シリカ粒子及びその製造方法並びにその使用方法
シリカ粒子、及びシリカ粒子を含む組成物を開示する。シリカ粒子の製造方法、及びシリカ粒子の使用方法も開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ粒子、シリカ粒子を含む組成物、シリカ粒子の製造方法、及びシリカ粒子の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムにおいては、密な分離媒体を与えるために充填媒体を比較的高い充填圧力にかける。例えば、1500psi以下又はこれより高い充填圧力が典型的な充填圧力である。かかる高い充填圧力に曝露している間に、充填媒体、例えばシリカ粒子の一部が破壊されて粒子状物質の微粉を形成する可能性がある。充填プロセス中に生成する微粉の量が増加すると、カラムを通る流体の流れに対する過剰の抵抗、カラムを通る非均一な流体の流れ、及び減少したカラム効率など(しかしながら、これらに限定されない)の数多くのプロセスの問題が導かれる可能性がある。
【0003】
当該技術において、最適のヤング率を有するシリカ粒子のような粒子を開発して、粒子がカラム充填中に控えめにしか弾性降伏しないようにする努力が継続されている。粒子の弾性率が低すぎると、過剰の弾性粒子変形によって上記に記載のもののようなプロセスの問題(例えば流体の流れに対する高い抵抗)が引き起こされる可能性がある。しかしながら、粒子の弾性率が高すぎると、粒子のカラムが適度な安定性に欠ける可能性がある。使用中において、及びシステムに機械的衝撃を与えると、非常に高い弾性の粒子が位置をシフトして、それにより流体の流れの均一性が低下し、カラム効率が減少する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充填カラムにおいて用いる場合に、カラムの内部に「内部バネ効果」を生成する、即ち充填圧力にかけた場合にシリカ粒子がある程度の圧縮を受けるが破壊に対して抵抗性を示す最適の弾性率を有するシリカ粒子に関する必要性が当該技術において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、新規なシリカ粒子を発見することによって上記で議論した困難性及び問題点の幾つかに取り組むものである。本シリカ粒子は、シリカ粒子が充填されたカラム内において「内部バネ効果」を与える最適のヤング率を有する。本シリカ粒子は、塑性変形に対して高い抵抗性の内部、及び弾性変形に対して低い抵抗性(即ち低弾性率)を有する表面を有すると考えられる。この新規なシリカ粒子は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムにおいてクロマトグラフィー媒体として用いるのに特に好適である。この新規なシリカ粒子は、典型的には、高度に球状で、多孔質で、実質的にマクロ孔を有さないアモルファスのシリカ粒子であり、表面変性を行わずに(即ち、非結合形又は正常相で)、或いは表面変性を行って(即ち、結合形、又は逆相、HIC等で)、クロマトグラフィー媒体として用いることができる。
【0006】
1つの代表的な態様においては、本発明のシリカ粒子は、(i)第1の弾性率を有する内部部分、及び(ii)第2の弾性率を有する粒子の外表面部分を含み、第1の弾性率が第2の弾性率よりも大きい、多孔質シリカ粒子を含む。与えられたシリカ粒子内での弾性率の相違は、シリカ粒子の領域内の孔密度の変動の結果である可能性がある。例えば、シリカ粒子の内部領域は、同じシリカ粒子の外表面領域よりも低い孔密度を有する可能性がある。
【0007】
他の代表的な態様においては、本発明のシリカ粒子は、少なくとも約100MPaの塑性変形、及び約4GPa未満の弾性変形を有する多孔質シリカ粒子を含む。高い塑性変形及び低い弾性変形によって、かかるシリカ粒子は、クロマトグラフィー媒体として用いる場合に、粒子に損傷を与えることなくクロマトグラフィーカラム内に効率的に充填することができる。
【0008】
本発明は、またシリカ粒子の製造方法にも関する。1つの代表的な方法においては、シリカ粒子の製造方法は、部分的に加水分解された材料を形成するように有機シリケートを部分的に加水分解し;部分的に加水分解された材料を蒸留して、エチルアルコールを除去し、蒸留された部分的に加水分解された材料を形成し;極性連続相中に部分的に加水分解されたシリケートの液滴を形成するように、蒸留された部分的に加水分解された材料を極性連続相中で乳化し;球状の多孔質粒子を形成するように、水酸化アンモニウムを用いる縮合反応によって液滴をゲル化し;球状の多孔質粒子を洗浄し;球状の多孔質粒子を水熱熟成し;そして、球状の多孔質粒子を乾燥して乾燥した多孔質粒子を形成する;ことを含む。
【0009】
本発明は更に、シリカ粒子を使用する方法に関する。シリカ粒子を使用する1つの代表的な方法においては、該方法は、(i)第1の弾性率を有する内部部分、及び(ii)第2の弾性率を有する粒子の外表面部分を含み、第1の弾性率が第2の弾性率よりも大きい少なくとも1つの多孔質シリカ粒子をクロマトグラフィーカラム中に導入することを含むクロマトグラフィーカラムの製造方法を含む。シリカ粒子を用いる更なる代表的な方法は、上記に記載のクロマトグラフィーカラムを用いて、1以上の材料をクロマトグラフィーカラムに通しながら互いに分離することを含むことができる。
【0010】
本発明は更に、(i)第1の弾性率を有する内部部分、及び(ii)第2の弾性率を有する粒子の外表面部分を含み、第1の弾性率が第2の弾性率よりも大きい少なくとも1つの多孔質シリカ粒子を含むクロマトグラフィーカラム、クロマトグラフィーカラムの製造方法、及びクロマトグラフィーカラムの使用方法に関する。
【0011】
本発明のこれらの及び他の特徴並びに有利性は、開示された態様の以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を検討した後には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の代表的なシリカ粒子の拡大図を示す。
【図2A】図2Aは、階段状の特性勾配を有する本発明の代表的なシリカ粒子の横断面図を示す。
【図2B】図2Bは、実質的に連続的な特性勾配を有する本発明の代表的なシリカ粒子の横断面図を示す。
【図3】図3は、本発明の代表的なシリカ粒子をHPLCカラム内に充填する前及び後の粒径分析を示す。
【図4】図4は、HPLCカラム内に充填した後の本発明の代表的なシリカ粒子の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【図5】図5は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子のカラム充填効率を示す。
【図6】図6は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子のペプチド選択性を示すクロマトグラフを示す。
【図7】図7は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子の純合成ペプチド選択性を示すクロマトグラフを示す。
【図8】図8は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子の粗合成ペプチド選択性を示すクロマトグラフを示す。
【図9】図9は、本発明の代表的なシリカ粒子及び従来のシリカ粒子を用いた粗20−AA合成ペプチドのクロマトグラフを示す。
【図10】図10は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子の血管作用性腸管ペプチド(VIP)選択性を示すクロマトグラフを示す。
【図11】図11は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子のインシュリン充填容量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の原理の理解を促進するために、以下において本発明の特定の態様を説明し、特定の用語を用いて特定の態様を説明する。しかしながら、特定の用語を用いることによって本発明の範囲を限定する意図はないことが理解されよう。議論される本発明の原理の変更、更なる修正、及び更なる適用は、本発明が属する技術の当業者が一般的に想到するものであると考えられる。
【0014】
本発明は多孔質シリカ粒子に関する。本発明は更に、多孔質シリカ粒子の製造方法、並びに多孔質シリカ粒子の使用方法に関する。代表的な多孔質シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の製造方法、及び多孔質シリカ粒子の使用方法の説明を以下に与える。
【0015】
I.シリカ粒子:
本発明のシリカ粒子は、本シリカ粒子が公知のシリカ粒子と比較して1以上の有利性を与えることができる物理的構造及び特性を有する。
【0016】
A.シリカ粒子の物理的構造:
本発明のシリカ粒子は、平均最大粒子寸法(即ち最大直径寸法)を有する球状の粒子形状を有する。典型的には、本発明のシリカ粒子は、約700μm未満、より典型的には約100μm未満の平均最大粒子寸法を有する。本発明の1つの望ましい態様においては、シリカ粒子は約1.0〜約100μm、より望ましくは約3.0〜約20μmの平均最大粒子寸法を有する。
【0017】
本発明の多孔質シリカ粒子は、典型的には、例えば透過電子顕微鏡(TEM)法を用いて測定して約1.4未満のアスペクト比を有する。ここで用いる「アスペクト比」という用語は、(i)シリカ粒子の平均最大粒子寸法と(ii)シリカ粒子の平均最大横断面粒子寸法(ここで、横断面粒子寸法は、シリカ粒子の最大粒子寸法に対して実質的に直交方向のものである)との間の比を表すように用いる。本発明の幾つかの態様においては、シリカ粒子は約1.3未満(又は約1.2未満、又は約1.1未満、又は約1.05未満)のアスペクト比を有する。典型的には、シリカ粒子は約1.0〜約1.2のアスペクト比を有する。
【0018】
本発明の多孔質シリカ粒子は、また、本シリカ粒子を望ましいクロマトグラフィー媒体にする孔容積を有する。典型的には、シリカ粒子は、窒素ポロシメトリーによって測定して少なくとも約0.40cc/gの孔容積を有する。本発明の1つの代表的な態様においては、多孔質シリカ粒子は、窒素ポロシメトリーによって測定して約0.40cc/g〜約1.4cc/gの孔容積を有する。本発明の他の代表的な態様においては、多孔質シリカ粒子は、窒素ポロシメトリーによって測定して約0.75cc/g〜約1.1cc/gの孔容積を有する。
【0019】
本発明の多孔質シリカ粒子は少なくとも約40Åの平均孔直径を有する。本発明の1つの代表的な態様においては、シリカ粒子は約40Å〜約700Åの平均孔直径を有する。本発明の更なる代表的な態様においては、シリカ粒子は約90Å〜約150Åの平均孔直径を有する。
【0020】
本発明の多孔質シリカ粒子は、また、BET窒素吸着法(即ち、Brunauer Emmet Teller法)によって測定して少なくとも約150m2/gの表面積を有する。本発明の1つの代表的な態様においては、シリカ粒子は約200m2/g〜約450m2/gのBET表面積を有する。本発明の更なる代表的な態様においては、シリカ粒子は約260m2/g〜約370m2/gのBET表面積を有する。
【0021】
