説明

シャッタ

【課題】安価で、荷重が加わることによる変形や破損を防止する。
【解決手段】シャッタSは、スライド方向に並べて設けられた複数の支持体部10と、隣り合う支持体部10の間を繋ぐように設けられたヒンジ部20と、各支持体部10におけるガイドレールに臨む各端部の夫々に設けた摺動支持部30,30とを備える。各摺動支持部30は、スライド方向に並べて形成されて、ガイドレールにスライド移動可能に係合する一対の第1当接部32および第2当接部34を備える。各支持体部10は、シャッタSの表側から荷重が加わった際に、各端部に設けられた第1当接部32,32および第2当接部34,34のうちの3つ以上で一対のガイドレールに支持される。シャッタSは、支持体部10、ヒンジ部20および摺動支持部30が同一の成形材料から一体成形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向設置された一対のガイドレールに沿ってスライド移動可能に配設されたシャッタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、図5に示すように、自動車の乗員室内に設置されるフロアコンソールFCでは、上方に開口した物品収納部102がコンソール本体100の内部に画成されており、該物品収納部102の上部開口104を開閉する蓋部材としてシャッタS1を採用したものがある。前記シャッタS1は、フロアコンソールFC内において物品収納部102を挟んで左右に対向して配設された一対のガイドレールL1,L2に、一端部に設けた摺動支持部74および他端部に設けた摺動支持部74を夫々係合させることで、該ガイドレールL1,L2に沿って前後方向のスライド移動が可能となっている。
【0003】
前記シャッタS1は、物品収納部102を閉じた状態ではコンソール本体100の上面に略水平かつ平坦状に延在し、該物品収納部102を開いた状態では該コンソール本体100の後側内部に湾曲状態で収納されるため、平坦状態と湾曲状態とに変形することが要求される。またシャッタS1は、物品収納部102を閉じた状態において、上面に物品や腕(肘)を載せたり、乗員室に乗降する際に手を着く等の使用態様が起こり得る。このためシャッタS1は、湾曲状態への変形を可能とする可撓性および荷重を支える剛性の両方を兼備する必要がある。そこで、従来のシャッタS1は、図6および図7に示すように、軟質樹脂(熱可塑性エラストマ等)により成形されたプレート部材60と、この軟質樹脂より硬い硬質樹脂(ポリエチレンやポリプロピレン等)から成形されたリブ部材70とを備えている。すなわち、従来のシャッタS1は、所謂多色成形方法により製造されて、硬さが異なる2種類以上の樹脂から形成されたものが多く採用されている。
【0004】
前記プレート部材60は、セル部62と該セル部62より薄いヒンジ部64とがスライド方向に交互に形成されており、各ヒンジ部64において弾力的な湾曲変形が可能となっている。また、各リブ部材70は、前記セル部62に沿って延在するリブ部72と、該リブ部72の一端部および他端部の夫々に設けた摺動支持部74,74とを備えている。各リブ部材70は、スライド方向で互いに個々が分離しており、リブ部72がプレート部材60のセル部62に接合され、各摺動支持部74がプレート部材60より側方へ延出している。従ってシャッタS1は、各リブ部材70の各摺動支持部74,74を対応するガイドレールL1,L2の溝部114に係合させることで、該ガイドレールL1,L2に沿ったスライド移動が可能となる。このようなシャッタS1は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−24099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記従来のシャッタS1では、軟質樹脂および該軟質樹脂より硬い硬質樹脂の2種類の成形材料を使用するので材料費が高くなると共に、軟質樹脂によるプレート部材60の成形工程および硬質樹脂による各リブ部材70の成形工程の2工程を経て製造するから成形作業工数が多くなり、これにより製造コストが嵩む難点がある。また、プレート部材60と各リブ部材70とは、異なる成形材料の接着力により接合されているから、シャッタS1の使用途中に両部材の接合部分で剥離するおそれもある。
【0007】
