シャフト付きヒータユニットおよびシャフト付きヒータユニット製造方法
【課題】熱電導率が異なる材料を複合化することにより、ヒータの温度分布を改善するシャフト付きヒータユニットを提供する。
【解決手段】ヒータプレート1と、ヒータプレート1を支持するシャフト部2を有するシャフト付きヒータユニット100であって、ヒータプレート1は、シャフト部2と接合される平板状のベース部3と、ベース部3の外周部上に配置される第1プレート部4と、第1プレート部4を構成する材料より熱伝導率が高い材料から選択され、第1プレート部4の内周側を埋めるように配置される第2プレート部5と、を備え、第1プレート部4と第2プレート部5は、コールドスプレー法により、ベース部3上に積層される。
【解決手段】ヒータプレート1と、ヒータプレート1を支持するシャフト部2を有するシャフト付きヒータユニット100であって、ヒータプレート1は、シャフト部2と接合される平板状のベース部3と、ベース部3の外周部上に配置される第1プレート部4と、第1プレート部4を構成する材料より熱伝導率が高い材料から選択され、第1プレート部4の内周側を埋めるように配置される第2プレート部5と、を備え、第1プレート部4と第2プレート部5は、コールドスプレー法により、ベース部3上に積層される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板を支持しながら加熱するシャフト付きヒータユニットおよびシャフト付きヒータユニット製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板の製造プロセス、例えばアニール処理等において、真空チャンバ内で半導体基板を加熱処理しているが、半導体基板を均一に加熱し、温度分布を少なくすることは歩留まりに大きな影響を及ぼすものであり、近年、より厳密な温度制御が望まれている。
【0003】
この半導体基板の加熱処理において、半導体基板を支持しながら加熱するシャフト付きヒータが知られている。シャフト付きヒータは、被加熱物である半導体基板を載置し、内部にシースヒータが埋め込まれたヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトから構成されている。シャフト付きヒータにおいては、シースヒータ線の引き回しの制約からシャフト中心部に入熱しづらく、さらにシャフトを介した放熱が起こりやすいため、プレート中心部の温度が低下してしまうという問題を有していた。
【0004】
これに対して、ヒータプレートに使用される材料を複合化することによりヒータプレートの温度分布を改善し、これに載置される半導体基板の温度分布を均一にする技術が提案されている。
【0005】
また、ヒータプレートがセラミックス焼結体であるセラミックスヒータにおいて、該ヒータプレートを支持するシャフト部が、ヒータプレートと同一組成のセラミックス焼結体からなる第1部材と、ヒータプレートより熱伝導率が低いセラミックス焼結体からなる第2部材とを備えることにより、放熱を防止する技術が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−176569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、異なる材料をろう付けなどで複合化してヒータの温度分布を改善するためには、材料の形状が複雑なため接合が難しく、また接合温度が高いため熱膨張差によるひずみを異なる材料間で蓄積させてしまうといった問題があった。さらに、材料の融点や接合温度などの関係で選択できる材料に制約があり、所望する程度までの温度分布の改善が困難であった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、異なる材料を複合化することによりヒータの温度分布を改善するとともに、異なる材料を接合する際のひずみを解消するシャフト付きヒータユニットおよびシャフト付きヒータユニット製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニットであって、前記ヒータプレートは、前記シャフトと接合される平板状のベース部と、前記ベース部の外周部上に積層される第1プレート部と、前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が高い材料から選択され、前記第1プレート部の内周側を埋めるように積層される第2プレート部と、を備え、前記第1プレート部および前記第2プレート部は、前記第1プレート部および前記第2プレート部をそれぞれ構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部にそれぞれ吹き付けることにより形成されたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記ヒータプレートは、前記第1プレート部および前記第2プレート部上に設けられ、被加熱物を載置する載置部を備え、前記載置部は、前記載置部を構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記第1プレート部および前記第2プレート部に吹き付けることによって形成されたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記ベース部および前記載置部は、前記第1プレート部と同一の材料で構成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記ヒータプレートは、前記ベース部と前記第2プレート部との間に、前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択される第3プレート部を備え、前記第3プレート部は、前記第3プレート部を構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部に吹き付けることによって形成されたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記ヒータプレートは、前記第1プレート部および前記第2プレート部中にシースヒータを配置することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記第1プレート部はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、前記第2プレート部は銅または銅合金からなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記第3プレート部はチタンまたはチタン合金からなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記第1プレート部はステンレスからなり、前記第2プレート部はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニットであって、前記ヒータプレートは、前記シャフトと接合される平板状のベース部と、前記ベース部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択され、前記ベース部の中心部に積層される第3プレート部と、前記ベース部を構成する材料と同一の材料から構成され、前記ベース部および前記第3プレート部上に積層される被加熱物を載置する載置部と、を備え、前記第3プレート部および前記載置部は、前記第3プレート部および前記載置部をそれぞれ構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部にそれぞれ吹き付けることにより形成されたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニット製造方法は、被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニットの製造方法であって、前記シャフトと接合される平板状のベース部に、シースヒータを配置する配置工程と、前記ベース部の外周部上に、固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース上に吹き付けることにより、第1プレート部を形成する第1プレート部積層工程と、前記第1プレート部の内周側を埋めるように、前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が高い材料から選択された固相状態の該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース上に吹き付けることにより、前記第2プレート部を形成する第2プレート部積層工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニット製造方法は、上記発明において、前記第2プレート部積層工程が、前記第1プレート部積層工程より先に行なわれることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニット製造方法は、上記発明において、前記第1プレート部および前記第2プレート部の積層工程の後、固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記第1プレート部および前記第2プレート部に吹き付けることにより、載置部を形成する載置部積層工程を含み、前記ベース部、前記第1プレート部および前記載置部は、同一の材料で構成されることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニット製造方法は、上記発明において、前記第1プレート部および前記第2プレート部の積層工程前に、前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択された固相状態の該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部上に吹き付けることにより、前記ベース上に第3プレート部を形成する第3プレート部積層工程を含むことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニット製造方法は、被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニットの製造方法であって、前記シャフトと接合される平板状のベース部の中心部に穿説された溝部に、前記ベース部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択された固相状態の該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で吹き付けることにより、前記ベース上に第3プレート部を形成する第3プレート部積層工程と、前記ベース部および前記第3プレート部上にシースヒータを配置する配置工程と、前記シースヒータが配置された前記ベース部および前記第3プレート部上に、前記ベース部を構成する材料と同一の材料からなる該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で吹き付けることにより、前記ベース部および前記第3プレート部上に被加熱物を載置する載置部を形成する載置部積層工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のシャフト付きヒータユニットは、被加熱物を載置するヒータプレートの中心部の第2プレート部を、ベース部および第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が高い材料とし、第1プレート部および第2プレート部を、固相の粉末材料を融点以下の圧縮ガスでそれぞれ溶射し積層する、いわゆるコールドスプレー法で形成することにより、ヒータの温度分布を改善し、かつ熱疲労によるヒータプレートの異材界面における剥がれ、ひび割れ等を効果的に防止しうるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造方法を説明するフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造に使用される溶射装置の概要を示す説明図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態1の変形例1に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態1の変形例2に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造方法を説明するフローチャートである