1,000倍の走査電子顕微鏡写真(SEM)によって与えられる、本発明の代表的なシリカ粒子の拡大図を図1に示す。図1において示されているように、代表的なシリカ粒子10は、球状の形状、及び比較的狭い粒径分布を有する。更に、図2A及び2Bにおいて示されているように、代表的なシリカ粒子10は、粒子の横断面に沿った粒子特性勾配を有すると考えられる。
【0022】
図2Aにおいて示されているように、本発明の1態様においては、代表的なシリカ粒子10は、代表的なシリカ粒子10の内部12と外表面11との間に階段状の特性勾配を有すると考えられる。例えば、代表的なシリカ粒子10は、内部領域13内においてより高いヤング率、及び表面領域14内においてより低いヤング率を有することができる。例えば、代表的なシリカ粒子10は、内部領域13内においてより高いヤング率(又はより低い孔密度)、及び表面領域14内においてより低いヤング率(又はより高い孔密度)を有することができる。この態様においては、代表的なシリカ粒子10の内部12と外表面11との間に異なる粒子特性を有する2つより多い領域が存在していてもよいことを留意すべきである。
【0023】
図2Bにおいて示されているように、本発明の他の態様においては、代表的なシリカ粒子10は、内部12における内部値から外表面11に沿った表面値へと変化する実質的に連続の特性勾配を有すると考えられる。例えば、代表的なシリカ粒子10は、内部12において最大のヤング率(又は最小の孔密度Pmin)、及び外表面11に沿って最小のヤング率(又は最大の孔密度Pmax)を有していてよい。この態様においては、最大又は最小の特性値(例えば、最小孔密度Pmin)は、図2Bにおいて示されるような内部12ではなく、代表的なシリカ粒子10の内部12と外表面11との間の幾つかの点において存在していてもよいことを留意すべきである。
【0024】
B.シリカ粒子の特性:
本発明のシリカ粒子の上記に記載の物理特性の結果として、本シリカ粒子はHPLC用途においてクロマトグラフィー媒体として用いるのに良く適している。実質的に球状の形状により、均一な充填及びしたがってHPLCカラムを通る液体のより均一な流れが可能であり、これによってより良好なカラム効率が得られる。更に、シリカ粒子の塑性変形特性により、本発明のシリカ粒子は充填圧力に曝露した際に破壊抵抗性を示し、これにより流体の流れに対する過剰の抵抗が防止され、HPLCカラムを通る均一な流体の流れが保持される。
【0025】
上記で議論したように、本発明のシリカ粒子は、カラム充填中に粒子が控えめに弾性降伏するのを可能にするが、粒子の破壊を引き起こすのには十分ではない最適のヤング率を有するように思われる。本発明のシリカ粒子は、HPLCカラム内で用いた場合に、動的軸圧縮によって達成されるものと同じ様にカラムを安定化する「内部バネ効果」を与える。
【0026】
更に、上記で議論したように、本発明のシリカ粒子は弾性率の放射状に広がる特性勾配を有すると考えられる。より具体的には、本発明のシリカ粒子は、シリカ粒子の内部領域よりも好適に低い弾性率を有する表面領域を有する。かかる粒子の構成により、本発明のシリカ粒子が何故にかかる安定化充填カラム(即ち、低い粒子移動及びカラム内の空隙形成)を形成するかが説明される。本発明のシリカ粒子は、粒子の表面においてはより大きな弾性変形を有するが、粒子の内部に向かって弾性率がより高くなっていて、内部の弾性率により粒子が全粒子(即ち塑性)変形を起こして粒子の破壊及び流体の流れに対する高い抵抗を引き起こすことが防止される。
【0027】
更に、本発明のシリカ粒子の考えられている多孔性勾配により、本シリカ粒子は充填カラムにおいて用いた場合に良好な物質移動特性を与える。クロマトグラフィー分離においては、分子の殆どは粒子の最中心部には拡散しないので、上記に記載の放射状に広がる多孔性勾配によって粒子内部への及び粒子の外への物質移動を増加させて改良されたカラム効率を得ることができる。
【0028】
1態様においては、本発明の粒子は、原子間力顕微鏡測定(AFM)によって測定して少なくとも約100MPa、典型的には少なくとも約200MPa、より典型的には少なくとも約300MPa、更により典型的には少なくとも約400MPaの硬度又は塑性変形を有する。AFMは、Veeco Instrumentsから入手できるNanoman II SPMシステムを用い、ダイアモンドチッププローブによって30μNの力で行う。硬度は、式:硬度=力/面積(ここで、面積はプローブによって形成される凹みの寸法である)によって求められる。AFMは、「原子間力顕微鏡を用いるナノスケールでの弾性率測定の理論モデル及び実施」, Journal of Physic: Conference Series 61, pp 1303-07, 2007に記載されているようにして行う。
【0029】
他の態様においては、本発明の粒子は、AFMによって測定して約4GPa未満、典型的には約3GPa未満、より典型的には約2GPa未満、更により典型的には約1GPa未満のヤング率又は弾性変形を有する。AFMは、Veeco Instrumentsから入手できるNanoman II SPMシステムを用い、ダイアモンドチッププローブによって3.297μNの力で行う。ヤング率は、「負荷及び置換感受性圧入実験を用いる硬度及び弾性率の測定のための改良された方法」, J. Mater. Res. vol.7, pp 1564-83, 1992に記載されているようにしてOliver-Pharr分析によって測定する。
【0030】
他の代表的な態様においては、本発明のシリカ粒子は、少なくとも約100MPaの塑性変形及び約4GPa未満の弾性変形、好ましくは少なくとも約100MPaの塑性変形及び約3GPa未満の弾性変形、更により好ましくは少なくとも約100MPaの塑性変形及び約2GPa未満の弾性変形を有する多孔質シリカ粒子を含む。更に、本発明のシリカ粒子は、例えば少なくとも約100MPa(又は200MPa、300MPa、或いは400MPa等)の塑性変形及び約4GPa(又は3GPa、又は2GPa、又は1GPa等)未満の弾性変形のような、ここで示す塑性変形と弾性変形の特性の任意の組み合わせを有することができる。高い塑性変形及び低い弾性変形によって、かかるシリカ粒子をクロマトグラフィー媒体として用いる場合に、粒子に対して損傷を与えることなくクロマトグラフィーカラム内に効率的に充填することができる。
【0031】
開示したシリカ粒子の上記で言及した特性を、図3〜5を参照して更に詳細に説明する。図3は、本発明の代表的なシリカ粒子をHPLCカラム内に充填する前及び後の粒径分析を示す。図3において示されているように、本発明のシリカ粒子は、(1)商業的に入手できるシリカ粒子であるEka Nobel ABから入手できるKromasil(登録商標) 10ミクロンC18に関する「前」及び「後」の数(%)ラインと比較した、本発明のシリカ粒子に関する「前」及び「後」の数(%)ラインの近似性;及び(2)商業的に入手できるシリカ粒子に関する増加した微粉の数と比較した、本発明のシリカ粒子に関して生成した最小の微粉量;によって示される動的軸圧縮充填中のより少ない粒子破壊を示す。本発明の粒子をカラム内に充填した後においては粒径分布は実質的には変化しないが、これに対して商業的に入手できる媒体の粒径分布は大きく異なる。例えば、本発明の粒子によれば最小の微粉(例えば全数を基準として約50%未満の数の<5μmの微粉)が生成し、これに対して商業的に入手できる粒子によれば遙かに多くの微粉(例えば全数を基準として50%より多い数の<5μmの微粉)が生成する。好ましくは、本発明の粒子の充填中に、約40%未満、より好ましくは約30%未満、更により好ましくは約20%未満(即ち、15%、10%、5%、4%、3%、2%等)の数の微粉が生成する。
【0032】
図4は、HPLCカラム内に動的軸圧縮充填した後の本発明の代表的なシリカ粒子の走査電子顕微鏡(SEM)画像(倍率=500)(右側の画像)と、HPLCカラム内に動的軸圧縮充填した後の上記で言及した商業的に入手できるシリカ粒子のSEM画像(左側の画像)とを示す。左側の画像は上記で言及した商業的に入手できるシリカ粒子の動的軸圧縮充填中に生成した微粉を示し、一方、右側の画像は本発明のシリカ粒子の動的軸圧縮充填中に生成する微粉を本質的に含まない。
【0033】
図5は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子のカラム充填効率を示す。図5において示されているように、本発明のシリカ粒子は、商業的に入手できるシリカ粒子である、Eka Nobel ABから入手できるKromasil 10ミクロンC18、及びDaiso Co., Ltd.から入手できるDaiso 10ミクロンC18と比較して最も高いプレート/メートルの値を示した。
【0034】
II.シリカ粒子の製造方法:
本発明はまた、シリカ粒子の製造方法にも関する。本発明のシリカ粒子を形成するために用いる原材料、及び本発明のシリカ粒子を形成するための方法工程を以下に議論する。
【0035】
A.原材料:
本発明のシリカ粒子の製造方法は、多数のケイ素含有原材料から形成することができる。好適なケイ素含有原材料としては、Sigma-Aldrich Co.(St. Louis, MO)などの数多くの供給源から商業的に入手できるテトラエチルオルトシリケート(TEOS);Silbond Corporation (Weston, MI)から商業的に入手できるSILBONDTM40又はSILBONDTM 50のような部分的にオリゴマー化されたシリケート;Dynasil Corporation (West Berlin, NJ)から商業的に入手できるDYNASILTM 40のような部分的にオリゴマー化されたシリケート;及びWacker Chemie AG(Munich, Germany)から商業的に入手できるTES 40 WNのような部分的にオリゴマー化されたシリケート;が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
1つの望ましい態様においては、SILBONDTM40を用いて「小分子」生成物を形成する。ここで用いる「小分子」生成物という用語は、小分子クロマトグラフィー用途において特に有用な本発明のシリカ粒子を示すように用いる。本発明の「小分子」シリカ粒子は、典型的には、約0.75〜約1.1cc/gの範囲のN2孔容積;約260〜約370m2/gの範囲のN2表面積;及び約90〜約150Åの範囲の平均孔直径;を有する。
【0037】
B.プロセス工程:
本発明のシリカ粒子は、典型的には、上記に記載のもののような有機シリケートを部分的に加水分解し、蒸留し、次により極性の連続相中に分散させて、部分的に加水分解したシリケートの極性連続相中での非混和性によって小滴を形成する多工程プロセスを用いて製造する。これらの液滴は、次に、水酸化アンモニウムによって触媒する縮合反応の結果としてゲル化する。得られる球状の多孔質粒子を次に洗浄し、水熱熟成し、乾燥する。水熱熟成及び乾燥工程中のプロセス条件が、得られる粒子の孔構造を制御するのに特に重要であることが見出された。得られる多孔質シリカ粒子は、次に、従来の手段(例えば水簸又は空気分級)によって適当に狭い粒径分布に分級することができる。種々のプロセス工程の更なる説明を以下に与える。
【0038】
1.部分的加水分解工程:
加水分解の程度は、望ましい物理特性(例えば最適のヤング率、粒径等)を有するシリカ粒子を得るために重要なプロセスパラメーターである。例えば、過度の加水分解は粒子形成工程の連続相中に完全に混和性の溶液を与える可能性があり、一方、加水分解が不足するとその後の縮合(即ちゲル化)工程中に反応性が低すぎる物質を与える可能性がある。
