説明

シャッタ、及び鍵盤装置

【課題】鍵の揺動を演奏情報として検出可能な鍵盤装置において、シャッタの被検出部とセンサとの位置を調整する作業時間を短くするとともに、整調作業が実施される際に、ハンマに設けられたシャッタを取り外さなくてもよい鍵盤装置を提供する。
【解決手段】シャッタ151のシャッタ本体151a、バット31に固定されるバット固定部151e、キャッチャ41に固定されるキャッチャ固定部151f、及びセンサに検出されるための被検出部151dが合成樹脂からなり一体に形成されているので、被検出部151dと被検出部151dを検出するためのセンサとの位置のばらつき量が小さくなる。また、被検出部151dの左右方向の厚さ寸法が、バット固定部151e及びキャッチャ固定部151fの厚さ寸法よりも小さく形成されているので、整調作業が実施される際に、シャッタ151がハンマアセンブリ20から取り外されることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵の揺動を演奏情報として検出可能な鍵盤装置に関し、特に鍵の揺動に連動して移動するシャッタ、及び上述のシャッタを備える鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鍵の揺動に連動して移動するシャッタと、シャッタの移動を演奏情報として検出可能なセンサとを備える鍵盤装置が知られている。例えば、このような鍵盤装置のシャッタとして、鍵盤装置の鍵にステープル針等で装着されるシャッタがある(例えば特許文献1参照)。このようなシャッタは、ステープル針にて鍵に固定される固定部と、固定部に取り付けられる被検出部とを有している。なお、このシャッタの固定部と被検出部とは、別々の部材である。
【0003】
また、例えば、このような鍵盤装置として、鍵と連動するハンマによって打弦するハンマアセンブリと、ハンマに設けられたシャッタと、このシャッタが回動する所定角度に対応してオン・オフするセンサとを備えた鍵盤装置がある(例えば特許文献2参照)。ところで、このようなハンマアセンブリを備える鍵盤装置においては、打弦されて発せられた音の調子を整えるための整調作業が定期的に実施される。
【0004】
このような鍵盤装置の整調作業、例えば音の長さを整調する作業は、弦を押さえる制振部が弦を適切に押さえるように、ダンパレバーの上端に立設され、制振部が取り付けられているダンパワイヤを曲げて調整することによって実施される。ダンパワイヤを曲げる作業は、ダンパワイヤを挟持可能な先端部を有する整調作業用の工具やドライバなどによって実施される。また、このような鍵盤装置の整調作業は、ハンマアセンブリが鍵盤装置に実装された状態で実施される。ところが、ダンパワイヤは、ハンマに設けられたシャッタよりも鍵盤装置の後方の位置に配設されている。そのため、例えば整調作業用の工具の先端部が鍵盤装置の前方からダンパワイヤの方へ略水平に移動される際に、整調作業用の工具がハンマに設けられたシャッタに当たり、整調作業用の工具の先端部がダンパワイヤの位置まで移動するのに長い時間を要することがあった。
【特許文献1】特開2004−54247号公報(第4頁)
【特許文献2】特開平2−1602929号公報(第3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のような鍵盤装置のシャッタにおいては、次のような理由により、シャッタの被検出部とセンサとの位置を調整する作業時間が、固定部と被検出部とが一体に形成されている場合と比べて、長くなるという問題点があった。すなわち、この固定部と被検出部とは、別々の部材であるので、鍵に対するシャッタの被検出部の位置のばらつき量は、シャッタの固定部の加工精度のばらつき量と、シャッタの被検出部の加工精度のばらつき量とを加算したばらつき量である。なお、固定部と被検出部とが一体に形成されている場合には、一つの部材であるので、鍵に対するシャッタの被検出部の位置のばらつき量は、その一つの部材の加工精度のばらつき量となる。よって、鍵に対するシャッタの被検出部の位置のばらつき量は、固定部と被検出部とが一体に形成されている場合と比べて、固定部と被検出部とが別々の部材である方が大きかった。
【0006】
ところで、シャッタの被検出部と、シャッタの移動を検出可能なセンサとの位置のばらつき量は、鍵に対するシャッタの被検出部の位置のばらつき量に比例する。また、シャッタの被検出部とセンサとの位置を調整する作業時間は、シャッタの被検出部と、シャッタの移動を検出可能なセンサとの位置のばらつき量が大きいほど、長くなると考えられる。このことから、上述のような鍵盤装置のシャッタにおいては、シャッタの被検出部とセンサとの位置を調整する作業時間が、固定部と被検出部とが一体に形成されている場合と比べて、長くなるという問題点があった。
【0007】
また、上述のようなハンマアセンブリを備える鍵盤装置においては、整調作業が実施される際には、整調作業用の工具の先端部がダンパワイヤの位置まで移動するのに長い時間を要するので、シャッタの回動動作を演奏情報として検出可能なセンサを備えていない鍵盤装置の整調作業と比較すると、センサを備えている鍵盤装置の方が整調作業に要する時間が長かった。そして、整調作業終了後、ハンマから取り外されたシャッタを元の位置に戻す際には、シャッタの被検出部とセンサとの位置を調整する作業が発生するので、さらに作業に要する時間が長くなるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、鍵の揺動を演奏情報として検出可能な鍵盤装置において、シャッタの被検出部とセンサとの位置を調整する作業時間を短くするとともに、整調作業が実施される際に、整調作業用の工具の先端部がダンパワイヤの位置まで移動するのに長い時間を要しない鍵盤装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題点を解決するためになされた本発明のシャッタ(151:なお、この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための最良の形態」欄において説明した構成要素を括弧内に示すが、この記載によって特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。)は、鍵盤楽器(1)の前部における演奏者から見て左右方向に配置される鍵盤(96)を構成して演奏者による押鍵動作に伴って揺動する鍵(95)または前記鍵の揺動に連動して回動するハンマアセンブリ(20)の少なくともいずれか一方に取り付けられ、近接する際にその旨を示す信号を出力可能なセンサ(135,136)に検出されるためのシャッタである。そして、シャッタは、シャッタ本体(151a)と、その一部が鍵またはハンマアセンブリの少なくともいずれか一方に固定され、シャッタ本体を支持する固定部(151e、151f)と、シャッタ本体に支持され、センサに検出されるための被検出部(151d)とを備えている。また、シャッタ本体、固定部、及び被検出部は、樹脂材料にて構成されるとともに一体に成形されている。
【0010】
このように構成されたシャッタによれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、シャッタ本体、その一部が鍵またはハンマアセンブリの少なくともいずれか一方に固定されシャッタ本体を支持する固定部、及びシャッタ本体に支持されセンサに検出されるための被検出部が、樹脂材料にて構成されるとともに一体に成形されている。上述の[発明が解決しようとする課題]欄で説明したように、シャッタの固定部及び被検出部が一体に成形されているので、固定部と被検出部とが別々の部材である場合と比べて、鍵またはハンマアセンブリの少なくともいずれか一方に固定されたシャッタの固定部に対するシャッタの被検出部の位置のばらつき量が小さくなる。このことにより、固定部と被検出部とが別々の部材である場合と比べて、シャッタの被検出部と、シャッタの被検出部に近接可能な位置に配設されたセンサとの位置のばらつき量が小さくなるので、シャッタの被検出部とセンサとの位置を調整する作業時間を短くできる。
