説明

シクロホスファミドを用いて自己免疫神経疾患を処置する方法

自己免疫疾患は、免疫系が自己を認識できないことを特徴とする疾患である。自己免疫神経疾患の例としては、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、および統合失調症等がある。自己免疫神経疾患を処置するための方法が本明細書中に開示される。ここでは、処置方法には、罹患した個体の免疫系のほとんどまたは原則として全ての成熟しているエレメントおよび成熟エレメントを排除するために免疫消失薬を投与する工程が含まれる。この工程の後、個体には、消失した免疫系を再度確立させるための薬剤が投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年7月25日に出願された米国仮特許出願第61/037,059号および2007年10月1日に出願された同第60/997,074号の利益を主張する。米国仮特許出願第61/037,059号および同第60/997,074号はそれぞれその全体が参考として本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
自己免疫疾患は、免疫系が自己を認識できないことを特徴とする疾患である。自己免疫神経疾患の例としては、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、および統合失調症が挙げられるが、これらに限定されない。多発性硬化症は、ニューロンの脱髄と軸索損傷、およびグリオーシスを特徴とする自己免疫疾患である。これには、10万人に約2人から150人が罹患する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
いくつかの実施形態では、処置方法には、自己免疫神経疾患を有している個体に対して、免疫消失薬(immunoablative agent)として作用する薬剤を投与する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、免疫消失薬は、化学療法薬、生物学的薬剤、または放射線医薬品である。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、細胞分裂阻害薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、および細胞毒性抗生物質である。いくつかの実施形態では、アルキル化薬はオキサゾフォリン(oxazophorine)である。いくつかの実施形態では、オキサゾフォリンはシクロホスファミドである。いくつかの実施形態では、生物学的薬剤はT細胞枯渇抗体(T cell depleting antibody)である。いくつかの実施形態では、T細胞枯渇抗体は、抗リンパ球グロブリン、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、抗IL−2受容体抗体、抗CD3受容体抗体(例えば、OKT3)、またはそれらの組み合わせである。
【0004】
さらなる実施形態では、個体に治療有効量の免疫消失薬が投与された後、個体に、少なくとも1つの免疫系の再構成薬(reconstituting agent)の治療有効量が、個体の消失した免疫系を再構成するために投与される。いくつかの実施形態では、1つの免疫系再構成薬は、コロニー刺激因子、造血幹細胞、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、コロニー刺激因子は、顆粒球−マクロファージCSF(GM−CSF)、顆粒球CSF(G−CSF)、およびマクロファージCSF(M−CSF)、またはそれらの組み合わせである。
【0005】
いくつかの実施形態では、個体に(a)治療有効量の免疫消失薬と(b)治療有効量の少なくとも1つの免疫系再構成薬が投与された後、個体に、治療有効量の少なくとも1つの免疫調節薬が投与される。いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、酢酸グラチラマー、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオシド(AICAR)、インターフェロン(例えば、IFNβ−1a、およびIFNβ−1b)、またはそれらの組み合わせである。
【0006】
特定の実施形態では、予め決定された閾値に満たないCD4+T細胞中でのアルデヒドデヒドロゲナーゼレベルを有している必要とする個体に対して:(a)約10mg/kg/日〜約70mg/kg/日のシクロホスファミド;(b)約1μg/kg/日〜約10μg/kg/日の顆粒球コロニー刺激因子;および(c)約10mg/日〜約80mg/日の酢酸グラチラマーを投与する工程を含む、自己免疫神経疾患を処置する方法が本明細書中に開示される。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、CD4+T細胞の中でアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、個体のCD4+T細胞中のアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルをモニタリングする工程が含まれる。いくつかの実施形態では、少なくとも約50mg/kg/日のシクロホスファミドが個体に投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも約5μg/kg/日の顆粒球コロニー刺激因子が個体に投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも約40mg/日の酢酸グラチラマーが個体に投与される。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、第1の選抜(screen)、第2の選抜、およびシクロホスファミドの限定分布を含む方法を使用する、処置へのアクセスを制御する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、第1の選抜には以下の工程が含まれる:(a)個体が処置基準に適合するかどうかを決定する工程;(b)個体が女性である場合は、妊娠について個体を試験し、そして個体に妊娠についてのカウンセリングを提供する工程;(c)個体のCD4+T細胞と関係があるアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程;ならびに、(d)個体を赤血球と血小板の供給と適合させる工程。いくつかの実施形態では、第2の選抜には、個体が女性である場合には、妊娠について、および/または有害事象について個体をモニタリングする工程が含まれる。いくつかの実施形態では、有害事象は毒性である。いくつかの実施形態では、個体が妊娠している、および/または有害事象がある場合には、個体は処置から除外される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドの限定分布には、以下の工程が含まれる:(a)それぞれの個体に識別番号を割り当てる工程;(b)識別番号をシクロホスファミドの容器と関連付ける工程;および(c)その識別番号が容器と関連付けられた識別番号に対応する個体に対して、そのシクロホスファミドの容器からシクロホスファミドを投与する工程。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、少なくとも約4日間連続して投与される。いくつかの実施形態では、顆粒球コロニー刺激因子の投与は、シクロホスファミドの投与が完了した後、5日から7日以内に開始される。いくつかの実施形態では、顆粒球コロニー刺激因子は、個体の絶対好中球数が2日間連続して約1.0×10細胞/Lを超えるまで個体に投与される。いくつかの実施形態では、酢酸グラチラマーの投与は、シクロホスファミドの投与が完了した後、28日から35日以内に開始される。いくつかの実施形態では、酢酸グラチラマーの投与量は少なくとも約40mg/日である。いくつかの実施形態では、酢酸グラチラマーの投与が開始された後2.5から4ヶ月以内に、酢酸グラチラマーの投与量は約20mg/日に減らされる。いくつかの実施形態では、自己免疫神経疾患は、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、自己免疫神経疾患は多発性硬化症である。いくつかの実施形態では、多発性硬化症は再発したものである。いくつかの実施形態では、多発性硬化症は寛解期にあるものである。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、再構成された凍結乾燥されたシクロホスファミドから調製される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、個体に対して約5mg/kg/日までの抗胸腺細胞グロブリンを投与する工程が含まれる。
【0007】
特定の実施形態では、予め決定された閾値に満たないCD4+T細胞中でのアルデヒドデヒドロゲナーゼレベルを有している困っている個体に対して:(a)約10mg/kg/日〜70mg/kg/日のシクロホスファミド;(b)約5mg/kg/日までの抗胸腺細胞グロブリン;および(c)約1μg/kg/日〜約10μg/kg/日の顆粒球コロニー刺激因子を投与する工程を含む、自己免疫神経疾患の処置方法が、本明細書中で開示される。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、個体のCD4+T細胞中のアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、個体のCD4+T細胞中のアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルをモニタリングする工程が含まれる。いくつかの実施形態では、少なくとも約50mg/kg/日のシクロホスファミドが個体に投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも約5μg/kg/日の顆粒球コロニー刺激因子が個体に投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも約2.5μg/kg/日の抗胸腺細胞グロブリンが個体に投与される。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、第1の選抜、第2の選抜、およびシクロホスファミドの限定分布を含む方法を使用する、処置へのアクセスを制御する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、第1の選抜には以下の工程が含まれる:(a)個体が処置基準に適合するかどうかを決定する工程;(b)個体が女性である場合は、妊娠について個体を試験し、そして個体に妊娠についてのカウンセリングを提供する工程;(c)個体のCD4+T細胞と関係があるアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程;ならびに、(d)個体を赤血球と血小板の供給と適合させる工程。いくつかの実施形態では、第2の選抜には、個体が女性である場合には、妊娠について、および/または有害事象について個体をモニタリングする工程が含まれる。いくつかの実施形態では、有害事象は毒性である。いくつかの実施形態では、個体が妊娠している、および/または有害事象がある場合には、個体は処置から除外される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドの限定分布には以下の工程が含まれる:(a)それぞれの個体に識別番号を割り当てる工程;(b)識別番号をシクロホスファミドの容器と関連付ける工程;および(c)その識別番号が容器と関連付けられた識別番号に対応する個体に対して、そのシクロホスファミドの容器からシクロホスファミドを投与する工程。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは少なくとも約4日間連続して投与される。いくつかの実施形態では、抗胸腺細胞グロブリンは、シクロホスファミドの前、後、またはシクロホスファミドと同時に投与される。いくつかの実施形態では、顆粒球コロニー刺激因子の投与が、シクロホスファミドの投与が完了した後、5日から7日以内に開始される。いくつかの実施形態では、顆粒球コロニー刺激因子は、個体の絶対好中球数が2日間連続して約1.0×10細胞/Lを超えるまで個体に投与される。いくつかの実施形態では、自己免疫神経疾患は、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、自己免疫神経疾患は多発性硬化症である。いくつかの実施形態では、多発性硬化症は再発したものである。いくつかの実施形態では、多発性硬化症は寛解期にあるものである。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、再構成された凍結乾燥されたシクロホスファミドから調製される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、約10mg/日〜約80mg/日の酢酸グラチラマーを個体に投与する工程が含まれる。
【0008】
特定の実施形態では、個体由来の生物学的試料中のアルデヒドデヒドロゲナーゼレベルが予め決定された閾値を越えている場合には、処置について個体を選択する工程;または、生物学的試料中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼレベルが予め決定された閾値に満たない場合には、別の処置を選択する工程を含む、シクロホスファミドでの処置について個体を選択する方法が、本明細書中で開示される。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、血液、および/または白血球である。いくつかの実施形態では、白血球はT細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞はCD4+T細胞である。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼレベルは、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質アッセイ(fluorescent aldehyde dehydrogenase substrate assay)によって決定される。いくつかの実施形態では、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質はALDEFLUOR(登録商標)である。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼレベルはRNAレベルを測定することによって決定される。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼレベルは、生物学的試料をアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させることによって測定される。いくつかの実施形態では、抗体は、同位体標識されるか、放射性標識されるか、蛍光色素分子で標識されるか、またはビオチニル化される。いくつかの実施形態では、選択された個体にはシクロホスファミドが投与される。いくつかの実施形態では、個体は、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせから選択される自己免疫神経疾患を有する。いくつかの実施形態では、自己免疫神経疾患は多発性硬化症である。
【0009】
特定の実施形態では、少なくとも第1の生物学的試料と第2の生物学的試料中のアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程を含む、シクロホスファミドが投与されている個体をモニタリングする方法が、本明細書中で開示される。ここでは、第1の生物学的試料と第2の生物学的試料は、異なるタイミングで個体から採取される。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、生物学的試料中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、処置を中断する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、第1の生物学的試料、第2の生物学的試料、またはこれらの組み合わせの中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルに基づいて処置を変更する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、第1の生物学的試料、第2の生物学的試料、またはこれらの組み合わせの中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、別の処置を選択する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、血液、および/または白血球である。いくつかの実施形態では、白血球はT細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞はCD4+T細胞である。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質アッセイによって決定される。いくつかの実施形態では、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質はALDEFLUOR(登録商標)である。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルはRNAレベルを測定することによって決定される。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、生物学的試料をアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させることによって決定される。いくつかの実施形態では、抗体は、同位体標識されるか、放射性標識されるか、蛍光色素分子で標識されるか、またはビオチニル化される。いくつかの実施形態では、個体は、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせから選択される自己免疫神経疾患を有する。いくつかの実施形態では、自己免疫神経疾患は多発性硬化症である。
【0010】
特定の実施形態では、個体由来の生物学的試料をシクロホスファミドと接触させる工程を含む、シクロホスファミドでの処置について個体を選択する方法が、本明細書中で開示される。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、個体由来の生物学的試料をシクロホスファミドと接触させた後で、試料中の細胞死のレベルを決定する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、血液、および/または白血球である。いくつかの実施形態では、白血球はT細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞はCD4+T細胞である。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質アッセイによって決定される。いくつかの実施形態では、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質はALDEFLUOR(登録商標)である。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルはRNAレベルを測定することによって決定される。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、生物学的試料をアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させることによって決定される。いくつかの実施形態では、抗体は、同位体標識されるか、放射性標識されるか、蛍光色素分子で標識されるか、またはビオチニル化される。いくつかの実施形態では、個体は、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせから選択される自己免疫神経疾患を有する。いくつかの実施形態では、自己免疫神経疾患は多発性硬化症である。
【0011】
特定の実施形態では、個体由来の生物学的試料をシクロホスファミドと接触させる工程を含む、シクロホスファミドが投与されている個体をモニタリングする方法が、本明細書中で開示される。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、個体由来の生物学的試料をシクロホスファミドと接触させた後で、試料中の細胞死のレベルを決定する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、生物学的試料中で観察された細胞死のレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、処置を中断する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、生物学的試料中で観察された細胞死のレベルに基づいて処置を変更する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、生物学的試料中で観察された細胞死のレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、別の処置を選択する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、血液、および/または白血球である。いくつかの実施形態では、白血球はT細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞はCD4+T細胞である。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質アッセイによって決定される。いくつかの実施形態では、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質はALDEFLUOR(登録商標)である。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルはRNAレベルを測定することによって決定される。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、生物学的試料をアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させることによって決定される。いくつかの実施形態では、抗体は、同位体標識されるか、放射性標識されるか、蛍光色素分子で標識されるか、またはビオチニル化される。いくつかの実施形態では、個体は、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせから選択される自己免疫神経疾患を有する。いくつかの実施形態では、自己免疫神経疾患は多発性硬化症である。
【0012】
特定の実施形態では、溶液中にシクロホスファミドを含む組成物が本明細書中で開示される。ここでは、溶液中のシクロホスファミドは、凍結乾燥されたシクロホスファミドから再構成されている。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、リン酸塩緩衝化生理食塩水中で再構成される。いくつかの実施形態では、溶液中のシクロホスファミドの濃度は、少なくとも約20mg/mlである。いくつかの実施形態では、この組成物は、自己免疫神経疾患を有している個体において免疫消失薬として使用されるためのものである。いくつかの実施形態では、個体は、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせから選択される自己免疫神経疾患を有する。いくつかの実施形態では、自己免疫神経疾患は多発性硬化症である。
【0013】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に示される。本発明の特徴と利点のさらなる理解は、本発明の原理が利用される説明のための実施形態を示す以下の詳細な説明と、添付のその図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、HiGaで処置された個体は、彼らが追跡調査された時間の間にMSが再燃することがなかったことを示している具体的なグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
いくつかの実施形態では、処置方法には、自己免疫神経疾患を有している個体に対して免疫消失薬として作用する薬剤を投与する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、免疫消失薬は、化学療法薬、生物学的薬剤、または放射線医薬品である。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、細胞分裂阻害薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、および細胞毒性抗生物質である。いくつかの実施形態では、アルキル化薬はオキサゾフォリンである。いくつかの実施形態では、オキサゾフォリンはシクロホスファミドである。いくつかの実施形態では、生物学的薬剤はT細胞枯渇抗体である。いくつかの実施形態では、T細胞枯渇抗体は、抗リンパ球グロブリン、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、抗IL−2受容体抗体、抗CD3受容体抗体(例えば、OKT3)、またはこれらの組み合わせである。
【0016】
さらなる実施形態では、個体に治療有効量の免疫消失薬が投与された後、その個体に、治療有効量の少なくとも1つの免疫系再構成薬が、個体の消失した免疫系を再構成させるために投与される。いくつかの実施形態では、1つの免疫系再構成薬は、コロニー刺激因子、造血幹細胞、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、コロニー刺激因子は、顆粒球−マクロファージCSF(GM−CSF)、顆粒球CSF(G−CSF)、およびマクロファージCSF(M−CSF)、またはこれらの組み合わせである。
【0017】
いくつかの実施形態では、個体に(a)治療有効量の免疫消失薬と(b)治療有効量の少なくとも1つの免疫系再構成薬が投与された後、その個体に、治療有効量の少なくとも1つの免疫系再構成薬が投与される。いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、酢酸グラチラマー、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオシド(AICAR)、インターフェロン(例えば、IFNβ−1a、およびIFNβ−1b)、またはこれらの組み合わせである。
