シミュレーション装置、シミュレーション方法及び記憶媒体
【課題】 画像入力装置の試作回数を少なくし、製品化における開発期間及びコストを有効に削減すると共に、画像入力装置の画像品質をより向上させる。
【解決手段】 被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像21を対象として、光源7、光学系22、撮像素子6の条件及び光学系走査条件を任意に設定する画像入力条件設定機能31と、入力画像24の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定機能32と、光学系後段の撮像素子直前画像23を算出する撮像素子直前画像算出機能34a及び撮像素子6に入射して得られる入力画像24を算出する撮像素子入射画像算出機能34bとを有する入力画像算出機能34と、入力画像24を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号25を生成する信号処理機能35とを備えた。
【解決手段】 被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像21を対象として、光源7、光学系22、撮像素子6の条件及び光学系走査条件を任意に設定する画像入力条件設定機能31と、入力画像24の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定機能32と、光学系後段の撮像素子直前画像23を算出する撮像素子直前画像算出機能34a及び撮像素子6に入射して得られる入力画像24を算出する撮像素子入射画像算出機能34bとを有する入力画像算出機能34と、入力画像24を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号25を生成する信号処理機能35とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像入力装置、特に光学系や原稿台が走査することで2次元の画像を取得する機械動作を含んだ画像入力装置、例えば、フラットベットスキャナの開発設計評価において有用なシミュレーション装置、シミュレーション方法及び記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】フラットベットスキャナの画像処理ソフトウエア開発に際しては、製品であるフラットベットスキャナが試作されないと処理対象の取得画像を事前に入手出来ず、その結果、ソフトウエアの評価やパラメータの設定が出来ないので、開発期間の短縮や最適化が難しいという問題があった。
【0003】また、試作機を対象に取得画像を得る場合、任意の原稿に対して固有のバラツキを意図的に発生させるのは困難であるため、画像品質に直結するバラツキの除去を目的とした画像処理の効果を確認出来ないという問題があった。
【0004】より高画質に画像を取得出来るスキャナを意図した設計を行う場合、任意の原稿画像に対して予め目標とする取得画像を決定し、前記取得画像を達成するために、スキャナを構成する各要素に対して設計仕様を算出することが出来ないので、試作機で各構成要素の評価をするしかない。しかも設計値がクリアされていても、画像品質が目標に達していなければ、試作が繰り返されることになり、多くの開発時間とコストが費やされることになる。一方、試作回数を削減すると、開発期間の短縮やコスト低減に大きく貢献出来るが、設計変更を行った部分の効果の確認を十分に行うことが出来ないという問題が生じる。
【0005】このような問題を解決するシミュレーション装置に関しては、特開平7−151548号公報に記載の「電子撮像装置のシミュレーション方法及び装置」が既に提案されている。当該発明は、撮像素子と光学系と処理回路を有する電子撮像装置を対象にシミュレーションする方法及び装置に関するもので、任意の被写体に対する取得画像の算出を行うことが出来る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、光学系及び原稿台の走査によって画像を取得するときの機械要素の影響に関しては触れられていない。しかし、フラットベットスキャナのような実際の画像入力装置では、光学系あるいは原稿台の走査に伴って発生する振動などの機械要素が取得画像に影響を与えるため、シミュレーションを行う上でも機械要素の影響を考慮した形で行う必要がある。
【0007】また、この技術では、被写体の像の強度分布を光学系の結像性能と被写体の理想結像との畳み込み積分により求めているが、実際の画像入力装置では、振動などの機械的要因から光学系の結像性能が像面上で異なる場合があり、それぞれの計算を区分的に行ったとしても、精度が得られない。
【0008】本発明は、画像入力装置の試作回数を少なくし、製品化における開発期間及びコストを有効に削減すると共に、画像入力装置の画像品質をより向上させる画像入力装置のシミュレーション装置、シミュレーション方法及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記光源と光学系が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション装置において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び光学系走査条件を任意に設定する画像入力条件設定機能と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定機能と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出機能及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出機能とを有する入力画像算出機能と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理機能とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】また請求項2記載の発明は、請求項1記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記光源と光学系の走査時の照明位置による光源の照度分布強度に基づき、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0011】また請求項3記載の発明は、請求項1記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記光源と光学系の走査時の光源の照度分布曲線を変更して、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0012】また請求項4記載の発明は、請求項1記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、主波長と周辺波長の照度分布データを用意し、対応する照度分布データを使用して前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0013】また請求項5記載の発明は、請求項2〜4記載のシミュレーション装置において、光線追跡を用いて撮像素子直前画像上の画素と理想画像上の対応する画素とを関係付けることによって、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0014】また請求項6記載の発明は、請求項5記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像を記憶する機能を持ち、撮像素子直前画像上の1画素の光強度を計算するに際し、記憶された周囲の光強度データを含めることを特徴とするものである。
【0015】また請求項7記載の発明は、任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記光源と光学系が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション方法において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び光学系走査条件を任意に設定する画像入力条件設定工程と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定工程と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出工程及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出工程とを有する入力画像算出工程と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理工程とを有することを特徴とするものである。
【0016】また請求項8記載の発明は、請求項1記載のシミュレーション装置が実行するプログラムを記述したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関するものである。