【図12】図12は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図17】図17は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態2の変形例1に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図19】図19は、本発明の実施の形態2の変形例2に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図20】図20は、本発明の実施の形態3に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図21】図21は、本発明の実施の形態3に係るシャフト付きヒータユニットの製造方法を説明するフローチャートである
【図22】図22は、本発明の実施の形態3の変形例1に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図23】図23は、本発明の実施の形態3の変形例2に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明にかかるシャフト付きヒータユニットおよびシャフト付きヒータユニット製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニット100の構成を示す断面図である。シャフト付きヒータユニット100は、略円板状のヒータプレート1と、ヒータプレート1を支持するシャフト部2と、を備える。シャフト付きヒータユニット100は、通常、半導体製造装置の反応室であるプロセスチャンバ内の箱状のハウジング内に設置される。該ハウジング内は真空状態となるよう気密性を有している。本実施の形態1では、円板状のヒータプレート1を使用するが、これに限定されるものではなく、被加熱物の形状等を考慮した形状であればよく、例えば矩形状であってもよい。
【0027】
ヒータプレート1は、シャフト部2と接合されるベース部3と、ベース部3の外周部上に積層される第1プレート部4と、ベース部3の中心部であって、第1プレート部4の内周側を埋めるように積層される第2プレート部5と、被加熱物である半導体基板を載置する載置部7と、を備える。
【0028】
ベース部3は、中心部に円盤状の開口部13を有し、ベース部3上には、略一面にシースヒータ6が配置される。シースヒータ6に電力を供給する電力供給線8が、開口部13を介して外部電源と接続される。シースヒータ6は、内部に、例えばニクロム線などの抵抗発熱体と、その外周部にマグネシアなどの粉末を固化した絶縁体とを有し、前記抵抗発熱体に電力を供給して発熱させている。
【0029】
第1プレート部4は、ベース部3の外周部上に積層される。ベース部3、第1プレート部4および後述する載置部7は、通常、同一の材料で構成される。この材料は、ヒータプレート1としての使用温度範囲に基づき適宜選択される。ヒータプレート1の材料として好ましいのは、熱伝導率の高い金属であって、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金(熱伝導率:100〜240W/m・K)が好適に使用されるが、これに限定されず、ヒータプレート1の使用温度範囲によって、鉄または鉄合金(熱伝導率:10〜80W/m・K)、銅または銅合金(熱伝導率:100〜400W/m・K)、ニッケルまたはニッケル合金(熱伝導率:5〜100W/m・K)、チタンまたはチタン合金(熱伝導率:5〜30W/m・K)、インジウム(熱伝導率:82W/m・K、常温時)、鉛(熱伝導率:35W/m・K、常温時)、マグネシウム(熱伝導率:156W/m・K、常温時)、錫(熱伝導率:67W/m・K、常温時)、銀(熱伝導率:420W/m・K、常温時)、亜鉛(熱伝導率:116W/m・K、常温時)等から選択されてもよい。
【0030】
第2プレート部5は、ベース部3の中心部であって、第1プレート部4の内周側を埋めるように積層される。第2プレート部5は、第1プレート部4を構成する材料より熱伝導率が高い材料から選択され、第1プレート部としてアルミニウムまたはアルミニウム合金が選択される場合は、これより熱伝導率が高い材料、例えば、銅または銅合金が好適に使用される。また、第1プレート部材としてステンレスが使用される場合は、ステンレスより熱伝導率が高い材料、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金が第2プレート部5として好適に使用される。第2プレート部5を第1プレート部4より熱伝導率の高い材料で構成すると、シャフト部2と接するベース部3の中心部からシャフト部2へ放熱がある場合でも、ヒータプレート1の外周部から中心部への熱移動がより容易に行われるため、ヒータプレート1の温度分布を改善することが可能となる。また、第2プレート部5の大きさは、後述するシャフト部2の外径より大きくすることが好ましい。また、第2プレート部の厚さは、ヒータプレート1の径および厚さによっても異なるが、ヒータプレート1の外周部から中心部への熱移動を容易に行うためには、ヒータプレート1の厚さの半分以上であることが好ましい。
【0031】
載置部7は、第1プレート部4および第2プレート部5上に積層され、被加熱物である半導体基板を載置する。載置部7には、半導体基板とヒータプレート1の表面(載置部7)との接触を低減させるスペーサを設置してもよい。本実施の形態1にかかるシャフト付きヒータプレート100は載置部7を備えるが、必ずしも載置部7を設ける必要はなく、第1プレート部4および第2プレート部5上に被加熱物を載置してもよい。第1プレート部材4としてアルミニウムまたはアルミニウム合金、第2プレート部5として銅または銅合金が使用される場合は、被加熱物への銅汚染を防止するために載置部7を設けることが好ましい。
【0032】
シャフト部2は、ヒータプレート1を支持するシャフト本体部9と、ヒータプレート1と接合するためのフランジ部10とを備える。シャフト本体部9は、中空円筒形状であり、電力供給線8が内部に配置される。フランジ部10は、ヒータプレート1のシャフト側に配置するベース部3と溶接またはろう付け等によって接合される。本実施の形態1にかかるシャフト付きヒータ100は、フランジ部10を介してシャフト部2とヒータプレート1とを接続しているが、フランジ部10を設けることなく、シャフト部2の端部とヒータプレート1とを溶接またはろう付け等によって接合してもよい。なお、シャフト部2及びベース部3についても、後述するコールドスプレー法により積層形成することができる。
【0033】
次に、図2〜7を参照して、実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニット100の製造方法を説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニット100の製造方法を説明するフローチャートである。図3は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造に使用される溶射装置の概要を示す説明図である。図4〜7は、シャフト付きヒータユニット100の製造工程を説明する断面図である。
【0034】
図2のフローチャートに示すように、まず、ベース部3の開口部13をマスキング部材11でマスキングする(ステップS101)。ベース部3は、切削や鋳造などにより加工成形したものを使用すればよい。その後、図4に示すように、ベース部3の略一面にシースヒータ6を配置する(ステップS102)。
【0035】
その後、ベース部3上に、第2プレート部5の粉末材料を、図3に示すような溶射装置50を用いてコールドスプレーする(ステップS103)。溶射装置50は、圧縮ガスを融点以下に加熱するガス加熱器40と、被溶射物に溶射する粉末材料を収容し、スプレーガン44に供給する粉末供給装置41と、スプレーガン44で加熱された圧縮ガスと混合された材料粉末を基材に噴射するガスノズル45とを備えている。
【0036】
圧縮ガスとしては、ヘリウム、窒素、空気などが使用される。供給された圧縮ガスは、バルブ42および43により、ガス加熱器40と粉末供給装置41にそれぞれ供給される。ガス加熱器40に供給された圧縮ガスは、例えば50〜700℃に加熱された後、スプレーガン44に供給される。より好ましくは、圧縮ガスにより加熱された溶射材料粉末の上限温度は、材料の融点以下に留める。粉末加熱温度を材料の融点以下に留めることにより、材料の酸化を抑制できるためである。粉末供給装置41に供給された圧縮ガスは、粉末供給装置41内の、例えば、粒径が10〜100μm程度の材料粉末をスプレーガン44に所定の吐出量となるように供給する。加熱された圧縮ガスは先細末広形状のガスノズル45により超音速流(約340m/s以上)にされる。スプレーガン44に供給された粉末材料は、この圧縮ガスの超音速流の中への投入により加速され、固相状態のまま基材に高速で衝突して皮膜を形成する。材料粉末を基材に固相状態で衝突させて皮膜を形成できる装置であれば、本実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニット100の製造に使用可能であり、図3の溶射装置50に限定されるものではない。
【0037】
図5に示すように、第2プレート部5の粉末材料をコールドスプレーにより積層して、ベース部3の中央部に第2プレート部5を形成後(ステップS103)、第1プレート部4の粉末材料を、第2プレート部5の外部であってベース部3の外周部上にコールドスプレーにより積層して、第1プレート部4を形成する(ステップS104、図6参照)。積層された第1プレート部4と第2プレート部5の上面は面一な水平面を形成する。なお、第2プレート部5の積層工程(ステップS103)と第1プレート部4の積層工程(ステップS104)とは、各工程を前後して行ってもよい。
【0038】
その後、図7に示すように、載置部7の粉末材料を、第1プレート部4および第2プレート部5上にコールドスプレーにより積層して、所望の厚さ分の載置部7を形成する(ステップS105)。
【0039】
すべての材料の積層終了後、マスキング部材11を除去し(ステップS106)、シャフト部2のフランジ部10とヒータプレート1のベース部3とを、溶接またはろう付けにより接合する(ステップS107)。続いて、シャフト部2およびベース部3の開口部13を介して、電力供給線8とシースヒータ6とを接続する(ステップS108)。なお、シースヒータ6がシャフト部2から飛び出す程度に長い場合は電力供給線8の接続が不要な場合もある。
【0040】
上述した製造工程において、切削、鋳造などにより予め所定形状に成形されたベース部3を使用してシャフト付きヒータユニット100を製造しているが、ベース部3ならびにシャフト部2も、第1プレート部4、第2プレート部5および載置部7と同様に、コールドスプレー法により成形してもよい。
【0041】
上記のように、異なる材料を用いてコールドスプレー法によりヒータプレート1を製造した場合、圧縮ガス温度が低いため、使用する材料の酸化や熱変質がほとんどなく、緻密で密着力が高い皮膜を形成することが出来る。また、コールドスプレー法によれば、任意の箇所に必要な材料を積層し一体化できるため、ヒータプレート1の温度分布を効果的に改善できる。さらに接合時の温度を低くできるため、材料間に熱膨張差によるひずみの蓄積がなく、材料界面での剥がれ、ひび割れを防止できるという優れた効果を有する。上述した製造方法により、第1プレート部4をアルミニウムで、第2プレート部5を銅で、載置部7をアルミニウムで積層形成してシャフト付きヒータユニット100を製造したところ、ヒータプレートをアルミニウムのみで形成したシャフト付きヒータユニットに比べて、ヒータプレート1の中心部分の温度低下を抑制し、ヒータプレート1全体の温度分布が効果的に改善された。
