説明

シム最適化方法

【課題】イメージングシステムまたは液体分光システムにおけるシムシステムの静磁場に対する効果を最適化する方法を提供する。
【解決手段】磁場内に配置されたプローブの各セルに関して、シムコイルのいずれにも電流を供給することなく共鳴周波数を得て、次に各セルに関して、1個のシムに電流を供給し且つ他のシムに全く電流を供給しないでその共鳴周波数を得て、前記1個のシムに供給された電流により形成された磁場だけから係数を得て、シムに供給された電流によって分割された差分を各個別のシム電流を得るために各セルに関して得、そのデータから、各セルの磁場と個々のシム電流との関係を表す式を導き出す。セルの数がシムコイルの数と等しいかそれよりも小さい場合、この式は転換されて全てのセルに同一の磁場を形成するためのシム電流値を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージング(撮像)装置または複数サンプルのスペクトロメータにおける磁場に対するシムの効果を最適化する方法に関し、さらに詳細には、その内部で使用されるプローブの複数個のセルに均一な磁場を印加できるように、シムのコイルに印加される電流値を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術において、たとえば核磁気共鳴(NMR)を用いたイメージング装置のようなイメージング装置が提供されており、前記イメージング装置においては1個以上のサンプルからデータを得るために、内部に1個以上のセルを有する高周波(RF)プローブが用いられている。各セルは、マウスのようなサンプルを保持するためのスペースを有する。複数個のセルがマグネットのスペース内に配置され、このマグネットは、セルが配置されている場に静磁場を提供する超伝導磁石、電磁石または永久磁石であってもよい。たとえば共通RF電源から、RF信号を各セルに伝達するパワーディバイダを介して、RF信号が提供される。得られたイメージング信号は各セルにより受信され、それぞれ当業者には公知である送信/受信(T/R)回路を介して個別のレシーバ、ディテクタおよびデータ保存メモリに送られる。それぞれが1個またはそれ以上のセルを有する複数個のプローブを使用することも可能である。
【0003】
サンプルスペース内の静磁場は、たとえば磁場の均一性のような所望の特性を得るために、通常、調整を必要とする。磁場の空間的変化の補償に使用される傾斜磁場を形成するために、磁場に関して異なる位置に配置された1個以上のコイルのシムシステムにより、前記調整を実施することができる。
最適な結果を得るために、シムコイルは全てのプローブセルに対して均一な磁場値Boを提供するように調整される必要がある。
【0004】
シム調整の一方法は、各セルに対するRF出力信号を結合し、結合したRF信号を共通レシーバに送る方法である。模造マウスのような模造サンプルを各セルにおいて用いることにより、全体の信号高さまたは最も狭い全体のライン幅を所望通りに得るように、複数個のシムコイルを調整できる。前記方法と類似の他の方法は、検知後に信号を結合し、得られた信号高さまたはライン幅を最適シム設定の決定に用いる方法である。信号位相に関する問題を避けるために、位相調整した吸収モード応答の代わりに絶対信号振幅を使用することができる。
【0005】
共通信号の調整のために複数のプローブセルを複数のシムコイルと共に用いる液体分光法において、同様な問題が存在する。
上記のシム調整方法は全て欠点を有しており満足できないと判断されている。これらのケースにおいて、調整には最適化工程の反復が必要である。同様に、1個のシムコイルの調整によって他のシムコイルに必要な最適化が変化し、その結果、所望の最適化を行うために不適切な数の再調整工程を必要とせずに全てのシムコイルの所望レベルの最適化を行うことが困難になる。また、最良の調整が行われたかどうかは不確定のままである。したがって、本技術においては、調整過程をいつ終了すべきか、確定できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、先行技術の上記または他の欠陥および欠点を克服することである。
他の目的は、内部に配置された異なるプローブセルにおける磁場値を均一にするために、磁場に対するシムシステムの効果を最適化することである。
さらに他の目的は、静磁場に配置された異なるプローブセルにおける模造サンプルの共鳴周波数の値を同一にすることである。
【0007】
さらに他の目的は、複数個のセルを有するプローブを用いた液体分光法システムにおいて、最適のシム設定を行うことである。
他の目的は、異なるプローブセルにおける磁場内で生じるエラーを最小量にするために、シム設定を最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記および他の目的は、本発明方法により達成される。本発明方法は、定数項をGとして、シムコイルに電流が流れていない場合のセルの周波数Fはシムコイル1、2、…Nの電流I、I、…I と直線的関係にあるという数学的関係に基づいている。この直線的関係は次式により表される。

