説明

シラン被覆組成物およびそれらの使用方法

金属表面などの基材を、少なくとも1種の水溶性または水分散性シランと、ポリマー樹脂の水をベースとする分散体として提供されうるポリマー樹脂とを含有するシラン被覆組成物を塗布することによって処理する方法であり、ポリマー樹脂が、組成物の10重量%未満の量で存在して、金属表面の腐食速度を遅くさせる、および/または金属表面へのゴムの接着を促進する方法。少なくとも1種のシランは、ビス-アミノシラン、ビニルシラン、ビス-サルファシラン、またはこれらの混合物を含むことができ、ポリマー樹脂はエポキシ樹脂、アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ノボラック樹脂、またはこれらの混合物を含有することができる。シラン被覆組成物は、水ベースまたは溶媒ベースのいずれであることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年3月2日出願の、「シラン被覆組成物およびそれらの使用方法」と題する米国特許出願第11/366284号、および米国特許仮出願第60/715422号および第60/715445(両特許出願とも、2005年9月9日出願)の利益を主張するものであり、これらの特許の開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、シラン被覆組成物ならびに、例えば、金属表面の腐食速度を遅くさせるためにおよび/または金属表面へのゴムの接着を促進するために、金属表面を被覆するための、シラン被覆組成物の使用方法に属する。
【背景技術】
【0003】
シラン類は、金属表面の腐食を防止するおよび/またはゴムの金属表面への接着を促進するような、金属表面の表面処理に有効であることがわかっている。これらのシランは、シランの疎水性の観点から2つの群:有機溶媒ベースおよび水ベースに分類されうる。前者の群は、水に対する非混和性が大きいので、シラン溶液を調製する場合、多量の有機溶媒が必要となる。
【0004】
水ベースのシランに関して、大きな利点のいくつかは、以下のように要約される。(1)水ベースのシランは、シラン溶液の調製には脱イオン水しか必要でないため、揮発性有機化合物(VOC)を含まない。(2)実質的な加水分解が存在する。したがって、溶媒ベースのシラン溶液と比較して、水ベースシラン溶液を調製するのに必要な時間はより短くてすむ。(3)水ベースシランは、トップコーティングの前に前処理として用いる場合、腐食防止性能をもたらす。
【0005】
これらの利点にもかかわらず、例えば、現在の水ベースシランが有する1つの大きな欠点は、表面仕上げとして使用される場合、有機溶媒ベースシランと同じように、一定水準の、金属の腐食防止をもたらすことはないことである。この欠点は、(1)金属酸化物に対する、水ベースシランの本質的に劣る膜被覆および(2)形成されたままのシラン膜中の親水基、から生じていると考えられている。したがって、金属表面の腐食速度を遅くするような、金属表面を処理するための、水ベースシランを含みうる、改善されたシラン被覆組成物を提供することは、望ましいはずである。
【0006】
腐食防止用のシラン被覆組成物を使用することに加えて、金属とゴムとの間の接着結合も興味がもたれる。例として、特定の自動車部品、例えば、タイヤコードおよび振動ダンパは、金属表面とゴムとの接着結合が必要である。例えば、スチールタイヤコードは、下にある鋼と硫黄加硫したゴムとの間の接着を促進するために、真鍮の薄層で通常は被覆されている。加えて、コバルト塩添加剤などの接着促進剤およびヘキサメチル-メトキシメラミン(HMMM)/レゾルシノール系を用いて、タイヤコードに対するゴムの接着を増強する。有機溶媒ベース接着剤系もまた、金属を硫黄加硫されたゴムに結合するための一定の用途において使用されうる。現在使用されている様々な方法の性能は十分ではあるが、これらの方法にはなおいくつかの欠点がある。例えば、コバルト塩は高価であり、入手性の問題があり、一方で真鍮は鋼の電気化学的腐食を誘発する。最後に、有機溶媒ベース接着剤は、VOCであり、可燃性であり、したがって危険でありうる。
【特許文献1】米国特許出願第11/366284号
【特許文献2】米国特許仮出願第60/715422号
【特許文献3】米国特許仮出願第60/715445号
【特許文献4】米国特許第6416869号明細書
【特許文献5】米国特許第6756079号明細書
【特許文献6】米国特許第6919469号明細書
【特許文献7】国際出願公開第2004/009717号パンフレット
【特許文献8】米国特許出願公開第2005/0058843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
加えて、有機溶媒ベースシラン類などのある一定のシラン類は、金属表面とポリマー層との接着を促進することがわかったが、上述のように、有機溶媒を使用することは危険であり、問題を提起することがある。また、これらのシランの接着結果は、通常、システムに左右される。換言すれば、特定のシラン被覆により与えられた接着の量は、金属表面および金属表面に接着されるべきポリマー層に通常左右される。例えば、ある一定のシラン溶液は、金属表面と過酸化物加硫ゴムとの接着を改善するのに、これらと同じシラン溶液は、硫黄加硫ゴムに対して必ずしも同じ結果を与えない。そういうものとして、ゴム、特に硫黄加硫ゴムの金属表面への接着を促進するために、金属を表面処理するための、水ベースシランを含む、改善されたシラン被覆組成物を提供することは、望ましいはずである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、ポリマー樹脂を少量含む水ベースおよび有機溶媒ベースシラン被覆組成物を含む、改善されたシラン被覆組成物を提供し、そのような被覆組成物は、金属表面の腐食速度を遅くするためにおよび/またはゴム、例えば、硫黄加硫ゴムを金属表面へ結合するために、鋼またはアルミニウム合金などの金属表面上に塗布されうる。
【0009】
(本発明のまとめ)
本発明は、水ベースおよび有機溶媒ベース組成物を含むシラン被覆組成物、および金属表面の腐食速度を遅くする、および/またはゴムの金属表面への接着を促進するような、シラン被覆組成物による金属表面の処理方法を対象とする。一般に、本発明の水ベースシラン被覆組成物は、有機溶媒より多くの水を含み、一方、本発明の溶媒ベースシラン被覆組成物は正反対であり、すなわち、水より多くの有機溶媒を含む。
【0010】
一実施形態において、水または有機溶媒ベースシラン被覆組成物は、少なくとも1種の水溶性または水分散性シランおよびポリマー樹脂を含み、ポリマー樹脂は、組成物の約0.1重量%以上および10重量%以下の全濃度で存在する。
【0011】
別の実施形態において、水または有機溶媒ベースシラン被覆組成物は、少なくとも1種の水溶性または水分散性シランおよびポリマー樹脂の水ベース分散体を含み、水ベース分散体は、被覆組成物の約10重量%未満の量で存在する。ポリマー樹脂の水ベース分散体は、任意選択で界面活性剤を含むことができる。水ベース分散体のポリマー樹脂は、組成物の約0.1重量%以上および10重量%以下の全濃度で存在する。
【0012】
好ましいシランには、ビス-アミノシラン、ビニルシラン、ビス-サルファシラン、またはこれらの混合物が含まれる。被覆組成物のシランは、加水分解されているか、加水分解されていないか、またはそれらの混合物を含むことができる。ポリマー樹脂には、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ノボラック樹脂またはこれらの混合物が含まれうる。ポリマー樹脂は、ポリマー樹脂の水ベース分散体を提供するために、好ましくは水に分散された水不溶性ポリマー樹脂組成物である。加えて、メタバナジン酸ナトリウムまたはリン酸亜鉛などの腐食防止剤が、被覆組成物に含有されうる。
