説明

シクロデキストリン処方物

本発明は、1種以上のシクロデキストリンを含む種々の処方物に関し、上記処方物は、種々の感染を処置もしくは予防するために特に有用である。具体的な実施形態において、上記処方物は、非水ベースのゲル、咽頭用スプレーおよび鼻用スプレー、鼻用ゲル、リップバームおよびエマルジョンを含む。本発明の一実施形態において、上記組成物は、ヘルペスウイルスによって引き起こされるウイルス感染に対して特に有用である。別の実施形態において、上記組成物は、ポックスウイルスによって引き起こされるウイルス感染に対して特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、シクロデキストリンを含む組成物に関する。より具体的には、本発明は、1種以上のシクロデキストリン化合物を含む薬学的および美容的な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
感染性疾患の処置および予防のための薬物療法(medication)およびワクチンは、長く知られてきた。細菌感染のための多くの有効な薬物療法は、長年にわたって開発されてきたが、ウイルス感染の有効な処置もしくは予防が見いだされたのは、近年になってからにすぎない。
【0003】
今日利用可能な大部分の抗ウイルス薬物療法は、性行為感染症(STD)を引き起こすウイルスを標的とする。感染性ウイルス剤によって引き起こされるSTDの非限定的例としては、陰部ヘルペス(単純ヘルペスウイルス、すなわち、HSVによって引き起こされる);AIDS(ヒト免疫不全ウイルス、すなわち、HIVによって引き起こされる);陰部いぼ(genital wart)(ヒトパピローマウイルス、すなわち、HPVによって引き起こされる)、痙性麻痺および成体T細胞白血病(ヒトT細胞白血病もしくはリンパ親和性ウイルス(lymphotropic virus)1型(HTLV−1)によって引き起こされる)、およびウイルス性肝炎(肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)によって引き起こされる)が挙げられる。
【0004】
感染性ウイルス剤から生じるSTDを処置するために処方された種々の医薬品に対して1年あたり40億超の米ドルが全世界で費やされていると推測されている。例えば、ファムシクロビル、アシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル、およびホスカルネットは、HSV関連疾患の処置のために処方される全ての薬物である。これらの薬剤は、陰部ヘルペスの一次エピソードおよび再発エピソードの両方における症状の治癒および消散を加速してきた;しかし、アシクロビル(ACVとしても公知)の臨床的使用(今日の抗ヘルペス薬物療法の「常套手段」)は制限されている。さらに、多くの副作用は、これら抗ウイルス剤(例えば、悪心、下痢、および頭痛)と関連する。例えば、ホスカルネットは、静脈内に投与される場合、いくつかの毒性効果(例えば、腎機能もしくは発作の誘導の可逆性の障害)を有し得る。さらに、これら薬物は、ヘルペス感染を治癒させないが、むしろ上記ウイルスの活発な複製を阻害することによって、上記疾患の症状を抑制する。
【0005】
シクロデキストリンは、伝統的な抗ウイルス分類に入らないが、感染性ウイルス剤によって引き起こされる疾患を処置および予防することにおいて有効であることが分かった。有効な抗ウイルス剤が引き続き必要であることおよび伝統的ではない抗ウイルス剤の利用可能性に鑑みて、ウイルス感染を処置もしくは予防することができる薬学的もしくは美容的な組成物を有することは、有用である。より具体的には、STD(例えば、HSV関連疾患)の処置もしくは予防のために有効な組成物を有することは有用である。なおさらに、種々のウイルス状態の「突然の増加(breakout)」と関連する領域を特異的に標的とし、そしてまた都合よくかつ慎重な特定の処方物中で提供される抗ウイルス性組成物を有することは有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、上記組成物は、ウイルス感染を処置および予防するために特に有用であるように、シクロデキストリンを含む薬学的および美容的組成物を提供する。上記組成物は、上記組成物の都合よくかつ慎重な投与を可能にする種々の処方物において提供される。
【0007】
本発明の組成物は、STDを処置するために特に使用され得る。例えば、上記組成物は、野生型ヘルペスウイルス(例えば、HSV−1もしくはHSV−2)、ならびに薬物耐性ヘルペスウイルス(例えば、アシクロビル耐性ヘルペスウイルス)によって引き起こされる感染を処置するために使用され得る。さらに、上記組成物は、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、肝炎ウイルス(例えば、HBVもしくはHCV)、サイトメガロウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、もしくはポックスウイルス(例えば、ワクシニア)によって引き起こされる感染を処置するために使用され得る。本発明の組成物は、一次ウイルス感染もしくは再発性ウイルス感染の処置において有用であり得るので、一次ウイルス感染が活発に現れる局所的部位もしくは再発性ウイルス感染を示すことが知られている部位に適用され得る。本発明の一実施形態において、上記組成物は、ヘルペスウイルスによって引き起こされるウイルス感染に対して特に有用である。別の実施形態において、上記組成物は、ポックスウイルスによって引き起こされるウイルス感染に対して特に有用である。
【0008】
上記のように、本発明の組成物は、一般に、ウイルス感染に対して有効な1種以上のシクロデキストリンを含み、このようなシクロデキストリンは、上記組成物において提供される唯一の活性成分を構成し得る。しかし、さらなる実施形態において、上記組成物は、1種以上のさらなる抗ウイルス薬物を含み得る。このようなさらなる抗ウイルス薬物は、上記シクロデキストリンの治療効果を増強し得るか、または上記シクロデキストリンの有効な作用に加えて、単純に作用し得る。上記組成物に含められ得るさらなる抗ウイルス剤の非限定的例としては、ファムシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、ホスカルネット(foscamet)、およびペンシクロビルが挙げられる。本発明の一実施形態において、本発明の組成物は、アシクロビルをさらに含む。
【0009】
本発明の組成物は、一般に、上記組成物の総重量に基づいて、約0.1%〜約50重量%の量の1種以上のシクロデキストリンを含む。上記シクロデキストリン組成物は、上記組成物のタイプおよび上記組成物の意図される使用に依存して、その範囲内で変動し得る。
【0010】
抗ウイルス剤(例えば、上記で開示されるもの)に加えて、本発明の組成物は、ウイルス感染の処置もしくは予防において有効な他の薬剤をさらに含み得る。例えば、上記組成物は、抗レトロウイルス剤(例えば、ヌクレオシドアナログ逆転写酵素インヒビター、非ヌクレオシドアナログ逆転写酵素インヒビター、もしくはプロテアーゼインヒビター)を含み得る。
【0011】
特定の局面において、本発明は、一次ウイルス感染が活発に現れる部位もしくは再発性ウイルス感染を示すことが知られている部位へ適用するための薬学的もしくは美容的組成物を提供する。具体的実施形態において、上記組成物は、0.1%〜50重量%のシクロデキストリンもしくはその誘導体、および上記薬学的もしくは美容的組成物が非水ベースのゲル、鼻用スプレーもしくは咽頭用スプレー、粘膜への適用に適したヒドロゲル、またはリップバームの形態で存在するように、薬学的にもしくは美容的に受容可能な賦形剤を含む。特に、上記薬学的にもしくは美容的に受容可能な賦形剤は、ポリエチレングリコールベースの成分、ポリオール、電解質、およびワックス状成分からなる群より選択され得る。特定の実施形態において、上記シクロデキストリンは、抗ウイルス活性を有する上記組成物中に存在する唯一の薬剤であるか、または抗ウイルス活性を有するさらなる化合物と包接複合体(inclusion complex)の形態で存在しない。
【0012】
一局面において、本発明は、ゲル組成物を提供する。このような組成物は、ウイルス感染の徴候を活発に示す領域に局所投与するのに有用な形態で好ましくは存在する。例えば、上記ゲルは、HSV感染(例えば、「口唇ヘルペス」)を示す口腔の痛みに投与するために適切な形態で存在し得る。
【0013】
1つの特定の実施形態において、本発明は、1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む、非水ベースのゲル組成物を提供する。好ましくは、上記組成物は、1種以上のポリエチレングリコールベースの成分をさらに含む。本発明に従うこのようなゲルは、上記ゲルが非水ベースのゲルであることで特徴付けられ得る。言い換えると、上記ゲルは、水を実質的に含まない。さらなる実施形態において、上記ゲルはまた、保存剤を含まない。
【0014】
別の局面において、本発明は、鼻もしくは咽頭に投与するために特に適合されている組成物を提供する。例えば、特定の実施形態において、本発明は、スプレー可能な組成物を提供する。このようなスプレー可能な組成物は、片方もしくは両方の鼻孔に直接上記組成物をスプレーすることによって鼻経路に送達可能であるか、または口にスプレーすることによって、特に、口の上側部分を迂回し、咽頭領域に直接適用することによって、咽頭に送達可能である。1つの特定の実施形態において、本発明は、1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体および水を含むスプレー可能な組成物を提供する。上記スプレー可能な組成物は、1種以上のポリオールをさらに含み得る。
【0015】
本発明のこの局面に従うさらなる実施形態において、鼻用ゲル組成物が提供される。このような鼻用ゲルは、その鼻用ゲル組成物が、粘膜と直接接触させるために処方される点で、上記の局所投与のためのゲルとは区別され得る。特に、本発明の鼻用ゲル組成物は、好ましくは、粘膜(例えば、哺乳動物の鼻における粘膜)に対して非刺激性であるかもしくは沈静化する1種以上のキャリアもしくは溶媒を含む。1つの特定の実施形態において、本発明に従う鼻用ゲル組成物は、1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体、キャリア、および濃化剤を含む。
