説明

シャッターの開閉制御方法

【課題】 シャッターの閉動作時に異常が生じたことを確実に検出し、シャッターを停止させることができる、安全性の高いシャッターの開閉制御方法を得る。
【解決手段】 シャッター2の閉動作時に異常が生じた場合、シャッター2を停止させるシャッターの開閉制御方法において、シャッター2の開閉を直流モータ6で行うものとし、シャッター2の閉動作の際に、前記直流モータ6を起動してからT秒後の前記直流モータ6の電流I1の値を検出し、前記電流I1の値が予め設定してある所定電流値Xを超えたときに異常ありと判断し、直ちに前記直流モータ6を停止させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターの閉動作時に異常が生じた場合、シャッターを停止させるシャッターの開閉制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の容器の開口部や建物の出入り口を開閉するドアを含むシャッター(以下単にシャッターという)として、モータの駆動により開閉するシャッターが多く使用されている。このようなシャッターでは、シャッターの閉動作時に、誤って人の体の一部が挟まれたり、また、物が挟まれたとき、直ちにモータの駆動を停止させるといった安全対策が求められている。
【0003】
かかる安全対策を図ったシャッターの開閉制御装置として、シャッターに感知手段を設けておき、シャッターの閉動作時に、人や物といった障害物がシャッターに接触したとき、これを感知手段で感知して感知信号を発信し、シャッターを閉動作させているモータの駆動を直ちに停止させるような開閉制御手段を備えたものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−20884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記シャッターの開閉制御装置によれば、障害物がシャッターに接触したことを感知する感知手段は、シャッターに設けられているので、外部からの影響を受けやすい状態にあり、例えば、塵等が付着し、或いは、シャッターの開閉時の衝撃や外部からの衝撃を受けて故障し、障害物の接触を感知できなくなり安全が図れなくなる場合があることから、常に感知手段を塵等から防ぎ、また、感知手段の故障を監視しなければならないといった問題があった。
【0005】
本発明の目的は、シャッターの閉動作時に異常が生じたことを確実に検出し、シャッターを停止させることができる、安全性の高いシャッターの開閉制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の目的を達成するために試験研究を重ねた結果、直流モータは負荷により電流が大きく変化することに着目し、シャッターを開閉する動力として直流モータを使用することにより本発明を完成するに至った。
【0007】
請求項1に記載の発明は、シャッターの閉動作時に異常が生じた場合、シャッターを停止させるシャッターの開閉制御方法において、シャッターの開閉を直流モータで行うものとし、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、前記電流I1の値が予め設定してある所定電流値Xを超えたときに異常ありと判断し、直ちに前記直流モータを停止させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、シャッターの閉動作時に異常が生じた場合、シャッターを停止させるシャッターの開閉制御方法において、シャッターの開閉を直流モータで行うものとし、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2の値が前記電流I1の値のA%を超えたときに異常ありと判断し、直ちに前記直流モータを停止させることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、シャッターの閉動作時に異常が生じた場合、シャッターを停止させるシャッターの開閉制御方法において、シャッターの開閉を直流モータで行うものとし、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2の値 