【0011】
また、例えば上述のセンサが赤外線などの光を発する発光ダイオードなどの発光素子と、光を受けると電気的な出力値を発生するフォトトランジスタなどの受光素子とを備える光センサとして構成されている場合には、金属製のシャッタに比べて、樹脂製のシャッタの方が、次のような理由から、外部から光を受けた際に誤検出の発生率を小さくできる。その理由は、樹脂製のシャッタは、その表面の表面粗さを、金属製のシャッタの表面の表面粗さに比べて、大きく形成できるので、樹脂製のシャッタの方が外部から受けた光を乱反射し易いからである。このことにより、金属製のシャッタに比べて、樹脂製のシャッタの方が、外部から光を受けた際に反射する光が拡散され、受光素子が外部から受ける光の光量が小さくなることにより誤検出の発生率を小さくできる。
【0012】
ところで、鍵盤装置の整調作業、例えば音の長さを整調する作業が実施される際には、上述の[背景技術]欄で説明したように、例えば整調作業用の工具などの棒状の物体の先端部が鍵盤装置の前方からハンマに設けられたシャッタよりも鍵盤装置の後方の位置に配設されているダンパワイヤの方へ略水平に移動されるので、シャッタがハンマに設けられていると棒状の物体の先端部がシャッタに当たり、棒状の物体の先端部がダンパワイヤの位置まで移動するのに長い時間を要することがあった。そこで、請求項2に記載のように、シャッタの被検出部は、板状に形成され、その厚さ寸法が、固定部の厚さ寸法よりも小さく形成されているとよい。
【0013】
このように構成されたシャッタによれば、隣接するシャッタの被検出部間の間隔が、隣接するシャッタの固定部間の間隔と同じ場合と比べて、隣接するシャッタの被検出部間の間隔が大きいので、鍵盤装置の整調作業が実施される際には、棒状の物体の先端部がシャッタにあたりにくくなる。このことにより、鍵盤装置の整調作業が実施される際には、棒状の物体の先端部がシャッタにあたりにくくなるので、整調作業用の工具の先端部がダンパワイヤの位置まで移動するのに長い時間を要しない。したがって、このように構成されたシャッタによれば、鍵盤装置の整調作業が実施される際には、整調作業用の工具の先端部がダンパワイヤの位置まで移動するのに長い時間を要しないので、整調作業用の工具の先端部がダンパワイヤの位置まで移動するのに長い時間を要する場合と比べて、整調作業に要する時間を短くできる。
【0014】
また、シャッタ本体は板状に形成され、被検出部は板状に形成されシャッタ本体の上部から延出し、固定部は二つ存在し、一方はバットに固定可能であり、他方はキャッチャに固定可能であるとよい。具体的には、請求項3に記載のように、シャッタ本体は板状に形成され、被検出部は板状に形成されシャッタ本体の上部から延出し、シャッタの固定部は二つ存在し、一方(151e)はその内腔がバットの一部の外形に沿って形成されバットの一部に嵌合されることによってバットに固定可能であり、他方(151f)はその内腔がキャッチャの一部の外形に沿って形成されキャッチャの一部に嵌合されることによってキャッチャに固定可能であるとよい。
【0015】
このように構成されたシャッタによれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、シャッタ本体は板状に形成され、被検出部は板状に形成されシャッタ本体の上部から延出し、固定部は二つ存在し、一方はバットに固定可能であり、他方はキャッチャに固定可能である。シャッタ本体及び被検出部は板状に形成されているので、ブロック状に形成される場合と比べて、重量を小さくできる。このことにより、アコースティックピアノの押鍵タッチ感を損なうことなく、アコースティックピアノに近い演奏情報が得られる。
【0016】
また、上述の固定部は二つ存在し、一方がバットに固定可能であり、他方がキャッチャ固定可能であるので、バットまたはキャッチャのいずれか一方に固定可能な場合と比べて、次のような理由から、ハンマアセンブリに対するシャッタの取り付け位置のばらつき量が小さい。その理由は、バットとキャッチャとの2箇所で固定可能な場合には、例えばバットの1箇所で固定可能な場合と比較して、ハンマアセンブリに対してシャッタを固定する際に、バットとキャッチャとの2箇所で固定できるので、左右方向に略平行な面において、ハンマアセンブリに対するシャッタの回転ずれが発生し難いからである。このことにより、シャッタの被検出部とセンサとの位置を調整する作業時間を短くできる。
【0017】
また、上述のように、一方の固定部は、その内腔がバットの一部の外形に沿って形成されバットの一部に嵌合されることによってバットに固定可能であるので、シャッタの被検出部と、ハンマアセンブリとの前後方向の位置のばらつき量が小さくなる。このことにより、シャッタの被検出部とセンサとの位置を調整する作業時間を短くできる。
【0018】
ところで、鍵の揺動に連動して回動するハンマアセンブリを備えない鍵盤装置において、シャッタを構成するシャッタ本体、固定部、及び被検出部が樹脂材料にて構成されるとともに一体に形成されているとよい。具体的には、請求項5に記載のように、シャッタ(251)は、鍵盤楽器(201)の前部における演奏者から見て左右方向に配置される鍵盤(296)を構成して演奏者による押鍵動作に伴って揺動する鍵(295)に取り付けられ、近接する際にその旨を示す信号を出力可能なセンサ(235,236)に検出されるためのシャッタである。そして、シャッタは、シャッタ本体(251a)と、その一部が鍵に固定され、シャッタ本体を支持する固定部(251c)と、シャッタ本体に支持され、センサに検出されるための被検出部(251b)とを備えている。また、シャッタ本体、固定部、及び被検出部は、樹脂材料にて構成されるとともに一体に成形されているとよい。
【0019】
このように構成されたシャッタによれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、シャッタ本体、その一部が鍵に固定されシャッタ本体を支持する固定部、及びシャッタ本体に支持されセンサに検出されるための被検出部が、樹脂材料にて構成されるとともに一体に形成されている。上述の[発明が解決しようとする課題]欄で説明したように、シャッタの固定部及び被検出部が一体に成形されているので、固定部と被検出部とが別々の部材である場合と比べて、鍵に固定されたシャッタの固定部に対するシャッタの被検出部の位置のばらつき量が小さくなる。このことにより、固定部と被検出部とが別々の部材である場合と比べて、シャッタの被検出部と、シャッタの被検出部に近接可能な位置に配設されたセンサとの位置のばらつき量が小さくなるので、シャッタの被検出部とセンサとの位置を調整する作業時間を短くできる。
【0020】
また、例えばセンサが赤外線などの光を発する発光ダイオードなどの発光素子と、光を受けると電気的な出力値を発生するフォトトランジスタなどの受光素子とを備える光センサとして構成されている場合には、金属製のシャッタに比べて、樹脂製のシャッタの方が、外部から光を受けた際に反射する光が拡散されるので、受光素子が受ける光量が小さくなるために誤検出の発生率を小さくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[第一実施形態]
本実施形態は本発明を、いわゆるアップライトピアノに適用したものであり、以下、本実施形態について図面を用いて説明する。
【0022】
[アップライトピアノ1の構成の説明]
図1は、本発明を適用したアップライトピアノ1の要部側断面図である。なお、以下の説明において特に断り書きのない場合には、鍵95の演奏者に近い側(図1の右方向)を「前」、演奏者から遠ざかる側(図1の左方向)を「後」、上側(図1の上方向)を「上」、下側(図1の下方向)を「下」、図1の紙面に垂直な方向を「左右方向」として説明する。
【0023】
図1に示すアップライトピアノ1の棚板(図示せず)には、左右方向に並んだ多数の鍵95(白鍵95a及び黒鍵95bを各1つのみ図示)を有する鍵盤96、及び多数の鍵95の数量と同じ数量のアクション2が載置されている。各アクション2は、各鍵95に対応するように設けられている。このアクション2については、後で説明する。
