるように、型半体34内に隠される。型半体34は、熱伝導性金属(例えば、Moldmax(登録商標)Thermal Management Solutions(Southfield MI))のベリリウム銅Moldstar(登録商標))で作製されたブロック又はフレーム50によって部分的に形成することができ、これを使用して、成形品の冷却のための良好な熱遷移を提供する。
【0107】
図3Aを参照して、本発明の積層ラミネート100の別の実施形態は、一緒に接触されるプレート110a、110b、110c、...及び110e(総称して複数個のプレート110)を含む。各プレートは、第1の主表面及び第2の主表面を備えている。各プレートの第1の主表面及び第2の主表面は一般的に平面的であるものの、このことは、これらが実質的に相互に適合している限り必要条件ではない。プレート110aは、第1の主表面120a及び第2の主表面130aを備えている。複数のプレート110は、プレート110aの第2の主表面130aがプレート110bの第1の主表面120bに隣接するように、相互に隣接して積層されている。複数のプレート110は第1の型表面140を備えており、第1の型表面140は各プレートの第1の主表面と第2の主表面とを接続している。一実施形態において、複数のプレート内の各プレートの第1の主表面及び第2の主表面は、図3Aに示すように相互に並行である。別の実施形態では、複数のプレート内のプレートの第1の主表面及び第2の主表面は相互に並行ではなく、その代わりに水平方向、垂直方向のどちらか、又はその両方の方向にテーパー形状をしている。この場合、隣接するプレートは、あるプレートの第2の主表面と隣接するプレートの第1の主表面との間の実質的な適合を維持するように、反対方向にテーパー形状をしている。図3Aに示すように、複数のプレート110の各々の第1の型表面140は、個々の型表面の各々からなる連続した切れ目のない表面を呈するように、慎重に形成されることが望ましい。
【0108】
積層ラミネート型内の凹部の代表的な形成は以下のとおりである。複数のプレート110は、複数の凹部150aを備えている。各凹部150aは、頂点153で接する第1の平面的な凹部表面151及び第2の平面的な凹部表面152を含むV字形溝部を備えている。図3Aに示すように、凹部150aは、少なくとも第1の型表面140に対して開口している。第1の平面的な凹部151及び第2の平面的な凹部152は、対応する各プレートの第1の主表面(例えば120a)及び対応する各プレートの第1の型表面(例えば140)と交差する。結果として得られる凹部形状は、隣接するプレートの第1の主表面と第2の主表面との間の密着によって画定される。例えば、図3Bでは、積層ラミネート160は、プレート111eの第1の主表面121上の凹部150b及びプレート111dの第2の主表面131上の凹部155bによって画定された正四角錘形状の凹部を備えている。図3Cでは、プレート172の積層ラミネート170は、角錘形状マイクロニードル特徴凹部174を含む。各特徴凹部174は、各プレート172の1つの主表面において形成された2つの長い側壁176及び各プレート172の対向する主表面において形成された2つの短い側壁178を有する。
【0109】
凹部の表面は、図3A及び3Bに示すような平面的又は曲線状であることができる。凹部は、例えば、角錐、半角錐、段付き角錐、角柱、円錐、半円錐、段付き円錐、錐台、レギュラーベベル、ショートベベル若しくはトゥルー(true)ショートベベルの皮下注射針形状、三裂形状、オベリスク、面取り円柱、又はこれらの組み合わせを含む任意の形状を有することができる。凹部の形状及び表面には特に制限はないが、凹部を設計する際には以下を考慮することができる。第1に、凹部の形状は、凹部の機械加工のし易さによって制限される場合がある。第2に、凹部は、結果として得られる成形品の取り出しを容易にするように設計されてもよい。例えば、結果として得られる成形品の型からの適切な取り出しを確実にするために、少なくとも0.5度よりも大きな適切な抜き勾配を凹部の形状設計に織り込んでもよい。このことは、設計がほぼ垂直な壁部を有する凹部を含む場合に特に重要である。第3に、凹部は、その意図された機能又は目的に対して有効である、結果として得られる成形品を提供するように設計してもよい。例えば、中実又は中空マイクロニードルアレイは、対象の皮膚を貫通するように十分丈夫でなければならない。マイクロニードルアレイに使用される高分子材料の強度が、凹部の勾配を必然的に決定する場合がある。例えば、勾配が大きいほど中空マイクロニードルの強度が高くなるであろう。しかし、この勾配の増加が患者(又は対象)の皮膚に、より大きな外傷をもたらすことがある。したがって、マイクロニードルの先端が角質層の表面を破壊するために必要な力が極微となる鋭利な先端及び小さな表面積を有する中実又は中空マイクロニードルを提供することが重要である場合がある。少なくともマイクロニードルの先端において、比較的異方性の物理特性(例えば、剛性)を生じるように、そのような物品を、TLCPを含む組成物で成形し、TLCPメソゲンを実質的に流れ整列させることによって、勾配の低いマイクロニードル凹部を使用して、より高く細いマイクロニードルを形成することができる。
【0110】
