説明

シガレットの主流煙から一酸化炭素と酸化窒素を減らすための触媒

一酸化炭素を二酸化炭素に変換でき、及び/又は酸化窒素を窒素に変換できる触媒の使用を含むカットフィラー組成物、シガレット、シガレットの製造方法及びシガレットの喫煙方法を提供する。カットフィラー組成物はタバコと少なくとも1種の触媒を含む。少なくとも1種の触媒を有するカットフィラーを含むシガレットを提供する。触媒は、繊維状担体上に担持されたナノスケールの金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を含む。ナノスケール粒子の分散系を繊維状担体と混ぜ合わせることによって、或いは金属前駆体溶液を繊維状担体と混ぜ合わせてから繊維状担体を加熱することによって触媒を調製することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般的に、喫煙中のシガレットの主流煙中の一酸化炭素のような成分を減らす方法に関する。より詳細には、本発明は、タバコの煙中の種々の成分の量を減らすことができるナノ粒子添加剤の使用を含むカットフィラー組成物、シガレット、シガレットの製造方法及びシガレットの喫煙方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
以下の説明では特定の構造と方法を参照するが、このような参照は、適用可能な法定条項下でこれら構造と方法を先行技術とみなすことを許容するものと必ずしも解釈するものではない。出願人らは、参照したいずれの主題も先行技術を構成しないことを実証する権利を留保する。
シガレット又はシガーのような喫煙品は、吹く間の主流煙と、静的燃焼中の副流煙の両方を生成する。主流及び副流の両煙の一成分は一酸化炭素(CO)である。煙中の一酸化炭素の減少が望ましい。
喫煙品用の触媒、吸収剤、及び/又は酸化剤が以下の文献に開示されている:Sniderらに発行された米国特許第6,371,127号、Bowenらに発行された米国特許第6,286,516号、Yamazakiらに発行された米国特許第6,138,684号、Rongvedに発行された米国特許第5,671,758号、Quincy, IIIらに発行された米国特許第5,386,838号、Shannonらに発行された米国特許第5,211,684号、Deffevesらに発行された米国特許第4,744,374号、Cohnに発行された米国特許第4,453,553号、Owensに発行された米国特許第4,450,847号、Seehoferらに発行された米国特許第4,182,348号、Martinらに発行された米国特許第4,108,151号、米国特許第3,807,416号及び米国特許第3,720,214号。公開された出願WO 02/24005、WO 87/06104、WO 00/40104及び米国特許出願公開番号2002/0002979 A1、2003/0037792 A1及び2002/0062834 A1も触媒、吸収剤、及び/又は酸化剤に言及している。
タバコ製品で使うための鉄及び/又は酸化鉄について記述されている(例えば、米国特許第4,197,861号;第4,489,739号及び第5,728,462参照)。酸化鉄は、着色剤として(例えば、米国特許第4,119,104号;第4,195,645号;第5,284,166号)及び燃焼調節剤として(例えば、米国特許第3,931,824号;第4,109,663号及び第4,195,645号)記述されており、また食味、色及び/又は外観を改良するために使用されている(例えば、米国特許第6,095,152号;第5,598,868号;第5,129,408号;第5,105,836号及び第5,101,839号)。
現在までのこのような発展にもかかわらず、喫煙中の喫煙品の主流煙中の一酸化炭素の量を減らすための改良された、より効率的な方法と組成物が未だに要望されている。
【0003】
(概要)
主流煙中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換するため及び/又は主流煙中の酸化窒素を窒素に変換するための触媒の使用を含むタバコカットフィラー組成物、シガレットフィラー及び/又はシガレット用紙(cigarette paper)、シガレット、シガレットの製造方法並びに喫煙方法を提供する。
一態様は、タバコと、主流煙中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換するため及び/又は主流煙中の酸化窒素を窒素に変換するための触媒とを含んでなるカットフィラー組成物であって、前記触媒が、繊維状担体上に担持されたナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子を含む、前記組成物を提供する。
別の態様は、カットフィラーと、主流煙中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換でき、及び/又は主流煙中の酸化窒素を窒素に変換できる触媒とを含んでなるシガレットであって、前記触媒が、繊維状担体上に担持されたナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子を含む、前記組成物を提供する。
【0004】
さらなる態様は、シガレットの製造方法であって、以下の工程:
(i)タバコカットフィラー、シガレット包装紙(cigarette paper wrapper)及び/又はシガレットフィルターに触媒を添加する工程(ここで、前記触媒は、繊維状担体に担持されたナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子を含む);(ii)カットフィラーをシガレット製造機に供給してタバコロッドを形成する工程;(iii)前記タバコ円柱(tobacco column)の周りに包装紙を配置すしてタバコロッド(tobacco rod)を形成する工程;及び(iv)任意的に前記タバコ円柱にシガレットフィルターを取り付けてシガレットを形成する工程;を含む方法を提供する。本発明で製造されるシガレットは、好ましくはシガレット1本当たり約200mgまでの前記触媒を含む。
好ましい態様では、ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子は、元素周期表のIB〜VIIB、VIII、IIIA及びIVA族の元素、及びその混合物から成る群より選択される金属元素を含む。例えば、ナノスケールの金属酸化物粒子は、酸化鉄、オキシ水酸化鉄及び酸化銅、並びにその混合物を含みうる。ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子は、約20〜2500m2/gの比表面積、約50nm未満、好ましくは約10nm未満の平均粒径を有しうる。ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子はさらに炭素を含むことができるが、好ましくはナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子は炭素フリーである。
【0005】
前記繊維状担体は、酸化物が結合した炭化ケイ素、ボリア(boria)、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、チタニア、イットリア(yttria)、セリア(ceria)、ガラス、ジルコニア(任意に、カルシア(calcia)又はマグネシアで安定化されていてもよい)、及びその混合物から成る群より選択される耐火性の炭化物及び酸化物を含むことができる。繊維状担体は、約0.1〜2000m2/gの比表面積を有し、かつミリメーター、ミクロン、サブミクロン及び/又はナノスケールの線維を含みうる。