【0016】
さらに別の局面において、本発明は、感染しやすいもしくはウイルス感染の症状を活発に示す哺乳動物の皮膚の部分に局所適用するために特に適合されている美容的組成物を提供する。例えば、特定の実施形態において、本発明は、リップバーム組成物を提供する。
【0017】
1つの特定の実施形態において、本発明は、1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体、および1種以上のワックス状成分を含むリップバーム組成物を提供する。さらなる実施形態において、上記リップバームは、さらなる有益な成分(例えば、1種以上のUVフィルタ成分)を含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ここで本発明の特定の実施形態に言及して、本明細書中以降より詳細に記載される。実際に、本発明は、多くの種々の形態において具現化され得、本明細書に示される実施形態に限定されると解釈されるべきでない;むしろ、これら実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」、「この、その、上記(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さなければ、複数形を包含する。
【0019】
本発明は、活発なウイルス感染(例えば、口唇ヘルペスもしくは活発なウイルス感染を示す「突然の増加」の他の物理的症状)を示す部位もしくは活発な感染の徴候はないが、再発性の突然の増加が起こることが知られている部位への適用のための処方物である、薬学的および美容的な組成物を提供する。よって、上記組成物は、ウイルス感染を処置する(すなわち、ウイルス感染と関連する活発な突然の増加の持続期間を減少させる)およびウイルス感染を予防する(例えば、再発性の突然の増加の予防)ために有用である。上記組成物は、局所適用(例えば、ウイルス感染を示す潰瘍(sore)に対して)のために特に有用である。用語「局所投与」とは、環境(surrounding)に対して概して開いている身体上の表面への投与を含むためにその最も広い意味で使用される。上記身体上の表面は、皮膚のみならず、鼻経路および口経路もまた含む。従って、局所投与は、皮膚への適用、鼻経路への適用、および口腔(上咽頭を含む)への適用を含む。本発明の組成物は、シクロデキストリンならびに薬学的もしくは美容的な組成物が上記部位に投与するための形態で存在に適切な、薬学的にもしくは美容的に受容可能な賦形剤を含む。
【0020】
シクロデキストリン(もとは、19世紀後半に最初に同定されたときにはセルロシンといわれ、現在では、ときおりシクロアミロースといわれる)は、アミロース(デンプンのフラグメント)のように、α−(1,4)グリコシド結合によって連結される5個以上のα−D−グルコピラノシド単位から構成される環状オリゴ糖のファミリーを構成する。最小のもの(および天然に存在するシクロデキストリン)は、5員の大環状分子(macrocycle)である。最大の、十分に特徴付けられたシクロデキストリンは、32個の1,4−無水グルコピラノシド単位を含むが、少なくとも150員の環状オリゴ糖がまた、(しかし概して、あまり特徴付けられていない混合物として)公知である。
【0021】
最も一般的に公知であるシクロデキストリンは、環中に6〜8個の単位の範囲に及ぶ多くのグルコースモノマーを含む。上記3つの天然に存在するシクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、およびγ−シクロデキストリンとして代表的には公知の、それぞれ6個、7個および8個の糖の環分子である。代表する目的で、β−シクロデキストリンの化学構造は、以下の式(I)に提供される。
【0022】
【化1】

溶媒中で最も安定なシクロデキストリンの三次元分子配置は、溶媒環境に対して、それぞれ、二級ヒドロキシル基および一級ヒドロキシル基を示すトロイドの上部(大きい方の)開口部および下部(小さい方の)開口部を有するトロイドの形態を呈する。上記トロイドの内部は、大部分がグリコシド酸素原子によって提供される電子リッチ環境の結果として疎水性である。初期の研究によって、シクロデキストリンが多くの化合物と安定な水溶性複合体を形成したことが示され、そして上記シクロデキストリン空洞の無極環境にある間に、化学物質と形成し得る上記安定な複合体の原因となると代表的に考えられるのは、原子相互作用(ファンデルワールス)、熱力学的力(水素結合)、および溶媒(疎水性)力である。この複合体形成機能に鑑みて、シクロデキストリンは、以前に、溶解度が乏しい薬物の溶解度を高め、薬物保護微小環境を形成し、安定な均一な分布を作り出しかつ維持し、より都合のよい物理的形態(例えば、固体に対する溶液もしくは油の懸濁物(suspension to solution or oil to solid))を提供し、そして薬物の物理的特性(例えば、臭いおよび味)を変化させるために、薬物と組み合わせて使用されてきた。シクロデキストリンは、Comprehensive Supramolecular Chemistry,Volume 3,Cyclodextrins(Lehn,Jean−Marie and Osa,Tetsuo,editors),Elsevier Science,Inc.においてさらに一般的に記載され、これは、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0023】
抗ウイルス活性を有する任意のシクロデキストリン化合物は、本発明の組成物において使用され得る。特に、6〜12個のグルコース単位を含むシクロデキストリンは、本発明において使用され得る。好ましい実施形態において、本発明の組成物において使用されるシクロデキストリンは、BCD、またはその塩もしくは誘導体を含む。さらなる実施形態において、本発明において使用されるシクロデキストリンは、α−シクロデキストリン(ACD)またはその塩もしくは誘導体、あるいはγ−シクロデキストリン(GCD)またはその塩もしくは誘導体を含み得る。なおさらに、本発明において使用されるシクロデキストリンは、1種以上のBCD、ACD、もしくはGCD(またはその塩もしくは誘導体)の種々の組み合わせを含み得る。
【0024】
置換されていないシクロデキストリンに加えて、本発明の組成物は、1種以上のシクロデキストリン誘導体を含み得る。本明細書において使用される場合、シクロデキストリン誘導体とは、1つ以上のヒドロキシル基が化学反応を介して、1種以上の異なる化学部分をシクロデキストリン分子に導入するように改変されたシクロデキストリンをいう。各シクロデキストリンヒドロキシル基がその化学反応性が異なるので、誘導体を調製することにおける反応プロセスは、位置異性体および光学異性体の不定形の(amorphous)混合物を形成する。理論的には、シクロデキストリン分子(α、β、もしくはγ)は、最大3(n)個の置換基を有し得、ここでnは、上記シクロデキストリン分子を構成するグルコピラノース単位の数である。これは、置換の程度(DS)といわれる。上記DSは、水素以外の置換基に言及し、置換基は、全てが1種の置換基であってもよいし、置換基の混合物であってもよい。本発明において有用なシクロデキストリンは、種々の程度の置換を有し得、代表的には、最大100%が置換され得る。特定の実施形態において、上記シクロデキストリンは、より低い平均DS(例えば、グルコース1分子あたり約1.5〜約2.1個の置換基単位の範囲(すなわち、約25%〜33%が置換されている))を有し得る。
【0025】
本発明に従って使用されるシクロデキストリン誘導体は、上記OH基のうちの1個以上がOR基で置換されている(ここでRは、種々の置換基を含む)シクロデキストリン分子を含み得る。具体的実施形態において、Rは、1種以上の置換基(例えば、アミノ、アミド、ヒドロキシル、エーテル、エステルもしくはスルホニル)で必要に応じて置換された、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基を含む。好ましい実施形態において、上記アルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、もしくは1〜4個の炭素原子を含む。本発明において有用なシクロデキストリン上に存在し得る置換基の具体的な非限定的例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、およびスルホブチルエーテルが挙げられる。本発明に従って有用なシクロデキストリン誘導体のさらなる例は、米国特許第4,727,064号、米国特許第5,376,645号、および米国特許第6,001,343号(これらはすべてその全体が本明細書に参考として援用される)に記載されている。1つの好ましい実施形態において、本発明の組成物は、ヒドロキシプロピルBCDを含む。
【0026】
1つの特定の実施形態において、本発明に従って使用されるシクロデキストリンは、ヒドロキシプロピルBCD(β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピルエーテル)を含む。このようなシクロデキストリンは、自由に水溶性であり、100%未満(例えば、グルコース1分子あたり約0.4〜約1.5個の置換基単位の範囲で)のDSを有し得る。当然のことながら、さらなるシクロデキストリン誘導体、またはその組み合わせは、特に抗ウイルス活性を示す誘導体は、本発明に従って使用され得る。
【0027】
上記のように、シクロデキストリンは、活性薬剤の溶解度を増大させるために、または他に処方物の物理的特性を改善するために、活性薬剤と組み合わせたそれらの使用について周知である。本発明によれば、シクロデキストリン自体は、ウイルス感染を処置もしくは予防するために、活性薬剤として使用される。シクロデキストリンのこのような抗ウイルス活性は、以下により詳細に記載される。
【0028】
本発明は、従って、上記処方物が唯一の活性薬剤としてシクロデキストリンを含むことで特徴付けられ得る。よって、本発明の処方物は、任意のさらなる抗ウイルス剤を具体的に排除するとして記載され得る。最も広い意味において、本発明の処方物は、いかなるさらなる活性薬剤をも具体的に排除するとして記載され得る。特に、上記処方物は、シクロデキストリンを含むとして記載され得、ここで上記シクロデキストリンは、別の薬学的に活性な化合物と包接複合体の形態で存在しない。
