説明

シフトレバー構造

【課題】 シフトレバーの設置位置を調節可能にし、操作性の向上等を図る。
【解決手段】
車両内装の1つであるコンソール10の本体11の上面に開口部11aを形成する。これにレバーベース13を上方へ突出可能に嵌め込む。このレバーベース13にてシフトレバー20をシフト操作可能に支持させる。シフトレバー20のシフト位置は電気的に処理し変速機の制御を行なう。レバーベース13は、後端部を軸にしてコンソール本体11の上面に沿う第1位置と、前端部が上に傾いた第2位置との間で角度調節可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、変速機に電気的に連繋されたシフトレバーに関し、特にその設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に車両のシフトレバーと変速機は機械的に連携されている。シフトレバーの設置箇所は固定されており、運転者との位置関係を調節することはできない。
【特許文献1】特開2002−274209
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、シフトレバーと変速機が電気的に連携された車両も登場している。これは、シフトレバーのシフト位置を電気信号にし、この電気信号に基づいて変速機を制御するようになっている。このような電気的連携構造であれば、シフトレバーの設置箇所を位置調節することも容易と考えられる。そうすると、シフト操作の頻度等の状況に合わせて運転者に近づけたり遠ざけたりでき、運転席のまわりの雰囲気をアレンジすることもでき、利便性が高まるものと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記考察に鑑みてなされたものであり、
車室の内装に設けられたシフトレバーのシフト位置を電気信号にし、この電気信号に基づいて変速機を制御する車両において、
前記内装が、内装本体と、レバーベースとを有し、
このレバーベースが、前記シフトレバーをシフト操作可能に支持するとともに、位置調節機構を介して前記内装本体に位置調節可能に組み込まれているシフトレバー構造を特徴とする。
【0005】
前記内装は、例えばコンソールであり、内装本体であるコンソール本体の上面に開口部が形成され、この開口部にレバーベースが上方へ突出可能に嵌め込まれている。
前記レバーベースの位置調節の態様として、前記レバーベースが、後端部を軸にして前記コンソール本体の上面に沿う第1位置と、前端部が上に傾いた第2位置との間で角度調節可能になっていてもよい。
【0006】
前記レバーベースの位置調節機構が、レバーベースを動かすステッピングモータと、このステッピングモータの操作ボタンとを含むことが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シフト操作の頻度等の状況に合わせてシフトレバーを運転者に近づけたり遠ざけたりすることができ、操作性を向上できるとともに、運転席のまわりをタイトにしたり余裕を持たせたりするなどのアレンジを容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、車両の室内を示したものである。同図において、符号1は、車室の前部に設けられたインストルメントパネルであり、符号2は、ハンドルであり、符号3は、運転席のシートである。
【0009】
運転席と助手席(図1において紙面手前)の間にコンソール10(内装)が設けられている。コンソール10は、コンソール本体11(内装本体)と、このコンソール本体11の後部の収容部を塞ぐ蓋12と、レバーベース13とを有している。コンソール本体11の上面には開口11aが形成されている。この開口11aにレバーベース13が嵌め込まれている。
【0010】
レバーベース13にシフトレバー20がシフト操作可能に立設されている。すなわち、シフトレバー20は、レバーベース13に対し前後方向等へスライドしたり倒れたりすることにより、シフト位置を数段階にわたって変えることができるようになっている。シフトレバー20の基端部にはシフト位置検出器21が設けられている。この検出器21によってシフトレバー20のシフト位置が検出されるようになっている。検出器21からリード線等からなる電気信号線22が延び、この電気信号線22が制御装置(図示省略)に接続されている。検出器21によるシフト位置検出信号が、電気信号線22を伝って制御装置へ入力されるようになっている。制御装置は、この入力信号に基づいて車両の変速機(図示省略)を制御するようになっている。
【0011】
図2に示すように、コンソール10のレバーベース13は、下面開口の箱状をなしている。図1に示すように、レバーベース13の後端部は、角度調節機構30(位置調節機構)を介してコンソール本体11に角度調節可能(位置調節可能)に連結されている。角度調節機構30は、ステッピングモータ31(回転駆動部)を含んでいる。このステッピングモータ31が、レバーベース13の取り付け軸32に連結されている。ステッピングモータ31の回転軸と取り付け軸32は、直接的に連結されていてもよく、減速機構を介して連結されていてもよい。取り付け軸32は、車両の左右方向(図1の紙面直交方向)に延びている。ステッピングモータ31の駆動によって、レバーベース13が、取り付け軸32を中心にして上下に回動し、コンソール本体11の上面と面一の水平をなす第1位置(図1の実線)と、前端部が上に所定角度傾いた第2位置(図1の仮想線及び図3)との間で角度調節されるようになっている。このレバーベース13の角度調節に伴い、シフトレバー20が上がり下がりすることになる。