【0013】
シラン被覆組成物を、基材上に被覆組成物を噴霧することなどにより、金属表面を含む基材上に塗布することができ、これにより、金属表面の腐食速度を遅くするための、および/または金属表面の、ゴム、特に硫黄加硫ゴム、に対する接着を促進するための被覆をもたらす。ポリマー樹脂は、シランをシラン被覆組成物中に均一におよび安定して分散させることができ、金属表面上に均一な、シラン被覆組成物の被覆をもたらす。ポリマー材料(例えば、塗料、接着剤、またはゴム)などのトップコートを任意選択でシラン被覆組成物上に施し、基材、被覆組成物、およびトップコートを含む積層構造にしてもよい。
【0014】
本発明の特徴および目的は、添付図を併用して、以下の詳細な説明から一層容易に明らかになるであろう。
【0015】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図は、本発明の実施形態を説明し、上記の本発明の全般的な説明および下記の詳細な説明と共に、本発明を説明するのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、水ベースおよび溶媒ベースシラン被覆組成物、または樹脂で改質したシラン前処理を対象とする。これらの被覆組成物は、金属表面の腐食防止剤としておよび/または天然または合成ゴムなどのゴムの金属表面への接着促進剤として使用されうる。
【0017】
水ベースシラン被覆組成物と溶媒ベースシラン被覆組成物とを区別するために、本発明の水ベースシラン被覆組成物は、有機溶媒より多くの水を含み、一方、溶媒ベースシラン被覆組成物は、正反対であり、すなわち、水より多くの有機溶媒を含む。および、以下でさらに詳細に考察するように、これらのシラン被覆組成物は、水および溶媒ベースの両方とも、1種または複数の水溶性または水分散性の有機官能性シランおよび水不溶性ポリマー樹脂を通常含み、このポリマー樹脂は、組成物の約0.1重量%以上および10重量%以下の量で存在する。また、このポリマー樹脂は、ポリマー樹脂の水分散体として提供されうるものであり、この水ベース分散体は、組成物の約10重量%以下の量で存在する。ともかく、樹脂の全濃度は、以下でさらに考察するように最小化される。
【0018】
本発明の水溶性または水分散性有機官能性シランには、アミノシラン、ポリスルフィドシラン、ビニルシラン、またはこれらの混合物が含まれうる。このようなシランは、米国特許第6416869号明細書、米国特許第6756079号明細書、米国特許第6919469号明細書、国際公開第2004/009717号、および米国特許出願公開第2005/0058843号に開示されており、これらの特許の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。シランは、実質的に加水分解されうるかまたは実質的に加水分解されえない。しかし、金属のゴムに対する接着促進のためのシラン被覆組成物のシランは、ポリマー樹脂の水ベース分散体に添加される場合、通常、実質的に加水分解されない。
【0019】
本発明の好ましいアミノシラン類は、2つのトリ置換シリル基を有するビス-シリルアミノシランであり、この置換基は、アルコキシ、アリールオキシおよびアシルオキシからなる群から個別に選択される。したがって、これらのビス-シリルアミノシランは、一般構造:
【0020】
【化1】

【0021】
を有し、上記式中、各R1は:C1〜C24アルキル(好ましくはC1〜C6アルキル)、およびC2〜C24アシル(好ましくはC2〜C4アシル)からなる群から選択される。各R1は、同一であるかまたは異なることができ、加水分解されたシラン溶液中では、R1基の少なくとも一部(および好ましくは、すべてまたは実質的にすべて)は、水素原子により置換される。好ましくは、各R1は、エチル、メチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルおよびアセチルからなる群から個別に選択される。
【0022】
アミノシラン中の各R2は、置換または非置換脂肪族基、または置換または非置換芳香族基であってよく、各R2は、同一であるかまたは異なることができる。好ましくは、各R2は、C1〜C10アルキレン、C1〜C10アルケニレン、アリーレン、およびアルキルアリーレンからなる群から選択される。より好ましくは、各R2は、C1〜C10アルキレン(特にプロピレン)である。
Xは、
【0023】
【化2】

【0024】
であることができ、上記式中、R3は、水素、置換または非置換脂肪族基、あるいは置換または非置換芳香族基であり、各R3は、同一であるかまたは異なることができる。好ましくは、各R3は、水素、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルケニルからなる群から選択される。より好ましくは、それぞれのR3は水素原子である。
【0025】
最後に、アミノシラン中のR4は、置換または非置換脂肪族基、または置換または非置換芳香族基でありうる。好ましくは、R4はC1〜C10アルキレン、C1〜C10アルケニレン、アリーレン、およびアルキルアリーレンからなる群から選択される。より好ましくは、R4はC1〜C10アルキレン(特にエチレン)である。
【0026】
例示的なビス-シリルアミノシランには、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン(Silquest(登録商標)A-1170の商標の下でGE Siliconesから販売されている)、ビス-(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス-(トリエトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N-[2-(ビニルベンジルアミノ)エチル]-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、およびアミノエチル-アミノプロピルトリメトキシシランが含まれる。
【0027】
本発明のポリサルファシランは、好ましくは、ビス-シリルポリサルファシランであり、このビス-シリルポリサルファシランは実質的に加水分解されえず、ポリマー(例えば、塗料、接着剤、または硫黄加硫ゴムを含むゴム)に対する接着性を改善するために、提供されうる。このビス-シリルポリサルファシランは、
【0028】
【化3】

【0029】
を含むことができ、上記式中、R1は前述の通りである。本発明の加水分解されたシラン溶液中で、R1基の少なくとも一部(および好ましくは、すべてまたは実質的にすべて)は、水素原子により置換される。ZはQSxQであり、式中、各Qは、脂肪族(飽和または不飽和)または芳香族基であり、xは2から10の整数である。ビス官能性ポリサルファシラン内部のQは、同一であるかまたは異なることができる。好ましい実施形態において、各Qは、C1〜C6アルキル(線状または分岐)、C1〜C6アルケニル(線状または分岐)、1個または複数のアミノ基により置換されたC1〜C6アルキル、1個または複数のアミノ基により置換されたC1〜C6アルケニル、ベンジル、およびC1〜C6アルキルにより置換されたベンジルからなる群から個別に選択される。
【0030】
特に好ましいビス-シリルポリサルファシランには、2から10個の硫黄原子を有するビス-(トリエトキシシリルプロピル)スルフィド類が含まれる。このような化合物は、次式:
【0031】
【化4】

【0032】
を有し、上記式中、xは2から10の整数である。1つの特に好ましい化合物は、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(また、ビス-(トリエトキシシリルプロピル)スルファン、または「TESPT」とも呼ばれる)である。しかし、(GE Siliconesから入手可能な、Silquest(登録商標)A-1289などの)TESPTの商業的に入手可能な形態は、現実には2から10個の硫黄原子を有するビス-(トリエトキシシリルプロピル)スルフィドの混合物である。換言すれば、TESPTのこれらの商業的に入手可能な形態は、硫化物鎖長の分布を有しており、S3およびS4硫化物が支配的である。
【0033】
本発明において使用されうる好ましいビニルシランは、それぞれ、単一のトリ置換シリル基を有し、その置換基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシおよびアシルオキシからなる群から個別に選択される。したがって、これらのビニルシランは、一般式:
【0034】
【化5】

【0035】
を有し、上記式中、各R1は:水素、C1〜C24アルキル(好ましくはC1〜C6アルキル)、およびC1〜C24アシル(好ましくはC2〜C4アシル)からなる群から選択される。各R1は、同一であるかまたは異なることができ、しかし、ビニルシランは処理溶液中で加水分解され、非水素であるR1基の少なくとも一部(および好ましくは、すべてまたは実質的にすべて)は、水素原子により置換される。好ましくは、各R1は、水素、エチル、メチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルおよびアセチルからなる群から個別に選択される。
【0036】
X1は、結合(具体的には、C-Si結合)、置換または非置換脂肪族基、あるいは置換または非置換芳香族基でありうる。好ましくは、X1は、結合、C1〜C6アルキレン、C1〜C6アルケニレン、少なくとも1つのアミノ基により置換されたC1〜C6アルキレン、少なくとも1つのアミノ基により置換されたC1〜C6アルケニレン、アリーレン、およびアルキルアリーレンからなる群から選択される。より好ましくは、X1は、結合、およびC1〜C6アルキレンからなる群から選択される。
【0037】
各R2は、水素、C1〜C6アルキル、少なくとも1個のアミノ基により置換されたC1〜C6アルキル、C1〜C6アルケニル、少なくとも1個のアミノ基により置換されたC1〜C6アルケニル、アリーレン、およびアルキルアリーレンからなる群から個別に選択される。各R2は、同一であるかまたは異なることができる。好ましくは、各R2は、水素、エチル、メチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルおよびアセチルからなる群から個別に選択される。
【0038】
特に好ましいビニルシランには、上記の構造を有するものが含まれ、式中、R2は水素であり、X1はアルキレン(特にC1〜C10アルキレン)であり、各R1は上記の通りである。例示のビニルシランには、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリイソブトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、ビニルトリイソブトキシシラン、ビニルブチルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルエチルトリメトキシシラン、ビニルプロピルトリメトキシシラン、ビニルブチルトリエトキシシラン、およびビニルプロピルトリエトキシシランが含まれる。
【0039】
下記でさらに考察するように、本発明の水ベースまたは有機溶媒ベースのシラン被覆組成物を調製するために、有機官能性シランの1種または複数を、溶液(水または有機溶媒ベース)で提供し、所望の体積%のシラン溶液を与えることができ、次いで、このシラン溶液はポリマー樹脂と混合され、このポリマー樹脂はポリマー樹脂の水ベース分散体であることができる。また、有機官能性シランの1種または複数は混ぜものなしで提供され、ポリマー樹脂と混合することもできる。これらの成分、すなわち、混ぜものなしのシランまたはシラン溶液およびポリマー樹脂、またはポリマー樹脂の水ベース分散体は、例えば、水またはアルコールなどの有機溶媒と混合または希釈されることによってさらに調製され、下記でさらに考察するように、所望の濃度のシランおよびポリマー樹脂またはポリマー樹脂の水ベース分散体を得ることができる。これに限らないが、腐食防止剤を含む追加成分を、被覆組成物中に入れることができる。
【0040】
本発明のシラン溶液は、被覆組成物の約70重量%から約99重量%の範囲であることができ、好ましくは約98重量%以上でありうる。シラン溶液中のシランのパーセントは、好ましくは約0.1体積%から約10体積%、より好ましくは約5体積%である。上述の通り、シランはまた、被覆組成物中に混ぜものなしで入れてもよい。ともかく、シランの全濃度は、被覆組成物の約0.1重量%から約20重量%、好ましくは約4重量%から約15重量%の範囲であり、より好ましくは約8重量%である。
【0041】
加えて、所望の体積%のシラン溶液を調製する際などに、複数のシランが混ぜものなしまたは溶液で用意される場合は、異なる比率の複数のシランを混合してもよい。例えば、シラン被覆組成物の物理および/または化学特性を、特定の金属表面に適合させることが望ましい可能性がある。一例では、シラン溶液は約1:1のシラン対シランの比を含む。しかし、適切なその他の比、例えば1:2および1:3などおよびその逆、ならびに3種以上のシランが使用される場合は、例えば、1:1:2、1:1:3、1:2:1、1:3:1を使用することができることを理解しなければならない。多数のシラン溶液が調製され、混合される場合、この同じ考え方を適用することができる。例として、濃度が既知の2種のシラン溶液を様々な比率で混合し、上で説明したように、所望の体積%のシラン溶液を提供することができる。
【0042】
本発明において使用するのに適したいくつかのシランの水への溶解性が限定される可能性があるので、シラン被覆組成物用のシラン溶液は、シランの溶解性を改善するために、アルコールなどの1種または複数の有機溶媒を任意選択で含むことができる。特に好ましい有機溶媒には、メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールが含まれる。有機溶媒を添加する場合、使用する溶媒の量は、使用する特定のシランの溶解性に左右されることになる。可能な限り、有機溶媒の使用を制限するまたは排除することさえしばしば望ましいので、シラン溶液は、より好ましくは本質的に水性であり、それにより水全体よりも少ない全有機溶媒を有する。
【0043】
水ベースシラン被覆組成物の1つの具体例において、体積で約5:1の比の、アルミノシラン:ビニルシラン、例えばビス[トリメトキシシリルプロピル]アミン:ビニルトリアセトキシシランを使用して、ポリマー樹脂の水ベース分散体と混合するために、例えば、5体積%のシラン溶液(水ベース)を提供することができる。硫黄加硫ゴムシステムに結合するための金属表面を被覆するために、以下でより詳細に考察するように、水ベースシラン被覆組成物のシランは、アミノシランとポリスルフィドシランとのブレンドでありうる。別の例において、硫黄加硫ゴムシステム用の好ましいシラン被覆組成物は、ビス-シリルアミノシランとビス-シリルポリサルファシランのブレンドであり、重量で約1:10から約10:1、好ましくは1:3のビス-シリルアミノシラン:ビス-シリルポリサルファシランの比を有する。各例のためのポリマー樹脂は、好ましくは、組成物の10重量%未満の量で存在する。