が、C秒間で前記電流I1の値のB%を超えたときに異常ありと判断し、直ちに前記直流モータを停止させることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、シャッターの閉動作時に異常が生じた場合、シャッターを停止させるシャッターの開閉制御方法において、シャッターの開閉を直流モータで行うものとし、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、前記電流I1の値が予め設定してある所定電流値Xを超えたときに異常ありと判断し、また、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2の値が前記電流I1の値のA%を超えたときに異常ありと判断し、また、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2の値が、C秒間で前記電流I1の値のB%を超えたときに異常ありと判断し、前記いずれかの異常ありの判断をしたとき、直ちに前記直流モータを停止させることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1,2,3又は4に記載の、前記直流モータの停止後に該直流モータを逆転させて前記シャッターを戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載のシャッターの開閉制御方法によれば、シャッターの開閉を直流モータで行うものとし、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、前記電流I1の値が予め設定してある所定電流値Xを超えたときに異常ありと判断し、直ちに前記直流モータを停止させるようにしたので、閉動作したシャッターに障害物が介在する等シャッターの閉動作の抵抗となるような異常が生じ、直流モータの大きな負荷となって電流I1の値が増え、電流I1の値が前記の所定電流値Xを超えたとき、これを検知することにより、前記シャッターの閉動作時の異常を容易に且つ確実に検出し、直ちに直流モータを停止させ、シャッターの移動を停止させることができる。
【0013】
そして、前記の予め設定してある電流の所定電流値Xとして、良好な状態にあるシャッターを閉動作したときに直流モータに流れる電流の値を基準電流値とし、シャッターの長時間の閉動作によるベアリングの摩耗その他の機械的な原因等、シャッターの閉動作を停止するに及ばないと判断される最大限の負荷を想定してこれを電流に換算し、この負荷に相当する電流値を前記基準電流値に加えた電流値をもって、これを予め設定してある電流の所定電流値Xとすることにより、シャッターの長時間の閉動作によるベアリングの摩耗、錆び付きその他の機械的な原因等から生じる負荷による電流の増加(直流モータの効率の低下)があったときでも、そのことで直流モータを停止させることなく、シャッターの閉動作を続けることができ、そして、これ以上の負荷がかかったとき直流モータが停止するので、作業の効率を落とすことなく、且つ安全性を図ることができるものとなる。
【0014】
また、かかるシャッターの開閉制御方法では、シャッターに障害物が接触したことを感知するセンサーを必要としないので、かかるシャッターの開閉制御方法を実施するシャッターの開閉制御装置の故障率は極めて低く、信頼性の高いものとなり、高い安全性を図ることができる。
【0015】
請求項2に記載のシャッターの開閉制御方法によれば、シャッターの開閉を直流モータで行うものとし、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2の値が前記電流I1の値のA%を超えたときに異常ありと判断し、直ちに前記直流モータを停止させるようにしたので、前記直流モータを起動してからT秒後で閉動作終了迄の間に、閉動作したシャッターに、障害物が介在する等シャッターの閉動作の抵抗となるような異常が生じ、直流モータの大きな負荷となって電流I2の値が増え、電流I2の値が前記電流I1の値のA%を超えたとき、これを検出することにより、前記シャッターの閉動作時の異常を確実に判断し、直ちに直流モータを停止させ、シャッターの移動を停止させることができる。また、かかるシャッターの開閉制御方法では、シャッターに障害物が接触したことを感知するセンサーを必要としないので、かかるシャッターの開閉制御方法を実施するシャッターの開閉制御装置の故障率は極めて低く、信頼性の高いものとなり、高い安全性を図ることができる。
【0016】