マイクロニードル凹部の寸法は、図3Aを参照して以下のように定義される。凹部の長さ170は、第1の主表面120aに沿って頂点153から第1の型表面140までの距離として定義される。凹部基底部の幅172は、第1の型表面140及び対応するプレートの主表面(例えば、120a)に沿った凹部の距離として定義される。凹部基底部の奥行174は、第1の型表面140に沿った、それぞれのプレートの主表面に垂直な凹部の距離として定義される。図3Bのように、実施形態によっては、凹部基底部の奥行は隣接したプレート上の凹部基底部の奥行の和である。
【0111】
型凹部が包囲されている場合、第1の型半体34を対応する第2の型半体(図示せず)と噛み合わせることによって、特徴凹部40が中実角錘形状マイクロニードルを形成し、本体凹部42が、そこからマイクロニードルが伸長する支持体基部を形成するように、物品凹部37に溶融組成物を充填することができる。この支持体基部は、均一の厚い壁構造を有して比較的剛性であることができるか(例えば、図6Aを参照)、均一の薄い壁構造を有して比較的可撓性であることができるか(例えば、図7Aを参照)、又は本体凹部42を包囲する第2の型半体の噛合表面の構成に応じて、支持体基部は、可変の厚さを有する壁構造であることができる(例えば、図8Aを参照)。そのような可変厚の壁構造は、支持体基部の1つの軸に沿って比較的可撓性であり、支持体基部の1つの軸に対する勾配(例えば、直交)で、別の軸に沿って比較的剛性であるように作製することができる。
【0112】
以下の実施例は、単に本発明の特徴、利点、及び他の細部を更に説明するために選択したものである。しかしながら、実施例はこの目的の働きをしているが、各実施例の詳細は、本発明の範囲を過度に限定するように解釈されるべきではないことを明確に理解すべきである。
【実施例】
【0113】
均一の剛性壁支持体基部を有する中実マイクロニードル
型半体A1
均一の剛性壁支持体基部から外に伸長する中実マイクロニードルを作製するためのホットランナー型の一実施形態は(例えば、図6A及び6Bに示される)、約0.25RMSμmの表面粗さを有する各プレート44の主表面46を有する、ショックスチールシムストックで形成された14のスチール鋼44を使用して作製された第1の又は積層ラミネート型半体(型半体A1)を含む。各プレートは、長さ13.80mm、幅10.70mm、及び厚さ0.50mmであった。各プレートの主表面を通して、2つの穴を機械加工し、ウェッジブロックラミネートホルダー(図5に示されるもの等)を使用してプレートが一緒にピン留めされるようにし、整列させて13×27アレイの間隙を空けた四角錘形状特徴凹部(すなわち、合計351の角錘形状凹部)を形成した。
【0114】
図6A及び6Bの成形品を形成するために、使用される積層ラミネート型半体は、主軸の長さ22.90mm、副軸の長さ11.00mm、及び厚さ寸法0.76mmの楕円形本体凹部を含んだ。図3Bに示されるもの等の積層ラミネートのプレートによって形成される個別の特徴凹部は、4つの側壁を有し、凹部長さ700μm及び凹部側壁幅200μmの四角錘形状マイクロニードル凹部であった。これらの特徴凹部寸法は、3.5:1の凹部アスペクト比を提供する。マイクロニードル特徴凹部は、規則正しいアレイ状に、隣接した凹部の頂点間に508μmの距離の間隔を開けていた。各マイクロニードル特徴凹部の頂点は、10μm以下の寸法を有した。そのような特徴凹部において形成されたマイクロニードルは、本発明に従って、半径約10μm以下の先端を有することができる。
【0115】
型半体B1
図6A及び6Bの成形品を作製する際に、Incoe Corporation(Troy MI)のホットランナーマニホールドバルブゲートシステム(型半体B1)を使用して、型凹部に溶融組成物を計量した。ホットランナーシステムは、各物品凹部に所望量の溶融組成物を充填するために、起動バルブピンを有するバルブゲートノズルを含む。ホットランナーシステムにおける各バルブピンは、直径508μmと測定され、150psi(1034.2kPa)の圧縮空気を使用して空気圧で駆動されて、溶融組成物の急速注入を保証する。各バルブピンは、本体凹部及び接続されたマイクロニードル特徴凹部のすべての部分に対して、溶融組成物を左右対称に送達するように、中心に位置し、対応する楕円形状の本体凹部の主表面に垂直である。Moldmax(登録商標)Thermal Management Solutions(Southfield MI)のベリリウム銅Moldstar(登録商標)のブロックを使用して、ホットランナーバルブゲート周囲の適切な温度制御を維持した。図2Aは、代表的なブロック形状、配置、及び寸法を示す。
【0116】
方法1(型半体A1及びB1を使用する)
