説明

シェーマ作成装置

【課題】 より理解しやすい読影レポートを作成するためのシェーマを作成する。
【解決手段】 所定の方法により生成された3次元シェーマ情報を格納する3次元シェーマ情報記憶装置102と、格納された3次元シェーマ情報の表面情報あるいは断層面情報から2次元シェーマを作成し、作成された2次元シェーマ情報を読影レポート支援システム106へ伝道する中央処理装置103とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療情報システム、特に放射線読影レポート作成支援を行うシステムのシェーマ作成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射線読影レポートは、放射線技師が撮影した画像を参照し、放射線科医が作成する。その放射線読影レポーでは読影時に注目した場所や所見がある場所を示すために臓器などを示す線画(シェーマ)を使用することがある。
従来の放射線読影レポート作成支援システムでは、いくつかのパターンのシェーマを予め用意し操作者にその中から選ばせる手段を用意するか、あるいは操作者にシェーマを描かせる機能を提供するか、あるいはそれら両方の機能を提供するかという解決策を取っている。
【0003】
例えば、特許文献1では、液晶ペンタブレットを使用し特別な図形作成用のデバイスを用意しなくてもシェーマを容易に作成することが出来るということが記載されている。しかし、シェーマを描くという操作者の描画能力に依存する点については考慮がなく、一定の描画能力がある操作者の操作の効率を向上させる特許という点に留まっている。
【0004】
また、特許文献2では、ディスプレイ上に直接ペンで入力する手段を用いて、予め用意されたシェーマの選択やシェーマの描画を容易に行うことが出来るということが記載されている。しかし、任意の角度や視点からの読影画像を表現するためには予め用意されるシェーマを大量に準備する必要があり、大量なシェーマから必要なものを探し出す機能が必要となるがその問題点に対する解は記載されていない。また、ディスプレイ上に任意のシェーマを描画するという機能は記載されているが、前述の特許文献1と同じ事が言える。
【特許文献1】特開2002−304467号公報
【特許文献2】特開2003−225209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放射線読影レポートは、その所見などを記述する文章だけでは表現する内容が読影依頼元に正確に伝わらない可能性があるために、理解を助ける補助手段として対象部位や位置などをシェーマで表現した図を添付することがある。
読影レポートを用紙に記述する場合など、紙で運用する場合はレポート用紙の余白にシェーマを手描きあるいはシェーマの形状のスタンプで描き、コメントを記載するということが従来から行われている。
レポート作成支援システムを導入する場合は、シェーマは予め登録しておきそれを読影医が選択するか、タブレットなどの描画用の入力機器を用意して画面上でシェーマを描くという仕組みを用意することが一般的である。
【0006】
しかし、この場合、予め登録しておいたシェーマが読影医の表現したい方向からの描画とは異なる場合があり、その目的である参照医に対する十分な情報を提供することが出来なくなる可能性がある。一般的に読影対象の画像と同じ透視方向あるいは断層位置のシェーマを使用し、それに対してコメントを記入することで撮影画像とレポートの対応関係が分かりやすくなり、参照医の理解が正確に効率よくできると思われる。
また、タブレットなどの入力機器が充実したとしても、紙での運用と比較して、まだ十分に使いよいシェーマ描画の機能を提供するまではいたっていないことが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、所定の方法により生成された3次元シェーマ情報を格納する記憶装置と、格納された3次元シェーマ情報の表面情報あるいは断層面情報から2次元シェーマを作成する手段と、作成された2次元シェーマ情報を読影レポート作成支援システムへ伝送する手段を有することを特徴とするシェーマ作成装置。
【0008】
また、3次元シェーマを変形する手段をさらに備え、前記作成手段は、前記記憶手段によって格納された3次元シェーマ情報を、前記変形手段により変形させ2次元シェーマを作成することを特徴とする請求項1記載のシェーマ作成装置。
【0009】
また、3次元シェーマ情報から2次元シェーマを作成する際に3次元シェーマに対する視点を移動させる手段をさらに備え、前記作成手段は、前記記憶手段によって格納された3次元シェーマ情報から任意の方向からの2次元シェーマを作成することを特徴とする請求項1記載のシェーマ作成装置。
【0010】
3次元シェーマ情報から2次元シェーマを作成する際に3次元シェーマに対する断層面を移動させる手段をさらに備え、前記作成手段は、前記記憶手段によって格納された3次元シェーマ情報から任意の断層面での2次元シェーマを作成することを特徴とする請求項1記載のシェーマ作成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、読影医がコメントをつけやすい方向からのシェーマを描くことが出来、参照医の理解を助けるレポートを作成することが出来る。