好ましい態様では、ナノスケールの金属酸化物粒子は酸化鉄、オキシ水酸化鉄、酸化銅、又はその混合物を含む。主流煙中の少なくとも10%の一酸化炭素を二酸化炭素に変換し、及び/又は主流煙中の酸化窒素を窒素に変換するために有効な量で触媒をタバコに添加することができる。好ましくは、線維状担体内及び/又は繊維状担体上に単層未満のナノスケール粒子が沈着(deposite)している。例えば、触媒は、繊維状担体上に担持された0.1〜50wt.%のナノスケールの粒子を含むことができ、触媒はカットフィラー、シガレット用紙及び/又はシガレットのフィルター内に存在する。
【0006】
好ましい方法では、(i)ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子と液体を混ぜ合わせて分散系(dispersion)を形成し;(ii)この分散系を繊維状担体と混ぜ合わせ;かつ(iii)繊維状担体を加熱して、前記液体を除去して繊維状担体内及び/又は繊維状担体上にナノスケール粒子を沈着させることによって触媒を形成する。
別の好ましい方法では、(i)金属前駆体と溶媒を混ぜ合わせて金属前駆体溶液を形成し;(ii)繊維状担体をこの金属前駆体溶液と接触させ;(iii)繊維状担体を乾燥させ;かつ(iv)金属前駆体を熱的に分解して繊維状担体内及び/又は繊維状担体上にナノスケールの粒子を形成するために十分な温度に繊維状担体を加熱することによって触媒を形する。例えば、繊維状担体、好ましくは加熱した繊維状担体上にナノスケール粒子の分散系又は金属前駆体溶液を噴霧することができる。任意に、金属前駆体溶液にナノスケール粒子の分散系を添加することができる。
金属前駆体は、1種以上の金属β-ジケトネート、金属ジオネート、金属オキサレート及び金属水酸化物でよく、金属前駆体中の金属は、元素周期表のIB〜VIIB、VIII、IIIA及びIVA族の元素、及びその混合物から選択される少なくとも1種の元素を含みうる。ナノスケール粒子の分散系を形成するために使用する液体、及び金属前駆体溶液を形成するために使用する溶媒として、蒸留水、ペンタン、ヘキサン、芳香族炭化水素、シクロヘキサン、キシレン、酢酸エチル、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、アセトン、二硫化炭素、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、ピリジン、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、アルデヒド、ケトン、クロロホルム、ミネラルスピリット、及びその混合物が挙げられる。金属前駆体を約200〜400ECの温度で加熱することによって、ナノスケールの金属及び/又は金属酸化物粒子に分解することができる。
さらに別の態様は、シガレットに点火して煙を形成し、この煙をシガレットを通じて吸い込むことを含む上記シガレットの喫煙方法であって、喫煙中に、前記触媒が、一酸化炭素を二酸化炭素に変換するため及び/又は酸化窒素を窒素に変換するための触媒として作用する、前記喫煙方法を提供する。
【0007】
(好ましい態様の詳細な説明)
一酸化炭素(CO)の二酸化炭素(CO2)への変換及び/又は酸化窒素(NOx)の窒素(N2)への変換用触媒として作用可能な、繊維状担体上にナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子を有する触媒の使用を含むタバコカットフィラー組成物、シガレット、シガレットの製造方法及びシガレットの喫煙方法を提供する。
触媒は、反応の反応物又は生成物として関与せずに化学反応の速度に影響を及ぼすことができ、例えば、一酸化炭素の二酸化炭素への酸化速度を高め、及び/又は酸化窒素の窒素への還元速度を高めうる。酸化剤は、例えば、反応物に酸素を供与して、酸化剤自体は還元されることによって反応物を酸化することができる。
シガレットの“喫煙”は、シガレットを通して吸い込みうる煙を形成するためのシガレットの加熱又は燃焼を意味する。一般的に、シガレットの喫煙は、シガレットの一端に点火することと、この中に含まれるタバコが燃焼反応を受けながら、シガレットの口側端を通じてシガレットの煙を吸い込むことを含む。シガレットを他の手段で喫煙することもできる。例えば、一般譲渡された米国特許第6,053,176号;第5,934,289号;第5,591,368号及び第5,322,075号に記載されているように、シガレットを加熱して、及び/又は電気ヒーター手段を用いて加熱してシガレットを喫煙することができる。
用語“主流”煙は、タバコロッドを下方に進むガスとフィルター端を通じて出るガスの混合物を指し、すなわち、シガレットの喫煙中、シガレットの口側端から出る、或いは吸い込まれる煙の量を指す。
タバコ中の成分に加え、喫煙中のシガレット内の温度と酸素濃度は、一酸化炭素、酸化窒素及び二酸化炭素の形成と反応に影響する因子である。例えば、喫煙中に形成される一酸化炭素の総量は、以下の3つの主原因の組合せの結果として生じる:熱分解(約30%)、燃焼(約36%)及び炭化されたタバコによる二酸化炭素の還元(少なくとも23%)。熱分解による一酸化炭素の形成は、化学反応速度論によって大きく制御されるが、約180ECの温度で始まり、約1050ECで終わる。燃焼中の一酸化炭素と二酸化炭素の形成は、表面への酸素の拡散(ka)と表面反応(kb)によって大きく制御される。250ECでは、kaとkbがほぼ同じである。400ECでは、反応が、制御された拡散になる。最後に、約390EC以上の温度で、炭化されたタバコ又は木炭による二酸化炭素の還元が起こる。
【0008】
喫煙中、シガレットには以下の3つの別個の領域がある:燃焼ゾーン、熱分解/蒸留ゾーン、及び濃縮/ろ過ゾーン。理論に拘泥されたくないが、本発明の触媒は、喫煙中のシガレットの異なる領域で起こる種々の反応を標的にできると考えられる。
まず、燃焼ゾーンは、シガレットの喫煙中に、通常、シガレットの点火された末端に生成される、シガレットの燃焼するゾーンである。燃焼ゾーンの温度は、約700EC〜約950ECの範囲であり、加熱速度は500EC/秒程度と高い。タバコの燃焼で酸素が消耗されて一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素、水蒸気、及び種々の有機化合物が生成するので、燃焼ゾーン内の酸素濃度は低い。低い酸素濃度と高温が結びついて、炭化されたタバコによる二酸化炭素の一酸化炭素への還元をもたらす。この領域内では、触媒は触媒作用と酸化機構の両方で一酸化炭素を二酸化炭素に変換することができ、かつ触媒は触媒作用と還元機構の両方で酸化窒素を窒素に変換することができる。燃焼ゾーンは、非常に発熱を伴い、生成される熱が熱分解/蒸留ゾーンに運ばれる。
熱分解ゾーンは、燃焼ゾーンの後の領域であり、温度範囲は約200EC〜約600ECである。熱分解ゾーンは、大部分の一酸化炭素と酸化窒素が生成されるところである。主反応はタバコの熱分解(すなわち、熱的分解)であり、燃焼ゾーンで生成された熱を用いて一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素、煙成分、及び木炭を生じさせる。この領域内にはいくらかの酸素が存在するので、触媒は一酸化炭素の二酸化炭素への酸化及び/又は酸化窒素の窒素への還元のための触媒として作用しうる。触媒反応は150ECで始まり、ほぼ300ECで最大活性に達する。
濃縮/ろ過ゾーンでは、温度は周囲温度〜約150ECの範囲である。このゾーンの主プロセスは、煙成分の濃縮/ろ過である。シガレットからいくらかの量の一酸化炭素、二酸化炭素及び酸化窒素が拡散し、かつシガレット中にいくらかの酸素が拡散する。濃縮/ろ過ゾーン内の酸素の分圧は、一般的に大気圧レベルには回復しない。
【0009】