【0018】
定義
他に指定されない限りは、以下の用語は、本明細書中と添付の特許請求の範囲で使用される場合は、以下の意味を有する。
【0019】
用語「リンパ球」には、B細胞、T細胞、NKT細胞、およびNK細胞が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、リンパ球は、未成熟な、成熟した、未分化の、および分化した、組織特異的であり特殊な型を含む白色リンパ球集団(white lymphocyte populations)をいう。いくつかの実施形態では、リンパ球には、プレB細胞、Bリンパ球前駆細胞、Early Pro−B細胞、Late Pro−B細胞、Large Pre−B細胞、Small Pre−B細胞、未成熟B細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、メモリーB細胞、B−1細胞、B−2細胞、およびアネルギーAN1/T3細胞集団を含む、B細胞系統が含まれる。
【0020】
用語B細胞は、プレB細胞、Bリンパ球前駆細胞、Early Pro−B細胞、Late Pro−B細胞、Large Pre−B細胞、Small Pre−B細胞、未成熟B細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、メモリーB細胞、B−1細胞、B−2細胞、およびアネルギーAN1/T3細胞集団をいうが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、用語B細胞には、免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖をその細胞表面上に発現するB細胞が含まれる。いくつかの実施形態では、用語B細胞には、免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖を発現し、分泌するB細胞が含まれる。いくつかの実施形態では、用語B細胞には、その細胞表面上の抗原に結合する細胞が含まれる。本明細書中に開示されるいくつかの実施形態では、B細胞またはAN1/T3細胞が、記載されるプロセスにおいて利用される。特定の実施形態では、そのような細胞は、抗体の発現に適しているか、抗体を発現できる(例えば、誘導性発現)か、または抗体の発現に適している細胞になるように分化させることができる任意の動物細胞で、状況に応じて置換される。これらの細胞には、例えば、造血幹細胞、B細胞、プレB細胞、Bリンパ球前駆細胞、Early Pro−B細胞、Late Pro−B細胞、Large Pre−B細胞、Small Pre−B細胞、未成熟B細胞、成熟B細胞、血漿B細胞、メモリーB細胞、B−1細胞、B−2細胞、アネルギーB細胞、またはアネルギーAN1/T3細胞が含まれる。
【0021】
用語「抗原」は、抗体の生産を誘導することができる物質をいう。いくつかの実施形態では、抗原は、抗体の可変領域に結合する物質である。
【0022】
用語「発現」は、以下の事象のうちの1つ以上をいう:(1)細胞内での(例えば、転写による)DNA配列からのRNA鋳型の生産;(2)細胞内での(例えば、スプライシング、5’キャップ形成および/または3’末端形成の編集(editing)による)RNA転写物のプロセシング;(3)細胞内での、RNA配列のポリペプチドまたはタンパク質への翻訳;(4)細胞内でポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾;(5)細胞表面上でのポリペプチドまたはタンパク質の提示;(6)細胞からのポリペプチドもしくはタンパク質の分泌または放出。
【0023】
用語「抗体」(antibodyおよびantibodies)は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二重特異的抗体、多重特異的抗体(multispecific antibody)、移植抗体(grafted antibody)、ヒト抗体、ヒト化抗体、合成抗体、キメラ抗体、ラクダ化抗体(camelized antibody)、単鎖Fvs(scFv)、単鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、イントラボディー、および抗イディオタイプ(anti−Id)抗体、ならびに上記のうちの任意のものの抗原結合断片をいう。特に、抗体には、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的活性断片(すなわち、抗原結合部位を含む分子)が含まれる。免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、およびIgA)、またはサブクラスのものである。用語「抗体」と免疫グロブリンは、広い意味で互換的に使用される。様々なクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造と三次元立体配置が当該分野で周知である。いくつかの実施形態では、抗体は、1つ以上の他のタンパク質またはペプチドとの抗体の共有結合もしくは非共有結合によって形成されたより大きな分子の一部である。
【0024】
本明細書中の抗体には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、二重特異的抗体、移植抗体、ヒト抗体、およびそれらの断片が含まれ、これには、ヒトにおいて免疫原性が低くなるように任意の手段によって変化させられた抗体が含まれる。したがって、例えば、本明細書中のモノクローナル抗体および断片などには、「キメラ」抗体と「ヒト化」抗体が含まれる。一般的には、キメラ抗体には、これらが所望される生物学的活性を示す限りにおいて、特定の種に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属している抗体中の対応する配列と同一であるかあるいは相同である重鎖および/または軽鎖の一部が含まれ、一方で、鎖(単数または複数)の残りは、別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるかあるいはそれと相同である(米国特許第4,816,567号);Morrisonら、Proc.Natl Acad.Sci.81:6851−6855(1984)。例えば、いくつかの実施形態では、キメラ抗体には、マウス由来の可変領域とヒト由来の定常領域が含まれる。ここでは、定常領域には、ヒトIgG2とヒトIgG4の両方に相同である配列が含まれる。「キメラ」抗体などを調製するための多数の方法が当該分野で公知である。非ヒト(例えば、マウス)抗体または断片の「ヒト化」形態は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはそれらの断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、または抗体の他の抗原結合サブ配列)であり、これには、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列が含まれる。ヒト化抗体には、移植抗体またはCDR移植抗体が含まれる。ここでは、非ヒト動物抗体由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列の一部または全体が、もとの非ヒト抗体の所望される結合特異性および/または親和性を維持したまま、ヒト抗体の適切な位置に移植される。いくつかの実施形態では、対応する非ヒト残基が、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基に置き換わる。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体には、レシピエント抗体の中にも、持ち込まれたCDRまたはフレームワーク配列の中にも見られない残基が含まれる。これらの修飾は、抗体の性能をさらに高め、最適化するために行われる。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体には、少なくとも1つ、通常は2つの可変ドメインの実質的に全体が含まれる。ここでは、CDR領域全体または実質的に全体は、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、そして、FR領域全体または実質的に全体は、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。さらなる詳細については、例えば、Jonesら、Nature 321:522−525(1986);Reichmannら、Nature 332:323−329(1988)、およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照のこと。抗体を「ヒト化する」などのための多数の方法は当該分野で公知である。
【0025】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーをいうように本明細書中では交換可能に使用される。これらの用語は、自然界に存在するアミノ酸ポリマーに、ならびに、1つ以上のアミノ酸残基が、自然界には存在しないアミノ酸(例えば、アミノ酸アナログ)であるアミノ酸ポリマーに適用される。これらの用語には、複数のアミノ酸残基が共有ペプチド結合によって連結された、任意の長さのアミノ酸鎖(全長タンパク質を含む)が含まれる。
【0026】
用語「アミノ酸」は、自然界に存在するアミノ酸および自然界には存在しないアミノ酸、ならびに、自然界に存在するアミノ酸と類似の様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸模倣物をいう。アミノ酸は、自然界でコードされる20種類の一般的なアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン)、ならびにピロリジンおよびセレノシステインである。アミノ酸アナログは、自然界に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学的構造(すなわち、水素に結合したα炭素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基)を有する化合物(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)をいう。このようなアナログは、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、自然界に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持する。
【0027】
アミノ酸は、本明細書中では、IUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される、それらの一般に公知である3文字記号によるか、または1文字記号によるかのいずれかによって言及される。ヌクレオチドも同様に、それらの一般的に受け容れられている一文字コードによって言及される。
【0028】
用語「核酸」は、一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかのデオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、またはリボヌクレオチド、およびそれらのポリマーをいう。他に指定されない限りは、この用語には、参照核酸と類似する結合特性を有し、そして自然界に存在するヌクレオチドと類似の様式で代謝される、天然のヌクレオチドの公知のアナログを含む核酸が含まれる。他に具体的に限定されない限りは、この用語はまた、アンチセンス技術で使用されるDNAのアナログであるPNA(ペプチド核酸)(ホスホロチオエート、ホスホルアミデートなど)を含むオリゴヌクレオチドアナログをいう。他に指定されない限り、特定の核酸配列にはまた、保存的修飾されたそれらの変異体(縮重コドン置換体を含むが、それに限定されない)およびその相補的配列、ならびに明示的に示された配列も暗黙的に含まれる。特に、縮重コドン置換体は、1つ以上の選択された(または全ての)コドンの3位が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を作製することによって達成される(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);およびCassolら(1992);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。
【0029】
用語「処置する」、「処置」、および「処置すること(treating)」は、以下を含むようにいわれる:疾患または症状(例えば、MS、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、または横断性脊髄炎)、ならびにこれらの疾患または症状の症候を緩和する、和らげる、または改善すること;さらなる症候を予防すること;症候の根底にある代謝の原因を改善または予防すること;疾患または症状を阻害すること、例えば、疾患または症状の発症を停止させること;疾患または症状を軽減すること;疾患または症状の退縮を起こさせること;疾患または症状によって引き起こされる症状を軽減すること;あるいは、疾患または症状の症候を、予防的および/または治療的のいずれかで停止させること。
【0030】
用語「プロドラッグ」は、インビボで活性な形態へと変換される化合物または薬剤をいう。特定の実施形態では、プロドラッグは、1つ以上の工程またはプロセスによって、その化合物の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態に酵素によって代謝される。プロドラッグを生じるように、薬学的に活性な化合物は、インビボで投与されると活性な化合物が再建されるように修飾される。1つの実施形態では、プロドラッグは、薬物の代謝安定性または輸送特性を変化させるように、副作用または毒性を隠すように、あるいは、薬物の他の特徴または特性を変化させるように設計される。
【0031】
用語「個体」は、動物、好ましくは、ヒトまたはヒト以外を含む哺乳動物を意味するように使用される。用語個体、被験体、および患者は互換的に使用され得る。これらの用語はいずれにも、個体が医療の専門家(例えば、医師、看護士、ホスピスの介護福祉士(hospice care worker)、高齢者、または医師のアシスタント)の介護下にあることは必要ない。
【0032】
用語「有効量」または「治療有効量」は、処置される疾患または症状の症候の1つ以上をある程度軽減するであろうと予想される、投与される本明細書中に開示される薬剤の十分な量をいう。例えば、シクロホスファミドの投与の結果は、成熟細胞または成熟している細胞(例えば、リンパ様細胞、ナチュラルキラー細胞、Bリンパ球、およびTリンパ球)の減少および/または完全な排除である。用語「治療有効量」には、例えば、予防有効量が含まれる。本明細書中に開示される薬剤の「有効量」は、過度の有害な副作用を伴わずに所望される薬理学的効果または治療的改善を達成するために有効な量である。「有効量」または「治療有効量」は、いくつかの実施形態では、投与される化合物の代謝のバリエーション、個体の年齢、体重、健康状態、処置される症状、処置される症状の重篤度、およびかかりつけの医師の判断により、一人一人異なることが理解される。徐放性製剤(extended−release dosing format)の「有効量」が、薬物動態と薬力学の考慮に基づいて即時放出製剤(immediate−release dosing format)の「有効量」とは異なる場合があることも理解される。
【0033】
自己免疫神経疾患
いくつかの実施形態では、個体は、自己免疫疾患について処置されている(例えば、個体は自己免疫疾患を有すると診断されているか、個体は自己免疫疾患を有している疑いがあるか、または個体は自己免疫疾患を発症する素因がある)。特定の場合には、自己免疫疾患は、免疫系の自己攻撃(例えば、その自身の細胞)を特徴とする。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、自己免疫神経疾患である(例えば、末梢神経系のほとんど、原則的に全て、または一部、中枢神経系のほとんど、原則的に全て、または一部、神経、ニューロン、およびミエリンに対する免疫系の攻撃)。いくつかの実施形態では、自己免疫神経疾患は、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせである。
【0034】
多発性硬化症
いくつかの実施形態では、自己免疫神経疾患は、多発性硬化症(MS、多発性硬化(disseminated sclerosis)、または播種性脳脊髄炎としても知られている)である。MSは、特定の状況では、中枢神経系での脱髄と炎症の再発エピソードを特徴とする自己免疫疾患である。特定の状況では、ニューロンの脱髄は、電気的シグナルを伝達する能力が損傷したニューロンを生じる。
【0035】
MSの症候には、感覚の変化(例えば、感覚鈍麻(hypoesthesias)および異常感覚(paraesthesias))、筋力の低下、筋けいれん、動かすことが困難(difficulty moving));協調困難および/または姿勢反射異常(difficulity of balance)(例えば、運動失調);発話困難(例えば、構音障害)、嚥下困難(例えば、嚥下障害)、眼の動きを制御することが困難(difficulty controlling eye movement)(例えば、眼振)、視覚障害(例えば、複視)、疲労、疼痛(例えば、急性または慢性)、膀胱機能を制御することが困難(difficulty controlling bladder function)、腸機能を制御することが困難(difficulty controlling bowel function)、ならびに、鬱病が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
MSは、一般的には、再発−寛解(RRMS)として現れる。再発−寛解型MSは、再発/悪化期間(例えば、新しい症候のいわれのない、予想外の発生、古い症候の再発、24時間を越える期間にわたる持続)、それに続く寛解期間(例えば、MS症候が限定されるか、MS症候がない期間)からなる。RRMSを有すると診断された個体のうちの約50%の個体においては、この障害は二次進行型MSへと進行する。二次進行型MS(SPMS)は、最初の再発−寛解型MS期間、その後の、明白な寛解期を伴わない再発期の間の進行性の神経減少を特徴とする。いくつかの実施形態では、多発性硬化症は再発したものである。いくつかの実施形態では、多発性硬化症は寛解期にあるものである。いくつかの実施形態では、多発性硬化症は進行期にあるものである。
【0037】
MSは、多くの場合は、McDonald Criteriaを使用して診断される。表1は、個体の臨床所見に基づいてMSを診断するために必要なさらなるデータを示す。
【0038】
【表1−1】

【0039】
【表1−2】

障害の進行と症候の重篤度についての主要な臨床的測定は、Expanded Disability Status Scale、すなわちEDSSである。一般的に使用されている臨床評価尺度(clinical rating scale)であるEDSSは、8つの機能システム(視覚、脳幹、感覚(sensory)、小脳、括約筋、脳など)の神経学的検査に基づいて、0(正常)から10(MSが原因である死)までの範囲である。これは、疾患の重篤度によってMS個体を分類するための有用なツールである。これは、構造化インタビュー(structured interview)による観察者または神経学者の評価に基づいて、機能障害と身体障害を測定する。
【0040】
障害の進行と症候の重篤度についてのさらなる測定は、Multiple Sclerosis Functional Composite(MSFC)である。この尺度は、歩き方、上肢の極端な器用さ、および認識力を試験するために設計された3種類の個別の試験の集成値に基づく。3種類のサブテスト(subtest)は以下である:a)25フィートの歩行時間(25 foot timed walk)(25TW);b)9ホールペグ試験(9−hole peg test)(9−HPT);およびc)Paced Auditory Serial Addition Test(PASAT−3)。PASAT試験では、彼らに、オーディオテープに吹き込まれた連続する数を足し算させ、正確な和を口頭で答えさせることを求めている。数がそれぞれ示されると、個体は、その数を、個体のそれまでの答えではなく、その前に示された数とその数とを足し算しなければならない。
【0041】
限定ではない例によって、MSの症候は、コルチコステロイド(例えば、500〜1,000mgの静脈内メチルプレドニソロン、続いて、数週間にわたる漸減量の経口プレドニソン)、インターフェロン(例えば、IFNβ−1a、およびIFNβ−1b)、酢酸グラチラマー、ミトキサントロン、およびナタリツマブで処置される。
【0042】
シクロホスファミド
特定の実施形態では、シクロホスファミドの使用による、その必要がある個体の自己免疫神経疾患を処置する方法が、本明細書中で開示される。特定の実施形態では、溶液中にシクロホスファミドを含む、物質の組成物が、本明細書中でさらに開示される。ここでは、溶液中のシクロホスファミドは、凍結乾燥されたシクロホスファミドから再構成される。
【0043】
シクロホスファミド(N,N−ビス(2−クロロエチル)−l,3,2−オキシアザホスフィナン−2−アミン2−オキサイド)は、ナイトロジェンマスタードアルキル化薬である。特定の場合には、これは、プロドラッグ(すなわち、代謝によって活性な形態に変換される、薬物の不活性な形態または活性が低い形態)として個体に投与される。特定の場合には、シクロホスファミドは、その活性な形態(4−ヒドロキシシクロホスファミド)およびこの活性な形態の互変異性体(アルドホスファミド)となるように肝臓で代謝される。特定の場合には、アルドホスファミドは(a)アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)によってカルボキシホスファミド(非毒性代謝物);および(b)ホスホルアミドマスタード(毒性代謝物)に変換される。特定の場合には、ALDHは造血幹細胞の中で高度に発現される。特定の場合には、成熟細胞または成熟している細胞(例えば、リンパ様細胞、ナチュラルキラー細胞、Bリンパ球、およびTリンパ球)は、アルデヒドデヒドロゲナーゼを低レベルで発現する。特定の場合には、ホスホルアミドマスタードは、ALDHのレベルが低い細胞の中でのみ見られる。特定の場合には、高レベルのALDHを持つ細胞が、主に、アルドホスファミドをカルボキシホスファミドに代謝する。
【0044】
特定の場合には、ホスホルアミドマスタードは、DNA中での架橋の形成を触媒する。特に、架橋は、dGと5’−d(GAC)−3’にある別のdGとの間に存在する。特定の場合には、架橋は、DNAの第1の鎖上のdGと第1の鎖上の別のdGとの間に存在する(鎖内架橋)。特定の場合には、架橋は、DNAの第1の鎖上のdGと第2の鎖上のdGとの間に存在する(鎖間架橋)。特定の場合には、鎖内架橋と鎖間架橋の形成により、細胞死(例えば、アポトーシス)が生じる。
【0045】
いくつかの実施形態では、その必要がある個体に投与されるシクロホスファミドは、パルス(または低用量)シクロホスファミド(例えば、最初は400〜1000mg/m、B細胞およびCD4細胞の両方において対照集団の5パーセンタイル未満に減少するまで増量する)である。
【0046】
いくつかの実施形態では、その必要がある個体に投与されるシクロホスファミドは、高用量のシクロホスファミドである。いくつかの実施形態では、高用量のシクロホスファミドは、患者あたり200mg/kgの全用量が4日間の期間にわたって投与される、シクロホスファミドの「直接的な(upfront)」高用量レジュメ(連続する4日間に、毎日50mg/kg IV)である。特定の場合には、高用量のシクロホスファミドによっては、免疫系の成熟しているエレメントおよび成熟エレメントのほとんどまたは原則として全てが排除される。特定の場合には、高用量のシクロホスファミドによっては非毒性量の造血幹細胞が排除される。特定の場合には、高用量のシクロホスファミドは造血幹細胞を排除しない。
【0047】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは溶液として処方される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミド溶液には、凍結乾燥されたシクロホスファミドから再構成されたシクロホスファミドが含まれる。いくつかの実施形態では、凍結乾燥されたシクロホスファミドは、リン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)、生理食塩溶液、水、またはこれらの組み合わせの中で再構成される。いくつかの実施形態では、高用量のシクロホスファミド溶液の濃度は20mg/mlである。特定の場合には、シクロホスファミドは、高濃度(例えば、15mg/mlを上回る濃度)でゆっくりと再構成される。特定の場合には、凍結乾燥されたシクロホスファミドは、高濃度(例えば、15mg/mlを上回る濃度)で迅速に再構成される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、その必要がある個体に対して静脈内投与される。
【0048】
HiGa処置
いくつかの実施形態では、個体に対して:(a)約10mg/kg/日〜約70mg/kg/日のシクロホスファミド;(b)約1μg/kg/日〜約10μg/kg/日の顆粒球コロニー刺激因子;および(c)約10mg/日〜約80mg/日の酢酸グラチラマーを投与する工程を含む、その必要がある個体の自己免疫神経疾患を処置する方法が、本明細書中で開示される。ここでは、個体のCD4+T細胞と関係があるアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を越えている場合には、個体は処置から除外される。いくつかの実施形態では、約50mg/kg/日のシクロホスファミドが個体に投与される。いくつかの実施形態では、約5μg/kg/日の顆粒球コロニー刺激因子が個体に投与される。いくつかの実施形態では、約40mg/日の酢酸グラチラマーが個体に投与される。
【0049】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは高用量のシクロホスファミド(例えば、4日間連続して、毎日50mg/kg IV)である。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、約4日間連続して、毎日投与される。特定の場合には、高用量のシクロホスファミドによって、免疫系の成熟しているエレメントおよび成熟エレメントのほとんどまたは原則として全てが排除される。特定の場合には、高用量のシクロホスファミドによって、非毒性量の造血幹細胞が排除される。特定の場合には、高用量のシクロホスファミドは造血幹細胞を排除しない。
