サーモパイル型赤外線検出装置
【課題】環境温度変化時に於ける検出温度精度向上の為、ヒートシンクとしてサーモパイル型赤外線検出装置へ具備し熱容量を増加させる目的で熱伝導性の高い材質、アルミニウムあるいは銅等の金属材料を使用し、目的の形状に合わせ加工を施す必要がある事、および、サーモパイル型赤外線検出装置へ具備する為の組み込みの作業性が追加される事により、サーモパイル型赤外線検出装置自身のコストアップの要因となる課題があった。
【解決手段】サーモパイル型赤外線検出装置を格納する樹脂または金属からなるケース及びカバーのサーモパイルセンサ視野範囲の前面ケース開口部へ赤外線吸収率が低い平面シリコンフィルターを、サーモパイル型赤外線検出装置の前面位置に具備する事、及び空気層による断熱により、温度変化時に於ける検出温度精度を向上させた事を特徴としている。
【解決手段】サーモパイル型赤外線検出装置を格納する樹脂または金属からなるケース及びカバーのサーモパイルセンサ視野範囲の前面ケース開口部へ赤外線吸収率が低い平面シリコンフィルターを、サーモパイル型赤外線検出装置の前面位置に具備する事、及び空気層による断熱により、温度変化時に於ける検出温度精度を向上させた事を特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンフィルター又はシリコンレンズを有したサーモパイル型赤外線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられている一般的なサーモパイル型赤外線検出装置は、周辺の環境温度変化時の検出温度精度を向上させる為、サーモパイル型赤外線検出装置にアルミニウム、銅等からなるヒートシンクを具備する事でサーモパイル型赤外線検出装置の熱容量を増加させ、周辺の環境温度変化に対して、サーモパイル型赤外線検出装置自身の温度変化を抑制させる事により検出温度精度を向上している。
また別の手法として、サーモパイル型赤外線検出装置の前面に赤外線透過性の高密度ポリエチレンからなるキャップあるいはフィルターを具備し、キャップ内部の空気層による断熱効果によりサーモパイル型赤外線検出装置の温度変化を抑制し、サーモパイル型赤外線検出器内に搭載の自己温度測温用のサーミスタとは別に具備させたサーミスタを高密度ポリエチレンからなるキャップあるいはフィルターに接触させ測温する事により、サーモパイル型赤外線検出装置の検出温度へ補正を行う事を特徴としている。
【特許文献1】特願2005―336148号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の手法では、ヒートシンクとしてサーモパイル型赤外線検出装置へ具備し熱容量を増加させる目的で熱伝導性の高い材質、アルミニウムあるいは銅等の金属材料を使用する為、サーモパイル型赤外線検出装置のコストアップの要因となっている。
図3に従来のアルミニウム等からなるヒートシンクを具備したサーモパイル型赤外線検出装置の斜視方向概略図を示す。実装部品については、図が煩雑となる為、割愛した。図4に内部断面構造概略図を示す。
サーモパイル型赤外線検出装置周辺の環境温度変化時の検出温度精度を向上させる為に、サーモパイル型赤外線検出装置へ具備されるアルミニウムあるいは銅からなる金属製のヒートシンクにより熱容量を増加し、熱伝導性の高い金属材料を使用する事により、サーモパイル型赤外線検出装置自身の温度変化を抑制し、サーモパイル型赤外線検出装置自身の温度バラツキを抑制する事で対策として施されてきた。
しかしながら、アルミニウムあるいは銅からなる金属製のヒートシンクは、材料自身が熱伝導性の高く希少価値のある金属である事と、目的の形状に合わせ加工を施す必要がある事、および、サーモパイル型赤外線検出装置へ搭載する為の組み込みの作業性が追加される事により、サーモパイル型赤外線検出装置自身のコストアップにつながっている。
【0004】
一方、図5は従来の高密度ポリエチレン製キャップ及び測温用サーミスタ搭載型のサーモパイル型赤外線検出装置の概略図を示す。