【0042】
なお、実施の形態1にかかるシャフト付きヒータユニット100の変形例1として、図8に示すシャフト付きヒータユニット100Aが例示される。シャフト付きヒータユニット100Aは、ベース部3Aの中心部に開口部を有していない。したがって、第1プレート部4、第2プレート部5等をコールドスプレー法により積層形成する場合に、マスキングする必要がなく、工程を短縮して製造することができる。
【0043】
また、実施の形態1にかかるシャフト付きヒータユニット100の変形例2として、図9に示すシャフト付きヒータユニット100Bが例示される。シャフト付きヒータユニット100Bにおいて、第1プレート部4Bと第2プレート部5Bとの界面は、実施の形態1のシャフト付きヒータユニット100と異なりテーパ状の断面を有する。第1プレート部4Bと第2プレート部5Bとの界面をテーパ状に形成することにより、より精密にプレートヒータ1Bの温度分布を改善することが可能になる。
【0044】
さらに、実施の形態1にかかるシャフト付きヒータユニット100の変形例3として、第1プレート部4および第2プレート部5内に配置されるシースヒータ6の配置高さを変更して、プレートヒータの温度分布を改善してもよい。
【0045】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニット200は、ベース部30と第2プレート部5との間に、第1プレート部4を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択される第3プレート部12を備える点で、実施の形態1のシャフト付きヒータユニット100と異なる。以下、図面を参照して、実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニット200について説明する。図10は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニット200の構成を示す断面図である。
【0046】
図10に示すように、シャフト付きヒータユニット200のベース部30は、その中心部に穿設された溝部14を有する。第3プレート部12は、溝部14上に積層形成される。第3プレート部12は、第1プレート部4を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択され、第1プレート部材がアルミニウムまたはアルミニウム合金である場合には、チタンまたはチタン合金が好適に使用される。第3プレート部12として第1プレート部4より熱伝導率が低い材料を使用することにより、ヒータプレート20からのシャフト部2への放熱を低減して、ヒータプレート20の温度分布を効果的に改善できる。
【0047】
次に、図11〜17を参照して、実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニット200の製造方法を説明する。図11は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きユータユニット200の製造方法を説明するフローチャートである。図12〜17は、シャフト付きヒータユニット200の製造工程を説明する断面図である。図11のフローチャートに示すように、まず、ベース部30の開口部13をマスキング部材11でマスキングする(ステップS201、図12参照)。中心部に開口部13および溝部14を有するベース部30は、切削、または鋳造などにより加工成形すればよい。
【0048】
続いて、図13に示すように、第3プレート部12の粉末材料を、実施の形態1で説明したような溶射装置50(図3参照)を用いてベース部30の溝部14上にコールドスプレーにより積層して、第3プレート部12を形成する(ステップS202)。溶射装置は、図3に示すものに限定されるものではなく、材料粉末を基材に固相状態で衝突させて皮膜を形成できる装置であれば、いかなる構造のものでも使用できる。積層された第3プレート部12とベース部30の上面は面一な水平面を形成する。
【0049】
その後、図14に示すように、ベース部30および第3プレート部12からなる水平面全体にシースヒータ6を配置する(ステップS203)。
【0050】
その後、図15に示すように、第2プレート部5の粉末材料を、溶射装置50等を用いて第3プレート12上にコールドスプレーにより積層して、第2プレート部5を形成する(ステップS204)。
【0051】
第2プレート部5積層後、図16に示すように、第1プレート部4の粉末材料を、ベース部30の外周部上で第2プレート部5に接するようにコールドスプレーにより積層して、第1プレート部4を形成する(ステップS205)。積層された第1プレート部4と第2プレート部5の上面は面一な水平面を形成する。なお、第2プレート部5の積層工程(ステップS204)と第1プレート部4の積層工程(ステップS205)とは、各工程を前後して行ってもよい。
【0052】
続いて、図17に示すように、載置部7の粉末材料を、第1プレート部4および第2プレート5部上にコールドスプレーして、載置部7を形成する(ステップS206)。
【0053】
すべての材料の積層終了後、マスキング部材11を除去し(ステップS207)、シャフト部2のフランジ部10とヒータプレート20のベース部30とを、溶接またはろう付けにより接合する(ステップS208)。続いて、シャフト部2およびベース部30の開口部13を介して、電力供給線8とシースヒータ6とを接続する(ステップS209)。
【0054】
実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニット200は、ベース部30と第2プレート部5との間に、第1プレート部4より熱伝導率が低い材料から選択される第3プレート部12を備えたことにより、ヒータプレート20からシャフト部2への放熱がさらに低減できるため、ヒータプレート20の温度分布をさらに効果的に改善することが出来る。また、異なる材料を用いて、融点以下の圧縮ガスによりコールドスプレーしてヒータプレート20を製造できるため、使用する材料の酸化や熱変質がほとんどなく、緻密で密着力が高い皮膜を形成することが出来る。さらに、コールドスプレー法によれば、任意の箇所に必要な材料を配置し一体化でき、ヒータプレート20の温度分布を効果的に改善できるとともに、接合時の温度を低くできるため、材料間に熱膨張差によるひずみの蓄積がなく、材料界面での剥がれ、ひび割れを防止できるという優れた効果を有する。上述した製造方法により、第3プレート部13をチタンで、第1プレート部4をアルミニウムで、第2プレート部5を銅で、載置部7をアルミニウムで積層形成してシャフト付きヒータユニット200を製造したところ、ヒータプレートをアルミニウムのみで形成したシャフト付きヒータユニットに比べて、ヒータプレート20の中心部分の温度低下を抑制し、ヒータプレート20全体の温度分布が効果的に改善された。
【0055】
なお、実施の形態2にかかるシャフト付きヒータユニット200の変形例1として、図18に示すシャフト付きヒータユニット200Aが例示される。シャフト付きヒータユニット200Aは、第3プレート部12Aの厚さを実施の形態2にかかるシャフト付きヒータユニット200の第3プレート部12の厚さより厚くしたものである。シャフト付きヒータユニット200Aのヒータプレート20Aは、第3プレート部12Aの粉末材料を、ベース部30の溝部14上にコールドスプレーし、第3プレート部12Aとベース部30の上面を面一な水平面となるよう第3プレート部12Aを積層した後、ベース部30および第3プレート部12A上にシースヒータ6を配線し、さらに、第3プレート部12Aの粉末材料をコールドスプレーして所望の厚さに第3プレート部を積層形成すればよい。
【0056】
変形例1では、第3プレート部12Aの厚さを厚くすることにより、ヒータプレート20Aからシャフト部2への放熱を低減する。これに対し、第2プレート部5Aが厚いほど、外周部から中心部に熱移動が速やかに行われヒータプレート20Aの温度分布が改善される。したがって、第3プレート部12Aおよび第2プレート部5Aの厚さを適宜調整して、ヒータプレート20Aの温度分布を改善することが好ましい。
【0057】
また、実施の形態2にかかるシャフト付きヒータユニット200の変形例2として、図19に示すシャフト付きヒータユニット200Bが例示される。シャフト付きヒータユニット200Bにおいて、ベース部30Bの中心部に形成される溝部14Bは、シャフト部2のフランジ部10の外径と略同じ大きさとし、第2プレート部5の外径よりも小さい。第2プレート部5の径は、ヒータプレート20Bの外周部から中心部に熱移動を速やかに行わせるために、ある程度の大きさ、たとえばヒータプレート20Bの半径以上であることが望ましい。これに対し、第3プレート部12Bはフランジ部10の外径と同程度の径であれば、ヒータプレート20Bからシャフト部2への放熱を低減できる。したがって、第3プレート部12Bの径を、ヒータプレート20Bからシャフト部2への放熱を最も低減する大きさに調整して、ヒータプレート20Bの温度分布を改善することが好ましい。
【0058】
(実施の形態3)
実施の形態3に係るシャフト付きヒータユニット300は、第1プレート部および第2プレート部を有さず、ベース部の中心部に穿設された溝部を埋めるように積層される第3プレート部のみを備える点で、実施の形態1のシャフト付きヒータユニット100と異なる。以下、図面を参照して、実施の形態3に係るシャフト付きヒータユニット300について説明する。図20は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニット200の構成を示す断面図である。
【0059】
図20に示すように、シャフト付きヒータユニット300のベース部30は、その中心部に穿設された溝部14を有する。第3プレート部12は、溝部14上に積層形成される。第3プレート部12は、ベース部30を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択され、ベース部材がアルミニウムまたはアルミニウム合金である場合には、チタンまたはチタン合金が好適に使用される。また、シャフト付きヒータユニット300は、第1プレート部および第2プレート部を有しない。シャフト付きヒータユニット300の載置部70を、たとえば、第1プレート部および第2プレート部を有するシャフト付きヒータユニット100の載置部7等より厚く積層形成させる。載置部70を構成する材料は、通常ベース部30と同一の材料が選択される。載置部70を厚く形成して、ヒータプレート30Bの被加熱物の載置面の温度を制御し、かつ、ベース部30および載置部70より熱伝導率が低い材料を使用する第3プレート部12を設けることにより、ヒータプレート20からのシャフト部2への放熱を低減して、ヒータプレート20の温度分布を改善できる。
【0060】
次に、図21を参照して、実施の形態3に係るシャフト付きヒータユニット300の製造方法を説明する。図21は、本発明の実施の形態3に係るシャフト付きユータユニット300の製造方法を説明するフローチャートである。図21のフローチャートに示すように、まず、ベース部30の開口部13をマスキング部材11でマスキングする(ステップS301)。中心部に開口部13および溝部14を有するベース部30は、切削、または鋳造などにより加工成形すればよい。
【0061】
続いて、第3プレート部12の粉末材料を、実施の形態1で説明したような溶射装置50(図3参照)を用いてベース部30の溝部14上にコールドスプレーにより積層して、第3プレート部12を形成する(ステップS302)。溶射装置は、図3に示すものに限定されるものではなく、材料粉末を基材に固相状態で衝突させて皮膜を形成できる装置であれば、いかなる構造のものでも使用できる。積層された第3プレート部12とベース部30の上面は面一な水平面を形成する。