また各リブ部材70は、2つの摺動支持部74,74がガイドレールL1,L2の溝部114に係合する形態であり、シャッタS1に厚み方向から荷重が加わった際には、図8(a)に示すように、両摺動支持部74,74の当接ポイントP1,P2を結ぶラインB1が単なる1本の直線となる2点支持の形態で該ガイドレールL1,L2に支持される。しかも両摺動支持部74,74の当接部74A,74Aは、ガイドレールL1,L2の溝部114との摩擦抵抗が減少するように球体状となっている。このため、前記ラインB1からスライド方向へずれた位置においてリブ部72に荷重が加わった場合には、当該リブ部材70は幅方向に延在する軸線を中心として回転変位してしまう。従って、図8(b)に示すように、プレート部材60のヒンジ部64に荷重が加わった場合には、このヒンジ部64に隣接する両リブ部材70,70が幅方向に延在する軸線を中心として逆に回転変位するようになり、ヒンジ部64に応力が集中してプレート部材60が該ヒンジ部64で破断するおそれがある。
【0008】
従って本発明では、安価で、荷重が加わることによる変形や破損を防止したシャッタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に記載の発明は、
対向設置された一対のガイドレールに沿ってスライド移動可能に配設されたシャッタであって、
スライド方向に並べて設けられて、当該シャッタに加わる荷重を支える支持体部と、
隣り合う前記支持体部の間を繋ぐように設けられ、該支持体部より薄肉に形成することで可撓性を有するヒンジ部と、
前記各支持体部における前記ガイドレールに臨む各端部の夫々に前記スライド方向に並べて形成されて、該ガイドレールにスライド移動可能に係合する一対の当接部とを備え、
前記支持体部、ヒンジ部および当接部は、同一の成形材料から一体成形され、
前記各支持体部は、シャッタの表側から荷重が加わった際に、各端部に2つずつ設けられた計4つの前記当接部のうちの3つ以上で前記一対のガイドレールに支持されるよう構成したことを特徴とする。
【0010】
従って、請求項1に係る発明によれば、各支持体部は、シャッタに荷重が加わった際に、各端部の夫々にスライド方向に並べて2つずつ形成された計4つの各当接部のうちの3つ以上で一対のガイドレールに支持されるため、シャッタの表側からの荷重により、該支持体部はスライド方向と直交する幅方向に延在する軸線を中心として回転変位することが防止される。すなわちシャッタは、各支持体部にシャッタの表側から荷重が加わった際に、該支持体部を繋ぐヒンジ部に応力が集中し難く、よって荷重を支持し得る各支持体部と同一材料で該支持体部より薄肉に形成して可撓性を有するヒンジ部を、該支持体部と一体的に設けることができる。すなわち、1種類の成形材料だけを使用して1工程でシャッタを一体成形し得るから、材料費が安くなると共に成形作業工数が削減されて製造コストを抑えることができ、該シャッタを安価に製造することが可能となる。また、シャッタが1種類の成形材料から一体成形されているので、部分的に剥離することもない。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記各支持体部は、該支持体部におけるスライド方向の中央を挟んで各端部に前記一対の当接部が設けられることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、支持体部に対して、該支持体部におけるスライド方向の中央からずれた位置(中央よりヒンジ部に近い位置)に荷重が加わっても、当該支持体部は、スライド方向と直交する幅方向に延在する軸線を中心とした回転変位が起こり難い。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記支持体部は前記ヒンジ部より裏側へ突出して設けられると共に、前記一対の当接部は該ヒンジ部より裏側に設けられ、
前記ヒンジ部は、隣り合う前記支持体部がスライド方向へ離れた平坦状態および近接した湾曲状態にシャッタが変形することを許容し、
