説明

シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンの製造方法

【課題】シクロアルカンを良好な転化率で酸化して、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを良好な選択率で製造しうる方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも1種の遷移金属を含有するメソポーラスシリカの存在下に、シクロアルカンを酸素で酸化して、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを製造する方法であって、前記メソポーラスシリカが、前記遷移金属を含む化合物、ケイ素化合物、構造規定剤、トリアルキルベンゼン及び水を混合して生じた結晶を焼成処理して得られるメソポーラスシリカであることを特徴とするシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロアルカンを酸素で酸化して、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遷移金属を含有するメソポーラスシリカの存在下、シクロアルカンを酸素で酸化して、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを製造する方法において、該メソポーラスシリカとして、例えば、遷移金属を含む化合物、ケイ素化合物、構造規定剤及び水を混合して生じた結晶を焼成して得られるメソポーラスシリカ(特許文献1〜5)や、ケイ素化合物、構造規定剤及び水を混合して生じた結晶を焼成した後、遷移金属を担持させることにより得られるメソポーラスシリカ(特許文献4〜5)を使用する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−260746号公報
【特許文献2】特開2009−35519号公報
【特許文献3】特開2009−227653号公報
【特許文献4】特開2010−95506号公報
【特許文献5】特開2010−208962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、触媒の活性や選択性、すなわちシクロアルカンの転化率やシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンの選択率の点で、十分に満足できないことがあった。そこで、本発明の目的は、シクロアルカンを良好な転化率で酸化して、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを良好な選択率で製造しうる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)少なくとも1種の遷移金属を含有するメソポーラスシリカの存在下に、シクロアルカンを酸素で酸化して、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを製造する方法であって、前記メソポーラスシリカが、前記遷移金属を含む化合物、ケイ素化合物、構造規定剤、トリアルキルベンゼン及び水を混合して生じた結晶を焼成処理して得られるメソポーラスシリカであることを特徴とするシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンの製造方法。
(2)少なくとも1種の遷移金属を含有するメソポーラスシリカの存在下に、シクロアルカンを酸素で酸化して、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを製造する方法であって、前記メソポーラスシリカが、ケイ素化合物、構造規定剤、トリアルキルベンゼン及び水を混合して生じた結晶に、焼成処理及び前記遷移金属の担持処理を行って得られるメソポーラスシリカであることを特徴とするシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンの製造方法。
(3)前記トリアルキルベンゼンが、メシチレンである前記(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)前記メソポーラスシリカが、有機ケイ素化合物で接触処理されている前記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)前記有機ケイ素化合物が次の式(I)
Si(R1)x(R2)4-x (I)
(式中、R1はアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又はトリアルキルシリルアミノ基を表し、R2はアルコキシ基、アルキル基、アリル基、アリール基又はアラルキル基を表し、xは1〜3の数を表す。)
で示される前記(4)に記載の製造方法。
(6)前記有機ケイ素化合物が、トリアルコキシアルキルシラン及びヘキサアルキルジシラザンからなる群から選ばれる少なくとも一種である前記(4)に記載の製造方法。