【0039】
部分的加水分解は、典型的には0.1MのHCl(水溶液)を用いて行うが、他の酸を同様に用いることができる。この混合物に(撹拌しながら)エチルアルコール(EtOH)を加えて、有機シリケートと水相との間の非混和性を克服する。反応は雰囲気温度において自発的に進行する。1つの代表的な反応物質の組み合わせは、100.0gのSILBONDTM 40、21.5gのEtOH、及び4.6gの0.1M−HCl(水溶液)を含む。
【0040】
2.蒸留工程:
部分的に加水分解した材料(PHS)の蒸留を行ってEtOH(即ち、加えたものと加水分解工程中に副生成物として形成されたものの両方)を除去することができる。蒸留工程により、マクロ孔を含まない粒子の形成が最小になるか及び/又は排除される。ここで用いる「マクロ孔を含まない粒子」という用語は、実質的に連続なミクロ細孔粒子構造を有するシリカ粒子を指す。蒸留は、典型的には、真空下(即ち100Torr未満)、約90℃において、EtOHを除去するのに必要な時間(典型的には約1時間未満)行う。
【0041】
3.粒子形成(乳化)工程:
粒子の形成は、PHSをアンモニア処理した水相中に乳化させることによって行う。得られる小滴は、PHSが関与するアンモニア接触縮合反応によって速やかにゲル化(即ち固化)する。
【0042】
1〜100μmの粒径範囲のシリカ粒子を製造するために2種類の方法が用いられている。第1の方法は、Cowlesミキサーを用いる2工程のバッチ法である。第1工程、即ち液滴形成工程においては、蒸留したPHSをイソプロピルアルコール(IPA)/水溶液(例えば30重量%のIPA水溶液)中で乳化させる。次に、第2工程において連続的に混合しながらNH4OHを加えて縮合反応を進行させて、多孔質の球状粒子の固化を行う。ブレードチップ速度(例えば、速度がより速いとより小さな粒子が製造される)及び連続相の組成(例えば、アルコールがより多いとより小さな粒子が製造される)を組み合わせることによって平均粒径を制御する。
【0043】
シリカ粒子を製造するための第2の方法は、インラインスタティックミキサーを用いてPHSを30重量%−IPA/1重量%−NH4OH水溶液中に乳化することを用いる。この場合においては、インラインミキサーを通る速度がより速いとより小さな粒径が得られる。
【0044】
4.濾過/デカンテーション工程:
粒子形成工程に続いて、典型的には濾過及びデカンテーションを用いて、過剰のアルコール及びアンモニアをシリカ生成物から除去する。典型的な濾過/デカンテーション工程においては、上記に記載の粒子形成工程から得られるフィルターケーキを脱イオンH2O(例えば12Lの脱イオンH2O)中に再懸濁し、次に一晩(例えば12時間)沈降させる。沈降時間の後に、粒子を含む溶液をデカンテーションして液体の大部分を除去する。
【0045】
5.水熱熟成工程:
水熱熟成工程を用いて多孔質シリカ粒子の内表面積を減少させることができる。シリカゲルの製造と同様にして、より厳しい熟成(即ち、より長く、より熱く、及び/又はよりアルカリ性)によって、より多い表面積の減少、及びより大きい乾燥中の粒子多孔度(孔容積)の保持が得られる。熟成工程の終了時においては、十分な脱イオン水を加えて冷却し、これにより熟成プロセスをクエンチする。
【0046】
1つの代表的な態様においては、水熱熟成工程は、上記に記載のデカンテーション/濾過工程において形成される沈降シリカケーキを、十分量の脱イオン水中に再懸濁して撹拌しうるスラリー(例えば、約1Lの添加水中に乾燥基準で約1kgのシリカケーキ)を形成することを含む。次に、撹拌されたスラリーを約75℃に約90分間加熱する。雰囲気温度の約12Lの脱イオン水(1Lの加熱水あたり)を加えることにより熟成を停止する。次に、懸濁液を濾過するか、又は沈降及びデカンテーションする。
【0047】
6.乾燥工程:
乾燥速度も最終シリカ生成物の表面積及び孔容積に影響を与える。1つの代表的な態様においては、乾燥工程は、約1.25cmのシリカケーキの厚さを形成するように、デカンテーションした体積のシリカ生成物又はシリカ生成物のフィルターケーキをトレー中に拡げ;シリカケーキを含むトレーを重力対流オーブン内に約140℃のオーブン温度で約20時間配置し;トレー及びシリカをオーブンから取り出し;シリカを回収する;ことを含む。乾燥したシリカ材料は、次に、引き続く場合によって用いるサイジング及び結合工程のために備えられる。
【0048】
III.シリカ粒子の使用方法:
本発明は更に、シリカ粒子を使用する方法に関する。上記で議論したように、本シリカ粒子はクロマトグラフィー媒体として用いることができる。シリカ粒子をクロマトグラフィー媒体として用いる種々の方法を図6〜11に示す。
【0049】
図6は、従来のシリカ粒子であるPhenomenex Inc.から入手できるLuna 5ミクロンC18と比較した本発明の代表的なシリカ粒子のペプチド選択性を示すクロマトグラフを示す。
図7は、従来のシリカ粒子であるAkzo Nobel ABから入手できるKromasil 5ミクロンC18と比較した本発明の代表的なシリカ粒子の純合成ペプチド選択性を示すクロマトグラフを示す。
【0050】
図8は、従来のシリカ粒子であるAkzo Nobel ABから入手できるKromasil 5ミクロンC18と比較した本発明の代表的なシリカ粒子の粗合成ペプチド選択性を示すクロマトグラフを示す。
【0051】
図9は、本発明の代表的なシリカ粒子、及び従来のシリカ粒子であるPhenomenex Inc.から入手できるJupiter Proteo 5ミクロンC18を用いた粗20-AA合成ペプチドのクロマトグラフを示す。
【0052】
図10は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子の血管作用性腸管ペプチド(VIP)選択性を示すクロマトグラフを示す。
図11は、従来のシリカ粒子であるAkzo Nobel ABから入手できるKromasil 5ミクロンC8、及びYMC Co., Ltd.から入手できるHydrosphere 5ミクロンC8と比較した本発明の代表的なシリカ粒子のインシュリン充填容量を示す。
【実施例】
【0053】
以下の実施例によって本発明を更に示すが、これらはいかなるようにも発明の範囲に対して限定を加えるものとは解釈されない。それどころか、本解決手段は種々の他の態様、変更、及びその均等物を有することができ、これらは本明細書中の記載を読んだ後は、本発明の精神及び/又は特許請求の範囲から逸脱することなくそれ自体当業者に示唆されることを明確に理解すべきである。
【0054】
実施例1:
部分的に加水分解された材料(PHS)の製造:
230gの0.1M−HCl溶液(水溶液)を撹拌しながら5,000gのSILBONDTM 40に加えた。次に、SILBONDTM40と水相との間の非混和性を克服するために、1075gのEtOHを撹拌しながらこの混合物に加えた。反応は雰囲気温度において自発的に進行した。
【0055】
得られた部分的に加水分解された材料(PHS)を蒸留して、混合物に加えたEtOH及び加水分解工程中に副生成物として形成されたEtOHを除去した。蒸留は真空下(<100Torr)、90℃において行った。
【0056】
実施例2:
バッチ混合を用いる「小分子」シリカ粒子の製造:
実施例1において形成された3,800gの蒸留PHSを、14,900gの30重量%IPA/水(予め調製して少なくとも16時間放置して脱気させた)中に注ぎ入れた。Cowlesミキサーを始動し、1160rpmに5分間設定して乳化を完了させた。次に、混合を継続しながら378gの30重量%NH4OHを加えた(全量を一回で)。溶液を1160rpmにおいて更に20分間混合し、この間に粒子のゲル化が完了した。シリカ懸濁液を一晩沈降させた。
【0057】
翌日、シリカ懸濁液を濾過し、得られたシリカケーキを12Lの脱イオンH2Oで再懸濁して過剰のアルコール及び/又はアンモニアを除去した。シリカ溶液を一晩沈降させ、翌日にデカンテーションした。この手順をもう1回繰り返した。
【0058】
デカンテーションした溶液からのシリカケーキを約1Lの脱イオン水中に再懸濁して撹拌しうるスラリーを形成した。次に、撹拌したスラリーを75℃に90分間加熱した。雰囲気温度の約12Lの脱イオン水を加えることによって熟成を停止した。次に、懸濁液を濾過して過剰の流体を除去した。
【0059】
シリカケーキ生成物をトレー中に拡げ、約1.25cmの厚さにならした。シリカケーキを含むトレーを140℃の重力対流オーブン内に20時間配置した。次に、トレー及びシリカをオーブンから取り出し、シリカを容器に詰めた。
【0060】
実施例3:
インラインスタティックミキサーを用いる「小分子」シリカ粒子の製造:
実施例1において形成された蒸留PHS(950mL/分)及び30%IPA/1%NH4OH水溶液(4,090mL/分)を、直径15.2cm(6インチ)のスタティックミキサーによって混合した。得られたシリカ粒子のスラリーを、次に、撹拌した容器中に流し入れた。シリカ懸濁液を一晩沈降させた。
【0061】
翌日、シリカ懸濁液を濾過し、得られたシリカケーキを12Lの脱イオンH2Oで再懸濁して過剰のアルコール及び/又はアンモニアを除去した。シリカ溶液を一晩沈降させ、翌日にデカンテーションした。この手順をもう1回繰り返した。
【0062】
デカンテーションした溶液からのシリカケーキを約1Lの脱イオン水中に再懸濁して撹拌しうるスラリーを形成した。次に、撹拌したスラリーを75℃に90分間加熱した。雰囲気温度の約12Lの脱イオン水を加えることによって熟成を停止した。次に、懸濁液を濾過して過剰の流体を除去した。
【0063】
シリカケーキ生成物をトレー中に拡げ、約1.25cmの厚さにならした。シリカケーキを含むトレーを140℃の重力対流オーブン内に20時間配置した。次に、トレー及びシリカをオーブンから取り出し、シリカを容器に詰めた。
【0064】
実施例4:
AFMによるシリカ粒子の試験:
本実施例においては、10μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をAFMによって試験して弾性変形及び塑性変形の特性を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。弾性変形及び塑性変形の特性を、商業的に入手できるシリカ粒子である、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する10μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するDaiso Co., Ltd.から商業的に入手できるDaiso SP-120-ODSと比較した。それぞれのシリカ粒子の弾性変形及び塑性変形の特性は、「原子間力顕微鏡を用いるナノスケールでの弾性率測定の理論モデル及び実施」, Journal of Physic: Conference Series 61, pp 1303-07, 2007に記載されているようにして測定した。塑性変形に関しては、Veeco Instrumentsから入手できるNanoman II SPMシステムを用い、ダイアモンドチッププローブによって30μNの力でAFMを行った。硬度は式:硬度=力/面積(ここで、面積はプローブによって形成される凹みの寸法である)によって求めた。弾性変形に関しては、Veeco Instrumentsから入手できるNanoman II SPMシステムを用い、ダイアモンドチッププローブによって3.297μNの力でAFMを行った。ヤング率は、「負荷及び置換感受性圧入実験を用いる硬度及び弾性率の測定のための改良された方法」, J. Mater. Res. vol.7, pp 1564-83, 1992に記載されているようにしてOliver-Pharr分析によって求めた。表1においてみられるように、本発明のシリカ粒子の塑性変形は従来のシリカ又は商業的に入手できるシリカのものよりも遙かに大きく、本発明のシリカ粒子の弾性変形は従来のシリカのものよりも遙かに小さい。