【0024】
また、図1に示すアップライトピアノ1の棚板には、鍵盤96の全幅に亘って左右方向に延在するセンタレール91が固定され、そのセンタレール91の全長に亘って左右方向に延在するハンマレール23が載置されている。以下、センタレール91、ハンマレール23の順に説明する。
【0025】
センタレール91は、鍵盤96の全幅に亘って左右方向に延びている長尺部材である。また、センタレール91は、左右方向の数箇所でブラケット92によって棚板に固定されている。
【0026】
センタレール91の上面には、ダンパフレンジ76が固定されている。そして、ダンパフレンジ76の後端部には、上下方向に延在する長尺状のダンパレバー71がピン77を介して回動可能に取り付けられている。このダンパレバー71の上端には、ダンパワイヤ73が上方に向けて立設されている。ダンパワイヤ73の上端部には、ダンパヘッド74が固定されている。このダンパヘッド74には制振部75が取り付けられている。
【0027】
また、センタレール91の上端部にはバットフレンジ33が固定され、センタレール91の下端部にはウイペンフレンジ53が固定されている。なお、バットフレンジ33、及びウイペンフレンジ53については、後で説明する。
【0028】
ハンマレール23は、センタレール91の全長に亘って左右方向に延びている長尺部材である。また、ハンマレール23は、ハンマレールフォーク25を介してブラケット92に回動可能に取り付けられ、ブラケット92にクッションフェルト(図示せず)を介して載置されている。
【0029】
次に、アクション2は、図1に示すように、ウイペン51、ジャック81、バット31、キャッチャ41、ハンマ21、及びダンパレバー71を有する。以下、ウイペン51、ジャック81、バット31、キャッチャ41、ハンマ21、ダンパレバー71の順に説明する。
【0030】
ウイペン51は、前後方向に延在した板状の部材である。また、ウイペン51は、センタレール91の下端部に固定されたウイペンフレンジ53にピン54を介して回動可能に取り付けられている。
【0031】
ウイペン51の前端部の上面には、前方側から順番にブライドルワイヤ69とバックチェック61とが固定され、さらにウイペン51の前端部の上面におけるバックチェック61の後方には、ジャックスプリング86の一端が取り付けられている。このジャックスプリング86については、後で説明する。
【0032】
ウイペン51の前後方向の前端部側の下端には、ウイペンヒール52が設けられている。そして、ウイペンヒール52の下面は、キャプスタン55によって支持されている。
ウイペン51の前後方向のほぼ中央部の上面には、上方へ向けて突出するジャックフレンジ82が固定されている。そして、ジャックフレンジ82には、ピン83を介してジャック81が回動可能に取り付けられている。このジャック81については、後で説明する。また、ウイペン51の前後方向の後端部側には、ダンパスプーン78が取り付けられている。
【0033】
ダンパスプーン78は、押鍵によりウイペン51が反時計回り方向へ回動すると、ダンパレバー71をダンパレバースプリング72の付勢力に抗して時計回り方向に回動させダンパの制振部75を弦11から離間させる機能を有する。
【0034】
ジャック81は、略L字状の部材であり、前方側の斜め上方に向けて延在する長尺状のジャック大84とこのジャック大84にほぼ直交しジャック大84より短いジャック小85とから構成されている。そして、ジャック81は、ジャック大84の上端面がバット31の下面を覆うバットスキン37に当接するように構成されている。また、上述のようにジャックスプリング86の一端がウイペン51に取り付けられているが、ジャックスプリング86の他端がジャック小85に取り付けられている。よって、ジャック81はジャックスプリング86によって常に反時計回り方向に回動するように付勢されている。
【0035】
バット31は、センタレール91の上部に固定されたバットフレンジ33に、そのバットフレンジ33の設けられたピン34を介して時計回り方向または反時計回り方向に回動可能に取り付けられている。また、バット31には、前方側の斜め上方に向けて延在するハンマシャンク22とハンマシャンク22にほぼ直交する方向に延在するキャッチャシャンク42とが固定されている。そして、キャッチャシャンク42の先端部にはキャッチャ41が固定されている。また、バット31の後方には、バット31を常に時計回り方向に付勢するバットスプリング32が取り付けられている。このバットスプリング32は、打弦後のハンマ21を再び弦11に接触しないようにするものである。このバット31及びキャッチャ41については、[バット31及びキャッチャ41の構成の説明]欄において詳細に説明する。また、バット31とキャッチャ41との間には、バット31とともに回動するシャッタ151が、バット31とキャッチャ41とに固定されている。このシャッタ151については、[シャッタ151の構成の説明]欄、及び[バット31及びキャッチャ41にシャッタ151を取り付け方法について]欄において詳細に説明する。そして、シャッタ151の回動を検出するためのセンサ135及びセンサ136を有するシャッタ検出部130が、センタレール91に実装されている。このシャッタ検出部については、[シャッタ検出部130の構成の説明]欄において詳細に説明する。
【0036】
ハンマ21は、バット31に固定されたハンマシャンク22の先端部に取り付けられている。ハンマシャンク22は、押鍵されない静止状態ではハンマレール23に取り付けられたハンマレールクロス24に当接している。ハンマシャンク22が反時計回り方向に回動するとハンマ21は弦11を打撃し打弦音が発生する。
【0037】
ダンパレバー71は、ダンパフレンジ76に設けられたピン77周りに回動可能にダンパフレンジ76に支持されている。ダンパレバー71は、一端がダンパフレンジ76に取り付けられ、他端がダンパレバー71に取り付けられたダンパレバースプリング72によって反時計回り方向に付勢されている。これにより、押鍵によって弦11から離間されたダンパの制振部75が押鍵状態から解除されるにしたがって弦11を制振することで打弦音の長さが決められるとともに、通常はダンパの制振部75が弦11を押さえて、他の弦が打弦されたときの弦11の共振を防止している。
【0038】
ハンマアセンブリ20は、図1に示すように、ハンマ21、ハンマシャンク22、バット31、キャッチャ41、及びキャッチャシャンク42などから構成される。また、ハンマアセンブリ20は、ジャック81の突き上げに連動してハンマ21の打弦に導く伝達部としての機能を有している。
【0039】
なお、本実施形態においては、センサ135及びセンサ136が「センサ」に相当する。
[バット31及びキャッチャ41の構成の説明]
次に、バット31及びキャッチャ41の構成について詳細に説明する。図2(c)はバット31とキャッチャ41とを上方から見た斜視図である。なお、以下の説明においては、バット31に対してハンマシャンク22が取り付けられている側(図2(c)の上方向)を「上」とし、その反対側(図2(c)の下方向)を「下」、バット31に対してキャッチャシャンク42が取り付けられている側(図2(c)の前方向)を「前」とし、その反対側(図2(c)の後方向)を「後」とし、「左右方向」については、図1の「左右方向」と同じ方向として説明する。以下、バット31、キャッチャ41の順に説明する。
【0040】