請求項3に記載のシャッターの開閉制御方法によれば、シャッターの開閉を直流モータで行うものとし、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2の値が、C秒間で前記電流I1の値のB%を超えたときに異常ありと判断し、直ちに前記直流モータを停止させるようにしたので、T秒後から閉動作終了迄の間に、閉動作したシャッターに、障害物が介在する等シャッターの閉動作の抵抗となるような異常が生じ、直流モータの大きな負荷となって電流I2の値が増え、電流I2の値がC秒間で前記電流I1の値のB%を超えたとき、これを検知することにより、前記シャッターの閉動作時の異常を確実に判断し、直ちに直流モータを停止させ、シャッターの移動を停止させることができる。また、かかるシャッターの開閉制御方法では、シャッターに障害物が接触したことを感知するセンサーを必要としないので、かかるシャッターの開閉制御方法を実施するシャッターの開閉制御装置の故障率は極めて低く、信頼性の高いものとなり、高い安全性を図ることができる。
【0017】
請求項4に記載のシャッターの開閉制御方法によれば、シャッターの開閉を直流モータで行うものとし、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、前記電流I1の値が予め設定してある所定電流値Xを超えたときに異常ありと判断し、また、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2値が前記電流I1の値のA%を超えたときに異常ありと判断し、また、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2の値が、C秒間で前記電流I1の値のB%を超えたときに異常ありと判断し、前記いずれかの異常ありの判断をしたとき、直ちに前記直流モータを停止させるようにしたので、閉動作したシャッターに障害物が介在する等シャッターの閉動作の抵抗となるような異常が生じ、直流モータの大きな負荷となって電流I1の値が増え、電流I1の値が前記の所定電流値Xを超えたとき、これを検知することにより、前記シャッターの閉動作時の異常を容易に且つ確実に検出し、直ちに直流モータを停止させ、シャッターの移動を停止させることができる。
【0018】
また、前記電流I1の値が前記の所定電流値Xを超えず、シャッターの閉動作が続行し、前記直流モータを起動してからT秒後でシャッターの閉動作終了迄の間に、前記閉動作したシャッターに、障害物が介在する等シャッターの閉動作の抵抗となるような異常が生じ、直流モータの大きな負荷となって電流I2の値が増え、電流I2の値が前記電流I1の値のA%を超えたとき、これを検知することにより、前記シャッターの閉動作時の異常を容易に且つ確実に検出し、直ちに直流モータを停止させ、シャッターの移動を停止させることができる。
【0019】
また、前記電流I1の値が前記の所定電流値Xを超えず、シャッターの閉動作が続行し、T秒後から閉動作終了迄の間に、前記閉動作したシャッターに、障害物が介在す等シャッターの閉動作の抵抗となるような異常が生じ、直流モータの大きな負荷となって電流I2の値が増え、電流I2の値がC秒間で前記電流I1の値のB%を超えたとき、これを検知することにより、前記シャッターの閉動作時の異常を容易に且つ確実に検出し、直ちに直流モータを停止させ、シャッターの移動を停止させることができる。
【0020】
このように、このシャッターの開閉制御方法によれば、シャッターの閉動作開始から閉動作終了迄の間におけるシャッターの異常の発生をより容易に且つ確実に検出し、シャッターの移動を停止させることができることになり、より一層の高い安全性を図ることができる。
【0021】
また、このシャッターの開閉制御方法では、シャッターに障害物が接触したことを感知するセンサーを必要としないので、かかるシャッターの開閉制御方法を実施するシャッターの開閉制御装置の故障率は極めて低く、信頼性の高いものとなる。
【0022】
請求項5に記載のシャッターの開閉制御方法によれば、請求項1,2,3又は4に記載のシャッターの開閉制御方法の、前記直流モータの停止後に該直流モータを逆転させて前記シャッターを戻すようにしたので、例えば、シャッターに人が挟まれたような場合、苦痛が緩和され、また怪我の防止に有効となり、より一層の高い安全性を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るシャッターの開閉制御方法を実施するための最良の形態を図1に示すシャッターの開閉制御装置により説明する。
【0024】
図1に示すシャッターの開閉制御装置1は、滅菌機等の耐圧容器や建物等のシャッター2にチェーンやワイヤー等の駆動力伝達部材3の一端が固定され、駆動力伝達部材3の途中は上部の歯車や滑車等の回転体4に掛けられて垂れ下げられ、その他端に重り5が取り付けられており、回転体4は直流モータ6で回転駆動されるようになっている。更に、前記直流モータ6に流れる電流の値を検出する電流計測部7と、電流計測部7で検出した直流モータ6に流れる電流の値が予め設定されている所定電流値Xを超え、或いは増加率を超えたとき、異常と判定して開閉器(スイッチ)8を開くことにより直流モータ6に流す電流を停止させる制御回路部9が設けられている。