上記のホットランナー型を用いて成形するために使用される方法では、型半体A1及び型半体B1を、100トン(90,718kg)射出成型マシン(Krauss−Maffei KM100−180CX、Krauss−Maffei Technologies GmbH(Munchen,Germany)の型基部にインストールした。当該技術分野において一般的であるように、成形アセンブリの分割線は、溶融組成物の射出中の一般空気排出のための主脱気孔及び二次脱気孔の両方を有していた。積層ラミネート型のプレート間のサブマイクロメートル脱気は(例えば、図5について記載されるような)、追加の脱気を提供し、成形品のミクロ構造特徴において、型凹部微細特徴の高忠実度複製を可能にした。Ticona Engineering Polymers(Florence KY))のUnfilled Vectra MT1300 TLCPペレットをホッパーに装着し、続いて15mm往復ネジ押出成形機に供給して、融解状態で540°F(282℃)の適切な処理温度を達成した。型半体A1及び型半体B1を、TLCPの軟化点よりも低い、180°F(82℃)の温度に加熱した。成形サイクルは、型半体A1を型半体B1で閉じることによって開始された。型を30トン(266.9キロニュートン)の力で相互に締付けて、締付け成形チャンバを形成した。往復ネジからの溶融組成物の総量の第1の部分(物品成形凹部又は部分サイズ溶液の約90〜95%)を締付け型チャンバに注入した。溶融組成物の第1の部分を一定速度(以下「射出速度」と呼ぶ)で締付け成形チャンバ内に射出した。溶融組成物の第1の部分を射出した後、物品凹部の残りを充填するように、一定圧力(以下「充填圧力」と呼ぶ)を印加して溶融組成物の残りを型凹部内に押し入れることによって、プロセスを射出速度駆動プロセスから圧力駆動プロセスに切り替えた。充填圧力を一定時間(以下「保持時間」と呼ぶ)印加した。その後充填圧力を解除し、成形チャンバを、TLCPの軟化温度よりも低い適切な押出し温度(以下「押出し時の型温度」と呼ぶ)まで冷却した。各実施例に使用した射出速度、充填圧力、保持時間、射出処理温度、及び押出し温度の詳細を表1に示す。
【0117】
成形品実施例1〜10
表1に掲載した射出速度、充填圧力、保持時間、射出処理温度、及び射出時の型温度を用いて方法1を使用した。各実施例について、結果として得られる平均バルク異方性因子、マイクロニードル異方性因子、平均マイクロニードル高さ、充填ニードルのパーセント、及び平均先端半径も表1に示される。「平均バルク異方性」因子は、成形品の厚さにわたる皮膚と芯層との間の平均程度の配向である。マイクロニードル異方性因子は、成形されたマイクロニードルの中間部分にわたる平均程度の配向である。充填されたニードルのパーセントは、使用可能なマイクロニードル凹部の総数のパーセンテージとして作製されたマイクロニードルの総数を画定する。成形された中実マイクロニードルの寸法は、立体顕微鏡及び走査電子顕微鏡(SEM)を介して測定された。低温凍結したミクロトーム試料を、SEMを使用して分析し、平均バルク異方性因子及びマイクロニードル異方性因子を特徴化した。マイクロニードルの高さ及び先端半径を、微細特徴凹部形状と実施例1〜10から得られた成形品との間で比較した。この比較の結果は、97%の平均充填間再現性を示した。この値は、凹部の3%が、試験された条件の範囲を超えて、TLCP内で完全に複製されなかったことを示唆する。測定値は、9つの測定値(個別のアレイから3つずつ)の平均として取り、凹部基部直径と比較して中実マイクロニードル基部直径を評価し、凹部長さと比較してマイクロニードルの高さを評価し、微細特徴凹部先端半径と比較してマイクロニードル先端半径を評価した。
【0118】
【表1】

【0119】
実施例1〜10は、射出成型中実マイクロニードルアレイに対するTLCP組成物及び積層ラミネート工具の使用を示す。本体凹部及び/又はマイクロニードル特徴凹部に流れ込む間、TLCPメソゲンの剪断力誘発配向(すなわち、流れ整列)を急速に促進する能力は、成形品本体のバルク厚さにわたる高程度の配向及びマイクロニードル特徴のそれぞれにおける更に高い異方性さえも可能にする。充填圧力及び保持時間が高いほど、バルク異方性因子の平均値が高くなるが、メソゲンの配向(すなわち、整列)に対する最大の影響は、射出流速の増加に起因した。マイクロニードル特徴凹部内の流速が速いほど、TLCP中のメソゲンの流れ混転の開始を遅延させることができ、したがって、流れ整列状態を促進する。このメソゲンの流れ整列状態は、後次に、最終成形品におけるマイクロニードルのより強力な単向正機械的特性に変換された。
【0120】
実施例1〜10の複合データは、成形アレイにおける中実マイクロニードルが、平均高さ691μm(+/−5μm)及び平均先端半径4.6μm(+/−1μm)を有したことを示す。
【0121】
特徴凹部の形状と、実施例1〜10から得られる成形品の形状とを比較すると、約97%の平均充填間再現性を示す。この値は、試験された条件の範囲を超えて、凹部の3%がTLCP組成物中で完全に再現されなかったことを示唆する。平均9個の測定値を取り(すなわち、3つの個別のアレイそれぞれから3つの成形マイクロニードル)、評価して、中実マイクロニードル基部の直径と凹部基部の直径とを比較し、マイクロニードル高さと凹部長さとを比較し、マイクロニードル先端の半径と微細特徴凹部先端の半径とを比較した。
【0122】
図6A及び6Bを参照して、実施例4の中実マイクロニードル物品又はアレイ52を、方法1に従って成形し、光学顕微鏡下で見た(Olympus SZX12、Olympus America Inc.(Center Valley,PA))。中実マイクロニードルアレイ52は、楕円形の支持体基部又は本体54、及び複数個の中実マイクロニードル56を備える。本体54は、比較的厚く剛性であり、断面厚さの測定値は762μmである(例えば、断面厚さ100μmを有する図7A〜7Cの本体62と比較)。各マイクロニードル56は、微細先端特徴58を有する。図6Bに示されるように、2つの中実マイクロニードル56の先端58は、約5μmの半径を有する。約800nmもの低いマイクロニードル先端58の寸法が観察された。