【0029】
当然のことながら、本発明は、シクロデキストリンが唯一の活性薬剤である処方物に単に限定されない。むしろ、有益であると決定され得る場合、本発明の処方物は、1種以上のさらなる活性薬剤(例えば、抗生物質、鎮痛剤、防腐剤、抗真菌剤、抗炎症剤など)の包含によって最適化され得る。さらに、特定の実施形態において、本発明の処方物は、1種以上のさらなる抗ウイルス剤を含み得る。このようなさらなる活性薬剤が存在する場合、上記さらなる薬剤が、具体的には上記シクロデキストリンと包接複合体の形態で存在しないことが好ましい。
【0030】
(抗ウイルス活性)
薬物キャリアおよび改変剤(modifier)としてのそれらの使用に加えて、いくつかのデータは、シクロデキストリン、特に、β−シクロデキストリン(もしくはBCD)が、HIV−1に対して活性を有することを示す(例えば、米国特許第6,835,717号を参照のこと)。より近年の研究では、シクロデキストリンは他のタイプのウイルスに対しても抗ウイルス活性を有することが示された。例えば、米国特許出願公開第2003/0220294号(これは、その全体が本明細書に参考として援用される)は、BCDが、複数のウイルス(例えば、HSV、ワクシニア、エプスタイン−バーウイルス、およびHCV)に対して特異的抗ウイルス効果を有することを開示する。従って、1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む本発明の組成物は、ウイルス感染を処置もしくは予防するために有効である。
【0031】
本明細書において使用される場合、「処置する」とは、ウイルス感染の少なくとも1種の症状を改善すること、存在するウイルス感染の悪化を予防すること、1種以上のウイルス症状が示された後のさらなる症状の発生を予防すること、もしくはウイルス感染(最初の出現であろうと再発するウイルス感染であろうと)の活発な突然の増加の持続を低下させることをいう。用語「予防する」とは、ウイルスが感染もしくは疾患を引き起こす能力を、例えば、ウイルス侵入後事象に影響を及ぼすことによって弱めるもしくは低下させることをいう。例えば、「予防する」とは、上記ウイルスの1次感染もしくは伝播を弱めることに言及し得る。
【0032】
(HSV)
4000万人を超える米国人が、HSV−1によって引き起こされる口唇ヘルペス(口腔ヘルペス(oral herpes)の一般的な形態)に罹患している。HSV−1は、例えば、キスする間にもしくは汚染された食品製品および家庭用品を使用することによって、口腔の分泌物を介して伝播され得る。HSV−1はまた、陰部ヘルペス感染のうちの約5〜10%に関連している。HSV−1による初期の口腔ヘルペス感染は、代表的には、幼少期に起こる(例えば、感染個体との軽い接触を介して)ので、STDとしては分類されない。
【0033】
HSV−2は、陰部ヘルペス症例の大部分を引き起こし、世界で最も速く拡がっているSTDのうちの1種である。全世界でおよそ8600万人の人々が、HSV−2に感染しており、そのうちの2200万人が、有痛性の性器水疱および潰瘍の症状を示し、代表的には1年に5〜8回突然増加する。陰部ヘルペスに罹患したヒトのわずか約2.6%が、症状的な感染を有する。HSV−2は、症状の存在に拘わらず、直接的な個人的接触を介して、および/もしくは口腔分泌物もしくは性器分泌物を介して、伝播し得る。
【0034】
一次ヘルペスウイルス感染は、眼もしくは性器を介して、口腔もしくは咽頭の粘膜における突破を通じて、または皮膚における小さな擦傷を介して直接起こる。HSV−1が世界的に分布していることから、大部分の個体は、1〜2歳齢までに感染する。初期感染は、通常無症状であるが、小さな局所的小胞性の病変が存在し得る。局所的増加が後に用続く続き、続いて、ウイルス血症および全身性感染が続く。周期的再活発化を伴う終生潜伏性の感染が、一般に、結果として起こる。
【0035】
初期(一次)感染の間に、上記ヘルペスウイルスは、末梢感覚神経に入り、軸索に沿って、中枢神経系(CNS)における感覚神経神経節に移動するので、免疫応答から逃れる。神経細胞の潜伏性感染の間に、ウイルスDNAは、エピソームとして維持される(すなわち、組み込まれない)。しかし、潜伏を維持するために必要とされる特定のウイルス遺伝子の発現は制限される。急激な発生(outbreak)は、免疫系もしくはホルモンバランスに影響を及ぼす種々の障害(例えば、物理的外傷、紫外線、ホルモン、ストレス、外科手術的外傷、もしくは心理的外傷)によって誘発される。
【0036】
潜伏性ウイルスの再活発化は、上記疾患の再発性エピソードをもたらす。再発性感染の間に、ウイルスは再活発化し、感覚神経神経節を身体の表面へ下りて移動し、皮膚に再感染し、再複製して、組織損傷を引き起こす。有痛性ではあるが、大部分の再発性感染は自発的に消散し、通常は、後に再び起こる。より重篤な状態としては、疱疹性角膜炎(失明をもたらし得る反復感染に起因する角膜の潰瘍化)および脳炎(これは、非常にまれであるが、しばしば致死的である)が挙げられる。陰部ヘルペスは、通常、性行為により感染し、従って、その発生率は、適切な膣性の抗ウイルス剤を使用することによって低下もしくは排除され得る。
【0037】
エプスタイン−バーウイルスは、頻繁にEBVといわれ、ヘルペスウイルス科の別のメンバーであり、最も一般的なヒトウイルスのうちの1つである。上記ウイルスは全世界で存在し、大部分のヒトはEBVに感染し、ときおり、生涯にわたって感染する。EBVによる感染が思春期(adolescence)もしくは青年期(young adulthood)の間に起こる場合、その期間の35〜50%に伝染性単球増加症を引き起こす。伝染性単球増加症の症状は、発熱、咽頭痛、およびリンパ節腫大である。ときおり、脾腫もしくは肝機能障害合併症(liver involvement)が発生し得る。心臓の問題もしくは中枢神経系の合併症(involvement)が発生し得る。EBVはまた、身体の免疫系のいくつかの細胞において終生の潜伏感染を確立する。このウイルスの非常に少ない保菌者における後期事象は、バーキットリンパ腫および鼻咽頭癌腫の発生である。EBVは、これら悪性疾患において重要な役割を果たすようであるが、おそらく疾患の唯一の原因ではない。今日では、上記症状を処置する以外には、伝染性単球増加症に利用可能な特定の処置選択肢は存在しない。
【0038】
(ヒトパピローマウイルス)
近年において、HPVは、米国において、最も一般的な性行為感染性ウイルス(sexually transmitted virus)の群であることが示された。現在、最大2000万人の米国人が性行為感染性HPVに感染しており、HPVは、陰部いぼ(尖圭コンジローマ)を引き起こす二本鎖DNAウイルスである。成人集団のうちの約75%が、彼らの腎性のある時点で陰部HPVに感染していたと予測される。65タイプより多くのHPVが存在する一方で、陰部いぼの症例の90%より多くが、HPV 6型および11型が原因であるが、特定の型のHPV(主に16型、18型、31型および45型)による感染は、一般に発生する、女性の子宮頚癌を含む、下部生殖路の癌を生じる、生殖器上皮の新生物への変化をもたらし得る。さらに、科学者は、いくつかの型のHPVと、口腔癌および肛門性器領域の癌(例えば、子宮頚癌、外陰部の癌、肛門癌、および陰茎癌)を含む多くの癌の発症との間に関連があることを見いだした。伝染性拡大および発癌可能性があるので、HPV感染は処置を要する。
【0039】
それらの大きさおよび位置のような要因に依存して、陰部いぼは、いくつかの方法で処置される。未希釈トリクロロ酢酸調製物(TCA)は、その感染領域に適用され得、数時間後に洗い流され得る。代替処置は、20% ポドフィリン溶液であり、これは、罹患領域に適用され、後に洗い流される。妊娠女性は、ポドフィリンを使用すべきではない。なぜなら、ポドフィリンは皮膚に吸収されかつ赤ん坊において先天性欠損を引き起こし得るからである。5% 5−フルオロウラシルクリーム剤の適用もまた、ポルフィリンを用いるのと同様に処方され得るが、妊娠中は避けるべきである。さらに、小さないぼは、破壊法(例えば、冷凍手術(凍結)もしくは電気焼灼器(焼灼)により除去され得る。手術は、他の処置に応答しなかった大きないぼを除去するためにときおり必要とされる。従来の処置で起こり得る副作用としては、疼痛、火傷、炎症、皮膚のびらん、瘢痕、および紅斑が挙げられる。
【0040】
薬物、αインターフェロンは、伝統的な手段による除去の後にいぼが再発したときに使用される。NIAID他によって支援された研究において、研究者らは、インターフェロン処置が患者の約半数においていぼを除去することを見いだした。しかし、いくらかの患者については、第2の処置過程が必要であり得る。これらの処置は、いぼを除去し得るが、上記疾患を治癒せず、いぼは処置後にしばしば現れる。
【0041】
(肝炎ウイルス)
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)によって引き起こされる性行為感染症である。慢性肝線は、重篤な肝損傷(肝硬変)および肝臓癌(肝細胞癌)をもたらし得る。C型肝炎は、重篤な肝疾患として明らかになってきており、静注薬物濫用者(IV drug abuser)および不特定多数と性交渉を持つ個体について顕著に高い危険性を有する。この疾患は、C型肝炎ウイルス(HCV)によって引き起こされる。HCVは、HBVとは異なり、感染個体の年齢に関わらず、慢性感染を確立するので、肝硬変および肝細胞癌を引き起こす可能性が遙かに高い。
【0042】
(ヒトサイトメガロウイルスおよび伝染性軟属腫ウイルス)
健康な個体において疾患を引き起こすことができるヘルペスウイルス、HPV、および肝炎ウイルス(一次病原体)に加えて、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)および伝染性軟属腫ウイルス(MCV)は、性行為感染することができかつ通常は日和見感染症を引き起こすことができるさらなるウイルスの例である。一般に、これらのようなウイルスは、他の合併症とともに呈した場合、通常は、免疫不全個体(例えば、AIDSもしくは他の免疫不全形態を発症している患者、または種々のタイプの移植のための治療もしくは癌治療に接している患者)において、臨床的に重大になる。
【0043】