【0009】
本発明の一つの目的は、各セルにおいて同一の共鳴周波数を生じるシム電流値を発見することである。
これは、まず、Gの値を決めるシムコイルに電流が印加されていない状態でセルの共鳴周波数を測定し、次に一個のシムコイルkに電流を印加し他のシムコイルには電流を流さない状態で、各セルjに関して共鳴周波数の変化(F−G)を測定することにより達成される。周波数の変化(F−G)をその変化を生じた電流Iで割ると、選択されたシムコイルkの一個のセルの感度係数ajkが得られる。選択されたセルjに対し、各シムコイルkにおける電流に関してこのプロセスが実施される。各セルjに対してこのプロセスを繰り返し、感度係数ajkの行列が得られる。各セルにおいて同一周波数を得るために必要なシム電流値は、感度行列ajkの逆行列と、各セルのターゲット(目標)周波数と初期周波数との差F−Gとの行列乗数により得られる。
【0010】
この場合、RFプローブセルの数Mがシムコイルの数Nよりも大きいならば、誤差の最小2乗を得るために値の行列の計算を続け、それにより磁場値と所望値との差F−Gを最小にする。
本発明の特徴は、プローブの複数個のセルに印加される磁場の調整へのシムの効果を最適化する方法であって、この方法は、プローブの各セルの共鳴周波数が実質的に同一になるように、且つ、プローブの複数個のセルが均一な磁場を受けるように、複数個のシムコイルに印加される電流の値を決定する工程を含む。
【0011】
他の特徴は、下記の工程を用いて電流の値を決定する方法である。すなわち、シムの複数個のコイルに電流を全く印加しないで磁場中に配置されたプローブセルの各々の共鳴周波数を測定することによりG、G、…、G(Mはプローブセルの数)を得る工程と、第1シムコイルに流された電流Iを用い、且つ他のシムコイルに電流を全く印加しないでプローブの第1セルの共鳴周波数を測定することによりF11(第1添え字はプローブセルの数であり、第2添え字は電流Iが流されるシムコイルの数である)を得る工程と、第1シムコイルに電流Iを流し且つ他のシムコイルに電流を全く印加しないで第2セルの共鳴周波数を測定することによりF21を得る工程とを含む電流値決定方法である。このプロセスは、FM1までの残りのセルに関しても同様である。次にこのプロセスは繰り返されて、他のシム電流が無い状態でシムコイル2における電流Iに関してセルの周波数を測定する。全てのシムコイルにわたってこのプロセスを継続すると、値Fjkの行列が得られる。次に次式を用いて感度行列ajkが得られる。