この手法においても、測温用サーミスタが別途必要となる事、および、サーモパイル型赤外線検出装置へ具備する為の組み込みの作業性が追加される事により、サーモパイル型赤外線検出装置自身のコストアップにつながっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、サーモパイル型赤外線検出装置周辺の環境温度変化時に於ける検出温度精度を向上させる為に、アルミニウムあるいは銅からなる金属製のヒートシンクの具備、および赤外線透過性の高密度ポリエチレンからなるキャップあるいはフィルターのサーミスタに於ける測温構造を廃止し、サーモパイル型赤外線検出装置を開口部へ平面シリコンフィルターを具備させた樹脂または金属からなるケース及びカバーにて格納する事で、ケース外部の環境温度変化影響を空気層にて断熱する事を特徴としている。また、シリコンフィルターはアンコーティング平面シリコンフィルターだけではなく、5μmカットオンコーティング特性、8〜14μmバンドパスコーティング特性あるいは反射防止蒸着コーティング特性等の蒸着コーティング特性を追加したものでも使用できる事を特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、サーモパイル型赤外線検出装置に於いて、サーモパイル型赤外線検出装置を格納する樹脂または金属からなるケース及びカバー、そしてケース開口部へシリコンフィルターを具備する事により、サーモパイル型赤外線検出装置周辺の環境温度変化時に於ける検出温度精度を向上させる事ができる。
また、蒸着コーティング特性を追加したシリコンフィルターを使用する事で、太陽光等の外乱光、車のヘッドライト等の強力な可視光エネルギーなどの外来ノイズに於いてブロッキングする事ができる。
また、アルミニウムあるいは銅からなる金属製のヒートシンクを削除できる事、または高密度ポリエチレン製キャップ及び測温用サーミスタを削除できる事でコストダウンが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、シリコンフィルター又はシリコン平凸レンズを具備するサーモパイル型赤外線検出装置に於いて、サーモパイル型赤外線検出装置を格納する樹脂または金属からなるケース及びカバーのサーモパイルセンサ視野範囲の前面ケース開口部へシリコンフィルターを具備した形状により提供される。サーモパイル型赤外線検出装置として、図1に斜視方向概略図を示す。図2に内部断面構造概略図を示す。
【実施例1】
【0008】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。図1は、本発明のもっとも基本的な実施例であり、サーモパイルセンサ型赤外線検出装置を格納する樹脂からなるケース及びカバーのサーモパイルセンサ視野範囲の前面ケース開口部内側へのアンコーティング平面シリコンフィルター具備の形態を示すものである。図2に内部断面構造概略図を示す。
【0009】
本実施例では、赤外線を受光することにより対象物の放射赤外線量を測定し対象物の温度を検出する事を可能にするサーモパイルチップへの赤外線入射量を対象物投影エリアより規定した赤外線検出領域を光学設計により導くシリコン等からなるフィルターまたは平凸レンズを使用し、赤外線透過窓を有する金属製CANケース、サーモパイルチップを電気的接続したリード端子を備えたヘッダーと共に外来からの環境的変化や電磁障害を防止するためにハーメチックシールとした一般的な構造であるサーモパイルセンサからなるサーモパイル型赤外線検出装置の前部へ、赤外線吸収率の低いアンコーティング平面フィルターをエポキシ系接着剤により樹脂製ケースへ接着固定した構造となっている。
【0010】
また、本実施例では樹脂からなるケース及びカバーを使用しているが、例えば、アルミニウム、銅、鉄などの金属であってもかまわない。
【0011】
また、本実施例ではアンコーティング平面シリコンフィルターを使用しているが、例えば、5μmカットオン蒸着コーティング平面シリコンフィルター、5.5μmカットオン蒸着コーティング平面シリコンフィルター、6.5μmカットオン蒸着コーティング平面シリコンフィルター、8〜14μmバンドパス蒸着コーティング平面シリコンフィルター、反射防止蒸着コーティング平面シリコンフィルターでもかまわない。
【0012】
また、図1の実施例に於いては、アンコーティング平面シリコンフィルターの形状は正方形となっているが、これは、対象物投影エリアより規定した赤外線検出領域を光学設計により導くシリコン平凸レンズの光学設計を妨げない平面シリコンフィルターであれば、円形、長方形、六角形でもかまわない。
【0013】
サーモパイル型赤外線検出装置が温度計測機器に組み込まれる場合、通常各用途に応じて測定対象面から所定高さ位置に、対象面を望む規定された角度で保持使用される。図8は、ある規定設置位置から2ヶの赤外線検出域を有し、投影される検出域となる位置に光学設計配列されたサーモパイルチップを設置した2エリア検出のサーモパイル型赤外線検出装置を、所望の赤外線検出域測定面にて投影される検出域分布を模視した概略図である。
