説明

シャンプー組成物

【課題】 泡立ちが良く、すすぎ時及び乾燥後にべたつきがないシャンプー組成物を提供する。
【解決手段】 (A)下記一般式(1)
1O−(AO)n−SO3M (1)
(式中、R1はアルキル基又はアルケニル基、AOはオキシアルキレン基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアミン又はアンモニウムを示す。最大値を示す付加体の付加モル数をmとした場合、mは2以上で且つ、m±1の付加モル数である付加体の合計割合が全付加体の40質量%以上である。)
で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩
(B)重量平均分子量5,000以上のポリマー
(C)両性界面活性剤
(D)非イオン性界面活性剤
を含み、pHが2.5〜9.0の範囲であるシャンプー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄時、すすぎ時、洗浄後及び乾燥後までの全ての行程を通して、毛髪表面のべたつきがなく、しかも泡立ちが良いシャンプー組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗浄力はシャンプー組成物に求められる最も代表的な機能であり、この洗浄力を少しでも向上させる技術の開発は従来から継続的に鋭意研究されている。これまでにも洗浄力の高い洗浄剤を構築する方法として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン界面活性剤にアルキルジメチルアミンオキシド等の相乗効果を有する他の界面活性剤やカルシウムやマグネシウム等の多価金属塩を組み合わせることにより、会合体の疎水度を上げて油に対する洗浄力を向上させる方法等が提案されてきた。
【0003】
しかしながら、これらの方法により洗浄力を向上させたとしても、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩のポリオキシアルキレン付加モル分布が広い場合は洗浄力を満足することができなくなる他、泡立ちが悪く、すすぎ時や乾燥後のべたつきを引き起こし、不快な使用感につながるという問題点を抱えていた。なお、本発明に関連する先行技術文献としては下記が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−203866号公報
【特許文献2】特開2001−172698号公報
【特許文献3】特開2001−172699号公報
【特許文献4】特開平4−72395号公報
【特許文献5】特開2004−323517号公報
【特許文献6】特開2002−201493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、泡立ちが良く、すすぎ時及び乾燥後にべたつきがないシャンプー組成物を提供することを目的とする。さらに、塗布時の感触やすすぎ時のなめらかさにも優れ、その上、保存安定性も良好なシャンプー組成物を提供することを目的とし、本発明は上記課題の少なくとも一つを解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ポリオキシアルキレン付加モル分布の狭い特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩と、重量平均分子量5,000以上のポリマーと、両性界面活性剤と、非イオン性界面活性剤とをそれぞれ特定量組み合わせたシャンプー組成物とすることにより、洗浄後から乾燥後までの全ての行程を通して、毛髪表面のべたつきがなく、しかもクリーミーで安定した泡が得られ、塗布時の感触やすすぎ時のなめらかさにも優れ、その上、保存安定性も良好となることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は
[1].(A)下記一般式(1)
1O−(AO)n−SO3M (1)
(式中、R1は炭素数6〜24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、1〜6であり、n個のAOは同一でも異なっていてもよい。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアミン又はアンモニウムを示す。但し、nの数が異なる複数のポリオキシアルキレン基付加体を含み、全付加体中の含有量が最大値を示す付加体の付加モル数をmとした場合、mは2以上で且つ、m±1の付加モル数である付加体の合計割合が全付加体の40質量%以上である。)
で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩 1〜60質量%
(B)重量平均分子量5,000以上のポリマー 0.001〜5質量%
(C)両性界面活性剤 0.01〜20質量%
(D)非イオン性界面活性剤 0.01〜20質量%
を含有してなるシャンプー組成物、
[2].(B)成分がカチオン性ポリマーである[1]記載のシャンプー組成物、
[3].(C)成分が脂肪酸アミドプロピルベタインである[1]又は[2]記載のシャンプー組成物を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、泡立ちが良く、すすぎ時及び乾燥後にべたつきがないシャンプー組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の(A)成分は、下記一般式(1)
1O−(AO)n−SO3M (1)
(式中、R1は炭素数6〜24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、1〜6であり、n個のAOは同一でも異なっていてもよい。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアミン又はアンモニウムを示す。但し、nの数が異なる複数のポリオキシアルキレン基付加体を含み、全付加体中の含有量が最大値を示す付加体の付加モル数をmとした場合、mは2以上で且つ、m±1の付加モル数である付加体の合計割合が全付加体の40質量%以上である。)