HCMVは、免疫不全個体において最も一般的かつ困難日和見感染症のうちの1種を引き起こす。その状態は、1次感染、後のウイルス再活発化による再発、もしくは別の方法での以前に感染した個体における新たなウイルス株による再感染から生じ得る。このような状況において、診断を確証することは困難である、なぜなら、ウイルスの存在(ウイルスのラボ検出)を実証する以外には、その原因は、所定の条件に対して確立されなければならない(すなわち、CMVがその病状を引き起こしている場合)。HCMVは、頻繁に、AIDS患者の網膜炎に関与する。水平経路に加えて、HCMVは、ヒトにおける最も頻繁な先天性感染(垂直感染)の原因である。先天性感染は、無症状性もしくは多臓器合併症(multiple organ involvement)を示す症候性であり得る。さらに、このような感染を有して生まれた個体は、一般に、感音性難聴(CNS後遺症)を発症する。HCMVはまた、小児における脳損傷の主要な原因と考えられている。
【0044】
MCVは、小児の胴部領域および肛門性器性行動を行う個体における肛門性器領域を含む、身体の種々の部分の皮膚病変(非炎性皮膚丘疹)を引き起こすポックスウイルスである。代表的な病変は、根底にある表皮より下に伸びるが、基底膜を破らず、眼に見える腫瘍として隣接する皮膚の上に突き出る、肥厚しかつ過形成の表皮の局部的塊からなる。これら病変は、2週間〜2年間続き得、そして切り取り(cropping)は、複数の同時感染の結果として、または局所化した機械的拡大によって生じ得る。MCVが引き起こす病変は、AIDSに罹患している個体において極めて感染力を持続し得かつ外観を醜くし得る。上記ウイルスの伝播は、直接接触および体液接触を介してである。
【0045】
(ポックスウイルス)
本明細書に記載されるMCVに加えて、本発明に従う処置に敏感に反応するポックスウイルスとしては、ワクシニアウイルス、痘瘡ウイルス(痘瘡)、牛痘ウイルス、サル痘ウイルス、偽牛痘ウイルスおよびヒツジ鵞口瘡(感染性膿疱性皮膚炎)ウイルスが挙げられる。ヒツジ鵞口瘡は、上記ポックスウイルスのパラポックスウイルス属に入った。ポックスウイルスの中のさらなるヒト病原体としては、ヤバポックスウイルス、タナポックスウイルス、および伝染性軟属腫ウイルス(これは、本明細書により詳細に記載される)が挙げられる。
【0046】
ポックスウイルスは、約300nm×200nmの大きい煉瓦形状(brick−shaped)のウイルスである。ポックスウイルスは、2つの側体(lateral bodies)が隣接するコア内に包まれた二本鎖DNAゲノム(約200Kb)を有する。上記ウイルス粒子の表面は、繊維状タンパク質成分で覆われる。上記粒子全体は、宿主細胞膜から得られるエンベロープに囲まれている。ポックスウイルスの実験診断は、陰性染色した小胞流体の電子顕微鏡によってもしくは病変物質によって保証され得る。いくつかのポックスウイルスは、ニワトリ胚の漿尿膜上で培養され得、漿尿膜でポックスウイルスは、痘疹を形成し、いくらかは、細胞培養によって単離され得る。
【0047】
ワクシニア(これは、痘瘡に対する免疫のために使用された)は、種々の宿主において容易に増殖する、遺伝的に異なるタイプのポックスウイルスである。ヒトにおいて、ワクシニアは、瘢痕形成を伴う局所的嚢胞を引き起こす。免疫不全個体もしくは湿疹個体において、ワクシニアは、ときおり、重篤な全身化ワクシニア感染を引き起こした。
【0048】
(処方物)
種々の処方物は、本発明に従って提供され、ウイルス感染(本明細書に記載されるウイルス感染のタイプが挙げられるが、これらに限定されない)の処置もしくは予防において有用である。上記処方物は、特定の実施形態に関連して記載され得るが、このような実施形態は、本発明の説明における明確さのために提供されるのであって、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0049】
(非水ベースの局所ゲル処方物)
局所的ゲルは、ウイルス感染から生じる活発な突然の増加の部位に抗ウイルス剤を送達するために特に有用である。例えば、局所的ゲルは、ユーザーの口の周りの口唇ヘルペスおよびウイルス感染の症状を示すさらなる皮膚の突然の増加に適用され得る。さらに、このようなゲルは、潰瘍の形成を予防するために、活発な突然の増加の前に適用され得る。
【0050】
本発明の局所的ゲルは、ウイルス感染を処置もしくは予防するために有効な、1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む。本明細書に記載されるシクロデキストリンのいずれかは、上記局所的ゲルにおいて使用され得る。BCD、特に、ヒドロキシプロピルBCDが特に有用である。上記局所的ゲルは、上記ゲル組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%〜約50重量%の濃度において上記シクロデキストリンを含み得る。具体的実施形態において、上記シクロデキストリンは、上記ゲル組成物の総重量に基づいて、約5重量%〜約40重量%、約10重量%〜約30重量%、もしくは約15重量%〜約25重量%の濃度において、上記局所的ゲル中に存在する。1つの特定の実施形態において、上記局所的ゲル組成物は、約20重量%の1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む。
【0051】
本発明の局所的ゲルは、特に、非水ベースのゲルであることで特徴付けられる。本明細書において使用される場合、「非水ベースのゲル」とは、水性溶媒に基づいていないゲルを意味することが意図される。ゲルは、代表的には、粘性のゼリー状製品を生成するために、水性溶媒(連続相)中のゲル化剤(分散相)から形成される。例えば、水中の2% ゼラチンは、硬いゲルを形成することが公知である。このようなゲルは、代表的には、上記ゲル化剤が、隙間中に多量の溶媒を保持する超顕微鏡的結晶粒子グループを形成するように、水中のゲル化剤の溶液を冷却することによって作製される。
【0052】
本発明の局所的ゲルにおいて、上記非水ベースのゲルは、水溶媒中でゲル化剤から形成されない。従って、非水ベースのゲルがある水分量を含むことはあり得る一方で、水は、溶媒として作用するには不十分な量で存在するか、または上記ゲルの組成物全体は、水が溶媒として作用し得るようには存在しない。よって、水は、水を含まないゲルの主要な成分を形成しない。このような実施形態において、上記非水ベースのゲルは、実質的に水を含まないといわれ得る。水を実質的に含まないように、上記非水ベースのゲルは、好ましくは、上記ゲル組成物の総重量に基づいて、約25重量%未満の量の水を含む。より好ましくは、上記非水ベースのゲルは、上記ゲル組成物の総重量に基づいて、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、もしくは約0.1重量%未満を含む。
【0053】
本発明のこの実施形態に従う局所的ゲルは、上記組成物の成分の1種以上において本質的に存在するとして水が上記組成物中に含まれるのみであるという点で、水を実質的に含まない。例えば、ヒドロキシプロピルBCDの様な成分は、本発明のゲルの中に残る少量の水を本質的に含み得る。従って、水は、上記局所的ゲル中に存在し得るが、本発明の局所的ゲルは、上記ゲル中に存在する水が、上記成分部分のうちの1種以上の副生成物として含まれるのみでありかつ上記ゲルの形成において実際の役割(例えば、溶媒としての)を果たさないという点で、実質的に水を含まない。
【0054】
本発明の非水ベースの局所ゲルは、ほとんどまたは全く保存剤を含まないことでさらに特徴付けられる。代表的な水ベースのゲルは、製品の貯蔵寿命を維持するために、必然的に保存剤を含む。本発明の局所的ゲルは、非水ベースであり、保存剤を含めずに調製され得る。このことによって、費用が低下し、処方が単純になり、ユーザーによる有害な反応の可能性が排除され、保存剤は、まれではない(例えば、水銀含有保存剤チメロサール)。
【0055】
水ベースのゲルは、特定の適用において不利である。なぜなら、水ベースのゲルは、体液(例えば、唾液)もしくは外部の水性流体(例えば、飲料によって可溶化された口腔薬物療法)によって直ぐに取り除かれてしまうからである。非水ベースのゲル(例えば、本明細書に記載されるもの)は、適用部位に長く残るので、活性成分(例えば、本発明のシクロデキストリン)によって適用部位での長期の活性を可能にするという点で有益である。生体接着性ゲルは、米国特許第5,192,802号、米国特許第5,314,915号、および米国特許第5,298,258号(これらは全てその全体が本明細書中に参考として援用される)に記載され、そしてこのような生体接着性ゲルは、本発明に従う局所的ゲルを調製するために、本明細書に記載されるシクロデキストリンとともに使用され得る。
【0056】
本発明の非水ベースのゲルは、閉塞効果を提供するという点で特に有益である。上記で指摘されるように、水ベースのゲルは、蒸発効果(すなわち、水溶媒が迅速に蒸発して、残りの成分が容易に直ぐに取り除かれてしまう)に悩まされている。しかし、本発明の非水ベースのゲルにおいて、水溶媒がないことによって、蒸発効果が堅調に低下するかまたは完全に排除される。むしろ、閉塞効果が観察され、そして上記ゲルの活性成分は、上記ゲルの効果を増大させるために、長期間にわたって皮膚と接触したまま維持される。
【0057】
上記閉塞効果は、比較的大きな分子(例えば、シクロデキストリン)の使用によって特に有益である。例えば、HPBCDは、通常は大きすぎて、皮膚を介してヒトの身体には入れない(例えば、HPBCD単独の皮膚透過は、代表的には、約0.1%の範囲である)分子サイズである。従って、蒸発効果が認められる水ベースのゲルにおいて、HPBCDのような成分は、皮膚と相互作用する時間がほとんどなく、上記HPBCDの有効な皮膚浸透は低い。上記閉塞効果が認められる本発明の非水ベースのゲルにおいては、上記シクロデキストリン英文の皮膚浸透は、10〜100倍の桁で増大し得る。従って、上記活性成分の顕著に多い量が、皮膚と相互作用することが可能になり、上記組成物の有益な局面(例えば、抗ウイルス効果)が、大いに増大される。
【0058】
