シグモイド放出プロファイルを有するオキサカルバゼピンの制御放出製剤
1日1回投与用のオキサカルバゼピン及びその誘導体の制御放出製剤が開示される。本発明の組成物は、溶解度増強剤及び/又は放出増強剤を含み、個人に合わせた(tailored)薬物放出プロファイル、好ましくはシグモイド放出プロファイルを提供する。本発明の組成物を含む治療方法もまた開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1日1回投与用のオキサカルバゼピン及びその誘導体の制御放出製剤に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2006年4月26日に出願された米国仮出願第60/794,837号(この開示は、その全体が参照により本明細書に援用される)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
オキサカルバゼピンは、ベンゾジアゼピンクラスの薬物に属し、抗癲癇薬として世界的に登録されている。オキサカルバゼピンは、成人及び子供における部分発作並びに全身性強直・間代発作の治療のための補助剤又は単剤療法として認可されている。オキサカルバゼピンの即時放出(IR)配合物は、現在商標名Trileptal(登録商標)の下で市場に出回っており、癲癇発作を制御するのに1日2回投与される。このような即時放出組成物は、血漿薬物濃度の迅速な上昇、続く迅速な減衰をもたらす様式で薬物を患者に提供する。薬物濃度のこの鋭い上昇は副作用をもたらし、また体内で薬物の治療レベルを維持するために薬物の1日複数回投与を必要にする。オキサカルバゼピン及び誘導体のような慢性的に摂取される薬物の制御放出投薬形態の必要性は自明である。患者のコンプライアンスは、例えば1日1回摂取される制御放出(CR)投薬形態により大いに改善される。また、制御放出投薬形態により、より良好な治療効果並びに副作用の低減のような有意な臨床的利点が存在する。
【0004】
本発明で意図されるオキサカルバゼピン及びその誘導体は、水に難溶性である。それらの難溶性に起因して、徐放投薬形態からのそれらの放出は、やや不完全である。オキサカルバゼピンのin vitroでの放出は、使用される溶解媒体を含む溶解方法に依存しているのに対して、従来の徐放投薬形態からのin vivoでのオキサカルバゼピンの放出は比較的低いことが、コンピュータによるモデリングから見出されている。このことが薬物のバイオアベイラビリティの低減をもたらし、体内で治療上有効な濃度を提供する際に投薬形態を無効なものにしている。これが、オキサカルバゼピン及びその誘導体に関する徐放投薬形態の首尾よい開発への重大な挑戦を課す。
【0005】
投薬形態からの薬物放出の速度は、薬物の治療有効性及びその副作用に大きな影響をもたらす。したがって、薬物放出プロファイルは、患者の治療上の必要性を満たすようにカスタマイズされなくてはならない。カスタマイズされた放出プロファイルの例は、初期の遅い放出、続く速い放出、続いて薬物全てが投薬形態から放出されるまでの遅い放出を特徴とするシグモイド放出パターンを示すものである。
【0006】
オキサカルバゼピン及び誘導体に関する徐放投薬形態は、当該技術分野で記載されている。例えばKatzhendler他(米国特許第6,296,873号)は、カルバマゼピン及びその誘導体に関する徐放送達系について記載している。Katzhendler他は、カルバマゼピン及び誘導体に関して、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーの使用によりゼロ次放出プロファイルが達成されることを教示している。ゼロ次(一定)放出は、幾つかの任意の疎水性賦形剤とともに高分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を使用して達成された。類似したアプローチがShah他(米国特許出願第20020169145号)により教示されている。Franke他(米国特許出願第20040142033号)は、15分での薬物の55%〜85%の放出、及び30分での最大95%の放出を特徴とするオキサカルバゼピンの徐放配合物を開示している。著者らによれば、このような放出プロファイルは、オキサカルバゼピンの1日1回投与を達成するための適正な徐放を提供する。しかしながら、1日1回投与に適したこれらの強化された製剤からの薬物の溶解度及びバイオアベイラビリティ。従来技術は、シグモイド放出プロファイルを特徴とするオキサカルバゼピン及びその誘導体の製剤をどのように作製するかについては教示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、1日1回投与用のオキサカルバゼピンの制御放出配合物を提供することである。本発明の組成物は、1日1回投与されるが、患者の治療上の必要性を依然として満たす。本発明の別の目的は、オキサカルバゼピン及びその誘導体のバイオアベイラビリティを改善することである。本発明のさらに別の目的は、毒性を招き得る血中薬物濃度の「急上昇」を引き起こさずに、患者の治療上の必要性を満たすことである。本発明のさらに別の目的は、治療濃度域(window)内で薬物の血中濃度を保つことである。本発明のさらに別の目的は、多くの即時放出製剤及び徐放製剤に典型的であるCmaxとCminとの間の変動を最低限に抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的の全てではないが、その多くが、溶解度増強剤及び放出促進剤の両方を含み、且つ1日1回投与に関する要件を満たす放出プロファイルを特徴とする配合物により、本発明において達成され得る。上記目的はまた、1つの投薬単位における種々の放出プロファイルを有する多数の単位の組合せにより達成され得る。或る特定の比で混合させることができるミニペレット/顆粒/錠剤は、上述の治療目的を満たす投薬形態を提供する。
【0009】
本発明はまた、多層錠剤に関する。多層錠剤は、別の層からの放出速度と異なる速度で薬物を放出する各層を用いて調製することができる。多層錠剤では、各層はコーティングされてもよく、又はコーティングされなくてもよい。
【0010】
薬物の1日1回投与に由来する利点は全て、本発明の組成物に当てはまる。本発明の特定の利点の幾つかは、治療の経過中のCmaxとCminとの間の変動の低減、したがって良好な治療プロファイル、副作用の低減、患者のコンプライアンスの改善及び薬物のバイオアベイラビリティの改善であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の目的は、1日1回投与に適した制御放出オキサカルバゼピン配合物を提供することである。本発明のさらなる目的は、溶解度増強賦形剤及び/又は放出促進剤の組合せを配合物へ組み込ませて、オキサカルバゼピン及びその誘導体のバイオアベイラビリティを増強することである。このような組成物は、増強配合物と称される。
【0012】
オキサカルバゼピンは、初期に遅い放出、続く迅速な放出、続いて別の期間の遅い放出を特徴とする放出プロファイルを提供するように配合された。このような放出プロファイルは、シグモイドとして当業者に知られている。シグモイド放出プロファイルを有するオキサカルバゼピン配合物は、ヒト薬物動態(PK)研究で試験された。ヒトデータに基づいて、溶解度増強剤及び/又は放出促進賦形剤を組み込むことにより、配合物に改善が成された(このような配合物は、増強配合物と称される)。増強配合物はイヌモデルで試験され、驚くべきことに溶解度/放出増強賦形剤を含有しない配合物と比較して、オキサカルバゼピンのバイオアベイラビリティの有意な増加を提供することが見出された。
【0013】
オキサカルバゼピンのような難溶性薬物を含有する配合物に溶解度増強剤を組込むことは、薬物のin vivoでの溶解度、したがってバイオアベイラビリティに対して著しい効果を有する。オキサカルバゼピンの溶解度を増強させることは、そのバイオアベイラビリティの増大、したがって薬物のより良好な治療効果をもたらす。溶解度促進剤及び放出促進剤の組合せが本発明で意図される。好適な放出促進剤は、腸溶性ポリマーとしても既知であるpH依存性ポリマーである。これらの材料は当業者に既知であり、これらの材料が4.0よりも低いpH値では不溶性のままであると同時に約4.0よりも高いpH値で溶解するようにpH依存性溶解度を示す。可溶化剤は、難溶性薬物の水溶解度を増大させることにより機能を果たす。腸溶性ポリマー及び可溶化剤の両方を含有する配合物が4.0よりも高いpHの水性媒体に曝されると、腸溶解性ポリマーは迅速に溶解して、多孔質構造を残し、水性媒体と難溶性薬物との間の接触面積の増大をもたらす。この増大された表面積が、可溶化剤(複数可)の効率を増強させ、したがって薬物の全体的な溶解度及び放出速度は、それが患者の体内吸収に関して薬物の利用可能性に影響を与える程度で増強される。
【0014】
溶解度増強剤として機能を果たす賦形剤は、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤、錯化剤、親水性ポリマー、pH調整剤(例えば酸性化剤及びアルカリ化剤)並びに分子捕捉により難溶性薬物の溶解度を増大させる分子であり得る。幾つかの溶解度増強剤を同時に利用することができる。約4.0よりも低いpH値で元の状態を保ち、4.0よりも高い、好ましくは5.0よりも高い、最も好ましくは約6.0よりも高いpH値で溶解する腸溶解性ポリマーは全て、本発明に関する放出促進剤として有用であるとみなされる。
【0015】