【0065】
【表1】
【0066】
実施例5:
クロマトグラフィーカラム中へのシリカ粒子の充填:
本実施例においては、10μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して媒体充填効率を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のペプチド分離能を、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する10μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するAkzo Nobel ABから商業的に入手できるKromasil(登録商標)、及びシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する10μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するDaiso Co., Ltd.から商業的に入手できるDaiso SP-120-ODSなどの他の媒体のものと比較した。媒体を、Alltech Associates, Inc.から入手できる25mm×400mmのSpringTMカラム中に充填した。媒体は、媒体60gあたり150mLのイソプロパノールを用いて1500psiでカラム中に充填した。最終カラム床長さは250mmであった。図3において示されているように、充填後に生成する小粒子又は微粉の数は、従来のシリカのものよりも遙かに少なかった。例えば、本発明は、充填後にKromasilの半分未満の量の微粉(粒径5μm未満)を有していた。
【0067】
それぞれのカラムの効率を評価するための分離方法として逆相クロマトグラフィーを用いた。ベンゼン、ナフタレン、及びビフェニルの混合物を、70体積%のアセトニトリル及び30体積%の水を含む移動相を用いてアイソクラチック条件下でそれぞれのカラム中に注入した。流速は10mL/分であった。カラムを25℃の室温で運転した。Super Prepフローセル及びRainin検出器(Varian, Inc.から入手できる)を用いて254nmにおいて検出を行った。また、この分析において、Varian SD-1分取用ポンプ(Varian, Inc.から入手できる)、Valco prep手動注入器(Valco Instruments Company Inc.から入手できる)、及びEZ ChromTM(Scientific Software, Inc.から入手できる)も用いた。
【0068】
結果を図5に示す。これは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体を凌ぐ向上したカラム効率を示す。
実施例6:
クロマトグラフィー媒体としてのシリカ粒子の使用:
本実施例においては、5μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して、ペプチドのような種々の生物学的物質を分離する能力を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のペプチド分離能を、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するPhenomex, Inc.から商業的に入手できるLuna(登録商標)の商品名の他の媒体のものと比較した。
【0069】
それぞれのカラムに関する分離方法として逆相クロマトグラフィーを用いた。表1に列記するペプチドの混合物(GY (238 Da)、VYV (379 Da)、Met Enkephalin (YGGFM, 573 Da)、Anglotensin II (DRVYIHPF, 1045 Da)、及びLeu Enkephalin (YGGFL, 555 Da))を、以下の条件下でそれぞれのカラム(4.6mm×250mm)中に注入した。移動相は水中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒A;及びアセトニトリル中の0.085%v/v−TFAを含む溶媒B;を含んでいた。カラムを10%の溶媒B及び90%の溶媒Aで30分間平衡化し;次に溶媒Bを10%から40%に増加させ(60%の溶媒A);40%での溶媒Bの流れを5分間保持し;次に溶媒Bを40%から90%に増加させ(10%の溶媒A);90%での溶媒Bの流れを5分間保持する;勾配プロセスを用いた。流速は1.0mL/分であった。カラムを25℃の室温で運転した。UVD 170S検出器(Dionex Corp., Sunnyvale, CAから入手できる)を用いて225nmにおいて検出を行った。この分析においては、Dionex HPLCシステム(Dionex Corp.から入手できるP580 HPG高圧勾配バイナリーポンプ)、Rheodyne手動注入器(IDEX Corp.から入手できる)、及びCHROMELEON(登録商標)データシステム(Dionex Corp.から入手できる)も用いた。結果を図6及び表2に示す。これらは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体を凌ぐそれぞれのペプチドピークの向上した分離能を示す。
【0070】
【表2】
【0071】
実施例7:
クロマトグラフィー媒体としてのシリカ粒子の使用:
本実施例においては、5μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して、ペプチドのような種々の生物学的物質を分離する能力を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のペプチド分離能を、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するAkzo Nobel ABから商業的に入手できるKromasil(登録商標)の商品名の他の媒体のものと比較した。
【0072】
それぞれのカラムに関する分離方法として逆相クロマトグラフィーを用いた。ペプチドの混合物(Ac-RGGGGLGLGK-アミド (911 Da)、RGAGGLGLGK-アミド (883 Da)、Ac-RGAGGLGLGK-アミド (926 Da)、Ac-RGVGGLGLGK-アミド (954 Da)、及びAc-RGVVGLGLGK-アミド (996 Da))を、以下の条件下でそれぞれのカラム(4.6mm×250mm)中に注入した。移動相は水中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒A;及びアセトニトリル中の0.085%v/v−TFAを含む溶媒B;を含んでいた。カラムを10%の溶媒B及び90%の溶媒Aで30分間平衡化し;次に溶媒Bを10%から40%に増加させ(60%の溶媒A);40%での溶媒Bの流れを5分間保持し;次に溶媒Bを40%から90%に増加させ(10%の溶媒A);90%での溶媒Bの流れを5分間保持する;勾配プロセスを用いた。流速は1.0mL/分であった。カラムを25℃の室温で運転した。UVD 170S検出器(Dionex Corp., Sunnyvale, CAから入手できる)を用いて225nmにおいて検出を行った。この分析においては、Dionex HPLCシステム(Dionex Corp.から入手できるP580 HPG高圧勾配バイナリーポンプ)、Rheodyne手動注入器(IDEX Corp.から入手できる)、及びCHROMELEON(登録商標)データシステム(Dionex Corp.から入手できる)も用いた。結果を図7に示す。これは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体を凌ぐそれぞれのペプチドピークの向上した分離能を示す。
【0073】
実施例8:
クロマトグラフィー媒体としてのシリカ粒子の使用:
本実施例においては、5μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して、ペプチドのような目標の生物学的物質を不純物から分離する能力を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のペプチド分離能を、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するAkzo Nobel ABから商業的に入手できるKromasil(登録商標)の商品名の他の媒体のものと比較した。
【0074】
それぞれのカラムに関する分離方法として逆相クロマトグラフィーを用いた。Bachem, Inc.から入手できる粗合成ペプチド、及び2種類の不純物の混合物を、以下の条件下でそれぞれのカラム(4.6mm×150mm)中に注入した。移動相は水中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒A;及びアセトニトリル中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒B;を含んでいた。カラムを15%の溶媒B及び85%の溶媒Aで30分間平衡化し;次に溶媒Bを15%から50%に増加させ(50%の溶媒A);50%での溶媒Bの流れを1分間保持し;次に溶媒Bを50%から80%に増加させ(20%の溶媒A);80%での溶媒Bの流れを5分間保持する;勾配プロセスを用いた。流速は0.8mL/分であった。カラムを22℃の室温で運転した。UVD 170S検出器(Dionex Corp., Sunnyvale, CAから入手できる)を用いて220nmにおいて検出を行った。この分析においては、Dionex HPLCシステム(Dionex Corp.から入手できるP580 HPG高圧勾配バイナリーポンプ)、Rheodyne手動注入器(IDEX Corp.から入手できる)、及びCHROMELEON(登録商標)データシステム(Dionex Corp.から入手できる)も用いた。結果を図8及び表3に示す。これらは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体を凌ぐ近接して溶出された不純物からのペプチドピークの向上した分離能を示す。
【0075】
【表3】
【0076】
実施例9:
クロマトグラフィー媒体としてのシリカ粒子の使用:
本実施例においては、5μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して、ペプチドのような目標の生物学的物質を不純物から分離する能力を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のペプチド分離能を、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する4μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するPhenomenex, Inc.から商業的に入手できるJupiter(登録商標)の商品名の他の媒体のものと比較した。