(7)前記メソポーラスシリカがSBA−15型又はMCM−41型である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)前記遷移金属が、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム及びパラジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)前記遷移金属がコバルトである前記(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(10)シクロアルカンがシクロヘキサンである前記(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シクロアルカンを良好な転化率で酸化して、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを良好な選択率で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明ではシクロアルカンを原料に用い、これを所定のメソポーラスシリカの存在下に酸素(分子状酸素)で酸化して、対応するシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを製造する。
【0009】
原料のシクロアルカンとしては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロオクタデカンのような、単環式で環上に置換基を有しないシクロアルカンの他、デカリンやアダマンタンのような多環式のシクロアルカン、メチルシクロペンタンやメチルシクロヘキサンのような環上に置換基を有するシクロアルカン等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0010】
酸素源には通常、酸素含有ガスが用いられる。この酸素含有ガスは、例えば、空気であってもよいし、純酸素であってもよいし、空気又は純酸素を、窒素、アルゴン、ヘリウムのような不活性ガスで希釈したものであってもよい。また、空気に純酸素を添加した酸素富化空気を使用することもできる。
【0011】
本発明では、少なくとも1種の遷移金属を含有するメソポーラスシリカの存在下で上記酸化反応を行う。メソポーラスシリカに含有される遷移金属としては、好ましくは、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム、パラジウムが挙げられる。中でもコバルトがより好ましい。遷移金属は、必要に応じてこれらの2種類以上がメソポーラスシリカに含まれてもよい。遷移金属の含有率は、メソポーラスシリカに対する重量比で表して、通常0.01〜20%であり、好ましくは0.05〜10%であり、さらに好ましくは0.1〜5%である。
【0012】
メソポーラスシリカとしては、通常2〜50nmのほぼ均一な大きさの細孔を有する、所謂メソポーラス構造を有するものであることができ、その表面積は通常600〜1500m/g程度である。かかるメソポーラスシリカの種類として、例えば、MCM−41型、MCM−48型、FSM−16型、SBA−3型、HMS型、MSU−X型、SBA−12型、SBA−15型、SBA−16型等が挙げられる。これらの中でも、シクロアルカンの転化率やシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンの選択率の点から、SBA−15型又はMCM−41型が好ましい。尚、メソポーラス構造の有無は、透過型電子顕微鏡による観察や、窒素吸着測定における細孔分布、またはXRD(X線回折)測定における2θ=0.2〜4.0°のピークの有無等の分析で確認することができる。
【0013】
次に、本発明におけるメソポーラスシリカの調製法について説明する。本発明におけるメソポーラスシリカは、(A)遷移金属を含む化合物(以下、金属化合物ということがある。)、ケイ素化合物、構造規定剤、トリアルキルベンゼン及び水を混合して生じた結晶を焼成処理する方法、又は(B)ケイ素化合物、構造規定剤、トリアルキルベンゼン及び水を混合して生じた結晶に、焼成処理及び少なくとも1種の遷移金属の担持処理を行う方法により調製することができる。
【0014】
前記(A)の方法において、金属化合物としては、前記遷移金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、硫酸アンモニウム塩、カルボン酸塩、水酸化物、オキソ酸塩等が挙げられる。バナジウムを含む化合物としては、例えば、臭化バナジウム、塩化バナジウム、フッ化バナジウム、ナフテン酸バナジウム等が挙げられ、クロムを含む化合物としては、塩化クロム、硝酸クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、ナフテン酸クロム等が挙げられ、マンガンを含む化合物としては、臭化マンガン、塩化マンガン、フッ化マンガン、硝酸マンガン、硫酸アンモニウムマンガン、硫酸マンガン、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン等が挙げられ、鉄を含む化合物としては、臭化鉄、塩化鉄、フッ化鉄、硝酸鉄、硫酸鉄、酢酸鉄、ナフテン酸鉄等が挙げられ、コバルトを含む化合物としては、臭化コバルト、塩化コバルト、フッ化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、ナフテン酸コバルト、水酸化コバルト等が挙げられ、ルテニウムを含む化合物としては、臭化ルテニウム、塩化ルテニウム等が挙げられ、パラジウムを含む化合物としては、臭化パラジウム、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、水酸化パラジウム等が挙げられ、中でも、コバルトを含む化合物が好ましい。金属化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