【0044】
本発明の樹脂分散体は、ポリマー樹脂の水ベース分散体を提供するために、好ましくは水に分散された水不溶性ポリマー樹脂組成物である。樹脂分散体は分散助剤をさらに含んでもよい。ポリマー樹脂には、アクリレート樹脂、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、およびこれらの混合物が含まれる。また、分散助剤には、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロパノール)などの有機溶媒、または界面活性剤(例えば、Air Products社から入手可能なSurfynol104Hなどの、ノニオン界面活性剤)も含まれうる。
【0045】
被覆組成物中に分散させるのに十分なだけのシランを通常使用して、樹脂の量を最少にすることが一般に望ましい。ポリマー樹脂の水ベース分散体として、樹脂は、水ベース分散体の約35重量%から約65重量%まで、好ましくは水ベース分散体の約40重量%から約50重量%、より好ましくは約42重量%から約55重量%の範囲である。ポリマー樹脂の水ベース分散体は変化しうるが、通常、組成物の約10重量%未満の量で存在する。樹脂の全濃度は、水ベース分散体中で存在しようと混ぜものなしで存在しようと、被覆組成物の約0.1重量%以上から10重量%以下、好ましくは約0.1重量%以上から約7重量%以下の範囲であり、より好ましくは約1.0重量%である。
【0046】
適切な、本発明のポリマー樹脂の水ベース分散体、または樹脂分散体は、商業的に購入することができるものであり、例えば、EPI-REZ(登録商標)5522-WY-55(ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)エポキシ55%水分散体を含む)、EPI-REZ(登録商標)3510-WY-60(60%エポキシ水分散体である)、EPI-REZ(登録商標)WD510(水希釈性のビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)エポキシ(100%樹脂)である)、またはECO-CRYL(登録商標)9790、7%の2-プロポキシエタノール、3%のキシレンおよび3%のエタノールアミン、および45%の水に分散した42%の樹脂を有する水性アクリル樹脂水分散体を含むことができ、これらのすべては、Hexion Specialty Chemcals, Inc.(コロンバス、オハイオ州)から入手できる。このポリマー樹脂は、シランをシラン被覆組成物中に均一におよび安定して分散させることができ、金属表面上に均一なシラン被覆組成物の被覆をもたらす。
【0047】
本発明の水ベースシラン被覆組成物の全水含有量は、好ましくは、組成物の少なくとも約70重量%から約98重量%まで、より好ましくは組成物の約95重量%である。好ましい実施形態において、水ベースのシラン被覆組成物は、溶媒が被覆組成物の約10重量%以下の量で存在する限りでは、有機溶媒を含有しないまたは少なくとも実質的に有機溶媒を含有しない。
【0048】
本発明の溶媒ベースシラン被覆組成物の全有機溶媒含有量は、組成物の少なくとも約70重量%から約90重量%まで、より好ましくは組成物の約75体積%である。有機溶媒には、メタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロパノールなどのアルコールが含まれうる。好ましい実施形態において、溶媒ベースのシラン被覆組成物は、水が被覆組成物の約10重量%以下の量で存在する限りでは、水を含有しないまたは少なくとも実質的に水を含有しない。
【0049】
加えて、シラン、特にポリサルファシランは、エマルションとして調製されうる。エマルションに関して、シランは、水および当業者に公知の適切な界面活性剤と混合させられる。一例において、ビス-シリルポリサルファシランのエマルション化溶液は、例えば、水中のシランの5%溶液を界面活性剤0.2%(体積で)と共に混合することによって調製されうる。適切な界面活性剤には、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル(ICI Surfactants社から入手可能なSpan20など)が含まれうる。ポリサルファシランのエマルションを調製した後、これを1種または複数のビス-シリルアミノシランおよび所望の水分散性樹脂(この樹脂は、組成物の10重量%未満の量で存在する)と混合し、次いで所望の金属表面に塗布することができる。
【0050】
本シラン被覆組成物中の他の任意成分には、腐食防止剤、ナノ粒子(例えば、ベンゾトリアゾール)および/または着色剤が含まれる。腐食防止剤は、有機または無機でありうる。有機腐食防止剤には、アゾール、より有利にはトリアゾールまたはこれらの誘導体、および最も有利には、トリトリアゾール、ベンゾトリアゾール、および1,2,4-トリアゾールが含まれる。好ましくは、無機粒子は、希土類金属、すなわち、ランタニドまたはアクチニド、V(またはVb)族元素、またはこれらの塩である。好ましい希土類金属は、セリウムまたはこの塩、および最も好ましくは、酢酸セリウムであり、一方V族元素は、好ましくはバナジウムまたはこの塩、最も好ましくは、メタバナジン酸ナトリウムである。別の好ましい無機腐食防止剤はリン酸亜鉛である。本被覆組成物は、腐食防止剤を約1000ppm以下、好ましくは腐食防止剤を約50ppmから約700ppmまで、より好ましくは、約500ppm含むべきである。
【0051】
基材の金属表面上に組成物を、以下に限らないが、噴霧、刷毛塗り、塗りつけ、またはローリング(rolling)することを含む当技術分野で公知の任意の手段によって、および/または基材を被覆組成物中に浸漬させることによって、シラン被覆組成物を、以下に限らないが、屋根葺き材、ガードレール、金属タイヤコードなどを含む基材の金属表面上に塗布することができる。被覆組成物は、空気乾燥されうるかまたはより急速に乾燥するために所望の温度で乾燥されうる。約50から約1500nmの合計厚さを有する一以上の被覆が、塗布されうる。個々の被覆は、約50nmから約500nmの厚さで塗布されうる。基材の金属表面には、例えば、溶融亜鉛メッキ鋼などの鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、亜鉛、銅、これらの合金(例えば、真鍮、青銅、および亜鉛スズ合金などの亜鉛合金)などが含まれうる。
【0052】
本シラン被覆組成物は、真鍮メッキスチールタイヤコードなどの組成物により被覆された金属に対するゴム化合物の接着を改善するのに特に有用である。硫黄が加硫されている場合、硫黄含有シランが使用される。ビニルシランなどの別のシランは、例えば、過酸化物加硫されたおよびグアニジン加硫された他のゴム化合物の、有効な接着促進剤である。加えて、スチールタイヤコードを真鍮メッキする必要はない。むしろ、例えば、裸鋼、亜鉛メッキまたは青銅被覆鋼(タイヤのビード部などにおいて使用されている)が考えられ、シラン被覆組成物により処理されうる。
【0053】
塗料または別のポリマー被覆(例えば、接着剤またはゴム被覆)を含むトップコートは、本発明によって提供されるシラン被覆組成物の上に直接塗布されて、基材、被覆組成物、およびトップコートを含む積層構造とすることができる。本発明のシラン被覆組成物は、塗料などのトップコートなしで優れた防食をもたらすことがわかり、かつ/または塗料、ゴムまたは他のポリマー層の優れた接着をもたらすことができる。したがって、現在使用されている処理技法の多くとは異なり、塗装する(またはゴムなどの別の種類のポリマー被覆を塗布する)前に、本発明のシラン被覆組成物を除去する必要はない。