【0062】
その後、ベース部30および第3プレート部12からなる水平面全体にシースヒータ6を配置する(ステップS303)。
【0063】
続いて、載置部70の粉末材料を、ベース部30および第3プレート部12上にコールドスプレーして、載置部70を形成する(ステップS304)。
【0064】
すべての材料の積層終了後、マスキング部材11を除去し(ステップS305)、シャフト部2のフランジ部10とヒータプレート30のベース部30とを、溶接またはろう付けにより接合する(ステップS306)。続いて、シャフト部2およびベース部30の開口部13を介して、電力供給線8とシースヒータ6とを接続する(ステップS307)。
【0065】
実施の形態3に係るシャフト付きヒータユニット300は、ベース部30の中心部に穿設された溝部14に、ベース部30および載置部70を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択される第3プレート部12を積層形成したことにより、ヒータプレート30からシャフト部2への放熱が低減できるため、ヒータプレート30の温度分布を効果的に改善することが出来る。また、異なる材料を用いて、融点以下の圧縮ガスによりコールドスプレーしてヒータプレート30を製造できるため、使用する材料の酸化や熱変質がほとんどなく、緻密で密着力が高い皮膜を形成することが出来る。さらに、コールドスプレー法によれば、任意の箇所に必要な材料を配置し一体化でき、ヒータプレート30の温度分布を効果的に改善できるとともに、接合時の温度を低くできるため、材料間に熱膨張差によるひずみの蓄積がなく、材料界面での剥がれ、ひび割れを防止できるという優れた効果を有する。
【0066】
また、実施の形態3にかかるシャフト付きヒータユニット300の変形例1として、図22に示すシャフト付きヒータユニット300Aが例示される。シャフト付きヒータユニット200Aは、第3プレート部12Aの厚さを実施の形態3にかかるシャフト付きヒータユニット300の第3プレート部12の厚さより厚くしたものである。シャフト付きヒータユニット300Aのヒータプレート30Aは、第3プレート部12Aの粉末材料を、ベース部30の溝部14上にコールドスプレーし、第3プレート部12Aとベース部30の上面を面一な水平面となるよう第3プレート部12Aを積層した後、ベース部30および第3プレート部12A上にシースヒータ6を配線し、さらに、第3プレート部12Aの粉末材料をコールドスプレーして所望の厚さに第3プレート部12Aを積層形成すればよい。変形例1では、第3プレート部12Aの厚さを厚くすることにより、ヒータプレート30Aからシャフト部2への放熱をさらに低減する。
【0067】
さらに、実施の形態3にかかるシャフト付きヒータユニット300の変形例2として、図23に示すシャフト付きヒータユニット300Bが例示される。シャフト付きヒータユニット300Bのベース部30Cは溝部14を有しない。シャフト部2への放熱を低減する第3プレート部12Cは、ベース部30Cの中央部にコールドスプレーにより積層形成される。第3プレート部12Cの外周側には第1プレート部40がコールドスプレーにより積層される。第1プレート部40と第3プレート部12Cの上面は面一な水平面を形成し、第1プレート部40および第3プレート部12C上にシースヒータ6が配置される。第1プレート部40は、通常ベース部30Cを構成する材料と同一の材料が選択される。シースヒータ6が配置された第1プレート部40と第3プレート部12C上に、載置部70Bがコールドスプレーにより積層形成される。載置部70は、通常ベース部30Cを構成する材料と同一の材料により構成される。変形例3のベース部30Cは、溝部14を有さず、実施の形態3のベース部30より薄く形成される。変形例3にかかるシャフト付きヒータプレート300Bは、ベース部30Cに溝部14を形成する必要がないため加工がより容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、異なる材料を接合してなるシャフト付きヒータユニットおよびシャフト付きヒータユニット製造方法に利用可能であり、特に、半導体製造装置に有用である。
【符号の説明】
【0069】
1、1A、1B、20、20A、20B、30A、30B ヒータプレート
2 シャフト部
3、3A、30、30C ベース部
4 第1プレート部
5 第2プレート部
6 シースヒータ
7 載置部
8 電力供給線
9 シャフト本体部
10 フランジ部
11 マスキング部材
12、12A、12B、12C 第3プレート部
13 開口部
14 溝部
40 ガス加熱器
41 粉末供給装置
42、43 バルブ
44 スプレーガン
45 ガスノズル
50 溶射装置
100、100A、100B、200、200A、200B、300、300A、300C シャフト付きヒータユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板を支持しながら加熱するシャフト付きヒータユニットおよびシャフト付きヒータユニット製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板の製造プロセス、例えばアニール処理等において、真空チャンバ内で半導体基板を加熱処理しているが、半導体基板を均一に加熱し、温度分布を少なくすることは歩留まりに大きな影響を及ぼすものであり、近年、より厳密な温度制御が望まれている。
【0003】
この半導体基板の加熱処理において、半導体基板を支持しながら加熱するシャフト付きヒータが知られている。シャフト付きヒータは、被加熱物である半導体基板を載置し、内部にシースヒータが埋め込まれたヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトから構成されている。シャフト付きヒータにおいては、シースヒータ線の引き回しの制約からシャフト中心部に入熱しづらく、さらにシャフトを介した放熱が起こりやすいため、プレート中心部の温度が低下してしまうという問題を有していた。
【0004】
これに対して、ヒータプレートに使用される材料を複合化することによりヒータプレートの温度分布を改善し、これに載置される半導体基板の温度分布を均一にする技術が提案されている。
【0005】
また、ヒータプレートがセラミックス焼結体であるセラミックスヒータにおいて、該ヒータプレートを支持するシャフト部が、ヒータプレートと同一組成のセラミックス焼結体からなる第1部材と、ヒータプレートより熱伝導率が低いセラミックス焼結体からなる第2部材とを備えることにより、放熱を防止する技術が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−176569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、異なる材料をろう付けなどで複合化してヒータの温度分布を改善するためには、材料の形状が複雑なため接合が難しく、また接合温度が高いため熱膨張差によるひずみを異なる材料間で蓄積させてしまうといった問題があった。さらに、材料の融点や接合温度などの関係で選択できる材料に制約があり、所望する程度までの温度分布の改善が困難であった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、異なる材料を複合化することによりヒータの温度分布を改善するとともに、異なる材料を接合する際のひずみを解消するシャフト付きヒータユニットおよびシャフト付きヒータユニット製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニットであって、前記ヒータプレートは、前記シャフトと接合される平板状のベース部と、前記ベース部の外周部上に積層される第1プレート部と、前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が高い材料から選択され、前記第1プレート部の内周側を埋めるように積層される第2プレート部と、を備え、前記第1プレート部および前記第2プレート部は、前記第1プレート部および前記第2プレート部をそれぞれ構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部にそれぞれ吹き付けることにより形成されたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記ヒータプレートは、前記第1プレート部および前記第2プレート部上に設けられ、被加熱物を載置する載置部を備え、前記載置部は、前記載置部を構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記第1プレート部および前記第2プレート部に吹き付けることによって形成されたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記ベース部および前記載置部は、前記第1プレート部と同一の材料で構成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記ヒータプレートは、前記ベース部と前記第2プレート部との間に、前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択される第3プレート部を備え、前記第3プレート部は、前記第3プレート部を構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部に吹き付けることによって形成されたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記ヒータプレートは、前記第1プレート部および前記第2プレート部中にシースヒータを配置することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記第1プレート部はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、前記第2プレート部は銅または銅合金からなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記第3プレート部はチタンまたはチタン合金からなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、上記発明において、前記第1プレート部はステンレスからなり、前記第2プレート部はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニットは、被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニットであって、前記ヒータプレートは、前記シャフトと接合される平板状のベース部と、前記ベース部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択され、前記ベース部の中心部に積層される第3プレート部と、前記ベース部を構成する材料と同一の材料から構成され、前記ベース部および前記第3プレート部上に積層される被加熱物を載置する載置部と、を備え、前記第3プレート部および前記載置部は、前記第3プレート部および前記載置部をそれぞれ構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部にそれぞれ吹き付けることにより形成されたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニット製造方法は、被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニットの製造方法であって、前記シャフトと接合される平板状のベース部に、シースヒータを配置する配置工程と、前記ベース部の外周部上に、固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース上に吹き付けることにより、第1プレート部を形成する第1プレート部積層工程と、前記第1プレート部の内周側を