説明

シェーディング補正方法

【課題】テレビジョンカメラの光学系や撮像管で発生する映像信号に明暗のむらを、ホワイトスケールチャートを使用せず、他の調整でも使用しているグレースケールチャートを用いて自動調整できるようにする。
【解決手段】グレースケールチャートの中間色8点を検出し、その8点の検出レベルを解析することにより、水平・垂直方向のシェーディングの自動調整を行う。自動調整は、Gch の映像レベルに、他の Bch と Rch の映像レベルをそれぞれ合わせ込む

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビジョンカメラ装置に関わり、特に、テレビジョン装置の光学系や撮像部で生じる明暗のむらの調整に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、テレビジョンカメラ装置の光学系や撮像部で生じる明暗のむら(WHITE SHADING)補正を行う場合には、白い物(例えば、ホワイトチャート)を画面全体に映し出し、R 、G 、B すべてについて手動で調整を行っていた。
【0003】図3は、従来のテレビジョンカメラの構成を示すブロック図である。テレビジョンカメラ 8 は、光学系及び撮像部 3 、シェーディング補正回路 4 、レベル検出回路 5 、CPU 6 、及び、ディジタルアナログ変換回路( D/A )7 から構成される。図2の構成では、ホワイトシェーディングの補正に関わる構成を示し、他の要素は省略している。また、CPU 6 は、テレビジョンカメラ 8 内の他の構成要素と結合(図示しない)し、例えば、光学系及び撮像部 3 、シェーディング補正回路 4 、レベル検出回路 5 、CPU 6 、及び、D/A 7 に制御信号を供給してそれらの動作、処理、及び、機能等を制御する。
【0004】まず、レンズ 2 を調整して図1のホワイトスケールチャート 30 を、テレビジョンカメラ 8 が撮像する画像(モニタ 9 の表示画面)に収まるようにする。撮像した画像は、レンズ 2 を介して光学系及び撮像部 3 から赤( R )、緑(G )、青( B )の映像信号としてシェーディング補正回路 4 に出力される。シェーディング補正回路 4 を通って補正をかけられた信号は、レベル検出回路 5に出力される。レベル検出回路 5 は、入力された信号の R 、G 、B それぞれの信号レベルを検出し、CPU 6 に出力する。
【0005】CPU 6 は、ユーザが H PARA 及び H SAW の信号のレベルを検出する場合には、例えば、水平方向の中央部のライン H の部分についての輝度波形を取り、D/A変換回路 7 を介して波形表示器 10 に出力する。波形表示器 10 は、D/A 変換回路 7 から与えられた波形を表示する。このとき、CPU 6 は同時に、撮像したホワイトスケールチャート 30 の画像もD/A 変換回路 7 を介してモニタ 9 に出力する。モニタ 9 は、D/A 変換回路 7から与えられた画像を表示する。ユーザは、波形表示器 10 に表示される波形を見ながら、該当する R 、G 、Bのつまみ端子 11-R 、11-G 、11-Bを制御してR 、G 、B それぞれの H PARA 及び H SAW の波形を調整することにより、水平方向のホワイトシェーディング補正を行う。
【0006】同様に、CPU 6 は、ユーザが V PARA 及び V SAW の信号のレベルを検出する場合には、例えば、垂直方向の中央部のライン V の部分についての輝度波形を取り、D/A 変換回路 7 を介して波形表示器 10 に出力する。波形表示器 10 は、D/A 変換回路 7 から与えられた波形を表示する。このとき、CPU 6 は同時に、撮像したホワイトスケールチャート 30 の画像もD/A 変換回路 7 を介してモニタ 9 に出力する。モニタ 9 は、D/A 変換回路 7から与えられた画像を表示する。ユーザは、波形表示器 10 に表示される波形を見ながら、該当する R 、G 、Bのつまみ端子 11-R 、11-G 、11-B を制御してR 、G 、B それぞれの V PARA及び V SAW の波形を調整することにより、垂直方向のホワイトシェーディング補正を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術には、ホワイトシェーディング補正を行なう場合に、ホワイトチャート等の白い物を映し出して調整する工程が必要なある欠点があった。また、手動操作で調整しなければならない欠点があった。本発明の目的は、上記のような欠点を除去し、テレビジョンカメラの明暗のむらを、ホワイトスケールチャートを使用せずに自動調整可能なテレビジョンカメラのホワイトシェーディング補正の方法及び回路を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明のホワイトシェーディング補正の方法は、他の特性の調整にも使われるグレースケールチャートを用いて、映像レベルを検出する検出点をグレースケールチャートの中間色の点8点から検出し、検出された点のレベルを解析することによりホワイトシェーディングの自動調整を行うようにしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図1と図2により説明する図1は、グレースケールチャートを表したものである。また、図2は、本発明のテレビジョンカメラの構成を示すブロック図である。テレビジョンカメラ 8 は、光学系及び撮像部 3 、シェーディング補正回路 4 、レベル検出回路 5 、CPU 6 、及び、ディジタルアナログ変換回路( D/A )7 から構成される。図2の構成では、ホワイトシェーディングの補正に関わる構成を示し、他の要素は省略している。