前記ヒンジ部を挟んで隣り合う前記当接部は、シャッタの平坦状態において、互いに相対する面が、該ヒンジ部から離れるにつれてスライド方向へ互いに離れるよう形成されることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、シャッタは、ヒンジ部の変形により、隣り合う支持体部がスライド方向で近接した湾曲状態に変形する。そして、ヒンジ部を挟んで隣り合う当接部は、シャッタの平坦状態において、互いに相対する面が該ヒンジ部から離れるにつれてスライド方向へ互いに離れるよう形成されるので、支持体部に設けた一対の当接部のスライド方向における間隔を大きく設定してもシャッタが湾曲状態に変形する際に接触せず、該シャッタが湾曲状態へ変形することを規制しない。また、支持体部に設けた一対の当接部のスライド方向における間隔を大きくできるので、シャッタの平坦状態において荷重が加わった際の支持体部の安定性を高めることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記各支持体部は、前記スライド方向と直交する厚み方向の寸法が、前記一対のガイドレールの対向方向における両端部側で最小となり、該対向方向における中央部が両端部より大きくなっていることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、支持体部に荷重が加わっても、該支持体部がスライド方向と直交する厚み方向へ撓み変形し難くなり、ヒンジ部に対して応力が集中することが防止される。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記各当接部は、前記ガイドレールに当接する面が曲面状に形成されて、該ガイドレールに対し点接触するよう構成されたことを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、各当接部はガイドレールと点接触するので、スライド方向に並べて設けた一対の当接部は常にスライド方向に離れた位置で当接するので、支持体部がガイドレールに対して安定的に支持される。また、各当接部とガイドレールとの摩擦抵抗が小さくなるので、軽い力でシャッタをスライド移動させることができ、該シャッタの開閉時の操作性を向上し得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るシャッタによれば、安価に製造されると共に、荷重が加わることによる変形や破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は、実施例のシャッタの平面図であり、(b)は、該シャッタの側面図である。
【図2】(a)は、実施例のシャッタの斜視図であり、(b)は、該シャッタを構成する支持体部の1つを示す斜視図である。
【図3】(a)は、各支持体部の一端部に設けた摺動支持部の一対の当接部および他端部に設けた摺動支持部の一対の当接部による4点支持態様により、該支持体部が一対のガイドレールに支持されることを示す説明図であり、(b)は、(a)の状態を側面から見た説明図である。
【図4】実施例のシャッタをフロアコンソールの蓋部材として実施した状態を示す説明斜視図である。
【図5】従来のシャッタをフロアコンソールの蓋部材として実施した状態を示す説明斜視図である。
【図6】(a)は、従来のシャッタの平面図であり、(b)は、従来のシャッタの側面図である。
【図7】(a)は、従来のシャッタの斜視図であり、(b)は、従来のシャッタを構成するリブ部の1つを示す斜視図である。
【図8】(a)は、各リブ部の一端部に設けた摺動支持部の当接部および他端部に設けた摺動支持部の当接部による2点支持態様により、該リブ部が一対のガイドレールに支持されることを示す説明図であり、(b)は、(a)の状態を側面から見た説明図であって、上方から外力が加わることでリブ部が幅方向に延在する軸線を中心として回転変位することを示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係るシャッタにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、図4に示すように、フロアコンソールFCの蓋部材として実施されるシャッタを例示して説明するが、本願のシャッタが実施される対象は、このフロアコンソールFCに限定されない。なお実施例では、図2(a)に示すように、シャッタSが水平かつ平坦状態において、該シャッタSのスライド方向を「長さ方向」、スライド方向と水平に直交する方向(両ガイドレールL1,L2の対向方向)を「幅方向」、スライド方向と垂直に直交する方向を「厚み方向」と指称する。
【実施例】
【0018】