埋めるように、前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が高い材料から選択された固相状態の該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース上に吹き付けることにより、前記第2プレート部を形成する第2プレート部積層工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニット製造方法は、上記発明において、前記第2プレート部積層工程が、前記第1プレート部積層工程より先に行なわれることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニット製造方法は、上記発明において、前記第1プレート部および前記第2プレート部の積層工程の後、固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記第1プレート部および前記第2プレート部に吹き付けることにより、載置部を形成する載置部積層工程を含み、前記ベース部、前記第1プレート部および前記載置部は、同一の材料で構成されることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニット製造方法は、上記発明において、前記第1プレート部および前記第2プレート部の積層工程前に、前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択された固相状態の該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部上に吹き付けることにより、前記ベース上に第3プレート部を形成する第3プレート部積層工程を含むことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係るシャフト付きヒータユニット製造方法は、被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニットの製造方法であって、前記シャフトと接合される平板状のベース部の中心部に穿説された溝部に、前記ベース部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択された固相状態の該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で吹き付けることにより、前記ベース上に第3プレート部を形成する第3プレート部積層工程と、前記ベース部および前記第3プレート部上にシースヒータを配置する配置工程と、前記シースヒータが配置された前記ベース部および前記第3プレート部上に、前記ベース部を構成する材料と同一の材料からなる該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で吹き付けることにより、前記ベース部および前記第3プレート部上に被加熱物を載置する載置部を形成する載置部積層工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のシャフト付きヒータユニットは、被加熱物を載置するヒータプレートの中心部の第2プレート部を、ベース部および第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が高い材料とし、第1プレート部および第2プレート部を、固相の粉末材料を融点以下の圧縮ガスでそれぞれ溶射し積層する、いわゆるコールドスプレー法で形成することにより、ヒータの温度分布を改善し、かつ熱疲労によるヒータプレートの異材界面における剥がれ、ひび割れ等を効果的に防止しうるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造方法を説明するフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造に使用される溶射装置の概要を示す説明図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態1の変形例1に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態1の変形例2に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造方法を説明するフローチャートである
【図12】図12は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図17】図17は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニットの製造工程を示す断面図である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態2の変形例1に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図19】図19は、本発明の実施の形態2の変形例2に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図20】図20は、本発明の実施の形態3に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図21】図21は、本発明の実施の形態3に係るシャフト付きヒータユニットの製造方法を説明するフローチャートである
【図22】図22は、本発明の実施の形態3の変形例1に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【図23】図23は、本発明の実施の形態3の変形例2に係るシャフト付きヒータユニットの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明にかかるシャフト付きヒータユニットおよびシャフト付きヒータユニット製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニット100の構成を示す断面図である。シャフト付きヒータユニット100は、略円板状のヒータプレート1と、ヒータプレート1を支持するシャフト部2と、を備える。シャフト付きヒータユニット100は、通常、半導体製造装置の反応室であるプロセスチャンバ内の箱状のハウジング内に設置される。該ハウジング内は真空状態となるよう気密性を有している。本実施の形態1では、円板状のヒータプレート1を使用するが、これに限定されるものではなく、被加熱物の形状等を考慮した形状であればよく、例えば矩形状であってもよい。
【0027】
ヒータプレート1は、シャフト部2と接合されるベース部3と、ベース部3の外周部上に積層される第1プレート部4と、ベース部3の中心部であって、第1プレート部4の内周側を埋めるように積層される第2プレート部5と、被加熱物である半導体基板を載置する載置部7と、を備える。
【0028】
ベース部3は、中心部に円盤状の開口部13を有し、ベース部3上には、略一面にシースヒータ6が配置される。シースヒータ6に電力を供給する電力供給線8が、開口部13を介して外部電源と接続される。シースヒータ6は、内部に、例えばニクロム線などの抵抗発熱体と、その外周部にマグネシアなどの粉末を固化した絶縁体とを有し、前記抵抗発熱体に電力を供給して発熱させている。
【0029】
第1プレート部4は、ベース部3の外周部上に積層される。ベース部3、第1プレート部4および後述する載置部7は、通常、同一の材料で構成される。この材料は、ヒータプレート1としての使用温度範囲に基づき適宜選択される。ヒータプレート1の材料として好ましいのは、熱伝導率の高い金属であって、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金(熱伝導率:100〜240W/m・K)が好適に使用されるが、これに限定されず、ヒータプレート1の使用温度範囲によって、鉄または鉄合金(熱伝導率:10〜80W/m・K)、銅または銅合金(熱伝導率:100〜400W/m・K)、ニッケルまたはニッケル合金(熱伝導率:5〜100W/m・K)、チタンまたはチタン合金(熱伝導率:5〜30W/m・K)、インジウム(熱伝導率:82W/m・K、常温時)、鉛(熱伝導率:35W/m・K、常温時)、マグネシウム(熱伝導率:156W/m・K、常温時)、錫(熱伝導率:67W/m・K、常温時)、銀(熱伝導率:420W/m・K、常温時)、亜鉛(熱伝導率:116W/m・K、常温時)等から選択されてもよい。
【0030】
第2プレート部5は、ベース部3の中心部であって、第1プレート部4の内周側を埋めるように積層される。第2プレート部5は、第1プレート部4を構成する材料より熱伝導率が高い材料から選択され、第1プレート部としてアルミニウムまたはアルミニウム合金が選択される場合は、これより熱伝導率が高い材料、例えば、銅または銅合金が好適に使用される。また、第1プレート部材としてステンレスが使用される場合は、ステンレスより熱伝導率が高い材料、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金が第2プレート部5として好適に使用される。第2プレート部5を第1プレート部4より熱伝導率の高い材料で構成すると、シャフト部2と接するベース部3の中心部からシャフト部2へ放熱がある場合でも、ヒータプレート1の外周部から中心部への熱移動がより容易に行われるため、ヒータプレート1の温度分布を改善することが可能となる。また、第2プレート部5の大きさは、後述するシャフト部2の外径より大きくすることが好ましい。また、第2プレート部の厚さは、ヒータプレート1の径および厚さによっても異なるが、ヒータプレート1の外周部から中心部への熱移動を容易に行うためには、ヒータプレート1の厚さの半分以上であることが好ましい。
【0031】
載置部7は、第1プレート部4および第2プレート部5上に積層され、被加熱物である半導体基板を載置する。載置部7には、半導体基板とヒータプレート1の表面(載置部7)との接触を低減させるスペーサを設置してもよい。本実施の形態1にかかるシャフト付きヒータプレート100は載置部7を備えるが、必ずしも載置部7を設ける必要はなく、第1プレート部4および第2プレート部5上に被加熱物を載置してもよい。第1プレート部材4としてアルミニウムまたはアルミニウム合金、第2プレート部5として銅または銅合金が使用される場合は、被加熱物への銅汚染を防止するために載置部7を設けることが好ましい。
【0032】
シャフト部2は、ヒータプレート1を支持するシャフト本体部9と、ヒータプレート1と接合するためのフランジ部10とを備える。シャフト本体部9は、中空円筒形状であり、電力供給線8が内部に配置される。フランジ部10は、ヒータプレート1のシャフト側に配置するベース部3と溶接またはろう付け等によって接合される。本実施の形態1にかかるシャフト付きヒータ100は、フランジ部10を介してシャフト部2とヒータプレート1とを接続しているが、フランジ部10を設けることなく、シャフト部2の端部とヒータプレート1とを溶接またはろう付け等によって接合してもよい。なお、シャフト部2及びベース部3についても、後述するコールドスプレー法により積層形成することができる。
【0033】
次に、図2〜7を参照して、実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニット100の製造方法を説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニット100の製造方法を説明するフローチャートである。図3は、本発明の実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニットの製造に使用される溶射装置の概要を示す説明図である。図4〜7は、シャフト付きヒータユニット100の製造工程を説明する断面図である。
【0034】
図2のフローチャートに示すように、まず、ベース部3の開口部13をマスキング部材11でマスキングする(ステップS101)。ベース部3は、切削や鋳造などにより加工成形したものを使用すればよい。その後、図4に示すように、ベース部3の略一面にシースヒータ6を配置する(ステップS102)。