好適なpH感受性の腸溶性ポリマーとしては、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネート、メチルセルロースフタレート、エチルヒドロキシセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルブチレートアセテート、ビニルアセテート−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸モノエステル共重合体、メチルアクリレート−メタクリル酸共重合体、メタクリレート−メタクリル酸−オクチルアクリレート共重合体等が挙げられる。これらは、単独で又は組み合わせて、或いは上述のもの以外のポリマーと一緒に使用されてもよい。好ましい腸溶解性ポリマーは、薬学的に許容されるメタクリル酸共重合体である。これらの共重合体は、メタクリル酸及びメタクリル酸メチルに基づくアニオン性ポリマーであり、好ましくは平均分子量約135000を有する。これらの共重合体における遊離カルボキシル基対メチルエステル化されたカルボキシル基の比は、例えば1:1〜1:3、例えばおよそ1:1又は1:2の範囲であり得る。このようなポリマーは、Eudragit Lシリーズ、例えば、Eudragit L 12.5TM、Eudragit L 12.5PTM、Eudragit L100TM、Eudragit L 100−55TM、Eudragit L−30DTM、Eudragit L−30 D−55TM、Eudragit STMシリーズ、例えば、Eudragit S 12.5TM、Eudragit S 12.5PTM、Eudragit S100TM等、商品名EudragitTMで販売されている。放出促進剤は、pH依存性ポリマーに限定されない。迅速に溶解し、且つ投薬形態から素早く滲出されて、多孔質構造を残す他の親水性分子もまた、同じ目的に使用することができる。
【0016】
放出促進剤は、投薬単位の10重量%〜90重量%、好ましくは20重量%〜80重量%、最も好ましくは30重量%〜70重量%の量で組み込まれ得る。放出促進剤は、造粒前又は造粒後のいずれかで配合物に組み込まれ得る。放出促進剤は、乾燥材料として配合物へ添加することができるか、或いは適切な溶媒中に分散又は溶解させて、造粒中に分散させることができる。
【0017】
本発明において好ましい可溶化剤としては、ソディウムドキュセート、ラウリル硫酸ナトリウム、ソディウムステアリルフマレート、Tween(登録商標)及びSpan(PEO変性ソルビタンモノエステル及び脂肪酸ソルビタンエステル)、ポリ(エチレンオキサイド)−ポリプロピレンオキサイド−ポリ(エチレンオキサイド)ブロック共重合体(別名PluronicsTM等の界面活性剤;低分子量ポリビニルピロリドン及び低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の錯化剤;シクロデキストリン等の分子捕捉によって溶解度を補助する分子、並びにクエン酸、フマル酸、酒石酸、及び塩酸等の酸性化剤;及びメグルミン及び水酸化ナトリウム等のアルカリ化剤を含む、pH調整剤が挙げられる。
【0018】
可溶化剤は通常、投薬形態の1重量%〜80重量%、好ましくは1重量%〜60重量%、より好ましくは1重量%〜50重量%を構成し、様々な方法で組み込まれ得る。可溶化剤は、乾燥形態又は湿潤形態で、造粒前に配合物中に組み込まれ得る。可溶化剤はまた、材料の残部が造粒されるか、又は他の方法で加工された後に、配合物へ添加され得る。造粒中に、可溶化剤は、結合剤とともに又は結合剤を伴わずに溶液として噴霧され得る。
【0019】
本発明はまた、GI管において種々の速度で薬物を放出するオキサカルバゼピンを含む制御放出配合物を意図する。本発明の目的はまた、初期に非常に低速度で、続いて比較的増大された速度で薬物を送達するように薬物送達システムを設計することである。本発明の別の目的は、即時放出、続く調節放出(例えば、持続放出(XR)又は遅延放出(DR))を特徴とする薬物放出プロファイルを提供することである。これらのタイプの放出プロファイルは、体内での有効薬物レベルの維持を引き延ばしながら、Cmax(血液/血漿中の薬物の最大濃度)が治療濃度域内に保たれることを確実にする。本発明の目標は、約2μg/ml〜約10μg/mlの濃度で、オキサカルバゼピンの活性代謝産物であるMHDの定常状態血中レベルを提供するオキサカルバゼピンの制御放出薬学的組成物を開発することである。好ましい実施形態では、MHDの定常状態血中Cmaxレベルは、約6μg/ml〜約10μg/mlの範囲に収まり、MHDのCminレベルは、約2μg/ml〜約5μg/mlの範囲に収まる。治療の経過中のCmaxとCminとの間での変動の低減は、より良好な治療プロファイル、副作用の低減、患者のコンプライアンスの改善及び薬物のバイオアベイラビリティの改善をもたらす。
【0020】
本発明により意図される所望の薬物放出パターンは、水性媒体(例えば、体液)中で水和及び膨潤する「マトリックス」ポリマーを使用することにより達成される。これらのポリマーが膨潤する際、これらのポリマーは、薬物放出中にその形状を維持する均質なマトリックス構造を形成して、薬物、溶解度増強剤及び/又は放出促進剤用の担体として役立つ。初期マトリックスポリマー水和相は、薬物の遅い放出をもたらす(遅れ相)。ポリマーがひとたび完全に水和及び膨潤されると、pH依存性放出促進剤の滲出に起因してマトリックスの多孔性は増大し、薬物は、より速い速度で放出される。続いて、薬物放出の速度は一定となり、水和されたポリマーゲルを通る薬物拡散の関数である。
【0021】
したがって、時間に対する放出の曲線は、少なくとも2つの傾きを特徴とする:一方の傾きは、薬物放出速度が遅い遅れ相に関するものであり、第2の傾きは、薬物放出がより速いものである。時間に対する放出の曲線の上昇部分の傾きは、薬物が身体から排出される速度に適合するようにカスタマイズすることができる。所望の放出プロファイルは、膨潤性ポリマーを、単独で或いはゲル化ポリマー及び/又はネットワーク形成ポリマーのような結合剤と組み合わせて使用することにより達成され得る。
【0022】
本発明において有用な、水に膨潤性のマトリクス形成ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、粉末化セルロース(微結晶セルロース等)、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースのカルシウム塩、及びエチルセルロース等のセルロースポリマー;アルギン酸塩、グァーガム及びキサンタンガム等のガム類;Noveon Inc.(Cinncinatti, Ohio)から各種分子量グレードで入手可能なカルボマー(別名CarbopolTM)等の架橋ポリアクリル酸誘導体;カラギーナン;クロスポビドン等のポリビニルピロリドン及びその誘導体;ポリエチレンオキサイド;並びにポリビニルアルコールを含む群から選択される。好ましい膨潤性ポリマーはセルロース化合物であり、HPMCが最も好ましい。
【0023】
膨潤性ポリマーは、1重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%、最も好ましくは5重量%〜20重量%の比率で配合物中に組み込まれ得る。膨潤性ポリマー及び結合剤は、造粒前又は造粒後のいずれかで配合物中に組み込まれ得る。ポリマーはまた、有機溶媒又は水性アルコール中に分散させて、造粒中に噴霧させることができる。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、各「単位」が上記で開示される投薬形態のいずれか1つ又は複数に従って調製される多重調節放出「単位」を組み合わせるオキサカルバゼピンの配合物を調製して、カスタマイズされた放出プロファイルを提供することである。
【0025】
調節放出単位は、上述の治療目的を満たす投薬形態を提供するように或る特定の比で混合され得るミニペレット/顆粒/錠剤等(それぞれが特有の放出プロファイルを有する)を含む。或いは、多重調節放出単位は、多層錠剤へと形成されてもよい。多層錠剤は、別の層からの活性成分の放出速度と異なる速度で活性化合物を放出する各層を用いて調製することができる。多層錠剤では、各層は、制御放出ポリマー(複数可)で任意にコーティングされてもよい。組合せ投薬形態は、即時放出(IR)配合物、遅延放出(DR)配合物及び持続放出(XR)配合物の任意の/全ての可能な組合せを含む放出プロファイルを示し得る。ペレット/顆粒/錠剤又は単一錠剤の各層は、任意にコーティングされてもよい。
【0026】
様々な疎水性賦形剤を使用して、水又は水性媒体へ曝される場合の投薬形態の水和速度を調節することができる。これらの賦形剤は、投薬形態の湿潤を遅らせ、したがって活性剤の放出を調節する。本発明に好適な疎水性賦形剤は、限定するものではないが、モノステアリン酸グリセリル(glyceryl monstearate)、モノステアリン酸グリセリル及びモノパルミチン酸グリセリルの混合物(Myvaplex、Eastman Fine Chemical Company)、モノオレイン酸グリセリル、モノ、ジ及びトリグリセリドの混合物(ATMUL 84S)、モノラウリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パラフィン、白蝋、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸エステル、並びに長鎖カルボン酸アルコールで代表される。
【0027】
本発明において有用な飽和直鎖酸の例は、n−ドデカン酸、n−テトラデカン酸、n−ヘキサデカン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、モンタン酸、及びメリシン酸である。不飽和モノオレフィン直鎖モノカルボン酸も有用である。これらの例は、オレイン酸、ガドレイン酸、及びエルカ酸である。リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、及びベヘノール酸等の不飽和(ポリオレフィン)直鎖モノカルボン酸も有用である。有用な分枝酸としては、例えば、ジアセチル酒石酸が挙げられる。
【0028】