【0012】
この式において行列は次のようになる。

【0013】
各セルjにおける周波数Fおよび各シムkにおける電流Iを行列形式で表すと次の通りである。

【0014】
このように定義すると、セルの周波数Fとシム電流Iとの線形的な関係は、以下の行列形式で表現される。
F=G+AI
本発明の1つの目的は、各セルにおいて同一周波数かまたは同一周波数に最も近い周波数を生じるシム電流値を得ることである。
【0015】
本発明の特徴は、独立シムコイルの数Nがプローブセルの数Mに等しい場合に適用される最適化方法であり、その場合行列は正方であり且つ唯一の逆行列A−1を有する。各セルにおいて同一周波数を生じるシム電流値Iを得るためには、Fの全ての値を等しく設定すること、すなわちF =…=Fと設定して次の行列等式を解く。
I=A―1(F−G)
但し、この式において、A−1はAの逆行列、すなわちA−1A=1である。
【0016】
他の特徴は、シムコイルの数Nがプローブセルの数Mに等しいかMよりも大きい場合に上記方法が利用されることである。
さらに他の特徴は、シムコイルの数Nがプローブセルの数Mよりも小さい場合の最適化方法であり、この方法では、各シムにおける電流は最小2乗数演算により計算され、各セルに関し磁場値の誤差が最も小さくなるようにされる。
【0017】
他の特徴は、磁場がマグネットにより供給されており複数個のプローブセルが磁場内に配置されており且つシムがセル近くの磁場内に配置されているイメージングシステムにおける磁場調整に使用されるシムの最適化に上記方法が用いられることである。
他の特徴は、プローブセルおよびシムコイルが複数個のサンプルに関して利用される液体分光装置において、上記方法を用いることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明をよく理解できるように、添付図面を参照する。
本発明は核磁気共鳴イメージングシステムのようなイメージング(撮像)システムに適用でき、前記イメージングシステムにおいて、各々が内部に1個以上のセルを有する1個以上のプローブが静磁場中に配置されており、前記静磁場は超伝導磁石、電磁石または永久磁石により供給されてもよい。残留磁気、磁気コイルの不全などの静磁場の種々の不均一を調整し解決するために、当該技術分野で公知のように、1個以上の線形および2次傾斜ならびに高次のシムコイルのようなコイルをそれぞれが有する1個以上のシムコイルが、磁場内で使用される。さらに、このシムコイルは線形的に独立した磁場補正を行うように形成されており、すなわちシムコイルのいずれかにより成される補正は、残りのシムコイルにおけるいずれかの電流組み合わせによっては達成できない。上記のように、シムコイルの磁場に対する効果を最適化するための種々の方法が公知であるが、そのいずれもが完全に満足出来るものではない。
【0019】
本発明は、シム電流の設定を信頼できる簡単な方法で最適化することを目的とする。
本発明はまた、複数個のサンプルを同時に分析するために複数個のセルを使用する、高解像度液体分光システムに適用することができる。
(各々がマウスのようなサンプルまたは模造のマウスのような模造サンプルに使用できる)複数個のセルを有し、且つ静磁場を調整して種々の不均一を補償するための複数個のシムコイルを含むシムシステムを有する静磁場に配置されたプローブに関して、全てのプローブセルにとっての最良のBo磁場均一性は、各セルにおいて同一値の磁場が得られるときに得られることが判明した。これは、例えば模造サンプルを内部に有する各セルの共鳴周波数が同一値を有するときに得られた。
【0020】
特定のプローブセルjの共鳴周波数Fは、静磁場によるものであり、且つシムコイルのいずれかに流された電流の影響を全く受けない前記プローブセルの共鳴周波数Gに、残りのシムコイルに流された電流により成された前記共鳴周波数に対する寄与の総和を加算したものであり、これは次式で表される。

【0021】
下記の説明は、セルの磁場値におけるエラーを最小化するために最良の全体的測定を行える、シムコイル設定の決定方法を記述するものである。
複数個のセルMと、磁場内に複数個のコイルNを有するシムシステムを用いる場合、本発明に係る方法の第1工程は、シムコイルのいずれにも電流を流さないで各セルの共鳴周波数を測定することである。その結果は、G、G、…、G(但し、Mは、共鳴周波数を測定したセルの数である)で表すことができる。
【0022】
次に、シムコイル1に電流Iを流し他のシムコイルには電流を流さないで、各セルFの共鳴周波数を測定する。電流Iは、ゼロでない任意の値とすることができる。各セルjについて共鳴周波数の測定を繰り返し、Fj1を得る。次式が得られる。

【0023】
次に、シムコイル2にゼロでない任意の同じ値の電流Iを流し、且つ他のシムコイルには電流を流さないで、第1セルの共鳴周波数(F12と呼ばれる)を測定する。この測定を全てのセルに関して実施することにより、上記式(2)から係数aj2(添え字1を添え字2に置換)を得る。
各行(横列)M(セル数に等しい)と各列(縦列)N(コイル数に等しい)との複数個の係数ajkを得るために、電流Iを用いて、各プローブセルと各シムコイルとに関して上記段階を繰り返し、下記のような行列積Aを得る。