触媒は繊維状担体上に担持された金属及び/又は酸化金属のナノスケール粒子を含む。ナノスケール粒子は、元素周期表のIB〜VIIB、VIII、IIIA及びIVA族の元素、例えば、B、C、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Ce、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、及びその混合物から成る群より選択される金属元素を含みうる。繊維状担体は、酸化物が結合した炭化ケイ素、ボリア、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、チタニア、イットリア、セリア、ガラス、ジルコニア(任意に、カルシア又はマグネシアで安定化されていてもよい)、又はその混合物を含みうる。タバコカットフィラー内に触媒を直接配置することが好ましいが、シガレットフィルター内に触媒を配置し、或いはシガレット用紙に触媒を組み込んでもよい。触媒をタバコカットフィラー内と他の位置の両方に配置することもできる。
ナノスケール粒子は新分類の材料であり、その識別する特徴は、その平均粒径、すなわち粒子サイズ又は他の構造ドメインサイズが約100ナノメーター未満であることである。ナノスケール粒子は、約100nm未満、好ましくは約50nm未満、さらに好ましくは約10nm未満の平均粒径を有しうる。ナノスケール粒子は、体積に対して非常に高い表面積比を有し、粒子を触媒用途で魅力的にする。
【0010】
繊維状担体上にナノスケール粒子を拡散させることによって、非担持型ナノスケール粒子より粒子を扱いやすく、かつタバコカットフィラーと混ぜ合わせやすい。この方法によって、ナノスケール粒子をタバコカットフィラーと混ぜ合わせ、及び/又はタバコカットフィラーの組込みの際にシガレット中に混ぜ合わせることができる。繊維状担体は、カットフィラーの燃焼中に粒子の凝集又は粒子が一緒に焼結するのを阻害するセパレーターとして作用しうる。粒子の焼結は、不都合なことに燃焼ゾーンを伸長し、その結果過剰なCO及びNOxの生成となりうる。繊維状担体は粒子の焼結を最小限にし、ひいては燃焼ゾーンの伸長と活性表面積の損失を最小限にする。
触媒作用に利用できるナノスケール粒子の表面積の量を最大にするため、好ましくは単層未満のナノスケール粒子を繊維状担体内及び/又は繊維状担体上に沈着させる。例えば、触媒は、繊維状担体上に担持された約0.1〜50wt.%のナノスケール粒子を含むことができる。繊維状担体上のナノスケール粒子の装填を調整することによって、触媒/酸化剤の活性を調節することができる。単層未満のナノスケール粒子を沈着させることで、隣接するナノスケール粒子が一緒に焼結することがほとんどないだろう。
触媒的に活性なナノスケール粒子と触媒的に活性な繊維状担体の相乗的組合せは、より効率的な触媒をもたらしうる。従って、繊維状担体上に沈着したナノスケール粒子は、有利には小量の触媒を用いて触媒作用、例えば、COからCO2への酸化及び/又はNOxのN2への還元をすることができる。
【0011】
このましい方法により、ナノスケール金属粒子及び/又はナノスケール酸化金属粒子(例えば、ナノスケール酸化銅及び/又はナノスケール酸化鉄)を液体に分散させ、かつ繊維状担体と緻密に接触させ、乾燥させて繊維状担体内又は繊維状担体上にナノスケール粒子の緻密な分散系を生じさせることができる。
別の好ましい方法により、金属前駆体化合物と接触させた繊維状担体を加熱してナノスケール粒子をインサイツ形成することができる。例えば、ペンタン二酸銅のような金属前駆体をアルコールのような溶媒に溶かして繊維状担体と接触させることができる。この含浸担体を比較的低温、例えば、200〜400ECに加熱することができ、金属前駆体の熱的分解の結果、繊維状担体内又は繊維状担体上にナノスケールの金属粒子又は金属酸化物粒子の形成及び沈着となる。
【0012】
ナノスケールの金属酸化物粒子の例は酸化鉄粒子である。例えば、MACH I, Inc., King of Prussia, PAは、Fe2O3のナノスケール粒子を商標名NANOCAT(登録商標)Superfine Iron Oxide(SFIO)及びNANOCAT(登録商標)Magnetic Iron Oxideで販売している。NANOCAT(登録商標)Superfine Iron Oxide(SFIO)は、自由流動粉末の形態で約3nmの粒径、約250m2/gの比表面積、及び約0.05g/mlのかさ密度を有する非晶質の酸化第二鉄である。NANOCAT(登録商標)Superfine Iron Oxide(SFIO)は気相法で合成され、従来の触媒に存在しうる不純物がなく、食品、薬物、及び化粧品で使うのに好適である。NANOCAT(登録商標)Magnetic Iron Oxideは、約25nmの粒径と約40m2/gの比表面積を有する自由流動粉末である。
繊維状担体は、耐火性炭化物及び酸化物の混合物を含むことができ、該繊維状材料の非晶質形態及び結晶形態が挙げられる。繊維状担体として使用できる典型的分類のセラミック材料として、融解石英及び融解シリカが挙げられる。融解石英及び融解シリカは超純粋な単成分ガラスである。融解石英及び融解シリカは両方ともほとんどの物質に不活性である。融解石英は、粉末化した石英結晶を供給原料として用いて製造され、普通は透明であり、融解シリカ製品は、通常、高純度のシリカ砂から製造される。両場合、融解プロセスは、電気動力供給溶鉱炉又は炎融解プロセスのようないずれかの適切な加熱技術を用いて高温(2000EC超え)で行われる。
繊維状担体として用いる繊維の比表面積は、好ましくは低く、典型的に約200m2/gであるが、約0.001m2/gより大きく、好ましくは約0.1〜200m2/gである。繊維の長さは、好ましくは約1cmより長く、例えば、約2.5cmより長いが、典型的に約25cm未満である。好ましくは、繊維は布のように織られていないが、代わりに不織マット又はラグにおけるようにランダムに絡み合わされている。好ましくは、繊維は触媒的に活性な繊維である。
【0013】
分子有機分解(MOD)を用いてナノスケール粒子を調製することができる。MODプロセスは、適切な溶媒に溶かした所望の金属元素を含有する金属前駆体で開始する。例えば、このプロセスは1つ以上の金属原子を有する単金属前駆体を含み、或いはこのプロセスは、溶液中で混ざって溶液混合物を形成している複数の単金属前駆体を含みうる。上述したように、MODを用いてナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子を調製後、粒子を繊維状担体に添加し、或いは、繊維状担体を金属前駆体溶液と接触させ、金属前駆体を熱的に分解してナノスケール粒子を与えることができる。
金属前駆体の分解温度は、リガンドが金属原子から実質的に解離する(又は揮発する)温度である。このプロセスの間にリガンドと金属原子との間の結合は、リガンドが気化するか又は別なふうに金属から離れるように切断される。好ましくは、すべてのリガンドが分解する。しかし、ナノスケール粒子は、金属前駆体及び/又は溶媒中に存在する有機又は無機成分の部分的な分解によって得られる炭素を含んでもよい。
MOD処理で用いられる金属前駆体は、好ましくは高純度で無毒かつ扱いやすく、貯蔵しやすい(長い貯蔵寿命)。望ましい物理的性質として、溶媒系における溶解性、多成分合成の他の前駆体との適合性、及び低温処理のための揮発性が挙げられる。
単金属(ホモ金属)前駆体の混合物又は単一源の混合金属(ヘテロ金属)前駆体分子(1つ以上の金属元素が化学的に会合している)から多成分ナノスケール粒子を得ることができる。所望化学量論の結果の粒子は、金属前駆体溶液の化学量論と一致しうる。
多成分ナノスケール粒子を調製するとき、異なった単金属前駆体を使用すると前駆体のレオロジー及び生成物の化学量論の設計におけるフレキシビリティーという利点がある。他方、ヘテロ金属前駆体は、金属系(その単金属前駆体は望ましくない溶解性、揮発性又は適合性を有する)へのアクセスを提供しうる。
【0014】
金属アルコキシド及び/又はアセテート、β-ジケトネート若しくはニトレートのような他の金属前駆体を混合することでルイス酸-塩基反応又は置換反応によって混合金属種を得ることができる。しかし、混合反応は熱力学的に制御されるので、一旦単離されたヘテロ化合物の化学量論は、そのヘテロ化合物が調製された混合物の組成比を反映しないかもしれない。他方、大部分の金属アルコキシドは、混ぜ合わせてヘテロ金属種を生成することができ、この金属種は出発原料より可溶性であることが多い。