また、サーモパイル型赤外線検出装置として、対象物の放射赤外線量を測定し対象物の温度を検出する事を可能にする前記の2エリア検出のサーモパイルチップのみならず、赤外線受光部を1素子有するのシングル型サーモパイル型赤外線検出装置、赤外線受光部をライン状に配列したインライン型のサーモパイルアレイ型赤外線検出装置、赤外線受光部をマトリックス状に配列したマトリックス型のサーモパイルマトリックス型赤外線検出装置の温度検出器のように赤外線受光部を1〜16素子有する多素子型サーモパイル型赤外線検出装置に於いても、本発明と同様に投影される各検出域の分布を維持しながら、赤外線透過領域の選択性を具備する事が可能である。
【0014】
図9は、アンコーティング平面シリコンフィルターを具備させた場合、具備させない場合のそれぞれの光線図である。対象物投影エリアより規定される光学設計を行う際、平面フィルターを前面に具備しない場合の光線と、アンコーティング平面シリコンフィルターを前面に具備する場合の屈折した光線との差を考慮しての光学設計が必要である。
図10は、実施例1で用いた形態のサーモパイル型赤外線検出装置の周辺環境温度変化時に於ける検出温度をグラフ化したものである。
周辺環境温度変化追従グラフ、サーモパイル型赤外線検出装置前面に設置された熱源の温度グラフ、実施例1のサーモパイル型赤外線検出装置の検出温度グラフ、実施例1を施す前のサーモパイル型赤外線検出装置の検出温度グラフとの比較に於いて、検出温度性能の向上を得た事を確認した。これは、従来の手法と比較に於いても検出温度性能として同等である事を確認した。
【実施例2】
【0015】
図6は、実施例1で用いたサーモパイルセンサ型赤外線検出装置を格納する樹脂からなるケース及びカバーのサーモパイルセンサ視野範囲の前面ケース開口部外側へアンコーティング平面シリコンフィルター搭載の形態を示すものである。図7に内部断面構造概略図を示す。
本実施例に於いても実施例1の図8と同様の赤外線透過領域を得る事が可能であり、また、図10の実施例1のサーモパイル型赤外線検出装置の検出温度グラフと同等の検出温度性能である事を確認した。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による最も基本的な実施例である、サーモパイルセンサ型赤外線検出装置を格納する樹脂からなるケース及びカバーのサーモパイルセンサ視野範囲の前面ケース開口部内側へアンコーティング平面シリコンフィルター具備の形態の斜視方向概略図である。
【図2】図1の内部構造断面図である。
【図3】従来のヒートシンク搭載型のサーモパイルセンサ型赤外線検出装置の斜視方向概略図である。
【図4】図3の内部構造断面図である。
【図5】従来の高密度ポリエチレン製キャップ及び測温用サーミスタ具備のサーモパイルセンサ型赤外線検出装置の斜視方向概略図である。
【図6】本発明による他の実施例でケース開口部外側へアンコーティング平面シリコンフィルター具備の形態の斜視方向概略図である。
【図7】図6の内部構造概略図である。
【図8】サーモパイル型赤外線検出器における投影される検出域分布を模視した概略図である。
【図9】平面フィルターを具備することによる赤外線屈折概略図である。
【図10】環境温度変化時の温度追従確認グラフである。
【符号の説明】
【0017】
1 樹脂ケース
2 樹脂カバー
3 樹脂ケース開口部
4 アンコーティング平面シリコンフィルター
5 エポキシ系接着剤
6 アンコーティング平凸シリコンレンズ
7 金属CANケース
8 ヘッダー
9 サーモパイルチップ
10 リード
11 PCB基板
12 コネクター
13 空気による断熱層
14 金属製ヒートシンク
15 高密度ポリエチレン製キャップ
16 測温用サーミスタ
17 2エリア検出のサーモパイル型赤外線検出装置
18 投影される検出域
19 平面フィルター無しの光線
20 平面フィルターありの光線
21 通常のサーモパイルセンサ型赤外線検出装置の検出温度グラフ
22 実施例1を施したサーモパイルセンサ型赤外線検出装置の検出温度グラフ