上記シクロデキストリン成分に加えて、本発明の局所的ゲルは、さらなるゲル成分を含み得る。例えば、上記局所的ゲルは、1種以上の非水性溶媒を含み得る。本発明に従って有用な非水性溶媒の非限定的例としては、低級アルキルアルコール(特に、C−Cアルコール)、ピロリドン、および揮発性シリコーンが挙げられる。本発明に従って有用な溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エトキシジグリコール、1−メチル−2−ピロリドン、ポリジメチルシロキサン、ポリオルガノシロキサン、および他のシリコーンポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
さらなる実施形態において、上記非水ベースの局所ゲルは、1種以上のポリエチレングリコール(PEG)成分を含み得る。当該分野で公知であるように、PEGポリマーは、以下の式(II)に示される一般構造に従うポリマーである:
−CHCHO−(CHCHO)−CHCH− (II)
ここでnは、約10〜約4,000の整数である。上記の構造に従う任意のPEGポリマーは、本発明に従って有用であり得る。本発明の1つの特定の実施形態において、nは、約50〜約3,000、より具体的には、約100〜約2,000、なおより具体的には、約200〜約500の整数であり得る。本発明の2つの具体的実施形態において、nは、約250〜約450、特に、約300〜約400の整数である。
【0060】
PEGは、複数の形態で利用可能な、非常に用途の覆いポリマーであり、本発明に従って特に有用である。上記PEG成分は、例えば、以下の式(III)に示されるように、末端ヒドロキシル基を有する直線上ポリマーとしてその非結合形態で存在し得る。
HO−CHCHO−(CHCHO)−CHCH−OH (III)
これは、HO−PEG−OHとして省略され得る。ここで上記PEG部分は、上記式(II)に提供される構造を表すことが理解される。複数アームもしくは分枝状PEGポリマーはまた、本発明に従って有用である。複数アームのPEGポリマーは、一般に、非反応性連結鎖から伸びる2つ以上のPEG骨格を有する。
【0061】
式(II)に関連して上に記載されるように、上記PEGポリマーの分子量は、nの値に依存して変動し得る。種々の分子量のPEGポリマーは、本発明に従って使用され得る。例えば、一実施形態において、上記PEG成分は、最大約100,000Da、最大約50,000Da、最大約20,000Da、最大約10,000Da、最大約5,000Da、最大約2,000Da、もしくは最大約1,000Daまでの分子量を有し得る。特定の実施形態において、上記PEG成分は、約200Da〜約10,000Da、約200Da〜約8,000Da、約200Da〜約4,000Da、約500Da〜約4,000Da、もしくは約1,000Da〜約3,000Daの範囲の分子量を有する。別段記載されなければ、分子量は、重量平均分子量(M)として本明細書で表され、重量平均分子量(M)は、以下の式(IV)によって定義される:
【0062】
【数1】

ここでnは、分子量Mを有するポリマー分子の数(もしくはこれら分子のモル数)である。
【0063】
本発明の非水ベースのゲルは、望ましいゲル粘性を達成するに有用な、1種のPEG成分もしくは2種以上のPEG成分の組み合わせを含み得る。例えば、上記組成物は、非水ベースのゲル製品の最終的粘性について概して望ましい範囲の名目粘性を有する単一のPEG成分を含み得る。別の実施形態において、上記組成物は、2種のPEG成分(例えば、高粘性PEGおよび低粘性PEG)の組み合わせが望ましい最終的な粘性を生じるように、適切な比で上記PEG成分を含み得る。好ましくは、上記最終ゲル組成物は、約10cP〜約500cP、約20cP〜約400cP、約30cP〜約300cP、約40cP〜約250cP、約50cP〜約200cP、もしくは約75cP〜約150cPの範囲の粘性を有する。
【0064】
特定の実施形態において、本発明の非水ベースのゲルは、最大約99.9重量%の1種以上のPEG成分を含み得る。好ましくは、上記ゲル組成物は、上記ゲル組成物の総重量に基づいて、約50%〜約99%、約55%〜約95%、約60%〜約90%、もしくは約75%〜約85重量%の1種以上のPEG成分を含む。具体的実施形態において、上記非水ベースのゲル組成物は、1種以上のシクロデキストリン成分および1種以上のPEG成分からなる。
【0065】
なおさらなる実施形態において、本発明の非水ベースの局所ゲルは、さらなる成分を含み得、このさらなる成分としては、油、脂肪、濃化剤、可溶化剤、酸および塩基が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる添加剤の非限定的例としては、ポリカルボフィル、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、およびアルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、もしくはブチルセルロース)が挙げられる。
【0066】
さらに好ましい実施形態において、上記非水ベースのゲルは、1種以上のパラフィンを含み得る。このようなパラフィンは、1種以上のPEG成分と組み合わせて使用され得る。さらなる実施形態において、上記ゲルは、PEG成分の代替として、パラフィンを使用し得る。代表的には、疎水性ゲルもしくは親油性ゲルの調製において使用される任意のパラフィンは、本発明に従って使用され得る。
【0067】
スプレー処方物
別の局面において、本発明は、スプレー処方物の形態において組成物を提供する。このような処方物は、身体の領域への上記シクロデキストリン組成物の送達に特に有用である。ここで局所的ゲルの適用は、都合がよくなくても有効でなくてもよい。さらなる実施形態において、上記スプレー処方物は、鼻用スプレーもしくは咽頭用スプレーの形態である。鼻用スプレーは、哺乳動物の一方もしくは両方の鼻孔へのスプレーに敏感に反応し、鼻経路内の粘膜と接触させるのに安全なスプレー組成物をいうことが理解される。咽頭用スプレーは、哺乳動物の口腔へスプレーすることに敏感に反応するスプレー組成物をいうことが理解される。具体的には、上記咽頭用スプレーは、ユーザーの口腔を主に迂回し(すなわち、上記スプレーの大部分は、舌、口蓋、もしくは頬内面に必ずしも接触しない)、概して咽頭領域に適用されることが意図される。当然のことながら、上記咽頭用スプレーは、上記口腔および咽頭の全ての表面と接触するのに安全であるべきである。上記スプレー処方物は、当然のことながら、上記口腔もしくは鼻における使用に限定されず、身体の他の部分への適用のためにも使用され得る。
【0068】
本発明のスプレー処方物は、ウイルス感染を処置もしくは予防するに有効な、1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む。本明細書に記載されるシクロデキストリンのうちのいずれかは、上記スプレー処方物において使用され得る。BCD、特にヒドロキシプロピルBCDが特に有用である。上記スプレー処方物は、上記スプレー組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%〜約50重量%の濃度において、上記シクロデキストリンを含み得る。具体的実施形態において、上記シクロデキストリンは、上記スプレー組成物の総重量に基づいて、約1重量%〜約40重量%、約1重量%〜約30重量%、約1重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約9重量%、約2重量%〜約8重量%、約3重量%〜約7重量%、もしくは約4%〜約6重量%の濃度において、上記スプレー処方物中に存在する。1つの特定の実施形態において、上記スプレー処方物は、約5重量%の1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む。
【0069】
本発明のスプレー処方物は、鼻もしくは咽頭への適用に敏感に反応する処方物を調製するために有用な他の成分をさらに含み得る。例えば、上記スプレー処方物は、キャリア、透過増強剤、酸、塩基、矯味矯臭剤などを含み得る。
【0070】
特定の実施形態において、上記スプレー処方物は、1種以上のポリオールを含む。本明細書において使用される場合、ポリオールは、複数のヒドロキシル基を含む任意の化合物をいうことが意図される。より具体的には、ポリオールは、有機反応に利用可能なヒドロキシル官能基を有するポリマーもしくはモノマーに言及し得る。ポリマー性ポリオールは、ポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールのようなポリエーテルであり得る。本発明に従って有用なポリオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、1,2−プロパンジオール、ジメチルポリシラノール、モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノブチルエーテル、およびジエチレングリコールが挙げられる。上記1種以上のポリオールは、0.1重量%〜約30重量%、約1重量%〜約30重量%、約5重量%〜約30重量%、もしくは約5重量%〜約20重量%の範囲の濃度において、上記スプレー処方物中に含まれ得る。
【0071】
本発明のスプレー処方物は、好ましくは、水ベースの処方物であり、上記水ベースの処方物は、上記処方物が少なくとも1種の水性溶媒を含むことを意味することが意図される。好ましくは、上記スプレー処方物は、主要な溶媒として水を含む。しかし、他の溶媒もまた、使用され得る。例えば、上記処方物は、さらなる溶媒(例えば、アルコール)を含み得る。ポリオール(例えば、グリセロール)は、それらの水に結合する効果に鑑みて、特に有用である。
【0072】
代表的には、水は、上記処方物の総重量に基づいて、上記スプレー処方物の最大約99重量%までを構成し得る。特定の実施形態において、水は、上記スプレー処方物の、最大約95重量%、最大約90重量%、最大約80重量%、最大約70重量%、もしくは最大約60重量%までを構成する。さらなる実施形態において、水は、上記スプレー処方物の、約50重量%〜約95重量%、好ましくは、約60重量%〜約90重量%もしくは約70重量%〜約90重量%を構成する。
【0073】
(ヒドロゲル処方物)
別の局面において、本発明は、哺乳動物の鼻もしくは鼻経路における使用に特に適したゲルの形態で組成物を提供する。このようなゲルは、非水ベースのゲル(例えば、上記のもの)であり得る。さらなる実施形態において、本発明の鼻用ゲルは、水ベースのゲルである。
【0074】