【0017】また請求項9記載の発明は、任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記被写体を保持している原稿台が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション装置において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び原稿台走査条件を任意に設定する画像入力条件設定機能と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定機能と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出機能及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出機能とを有する入力画像算出機能と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理機能とを備えたことを特徴とするものである。
【0018】また請求項10記載の発明は、請求項9記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記原稿台の走査時の照明位置による光源の照度分布強度に基づき、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0019】また請求項11記載の発明は、請求項9記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記原稿台の走査時の光源の照度分布曲線を変更して、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0020】また請求項12記載の発明は、請求項9記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、主波長と周辺波長の照度分布データを用意し、対応する照度分布データを使用して前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0021】また請求項13記載の発明は、請求項10〜12記載のシミュレーション装置において、光線追跡を用いて撮像素子直前画像上の画素と理想画像上の対応する画素とを関係付けることによって、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0022】また請求項14記載の発明は、請求項13記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像を記憶する機能を持ち、撮像素子直前画像上の1画素の光強度を計算するに際し、記憶された周囲の光強度データを含めることを特徴とするものである。
【0023】また請求項15記載の発明は、任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記被写体を保持している原稿台が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション方法において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び原稿台走査条件を任意に設定する画像入力条件設定工程と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定工程と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出工程及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出工程とを有する入力画像算出工程と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理工程とを有することを特徴とするものである。
【0024】また請求項16記載の発明は、請求項9記載のシミュレーション装置が実行するプログラムを記述したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関するものである。
【0025】請求項1、7及び請求項9、15記載の発明では、理想画像から任意の条件の入力画像が生成されるので、特に画像入力装置の実物を製作することなく、任意の被写体に対する画像が入手される。また、光学系の組み付け誤差や光学系の収差による画像の乱れを事前に予測でき、模擬実験することでチューニング出来るので、開発期間が短縮される。
【0026】請求項2及び請求項10記載の発明では、任意の被写体を照明する光源の照度分布を考慮して光学系を通した後の画像を評価することが出来るので、光源種類の変更や光源の経時変化の影響がシミュレーションされる。また、走査位置ずれ、設定位置ずれによる変動にも対応する。
【0027】請求項3及び請求項11記載の発明では、任意の被写体を照明する光源の照度分布曲線を変更して光学系を通した後の撮像素子直前画像を評価することが出来るので、時間的な照度分布変化にも対応する。
【0028】請求項4及び請求項12記載の発明では、主波長と周辺波長における照度分布データを考慮して光学系を通した後の画像を評価することが出来るので、より現実的な計算が行われる。また複数波長での計算が出来るので、輝線成分を含む光源においても精度の高いシミュレーションが行われる。
【0029】請求項5及び請求項13記載の発明では、光線追跡を用いて理想画像と撮像素子直前画像との位置関係を正確に求めることが出来るので、撮像素子直前画像上における任意の1画素の光強度が正確に計算される。また、機械的な振動の影響もシミュレーションされる。
【0030】請求項6及び請求項14記載の発明では、撮像素子直前画像上における任意の1画素の光強度を計算するために、その周辺の光強度データを含めるので、周囲からの光の影響を考慮して計算が行われる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。図1はフラットベットスキャナの第1の例を示す透視斜視図、図2は同じく側面図である。原稿1を載置するコンタクトガラス2の下方には、第1の走査体3、第2の走査体4、レンズ5、1次元撮像素子6が配置されている。第1の走行体3は、光源7、リフレクター8、折り返しミラー9を有している。また第2の走行体4は、折り返しミラー10を有している。第1、第2の走行体3、4は、モータ11の駆動力を駆動伝達ベルト12を介して受けるようになっている。
【0032】光源7の光はリフレクター8を介してコンタクトガラス2の撮像領域13に照射され、その反射光が第1の走行体3、第2の走行体4を経てレンズ5に入射される。そして、レンズ5によって1次元撮像素子6面に結像し、1次元撮像素子6が撮像領域13の画像を1次元に取得する。
【0033】第1の走行体3、第2の走行体4は、モータ11による駆動を駆動伝達ベルト12を通じて受け、レンズ5の結像位置が1次元撮像素子6面になる状態を保ちながら、コンタクトガラス2の下面を図において左右方向に走行する。この過程で原稿1の画像が1次元撮像素子6にて2次元に取得される。
【0034】通常撮像素子として1次元CCDが用いられ、レンズ5はコンタクトガラス2上の原稿1を縮小して1次元撮像素子6上に結像している(縮小光学系)。つまり、CCDの画像解像度と、フラットベットスキャナ自身の持つ画像解像度は一致しない。通常、フラットベットスキャナの画像解像度は、DPI(ドット/インチ)で表され、300〜800DPI程度が大半である。
【0035】図3はフラットベットスキャナの第2の例を示す透視斜視図、図4は同じく側面図である。図1、図2に示す第1の例では、第1、第2の走行体(光学系)3、4が走行して原稿1を走査する型式を示したが、図3、図4に示す第2の例のフラットベットスキャナは光学系が固定であり、コンタクトガラス2を保持する透明な原稿台14がモータ11の駆動力を駆動伝達ベルト12を介して受けて、図面において左右に移動する原稿台駆動型のスキャナである。
【0036】本発明の第1の実施の形態を説明する。図5R>5はシミュレーションの基本概念図、図6は同じくシミュレーション装置の機能ブロック図である。図5に示すように、最初に理想画像21とする被写体を選定する。これ以降は基本的に被写体が2次元画像であると想定して説明する。被写体が写真原稿であれば、例えば、高解像度スキャナなどで読み取ったデータなどである2次元データ配列を理想画像21とする。また、印刷原稿であれば、高解像度スキャナで読み取っても良いし、印刷時のデジタル信号でも良い。また、特定のパターンによる画像であれば、ソフトウエア上で作成しても良い。光学系22の光学特性を表すデジタルデータは反射率などである。この分光波長特性は被写体がモノクロ画像であればフラットである。
【0037】図6に示すシミュレーション装置の機能ブロック図に基づいて、図5も参照しながら基本的な処理の流れを説明する。シミュレーション条件設定工程として、照明(光源)、光学系、撮像素子の各条件及び光学系走査条件(図1、図2のスキャナの場合)、原稿台走査条件(図3、図4のスキャナの場合)等の設定を行う画像入力条件設定機能31により画像入力条件設定工程を実施する。また、信号処理条件設定機能32により信号処理条件設定工程を実施する。両工程はそれぞれ単独に行われる。
【0038】これらは一連のシミュレーション処理内にて実施しても良いが、特に、複数回シミュレーションを連続して実施する場合などは、特に条件を変えなければ毎回実施しなくても良い構成とする。
【0039】次にシミュレーション工程として、まず理想画像設定機能33により理想画像21を設定する。次に画像入力条件設定機能31により設定された条件に従って、入力画像算出機能34により入力画像24の算出工程を実施する。入力画像算出機能34においてまず撮像素子直前画像算出機能34aにより光学系22の後段の撮像素子直前画像23を出力する。
【0040】次に撮像素子入射画像算出機能34bにより1次元撮像素子6に入射して得られる、1次元撮像素子6後段の入力画像24を算出する。最後に信号処理条件設定機能32によって設定された条件に基づいて信号処理機能35により画像信号25を生成する。