【0123】
均一の薄壁支持体基部を有する中実マイクロニードル
型半体A2
均一の薄壁支持体基部から外に伸長する中実マイクロニードルを作製するための型の一実施形態は(例えば、図7A〜7Cに示されるように)、約0.30RMSμmの表面粗さを有する各プレートの主表面とともに、A2スチールシムストックで作製された20個のスチールプレートを使用して作製された第1の又は積層ラミネート型半体(「型半体A2」)を含む。各プレートは、長さ10.00mm、幅10.00mm、及び厚さ0.50mmであった。各プレートの主表面を通して、2つの穴を機械加工し、ウェッジブロックラミネートホルダー(図5に示されるもの等)を使用してプレートが一緒にピン留めされるようにし、整列させて14×14アレイの間隙を空けた四角錘形状特徴凹部(すなわち、合計196の角錘形状凹部)を形成した。
【0124】
図7A〜7Cの成形品を形成するために、使用される積層ラミネート型半体は、各側壁に対して長さ10.00mmの正方形の本体凹部を含んだ。本体凹部の面上に可動の壁を挿入することで、0.25mm(最厚)〜0.10mm(最薄)の支持体基部について幾つかの厚さ寸法を画定した。積層ラミネート型半体上の個別の特徴凹部は、それぞれ350μmの2つの長い側壁と、それぞれ140μmの2つの短い側壁を有する角錘形状マイクロニードルの特徴凹部であり(図3Cを参照)、4つの側壁はすべて500μmの最終凹部長さに変換される。マイクロニードル特徴凹部は、規則正しいアレイ状に、隣接した凹部の頂点間に508μmの距離の間隔を開けていた。マイクロニードル特徴凹部の頂点は、5μm以下の直径を有していた。そのような特徴凹部において形成されたマイクロニードルは、本発明に従って、半径約5μm以下の先端を有することができる。
【0125】
型半体B2
図7A〜7Cの成形品を作製する際に、コールドランナープレート(「型半体B2」)を使用して、溶融組成物を型凹部に導いた。コールドランナープレートは、対応するコールドランナー通路を通して、対応する端部ゲート開口部を介して、溶融組成物を複数個の物品凹部に指向するためのスプルー通路を含んでいた。Moldmax(登録商標)Thermal Management Solutions(Southfield MI)のベリリウム銅Moldstar(登録商標)のブロックを使用して、コールドランナープレートの周囲の適切な温度制御を維持し、成形品を冷却するための良好な熱遷移を提供する。代表的なブロック形状、配置、及び寸法は、図2Aに示される。
【0126】
方法2(型半体A2及びB2を使用する)
方法1を使用し、型半体A2及び型半体B2を用いて成形した。成形パラメータとして、304.8mm/秒の射出速度、137.8MPaの充填圧力、3秒の保持時間、540°F(282℃)の射出処理温度、及び85℃の押出し時の型温度を使用した。
【0127】
図7A〜7Cを参照して、実施例11の中実マイクロニードル物品又はアレイ60を方法2に従って成形するが、それらは均一な薄壁支持体基部又は本体62、及び14×14アレイの中実マイクロニードル64を備える。本体62は、約100μmの厚さを有する。本体62は非常に薄いことから、本体62を形成する本体凹部を流れるメソゲンの大部分が、本体62の内側で流れ整列状態で終わる。図7B及び7Cにおける曲線矢印は、本体62がその内部に高濃度の流れ整列メソゲンを有するとしても、比較的薄い本体62をどのように屈曲又は曲げることができるかを示す。この実施例は、流れ整列メソゲンが、硬化するか、ないしは別の方法でTLCPを異方性様式で動作させることができるとしても、成形品(例えば、本体62)の異方性因子を、特定の因子に対して望ましくない場合がある異方性特徴を排除するか、又は少なくとも減少させるように設計できることを示す。この方法で、本体62は、依然として可撓性であることができる。中実マイクロニードル64は、約495μmの平均高さ及び約3μmの平均先端半径を有した。
【0128】
可変壁厚支持体基部を有する中実マイクロニードル
型半体A3
可変壁厚を有する支持体基部から外に伸長する中実マイクロニードルを作製するための型の一実施形態は(例えば、図8A〜8Cに示されるように)、約0.20RMSμmの表面粗さを有する各プレートの主表面とともに、P20ステンレス鋼で作製された32個のスチールプレートを含む積層ラミネートを使用して作製された第1又は積層ラミネート型半体(「型半体A3」)を含む。各プレートの寸法は、長さ25.40mm、幅15.00mm、及び厚さ1.00mmであった。各プレートの主表面を通して、2つの穴を機械加工し、ウェッジブロックラミネートホルダー(図5に示されるもの等)を使用してプレートが一緒にピン留めされるようにし、整列させて13×25アレイの間隙を空けた四角錘形状特徴凹部(すなわち、合計325個の角錘形状凹部)を形成した。
【0129】