前記(A)及び(B)の方法において、原料となるケイ素化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランのようなテトラアルコキシシラン等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でも、テトラエトキシシランが好ましい。
【0016】
前記(A)及び(B)の方法において、構造規定剤は、メソポーラス構造の形成に利用される有機化合物を意味する。構造規定剤の種類や分子形状によって、メソポーラス構造や細孔径を制御することができる(ゼオライトの科学と工学、講談社サイエンティフィク、2000年、p.13−23参照)。例えば、MCM−41型のメソポーラスシリカを調製する場合には、ネイチャー(Nature)、(米国)、1992年、第359巻、p.710−712に記載されているように、構造規定剤として長鎖アルキルアンモニウム塩〔C2n+1(CH 。式中、nは整数を表す。〕が選択され、MCM−48型のメソポーラスシリカを調製する場合には、ミクロポーラス・アンド・メソポーラス・マテリアルズ(Microporous and Mesoporous Materials)、(オランダ)、2001年、第44巻、p.9−16に記載されているように、構造規定剤として長鎖アルキルアンモニウム塩〔C2n+1(CH 。式中、nは整数を表す。〕が選択され、FSM−16型のメソポーラスシリカを調製するには、ビュレティン・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティー・オブ・ジャパン(Bulletin of the Chemical Society of Japan)、(日本)、1996年、第69巻、p.1449−1457に記載されているように、原料として層状ケイ素化合物が、構造規定剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドの如き四級アンモニウム塩が、それぞれ使用され、SBA−3型のメソポーラスシリカを調製する際には、キャタリシス・コミュニケーションズ(Catalysis Communications)、(オランダ)、2008年、第9巻、第13号、p.2287−2290に記載されているように、構造規定剤としてジェミニ界面活性剤〔C2n+1(CH(CH(CH2m+1 。式中、n、s、mは整数を表す。〕が選択され、HMS型のメソポーラスシリカを調製する際には、アプライド・キャタリシス・A:ジェネラル(Applied Catalysis A: General)、(オランダ)、2008年、第347巻、p.133−141に記載されているように、構造規定剤として長鎖アルキルアミン〔C2n+1NH 。式中、nは整数を表す。〕が選択され、MSU−X型のメソポーラスシリカを調製する際には、ミクロポーラス・アンド・メソポーラス・マテリアルズ(Microporous and Mesoporous Materials)、(オランダ)、2008年、第109巻、p.199−209に記載されているように、構造規定剤としてオレイル デカオキシエチレン(Oleyl decaoxyethylene)が選択され、SBA−12型のメソポーラスシリカを調製する際には、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー・B(Journal of Physical Chemistry B)、(米国)アメリカ、2002年、第106巻、p.3118−3123に記載されているように、構造規定剤としてポリエチレンオキシドが選択され、SBA−15型のメソポーラスシリカを調製する際には、サイエンス(Science)、(米国)、第279巻、p.548−552や、ミクロポーラス・アンド・メソポーラス・マテリアルズ(Microporous and Mesoporous Materials)、(オランダ)、2006年、第91巻、p.156−160に記載されているように、構造規定剤としてトリブロックコポリマー(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド共重合体)が使用され、SBA−16型のメソポーラスシリカを調製する際には、ミクロポーラス・アンド・メソポーラス・マテリアルズ(Microporous and Mesoporous Materials)、(オランダ)、2007年、第105巻、p.15−23に記載されているように、構造規定剤としてトリブロックコポリマー(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド共重合体)が選択され、SBA−16型のメソポーラスシリカを調製する際には、ミクロポーラス・アンド・メソポーラス・マテリアルズ(Microporous and Mesoporous Materials)、(オランダ)、2007年、第105巻、p.15−23に記載されているように、構造規定剤としてトリブロックコポリマー(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド共重合体)が選択される。
【0017】
上述した構造規定剤において、中でも、長鎖アルキルアンモニウム塩や、ポリエチレンオキシド、トリブロックコポリマー(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド共重合体)等のポリアルキレンオキシドが好ましい。前記長鎖アルキルアンモニウム塩としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。前記ポリアルキレンオキシドの分子量は通常500〜15000程度である。また、上述したトリブロックコポリマーの重合体単位は、重量比でポリエチレンオキシド:ポリプロピレンオキシド:ポリエチレンオキシド=5:70:5〜110:70:110程度である。