【0050】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは溶液として処方される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミド溶液には、凍結乾燥されたシクロホスファミドから再構成されたシクロホスファミドが含まれる。いくつかの実施形態では、凍結乾燥されたシクロホスファミドは、リン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)、生理食塩溶液、水、またはこれらの組み合わせの中で再構成される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミド溶液の濃度は20mg/mlである。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、その必要がある個体に対して静脈内投与される。
【0051】
特定の場合には、免疫系は、シクロホスファミドでの免疫消失(immunoablation)後に再構成する。特定の場合には、免疫系は、処理されていない(naive)シクロホスファミド耐性幹細胞で再構成される。特定の場合には、シクロホスファミドで処置された個体は、MS疾患活性の完全停止に達する。特定の場合には、一部の個体においてMSは、再燃し、疾患の進行を示し始める。特定の場合には、再構成後のMSの進行は、処置前の進行よりも遅い速度である。
【0052】
いくつかの実施形態では、顆粒球コロニー刺激因子(GCSFまたはCSF3)の投与は、シクロホスファミドの投与が完了した後、約6日で開始される。いくつかの実施形態では、顆粒球コロニー刺激因子は、個体の絶対好中球数が2日間連続して1.0×10細胞/Lを超えるまで、個体に投与される。
【0053】
特定の場合には、GCSFは、シクロホスファミドの投与後に生じると予想される一時的な好中球減少症の後の好中球数の回復を促進する。GCSFは、コロニー刺激因子ホルモンである。特定の場合には、GCSFの受容体は、骨髄中に見られる造血幹細胞上で見られる。特定の場合には、GCSFのその受容体に対する結合は、骨髄による顆粒球と幹細胞の生産および放出を刺激する。これはまた、好中球前駆体および成熟好中球の生存、増殖、分化、および機能も刺激する。
【0054】
いくつかの実施形態では、酢酸グラチラマーの投与は、シクロホスファミドの投与が完了した後、約30日で開始される。いくつかの実施形態では、2倍量のGAが毎日投与される。いくつかの実施形態では、2倍量のGAが皮下投与される。
【0055】
酢酸グラチラマー(GA)は、4.2:3.4:1.4:1のモル比のL−アラニン、L−リジン、L−グルタミン酸、およびL−チロシンからなる合成のアミノ酸ポリマー(4.7〜11kDa)である。これはRRMSの処置に使用される。特定の場合には、これは、プラセボ対照と比較して、RRMSを有している個体における病変と再発の数を減らすためには、20mgのGAでのおよそ3ヶ月の処置を要する。特定の場合には、毎日40mgの投与量で投与されるGAでは、対照と比較して、RRMSを有している個体における病変と再発の数を減らすためには、3ヶ月はかからない。
【0056】
特定の場合には、GAは、様々なクラスII MHC分子に対して高い親和性で結合する。特定の場合には、GAのクラスII MHC分子に対する結合により、MHC溝(MHC groove)にすでに結合している抗原の置き換えが生じ、それにより、Tサプレッサー細胞の活性化が導かれる。特定の場合には、GAはTh2調節T細胞の生産を誘導する。さらに、特定の場合には、GAは自己免疫疾患の一般的なサプレッサーである(例えば、これは実験用の網膜ぶどう膜炎、宿主に対する移植片の免疫拒絶および移植片対宿主病、ならびに実験用の炎症性腸疾患の発症を阻害する)。
【0057】
本明細書中に開示される方法で使用されるGAのタイミングと用量は、免疫消失後の免疫系の再構成の際のGAの明らかにはなっていないが可能性のあるあらゆるネガティブ効果を回避したいという配慮(concern)と、自己免疫神経疾患活性の起こり得るあらゆる再燃の前に処置を開始したいという期待との、競合する配慮の平衡を保つ。特定の場合には、免疫消失後に1mlあたり500を上回る好中球数に達するまでの平均時間は、およそ2週間である。いくつかの実施形態では、2倍量のGAが、免疫消失後1ヶ月で開始されて投与される。特定の場合には、免疫消失後の1ヶ月で開始されるGAの投与により、免疫系を、GAによる影響なく再構成させることが可能である;しかし、これによっては、自己免疫神経疾患の再発に対して予防接種するための十分な時間がGAに提供される。
【0058】
いくつかの実施形態では、3ヵ月後には、酢酸グラチラマーの投与量は約20mg/日に減らされる。
【0059】
いくつかの実施形態では、酢酸グラチラマーは、個体に対して無期限に投与される。いくつかの実施形態では、酢酸グラチラマーは、個体の自己免疫神経疾患の再燃のリスクがもはやなくなるまで投与される。いくつかの実施形態では、酢酸グラチラマーは約6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、酢酸グラチラマーは約1年間投与される。いくつかの実施形態では、酢酸グラチラマーは約2年間投与される。いくつかの実施形態では、酢酸グラチラマーは約5年間投与される。いくつかの実施形態では、酢酸グラチラマーは約10年間投与される。
【0060】
特定の場合には、高用量のシクロホスファミドでの処置、それに続く酢酸グラチラマーでの処置は相乗効果を示す。すなわち、高用量のシクロホスファミドだけで処置された個体のMSは、約3ヶ月から約1年後に再燃するが、酢酸グラチラマーでの処置を組み合わせると、MSは、少なくとも1年間、特定の実施形態では、1年以上再燃しない。例えば、図1を参照のこと。
【0061】
HiCAT処置
いくつかの実施形態では、個体に対して:(a)約10mg/kg/日〜約70mg/kg/日のシクロホスファミド;(b)約1μg/kg/日〜約10μg/kg/日の顆粒球コロニー刺激因子;および(c)約5μg/kg/日までの抗胸腺細胞グロブリンを投与する工程を含む、その必要がある個体の多発性硬化症を処置する方法が、本明細書中で開示される。ここでは、個体が処置基準に適合しない場合;個体が妊娠しているかまたは妊娠する意思がある場合;個体のCD4+T細胞と関係があるアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが一般的な集団の平均CD4+T細胞ALDH活性についてのいくつかの予め決定された閾値を越えている場合;処置についてのインフォームドコンセントが提供されていない、またはインフォームドコンセントを提供することができない場合;あるいは、濃厚赤血球および血小板の供給に適合しない場合には、個体は処置から除外される。いくつかの実施形態では、約50mg/kg/日のシクロホスファミドが個体に投与される。いくつかの実施形態では、約5μg/kg/日の顆粒球コロニー刺激因子が個体に投与される。いくつかの実施形態では、約2.5μg/kg/日の抗胸腺細胞グロブリンが個体に投与される。
【0062】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは高用量のシクロホスファミド(例えば、4日間連続して、毎日50mg/kg IV)である。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、約4日間連続して毎日投与される。特定の場合には、高用量のシクロホスファミドによって、免疫系の成熟しているエレメントおよび成熟エレメントのほとんどまたは原則として全てが排除される。特定の場合には、高用量のシクロホスファミドによって、非毒性量の造血幹細胞が排除される。特定の場合には、高用量のシクロホスファミドは造血幹細胞を排除しない。
【0063】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは溶液として処方される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミド溶液には、凍結乾燥されたシクロホスファミドから再構成されたシクロホスファミドが含まれる。いくつかの実施形態では、凍結乾燥されたシクロホスファミドは、リン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)、生理食塩溶液、水、またはこれらの組み合わせ中で再構成される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミド溶液の濃度は20mg/mlである。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、その必要がある個体に対して静脈内投与される。
【0064】
特定の場合には、免疫系は、シクロホスファミドでの免疫消失後に再構成する。特定の場合には、免疫系は、処理されていないシクロホスファミド耐性幹細胞で再構成される。特定の場合には、シクロホスファミドで処置された個体は、MS疾患活性の完全停止に達する。
【0065】
特定の場合には、一部の個体のMSは再燃し、疾患の進行を示し始める。特定の場合には、MSは、シクロホスファミドが自己反応性T細胞を完全に破壊させることができなかった結果として、シクロホスファミドの投与後に、部分的または完全に再燃する。特定の場合には、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)は、シクロホスファミド耐性T細胞の血管内の量を完全に使い果たしてしまう。特定の場合には、シクロホスファミド処置の投与前、シクロホスファミド処置の投与と重複して、シクロホスファミド処置の投与と同時、またはシクロホスファミド処置の投与後のいずれかでのATGの投与により、シクロホスファミド処置だけによって得ることができるよりも大きな免疫寛容がもたらされる。
【0066】
いくつかの実施形態では、抗胸腺細胞グロブリンがシクロホスファミドと同時に投与される。いくつかの実施形態では、抗胸腺細胞グロブリンは、シクロホスファミドの前、後、またはシクロホスファミドと同時に投与される。いくつかの実施形態では、顆粒球コロニー刺激因子の投与は、シクロホスファミドの投与が完了した後、約6日で開始される。
【0067】
いくつかの実施形態では、顆粒球コロニー刺激因子(GCSFまたはCSF3)の投与は、シクロホスファミドの投与が完了した後、約6日で開始される。いくつかの実施形態では、顆粒球コロニー刺激因子は、個体の絶対好中球数が2日間連続して1.0×10細胞/Lを超えるまで個体に投与される。
【0068】
特定の場合には、GCSFは、シクロホスファミドの投与後に生じると予想される一時的な好中球減少症の後の好中球数の回復を促進する。GCSFはコロニー刺激因子ホルモンである。特定の場合には、GCSFの受容体は、骨髄中に見られる造血幹細胞上で見られる。特定の場合には、GCSFのその受容体に対する結合は、骨髄による顆粒球と幹細胞の生産および放出を刺激する。これはまた、好中球前駆体および成熟好中球の生存、増殖、分化、および機能も刺激する。
【0069】
いくつかの実施形態では、顆粒球コロニー刺激因子は、個体の絶対好中球数が2日間連続して1.0×10細胞/Lを超えるまで個体に投与される。
【0070】
いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、シクロホスファミドの投与が完了した後約30日で、2倍量の酢酸グラチラマーを投与する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、2倍量のGAが毎日投与される。いくつかの実施形態では、2倍量のGAは皮下投与される。
【0071】
いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、(a)CPAに加えて他のオキシアザホスホリン;(b)様々なタイプの抗胸腺細胞抗体(例えば、全リンパ球および様々なT細胞特異的抗原に対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体);ならびに、(c)HiCy処置前、HiCy処置と同時、またはHiCy処置後の一定の範囲の抗胸腺細胞処置の使用を投与する工程が含まれる。
【0072】
個体の管理と薬物分配プログラム
いくつかの実施形態では、上記に記載された方法にはさらに、処置へのアクセスを制御する工程が含まれる。ここでは、制御工程には、第1の選抜、第2の選抜、およびシクロホスファミドの限定分布が含まれる。
【0073】
いくつかの実施形態では、第1の選抜には以下の工程が含まれる:(a)個体が処置基準に適合するかどうかを決定する工程;(b)個体が女性である場合は、妊娠について個体を試験し、そして個体に妊娠についてのカウンセリングを提供する工程;(c)個体のCD4+T細胞と関係があるアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程;ならびに、(d)個体を濃厚赤血球および血小板の供給と適合させる工程。
【0074】
いくつかの実施形態では、処置基準には試験対象患者基準(inclusion criteria)と除外基準が含まれる。いくつかの実施形態では、試験対象患者基準には、以下が含まれる:
a.個体は、18歳から70歳の間の年齢でなければならない;
b.個体は、臨床的に明白な自己免疫神経疾患と診断(例えば、MSについては、McDonald Criteriaにしたがう再発−寛解型MSの明白な診断)されていなければならない;
c.MSについては、個体は、スクリーニング時に、脳および/または脊髄のMRI上にある2つ以上の全体ガドリニウム増強病変(total gadolinium enhancing lesions)を有していなければならない;
d.MSについては、個体は、最近1年間に少なくとも1回の臨床的再発を有していなければならない;
e.MSについては、個体は、0から6まで(0と6を含む)の範囲のEDSSを有していなければならない;
f.個体は、個体の日常的なケアの一部とは考えられない、スクリーニング試験と評価を含むこのプロトコールのもとでのあらゆる研究の前に、書面によるインフォームドコンセントを提出しなければならない(そして、そうさせなければならない);および
g.女性については、研究への登録前の妊娠試験陰性。
個体が処置を受けるためには、全ての試験対象患者基準を満たさなければならない。
【0075】
いくつかの実施形態では、除外基準には以下が含まれる:
a.妊娠のリスクがある全ての個体;
b.<45%の心駆出率を示している全ての個体;
c.>2.0の血清クレアチニンレベルを示している全ての個体;
d.臨終前または瀕死状態である全ての個体;
e.>2.0のビリルビンレベルおよび/または正常の>2倍のトランスアミナーゼレベルを示している全ての個体;
f.一連のMRIを撮ることができないペースメーカーおよびインプラントを装着している全ての個体;
g.感染が消滅するまでの活動性感染症を有している全ての個体;あるいは
h.<3000細胞/μlのWBC数;<100,000細胞/μlの血小板;および<10g/dlの輸血されていないヘモグロビンを有している全ての個体。
いずれかの除外基準を満たしている場合には、個体は処置から除外される。
【0076】
いくつかの実施形態では、個体が女性である場合は、個体は妊娠について試験され、妊娠についてのカウンセリングが提供されなければならない。いくつかの実施形態では、妊娠についてのカウンセリングには、妊娠することについて個体にアドバイスすることが含まれる。いくつかの実施形態では、妊娠についてのカウンセリングには、効果的な受胎調節(例えば、禁欲;コンドーム、避妊用スポンジ、子宮頸管キャップ、殺精子剤、ホルモン避妊法、および子宮内避妊用具の使用;子宮摘出術;および卵管形成術(fallopian tube surgery))の手段について個体をカウンセリングすることが含まれる。
【0077】
いくつかの実施形態では、第1の選抜には、個体のCD4+T細胞と関係があるアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、第1の選抜には、個体のPBMCと関係がある細胞死のレベルを決定する工程が含まれる。
【0078】
いくつかの実施形態では、第1の選抜にはさらに、個体の遺伝子型を決定する工程、およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子に多形を有している個体を、本明細書中に記載されるシクロホスファミドをベースとする治療から除外する工程が含まれる。特定の場合には、そのようなアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子の多形(例えば、ALDHlA12、およびALDH1A13)は、一部または全てが、アルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子の平均的な発現よりも高い発現を生じる。特定の場合には、遺伝子の平均的な発現よりも高い発現が、一部または完全に、アルデヒドデヒドロゲナーゼの平均レベルより高いレベルを有している細胞(例えば、T細胞)を生じる。特定の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼの平均レベルよりも高いレベルが、一部または完全に、シクロホスファミドでの処置に耐性がある細胞を生じる。特定の場合には、これらの個体は、シクロホスファミドでの処置に反応しないか、またはほとんど反応しないであろう。特定の場合には、アフリカ系アメリカ人は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子に多形(例えば、ALDH1A12、およびALDH1A13)を有しており、これは、一部または完全に、アルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子の平均的な発現よりも高い発現を生じる。特定の場合には、アフリカ系アメリカ人は、シクロホスファミドでの処置に反応しないか、またはほとんど反応しない。Scottら、Health−Related Effects of Genetic Variations of Alcohol−Metabolizing Enzymes in African Americans,Alcohol Research & Health,第30巻,No.1,at 18(2007)(これはそのような開示の引用により本明細書中に組み入れられる)を参照のこと。
【0079】
いくつかの実施形態では、第1の選抜には、個体を濃厚赤血球(RBC)の供給と適合させる工程が含まれる。特定の場合には、濃厚RBCは、血漿、白血球、またはそれらの組み合わせから分離された赤血球の調製物である。いくつかの実施形態では、濃厚RBCは放射線照射される(irradiated)。特定の場合には、濃厚RBCは、個体が貧血に罹患している場合に、その個体に投与される。特定の場合には、免疫消失により、一部または完全に、貧血が生じる。いくつかの実施形態では、個体が貧血に罹患していて、本明細書中に記載されるいずれかの方法を受けている場合には、個体に濃厚RBCが投与される。
【0080】
いくつかの実施形態では、第1の選抜には、個体を血小板の供給と適合される工程が含まれる。特定の場合には、個体が血小板減少症(または血小板減少)および血小板増加症に罹患している場合には、血小板が個体に投与される。特定の場合には、免疫消失により、一部または完全に、血小板減少症(または血小板減少)および血小板増加症が生じる。いくつかの実施形態では、個体が血小板減少症または血小板増加症に罹患しているが、本明細書中に記載されるいずれかの方法を受けている場合には、個体に血小板が投与される。
【0081】
いくつかの実施形態では、第2の選抜には、妊娠および/または有害事象について個体を継続的にモニタリングする工程が含まれる。有害事象を経験している個体は、有害事象が解消されるかまたは安定化するまで、適切に処置され、適切な間隔で観察される。有害事象は報告される。個々の有害事象に関する以下の情報が記録されなければならない:
a.発症と解消の日時(期間);
b.重篤度(軽度、中度、重度);
i.軽度−個体にとって辛うじて目に見えるか、または個体を不快にすることのない症候(単数または複数);動作または働きに影響はない;通常は症候(単数または複数)の軽減には処方薬は必要ないが、個体の性格によっては投与される場合もある。
【0082】
ii.中度−個体を不快にするに十分な重篤度の症候(単数または複数);日常的な活動の動作に影響がある;個体は学習を継続することができる;症候(単数または複数)の処置が必要な場合もある。
【0083】
iii.重度−相当の不快感を生じる症候(単数または複数);症候は、個体の日常生活の能力を奪うか、または相当の影響を及ぼす;重篤度は試験研究中の薬での処置の中断にいたる場合がある;症候(単数または複数)の処置が行われ得る、および/または個体は入院させられ得る。
【0084】
c.必要な処置またはとった処置;
d.結果;ならびに
e.治験薬との関係(無関係、疑わしい、有力、明白)
i.無関係−試験研究中の薬の投与から妥当な時系列では続かず、そして個体の臨床状態または個体に投与された治療の他の態様によっておそらく生じた、何らかの反応。
【0085】
ii.疑わしい−試験研究中の薬の投与から妥当な時系列では続かないか、または個体の臨床状態または個体に投与された治療の他の態様によっておそらく生じた、何らかの反応。
【0086】
iii.有力−試験研究中の薬の投与から妥当な時系列で続くか、または予想されるた薬物に対する公知の反応パターンが続いて起こり、そして個体の臨床状態または個体に投与された治療の他の態様の公知の特徴によっては合理的に説明することができない、反応。
【0087】
iv.明白−試験研究中の薬の投与から妥当な時系列で続き、そして予想される薬物に対する公知の反応パターンが続いて起こり、そして再投薬試験によって再発するおよび/または薬物を停止するか用量を減らすことによって改善される、反応。
【0088】
重篤な有害事象(SAE)は、WHOのガイドラインにしたがってグレードIVおよびVの有害事象として分類される。これらには、本明細書中に開示される方法での処置を受けていても、重篤度が高くなる症状と症候が含まれる。予想される有害事象(例えば、好中球減少症および他の関連する毒性)は注意深くモニターされ、これらが適切な管理にもかかわらず生命を脅かす状態にならない限りは、SAEとは定義されない。
【0089】
いくつかの実施形態では、個体が妊娠している、および/または十分に重篤な有害事象に罹患している場合には、その個体は処置から除外される。
【0090】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドの限定分布には以下の工程が含まれる:(a)それぞれの個体に識別番号を割り当てる工程;(b)識別番号をシクロホスファミドの容器と関連付ける工程;および(c)シクロホスファミドの容器を、その識別番号が容器に付けられた識別番号に対応する個体に投与する工程。いくつかの実施形態では、個体が第1の選抜と第2の選抜を通過した場合には、個体に固有のIDが割り当てられる。いくつかの実施形態では、固有のIDは数で示されるIDである。いくつかの実施形態では、固有のIDはアルファベットで示されるIDである。いくつかの実施形態では、固有のIDはアルファベットと数字で示されるIDである。いくつかの実施形態では、固有のIDはコンピューターで作成されたIDである。いくつかの実施形態では、バーコードが固有のIDについて作成される。いくつかの実施形態では、不正開封防止装置つき医療用ブレスレット(tamper proof hospital bracelet)に固有のIDおよび/またはバーコードが付けられる。いくつかの実施形態では、医療用ブレスレットは個体に付けられる。
【0091】
いくつかの実施形態では、固有のIDは、分配のためのシクロホスファミドが調製される機関に送られる。いくつかの実施形態では、分配のための調製には、シクロホスファミドを製造する工程、シクロホスファミドを凍結乾燥させる工程、シクロホスファミドを再構成させる工程、またはこれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、固有のIDがシクロホスファミド(例えば、凍結乾燥されたもの、または再構成されたもの)に付けられる。
【0092】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、その固有のIDが、容器につけられた固有のIDおよび/またはバーコードと一致する個体に対して、それが投与されるであろう機関(注入される機関(infusion facility))に送られる。いくつかの実施形態ではシクロホスファミドが注入される機関に凍結乾燥された形態で送られる場合には、シクロホスファミドは、凍結乾燥されたシクロホスファミドから注入される機関で再構成される。いくつかの実施形態では、固有のIDは、注入される機関で再構成されるシクロホスファミドが含まれている容器(例えば、IVバッグ)に付けられる。
【0093】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドが、その固有のIDが容器に付けられた固有のIDと一致する個体に投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドに付けられた固有のIDおよび/またはバーコードは、個体の医療用ブレスレット上の固有のIDおよび/またはバーコードと一致させられる。
【0094】
アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)アッセイ
特定の実施形態では、個体由来の生物学的試料中のアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを測定する方法が、本明細書中で開示される。.いくつかの実施形態では、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞中でのアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、個体がシクロホスファミドでの処置について選択される。いくつかの実施形態では、複数の造血幹細胞中でのアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、個体がシクロホスファミドでの処置について選択される。
【0095】
いくつかの実施形態では、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞中でのアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、個体が、自己免疫神経疾患(例えば、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、狼瘡、またはこれらの組み合わせ)の処置におけるシクロホスファミドの効力を評価するための臨床試験への参加のために選択される。いくつかの実施形態では、複数の造血幹細胞中でのアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、個体が選択される。