バット31は、図2(c)に示すように、その断面形状が略五角形をなす柱状体であり、ハンマシャンク22が取り付けられている平面状の水平面31aがその上部に形成され、キャッチャシャンク42が取り付けられている平面状の垂直面31bがその前部に形成され、水平面31aと垂直面31bとに連続する平面状の傾斜面31cが形成され、バット31の垂直面31bに連続し、前側から後側へ緩やかに下降傾斜する斜面31dがその下部に形成されている。この斜面31dには、バットスキン37が取り付けられている。そして、上述のように、この斜面31dに取り付けられたバットスキン37にジャック大84の上端面が当接する。また、バット31は、平板部31eがその後部の下端に形成されている。この平板部31eは、バット31の後部の下端の左右方向の略中央部と、斜面31dの後端の左右方向の略中央部とに連続して下方へ延在し、略矩形の板状をなしている。また、平板部31eは、その板状の両面が左右方向と略垂直な面として形成されている。さらに、平板部31eの略中央部には左右方向に中心を有する貫通孔31fが形成されている。また、この貫通孔31fは、貫通孔31fにセンタレール91の上部に固定されたバットフレンジ33に設けられたピン34が挿通される際に、バット31が回動可能なように形成されている。
【0041】
バット31は、そのバット31に設けられた貫通孔31fに、センタレール91の上部に固定されたバットフレンジ33に設けられたピン34が挿通されることによって、バットフレンジ33に時計回り方向または反時計回り方向にピン34を中心として回動可能に支持される。そして、バット31は、押鍵によりウイペン51が反時計回り方向に回動すると、ウイペン51に支持されたジャック大84により突き上げられ、反時計回り方向に回動されるとバット31に固定されたハンマ21が反時計回り方向に回動し弦11を打撃させる機能を有する。
【0042】
キャッチャ41は、図2(c)に示すように、略直方体のブロック体であり、キャッチャシャンク42の先端部に固定されている平面状の垂直面41aがその後部に形成され、垂直面41aに連続する平面状の水平面41bがその上部に形成され、水平面41bに連続する平面状の前面41cがその前部に形成され、キャッチャ41の前面41cに連続し、前側から後側へ緩やかに下降傾斜する斜面41dがその下部に形成されている。この斜面41dには、キャッチャスキン47が取り付けられている。このキャッチャスキン47は、打弦後のキャッチャ41が時計方向回りに回動しながらバックチェック61に弾性的に受け止められる際に、キャッチャ41がバックチェック61に滑らかに当接するように形成されている。そして、キャッチャ41は、打弦後のハンマ21が回動復帰する際に、キャッチャ41が時計方向回りに回動しながらバックチェック61に弾性的に受け止められることによって、ハンマ21の回動復帰の衝撃を吸収させる機能を有する。
【0043】
[シャッタ151の構成の説明]
次に、シャッタ151の構成について説明する。図2(a)はシャッタ151を上方から見た斜視図であり、図2(b)はシャッタ151を下方から見た斜視図である。
【0044】
シャッタ151は、例えばポリアセタール、ナイロンなどの合成樹脂からなり、図2(a)に示すように、略三角形の板状に形成されているシャッタ本体151aを有する。シャッタ151は、シャッタ本体151aの板状の平面151bが左右方向と略垂直な面となり、且つシャッタ本体151aの三つの側面中、一つの側面151cが前方側の斜め上方を向く姿勢に配置されている。そして、シャッタ151は、シャッタ本体151aの側面151cにおける後端部分から前方側の斜め上方に向けて延出された略扇形の板状の被検出部151d、シャッタ本体151aの下部の後端部分に略半筒状に形成されたバット固定部151e、及びシャッタ本体151aの下部の前端部分に略半筒状に形成されたキャッチャ固定部151fを有している。シャッタ本体151aは、その被検出部151dからバット固定部151e、及びキャッチャ固定部151fの両方向へ位置が変化するにしたがってその板状の厚さが連続的に増大するように形成されている。
【0045】
バット固定部151eは、その内腔151g(図2(b)参照)がバット31の傾斜面31cの一部、バット31の垂直面31bの一部、及び傾斜面31cと垂直面31bとに連続するバット31の両端面の一部の外形(図2(c)参照)に沿って形成されている。
【0046】
キャッチャ固定部151fは、その内腔151h(図2(b)参照)がキャッチャ41の垂直面41aの一部、キャッチャ41の水平面41bの一部、及び垂直面41aと水平面41bとに連続するキャッチャ41の両端部の一部の外形(図2(c)参照)に沿って形成されている。
【0047】
[バット31及びキャッチャ41にシャッタ151を取り付け方法について]
次に、バット31及びキャッチャ41にシャッタ151を取り付け方法について説明する。図2(d)はバット31とキャッチャ41とに固定されているシャッタ151を上方から見た斜視図である。なお、図2(d)の説明においては、図2(c)の「上下方向」、「前後方向」、及び「左右方向」と同じ方向として説明する。
【0048】
まず、バット固定部151eの内腔151gとキャッチャ固定部151fの内腔151hとに例えば樹脂系などの接着剤が塗布される。シャッタ151は、図2(d)に示すように、そのバット固定部151eの内腔151gがバット31の傾斜面31cの一部、バット31の垂直面31bの一部、及び傾斜面31cと垂直面31bとに連続するバット31の両端面の一部に当接するように押し付けられる。そして、シャッタ151は、そのキャッチャ固定部151fの内腔151hがキャッチャ41の垂直面41aの一部、キャッチャ41の水平面41bの一部、及び垂直面41aと水平面41bとに連続するキャッチャ41の両端部の一部に当接するように押し付けられることによってバット31とキャッチャ41との間に配設され、バット31とキャッチャ41とに固定される。
【0049】
シャッタ151は、バット31とともに時計回り方向または反時計回り方向に回動する。シャッタ151は、その回動中心である貫通孔31fの中心から被検出部151dまでの距離が、図2(d)に示すように、貫通孔31fの中心からシャッタ本体151a、バット固定部151e、及びキャッチャ固定部151fまでの距離よりも大きくなるように構成されている。
【0050】
また、シャッタ151の被検出部151dは、アップライトピアノ1の整調作業が実施される際には、例えば整調作業用の工具などの棒状の物体の先端部をアップライトピアノ1の前方からダンパワイヤ73に向けて略水平に移動させる際に干渉しないように形成されている。具体的には、図2(c)に示すように、被検出部151dの左右方向の厚さ寸法が、バット固定部151e、及びキャッチャ固定部151fの左右方向の厚さ寸法よりも小さく形成されている。
【0051】
[シャッタ検出部130の構成の説明]
次に、シャッタ検出部130の構成について説明する。図3(a)はシャッタ検出部130を示す斜視図であり、図3(b)はセンサ135及びセンサ136を示す斜視図であり、図3(c)は図1(a)におけるA矢視図である。
【0052】
シャッタ検出部130は、図3(a)に示すように、センタレール91の前端部に固定されている左側の固定部材101、右側の固定部材(図示せず)、左側の固定部材101と右側の固定部材とによって固定されたセンサ基板131、及びこのセンサ基板131に実装されシャッタ151の回動を検出するためのセンサ135及びセンサ136を有する。以下、左側の固定部材101、右側の固定部材、センサ基板131、センサ135及びセンサ136の順に説明する。
【0053】
左側の固定部材101は、例えば金属製の板材などの剛性の高い材料からなり、図3(a)に示すように、上下方向に延在する略矩形状の下平板部101aと、その下平板部101aの一辺の縁から略垂直に立ち上がった略矩形状の2つの固定部101b及び固定部101cと、この下平板部101aから斜め上方に向けて延在する上平板部101dと、上平板部101dの上辺の縁から略垂直に立ち上がった略矩形状の基板固定部101eとを有している。また、固定部101b及び固定部101cにはそれぞれ雄ネジ部を挿入する貫通穴(図示せず)が形成されている。さらに、基板固定部101eには、上平板部101dの上辺の縁に略平行に二つの雌ネジ部(図示せず)が形成されている。また、センタレール91の前端部の左側には、左側の固定部材101の固定部101b及び固定部101cにそれぞれ設けられた貫通穴に連通する雌ネジ部(図示せず)が、左側の固定部材101をセンタレール91に取り付ける際に、ボルト(図示せず)の雄ネジ部が螺合されるように形成されている。そして、左側の固定部材101は、その固定部101b及び固定部101cそれぞれの面が垂直になるとともにセンタレール91の前端部の左側に対向するような姿勢で保持され、ボルトの雄ネジ部を、固定部101b及び固定部101cそれぞれに形成されている貫通孔に挿通して、センタレール91の雌ネジ部と螺合されることによって、センタレール91の前端部の左側に取り付けられる。なお、左側の固定部材101は、左右方向に隣接するアクション2の左右方向の隙間寸法が左側の固定部材101の左右方向の幅寸法より大きい位置において、センタレール91の前端部の左側に取り付けられている。