【0025】
先ず、本発明に係るシャッターの開閉制御方法の実施の形態の第1例を説明する。本例を実施するシャッターの開閉制御装置1の制御回路部9は、直流モータ6を起動してからT秒後の前記直流モータ6の電流I1の値を電流計測部7で検出するプログラムと、前記電流I1の値が予め設定してある所定電流値Xを超えたとき異常ありと判断するプログラムと、異常ありと判断したとき、直流モータ6に給電している開閉器8を開き直ちに前記直流モータ6を停止させ、直流モータ6の停止後、一定時間直流モータ6を逆回転させる指令を出すプログラムが組み込まれている。
【0026】
前記制御回路部9に組み込まれているプログラムにおいて、前記直流モータ6の電流I1の値を検出する直流モータ6を起動してからのT秒は、直流モータ6の正常な状態における起動後の電流値が安定した電流値に移行するまでの時間を基準として設定されている。また、予め設定してある所定電流値Xは、良好な状態にあるシャッター2を閉動作したときに直流モータ6に流れる電流の値を基準電流値とし、シャッター2の長時間の閉動作によるベアリングの摩耗、錆び付きその他の機械的な原因等、シャッター2の閉動作を停止するに及ばないと判断される最大限の負荷を想定してこれを電流に換算し、この負荷に相当する電流値を前記基準電流値に加えた電流値をもって、これを所定電流値Xとしている。
【0027】
本例は前記のプログラムが組み込まれた制御回路部9を設けたシャッターの開閉制御装置1を使用して実施されるものであり、直流モータ6を駆動してシャッター2を閉動作する際に、前記直流モータ6を起動してからT1秒後の前記直流モータ6の電流I1の値を電流計測部7で検出し、前記電流I1の値が所定電流値Xを超えたとき(図2)、制御回路部9で異常ありと判断して該制御回路部9から指令を出し、直流モータ6に給電している開閉器8を開き直ちに前記直流モータ6を停止させ、そして、直流モータ6の停止後、一定時間直流モータ6を逆回転させ前記シャッター2を戻すようにした。
【0028】
このようにすることにより、閉動作したシャッター2に障害物が介在する等シャッター2の閉動作の抵抗となるような異常が生じ、直流モータ6の大きな負荷となって電流I1の値が増え、電流I1の値が前記の所定電流値Xを超えたことを電流計測部7で検出したとき、制御回路部9で異常ありと判断して該制御回路部9から指令を出し、直流モータ6に給電している開閉器8を開き直ちに前記直流モータ6を停止させることができ、そして、直流モータ6の停止後、一定時間直流モータ6を逆回転させ前記シャッター2を戻すことができる。
【0029】
次に、本発明に係るシャッターの開閉制御方法の実施の形態の第2例を説明する。本例を実施するシャッターの開閉制御装置1の制御回路部9は、直流モータ6を起動してからT秒後の前記直流モータ6の電流I1の値を電流計測部7で検出するプログラムと、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータ6の電流I2の値が前記電流I1の値のA%を超えたときに異常ありと判断するプログラムと、異常ありと判断したとき、直流モータ6に給電している開閉器8を開き直ちに前記直流モータ6を停止させ、直流モータ6の停止後、一定時間直流モータ6を逆回転させる指令を出すプログラムが組み込まれている。
【0030】
前記制御回路部9に組み込まれているプログラムにおいて、閉動作終了迄の前記直流モータ6の電流I2の値が異常と判断される前記電流I1の値のA%の設定値は、電流I1の値を基準電流値とし、シャッター2の長時間の閉動作によるベアリングの摩耗、錆び付きその他の機械的な原因等、シャッター2の閉動作を停止するに及ばないと判断される最大限の負荷を想定してこれを電流に換算し、この負荷に相当する電流値を前記基準電流値となる電流I1の値に加えたときの増加率をもって設定している。前記直流モータ6の電流I1の値を検出する直流モータ6を起動してからのT秒は、前記第1例で使用されるシャッターの開閉制御装置1の制御回路部9のプログラムと同様にして設定される。
【0031】
本例は前記のプログラムが組み込まれた制御回路部9を設けたシャッターの開閉制御装置1を使用して実施されるものであり、直流モータ6を駆動してシャッター2を閉動作する際に、前記直流モータ6を起動してからT秒後の前記直流モータ6の電流I1の値を電流計測部7で検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータ6の電流I2の値が前記電流I1の値のA%を超えたことを電流計測部7で検出したとき(図3)、制御回路部9で異常ありと判断して該制御回路部9から指令を出し、直流モータ6に給電している開閉器8を開き直ちに前記直流モータを6停止させ、そして、直流モータ6の停止後、一定時間直流モータ6を逆回転させ前記シャッター2を戻すようにした。