本発明で述べる触媒の製造方法の一局面は、ナノスケール粒子で商業的に望ましい化学量論を得られることである。例えば、ナノスケール粒子における所望の原子比は、その所望の原子比に等しい第1金属原子の第2金属原子に対する比を有する金属前駆体又は金属前駆体の混合物を選択することによって達成されうる。
金属前駆体化合物は、好ましくは金属有機化合物であり、中心に典型金属、遷移金属、ランタニド金属、若しくはアクチニド金属又はメタロイド原子があり、架橋原子(例えば、N、O、P又はS)に結合しており、それが有機基に結合している。中心の金属又はメタロイド原子の例として、B、C、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Ce、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt及びAuが挙げられる。このような金属化合物としてアルコキシド、β-ジケトネート、カルボキシレート、オキサレート、シトレート、ヒドリド、チオレート、アミド、ニトレート、カーボネート、シアネート、スルフェート、ブロミド、クロリド、及びその水和物が挙げられる。金属前駆体は、いわゆる有機金属化合物でもよく、この場合、中心の金属原子が有機基の1つ以上の炭素原子に結合している。これら金属前駆体による処理の局面を以下に述べる。
【0015】
ナノスケールの酸化物の合成用前駆体は、金属アルコキシドM(OR)n又はオキソアルコキシドMO(OR)n(R=飽和若しくは不飽和有機基、アルキル又はアリール)、β-ジケトネートM(β-ジケトネート)n(β-ジケトネート=RCOCHCOR')及び金属カルボキシレートM(O2CR)nのような先在する金属-酸素結合を有する分子である。金属アルコキシドは良い溶解性と揮発性を両方とも有しており、MOD処理に容易に適用しうる。しかし、一般的に、これら化合物は非常に吸湿性であり、不活性な雰囲気で貯蔵する必要がある。ケイ素アルコキシドが液体かつ単量体であるのと対照的に、ほとんどの金属を主成分とするアルコキシドは固体である。他方、金属アルコキシド結合の高い反応性は、これら金属前駆体材料を、M(OR)n-xx(Z=β-ジケトネート又はO2CR)のようないろいろなヘテロレプティック(heteroleptic)種(すなわち、異なるタイプのリガンドを有する種)用の開始化合物として役に立つようにすることができる。
金属アルコキシドM(OR)nは多種の分子のプロトンと容易に反応する。このことは、例えば、アルコール、シラノール(R3SiOH)、グリコールOH(CH)nOH、カルボン酸及びヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシル界面活性物質などのような有機ヒドロキシ化合物を用いることによる簡単な化学変化を可能にし、化学量論の制御を可能にする。
フッ素化アルコキシドM(ORF)n(RF=CH(CF3)、C65、…)は有機溶媒に容易に溶け、かつ非フッ素化アルコキシドより加水分解に対して感受性が低い。これら材料をフッ化物、酸化物又はF-ドープ酸化スズのようなフッ化物-ドープ酸化物用前駆体として使用でき、ナノスケールの金属酸化粒子として使用しうる。
【0016】
金属アルコキシドの変化は、加水分解に利用できるM-OR結合の数、ひいては加水分解感受性を低減する。従って、例えば、アルコキシドの改質剤として又はアルコキシドに代えて、金属β-ジケトネート(例えば、アセチルアセトン)又はカルボン酸(例えば、酢酸)を用いて溶液化学をインサイツ制御することができる。
金属β-ジケトネート[M(RCOCHCOR')n]mは、その揮発性と高い溶解度のためMOD処理用の魅力的な前駆体である。その揮発性は、R基、R'基のかさ及び金属の性質によって大きく支配され、上式で表される会合度、mを決定する。アセチルアセトネート(R=R'=CH3)は、良い収率を与えるので有利である。
金属β-ジケトネートは、これら前駆体の原子核性の減少につながりうるキレート化挙動の傾向がある。これらリガンドは、表面キャッピング試薬及び重合開始剤として作用しうる。こうして、M(OR)n-xx(β-ジケトネート)xの加水分解後に小粒子が得られる。例えば、アセチルアセトンはナノスケールのコロイドを安定化する。従って、金属β-ジケトネート前駆体はナノスケール粒子の調製に好ましい。
【0017】
アセテート(M(O2CMe)n)のような金属カルボキシレートは水和物として商業的に入手可能であり、無水酢酸又は2-メトキシエタノールと加熱することで無水物にすることができる。多くの金属カルボキシレートは、カルボキシレートリガンドが主に架橋キレート化リガンドとして作用し、容易にオリゴマー又はポリマーを形成するので、一般的に有機溶媒にあまりよく溶けない。しかし、最小数の炭素原子のカルボキシレートである2-エチルヘキサノエート(M(O2CCHEtnBu)n)は、一般的にほとんどの有機溶媒に溶ける。多数のカルボキシレート誘導体がアルミニウムで利用できる。ナノスケールのアルミニウム-酸素巨大分子及びクラスター(アルモキサン(alumoxanes))をナノスケール粒子として使用しうる。例えば、式Al(O2CH)3(H2O)及びカルボキシレート-アルモキサン[AlOx(OH)y(O2CR)z]mは安価な鉱物ギブサイト又はベーマイトから調製することができる。
【0018】
MOD処理で用いる溶媒はいくつかの基準に基づいて選択され、この基準として、金属前駆体化合物に対する高い溶解性;金属前駆体化合物に対して化学的に不活性なこと;使用する沈着法との流体力学的適合性(例えば、所望粘度、湿潤性及び/又は他のレオロジーアジャスターとの適合性);沸点;蒸気圧及び/又は気化速度;及び経済的因子(例えば、コスト、回収可能性、毒性など)が挙げられる。
MOD処理で使用しうる溶媒として、蒸留水、ペンタン、ヘキサン、芳香族炭化水素、シクロヘキサン、キシレン、酢酸エチル、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、アセトン、二硫化炭素、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、ピリジン、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、アルデヒド、ケトン、クロロホルム、ミネラルスピリット、及びその混合物が挙げられる。
ナノスケールの金属粒子は、イオン交換、浸漬、又は物理的混合のような当技術で公知の方法で繊維状担体に組み込むことができる。例えば、ナノスケールの金属粒子及び/又は金属前駆体を液体に懸濁又は溶解させて、分散した粒子及び/又は溶解した金属前駆体を有する前記液体と繊維状担体を接触させ、混合し、又はその液体を噴霧することができる。コーティング工程の間又は該工程の後に、繊維状担体を乾燥させ、及び/又は加熱処理することができる。
【0019】
第1態様により、ナノスケール粒子の液体分散系を繊維状担体と混ぜ合わせることができる。ナノスケール粒子を液体に懸濁又は溶解させて、分散した粒子を有する前記液体と繊維状担体を混合し、又は該液体を噴霧することができる。この液体は、繊維状担体を該液体の沸点より高温で加熱することによって、又は繊維状担体の周囲の環境の圧力を前記粒子が該担体上に留まるように減少させることによって、実質的に繊維状担体から除去されうる。ナノスケール粒子の分散系を形成するために用いる液体として、蒸留水、ペンタン、ヘキサン、芳香族炭化水素、シクロヘキサン、キシレン、酢酸エチル、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、アセトン、二硫化炭素、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、ピリジン、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、アルデヒド、ケトン、クロロホルム、ミネラルスピリット、及びその混合物が挙げられる。