【0018】
前記(A)及び(B)の方法において、構造規定剤の使用量は、ケイ素化合物1モルに対し、通常0.1〜1.0モル、好ましくは0.2〜0.5モルである。
【0019】
前記(A)及び(B)の方法において、トリアルキルベンゼンのアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。該トリアルキルベンゼンとしては、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、トリプロピルベンゼン、トリブチルベンゼン、ジメチルエチルベンゼン等が挙げられ、中でも、トリメチルベンゼンが好ましい。トリメチルベンゼンとしては、1,3,5−トリメチルベンゼン(メシチレン)、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼンが挙げられ、中でも、メシチレンが好ましい。トリエチルベンゼンとしては、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,2,3−トリエチルベンゼン、1,2,4−トリエチルベンゼンが挙げられ、トリプロピルベンゼンとしては、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン等が挙げられ、トリブチルベンゼンとしては、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン等が挙げられる。トリアルキルベンゼンの使用量は、高い選択率でシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンが得られる点で、ケイ素化合物1モルに対し、0.10〜3.0モルが好ましく、より好ましくは0.20〜2.0モルである。
【0020】
前記(A)及び(B)の方法において、水の使用量は、ケイ素化合物1重量部に対し、通常5〜30重量部、好ましくは10〜15重量部である。また、前記(A)の方法においては遷移金属を含む化合物、ケイ素化合物、構造規定剤、トリアルキルベンゼン及び水を混合する際に、前記(B)の方法においてはケイ素化合物、構造規定剤、トリアルキルベンゼン及び水を混合する際に、必要に応じて、塩化水素や硫酸等の酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の塩基や、アルコールを混合してもよい。中でも、アンモニアやアルコールを混合すると、粒子径のより小さいメソポーラスシリカを得ることができるため、好ましい。かかるアンモニアは、液状のものでも、ガス状のものでもよい。また、アンモニア水として用いてもよい。かかるアルコールは、通常、炭素数1〜6程度の脂肪族アルコールであることができ、その具体例として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等が挙げられる。また、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でも、エタノールが好ましい。
【0021】
前記(A)及び(B)の方法において、混合温度は、通常20〜200℃、好ましくは20〜150℃である。また、混合時間は、通常0.1〜400時間、好ましくは1〜200時間である。
【0022】
前記(A)及び(B)の方法において、混合後に得られる結晶を含む懸濁液からの結晶の回収は、例えば、該懸濁液を濾過し、濾残を乾燥することにより行うことができる。尚、該乾燥の前に、必要に応じて洗浄処理を行ってもよい。かかる乾燥は、通常、空気雰囲気下で行われ、乾燥温度は40〜120℃程度であり、乾燥時間は2〜24時間程度である。乾燥は、通常、常圧下で行われるが、減圧下で行ってもよい。また、噴霧乾燥により乾燥させ、成形体として結晶を回収してもよい。
【0023】
前記(A)及び(B)の方法において、焼成処理は、通常、混合後に得られる結晶をガス雰囲気下で加熱することにより行われる。焼成温度は通常450〜650℃、好ましくは500〜600℃であり、焼成時間は通常4〜12時間、好ましくは6〜10時間である。前記ガスとしては、酸化性ガス、非酸化性ガスが挙げられ、酸化性ガスとしては、空気、酸素等が挙げられ、非酸化性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の不活性ガスや、二酸化炭素、水素、アンモニア等の還元性ガスが挙げられる。これらの中でも、空気が好ましい。これらのガスは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記(A)の方法においては、金属化合物、ケイ素化合物、構造規定剤、トリアルキルベンゼン及び水を混合して生じた結晶を焼成処理に付す前に、この結晶をアミン及び/又はアンモニアで接触処理することが好ましい。かかる接触処理を行った後、焼成することにより、細孔のより大きいメソポーラスシリカを調製することができる。尚、かかる接触処理は、金属化合物、ケイ素化合物、構造規定剤、トリアルキルベンゼン及び水を混合して得られた懸濁液をろ過した後、乾燥して得られる結晶について行うのが好ましい。
【0025】
ここでいうアミンは、通常、炭素数1〜20程度のアルキル基が結合した1級、2級又は3級アミンであることができ、中でも3級アミンが好ましく、ジメチルデシルアミンのようなジメチルアルキルアミンやトリアルキルアミンがより好ましい。