【0041】次に第2の実施の形態を説明する。図7は第2の実施形態における光源照度分布図、図8は同じく理想画像から撮像素子直前画像を算出する場合の概念図である。理想画像21から撮像素子直前画像22を算出する方法について説明する。理想画像21面は光源7によって照明されている。この光源7の光はハロゲンランプやキセノンランプのようなインコヒーレント光である。光源7から放射される1次光は光源の種類に依存した照度分布を持つ。この照度分布は、主走査方向に関しては基本的には一様だが、予め照度分布を計測することでシェーディング補正することが行われている。
【0042】副走査方向に関しては、図7に示すような光源照度分布を持つ。実際の画像入力装置では、(1)振動などの機械要素による影響、(2)光学系の設定位置ずれ、例えば、ミラーの倒れなどによる影響、から走査のタイミングによって走査位置により照度が異なることがある。図7において符号Aは走査1の照度、符号Bは走査2の照度である。
【0043】そこで予め光源7に応じた照度分布データを記憶しておき、これらの影響によって生じた副走査方向の位置変動による照度変化を前記照度分布データから求め、この変化割合を理想画像21からの反射光に反映させる。また、光源7の照度分布は常に一定とは限らず、時間的に変動する場合もある。そこで照度分布データを複数記憶しておき、走査毎に参照する照度分布を変えられるようにすることも出来る。
【0044】次に第3の実施の形態を説明する。図9、図10、図11、図12は理想画像から撮像素子直前画像を算出する際の点像強度分布の合成過程を説明する概念図である。図1、図2に示す画像入力装置は走行体3、4(光学系22)が走査することで、また、図3、図4に示す画像入力装置は原稿台14が走行することで、2次元の画像を取得しているので、単純に理想画像21から光学系22を介した撮像素子直前画像23を点像強度分布PSF(Point Spread Function)等を利用して算出する訳ではない。
【0045】撮像素子直前画像23内で1次元撮像素子6と同一方向の注目画素列(図9)を算出する場合、その時点での走査中の光学系22あるいは理想画像21を想定し、光学系22の構成要素である光源7から照射された1次光が理想画像21の各画素に到達してここで反射し、撮像素子直前画像23上に到達する2次光を、PSFデータを用いて撮像素子直前画像23の各画素毎に算出し、これに対して畳み込み積分を実行することで、注目画素列内の各画素データを順次算出する。
【0046】注目画素列を算出する場合、注目画素列に対応する理想画像21内の注目画素列とその近辺の画素から簡易的に算出する。中心画素列を決定するのには、注目画素列を起点とする光線追跡手法などを用いる。注目画素列のある一点を注目画素とし、そこから主光線を発射する。主光線は光学系22を通過して理想画像21のある座標に到達する。この座標を中心画素とする。ここは注目画素データに最も影響する画像データである(図9参照)。
【0047】(1)次に中心画素から主光線を発射する。主光線は光学系22を通過して撮像素子直前画像23の注目画素に到達する。ここで注目画素を中心としたPSFを計算する(図10参照)。このとき中心画素の座標での理想画像21及び光源照度を考慮してPSFを計算する。光源照度をD(δ)とする。δは副走査方向の走査位置ずれ量である。中心画素から発射される光強度は、理想画像21の光強度分布をR(u)とすると、以下のように表すことが出来る。
f(u)=R(u)D(δ)
ここで、uは中心画像の座標ベクトルである。
【0048】(2)第2出射光束を中心画素から発射する。この光束は主光線から僅かに主走査方向へ角度を持っている。この光束は、注目画素から1画素離れた場所に当たり、この場所で主光線と同様にPSFを計算する。同様に中心画素から光束を発射し、注目画素周辺のPSFを計算する(図11参照)。
【0049】(3)中心画素から副走査方向に1画素離れた位置から注目画素に向かって光束を発射し、そこでのPSFを計算する。同様に、中心画素の周辺から光束を発射し、注目画素でのPSFを計算していく(図11参照)。以上の(1)〜(3)で計算された注目画素上での強度分布を合成する(図12参照)。
【0050】注目画素の座標ベクトルをxとすると、注目画素でのPSF h(x)を用いて、注目画素での光強度分布g(x)はf(u)とg(x)の畳み込み積分を行い、以下のように表すことが出来る。
g(x)=f(u)・h(x)=∬f(u)h(x−u)duこのような合成作業は注目画素で影響が及ぶ範囲で実行される。影響の及ぶ範囲は撮像素子直前画像23のデフォーカス量、光学系の収差によって変化する。
【0051】主走査方向の計算されたPSFは、同じ1ライン上の計算においては条件が同じであるので、計算結果を記憶しておくことで、強度分布の計算に用いることが出来る。しかし、中心画素から副走査方向にずれた位置から計算されたPSFは、走査毎で光源の照度分布が異なる場合があるため、各ラインの計算毎に改めて計算し直す必要がある。
【0052】図13は主走査1ライン分の点像強度の計算例を示すフローチャートである。光学条件設定(S1)は、レンズ面曲率半径やレンズ位置、レンズ面間隔、レンズ屈折率、光学系構成部材の分光透過率、光源7の分光強度、照度分布、1次元撮像素子6の分光感度等である。またこれに加えて途中に設置するミラー等の光学特性を加えても良い。
【0053】理想画像位置設定(S2)は、元となる画像の初期位置である。撮像素子位置設定(S3)は、撮像素子直前画像23の位置を定義するものである。この値を変化させることで、結像関係におけるデフォーカス量を定義することが出来る。ここまでの設定はシミュレーションの前提条件となる。
【0054】次に注目画素位置の設定を行う(S4)。これは振動などの機械的要因によって走査ライン毎に変化する。この値によって光束の出射位置が決定するとともに光源の照度分布により画像の強度が変化する。中心画素計算(S5)では、光線追跡によって注目画素位置から光束を発射して計算された理想画像21上の中心画素位置が計算される。この位置から光束を発射して光線追跡が実行される(S6)。そして注目画素上でのPSFが計算される(S7)。
【0055】S8で注目画素周辺全ての計算を終えたかどうかをチェックし、まだ終わっていなければ、次の画素での光線追跡を実行する(S9)。全ての周辺画素での計算を終えたら、注目画素での合成強度分布を計算する(S10)。
【0056】次にS11で1ライン全ての計算が終了したかどうかを判定し、まだ終了していなければ、次の注目画素位置を設定し(S12)、再び計算を行う。1ライン全ての計算が終了したら、計算結果を出力して(S13)、終了する。
【0057】次に第4の実施の形態を説明する。図14は撮像素子直前画像を算出する際の総合分光感度ピーク設定の第1の例を示す図、図15は同じく第2の例を示す図である。図14では被写体の分光反射率と光源7の分光強度、1次元撮像素子6の分光感度、光学系22の分光透過率から総合分光感度のピークを主波長として計算を行う。しかし、光源7として蛍光灯やキセノンランプのような輝線成分が多い光源を使用した場合、計算される主波長領域と輝線成分のピークがずれる場合がある。
【0058】この場合には図15に示すように、主波長からある程度離れていて、ある程度の感度特性が得られる周辺波長を選定して計算を行っても良い。この場合、主波長と周辺波長では、光源7の照度分布曲線も異なる場合があるので、各走査時に考慮する照度分布データも波長毎に複数用意しておき、それぞれの波長での計算時に、対応する照度分布データを使用して計算を実行する。最終的な注目画素での強度分布は、主波長と周辺波長での強度分布を加算することで計算される。
【0059】
【発明の効果】請求項1、7及び請求項9、15記載の発明によれば、理想画像から任意の条件の入力画像が生成されるので、特に画像入力装置の実物を製作することなく、任意の被写体に対する画像を入手することが出来る。また、光学系の組み付け誤差や光学系の収差による画像の乱れを事前に予測でき、模擬実験することでチューニング出来るので、開発期間を短縮することが出来る。
【0060】請求項2及び請求項10記載の発明によれば、任意の被写体を照明する光源の照度分布を考慮して光学系を通した後の画像を評価することが出来るので、光源種類の変更や光源の経時変化の影響をシミュレーションすることが出来る。また、走査位置ずれ、設定位置ずれによる変動にも対応することが出来る。
【0061】請求項3及び請求項11記載の発明によれば、任意の被写体を照明する光源の照度分布曲線を変更して光学系を通した後の撮像素子直前画像を評価することが出来るので、時間的な照度分布変化にも対応することが出来る。
【0062】請求項4及び請求項12記載の発明によれば、主波長と周辺波長における照度分布データを考慮して光学系を通した後の画像を評価することが出来るので、より現実的な計算を行うことが出来る。また複数波長での計算が出来るので、輝線成分を含む光源においても精度の高いシミュレーションを行うことが出来る。
【0063】請求項5及び請求項13記載の発明によれば、光線追跡を用いて理想画像と撮像素子直前画像との位置関係を正確に求めることが出来るので、撮像素子直前画像上における任意の1画素の光強度を正確に計算することが出来る。また、機械的な振動の影響もシミュレーションすることが出来る。
【0064】請求項6及び請求項14記載の発明によれば、撮像素子直前画像上における任意の1画素の光強度を計算するために、その周辺の光強度データを含めるので、周囲からの光の影響を考慮して計算を行うことが出来る。