【0077】
それぞれのカラムに関する分離方法として逆相クロマトグラフィーを用いた。Biopeptide Co., Inc.から入手できる粗合成ペプチドの混合物を、以下の条件下でそれぞれのカラム(4.6mm×250mm)中に注入した。移動相は水中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒A;及びアセトニトリル中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒B;を含んでいた。カラムを20%の溶媒B及び80%の溶媒Aで20分間平衡化し;次に溶媒Bを20%から40%に増加させる(60%の溶媒A);勾配プロセスを用いた。流速は1.0mL/分であった。カラムを25℃の室温で運転した。UVD 170S検出器(Dionex Corp., Sunnyvale, CAから入手できる)を用いて220nmにおいて検出を行った。この分析においては、Dionex HPLCシステム(Dionex Corp.から入手できるP580 HPG高圧勾配バイナリーポンプ)、Rheodyne手動注入器(IDEX Corp.から入手できる)、及びCHROMELEON(登録商標)データシステム(Dionex Corp.から入手できる)も用いた。結果を図9に示す。これは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体を凌ぐ近接して溶出された不純物からのペプチドピークの向上した分離能を示す。
【0078】
実施例10:
クロマトグラフィー媒体としてのシリカ粒子の使用:
本実施例においては、5μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して、ペプチドのような目標の生物学的物質を不純物から分離する能力を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のペプチド分離能を、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するAkzo Nobel ABから商業的に入手できるKromasil(登録商標)、及びシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するPhenomenex, Inc.から商業的に入手できるLuna(登録商標)などの他の媒体のものと比較した。
【0079】
それぞれのカラムに関する分離方法として逆相クロマトグラフィーを用いた。Karolinska Institutet, Stockholm, Swedenから入手できる血管作用性腸管ペプチド(28−アミノ酸ペプチド、HSDAVFTDNYTRLRKQMAVKKYLNSILN-アミド、分子量3325.8)、及び2種類の不純物の混合物を、以下の条件下でそれぞれのカラム(4.6mm×250mm)中に注入した。移動相は水中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒A;及びアセトニトリル中の0.085%v/v−TFAを含む溶媒B;を含んでいた。カラムを20%の溶媒B及び80%の溶媒Aで30分間平衡化し;次に溶媒Bを20%から40%に増加させ(60%の溶媒A);40%での溶媒Bの流れを5分間保持し;次に溶媒Bを40%から90%に増加させ(10%の溶媒A);90%での溶媒Bの流れを5分間保持する;勾配プロセスを用いた。流速は1.0mL/分であった。カラムを25℃の室温で運転した。UVD 170S検出器(Dionex Corp., Sunnyvale, CAから入手できる)を用いて225nmにおいて検出を行った。この分析においては、Dionex HPLCシステム(Dionex Corp.から入手できるP580 HPG高圧勾配バイナリーポンプ)、Rheodyne手動注入器(IDEX Corp.から入手できる)、及びCHROMELEON(登録商標)データシステム(Dionex Corp.から入手できる)も用いた。結果を図10及び表4に示す。これらは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体を凌ぐ近接して溶出された不純物からのペプチドピークの向上した分離能を示す。
【0080】
【表4】
【0081】
実施例11:
クロマトグラフィー媒体としてのシリカ粒子の使用:
本実施例においては、5μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して、カラムのインシュリン正面充填容量を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC8シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のインシュリン充填容量を、シリカ表面に共有結合しているC8シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するAkzo Nobel ABから商業的に入手できるKromasil(登録商標)、及びシリカ表面に共有結合しているC8シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するYMC Co., Ltdから商業的に入手できるHydrosphereなどの他の媒体のものと比較した。
【0082】
以下の条件下でそれぞれのカラム(2.1mm×50mm)を用いて分離法として逆相クロマトグラフィーを用いた。移動相は水中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒A;及び5mLのアセトニトリル、2mLの50%氷酢酸、及び43mLのDI水中に250mgのインシュリンを含む溶媒B;を含んでいた。これをDI水中の0.1%−TFAで1:5に希釈して1mg/mLのインシュリン溶液を形成した。カラムを100%の溶媒Aで平衡化し;次に1分間で溶媒Bを0%から100%に増加させ;100%での溶媒Bの流れを200分間保持し;次に1分間で溶媒Aを0%から100%に増加させる(0%の溶媒B);勾配プロセスを用いた。流速は0.2mL/分であった。カラムを25℃の室温で運転した。UVD 170S検出器(Dionex Corp., Sunnyvale, CAから入手できる)を用いて276nmにおいて検出を行った。この分析においては、Dionex HPLCシステム(Dionex Corp.から入手できるP580 HPG高圧勾配バイナリーポンプ)、Rheodyne手動注入器(IDEX Corp.から入手できる)、及びCHROMELEON(登録商標)データシステム(Dionex Corp.から入手できる)も用いた。下記の等式からそれぞれの材料の容量を算出した。
【0083】
【化1】
【0084】
結果を図11に示す。これは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体のものを凌ぐ向上したインシュリン充填容量を示す。例えば、本発明のシリカを用いるカラムのインシュリン充填容量は154mg/mLであり、一方、Hydrosphere及びKromasil媒体は、それぞれ133mg/mL及び14mg/mLのインシュリン充填容量を与え、これは約10〜約1000%高い回収率に相当する。
【0085】
本発明を限られた数の態様によって説明したが、これらの特定の態様は本明細書において記載され特許請求されている発明の範囲を限定することを意図するものではない。更なる修正及び変更が可能であることは、本明細書中の代表的な態様を検討することにより当業者に明らかである。実施例及び明細書の残りの部分における全ての部及びパーセントは、他に特定しない限り重量基準である。更に、明細書又は特許請求の範囲において示す全ての数値範囲、例えば特定の特性の組、測定値の単位、条件、物理的状態、又は割合を示すものは、明らかに、言及するか又は他の方法で示すかかる範囲内に含まれる全ての数、並びにそのように示されている全ての範囲内の数の全ての部分集合を文字通り含むものであると意図される。例えば、下限RL及び上限RUを有する数値範囲が開示されている場合には常に、この範囲内に含まれる任意の数Rが具体的に開示されている。特に、この範囲内の次式の数R:R=RL+k(RU−RL)(式中、kは1%の増分で1%〜100%の範囲の変数であり、例えばkは、1%、2%、3%、4%、5%、・・・50%、51%、52%、・・・95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である)が具体的に開示されている。更に、上記で算出されるRの任意の二つの値によって表される任意の数値範囲も、具体的に開示されている。本明細書において示し記載したものに加えて、本発明の任意の修正は、上記の記載及び添付の図面から当業者に明らかとなろう。かかる修正は、特許請求の範囲内に包含されると意図される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ粒子、シリカ粒子を含む組成物、シリカ粒子の製造方法、及びシリカ粒子の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムにおいては、密な分離媒体を与えるために充填媒体を比較的高い充填圧力にかける。例えば、1500psi以下又はこれより高い充填圧力が典型的な充填圧力である。かかる高い充填圧力に曝露している間に、充填媒体、例えばシリカ粒子の一部が破壊されて粒子状物質の微粉を形成する可能性がある。充填プロセス中に生成する微粉の量が増加すると、カラムを通る流体の流れに対する過剰の抵抗、カラムを通る非均一な流体の流れ、及び減少したカラム効率など(しかしながら、これらに限定されない)の数多くのプロセスの問題が導かれる可能性がある。
【0003】
当該技術において、最適のヤング率を有するシリカ粒子のような粒子を開発して、粒子がカラム充填中に控えめにしか弾性降伏しないようにする努力が継続されている。粒子の弾性率が低すぎると、過剰の弾性粒子変形によって上記に記載のもののようなプロセスの問題(例えば流体の流れに対する高い抵抗)が引き起こされる可能性がある。しかしながら、粒子の弾性率が高すぎると、粒子のカラムが適度な安定性に欠ける可能性がある。使用中において、及びシステムに機械的衝撃を与えると、非常に高い弾性の粒子が位置をシフトして、それにより流体の流れの均一性が低下し、カラム効率が減少する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充填カラムにおいて用いる場合に、カラムの内部に「内部バネ効果」を生成する、即ち充填圧力にかけた場合にシリカ粒子がある程度の圧縮を受けるが破壊に対して抵抗性を示す最適の弾性率を有するシリカ粒子に関する必要性が当該技術において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、新規なシリカ粒子を発見することによって上記で議論した困難性及び問題点の幾つかに取り組むものである。本シリカ粒子は、シリカ粒子が充填されたカラム内において「内部バネ効果」を与える最適のヤング率を有する。本シリカ粒子は、塑性変形に対して高い抵抗性の内部、及び弾性変形に対して低い抵抗性(即ち低弾性率)を有する表面を有すると考えられる。この新規なシリカ粒子は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムにおいてクロマトグラフィー媒体として用いるのに特に好適である。この新規なシリカ粒子は、典型的には、高度に球状で、多孔質で、実質的にマクロ孔を有さないアモルファスのシリカ粒子であり、表面変性を行わずに(即ち、非結合形又は正常相で)、或いは表面変性を行って(即ち、結合形、又は逆相、HIC等で)、クロマトグラフィー媒体として用いることができる。