長鎖カルボン酸エステルの例としては、限定するものではないが、モノステアリン酸グリセリル;モノパルミチン酸グリセリル;モノステアリン酸グリセリル及びモノパルミチン酸グリセリルの混合物(Myvaplex 600、Eastman Fine Chemical Company);モノリノール酸グリセリル;モノオレイン酸グリセリル;モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、及びモノリノール酸グリセリルの混合物(Myverol 18−92、Eastman Fine Chemical Company);モノリノール酸グリセリル;モノガドレイン酸グリセリル;モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、及びモノガドレイン酸グリセリルの混合物(Myverol 18−99、Eastman Fine Chemical Company);蒸留アセチル化モノグリセリド等のアセチル化グリセリド(Myvacet 5−07、7−07及び9−45、Eastman Fine Chemical Company);プロピレングリコールモノエステル、蒸留モノグリセリド、ステアロイル乳酸ナトリウム、及び二酸化ケイ素の混合物(Myvatex TL、Eastman Fine Chemical Company);プロピレングリコールモノエステル、蒸留モノグリセリド、ステアロイル乳酸ナトリウム、及び二酸化ケイ素の混合物(Myvatex TL、Eastman Fine Chemical Company)、コハク酸d−α−トコフェロールポリエチレングリコール1000(ビタミンE TPGS、Eastman Chemical Company);Atmul(Witco ChemicalのHumko Chemical Division)等のモノ及びジグリセリドエステルの混合物;ステアロイル乳酸カルシウム;エトキシ化モノ及びジグリセリド;乳酸モノ及びジグリセリド;グリセリン及びプロピレングリコールの乳酸カルボン酸エステル;長鎖カルボン酸の乳酸エステル;長鎖カルボン酸のポリグリセロールエステル、長鎖カルボン酸のプロピレングリコールモノ及びジエステル;ステアロイル乳酸ナトリウム;ソルビタンモノステアレート;ソルビタンモノオレエート;他の長鎖カルボン酸のソルビタンエステル;サクシニル化モノグリセリド;クエン酸ステアリルモノグリセリル;ヘプタン酸ステアリル;蝋のセチルエステル;セテアリルオクタノエート;C10〜C30のコレステロール/ラボステロール(lavosterol)エステル;並びにスクロース長鎖カルボン酸エステルが挙げられる。さらに、蝋は、単独で又は好ましくは上記に列挙した物質と組み合わせて有用であり得る。これらの例は、白蝋、パラフィン、及びカルナウバ蝋である。
【0029】
薬物、ポリマー及び他の賦形剤は通常組み合わせられて、造粒液を使用して湿式造粒される。しかしながら、スラッギング及びローラー圧縮のような顆粒を形成する他の方法もまた、マトリックス顆粒を製造するのに使用することができる。マトリックス錠剤はまた、直接圧縮により作製され得る。湿式造粒では、通常の造粒液は、水、水及びアルコールの混合物、無水アルコールである。湿潤顆粒は、混合機、高せん断造粒機及び流動床造粒機のような任意の造粒装置で作製され得る。顆粒は、流動床乾燥機、炉、マイクロ波乾燥機等のような適切な乾燥設備で乾燥され得る。顆粒はまた、風乾させることもできる。乾燥顆粒は、特定の粒径分布を達成するように適切な粉砕装置を使用して粉砕することができる。顆粒は、カプセルへ充填することができるか、或いは他の賦形剤とブレンドして、錠剤成形機上で錠剤化することができる。顆粒はまた、スプリンクル(sprinkle)用途用にサシェへ包装することができる。錠剤化するのを助長するのに使用される他の賦形剤は当業者に周知であり、ステアリン酸マグネシウム、タルク、カボシル等が挙げられる。顆粒及び錠剤は、放出速度をさらに調節するのに必要に応じてコーティングされ得る。さらに、配合物はまた、必要に応じて色素を含有することができる。
【0030】
任意ではあるが、好ましくは、錠剤組成物は、1つ又は複数の潤滑剤を含有することができ、これは、適切な錠剤化を確実にするために添加され得る。潤滑剤の非限定的な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、ロイシン、ベヘン酸グリセリル、ソディウムステアリルフマレート、硬化植物油及び他の蝋(限定するものではないが、蜜蝋、カルナウバ蝋、セチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル及びステアリルアルコールを含む)が挙げられる。潤滑剤は存在する場合には通常、組成物の約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約3.0重量%の量で含まれる。
【0031】
オキサカルバゼピン投薬量は、錠剤、顆粒及びペレットへ製剤化され得る。これらの投薬形態の製造に含まれる工程は、当業者に周知である。簡潔に述べると、錠剤は、活性顆粒又は予め形成された顆粒を含有する圧縮性ブレンドから直接圧縮させることができる。錠剤は、コーティングしてもしなくてもよい。コーティングは任意に、放出の調節に影響を与え得る。顆粒は、高せん断造粒又は流動床加工により作製することができる。顆粒は、コーティングしてもしなくてもよい。ペレットは、糖球体のような不活性担体上での薬物積層により製造することができる。ペレットはまた、押出/球形化プロセスにより製造することができる。ペレットは、コーティングしてもしなくてもよい。コーティングされたペレット及び顆粒は、カプセルへ充填することができる。
【0032】
本発明の配合物はまた、ペレット化した形態で作製することができ、これは、カプセルへ充填され得るか、又はスプリンクル用途用にサシェ中で分散され得る。各ペレットは、薬物、膨潤性ポリマー(複数可)及び加工を助長する他の賦形剤で構成される。ペレットは、当業者に既知である多くの方法のうちの1つで調製され得る。これらとしては、例えば押出/球形化及びローラー圧縮(スラッギング)が挙げられる。押出/球形化技法では、薬物は、セルロース系ポリマーのような膨潤性ポリマー(複数可)及び他の賦形剤と混合される。続いて、ブレンドは、高せん断造粒機で造粒される。次に、湿塊を押出機に通過させて、球形化機(spheronizer)を使用して球形化する。続いて、ペレットを炉又は流動床加工機で乾燥させる。乾燥ペレットは、さらに加工されるか、或いはさらなる加工を伴わずにカプセル化される。
【0033】
別記しない限り、本明細書中で使用される技術用語及び科学用語は全て、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同義を有する。本明細書中で言及される刊行物、特許出願、特許及び他の参照文献は全て、それらの全体が参照により援用される。不一致である場合、定義を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方法及び実施例は例示的なものに過ぎず、限定するものとは意図されない。
【0034】
本発明はここで、以下の例示的な実施例を用いて詳細に記載されるが、本発明の範囲は、以下の例示される実施形態に限定されると意図されず、また限定されるべきものではない。
[実施例]
【実施例1】
【0035】
シグモイド放出プロファイルを有するオキサカルバゼピン配合物
第1表は、シグモイド放出プロファイルを有するオキサカルバゼピン制御放出製剤の配合組成を提供する。顆粒は、造粒液として無水エタノールを使用した高せん断造粒により調製された。ステアリン酸マグネシウムを除く全ての成分を、VG−65/10M高せん断造粒機へ装填した。乾燥粉末は、3分間ブレードを作動させることによりブレンドされ、その後、無水エタノールを、およそ40〜60gm/分の噴霧速度で混合ブレンド上へ噴霧した。約1分の噴霧後、VG−65/10M上のチョッパーを始動させて、噴霧全体にわたって作動させた。造粒がひとたび完了したら、造粒物はVG高せん断造粒機から排出されて、適切なトレイ上に広げられて、炉中に配置されて、40℃で24時間乾燥させた。或いは、顆粒は、流動床加工機を使用して乾燥させることができる。乾燥顆粒は、18メッシュスクリーンに通して篩過した。篩過された顆粒は、顆粒99.5%及びステアリン酸マグネシウム0.5%の比率でステアリン酸マグネシウムとブレンドした。続いて、ブレンドは、ロータリー式錠剤成形機上で錠剤化した。
【0036】
【表1】
【0037】
図1は、3つの例示的なオキサカルバゼピンCR配合物(CR−F、CR−M及びCR−S)の溶解プロファイルを示す。該プロファイルは、非ゼロ次放出を示した。
【実施例2】
【0038】
実施例1からのオキサカルバゼピンCR配合物のヒト薬物動態評価
実施例1からの3つの配合物をヒトにおいて評価して、薬物動態情報を得た。即時放出錠剤(Trileptal(登録商標)600mg)を対照参照として使用した。配合物は、健常なヒトボランティアにおいて無作為化単回投与交差研究で検査した。血液サンプルを、親分子オキサカルバゼピン及びその代謝産物(モノヒドロキシ誘導体、MHD)の両方に関して分析した。
【0039】
第2表は、MHDに関する平均PKパラメータを提供する。PKプロファイルは、図2及び図3に示される。
【0040】
【表2】
【実施例3】
【0041】
溶解度増強剤スクリーニング
賦形剤の存在下でのオキサカルバゼピンの溶解度を下記のように評価した。
【0042】
賦形剤をリン酸緩衝液中に溶解させて、第3表に示される濃度を有する溶液を作製した。次に、オキサカルバゼピン(oxcarbazepine)1グラムを、賦形剤溶液19gmと混合させた。混合物を室温で一晩振動させた後、0.22μmフィルタを使用して濾過した。濾液をHPLCで分析した。溶解度の結果は、第3表及び図4に与えられる。
【0043】
【表3】
【実施例4】
【0044】
増強投薬形態の配合
第4表及び第5表は、溶解度増強剤及び放出増強剤を含有する配合物の組成を提供する。顆粒は、造粒液として水を使用した高せん断造粒により製造された。ステアリン酸マグネシウムを除く全ての成分を、VG−65/10M高せん断造粒機へ装填した。乾燥粉末は、3分間ブレードを作動させることによりブレンドされ、その際、水を、およそ40〜60gm/分の噴霧速度で混合ブレンド上へ噴霧させた。約1分の噴霧後、VG−65/10M上のチョッパーを始動させて、噴霧全体にわたって作動させた。造粒がひとたび完了したら、造粒物はVG高せん断造粒機から排出されて、適切なトレイ上に広げられて、炉中に配置されて、40℃で24時間乾燥させた。或いは、顆粒は、流動床加工機を使用して乾燥させることができる。乾燥顆粒は、18メッシュスクリーンに通して篩過する。篩過された顆粒は、顆粒99.5%及びステアリン酸マグネシウム0.5%の比率でステアリン酸マグネシウムとブレンドした。続いて、得られたブレンドは、ロータリー式錠剤成形機上で錠剤化した。これらの配合物に関する溶解プロファイルは、図5及び図6に示される。
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【実施例5】
【0047】
実施例4(第4表)及び実施例1(SLI530CR−F)からの配合物に関するイヌPK研究