【0024】
セルFの周波数と、残留周波数Gと、各シムコイルにおける電流Iとの行列形式は、次の通りである。

【0025】
式(1)を行列形式で表すと次の通りである。
F=G+AI …(4)
但し、上式においてFは全てのセルの共鳴周波数であり、Gはコイルに電流を流さない場合の静磁場における全てのセルの共鳴周波数であり、Aは、シムコイルにおける電流の影響に基づく係数行列(3)の行列積である。
【0026】
N=M、すなわちシムコイルの数がプローブセルの数に等しい場合、行列Aは正方であり、逆行列A−1を有する、上記のように、シムコイルは線形的に独立しており、したがって行列Aのどの行も他の行と線形的に結合しない。この条件はAの行列式がゼロにならない場合、充たされる。Aの行列式=0すなわち|A|=0の場合、aijの係数は線形的に独立しておらず、行列Aは逆行列を有さない。これは、シムコイルのうちの2個が各セルに同一磁場を提供し、したがって重複する場合に起こり得る。重複しないシムコイルの数がプローブセルの数に等しい場合、行列Aは逆行列を有する。逆行列A−1は、A−1A=U(但し、Uは対角線上に1を有し、他の位置に0を有する単位行列である)。
【0027】
行列の逆行列を計算することは、当該技術の分野で公知であり、この開示の部分を構成しない。行列の分析方法は、たとえばRoger A. Horn および Charles R.Johnson著「Matrix Analysis」などの多くの書物に書かれている。行列の逆行列を数値的に求め、また他の行列演算を行うマサチュセッツ州ケンブリッジのMathsoft社によるMathcadなどの種々のソフトウエアプログラムが使用できる。
【0028】
シムコイルの数がプローブセルの数より小さい場合、制御の数は、各セルに同一磁場を形成できることを保証するには不十分である。この場合、できるだけ接近するために、最小2乗演算が用いられる。
各セルにおいて同一の磁場Fを形成する、すなわちF=F、…F=Fにするのに必要なシム電流Iを発見することが問題である。電流Iは下式により得られる電流の行列である。
【0029】

I=A―1(F−G) …(5)

したがってこの電流は、次の周波数行列を用いて式(5)において得られる電流の行列である。

【0030】
NがMよりも大きい場合、各セルにおいて同一の共鳴周波数を得るのに必要な数よりも多くの数のシムコイルが存在する。
この場合、装置のシミングに使用するためだけにM個のシムコイルを選択することができる。通常より、低次のシムコイル値が用いられる。この場合、NがMに等しい場合の上記ルールも同様に適用できる。
【0031】
コイルの数Nに他の異なる数が使用でき、その結果を適切に利用できる。たとえば、全てのコイルからのデータは、全シムの仕事率(パワー)のような何らかの他のパラメータを最適化するために、またはセルの1個の均一性を向上させるために利用できる。他の手順は、セルのいくつかまたは全てに1個以上のサンプルを配置し、サンプルの数をシムコイルの数よりも小さいかまたはシムコイルの数に等しくすることである。この場合、シムコイルの数はプローブセルの数よりも大きいが、サンプルの数よりも大きくする必要はない。
【0032】
NがMよりも小さい場合、シムコイルの数Nは、M個全てのプローブセルの周波数を同一値にすることを保証するには不十分である。したがって、シムコイル設定は、所望の周波数Fに対する周波数の誤差の最小2乗を用いることにより達成できることがわかる。すなわち最小2乗法は、各セルの周波数Fを所望の周波数Fに最も適合させる電流Iを得るために使用される。このような方法において、各セルにおける誤差の2乗は誤差関数を得るまで加算され、したがって次式が得られる。

【0033】
Eを最小にするN個の電流値を見つけるために、我々は、導関数dE/dI1,dE/dI2, …, dE/dI をゼロに設定する。dE/dIの場合、これは次式のようになる。

【0034】
右側の等式は、次の行列形式で表すことができる。
AI= A(F−G) …(9)
ここで、次のように、Aは行列Aの転置行列であり、Iは1×N列行列であり、F−Gは1×M列行列である。