【0054】
右側の固定部材は、左側の固定部材101と左右対称の形状を有し、その形状を除いた構成が左側の固定部材101と同じ構成を有している。また、センタレール91の前端部の右側には、右側の固定部材をセンタレール91の前端部に取り付けるための雌ネジ部が、左側の固定部材101をセンタレール91の前端部に取り付けるための雌ネジ部と同じ構成で形成されている。そして、右側の固定部材は、上述の左側の固定部材101と同様にボルト(図示せず)によってセンタレール91の前端部の右側に取り付けられる。
【0055】
センサ基板131は、例えばエポキシ樹脂などで形成された略長方形状の平板からなるプリント基板である。センサ基板131には、抵抗器、コンデンサ、トランジスタ、ICなどの電子部品(図示せず)が有する端子それぞれを挿通可能な複数の孔(図示せず。以下、スルーホールとも称する)が形成されており、その実装面131aには、上述の電子部品がはんだ付けによって実装されている。また、センサ基板131の実装面131aには、一つのセンサ135と一つのセンサ136とが一組となって一つのシャッタ151の回動を検出するように、その長手方向に複数組のセンサ135及びセンサ136が並んで実装されている。さらに、センサ基板131の長手方向の両端近傍には、その短手方向にそれぞれ二つの貫通孔(図示せず)が、センサ基板131を左側の固定部材101の基板固定部101e及び右側の固定部材の基板固定部(図示せず)に取り付ける際に、ボルト133の雄ネジ部が挿通されるように形成されている。
【0056】
センサ135は、図3(b)に示すように、略コの字形状をなし、発光部135a、接続部135b、及び受光部135cを有する。発光部135aは、略四角柱状に形成され、その一面をなしている側面(以下、発光面135dとも称する)から例えば赤外線などの光を発する発光ダイオードなどの発光素子135eを収容する。接続部135bは、略四角柱状に形成され、発光部135aの端部からその軸心に略垂直方向であるとともに発光素子135eが発する光の方向に沿って延在する。受光部135cは、略四角柱状に形成され、接続部135bの端部から発光部135aと略平行に延在する。また、受光部135cは、発光部135aの発光面135dに対向する面(以下、受光面135fと称する)を有するように形成され、その受光面135fより発光素子135eから発せられた光(以下、光軸とも称する)を受けると電気的な出力値を発生する例えばフォトトランジスタなどの受光素子135gを収容する。そして、センサ135は、図3(c)に示すように、その発光面135dと受光面135fとの距離寸法L(図中に「L」で示す)がシャッタ151の被検出部151dの板厚寸法T(図中に「T」で示す)より大きく形成されている。具体的には、シャッタ151が回動する際に、その被検出部151dがセンサ135に当接しないように十分な距離を想定してセンサ135の発光面135dと受光面135fとの距離寸法Lが設定されている。また、センサ135は、発光部135aの発光素子135eに接続されるとともに発光部135aの軸心方向へ接続部135bの外面から突出する2本の端子と、受光部135cの受光素子135gに接続されるとともに受光部135cの軸心方向へ接続部135bの外面から突出する2本の端子とを有している。そして、センサ136は、センサ135と同様の構成を有している。
【0057】
次に、シャッタ151とシャッタ151の回動を検出するための複数組のセンサ135及びセンサ136との位置関係について説明する。
まず、センサ基板131には、図3(c)に示すように、センサ135がシャッタ151の回動を検出する際に、センサ135の発光面135dと受光面135fとが左右方向に略垂直な面となり回動するシャッタ151の被検出部151dが発光面135dと受光面135fとのほぼ中間部を回動する位置にセンサ135が実装されるように、センサ135が有する端子を挿通可能な4つのスルーホールが形成されている。また、センサ基板131には、センサ135が有する端子を挿通可能な4つのスルーホールと同様に複数組のセンサ135及びセンサ136が有する端子それぞれを挿通可能な複数のスルーホールが形成されている。そして、複数組のセンサ135及びセンサ136は、端子それぞれがセンサ基板131のスルーホールに挿入されてはんだ付けされることによって、センサ基板131の実装面131aにそれぞれ実装される。
【0058】
また、左側の固定部材101、及び右側の固定部材は、図3(c)に示すように、センサ135がシャッタ151の回動を検出する際に、シャッタ151の被検出部151dが発光面135dと受光面135fとのほぼ中間部を回動するとともに、被検出部151dがセンサ135の光軸を遮蔽できるように構成されている。さらに、左側の固定部材101、及び右側の固定部材は、センサ135がシャッタ151の回動を検出する際に、シャッタ151が所定角度回動すると被検出部151dがセンサ135の光軸を遮蔽できるように構成されている。
【0059】
また、複数組のセンサ135及びセンサ136は、端子それぞれがセンサ基板131のスルーホールに挿入されてはんだ付けされることによってセンサ基板131に電気的に接合されており、センサ基板131を介して演奏情報処理部(図示せず)に電気的に接続されている。そして、センサ基板131は、その実装面131aが下方へ向き水平になるとともに左側の固定部材101の基板固定部101e及び右側の固定部材の基板固定部(図示せず)に対向するような姿勢で保持され、ボルト133の雄ネジ部を、その長手方向の両端近傍に形成されている貫通孔を挿通して、左側の固定部材101の基板固定部101eに形成された雌ネジ部及び右側の固定部材の基板固定部に形成された雌ネジ部に形成された雌ネジ部と螺合されることによって、左側の固定部材101及び右側の固定部材に取り付けられる。
【0060】
[アクション2の作動について]
次に、図1を参照してアクション2の作動について説明する。なお、鍵95については、アクション2に対応する一つの白鍵95aを取り上げて説明する。
【0061】
白鍵95aを下方へ押し下げる(以下、押鍵とも称する)と、白鍵95aの後端部(図1の後方端部)が上昇し、白鍵95aの後端部に固定されたキャプスタン55がウイペン51を押し上げ反時計回り方向に回動させる。ウイペン51が反時計回り方向に回動を始めると、ウイペン51に支持されたジャック大84はバット31に連結した状態でバット31を突き上げる。バット31は、反時計回り方向に回動するように駆動される。このように、押鍵によりバット31が回動を始めると、バット31に固定されたハンマ21が反時計回り方向に回動し弦11を打弦する。また、バット31に固定されたキャッチャ41も回動を始める。そして、バット31とキャッチャ41とに固定されたシャッタ151も回動を始める。
【0062】
ハンマ21が弦11を打撃した後は、ハンマ21は回動復帰し、キャッチャ41はバックチェック61に弾性的に受け止められる。押鍵持続中は、キャッチャ41はバックチェック61に保持される。
【0063】
白鍵95aが押鍵状態から解除されると、バックチェック61によるキャッチャ41の保持が緩み、図1に示すように、バックチェック61とキャッチャ41との間に隙間が生じる。そして、復鍵の間にジャック大84がバット31を突き上げ可能な位置まで戻り、次の押鍵に備える。