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンフィルター又はシリコンレンズを有したサーモパイル型赤外線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられている一般的なサーモパイル型赤外線検出装置は、周辺の環境温度変化時の検出温度精度を向上させる為、サーモパイル型赤外線検出装置にアルミニウム、銅等からなるヒートシンクを具備する事でサーモパイル型赤外線検出装置の熱容量を増加させ、周辺の環境温度変化に対して、サーモパイル型赤外線検出装置自身の温度変化を抑制させる事により検出温度精度を向上している。
また別の手法として、サーモパイル型赤外線検出装置の前面に赤外線透過性の高密度ポリエチレンからなるキャップあるいはフィルターを具備し、キャップ内部の空気層による断熱効果によりサーモパイル型赤外線検出装置の温度変化を抑制し、サーモパイル型赤外線検出器内に搭載の自己温度測温用のサーミスタとは別に具備させたサーミスタを高密度ポリエチレンからなるキャップあるいはフィルターに接触させ測温する事により、サーモパイル型赤外線検出装置の検出温度へ補正を行う事を特徴としている。
【特許文献1】特願2005―336148号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の手法では、ヒートシンクとしてサーモパイル型赤外線検出装置へ具備し熱容量を増加させる目的で熱伝導性の高い材質、アルミニウムあるいは銅等の金属材料を使用する為、サーモパイル型赤外線検出装置のコストアップの要因となっている。
図3に従来のアルミニウム等からなるヒートシンクを具備したサーモパイル型赤外線検出装置の斜視方向概略図を示す。実装部品については、図が煩雑となる為、割愛した。図4に内部断面構造概略図を示す。
サーモパイル型赤外線検出装置周辺の環境温度変化時の検出温度精度を向上させる為に、サーモパイル型赤外線検出装置へ具備されるアルミニウムあるいは銅からなる金属製のヒートシンクにより熱容量を増加し、熱伝導性の高い金属材料を使用する事により、サーモパイル型赤外線検出装置自身の温度変化を抑制し、サーモパイル型赤外線検出装置自身の温度バラツキを抑制する事で対策として施されてきた。
しかしながら、アルミニウムあるいは銅からなる金属製のヒートシンクは、材料自身が熱伝導性の高く希少価値のある金属である事と、目的の形状に合わせ加工を施す必要がある事、および、サーモパイル型赤外線検出装置へ搭載する為の組み込みの作業性が追加される事により、サーモパイル型赤外線検出装置自身のコストアップにつながっている。
【0004】
一方、図5は従来の高密度ポリエチレン製キャップ及び測温用サーミスタ搭載型のサーモパイル型赤外線検出装置の概略図を示す。
この手法においても、測温用サーミスタが別途必要となる事、および、サーモパイル型赤外線検出装置へ具備する為の組み込みの作業性が追加される事により、サーモパイル型赤外線検出装置自身のコストアップにつながっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、サーモパイル型赤外線検出装置周辺の環境温度変化時に於ける検出温度精度を向上させる為に、アルミニウムあるいは銅からなる金属製のヒートシンクの具備、および赤外線透過性の高密度ポリエチレンからなるキャップあるいはフィルターのサーミスタに於ける測温構造を廃止し、サーモパイル型赤外線検出装置を開口部へ平面シリコンフィルターを具備させた樹脂または金属からなるケース及びカバーにて格納する事で、ケース外部の環境温度変化影響を空気層にて断熱する事を特徴としている。また、シリコンフィルターはアンコーティング平面シリコンフィルターだけではなく、5μmカットオンコーティング特性、8〜14μmバンドパスコーティング特性あるいは反射防止蒸着コーティング特性等の蒸着コーティング特性を追加したものでも使用できる事を特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、サーモパイル型赤外線検出装置に於いて、サーモパイル型赤外線検出装置を格納する樹脂または金属からなるケース及びカバー、そしてケース開口部へシリコンフィルターを具備する事により、サーモパイル型赤外線検出装置周辺の環境温度変化時に於ける検出温度精度を向上させる事ができる。
また、蒸着コーティング特性を追加したシリコンフィルターを使用する事で、太陽光等の外乱光、車のヘッドライト等の強力な可視光エネルギーなどの外来ノイズに於いてブロッキングする事ができる。