【0035】
その後、ベース部3上に、第2プレート部5の粉末材料を、図3に示すような溶射装置50を用いてコールドスプレーする(ステップS103)。溶射装置50は、圧縮ガスを融点以下に加熱するガス加熱器40と、被溶射物に溶射する粉末材料を収容し、スプレーガン44に供給する粉末供給装置41と、スプレーガン44で加熱された圧縮ガスと混合された材料粉末を基材に噴射するガスノズル45とを備えている。
【0036】
圧縮ガスとしては、ヘリウム、窒素、空気などが使用される。供給された圧縮ガスは、バルブ42および43により、ガス加熱器40と粉末供給装置41にそれぞれ供給される。ガス加熱器40に供給された圧縮ガスは、例えば50〜700℃に加熱された後、スプレーガン44に供給される。より好ましくは、圧縮ガスにより加熱された溶射材料粉末の上限温度は、材料の融点以下に留める。粉末加熱温度を材料の融点以下に留めることにより、材料の酸化を抑制できるためである。粉末供給装置41に供給された圧縮ガスは、粉末供給装置41内の、例えば、粒径が10〜100μm程度の材料粉末をスプレーガン44に所定の吐出量となるように供給する。加熱された圧縮ガスは先細末広形状のガスノズル45により超音速流(約340m/s以上)にされる。スプレーガン44に供給された粉末材料は、この圧縮ガスの超音速流の中への投入により加速され、固相状態のまま基材に高速で衝突して皮膜を形成する。材料粉末を基材に固相状態で衝突させて皮膜を形成できる装置であれば、本実施の形態1に係るシャフト付きヒータユニット100の製造に使用可能であり、図3の溶射装置50に限定されるものではない。
【0037】
図5に示すように、第2プレート部5の粉末材料をコールドスプレーにより積層して、ベース部3の中央部に第2プレート部5を形成後(ステップS103)、第1プレート部4の粉末材料を、第2プレート部5の外部であってベース部3の外周部上にコールドスプレーにより積層して、第1プレート部4を形成する(ステップS104、図6参照)。積層された第1プレート部4と第2プレート部5の上面は面一な水平面を形成する。なお、第2プレート部5の積層工程(ステップS103)と第1プレート部4の積層工程(ステップS104)とは、各工程を前後して行ってもよい。
【0038】
その後、図7に示すように、載置部7の粉末材料を、第1プレート部4および第2プレート部5上にコールドスプレーにより積層して、所望の厚さ分の載置部7を形成する(ステップS105)。
【0039】
すべての材料の積層終了後、マスキング部材11を除去し(ステップS106)、シャフト部2のフランジ部10とヒータプレート1のベース部3とを、溶接またはろう付けにより接合する(ステップS107)。続いて、シャフト部2およびベース部3の開口部13を介して、電力供給線8とシースヒータ6とを接続する(ステップS108)。なお、シースヒータ6がシャフト部2から飛び出す程度に長い場合は電力供給線8の接続が不要な場合もある。
【0040】
上述した製造工程において、切削、鋳造などにより予め所定形状に成形されたベース部3を使用してシャフト付きヒータユニット100を製造しているが、ベース部3ならびにシャフト部2も、第1プレート部4、第2プレート部5および載置部7と同様に、コールドスプレー法により成形してもよい。
【0041】
上記のように、異なる材料を用いてコールドスプレー法によりヒータプレート1を製造した場合、圧縮ガス温度が低いため、使用する材料の酸化や熱変質がほとんどなく、緻密で密着力が高い皮膜を形成することが出来る。また、コールドスプレー法によれば、任意の箇所に必要な材料を積層し一体化できるため、ヒータプレート1の温度分布を効果的に改善できる。さらに接合時の温度を低くできるため、材料間に熱膨張差によるひずみの蓄積がなく、材料界面での剥がれ、ひび割れを防止できるという優れた効果を有する。上述した製造方法により、第1プレート部4をアルミニウムで、第2プレート部5を銅で、載置部7をアルミニウムで積層形成してシャフト付きヒータユニット100を製造したところ、ヒータプレートをアルミニウムのみで形成したシャフト付きヒータユニットに比べて、ヒータプレート1の中心部分の温度低下を抑制し、ヒータプレート1全体の温度分布が効果的に改善された。
【0042】
なお、実施の形態1にかかるシャフト付きヒータユニット100の変形例1として、図8に示すシャフト付きヒータユニット100Aが例示される。シャフト付きヒータユニット100Aは、ベース部3Aの中心部に開口部を有していない。したがって、第1プレート部4、第2プレート部5等をコールドスプレー法により積層形成する場合に、マスキングする必要がなく、工程を短縮して製造することができる。
【0043】
また、実施の形態1にかかるシャフト付きヒータユニット100の変形例2として、図9に示すシャフト付きヒータユニット100Bが例示される。シャフト付きヒータユニット100Bにおいて、第1プレート部4Bと第2プレート部5Bとの界面は、実施の形態1のシャフト付きヒータユニット100と異なりテーパ状の断面を有する。第1プレート部4Bと第2プレート部5Bとの界面をテーパ状に形成することにより、より精密にプレートヒータ1Bの温度分布を改善することが可能になる。
【0044】
さらに、実施の形態1にかかるシャフト付きヒータユニット100の変形例3として、第1プレート部4および第2プレート部5内に配置されるシースヒータ6の配置高さを変更して、プレートヒータの温度分布を改善してもよい。
【0045】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニット200は、ベース部30と第2プレート部5との間に、第1プレート部4を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択される第3プレート部12を備える点で、実施の形態1のシャフト付きヒータユニット100と異なる。以下、図面を参照して、実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニット200について説明する。図10は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニット200の構成を示す断面図である。
【0046】
図10に示すように、シャフト付きヒータユニット200のベース部30は、その中心部に穿設された溝部14を有する。第3プレート部12は、溝部14上に積層形成される。第3プレート部12は、第1プレート部4を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択され、第1プレート部材がアルミニウムまたはアルミニウム合金である場合には、チタンまたはチタン合金が好適に使用される。第3プレート部12として第1プレート部4より熱伝導率が低い材料を使用することにより、ヒータプレート20からのシャフト部2への放熱を低減して、ヒータプレート20の温度分布を効果的に改善できる。
【0047】
次に、図11〜17を参照して、実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニット200の製造方法を説明する。図11は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きユータユニット200の製造方法を説明するフローチャートである。図12〜17は、シャフト付きヒータユニット200の製造工程を説明する断面図である。図11のフローチャートに示すように、まず、ベース部30の開口部13をマスキング部材11でマスキングする(ステップS201、図12参照)。中心部に開口部13および溝部14を有するベース部30は、切削、または鋳造などにより加工成形すればよい。
【0048】
続いて、図13に示すように、第3プレート部12の粉末材料を、実施の形態1で説明したような溶射装置50(図3参照)を用いてベース部30の溝部14上にコールドスプレーにより積層して、第3プレート部12を形成する(ステップS202)。溶射装置は、図3に示すものに限定されるものではなく、材料粉末を基材に固相状態で衝突させて皮膜を形成できる装置であれば、いかなる構造のものでも使用できる。積層された第3プレート部12とベース部30の上面は面一な水平面を形成する。
【0049】
その後、図14に示すように、ベース部30および第3プレート部12からなる水平面全体にシースヒータ6を配置する(ステップS203)。
【0050】
その後、図15に示すように、第2プレート部5の粉末材料を、溶射装置50等を用いて第3プレート12上にコールドスプレーにより積層して、第2プレート部5を形成する(ステップS204)。
【0051】
第2プレート部5積層後、図16に示すように、第1プレート部4の粉末材料を、ベース部30の外周部上で第2プレート部5に接するようにコールドスプレーにより積層して、第1プレート部4を形成する(ステップS205)。積層された第1プレート部4と第2プレート部5の上面は面一な水平面を形成する。なお、第2プレート部5の積層工程(ステップS204)と第1プレート部4の積層工程(ステップS205)とは、各工程を前後して行ってもよい。
【0052】
続いて、図17に示すように、載置部7の粉末材料を、第1プレート部4および第2プレート5部上にコールドスプレーして、載置部7を形成する(ステップS206)。
【0053】
すべての材料の積層終了後、マスキング部材11を除去し(ステップS207)、シャフト部2のフランジ部10とヒータプレート20のベース部30とを、溶接またはろう付けにより接合する(ステップS208)。続いて、シャフト部2およびベース部30の開口部13を介して、電力供給線8とシースヒータ6とを接続する(ステップS209)。
【0054】
実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニット200は、ベース部30と第2プレート部5との間に、第1プレート部4より熱伝導率が低い材料から選択される第3プレート部12を備えたことにより、ヒータプレート20からシャフト部2への放熱がさらに低減できるため、ヒータプレート20の温度分布をさらに効果的に改善することが出来る。また、異なる材料を用いて、融点以下の圧縮ガスによりコールドスプレーしてヒータプレート20を製造できるため、使用する材料の酸化や熱変質がほとんどなく、緻密で密着力が高い皮膜を形成することが出来る。さらに、コールドスプレー法によれば、任意の箇所に必要な材料を配置し一体化でき、ヒータプレート20の温度分布を効果的に改善できるとともに、接合時の温度を低くできるため、材料間に熱膨張差によるひずみの蓄積がなく、材料界面での剥がれ、ひび割れを防止できるという優れた効果を有する。上述した製造方法により、第3プレート部13をチタンで、第1プレート部4をアルミニウムで、第2プレート部5を銅で、載置部7をアルミニウムで積層形成してシャフト付きヒータユニット200を製造したところ、ヒータプレートをアルミニウムのみで形成したシャフト付きヒータユニットに比べて、ヒータプレート20の中心部分の温度低下を抑制し、ヒータプレート20全体の温度分布が効果的に改善された。
【0055】
なお、実施の形態2にかかるシャフト付きヒータユニット200の変形例1として、図18に示すシャフト付きヒータユニット200Aが例示される。シャフト付きヒータユニット200Aは、第3プレート部12Aの厚さを実施の形態2にかかるシャフト付きヒータユニット200の第3プレート部12の厚さより厚くしたものである。シャフト付きヒータユニット200Aのヒータプレート20Aは、第3プレート部12Aの粉末材料を、ベース部30の溝部14上にコールドスプレーし、第3プレート部12Aとベース部30の上面を面一な水平面となるよう第3プレート部12Aを積層した後、ベース部30および第3プレート部12A上にシースヒータ6を配線し、さらに、第3プレート部12Aの粉末材料をコールドスプレーして所望の厚さに第3プレート部を積層形成すればよい。
【0056】