【0054】
本発明に従った水および有機溶媒ベースシラン組成物、ならびにこれの製造および(金属表面を被覆してこの表面の腐食速度を遅くするためなどの)使用方法の非限定的な例を、以下に示す。
【0055】
(実施例)
(実施例I)
本実施例において、5体積%AV5シラン溶液を、混ぜものなしのビス(トリメトキシシリル-プロピル)アミン(Silquest(登録商標)A-1170、GE Silicones,www.gesilicones.comから入手可能)5部と、混ぜものなしのビニルトリアセトキシシラン(SIV9098, Gelest Inc.、www.gelest.comから入手可能)1部とを混合することによって製造した。この混合物5部を、脱イオン水(DI)95部に添加し、よく混合した。このシラン溶液を、使用する前に3週間エージングした。ポリマー樹脂の水ベース分散液を、EPI-REZ(登録商標)5522-WY-55(ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)エポキシ55%水分散液、Hexion Specialty Chemicals, Inc.(コロンバス、オハイオ州)から入手可能)70重量部と、ポリイソシアネート(加硫剤)15部およびスズ触媒0.5重量部とを混合することによって製造した。次いで、混合物をn-ブトキシエタノールで希釈して50体積%にした。次いで、シラン溶液98重量部と、樹脂の水ベース分散液2重量部とを混合して、水ベースシラン被覆組成物を得た。
【0056】
溶融亜鉛メッキ鋼(HDG)板を、60℃で7% Chemclean(Chemetall/Oakite Inc.から購入)を用いて洗浄し、次いで水道水ですすぎ、空気を吹き付けて乾燥した。洗浄したHDG板を上記のシラン被覆組成物中に浸漬し、次いで100℃で1時間硬化した。
【0057】
電気化学インピーダンス分光法(EIS)を、中性の3.5% NaCl溶液中にて上記被覆板上で実施した。対照系は、上で開示した5% AV5シラン溶液(すなわち、樹脂成分を含まない水ベーのシラン被覆組成物)のみで処理したHDGを含んでいた。
【0058】
図1を参照すると、対照系により被覆した板をA11VTとラベルし、シラン被覆組成物により被覆した板をA11VT+Pとラベルした。図1は、塩に1週間浸漬した後の、HDG上のA11VT+P系およびA11VT系の双方に対応するEIS曲線を比較しており、この比較の間、A11VT+Pの低周波インピーダンスは、依然としてA11VTより高い。
【0059】
上記の試験結果から、シラン被覆組成物(A11VT+P)を有する板は、樹脂を有していない対照系(A11VT)よりはるかに良好な状態を示す。換言すれば、このシラン被覆の腐食防止は、樹脂を少量添加することによって増強される。
【0060】
(実施例II)
本実施例において、5体積%のA-1289シラン溶液を、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Siliquest(登録商標)A-1289、GE Silicones, www.gesilicones.comから入手可能)5mlを、脱イオン水95mlの中に分散させることによって製造した。EPI-REZ(登録商標)WD510(水希釈性ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)エポキシ樹脂(100%樹脂)、Hexion Speciality Chemicals,Inc.(コロンバス、オハイオ州)から入手可能)4gを、5%のA-1289水性混合物100ml中に添加し、水ベースのシラン被覆組成物を得た。個々の成分は、一緒にする前に24時間攪拌混合した。
【0061】
(実施例III)
第3の実施例において、5体積%のA-1289シラン溶液を、ビス-(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Siliquest(登録商標)A-1289、GE Silicones,www.gesilicones.comから入手可能)5mlを、脱イオン水95mlの中に分散させることによって製造した。ECO-CRYL(登録商標)9790(7%の2-プロポキシエタノール、3%のキシレン、および3%のエタノールアミン、および45%の水に分散させた42%の固形物を有する水性アクリル樹脂)4gを、5%のA-1289水性混合物100ml中に添加し、水ベースのシラン被覆組成物を得た。個々の成分は、一緒にする前に24時間攪拌混合した。
【0062】
アルミニウム合金(AA6111)およびHDG板を、60℃で7% Chemclean(Chemetal/Oakite Inc.から購入)を用いて洗浄し、次いで水道水ですすぎ、空気を吹き付けて乾燥した。洗浄したAA6111およびHDG板を上記の2種類のシラン被覆組成物(実施例IIおよびIII)中に浸漬し、次いで150℃で1時間硬化させた。
【0063】
DC分極試験およびEIS測定を、中性の3.5% NaCl溶液中の上記板上で実施した。対照系は、未処理のAA6111およびHDGである。
【0064】
図2は、シラン被覆処理ありおよびなしの、AA6111の代表的なDC曲線を比較している。図3は、塩に18時間浸漬した後の、処理ありおよびなしのA6111の対応するEIS曲線を比較している。図4および5は、それぞれ、塩に2時間および24時間浸漬した後の、シラン被覆組成物ありおよびなしで処理したHDGのEIS曲線を比較している。
【0065】
上の結果から、本発明のシラン被覆組成物(実施例IIおよびIII)は、少なくとも20年分、腐食速度を低下させているように見える。これは、未処理金属と比較して、ECO-CRYL(登録商標)およびEPI-REZ(登録商標)シラン被覆の低周波インピーダンスの方がより高いことを終始一貫して示すEISの結果とよく一致する。このことは、樹脂の添加により、アルミニウム合金およびHDGの両方のシラン膜の腐食防止性能が増強されていることを示す。
【0066】
本発明の追加の水ベースのシラン被覆組成物を、下表1に開示する。
【0067】
【表1】

【0068】
表1において、樹脂は、Hexion Speciality Chemicals, Inc.(コロンバス、オハイオ州)から入手可能な、EPI-REZ(登録商標)5522-WY-55(ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)エポキシ55%水分散液)であった。腐食防止剤は、メタバナジン酸ナトリウム(Fluka Industriesから入手可能)であった。5体積%AV5シラン混合物を、混ぜものなしのビス(トリメトキシシリル-プロピル)アミン(Silquest(登録商標)A-1170、GE Silicones, www.gesilicones.comから入手可能)5部と、混ぜものなしのビニルトリアセトキシシラン(SIV9098, Gelest Inc., www.gelest.comから入手可能)1部とを混合することによって製造した。この混合物5部を脱イオン水95部に添加し、よく混合した。各配合、すなわち、各シラン被覆組成物(L00〜L33)は、表示されている濃度の5体積%のAV5シラン混合物および樹脂、ならびにppm表示した腐食防止剤を含んでいた。
【0069】