6匹の雄ビーグル犬に、第6表に付与される順に配合物を経口投薬した。血液を24時間にわたって採取して、血液サンプルをHPLCで分析した。データのノンコンパートメント解析を使用して、Tmax、Cmax、AUClast及びAUCinfを作成した。相対バイオアベイラビリティは、対照としてのCRf配合物に関するAUClast及びAUCinfを使用してExcelで算出した。オキサカルバゼピン及び10−ヒドロキシカルバゼピンに関するPKプロファイルは、図7及び図8で与えられる。
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【実施例6】
【0050】
オキサカルバゼピンXRの様々な放出プロファイルのコンピュータによるモデリング
コンピュータによるモデリングを、様々な仮想システムに関して実施した。結果は図9〜図11に示される。
【実施例7】
【0051】
実施例4からの溶解度増強オキサカルバゼピンCR配合物のヒト薬物動態評価
実施例4からの3つの溶解度増強プロトタイプをヒトにおいて評価して、薬物動態情報を得た。BID付与した即時放出錠剤(Trileptal(登録商標)300mg)を参照として使用した。配合物は、健常なヒトボランティアにおいて無作為化単回投与交差研究で検査した。血液サンプルを、親分子オキサカルバゼピン及びその代謝産物(モノヒドロキシ誘導体、MHD)の両方に関して分析した。
【0052】
第8表は、MHDに関する平均PKパラメータを提供する。PKプロファイルは、図12及び図13に示される。
【0053】
【表8】
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】溶解度/放出増強剤を含有しない3つの例示的な(CR−F、CR−M及びCR−S)オキサカルバゼピン配合物に関する溶解プロファイルを示す図である。該プロファイルは、遅れを伴う非ゼロ次放出を示す。CR−F、CR−M及びCR−S配合物に関するT80(in vitroで用量の80%が放出される時間)は、それぞれ2時間、5時間及び11時間であった。60RPMでUSP装置IIを使用した。溶解媒体は水中の1%SLSであった。
【図2】即時放出参照製品(Trileptal(登録商標)600mg)に対する実施例1の3つの例示的な制御放出配合物に関するオキサカルバゼピンについてのヒト薬物動態(PK)プロファイルを示す図である。各配合物の強度は、錠剤1つ当たりオキサカルバゼピン600mgである。
【図3】即時放出参照製品(Trileptal(登録商標)600mg)に対する実施例1の3つの例示的な制御放出配合物に関するオキサカルバゼピンの代謝産物(MHD)についてのPKプロファイルを示す図である。各配合物の強度は、錠剤1つ当たりオキサカルバゼピン600mgである。
【図4】選択した賦形剤を用いたオキサカルバゼピンの溶解度の結果を示す図である。
【図5】溶解度増強剤を伴うオキサカルバゼピンCR配合物(CRe)、溶解度増強剤を伴わないオキサカルバゼピンCR配合物(CR)及び実施例1で開発された「速い配合物」(CR−F)の溶解度プロファイルを示す図である。CRe、CR及びCR−Fに関する薬物の80%を溶解するための時間(T80)は、それぞれ5〜6時間、8時間及び1.5時間である。
【図6】溶解度/放出増強剤を含有する速い(CRe−F)オキサカルバゼピン配合物、中間(CRe−M)オキサカルバゼピン配合物及び遅い(CRe−S)オキサカルバゼピン配合物に関する溶解プロファイルを示す図である。CRe−F、CRe−M及びCRe−Sに関するT80は、それぞれ1.5時間、5時間及び8時間である。60RPMでUSP装置IIを使用した。溶解媒体は水中の1%SLSであった。
【図7】オキサカルバゼピンについてのイヌ薬物動態プロファイルを示す図であり、増強配合物(CRe)を、オキサカルバゼピンを含有する非増強配合物(CR及びCR−F)と比較する。
【図8】MHDについてのイヌ薬物動態プロファイルを示す図であり、増強配合物(CRe)を、オキサカルバゼピンを含有する非増強配合物(CR及びCR−F)と比較する。
【図9】1日2回の300mg IRに関するコンピュータによる予測PKプロファイルとともに、図8で示されるPKプロファイルを示す図である。
【図10】様々なin vitroでの放出プロファイルに関するコンピュータによる予測PKプロファイルを示す図である。
【図11】図10における系に関するコンピュータによる予測in vivo放出プロファイルを示す図である。
【図12】実施例4における3つのオキサカルバゼピンCR配合物(CRe−F、CRe−M、CRe−S)及びIR対照としてのTrileptal(登録商標)(BID投与)のMHDについての時間に対するヒト血漿濃度のプロファイルを示す図である。
【図13】実施例4における3つのオキサカルバゼピンCR配合物(CRe−F、CRe−M、CRe−S)及びIR対照としてのTrileptal(登録商標)(BID投与)のオキサカルバゼピンについての時間に対するヒト血漿濃度のプロファイルを示す図である。
【図14】実施例4に記載される3つの例示的な配合物(CRe−F、CRe−M及びCRe−S)に関するコンピュータによる予測定常状態血漿プロファイルを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、1日1回投与用のオキサカルバゼピン及びその誘導体の制御放出製剤に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2006年4月26日に出願された米国仮出願第60/794,837号(この開示は、その全体が参照により本明細書に援用される)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
オキサカルバゼピンは、ベンゾジアゼピンクラスの薬物に属し、抗癲癇薬として世界的に登録されている。オキサカルバゼピンは、成人及び子供における部分発作並びに全身性強直・間代発作の治療のための補助剤又は単剤療法として認可されている。オキサカルバゼピンの即時放出(IR)配合物は、現在商標名Trileptal(登録商標)の下で市場に出回っており、癲癇発作を制御するのに1日2回投与される。このような即時放出組成物は、血漿薬物濃度の迅速な上昇、続く迅速な減衰をもたらす様式で薬物を患者に提供する。薬物濃度のこの鋭い上昇は副作用をもたらし、また体内で薬物の治療レベルを維持するために薬物の1日複数回投与を必要にする。オキサカルバゼピン及び誘導体のような慢性的に摂取される薬物の制御放出投薬形態の必要性は自明である。患者のコンプライアンスは、例えば1日1回摂取される制御放出(CR)投薬形態により大いに改善される。また、制御放出投薬形態により、より良好な治療効果並びに副作用の低減のような有意な臨床的利点が存在する。
【0004】
本発明で意図されるオキサカルバゼピン及びその誘導体は、水に難溶性である。それらの難溶性に起因して、徐放投薬形態からのそれらの放出は、やや不完全である。オキサカルバゼピンのin vitroでの放出は、使用される溶解媒体を含む溶解方法に依存しているのに対して、従来の徐放投薬形態からのin vivoでのオキサカルバゼピンの放出は比較的低いことが、コンピュータによるモデリングから見出されている。このことが薬物のバイオアベイラビリティの低減をもたらし、体内で治療上有効な濃度を提供する際に投薬形態を無効なものにしている。これが、オキサカルバゼピン及びその誘導体に関する徐放投薬形態の首尾よい開発への重大な挑戦を課す。
【0005】
投薬形態からの薬物放出の速度は、薬物の治療有効性及びその副作用に大きな影響をもたらす。したがって、薬物放出プロファイルは、患者の治療上の必要性を満たすようにカスタマイズされなくてはならない。カスタマイズされた放出プロファイルの例は、初期の遅い放出、続く速い放出、続いて薬物全てが投薬形態から放出されるまでの遅い放出を特徴とするシグモイド放出パターンを示すものである。
【0006】
オキサカルバゼピン及び誘導体に関する徐放投薬形態は、当該技術分野で記載されている。例えばKatzhendler他(米国特許第6,296,873号)は、カルバマゼピン及びその誘導体に関する徐放送達系について記載している。Katzhendler他は、カルバマゼピン及び誘導体に関して、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーの使用によりゼロ次放出プロファイルが達成されることを教示している。ゼロ次(一定)放出は、幾つかの任意の疎水性賦形剤とともに高分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を使用して達成された。類似したアプローチがShah他(米国特許出願第20020169145号)により教示されている。Franke他(米国特許出願第20040142033号)は、15分での薬物の55%〜85%の放出、及び30分での最大95%の放出を特徴とするオキサカルバゼピンの徐放配合物を開示している。著者らによれば、このような放出プロファイルは、オキサカルバゼピンの1日1回投与を達成するための適正な徐放を提供する。しかしながら、1日1回投与に適したこれらの強化された製剤からの薬物の溶解度及びバイオアベイラビリティ。従来技術は、シグモイド放出プロファイルを特徴とするオキサカルバゼピン及びその誘導体の製剤をどのように作製するかについては教示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、1日1回投与用のオキサカルバゼピンの制御放出配合物を提供することである。本発明の組成物は、1日1回投与されるが、患者の治療上の必要性を依然として満たす。本発明の別の目的は、オキサカルバゼピン及びその誘導体のバイオアベイラビリティを改善することである。本発明のさらに別の目的は、毒性を招き得る血中薬物濃度の「急上昇」を引き起こさずに、患者の治療上の必要性を満たすことである。本発明のさらに別の目的は、治療濃度域(window)内で薬物の血中濃度を保つことである。本発明のさらに別の目的は、多くの即時放出製剤及び徐放製剤に典型的であるCmaxとCminとの間の変動を最低限に抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的の全てではないが、その多くが、溶解度増強剤及び放出促進剤の両方を含み、且つ1日1回投与に関する要件を満たす放出プロファイルを特徴とする配合物により、本発明において達成され得る。上記目的はまた、1つの投薬単位における種々の放出プロファイルを有する多数の単位の組合せにより達成され得る。或る特定の比で混合させることができるミニペレット/顆粒/錠剤は、上述の治療目的を満たす投薬形態を提供する。