本発明のヒドロゲル処方物は、ウイルス感染を処置もしくは予防するに有効な、1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む。本明細書に記載されるシクロデキストリンのうちのいずれかは、上記ヒドロゲル処方物において使用され得る。BCD、特にヒドロキシプロピルBCDが特に好ましい。上記ヒドロゲル処方物は、上記ヒドロゲル処方物の総重量に基づいて、約0.1重量%〜約50重量%の範囲の濃度において、上記シクロデキストリンを含み得る。具体的実施形態において、上記シクロデキストリンは、上記ヒドロゲル処方物の総重量に基づいて、約1重量%〜約40重量%、約1重量%〜約30重量%、約1重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%、約3重量%〜約7重量%、もしくは約4重量%〜約6重量%の濃度において上記ゲル処方物中に存在する。1つの特定の実施形態において、上記ヒドロゲル処方物は、約5重量%の1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む。
【0075】
本発明のヒドロゲル処方物は、上記ヒドロゲル処方物は水ベースのゲルである点で、上記非水ベースのゲルとは明らかに異なる。従って、具体的実施形態において、本発明のヒドロゲル処方物は、1種以上のキャリア、または1種以上の濃化剤もしくはゲル形成剤と組み合わせた溶媒を含む。ゲルの処方において有用な任意の溶媒(水性溶媒を含む)は、本発明に従って使用され得る。本発明に従って有用なゲル形成剤としては、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはカルボキシメチルセルロース)、および植物性ヒドロコロイド(例えば、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、アラビアガム)が挙げられるが、こっらに限定されない。
【0076】
特定の実施形態において、上記ヒドロゲル処方物は、1種以上の共溶媒をさらに含む。好ましい実施形態において、上記共溶媒は、1種以上のポリオールを含む。本発明に従う共溶媒として有用なポリオールの非限定的例としては、以下が挙げられ、本発明に従って有用なポリオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、1,2−プロパンジオール、ジメチルポリシラノール、モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノブチルエーテル、およびジエチレングリコールが挙げられる。上記1種以上のポリオールは、0.1重量%〜約30重量%、約1重量%〜約30重量%、約5重量%〜約30重量%、もしくは約5重量%〜約20重量%の範囲の濃度において、上記スプレー処方物中に含まれ得る。
【0077】
本発明のヒドロゲルは、上記鼻経路の粘膜により適合性で非刺激性のヒドロゲルを作製するために有用な、1種以上の成分をさらに含み得る。このような実施形態において、本発明は、鼻用ゲルを特に提供する。好ましい実施形態において、上記鼻用ゲルは、上記鼻用ゲルの塩度を増大させるために有用な、1種以上の電解質を含む。体液(上記鼻経路の粘膜を浸す(bathing)ものが挙げられる)は、特定の電解質バランスを有し、このような電解質バランスを変化させることによって、刺激効果が引き起こされ得る。従って、本発明の鼻用ゲルは、好ましくは、上記鼻経路内の粘膜の天然の電解質バランスを維持するために有用な濃度において、1種以上の塩成分を含む。特定の実施形態において、上記鼻用ゲル組成物は、塩化ナトリウムを含む。しかし、このようなさらなる成分は、特定の鼻用ゲル処方物に限定されず、本発明に従う種々のさらなるヒドロゲルにおいて含められ得る。
【0078】
上記ヒドロゲル処方物はまた、上記シクロデキストリン成分の送達に有用なさらなる成分を含み得る。例えば、上記処方物は、浸透増強剤、湿潤剤、乳化剤、油、脂肪、および他の同様な成分を含み得る。
【0079】
(バーム処方物)
別の局面において、本発明は、哺乳動物の口唇にもしくはその周辺に使用するのに特に適したバームの形態の組成物を提供する。より具体的な実施形態において、本発明のバーム処方物は、リップバーム、リップスティック、および他のスティック形態のバームを含み得る。上記スティックバームは、特に、化粧品(例えば、着色したリップスティックもしくはリップグロス)であり得る。さらなる実施形態において、上記スティックバームは、本質的に無色であり得、芳香剤(scent)もしくは挙未矯臭剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0080】
本発明のリップバーム処方物は、ウイルス感染を処置もしくは予防するのに有効な、1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む。本明細書に記載されるシクロデキストリンのうちのいずれかは、上記リップバーム処方物において使用され得る。BCD、特にヒドロキシプロピルBCDは、特に有用である。上記リップバーム処方物は、リップバーム処方物の総重量に基づいて、約0.1重量%〜約50重量%の濃度において、上記シクロデキストリンを含み得る。具体的実施形態において、上記シクロデキストリンは、リップバーム処方物の総重量に基づいて、約5重量%〜約50重量%、約5重量%〜約40重量%、約10重量%〜約40%、約10重量%〜約30%、もしくは 約15重量%〜約25重量%の濃度において、上記リップバーム処方物中に存在する。1つの特定の実施形態において、上記リップバーム処方物は、約20重量%の1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む。
【0081】
本発明のリップバーム処方物は、一般に、上記バームの大部分を構成する1種以上の基剤形成成分(base forming component)を含む。例えば、固体スティックは、上記基剤形成成分として、天然もしくは合成のワックス、脂肪アルコール、もしくは脂肪酸エステルを含み得る。本発明のリップバームにおいて使用するのに適した基剤の具体例は、液状油(例えば、パラフィン油、ひまし油、セトステアリルアルコール(cetosearyl alcohol)、およびミチスチン酸イソプロピル)、半固体構成要素(例えば、ワセリンおよびラノリン)、固体構成要素(例えば、蜜蝋、セレシンおよび微結晶性ワックスおよびオゾケライト)、および高融点ワックス(例えば、カルナウバワックスおよびカンデリラワックス)である。前述の基剤形成成分の全ては、語句「ワックス状成分」によって、一群として記載され得る。従って、本発明に従うリップバームに関連して使用される場合、ワックス状成分は、上記リップバームの大部分を形成するために使用され得る上記の物質のいずれかであり、類似のワックスは、一般に、周囲温度で固体もしくは半固体であるが、平均体温(すなわち、約37℃)に近い温度で少なくとも軟化する。
【0082】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、1種以上の日焼け止め剤成分をさらに含み得る。特に、上記サンスクリーンは、少なくとも1種のUVAフィルタ物質および/もしくは少なくとも1種のUVBフィルタ物質および/もしくは少なくとも1種の無機顔料を含み得る。多くのウイルス感染(特に、再発する感染)は、UV刺激性の突然の増加(すなわち、日光に曝されることによって刺激される突然の増加)に影響を受けやすい。従って、UVフィルタを本発明の組成物に添加することは、突然の増加を減少させるかもしくは予防するために特に有用であり得る。
【0083】
本発明に従って使用されるUVBフィルタは、油溶性もしくは水溶性であり得る。油溶性物質の例は、以下のとおりである:3−ベンジリデンカンファーおよびその誘導体(例えば、3−(4−メチルベンジリデン)−カンファー;4−アミノ安息香酸誘導体(好ましくは、2−エチルヘキシル4−(ジメチルアミノ)−ベンゾエート、アミル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート;桂皮酸のエステル(好ましくは、2−エチルヘキシル4−メトキシシナメート、イソペンチル4−メトキシシナメート);サリチル酸のエステル(好ましくは、2−エチルヘキシルサリチレート、4−イソプロピルベンジルサリチレート、ホモメンチル(homomenthyl)サリチレート);ベンゾフェノンの誘導体(好ましくは、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン);ベンザルマロン酸(benzalmalonic acid)のエステル(好ましくは、ジ(2−エチルヘキシル)4−メトキシベンザルマロネート);および2,4,6−トリアニリノ(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジン。有利な水溶性物質は、以下のとおりである:2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸およびその塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、もしくはトリエタノールアンモニウム塩);ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体(好ましくは、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびその塩);ならびに3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体(例えば、4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸、2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)−スルホン酸およびその塩。本発明に従って使用され得る上記UVBフィルタのリストは、旺然のことながら限定であることを意図しない。
【0084】