【0032】
このようにすることにより、直流モータ6を起動してからT秒後で閉動作終了迄の間に、閉動作したシャッター2に、障害物が介在する等シャッター2の閉動作の抵抗となるような異常が生じ、直流モータ6の大きな負荷となって電流I2の値が増え、電流I2の値が前記電流I1の値のA%を超えたことを電流計測部7で検出したとき、制御回路部9で異常ありと判断して該制御回路部9から指令を出し、直流モータ6に給電している開閉器8を開き直ちに前記直流モータ6を停止させることができ、そして、直流モータ6の停止後、一定時間直流モータ6を逆回転させ前記シャッター2を戻すことができる。
【0033】
次に、本発明に係るシャッターの開閉制御方法の実施の形態の第3例を説明する。本例を実施するシャッターの開閉制御装置1の制御回路部9は、直流モータ6を起動してからT秒後の前記直流モータ6の電流I1の値を電流計測部7で検出するプログラムと、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータ6の電流I2の値が、C秒間で前記電流I1の値のB%を超えたときに異常ありと判断するプログラムと、異常ありと判断したとき、直流モータ6に給電している開閉器8を開き直ちに前記直流モータ6を停止させ、直流モータ6の停止後、一定時間直流モータ6を逆回転させる指令を出すプログラムが組み込まれている。
【0034】
前記制御回路部9に組み込まれているプログラムにおいて、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータ6の電流I2の値が、C秒間で前記電流I1の値のB%を超えたときに異常ありと判断するプログラムの前記C秒間は、シャッター2に障害物、例えば人が挟まった場合に、シャッター2に人が挟まってから停止する迄の最大限の時間を基準に設定され、B%の設定値は電流I1の値を基準電流値とし、シャッター2の長時間の閉動作によるベアリングの摩耗、錆び付きその他の機械的な原因等、シャッター2の閉動作を停止するに及ばないと判断される最大限に近い負荷を想定してこれを電流に換算し、この負荷に相当する電流値を前記基準電流値となる電流I1の値に加えたときの増加率をもって設定している。本例でのB%の設定値は前記第2例のA%の設定値より低く設定されている。これは短時間における急激な負荷の増加による危険発生を考慮したことによる。前記直流モータ6の電流I1の値を検出する直流モータ6を起動してからのT秒は、前記第1例で使用されるシャッターの開閉制御装置1の制御回路部9のプログラムと同様にして設定される。
【0035】
本例は前記のプログラムが組み込まれた制御回路部9を設けたシャッターの開閉制御装置1を使用して実施されるものであり、直流モータ6を駆動してシャッター2を閉動作する際に、前記直流モータ6を起動してからT秒後の前記直流モータ6の電流I1の値を電流計測部7で検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータ6の電流I2の値が、C秒間で前記電流I1の値のB%を超えたことを電流計測部7で検出したとき(図4)、制御回路部9で異常ありと判断して該制御回路部9から指令を出し、直流モータ6に給電している開閉器8を開き直ちに前記直流モータ6を停止させ、そして、直流モータ6の停止後、一定時間直流モータ6を逆回転させ前記シャッター2を戻すようにした。
【0036】
このようにすることにより、前記直流モータ6を起動してからT秒後で閉動作終了迄の間に、閉動作したシャッター2に、障害物が介在する等シャッター2の閉動作の抵抗となるような異常が生じ、直流モータ6の大きな負荷となって電流I2の値が増え、電流I2の値がC秒間で前記電流I1の値のB%を超えたことを電流計測部7で検出したとき、制御回路部9で異常ありと判断して該制御回路部9から指令を出し、直流モータ6に給電している開閉器8を開き直ちに前記直流モータ6を停止させることができ、そして、直流モータ6の停止後、一定時間直流モータ6を逆回転させ前記シャッター2を戻すことができる。
【0037】