【0009】
本発明はまた、多層錠剤に関する。多層錠剤は、別の層からの放出速度と異なる速度で薬物を放出する各層を用いて調製することができる。多層錠剤では、各層はコーティングされてもよく、又はコーティングされなくてもよい。
【0010】
薬物の1日1回投与に由来する利点は全て、本発明の組成物に当てはまる。本発明の特定の利点の幾つかは、治療の経過中のCmaxとCminとの間の変動の低減、したがって良好な治療プロファイル、副作用の低減、患者のコンプライアンスの改善及び薬物のバイオアベイラビリティの改善であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の目的は、1日1回投与に適した制御放出オキサカルバゼピン配合物を提供することである。本発明のさらなる目的は、溶解度増強賦形剤及び/又は放出促進剤の組合せを配合物へ組み込ませて、オキサカルバゼピン及びその誘導体のバイオアベイラビリティを増強することである。このような組成物は、増強配合物と称される。
【0012】
オキサカルバゼピンは、初期に遅い放出、続く迅速な放出、続いて別の期間の遅い放出を特徴とする放出プロファイルを提供するように配合された。このような放出プロファイルは、シグモイドとして当業者に知られている。シグモイド放出プロファイルを有するオキサカルバゼピン配合物は、ヒト薬物動態(PK)研究で試験された。ヒトデータに基づいて、溶解度増強剤及び/又は放出促進賦形剤を組み込むことにより、配合物に改善が成された(このような配合物は、増強配合物と称される)。増強配合物はイヌモデルで試験され、驚くべきことに溶解度/放出増強賦形剤を含有しない配合物と比較して、オキサカルバゼピンのバイオアベイラビリティの有意な増加を提供することが見出された。
【0013】
オキサカルバゼピンのような難溶性薬物を含有する配合物に溶解度増強剤を組込むことは、薬物のin vivoでの溶解度、したがってバイオアベイラビリティに対して著しい効果を有する。オキサカルバゼピンの溶解度を増強させることは、そのバイオアベイラビリティの増大、したがって薬物のより良好な治療効果をもたらす。溶解度促進剤及び放出促進剤の組合せが本発明で意図される。好適な放出促進剤は、腸溶性ポリマーとしても既知であるpH依存性ポリマーである。これらの材料は当業者に既知であり、これらの材料が4.0よりも低いpH値では不溶性のままであると同時に約4.0よりも高いpH値で溶解するようにpH依存性溶解度を示す。可溶化剤は、難溶性薬物の水溶解度を増大させることにより機能を果たす。腸溶性ポリマー及び可溶化剤の両方を含有する配合物が4.0よりも高いpHの水性媒体に曝されると、腸溶解性ポリマーは迅速に溶解して、多孔質構造を残し、水性媒体と難溶性薬物との間の接触面積の増大をもたらす。この増大された表面積が、可溶化剤(複数可)の効率を増強させ、したがって薬物の全体的な溶解度及び放出速度は、それが患者の体内吸収に関して薬物の利用可能性に影響を与える程度で増強される。
【0014】
溶解度増強剤として機能を果たす賦形剤は、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤、錯化剤、親水性ポリマー、pH調整剤(例えば酸性化剤及びアルカリ化剤)並びに分子捕捉により難溶性薬物の溶解度を増大させる分子であり得る。幾つかの溶解度増強剤を同時に利用することができる。約4.0よりも低いpH値で元の状態を保ち、4.0よりも高い、好ましくは5.0よりも高い、最も好ましくは約6.0よりも高いpH値で溶解する腸溶解性ポリマーは全て、本発明に関する放出促進剤として有用であるとみなされる。
【0015】
好適なpH感受性の腸溶性ポリマーとしては、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネート、メチルセルロースフタレート、エチルヒドロキシセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルブチレートアセテート、ビニルアセテート−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸モノエステル共重合体、メチルアクリレート−メタクリル酸共重合体、メタクリレート−メタクリル酸−オクチルアクリレート共重合体等が挙げられる。これらは、単独で又は組み合わせて、或いは上述のもの以外のポリマーと一緒に使用されてもよい。好ましい腸溶解性ポリマーは、薬学的に許容されるメタクリル酸共重合体である。これらの共重合体は、メタクリル酸及びメタクリル酸メチルに基づくアニオン性ポリマーであり、好ましくは平均分子量約135000を有する。これらの共重合体における遊離カルボキシル基対メチルエステル化されたカルボキシル基の比は、例えば1:1〜1:3、例えばおよそ1:1又は1:2の範囲であり得る。このようなポリマーは、Eudragit Lシリーズ、例えば、Eudragit L 12.5TM、Eudragit L 12.5PTM、Eudragit L100TM、Eudragit L 100−55TM、Eudragit L−30DTM、Eudragit L−30 D−55TM、Eudragit STMシリーズ、例えば、Eudragit S 12.5TM、Eudragit S 12.5PTM、Eudragit S100TM等、商品名EudragitTMで販売されている。放出促進剤は、pH依存性ポリマーに限定されない。迅速に溶解し、且つ投薬形態から素早く滲出されて、多孔質構造を残す他の親水性分子もまた、同じ目的に使用することができる。
【0016】
放出促進剤は、投薬単位の10重量%〜90重量%、好ましくは20重量%〜80重量%、最も好ましくは30重量%〜70重量%の量で組み込まれ得る。放出促進剤は、造粒前又は造粒後のいずれかで配合物に組み込まれ得る。放出促進剤は、乾燥材料として配合物へ添加することができるか、或いは適切な溶媒中に分散又は溶解させて、造粒中に分散させることができる。
【0017】
本発明において好ましい可溶化剤としては、ソディウムドキュセート、ラウリル硫酸ナトリウム、ソディウムステアリルフマレート、Tween(登録商標)及びSpan(PEO変性ソルビタンモノエステル及び脂肪酸ソルビタンエステル)、ポリ(エチレンオキサイド)−ポリプロピレンオキサイド−ポリ(エチレンオキサイド)ブロック共重合体(別名PluronicsTM等の界面活性剤;低分子量ポリビニルピロリドン及び低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の錯化剤;シクロデキストリン等の分子捕捉によって溶解度を補助する分子、並びにクエン酸、フマル酸、酒石酸、及び塩酸等の酸性化剤;及びメグルミン及び水酸化ナトリウム等のアルカリ化剤を含む、pH調整剤が挙げられる。
【0018】
可溶化剤は通常、投薬形態の1重量%〜80重量%、好ましくは1重量%〜60重量%、より好ましくは1重量%〜50重量%を構成し、様々な方法で組み込まれ得る。可溶化剤は、乾燥形態又は湿潤形態で、造粒前に配合物中に組み込まれ得る。可溶化剤はまた、材料の残部が造粒されるか、又は他の方法で加工された後に、配合物へ添加され得る。造粒中に、可溶化剤は、結合剤とともに又は結合剤を伴わずに溶液として噴霧され得る。
【0019】
本発明はまた、GI管において種々の速度で薬物を放出するオキサカルバゼピンを含む制御放出配合物を意図する。本発明の目的はまた、初期に非常に低速度で、続いて比較的増大された速度で薬物を送達するように薬物送達システムを設計することである。本発明の別の目的は、即時放出、続く調節放出(例えば、持続放出(XR)又は遅延放出(DR))を特徴とする薬物放出プロファイルを提供することである。これらのタイプの放出プロファイルは、体内での有効薬物レベルの維持を引き延ばしながら、Cmax(血液/血漿中の薬物の最大濃度)が治療濃度域内に保たれることを確実にする。本発明の目標は、約2μg/ml〜約10μg/mlの濃度で、オキサカルバゼピンの活性代謝産物であるMHDの定常状態血中レベルを提供するオキサカルバゼピンの制御放出薬学的組成物を開発することである。好ましい実施形態では、MHDの定常状態血中Cmaxレベルは、約6μg/ml〜約10μg/mlの範囲に収まり、MHDのCminレベルは、約2μg/ml〜約5μg/mlの範囲に収まる。治療の経過中のCmaxとCminとの間での変動の低減は、より良好な治療プロファイル、副作用の低減、患者のコンプライアンスの改善及び薬物のバイオアベイラビリティの改善をもたらす。
【0020】
本発明により意図される所望の薬物放出パターンは、水性媒体(例えば、体液)中で水和及び膨潤する「マトリックス」ポリマーを使用することにより達成される。これらのポリマーが膨潤する際、これらのポリマーは、薬物放出中にその形状を維持する均質なマトリックス構造を形成して、薬物、溶解度増強剤及び/又は放出促進剤用の担体として役立つ。初期マトリックスポリマー水和相は、薬物の遅い放出をもたらす(遅れ相)。ポリマーがひとたび完全に水和及び膨潤されると、pH依存性放出促進剤の滲出に起因してマトリックスの多孔性は増大し、薬物は、より速い速度で放出される。続いて、薬物放出の速度は一定となり、水和されたポリマーゲルを通る薬物拡散の関数である。
【0021】
したがって、時間に対する放出の曲線は、少なくとも2つの傾きを特徴とする:一方の傾きは、薬物放出速度が遅い遅れ相に関するものであり、第2の傾きは、薬物放出がより速いものである。時間に対する放出の曲線の上昇部分の傾きは、薬物が身体から排出される速度に適合するようにカスタマイズすることができる。所望の放出プロファイルは、膨潤性ポリマーを、単独で或いはゲル化ポリマー及び/又はネットワーク形成ポリマーのような結合剤と組み合わせて使用することにより達成され得る。
【0022】