本発明に従って有用なUVAフィルタ物質の例としては、ジベンゾイルメタンの誘導体(特に、1−(4’−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンおよび1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)−プロパン−1,3−ジオンが挙げられる。本発明に従って有用なUVフィルタのさらなる例としては、p−アミノ安息香酸、その塩およびその誘導体(エチル、イソブチル、グリセリルエステル);p−ジメチルアミノ安息香酸);アントラニレート(o−アミノベンゾエート;メチル、メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル(linalyl)、テルピニル、およびシクロヘキシルのエステル);サリチレート(オクチル、アミル、フェニル、ベンジル、メンチル(ホモサレート)、グリセリル、およびジプロピレングリコールのエステル);桂皮酸誘導体(メンチルエステルおよびベンジルエステル、α−フェニルシナモニトリル;ブチルシナモイルピルベート);ジヒドロキシ桂皮酸誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセト−ウンベリフェロン);カンファー誘導体(3−ベンジリデン、4−メチルベンジリデン、ポリアクリルアミドメチルベンジリデン、ベンザルコニウムメトスルフェート、ベンジリデンカンファースルホン酸、およびテレフタリリデンジカンファースルホン酸);トリヒドロキシ桂皮酸誘導体(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフネチン、およびグルコシド、エスクリンおよびダフニン);炭化水素(ジフェニルブタジエン、スチルベン);ジベンザルアセトンおよびベンザルアセトフェノン;ナフトールスルホネート(2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸のナトリウム塩および2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸のナトリウム塩);ジヒドロキシ−ナフトエ酸およびその塩;o−およびp−ヒドロキシジフェニルジスルホネート;クマリン誘導体(7−ヒドロキシ、7−メチル、3−フェニル);ジアゾール(2−アセチル−3−ブロモインダゾール、フェニルベンゾオキサゾール、メチルナフトオキサゾール、種々のアリールベンゾチアゾール);キニン塩(重硫酸塩、硫酸塩、塩酸塩、オレイン酸塩、およびタンニン酸塩);キノリン誘導体(8−ヒドロキシキノリン塩、2−フェニルキノリン);ヒドロキシ−もしくはメトキシ−置換ベンゾフェノン;尿酸およびビロ尿酸(vilouric acid);タンニン酸およびその誘導体;ヒドロキノン;ベンゾフェノン(オキシベンゾン、スルイソベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレゾルシノール、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン)、ジベンゾイルメタン誘導体、アボベンゾン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、4−イソプロピル−ジベンゾイルメタン、オクトクリレン、およびドロメトリゾールトリシロキサンが挙げられる。
【0085】
本発明のリップバーム処方物は、UV光線に対して皮膚を保護するために、化粧品中に習慣的に使用される無機顔料の形態において、サンスクリーンをさらに含み得る。これらとしては、チタン、亜鉛、鉄、ジルコニウム、ケイ素、マンガン、アルミニウム、セリウムの酸化物、およびこれらの混合物、ならびにその酸化物が活性剤である改変物が挙げられ得る。
【0086】
本発明のリップバームは、さらなる成分をさらに含み得る。例えば、上記リップバームは、1種以上の抗酸化剤を含み得る。上記抗酸化剤は、非常に低い耐性容量(例えば、pmol〜μmol/kg)において、有利には、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド(例えば、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびその誘導体(例えば、アンセリン))、カロチノイド、カロチン(例えば、α−カロチン、β−カロチン、リコペン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、オーロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンならびにこれらのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびグリセリルのエステル)ならびにこれらの塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、ならびにスルホキシイミン(sulphoximine)化合物(例えば、ブチオニン−スルホキシイミン、ホモシステイン−スルホキシイミン、ブチオニンスルホンチオニン−、ペンタチオニン−、ヘキサチオニン−およびヘプタチオニン−スルホキシイミン)、ならびにさらなる(金属)キレート化剤(例えば、α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体(例えば、γ−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビルリン酸Mg、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えば、ビタミンEアセテート)、ビタミンAおよび誘導体(ビタミンAパルミテート)ならびにコニフェリルベンゾエートおよびベンゾイン樹脂、ルチン酸およびその誘導体(α−グリコシルルチン)、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤシン酸(guaiacic acid)、ノルジヒドログアイアレチン酸(guaiaretic acid)、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO)、セレンおよびその誘導体(例えば、セレンメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、スチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシド)ならびに本発明に従って適切である、言及されているこれらの活性成分の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)からなる群より選択される。
【0087】
上記リップバームに含まれ得る他の成分の例としては、顔料および他の着色剤、矯味矯臭剤、抗炎症剤、精油、保湿剤、保存剤、および有用であり得る任意の他の美容的に安全な成分が挙げられる。
【0088】
親油性および親水性エマルジョン処方物
さらなる実施形態において、本発明は、その成分がエマルジョンの形態で存在するさらなる処方物を提供する。このようなさらなる処方物は、本質的に親油性であり得るか(すなわち、脂肪ベース)もしくは本質的に親水性であり得(すなわち、水性ベース)、そして種々の特定の形態(例えば、エマルジョンベースのクリーム剤、ローション剤など)をとり得る。親油性および親水性処方物を調製することにおいて使用されるエマルジョンとしては、水中油(O/W)エマルジョン、油中水(W/O)エマルジョン、水中油中水(water−in−oil−in−water)(W/O/W)エマルジョン、油中水中油(oil−in−water−in−oil)(O/W/O)エマルジョン、脂質分散物(lipodispersion)、もしくは水分分散物(hydrodispersion)が挙げられる。本発明の意味においてエマルジョンは有利であり、このようなタイプの処方物に代表的には、使用されるように、例えば、脂肪、油、ワックス、もしくた他の脂肪体、ならびに水および1種以上の乳化剤を含む。
【0089】
本発明に従うエマルジョンの油相は、有利には、以下の群の物質から選択され得る:鉱油および地蝋;油(例えば、カプリン酸、カプリル酸、もしくはひまし油のトリグリセリド);脂肪、ワックス、ならびに他の天然および合成の脂肪体(好ましくは、脂肪酸と低炭素数のアルコール(例えば、イソプロパノール、プロピレングリコールもしくはグリセロール)とのエステル、または脂肪アルコールと低酸素数のアルカン酸もしくは脂肪酸とのエステル);安息香酸アルキル;シリコーンオイル(例えば、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、およびこれらの混合形態)。上記エマルジョンの油相が選択され得る非限定的例としては、飽和および/もしくは不飽和の、分枝状および/もしくは非分枝状の、3〜30個の炭素原子の鎖長を有するアルカンカルボン酸のエステル、ならびに飽和および/もしくは不飽和の、分枝状および/もしくは非分枝状の、3〜30個の炭素原子の鎖長を有するアルコールのエステル;芳香族カルボン酸と、飽和および/もしくは不飽和の、分枝状および/もしくは非分枝状の、3〜30個の炭素原子の鎖長を有するアルコールとのエステルが挙げられる。次いで、このようなエステル油は、有利には、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソプロピルオレエート、n−ブチルステアレート、n−ヘキシルラウレート、n−デシルオレエート、イソオクチルステアレート、イソノニルステアレート、イソノニルイソノナノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−エチルヘキシルラウレート、2−ヘキシルデシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、オレイルオレエート、エルカ酸オレイル、エルシルオレエート、エルカ酸エルシル、ならびにこのようなエステルの合成、半合成および天然の混合物(例えば、ホホバオイル)からなる群より選択され得る。さらに、上記油相は、有利には、分枝状および非分枝状の炭化水素および炭化水素ワックス、シリコーンオイル、ジアルキルエーテルの群、飽和もしくは不飽和の、分枝状もしくは非分枝状のアルコール、および脂肪酸トリグリセリド(すなわち、8〜24個の(特に、12〜18個の)炭素原子の鎖長を有する、飽和および/もしくは不飽和の、分枝状および/もしくは非分枝状のアルカンカルボン酸のトリグリセロールエステル)の群から選択され得る。上記脂肪酸トリグリセリドは、有利には、例えば、合成、半合成および天然の油(例えば、オリーブ油、ひまわり油、大豆油、落花生油、菜種油、アーモンド油、ヤシ油、ココナッツ油、パーム核油など)の群から選択され得る。