また、本発明によって、簡単な操作で所望のシェーマを入手することが出来、レポート作成効率の向上を期待でき、それはひいては患者に対するサービス向上、医療の質の向上も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態のシステム構成図を示した。図中、101は位置情報入力装置、102は2次元シェーマ情報記憶装置、103は中央処理装置、104は表示装置、105はシェーマ加工指示装置、106はレポート作成支援システムを示す。
【0013】
図2は消化器系のX線画像の読影レポートでよく利用されるシェーマの例である。胃や十二指腸を表すシェーマであり、消化器の外観図を表す。この他にもCTやMRのような断層像を撮影する装置用として臓器内の実質を表現するシェーマも用いられる。
【0014】
図3はシェーマの変更を示したものである。3次元シェーマが内在される3次元の直方体の縦横のサイズを変更し、内部の3次元シェーマを変形させる。これは被験者の個人差によって臓器の形状が異なる場合により臓器の形状に適合するような変更を施すことが目的である。
【0015】
図4は3次元シェーマに対する視点を変更することによって、3次元シェーマが表現する臓器のいろいろな角度からの2次元シェーマ作成する概念図を表している。図3では例として3次元シェーマを眺める矢印を3種類記載している。
【0016】
図5は3次元シェーマの外形だけではなく、その断層像で2次元シェーマを作成する例である。断層面を動かし、断層像を作成する。主に臓器の実質を表現したい場合などに用いる。肝臓のCT断層像を表現する場合にこのような断層像の様なシェーマを使用する。
【0017】
図6に本実施例の処理フローを示す。3次元シェーマ情報記憶装置102から3次元シェーマの情報を中央処理装置102に読み出す。中央処理装置102上では3次元シェーマ情報は内部メモリー上に展開される。
中央処理装置102の内部では縦横比の変化に伴う3次元構造の変化を表現し、その結果は表示装置104に反映され、操作者の確認を促す。変形の度合いや方向などの指示情報は位置情報入力装置101より行われる。
【0018】
また、位置情報入力装置101により3次元シェーマに対する視点を移動させ、様々な角度から3次元シェーマを眺める2次元像を生成し、その結果は表示装置104に反映され、操作者の確認を促す。
さらに、位置情報入力装置101により3次元シェーマの2次元断層像生成のための断層面の移動を行うことが出来る。生成される断層面は表示装置104に表示され、操作者の確認を促す。
位置情報入力装置が縦横変化値をあらわすか、視点移動をあらわすか、断層面の移動を表すかは、シェーマ加工指示装置105の出力によるものとする。
生成された2次元シェーマはレポート作成支援システム106に出力され、レポート内に添付されるシステムが構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明が適用されるシステム構成図。
【図2】消化器系X線撮影画像用シェーマの例。
【図3】シェーマの変形例。
【図4】シェーマの視点の変更の例。
【図5】断層面を作成するための概念図。
【図6】実施例のフロー図。
【符号の説明】
【0020】
101 位置情報入力装置
102 3次元シェーマ情報記憶装置
103 中央処理装置
104 表示装置
105 シェーマ加工指示装置
106 レポート作成支援システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方法により生成された3次元シェーマ情報を格納する記憶装置と、
格納された3次元シェーマ情報の表面情報あるいは断層面情報から2次元シェーマを作成する手段と、
作成された2次元シェーマ情報を読影レポート作成支援システムへ伝送する手段を有することを特徴とするシェーマ作成装置。
【請求項2】
3次元シェーマを変形する手段をさらに備え、
前記作成手段は、前記記憶手段によって格納された3次元シェーマ情報を、前記変形手段により変形させ2次元シェーマを作成することを特徴とする請求項1記載のシェーマ作成装置。
【請求項3】
3次元シェーマ情報から2次元シェーマを作成する際に3次元シェーマに対する視点を移動させる手段をさらに備え、前記作成手段は、前記記憶手段によって格納された3次元シェーマ情報から任意の方向からの2次元シェーマを作成することを特徴とする請求項1記載のシェーマ作成装置。
【請求項4】
3次元シェーマ情報から2次元シェーマを作成する際に3次元シェーマに対する断層面を移動させる手段をさらに備え、前記作成手段は、前記記憶手段によって格納された3次元シェーマ情報から任意の断層面での2次元シェーマを作成することを特徴とする請求項1記載のシェーマ作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−75490(P2006−75490A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265249(P2004−265249)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】