【0096】
ほとんどの場合または原則的に全ての場合において、個体が処置について選択されない場合には、別の処置がその個体について選択される。いくつかの実施形態では、別の処置は、コルチコステロイド(例えば、500mg〜1,000mgの静脈内メチルプレドニソロン、それに続く数週間にわたる経口プレドニソンの漸減用量)、インターフェロン(例えば、IFNβ−1a、およびIFNβ−1b)、酢酸グラチラマー、ミトキサントロン、ナタリツマブ、アレムツズマブ、BG00012(Biogen)、クラドリビン、ジルコチド(MBP8298)、フィンゴリモド、ラキニモド、リツキシマブ、テリフルノミド、ATL1102(Teva and Antisense Therapeutics)、CDP323(Biogen)、ダクリズマブ、エストラジオール、イノシン、ニューロバックス、トバキシン、またはこれらの組み合わせでの処置である。
【0097】
いくつかの実施形態では、一般的な集団の平均CD4+T細胞ALDH活性の75パーセンタイルを上回る閾値が、高用量のシクロホスファミドでの処置から個体を除外するために使用されるであろう。いくつかの実施形態では、そのような個体は、高用量のシクロホスファミドと比較的高レベルの抗胸腺細胞グロブリンで処置されるであろう。
【0098】
成熟細胞および/または成熟している細胞についての前処理アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)アッセイ
いくつかの実施形態では、生物学的試料は成熟細胞および/または成熟している細胞である。いくつかの実施形態では、成熟細胞および/または成熟している細胞は白血球である。いくつかの実施形態では、白血球はT細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞はCD4+T細胞である。
【0099】
蛍光アッセイ
いくつかの実施形態では、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞中でのアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質アッセイによって決定される。いくつかの実施形態では、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞中の複数のT細胞が、抗CD3および抗CD28がコーディングされた磁気ビーズを使用して24時間から48時間活性化させられる。いくつかの実施形態では、成熟細胞および/または成熟している細胞は、ALDHの発現を誘導するために致死未満量のシクロホスファミドで処置される。いくつかの実施形態では、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞は、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質(例えば、ALDEFLUOR(登録商標))および蛍光抗CD4細胞表面マーカーで染色される。いくつかの実施形態では、蛍光のレベルは任意の適切な様式によって検出可能であるおよび/または測定可能である(例えば、four color FACS Caliburフローサイトメーターの使用による)。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、任意の適切な様式によって蛍光レベルから推定される(例えば、CellQuestソフトウェアを使用する)。いくつかの実施形態では、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質の幾何平均蛍光強度(MFI)が、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞中のCD4細胞について決定される。
【0100】
いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞が回収された後、12時間を越えて決定される。いくつかの実施形態では、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞は凍結保存される。いくつかの実施形態では、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞は、5%のヒト血清を含むIscove’s Modified Dulbecco’s Medium(IMDM)中で解凍されるが、これに限定されない。
【0101】
いくつかの実施形態では、末梢血単核細胞(PBMC)は、任意の適切な様式(例えば、Ficoll上での密度勾配遠心分離)によって複数の成熟細胞および/または成熟している細胞から抽出される。いくつかの実施形態では、複数のPBMC中の複数のT細胞が、抗CD3および抗CD28がコーディングされた磁気ビーズを使用して24時間から48時間活性化させられる。いくつかの実施形態では、PBMCは、ALDHの発現を誘導するために致死未満量のシクロホスファミドで処置される。いくつかの実施形態では、複数のPBMC試料が、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質(例えば、ALDEFLUOR(登録商標))および蛍光抗CD4細胞表面マーカーで染色される。いくつかの実施形態では、蛍光のレベルは任意の適切な様式によって検出可能であるおよび/または測定可能である(例えば、four color FACS Caliburフローサイトメーターの使用による)。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、任意の適切な様式によって蛍光レベルから推定される(例えば、CellQuestソフトウェアを使用する)。いくつかの実施形態では、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質の幾何平均蛍光強度(MFI)が、複数のPBMC中のCD4細胞について決定される。
【0102】
いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、複数のPBMCが回収された後、12時間を越えて決定される。いくつかの実施形態では、複数のPBMCは凍結保存される。いくつかの実施形態では、複数のPBMCは、5%のヒト血清を含むIscove’s Modified Dulbecco’s Medium(IMDM)中で解凍されるが、これに限定されない。
【0103】
RNAアッセイ
いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするRNA配列のレベルを測定することによって決定される。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルの測定には以下が含まれる:(a)複数の成熟細胞および/または成熟している細胞から抽出されたRNAをプローブと接触させる工程;(b)プローブとの接触の後、抽出されたRNAを緩衝液(例えば、FACS緩衝液)で洗浄する(例えば、濯ぐ)工程;および(c)RNA/プローブ複合体の量を検出するおよび/または測定する工程。
【0104】
いくつかの実施形態では、RNAは、任意の適切な様式(例えば、細胞の溶解、それに続くフェノール−クロロホルム抽出)によって、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞から抽出される。いくつかの実施形態では、抽出されたRNAがプローブとハイブリダイズさせられる。いくつかの実施形態では、プローブは、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするRNA配列の大部分、原則として全体、またはその一部に相同であるオリゴヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、プローブは、同位体標識されるか、放射性標識されるか、または蛍光色素分子で標識される。特定の場合には、RNA/プローブ複合体は、任意の適切な様式によって検出可能であるおよび/または測定可能である(例えば、HPLC、蛍光顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、マイクロアレイスキャナー、表面プラズモン共鳴、赤外線分光学法、またはオートラジオグラフィー)。いくつかの実施形態では、プローブは、商業的な供給業者から購入される。いくつかの実施形態では、プローブは社内で作製される。
【0105】
いくつかの実施形態では、複数の末梢血単核細胞(PBMC)が、任意の適切な様式(例えば、Ficoll上での密度勾配遠心分離)によって、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞から抽出される。いくつかの実施形態では、複数のPBMC中の複数のT細胞が、抗CD3および抗CD28がコーティングされた磁気ビーズを使用して24時間から48時間活性化させられる。いくつかの実施形態では、PBMCは、ALDHの発現を誘導するために致死未満量のシクロホスファミドで処置される。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルの測定には以下が含まれる:(a)複数のPBMCから抽出されたRNAをプローブと接触させる工程;(b)プローブとの接触の後、抽出されたRNAを緩衝液(例えば、FACS緩衝液)で洗浄する(例えば、濯ぐ)工程;および(c)RNA/プローブ複合体の量を検出するおよび/または測定する工程。いくつかの実施形態では、プローブは、商業的な供給業者から購入される。いくつかの実施形態では、プローブは社内で作製される。
【0106】
いくつかの実施形態では、RNAは、複数のPBMCから、任意の適切な様式(例えば、細胞の溶解、それに続くフェノール−クロロホルム抽出)によって抽出される。いくつかの実施形態では、抽出されたRNAがプローブとハイブリダイズさせられる。いくつかの実施形態では、プローブは、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするRNA配列の大部分、原則として全体、またはその一部に相同であるオリゴヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、プローブは、同位体標識されるか、放射性標識されるか、または蛍光色素分子で標識される。特定の場合には、RNA/プローブ複合体は任意の適切な様式によって検出可能であるおよび/または測定可能である(例えば、HPLC、蛍光顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、マイクロアレイスキャナー、表面プラズモン共鳴、赤外線分光学法、またはオートラジオグラフィー)。いくつかの実施形態では、プローブは、商業的な供給業者から購入される。いくつかの実施形態では、プローブは社内で作製される。
【0107】
抗体アッセイ
いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞をアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させることによって測定される。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルの測定には以下が含まれる:(a)複数の成熟細胞および/または成熟している細胞を溶解させる工程;(b)複数の成熟細胞および/または成熟している細胞由来の溶解物をアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させる工程;(c)抗体との接触後、抗体−溶解物混合物を緩衝液(例えば、FACS緩衝液)で洗浄する(例えば、濯ぐ)工程;および(d)抗体/アルデヒドデヒドロゲナーゼ複合体の量を検出するおよび/または測定する工程。いくつかの実施形態では、抗体は、商業的な供給業者から購入される。いくつかの実施形態では、抗体は社内で作製される。抗体を作製する方法については以下を参照のこと:Kohlerら、Nature,256:495(1975);米国特許第4,816,567号;またはGoding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(Academic Press,1986);Wardら、Nature 341:544−546(1989);Huseら、Science 246:1275−1281(1989);McCaffertyら、Nature 348:552−554(1990);Clacksonら、Nature,352:624−628(1991)Marksら、J.MoI.Biol.,222:581−597(1991)(これらは全てそのような開示の引用により本明細書中に組み入れられる)。いくつかの実施形態では、溶解物は、抗体との接触の間、氷上でインキュベートされる。いくつかの実施形態では、抗体は、同位体標識されるか、放射性標識されるか、蛍光色素分子で標識されるか、またはビオチニル化される。いくつかの実施形態では、蛍光色素分子はフルオレセインである。特定の場合には、細胞表面マーカー/抗体複合体は任意の適切な様式によって検出可能であるおよび/または測定可能である(例えば、HPLC、蛍光顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、マイクロアレイスキャナー、表面プラズモン共鳴、赤外線分光学法、またはオートラジオグラフィー)。
【0108】
いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、複数のPBMCをアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させることによって測定される。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルの測定には以下が含まれる:(a)複数のPBMCを溶解させる工程;(b)溶解物をアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させる工程;(c)抗体との接触後、抗体−溶解物混合物を緩衝液(例えば、FACS緩衝液)で洗浄する(例えば、濯ぐ)工程;および(d)抗体/アルデヒドデヒドロゲナーゼ複合体の量を検出するおよび/または測定する工程。いくつかの実施形態では、抗体は、商業的な供給業者から購入される。いくつかの実施形態では、抗体は社内で作製される。抗体を作製する方法については、以下を参照のこと:Kohlerら、Nature,256:495(1975);米国特許第4,816,567号;またはGoding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(Academic Press,1986);Wardら、Nature 341:544−546(1989);Huseら、Science 246:1275−1281(1989);McCaffertyら、Nature 348:552−554(1990);Clacksonら、Nature,352:624−628(1991)Marksら、J.MoI.Biol.,222:581−597(1991)(これらは全て、そのような開示の引用により本明細書中に組み入れられる)。いくつかの実施形態では、複数のPBMCは、抗体との接触の間、氷上でインキュベートされる。いくつかの実施形態では、抗体は、同位体標識されるか、放射性標識されるか、蛍光色素分子で標識されるか、またはビオチニル化される。いくつかの実施形態では、蛍光色素分子はフルオレセインである。特定の場合には、細胞表面マーカー/抗体複合体は任意の適切な様式によって検出可能であるおよび/または測定可能である(例えば、HPLC、蛍光顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、マイクロアレイスキャナー、表面プラズモン共鳴、赤外線分光学法、またはオートラジオグラフィー)。
【0109】
成熟細胞および/または成熟している細胞についてのアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)アッセイを用いる、シクロホスファミド処置を受けている個体のモニタリング
特定の実施形態では、少なくとも第1の複数の成熟細胞および/または成熟している細胞と第2の複数の成熟細胞および/または成熟している細胞の中でアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程を含む、シクロホスファミドが投与されている個体をモニタリングする方法が、本明細書中でさらに開示される。ここでは、第1の複数の成熟細胞および/または成熟している細胞と第2の複数の成熟細胞および/または成熟している細胞は、異なるタイミングで個体から採取される(例えば、試料1はシクロホスファミドの投与前に採取され、そして試料2は、シクロホスファミドの投与が完了した後96時間で採取される)。
【0110】
いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、成熟細胞および/または成熟している細胞中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、処置を中断する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、成熟細胞および/または成熟している細胞中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、別の処置を選択する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、生物学的試料中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルに基づいて処置を変更する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、ALDHのレベルが増大した場合には、シクロホスファミドの用量が増大させられる。いくつかの実施形態では、ALDHのレベルが低下した場合には、シクロホスファミドの用量が減少させられる。
【0111】
特定の実施形態では、少なくとも第1の複数のPBMCと第2の複数のPBMC中のアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程を含む、シクロホスファミドが投与されている個体をモニタリングする方法が、本明細書中でさらに開示される。ここでは、第1の複数のPBMCと第2の複数のPBMCは、異なるタイミングで個体から採取される(例えば、試料1はシクロホスファミドの投与前に採取され、試料2は、シクロホスファミドの投与が完了した後96時間で採取される)。
【0112】
いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、複数のPBMC中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、処置を中断する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、複数のPBMC中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、別の処置を選択する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、複数のPBMC中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルに基づいて処置を変更する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、ALDHのレベルが増大した場合には、シクロホスファミドの用量が増大させられる。いくつかの実施形態では、ALDHのレベルが低下した場合には、シクロホスファミドの用量が減少させられる。
【0113】
骨髄についての前処理アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)アッセイ
いくつかの実施形態では、生物学的試料は、骨髄(例えば、赤色骨髄、黄色骨髄、造血幹細胞、またはこれらの組み合わせ)である。特定の場合には、骨髄は、任意の適切な様式(例えば、骨髄生検、骨髄穿刺)によって得られる。
【0114】
蛍光アッセイ
いくつかの実施形態では、骨髄中のアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質アッセイによって決定される。いくつかの実施形態では、骨髄は、ALDHの発現を誘導するために、致死未満量のシクロホスファミドで処置される。いくつかの実施形態では、骨髄は、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質(例えば、ALDEFLUOR)で染色される。いくつかの実施形態では、蛍光のレベルは任意の適切な様式によって検出可能であるおよび/または測定可能である(例えば、four color FACS Caliburフローサイトメーターの使用による)。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、任意の適切な様式によって蛍光レベルから推定される(例えば、CellQuestソフトウェアを使用する)。
【0115】
いくつかの実施形態では、複数の造血幹細胞は、任意の適切な様式によって骨髄の残りから分離される。いくつかの実施形態では、複数の造血幹細胞が、ALDHの発現を誘導するために、致死未満量のシクロホスファミドで処置される。いくつかの実施形態では、複数の造血幹細胞は、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質(例えば、ALDEFLUOR)で染色される。いくつかの実施形態では、蛍光のレベルは任意の適切な様式によって検出可能であるおよび/または測定可能である(例えば、four color FACS Caliburフローサイトメーターの使用による)。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、任意の適切な様式によって蛍光レベルから推定される(例えば、CellQuestソフトウェアを使用する)。
【0116】
RNAアッセイ
いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするRNA配列のレベルを測定することによって決定される。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルの測定には以下が含まれる:(a)骨髄から抽出されたRNAをプローブと接触させる工程;(b)プローブとの接触の後、RNAを緩衝液(例えば、FACS緩衝液)で洗浄する(例えば、濯ぐ)工程;および(c)RNA/プローブ複合体の量を検出するおよび/または測定する工程。いくつかの実施形態では、プローブは、商業的な供給業者から購入される。いくつかの実施形態では、プローブは社内で作製される。
【0117】
いくつかの実施形態では、RNAは、骨髄から、任意の適切な様式(例えば、細胞の溶解、それに続くフェノール−クロロホルム抽出)によって抽出される。いくつかの実施形態では、抽出されたRNAがプローブとハイブリダイズさせられる。いくつかの実施形態では、プローブは、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするRNA配列の大部分、原則として全体、またはその一部に相同であるオリゴヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、プローブは、同位体標識されるか、放射性標識されるか、または蛍光色素分子で標識される。特定の場合には、RNA/プローブ複合体は、任意の適切な様式によって検出可能であるおよび/または測定可能である(例えば、HPLC、蛍光顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、マイクロアレイスキャナー、表面プラズモン共鳴、赤外線分光学法、またはオートラジオグラフィー)。
【0118】
いくつかの実施形態では、複数の造血幹細胞は、任意の適切な様式によって、骨髄の残りから分離される。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルの測定には以下が含まれる:(a)複数の造血幹細胞から抽出されたRNAをプローブと接触させる工程;(b)プローブとの接触の後、RNAを緩衝液(例えば、FACS緩衝液)で洗浄する(例えば、濯ぐ)工程;および(c)RNA/プローブ複合体の量を検出するおよび/または測定する工程。いくつかの実施形態では、プローブは、商業的な供給業者から購入される。いくつかの実施形態では、プローブは社内で作製される。
【0119】
いくつかの実施形態では、造血幹細胞は、任意の適切な様式によって、骨髄の残りから分離される。いくつかの実施形態では、RNAは造血幹細胞から、任意の適切な様式(例えば、細胞の溶解、それに続くフェノール−クロロホルム抽出)によって抽出される。いくつかの実施形態では、抽出されたRNAがプローブとハイブリダイズさせられる。いくつかの実施形態では、プローブは、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするRNA配列の大部分、原則として全体、またはその一部に相同であるオリゴヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、プローブは、同位体標識されるか、放射性標識されるか、または蛍光色素分子で標識される。特定の場合には、RNA/プローブ複合体は、任意の適切な様式によって検出可能であるおよび/または測定可能である(例えば、HPLC、蛍光顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、マイクロアレイスキャナー、表面プラズモン共鳴、赤外線分光学法、またはオートラジオグラフィー)。
【0120】
抗体アッセイ
いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、骨髄をアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させることによって測定される。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルの測定には以下が含まれる:(a)骨髄試料を溶解させる工程;(b)溶解物をアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させる工程;(c)抗体との接触後、抗体−溶解物混合物を緩衝液(例えば、FACS緩衝液)で洗浄する(例えば、濯ぐ)工程;および(d)抗体/アルデヒドデヒドロゲナーゼ複合体の量を検出するおよび/または測定する工程。いくつかの実施形態では、抗体は、商業的な供給業者から購入される。いくつかの実施形態では、抗体は社内で作製される。抗体を作製する方法については、以下を参照のこと:Kohlerら、Nature,256:495(1975);米国特許第4,816,567号;またはGoding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(Academic Press,1986);Wardら、Nature 341:544−546(1989);Huseら、Science 246:1275−1281(1989);McCaffertyら、Nature 348:552−554(1990);Clacksonら、Nature,352:624−628(1991)Marksら、J.MoI.Biol.,222:581−597(1991)(これらは全て、そのような開示の引用により本明細書中に組み入れられる)。いくつかの実施形態では、骨髄は、抗体との接触の間、氷上でインキュベートされる。いくつかの実施形態では、抗体は、同位体標識されるか、放射性標識されるか、蛍光色素分子で標識されるか、またはビオチニル化される。いくつかの実施形態では、蛍光色素分子はフルオレセインである。特定の場合には、アルデヒドデヒドロゲナーゼ/抗体複合体は、任意の適切な様式によって検出可能であるおよび/または測定可能である(例えば、HPLC、蛍光顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、マイクロアレイスキャナー、表面プラズモン共鳴、赤外線分光学法、またはオートラジオグラフィー)。
【0121】
いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルは、複数の造血幹細胞をアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させることによって測定される。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルの測定には以下が含まれる:(a)複数の造血幹細胞を溶解させる工程;(b)溶解物をアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させる工程;(c)抗体との接触後、抗体−溶解物混合物を緩衝液(例えば、FACS緩衝液)で洗浄する(例えば、濯ぐ)工程;および(d)抗体/アルデヒドデヒドロゲナーゼ複合体の量を検出するおよび/または測定する工程。いくつかの実施形態では、抗体は、商業的な供給業者から購入される。いくつかの実施形態では、抗体は社内で作製される。抗体を作製する方法については、以下を参照のこと:Kohlerら、Nature,256:495(1975);米国特許第4,816,567号;またはGoding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(Academic Press,1986);Wardら、Nature 341:544−546(1989);Huseら、Science 246:1275−1281(1989);McCaffertyら、Nature 348:552−554(1990);Clacksonら、Nature,352:624−628(1991)Marksら、J.Mol.Biol.,222:581−597(1991)(これらは全て、そのような開示の引用により本明細書中に組み入れられる)。いくつかの実施形態では、溶解物は、抗体との接触の間、氷上でインキュベートされる。いくつかの実施形態では、抗体は、同位体標識されるか、放射性標識されるか、蛍光色素分子で標識されるか、またはビオチニル化される。いくつかの実施形態では、蛍光色素分子はフルオレセインである。特定の場合には、アルデヒドデヒドロゲナーゼ/抗体複合体は任意の適切な様式によって検出可能であるおよび/または測定可能である(例えば、HPLC、蛍光顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、マイクロアレイスキャナー、表面プラズモン共鳴、赤外線分光学法、またはオートラジオグラフィー)。
【0122】
骨髄についてのアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)アッセイを用いる、シクロホスファミド処置を受けている個体のモニタリング
特定の実施形態では、少なくとも第1の骨髄試料と第2の骨髄試料中のアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程を含む、シクロホスファミドが投与されている個体をモニタリングする方法が、本明細書中でさらに開示される。ここでは、第1の骨髄試料と第2の骨髄試料は、異なるタイミングで個体から採取される(例えば、試料1はシクロホスファミドの投与前に採取され、試料2は、シクロホスファミドの投与が完了した後96時間で採取される)。
【0123】
いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、骨髄試料中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、処置を中断する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、骨髄試料中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、別の処置を選択する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、骨髄試料中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルに基づいて処置を変更する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、ALDHのレベルが増大した場合には、シクロホスファミドの用量が増大させられる。いくつかの実施形態では、ALDHのレベルが低下した場合には、シクロホスファミドの用量が減少させられる。
【0124】
特定の実施形態では、少なくとも第1の複数の造血幹細胞と第2の造血幹細胞中でアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程を含む、シクロホスファミドが投与されている個体をモニタリングする方法が、本明細書中でさらに開示される。ここでは、第1の複数の造血幹細胞と第2の造血幹細胞は、異なるタイミングで個体から採取される(例えば、試料1はシクロホスファミドの投与前に採取され、試料2は、シクロホスファミドの投与が完了した後96時間で採取される)。
【0125】
いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、複数の造血幹細胞中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、処置を中断する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、複数の造血幹細胞中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、別の処置を選択する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、複数の造血幹細胞中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルに基づいて処置を変更する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、ALDHのレベルが増大した場合には、シクロホスファミドの用量が増大させられる。いくつかの実施形態では、ALDHのレベルが低下した場合には、シクロホスファミドの用量が減少させられる。
【0126】
シクロホスファミドに誘導される細胞死のアッセイ
成熟細胞および/または成熟している細胞についての前処理細胞死アッセイ
特定の実施形態では、個体由来の複数の成熟細胞および/または成熟している細胞中でのシクロホスファミドに誘導される細胞死(例えば、アポトーシスまたは壊死)のレベルを測定する方法が、本明細書中で開示される。いくつかの実施形態では、個体由来の複数の成熟細胞および/または成熟している細胞中での細胞死のレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、個体はシクロホスファミドでの処置について選択される。いくつかの実施形態では、個体由来の複数の成熟細胞および/または成熟している細胞中のシクロホスファミドに誘導される細胞死のレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、個体が、自己免疫神経疾患(例えば、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、狼瘡、またはこれらの組み合わせ)の処置におけるシクロホスファミドの効力を評価するための臨床試験への参加のために選択される。
【0127】
いくつかの実施形態では、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞は、任意の適切な様式によって個体から回収される。いくつかの実施形態では、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞がシクロホスファミドと接触させられる。いくつかの実施形態では、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞は、シクロホスファミドと約24時間接触させられる。いくつかの実施形態では、細胞死のレベルが、対照の細胞死のレベルと比較される。いくつかの実施形態では、対照は、シクロホスファミドとの接触後に公知のレベルの細胞死を示す、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞である。いくつかの実施形態では、対照は、シクロホスファミドとの接触後に複数の成熟細胞および/または成熟している細胞の中で見られる細胞死の平均レベルである。いくつかの実施形態では、個体由来の生物学的試料中の細胞死のレベルが対照未満である場合には、その個体については別の処置が選択される。
【0128】
特定の実施形態では、個体由来の複数のPBMC中でのシクロホスファミドに誘導される細胞死(例えば、アポトーシスまたは壊死)のレベルを測定する方法が、本明細書中で開示される。いくつかの実施形態では、個体由来の複数のPBMC中での細胞死のレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、個体がシクロホスファミドでの処置について選択される。いくつかの実施形態では、個体由来の複数のPBMC中でのシクロホスファミドに誘導される細胞死のレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、個体が、自己免疫神経疾患(例えば、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、狼瘡、またはこれらの組み合わせ)の処置におけるシクロホスファミドの効力を評価するための臨床試験への参加のために選択される。
【0129】
いくつかの実施形態では、末梢血単核細胞(PBMC)は、任意の適切な様式(例えば、Ficoll上での密度勾配遠心分離)によって、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞から分離される。いくつかの実施形態では、PBMCは、シクロホスファミドと接触させられる。いくつかの実施形態では、PBMCは、シクロホスファミドと約24時間接触させられる。いくつかの実施形態では、細胞死のレベルが、対照の細胞死のレベルと比較される。いくつかの実施形態では、対照は、シクロホスファミドとの接触後に公知のレベルの細胞死を示す複数のPBMCである。いくつかの実施形態では、対照は、シクロホスファミドとの接触後の、複数のPBMC中で見られる細胞死の平均レベルである。いくつかの実施形態では、個体由来の複数のPBMC中での細胞死のレベルが対照未満である場合には、その個体については別の処置が選択される。
【0130】
成熟細胞および/または成熟している細胞についての細胞死アッセイを用いる、シクロホスファミド処置を受けている個体のモニタリング
特定の実施形態では、少なくとも第1の複数の成熟細胞および/または成熟している細胞の試料と第2の複数の成熟細胞および/または成熟している細胞中での細胞死のレベルを決定する工程を含む、シクロホスファミドが投与されている個体をモニタリングする方法が、本明細書中でさらに開示される。ここでは、第1の複数の成熟細胞および/または成熟している細胞と第2の複数の成熟細胞および/または成熟している細胞は、異なるタイミングで個体から採取される(例えば、試料1はシクロホスファミドの投与前に採取され、試料2は、シクロホスファミドの投与が完了した後96時間で採取される)。
【0131】
いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞中で観察された細胞死のレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、処置を中断する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞中で観察された細胞死のレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、別の処置を選択する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、複数の成熟細胞および/または成熟している細胞中で観察された細胞死のレベルに基づいて処置を変更する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、細胞死のレベルが増大した場合には、シクロホスファミドの用量が減少させられる。いくつかの実施形態では、ALDHのレベルが低下した場合には、シクロホスファミドの用量が増大させられる。
【0132】
特定の実施形態では、少なくとも第1の複数のPBMCと第2の複数のPBMC中で細胞死のレベルを決定する工程を含む、シクロホスファミドが投与されている個体をモニタリングする方法が、本明細書中でさらに開示される。ここでは、第1の複数のPBMCと第2の複数のPBMCは、異なるタイミングで個体から採取される(例えば、試料1はシクロホスファミドの投与前に採取され、試料2は、シクロホスファミドの投与が完了した後96時間で採取される)。
【0133】
いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、複数のPBMC中で観察された細胞死のレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、処置を中断する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、複数のPBMC中で観察された細胞死のレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、別の処置を選択する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、対照は、シクロホスファミドとの接触後に公知のレベルの細胞死を示す複数のPBMCである。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、複数のPBMC中で観察された細胞死のレベルに基づいて処置を変更する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、細胞死のレベルが増大した場合には、シクロホスファミドの用量は減少させられる。いくつかの実施形態では、ALDHのレベルが低下した場合には、シクロホスファミドの用量が増大させられる。
【0134】
骨髄についての前処理細胞死アッセイ
特定の実施形態では、個体由来の骨髄中でのシクロホスファミドに誘導される細胞死(例えば、アポトーシス)のレベルを測定する方法が、本明細書中で開示される。いくつかの実施形態では、個体由来の骨髄中での細胞死のレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、個体は、シクロホスファミドでの処置について選択される。いくつかの実施形態では、個体由来の骨髄中でのシクロホスファミドに誘導される細胞死のレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、個体が、自己免疫神経疾患(例えば、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、狼瘡、またはこれらの組み合わせ)の処置におけるシクロホスファミドの効力を評価するための臨床試験への参加のために選択される。
【0135】
いくつかの実施形態では、骨髄がシクロホスファミドと接触させられる。いくつかの実施形態では、骨髄は、シクロホスファミドと約24時間接触させられる。いくつかの実施形態では、対照は、シクロホスファミドとの接触後に公知のレベルの細胞死を示す骨髄である。いくつかの実施形態では、対照は、シクロホスファミドとの接触後に骨髄の中で見られる細胞死の平均レベルである。いくつかの実施形態では、個体由来の骨髄中での細胞死のレベルが対照を上回る場合には、その個体については別の処置が選択される。
【0136】
いくつかの実施形態では、複数の造血幹細胞が、任意の適切な様式によって骨髄から分離される。いくつかの実施形態では、複数の造血幹細胞がシクロホスファミドと接触させられる。いくつかの実施形態では、複数の造血幹細胞は、シクロホスファミドと約24時間接触させられる。いくつかの実施形態では、細胞死のレベルが、対照の細胞死のレベルと比較される。いくつかの実施形態では、対照は、シクロホスファミドとの接触後に公知のレベルの細胞死を示す複数の造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、対照は、シクロホスファミドとの接触後に造血幹細胞の中で見られる細胞死の平均レベルである。いくつかの実施形態では、個体由来の複数の造血幹細胞中での細胞死のレベルが対照を上回る場合には、その個体については別の処置が選択される。
【0137】
骨髄についての細胞死アッセイを用いる、シクロホスファミド処置を受けている個体のモニタリング
特定の実施形態では、少なくとも第1の骨髄試料と第2の骨髄試料中で細胞死のレベルを決定する工程を含む、シクロホスファミドが投与されている個体をモニタリングする方法が、本明細書中でさらに開示される。ここでは、第1の骨髄試料と第2の骨髄試料は、異なるタイミングで個体から採取される(例えば、試料1はシクロホスファミドの投与前に採取され、試料2は、シクロホスファミドの投与が完了した後96時間で採取される)。
【0138】
いくつかの実施形態では、第1の骨髄試料と第2の骨髄試料がシクロホスファミドと(例えば、約24時間)接触させられる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、骨髄試料中で観察された細胞死のレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、処置を中断する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、骨髄試料中で観察された細胞死のレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、別の処置を選択する工程が含まれる。
【0139】
いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、骨髄試料中で観察された細胞死のレベルに基づいて処置を変更する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、細胞死のレベルが増大した場合には、シクロホスファミドの用量が減少させられる。いくつかの実施形態では、ALDHのレベルが低下した場合には、シクロホスファミドの用量が増大させられる。
【0140】
いくつかの実施形態では、複数の造血幹細胞は、第1の骨髄試料と第2の骨髄試料から任意の適切な様式によって分離される。いくつかの実施形態では、第1の骨髄試料由来の複数の造血幹細胞と第2の骨髄試料由来の複数の造血幹細胞が、シクロホスファミドと(例えば、約24時間)接触させられる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、第1の複数または第2の複数の中で観察された細胞死のレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、処置を中断する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、第1の複数または第2の複数のいずれかにおいて観察された細胞死のレベルが予め決定された閾値を越えている場合に、別の処置を選択する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、第2の複数の造血幹細胞中で観察された細胞死のレベルに基づいて処置を変更する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、細胞死のレベルが増大した場合には、シクロホスファミドの用量が減少させられる。いくつかの実施形態では、ALDHのレベルが低下した場合には、シクロホスファミドの用量が増大させられる。
【0141】
薬学的組成物の処方
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、1種類以上の生理学的に許容される担体(例えば、薬学的使用に適している調製物への活性のある化合物の処理を容易にする賦形剤および補助剤を含む)を使用する従来の様式で処方される。特定の実施形態では、適切な処方は、選択された投与経路に依存する。本明細書中に記載される薬学的組成物の概要は、例えば、以下に見られる:Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第19版(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.編,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,第7版(Lippincott Williams & Wilkins 1999)。
【0142】
薬学的組成物は、本明細書中で使用される場合は、本明細書中に記載される化合物(例えば、シクロホスファミド、酢酸グラチラマー、顆粒球コロニー刺激因子、および抗胸腺細胞グロブリン)の他の化学成分(例えば、担体,安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、および/または賦形剤)との混合物をいう。特定の場合には、薬学的組成物は、個体または細胞への化合物の投与を容易にする。本明細書中で提供される処置または使用方法を実施する特定の実施形態では、本明細書中に記載される化合物の治療有効量が、処置される疾患、障害、または症状を有している個体に対して、薬学的組成物中で投与される。特定の実施形態では、個体はヒトである。本明細書中で議論されるように、本明細書中に記載される治療用化合物は、単独で利用されるか、または1種類以上のさらなる治療薬と組み合わせて利用されるかのいずれかである。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される薬学的処方物は、任意の様式で個体に投与される。これには、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻内、口腔、局所、直腸、または経皮投与経路(これらに限定されない)のような複数の投与経路のうちの1種類以上が含まれる。本明細書中に記載される薬学的処方物には、水性分散液、自己乳化型分散液、固溶体、リポソーム分散液、エアゾール、固形の剤型(solid dosage form)、散剤、即時放出型処方物、徐放型処方物、即溶製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出型処方物、持続放出型処方物、パルス放出型処方物(pulsatile release formulation)、多微粒子型処方物(multiparticulate formulation)、および即時放出型と徐放型の混合処方物(mixed immediate and controlled release formulation)が含まれるが、これらに限定されない。
【0144】
本明細書中に記載される化合物(例えば、シクロホスファミド、酢酸グラチラマー、顆粒球コロニー刺激因子、および抗胸腺細胞グロブリン)の薬学的組成物は、状況に応じて、従来の様式(例えば、従来の混合、溶解、再構成、顆粒化、糖衣錠の作製(dragee−making)、粉末化(levigating)、乳化、カプセル化、捕捉、または圧縮処理によるが、これらに限定されない)で製造される。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される薬学的組成物には、本明細書中に記載される1種類以上の薬剤(例えば、シクロホスファミド、酢酸グラチラマー、顆粒球コロニー刺激因子、および抗胸腺細胞グロブリン)が、有効成分として遊離の酸または遊離の塩基の形態で、あるいは、薬学的に許容される塩の形態で含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される化合物は、N−オキサイドとして、または結晶形態もしくは不定形(すなわち、多形体)として利用される。特定の実施形態では、本明細書中に記載される化合物の活性のある代謝物またはプロドラッグが利用される。一部の状況では、本明細書中に記載される化合物は互変異性体として存在する。全ての互変異性体が、本明細書中に示される化合物の範囲に含まれる。特定の実施形態では、本明細書中に記載される化合物は溶媒和されていない形態または溶媒和された形態で存在する。ここでは、溶媒和された形態には、任意の薬学的に許容される溶媒(例えば、水、エタノールなど)が含まれる。本明細書中に示される化合物の溶媒和された形態もまた、本明細書中に開示されるとみなされる。
【0146】
「担体」には、いくつかの実施形態では薬学的に許容される賦形剤が含まれ、そしてこれは、本明細書中に開示される化合物(例えば、式I〜Vのいずれかの化合物)との適合性と、所望される投薬形態の放出特性プロフィールに基づいて選択される。例示的な担体材料としては、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤などが挙げられる。例えば、以下を参照のこと:Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第19版(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.編,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,第7版(Lippincott Williams & Wilkins 1999)。
【0147】