【0065】請求項8及び請求項16記載の発明によれば、シミュレーション装置が実行するプログラムを記述したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】フラットベットスキャナの第1の例を示す透視斜視図である。
【図2】同じく側面図である。
【図3】フラットベットスキャナの第2の例を示す透視斜視図である。
【図4】同じく側面図である。
【図5】シミュレーションの基本概念図である。
【図6】シミュレーション装置の機能ブロック図である。
【図7】光源照度分布図である。
【図8】理想画像から撮像素子直前画像を算出する場合の概念図である。
【図9】理想画像から撮像素子直前画像を算出する際の点像強度分布の合成過程を説明する概念図である。
【図10】理想画像から撮像素子直前画像を算出する際の点像強度分布の合成過程を説明する概念図である。
【図11】理想画像から撮像素子直前画像を算出する際の点像強度分布の合成過程を説明する概念図である。
【図12】理想画像から撮像素子直前画像を算出する際の点像強度分布の合成過程を説明する概念図である。
【図13】走査1ライン分の点像強度の計算例を示すフローチャートである。
【図14】撮像素子直前画像を算出する際の総合分光感度ピーク設定の第1の例を示す図である。
【図15】撮像素子直前画像を算出する際の総合分光感度ピーク設定の第2の例を示す図である。
【符号の説明】
6 1次元撮像素子
7 光源
21 理想画像
22 光学系
23 撮像素子直前画像
24 入力画像
25 画像信号
31 画像入力条件設定機能
32 信号処理条件設定機能
33 理想画像設定機能
34 入力画像算出機能
34a 撮像素子直前画像算出機能
34b 撮像素子入射画像算出機能
35 信号処理機能
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像入力装置、特に光学系や原稿台が走査することで2次元の画像を取得する機械動作を含んだ画像入力装置、例えば、フラットベットスキャナの開発設計評価において有用なシミュレーション装置、シミュレーション方法及び記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】フラットベットスキャナの画像処理ソフトウエア開発に際しては、製品であるフラットベットスキャナが試作されないと処理対象の取得画像を事前に入手出来ず、その結果、ソフトウエアの評価やパラメータの設定が出来ないので、開発期間の短縮や最適化が難しいという問題があった。
【0003】また、試作機を対象に取得画像を得る場合、任意の原稿に対して固有のバラツキを意図的に発生させるのは困難であるため、画像品質に直結するバラツキの除去を目的とした画像処理の効果を確認出来ないという問題があった。
【0004】より高画質に画像を取得出来るスキャナを意図した設計を行う場合、任意の原稿画像に対して予め目標とする取得画像を決定し、前記取得画像を達成するために、スキャナを構成する各要素に対して設計仕様を算出することが出来ないので、試作機で各構成要素の評価をするしかない。しかも設計値がクリアされていても、画像品質が目標に達していなければ、試作が繰り返されることになり、多くの開発時間とコストが費やされることになる。一方、試作回数を削減すると、開発期間の短縮やコスト低減に大きく貢献出来るが、設計変更を行った部分の効果の確認を十分に行うことが出来ないという問題が生じる。
【0005】このような問題を解決するシミュレーション装置に関しては、特開平7−151548号公報に記載の「電子撮像装置のシミュレーション方法及び装置」が既に提案されている。当該発明は、撮像素子と光学系と処理回路を有する電子撮像装置を対象にシミュレーションする方法及び装置に関するもので、任意の被写体に対する取得画像の算出を行うことが出来る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、光学系及び原稿台の走査によって画像を取得するときの機械要素の影響に関しては触れられていない。しかし、フラットベットスキャナのような実際の画像入力装置では、光学系あるいは原稿台の走査に伴って発生する振動などの機械要素が取得画像に影響を与えるため、シミュレーションを行う上でも機械要素の影響を考慮した形で行う必要がある。
【0007】また、この技術では、被写体の像の強度分布を光学系の結像性能と被写体の理想結像との畳み込み積分により求めているが、実際の画像入力装置では、振動などの機械的要因から光学系の結像性能が像面上で異なる場合があり、それぞれの計算を区分的に行ったとしても、精度が得られない。
【0008】本発明は、画像入力装置の試作回数を少なくし、製品化における開発期間及びコストを有効に削減すると共に、画像入力装置の画像品質をより向上させる画像入力装置のシミュレーション装置、シミュレーション方法及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記光源と光学系が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション装置において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び光学系走査条件を任意に設定する画像入力条件設定機能と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定機能と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出機能及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出機能とを有する入力画像算出機能と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理機能とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】また請求項2記載の発明は、請求項1記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記光源と光学系の走査時の照明位置による光源の照度分布強度に基づき、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0011】また請求項3記載の発明は、請求項1記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記光源と光学系の走査時の光源の照度分布曲線を変更して、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0012】また請求項4記載の発明は、請求項1記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、主波長と周辺波長の照度分布データを用意し、対応する照度分布データを使用して前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0013】また請求項5記載の発明は、請求項2〜4記載のシミュレーション装置において、光線追跡を用いて撮像素子直前画像上の画素と理想画像上の対応する画素とを関係付けることによって、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0014】また請求項6記載の発明は、請求項5記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像を記憶する機能を持ち、撮像素子直前画像上の1画素の光強度を計算するに際し、記憶された周囲の光強度データを含めることを特徴とするものである。
【0015】また請求項7記載の発明は、任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記光源と光学系が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション方法において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び光学系走査条件を任意に設定する画像入力条件設定工程と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定工程と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出工程及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出工程とを有する入力画像算出工程と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理工程とを有することを特徴とするものである。
【0016】また請求項8記載の発明は、請求項1記載のシミュレーション装置が実行するプログラムを記述したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関するものである。
【0017】また請求項9記載の発明は、任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記被写体を保持している原稿台が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション装置において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び原稿台走査条件を任意に設定する画像入力条件設定機能と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定機能と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出機能及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出機能とを有する入力画像算出機能と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理機能とを備えたことを特徴とするものである。