【0012】
インストルメントパネル1には、レバーベース昇降操作ボタン33が設けられている。この操作ボタン33によってステッピングモータ31をオン・オフさせることができ、ひてはレバーベース13を所望の角度にでき、シフトレバー20を所望の高さにできるようになっている。
【0013】
上記構成のシフトレバー構造によれば、例えば、頻繁にシフト操作が必要なときは、図3に示すようにレバーベース13を上傾させ第2位置などにする。これにより、シフトレバー20を運転者の脇に近づけることができ、操作性を向上させることができる。また、タイトなコックピット感覚を演出することができる。一方、例えば、高速道路走行時のようにシフト操作の頻度が少ないときは、図1の実線に示すようにレバーベース13を第1位置にする。これによりシフトレバー20を運転者から遠ざけ、ゆったりとしたシフト操作を可能にするとともに、車室空間に余裕を持たせることができる。
【0014】
レバーベース13ひいてはシフトレバー20の昇降動作は電動のステッピングモータ31にて行なうことができるので、運転者は操作ボタン33を押すだけでよく、負担が殆どかからない。また、水平な第1位置(図1の実線)と上傾した第2位置(図3)との間で微妙な高さ調節も可能になる。
【0015】
シフトレバー20と変速機は電気信号線22によって電気的に連繋されているのみであり、シフトレバー20の昇降に対しては電気信号線22が屈伸して簡単に追随できる。したがって、構成が複雑化することはない。
【0016】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の改変をなすことができる。
例えば、シフトレバーの設置される車両内装は、コンソールに限られず、インストルメントパネル等であってもよい。
レバーベースは、上下方向に限られず、左右方向に位置調節されるようになっていてもよい。
レバーベースは、回転移動に限られず平行移動されるようになっていてもよく、回転移動と平行移動を組み合わせた動作をするようになっていてもよい。
レバーベースの位置調節は、ステッピングモータに代えて他の駆動手段で行なうようになっていてもよく、電動等の自動式に代えて手動で行なうようになっていてもよい。
レバーベースの位置調節用の操作ボタンは、インストルメントパネルに限られず、コンソールに配置してもよく、その他の箇所に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を、レバーベースが第1位置の状態で示す車両の室内の概略側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿うコンソールの正面断面図である。
【図3】上記車室を、レバーベースが第2位置の状態で示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 インストルメントパネル
2 ハンドル
3 運転席のシート
10 コンソール(シフトレバーの設置される車両内装)
11 コンソール本体(内装本体)
11a 開口
12 蓋
13 レバーベース
20 シフトレバー
21 シフト位置検出器
22 電気信号線
30 角度調節機構(位置調節機構)
31 ステッピングモータ(駆動手段)
32 取り付け軸
33 レバーベース昇降操作ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の内装に設けられたシフトレバーのシフト位置を電気信号にし、この電気信号に基づいて変速機を制御する車両において、
前記内装が、内装本体と、レバーベースとを有し、
このレバーベースが、前記シフトレバーをシフト操作可能に支持するとともに、位置調節機構を介して前記内装本体に位置調節可能に組み込まれていることを特徴とするシフトレバー構造。
【請求項2】
前記内装がコンソールであり、コンソール本体の上面に開口部が形成され、この開口部にレバーベースが上方へ突出可能に嵌め込まれていることを特徴とする請求項1に記載のシフトレバー構造。
【請求項3】
前記レバーベースが、後端部を軸にして前記コンソール本体の上面に沿う第1位置と、前端部が上に傾いた第2位置との間で角度調節可能であることを特徴とする請求項2に記載のシフトレバー構造。
【請求項4】
前記レバーベースの位置調節機構が、レバーベースを動かすステッピングモータと、このステッピングモータの操作ボタンとを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のシフトレバー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−306189(P2006−306189A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129009(P2005−129009)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000100366)しげる工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】