一般に、ナノスケール粒子と繊維状担体は、該担体上に金属粒子の所望の装填を与えるのに適したいずれの割合で混ぜ合わせてもよい。例えば、ナノスケールの酸化鉄粒子又は酸化銅粒子をセラミック繊維と混ぜ合わせて、セラミック繊維上に約0.1wt.%〜50wt.%、例えば、10wt.%又は20wt.%の酸化鉄又は酸化銅のナノスケール粒子を生成することができる。
【0020】
例として、NANOCAT(登録商標)酸化鉄粒子の5wt.%混合物を超音波処理で蒸留水に分散させた。この分散系を200mgの石英ウール担体上に噴霧して(このコーティング工程中約50ECに加熱した)から空気中で乾燥させて石英ウール上に100mgのナノスケール酸化鉄を含んでなる触媒を得た。結果の触媒のSEM画像を図1に示す。この触媒を実験用シガレットのカットフィラー中に組み込み、流速500ml/分の連続的引出し条件下で煙を出した。マルチ-ガスアナライザーを用いてCOとNOを測定した。この実験用シガレットを通じて引き出されたCOとNOの量を触媒のない対照シガレットを通じて引き出された量と比較した。表1のデータは、ナノスケール粒子/石英ウール触媒を用いることで得られる改善を示す。
【0021】
表1.NANOCAT/石英ウール触媒を用いたCOとNOの還元

【0022】
第2態様によれば、金属前駆体化合物の熱的分解によって繊維状担体上にナノスケール粒子をインサイツ形成することができる。金属、又は金属酸化物のナノスケール粒子に好適な前駆体化合物は、上述したような比較的低温で熱的に分解する化合物である。溶媒中の金属前駆体の濃度は、通常約0.001モル濃度(M)〜10M、好ましくは約0.1〜1Mの範囲である。金属前駆体溶液と繊維状担体をほぼ周囲温度で、例えば、噴霧又はディップコーティングによって、或いは高温で、例えば還流によって混合することができる。混合温度は、典型的にほぼ周囲温度、例えば23ECから約50ECの範囲である。混合は、好ましくは周囲圧力で行う。
繊維を、金属前駆体を含有する溶液と接触させた後、約23ECから金属前駆体の分解温度未満の温度、典型的に約23EC〜100ECの温度で繊維状担体材料を空中乾燥させることができる。好ましい一態様では、乾燥した前駆体-繊維状担体を加熱し(例えば、100EC超え)、金属前駆体を分解して繊維状担体上にナノスケール粒子を含む触媒物質を形成することができる。別の態様により、乾燥した前駆体-繊維状担体をカットフィラーと混ぜ合わせることができる。
金属前駆体をその分解温度より高温で熱的に処理することによって、金属前駆体を分解させて繊維状担体内又は繊維状担体上に分散したナノスケール粒子を形成することができる。熱処理が金属前駆体の分解を引き起こして連続的な金属原子を引き離し、それによって金属原子が結合してナノスケールの金属又は金属酸化物粒子を形成しうる。金属前駆体が1つより多い金属元素を含む場合、ナノスケール粒子は、金属前駆体溶液中の金属の化学量論比にほぼ等しい原子比を有しうる。
熱処理は種々の雰囲気で行うことができる。例えば、繊維状担体を金属前駆体溶液と接触させ、この接触担体を酸化雰囲気の存在下で加熱してから酸化雰囲気の実質的な非存在下で加熱してナノスケールの金属酸化物粒子を形成することができる。酸化雰囲気は空気又は酸素を含むことができる。代わりに、繊維状担体を金属前駆体溶液と接触させ、この接触担体を不活性又は還元雰囲気内で加熱してナノスケール金属粒子を形成することができる。還元雰囲気は水素、窒素、アンモニア、二酸化炭素及びその混合物を含むことができる。好ましい還元雰囲気は、水素-窒素混合物(例えば、フォーミングガス)である。
金属前駆体-接触担体は、好ましくは金属前駆体の分解温度又はそれ以上の温度で加熱する。好ましい加熱温度は、使用する特定リガンドによって、また金属及び残存すべき他の望ましい基の分解温度によって決まるだろう。しかし、好ましい温度は約200EC〜400EC、例えば、300EC又は350ECである。均一に分散した金属前駆体の熱的分解の結果、好ましくは繊維状担体の表面内及び/又は前記表面上のナノスケール粒子の均一な沈着となる。
【0023】
例として、石英ウールをアルコール中のペンタン二酸銅の0.5M溶液と初発湿潤点まで混合することによってナノスケールの酸化銅粒子を石英ウール上に形成した。担体を一晩室温で乾燥させてから空気中で400ECに加熱して、緻密に石英ウールで被覆され/石英ウールと混合しているナノスケールの酸化銅粒子を含んでなる触媒物質を形成した。
一般に、担体上に金属粒子の所望の装填を与えるいずれの適切な比率でも金属前駆体と繊維状担体を混ぜ合わせうる。例えば、シュウ酸鉄又はペンタン二酸銅を石英ウールと混ぜ合わせて、石英ウール上に約0.1wt.%〜50wt.%、例えば10wt.%又は20wt.%のナノスケールの酸化鉄、オキシ水酸化鉄又は酸化銅を生じさせることができる。
繊維状担体は、金属前駆体が繊維状担体の表面上で金属に変換される温度に加熱しても融解せず、完全には気化せず、或いは別なふうにナノスケール粒子を担持できなくならないいずれの熱的に安定な/耐火性の物質をも包含しうる。
COからCO2への変換中、酸化物ナノスケール粒子は還元されうる。例えば、ナノスケールのFe23粒子は、COのCO2への反応中にFe34、FeO又はFeに還元されうる。繊維状担体は、有利には、ナノスケール粒子間のスペーサーとして作用して、表面積と触媒活性の損失をもたらすであろう粒子が一緒に焼結するのを防止する。
酸化鉄は、二重機能、すなわち酸素の存在下ではCO触媒として、また酸素の非存在下でのCOの直接酸化及び/又はNOの還元ではCO及び/又はNO酸化剤としての機能を有するので、触媒中の好ましい成分である。酸化剤としても使用できる触媒は、燃焼しているシガレット(酸素の分圧が非常に低い)のような特定用途で特に有用である。
【0024】
図2は、平均粒径が約3nmのFe23ナノスケール粒子(50mgサンプル)(NANOCAT(登録商標)Superfine Iron Oxide(SFIO)、MACH I, Inc., King of Prussia, PA)(曲線A)の、平均粒径が約5μmのFe23粉末(Aldrich Chemical Companyから)(曲線B)に対する触媒活性の比較を示す。ガス(3.4%のCO、0.6%のO2、バランスHe)の流速は1000ml/分であり、加熱速度は12K/分だった。Fe23ナノスケール粒子は、より大きいFe23粒子よりずっと高率の一酸化炭素から二酸化炭素への変換を示す。
上述したように、Fe23ナノスケール粒子は、一酸化炭素から二酸化炭素への変換の酸化剤として、また一酸化炭素から二酸化炭素及び/又は酸化窒素から窒素への変換の触媒として作用しうる。例えば、Fe23ナノスケール粒子は熱分解ゾーンでは触媒として作用し、かつ燃焼ゾーンでは酸化剤として作用することができる。
ナノスケールの酸化鉄粒子は、式2CO+O2→2CO2に従うCOからCO2への変換、及び式CO+2NO→N2+CO2に従うNOからN2への変換の触媒として作用しうる。ナノスケールの酸化鉄粒子は、式CO+Fe23→CO2+2FeOに従うCOからCO2への変換の酸化剤として作用しうる。
【0025】
ナノスケールの金属酸化物の有効性を実証するため、図3は、石英管反応器中、触媒として50mgのCuO粒子と50mgのFe23ナノスケール粒子を用いたCuO(曲線A)とFe23(曲線B)ナノスケール粒子の変換率の温度依存性の比較を示す。ガス(3.4%のCO、21%のO2、バランスHe)の流速は1000ml/分であり、加熱速度は12.4K/分だった。CuOナノスケール粒子は低温でより高い変換率を有するが、高温ではCuOとFe23は匹敵する変換率を有する。
表2は、CuO粒子及びFe23粒子を用いた場合の一酸化炭素の二酸化炭素に対する比と、酸素消耗率の比較を示す。
【0026】
表2.CuO及びFe23のナノスケール粒子間の比較

【0027】