【0026】
アミン及び/又はアンモニアは、そのまま接触処理に用いてもよく、水溶液として用いてもよい。アミン及び/又はアンモニアの使用量は、接触処理前の結晶100重量部に対して、通常1〜1500重量部、好ましくは5〜300重量部、さらに好ましくは10〜150重量部である。かかる接触処理の温度は、通常0〜300℃、好ましくは30〜250℃であり、接触処理の時間は、通常0.1〜2000時間、好ましくは1〜200時間である。
【0027】
前記(B)の方法において、焼成処理及び遷移金属の担持処理の順序は任意であり、前記混合後に得られる結晶に遷移金属の担持処理を行った後、焼成処理を行ってもよいし、前記混合後に得られる結晶に焼成処理を行った後、遷移金属の担持処理を行ってもよいし、焼成処理と遷移金属の担持処理を同時に行ってもよいが、焼成処理により構造規定剤を除去し、細孔を有するメソポーラスシリカを予め調製しておき、次いで、該メソポーラスシリカに遷移金属を担持させることにより、良好に遷移金属を担持させ、得られるメソポーラスシリカを前記酸化反応に使用しても、該反応液への遷移金属の溶出が抑制される点で、前記混合後に得られる結晶に焼成処理を行った後、遷移金属の担持処理を行うのが好ましい。
【0028】
前記担持処理としては、例えば、含浸、浸漬等が挙げられる。担持処理の温度は、通常60〜250℃、好ましくは70〜200℃であり、より好ましくは80〜150℃である。担持処理の圧力については、特に制限はないが、加圧下で行うのが好ましい。担持処理の時間は、通常0.1〜10時間である。
【0029】
前記(B)の方法において、前記焼成処理及び前記担持処理の方法として、具体的には、(i)前記混合後に得られる結晶に金属化合物を含む溶液を含浸させた後、焼成処理を行う方法、(ii)前記混合後に得られる結晶に焼成処理を行った後、金属化合物を含む溶液を含浸させる方法、(iii)前記混合後に得られる結晶を、金属化合物を含む溶液に浸漬させた後、焼成処理を行う方法、(iv)前記混合後に得られる結晶に焼成処理を行った後、金属化合物を含む溶液に浸漬させる方法、等が挙げられるが、焼成処理後に担持処理を行う前記(ii)や(iv)の方法が好ましい。かかる金属化合物の使用量は、メソポーラスシリカにおける遷移金属の含有率が上述した範囲となるように適宜調整される。前記(iii)及び(iv)の方法において、前記浸漬後に得られる結晶は、金属化合物を吸着した状態であってもよいし、結晶中のカチオンが金属化合物の金属カチオンにイオン交換された状態であってもよい。担持処理に使用される金属化合物としては、前述した(A)の方法に使用される金属化合物として例示したものが挙げられる。
【0030】
前記担持処理に使用される金属化合物を含む溶液は、水溶液、有機溶媒の溶液、又は水と有機溶媒との混合溶液として用いられるが、中でも、水溶液が好ましい。該水溶液には、良好に遷移金属を担持させ、得られるメソポーラスシリカを前記酸化反応に使用しても、該反応液への遷移金属の溶出が抑制される点で、アンモニア及び/又はアンモニウム塩が含まれることが好ましい。このアンモニウム塩としては、例えば、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等が挙げられ、中でも硝酸アンモニウムが好ましい。前記水溶液中にアンモニア及び/又はアンモニウム塩を含有させる場合、その水溶液のpHは、9以上が好ましく、9〜13の範囲がより好ましい。前記含浸又は浸漬の後、必要に応じて濾過、洗浄、乾燥等の処理を行い、金属化合物が担持された結晶を回収することができる。尚、前記焼成処理及び前記担持処理は、必要に応じて複数回行ってもよい。
【0031】
本発明では、メソポーラスシリカとして、さらに有機ケイ素化合物で接触処理して得られるメソポーラスシリカを使用するのがより効果的である。有機ケイ素化合物による接触処理は、前記(A)の方法においては焼成処理の後に行うのが好ましく、前記(B)の方法においては担持処理及び焼成処理の後に行うのが好ましい。かかる有機ケイ素化合物は、メソポーラスシリカと反応してその表面に結合可能なものであるのが好ましく、典型的には次の式(I)で示すことができる。
【0032】
Si(R1)x(R2)4-x (I)
【0033】
(式中、R1はアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又はトリアルキルシリルアミノ基を表し、R2はアルコキシ基、アルキル基、アリル基、アリール基又はアラルキル基を表し、xは1〜3の数を表す。)
【0034】
ここで、R1及びR2で表されるアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、R2で表されるアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。また、R2で表されるアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基等が挙げられ、R2で表されるアラルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0035】
式(1)で示される有機ケイ素化合物としては、中でもヘキサアルキルジシラザンや、トリアルコキシアルキルシランがより好ましく用いられる。ヘキサアルキルジシラザンとしては、例えば、ヘキサメチルジシラザンやジ−n−ブチルテトラメチルジシラザン等が挙げられ、トリアルコキシアルキルシランとしては、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリプロポキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリメトキシプロピルシラン等が挙げられる。