で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0010】
1の炭素数6〜24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基としては、特に限定されるものではないが、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、アラキル基、ベヘニル基等が挙げられる。アルキル基又はアルケニル基は単独でも混合されていてもよく、天然でも合成でもよい。AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基であり、エトキシ基、プロポキシ基が好ましい。
【0011】
(A)成分におけるnはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、1〜6の範囲であり、好ましくは2〜4であり、より好ましくは2〜3の範囲である。nが1未満であるとオキシアルキレン付加モル数が0のアルキルサルフェート含有量が多くなりすぎ、マイルド性、保存安定性を満足できなくなる。また逆に、nが6を超えて大きい場合は洗浄力を満足することができなくなる他、すすぎ時や乾燥後のべたつきを引き起こす。
【0012】
本発明のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩又はその塩は、複数のポリオキシアルキレン付加体を含むが、そのポリオキシアルキレン付加モル分布に以下の特徴がある。全付加体の中の含有量が最大値を示す付加体の付加モル数をmとした場合、mは2以上で且つ、m±1の付加モル数である付加体の合計割合が全付加体の40質量%以上、好ましくは42質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上の範囲である。上限は特に制限されないが、m±1の付加モル数である付加体の合計割合が多ければ多いほどよく、100質量%が好ましい。このポリオキシアルキレン付加モル分布の狭いポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩又はその塩の特徴を言い換えれば、シャンプー組成物の主基材として好適な構造のものに集約された、いわば精製されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩である。好ましい条件としては下記が挙げられる。ポリオキシアルキレン付加モル数が0のものが占める質量%が全付加体の中で最大値を示すことがない。すなわち、マイルド性及び保存安定性にデメリットを有するアルキルサルフェートが最も多く含まれるものではない。また、最大値mを示すポリオキシアルキレン付加体が15質量%以上、より好ましくは16質量%以上、さらに好ましくは17質量%以上である。なお、ポリオキシアルキレン付加モル分布はガスクロマトグラフィーのエリア%にて計算することができる。具体的に、好適なポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩としては、後述する表1に記載のS−1及びS−2が挙げられる。
【0013】
一般に従来から工業的に使用されているポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩は、親水部のオキシエチレン鎖長に幅広い分布を有している。例えば、ポリオキシアルキレン付加モル数の比較的多い5モル付加のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩又はその塩の場合においても、洗浄力、泡性能が良好で、マイルド性、保存安定性の面でも好適なポリオキシアルキレン付加モル数が1〜6モルのポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩又はその塩は、実質的には約45質量%しか含有されておらず、残りの大部分は洗浄力にほとんど寄与しない構造のものであった(例えば後述の表1、S−4)。
【0014】
また、ポリオキシアルキレン付加モル数が2モルのポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩又はその塩において、洗浄力、泡性能の面で好適なポリオキシアルキレン付加モル数1〜6のものは約60質量%含有されるが、マイルド性及び保存安定性に著しく悪影響を与えるポリオキシアルキレン付加モル数0のアルキルサルフェートの含有量が20質量%以上にまで増加するため、組成物としては不十分なものになってしまっていた(例えば後述の表1、S−3)。
【0015】
これに対して、本発明のポリオキシアルキレン付加モル分布の狭いポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩の場合、ポリオキシアルキレン付加モル数1〜6のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩が、ポリオキシアルキレン5モル付加品の場合でも80質量%近く、ポリオキシアルキレン2モル付加品の場合は90質量%近く含有される。さらに、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩又はその塩の含有量は2モル付加品の場合でも10質量%強と少なく、マイルド性、保存安定性の面でも有利であり、シャンプー組成物の主基材として非常に好適であるといえる。
【0016】
(A)成分は、上記の特徴を満たすものであればそれ以外の要素で特に限定されるものではない。例えば、製造方法も特に限定はされず、特開平1−164437号公報等に示されるような特定のルイス酸固体触媒を用いて製造したものでもよいし、硫酸等の酸性液体触媒存在下で製造したものでもよい。また、一般に工業的に行われている水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒存在下でまず分布の広いものを合成し、これを蒸留等によって精製することにより製造したものであってもよい。