実施例のシャッタSが配設されるフロアコンソールFCは、図4に示すように、コンソール本体100における前後方向の後側内部に、上方に開口した物品収納部102が画成されており、該物品収納部102の上部開口104を該シャッタSで開閉可能に覆蓋するようになっている。実施例のシャッタSは、コンソール本体100内に、該コンソール本体100の前後方向に延在すると共に物品収納部102を挟んで該コンソール本体100の幅方向に対向するよう配設された一対のガイドレールL1,L2に、後述する各摺動支持部30,30を各々係合させることで、該ガイドレールL1,L2に沿ったスライド移動が可能となっている。
【0019】
各ガイドレールL1,L2は、図4に示すように、幅方向において対称形状に形成されており、物品収納部102の上部開口104の側縁に前後方向へ水平に延在する直線部110と、該直線部110の後部から所定の曲率で物品収納部102の後側下方へ円弧状に湾曲する曲線部112とを備えている。各ガイドレールL1,L2は、互いに対向する内側面に、直線部110から曲線部112に亘って延在する溝部114が形成されており、各溝部114に前記摺動支持部30,30が突入して係合する。
【0020】
実施例のシャッタSは、図1〜図4に示すように、長さ方向に並べて設けられて、当該シャッタに加わる荷重を支える支持体部10と、隣り合う支持体部10の間に両支持体部10,10を繋ぐように形成されたヒンジ部20と、各支持体部10における一方のガイドレールL1に対向する一端部10Aおよび他方のガイドレールL1に対向する他端部10Bの夫々に設けた摺動支持部30,30とを備えている。そして、実施例のシャッタSは、該シャッタSを構成する支持体部10、ヒンジ部20および摺動支持部30を、1種類の同一の成形材料によりインジェクション成形型を用いて1工程で一体成形された成形部材である。なお成形材料としては、熱可塑性エラストマより硬質のポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の合成樹脂が好適に採用される。
【0021】
実施例のシャッタSは、長さ方向に合計18個の支持体部10が並べて設けられており、幅方向において対称形状に形成されている。各支持体部10は、図1(a)および図2(b)に示すように、両ガイドレールL1,L2の間隔に適合する長さで、幅方向へ細長い形状でヒンジ部20からシャッタSの裏側へ突出した形状に形成されている。各支持体部10は、シャッタSの表側外板を構成する板部12と、シャッタSの幅方向へ延在する第1梁部14と、該シャッタSの長さ方向において第1梁部14と離間しかつ平行に延在する第2梁部16と、第1梁部14および第2梁部16を連設する複数の連設部18とを備えている。各連設部18は、第1梁部14および第2梁部16の間において幅方向へ所要間隔毎に配設され、これら第1梁部14、第2梁部16および各連設部18からなる支持体部10は、第1梁部14と第2梁部16との間に空間が画成された所謂梯子状のリブ構造体として構成されている。
【0022】
第1梁部14および第2梁部16は、図2(b)および図3(b)に示すように、シャッタSの長さ方向において対称となる形状に形成されており、長さ方向における幅に対して厚み方向における高さが大きく設定されている。そして、第1梁部14および第2梁部16は、図1(b)および図3(b)に示すように、長さ方向における幅が、ヒンジ部20側(外板12側)が最大(G1)となっており、該ヒンジ部20から離れるにつれて徐々に小さくなり、ヒンジ部20と反対側の先端が最小(G2)となっている。また、第1梁部14および第2梁部16は、幅方向において4等分に便宜的に区切った場合に、中央寄りの2区分に対応する部分において高さが最大(H1)に形成され、当該支持体部10の一端部10A側および他端部10B側において高さが最小(H2)に形成されている。更に、第1梁部14および第2梁部16における一端部10A側の部分では、中央側から該一端部10Aに近づくにつれて高さが徐々に小さくなるように傾斜状に形成されていると共に、他端部10B側の部分では、中央側から該他端部10Bに近づくにつれて高さが徐々に小さくなるように傾斜状に形成されている。従って、第1梁部14と第2梁部16との間に空間が画成されたリブ構造体として構成された支持体部10は、両梁部14,16間が硬質樹脂で埋まった形状の場合と同等の剛性が確保されており、幅方向における中間部に対して上方から荷重が加わっても、幅方向での撓み変形や捻れ変形が発現し難く構成されている。
【0023】