本発明において有用な、水に膨潤性のマトリクス形成ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、粉末化セルロース(微結晶セルロース等)、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースのカルシウム塩、及びエチルセルロース等のセルロースポリマー;アルギン酸塩、グァーガム及びキサンタンガム等のガム類;Noveon Inc.(Cinncinatti, Ohio)から各種分子量グレードで入手可能なカルボマー(別名CarbopolTM)等の架橋ポリアクリル酸誘導体;カラギーナン;クロスポビドン等のポリビニルピロリドン及びその誘導体;ポリエチレンオキサイド;並びにポリビニルアルコールを含む群から選択される。好ましい膨潤性ポリマーはセルロース化合物であり、HPMCが最も好ましい。
【0023】
膨潤性ポリマーは、1重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%、最も好ましくは5重量%〜20重量%の比率で配合物中に組み込まれ得る。膨潤性ポリマー及び結合剤は、造粒前又は造粒後のいずれかで配合物中に組み込まれ得る。ポリマーはまた、有機溶媒又は水性アルコール中に分散させて、造粒中に噴霧させることができる。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、各「単位」が上記で開示される投薬形態のいずれか1つ又は複数に従って調製される多重調節放出「単位」を組み合わせるオキサカルバゼピンの配合物を調製して、カスタマイズされた放出プロファイルを提供することである。
【0025】
調節放出単位は、上述の治療目的を満たす投薬形態を提供するように或る特定の比で混合され得るミニペレット/顆粒/錠剤等(それぞれが特有の放出プロファイルを有する)を含む。或いは、多重調節放出単位は、多層錠剤へと形成されてもよい。多層錠剤は、別の層からの活性成分の放出速度と異なる速度で活性化合物を放出する各層を用いて調製することができる。多層錠剤では、各層は、制御放出ポリマー(複数可)で任意にコーティングされてもよい。組合せ投薬形態は、即時放出(IR)配合物、遅延放出(DR)配合物及び持続放出(XR)配合物の任意の/全ての可能な組合せを含む放出プロファイルを示し得る。ペレット/顆粒/錠剤又は単一錠剤の各層は、任意にコーティングされてもよい。
【0026】
様々な疎水性賦形剤を使用して、水又は水性媒体へ曝される場合の投薬形態の水和速度を調節することができる。これらの賦形剤は、投薬形態の湿潤を遅らせ、したがって活性剤の放出を調節する。本発明に好適な疎水性賦形剤は、限定するものではないが、モノステアリン酸グリセリル(glyceryl monstearate)、モノステアリン酸グリセリル及びモノパルミチン酸グリセリルの混合物(Myvaplex、Eastman Fine Chemical Company)、モノオレイン酸グリセリル、モノ、ジ及びトリグリセリドの混合物(ATMUL 84S)、モノラウリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パラフィン、白蝋、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸エステル、並びに長鎖カルボン酸アルコールで代表される。
【0027】
本発明において有用な飽和直鎖酸の例は、n−ドデカン酸、n−テトラデカン酸、n−ヘキサデカン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、モンタン酸、及びメリシン酸である。不飽和モノオレフィン直鎖モノカルボン酸も有用である。これらの例は、オレイン酸、ガドレイン酸、及びエルカ酸である。リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、及びベヘノール酸等の不飽和(ポリオレフィン)直鎖モノカルボン酸も有用である。有用な分枝酸としては、例えば、ジアセチル酒石酸が挙げられる。
【0028】
長鎖カルボン酸エステルの例としては、限定するものではないが、モノステアリン酸グリセリル;モノパルミチン酸グリセリル;モノステアリン酸グリセリル及びモノパルミチン酸グリセリルの混合物(Myvaplex 600、Eastman Fine Chemical Company);モノリノール酸グリセリル;モノオレイン酸グリセリル;モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、及びモノリノール酸グリセリルの混合物(Myverol 18−92、Eastman Fine Chemical Company);モノリノール酸グリセリル;モノガドレイン酸グリセリル;モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、及びモノガドレイン酸グリセリルの混合物(Myverol 18−99、Eastman Fine Chemical Company);蒸留アセチル化モノグリセリド等のアセチル化グリセリド(Myvacet 5−07、7−07及び9−45、Eastman Fine Chemical Company);プロピレングリコールモノエステル、蒸留モノグリセリド、ステアロイル乳酸ナトリウム、及び二酸化ケイ素の混合物(Myvatex TL、Eastman Fine Chemical Company);プロピレングリコールモノエステル、蒸留モノグリセリド、ステアロイル乳酸ナトリウム、及び二酸化ケイ素の混合物(Myvatex TL、Eastman Fine Chemical Company)、コハク酸d−α−トコフェロールポリエチレングリコール1000(ビタミンE TPGS、Eastman Chemical Company);Atmul(Witco ChemicalのHumko Chemical Division)等のモノ及びジグリセリドエステルの混合物;ステアロイル乳酸カルシウム;エトキシ化モノ及びジグリセリド;乳酸モノ及びジグリセリド;グリセリン及びプロピレングリコールの乳酸カルボン酸エステル;長鎖カルボン酸の乳酸エステル;長鎖カルボン酸のポリグリセロールエステル、長鎖カルボン酸のプロピレングリコールモノ及びジエステル;ステアロイル乳酸ナトリウム;ソルビタンモノステアレート;ソルビタンモノオレエート;他の長鎖カルボン酸のソルビタンエステル;サクシニル化モノグリセリド;クエン酸ステアリルモノグリセリル;ヘプタン酸ステアリル;蝋のセチルエステル;セテアリルオクタノエート;C10〜C30のコレステロール/ラボステロール(lavosterol)エステル;並びにスクロース長鎖カルボン酸エステルが挙げられる。さらに、蝋は、単独で又は好ましくは上記に列挙した物質と組み合わせて有用であり得る。これらの例は、白蝋、パラフィン、及びカルナウバ蝋である。
【0029】
薬物、ポリマー及び他の賦形剤は通常組み合わせられて、造粒液を使用して湿式造粒される。しかしながら、スラッギング及びローラー圧縮のような顆粒を形成する他の方法もまた、マトリックス顆粒を製造するのに使用することができる。マトリックス錠剤はまた、直接圧縮により作製され得る。湿式造粒では、通常の造粒液は、水、水及びアルコールの混合物、無水アルコールである。湿潤顆粒は、混合機、高せん断造粒機及び流動床造粒機のような任意の造粒装置で作製され得る。顆粒は、流動床乾燥機、炉、マイクロ波乾燥機等のような適切な乾燥設備で乾燥され得る。顆粒はまた、風乾させることもできる。乾燥顆粒は、特定の粒径分布を達成するように適切な粉砕装置を使用して粉砕することができる。顆粒は、カプセルへ充填することができるか、或いは他の賦形剤とブレンドして、錠剤成形機上で錠剤化することができる。顆粒はまた、スプリンクル(sprinkle)用途用にサシェへ包装することができる。錠剤化するのを助長するのに使用される他の賦形剤は当業者に周知であり、ステアリン酸マグネシウム、タルク、カボシル等が挙げられる。顆粒及び錠剤は、放出速度をさらに調節するのに必要に応じてコーティングされ得る。さらに、配合物はまた、必要に応じて色素を含有することができる。
【0030】
任意ではあるが、好ましくは、錠剤組成物は、1つ又は複数の潤滑剤を含有することができ、これは、適切な錠剤化を確実にするために添加され得る。潤滑剤の非限定的な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、ロイシン、ベヘン酸グリセリル、ソディウムステアリルフマレート、硬化植物油及び他の蝋(限定するものではないが、蜜蝋、カルナウバ蝋、セチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル及びステアリルアルコールを含む)が挙げられる。潤滑剤は存在する場合には通常、組成物の約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約3.0重量%の量で含まれる。
【0031】
オキサカルバゼピン投薬量は、錠剤、顆粒及びペレットへ製剤化され得る。これらの投薬形態の製造に含まれる工程は、当業者に周知である。簡潔に述べると、錠剤は、活性顆粒又は予め形成された顆粒を含有する圧縮性ブレンドから直接圧縮させることができる。錠剤は、コーティングしてもしなくてもよい。コーティングは任意に、放出の調節に影響を与え得る。顆粒は、高せん断造粒又は流動床加工により作製することができる。顆粒は、コーティングしてもしなくてもよい。ペレットは、糖球体のような不活性担体上での薬物積層により製造することができる。ペレットはまた、押出/球形化プロセスにより製造することができる。ペレットは、コーティングしてもしなくてもよい。コーティングされたペレット及び顆粒は、カプセルへ充填することができる。
【0032】
本発明の配合物はまた、ペレット化した形態で作製することができ、これは、カプセルへ充填され得るか、又はスプリンクル用途用にサシェ中で分散され得る。各ペレットは、薬物、膨潤性ポリマー(複数可)及び加工を助長する他の賦形剤で構成される。ペレットは、当業者に既知である多くの方法のうちの1つで調製され得る。これらとしては、例えば押出/球形化及びローラー圧縮(スラッギング)が挙げられる。押出/球形化技法では、薬物は、セルロース系ポリマーのような膨潤性ポリマー(複数可)及び他の賦形剤と混合される。続いて、ブレンドは、高せん断造粒機で造粒される。次に、湿塊を押出機に通過させて、球形化機(spheronizer)を使用して球形化する。続いて、ペレットを炉又は流動床加工機で乾燥させる。乾燥ペレットは、さらに加工されるか、或いはさらなる加工を伴わずにカプセル化される。