また、アルミニウムあるいは銅からなる金属製のヒートシンクを削除できる事、または高密度ポリエチレン製キャップ及び測温用サーミスタを削除できる事でコストダウンが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、シリコンフィルター又はシリコン平凸レンズを具備するサーモパイル型赤外線検出装置に於いて、サーモパイル型赤外線検出装置を格納する樹脂または金属からなるケース及びカバーのサーモパイルセンサ視野範囲の前面ケース開口部へシリコンフィルターを具備した形状により提供される。サーモパイル型赤外線検出装置として、図1に斜視方向概略図を示す。図2に内部断面構造概略図を示す。
【実施例1】
【0008】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。図1は、本発明のもっとも基本的な実施例であり、サーモパイルセンサ型赤外線検出装置を格納する樹脂からなるケース及びカバーのサーモパイルセンサ視野範囲の前面ケース開口部内側へのアンコーティング平面シリコンフィルター具備の形態を示すものである。図2に内部断面構造概略図を示す。
【0009】
本実施例では、赤外線を受光することにより対象物の放射赤外線量を測定し対象物の温度を検出する事を可能にするサーモパイルチップへの赤外線入射量を対象物投影エリアより規定した赤外線検出領域を光学設計により導くシリコン等からなるフィルターまたは平凸レンズを使用し、赤外線透過窓を有する金属製CANケース、サーモパイルチップを電気的接続したリード端子を備えたヘッダーと共に外来からの環境的変化や電磁障害を防止するためにハーメチックシールとした一般的な構造であるサーモパイルセンサからなるサーモパイル型赤外線検出装置の前部へ、赤外線吸収率の低いアンコーティング平面フィルターをエポキシ系接着剤により樹脂製ケースへ接着固定した構造となっている。
【0010】
また、本実施例では樹脂からなるケース及びカバーを使用しているが、例えば、アルミニウム、銅、鉄などの金属であってもかまわない。
【0011】
また、本実施例ではアンコーティング平面シリコンフィルターを使用しているが、例えば、5μmカットオン蒸着コーティング平面シリコンフィルター、5.5μmカットオン蒸着コーティング平面シリコンフィルター、6.5μmカットオン蒸着コーティング平面シリコンフィルター、8〜14μmバンドパス蒸着コーティング平面シリコンフィルター、反射防止蒸着コーティング平面シリコンフィルターでもかまわない。
【0012】
また、図1の実施例に於いては、アンコーティング平面シリコンフィルターの形状は正方形となっているが、これは、対象物投影エリアより規定した赤外線検出領域を光学設計により導くシリコン平凸レンズの光学設計を妨げない平面シリコンフィルターであれば、円形、長方形、六角形でもかまわない。
【0013】
サーモパイル型赤外線検出装置が温度計測機器に組み込まれる場合、通常各用途に応じて測定対象面から所定高さ位置に、対象面を望む規定された角度で保持使用される。図8は、ある規定設置位置から2ヶの赤外線検出域を有し、投影される検出域となる位置に光学設計配列されたサーモパイルチップを設置した2エリア検出のサーモパイル型赤外線検出装置を、所望の赤外線検出域測定面にて投影される検出域分布を模視した概略図である。
また、サーモパイル型赤外線検出装置として、対象物の放射赤外線量を測定し対象物の温度を検出する事を可能にする前記の2エリア検出のサーモパイルチップのみならず、赤外線受光部を1素子有するのシングル型サーモパイル型赤外線検出装置、赤外線受光部をライン状に配列したインライン型のサーモパイルアレイ型赤外線検出装置、赤外線受光部をマトリックス状に配列したマトリックス型のサーモパイルマトリックス型赤外線検出装置の温度検出器のように赤外線受光部を1〜16素子有する多素子型サーモパイル型赤外線検出装置に於いても、本発明と同様に投影される各検出域の分布を維持しながら、赤外線透過領域の選択性を具備する事が可能である。
【0014】
図9は、アンコーティング平面シリコンフィルターを具備させた場合、具備させない場合のそれぞれの光線図である。対象物投影エリアより規定される光学設計を行う際、平面フィルターを前面に具備しない場合の光線と、アンコーティング平面シリコンフィルターを前面に具備する場合の屈折した光線との差を考慮しての光学設計が必要である。
図10は、実施例1で用いた形態のサーモパイル型赤外線検出装置の周辺環境温度変化時に於ける検出温度をグラフ化したものである。