そして、第1梁部14および第2梁部16からなる各支持体部10は、図1(b)および図3(b)に示すように、長さ方向における幅が、ヒンジ部20側(外板12側)が最大(W1)となるように形成され、該ヒンジ部20から離れるにつれて徐々に小さくなり、ヒンジ部20と反対側の端部が最小(W2)となるように形成されている。すなわち支持体部10は、シャッタSの幅方向の外方から見た形状が、ヒンジ部20から離れるにつれて先細となる台形形状をなし、シャッタSの裏側へ突出して形成されている。
【0024】
ヒンジ部20は、図1〜図3に示すように、長さ方向で隣り合う支持体部10,10の板部12と一体的に形成され、各支持体部10を、厚み方向の表側に臨む部位で横並び状に連設している。そしてヒンジ部20は、支持体部10より薄肉に形成されて長さ方向で弾性的な撓曲変形または折曲変形が可能となっており、支持体部10の表側から離間した裏側が近接して、隣り合う一方の支持体部10における第1梁部14と他方の支持体部10における第2梁部16とが接触するまで変形が可能となっている。ヒンジ部20を挟んで隣り合う両支持体部10,10の間隔は、前述したように該支持体部10が台形形状に形成されていることで、シャッタSの平坦状態において、ヒンジ部20側が最も狭く、該ヒンジ部20から離れるにつれて徐々に大きくなっている。そしてヒンジ部20は、厚みが0.5mm前後に設定されており、必要な剛性を有する硬質の合成樹脂からなる成形材料により形成されていても、隣り合う支持体部10,10が互いに接触するまで弾性的に撓曲変形または折曲変形し得ると共に、隣り合う支持体部10,10が互いに接触するまで折曲させた際でも塑性変形による破断が発生しないよう構成されている。
【0025】
次に、各支持体部10の幅方向の一端部10Aおよび他端部10Bに設けた各摺動支持部30について、図1〜図3を引用して説明する。なお、各支持体部10の一端部10Aに設けた摺動支持部30および他端部10Bに設けた摺動支持部30は、幅方向で対称形状に形成されているので、同一部位は同一符号を付して説明する。各摺動支持部30は、厚み方向においてヒンジ部20より裏側に設けられ、第1当接部32と、この第1当接部32に対し長さ方向に離間して設けた第2当接部34とを備えている。各第1当接部32は、支持体部10における第1梁部14の端部から水平に延出するように形成されて、幅方向において同一の軸線上に位置しており、第1梁部14の端部に連設された腕部32Aと、該腕部32Aの先端に形成された当接突部32Bとを備えている。当接突部32Bは、図3(a)および図3(b)に示すように、長さ方向から見た形状が該長さ方向に延在する軸線J2を中心とする円形に形成され、長さ方向の両端面が平面に形成されると共に、外周面が外方へ膨出する曲面状に形成されており、前記ガイドレールL1,L2の溝部114に突入可能な直径に形成されている。そして当接突部32Bは、溝部114の底面114A、上面114Bおよび側面114Cの夫々に、外周面が点接触し得るようになっている。なお腕部32Aは、縦断面形状が略矩形でかつ第1梁部14との連設部では厚み方向のサイズが大きくなっており、該第1梁部14に対して長さ方向および厚み方向の撓み変形が起こり難く構成されている。
【0026】
また、各摺動支持部30の第2当接部34は、第1当接部32と長さ方向において対称となる形状に形成されて、第2梁部16の端部に連設された腕部34Aと、該腕部34Aの先端に形成された当接突部34Bとを備えている。各第2当接部34は、支持体部10における第2梁部16の端部から水平に延出するように形成されて、幅方向において同一の軸線上に位置しており、第2梁部16の端部に連設された腕部34Aと、該腕部34Aの先端に形成された当接突部34Bとを備えている。当接突部34Bは、図3(a)および図3(b)に示すように、長さ方向から見た形状が該長さ方向に延在する軸線J2を中心とする円形に形成され、長さ方向の両端面が平面に形成されると共に、外周面が外方へ膨出する曲面状に形成されており、前記ガイドレールL1,L2の溝部114に突入可能な直径に形成されている。そして各当接突部34Bは、溝部114の底面114A、上面114Bおよび側面114Cの夫々に、外周面が点接触し得るようになっている。なお、第2当接部34の腕部34Aは、縦断面形状が略矩形でかつ第2梁部16との連設部では厚み方向のサイズが大きくなっており、該第2梁部16に対して長さ方向および厚み方向の撓み変形が起こり難く構成されている。
【0027】