次に、本発明に係るシャッターの開閉制御方法の実施の形態の第4例を説明する。本例を実施するシャッターの開閉制御装置1の制御回路部9は、直流モータ6を起動してからT秒後の前記直流モータ6の電流I1の値を電流計測部7で検出するプログラムと、前記電流I1の値が予め設定してある所定電流値Xを超えたとき異常ありと判断するプログラムと、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2の値が前記電流I1の値のA%を超えたときに異常ありと判断するプログラムと、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータ6の電流I2の値が、C秒間で前記電流I1の値のB%を超えたときに異常ありと判断するプログラムと、前記いずれかの異常ありの判断をしたとき、直流モータ6に給電している開閉器8を開き直ちに前記直流モータ6を停止させ、直流モータ6の停止後、一定時間直流モータ6を逆回転させる指令を出すプログラムが組み込まれている。
【0038】
前記制御回路部9に組み込まれているプログラムにおいて、前記直流モータ6の電流I1の値を検出する直流モータ6を起動してからのT秒、予め設定してある所定電流値X、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2の値が異常と判断される前記電流I1の値のA%の設定値、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータ6の電流I2の値が、C秒間で前記電流I1の値のB%を超えたときに異常ありと判断するC秒間で前記電流I1の値のB%の設定値は、前記第1例〜第3例で使用されるシャッターの開閉制御装置1の制御回路部9のプログラムと同様にして設定される。
【0039】
本例は前記のプログラムが組み込まれた制御回路部9を設けたシャッターの開閉制御装置1を使用して実施されるものであり、直流モータ6を駆動してシャッター2を閉動作する際に、前記直流モータ6を起動してからT秒後の前記直流モータ6の電流I1の値を電流計測部7で検出し、前記電流I1 の値が所定電流値Xを超えたとき(図2)、また、直流モータ6を駆動してシャッター2を閉動作する際に、前記直流モータ6を起動してからT秒後の前記直流モータ6の電流I1の値を電流計測部7で検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータ6の電流I2の値が前記電流I1の値のA%を超えたことを電流計測部7で検出したとき(図3)、また、直流モータ6を駆動してシャッター2を閉動作する際に、前記直流モータ6を起動してからT秒後の前記直流モータ6の電流I1の値を電流計測部7で検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータ6の電流I2の値が、C秒間で前記電流I1の値のB%を超えたことを電流計測部7で検出したとき(図4)、いずれも制御回路部9で異常ありと判断し、前記いずれかの異常ありの判断をしたとき、該制御回路部9から指令を出し、直流モータ6に給電している開閉器8を開き直ちに前記直流モータ6を停止させ、そして、直流モータ6の停止後、一定時間直流モータ6を逆回転させ前記シャッター2を戻すようにした。
【0040】
このようにすることにより、閉動作したシャッター2に障害物が介在する等シャッター2の閉動作の抵抗となるような異常が生じ、直流モータ6の大きな負荷となって電流I1 の値が増え、電流I1の値が前記の所定電流値Xを超えたことを電流計測部7で検出したとき、また、前記電流I1の値が前記の所定電流値Xを超えず、シャッター2の閉動作が続行し、直流モータ6を起動してからT秒後で閉動作終了迄の間に、閉動作したシャッター2に、障害物が介在する等シャッター2の閉動作の抵抗となるような異常が生じ、直流モータ6の大きな負荷となって電流I2の値が増え、電流I2の値が前記電流I1の値のA%を超えたことを電流計測部7で検出したとき、また、前記電流I1の値が前記の所定電流値Xを超えず、シャッター2の閉動作が続行し、前記直流モータ6を起動してからT秒後で閉動作終了迄の間に、閉動作したシャッター2に、障害物が介在する等シャッター2の閉動作の抵抗となるような異常が生じ、直流モータ6の大きな負荷となって電流I2の値が増え、電流I2の値がC秒間で前記電流I1の値のB%を超えたことを電流計測部7で検出したとき、制御回路部9で異常ありと判断して該制御回路部9から指令を出し、直流モータ6に給電している開閉器8を開き直ちに前記直流モータ6を停止させることができ、そして、直流モータ6の停止後、一定時間直流モータ6を逆回転させ前記シャッター2を戻すことができる。
【0041】
上記のように、本発明に係るシャッターの開閉制御方法では、シャッター2を開閉する動力として直流モータ6を使用し、直流モータ6に給電される電流の増加により異常ありと判断し、直ちに前記直流モータ6を停止させるので、安全性を図ることができ、そして、シャッター2に障害物が接触したことを感知するセンサーを必要としないので、かかるシャッターの開閉制御方法を実施するシャッターの開閉制御装置1の故障率は極めて低く、信頼性の高いものとなり、高い安全性を図ることができる。