変形例1では、第3プレート部12Aの厚さを厚くすることにより、ヒータプレート20Aからシャフト部2への放熱を低減する。これに対し、第2プレート部5Aが厚いほど、外周部から中心部に熱移動が速やかに行われヒータプレート20Aの温度分布が改善される。したがって、第3プレート部12Aおよび第2プレート部5Aの厚さを適宜調整して、ヒータプレート20Aの温度分布を改善することが好ましい。
【0057】
また、実施の形態2にかかるシャフト付きヒータユニット200の変形例2として、図19に示すシャフト付きヒータユニット200Bが例示される。シャフト付きヒータユニット200Bにおいて、ベース部30Bの中心部に形成される溝部14Bは、シャフト部2のフランジ部10の外径と略同じ大きさとし、第2プレート部5の外径よりも小さい。第2プレート部5の径は、ヒータプレート20Bの外周部から中心部に熱移動を速やかに行わせるために、ある程度の大きさ、たとえばヒータプレート20Bの半径以上であることが望ましい。これに対し、第3プレート部12Bはフランジ部10の外径と同程度の径であれば、ヒータプレート20Bからシャフト部2への放熱を低減できる。したがって、第3プレート部12Bの径を、ヒータプレート20Bからシャフト部2への放熱を最も低減する大きさに調整して、ヒータプレート20Bの温度分布を改善することが好ましい。
【0058】
(実施の形態3)
実施の形態3に係るシャフト付きヒータユニット300は、第1プレート部および第2プレート部を有さず、ベース部の中心部に穿設された溝部を埋めるように積層される第3プレート部のみを備える点で、実施の形態1のシャフト付きヒータユニット100と異なる。以下、図面を参照して、実施の形態3に係るシャフト付きヒータユニット300について説明する。図20は、本発明の実施の形態2に係るシャフト付きヒータユニット200の構成を示す断面図である。
【0059】
図20に示すように、シャフト付きヒータユニット300のベース部30は、その中心部に穿設された溝部14を有する。第3プレート部12は、溝部14上に積層形成される。第3プレート部12は、ベース部30を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択され、ベース部材がアルミニウムまたはアルミニウム合金である場合には、チタンまたはチタン合金が好適に使用される。また、シャフト付きヒータユニット300は、第1プレート部および第2プレート部を有しない。シャフト付きヒータユニット300の載置部70を、たとえば、第1プレート部および第2プレート部を有するシャフト付きヒータユニット100の載置部7等より厚く積層形成させる。載置部70を構成する材料は、通常ベース部30と同一の材料が選択される。載置部70を厚く形成して、ヒータプレート30Bの被加熱物の載置面の温度を制御し、かつ、ベース部30および載置部70より熱伝導率が低い材料を使用する第3プレート部12を設けることにより、ヒータプレート20からのシャフト部2への放熱を低減して、ヒータプレート20の温度分布を改善できる。
【0060】
次に、図21を参照して、実施の形態3に係るシャフト付きヒータユニット300の製造方法を説明する。図21は、本発明の実施の形態3に係るシャフト付きユータユニット300の製造方法を説明するフローチャートである。図21のフローチャートに示すように、まず、ベース部30の開口部13をマスキング部材11でマスキングする(ステップS301)。中心部に開口部13および溝部14を有するベース部30は、切削、または鋳造などにより加工成形すればよい。
【0061】
続いて、第3プレート部12の粉末材料を、実施の形態1で説明したような溶射装置50(図3参照)を用いてベース部30の溝部14上にコールドスプレーにより積層して、第3プレート部12を形成する(ステップS302)。溶射装置は、図3に示すものに限定されるものではなく、材料粉末を基材に固相状態で衝突させて皮膜を形成できる装置であれば、いかなる構造のものでも使用できる。積層された第3プレート部12とベース部30の上面は面一な水平面を形成する。
【0062】
その後、ベース部30および第3プレート部12からなる水平面全体にシースヒータ6を配置する(ステップS303)。
【0063】
続いて、載置部70の粉末材料を、ベース部30および第3プレート部12上にコールドスプレーして、載置部70を形成する(ステップS304)。
【0064】
すべての材料の積層終了後、マスキング部材11を除去し(ステップS305)、シャフト部2のフランジ部10とヒータプレート30のベース部30とを、溶接またはろう付けにより接合する(ステップS306)。続いて、シャフト部2およびベース部30の開口部13を介して、電力供給線8とシースヒータ6とを接続する(ステップS307)。
【0065】
実施の形態3に係るシャフト付きヒータユニット300は、ベース部30の中心部に穿設された溝部14に、ベース部30および載置部70を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択される第3プレート部12を積層形成したことにより、ヒータプレート30からシャフト部2への放熱が低減できるため、ヒータプレート30の温度分布を効果的に改善することが出来る。また、異なる材料を用いて、融点以下の圧縮ガスによりコールドスプレーしてヒータプレート30を製造できるため、使用する材料の酸化や熱変質がほとんどなく、緻密で密着力が高い皮膜を形成することが出来る。さらに、コールドスプレー法によれば、任意の箇所に必要な材料を配置し一体化でき、ヒータプレート30の温度分布を効果的に改善できるとともに、接合時の温度を低くできるため、材料間に熱膨張差によるひずみの蓄積がなく、材料界面での剥がれ、ひび割れを防止できるという優れた効果を有する。
【0066】
また、実施の形態3にかかるシャフト付きヒータユニット300の変形例1として、図22に示すシャフト付きヒータユニット300Aが例示される。シャフト付きヒータユニット200Aは、第3プレート部12Aの厚さを実施の形態3にかかるシャフト付きヒータユニット300の第3プレート部12の厚さより厚くしたものである。シャフト付きヒータユニット300Aのヒータプレート30Aは、第3プレート部12Aの粉末材料を、ベース部30の溝部14上にコールドスプレーし、第3プレート部12Aとベース部30の上面を面一な水平面となるよう第3プレート部12Aを積層した後、ベース部30および第3プレート部12A上にシースヒータ6を配線し、さらに、第3プレート部12Aの粉末材料をコールドスプレーして所望の厚さに第3プレート部12Aを積層形成すればよい。変形例1では、第3プレート部12Aの厚さを厚くすることにより、ヒータプレート30Aからシャフト部2への放熱をさらに低減する。
【0067】
さらに、実施の形態3にかかるシャフト付きヒータユニット300の変形例2として、図23に示すシャフト付きヒータユニット300Bが例示される。シャフト付きヒータユニット300Bのベース部30Cは溝部14を有しない。シャフト部2への放熱を低減する第3プレート部12Cは、ベース部30Cの中央部にコールドスプレーにより積層形成される。第3プレート部12Cの外周側には第1プレート部40がコールドスプレーにより積層される。第1プレート部40と第3プレート部12Cの上面は面一な水平面を形成し、第1プレート部40および第3プレート部12C上にシースヒータ6が配置される。第1プレート部40は、通常ベース部30Cを構成する材料と同一の材料が選択される。シースヒータ6が配置された第1プレート部40と第3プレート部12C上に、載置部70Bがコールドスプレーにより積層形成される。載置部70は、通常ベース部30Cを構成する材料と同一の材料により構成される。変形例3のベース部30Cは、溝部14を有さず、実施の形態3のベース部30より薄く形成される。変形例3にかかるシャフト付きヒータプレート300Bは、ベース部30Cに溝部14を形成する必要がないため加工がより容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、異なる材料を接合してなるシャフト付きヒータユニットおよびシャフト付きヒータユニット製造方法に利用可能であり、特に、半導体製造装置に有用である。
【符号の説明】
【0069】
1、1A、1B、20、20A、20B、30A、30B ヒータプレート
2 シャフト部
3、3A、30、30C ベース部
4 第1プレート部
5 第2プレート部
6 シースヒータ
7 載置部
8 電力供給線
9 シャフト本体部
10 フランジ部
11 マスキング部材
12、12A、12B、12C 第3プレート部
13 開口部
14 溝部
40 ガス加熱器
41 粉末供給装置
42、43 バルブ
44 スプレーガン
45 ガスノズル
50 溶射装置
100、100A、100B、200、200A、200B、300、300A、300C シャフト付きヒータユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニットであって、
前記ヒータプレートは、
前記シャフトと接合される平板状のベース部と、
前記ベース部の外周部上に積層される第1プレート部と、
前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が高い材料から選択され、前記第1プレート部の内周側を埋めるように積層される第2プレート部と、
を備え、
前記第1プレート部および前記第2プレート部は、前記第1プレート部および前記第2プレート部をそれぞれ構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部にそれぞれ吹き付けることにより形成されたことを特徴とするシャフト付きヒータユニット。
【請求項2】
前記ヒータプレートは、前記第1プレート部および前記第2プレート部上に設けられ、被加熱物を載置する載置部を備え、前記載置部は、前記載置部を構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記第1プレート部および前記第2プレート部に吹き付けることによって形成されたことを特徴とする請求項1に記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項3】
前記ベース部および前記載置部は、前記第1プレート部と同一の材料で構成されることを特徴とする請求項2に記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項4】
前記ヒータプレートは、前記ベース部と前記第2プレート部との間に、前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択される第3プレート部を備え、
前記第3プレート部は、前記第3プレート部を構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部に吹き付けることによって形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項5】
前記ヒータプレートは、前記第1プレート部および前記第2プレート部中にシースヒータを配置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項6】
前記第1プレート部はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、前記第2プレート部は銅または銅合金からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項7】
前記第3プレート部はチタンまたはチタン合金からなることを特徴とする請求項6に記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項8】
前記第1プレート部はステンレスからなり、前記第2プレート部はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項9】
被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニットであって、
前記ヒータプレートは、