【0090】
このような油およびワックス成分の任意の混合物はまた、有利には、本発明の目的のために使用され得る。いくつかの状況において、上記油相の唯一の脂質成分としてワックス(例えば、セチルパルミテート)を使用することは、有利であり得る.上記油相はまた、有利には、ある含有量の環状もしくは直鎖状のシリコーン油を有し得るか、またはこのような油から完全になり得るが、上記シリコーン油とは別に、さらにある含有量の他の油相成分を使用することは好ましい。
【0091】
本発明に従う調製物の水性相は、必要に応じて、有利には、低炭素数のアルコール、ジオールもしくはポリオール、およびこれらのエーテル、好ましくは、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルもしくはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルもしくはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテルおよび類似の生成物、ならびに同様に低炭素数のアルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセロール)、ならびに特に、1種以上の濃化剤を含み、上記濃化剤は、有利には、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖およびその誘導体(例えば、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)からなる群より選択され得、特に有利には、ポリアクリレートの群、好ましくは、いわゆるカルボポルの群からのポリアクリレートから選択され得る。
【0092】
上記エマルジョン、水分分散物、もしくは脂質分散物を使用して調製されるクリーム剤、ローション剤などは、種々のさらなる成分を含み得る。例えば、上記組成物は、上記のように、UVブロッカーもしくは抗酸化剤、ならびに保存剤、可溶化剤、芳香剤、コンディショニング剤(conditioning agent)、もしくは保湿剤をさらに含み得る。
【0093】
本明細書に記載される本発明の多くの改変および他の実施形態は、前述の説明に示される教示の利益があれば、本発明が属する分野の当業者に想起される。従って、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されるべきではなく、その改変および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されることが、理解されるべきである。本明細書において特定の用語が使用されるが、それらは包括的意味および説明としての意味においてのみ使用され、限定の目的で使用されるのではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル組成物であって、
a)約0.1重量%〜約50重量%の1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体;および
b)1種以上のポリエチレングリコールベースの成分;
を含み、ここで該ゲルは、非水ベースのゲルである、ゲル組成物。
【請求項2】
前記組成物は保存剤を含まない、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項3】
前記組成物は、該組成物の総重量に基づいて、約10重量%未満の水を含む、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項4】
約10%〜約20重量%の1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項5】
前記1種以上のシクロデキストリンは、1種以上のα−シクロデキストリンを含む、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項6】
前記1種以上のシクロデキストリンは、1種以上のβ−シクロデキストリンを含む、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項7】
前記1種以上のシクロデキストリンは、1種以上のγ−シクロデキストリンを含む、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項8】
前記組成物は、具体的に、いかなるさらなる活性薬剤をも含まない、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項9】
スプレー可能な組成物であって、
(a)約0.1%〜約50重量%の1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体;
(b)1種以上のポリオール;および
(c)水
を含む、スプレーかご組成物。
【請求項10】
約2.5%〜約7.5重量%の1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む、請求項9に記載のスプレー可能な組成物。
【請求項11】
前記1種以上のシクロデキストリンは、1種以上のα−シクロデキストリンを含む、請求項9に記載のスプレー可能な組成物。
【請求項12】
前記1種以上のシクロデキストリンは、1種以上のβ−シクロデキストリンを含む、請求項9に記載のスプレー可能な組成物。
【請求項13】
前記1種以上のシクロデキストリンは、1種以上のγ−シクロデキストリンを含む、請求項9に記載のスプレー可能な組成物。
【請求項14】
前記組成物は、鼻用スプレーを含む、請求項9に記載のスプレー可能な組成物。
【請求項15】
前記組成物は、咽頭用スプレーを含む、請求項9に記載のスプレー可能な組成物。
【請求項16】
前記組成物は、具体的に、いかなるさらなる活性薬剤をも含まない、請求項9に記載のスプレー可能な組成物。
【請求項17】
鼻用ゲル組成物であって、
(a)約0.1%〜約50重量%の1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体;
(b)キャリア;および
(c)濃化剤
を含む、組成物。
【請求項18】
約2.5%〜約7.5重量%の1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む、請求項17に記載の鼻用ゲル組成物。
【請求項19】
前記1種以上のシクロデキストリンは、1種以上のα−シクロデキストリンを含む、請求項17に記載の鼻用ゲル組成物。
【請求項20】
前記1種以上のシクロデキストリンは、1種以上のβ−シクロデキストリンを含む、請求項17に記載の鼻用ゲル組成物。
【請求項21】
前記1種以上のシクロデキストリンは、1種以上のγ−シクロデキストリンを含む、請求項17に記載の鼻用ゲル組成物。
【請求項22】
前記組成物は、具体的に、いかなるさらなる活性薬剤をも含まない、請求項17に記載の鼻用ゲル組成物。
【請求項23】
1種以上のポリオールをさらに含む、請求項17に記載の鼻用ゲル組成物。
【請求項24】
1種以上の電解質をさらに含む、請求項17に記載の鼻用ゲル組成物。
【請求項25】
リップバーム組成物であって、
(a)約0.1%〜約50重量%の1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体;および
(b)1種以上のワックス状成分
を含む、リップバーム組成物。
【請求項26】
約15%〜約25重量%の1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む、請求項25に記載のリップバーム組成物。
【請求項27】
1種以上のUVフィルタ成分をさらに含む、請求項25に記載のリップバーム組成物。
【請求項28】
前記1種以上のシクロデキストリンは、1種以上のα−シクロデキストリンを含む、請求項25に記載のリップバーム組成物。
【請求項29】
前記1種以上のシクロデキストリンは、1種以上のβ−シクロデキストリンを含む、請求項25に記載のリップバーム組成物。
【請求項30】
前記1種以上のシクロデキストリンは、1種以上のγ−シクロデキストリンを含む、請求項25に記載のリップバーム組成物。
【請求項31】
前記組成物は、具体的に、いかなるさらなる活性薬剤をも含まない、請求項25に記載のリップバーム組成物。
【請求項32】
約0.1%〜約50重量%の1種以上のシクロデキストリンまたはその塩もしくは誘導体を含む、エマルジョン化組成物であって、ここで該組成物は、クリーム剤もしくはローション剤の形態で存在する、組成物。
【請求項33】
一次ウイルス感染が活動的に存在する部位もしくは再発性ウイルス感染を示すことが知られている部位へ適用するための薬学的もしくは美容的な組成物であって、該組成物は、0.1重量%〜50重量%のシクロデキストリンもしくはその誘導体、および上記薬学的もしくは美容的な組成物が、非水ベースのゲル、鼻用スプレーもしくは咽頭用スプレー、粘膜への適用に適したヒドロゲル、もしくはリップバームの形態において存在に適切な、薬学的にもしくは美容的に受容可能な賦形剤を含み、ここで該薬学的にもしくは美容的に受容可能な賦形剤は、ポリエチレングリコールベースの成分、ポリオール、電解質、およびワックス状成分からなる群より選択され、そして該シクロデキストリンは、抗ウイルス活性を有する該組成物中に存在する唯一の薬剤であるか、または抗ウイルス活性を有するさらなる化合物との包接複合体の形態では存在しない、組成物。

【公表番号】特表2010−516646(P2010−516646A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545874(P2009−545874)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000351
【国際公開番号】WO2008/087034
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509200060)デヴィレックス アーゲー (1)
【Fターム(参考)】