【0017】
(A)成分の配合量は、シャンプー組成物中1〜60質量%であり、好ましくは1.1〜55質量%であり、より好ましくは1.2〜50質量%である。配合量が1質量%未満であると、液体洗浄剤の主基材として不足気味であり、目的によっては十分な洗浄力が得られない場合がある。一方、60質量%を超えると、シャンプー組成物が高粘度となりハンドリング性が悪化する。
【0018】
なお、本発明のシャンプー組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その目的や用途に応じて、種々の界面活性剤を配合することが可能である。配合可能な界面活性剤としては、(A)成分以外のアルキルアルコキシサルフェート、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、脂肪酸石鹸、リン酸エステル系界面活性剤やアシルアラニネート、アシルタウレート等のアミノ酸系界面活性剤等のアニオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0019】
本発明の(B)成分は、重量平均分子量5,000以上のポリマーである。ポリマーとしては、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー等のシャンプー組成物中に溶存状態で存在するポリマーが挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0020】
非イオン性ポリマーとしては、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。アニオン性ポリマーとしては、カラギーナン等が挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、官能基がジメチルジアリルアンモニウムハライドである塩化ジメチルジアリルアンモニウムホモポリマー、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸3元共重合体、塩化トリメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウム・アクリル酸・メチルアクリレート3元共重合体、塩化トリメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウム・アクリル酸・アクリルアミド3元共重合体、塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド共重合体、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化シリコーン、カチオン化デキストラン、カチオン化プルラン、四級化ビニルピロリドン−アミノエチルメタクリレート共重合体、ポリエチレンイミン、ジプロピレントリアミン縮合物、アジピン酸ジメチル−アミノヒドロキシプロピルジエチルトリアミン共重合体、第四級窒素含有スターチ等の他、加水分解ケラチン、加水分解シルク、加水分解コラーゲン、加水分解小麦、カチオン化加水分解ケラチン、カチオン化加水分解シルク、カチオン化加水分解コラーゲン、カチオン化加水分解小麦、シリコーン化加水分解コラーゲン、シリコーン化加水分解シルクのタンパク加水分解にカチオン基を導入したもの等が挙げられる。
【0021】
カチオン性ポリマーとしてより好適なものとして、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化トリメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウム・アクリル酸・メチルアクリレート3元共重合体、塩化トリメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウム・アクリル酸・アクリルアミド3元共重合体、塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド共重合体、N−メタクリロイルオキシエチル N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガムが挙げられる。具体的には、XE−511K(ライオン(株)製)、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド・N−ヒドロキシエチルアクリルアミド共重合体(三菱化学(株)製)、ユカフォーマーAM−75 204WL(三菱化学(株)製)、Merquat2001(ナルコ製)、Merquat2003(ナルコ製)、Merquat550(ナルコ製)、Merquat S(ナルコ製)、カヤクリルレジンM‐50(日本化薬製)、カヤクリルレジンMN(日本化薬製)等が挙げられる。
【0022】
(B)成分のポリマーの重量平均分子量は5,000以上であり、5,000,000以下が好ましい。より好ましくは10,000〜2,000,000、さらに好ましくは20,000〜1,000,000である。重量平均分子量が5,000未満では、すすぎ時の感触が悪化しコンディショニング効果が低下し、5,000,000を超えると粘度が高くなりすぎて製造上取り扱いが困難となる。なお、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(例えば、展開溶媒として、水/メタノール/酢酸/酢酸ナトリウムを用いる)により測定することができる。
【0023】