【0036】
有機ケイ素化合物による接触処理方法としては、例えば、有機ケイ素化合物を含む液体に浸漬する方法や、有機ケイ素化合物を含む気体を接触させる方法等が挙げられる。有機ケイ素化合物を含む液体に浸漬する場合、浸漬後、例えば、浸漬後の混合物をそのまま乾燥することにより、あるいは、浸漬後の混合物から、得られたメソポーラスシリカを濾過やデカンテーション等により分離した後、必要に応じて洗浄し、乾燥することにより、有機ケイ素化合物で接触処理されてなるメソポーラスシリカを回収することができる。前記乾燥は、常圧下、減圧下のいずれでも行うことができ、乾燥温度及び乾燥時間は、適宜設定すればよい。
【0037】
有機ケイ素化合物の使用量は、有機ケイ素化合物による接触処理に付される固体100重量部に対し、通常1〜10000重量部、好ましくは5〜2000重量部、より好ましくは10〜1500重量部である。
【0038】
有機ケイ素化合物による接触処理の温度は、通常0〜300℃、好ましくは30〜250℃である。また、該接触処理の時間は、通常0.1〜50時間、好ましくは1〜20時間である。
【0039】
かくして、所望のメソポーラスシリカを得ることができる。そして、このメソポーラスシリカの存在下に、シクロアルカンを酸素で酸化する。該酸化反応におけるメソポーラスシリカの使用量は、シクロアルカン100重量部に対し、通常0.0001〜50重量部、好ましくは0.001〜10重量部である。
【0040】
酸化反応の温度は通常0〜200℃、好ましくは50〜170℃であり、該反応の圧力は通常0.01〜10MPa、好ましくは0.1〜2MPaである。該反応においては、必要に応じて溶媒を用いることができ、例えば、アセトニトリルやベンゾニトリルのようなニトリル溶媒、酢酸やプロピオン酸のようなカルボン酸溶媒等を用いることができる。
【0041】
酸化反応後の後処理操作については、特に限定されないが、例えば、反応混合物を濾過して触媒を分離した後、水洗し、次いで蒸留する方法等が挙げられる。反応混合物中に原料のシクロアルカンに対応するシクロアルキルヒドロペルオキシドが含まれる場合、アルカリ処理や還元処理等により、目的とするシクロアルカノールやシクロアルカノンに変換することができる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、反応液中のシクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール及びシクロヘキシルヒドロペルオキシドの分析はガスクロマトグラフィーにより行い、この分析結果から、シクロヘキサンの転化率、並びにシクロヘキサノン、シクロヘキサノール及びシクロヘキシルヒドロペルオキシドの各選択率を算出した。
【0043】
製造例1
〔SBA−15型メソポーラスシリカの製造〕
ミクロポーラス・アンド・メソポーラス・マテリアルズ(Microporous and Mesoporous Materials)、(オランダ)、2006年、第91巻、p.156−160に記載された方法に基づいて、構造規定剤としてトリブロックコポリマー(プルロニックP123)を用い、次のとおりSBA−15型のメソポーラスシリカを合成した。プルロニックP123(アルドリッチ社製)8.8gを13重量%の塩化カリウム水溶液96gに加えて分散させた後、該分散液を攪拌しながら、これに2規定の塩酸(塩化水素の水溶液)270gとメシチレン(和光純薬工業株式会社製)9.2g(0.077モル)とを添加した。次いで、テトラエトキシシラン(オルトケイ酸エチル、和光純薬工業株式会社製)18g(0.086モル)を添加し、室温で10分間攪拌した後、室温で一晩静置し、次いで、100℃で7時間攪拌した。得られた混合物をろ過し、ろ残を水で洗浄した後、室温で12時間乾燥した。得られた乾燥物を、空気流通下、500℃で6時間焼成し、SBA−15型のメソポーラスシリカの粉体Aを得た。
【0044】
製造例2
〔SBA−15型メソポーラスシリカへのコバルト担持〕
製造例1で得られた粉体A2.0gと、水250g、7.5重量%の硝酸アンモニウム水溶液11g、25重量%のアンモニア水(和光純薬工業株式会社製)17g及び酢酸コバルト四水和物(和光純薬工業株式会社製)0.4gの混合液(pH=10.5)とをオートクレーブに入れ、密閉下、87℃で2時間攪拌した。得られた混合物をろ過し、ろ残を水で洗浄した後、110℃で12時間乾燥して、コバルトを含有するSBA−15型メソポーラスシリカを得た。
【0045】
製造例3
〔コバルトを含有するSBA−15型メソポーラスシリカの有機ケイ素化合物接触処理〕
製造例2で得られたコバルトを含有するSBA−15型メソポーラスシリカ1.0g及びヘキサメチルジシラザン(和光純薬工業株式会社製)10gをナスフラスコに入れ、窒素雰囲気下、90℃で5時間攪拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、ろ過し、ろ残をシクロヘキサンで洗浄した後、室温で一晩乾燥して、コバルトを含有するSBA−15型メソポーラスシリカのヘキサメチルジシラザン接触処理品(以下、メソポーラスシリカAということがある。)を得た。
【0046】
製造例4
〔コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの製造〕