ナノスケール粒子の非存在下では、一酸化炭素の二酸化炭素炭素に対する比が約0.51であり、酸素消耗は約48%だった。表2のデータは、ナノスケール粒子を使うことによって得られる改善を示す。一酸化炭素の二酸化炭素に対する比は、CuO及びFe23ナノスケール粒子でそれぞれ0.29及び0.23に下がる。酸素消耗はCuO及びFe23ナノスケール粒子でそれぞれ67%及び100%に増える。
本触媒は、好ましくはシガレットのタバコロッド部分全体に分布する。タバコロッド全体に触媒を供給することによって、シガレットを通じて吸い込まれる一酸化炭素及び/又は酸化窒素の量を減らすことができ、特に燃焼領域と熱分解ゾーンの両方で減らすことができる。
繊維状担体上に担持されたナノスケール粒子を含む触媒をタバコ上に分布させ、或いはカットフィラータバコ中に組み込むことによって、タバコの長さに沿って触媒を供給することができる。シガレット製造機に供給されるカットフィラータバコ原料に触媒を添加し、或いはシガレットロッドの周りにシガレット用紙を巻く前にタバコに触媒を添加してもよい。好ましい態様により、上述したようなMOD処理を用いてナノスケール粒子をインサイツ形成する場合、金属前駆体溶液を含む繊維状担体を、金属前駆体を熱的に分解してナノスケール粒子にするために十分な温度に加熱する工程は、含浸担体をシガレットに添加する前に行うことができる。
【0028】
シガレットを喫煙中に、主流煙中の一酸化炭素及び/又は酸化窒素の量が減少するように、触媒の量を選択することができる。好ましくは、触媒の量は、触媒的に有効な量、例えば、ほぼ数ミリグラム、例えば5mg/シガレットから約200mg/シガレット以上である。
一態様は、タバコと、上述したような一酸化炭素を二酸化炭素に変換でき、及び/又は酸化窒素を窒素に変換できる少なくとも1種の触媒と含んでなるカットフィラー組成物であって、前記触媒が繊維状担体上のナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子の形態である、前記組成物を提供する。
カットフィラーには、いずれの好適なタバコ混合物も使用することができる。好適なタイプのタバコ原料の例として、煙道(flue)-硬化型、バーレイ(Burley)、メリーランド(Maryland)又はオリエンタル(Oriental)タバコ、珍しいか又は特殊なタバコ、及びそのブレンドが挙げられる。タバコラミナ、加工タバコ原料(例えば増量タバコ又はパフ(puffed)タバコ)、加工タバコ茎(例えばカット-ロール茎又はカット-パフ茎)、再構成タバコ原料、又はそのブレンドの形態でタバコ原料を供給することができる。タバコは、タバコ代用物も包含しうる。
シガレット製造では、タバコは一般的にカットフィラーの形態、すなわち、約2.54mm(1/10インチ)〜約1.27mm(1/20インチ)又は0.635mm(1/40インチ)でさえの範囲の幅にカットされた断片又はストランドの形態で利用される。ストランドの長さは、約6.35mm(0.25インチ)〜約76.2mm(3.0インチ)の範囲である。シガレットは、1種以上の風味剤又は当技術で公知の他の添加剤(例えば、燃焼添加剤、燃焼改良剤、着色剤、結合剤など)をさらに含んでよい。
【0029】
別の態様は、タバコロッドを含んでなるシガレットであって、前記タバコロッドが、上述したような一酸化炭素を二酸化炭素に変換でき、及び/又は酸化窒素を窒素に変換できる少なくとも1種の触媒を有するタバコカットフィラーを含む、前記シガレットを提供する。タバコカットフィラーに配置することに加え、前記触媒をシガレット用紙及び/又はシガレットのフィルターに配置することができる。
さらなる態様は、シガレットの製造方法であって、(i)タバコカットフィラー、シガレット用紙及び/又はシガレットフィルターに触媒を添加する工程;(ii)前記カットフィラーをシガレット製造機に供給してタバコ円柱を形成する工程;(iii)前記タバコ円柱の周りに包装紙を配置してタバコロッドを形成する工程;及び(iv)任意的にシガレットフィルターを前記タバコロッドに取り付けてシガレットを形成する工程;を含む前記方法を提供する。
シガレット製造法は、当分野で公知である。いずれの従来のシガレット製造法又は改変したシガレット製造法を使用しても本触媒を組み込むことができる。結果のシガレットは、標準的な又は改変したシガレット製造法及び製造設備を用いていずれの既知の仕様にも製造されうる。典型的には、カットフィラー組成物を任意的に他のシガレット添加剤と混ぜ合わせ、シガレット製造機に供給してタバコロッドを生成してからシガレット用紙で包装し、任意的に先端にフィルターを付ける。
シガレットは、約50mm〜約120mmの長さである。一般に、定型的なシガレットは約70mmの長さ、“キングサイズ”は約85mmの長さ、“スーパーキングサイズ”は約100mmの長さであり、“ロング”は通常約120mmの長さである。円周は約15mm〜約30mm、好ましくはほぼ25mmである。タバコの充填密度は典型的に約100mg/cm3〜約300mg/cm3、好ましくは150mg/cm3〜約275mg/cm3の範囲である。
さらに別の態様は、シガレットに点火して煙を形成すること、この煙をシガレットを通じて吸い込むことを含む上記シガレットの喫煙方法であって、シガレットの喫煙中に、前記触媒が一酸化炭素から二酸化炭素への変換及び/又は酸化窒素から窒素への変換の触媒として作用する、前記喫煙方法を提供する。
【0030】
好ましい態様を参照して本発明について述べたが、本技術の当業者には明かなように、変更及び修正を為しうることを理解すべきである。このような変更及び修正は、本明細書に添付の特許請求の範囲によって定義されるとおりの本発明の範囲内であると解釈するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ナノスケールの酸化鉄粒子が繊維状の石英ウール担体上に沈着している態様で調製した触媒のSEM画像を示す。
【図2】平均粒径が約3nmのFe23ナノスケール粒子(NANOCAT(登録商標)Superfine Iron Oxide(SFIO);MACH I, Inc., King of Prussia, PA)と平均粒径が約5μmのFe23粉末(Aldrich Chemical Company)の触媒活性の比較を示す。
【図3】一酸化炭素を酸素で酸化して二酸化炭素を生成するための触媒としてのCuO及びFe23ナノスケール粒子の変換率の温度依存性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコと、主流煙中の一酸化炭素の二酸化炭素への変換及び/又は主流煙中の酸化窒素の窒素への変換のための触媒とを含んでなるカットフィラー組成物であって、前記触媒が、繊維状担体上に担持されたナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子を含む、前記カットフィラー組成物。
【請求項2】
前記ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子が、元素周期表のIB、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII、IIIA及びIVA族の元素から成る群より選択される1種以上の金属元素を含む、請求項1記載のカットフィラー組成物。
【請求項3】
前記ナノスケールの金属酸化物粒子が、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、酸化銅、及びその混合物から成る群より選択される酸化物を含む、請求項1記載のカットフィラー組成物。
【請求項4】
前記ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子が炭素フリーである、請求項1記載のカットフィラー組成物。
【請求項5】
前記ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子の比表面積が、約20〜2500m2/gである、請求項1記載のカットフィラー組成物。
【請求項6】