アルミニウム合金(AA 2024-T3)板を、70℃で7% Chemclean(Chemetal/Oakite Inc.から購入)を用いて洗浄し、次いで水道水ですすぎ、空気を吹き付けて乾燥した。洗浄したAA 2024-T3板を、表1の上記シラン被覆組成物中に1分間浸漬し、次いで150℃で1時間硬化させた。
【0070】
上記の板のDC分極試験およびEIS測定を、中性の3.5% NaCl溶液中で実施した。塩水浸漬およびスクラッチセル(scratch cell)試験も実施した。対照系(「L00」)は、5%のAV5混合物のみ(すなわち、水ベース樹脂分散液または腐食防止剤なし)で処理したAA 2024-T3である。
【0071】
図6および7は、3.5%の中性NaCl溶液中に0日および25日間浸漬した後の、AA 2024-T3上の様々なシラン被覆組成物(L00、L11、L21、L23、およびL32)のEIS曲線を比較している。図8および9は、3.5%の中性NaCl溶液中に0日および14日間浸漬した後の、AA2024-T3上の様々なシラン被覆組成物(L00、L23、およびブランク)のDC曲線を比較する。
【0072】
試験結果は、本発明の水ベースのシラン被覆組成物は、シラン膜のみの場合と比較して金属に対する腐食防止を全般的に改善したことを示す。加えて、腐食防止剤、すなわちメタバナジン酸ナトリウムが少量の場合、腐食防止は、樹脂で改質されたシラン被覆のみの場合より一層強力である。L23配合(すなわち、98重量%の5%AV5混合物中の、水ベース樹脂分散体2重量%、およびメタバナジン酸ナトリウム200ppm)が最も有効な被覆組成物と思われる。
【0073】
(実施例IV)
別の実施例において、AV5シラン混合物を、混ぜものなしのビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン(Silquest(登録商標)A-1170、GE Silicones, www.gesilicones.comから入手可能)5部と、混ぜものなしのビニルトリアセトキシシラン(SIV9098、Gelest Inc., www.gelest.comから入手可能)1部とを混合することによって製造した。EPI-REZ(登録商標)WD510(水希釈性ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)エポキシ樹脂(100%樹脂)、Hexion Speciality Chemicals,Inc.(コロンバス、オハイオ州)から入手可能)を、AV5と、1:4の重量比で混合した。次いで、シラン/樹脂混合物2体積部を、脱イオン(DI)水2.0部および変性アルコール96部に添加して、本発明の一実施形態に従う有機溶媒ベースのシラン被覆組成物を得た。
【0074】
アルミニウム合金(AA 2024-T3)板を、70℃で7% Chemclean(Chemetall/Oakite Inc.から購入)を用いて洗浄し、次いで水道水ですすぎ、空気を吹き付けて乾燥した。洗浄したAA 2024-T3板を、表1の上記の樹脂改質シラン溶液中に30秒間浸漬させ、次いで1日常温条件下で硬化させた。次いで、溶媒ベースのポリウレタンベースプライマーおよびトップコートを、シラン処理したAA 2024-T3板にコーティングし、次いで環境条件下で硬化させた。プライマーおよびトップコート膜は、それぞれ、約25μmおよび約50μmの厚さであった。
【0075】
被覆したAA 2024-T3上でASTM B117塩噴霧試験を実施した。対照系は、クロム酸塩で前処理したAA 2024-T3板であった。
【0076】
2000時間後、試験結果は、シラン被覆組成物によって処理したAA 2024-T3板の完全な状態の領域または引っ掻かれた領域のどちらでも腐食活性を示さなかった。
【0077】
本発明に従った水ベースのシラン被覆組成物の非限定的な例、および上記被覆組成物を製造する方法、および金属をゴムに結合させるために上記被覆組成物を使用する方法を、下記に示す。
【0078】
表2は、12個の異なる水ベースシラン被覆組成物の配合を示し、上記被覆組成物は、シラン1および2、ポリマー樹脂の水分散体(すなわち樹脂)、ならびに任意選択成分(別のシラン(すなわち、A1289(ビス[トリエトキシシリルプロプロピル]テトラスルフィド))、腐食防止剤(ベンゾトリアゾール(BTA))、シリカ、および/または酸化亜鉛のナノ粒子が含まれる)を含む。
【0079】
【表2】

【0080】
上の表2において、A1589は、ビス[トリエトキシシリルプロピル]ジスルフィドであり;A1170は、ビス[トリエトキシシリルプロプロピル]アミンであり;およびY9400は、ビス-[トリエトキシシリルプロプロピル]ジアミンである。上述した通り、A1289はビス[トリエトキシシリルプロプロピル]テトラスルフィドである。示したシラン1および2のそれぞれを、表2で明記されている通りの体積比で混合した。最終のシラン被覆組成物は、シラン混合物を5重量%含み、該当する場合は、示されている(ポリマー)樹脂の水ベース分散液4重量%をさらに含んでいた。追加の任意選択成分は、示されている通りの重量%またはppmで、シラン被覆組成物中に存在していた。シラン被覆組成物の残りは水を含んでおり、それにより水ベースのシラン被覆組成物をもたらした。
【0081】
下表3は、引き抜き力(lbf)の形式で表された、表2の12個の水ベースのシラン被覆組成物の引き抜き試験の接着結果を示す。引き抜き試験のためには、1.35mmの寸法の真鍮被覆鋼線を、Chemetall-Oakiteから入手できるChemacie(登録商標)を用いて、50℃で3分間酸洗浄した。この鋼線を10分間空気乾燥し、次いでシラン被覆組成物中に5秒間浸漬した。次いで、この鋼線を空気乾燥し、硫黄加硫ゴム内に埋め込み、標準条件(加圧された金型内で、175℃で10分間)下で加硫した。次いで、この被覆線を、ASTM D-2229試験による接着試験にまわした。したがって、各線は、表3に示した観測された引き抜き力によって引張試験機上で引き抜かれた。この試験の対照は、未処理の真鍮被覆線であった。
【0082】
【表3】

【0083】
引き抜き力は、水ベースのシラン被覆組成物のそれぞれおよび対照についてかなり変化したが、以下の傾向を観測することができる:1.酸化亜鉛は、引き抜き力に対してマイナスの効果を有するように見える。2.BTAは、プラスの効果を有するように見える。3.追加のシランA-1289を添加することは、プラスの効果を有するように見える。4.最良のシラン被覆組成物は、エポキシ樹脂の水分散液を含有するものであるように見えるが、一方で、アクリレート(すなわちECO-CRYT(登録商標))、樹脂分散液の添加は、マイナスの効果を有するように見える。引き抜き値に基づいて、シリカ添加量、BTA添加量、およびシラン濃度をさらに最適化するために、シラン被覆組成物2、6、10および12を選択した(下表4を参照されたい)。
【0084】
【表4】

【0085】
引き抜き試験を、上記の通りASTM D-2229試験に準拠して再度行った。これらの試験結果から、ポリマー樹脂の水ベース分散液4g、シラン混合物(体積比3:1のA1289:A1170)5mlおよび水91mlを含む、表5の最適化されたシラン被覆組成物Hが得られた。この組成物を、シリカ配合量、樹脂の水ベース分散液の濃度、およびシラン濃度についてさらに最適化した(下表5を参照されたい)。使用した樹脂は、EPI-REZ(登録商標)3510-WY-60であった。
【0086】
【表5】

【0087】
引き抜き試験を、上記の通りASTM D-2229試験に準拠して再度行った。1体積%シランであるシラン被覆組成物A〜Cは、被覆A〜Iの中で最良の引き抜き結果をもたらした。このデータに基づいて、組成物中の樹脂の水ベースの分散液の量を変化させた、下表6に示すような被覆組成物の別の系列J〜Oを調製した。使用した樹脂は、EPI-REZ(登録商標)3510-WY-60であった。