【0042】
なお、前記した本発明に係るシャッターの開閉制御方法を実施するために例示したシャッターの開閉制御装置1は、シャッター2が昇降して開閉するものとなっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、シャッター2が水平移動して開閉するもの、或いは回転して開閉するもの等にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るシャッターの開閉制御方法を実施するシャッターの開閉装置の一例を示す説明図。
【図2】直流モータを起動してからT秒後に検出した直流モータの電流I1の値が所定電流値Xを超えた異常時の電流を示す説明図。
【図3】直流モータを起動してからT秒後に検出した直流モータの電流I1の値に対し、T秒後から閉動作終了迄に検出した直流モータの電流I2の値が電流I1の値のA%を超えた異常時の電流を示す説明図。
【図4】直流モータを起動してからT秒後に検出した直流モータの電流I1の値に対し、T秒後から閉動作終了迄に検出した直流モータの電流I2の値が、C秒間で電流I1の値のB%を超えた異常時の電流を示す説明図。
【符号の説明】
【0044】
1 シャッターの開閉制御装置
2 シャッター
3 駆動力伝達部材
4 回転体
5 重り
6 直流モータ
7 電流計測部
8 開閉器
9 制御回路部
I1 直流モータを起動してからT秒迄の直流モータの電流
I2 T秒後から閉動作終了迄の直流モータの電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターの閉動作時に異常が生じた場合、シャッターを停止させるシャッターの開閉制御方法において、シャッターの開閉を直流モータで行うものとし、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、前記電流I1の値が予め設定してある所定電流値Xを超えたときに異常ありと判断し、直ちに前記直流モータを停止させることを特徴とするシャッターの開閉制御方法。
【請求項2】
シャッターの閉動作時に異常が生じた場合、シャッターを停止させるシャッターの開閉制御方法において、シャッターの開閉を直流モータで行うものとし、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2の値が前記電流I1の値のA%を超えたときに異常ありと判断し、直ちに前記直流モータを停止させることを特徴とするシャッターの開閉制御方法。
【請求項3】
シャッターの閉動作時に異常が生じた場合、シャッターを停止させるシャッターの開閉制御方法において、シャッターの開閉を直流モータで行うものとし、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2の値 が、C秒間で前記電流I1の値のB%を超えたときに異常ありと判断し、直ちに前記直流モータを停止させることを特徴とするシャッターの開閉制御方法。
【請求項4】
シャッターの閉動作時に異常が生じた場合、シャッターを停止させるシャッターの開閉制御方法において、シャッターの開閉を直流モータで行うものとし、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、前記電流I1の値が予め設定してある所定電流値Xを超えたときに異常ありと判断し、
また、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2の値が前記電流I1の値のA%を超えたときに異常ありと判断し、また、シャッターの閉動作の際に、前記直流モータを起動してからT秒後の前記直流モータの電流I1の値を検出し、T秒後から閉動作終了迄の前記直流モータの電流I2の値が、C秒間で前記電流I1の値のB%を超えたときに異常ありと判断し、前記いずれかの異常ありの判断をしたとき、直ちに前記直流モータを停止させることを特徴とするシャッターの開閉制御方法。
【請求項5】
前記直流モータの停止後に該直流モータを逆転させて前記シャッターを戻すことを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載のシャッターの開閉制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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