【0033】
別記しない限り、本明細書中で使用される技術用語及び科学用語は全て、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同義を有する。本明細書中で言及される刊行物、特許出願、特許及び他の参照文献は全て、それらの全体が参照により援用される。不一致である場合、定義を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方法及び実施例は例示的なものに過ぎず、限定するものとは意図されない。
【0034】
本発明はここで、以下の例示的な実施例を用いて詳細に記載されるが、本発明の範囲は、以下の例示される実施形態に限定されると意図されず、また限定されるべきものではない。
[実施例]
【実施例1】
【0035】
シグモイド放出プロファイルを有するオキサカルバゼピン配合物
第1表は、シグモイド放出プロファイルを有するオキサカルバゼピン制御放出製剤の配合組成を提供する。顆粒は、造粒液として無水エタノールを使用した高せん断造粒により調製された。ステアリン酸マグネシウムを除く全ての成分を、VG−65/10M高せん断造粒機へ装填した。乾燥粉末は、3分間ブレードを作動させることによりブレンドされ、その後、無水エタノールを、およそ40〜60gm/分の噴霧速度で混合ブレンド上へ噴霧した。約1分の噴霧後、VG−65/10M上のチョッパーを始動させて、噴霧全体にわたって作動させた。造粒がひとたび完了したら、造粒物はVG高せん断造粒機から排出されて、適切なトレイ上に広げられて、炉中に配置されて、40℃で24時間乾燥させた。或いは、顆粒は、流動床加工機を使用して乾燥させることができる。乾燥顆粒は、18メッシュスクリーンに通して篩過した。篩過された顆粒は、顆粒99.5%及びステアリン酸マグネシウム0.5%の比率でステアリン酸マグネシウムとブレンドした。続いて、ブレンドは、ロータリー式錠剤成形機上で錠剤化した。
【0036】
【表1】
【0037】
図1は、3つの例示的なオキサカルバゼピンCR配合物(CR−F、CR−M及びCR−S)の溶解プロファイルを示す。該プロファイルは、非ゼロ次放出を示した。
【実施例2】
【0038】
実施例1からのオキサカルバゼピンCR配合物のヒト薬物動態評価
実施例1からの3つの配合物をヒトにおいて評価して、薬物動態情報を得た。即時放出錠剤(Trileptal(登録商標)600mg)を対照参照として使用した。配合物は、健常なヒトボランティアにおいて無作為化単回投与交差研究で検査した。血液サンプルを、親分子オキサカルバゼピン及びその代謝産物(モノヒドロキシ誘導体、MHD)の両方に関して分析した。
【0039】
第2表は、MHDに関する平均PKパラメータを提供する。PKプロファイルは、図2及び図3に示される。
【0040】
【表2】
【実施例3】
【0041】
溶解度増強剤スクリーニング
賦形剤の存在下でのオキサカルバゼピンの溶解度を下記のように評価した。
【0042】
賦形剤をリン酸緩衝液中に溶解させて、第3表に示される濃度を有する溶液を作製した。次に、オキサカルバゼピン(oxcarbazepine)1グラムを、賦形剤溶液19gmと混合させた。混合物を室温で一晩振動させた後、0.22μmフィルタを使用して濾過した。濾液をHPLCで分析した。溶解度の結果は、第3表及び図4に与えられる。
【0043】
【表3】
【実施例4】
【0044】
増強投薬形態の配合
第4表及び第5表は、溶解度増強剤及び放出増強剤を含有する配合物の組成を提供する。顆粒は、造粒液として水を使用した高せん断造粒により製造された。ステアリン酸マグネシウムを除く全ての成分を、VG−65/10M高せん断造粒機へ装填した。乾燥粉末は、3分間ブレードを作動させることによりブレンドされ、その際、水を、およそ40〜60gm/分の噴霧速度で混合ブレンド上へ噴霧させた。約1分の噴霧後、VG−65/10M上のチョッパーを始動させて、噴霧全体にわたって作動させた。造粒がひとたび完了したら、造粒物はVG高せん断造粒機から排出されて、適切なトレイ上に広げられて、炉中に配置されて、40℃で24時間乾燥させた。或いは、顆粒は、流動床加工機を使用して乾燥させることができる。乾燥顆粒は、18メッシュスクリーンに通して篩過する。篩過された顆粒は、顆粒99.5%及びステアリン酸マグネシウム0.5%の比率でステアリン酸マグネシウムとブレンドした。続いて、得られたブレンドは、ロータリー式錠剤成形機上で錠剤化した。これらの配合物に関する溶解プロファイルは、図5及び図6に示される。
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【実施例5】
【0047】
実施例4(第4表)及び実施例1(SLI530CR−F)からの配合物に関するイヌPK研究
6匹の雄ビーグル犬に、第6表に付与される順に配合物を経口投薬した。血液を24時間にわたって採取して、血液サンプルをHPLCで分析した。データのノンコンパートメント解析を使用して、Tmax、Cmax、AUClast及びAUCinfを作成した。相対バイオアベイラビリティは、対照としてのCRf配合物に関するAUClast及びAUCinfを使用してExcelで算出した。オキサカルバゼピン及び10−ヒドロキシカルバゼピンに関するPKプロファイルは、図7及び図8で与えられる。
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【実施例6】
【0050】
オキサカルバゼピンXRの様々な放出プロファイルのコンピュータによるモデリング
コンピュータによるモデリングを、様々な仮想システムに関して実施した。結果は図9〜図11に示される。
【実施例7】
【0051】
実施例4からの溶解度増強オキサカルバゼピンCR配合物のヒト薬物動態評価
実施例4からの3つの溶解度増強プロトタイプをヒトにおいて評価して、薬物動態情報を得た。BID付与した即時放出錠剤(Trileptal(登録商標)300mg)を参照として使用した。配合物は、健常なヒトボランティアにおいて無作為化単回投与交差研究で検査した。血液サンプルを、親分子オキサカルバゼピン及びその代謝産物(モノヒドロキシ誘導体、MHD)の両方に関して分析した。
【0052】
第8表は、MHDに関する平均PKパラメータを提供する。PKプロファイルは、図12及び図13に示される。
【0053】
【表8】
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】溶解度/放出増強剤を含有しない3つの例示的な(CR−F、CR−M及びCR−S)オキサカルバゼピン配合物に関する溶解プロファイルを示す図である。該プロファイルは、遅れを伴う非ゼロ次放出を示す。CR−F、CR−M及びCR−S配合物に関するT80(in vitroで用量の80%が放出される時間)は、それぞれ2時間、5時間及び11時間であった。60RPMでUSP装置IIを使用した。溶解媒体は水中の1%SLSであった。
【図2】即時放出参照製品(Trileptal(登録商標)600mg)に対する実施例1の3つの例示的な制御放出配合物に関するオキサカルバゼピンについてのヒト薬物動態(PK)プロファイルを示す図である。各配合物の強度は、錠剤1つ当たりオキサカルバゼピン600mgである。
【図3】即時放出参照製品(Trileptal(登録商標)600mg)に対する実施例1の3つの例示的な制御放出配合物に関するオキサカルバゼピンの代謝産物(MHD)についてのPKプロファイルを示す図である。各配合物の強度は、錠剤1つ当たりオキサカルバゼピン600mgである。
【図4】選択した賦形剤を用いたオキサカルバゼピンの溶解度の結果を示す図である。
【図5】溶解度増強剤を伴うオキサカルバゼピンCR配合物(CRe)、溶解度増強剤を伴わないオキサカルバゼピンCR配合物(CR)及び実施例1で開発された「速い配合物」(CR−F)の溶解度プロファイルを示す図である。CRe、CR及びCR−Fに関する薬物の80%を溶解するための時間(T80)は、それぞれ5〜6時間、8時間及び1.5時間である。
【図6】溶解度/放出増強剤を含有する速い(CRe−F)オキサカルバゼピン配合物、中間(CRe−M)オキサカルバゼピン配合物及び遅い(CRe−S)オキサカルバゼピン配合物に関する溶解プロファイルを示す図である。CRe−F、CRe−M及びCRe−Sに関するT80は、それぞれ1.5時間、5時間及び8時間である。60RPMでUSP装置IIを使用した。溶解媒体は水中の1%SLSであった。
【図7】オキサカルバゼピンについてのイヌ薬物動態プロファイルを示す図であり、増強配合物(CRe)を、オキサカルバゼピンを含有する非増強配合物(CR及びCR−F)と比較する。
【図8】MHDについてのイヌ薬物動態プロファイルを示す図であり、増強配合物(CRe)を、オキサカルバゼピンを含有する非増強配合物(CR及びCR−F)と比較する。
【図9】1日2回の300mg IRに関するコンピュータによる予測PKプロファイルとともに、図8で示されるPKプロファイルを示す図である。
【図10】様々なin vitroでの放出プロファイルに関するコンピュータによる予測PKプロファイルを示す図である。
【図11】図10における系に関するコンピュータによる予測in vivo放出プロファイルを示す図である。
【図12】実施例4における3つのオキサカルバゼピンCR配合物(CRe−F、CRe−M、CRe−S)及びIR対照としてのTrileptal(登録商標)(BID投与)のMHDについての時間に対するヒト血漿濃度のプロファイルを示す図である。
【図13】実施例4における3つのオキサカルバゼピンCR配合物(CRe−F、CRe−M、CRe−S)及びIR対照としてのTrileptal(登録商標)(BID投与)のオキサカルバゼピンについての時間に対するヒト血漿濃度のプロファイルを示す図である。
【図14】実施例4に記載される3つの例示的な配合物(CRe−F、CRe−M及びCRe−S)に関するコンピュータによる予測定常状態血漿プロファイルを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキサカルバゼピン、少なくとも1つの溶解度増強剤及び少なくとも1つの放出促進剤を含むオキサカルバゼピンの1日1回投与用の薬学的配合物。
【請求項2】