【0064】
押鍵されない静止状態では、センサ135は、発光部135aの発光素子135eから発せられた光を受光部135cの受光素子135eが受けて電気的な出力値を発生している(以下、「オフ状態」と称する)。上述のように押鍵され、シャッタ151が反時計回り方向に回動を始め、所定角度回動し、その被検出部151dがセンサ135の光軸を遮蔽すると、センサ135は、その受光部135cの受光素子135eが光を受けなくなり、電気的な出力値を発生しなくなる(以下、「オン状態」と称する)。センサ136も、センサ135と同様の機能を有する。このようなセンサ135及びセンサ136の「オン状態」及び「オフ状態」を、センサ135及びセンサ136に接続されている演奏情報処理部が検出する。そして、演奏情報処理部は、押鍵された際に、センサ135が「オン状態」となる時刻からセンサ136が「オン状態」となる時刻までの時間を計測し、この計測された時間と、センサ135が「オン状態」となるシャッタ151の回動角度とセンサ136が「オン状態」となるシャッタ151の回動角度との角度差と、によってハンマの回動速度を検出する。そして、演奏情報処理部は、演奏情報として検出されたハンマの回動速度に応じた発音のベロシティ(音量)を得る。
【0065】
[効果の説明]
(1)本実施形態のシャッタ151によれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、従来の鍵の揺動に連動して移動するシャッタと、シャッタの移動を演奏情報として検出可能なセンサとを備える鍵盤装置において、例えばシャッタの固定部と被検出部とが別々の部材であるので、固定部と被検出部とが一体に形成されている場合と比べて、シャッタの被検出部とセンサとの位置を調整する作業時間が長かった。また、ハンマアセンブリを備える鍵盤装置においては、例えば整調作業が実施される際に、整調作業用の工具の先端部がダンパワイヤの位置まで移動するのに長い時間を要することがあった。このことにより、シャッタの回動動作を演奏情報として検出可能なセンサを備えていない鍵盤装置の整調作業と比較すると、シャッタの回動動作を演奏情報として検出可能なセンサを備えている鍵盤装置の方が整調作業に要する時間が長かった。
【0066】
それに対して、本実施形態のシャッタ151によれば、シャッタ151のシャッタ本体151a、ハンマアセンブリ20のバット31に固定されるバット固定部151e、キャッチャ41に固定されるキャッチャ固定部151f、センサ135及びセンサ136に検出されるための被検出部151dが、合成樹脂からなり、一体に形成されている。したがって、本実施形態のシャッタ151によれば、シャッタ151の被検出部151dと、シャッタ151の被検出部151dを検出するためのセンサ135及びセンサ136との位置のばらつき量が小さくなるので、固定部と被検出部とが別々の部材である場合と比べて、シャッタ151の被検出部151dとセンサ135及びセンサ136との位置を調整する作業時間を短くできる。
【0067】
(2)また、本実施形態のシャッタ151によれば、被検出部151dの左右方向の厚さ寸法が、バット固定部151e、及びキャッチャ固定部151fの左右方向の厚さ寸法よりも小さく形成されている。このことにより、アップライトピアノ1の整調作業が実施される際には、例えば整調作業用の工具などの棒状の物体の先端部がシャッタ151の被検出部151dに当たり難くなるので、整調作業用の工具の先端部がダンパワイヤ73の位置まで移動するのに長い時間を要しない。したがって、本実施形態のシャッタ151によれば、アップライトピアノ1の整調作業が実施される際に、整調作業用の工具の先端部がダンパワイヤ73の位置まで移動するのに長い時間を要しないので、整調作業用の工具の先端部がダンパワイヤ73の位置まで移動するのに長い時間を要する場合と比べて、整調作業に要する時間を短くできる。
【0068】
(3)また、本実施形態のシャッタ151によれば、シャッタ本体151aは、板状に形成され、被検出部151dは板状に形成されシャッタ本体151aの上部から延出し、固定部は二つ存在し、一方のバット固定部151eはバット31に固定可能であり、他方のキャッチャ固定部151fはキャッチャ41に固定可能である。そして、シャッタ本体151a及び被検出部151dは板状に形成されているので、ブロック状に形成される場合と比べて、重量を小さくできる。このことにより、アコースティックピアノの押鍵タッチ感を損なうことなく、アコースティックピアノに近い演奏情報が得られる。また、固定部はバット固定部151e、及びキャッチャ固定部151fの二つ存在するので、左右方向に略平行な面において、例えばバット31の1箇所で固定可能な場合と比べて、ハンマアセンブリ20に対するシャッタ151の回転ずれが発生し難くなり、ハンマアセンブリ20に対するシャッタ151の取り付け位置のばらつき量を小さくできる。このことにより、シャッタ151の被検出部151dとセンサ135及びセンサ136との位置を調整する作業時間を短くできる。
【0069】
[第二実施形態]
本実施形態は本発明を、ハンマアセンブリを備えない鍵盤装置に適用したものであり、以下、本実施形態について図面を用いて説明する。
【0070】
[鍵盤装置201の構成の説明]
図4(a)は本実施形態における鍵盤装置201の要部側面図であり、図4(b)は図4(a)のD−D線における断面図であり、図4(c)は、シャッタ251を上方から見た斜視図である。なお、以下の説明において鍵295の演奏者に近い側(図4(a)の右方向)を「前」、演奏者から遠ざかる側(図4(a)の左方向)を「後」、上側(図4(a)の上方向)を「上」、下側(図4(b)の下方向)を「下」、図4(a)の紙面に垂直な方向を「左右方向」として説明する。
【0071】
図4(a)に示す鍵盤装置201の棚板(図示せず)には、左右方向に並んだ多数の鍵295(白鍵295a及び黒鍵295bを各1つのみ図示)を有する鍵盤296、及び多数の鍵295それぞれを支持する筬282が載置されている。以下、一つの白鍵295aと、その白鍵295aを支持する一つの筬282とを取り上げて順に説明する。
【0072】
筬282は、略断面矩形の木材からなり、白鍵295aを支持するように構成されている。筬282の後端の上部には、筬中285が固定されている。この筬中285の上部には、白鍵295a用バランスピン284aが立設されている(一つのみ図示)。なお、この筬中285の上部には、白鍵295a用バランスピン284aより後方の位置に黒鍵用バランスピン284bが立設されている(一つのみ図示)。
【0073】
白鍵295aは、断面矩形の木製からなり、その中央部にはバランスピン孔294aが形成されている。このバランスピン孔294aは、その下部の断面形状が、略円形をなし、その内径寸法が、白鍵295a用バランスピン284aの外形寸法より大きく形成されている。また、バランスピン孔294aは、その上部の断面形状が、前後方向に長い略長円形をなし、その短い方向の幅寸法が、白鍵295a用バランスピン284aの外形寸法より大きく形成されている。白鍵295aは、そのバランスピン孔294aに筬中285の上部に立設された白鍵295a用バランスピン284aを挿入することにより、バランスピン284aに回動可能に支持される。なお、黒鍵295bは、断面矩形の木製からなり、その中央部にはバランスピン孔294bが形成されている。このバランスピン孔294bは、バランスピン孔294aと同じ形状で形成されている。黒鍵295bは、そのバランスピン孔294bに筬中285の上部に立設された黒鍵295b用バランスピン284bを挿入することにより、バランスピン284bに回動可能に支持される。
【0074】
そして、白鍵295aが押鍵される(白鍵295aの前部が押し下げられる)と、白鍵295aは、白鍵295a用フロントピン286によって左右方向に振れないように案内されながら、筬中285の上部に立設された白鍵295a用バランスピン284aに支持されその前部が下方へ移動する方向へ回動する。なお、黒鍵295bが押鍵されると、黒鍵295bは、黒鍵295b用フロントピン287によって左右方向に振れないように案内される。