図8A〜8Cの成形品を形成するために、使用される積層ラミネート型半体は、長い壁寸法25.40mm及び短い壁寸法12.70の矩形形状の本体凹部を含んだ。本体凹部の面上に可動の壁を挿入することで、0.50mm(最厚)〜0.05mm(最薄)の支持体基部について幾つかの厚さ寸法を画定した。積層ラミネート型半体上の個別の特徴凹部は、それぞれ350μmの3つの側壁を有する角柱形状マイクロニードルの特徴凹部であり、3つの側壁はすべて900μmの最終凹部長さに変換される(図3Aを参照)。マイクロニードル特徴凹部は、規則正しいアレイ状に、隣接した凹部の頂点間に254μmの距離の間隔を開けていた。各マイクロニードル特徴の頂点は、1μm以下の直径を有していた。本発明に従って、そのような特徴凹部において形成されたマイクロニードルは、直径約1μm以下の先端を有することができる。
【0130】
型半体B3
図8A〜8Cの成形品を作製する際に、コールドランナープレート(「型半体B3」)を使用して、溶融組成物を型凹部に導いた。コールドランナープレートは、溶融組成物を、対応する矩形本体凹部の短い寸法を通して、複数個の物品凹部に溶融組成物を供給するファンゲートに直接指向するためのホットチップスプルーブッシングを含んでいた。Moldmax(登録商標)Thermal Management Solutions(Southfield MI)のベリリウム銅Moldstar(登録商標)のブロックを使用して、コールドランナープレートの周囲の適切な温度制御を維持し、成形品を冷却するための良好な熱遷移を提供する。図2Aは、代表的なブロック形状、配置及び寸法を示す。
【0131】
方法3(型半体A3及びB3を使用する)
方法1を使用し、型半体A3及び型半体B3を用いて成形した。成形パラメータとして、177.8mm/秒の射出速度、103.4MPaの充填圧力、2秒間の保持時間、550°F(288℃)の射出処理温度、及び80℃の押出し時の型温度を使用した。
【0132】
図8A〜8Cを参照して、実施例12の中実マイクロニードル物品又はアレイ70は、方法2を使用して成形された。アレイ70は、可変厚の壁支持体基部又は本体72、及び13×25アレイの中実マイクロニードル74を備える。本体72は、より厚い領域又は隆線76と、より薄い領域又は溝78をその長さに沿って交互に有する。隆線76及び溝78は、物品70の横方向に幅全体に及ぶ。本体72は、最も厚い領域76において、約175μmの厚さを有し、最も薄い領域78において、約54μmの厚さを有する。中実マイクロニードル74は、約890μmの平均高さ及び約1μmの平均先端半径を有していた。
【0133】
微小寸法ギア特徴を有するギア
型半体A4
本発明は、ハブから外に伸長するマイクロメートル又はより小さな寸法の歯車の歯群を有する、例えば、ギア(例えば、平歯車、はすば歯車、ウォームギア、かさ歯車、ウォームホイール、まがりばかさ歯車、内歯車、バックラッシュ防止歯車等)を含む、広範な異なる寸法物品を作製するために使用されてもよい。そのような歯車は、歯車の歯群に加えて、他のマイクロメートル又は小さい歯車特徴を有して作製されてもよい(例えば、歯車駆動軸、歯車スポーク及び壁等)。そのような微小特徴歯車を作製するための型(図示せず)の一実施形態は、ニッケル電鋳型挿入体、又は複数個の歯車の歯群及び他の歯車の特徴を有する所望の歯車形状本体凹部を画定する、あらゆる他の従来の型挿入体(「型半体A4」)を含んでもよい。ニッケル電鋳型挿入体は、マスターからの特徴を複製して、最終型において、微細特徴凹部形状を形成することができる。ニッケル型の歯車形状凹部の表面は、例えば、約0.10RMSμmの表面粗さを伴って平滑である必要がある。この型を使用して生成された歯車は、12個の歯車の歯とともに、1.00mmの直径及び1.00mmの厚さを有することができる。各歯車の歯は、先頭チップに沿って、最も細い点において約5μm以下の測定厚さを有することができる。
【0134】
成形歯車を作製する際に、コールドランナープレート(「型半体B4」)を使用して、溶融組成物を型凹部に導いた。コールドランナープレートは、対応するコールドランナー通路を通り、対応するトンネルゲート開口部を介して、複数個の物品凹部に溶融組成物を指向するためのスプルー通路を含んでいた。Moldmax(登録商標)Thermal Management Solutions(Southfield MI)のベリリウム銅Moldstar(登録商標)のブロックを使用して、コールドランナープレートの周囲の適切な温度制御を維持し、成形品を冷却するための良好な熱遷移を提供する。図2Aは、代表的なブロック形状、配置及び寸法を示す。
【0135】
方法4(型半体A4及びB4を使用する)
方法1を使用し、型半体A4及び型半体B4を用いて成形した。成形パラメータとして、101.6mm/秒の射出速度、55.2MPaの充填圧力、1秒間の保持時間、565°F(296℃)の射出処理温度、及び90℃の射出時の型温度を使用した。
【0136】
例示的な組成物
上記実施例1〜10において使用されるサーモトロピック液晶ポリマー(TLCP)材料は、市販の非充填Vectra(登録商標)A950ナチュラルであった。Vectra A(Ticona−Celanese)は、27%ヒドロキシナフトエ酸(HNA)及び73%ヒドロキシ安息香酸(HBA)からなるランダムコポリエステルである。ディレクター混転に起因する配向分解の程度を最大化し、充填剤の存在に起因する内的な流体力学作用のマスキングを避けるために、非充填樹脂を選択した。押出しペレット形態の受容された材料は、150℃で4〜6時間真空乾燥させ、成形する前に望ましい水分除去を保証した。Vectra MT1300を用いた実験も行った。Vectra MT1300は、同一の化学反応を有するVectra AのクラスVI医療グレードバージョンである。