前記溶解度増強剤が、界面活性剤、錯化剤、分子捕捉剤、pH調整剤及び水和促進剤を含む群から選択される、請求項1に記載の薬学的配合物。
【請求項3】
前記界面活性剤が、ソディウムドキュセート、ラウリル硫酸ナトリウム、ソディウムステアリルフマレート、ポリエチレンオキシド(PEO)変性ソルビタンモノエステル、脂肪酸ソルビタンエステル及びポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−(ポリ(エチレンオキシド))ブロック共重合体を含む群から選択される、請求項2に記載の薬学的配合物。
【請求項4】
前記放出促進剤が、pH依存性ポリマーを含む、請求項1に記載の薬学的配合物。
【請求項5】
膨潤性ポリマー及びゲル形成ポリマーを含む群から選択されるマトリックス形成ポリマーをさらに含む、請求項1に記載の薬学的配合物。
【請求項6】
前記さらなるポリマーが、セルロースポリマー、アルギン酸塩、ガム類、架橋ポリアクリル酸誘導体、カラギーナン;ポリビニルピロリドン及びその誘導体;ポリエチレンオキサイド;並びにポリビニルアルコールを含む群から選択される、請求項5に記載の薬学的配合物。
【請求項7】
pH依存性ポリマーが、4より低いpH値で元の状態(intact)を保ち、4よりも大きいpH値で溶解する、請求項4に記載の薬学的配合物。
【請求項8】
前記pH依存性ポリマーが、5よりも大きいpH値で溶解する、請求項7に記載の薬学的配合物。
【請求項9】
前記pH依存性ポリマーが、6よりも大きいpH値で溶解する、請求項7に記載の薬学的配合物。
【請求項10】
前記pH依存性ポリマーが、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネート、メチルセルロースフタレート、エチルヒドロキシセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルブチレートアセテート、ビニルアセテート−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸モノエステル共重合体、及びメチルアクリレート−メタクリル酸共重合体を含む群から選択される、請求項4に記載の薬学的配合物。
【請求項11】
前記放出促進剤の量が、投薬形態の10重量%〜90重量%であることができ、可溶化剤の量は、1重量%〜80重量%であることができる、請求項1に記載の薬学的配合物。
【請求項12】
前記放出促進剤の量が、前記投薬形態の30重量%〜70重量%であることができ、前記可溶化剤の量は、1重量%〜50重量%であることができる、請求項11に記載の薬学的配合物。
【請求項13】
前記オキサカルバゼピンの量が、約2μg/ml〜約10μg/mlの範囲でオキサカルバゼピンのモノヒドロキシ誘導体の定常状態血中レベルを生じるのに有効である、請求項1に記載の薬学的配合物。
【請求項14】
オキサカルバゼピンのモノヒドロキシ誘導体のCminとCmaxとの間での変動を最低限に抑えるのに有効な、請求項13に記載の薬学的配合物。
【請求項15】
MHDのCmaxレベルが、約6μg/ml〜約10μg/mlの範囲であり、MHDのCminレベルは、約2μg/ml〜約5μg/mlの範囲である、請求項14に記載の薬学的配合物。
【請求項16】
胃腸管において可変速度のオキサカルバゼピン放出を提供する、請求項1に記載の薬学的配合物。
【請求項17】
オキサカルバゼピンの低速度の放出、続く増大された速度を提供する、請求項16に記載の薬学的配合物。
【請求項18】
オキサカルバゼピンの初期即時放出様式、続く調節放出様式を提供する、請求項16に記載の薬学的配合物。
【請求項19】
前記調節放出様式が、遅延放出様式、持続放出様式、並びにそれぞれが異なる放出速度を特徴とする任意数の遅延放出様式及び持続放出様式の組合せを含む群から選択される、請求項18に記載の薬学的配合物。
【請求項20】
1つの投薬単位において調節放出様式を有する多重単位を組み合わせる、請求項16に記載の薬学的配合物。
【請求項21】
前記調節放出様式が、遅延放出様式、持続放出様式、並びにそれぞれが異なる放出速度を特徴とする任意数の遅延放出様式及び持続放出様式の組合せを含む群から選択される、請求項20に記載の薬学的配合物。
【請求項22】
前記単位は、(ミニ)ペレット、(ミニ)顆粒、(ミニ)錠剤及び層の形態である、請求項21に記載の薬学的配合物。
【請求項23】
ペレット、錠剤、顆粒又はカプセルの形態である、請求項1に記載の薬学的配合物。
【請求項1】
オキサカルバゼピン、少なくとも1つの溶解度増強剤及び少なくとも1つの放出促進剤を含むオキサカルバゼピンの1日1回投与用の薬学的配合物。
【請求項2】
前記溶解度増強剤が、界面活性剤、錯化剤、分子捕捉剤、pH調整剤及び水和促進剤を含む群から選択される、請求項1に記載の薬学的配合物。
【請求項3】
前記界面活性剤が、ソディウムドキュセート、ラウリル硫酸ナトリウム、ソディウムステアリルフマレート、ポリエチレンオキシド(PEO)変性ソルビタンモノエステル、脂肪酸ソルビタンエステル及びポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−(ポリ(エチレンオキシド))ブロック共重合体を含む群から選択される、請求項2に記載の薬学的配合物。
【請求項4】
前記放出促進剤が、pH依存性ポリマーを含む、請求項1に記載の薬学的配合物。
【請求項5】
膨潤性ポリマー及びゲル形成ポリマーを含む群から選択されるマトリックス形成ポリマーをさらに含む、請求項1に記載の薬学的配合物。
【請求項6】
前記さらなるポリマーが、セルロースポリマー、アルギン酸塩、ガム類、架橋ポリアクリル酸誘導体、カラギーナン;ポリビニルピロリドン及びその誘導体;ポリエチレンオキサイド;並びにポリビニルアルコールを含む群から選択される、請求項5に記載の薬学的配合物。
【請求項7】
pH依存性ポリマーが、4より低いpH値で元の状態(intact)を保ち、4よりも大きいpH値で溶解する、請求項4に記載の薬学的配合物。
【請求項8】
前記pH依存性ポリマーが、5よりも大きいpH値で溶解する、請求項7に記載の薬学的配合物。
【請求項9】
前記pH依存性ポリマーが、6よりも大きいpH値で溶解する、請求項7に記載の薬学的配合物。
【請求項10】
前記pH依存性ポリマーが、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネート、メチルセルロースフタレート、エチルヒドロキシセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルブチレートアセテート、ビニルアセテート−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸モノエステル共重合体、及びメチルアクリレート−メタクリル酸共重合体を含む群から選択される、請求項4に記載の薬学的配合物。
【請求項11】
前記放出促進剤の量が、投薬形態の10重量%〜90重量%であることができ、可溶化剤の量は、1重量%〜80重量%であることができる、請求項1に記載の薬学的配合物。
【請求項12】
前記放出促進剤の量が、前記投薬形態の30重量%〜70重量%であることができ、前記可溶化剤の量は、1重量%〜50重量%であることができる、請求項11に記載の薬学的配合物。
【請求項13】
前記オキサカルバゼピンの量が、約2μg/ml〜約10μg/mlの範囲でオキサカルバゼピンのモノヒドロキシ誘導体の定常状態血中レベルを生じるのに有効である、請求項1に記載の薬学的配合物。
【請求項14】
オキサカルバゼピンのモノヒドロキシ誘導体のCminとCmaxとの間での変動を最低限に抑えるのに有効な、請求項13に記載の薬学的配合物。
【請求項15】
MHDのCmaxレベルが、約6μg/ml〜約10μg/mlの範囲であり、MHDのCminレベルは、約2μg/ml〜約5μg/mlの範囲である、請求項14に記載の薬学的配合物。
【請求項16】
胃腸管において可変速度のオキサカルバゼピン放出を提供する、請求項1に記載の薬学的配合物。
【請求項17】
オキサカルバゼピンの低速度の放出、続く増大された速度を提供する、請求項16に記載の薬学的配合物。
【請求項18】
オキサカルバゼピンの初期即時放出様式、続く調節放出様式を提供する、請求項16に記載の薬学的配合物。
【請求項19】
前記調節放出様式が、遅延放出様式、持続放出様式、並びにそれぞれが異なる放出速度を特徴とする任意数の遅延放出様式及び持続放出様式の組合せを含む群から選択される、請求項18に記載の薬学的配合物。
【請求項20】
1つの投薬単位において調節放出様式を有する多重単位を組み合わせる、請求項16に記載の薬学的配合物。
【請求項21】
前記調節放出様式が、遅延放出様式、持続放出様式、並びにそれぞれが異なる放出速度を特徴とする任意数の遅延放出様式及び持続放出様式の組合せを含む群から選択される、請求項20に記載の薬学的配合物。
【請求項22】
前記単位は、(ミニ)ペレット、(ミニ)顆粒、(ミニ)錠剤及び層の形態である、請求項21に記載の薬学的配合物。
【請求項23】
ペレット、錠剤、顆粒又はカプセルの形態である、請求項1に記載の薬学的配合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−535351(P2009−535351A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507891(P2009−507891)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/066643
【国際公開番号】WO2007/127630
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(506339316)スパーナス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/066643
【国際公開番号】WO2007/127630
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(506339316)スパーナス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】
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