【0075】
また、白鍵295aにおけるバランスピン孔294aが形成されている位置より前方の下部であるシャッタ固定部295cには、鍵の揺動に伴って回動するシャッタ251が固定されている。このシャッタ251については、[シャッタ251の構成の説明]欄、及び[白鍵295aにシャッタ251を取り付け方法について]欄において詳細に説明する。そして、シャッタ251の回動を検出するためのセンサ235及びセンサ236が、筬282における筬中285が固定されている位置より前方の上部であるセンサ固定部282aに固定されている。このセンサ235及びセンサ236については、[シャッタ検出部230の構成の説明]欄において詳細に説明する。
【0076】
[シャッタ251の構成の説明]
次に、シャッタ251の構成について説明する。
シャッタ251は、例えばポリアセタール、ナイロンなどの合成樹脂からなり、図4(c)に示すように、略矩形の板状に形成されている被検出部251aを有する。シャッタ251は、被検出部251aの板状の平面251bが左右方向と略垂直な面となり、且つ被検出部251aの四つの側面中、一つの側面251cが上方を向く姿勢に配置されている。そして、シャッタ251は、被検出部251aの上方に位置し、被検出部の側面251cに連続して略半筒状に形成された鍵固定部251dを有している。
【0077】
鍵固定部251dは、その内腔251eが白鍵295aのシャッタ固定部295c、及びシャッタ固定部295cに連続する白鍵295aの両側面の一部の外形(図2(b)参照)に沿って形成されている。
【0078】
[白鍵295aにシャッタ251を取り付け方法について]
次に、白鍵295aにシャッタ251を取り付け方法について説明する。
まず、鍵固定部251dの内腔251eに例えば樹脂系などの接着剤が塗布される。シャッタ251は、図4(a)、図4(b)に示すように、その鍵固定部251dの内腔251eが白鍵295aのシャッタ固定部295c、及びシャッタ固定部295cに連続する白鍵295aの両側面の一部に当接するように押し付けられることによって白鍵295aに固定される。
【0079】
シャッタ251は、白鍵295aの揺動に伴って時計回り方向または反時計回り方向に回動する。
[シャッタ検出部230の構成の説明]
次に、シャッタ検出部230の構成について説明する。
【0080】
シャッタ検出部230は、図4(b)に示すように、筬282のセンサ固定部282aに固定され、シャッタ251の回動を検出するための一つのセンサ235及び一つのセンサ236を有する。
【0081】
センサ235及びセンサ236は、上記実施形態のセンサ135と同様の構成を有している。そして、シャッタ251の被検出部251aの板厚寸法は、シャッタ251が回動する際に、その被検出部251aがセンサ235、及びセンサ236に当接しないように十分な距離を想定してセンサ235の発光面235dと受光面235fとの距離寸法より小さく形成されている。
【0082】
次に、シャッタ251とシャッタ251の回動を検出するためのセンサ235及びセンサ236との位置関係について説明する。
まず、図4(b)に示すように、センサ236がシャッタ251の回動を検出する際に、センサ236の発光面236dと受光面236fとが左右方向に略垂直な面となり回動するシャッタ251の被検出部251aが発光面236dと受光面236fとのほぼ中間部を回動する位置になるように、センサ236が筬282のセンサ固定部282aに固定される。このセンサ236が筬282のセンサ固定部282aに固定されるためには、センサ236における筬282のセンサ固定部282aに当接する当接面に例えば樹脂系などの接着剤が塗布される。そして、センサ236は、その当接面が筬282のセンサ固定部282aに当接するように押し付けられることによって筬282のセンサ固定部282aに固定される。また、センサ235がシャッタ251の回動を検出する際に、センサ235の発光面235dと受光面235fとが左右方向に略垂直な面となり回動するシャッタ251の被検出部251aが発光面235dと受光面235fとのほぼ中間部を回動する位置になるように、センサ235がセンサ236の上部に固定される。このセンサ235がセンサ236に固定されるためには、センサ235におけるセンサ236に当接する当接面に例えば樹脂系などの接着剤が塗布される。そして、センサ235は、その当接面がセンサ236に当接するように押し付けられることによってセンサ236に固定される。
【0083】
また、センサ135及びセンサ136は、端子それぞれがケーブルにはんだ付けされることによって、これらのケーブルを介して演奏情報処理部(図示せず)に電気的に接続されている。
【0084】
[白鍵295aの作動について]
次に、図4を参照して白鍵295aの作動について説明する。
白鍵295aを下方へ押し下げる(以下、押鍵とも称する)と、白鍵295aのシャッタ固定部295cに固定されたシャッタ251が白鍵295aの揺動に伴って時計回り方向に回動を始める。
【0085】
白鍵295aが押鍵状態から解除されると、白鍵295aのシャッタ固定部295cに固定されたシャッタ251が白鍵295aの揺動に伴って反時計回り方向に回動し、白鍵295aが元の位置まで戻る。
【0086】
押鍵されない静止状態では、センサ235が、「オフ状態」となる。上述のように押鍵され、シャッタ251が時計回り方向に回動を始め、所定角度回動し、その被検出部251aがセンサ235の光軸を遮蔽すると、センサ235は、「オン状態」となる。センサ236も、センサ235と同様の機能を有する。このようなセンサ235及びセンサ236の「オン状態」及び「オフ状態」を、センサ235及びセンサ236に接続されている演奏情報処理部が検出する。そして、演奏情報処理部は、押鍵された際に、センサ235が「オン状態」となる時刻からセンサ236が「オン状態」となる時刻までの時間を計測し、この計測された時間と、センサ235が「オン状態」となるシャッタ251の回動角度とセンサ236が「オン状態」となるシャッタ251の回動角度との角度差と、によってハンマの回動速度を検出する。そして、演奏情報処理部は、演奏情報として検出されたハンマの回動速度に応じた発音のベロシティ(音量)を得る。
【0087】
[効果の説明]
(1)本実施形態のシャッタ251によれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、従来の鍵の揺動に連動して移動するシャッタと、シャッタの移動を演奏情報として検出可能なセンサとを備える鍵盤装置において、例えばシャッタの固定部と被検出部とが別々の部材であるので、固定部と被検出部とが一体に形成されている場合と比べて、シャッタの被検出部とセンサとの位置を調整する作業時間が長かった。
【0088】
それに対して、本実施形態のシャッタ251によれば、センサ235及びセンサ236に検出されるための被検出部251a、及び白鍵295aのシャッタ固定部295cに固定される鍵固定部251dが、合成樹脂からなり、一体に形成されている。したがって、本実施形態のシャッタ251によれば、シャッタ251の被検出部251aと、シャッタ251の被検出部251aを検出するためのセンサ235及びセンサ236との位置のばらつき量が小さくなるので、固定部と被検出部とが別々の部材である場合と比べて、シャッタ251の被検出部251aとセンサ235及びセンサ236との位置を調整する作業時間を短くできる。
【0089】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0090】