【0018】また請求項10記載の発明は、請求項9記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記原稿台の走査時の照明位置による光源の照度分布強度に基づき、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0019】また請求項11記載の発明は、請求項9記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記原稿台の走査時の光源の照度分布曲線を変更して、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0020】また請求項12記載の発明は、請求項9記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、主波長と周辺波長の照度分布データを用意し、対応する照度分布データを使用して前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0021】また請求項13記載の発明は、請求項10〜12記載のシミュレーション装置において、光線追跡を用いて撮像素子直前画像上の画素と理想画像上の対応する画素とを関係付けることによって、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするものである。
【0022】また請求項14記載の発明は、請求項13記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像を記憶する機能を持ち、撮像素子直前画像上の1画素の光強度を計算するに際し、記憶された周囲の光強度データを含めることを特徴とするものである。
【0023】また請求項15記載の発明は、任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記被写体を保持している原稿台が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション方法において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び原稿台走査条件を任意に設定する画像入力条件設定工程と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定工程と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出工程及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出工程とを有する入力画像算出工程と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理工程とを有することを特徴とするものである。
【0024】また請求項16記載の発明は、請求項9記載のシミュレーション装置が実行するプログラムを記述したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関するものである。
【0025】請求項1、7及び請求項9、15記載の発明では、理想画像から任意の条件の入力画像が生成されるので、特に画像入力装置の実物を製作することなく、任意の被写体に対する画像が入手される。また、光学系の組み付け誤差や光学系の収差による画像の乱れを事前に予測でき、模擬実験することでチューニング出来るので、開発期間が短縮される。
【0026】請求項2及び請求項10記載の発明では、任意の被写体を照明する光源の照度分布を考慮して光学系を通した後の画像を評価することが出来るので、光源種類の変更や光源の経時変化の影響がシミュレーションされる。また、走査位置ずれ、設定位置ずれによる変動にも対応する。
【0027】請求項3及び請求項11記載の発明では、任意の被写体を照明する光源の照度分布曲線を変更して光学系を通した後の撮像素子直前画像を評価することが出来るので、時間的な照度分布変化にも対応する。
【0028】請求項4及び請求項12記載の発明では、主波長と周辺波長における照度分布データを考慮して光学系を通した後の画像を評価することが出来るので、より現実的な計算が行われる。また複数波長での計算が出来るので、輝線成分を含む光源においても精度の高いシミュレーションが行われる。
【0029】請求項5及び請求項13記載の発明では、光線追跡を用いて理想画像と撮像素子直前画像との位置関係を正確に求めることが出来るので、撮像素子直前画像上における任意の1画素の光強度が正確に計算される。また、機械的な振動の影響もシミュレーションされる。
【0030】請求項6及び請求項14記載の発明では、撮像素子直前画像上における任意の1画素の光強度を計算するために、その周辺の光強度データを含めるので、周囲からの光の影響を考慮して計算が行われる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。図1はフラットベットスキャナの第1の例を示す透視斜視図、図2は同じく側面図である。原稿1を載置するコンタクトガラス2の下方には、第1の走査体3、第2の走査体4、レンズ5、1次元撮像素子6が配置されている。第1の走行体3は、光源7、リフレクター8、折り返しミラー9を有している。また第2の走行体4は、折り返しミラー10を有している。第1、第2の走行体3、4は、モータ11の駆動力を駆動伝達ベルト12を介して受けるようになっている。
【0032】光源7の光はリフレクター8を介してコンタクトガラス2の撮像領域13に照射され、その反射光が第1の走行体3、第2の走行体4を経てレンズ5に入射される。そして、レンズ5によって1次元撮像素子6面に結像し、1次元撮像素子6が撮像領域13の画像を1次元に取得する。
【0033】第1の走行体3、第2の走行体4は、モータ11による駆動を駆動伝達ベルト12を通じて受け、レンズ5の結像位置が1次元撮像素子6面になる状態を保ちながら、コンタクトガラス2の下面を図において左右方向に走行する。この過程で原稿1の画像が1次元撮像素子6にて2次元に取得される。
【0034】通常撮像素子として1次元CCDが用いられ、レンズ5はコンタクトガラス2上の原稿1を縮小して1次元撮像素子6上に結像している(縮小光学系)。つまり、CCDの画像解像度と、フラットベットスキャナ自身の持つ画像解像度は一致しない。通常、フラットベットスキャナの画像解像度は、DPI(ドット/インチ)で表され、300〜800DPI程度が大半である。
【0035】図3はフラットベットスキャナの第2の例を示す透視斜視図、図4は同じく側面図である。図1、図2に示す第1の例では、第1、第2の走行体(光学系)3、4が走行して原稿1を走査する型式を示したが、図3、図4に示す第2の例のフラットベットスキャナは光学系が固定であり、コンタクトガラス2を保持する透明な原稿台14がモータ11の駆動力を駆動伝達ベルト12を介して受けて、図面において左右に移動する原稿台駆動型のスキャナである。
【0036】本発明の第1の実施の形態を説明する。図5R>5はシミュレーションの基本概念図、図6は同じくシミュレーション装置の機能ブロック図である。図5に示すように、最初に理想画像21とする被写体を選定する。これ以降は基本的に被写体が2次元画像であると想定して説明する。被写体が写真原稿であれば、例えば、高解像度スキャナなどで読み取ったデータなどである2次元データ配列を理想画像21とする。また、印刷原稿であれば、高解像度スキャナで読み取っても良いし、印刷時のデジタル信号でも良い。また、特定のパターンによる画像であれば、ソフトウエア上で作成しても良い。光学系22の光学特性を表すデジタルデータは反射率などである。この分光波長特性は被写体がモノクロ画像であればフラットである。
【0037】図6に示すシミュレーション装置の機能ブロック図に基づいて、図5も参照しながら基本的な処理の流れを説明する。シミュレーション条件設定工程として、照明(光源)、光学系、撮像素子の各条件及び光学系走査条件(図1、図2のスキャナの場合)、原稿台走査条件(図3、図4のスキャナの場合)等の設定を行う画像入力条件設定機能31により画像入力条件設定工程を実施する。また、信号処理条件設定機能32により信号処理条件設定工程を実施する。両工程はそれぞれ単独に行われる。
【0038】これらは一連のシミュレーション処理内にて実施しても良いが、特に、複数回シミュレーションを連続して実施する場合などは、特に条件を変えなければ毎回実施しなくても良い構成とする。
【0039】次にシミュレーション工程として、まず理想画像設定機能33により理想画像21を設定する。次に画像入力条件設定機能31により設定された条件に従って、入力画像算出機能34により入力画像24の算出工程を実施する。入力画像算出機能34においてまず撮像素子直前画像算出機能34aにより光学系22の後段の撮像素子直前画像23を出力する。
【0040】次に撮像素子入射画像算出機能34bにより1次元撮像素子6に入射して得られる、1次元撮像素子6後段の入力画像24を算出する。最後に信号処理条件設定機能32によって設定された条件に基づいて信号処理機能35により画像信号25を生成する。