(B)成分の配合量は特に制限されないが、シャンプー組成物中0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜7質量%、さらに好ましくは0.01〜5質量%である。この範囲で配合すると特に泡立ちに優れ、きめ細かい泡質ですすぎ性も向上する。カチオン性ポリマーは含有量が少なすぎても多すぎても泡立ち、すすぎ性が良くならないことがある。
【0024】
本発明の(C)成分は両性界面活性剤である。両性界面活性剤としては、例えばイミダゾリン型、アミドアミン酸塩、カルボベタイン型、スルホベタイン型、ホスホベタイン型、アシル第3級アミンオキシド、アシル第3級ホスフォンオキシド等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0025】
イミダゾリン型としては、ヤシ油アルキル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
カルボベタイン型としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン;ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
スルホベタイン型としては、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン等のアルキルスルホベタイン、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等のアルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
ホスホベタイン型としては、ラウリルヒドロキシホスホベタイン等が挙げられる。
アシル第3級ホスフォンオキシドとしては、ラウリルジメチルホスフォンオキシド等が挙げられる。
アシル第3級アミンオキシド及びアシル第3級ホスフォンオキシドは、半極性界面活性剤とも呼ばれるものである。
これらの両性界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。この中で特に好ましいものとしては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
【0026】
(C)成分の配合量は、シャンプー組成物中0.01〜20質量%、より好ましくは0.02〜15質量%、さらに好ましくは0.03〜12質量%の範囲である。
【0027】
本発明の(D)成分は非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤としては、アルカノールアミド、アルカノールグルカミド、アルキルポリグルコシド、アルキルグリセリルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ジステアリン酸アルキレングリコール等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。好ましい成分としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.)、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド(2E.O.)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
【0028】
(D)成分の配合量は、シャンプー組成物中0.01〜20質量%であり、好ましくは0.02〜15質量%、より好ましくは0.03〜12質量%の範囲である。
【0029】
本発明のシャンプー組成物のpHは2.5〜9.0の範囲が好ましい。より好ましくは2.7〜8.0、さらに好ましくは3〜7の範囲である。本発明のシャンプー組成物は、酸性から塩基性の範囲で、シャンプー組成物の液色が経日により変化することがない。pHの測定については、東亜ディーケーケー(株)製のガラス電極水素イオン濃度指示計(型式HM−30G)を使用し、25℃で電極を本洗浄剤組成物に浸してから2分後の値を測定した。
【0030】
本発明のシャンプー組成物には、上記成分の他、本発明の効果を損わない範囲で、通常の毛髪化粧料に用いられる成分、例えば可溶化剤として、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類等、クエン酸、EDTA、NTA等のキレート剤、香料、色素、防腐・防黴剤、pH調整剤等を、必要に応じて適宜配合することができる。
【0031】
本発明のシャンプー組成物に使用される香料及び香料組成物は、特開2003−300811号公報の[0021]〜[0035]に記載された香料成分等、さらに同[0050]に記載された香料用溶剤等が挙げられる。前記香料用溶剤の配合量は、香料組成物中に0.1〜99質量%配合されるが、好ましくは、0.3〜50質量%配合される。
【0032】
また、香料安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられ、ジブチルヒドロキシトルエンが好ましい。香料安定化剤の配合量は香料組成物中0.0001〜10質量%であり、好ましくは0.001〜5質量%である。
【0033】
香料組成物とは、前記の香料成分、溶剤及び香料安定化剤等からなる混合物である。本発明のシャンプー組成物にはかかる香料組成物が、シャンプー組成物中0.005〜40質量%配合されるが、好ましくは、0.01〜10質量%配合される。
【0034】
本発明のシャンプー組成物は常法に基づいて調製することができ、シャンプー、リンスインシャンプーとして適用できる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。実施例及び比較例で使用したポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の調製方法と、オキシエチレン鎖長の分布とを示す。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%を示す。
【0036】
[調製例1,2]