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(和光純薬工業株式会社製)11g、水205g、エタノール(和光純薬工業株式会社製)276g、メシチレン(和光純薬工業株式会社製)7.4g(0.062モル)、テトラエトキシシラン(オルトケイ酸エチル、和光純薬工業株式会社製)22g(0.11モル)、25重量%のアンモニア水(和光純薬工業株式会社製)77g、及び、酢酸コバルト(II)四水和物(和光純薬工業株式会社製)の15重量%水溶液3.1gを1Lビーカーに入れ、室温で2時間攪拌した後、ろ過し、ろ残を水で洗浄した後、110℃で12時間乾燥した。その後、空気流通下、550℃で7時間焼成し、コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの粉体Bを得た。
【0047】
製造例5
〔コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの有機ケイ素化合物接触処理〕
製造例4で得られた粉体B2.0g及びヘキサメチルジシラザン(和光純薬工業株式会社製)20gをフラスコに入れ、窒素雰囲気下、90℃で5時間攪拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、シクロヘキサンを加えて攪拌し、次いでろ過した。ろ残をシクロヘキサンで洗浄した後、0.1Torr(13Pa)の圧力下で乾燥し、コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカのヘキサメチルジシラザン接触処理品(以下、メソポーラスシリカBということがある。)を得た。
【0048】
製造例6
〔コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの製造〕
メシチレンの使用量を5.6g(0.047モル)にした以外は、製造例4〔コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの製造〕と同様の操作を行い、MCM−41型メソポーラスシリカの粉体Cを得た。
【0049】
製造例7
〔コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの有機ケイ素化合物接触処理〕
粉体Bに代えて、粉体Cを2.2g使用した以外は、製造例5〔コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの有機ケイ素化合物接触処理〕と同様の操作を行い、コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカのヘキサメチルジシラザン接触処理品(以下、メソポーラスシリカCということがある。)を得た。
【0050】
製造例8
〔コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの製造〕
メシチレンの使用量を3.7g(0.031モル)にした以外は、製造例4〔コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの製造〕と同様の操作を行い、MCM−41型メソポーラスシリカの粉体Dを得た。
【0051】
製造例9
〔コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの有機ケイ素化合物接触処理〕
粉体Bに代えて、粉体Dを2.2g使用した以外は、製造例5〔コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの有機ケイ素化合物接触処理〕と同様の操作を行い、コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカのヘキサメチルジシラザン接触処理品(以下、メソポーラスシリカDということがある。)を得た。
【0052】
製造例10
〔コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの製造〕
メシチレンを使用しなかったこと以外は、製造例4〔コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの製造〕と同様の操作を行い、MCM−41型メソポーラスシリカの粉体Eを得た。
【0053】
製造例11
〔コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカの有機ケイ素化合物接触処理〕
製造例10で得られた粉体E2.0g及びトリメトキシ−n−プロピルシラン(和光純薬工業株式会社製)20gをフラスコに入れ、窒素雰囲気下、90℃で7.5時間攪拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、エタノールを加えて攪拌し、次いでろ過した。ろ残をエタノールで洗浄した後、0.1Torr(13Pa)の圧力下で乾燥し、コバルトを含有するMCM−41型メソポーラスシリカのトリメトキシ−n−プロピルシラン接触処理品(以下、メソポーラスシリカEということがある。)を得た。
【0054】
実施例1
1Lオートクレーブに、シクロヘキサン300g(3.6モル)及び製造例3で得られたメソポーラスシリカA0.2gを入れ、室温にて系内を窒素で0.7MPaまで昇圧した後、140℃に昇温した。次いで、酸素濃度が10容量%のガスを流通させ、反応温度140℃で反応を開始した。反応開始から1.5時間の時点で、シクロヘキサンの転化率は3.9%であり、シクロヘキサノンの選択率は27.9%、シクロヘキサノールの選択率は42.5%、シクロヘキシルヒドロペルオキシド選択率は19.3%であった(合計選択率89.7%)。