【0041】次に第2の実施の形態を説明する。図7は第2の実施形態における光源照度分布図、図8は同じく理想画像から撮像素子直前画像を算出する場合の概念図である。理想画像21から撮像素子直前画像22を算出する方法について説明する。理想画像21面は光源7によって照明されている。この光源7の光はハロゲンランプやキセノンランプのようなインコヒーレント光である。光源7から放射される1次光は光源の種類に依存した照度分布を持つ。この照度分布は、主走査方向に関しては基本的には一様だが、予め照度分布を計測することでシェーディング補正することが行われている。
【0042】副走査方向に関しては、図7に示すような光源照度分布を持つ。実際の画像入力装置では、(1)振動などの機械要素による影響、(2)光学系の設定位置ずれ、例えば、ミラーの倒れなどによる影響、から走査のタイミングによって走査位置により照度が異なることがある。図7において符号Aは走査1の照度、符号Bは走査2の照度である。
【0043】そこで予め光源7に応じた照度分布データを記憶しておき、これらの影響によって生じた副走査方向の位置変動による照度変化を前記照度分布データから求め、この変化割合を理想画像21からの反射光に反映させる。また、光源7の照度分布は常に一定とは限らず、時間的に変動する場合もある。そこで照度分布データを複数記憶しておき、走査毎に参照する照度分布を変えられるようにすることも出来る。
【0044】次に第3の実施の形態を説明する。図9、図10、図11、図12は理想画像から撮像素子直前画像を算出する際の点像強度分布の合成過程を説明する概念図である。図1、図2に示す画像入力装置は走行体3、4(光学系22)が走査することで、また、図3、図4に示す画像入力装置は原稿台14が走行することで、2次元の画像を取得しているので、単純に理想画像21から光学系22を介した撮像素子直前画像23を点像強度分布PSF(Point Spread Function)等を利用して算出する訳ではない。
【0045】撮像素子直前画像23内で1次元撮像素子6と同一方向の注目画素列(図9)を算出する場合、その時点での走査中の光学系22あるいは理想画像21を想定し、光学系22の構成要素である光源7から照射された1次光が理想画像21の各画素に到達してここで反射し、撮像素子直前画像23上に到達する2次光を、PSFデータを用いて撮像素子直前画像23の各画素毎に算出し、これに対して畳み込み積分を実行することで、注目画素列内の各画素データを順次算出する。
【0046】注目画素列を算出する場合、注目画素列に対応する理想画像21内の注目画素列とその近辺の画素から簡易的に算出する。中心画素列を決定するのには、注目画素列を起点とする光線追跡手法などを用いる。注目画素列のある一点を注目画素とし、そこから主光線を発射する。主光線は光学系22を通過して理想画像21のある座標に到達する。この座標を中心画素とする。ここは注目画素データに最も影響する画像データである(図9参照)。
【0047】(1)次に中心画素から主光線を発射する。主光線は光学系22を通過して撮像素子直前画像23の注目画素に到達する。ここで注目画素を中心としたPSFを計算する(図10参照)。このとき中心画素の座標での理想画像21及び光源照度を考慮してPSFを計算する。光源照度をD(δ)とする。δは副走査方向の走査位置ずれ量である。中心画素から発射される光強度は、理想画像21の光強度分布をR(u)とすると、以下のように表すことが出来る。
f(u)=R(u)D(δ)
ここで、uは中心画像の座標ベクトルである。
【0048】(2)第2出射光束を中心画素から発射する。この光束は主光線から僅かに主走査方向へ角度を持っている。この光束は、注目画素から1画素離れた場所に当たり、この場所で主光線と同様にPSFを計算する。同様に中心画素から光束を発射し、注目画素周辺のPSFを計算する(図11参照)。
【0049】(3)中心画素から副走査方向に1画素離れた位置から注目画素に向かって光束を発射し、そこでのPSFを計算する。同様に、中心画素の周辺から光束を発射し、注目画素でのPSFを計算していく(図11参照)。以上の(1)〜(3)で計算された注目画素上での強度分布を合成する(図12参照)。
【0050】注目画素の座標ベクトルをxとすると、注目画素でのPSF h(x)を用いて、注目画素での光強度分布g(x)はf(u)とg(x)の畳み込み積分を行い、以下のように表すことが出来る。
g(x)=f(u)・h(x)=∬f(u)h(x−u)duこのような合成作業は注目画素で影響が及ぶ範囲で実行される。影響の及ぶ範囲は撮像素子直前画像23のデフォーカス量、光学系の収差によって変化する。
【0051】主走査方向の計算されたPSFは、同じ1ライン上の計算においては条件が同じであるので、計算結果を記憶しておくことで、強度分布の計算に用いることが出来る。しかし、中心画素から副走査方向にずれた位置から計算されたPSFは、走査毎で光源の照度分布が異なる場合があるため、各ラインの計算毎に改めて計算し直す必要がある。
【0052】図13は主走査1ライン分の点像強度の計算例を示すフローチャートである。光学条件設定(S1)は、レンズ面曲率半径やレンズ位置、レンズ面間隔、レンズ屈折率、光学系構成部材の分光透過率、光源7の分光強度、照度分布、1次元撮像素子6の分光感度等である。またこれに加えて途中に設置するミラー等の光学特性を加えても良い。
【0053】理想画像位置設定(S2)は、元となる画像の初期位置である。撮像素子位置設定(S3)は、撮像素子直前画像23の位置を定義するものである。この値を変化させることで、結像関係におけるデフォーカス量を定義することが出来る。ここまでの設定はシミュレーションの前提条件となる。
【0054】次に注目画素位置の設定を行う(S4)。これは振動などの機械的要因によって走査ライン毎に変化する。この値によって光束の出射位置が決定するとともに光源の照度分布により画像の強度が変化する。中心画素計算(S5)では、光線追跡によって注目画素位置から光束を発射して計算された理想画像21上の中心画素位置が計算される。この位置から光束を発射して光線追跡が実行される(S6)。そして注目画素上でのPSFが計算される(S7)。
【0055】S8で注目画素周辺全ての計算を終えたかどうかをチェックし、まだ終わっていなければ、次の画素での光線追跡を実行する(S9)。全ての周辺画素での計算を終えたら、注目画素での合成強度分布を計算する(S10)。
【0056】次にS11で1ライン全ての計算が終了したかどうかを判定し、まだ終了していなければ、次の注目画素位置を設定し(S12)、再び計算を行う。1ライン全ての計算が終了したら、計算結果を出力して(S13)、終了する。
【0057】次に第4の実施の形態を説明する。図14は撮像素子直前画像を算出する際の総合分光感度ピーク設定の第1の例を示す図、図15は同じく第2の例を示す図である。図14では被写体の分光反射率と光源7の分光強度、1次元撮像素子6の分光感度、光学系22の分光透過率から総合分光感度のピークを主波長として計算を行う。しかし、光源7として蛍光灯やキセノンランプのような輝線成分が多い光源を使用した場合、計算される主波長領域と輝線成分のピークがずれる場合がある。
【0058】この場合には図15に示すように、主波長からある程度離れていて、ある程度の感度特性が得られる周辺波長を選定して計算を行っても良い。この場合、主波長と周辺波長では、光源7の照度分布曲線も異なる場合があるので、各走査時に考慮する照度分布データも波長毎に複数用意しておき、それぞれの波長での計算時に、対応する照度分布データを使用して計算を実行する。最終的な注目画素での強度分布は、主波長と周辺波長での強度分布を加算することで計算される。
【0059】
【発明の効果】請求項1、7及び請求項9、15記載の発明によれば、理想画像から任意の条件の入力画像が生成されるので、特に画像入力装置の実物を製作することなく、任意の被写体に対する画像を入手することが出来る。また、光学系の組み付け誤差や光学系の収差による画像の乱れを事前に予測でき、模擬実験することでチューニング出来るので、開発期間を短縮することが出来る。
【0060】請求項2及び請求項10記載の発明によれば、任意の被写体を照明する光源の照度分布を考慮して光学系を通した後の画像を評価することが出来るので、光源種類の変更や光源の経時変化の影響をシミュレーションすることが出来る。また、走査位置ずれ、設定位置ずれによる変動にも対応することが出来る。
【0061】請求項3及び請求項11記載の発明によれば、任意の被写体を照明する光源の照度分布曲線を変更して光学系を通した後の撮像素子直前画像を評価することが出来るので、時間的な照度分布変化にも対応することが出来る。
【0062】請求項4及び請求項12記載の発明によれば、主波長と周辺波長における照度分布データを考慮して光学系を通した後の画像を評価することが出来るので、より現実的な計算を行うことが出来る。また複数波長での計算が出来るので、輝線成分を含む光源においても精度の高いシミュレーションを行うことが出来る。
【0063】請求項5及び請求項13記載の発明によれば、光線追跡を用いて理想画像と撮像素子直前画像との位置関係を正確に求めることが出来るので、撮像素子直前画像上における任意の1画素の光強度を正確に計算することが出来る。また、機械的な振動の影響もシミュレーションすることが出来る。
【0064】請求項6及び請求項14記載の発明によれば、撮像素子直前画像上における任意の1画素の光強度を計算するために、その周辺の光強度データを含めるので、周囲からの光の影響を考慮して計算を行うことが出来る。
【0065】請求項8及び請求項16記載の発明によれば、シミュレーション装置が実行するプログラムを記述したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】フラットベットスキャナの第1の例を示す透視斜視図である。
【図2】同じく側面図である。