さらに、いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される薬学的組成物は、投薬形態として処方される。そのようなものとして、いくつかの実施形態では、個体への投与に適している、本明細書中に記載される化合物(例えば、シクロホスファミド、酢酸グラチラマー、顆粒球コロニー刺激因子、および抗胸腺細胞グロブリン)を含む投薬形態が、本明細書中で提供される。特定の実施形態では、適切な投薬形態には、水性の経口用分散液、液剤、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー、懸濁剤、固体の経口投薬形態、エアゾール、徐放型処方物、即溶製剤、発泡性処方物(effervescent formulation)、凍結乾燥処方物、錠剤、散剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、遅延放出型処方物、持続放出型処方物、パルス放出型処方物、多微粒子型処方物、および即時放出型と徐放型の混合処方物が含まれるが、これらに限定されない。
【0148】
本明細書中に記載される薬学的な固体の投薬形態には、状況に応じて、本明細書中に記載されるさらなる治療用化合物と、1種類以上の薬学的に許容される添加剤(例えば、適合する担体、結合剤、充填剤、懸濁化剤、香味剤、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、加湿剤、可塑剤、安定化剤、浸透促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、保存剤、またはそれらの1種類以上の組み合わせ)が含まれる。いくつかの態様では、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第20版(2000)に記載されている手法のような標準的なコーティング手法を使用して、薄膜コーティングが、式I〜Vのいずれかの化合物の処方物を囲むように提供される。1つの実施形態では、本明細書中に記載される化合物は粒子の形態であり、化合物の粒子のいくつかまたは全てがコーティングされる。特定の実施形態では、本明細書中に記載される化合物の粒子のいくつかまたは全てがマイクロカプセル化される。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される化合物の粒子はマイクロカプセル化されず、コーティングもされない。
【0149】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される薬学的組成物は、正確な投与量の単回投与に適している単位投薬形態である。単位投薬形態では、処方物は、適切な量の1種類以上の化合物を含む単位用量に分けられる。いくつかの実施形態では、単位投与量は、個別の量の処方物を含むパッケージの形態である。限定ではない例は、パッケージされた錠剤またはカプセル剤、およびバイアルまたはアンプルの中の散剤である。水性の懸濁組成物は、状況に応じて、単回用量の再び密閉することができない容器の中にパッケージされる。いくつかの実施形態では、多用量の再び密閉することができる容器が使用される。特定の場合には、多用量の容器には、組成物中に保存剤が含まれる。例にすぎないが、注射剤用の処方物は単位投薬形態で提示され、これには、保存剤が添加されたアンプルまたは多用量の容器が含まれるが、これらに限定されない。
【0150】
併用療法(combinations)
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される少なくとも1種類の治療薬を別の治療薬と組み合わせて投与することが適切である。または、例にすぎないが、個体が得られる利点は、本明細書中に記載される化合物のうちの1種類を、これにもまた治療上利点がある別の治療薬(治療レジュメも含む)とともに投与することによって増大させられる。いずれにしても、処置される疾患、障害、または症状にはかかわらず、個体が得られる総合的な利点は、いくつかの実施形態では、2種類の治療薬の加法であり、また、他の実施形態では、個体は、相乗的な利点が得られる。
【0151】
いくつかの実施形態では、特定の化合物の選択は、かかりつけの医師の診断と、個体の症状および適切な処置プロトコールについての彼らによる判断に依存する。複数の化合物は、状況に応じて、疾患、障害、または症状の性質、個体の状態、および使用される実際に選択される化合物によって、同時に(例えば、同時に、原則として同時に、または同じ処置プロトコールにおいて)あるいは連続して投与される。特定の場合には、投与の順序と、処置プロトコールの間のそれぞれの治療薬の投与の繰り返し回数の決定は、処置される疾患の評価と個体の状態の評価に基づく。
【0152】
いくつかの実施形態では、治療有効投与量(therapeutically−effective dosages)は、薬物が併用療法で使用される場合には変化する。併用療法のレジュメにおいて使用される薬物と他の薬剤の治療有効投与量を経験的に決定するための方法は、文献に記載されている。例えば、メトロノームのような投与(metronomic dosing)(すなわち、毒性の副作用を最少にするためにより高頻度で低用量を提供すること)の使用が、文献に広く記載されている。併用療法にはさらに、個体の臨床管理を助けるために、様々な時間で開始され、停止される周期的な処置も含まれる。
【0153】
本明細書中に記載される併用療法のいくつかの実施形態では、同時投与される化合物の投与量は、同時に使用される薬物のタイプ、使用される特定の薬物、処置される疾患または症状などに応じて様々である。加えて、1種類以上の生物学的に活性のある薬剤と同時投与される場合には、本明細書中で提供される化合物は、状況に応じて、生物学的に活性のある薬剤(単数または複数)と同時に、または連続してのいずれかで投与される。特定の場合には、連続して投与される場合は、かかりつけの医師が、さらなる治療薬と組み合わせた場合の本明細書中に記載される治療用化合物の適切な順序を決定するであろう。
【0154】
複数の治療薬(そのうちの少なくとも1種類は本明細書中に記載される治療用化合物である)が、状況に応じて、任意の順序で、または同時にも投与される。同時に投与される場合は、複数の治療薬は、状況に応じて、単一の、一つにまとめられた形態、または複数の形態(例にすぎないが、1つの丸剤としてか、または2つの別々の丸剤としてのいずれか)で提供される。特定の場合には、複数の治療薬のうちの1つは、状況によっては多用量で投与される。他の場合には、両方が状況に応じて多用量として投与される。同時ではない場合は、複数の投与量のタイミングは、任意の適切なタイミング(例えば、0週より長くから4週未満)である。いくつかの実施形態では、さらなる治療薬が、自己免疫神経疾患の寛解(部分または完全)に達するために使用される。その際は、本明細書中に記載される治療薬(例えば、シクロホスファミド、酢酸グラチラマー、顆粒球コロニー刺激因子、および抗胸腺細胞グロブリン)は後に続いて投与される。加えて、併用法、組成物、および処方物は、2種類だけの薬剤の使用に限定されず;複数の治療薬の組み合わせの使用もまた想定される(本明細書中に記載される2種類以上の治療用化合物が含まれる)。
【0155】
いくつかの実施形態では、その軽減が想定される症状(単数または複数)を処置する、予防する、または改善するための投与レジュメは、様々な要因にしたがって変更される。これらの要因には、個体が罹患している障害、ならびに個体の年齢、体重、性別、食事療法、および医学的状態が含まれる。したがって、様々な実施形態では、実際に使用される投与レジュメは、本明細書中に示される投与レジュメとは異なり、本明細書中に示される投与レジュメから外れる。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書中で開示される併用療法を構成する医薬品は、実質的に同時に投与される、1つに組み合わせられた投薬形態または別の投薬形態で提供される。特定の実施形態では、併用療法を構成する医薬品は連続して投与され、いずれかの治療用化合物が、2工程の投与と呼ばれるレジュメによって投与される。いくつかの実施形態では、2工程の投与レジュメは、複数の活性のある物質の連続する投与、または別々の活性のある物質の間隔をあけた投与をいう。特定の実施形態では、複数の投与工程の間の時間は、それぞれの医薬品の特性(例えば、医薬品の効力、溶解度、生体利用性、血漿半減期、および速度論的プロフィール(kinetic profile))に応じて、数分から数時間までで変化するが、これに限定されない。
【0157】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される化合物と併用療法は、疾患または症状の発症の前に、またはその間に、またはその後で投与される。化合物を含む組成物の投与のタイミングは、処置される個体の必要性に合うように状況に応じて変更される。したがって、特定の実施形態では、化合物は、予防薬として使用され、そして、疾患または症状の発症を防ぐために、症状または疾患を発症する傾向にある個体に継続的に投与される。いくつかの実施形態では、化合物および組成物は、症候の発症の間に、または症候の発症後に可能な限り早く、個体に投与される。化合物の投与は、状況に応じて、症候の発症から最初の48時間以内に、症候の発症から最初の6時間以内に、または症候の発症から3時間以内に開始される。最初の投与は、任意の実用的な経路(route practical)(例えば、静脈内注射、ボーラス注射、5分から約5時間での注入、丸剤、カプセル剤、経皮パッチ、口腔投与など、またはそれらの組み合わせ)によって行われる。いくつかの実施形態では、化合物は、疾患または症状の発症が検出されたかまたは疑われた後、実施できる限り早く投与されるべきであり、疾患の処置に必要な時間の長さは、例えば、1ヶ月より長く約3ヶ月までである。処置の長さは、公知の基準に基づいて個々の個体について状況に応じて変わる。例示的な実施形態では、化合物、または化合物を含む処方物は、すくなくとも2週間、1ヶ月より長く約5年まで、または、1ヶ月より長く約3年まで投与される。
【0158】
いくつかの実施形態では、治療薬は、任意の組み合わせにおいて以下の治療薬のうちの1種類以上と組み合わせられるか、または組み合わせて利用される:コルチコステロイド(例えば、500mg〜1,000mgの静脈内メチルプレドニソロン、その後に、数週間の漸減用量の経口プレドニソン)、インターフェロン(例えば、IFNβ−1aおよびIFNβ−1b)、酢酸グラチラマー、ミトキサントロン、ナタリツマブ、アレムツズマブ、BG00012(Biogen)、クラドリビン、ジルコチド(MBP8298)、フィンゴリモド、ラキニモド、リツキシマブ、テリフルノミド、ATL1102(Teva and Antisense Therapeutics)、CDP323(Biogen)、ダクリズマブ、エストラジオール、イノシン、ニューロバックス、トバキシン、ミコフェノール酸モフェチル、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキセート)、マクロライド/IL−2阻害剤(例えば、FK−506)、サリドマイド、ミトキサントロン、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、神経保護剤(例えば、リチウム)、またはこれらの組み合わせ。
【実施例】
【0159】
(実施例1)
HiCyと酢酸グラチラマー(HiGA)での処置についてのマウスモデル
この実験の目的は、酢酸グラチラマーの投与によるMSの再燃に対して、免疫化と組み合わせた免疫消失用量(immunoablative doses)のシクロホスファミド(CPA)での再発/寛解型多発性硬化症(RRMS)のモデルとしてのSJL/Jマウスの慢性再発性実験的自己免疫性脳脊髄炎(R−EAE)を軽減することである。
【0160】
EAEは、MSについての十分に確立された非霊長類動物モデルである。R−EAEは、修飾されたミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)の139〜151位のペプチド(HSLGKWLGHPDKF)を有している感受性マウス株(SJL/J)の免疫化によって誘導される。R−EAEは、発症するまでにおよそ2〜3週間を要する。実験結果における遺伝的影響は、以前に示された齧歯類の近交系株を使用することにより、最小限に保つことができる。これにより、本発明者らは、得られた実験結果が、指定される処置グループを含めたことが原因であること、および個体間で観察された差の原因が疾患および/または環境による影響であることを明らかにすることができるであろう。
【0161】
処置グループは、10匹のマウスからなるであろう。本発明者らは、異なる薬物(プロトコールで概説した)、およびこれらの薬物の組み合わせ(および媒体対照)、薬物投与量のバリエーション、ならびに、薬物の投与のタイミングのバリエーションを含むであろう、3〜5の処置グループからなる実験を見込んでいる(anticipate)。
【0162】
R−EAEの誘導と分析
6〜12週齢の雌のSJL/Jマウスに、Mycobacterium tuberculisis H37 Ra(CFA)を含むFreund’s Incomplete Adjuvantの中に乳化させた、100マイクログラムの修飾されたミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)の139〜151位のペプチド(HSLGKWLGHPDKF)を含む100マイクロリットルの注射が1回皮下投与されるであろう。CFAは、熱によって死滅させられたMycobacterium tuberculosisと混合されたFreund’s Incomplete Adjuvantからなる油性混合物である。これは、このマウス株においてこの疾患を引き起こすことが公知である唯一のアジュバントである。これらの注射は、麻酔せずに行われるであろう。皮下アジュバント注射のために、動物は、その首筋の弛緩性皮膚でつかまれ、大腿部領域に25ゲージ針で注射される。
【0163】
マウスの体重が量られ、臨床的症候について2ヶ月間観察されるであろう。EAEの臨床的症候は以下の目盛にしたがって評価されるであろう:0=臨床疾患なし;1=尾の弾力性が失われている;2=軽度の後肢感覚障害(paresis);3=中度の後肢の麻痺;4=完全な対麻痺;および5=四肢麻痺、瀕死状態、または死亡。以下を含むさらなる行動的治療成績をモニターすることができる:歩きながら尾を持ち上げる動物の能力、または触れた際に、4本の肢全てを動かして、ケージの蓋の段に沿って協調して歩く能力、および全体的な活動レベルと探索の傾向(exploratory tendencies)。
【0164】
SJL/Jマウス株においては、EAEは、10日目までに、症候に先立って明らかな体重の減少と尾の軽度の感覚障害が存在する場合には、段階型(escalating type)の麻痺と予想される。後の時点で、疾患の進行には後肢の麻痺が含まれ、これは、R−EAE疾患の表現型の最初の発作であるエフェクター段階を構成する。20日までに、ほとんどのマウスは寛解期に入り、体重が再度増え、麻痺が和らぐ。PLP免疫化のおよそ3週間後に、マウスは2回目のEAEを発症し(再発)、マウスは、さらなる再発期と寛解期に悩まされ続けるであろう。
【0165】
感覚機能もまた、温度感覚試験を使用していくつかの実験において試験されるであろう。これには、加温するプラットフォーム上にマウスを置くことによって、四肢に感覚があるかどうかを決定することが含まれる。しかし、熱は、損傷の論点となるほど極端ではなく、予想される反応は、マウスが肢を持ち上げ、その肢を舐めるはずであるということである。
【0166】
併用療法の投与
シクロホスファミド(CPA)は、リン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)(20mg/ml)中での腹腔内注射によって、100mg/kg〜300mg/kgの用量で投与されるであろう。CPAは、R−EAEのエフェクター段階の前後の特別なタイミングで、個々の実験動物に一回投与されるであろう。
【0167】
酢酸グラチラマーは、特定の割合のアミノ酸L−アラニン、L−リジン、L−グルタミン酸、およびL−チロシンからなり、EAEの誘導に関与する主要なミエリン自己抗原のうちの1つを模倣するように設計された。11日目(+/−2、EAEの進行によって決定される)に、酢酸グラチラマーが、連続して5日まで、PBS/マンニトール中で50〜500マイクログラム/マウスの用量で皮下投与されるであろう。
【0168】
静脈内注射のために、マウスは、太陽灯(heat lamp)(ケージの床からおよそ18〜25インチ)を備えたケージの中で、血管を拡張させるために3〜5分間暖められる。その後、彼らは、28〜30ゲージ針で外側尾静脈に投与される静脈内注射のために、コーン型またはBroome型拘束デバイス(VWRカタログ番号10718−030)の中に個別に拘束される。動物が苦痛を感じているように見える場合には、浅いイソフルラン麻酔が使用されるであろう。
【0169】
餌は、傷を負った動物が簡単に餌に到達できるよう手助けするために、ケージの床に置かれるであろう。自動給水システムは、水差しよりもケージの床に近い。しかし、傷を負った動物に、給水スイッチを操作するだけの力がないと見られる場合には、水差し(および毎日の計量時には、個々の動物にできる限り直接水を与える)および/または「ヒドロゲル」を、ケージの中の動物が利用できるようにするであろう。
【0170】
予想される結果
1.再発−寛解型のEAE(RR−EAE)は、PLP 139−151(S)で能動免疫されたかまたはPLP 139−151(S)特異的T細胞の養子免疫伝達(adoptive transfer)後に、SJL/Jマウスの中で誘導されるであろう。
【0171】
2.200mg/kgのCPAでのRR−EAEの処置によっては、動物の95%においてEAE活性の停止が生じるであろう。
【0172】
3.本発明者らは、CPA処置後には、RR−EAEの30%の自然な再発率を予想し、PLP再免疫によって再発が誘導された場合には、70%の再発率があると予想する。
【0173】
4.CPA処置後30日で開始する、CPAで処置したRR−EAE動物の酢酸グラチラマー(2mg/マウス/日まで)での処置は、CPAによるEAEの活性の停止率(95%)に有害な影響はないであろう。
【0174】
5.CPA処置後30日で開始する、CPAで処置したRR−EAEの酢酸グラチラマー(2mg/マウス/日まで)での処置は、自然な再発率と誘導される再発率をそれぞれ、2%および10%下げるであろう。
(実施例2)
HiCyとATG(HiCAT)での処置についてのマウスモデル
この実験の目的は、再発/寛解型の多発性硬化症(RRMS)のモデルとしてのSJL/Jマウスにおいて、T細胞枯渇療法(T−cell depleting therapies)と組み合わせた免疫消失量のシクロホスファミド(CPA)を用いて、慢性再発性実験的自己免疫性脳脊髄炎(R−EAE)を改善することである。
【0175】
EAEは、MSについての十分に確立された非霊長類動物モデルである。R−EAEは、修飾されたミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)の139〜151位のペプチド(HSLGKWLGHPDKF)でのマウス感受性株(susceptible mouse strain)(SJL/J)の免疫化によって誘導される。R−EAEは、発症するまでにおよそ2〜3週間を要する。実験結果における遺伝的影響は、以前に示された齧歯類の近交系株を使用することにより、最小限に保つことができる。これにより、本発明者らは、得られた実験結果が、所望される処置グループを含めたことが原因であること、および個体間で観察された差の原因が疾患および/または環境による影響であることを明らかにすることができるであろう。
【0176】
処置グループは、10匹のマウスからなるであろう。本発明者らは、異なる薬物(プロトコールで概説した)、およびこれらの薬物の組み合わせ(および媒体対照)、薬物投与量のバリエーション、ならびに、薬物の投与のタイミングのバリエーションを含むであろう、3〜5の処置グループからなる実験を見込んでいる。
【0177】
R−EAEの誘導と分析
6〜12週齢の雌のSJL/Jマウスに、Mycobacterium tuberculisis H37 Ra(CFA)を含むFreund’s Incomplete Adjuvantの中に乳化させた、100マイクログラムの修飾されたミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)の139〜151位のペプチド(HSLGKWLGHPDKF)を含む100マイクロリットルの注射が1回皮下投与されるであろう。CFAは、熱によって死滅させられたMycobacterium tuberculosisと混合されたFreund’s Incomplete Adjuvantからなる油性混合物である。これは、このマウス株においてこの疾患を引き起こすことが公知である唯一のアジュバントである。これらの注射は、麻酔せずに行われるであろう。皮下アジュバント注射のために、動物は、その首筋の弛緩性皮膚でつかまれ、大腿部領域に25ゲージ針で注射される。
【0178】
マウスの体重が量られ、臨床的症候について2ヶ月間観察されるであろう。EAEの臨床的症候は以下の目盛にしたがって評価されるであろう:0=臨床疾患なし;1=尾の弾力性が失われている;2=軽度の後肢感覚障害(paresis);3=中度の後肢の麻痺;4=完全な対麻痺;および5=四肢麻痺、瀕死状態、または死亡。以下を含むさらなる行動的治療成績をモニターすることができる:歩きながら尾を持ち上げる動物の能力、または触れた際に、4本の肢全てを動かして、ケージの蓋の段に沿って協調して歩く能力、および全体的な活動レベルと探索の傾向。
【0179】
SJL/Jマウス株においては、EAEは、10日目までに、症候に先立って明らかな体重の減少と尾の軽度の感覚障害が存在する場合には、段階型の麻痺と予想される。後の時点で、疾患の進行には後肢の麻痺が含まれ、これは、R−EAE疾患の表現型の最初の発作であるエフェクター段階を構成する。20日までに、ほとんどのマウスは寛解期に入り、体重が再度増え、麻痺が和らぐ。PLP免疫化のおよそ3週間後に、マウスは2回目のEAEを発症し(再発)、マウスは、さらなる再発期と寛解期に悩まされ続けるであろう。
【0180】
感覚機能もまた、温度感覚試験を使用していくつかの実験において試験されるであろう。これには、加温するプラットフォーム上にマウスを置くことによって、四肢に感覚があるかどうかを決定することが含まれる。しかし、熱は、損傷の論点となるほど極端ではなく、予想される反応は、マウスが肢を持ち上げ、その肢を舐めるはずであるということである。
【0181】
併用療法の投与
CPAは、リン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)(20mg/ml)中で、200mg/kgの用量で静脈内投与されるであろう。CPAは、R−EAEのエフェクター段階の前後の特別なタイミングで、個々の実験動物に一回投与されるであろう。全Tリンパ球に対して惹起させられた抗胸腺細胞抗体が、動物1匹あたり12.5マイクログラムから25マイクログラムまでの範囲の用量のCPAと同時に静脈内投与されるであろう。
【0182】
予想される結果
1.再発−寛解型のEAE(RR−EAE)は、PLP 139−151(S)で能動免疫されたかまたはPLP 139−151(S)特異的T細胞の養子免疫伝達後に、SJL/Jマウスの中で誘導されるであろう。
【0183】
2.200mg/kgのCPAと抗胸腺細胞抗体でのRR−EAEの処置によっては、動物の95%においてEAE活性の停止が生じるであろう。
【0184】
3.時間とともに、動物のうちの10%未満が、免疫系に媒介されるCNSの炎症および損傷の再燃を示すであろう。
(実施例3)
多発性硬化症と診断されたヒトでのHiGaの臨床試験
主目的
高用量のシクロホスファミドでの処置(4日間連続して、毎日50mg/kg IV)または高用量のシクロホスファミドと2倍量の酢酸グラチラマー(40mg)での処置が、低用量のシクロホスファミド(1000mg/m)と2倍量の酢酸グラチラマーと比較して、12ヶ月のEDSSの低下によって定義されるMSの臨床寛解を停止させるか、または後進させるかどうかを決定すること。
【0185】
第2の目的
高用量のシクロホスファミドでの処置、または高用量のシクロホスファミドと2倍量(40mg)の酢酸グラチラマーでの処置が、12ヶ月での低用量のシクロホスファミドと2倍量の酢酸グラチラマーと比較して、MRIによる新しい強調病変がないことと、新しい再発(少なくとも48時間持続する、検査によって確認された新しい神経学的症候の出現として定義される)がないことによって定義される、MS疾患活性の寛解持続(≧3ヶ月)を生じるかどうかを決定すること。
【0186】
高用量のシクロホスファミドだけと比較した、24ヶ月での、少なくとも48時間持続する、24ヶ月の研究の間の検査によって確認された新しい神経学的症候の出現、あるいは、24ヶ月でのMRI上の新しい強調病変によって定義される、無再発生存率における、MS疾患活性の寛解持続期間に対する高用量のシクロホスファミドと2倍量の酢酸グラチラマーの優位性を明らかにすること。
【0187】
24ヶ月まで処置されたRRMSを有している個体における、高用量のシクロホスファミドと2倍量の酢酸グラチラマーの安全性と耐用性を評価すること。
【0188】
研究計画
本発明者らは、悪性の再発寛解型MS(RRMS)を有しているおよそ222人の個体において、12ヶ月間の無作為化多施設評価者盲験(事前および事後)(12−month,randomized,multi−center,rater−blinded(pre and post)trial)と、その後の12ヶ月間の延長期間を提案する。およそ222人の個体は、以下の3つの治療群のうちの1つに無作為に分けられるであろう(それぞれの治療群に74人):
a.低用量のシクロホスファミドと2倍量の酢酸グラチラマー。
【0189】
b.高用量のシクロホスファミド;および
c.高用量のシクロホスファミドと2倍量の酢酸グラチラマー。
【0190】
試験対象患者基準:
以下の基準を全て満たしている個体(男性および女性)を、臨床試験に参加させることができる:
a.18歳から50歳の間の年齢;
b.McDonald Criteriaにしたがう臨床的に明白な再発−寛解型MSの診断;
c.スクリーニング時に、脳および/または脊髄のMRI上にある2つ以上の全体ガドリニウム増強病変(total gadolinium enhancing lesions);
d.最近1年間の少なくとも1回の臨床的再発;
e.1.5から6.5まで(1.5と6.5を含む)の範囲のEDSS;EDSS≧5.5を有している個体は、≦3ヶ月、身体障害が持続しているはずである;
f.前年に、1.5から5.5のEDSS(従来どおりの評価が可能(historical estimate allowed))については、>1.0の増大が、または5.5から6.5のEDSSについては、>0.5の増大が持続する(≧3ヶ月);
g.個体の日常治療の一部とは考えられない、スクリーニング試験と評価を含むこのプロトコールのもとでのあらゆる研究の前の、書面によるインフォームドコンセント;および
h.女性については、研究への登録前の妊娠試験陰性。