【0137】
Vectra MT1300(Ticona Engineering Polymers(Florence KY))から入手可能なTLCPペレットを実施例11及び12に使用した。TLCPペレットは、以下の材料特徴を有していた(文献から引用)。
【0138】
1)ISO 527−2に従って測定した時の引張係数10600MPa(メガパスカル)
2)ISO 527−2に従って測定した時のブレーキ時の引張応力182MPa
3)ISO 527−2に従って測定した時のプレーキ時の引張ひずみ3.4%
4)ISO 178に従って測定した時の曲げ弾性率9100MPa
5)ISO 75−2に従って測定した時の負荷1.8MPa下の偏向温度187℃
6)50℃/時の速度で、ISO 306に従って測定した時のビカー軟化温度145℃
7)10℃/分の速度で、ISO 11357−3に従って測定した時の融解温度280℃
【0139】
Vectra MT1310(Ticona Engineering Polymers(Florence KY))から入手可能な30%ガラス充填TLCPペレットもまた、実施例1〜12に使用した。TLCPペレットは、以下の材料特徴を有していた(文献から引用)。
【0140】
1)ISO 527−2に従って測定した時の引張係数15000MPa
2)ISO 527−2に従って測定した時のブレーキ時の引張応力190MPa
3)ISO 527−2に従って測定した時のブレーキ時の引張ひずみ2.1%
4)ISO 178に従って測定した時の曲げ弾性率15000MPa
5)ISO 75−2に従って測定した時の1.8MPaの負荷下の偏向温度235℃
6)50℃/時の速度で、ISO 306に従って測定した時のビカー軟化温度160℃
7)10℃/分の速度で、ISO 11357−3に従って測定した時の融解温度280℃
【0141】
Vectra MT4350(Ticona Engineering Polymers(Florence KY))から入手可能な40%鉱物充填TLCPペレットもまた、実施例1〜12に使用した。TLCPペレットは、以下の材料特徴を有していた(文献から引用)。
【0142】
1)ISO 527−2に従って測定された時の引張係数9800MPa
2)ISO 527−2に従って測定された時のブレーキ時の引張応力105MPa
3)ISO 527−2に従って測定された時のブレーキ時の引張ひずみ3.2%
4)ISO 178に従って測定された時の曲げ弾性率10000MPa
5)ISO 75−2に従って測定した時の1.8MPaの負荷下の偏向温度230℃
6)10℃/分の速度で、ISO 11357−3に従って測定した時の融解温度335℃
【0143】
Zenite SC260 NC010(DuPont Engineering Polumers(Wilmington DE))から入手可能な30%鉱物充填TLCPペレットもまた、実施例1〜12に使用した。TLCPペレットは、以下の材料特徴を有していた(文献から引用)。
【0144】
1)ISO 527に従って測定された時の引張係数10000MPa
2)ISO 527に従って測定された時のブレーキ時の引張応力130MPa
3)ISO 527−2に従って測定された時のブレーキ時の引張ひずみ5%
4)ISO 178に従って測定された時の曲げ弾性率7100MPa
5)ISO 75−2に従って測定した時の1.8MPaの負荷下の偏向温度245℃
6)10℃/分の速度で、ISO 11357−3に従って測定した時の融解温度335℃
【0145】
型設計ガイドライン
本発明に従って成形された物品の本体(例えば、750μm以上の厚い壁部分)における均衡又は等方性特性(すなわち、非整列又は流れ混転メソゲン)を得ることができるが、物品本体の表面上の特徴(例えば、マイクロニードル)は、溶融TLCPが、本体凹部から特徴凹部又は少なくとも微細特徴チャンバに遷移するにつれて、微小寸法を著しく減少させるか、ないしは別の方法で型凹部の断面を制限することによって、異方性特性(すなわち、流れ整列メソゲン)を呈する。例えば、マイクロニードル先端又は微細特徴凹部の拘束された先細の壁形状は、図4Bに示されるように、そのような特性の変化(すなわち、メソゲン整列)をもたらすことができる。型を溶融TLCP組成物で充填する方法から得られる局所速度プロファイルは、2つの配向モード、つまり剪断力及び伸長特徴を統合する、複合運動学的挙動につながり得る。型凹部の微小寸法が十分に細いか、又は凹部断面が別の方法で十分に制限される場合、溶融組成物上に課される、結果として得られる剪断力は不均一であり、凹部断面の変化から生じる重畳伸長を特徴とすることができる。型凹部を充填する間の剪断力と伸長との間の競合は、TLCPメソゲンの分子配向(すなわち、整列)に劇的に影響し得る。このTLCPメソゲンの分子配向はまた、型凹部において発生する同時固化プロセスによって密接に左右され得る。射出速度を介した圧力駆動流れ制御を通して、成形品中のTLCPメソゲンの最終配向(すなわち、整列)を調整し、所望の物理特性の均衡を有する部分を生成することが可能である。この新しい理解は、「剪断力」及び「横断」特性(例えば、引張特性)の比較的均等な分布をもたらす比較的厚い(例えば、0.75mm〜1.0mm)成形ランド又は本体要素を有する部分の生成を可能にする一方で、構造特徴又は微細特徴要素(例えば、針及び/又は針先端の長手方向軸に沿った強化された引張特性)を充填する溶融組成物の流れ配向に沿って異方性特性を特徴とする、「インシアー」TLCPメソゲン配向状態の構造特徴(例えば、本体の表面上のマイクロニードルアレイ)又は少なくとも微細特徴要素(例えば、マイクロニードル先端)を成形することも可能である。