【0035】
AおよびGの値は、上記の測定により決定される。Fは、所望の動作周波数である。Fはいかなる所望の値としても選択できるので、シムコイルの1個に流される電流は実際に主磁場を制御する、すなわちプローブの全てのセルに同一の磁場を印加すると考えられる。
最も適切なシム電流の値を決定するために、式(9)を解いてシム電流Iを求めねばならない。これは、式(9)に(AA)−1の行列を乗することによりなされる。これによって次の式が得られる。
【0036】
I=(AA)−1(F−G) …(11)
NはMよりも小さいと仮定された。この場合、AもAも正方ではないが、AAは正方であり且つ逆行列(AA)−1を有する。もしAが正方であれば、その場合は逆行列A−1が存在し、式(11)は式(5)に変形されるが、これはNがMに等しい場合である。
【0037】
本発明によれば、簡単な1組の測定によって、N=MおよびNがMよりも大きい場合に、全てのプローブセルに同一共鳴周波数を与えるために、シムコイルに流すことができる電流値を提供するのに用いる結果を提供することが可能であり、有利である。また、NがMより小さい他の実施形態においては、最小2乗法を用いて全てのセルに最小誤差の周波数を与える電流値を得るように、上記測定を実施し、それによって均一な磁場が全てのセルに印加できる。上記のように、本発明は、プローブの全てのセルに均等で均一な磁場を与える簡単で信頼できる方法を提供する。
【0038】
上記説明は、本発明の原理を説明するものである。当業者には、本発明の多数の変形例および拡張例は明らかであろう。そのような変形例は全て本発明の精神および範囲に含まれると考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】内部にシムコイルを有するマグネットを含み、シムコイルが複数個のRFプローブセルを含み、各RFプローブセルは内部に1個のサンプルを有するアセンブリの概略図である。
【図2】内部にシムコイルを有するマグネットを含み、シムコイルが複数個のRFプローブセルを含み、各RFプローブセルは内部に複数個のサンプルを有するアセンブリの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブの複数個のセルに印加する磁場の調整時にシムの効果を最適化する方法であって、
前記プローブの各セルの共鳴周波数が実質的に同一になるように、且つ前記プローブの前記複数個のセルが均一な磁場を受けるように、前記シムの前記複数個のコイルに流す電流の値を決定する工程を含む方法。
【請求項2】
前記シムの前記複数個のコイルに電流を全く供給せずに、前記磁場中に配置した前記セルの共鳴周波数を測定し、それによってMをセルの数としたG、G、…、Gを得る工程と、
第1シムコイルに流され電流Iを用い、且つ他の前記シムコイルに電流を全く流さないで、前記プローブの第1セルの共鳴周波数を測定することにより、第1の添え字をプローブセルの数とし、第2の添え字をシムコイルの数としたFj1を得る工程と、
第1シムコイルに電流Iを流し、且つ他の前記シムコイルに電流を全く流さないで、第2セルの共鳴周波数を測定することにより、F21を得る工程と、
下記数式1を用いて、前記プローブの前記セルの共鳴周波数に関する係数ajkの行列を提供する工程と、
[数1]

第2シムコイルに流した電流Iを用い、他のシムコイルには電流を流さないで、各セルに関して上記測定を繰り返すことによりFj2を得て、且つ上記の関係を用いてaj2を得て、このプロセスを前記シムの全ての前記コイルにわたって繰り返す工程であって、前記行列は下記数式2のようになる工程と、
[数2]

最後にF=G+AIの関係を用いて、前記プローブの各セルの所望の共鳴周波数に最もよく適合する値を得る工程と、
により前記電流の値を決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シムコイルの数Nは、プローブセルの数Mに等しいかMよりも大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
シムコイルの数Nは、プローブセルの数Mよりも小さく、
前記行列に対して最小2乗演算が行われ、各プローブセルが同じ磁場を有するように磁場を調整するために、各セルに対して、前記シムコイルに流れる電流Iの最小誤差を得る、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記磁場はイメージング装置におけるマグネットにより印加され、前記複数個のセルは前記磁場内に配置され、前記複数個のシムコイルは前記プローブセルに近い磁場内に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プローブセルおよび前記シムコイルが液体分光装置に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
シムコイルの数Nはプローブセルの数Mに等しく、
電流Iは、下記の式
I=A―1(F−G)
を用いて決定され、ここで、Iは前記プローブセルの全てに同一共鳴周波数Fを与える電流の行列であり、Gは、前記シムコイルNに電流を全く印加しない場合のプローブセルMの共鳴周波数である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
プローブセルの数がシムコイルの数よりも大きい場合にシムコイル設定を決定する方法であって、所望の組の共鳴周波数に対する最小2乗誤差を用いて前記プローブセルの所望の組の共鳴周波数に必要な電流を得る工程を含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−521070(P2007−521070A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517175(P2006−517175)
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/017642
【国際公開番号】WO2005/001498
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(599060928)バリアン・インコーポレイテッド (81)
【Fターム(参考)】