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の調製とオキシエチレン鎖の分布
<分布の狭いポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩:サンプルS−1,S−2>
4Lのオートクレーブ中にラウリルアルコール400g及びAl/Mg/Mnで構成される複合金属酸化物ルイス酸焼結固体触媒0.4gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながらエチレンオキサイド54gを導入し、反応物を得た。次に、このようにして得たアルコールエトキシレート274gを撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)81gを反応温度を40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け、目的とするポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩(S−1)を得た。得られたポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の性状及びオキシエチレン鎖長の分布を表1に示す。なお、サンプルS−2の調製も同様の方法により行った。
【0037】
[調製例3,4]
<分布の広いポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩:サンプルS−3,S−4>
4Lのオートクレーブ中にラウリルアルコール400g及び水酸化カリウム触媒0.8gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながらエチレンオキサイド54gを導入し、反応物を得た。次に、このようにして得たアルコールエトキシレート274gを撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)81gを反応温度を40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け、目的とするポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩を得た。得られたポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の性状及びオキシエチレン鎖長の分布は表1に示した通りであった。なお、サンプルS−4の調製も同様の方法により行った。
【0038】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩のポリオキシアルキレン付加モル分布の分析方法を下記に示す。
サンプル50μg、BSTFA(N,O−ビス[トリメチルシリル]トリフルオロアセトアミド(シリル化試薬)200μL及びピリジン400μLを混合し、80℃・30分過熱し、サンプルの前処理を行った。
Agilent 6890N(Agilent製)を用い、下記条件のキャピラリーガスクロマトグラフィー法により、FIDによりピークを検出し、得られたエリア%から算出した。
カラム:Ultra1(25mm×0.2mm、膜厚0.11μm:Agilent製)
キャリアガス:ヘリウム 30cm/s
カラム温度:60℃→320℃ 20℃/minで昇温
【0039】
【表1】

【0040】
[実施例1〜10,比較例1〜10]
表2,3に示すシャンプー組成物を常法に基づいて調製し、下記方法で評価を行った。結果を表2,3に併記する。
【0041】
<評価方法>
10名のパネラーにより、「泡立ちの良さ」、「すすぎ時のべたつきのなさ」及び「乾燥後のべたつきのなさ」の各項目について評価を行い以下の基準により判定した。「◎」及び「○」を性能の良好なものとした。
<評価基準>
◎:9〜10名が良好と回答
○:6〜8名が良好と回答
△:3〜5名が良好と回答
×:0〜2名が良好と回答
【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
上記実施例及び比較例に使用した各種成分は以下の通りである。
【表4】

香料は特願2004−249835の明細書中の[表5]〜[表10]記載の香料A〜Dを用いた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)
1O−(AO)n−SO3M (1)
(式中、R1は炭素数6〜24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、1〜6であり、n個のAOは同一でも異なっていてもよい。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアミン又はアンモニウムを示す。但し、nの数が異なる複数のポリオキシアルキレン基付加体を含み、全付加体中の含有量が最大値を示す付加体の付加モル数をmとした場合、mは2以上で且つ、m±1の付加モル数である付加体の合計割合が全付加体の40質量%以上である。)
で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩 1〜60質量%
(B)重量平均分子量5,000以上のポリマー 0.001〜5質量%
(C)両性界面活性剤 0.01〜20質量%
(D)非イオン性界面活性剤 0.01〜20質量%
を含有してなるシャンプー組成物。
【請求項2】
(B)成分がカチオン性ポリマーである請求項1記載のシャンプー組成物。
【請求項3】
(C)成分が脂肪酸アミドプロピルベタインである請求項1又は2記載のシャンプー組成物。

【公開番号】特開2006−347973(P2006−347973A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177297(P2005−177297)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】