【0191】
除外基準
以下の個体は、臨床試験から除外されるであろう:
a.妊娠のリスクがある全ての個体;
b.<45%の心駆出率を示している全ての個体;
c.>2.0の血清クレアチニンレベルを示している全ての個体;
d.臨終前または瀕死状態である全ての個体;
e.>2.0のビリルビンレベルおよび/または正常の>2倍のトランスアミナーゼレベルを示している全ての個体;
f.一連のMRIを撮ることができないペースメーカーおよびインプラントを装着している全ての個体;
g.感染が消滅するまでの活動性感染症を有している全ての個体;あるいは
h.<3000細胞/μlのWBC数;<100,000細胞/μlの血小板;および<10g/dlの輸血されていないヘモグロビンを有している全ての個体。
【0192】
研究からの個体の除外
個体は、何らかの理由のために、任意の時点で研究が取りやめられる場合がある。いずれかの治験責任医師が、以下の理由のいずれかのために個体を中止させる場合がある:
a.個体が、病院での高用量のシクロホスファミド処置の間に治療を中断する必要がある医学的な緊急事態に陥る;
b.個体が、高用量のシクロホスファミドにおそらく関係があると判断される重篤な有害事象に罹患する、および/または入院中に高用量のシクロホスファミドの中断が当然である重篤な状態になる場合;ならびに
c.治験責任医師の裁量での、何らかの医学的理由。
【0193】
高用量のシクロホスファミドの投与
高用量のシクロホスファミド処置は、腫瘍学の医師とスタッフの管理下で行われるであろう。
【0194】
個体には、−3日目から0日目に高用量のシクロホスファミドが静脈内投与されるであろう。高用量のシクロホスファミドの用量は、理想体重にしたがって計算されるであろう。理想体重は、骨髄移植プログラム(Bone Transplant program)で使用される現行の方針(current policy)にしたがって決定されるであろう。個体の実際の体重が理想に満たない場合には、実際の体重が、シクロホスファミドの用量を計算するために使用されるであろう。個体は、1回だけ治療を受けるように計画される。
【0195】
適正な利尿が、出血性膀胱炎を防ぐために、高用量のシクロホスファミドの投与の前後に維持されなければならない。シクロホスファミドに誘導される出血性膀胱炎の予防(一般的には、MESNAまたは強制利尿のいずれか)は、SCTプログラムによって使用される確立されている標準的治療法ガイドラインにしたがって行われるであろう。
【0196】
6日目に(高用量のシクロホスファミドの終了の6日後)、個体には、絶対好中球数が2日間連続して1.0×10/リットルを超えるまで、顆粒球コロニー刺激因子(5μg/kg/d)が投与されるであろう。個体にはまた、正常な好中球数に戻るまで、定期的に抗生物質(ノルフロキサシン、フルコナゾール、およびバラシクロビル)も投与される。
【0197】
低用量のシクロホスファミドの投与
低用量のシクロホスファミドは、100ccのNSS中で2時間かけて、1000mg/m IVで投与されるであろう。プレハイドレーション(Prehydration)は4時間にわたる2LのNSSからなり、そしてポストハイドレーション(post−hydration)は、4時間にわたる2LのNSSからなるであろう。用量は、上記のように理想体重にしたがって計算されるであろう。
【0198】
酢酸グラチラマーの投与
2倍量の酢酸グラチラマーが、高用量のシクロホスファミドの最後の投与(0日目)または単回の低用量のシクロホスファミドの注射後30日で開始されて、毎日皮下投与されるであろう。
【0199】
処置後の退院
個体は、臨床的に必要であれば、最短で4日間入院させられるであろう。その後、彼らは、標準的な治療法にしたがって好中球数が回復するまで(通常は、高用量のシクロホスファミドの最後の投与後2〜3週間)、個人ケア用施設(outindividual care facility)に入れられるであろう。
【0200】
MRIによる評価
MRIによる評価は、処置後、−3ヶ月、0ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月、および24ヶ月で行われる。これらによって、処置後の疾患の進行の経過を理解できるであろう。ガドリニウム増強病変の平均数が、疾患活性の変化を評価するためにモニターされるであろう。追跡調査(15ヶ月と18ヶ月のガドリニウム増強病変の平均数)のために、ベースライン(−3ヶ月と0ヶ月のガドリニウム増強病変の平均数)からの変化が評価されるであろう。さらに、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、および12ヶ月での一連のMRIにより、2年間にわたる疾患活性の変化を理解でき、一方では、高用量のシクロホスファミドの安全性もモニターできるであろう。他のパラメーター−T2による病変体積と脳実質機能(brain parenchymal fraction)もまた、身体障害の発生と関係がある疾患活性の測定値であり、そして変化が研究期間を通じて評価されるであろう。スキャンは、echo speedまたはtwin speedの勾配を用いて、1.5 Tesla General Electricスキャナ(Milwaukee WI)上で行われるであろう。
【0201】
疾患の進行についてのMRI基準:
a.ガドリニウム増強病変の数;
b.T2による病変体積;および
c.脳実質機能。
【0202】
MRIスキャンの分析:
a.コントラスト増強病変(Contrast−enhancing lesion)は、冠状断像で確認される軸方向の3mmの連続切片からカウントされるであろう。病変が1つのシーケンス上に見られ、他のシーケンスには見られない場合は、長いTRパルスシーケンスの上にもまた見られる場合に、強調プラークとしてカウントされるであろう。全体的な疾患負荷は、頚延髄接合部から頭頂までのスキャンから、強調プラークの数に基づいて決定されるであろう。
【0203】
b.多発性硬化症プラークの体積は、これらが、正常な白質と灰白質に対して、MSプラークと基部の脳脊髄液(CSF)との間のノイズに対して最大のコントラストを提供するので、FLAIRスキャンの分析から決定されるであろう。しかし、FLAIRスキャン上に暗いシグナルを有するであろう嚢胞性MSプラークの場合には、本発明者らは、プロトン密度T2強調パルスシーケンス(proton density−T2−weighted pulse sequences)を、これらの病変を同定し、これらのさらなるMSプラークでFLAIR体積の評価を補うために利用するであろう。閾値化と3D体積の分析は、コンピューターを利用する容積測定を使用して行われるであろう。
【0204】
c.脳実質全体の体積は、頭蓋骨とそれを被っている柔組織を除くための標準的なストリッピングアルゴリズム(stripping algorithm)を使用して行われるであろう。閾値化と手作業での補正を使用して、その後、CSFが取り除かれて、脳実質の体積の分析が可能となるであろう。
【0205】
d.2人の放射線医師が、別々にMRIスキャンを読むであろう。解釈に10%を超える食い違いがある場合は、第3の放射線医師にMRIスキャンを解釈するように求めるであろう。報告される解釈は、(T2プラークの体積と脳実質機能についての)3人の読み取りの平均であるか、または、(強調病変の数についての)一致した2人の解釈を反映するであろう。データは、CRF上に記録され、データベースに入力されるであろう。
【0206】
神経学的/臨床的評価
神経学的検査もまた、ベースラインと、研究期間(24ヶ月)を通じて高用量のシクロホスファミド処置の後に3ヵ月おきに行われるであろう。疾患の経過を決定するために使用される臨床的測定は、Multiple Sclerosis Functional Composite(MSFC)とExpanded Disability Status Scale(EDSS)である。研究看護士(research nurse)/コーディネーターはMSFCを実施するために訓練され、研究神経科医(study neurologist)は、EDSSスコアを得るために個体を検査するであろう。
【0207】
EDSSは、8つの機能システム(視覚、脳幹、感覚、小脳、括約筋、脳など)の神経学的検査に基づいて、0(正常)から10(MSが原因である死)までの範囲である。
【0208】
MSFCは、歩き方、上肢の機敏さ、および認識力を試験するために設計された。これらの3種類のサブテストは以下である:(a)25フィートの歩行時間(25TW);(b)9ホールペグ試験(9−HPT);および(c)Paced Auditory Serial Addition Test(PASAT−3)。PASAT試験には、個体に、オーディオテープに吹き込まれた連続する数を足し算させ、正確な和を口頭で答えさせることが必要である。数がそれぞれ示されると、個体は、その数を、個体のそれまでの答えではなく、その前に示された数とその数とを足し算しなければならない。
(実施例4)
多発性硬化症と診断されたヒトでのHiCATの臨床試験
主目的
高用量のシクロホスファミド(4日間連続して、毎日50mg/kg IV)と抗胸腺細胞グロブリン(2.5μg/kg/日)での処置が、高用量のシクロホスファミドだけと比較して、12ヶ月のEDSSの低下によって定義されるMSの臨床寛解を停止させるか、または後進させるかどうかを決定すること。
【0209】
第2の目的
高用量のシクロホスファミドと抗胸腺細胞グロブリンでの処置が、12ヶ月での高用量のシクロホスファミドと比較して、MRIによる新しい強調病変がないことと、新しい再発(少なくとも48時間持続する、検査によって確認された新しい神経学的症候の出現として定義される)がないことによって定義される、MS疾患活性の寛解持続(≧3ヶ月)を生じるかどうかを決定すること。
【0210】
高用量のシクロホスファミドだけと比較した、24ヶ月での、少なくとも48時間持続する、24ヶ月の研究の間の検査によって確認された新しい神経学的症候の出現、あるいは、24ヶ月でのMRI上の新しい強調病変によって定義される、無再発生存率における、MS疾患活性の寛解持続期間に対する高用量のシクロホスファミドと抗胸腺細胞グロブリンの優位性を明らかにすること。
【0211】
24ヶ月まで処置されたRRMSを有している個体における、高用量のシクロホスファミドと抗胸腺細胞グロブリンの安全性と耐用性を評価すること。
【0212】
研究計画
本発明者らは、悪性の再発寛解型MS(RRMS)を有しているおよそ222人の個体において、12ヶ月間の無作為化多施設評価者盲験(事前および事後)と、その後の12ヶ月間の延長期間を提案する。およそ222人の個体は、以下の2つの治療群のうちの1つに無作為に分けられるであろう(それぞれの治療群に111人):
a.高用量のシクロホスファミド;および
b.高用量のシクロホスファミドと抗胸腺細胞グロブリン。
【0213】
試験対象患者基準:
以下の基準を全て満たしている個体(男性および女性)を、臨床試験に参加させることができる:
a.18歳から50歳の間の年齢;
b.McDonald Criteriaにしたがう臨床的に明白な再発−寛解型MSの診断;
c.スクリーニング時に、脳および/または脊髄のMRI上にある2つ以上の全体ガドリニウム増強病変;
d.最近1年間の少なくとも1回の臨床的再発;
e.1.5から6.5まで(1.5と6.5を含む)の範囲のEDSS;EDSS≧5.5を有している個体は、≦3ヶ月、身体障害が持続しているはずである;
f.前年に、1.5から5.5のEDSS(従来どおりの評価が可能)については、>1.0の増大が、または5.5から6.5のEDSSについては、>0.5の増大が持続する(≧3ヶ月);
g.個体の日常治療の一部とは考えられない、スクリーニング試験と評価を含むこのプロトコールのもとでのあらゆる研究の前の、書面によるインフォームドコンセント;および
h.女性については、研究への登録前の妊娠試験陰性。
【0214】
除外基準
以下の個体は、臨床試験から除外されるであろう:
a.妊娠のリスクがある全ての個体;
b.<45%の心駆出率を示している全ての個体;
c.>2.0の血清クレアチニンレベルを示している全ての個体;
d.臨終前または瀕死状態である全ての個体;
e.>2.0のビリルビンレベルおよび/または正常の>2倍のトランスアミナーゼレベルを示している全ての個体;
f.一連のMRIを撮ることができないペースメーカーおよびインプラントを装着している全ての個体;
g.感染が消滅するまでの活動性感染症を有している全ての個体;あるいは
h.<3000細胞/μlのWBC数;<100,000細胞/μlの血小板;および<10g/dlの輸血されていないヘモグロビンを有している全ての個体。
【0215】
研究からの個体の除外
個体は、何らかの理由のために、任意の時点で研究が取りやめられる場合がある。いずれかの治験責任医師が、以下の理由のいずれかのために個体を中止させる場合がある:
a.個体が、病院での高用量のシクロホスファミド処置の間に治療を中断する必要がある医学的な緊急事態に陥る;
b.個体が、高用量のシクロホスファミドにおそらく関係があると判断される重篤な有害事象に罹患する、および/または入院中に高用量のシクロホスファミドの中断が当然である重篤な状態になる場合;ならびに
c.治験責任医師の裁量での、何らかの医学的理由。
【0216】
高用量のシクロホスファミドの投与
高用量のシクロホスファミド処置は、腫瘍学の医師とスタッフの管理下で行われるであろう。
【0217】
個体には、−3日目から0日目に高用量のシクロホスファミド(50mg/kg/日)が静脈内投与されるであろう。高用量のシクロホスファミドの用量は、理想体重にしたがって計算されるであろう。理想体重は、骨髄移植プログラム(Bone Transplant program)で使用される現行の方針(current policy)にしたがって決定されるであろう。個体の実際の体重が理想に満たない場合には、実際の体重が、シクロホスファミドの用量を計算するために使用されるであろう。個体は、1回だけ治療を受けるように計画される。
【0218】
適正な利尿が、出血性膀胱炎を防ぐために、高用量のシクロホスファミドの投与の前後に維持されなければならない。シクロホスファミドに誘導される出血性膀胱炎の予防(一般的には、MESNAまたは強制利尿のいずれか)は、SCTプログラムによって使用される確立されている標準的治療法ガイドラインにしたがって行われるであろう。
【0219】
6日目に(高用量のシクロホスファミドの終了の6日後)、個体には、絶対好中球数が2日間連続して1.0×10/リットルを超えるまで、顆粒球コロニー刺激因子(5μg/kg/d)が投与されるであろう。個体にはまた、正常な好中球数に戻るまで、頻繁に抗生物質(ノルフロキサシン、フルコナゾール、およびバラシクロビル)も投与される。
【0220】
抗胸腺細胞グロブリンの投与
抗胸腺細胞グロブリンは、高用量のシクロホスファミドまたは単回の低用量のシクロホスファミドの注射と同時にIVによって毎日投与されるであろう。
【0221】
処置後の退院
個体は、臨床的に必要であれば、最短で4日間入院させられるであろう。その後、彼らは、標準的な治療法にしたがって好中球数が回復するまで(通常は、高用量のシクロホスファミドの最後の投与後2〜3週間)、個人ケア用施設に入れられるであろう。
【0222】
MRIによる評価
MRIによる評価は、処置後、−3ヶ月、0ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月、および24ヶ月で行われる。これらによって、処置後の疾患の進行の経過を理解できるであろう。ガドリニウム増強病変の平均数が、疾患活性の変化を評価するためにモニターされるであろう。追跡調査(15ヶ月と18ヶ月のガドリニウム増強病変の平均数)のために、ベースライン(−3ヶ月と0ヶ月のガドリニウム増強病変の平均数)からの変化が評価されるであろう。さらに、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、および12ヶ月での一連のMRIにより、2年間にわたる疾患活性の変化を理解でき、一方では、高用量のシクロホスファミドの安全性もモニターできるであろう。他のパラメーター−T2による病変体積と脳実質機能もまた、身体障害の発生と関係がある疾患活性の測定値であり、そして変化が研究期間を通じて評価されるであろう。スキャンは、echo speedまたはtwin speedの勾配を用いて、1.5 Tesla General Electricスキャナ(Milwaukee WI)上で行われるであろう。
【0223】
疾患の進行についてのMRI基準:
a.ガドリニウム増強病変の数;
b.T2による病変体積;および
c.脳実質機能。
【0224】
MRIスキャンの分析:
a.コントラスト強調病変は、冠状断像で確認される軸方向の3mmの連続切片からカウントされるであろう。病変が1つのシーケンス上に見られ、他のシーケンスには見られない場合は、長いTRパルスシーケンスの上にもまた見られる場合に、強調プラークとしてカウントされるであろう。全体的な疾患負荷は、頚延髄接合部から頭頂までのスキャンから、強調プラークの数に基づいて決定されるであろう。
【0225】
b.多発性硬化症プラークの体積は、これらが、正常な白質と灰白質に対して、MSプラークと基部の脳脊髄液(CSF)との間のノイズに対して最大のコントラストを提供するので、FLAIRスキャンの分析から決定されるであろう。しかし、FLAIRスキャン上に暗いシグナルを有するであろう嚢胞性MSプラークの場合には、本発明者らは、プロトン密度T2強調パルスシーケンスを、これらの病変を同定し、これらのさらなるMSプラークでFLAIR体積の評価を補うために利用するであろう。閾値化と3D体積の分析は、コンピューターを利用する容積測定を使用して行われるであろう。
【0226】
c.脳実質全体の体積は、頭蓋骨とそれを被っている柔組織を除くための標準的なストリッピングアルゴリズムを使用して行われるであろう。閾値化と手作業での補正を使用して、その後、CSFが取り除かれて、脳実質の体積の分析が可能となるであろう。
【0227】
d.2人の放射線医師が、別々にMRIスキャンを読むであろう。解釈に10%を超える食い違いがある場合は、第3の放射線医師にMRIスキャンを解釈するように求めるであろう。報告される解釈は、(T2プラークの体積と脳実質機能についての)3人の読み取りの平均であるか、または、(強調病変の数についての)一致した2人の解釈を反映するであろう。データは、CRF上に記録され、データベースに入力されるであろう。
【0228】
神経学的/臨床的評価
神経学的検査もまた、ベースラインと、研究期間(24ヶ月)を通じて高用量のシクロホスファミド処置の後に3ヵ月おきに行われるであろう。疾患の経過を決定するために使用される臨床的測定は、Multiple Sclerosis Functional Composite(MSFC)とExpanded Disability Status Scale(EDSS)である。研究看護士/コーディネーターはMSFCを実施するために訓練され、研究神経科医は、EDSSスコアを得るために個体を検査するであろう。
【0229】
EDSSは、8つの機能システム(視覚、脳幹、感覚、小脳、括約筋、脳など)の神経学的検査に基づいて、0(正常)から10(MSが原因である死)までの範囲である。
【0230】
MSFCは、歩き方、上肢の機敏さ、および認識力を試験するために設計された。これらの3種類のサブテストは以下である:(a)25フィートの歩行時間(25TW);(b)9ホールペグ試験(9−HPT);および(c)Paced Auditory Serial Addition Test(PASAT−3)。PASAT試験には、個体に、オーディオテープに吹き込まれた連続する数を足し算させ、正確な和を口頭で答えさせることが必要である。数がそれぞれ示されると、個体は、その数を、個体のそれまでの答えではなく、その前に示された数とその数とを足し算しなければならない。
(実施例5)
多発性硬化症と診断されたヒトでのHiCATと酢酸グラチラマーの臨床試験
主目的
高用量のシクロホスファミド(4日間連続して、毎日50mg/kg IV)、抗胸腺細胞グロブリン(2.5μg/kg/日)、および2倍量の酢酸グラチラマー(40mg)での処置が、高用量のシクロホスファミドだけと比較して、12ヶ月のEDSSの低下によって定義されるMSの臨床寛解を停止させるか、または後進させるかどうかを決定すること。
【0231】
第2の目的
高用量のシクロホスファミド、抗胸腺細胞グロブリン、および2倍量の酢酸グラチラマーでの処置が、12ヶ月での高用量のシクロホスファミドと比較して、MRIによる新しい強調病変がないことと、新しい再発(少なくとも48時間持続する、検査によって確認された新しい神経学的症候の出現として定義される)がないことによって定義される、MS疾患活性の寛解持続(≧3ヶ月)を生じるかどうかを決定すること。
【0232】
高用量のシクロホスファミドだけと比較した、24ヶ月での、少なくとも48時間持続する、24ヶ月の研究の間の検査によって確認された新しい神経学的症候の出現、あるいは、24ヶ月でのMRI上の新しい強調病変によって定義される、無再発生存率における、MS疾患活性の寛解持続期間に対する高用量のシクロホスファミド、抗胸腺細胞グロブリン、および酢酸グラチラマーの優位性を明らかにすること。
【0233】
24ヶ月まで処置されたRRMSを有している個体における、高用量のシクロホスファミド、抗胸腺細胞グロブリン、および酢酸グラチラマーの安全性と耐用性を評価すること。
【0234】
研究計画
本発明者らは、悪性の再発寛解型MS(RRMS)を有しているおよそ222人の個体において、12ヶ月間の無作為化多施設評価者盲験(事前および事後)と、その後の12ヶ月間の延長期間を提案する。およそ222人の個体は、以下の2つの治療群のうちの1つに無作為に分けられるであろう(それぞれの治療群に111人):
a.高用量のシクロホスファミド;および
b.高用量のシクロホスファミド、抗胸腺細胞グロブリンと酢酸グラチラマー。
【0235】
試験対象患者基準:
以下の基準を全て満たしている個体(男性および女性)を、臨床試験に参加させることができる:
a.18歳から50歳の間の年齢;
b.McDonald Criteriaにしたがう臨床的に明白な再発−寛解型MSの診断;
c.スクリーニング時に、脳および/または脊髄のMRI上にある2つ以上の全体ガドリニウム増強病変;
d.最近1年間の少なくとも1回の臨床的再発;
e.1.5から6.5まで(1.5と6.5を含む)の範囲のEDSS;EDSS≧5.5を有している個体は、≦3ヶ月、身体障害が持続しているはずである;
f.前年に、1.5から5.5のEDSS(従来どおりの評価が可能)については、>1.0の増大が、または5.5から6.5のEDSSについては、>0.5の増大が持続する(≧3ヶ月);
g.個体の日常治療の一部とは考えられない、スクリーニング試験と評価を含むこのプロトコールのもとでのあらゆる研究の前の、書面によるインフォームドコンセント;および
h.女性については、研究への登録前の妊娠試験陰性。
【0236】
除外基準
以下の個体は、臨床試験から除外されるであろう:
a.妊娠のリスクがある全ての個体;
b.<45%の心駆出率を示している全ての個体;
c.>2.0の血清クレアチニンレベルを示している全ての個体;
d.臨終前または瀕死状態である全ての個体;
e.>2.0のビリルビンレベルおよび/または正常の>2倍のトランスアミナーゼレベルを示している全ての個体;
f.一連のMRIを撮ることができないペースメーカーおよびインプラントを装着している全ての個体;
g.感染が消滅するまでの活動性感染症を有している全ての個体;あるいは
h.<3000細胞/μlのWBC数;<100,000細胞/μlの血小板;および<10g/dlの輸血されていないヘモグロビンを有している全ての個体。
【0237】
研究からの個体の除外
個体は、何らかの理由のために、任意の時点で研究が取りやめられる場合がある。いずれかの治験責任医師が、以下の理由のいずれかのために個体を中止させる場合がある:
a.個体が、病院での高用量のシクロホスファミド処置の間に治療を中断する必要がある医学的な緊急事態に陥る;
b.個体が、高用量のシクロホスファミドにおそらく関係があると判断される重篤な有害事象に罹患する、および/または入院中に高用量のシクロホスファミドの中断が当然である重篤な状態になる場合;ならびに
c.治験責任医師の裁量での、何らかの医学的理由。
【0238】
高用量のシクロホスファミドの投与
高用量のシクロホスファミド処置は、腫瘍学の医師とスタッフの管理下で行われるであろう。
【0239】
個体には、−3日目から0日目に高用量のシクロホスファミド(50mg/kg/日)が静脈内投与されるであろう。高用量のシクロホスファミドの用量は、理想体重にしたがって計算されるであろう。理想体重は、骨髄移植プログラム(Bone Transplant program)で使用される現行の方針(current policy)にしたがって決定されるであろう。個体の実際の体重が理想に満たない場合には、実際の体重が、シクロホスファミドの用量を計算するために使用されるであろう。個体は、1回だけ治療を受けるように計画される。
【0240】
適正な利尿が、出血性膀胱炎を防ぐために、高用量のシクロホスファミドの投与の前後に維持されなければならない。シクロホスファミドに誘導される出血性膀胱炎の予防(一般的には、MESNAまたは強制利尿のいずれか)は、SCTプログラムによって使用される確立されている標準的治療法ガイドラインにしたがって行われるであろう。
【0241】
6日目に(高用量のシクロホスファミドの終了の6日後)、個体には、絶対好中球数が2日間連続して1.0×10/リットルを超えるまで、顆粒球コロニー刺激因子(5μg/kg/d)が投与されるであろう。個体にはまた、正常な好中球数に戻るまで、定期的に抗生物質(ノルフロキサシン、フルコナゾール、およびバラシクロビル)も投与される。
【0242】
抗胸腺細胞グロブリンの投与
抗胸腺細胞グロブリンは、高用量のシクロホスファミドまたは単回の低用量のシクロホスファミドの注射と同時にIVによって毎日投与されるであろう。
【0243】
酢酸グラチラマーの投与
2倍量の酢酸グラチラマーが、高用量のシクロホスファミドの最後の投与(0日目)または単回の低用量のシクロホスファミドの注射後30日で開始されて、毎日皮下投与されるであろう。
【0244】
処置後の退院
個体は、臨床的に必要であれば、最短で4日間入院させられるであろう。その後、彼らは、標準的な治療法にしたがって好中球数が回復するまで(通常は、高用量のシクロホスファミドの最後の投与後2〜3週間)、個人ケア用施設に入れられるであろう。
【0245】
MRIによる評価
MRIによる評価は、処置後、−3ヶ月、0ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月、および24ヶ月で行われる。これらによって、処置後の疾患の進行の経過を理解できるであろう。ガドリニウム増強病変の平均数が、疾患活性の変化を評価するためにモニターされるであろう。追跡調査(15ヶ月と18ヶ月のガドリニウム増強病変の平均数)のために、ベースライン(−3ヶ月と0ヶ月のガドリニウム増強病変の平均数)からの変化が評価されるであろう。さらに、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、および12ヶ月での一連のMRIにより、2年間にわたる疾患活性の変化を理解でき、一方では、高用量のシクロホスファミドの安全性もモニターできるであろう。他のパラメーター−T2による病変体積と脳実質機能もまた、身体障害の発生と関係がある疾患活性の測定値であり、そして変化が研究期間を通じて評価されるであろう。スキャンは、echo speedまたはtwin speedの勾配を用いて、1.5 Tesla General Electricスキャナ(Milwaukee WI)上で行われるであろう。