【0010】まず、レンズ 2 を調整して図1のグレースケールチャート(図2のグレースケールチャート 1 )を、テレビジョンカメラ 8 が撮像する画像(モニタ 9 の表示画面)に収まるようにする。撮像した画像は、レンズ 2 を介して光学系及び撮像部 3 から R 、G 、B の映像信号としてシェーディング補正回路 4 に出力される。シェーディング補正回路 4 を通って補正をかけられた信号は、レベル検出回路 5 に出力される。レベル検出回路 5 は、入力された信号の R 、G、B それぞれの信号レベルを検出する。
【0011】図1の検出点■、■、■、及び、■、■、■を用いて、水平方向( H 方向)のホワイトシェーディングの調整を行う。左端の検出データとして、検出点■と■の輝度値の平均値 Ave1-6 を用いる。同様に、中央の検出データと右端の検出データとしては、検出点■と■の輝度値の平均値 Ave2-7 を用い、右端の検出データとしては、検出点■と■の輝度値の平均値 Ave3-8 を用いる。検出データは、各位置(左端、中央、右端)ともに R チャンネル(以後、Rchと称する)、G チャンネル(以後、Gch と称する)、B チャンネル(以後、Bchと称する)の3チャンネルについて検出する。
【0012】水平方向の直線的な波形 H SAW の調整は、検出点■と■の輝度値の平均値 Ave1-6 と検出点■と■の輝度値の平均値 Ave3-8 を用いて、検出データ Rch や検出データ Bch の検出レベルと検出データ Gch の検出レベルの差分を算出する。算出された差分値に応じて、CPU 6′は差分値がなくなるかまたは少なくなるような補正信号を D/A 変換器 7′に出力する。D/A 変換器 7′は与えられた補正信号をアナログ信号に変換してシェーディング補正回路 4′にフィードバックする。シェーディング補正回路 4′は、与えられた補正値に従って検出データ Rchと検出データ Bch のレベルを検出データ Gch のレベルに合わせ込んで調整する。
【0013】水平方向の扇形の波形 H PARA の調整は、検出点■と■の輝度値の平均値 Ave1-6 と検出点■と■の輝度値の平均値 Ave2-7 と検出点■と■の輝度値の平均値Ave3-8 を用いて、検出データ Rch や検出データ Bch の検出レベルと検出データ Gch の検出レベルの差分を算出する。算出された差分値に応じて、CPU 6′は差分値がなくなるかまたは少なくなるような補正信号を D/A 変換器 7′に出力する。D/A 変換器 7′は与えられた補正信号をアナログ信号に変換してシェーディング補正回路 4′にフィードバックする。シェーディング補正回路 4′は、与えられた補正値に従って検出データ Rchと検出データ Bch の検出レベルを検出データ Gch の検出レベルに合わせ込んで調整する。
【0014】また、検出点■、■、■、及び検出点■、■、■を用いて垂直方向( V 方向)のホワイトシェーディングの調整を行う。上端の検出データとして、検出点■の輝度値と検出点■の輝度値の平均値 Ave1-3 を用いる。同様に中央の検出データとして、検出点■の輝度値と検出点■の輝度値の平均値 Ave4-5 を用い下端の検出データとして、検出点■の輝度値と検出点■の輝度値の平均値 Ave6-8 を用いる。検出データは、各位置(左端、中央、右端)ともに R チャンネル(以後、Rchと称する)、G チャンネル(以後、Gch と称する)、B チャンネル(以後、Bchと称する)の3チャンネルについて検出する。
【0015】垂直方向の直線的な波形 V SAW の調整は、検出点■の輝度値と検出点■の輝度値の平均値 Ave1-3 と検出点■の輝度値と検出点■の輝度値の平均値 Ave1-3を用いて、検出データ Rch や検出データ Bch の検出レベルと検出データ Gchの検出レベルの差分を算出する。算出された差分値に応じて、CPU 6′は差分値がなくなるかまたは少なくなるような補正信号を D/A 変換器 7′に出力する。D/A 変換器 7′は与えられた補正信号をアナログ信号に変換してシェーディング補正回路 4′にフィードバックする。シェーディング補正回路 4′は、与えられた補正値に従って検出データ Rchと検出データ Bch の検出レベルを検出データ Gch の検出レベルに合わせ込んで調整する。
【0016】垂直方向の扇形の波形 V PARA の調整は、検出点■の輝度値と検出点■の輝度値の平均値 Ave1-3 と検出点■の輝度値と検出点■の輝度値の平均値 Ave1-3と検出点■の輝度値と検出点■の輝度値の平均値 Ave4-5 と検出点■の輝度値と検出点■の輝度値の平均値 Ave6-8を用いて、検出データ Rch と検出データ Bchの検出レベルと検出データ Gch の検出レベルの差分を算出する。算出された差分値に応じて、CPU 6′は差分値がなくなるかまたは少なくなるような補正信号を D/A 変換器 7′に出力する。D/A 変換器 7′は与えられた補正信号をアナログ信号に変換してシェーディング補正回路 4′にフィードバックする。シェーディング補正回路 4′は、与えられた補正値に従って検出データ Rchと検出データ Bch の検出レベルを検出データ Gch の検出レベルに合わせ込んで調整する。