そして各摺動支持部30は、図3(b)に示すように、該摺動支持部30が形成された支持体部10の台形形状に合わせて、前記ヒンジ部20側より該ヒンジ部20と離れた側が先細となる形状に形成されている。すなわち、摺動支持部30の第1当接部32は、第2当接部34と反対側の端面におけるヒンジ部20から離れた部位が、支持体部10の第1梁部14の傾斜した外壁に合わせて傾斜状に形成されている。同様に、摺動支持部30の第2当接部34は、第1当接部32と反対側の端面におけるヒンジ部20から離れた部位が、支持体部10の第2梁部16の傾斜した外壁に合わせて傾斜状に形成されている。これにより、隣り合う一方の支持体部10に設けた摺動支持部30の第1当接部32と他方の支持体部10に設けた摺動支持部30の第2当接部34との間隔は、シャッタSの平坦状態において、ヒンジ部20側より該ヒンジ部20から離れた側が大きくなっている。従って、各摺動支持部30において第1当接部32と第2当接部34との長さ方向での間隔を大きく設定しても、ヒンジ部20の弾性的な変形により隣り合う支持体部10,10が近接するように姿勢変位する際に、隣り合う摺動支持部30,30の第1当接部32と第2当接部34とが接触することが防止されるよう構成されている。
【0028】
そして、一端部10Aおよび他端部10Bの両端部に摺動支持部30,30を備えた各支持体部10は、図3(a)および図3(b)に示すように、一方の摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34と他方の摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34との4つの当接部による4点支持態様により、一対のガイドレールL1,L2に支持される。すなわち、一方の摺動支持部30の各当接部32,34が一方のガイドレールL1における溝部114の底面114Aに当接する当接ポイントP1,P2と、他方の摺動支持部30の各当接部32,34が他方のガイドレールL2における溝部114の底面114Aに当接する当接ポイントP3,P4とは、四角形に延在するラインBを形成する関係となっている。
【0029】
従って各支持体部10は、板部12に対して厚み方向から荷重が加わった際に、各摺動支持部30における各第1当接部32および各第2当接部34の4つが一対のガイドレールL1,L2に当接することで、幅方向に延在する軸線J1を中心とした回転変位が規制されて安定的に支持される構造となっている。なお、各摺動支持部30の各第1当接部32および各第2当接部34の計4つのうちの少なくとも3つ以上の当接部が一対のガイドレールL1,L2に当接すれば、支持体部10は回転変位することが規制されて安定的に支持される。
【0030】
実施例のシャッタSでは、フロアコンソールFCの前側となる支持体部10の板部12に、該支持体部10の長さ方向の寸法と略同じ寸法で幅方向に延在して上方へ突出する把持部46が設けられている。従って、把持部46を指先で把持することで、シャッタSのスライド操作を簡易に行ない得る。
【0031】
前述のように構成された実施例のシャッタSは、各支持体部10の一端部10Aに設けた各摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34を、コンソール本体100に設けた一方のガイドレールL1の溝部114に各々突入して係合させると共に、各支持体部10の他端部10Bに設けた各摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34を、他方のガイドレールL2の溝部114に各々突入して係合させることで、スライド移動が可能にコンソール本体100に配設される。そしてシャッタSは、物品収納部102の上部開口104に臨ませるようにコンソール本体100の前方向へスライド移動させると、各支持体部10の摺動支持部30,30が各ガイドレールL1,L2の直線部110に位置するようになり、一枚の平板の如く平坦状態となって上部開口104を全体的に覆蓋する(図4参照)。
【0032】