【図3】フラットベットスキャナの第2の例を示す透視斜視図である。
【図4】同じく側面図である。
【図5】シミュレーションの基本概念図である。
【図6】シミュレーション装置の機能ブロック図である。
【図7】光源照度分布図である。
【図8】理想画像から撮像素子直前画像を算出する場合の概念図である。
【図9】理想画像から撮像素子直前画像を算出する際の点像強度分布の合成過程を説明する概念図である。
【図10】理想画像から撮像素子直前画像を算出する際の点像強度分布の合成過程を説明する概念図である。
【図11】理想画像から撮像素子直前画像を算出する際の点像強度分布の合成過程を説明する概念図である。
【図12】理想画像から撮像素子直前画像を算出する際の点像強度分布の合成過程を説明する概念図である。
【図13】走査1ライン分の点像強度の計算例を示すフローチャートである。
【図14】撮像素子直前画像を算出する際の総合分光感度ピーク設定の第1の例を示す図である。
【図15】撮像素子直前画像を算出する際の総合分光感度ピーク設定の第2の例を示す図である。
【符号の説明】
6 1次元撮像素子
7 光源
21 理想画像
22 光学系
23 撮像素子直前画像
24 入力画像
25 画像信号
31 画像入力条件設定機能
32 信号処理条件設定機能
33 理想画像設定機能
34 入力画像算出機能
34a 撮像素子直前画像算出機能
34b 撮像素子入射画像算出機能
35 信号処理機能
【特許請求の範囲】
【請求項1】 任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記光源と光学系が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション装置において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び光学系走査条件を任意に設定する画像入力条件設定機能と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定機能と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出機能及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出機能とを有する入力画像算出機能と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理機能と、を備えたことを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項2】 請求項1記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記光源と光学系の走査時の照明位置による光源の照度分布強度に基づき、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項3】 請求項1記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記光源と光学系の走査時の光源の照度分布曲線を変更して、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項4】 請求項1記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、主波長と周辺波長の照度分布データを用意し、対応する照度分布データを使用して前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項5】 光線追跡を用いて撮像素子直前画像上の画素と理想画像上の対応する画素とを関係付けることによって、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のシミュレーション装置。
【請求項6】 請求項5記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像を記憶する機能を持ち、撮像素子直前画像上の1画素の光強度を計算するに際し、記憶された周囲の光強度データを含めることを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項7】 任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記光源と光学系が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション方法において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び光学系走査条件を任意に設定する画像入力条件設定工程と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定工程と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出工程及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出工程とを有する入力画像算出工程と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理工程と、を有することを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項8】 請求項1記載のシミュレーション装置が実行するプログラムを記述したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項9】 任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記被写体を保持している原稿台が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション装置において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び原稿台走査条件を任意に設定する画像入力条件設定機能と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定機能と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出機能及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出機能とを有する入力画像算出機能と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理機能と、を備えたことを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項10】 請求項9記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記原稿台の走査時の照明位置による光源の照度分布強度に基づき、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項11】 請求項9記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記原稿台の走査時の光源の照度分布曲線を変更して、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項12】 請求項9記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、主波長と周辺波長の照度分布データを用意し、対応する照度分布データを使用して前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項13】 光線追跡を用いて撮像素子直前画像上の画素と理想画像上の対応する画素とを関係付けることによって、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のシミュレーション装置。
【請求項14】 請求項13記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像を記憶する機能を持ち、撮像素子直前画像上の1画素の光強度を計算するに際し、記憶された周囲の光強度データを含めることを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項15】 任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記被写体を保持している原稿台が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション方法において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び原稿台走査条件を任意に設定する画像入力条件設定工程と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定工程と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出工程及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出工程とを有する入力画像算出工程と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理工程と、を有することを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項16】 