前記シャフトと接合される平板状のベース部と、
前記ベース部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択され、前記ベース部の中心部に積層される第3プレート部と、
前記ベース部を構成する材料と同一の材料から構成され、前記ベース部および前記第3プレート部上に積層される被加熱物を載置する載置部と、
を備え、
前記第3プレート部および前記載置部は、前記第3プレート部および前記載置部をそれぞれ構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部にそれぞれ吹き付けることにより形成されたことを特徴とするシャフト付きヒータユニット。
【請求項10】
被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニット製造方法であって、
前記シャフトと接合される平板状のベース部に、シースヒータを配置する配置工程と、
前記ベース部の外周部上に、固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース上に吹き付けることにより、第1プレート部を形成する第1プレート部積層工程と、
前記第1プレート部の内周側を埋めるように、前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が高い材料から選択された固相状態の該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース上に吹き付けることにより、前記第2プレート部を形成する第2プレート部積層工程と、
を含むことを特徴とするシャフト付きヒータユニット製造方法。
【請求項11】
前記第2プレート部積層工程が、前記第1プレート部積層工程より先に行なわれることを特徴とする請求項10に記載のシャフト付きヒータユニット製造方法。
【請求項12】
前記第1プレート部および前記第2プレート部の積層工程の後、固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記第1プレート部および前記第2プレート部に吹き付けることにより、載置部を形成する載置部積層工程を含み、
前記ベース部、前記第1プレート部および前記載置部は、同一の材料で構成されることを特徴とする請求項10または11に記載のシャフト付きヒータユニット製造方法。
【請求項13】
前記第1プレート部および前記第2プレート部の積層工程前に、
前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択された固相状態の該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部上に吹き付けることにより、前記ベース上に第3プレート部を形成する第3プレート部積層工程を含むことを特徴とする請求項10〜12のいずれか一つに記載のシャフト付きヒータユニット製造方法。
【請求項14】
被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニット製造方法であって、
前記シャフトと接合される平板状のベース部の中心部に穿説された溝部に、前記ベース部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択された固相状態の該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で吹き付けることにより、前記ベース上に第3プレート部を形成する第3プレート部積層工程と、
前記ベース部および前記第3プレート部上にシースヒータを配置する配置工程と、
前記シースヒータが配置された前記ベース部および前記第3プレート部上に、前記ベース部を構成する材料と同一の材料からなる該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で吹き付けることにより、前記ベース部および前記第3プレート部上に被加熱物を載置する載置部を形成する載置部積層工程と、
を含むことを特徴とするシャフト付きヒータユニット製造方法。
【請求項1】
被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニットであって、
前記ヒータプレートは、
前記シャフトと接合される平板状のベース部と、
前記ベース部の外周部上に積層される第1プレート部と、
前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が高い材料から選択され、前記第1プレート部の内周側を埋めるように積層される第2プレート部と、
を備え、
前記第1プレート部および前記第2プレート部は、前記第1プレート部および前記第2プレート部をそれぞれ構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部にそれぞれ吹き付けることにより形成されたことを特徴とするシャフト付きヒータユニット。
【請求項2】
前記ヒータプレートは、前記第1プレート部および前記第2プレート部上に設けられ、被加熱物を載置する載置部を備え、前記載置部は、前記載置部を構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記第1プレート部および前記第2プレート部に吹き付けることによって形成されたことを特徴とする請求項1に記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項3】
前記ベース部および前記載置部は、前記第1プレート部と同一の材料で構成されることを特徴とする請求項2に記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項4】
前記ヒータプレートは、前記ベース部と前記第2プレート部との間に、前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択される第3プレート部を備え、
前記第3プレート部は、前記第3プレート部を構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部に吹き付けることによって形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項5】
前記ヒータプレートは、前記第1プレート部および前記第2プレート部中にシースヒータを配置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項6】
前記第1プレート部はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、前記第2プレート部は銅または銅合金からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項7】
前記第3プレート部はチタンまたはチタン合金からなることを特徴とする請求項6に記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項8】
前記第1プレート部はステンレスからなり、前記第2プレート部はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のシャフト付きヒータユニット。
【請求項9】
被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニットであって、
前記ヒータプレートは、
前記シャフトと接合される平板状のベース部と、
前記ベース部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択され、前記ベース部の中心部に積層される第3プレート部と、
前記ベース部を構成する材料と同一の材料から構成され、前記ベース部および前記第3プレート部上に積層される被加熱物を載置する載置部と、
を備え、
前記第3プレート部および前記載置部は、前記第3プレート部および前記載置部をそれぞれ構成する固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部にそれぞれ吹き付けることにより形成されたことを特徴とするシャフト付きヒータユニット。
【請求項10】
被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニット製造方法であって、
前記シャフトと接合される平板状のベース部に、シースヒータを配置する配置工程と、
前記ベース部の外周部上に、固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース上に吹き付けることにより、第1プレート部を形成する第1プレート部積層工程と、
前記第1プレート部の内周側を埋めるように、前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が高い材料から選択された固相状態の該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース上に吹き付けることにより、前記第2プレート部を形成する第2プレート部積層工程と、
を含むことを特徴とするシャフト付きヒータユニット製造方法。
【請求項11】
前記第2プレート部積層工程が、前記第1プレート部積層工程より先に行なわれることを特徴とする請求項10に記載のシャフト付きヒータユニット製造方法。
【請求項12】
前記第1プレート部および前記第2プレート部の積層工程の後、固相状態の材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記第1プレート部および前記第2プレート部に吹き付けることにより、載置部を形成する載置部積層工程を含み、
前記ベース部、前記第1プレート部および前記載置部は、同一の材料で構成されることを特徴とする請求項10または11に記載のシャフト付きヒータユニット製造方法。
【請求項13】
前記第1プレート部および前記第2プレート部の積層工程前に、
前記第1プレート部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択された固相状態の該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で前記ベース部上に吹き付けることにより、前記ベース上に第3プレート部を形成する第3プレート部積層工程を含むことを特徴とする請求項10〜12のいずれか一つに記載のシャフト付きヒータユニット製造方法。
【請求項14】
被加熱物を載置して加熱するヒータプレートと、該ヒータプレートを支持するシャフトを有するシャフト付きヒータユニット製造方法であって、
前記シャフトと接合される平板状のベース部の中心部に穿説された溝部に、前記ベース部を構成する材料より熱伝導率が低い材料から選択された固相状態の該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で吹き付けることにより、前記ベース上に第3プレート部を形成する第3プレート部積層工程と、
前記ベース部および前記第3プレート部上にシースヒータを配置する配置工程と、
前記シースヒータが配置された前記ベース部および前記第3プレート部上に、前記ベース部を構成する材料と同一の材料からなる該材料粉末を、加熱した圧縮ガスにより該材料粉末の融点より低い温度で吹き付けることにより、前記ベース部および前記第3プレート部上に被加熱物を載置する載置部を形成する載置部積層工程と、
を含むことを特徴とするシャフト付きヒータユニット製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−4252(P2012−4252A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136638(P2010−136638)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
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