【0246】
疾患の進行についてのMRI基準:
a.ガドリニウム増強病変の数;
b.T2による病変体積;および
c.脳実質機能。
【0247】
MRIスキャンの分析:
a.コントラスト強調病変は、冠状断像で確認される軸方向の3mmの連続切片からカウントされるであろう。病変が1つのシーケンス上に見られ、他のシーケンスには見られない場合は、長いTRパルスシーケンスの上にもまた見られる場合に、強調プラークとしてカウントされるであろう。全体的な疾患負荷は、頚延髄接合部から頭頂までのスキャンから、強調プラークの数に基づいて決定されるであろう。
【0248】
b.多発性硬化症プラークの体積は、これらが、正常な白質と灰白質に対して、MSプラークと基部の脳脊髄液(CSF)との間のノイズに対して最大のコントラストを提供するので、FLAIRスキャンの分析から決定されるであろう。しかし、FLAIRスキャン上に暗いシグナルを有するであろう嚢胞性MSプラークの場合には、本発明者らは、プロトン密度T2強調パルスシーケンスを、これらの病変を同定し、これらのさらなるMSプラークでFLAIR体積の評価を補うために利用するであろう。閾値化と3D体積の分析は、コンピューターを利用する容積測定を使用して行われるであろう。
【0249】
c.脳実質全体の体積は、頭蓋骨とそれを被っている柔組織を除くための標準的なストリッピングアルゴリズムを使用して行われるであろう。閾値化と手作業での補正を使用して、その後、CSFが取り除かれて、脳実質の体積の分析が可能となるであろう。
【0250】
d.2人の放射線医師が、別々にMRIスキャンを読むであろう。解釈に10%を超える食い違いがある場合は、第3の放射線医師にMRIスキャンを解釈するように求めるであろう。報告される解釈は、(T2プラークの体積と脳実質機能についての)3人の読み取りの平均であるか、または、(強調病変の数についての)一致した2人の解釈を反映するであろう。データは、CRF上に記録され、データベースに入力されるであろう。
【0251】
神経学的/臨床的評価
神経学的検査もまた、ベースラインと、研究期間(24ヶ月)を通じて高用量のシクロホスファミド処置の後に3ヵ月おきに行われるであろう。疾患の経過を決定するために使用される臨床的測定は、Multiple Sclerosis Functional Composite(MSFC)とExpanded Disability Status Scale(EDSS)である。研究看護士/コーディネーターはMSFCを実施するために訓練され、研究神経科医は、EDSSスコアを得るために個体を検査するであろう。
【0252】
EDSSは、8つの機能システム(視覚、脳幹、感覚、小脳、括約筋、脳など)の神経学的検査に基づいて、0(正常)から10(MSが原因である死)までの範囲である。
【0253】
MSFCは、歩き方、上肢の機敏さ、および認識力を試験するために設計された。これらの3種類のサブテストは以下である:(a)25フィートの歩行時間(25TW);(b)9ホールペグ試験(9−HPT);および(c)Paced Auditory Serial Addition Test(PASAT−3)。PASAT試験には、個体に、オーディオテープに吹き込まれた連続する数を足し算させ、正確な和を口頭で答えさせることが必要である。数がそれぞれ示されると、個体は、その数を、個体のそれまでの答えではなく、その前に示された数とその数とを足し算しなければならない。
【0254】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中に示され、記載されているが、そのような実施形態が単なる例として提供されることは当業者には明らかであろう。現在では、多数のバリエーション、変更、および置き換えを、本発明から逸脱することなく当業者が行うであろう。本明細書中に記載される本発明の実施形態についての様々な変更が本発明の実施において使用され得ることが理解されるはずである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法と構成、ならびにそれらの等価物もそれにカバーされることが意図される。
【0255】
本明細書中に記載される全ての文献は、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己免疫神経疾患を処置する方法であって、予め決定された閾値に満たないCD4+T細胞中でのアルデヒドデヒドロゲナーゼレベルを有している処置を必要とする個体に対して:
(a)約10mg/kg/日〜約70mg/kg/日のシクロホスファミド;
(b)約1μg/kg/日〜約10μg/kg/日の顆粒球コロニー刺激因子;および
(c)約10mg/日〜約80mg/日の酢酸グラチラマー
を投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記個体のCD4+T細胞中のアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記個体のCD4+T細胞中のアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルをモニタリングする工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも約50mg/kg/日のシクロホスファミドが前記個体に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも約5μg/kg/日の顆粒球コロニー刺激因子が前記個体に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも約40mg/日の酢酸グラチラマーが前記個体に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1の選抜、第2の選抜、およびシクロホスファミドの限定分布を含む方法を使用する、処置へのアクセスを制御する工程をさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第1の選抜には以下の工程が含まれる、請求項7に記載の方法:
(a)個体が処置基準に適合するかどうかを決定する工程;
(b)該個体が女性である場合は、妊娠について該個体を試験し、そして該個体に妊娠についてのカウンセリングを提供する工程;
(c)該個体のCD4+T細胞と関係があるアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程;および
(d)該個体を赤血球と血小板の供給と適合させる工程。
【請求項9】
前記第2の選抜に、女性である場合には、妊娠について、および/または有害事象について個体をモニタリングする工程が含まれる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記有害事象が毒性である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
個体が妊娠している、および/または有害事象がある場合には、該個体は処置から除外される、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
シクロホスファミドの限定分布に以下の工程が含まれる、請求項7に記載の方法:
(a)それぞれの個体に識別番号を割り当てる工程;
(b)識別番号をシクロホスファミドの容器と関連付ける工程;および
(c)その識別番号が容器と関連付けられた識別番号に対応する個体に対して、該シクロホスファミドの容器からシクロホスファミドを投与する工程。
【請求項13】
シクロホスファミドが少なくとも約4日間連続して投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
顆粒球コロニー刺激因子の投与が、シクロホスファミドの投与が完了した後、5日から7日以内に開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
顆粒球コロニー刺激因子が、前記個体の絶対好中球数が2日間連続して約1.0×10細胞/Lを超えるまで該個体に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
酢酸グラチラマーの投与が、シクロホスファミドの投与が完了した後、28日から35日以内に開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
酢酸グラチラマーの投与量が少なくとも約40mg/日である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
酢酸グラチラマーの投与が開始された後2.5ヶ月から4ヶ月以内に、酢酸グラチラマーの投与量が約20mg/日に減らされる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
自己免疫神経疾患が、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせである、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記自己免疫神経疾患が多発性硬化症である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記多発性硬化症が再発したものである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記多発性硬化症が寛解期にあるものである、請求項x20に記載の方法。
【請求項23】
シクロホスファミドが再構成された凍結乾燥されたシクロホスファミドから調製される、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
シクロホスファミドが静脈内投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
自己免疫神経疾患を処置する方法であって、予め決定された閾値に満たないCD4+T細胞中でのアルデヒドデヒドロゲナーゼレベルを有している処置を必要とする個体に対して:
(a)約10mg/kg/日〜約70mg/kg/日のシクロホスファミド;
(b)約5mg/kg/日までの抗胸腺細胞グロブリン;および
(c)約1μg/kg/日〜約10μg/kg/日の顆粒球コロニー刺激因子
を投与する工程を含む、方法。
【請求項26】
前記個体のCD4+T細胞中のアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記個体のCD4+T細胞中のアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルをモニタリングする工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも約50mg/kg/日のシクロホスファミドが前記個体に投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも約5μg/kg/日の顆粒球コロニー刺激因子が前記個体に投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも約2.5μg/kg/日の抗胸腺細胞グロブリンが前記個体に投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
第1の選抜、第2の選抜、およびシクロホスファミドの限定分布を含む方法を使用する、処置へのアクセスを制御する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の選抜に以下の工程が含まれる、請求項31に記載の方法:
(a)個体が処置基準に適合するかどうかを決定する工程;
(b)該個体が女性である場合は、妊娠について試験し、該個体に妊娠についてのカウンセリングを提供する工程;
(c)該個体のCD4+T細胞と関係があるアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程;および
(d)該個体を赤血球と血小板の供給と適合させる工程。
【請求項33】
前記第2の選抜に、女性である場合には、妊娠について、および/または有害事象について個体をモニタリングする工程が含まれる、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記有害事象が毒性である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記個体が妊娠している、および/または有害事象がある場合は、該個体が処置から除外される、請求項32〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
シクロホスファミドの限定分布に以下の工程が含まれる、請求項31に記載の方法:
(a)それぞれの個体に識別番号を割り当てる工程;
(b)識別番号をシクロホスファミドの容器と関連付ける工程;および
(c)その識別番号が容器と関連付けられた識別番号に対応する個体に対して、該シクロホスファミドの容器からシクロホスファミドを投与する工程。
【請求項37】
シクロホスファミドが少なくとも約4日間連続して投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項38】
抗胸腺細胞グロブリンが、シクロホスファミドの前、後、またはシクロホスファミドと同時に投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項39】
顆粒球コロニー刺激因子の投与が、シクロホスファミドの投与が完了した後5〜7日以内に開始される.請求項25に記載の方法。
【請求項40】
顆粒球コロニー刺激因子が、前記個体の絶対好中球数が2日間連続して約1.0×10細胞/Lを超えるまで該個体に投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項41】
シクロホスファミドが、再構成された凍結乾燥されたシクロホスファミドから調製される、請求項25〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
シクロホスファミドが静脈内投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項43】
自己免疫神経疾患が、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせである、請求項25〜42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記自己免疫神経疾患が多発性硬化症である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記多発性硬化症が再発したものである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記多発性硬化症が寛解期にあるものである、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
約5mg/kg/日までの抗胸腺細胞グロブリンを前記個体に投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
約10mg/日〜約80mg/日の酢酸グラチラマーを前記個体に投与する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項49】
シクロホスファミドでの処置について個体を選択する方法であって:個体由来の生物学的試料中のアルデヒドデヒドロゲナーゼレベルが予め決定された閾値を超えている場合には、処置について個体を選択する工程;または生物学的試料中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼレベルが予め決定された閾値に満たない場合には、別の処置を選択する工程を含む、方法。
【請求項50】
前記生物学的試料が、血液、および/または白血球である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記白血球がT細胞である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記T細胞がCD4+T細胞である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
アルデヒドデヒドロゲナーゼレベルが蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質アッセイによって決定される、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質がALDEFLUOR(登録商標)である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記アルデヒドデヒドロゲナーゼレベルがRNAレベルを測定することによって決定される、請求項49に記載の方法。
【請求項56】
前記アルデヒドデヒドロゲナーゼレベルが、生物学的試料をアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させることによって測定される、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
前記抗体が同位体標識されるか、放射標識されるか、蛍光色素分子で標識されるか、またはビオチニル化される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記選択された個体にシクロホスファミドが投与される、請求項49〜57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記個体が、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせから選択される自己免疫神経疾患を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項60】
前記自己免疫神経疾患が多発性硬化症である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
シクロホスファミドが投与されている個体をモニタリングする方法であって、少なくとも第1の生物学的試料と第2の生物学的試料中のアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルを決定する工程が含まれ、ここでは、第1の生物学的試料と第2の生物学的試料は、異なるタイミングで個体から採取される、方法。
【請求項62】
生物学的試料中で観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を超えている場合に、処置を中断する工程をさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
第1の生物学的試料、第2の生物学的試料、またはこれらの組み合わせにおいて観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルに基づいて処置を変更する工程をさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
第1の生物学的試料、第2の生物学的試料、またはこれらの組み合わせにおいて観察されたアルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが予め決定された閾値を超えている場合に、別の処置を選択する工程をさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記生物学的試料が、血液、および/または白血球である、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記白血球がT細胞である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記T細胞がCD4+T細胞である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが、蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質アッセイによって決定される、請求項61に記載の方法。
【請求項69】
前記蛍光アルデヒドデヒドロゲナーゼ基質がALDEFLUOR(登録商標)である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルがRNAレベルを測定することによって決定される、請求項61に記載の方法。
【請求項71】
前記アルデヒドデヒドロゲナーゼのレベルが、生物学的試料をアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する抗体と接触させることによって決定される、請求項61に記載の方法。
【請求項72】
前記抗体が同位体標識されるか、放射標識されるか、蛍光色素分子で標識されるか、またはビオチニル化される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記個体が、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせから選択される自己免疫神経疾患を有する、請求項61に記載の方法。
【請求項74】
前記自己免疫神経疾患が多発性硬化症である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
個体由来の生物学的試料をシクロホスファミドと接触させる工程を含む、シクロホスファミドでの処置について個体を選択する方法。
【請求項76】
前記個体由来の生物学的試料をシクロホスファミドと接触させた後で、該試料中の細胞死のレベルを決定する工程をさらに含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記生物学的試料が、血液、および/または白血球である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記白血球がT細胞である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記T細胞がCD4+T細胞である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記選択された個体にシクロホスファミドが投与される、請求項75に記載の方法。
【請求項81】
前記個体が、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせから選択される自己免疫神経疾患を有する、請求項75に記載の方法。
【請求項82】
前記自己免疫神経疾患が多発性硬化症である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
個体由来の生物学的試料をシクロホスファミドと接触させる工程を含む、シクロホスファミドが投与されている個体をモニタリングする方法。
【請求項84】
前記個体由来の生物学的試料をシクロホスファミドと接触させた後で、該試料中の細胞死のレベルを決定する工程をさらに含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記生物学的試料中で観察された細胞死のレベルが予め決定された閾値を下回る場合に、処置を中断する工程をさらに含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記生物学的試料中で観察された細胞死のレベルに基づいて処置を変更する工程をさらに含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記生物学的試料中で観察された細胞死のレベルが予め決定された閾値を下回る場合には、別の処置を選択する工程をさらに含む、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
前記生物学的試料が、血液、および/または白血球である、請求項83に記載の方法。
【請求項89】
前記白血球がT細胞である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記T細胞がCD4+T細胞である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記個体が、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせから選択される自己免疫神経疾患を有する、請求項83に記載の方法。
【請求項92】
前記自己免疫神経疾患が多発性硬化症である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
溶液中にシクロホスファミドを含む組成物であって、溶液中の該シクロホスファミドは、凍結乾燥されたシクロホスファミドから再構成されている、組成物。
【請求項94】
前記シクロホスファミドが、リン酸塩緩衝化生理食塩水中に再構成されている、請求項93に記載の組成物。
【請求項95】
前記溶液中のシクロホスファミドの濃度が少なくとも約20mg/mlである、請求項93に記載の組成物。
【請求項96】
自己免疫神経疾患を有している個体において免疫消失薬として使用される、請求項93に記載の組成物。
【請求項97】
前記個体が、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡)、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性内耳疾患、ナルコレプシー、神経性筋強直症、統合失調症、またはこれらの組み合わせから選択される自己免疫神経疾患を有する、請求項96に記載の組成物。
【請求項98】
前記自己免疫神経疾患が多発性硬化症である、請求項97に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2010−540634(P2010−540634A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527985(P2010−527985)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/011402
【国際公開番号】WO2009/045464
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(398076227)ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティー (35)
【Fターム(参考)】