そして、実施例のシャッタSは、物品収納部102の上部開口104を全体的に覆蓋した平坦状態において、上方を向いている表側に物品や腕を載せたり手を着く等により上方から荷重が加わった際でも、平坦状態が適切に維持される。すなわち、上方からの荷重を受けた各支持体部10では、一方の摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34と他方の摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34の計4つのうちの少なくとも3つ以上が各ガイドレールL1,L2における溝部114の底面114Aに当接するようになり、回転変位することなく安定的に姿勢保持される。また各支持体部10は、第1梁部14、第2梁部16および連設部18からなるリブ構造体に構成されて剛性を有しているから、板部12の上方から荷重が加わっても、幅方向での撓み変形および捻り変形が起こらない。
【0033】
一方、シャッタSは、コンソール本体100の後方に向けてスライド移動させると、長さ方向における後側の支持体部10から各ガイドレールL1,L2の曲線部112に移動するようになる。支持体部10が各ガイドレールL1,L2の曲線部112に移動すると、該支持体部10に設けた各摺動支持部30における第1当接部32の当接突部32Bおよび第2当接部34の当接突部34Bが、各ガイドレールL1,L2の溝部114の上面114Bに当接するようになる。これにより、各ガイドレールL1,L2の曲線部112に移動した隣り合う支持体部10,10は、両支持体部10,10間のヒンジ部20が弾性的に変形することで、一方の支持体部10に対して他方の支持体部10が姿勢変位する。そしてシャッタSは、各ヒンジ部20が弾性的に変形することで、各ガイドレールL1,L2の曲線部112の曲率と同じ曲率の湾曲状態に変形するようになる(図1(b))。
【0034】
従って、実施例のシャッタSでは、厚み方向から荷重が加わった際に、該シャッタSを構成する各支持体部10が、一端部10Aおよび他端部10Bの夫々に設けた摺動支持部30,30における長さ方向に並べて2つずつ設けた各第1当接部32および各第2当接部34の計4つのうちの3つ以上で一対のガイドレールL1,L2に支持されるため、該支持体部10は幅方向に延在する軸線J1を中心として回転変位することがない。しかも、摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34が、支持体部10における長さ方向の中央を挟んで一端部10Aおよび他端部10Bに設けられているから、該支持体部10に対してスライド方向の中央からずれた位置(中央よりヒンジ部20に近い位置)に荷重が加わっても、当該支持体部10は幅方向に延在する軸線J1を中心とした回転変位が起こり難い。すなわち、実施例のシャッタSは、各支持体部10に荷重が加わった際に、該支持体部10を繋ぐヒンジ部20に応力が集中し難く、よって該ヒンジ部20を薄く形成することが可能となる。これによりヒンジ部20は、支持体部10および各摺動支持部30を形成する成形材料と同一の成形材料で薄肉に形成しても可撓性を有することができるから、支持体部10、ヒンジ部20および摺動支持部30を同一の硬質樹脂で一体成形することが可能となる。すなわちシャッタSは、1種類の成形材料だけを使用して1工程でシャッタSを一体成形し得るから、材料費が安くなると共に成形作業工数が削減されて製造コストを抑えることができ、安価に製造することが可能となる。
【0035】
そしてシャッタSは、1種類の成形材料から一体成形されているので、支持体部10とヒンジ部20とが両部の境界部で剥離することがなく、また各支持体部10と摺動支持部30とが両部の境界部で剥離することがないから、剥離を原因として該シャッタSが使用不能となることがない。
【0036】
また、隣り合う一方の支持体部10に設けた摺動支持部30の第1当接部32と他方の支持体部10に設けた摺動支持部30の第2当接部34のヒンジ部20を挟んで互いに相対する面は、シャッタSの平坦状態において、該ヒンジ部20から離れるにつれてスライド方向へ互いに離れるように形成されている。従って、摺動支持部30における第1当接部32および第2当接部34は、スライド方向における間隔を大きく設定してもシャッタSが湾曲状態に変形する際に接触せず、該シャッタSが湾曲状態へ変形することを規制しない。そして、摺動支持部30における第1当接部32および第2当接部34のスライド方向における間隔を大きくできるので、シャッタSの平坦状態において荷重が加わった際の支持体部10の安定性を高めることができる。
【0037】