請求項9記載のシミュレーション装置が実行するプログラムを記述したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項1】 任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記光源と光学系が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション装置において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び光学系走査条件を任意に設定する画像入力条件設定機能と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定機能と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出機能及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出機能とを有する入力画像算出機能と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理機能と、を備えたことを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項2】 請求項1記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記光源と光学系の走査時の照明位置による光源の照度分布強度に基づき、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項3】 請求項1記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記光源と光学系の走査時の光源の照度分布曲線を変更して、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項4】 請求項1記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、主波長と周辺波長の照度分布データを用意し、対応する照度分布データを使用して前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項5】 光線追跡を用いて撮像素子直前画像上の画素と理想画像上の対応する画素とを関係付けることによって、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のシミュレーション装置。
【請求項6】 請求項5記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像を記憶する機能を持ち、撮像素子直前画像上の1画素の光強度を計算するに際し、記憶された周囲の光強度データを含めることを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項7】 任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記光源と光学系が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション方法において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び光学系走査条件を任意に設定する画像入力条件設定工程と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定工程と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出工程及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出工程とを有する入力画像算出工程と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理工程と、を有することを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項8】 請求項1記載のシミュレーション装置が実行するプログラムを記述したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項9】 任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記被写体を保持している原稿台が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション装置において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び原稿台走査条件を任意に設定する画像入力条件設定機能と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定機能と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出機能及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出機能とを有する入力画像算出機能と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理機能と、を備えたことを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項10】 請求項9記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記原稿台の走査時の照明位置による光源の照度分布強度に基づき、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項11】 請求項9記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、前記原稿台の走査時の光源の照度分布曲線を変更して、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項12】 請求項9記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像算出機能は、主波長と周辺波長の照度分布データを用意し、対応する照度分布データを使用して前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項13】 光線追跡を用いて撮像素子直前画像上の画素と理想画像上の対応する画素とを関係付けることによって、前記撮像素子直前画像の光学データを算出することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のシミュレーション装置。
【請求項14】 請求項13記載のシミュレーション装置において、前記撮像素子直前画像を記憶する機能を持ち、撮像素子直前画像上の1画素の光強度を計算するに際し、記憶された周囲の光強度データを含めることを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項15】 任意の被写体を照明する光源とこの被写体を1次元に撮像する光学系及び撮像素子を有し、前記被写体を保持している原稿台が1方向に走査して前記撮像素子に前記被写体の像が入射することで、2次元の入力画像を取得する画像入力装置をシミュレーションするためのシミュレーション方法において、前記被写体の光学特性を示す2次元配列データである理想画像を対象として、前記光源、光学系、撮像素子の条件及び原稿台走査条件を任意に設定する画像入力条件設定工程と、前記入力画像の信号処理を任意の条件に設定する信号処理条件設定工程と、前記光学系後段の撮像素子直前画像を算出する撮像素子直前画像算出工程及び前記撮像素子に入射して得られる前記入力画像を算出する撮像素子入射画像算出工程とを有する入力画像算出工程と、前記入力画像を設定された信号処理条件に従って信号処理して画像信号を生成する信号処理工程と、を有することを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項16】 請求項9記載のシミュレーション装置が実行するプログラムを記述したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【図7】
【図1】
【図2】
【図4】
【図3】
【図5】
【図12】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1】
【図2】
【図4】
【図3】
【図5】
【図12】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2001−268432(P2001−268432A)
【公開日】平成13年9月28日(2001.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−76510(P2000−76510)
【出願日】平成12年3月17日(2000.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年9月28日(2001.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年3月17日(2000.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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