【0146】
配向ダイナミクス
TLCPディレクター配向(すなわち、TLCPメソゲンの配向)は、型の本体凹部を充填する間(すなわち、射出成型サイクルの第1段階の間)、溶融組成物が射出される速度を制御することによって制御することができる。物品凹部及び他の型凹部(例えば、ランナー)における形状製薬が、剪断力により誘導された配向をもたらし得るが、溶融TLCP中のメソゲンが流れ下で混転する自然な傾向は、最終的に、成形部品の最終機械的異方性を劣化させる。以下は、流れ混転を軽減し、流れ整列を促進することができるように、TLCPメソゲン配向が制御され得る多数の方法である。
【0147】
・型に融解注入する前に、溶融組成物は、長い期間、注入器バレル内に残っていてはならない(例えば、典型的には、約1分未満)。さもなければ、安定した高次の融解微結晶の形成と連結するエステル交換反応が起こる可能性があり、流れ下のメソゲン配向の発達を妨げ得る。
【0148】
・極めて速い速度で(例えば、約3〜約12インチ/秒(約76.2〜約304.8mm/秒)溶融組成物を射出することは、TLCPメソゲンの流れ整列配向状態を急速に促進し、流れ混転の発生を軽減することができる。段階における速度のプロファイリングは、より大きいショットサイズが使用できる場合に可能である。電気のサーボ駆動注入システムは、あらゆる指定のショットサイズについて、最速のネジ加速を可能にするために好ましい。
【0149】
・型(例えば、型基部及びあらゆる型挿入体)は、均衡温度(例えば、約45℃を超えるが、約150℃より低い)で維持する必要があり、型凹部を通って移動する溶融組成物の十分な剪断減粘を可能にし、溶融組成物が型凹部を適切に充填するのに十分低い粘度を有することを保証する。
【0150】
・型のゲートにおいて極めて高い剪断速度が呈される場合、約70Pa・s〜20Pa・sの典型的な粘度が可能である。タブ、端部、及びトンネルゲートはすべて、許容可能な構成であり得る。以下のグラフは、様々な処理温度でのTLCP Vectra Aの剪断力−粘度の範囲を示す。本明細書に記載されるもの等の微小寸法特徴を有する物品の成形について、剪断速度の範囲は、10K 1/sを超えることができる。
【0151】
【表2】

【0152】
・TLCPメソゲンの流れ整列配向状態に固定するには、型凹部内のTLCPの結晶化が、ネマチックポリマーネットワーク(すなわち、流れ整列メソゲン)の臨界緩和時間よりも短い期間にわたって起こる必要がある。TLCP Vectra Aの場合、この時間は、溶融組成物の注入が物品凹部を充填した後、1.5秒を下回らない(すなわち、1.5秒以上)と決定された。注入後即時に(約0.2秒の充填時間)、正の保持及び充填圧力を印加することによって、急速な結晶化速度を考えると、型に進入する急速に固化する溶解物が、「インシアー」配向の場を固定しながら、凹部の形状に速やかに適合することを確実にする。結晶化の速度は、ポリマー鎖(すなわち、メソゲン)緩和を助ける流れの適切な発達を達成するように、型温度及び注入圧力を調整することによって制御することができる。
【0153】
・成形サイクルの第2段階(充填圧力段階)が使用される場合、各微小凹部の残りを、型において使用可能な最も鋭利な点の凹部まで充填することが可能であり得る。
【0154】
本明細書に提示される極微針の場合、最も鋭利な点において800nmまでのTLCP成形複製が、以下を含む幾つかの因子の結果として認められた。
【0155】
(1)第1段階の型充填中の流れ整列分子ネマチック(すなわち、メソゲン)配向の発達。
(2)物品凹部の充填中の極めて速い速度の使用は、TLCPメソゲンにおいて高程度の異方性を誘発することができ、順に、凹部における局所融解粘度の減少を助けることができる。
(3)型における速い結晶化ダイナミクスに起因するTLCPメソゲン配向の固定。
(4)微小凹部脱気を介したあらゆる捕捉空気の適切な脱気。
(5)サブマイクロメートル特徴凹部の解像度及び耐容を有する型工具の使用可能性。
【0156】
本発明は、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変形及び変更を加えられてもよい。したがって、本発明は、上述のものに限定されるものではなく、以下又は今後の「特許請求の範囲」に記載される限定及びそのあらゆる等価物によって規制されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を成形する方法であって、
少なくとも1つの、複数個のメソゲンを含むサーモトロピック液晶ポリマー(TLCP)を含む組成物を提供する工程と、