【0006】
1つの代表的な態様においては、本発明のシリカ粒子は、(i)第1の弾性率を有する内部部分、及び(ii)第2の弾性率を有する粒子の外表面部分を含み、第1の弾性率が第2の弾性率よりも大きい、多孔質シリカ粒子を含む。与えられたシリカ粒子内での弾性率の相違は、シリカ粒子の領域内の孔密度の変動の結果である可能性がある。例えば、シリカ粒子の内部領域は、同じシリカ粒子の外表面領域よりも低い孔密度を有する可能性がある。
【0007】
他の代表的な態様においては、本発明のシリカ粒子は、少なくとも約100MPaの塑性変形、及び約4GPa未満の弾性変形を有する多孔質シリカ粒子を含む。高い塑性変形及び低い弾性変形によって、かかるシリカ粒子は、クロマトグラフィー媒体として用いる場合に、粒子に損傷を与えることなくクロマトグラフィーカラム内に効率的に充填することができる。
【0008】
本発明は、またシリカ粒子の製造方法にも関する。1つの代表的な方法においては、シリカ粒子の製造方法は、部分的に加水分解された材料を形成するように有機シリケートを部分的に加水分解し;部分的に加水分解された材料を蒸留して、エチルアルコールを除去し、蒸留された部分的に加水分解された材料を形成し;極性連続相中に部分的に加水分解されたシリケートの液滴を形成するように、蒸留された部分的に加水分解された材料を極性連続相中で乳化し;球状の多孔質粒子を形成するように、水酸化アンモニウムを用いる縮合反応によって液滴をゲル化し;球状の多孔質粒子を洗浄し;球状の多孔質粒子を水熱熟成し;そして、球状の多孔質粒子を乾燥して乾燥した多孔質粒子を形成する;ことを含む。
【0009】
本発明は更に、シリカ粒子を使用する方法に関する。シリカ粒子を使用する1つの代表的な方法においては、該方法は、(i)第1の弾性率を有する内部部分、及び(ii)第2の弾性率を有する粒子の外表面部分を含み、第1の弾性率が第2の弾性率よりも大きい少なくとも1つの多孔質シリカ粒子をクロマトグラフィーカラム中に導入することを含むクロマトグラフィーカラムの製造方法を含む。シリカ粒子を用いる更なる代表的な方法は、上記に記載のクロマトグラフィーカラムを用いて、1以上の材料をクロマトグラフィーカラムに通しながら互いに分離することを含むことができる。
【0010】
本発明は更に、(i)第1の弾性率を有する内部部分、及び(ii)第2の弾性率を有する粒子の外表面部分を含み、第1の弾性率が第2の弾性率よりも大きい少なくとも1つの多孔質シリカ粒子を含むクロマトグラフィーカラム、クロマトグラフィーカラムの製造方法、及びクロマトグラフィーカラムの使用方法に関する。
【0011】
本発明のこれらの及び他の特徴並びに有利性は、開示された態様の以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を検討した後には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の代表的なシリカ粒子の拡大図を示す。
【図2A】図2Aは、階段状の特性勾配を有する本発明の代表的なシリカ粒子の横断面図を示す。
【図2B】図2Bは、実質的に連続的な特性勾配を有する本発明の代表的なシリカ粒子の横断面図を示す。
【図3】図3は、本発明の代表的なシリカ粒子をHPLCカラム内に充填する前及び後の粒径分析を示す。
【図4】図4は、HPLCカラム内に充填した後の本発明の代表的なシリカ粒子の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【図5】図5は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子のカラム充填効率を示す。
【図6】図6は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子のペプチド選択性を示すクロマトグラフを示す。
【図7】図7は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子の純合成ペプチド選択性を示すクロマトグラフを示す。
【図8】図8は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子の粗合成ペプチド選択性を示すクロマトグラフを示す。
【図9】図9は、本発明の代表的なシリカ粒子及び従来のシリカ粒子を用いた粗20−AA合成ペプチドのクロマトグラフを示す。
【図10】図10は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子の血管作用性腸管ペプチド(VIP)選択性を示すクロマトグラフを示す。
【図11】図11は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子のインシュリン充填容量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の原理の理解を促進するために、以下において本発明の特定の態様を説明し、特定の用語を用いて特定の態様を説明する。しかしながら、特定の用語を用いることによって本発明の範囲を限定する意図はないことが理解されよう。議論される本発明の原理の変更、更なる修正、及び更なる適用は、本発明が属する技術の当業者が一般的に想到するものであると考えられる。
【0014】
本発明は多孔質シリカ粒子に関する。本発明は更に、多孔質シリカ粒子の製造方法、並びに多孔質シリカ粒子の使用方法に関する。代表的な多孔質シリカ粒子、多孔質シリカ粒子の製造方法、及び多孔質シリカ粒子の使用方法の説明を以下に与える。
【0015】
I.シリカ粒子:
本発明のシリカ粒子は、本シリカ粒子が公知のシリカ粒子と比較して1以上の有利性を与えることができる物理的構造及び特性を有する。
【0016】
A.シリカ粒子の物理的構造:
本発明のシリカ粒子は、平均最大粒子寸法(即ち最大直径寸法)を有する球状の粒子形状を有する。典型的には、本発明のシリカ粒子は、約700μm未満、より典型的には約100μm未満の平均最大粒子寸法を有する。本発明の1つの望ましい態様においては、シリカ粒子は約1.0〜約100μm、より望ましくは約3.0〜約20μmの平均最大粒子寸法を有する。
【0017】
本発明の多孔質シリカ粒子は、典型的には、例えば透過電子顕微鏡(TEM)法を用いて測定して約1.4未満のアスペクト比を有する。ここで用いる「アスペクト比」という用語は、(i)シリカ粒子の平均最大粒子寸法と(ii)シリカ粒子の平均最大横断面粒子寸法(ここで、横断面粒子寸法は、シリカ粒子の最大粒子寸法に対して実質的に直交方向のものである)との間の比を表すように用いる。本発明の幾つかの態様においては、シリカ粒子は約1.3未満(又は約1.2未満、又は約1.1未満、又は約1.05未満)のアスペクト比を有する。典型的には、シリカ粒子は約1.0〜約1.2のアスペクト比を有する。
【0018】
本発明の多孔質シリカ粒子は、また、本シリカ粒子を望ましいクロマトグラフィー媒体にする孔容積を有する。典型的には、シリカ粒子は、窒素ポロシメトリーによって測定して少なくとも約0.40cc/gの孔容積を有する。本発明の1つの代表的な態様においては、多孔質シリカ粒子は、窒素ポロシメトリーによって測定して約0.40cc/g〜約1.4cc/gの孔容積を有する。本発明の他の代表的な態様においては、多孔質シリカ粒子は、窒素ポロシメトリーによって測定して約0.75cc/g〜約1.1cc/gの孔容積を有する。
【0019】
本発明の多孔質シリカ粒子は少なくとも約40Åの平均孔直径を有する。本発明の1つの代表的な態様においては、シリカ粒子は約40Å〜約700Åの平均孔直径を有する。本発明の更なる代表的な態様においては、シリカ粒子は約90Å〜約150Åの平均孔直径を有する。
【0020】
本発明の多孔質シリカ粒子は、また、BET窒素吸着法(即ち、Brunauer Emmet Teller法)によって測定して少なくとも約150m2/gの表面積を有する。本発明の1つの代表的な態様においては、シリカ粒子は約200m2/g〜約450m2/gのBET表面積を有する。本発明の更なる代表的な態様においては、シリカ粒子は約260m2/g〜約370m2/gのBET表面積を有する。
【0021】
1,000倍の走査電子顕微鏡写真(SEM)によって与えられる、本発明の代表的なシリカ粒子の拡大図を図1に示す。図1において示されているように、代表的なシリカ粒子10は、球状の形状、及び比較的狭い粒径分布を有する。更に、図2A及び2Bにおいて示されているように、代表的なシリカ粒子10は、粒子の横断面に沿った粒子特性勾配を有すると考えられる。
【0022】
図2Aにおいて示されているように、本発明の1態様においては、代表的なシリカ粒子10は、代表的なシリカ粒子10の内部12と外表面11との間に階段状の特性勾配を有すると考えられる。例えば、代表的なシリカ粒子10は、内部領域13内においてより高いヤング率、及び表面領域14内においてより低いヤング率を有することができる。例えば、代表的なシリカ粒子10は、内部領域13内においてより高いヤング率(又はより低い孔密度)、及び表面領域14内においてより低いヤング率(又はより高い孔密度)を有することができる。この態様においては、代表的なシリカ粒子10の内部12と外表面11との間に異なる粒子特性を有する2つより多い領域が存在していてもよいことを留意すべきである。
【0023】
図2Bにおいて示されているように、本発明の他の態様においては、代表的なシリカ粒子10は、内部12における内部値から外表面11に沿った表面値へと変化する実質的に連続の特性勾配を有すると考えられる。例えば、代表的なシリカ粒子10は、内部12において最大のヤング率(又は最小の孔密度Pmin)、及び外表面11に沿って最小のヤング率(又は最大の孔密度Pmax)を有していてよい。この態様においては、最大又は最小の特性値(例えば、最小孔密度Pmin)は、図2Bにおいて示されるような内部12ではなく、代表的なシリカ粒子10の内部12と外表面11との間の幾つかの点において存在していてもよいことを留意すべきである。
【0024】
B.シリカ粒子の特性:
本発明のシリカ粒子の上記に記載の物理特性の結果として、本シリカ粒子はHPLC用途においてクロマトグラフィー媒体として用いるのに良く適している。実質的に球状の形状により、均一な充填及びしたがってHPLCカラムを通る液体のより均一な流れが可能であり、これによってより良好なカラム効率が得られる。更に、シリカ粒子の塑性変形特性により、本発明のシリカ粒子は充填圧力に曝露した際に破壊抵抗性を示し、これにより流体の流れに対する過剰の抵抗が防止され、HPLCカラムを通る均一な流体の流れが保持される。
【0025】
上記で議論したように、本発明のシリカ粒子は、カラム充填中に粒子が控えめに弾性降伏するのを可能にするが、粒子の破壊を引き起こすのには十分ではない最適のヤング率を有するように思われる。本発明のシリカ粒子は、HPLCカラム内で用いた場合に、動的軸圧縮によって達成されるものと同じ様にカラムを安定化する「内部バネ効果」を与える。