また、各支持体部10が、長さ方向に並ぶ第1梁部14および第2梁部16と両梁部14,16を繋ぐ連設部18とによりリブ構造体として構成されているので、想定される荷重を受けても撓み変形および捻り変形が起きない剛性を得ることができる。特に、各支持体部10の第1梁部14および第2梁部16は、幅方向の中央部分の高さを大きく設定してあるので、シャッタSに厚み方向から加わった荷重を、撓み変形することなく適切に受けることができる。また、各支持体部10は、長さ方向の寸法が、厚み方向でヒンジ部20から離間するにつれて先細となる台形形状に形成されているから、該ヒンジ部20の変形によるシャッタSの湾曲状態への変形が規制されない。
【0038】
そして、各摺動支持部30,30の第1当接部32および第2当接部34と各ガイドレールL1,L2との摩擦抵抗が小さく抑えられているので、軽い力でシャッタSをスライド移動させることができ、該シャッタSの開閉時の操作性が向上している。
【0039】
また更に、各支持体部10における第1梁部14と第2梁部16との間に空間が画成されるので、シャッタSの軽量化が図られると共に、成形材料の使用量が少なくなって製造コストを抑え得る。しかも、成形時に成形材料が冷えることにより、シャッタSの外面における支持体部10に対応した部位に、成形ヒケが発生することも防止できる。
【0040】
(変更例)
(1)支持体部10の配設数は、実施例に例示の数に限定されず、上部開口104の開口サイズに応じて増減する。
(2)各摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34は、例えば互いの腕部32A,34Aが一体に連設された単一部材として形成して、各当接突部32B,34Bの各当接ポイントがガイドレールL1,L2の溝部114に対して点接触するように構成してもよい。また、各当接突部32B,34Bも、ガイドレールL1,L2の溝部114に接触しない部分を連設した形状としてもよい。
(3)本願のシャッタSは、実施例で例示した自動車の乗員室内に設置されるフロアコンソールFC以外に、種々の蓋部材、区画部材または遮蔽部材等として実施可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 支持体部,20 ヒンジ部,32 第1当接部(当接部),34,第2当接部(当接部)
H 高さ(厚み方向の),L1,L2 ガイドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向設置された一対のガイドレールに沿ってスライド移動可能に配設されたシャッタであって、
スライド方向に並べて設けられて、当該シャッタに加わる荷重を支える支持体部と、
隣り合う前記支持体部の間を繋ぐように設けられ、該支持体部より薄肉に形成することで可撓性を有するヒンジ部と、
前記各支持体部における前記ガイドレールに臨む各端部の夫々に前記スライド方向に並べて形成されて、該ガイドレールにスライド移動可能に係合する一対の当接部とを備え、
前記支持体部、ヒンジ部および当接部は、同一の成形材料から一体成形され、
前記各支持体部は、シャッタの表側から荷重が加わった際に、各端部に2つずつ設けられた計4つの前記当接部のうちの3つ以上で前記一対のガイドレールに支持されるよう構成した
ことを特徴とするシャッタ。
【請求項2】
前記各支持体部は、該支持体部におけるスライド方向の中央を挟んで各端部に前記一対の当接部が設けられる請求項1記載のシャッタ。
【請求項3】
前記支持体部は前記ヒンジ部より裏側へ突出して設けられると共に、前記一対の当接部は該ヒンジ部より裏側に設けられ、
前記ヒンジ部は、隣り合う前記支持体部がスライド方向へ離れた平坦状態および近接した湾曲状態にシャッタが変形することを許容し、
前記ヒンジ部を挟んで隣り合う前記当接部は、シャッタの平坦状態において、互いに相対する面が、該ヒンジ部から離れるにつれてスライド方向へ互いに離れるよう形成される請求項1または2記載のシャッタ。
【請求項4】
前記各支持体部は、前記スライド方向と直交する厚み方向の寸法が、前記一対のガイドレールの対向方向における両端部側で最小となり、該対向方向における中央部が両端部より大きくなっている請求項1〜3の何れか一項に記載のシャッタ。
【請求項5】
前記各当接部は、前記ガイドレールに当接する面が曲面状に形成されて、該ガイドレールに対し点接触するよう構成された請求項1〜4の何れか一項に記載のシャッタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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