【0088】
【表6】

【0089】
引き抜き試験を、ASTM D-2229試験に準拠して再度行った。シラン被覆組成物M〜Oはすべて、対照の引き抜き値を上回った。対照は再び未処理の真鍮被覆線であった。これらの結果に基づいて、タイヤコードについてさらに試験するためにNおよびOを選択した。
【0090】
引き抜き試験を、ASTM D-2229試験に準拠して行った。これらの引き抜き試験については、1.35mmの寸法の真鍮被覆タイヤコードを、Chemetall-Oakiteから入手できるChemacie(登録商標)を用いて、50℃で3分間酸洗浄した。このタイヤコードを10分間空気乾燥し、次いでシラン被覆組成物中に5秒間浸漬した。次いで、このタイヤコードを空気乾燥し、硫黄加硫ゴム内に埋め込み、これを標準条件(加圧された金型内で、175℃で10分間)下で加硫した。次いで、この被覆タイヤコードを接着試験にまわした。この試験の対照は、未処理の真鍮被覆タイヤコードであった。
【0091】
シラン被覆組成物NおよびOの引き抜き値は、対照に達していなかったので、洗浄系をさらに最適化した。第1の例において、タイヤコードを12%HClで酸洗浄し、次いで0.5M NaOHで洗浄し、乾燥し、シラン被覆組成物NおよびOにより被覆した。次いで、タイヤコードを空気乾燥し、硫黄加硫ゴム内に埋め込み、これを標準条件(加圧された金型内で175℃で10分間)下で加硫した。次いで、この被覆タイヤコードを接着試験にまわした。引き抜き試験を実施した後、結果は、NおよびOは依然として対照に達していなかったことを示した。
【0092】
第2の例において、真鍮被覆タイヤコードを洗浄するために、0.5M NaOHのみを使用して、酸のステップを省いた。さらなる引き抜き試験を実施したが、NおよびOは参照に達しなかった。最後に、タイヤコードを、シラン被覆組成物を塗布する前に1.0M NaOHにより洗浄、乾燥し、次いで再度1.0M NaOHにより洗浄し、乾燥した。シラン(3:1体積%、A1289:A1170)1重量%、ポリマー樹脂の水ベース分散液1g、および水98重量%を含むシラン被覆組成物Nの引き抜き値は、対照の数値を上回った。
【0093】
タイヤコード試験の結果は、溶液中の樹脂の水ベース分散液が多すぎると、シラン混合物を不均一にすることがあり、シランが溶液から沈降するように見える範囲で、タイヤコードを良好に被覆することを妨げることを示している。加えて、タイヤコードを苛性洗浄することは、シラン被覆組成物に最も直接的な効果を有していたように見える。
【0094】
したがって、金属表面の腐食速度を遅くし、および/またはゴムの金属に対する接着を改善するために基材の金属表面上に塗布される、改善されたシラン被覆組成物およびそれを製造するための方法が提供される。シラン被覆組成物は、有機溶媒ベースでありうるか、または腐食低減被覆のVOC含有量を低減させるために水ベースであることができ、このような被覆は、ポリマー樹脂の水ベース分散液を少量添加することにより増強されている。
【0095】
本発明を、その様々な実施形態の記述により説明し、実施形態をかなり詳細に記述してきたが、添付の特許請求の範囲の範囲を制限するまたは何らかの方法で限定するつもりはない。さらなる利点および変更は、当業者には容易にわかるであろう。したがって、より広い態様における本発明は、示されたおよび記述された、特定の詳細、代表的な装置および方法および例示的な例に限定されるものではない。したがって、出願人の一般的な発明の概念の範囲または精神から逸脱することなく、そのような詳細から離れることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】1週間の塩浸漬後の、溶融亜鉛メッキ鋼(HDG)上の本発明のシラン被覆組成物(A11VT+PおよびA11VT)の、電気化学インピーダンス分光法(EIS)曲線を示す。
【図2】本発明のシラン被覆組成物の処理ありおよびなしの、アルミニウム合金(AA6111)の直流電流(DC)曲線を示す。
【図3】18時間の塩浸漬後の、本発明のシラン被覆組成物の処理ありおよびなしのAA 6111のEIS曲線を示す。
【図4】2時間の塩浸漬後の、本発明のシラン被覆組成物ありおよびなしで処理したHDGのEIS曲線を示す。
【図5】24時間の塩浸漬後の、本発明のシラン被覆組成物ありおよびなしで処理したHDGのEIS曲線を示す。
【図6】浸漬前(0日の浸漬)の、本発明のシラン被覆を有するAA 2024-T3のEIS曲線を示す。
【図7】3.5%の中性塩化ナトリウム(NaCl)溶液に25日間浸漬した後の、本発明のシラン被覆を有するAA 2024-T3のEIS曲線を示す。
【図8】浸漬前(0日の浸漬)のAA2024-T3上の、本発明のシラン被覆組成物のDC曲線を示す。
【図9】3.5%の中性塩化ナトリウム(NaCl)溶液に14日間浸漬した後のAA 2024-T3上の、本発明のシラン被覆組成物のDC曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面を被覆するのに適した組成物であって、
少なくとも1種の水溶性または水分散性有機官能性シランと、
ポリマー樹脂の水ベース分散体と
を含み、前記ポリマー樹脂が、前記組成物の約0.1重量%以上および10重量%以下の量で存在している組成物。
【請求項2】
少なくとも1種のシランが実質的に加水分解されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種のシランが実質的に加水分解されていない、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種のシランが、ビス-アミノシラン、ビニルシラン、ビス-サルファシラン、およびこれらの混合物からなる群から選択されたものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ポリマー樹脂が、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ノボラック樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択されたものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ポリマー樹脂が、組成物の約0.1重量%以上および約7重量%以下の量で存在している、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
腐食防止剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
シラン被覆組成物が、組成物の約70重量%から約99重量%の全水含有量をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
シラン被覆組成物が、組成物の約70重量%から約90重量%の全有機溶媒含有量をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
全シラン濃度が、被覆組成物の約0.1重量%から約20重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種のシランが、水溶性または水分散性ビス-アミノシランおよび水溶性または水分散性ビニルアセトキシシランを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