前記ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子が、約50nm未満の平均粒径を有する、請求項1記載のカットフィラー組成物。
【請求項7】
前記ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子が、約10nm未満の平均粒径を有する、請求項1記載のカットフィラー組成物。
【請求項8】
前記繊維状担体が、酸化物が結合した炭化ケイ素、ボリア、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、チタニア、イットリア、セリア、ガラス、ジルコニア(任意に、カルシア又はマグネシアで安定化されていてもよい)、及びその混合物から成る群より選択される酸化物を含む、請求項1記載のカットフィラー組成物。
【請求項9】
前記繊維状担体がセラミック繊維及び/又はガラス繊維を含む、請求項1記載のカットフィラー組成物。
【請求項10】
前記繊維状担体の比表面積が約0.1〜約200m2/gである、請求項1記載のカットフィラー組成物。
【請求項11】
前記繊維状担体が、ミリメーター、ミクロン、サブミクロン及び/又はナノスケールの繊維を含む、請求項1記載のカットフィラー組成物。
【請求項12】
前記繊維状担体が触媒的に活性な繊維を含む、請求項1記載のカットフィラー組成物。
【請求項13】
前記ナノスケールの金属酸化物粒子が酸化鉄を含み、かつ前記繊維状担体がセラミック繊維及び/又はガラス繊維を含む請求項1記載のカットフィラー組成物であって、前記触媒が、主流煙中の少なくとも10%の一酸化炭素を二酸化炭素に変換し、及び/又は主流煙中の少なくとも10%の酸化窒素を窒素に変換するために有効な量で該カットフィラー中に存在する、前記カットフィラー組成物。
【請求項14】
前記繊維状担体内及び/又は繊維状担体上に、単層未満の前記ナノスケール粒子が沈着している、請求項1記載のカットフィラー組成物。
【請求項15】
前記触媒が、繊維状担体上に担持された0.1〜50wt.%のナノスケール粒子を含む、請求項1記載のカットフィラー組成物。
【請求項16】
カットフィラーを含んでなるシガレットであって、前記カットフィラーが、タバコと、一酸化炭素の二酸化炭素への変換及び/又は酸化窒素の窒素への変換の触媒として作用しうる触媒とを含み、前記触媒が、繊維状担体上に担持されたナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子を含む、前記シガレット。
【請求項17】
前記ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子が、元素周期表のIB、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII、IIIA及びIVA族の元素から成る群より選択される1種以上の金属元素を含む、請求項16記載のシガレット。
【請求項18】
前記ナノスケールの金属酸化物粒子が、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、酸化銅、及びその混合物から成る群より選択される酸化物を含む、請求項16記載のシガレット。
【請求項19】
前記ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子が炭素フリーである、請求項16記載のシガレット。
【請求項20】
前記ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子の比表面積が、約20〜2500m2/gである、請求項16記載のシガレット。
【請求項21】
前記ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子が、約50nm未満の平均粒径を有する、請求項16記載のシガレット。
【請求項22】
前記ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子が、約10nm未満の平均粒径を有する、請求項16記載のシガレット。
【請求項23】
前記繊維状担体が、酸化物が結合した炭化ケイ素、ボリア、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、チタニア、イットリア、セリア、ガラス、ジルコニア(任意に、カルシア又はマグネシアで安定化されていてもよい)、及びその混合物から成る群より選択される酸化物を含む、請求項16記載のシガレット。
【請求項24】
前記繊維状担体がセラミック繊維及び/又はガラス繊維を含む、請求項16記載のシガレット。
【請求項25】
前記繊維状担体の比表面積が約0.1〜約200m2/gである、請求項16記載のシガレット。
【請求項26】
前記繊維状担体が、ミリメーター、ミクロン、サブミクロン及び/又はナノスケールの繊維を含む、請求項16記載のシガレット。
【請求項27】
前記繊維状担体が触媒的に活性な繊維を含む、請求項16記載のシガレット。
【請求項28】
前記ナノスケールの金属酸化物粒子が酸化鉄を含み、前記触媒が、主流煙中の少なくとも10%の一酸化炭素を二酸化炭素に変換し、及び/又は主流煙中の少なくとも10%の酸化窒素を窒素に変換するために有効な量で該シガレット中に存在する、請求項16記載のシガレット。
【請求項29】
前記繊維状担体内及び/又は繊維状担体上に、単層未満の前記ナノスケール粒子が沈着している、請求項16記載のシガレット。
【請求項30】
前記触媒が、繊維状担体上に担持された0.1〜50wt.%のナノスケール粒子を含み、前記触媒が、該シガレットのカットフィラー、シガレット用紙及び/又はフィルター中に存在する、請求項16記載のシガレット。
【請求項31】
前記シガレットが、シガレット1本当たり約200mgまでの前記触媒を含む、請求項16記載のシガレット。
【請求項32】
シガレットの製造方法であって、以下の工程:
(i)タバコカットフィラー、シガレット包装紙及び/又はシガレットフィルターに触媒を添加する工程(ここで、前記触媒は、繊維状担体上に担持されたナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子を含む);
(ii)前記カットフィラーをシガレット製造機に供給してタバコ円柱を形成する工程;
(iii)前記タバコ円柱の周りに包装紙を配置してタバコロッドを形成する工程;及び
(iv)任意的に前記タバコロッドにシガレットフィルターを取り付けてシガレットを形成する工程;
を含む方法。
【請求項33】
元素周期表のIB、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII、IIIA及びIVA族の元素から成る群より選択される1種以上の金属元素を含むナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子と、酸化物が結合した炭化ケイ素、ボリア、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、チタニア、イットリア、セリア、ガラス、ジルコニア(任意に、カルシア又はマグネシアで安定化されていてもよい)、及びその混合物から成る群より選択される酸化物を含む繊維状担体とを混ぜ合わせて前記触媒を形成する工程を含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
酸化鉄、オキシ水酸化鉄、酸化銅、又はその混合物を含むナノスケールの金属酸化物粒子と、繊維状担体とを混ぜ合わせて前記触媒を形成する工程を含む、請求項32記載の方法。
【請求項35】
前記繊維状担体内及び/又は繊維状担体上に、単層未満の前記ナノスケール粒子を沈着させる、請求項32記載の方法。
【請求項36】
前記タバコカットフィルター、シガレット包装紙及び/又はシガレットフィルターに、繊維状担体上に担持された約0.1〜50wt.%のナノスケール粒子を有する触媒を添加する工程を含む、請求項32記載の方法。
【請求項37】