型凹部を備え、前記型凹部が少なくとも1つの特徴凹部を備え、各特徴凹部が、少なくとも1つの微細特徴チャンバを備える、型を提供する工程と、
前記組成物を加熱して、溶融TLCPを含む溶融組成物を形成する工程と、
前記少なくとも1つの微細特徴チャンバを充填する前記溶融組成物が、移動する溶融組成物の流れ方向に対して、対応する溶融TLCP中の前記メソゲンの少なくとも一部分の流れ整列をもたらす流速で移動するように、前記型凹部に所望量の前記溶融組成物を充填する工程と、
前記少なくとも1つの微細特徴チャンバの少なくとも固化したTLCPのメソゲンが、実質的にそれらの流れ整列を維持するように、前記溶融組成物を固化する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記型凹部が、本体凹部を更に備え、各特徴凹部が、溶融組成物が前記本体凹部から各特徴凹部に流れ込むのを可能にするように、前記本体凹部から伸長し、前記本体凹部と接続されていること、及び前記型凹部を充填する前記工程が、
前記本体凹部を充填する前記溶融組成物の少なくとも一部分が、対応する溶融TLCP中のメソゲンの流れ回転をもたらす、第1の流速で移動するように、前記本体凹部に所望量の前記溶融組成物を充填する工程、を含み、
各微細特徴チャンバを充填する前記溶融組成物の前記流速が、前記第1の流速よりも速い第2の流速である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記本体凹部が、成形される前記物品の本体部分に対応する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記本体凹部を充填する前記溶融組成物の前記第1の流速が、約108mm/s以下である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの微細特徴チャンバを充填する前記溶融組成物の前記流速が、少なくとも約51mm/sである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの微細特徴チャンバが、約100nm〜最大約20マイクロメートルの範囲の微小特徴寸法を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の流速と前記第2の流速との差異が、少なくとも約12.7mm/sである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの微細特徴チャンバ内で固化された前記TLCPの前記メソゲンが、前記少なくとも1つの微細特徴チャンバを充填する前記移動する溶融組成物の前記流れ方向に対して、0.4を超えて最大1.0の範囲の異方性因子によって、分子的に整列される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
本体と、前記本体と一体であり、そこから突出する少なくとも1つの3次元構造特徴を備える成形品であって、前記少なくとも1つの構造特徴が、微小寸法を有する少なくとも1つの微細特徴要素を備え、前記少なくとも1つの構造特徴が、複数個のメソゲンを有する少なくとも1つのサーモトロピック液晶ポリマー(TLCP)を含み、前記微小寸法における前記メソゲンの少なくとも一部分が、流れ整列状態にある、成形品。
【請求項10】
各微細特徴要素の前記微小寸法における前記TLCPメソゲンの少なくとも約30%が、流れ整列される、請求項9に記載の成形品。
【請求項11】
各微細特徴要素の前記TLCPメソゲンが、少なくとも約0.3〜最大1.0の範囲の平均異方性因子を呈する、請求項9又は10に記載の成形品。
【請求項12】
各微細特徴要素の前記微小寸法における前記流れ整列TLCPメソゲンが、少なくとも約0.5〜最大1.0の範囲の平均異方性因子を呈する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項13】
各構造特徴における前記TLCPメソゲンの少なくとも約10%が、流れ整列であり、各構造特徴における前記TLCPメソゲンの残りは、比較的等方性の配向状態を有する、請求項9〜12のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項14】
前記少なくとも1つの微細特徴要素の前記微小寸法が、約500μm以下である、請求項9〜13のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項15】
前記少なくとも1つの微細特徴要素の前記微小寸法が、約90nm〜最大約20マイクロメートルの範囲内である、請求項9〜13のいずれか一項に記載の成形品。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公表番号】特表2013−514214(P2013−514214A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544823(P2012−544823)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/060732
【国際公開番号】WO2011/075569
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】