【0055】
実施例2
メソポーラスシリカAに代えて、メソポーラスシリカBを1.0g使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応開始から1.5時間の時点で、シクロヘキサンの転化率は4.2%であり、シクロヘキサノンの選択率は34.3%、シクロヘキサノールの選択率は46.6%、シクロヘキシルヒドロペルオキシド選択率は8.9%であった(合計選択率89.8%)。
【0056】
実施例3
メソポーラスシリカAに代えて、メソポーラスシリカCを1.0g使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応開始から1.5時間の時点で、シクロヘキサンの転化率は4.1%であり、シクロヘキサノンの選択率は34.1%、シクロヘキサノールの選択率は44.9%、シクロヘキシルヒドロペルオキシド選択率は10.7%であった(合計選択率89.7%)。
【0057】
実施例4
メソポーラスシリカAに代えて、メソポーラスシリカDを1.0g使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応開始から1.5時間の時点で、シクロヘキサンの転化率は4.2%であり、シクロヘキサノンの選択率は33.4%、シクロヘキサノールの選択率は45.4%、シクロヘキシルヒドロペルオキシド選択率は10.9%であった(合計選択率89.7%)。
【0058】
比較例1
メソポーラスシリカAに代えて、メソポーラスシリカEを1.0g使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応開始から1.5時間の時点で、シクロヘキサンの転化率は4.3%であり、シクロヘキサノンの選択率は32.7%、シクロヘキサノールの選択率は53.1%、シクロヘキシルヒドロペルオキシド選択率は3.3%であった(合計選択率89.1%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の遷移金属を含有するメソポーラスシリカの存在下に、シクロアルカンを酸素で酸化して、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを製造する方法であって、前記メソポーラスシリカが、前記遷移金属を含む化合物、ケイ素化合物、構造規定剤、トリアルキルベンゼン及び水を混合して生じた結晶を焼成処理して得られるメソポーラスシリカであることを特徴とするシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンの製造方法。
【請求項2】
少なくとも1種の遷移金属を含有するメソポーラスシリカの存在下に、シクロアルカンを酸素で酸化して、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを製造する方法であって、前記メソポーラスシリカが、ケイ素化合物、構造規定剤、トリアルキルベンゼン及び水を混合して生じた結晶に、焼成処理及び前記遷移金属の担持処理を行って得られるメソポーラスシリカであることを特徴とするシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンの製造方法。
【請求項3】
前記トリアルキルベンゼンが、メシチレンである請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記メソポーラスシリカが、有機ケイ素化合物で接触処理されている請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記有機ケイ素化合物が次の式(I)
Si(R1)x(R2)4-x (I)
(式中、R1はアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又はトリアルキルシリルアミノ基を表し、R2はアルコキシ基、アルキル基、アリル基、アリール基又はアラルキル基を表し、xは1〜3の数を表す。)
で示される請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記有機ケイ素化合物が、トリアルコキシアルキルシラン及びヘキサアルキルジシラザンからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
前記メソポーラスシリカがSBA−15型又はMCM−41型である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記遷移金属が、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム及びパラジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記遷移金属がコバルトである請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
シクロアルカンがシクロヘキサンである請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2013−18727(P2013−18727A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151779(P2011−151779)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】