(1)上記実施形態のアップライトピアノ1において、シャッタ151はバット31及びキャッチャ41に例えばボルトによって固定されてもよい。例えば、シャッタ151のバット固定部151e及びキャッチャ固定部151fにはそれぞれ雄ネジ部を挿入する貫通穴(図示せず)が形成される。また、バット31及びキャッチャ41にはシャッタ151のバット固定部151e及びキャッチャ固定部151fにそれぞれ設けられた貫通孔に連通する雌ネジ部(図示せず)が、シャッタ151をバット31及びキャッチャ41に取り付ける際に、ボルト(図示せず)の雄ネジ部が螺合されるように形成される。そして、シャッタ151は、ボルトの雄ネジ部を、バット31及びキャッチャ41それぞれに形成されている貫通孔に挿通して、シャッタ151のバット固定部151e及びキャッチャ固定部151fの雌ネジ部と螺合されることによって、バット31及びキャッチャ41に取り付けられる。このように構成された実施形態においても、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0091】
(2)上記実施形態のアップライトピアノ1において、シャッタ151はバット31またはキャッチャ41のいずれか一方に固定されてもよい。このように構成された実施形態においても、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】アップライトピアノ1の要部側面図である。
【図2】(a)はシャッタ151を上方から見た斜視図であり、(b)はシャッタ151を下方から見た斜視図であり、(c)はバット31とキャッチャ41とを上方から見た斜視図であり、(d)はバット31とキャッチャ41とに固定されているシャッタ151を上方から見た斜視図である。
【図3】(a)はシャッタ検出部130を示す斜視図であり、(b)はセンサ135及びセンサ136を示す斜視図であり、(c)は図1(a)におけるA矢視図である。
【図4】(a)は鍵盤装置201の要部側面図であり、(b)は(a)のD−D線における断面図であり、(c)はシャッタ251を上方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0093】
1…アップライトピアノ、2…アクション、11…弦、20…ハンマアセンブリ、21…ハンマ、22…ハンマシャンク、23…ハンマレール、24…ハンマレールクロス、25…ハンマレールフォーク、31…バット、31a…水平面、31b…垂直面、31c…傾斜面、31d…斜面、31e…平板部、31f…貫通孔、31g…空洞、32…バットスプリング、33…バットフレンジ、34…ピン、37…バットスキン、41…キャッチャ、41a…垂直面、41b…水平面、41c…前面、41d…斜面、42…キャッチャシャンク、47…キャッチャスキン、51…ウイペン、52…ウイペンヒール、53…ウイペンフレンジ、54…ピン、55…キャプスタン、61…バックチェック、69…ブライドルワイヤ、71…ダンパレバー、72…ダンパレバースプリング、73…ダンパワイヤ、74…ダンパヘッド、75…制振部、76…ダンパフレンジ、77…ピン、78…ダンパスプーン、81…ジャック、82…ジャックフレンジ、83…ピン、84…ジャック大、85…ジャック小、86…ジャックスプリング、91…センタレール、92…ブラケット、201…鍵盤装置、95,295…鍵、95a,295a…白鍵、95b,295b…黒鍵、96,296…鍵盤、101…固定部材、101a…下平板部、101b,101c…固定部、101d…上平板部、101e…基板固定部、130,230…シャッタ検出部、131…センサ基板、131a…実装面、133…ボルト、135,136,235,236…センサ、135a,136a,235a,236a…発光部、135b,136b,235b,236b…接続部、135c,136c,235c,236c…受光部、135d,136d,235d,236d…発光面、135e,136e,235e,236e…発光素子、135f,136f,235f,236f…受光面、135g,136g,235g,236g…受光素子、151,251…シャッタ、151a…シャッタ本体、151b,251b…平面、151c,251c…側面、151d,251a…被検出部、151e…バット固定部、151f…キャッチャ固定部、151g,151h,251e…内腔、251d…鍵固定部、282…筬、284,284a,284b…バランスピン、285…筬中、286,287…フロントピン、294a,294b…バランスピン孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵盤楽器の前部における演奏者から見て左右方向に配置される鍵盤を構成して演奏者による押鍵動作に伴って揺動する鍵または前記鍵の揺動に連動して回動するハンマアセンブリの少なくともいずれか一方に取り付けられ、近接する際にその旨を示す信号を出力可能なセンサに検出されるためのシャッタであって、
シャッタ本体と、
その一部が前記鍵または前記ハンマアセンブリの少なくともいずれか一方に固定され、前記シャッタ本体を支持する固定部と、
前記シャッタ本体に支持され、前記センサに検出されるための被検出部と、
を備え、
前記シャッタ本体、前記固定部、及び前記被検出部は、樹脂材料にて構成されるとともに一体に成形されていること
を特徴とするシャッタ。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッタにおいて、
前記被検出部は、板状に形成され、その厚さ寸法が、前記固定部の厚さ寸法より小さく形成されていることを特徴とするシャッタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のシャッタにおいて、
前記シャッタ本体は、板状に形成され、
前記被検出部は、板状に形成され、前記シャッタ本体の上部から延出し、
前記固定部は、二つ存在し、
一方は、その内腔が前記バットの一部の外形に沿って形成され、前記バットの一部に嵌合されることによって前記バットに固定可能であり、
他方は、その内腔が前記キャッチャの一部の外形に沿って形成され、前記キャッチャの一部に嵌合されることによって前記キャッチャに固定可能であることを特徴とするシャッタ。
【請求項4】
演奏者から見て左右方向に配置される鍵盤を構成して、演奏者による押鍵動作に伴って揺動する鍵と、
前記鍵の揺動に連動して回動するハンマアセンブリと、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のシャッタと、
近接する際にその旨を示す信号を出力可能なセンサと、
を備え、
前記シャッタは、前記ハンマアセンブリが有するバットとキャッチャとの間に配設され、前記固定部が前記バットまたは前記キャッチャの少なくともいずれか一方に固定され、前記バットの回動に伴って回動可能であることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項5】
鍵盤楽器の前部における演奏者から見て左右方向に配置される鍵盤を構成して演奏者による押鍵動作に伴って揺動する鍵に取り付けられ、近接する際にその旨を示す信号を出力可能なセンサに検出されるためのシャッタであって、
シャッタ本体と、
その一部が前記鍵に固定され、前記シャッタ本体を支持する固定部と、
前記シャッタ本体に支持され、前記センサに検出されるための被検出部と、
を備え、
前記シャッタ本体、前記固定部、及び前記被検出部は、樹脂材料にて構成されるとともに一体に成形されていること
を特徴とするシャッタ。
【請求項6】
演奏者から見て左右方向に配置される鍵盤を構成して、演奏者による押鍵動作に伴って揺動する鍵と、
請求項5に記載のシャッタと、
近接する際にその旨を示す信号を出力可能なセンサと、
を備え、
前記シャッタは、前記鍵に固定され、前記鍵の揺動に伴って回動可能であることを特徴とする鍵盤装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−158010(P2008−158010A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343500(P2006−343500)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】