周辺環境温度変化追従グラフ、サーモパイル型赤外線検出装置前面に設置された熱源の温度グラフ、実施例1のサーモパイル型赤外線検出装置の検出温度グラフ、実施例1を施す前のサーモパイル型赤外線検出装置の検出温度グラフとの比較に於いて、検出温度性能の向上を得た事を確認した。これは、従来の手法と比較に於いても検出温度性能として同等である事を確認した。
【実施例2】
【0015】
図6は、実施例1で用いたサーモパイルセンサ型赤外線検出装置を格納する樹脂からなるケース及びカバーのサーモパイルセンサ視野範囲の前面ケース開口部外側へアンコーティング平面シリコンフィルター搭載の形態を示すものである。図7に内部断面構造概略図を示す。
本実施例に於いても実施例1の図8と同様の赤外線透過領域を得る事が可能であり、また、図10の実施例1のサーモパイル型赤外線検出装置の検出温度グラフと同等の検出温度性能である事を確認した。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による最も基本的な実施例である、サーモパイルセンサ型赤外線検出装置を格納する樹脂からなるケース及びカバーのサーモパイルセンサ視野範囲の前面ケース開口部内側へアンコーティング平面シリコンフィルター具備の形態の斜視方向概略図である。
【図2】図1の内部構造断面図である。
【図3】従来のヒートシンク搭載型のサーモパイルセンサ型赤外線検出装置の斜視方向概略図である。
【図4】図3の内部構造断面図である。
【図5】従来の高密度ポリエチレン製キャップ及び測温用サーミスタ具備のサーモパイルセンサ型赤外線検出装置の斜視方向概略図である。
【図6】本発明による他の実施例でケース開口部外側へアンコーティング平面シリコンフィルター具備の形態の斜視方向概略図である。
【図7】図6の内部構造概略図である。
【図8】サーモパイル型赤外線検出器における投影される検出域分布を模視した概略図である。
【図9】平面フィルターを具備することによる赤外線屈折概略図である。
【図10】環境温度変化時の温度追従確認グラフである。
【符号の説明】
【0017】
1 樹脂ケース
2 樹脂カバー
3 樹脂ケース開口部
4 アンコーティング平面シリコンフィルター
5 エポキシ系接着剤
6 アンコーティング平凸シリコンレンズ
7 金属CANケース
8 ヘッダー
9 サーモパイルチップ
10 リード
11 PCB基板
12 コネクター
13 空気による断熱層
14 金属製ヒートシンク
15 高密度ポリエチレン製キャップ
16 測温用サーミスタ
17 2エリア検出のサーモパイル型赤外線検出装置
18 投影される検出域
19 平面フィルター無しの光線
20 平面フィルターありの光線
21 通常のサーモパイルセンサ型赤外線検出装置の検出温度グラフ
22 実施例1を施したサーモパイルセンサ型赤外線検出装置の検出温度グラフ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンフィルター又はシリコン平凸レンズを具備するサーモパイル型赤外線検出装置に於いて、サーモパイル型赤外線検出装置を格納する樹脂または金属からなるケース及びカバーのサーモパイルセンサ視野範囲の前面ケース開口部へ赤外線吸収率が低いシリコンフィルターを具備する事を特徴とするサーモパイル型赤外線検出装置。
【請求項1】
シリコンフィルター又はシリコン平凸レンズを具備するサーモパイル型赤外線検出装置に於いて、サーモパイル型赤外線検出装置を格納する樹脂または金属からなるケース及びカバーのサーモパイルセンサ視野範囲の前面ケース開口部へ赤外線吸収率が低いシリコンフィルターを具備する事を特徴とするサーモパイル型赤外線検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−276126(P2009−276126A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125928(P2008−125928)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000229081)日本セラミック株式会社 (129)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000229081)日本セラミック株式会社 (129)
【Fターム(参考)】
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