ビス-アミノシランが、ビス-[トリメトキシシリルプロピル]アミンであり、ビニルアセトキシシランが、ビニルトリアセトキシシランであり、ポリマー樹脂が、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ノボラック樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択されたものである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
腐食防止剤をさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
腐食防止剤約1000ppm以下をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
ビス-[トリメトキシシリルプロピル]アミン:ビニルトリアセトキシシランを約5:1の体積比でさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
ポリマー樹脂が、組成物の約0.1重量%以上および約7重量%以下の量で存在する、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1種のシランが、水溶性または水分散性ビス-アミノシランおよび水溶性または水分散性ビス-サルファシランを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
水溶性または水分散性ビス-アミノシランが、ビス-[トリエトキシシリルプロピル]アミンであり、水溶性または水分散性ビス-サルファシランが、ビス-[トリエトキシシリルプロピル]テトラスルフィドであり、ポリマー樹脂が、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ノボラック樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択されたものである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
腐食防止剤をさらに含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
ビス-[トリエトキシシリルプロピル]アミン:ビス-[トリエトキシシリルプロピル]テトラスルフィドを約3:1の体積比でさらに含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
ポリマー樹脂が、組成物の約0.1重量%以上および約7重量%以下の量で存在する、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
金属表面を処理するための方法であって、シラン被覆組成物を前記金属表面に塗布するステップを含み、前記被覆組成物は、少なくとも1種の水溶性または水分散性有機官能性シランおよびポリマー樹脂の水ベース分散体を含み、前記ポリマー樹脂が、組成物の約0.1重量%以上および10重量%以下の量で存在する方法。
【請求項23】
シラン被覆組成物上にポリマー材料のトップコートを塗布するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
トップコートがゴムを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
金属表面が、鋼、アルミニウム、銅、亜鉛、およびこれらの合金からなる群から選択された金属を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1種のシランが、ビス-アミノシラン、ビニルシラン、ビス-サルファシラン、およびこれらの混合物からなる群から選択され、前記ポリマー樹脂が、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ノボラック樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択されたものである、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
ポリマー樹脂が、組成物の約0.1重量%以上および約7重量%以下の量で存在する、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
シラン被覆組成物が、腐食防止剤をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
シラン被覆組成物が、組成物の約70重量%から約99重量%の全水含有量をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
シラン被覆組成物が、組成物の約70重量%から約90重量%の全有機溶媒含有量をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
金属表面を含む基材と;
少なくとも1種の水溶性または水分散性有機官能性シランと、ポリマー樹脂の水ベース分散体とを含み、前記ポリマー樹脂が組成物の約0.1重量%以上および10重量%以下の量で存在し、前記金属表面の少なくとも一部を被覆しているシラン被覆組成物と;
ポリマー材料を前記金属表面に接着させる前記シラン被覆組成物に隣接して存在するポリマー材料のトップコートと
を含む積層体。
【請求項32】
基材がタイヤコードを含み、トップコートがゴムを含む、請求項31に記載の積層板。
【請求項33】
金属表面を被覆するのに適した組成物であって、
ビス-アミノシラン、ビニルシラン、ビス-サルファシラン、およびこれらの混合物からなる群から選択された、少なくとも1種の水溶性または水分散性有機官能性シランと、
エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ノボラック樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択されたポリマー樹脂と
を含み、前記ポリマー樹脂が、組成物の約0.1重量%以上および10重量%以下の量で存在している組成物。
【請求項34】
ポリマー樹脂が、組成物の約0.1重量%以上および約7重量%以下の量で存在する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
組成物の約70重量%から約99重量%の全水含有量をさらに含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
組成物の約70重量%から約90重量%の全有機溶媒含有量をさらに含む、請求項33に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−507962(P2009−507962A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530107(P2008−530107)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/034049
【国際公開番号】WO2007/032923
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(508071205)ザ・ユニヴァーシティー・オブ・シンシナティ (2)
【出願人】(308023158)エコシル・テクノロジーズ・エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】