前記カットフィラーに前記触媒を添加し、かつ生成されるシガレットが、シガレット1本当たり200mg以下の前記触媒を含む、請求項32記載の方法。
【請求項38】
前記触媒を、主流煙中の少なくとも10%の一酸化炭素を二酸化炭素に変換し、及び/又は主流煙中の少なくとも10%の酸化窒素を窒素に変換するために有効な量で前記シガレットと混ぜ合わせる、請求項32記載の方法。
【請求項39】
以下の工程:
ナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子と液体を混ぜ合わせて分散系を形成する工程;
前記分散系を前記繊維状担体と混ぜ合わせる工程;
前記繊維状担体を加熱して、前記液体を除去して前記繊維状担体内及び/又は繊維状担体上にナノスケール粒子を沈着させる工程;
によって前記触媒を形成する工程をさらに含む、請求項32の方法。
【請求項40】
元素周期表のIB、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII、IIIA及びIVA族の元素から成る群より選択される1種以上の金属元素を含むナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子を液体と混ぜ合わせて前記分散系を形成する工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
約50nm未満の平均粒径を有するナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子を前記液体と混ぜ合わせて前記分散系を形成する工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項42】
酸化物が結合した炭化ケイ素、ボリア、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、チタニア、イットリア、セリア、ガラス、ジルコニア(任意に、カルシア又はマグネシアで安定化されていてもよい)、及びその混合物から成る群より選択される酸化物を含む繊維状担体を前記分散系と混ぜ合わせる工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項43】
ミリメーター、ミクロン、サブミクロン及び/又はナノスケールの繊維及び/又は触媒的に活性な繊維を有する繊維状担体を前記分散系と混ぜ合わせる工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項44】
ガラス繊維及び/又はセラミック繊維を含む繊維状担体を前記分散系と混ぜ合わせる工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項45】
酸化鉄を含むナノスケールの金属酸化物粒子を前記液体と混ぜ合わせて前記分散系を形成する工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項46】
前記ナノスケール粒子を、蒸留水、エチルアルコール、メチルアルコール、クロロホルム、アルデヒド、ケトン、芳香族炭化水素、及びその混合物から成る群より選択される液体と混ぜ合わせる工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項47】
加熱した繊維状担体上に前記分散系を噴霧する、請求項39記載の方法。
【請求項48】
以下の工程:
金属前駆体と溶媒を混ぜ合わせて金属前駆体溶液を形成する工程;
繊維状担体を前記金属前駆体溶液と接触させる工程;
前記繊維状担体を乾燥させる工程;及び
前記金属前駆体を熱的に分解するために十分な温度に前記繊維状担体を加熱して、前記繊維状担体内及び/又は繊維状担体上に沈着したナノスケール粒子を形成する工程;
によって前記触媒を形成する工程をさらに含む、請求項32記載の方法。
【請求項49】
元素周期表のIB、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII、IIIA及びIVA族の元素から成る群より選択される少なくとも1種の金属を有する金属前駆体を溶媒と混ぜ合わせて前記金属前駆体溶液を形成する工程を含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
約50nm未満の平均粒径を有するナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子を形成するために十分な温度に前記繊維状担体を加熱する工程を含む、請求項48記載の方法。
【請求項51】
酸化物が結合した炭化ケイ素、ボリア、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、チタニア、イットリア、セリア、ガラス、ジルコニア(任意に、カルシア又はマグネシアで安定化されていてもよい)、及びその混合物から成る群より選択される繊維状担体を前記金属前駆体溶液と混ぜ合わせる工程を含む、請求項48記載の方法。
【請求項52】
ミリメーター、ミクロン、サブミクロン及び/又はナノスケールの繊維及び/又は触媒的に活性な繊維を有する繊維状担体を前記金属前駆体溶液と混ぜ合わせる工程を含む、請求項48記載の方法。
【請求項53】
ガラス繊維及び/又はセラミック繊維を含む繊維状担体を前記金属前駆体溶液と混ぜ合わせる工程を含む、請求項48記載の方法。
【請求項54】
鉄を含む金属粉末を溶媒と混ぜ合わせて金属前駆体溶液を形成する工程を含む、請求項48記載の方法。
【請求項55】
蒸留水、エチルアルコール、メチルアルコール、クロロホルム、アルデヒド、ケトン、芳香族炭化水素及びその混合物から成る群より選択される溶媒を前記金属前駆体と混ぜ合わせる工程を含む、請求項48記載の方法。
【請求項56】
加熱した繊維状担体上に前記金属前駆体溶液を噴霧する、請求項48記載の方法。
【請求項57】
ナノスケール粒子の分散系を前記金属前駆体溶液に添加する工程をさらに含む、請求項48記載の方法。
【請求項58】
金属β-ジケトネート、金属ジオネート、金属オキサレート、金属水酸化物及びその混合物から成る群より選択される金属前駆体を溶媒と混ぜ合わせる工程を含む、請求項48記載の方法。
【請求項59】
約200〜400ECの温度に加熱することによって、前記金属前駆体をナノスケールの金属粒子及び/又は金属酸化物粒子に分解する、請求項48記載の方法。
【請求項60】
前記金属前駆体を分解して、炭素フリーのナノスケールの金属粒子及び/又はナノスケールの金属酸化物粒子を形成する、請求項48記載の方法。
【請求項61】
前記繊維状担体内及び/又は繊維状担体上に、単層未満の前記ナノスケール粒子を沈着させる、請求項48記載の方法。
【請求項62】
前記繊維状担体を加熱して、該繊維状担体上に沈着した約0.1〜50wt.%のナノスケール粒子を形成する、請求項48記載の方法。
【請求項63】
シガレットに点火して煙を形成し、この煙を前記シガレットを通じて吸い込むことを含む請求項16記載のシガレットの喫煙方法であって、前記シガレットの喫煙中、前記触媒が一酸化炭素から二酸化炭素への変換及び/又は酸化窒素から窒素への変換の触媒として作用する、前記喫煙方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−527782(P2007−527782A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516589(P2006−516589)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002176
【国際公開番号】WO2004/110184
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(596060424)フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム (222)
【Fターム(参考)】