【0017】上記の波形 H SAW 、H PARA 、V SAW 、V PARA の処理を、所定の範囲内に収斂するまで繰り返し行うことにより、ホワイトシェーディングの自動調整を行う。上述の実施例では、ホワイトシェーディングの補正によってテレビジョンカメラの光学系や撮像部で発生する明暗のむらの調整を行ったが、白(ホワイト)の補正だけでなく、中間色、黒(ブラック)レベルについても同様に実行できる。また、上述の実施例では、テレビジョンカラーカメラについて説明したが、モノクロテレビジョンカメラであっても良い。
【0018】また、上述の実施例では、検出データ Gch の検出レベルに他の検出データの検出レベルを合わせたが、検出データ Bch や検出データ Bch の検出レベルに合わせ込んでも良い。また、上述の実施例では、検出データ Gch 、Bch 、Rch の映像レベルを検出する点は、同一の点であったが、異なる点であっても良い。また、上述の実施例では、水平の場合は、左端、中央、右端それぞれ2点ずつの平均としたが、2点である必要はなく1点でも良く、3点以上でも良い。更に、垂直の場合も同様に、上端、中央、下端それぞれ2点ずつの平均としたが、2点である必要はなく1点でも良く、3点以上でも良い。
【0019】
【発明の効果】以上のように本発明を用いると、グレースケールチャートだけで、テレビジョンカメラの他の調整項目と合わせてホワイトシェーディング等のテレビジョンカメラの光学系や撮像部で発生する明暗のむらの調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例のグレースケールチャートを示す図。
【図2】 本発明の一実施例のテレビカメラの構成を示すブロック図。
【図3】 従来のテレビカメラの構成例を示すブロック図。
【図4】 従来のホワイトスケールチャートを示す図。
【符号の説明】
1:グレースケールチャート、 2:レンズ、 3:光学系及び撮像部、 4,4′:シェーディング補正回路、 5:レベル検出回路、 6,6′:CPU、 7:D/A、 8,8′:テレビジョンカメラ、 9:モニタ、 10:波形表示器、 11-R,11-G,11-B:つまみ端子、 30:ホワイトスケールチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 テレビジョンカメラの光学系や撮像部で生じる明暗のむらを調整するシェーディング補正方法において、グレースケールチャートを用いて該明暗のむらを調整することを特徴とするシェーディング補正方法。
【請求項2】 請求項1記載のシェーディング補正方法において、前記グレースケールチャートの中間色の映像レベルを検出し、検出された該映像レベルを解析することによりシェーディングを調整することを特徴とするシェーディング補正方法。
【請求項3】 請求項2記載のシェーディング補正方法において、水平方向のシェーディング補正は、左端、中央、右端の3点の映像レベルを検出し、検出された該3点の映像レベルを解析することによりシェーディングを調整することを特徴とするシェーディング補正方法。
【請求項4】 請求項3記載のシェーディング補正方法において、前記左端、中央、右端の3点の映像レベルを検出するために、それぞれ複数の点の映像レベルを検出し、検出された複数の映像レベルの平均を前記左端、中央、右端の3点の映像レベルとすることを特徴とするシェーディング補正方法。
【請求項5】 請求項2記載のシェーディング補正方法において、垂直方向のシェーディング補正は、上端、中央、下端の3点の映像レベルを検出し、検出された該3点の映像レベルを解析することによりシェーディングを調整することを特徴とするシェーディング補正方法。
【請求項6】 請求項5記載のシェーディング補正方法において、前記上端、中央、下端の3点の映像レベルを検出するために、それぞれ複数の点の映像レベルを検出し、検出された複数の映像レベルの平均を前記上端、中央、下端の3点の映像レベルとすることを特徴とするシェーディング補正方法。
【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のシェーディング補正方法において、カラー映像の補正の場合には、3チャンネルのいずれか1つの映像レベルに他の映像レベルを合わせ込むことを特徴とするシェーディング補正方法。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2003−234922(P2003−234922A)
【公開日】平成15年8月22日(2003.8.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−33598(P2002−33598)
【出願日】平成14年2月12日(2002.2.12)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】