【0026】
更に、上記で議論したように、本発明のシリカ粒子は弾性率の放射状に広がる特性勾配を有すると考えられる。より具体的には、本発明のシリカ粒子は、シリカ粒子の内部領域よりも好適に低い弾性率を有する表面領域を有する。かかる粒子の構成により、本発明のシリカ粒子が何故にかかる安定化充填カラム(即ち、低い粒子移動及びカラム内の空隙形成)を形成するかが説明される。本発明のシリカ粒子は、粒子の表面においてはより大きな弾性変形を有するが、粒子の内部に向かって弾性率がより高くなっていて、内部の弾性率により粒子が全粒子(即ち塑性)変形を起こして粒子の破壊及び流体の流れに対する高い抵抗を引き起こすことが防止される。
【0027】
更に、本発明のシリカ粒子の考えられている多孔性勾配により、本シリカ粒子は充填カラムにおいて用いた場合に良好な物質移動特性を与える。クロマトグラフィー分離においては、分子の殆どは粒子の最中心部には拡散しないので、上記に記載の放射状に広がる多孔性勾配によって粒子内部への及び粒子の外への物質移動を増加させて改良されたカラム効率を得ることができる。
【0028】
1態様においては、本発明の粒子は、原子間力顕微鏡測定(AFM)によって測定して少なくとも約100MPa、典型的には少なくとも約200MPa、より典型的には少なくとも約300MPa、更により典型的には少なくとも約400MPaの硬度又は塑性変形を有する。AFMは、Veeco Instrumentsから入手できるNanoman II SPMシステムを用い、ダイアモンドチッププローブによって30μNの力で行う。硬度は、式:硬度=力/面積(ここで、面積はプローブによって形成される凹みの寸法である)によって求められる。AFMは、「原子間力顕微鏡を用いるナノスケールでの弾性率測定の理論モデル及び実施」, Journal of Physic: Conference Series 61, pp 1303-07, 2007に記載されているようにして行う。
【0029】
他の態様においては、本発明の粒子は、AFMによって測定して約4GPa未満、典型的には約3GPa未満、より典型的には約2GPa未満、更により典型的には約1GPa未満のヤング率又は弾性変形を有する。AFMは、Veeco Instrumentsから入手できるNanoman II SPMシステムを用い、ダイアモンドチッププローブによって3.297μNの力で行う。ヤング率は、「負荷及び置換感受性圧入実験を用いる硬度及び弾性率の測定のための改良された方法」, J. Mater. Res. vol.7, pp 1564-83, 1992に記載されているようにしてOliver-Pharr分析によって測定する。
【0030】
他の代表的な態様においては、本発明のシリカ粒子は、少なくとも約100MPaの塑性変形及び約4GPa未満の弾性変形、好ましくは少なくとも約100MPaの塑性変形及び約3GPa未満の弾性変形、更により好ましくは少なくとも約100MPaの塑性変形及び約2GPa未満の弾性変形を有する多孔質シリカ粒子を含む。更に、本発明のシリカ粒子は、例えば少なくとも約100MPa(又は200MPa、300MPa、或いは400MPa等)の塑性変形及び約4GPa(又は3GPa、又は2GPa、又は1GPa等)未満の弾性変形のような、ここで示す塑性変形と弾性変形の特性の任意の組み合わせを有することができる。高い塑性変形及び低い弾性変形によって、かかるシリカ粒子をクロマトグラフィー媒体として用いる場合に、粒子に対して損傷を与えることなくクロマトグラフィーカラム内に効率的に充填することができる。
【0031】
開示したシリカ粒子の上記で言及した特性を、図3〜5を参照して更に詳細に説明する。図3は、本発明の代表的なシリカ粒子をHPLCカラム内に充填する前及び後の粒径分析を示す。図3において示されているように、本発明のシリカ粒子は、(1)商業的に入手できるシリカ粒子であるEka Nobel ABから入手できるKromasil(登録商標) 10ミクロンC18に関する「前」及び「後」の数(%)ラインと比較した、本発明のシリカ粒子に関する「前」及び「後」の数(%)ラインの近似性;及び(2)商業的に入手できるシリカ粒子に関する増加した微粉の数と比較した、本発明のシリカ粒子に関して生成した最小の微粉量;によって示される動的軸圧縮充填中のより少ない粒子破壊を示す。本発明の粒子をカラム内に充填した後においては粒径分布は実質的には変化しないが、これに対して商業的に入手できる媒体の粒径分布は大きく異なる。例えば、本発明の粒子によれば最小の微粉(例えば全数を基準として約50%未満の数の<5μmの微粉)が生成し、これに対して商業的に入手できる粒子によれば遙かに多くの微粉(例えば全数を基準として50%より多い数の<5μmの微粉)が生成する。好ましくは、本発明の粒子の充填中に、約40%未満、より好ましくは約30%未満、更により好ましくは約20%未満(即ち、15%、10%、5%、4%、3%、2%等)の数の微粉が生成する。
【0032】
図4は、HPLCカラム内に動的軸圧縮充填した後の本発明の代表的なシリカ粒子の走査電子顕微鏡(SEM)画像(倍率=500)(右側の画像)と、HPLCカラム内に動的軸圧縮充填した後の上記で言及した商業的に入手できるシリカ粒子のSEM画像(左側の画像)とを示す。左側の画像は上記で言及した商業的に入手できるシリカ粒子の動的軸圧縮充填中に生成した微粉を示し、一方、右側の画像は本発明のシリカ粒子の動的軸圧縮充填中に生成する微粉を本質的に含まない。
【0033】
図5は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子のカラム充填効率を示す。図5において示されているように、本発明のシリカ粒子は、商業的に入手できるシリカ粒子である、Eka Nobel ABから入手できるKromasil 10ミクロンC18、及びDaiso Co., Ltd.から入手できるDaiso 10ミクロンC18と比較して最も高いプレート/メートルの値を示した。
【0034】
II.シリカ粒子の製造方法:
本発明はまた、シリカ粒子の製造方法にも関する。本発明のシリカ粒子を形成するために用いる原材料、及び本発明のシリカ粒子を形成するための方法工程を以下に議論する。
【0035】
A.原材料:
本発明のシリカ粒子の製造方法は、多数のケイ素含有原材料から形成することができる。好適なケイ素含有原材料としては、Sigma-Aldrich Co.(St. Louis, MO)などの数多くの供給源から商業的に入手できるテトラエチルオルトシリケート(TEOS);Silbond Corporation (Weston, MI)から商業的に入手できるSILBONDTM40又はSILBONDTM 50のような部分的にオリゴマー化されたシリケート;Dynasil Corporation (West Berlin, NJ)から商業的に入手できるDYNASILTM 40のような部分的にオリゴマー化されたシリケート;及びWacker Chemie AG(Munich, Germany)から商業的に入手できるTES 40 WNのような部分的にオリゴマー化されたシリケート;が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
1つの望ましい態様においては、SILBONDTM40を用いて「小分子」生成物を形成する。ここで用いる「小分子」生成物という用語は、小分子クロマトグラフィー用途において特に有用な本発明のシリカ粒子を示すように用いる。本発明の「小分子」シリカ粒子は、典型的には、約0.75〜約1.1cc/gの範囲のN2孔容積;約260〜約370m2/gの範囲のN2表面積;及び約90〜約150Åの範囲の平均孔直径;を有する。
【0037】
B.プロセス工程:
本発明のシリカ粒子は、典型的には、上記に記載のもののような有機シリケートを部分的に加水分解し、蒸留し、次により極性の連続相中に分散させて、部分的に加水分解したシリケートの極性連続相中での非混和性によって小滴を形成する多工程プロセスを用いて製造する。これらの液滴は、次に、水酸化アンモニウムによって触媒する縮合反応の結果としてゲル化する。得られる球状の多孔質粒子を次に洗浄し、水熱熟成し、乾燥する。水熱熟成及び乾燥工程中のプロセス条件が、得られる粒子の孔構造を制御するのに特に重要であることが見出された。得られる多孔質シリカ粒子は、次に、従来の手段(例えば水簸又は空気分級)によって適当に狭い粒径分布に分級することができる。種々のプロセス工程の更なる説明を以下に与える。
【0038】
1.部分的加水分解工程:
加水分解の程度は、望ましい物理特性(例えば最適のヤング率、粒径等)を有するシリカ粒子を得るために重要なプロセスパラメーターである。例えば、過度の加水分解は粒子形成工程の連続相中に完全に混和性の溶液を与える可能性があり、一方、加水分解が不足するとその後の縮合(即ちゲル化)工程中に反応性が低すぎる物質を与える可能性がある。
【0039】
部分的加水分解は、典型的には0.1MのHCl(水溶液)を用いて行うが、他の酸を同様に用いることができる。この混合物に(撹拌しながら)エチルアルコール(EtOH)を加えて、有機シリケートと水相との間の非混和性を克服する。反応は雰囲気温度において自発的に進行する。1つの代表的な反応物質の組み合わせは、100.0gのSILBONDTM 40、21.5gのEtOH、及び4.6gの0.1M−HCl(水溶液)を含む。
【0040】
2.蒸留工程:
部分的に加水分解した材料(PHS)の蒸留を行ってEtOH(即ち、加えたものと加水分解工程中に副生成物として形成されたものの両方)を除去することができる。蒸留工程により、マクロ孔を含まない粒子の形成が最小になるか及び/又は排除される。ここで用いる「マクロ孔を含まない粒子」という用語は、実質的に連続なミクロ細孔粒子構造を有するシリカ粒子を指す。蒸留は、典型的には、真空下(即ち100Torr未満)、約90℃において、EtOHを除去するのに必要な時間(典型的には約1時間未満)行う。
【0041】
3.粒子形成(乳化)工程:
粒子の形成は、PHSをアンモニア処理した水相中に乳化させることによって行う。得られる小滴は、PHSが関与するアンモニア接触縮合反応によって速やかにゲル化(即ち固化)する。
【0042】
1〜100μmの粒径範囲のシリカ粒子を製造するために2種類の方法が用いられている。第1の方法は、Cowlesミキサーを用いる2工程のバッチ法である。第1工程、即ち液滴形成工程においては、蒸留したPHSをイソプロピルアルコール(IPA)/水溶液(例えば30重量%のIPA水溶液)中で乳化させる。次に、第2工程において連続的に混合しながらNH4OHを加えて縮合反応を進行させて、多孔質の球状粒子の固化を行う。ブレードチップ速度(例えば、速度がより速いとより小さな粒子が製造される)及び連続相の組成(例えば、アルコールがより多いとより小さな粒子が製造される)を組み合わせることによって平均粒径を制御する。
【0043】
シリカ粒子を製造するための第2の方法は、インラインスタティックミキサーを用いてPHSを30重量%−IPA/1重量%−NH4OH水溶液中に乳化することを用いる。この場合においては、インラインミキサーを通る速度がより速いとより小さな粒径が得られる。
【0044】
4.濾過/デカンテーション工程:
粒子形成工程に続いて、典型的には濾過及びデカンテーションを用いて、過剰のアルコール及びアンモニアをシリカ生成物から除去する。典型的な濾過/デカンテーション工程においては、上記に記載の粒子形成工程から得られるフィルターケーキを脱イオンH2O(例えば12Lの脱イオンH2O)中に再懸濁し、次に一晩(例えば12時間)沈降させる。沈降時間の後に、粒子を含む溶液をデカンテーションして液体の大部分を除去する。
【0045】
5.水熱熟成工程:
水熱熟成工程を用いて多孔質シリカ粒子の内表面積を減少させることができる。シリカゲルの製造と同様にして、より厳しい熟成(即ち、より長く、より熱く、及び/又はよりアルカリ性)によって、より多い表面積の減少、及びより大きい乾燥中の粒子多孔度(孔容積)の保持が得られる。熟成工程の終了時においては、十分な脱イオン水を加えて冷却し、これにより熟成プロセスをクエンチする。
【0046】
1つの代表的な態様においては、水熱熟成工程は、上記に記載のデカンテーション/濾過工程において形成される沈降シリカケーキを、十分量の脱イオン水中に再懸濁して撹拌しうるスラリー(例えば、約1Lの添加水中に乾燥基準で約1kgのシリカケーキ)を形成することを含む。次に、撹拌されたスラリーを約75℃に約90分間加熱する。雰囲気温度の約12Lの脱イオン水(1Lの加熱水あたり)を加えることにより熟成を停止する。次に、懸濁液を濾過するか、又は沈降及びデカンテーションする。
【0047】
6.乾燥工程:
乾燥速度も最終シリカ生成物の表面積及び孔容積に影響を与える。1つの代表的な態様においては、乾燥工程は、約1.25cmのシリカケーキの厚さを形成するように、デカンテーションした体積のシリカ生成物又はシリカ生成物のフィルターケーキをトレー中に拡げ;シリカケーキを含むトレーを重力対流オーブン内に約140℃のオーブン温度で約20時間配置し;トレー及びシリカをオーブンから取り出し;シリカを回収する;ことを含む。乾燥したシリカ材料は、次に、引き続く場合によって用いるサイジング及び結合工程のために備えられる。
【0048】
III.シリカ粒子の使用方法:
本発明は更に、シリカ粒子を使用する方法に関する。上記で議論したように、本シリカ粒子はクロマトグラフィー媒体として用いることができる。シリカ粒子をクロマトグラフィー媒体として用いる種々の方法を図6〜11に示す。
【0049】
図6は、従来のシリカ粒子であるPhenomenex Inc.から入手できるLuna 5ミクロンC18と比較した本発明の代表的なシリカ粒子のペプチド選択性を示すクロマトグラフを示す。
図7は、従来のシリカ粒子であるAkzo Nobel ABから入手できるKromasil 5ミクロンC18と比較した本発明の代表的なシリカ粒子の純合成ペプチド選択性を示すクロマトグラフを示す。
【0050】
図8は、従来のシリカ粒子であるAkzo Nobel ABから入手できるKromasil 5ミクロンC18と比較した本発明の代表的なシリカ粒子の粗合成ペプチド選択性を示すクロマトグラフを示す。
【0051】
図9は、本発明の代表的なシリカ粒子、及び従来のシリカ粒子であるPhenomenex Inc.から入手できるJupiter Proteo 5ミクロンC18を用いた粗20-AA合成ペプチドのクロマトグラフを示す。
【0052】
図10は、従来のシリカ粒子と比較した本発明の代表的なシリカ粒子の血管作用性腸管ペプチド(VIP)選択性を示すクロマトグラフを示す。
図11は、従来のシリカ粒子であるAkzo Nobel ABから入手できるKromasil 5ミクロンC8、及びYMC Co., Ltd.から入手できるHydrosphere 5ミクロンC8と比較した本発明の代表的なシリカ粒子のインシュリン充填容量を示す。
【実施例】
【0053】
以下の実施例によって本発明を更に示すが、これらはいかなるようにも発明の範囲に対して限定を加えるものとは解釈されない。それどころか、本解決手段は種々の他の態様、変更、及びその均等物を有することができ、これらは本明細書中の記載を読んだ後は、本発明の精神及び/又は特許請求の範囲から逸脱することなくそれ自体当業者に示唆されることを明確に理解すべきである。
【0054】
実施例1:
部分的に加水分解された材料(PHS)の製造:
230gの0.1M−HCl溶液(水溶液)を撹拌しながら5,000gのSILBONDTM 40に加えた。次に、SILBONDTM40と水相との間の非混和性を克服するために、1075gのEtOHを撹拌しながらこの混合物に加えた。反応は雰囲気温度において自発的に進行した。
【0055】
得られた部分的に加水分解された材料(PHS)を蒸留して、混合物に加えたEtOH及び加水分解工程中に副生成物として形成されたEtOHを除去した。蒸留は真空下(<100Torr)、90℃において行った。
【0056】
実施例2:
バッチ混合を用いる「小分子」シリカ粒子の製造:
実施例1において形成された3,800gの蒸留PHSを、14,900gの30重量%IPA/水(予め調製して少なくとも16時間放置して脱気させた)中に注ぎ入れた。Cowlesミキサーを始動し、1160rpmに5分間設定して乳化を完了させた。次に、混合を継続しながら378gの30重量%NH4OHを加えた(全量を一回で)。溶液を1160rpmにおいて更に20分間混合し、この間に粒子のゲル化が完了した。シリカ懸濁液を一晩沈降させた。
【0057】
翌日、シリカ懸濁液を濾過し、得られたシリカケーキを12Lの脱イオンH2Oで再懸濁して過剰のアルコール及び/又はアンモニアを除去した。シリカ溶液を一晩沈降させ、翌日にデカンテーションした。この手順をもう1回繰り返した。
【0058】
デカンテーションした溶液からのシリカケーキを約1Lの脱イオン水中に再懸濁して撹拌しうるスラリーを形成した。次に、撹拌したスラリーを75℃に90分間加熱した。雰囲気温度の約12Lの脱イオン水を加えることによって熟成を停止した。次に、懸濁液を濾過して過剰の流体を除去した。
【0059】
シリカケーキ生成物をトレー中に拡げ、約1.25cmの厚さにならした。シリカケーキを含むトレーを140℃の重力対流オーブン内に20時間配置した。次に、トレー及びシリカをオーブンから取り出し、シリカを容器に詰めた。
【0060】
実施例3:
インラインスタティックミキサーを用いる「小分子」シリカ粒子の製造:
実施例1において形成された蒸留PHS(950mL/分)及び30%IPA/1%NH4OH水溶液(4,090mL/分)を、直径15.2cm(6インチ)のスタティックミキサーによって混合した。得られたシリカ粒子のスラリーを、次に、撹拌した容器中に流し入れた。シリカ懸濁液を一晩沈降させた。
【0061】
翌日、シリカ懸濁液を濾過し、得られたシリカケーキを12Lの脱イオンH2Oで再懸濁して過剰のアルコール及び/又はアンモニアを除去した。シリカ溶液を一晩沈降させ、翌日にデカンテーションした。この手順をもう1回繰り返した。
【0062】
デカンテーションした溶液からのシリカケーキを約1Lの脱イオン水中に再懸濁して撹拌しうるスラリーを形成した。次に、撹拌したスラリーを75℃に90分間加熱した。雰囲気温度の約12Lの脱イオン水を加えることによって熟成を停止した。次に、懸濁液を濾過して過剰の流体を除去した。
【0063】
シリカケーキ生成物をトレー中に拡げ、約1.25cmの厚さにならした。シリカケーキを含むトレーを140℃の重力対流オーブン内に20時間配置した。次に、トレー及びシリカをオーブンから取り出し、シリカを容器に詰めた。
【0064】
実施例4:
AFMによるシリカ粒子の試験:
本実施例においては、10μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をAFMによって試験して弾性変形及び塑性変形の特性を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。弾性変形及び塑性変形の特性を、商業的に入手できるシリカ粒子である、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する10μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するDaiso Co., Ltd.から商業的に入手できるDaiso SP-120-ODSと比較した。それぞれのシリカ粒子の弾性変形及び塑性変形の特性は、「原子間力顕微鏡を用いるナノスケールでの弾性率測定の理論モデル及び実施」, Journal of Physic: Conference Series 61, pp 1303-07, 2007に記載されているようにして測定した。塑性変形に関しては、Veeco Instrumentsから入手できるNanoman II SPMシステムを用い、ダイアモンドチッププローブによって30μNの力でAFMを行った。硬度は式:硬度=力/面積(ここで、面積はプローブによって形成される凹みの寸法である)によって求めた。弾性変形に関しては、Veeco Instrumentsから入手できるNanoman II SPMシステムを用い、ダイアモンドチッププローブによって3.297μNの力でAFMを行った。ヤング率は、「負荷及び置換感受性圧入実験を用いる硬度及び弾性率の測定のための改良された方法」, J. Mater. Res. vol.7, pp 1564-83, 1992に記載されているようにしてOliver-Pharr分析によって求めた。表1においてみられるように、本発明のシリカ粒子の塑性変形は従来のシリカ又は商業的に入手できるシリカのものよりも遙かに大きく、本発明のシリカ粒子の弾性変形は従来のシリカのものよりも遙かに小さい。
【0065】
【表1】
【0066】
実施例5:
クロマトグラフィーカラム中へのシリカ粒子の充填:
本実施例においては、10μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して媒体充填効率を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のペプチド分離能を、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する10μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するAkzo Nobel ABから商業的に入手できるKromasil(登録商標)、及びシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する10μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するDaiso Co., Ltd.から商業的に入手できるDaiso SP-120-ODSなどの他の媒体のものと比較した。媒体を、Alltech Associates, Inc.から入手できる25mm×400mmのSpringTMカラム中に充填した。媒体は、媒体60gあたり150mLのイソプロパノールを用いて1500psiでカラム中に充填した。最終カラム床長さは250mmであった。図3において示されているように、充填後に生成する小粒子又は微粉の数は、従来のシリカのものよりも遙かに少なかった。例えば、本発明は、充填後にKromasilの半分未満の量の微粉(粒径5μm未満)を有していた。
【0067】
それぞれのカラムの効率を評価するための分離方法として逆相クロマトグラフィーを用いた。ベンゼン、ナフタレン、及びビフェニルの混合物を、70体積%のアセトニトリル及び30体積%の水を含む移動相を用いてアイソクラチック条件下でそれぞれのカラム中に注入した。流速は10mL/分であった。カラムを25℃の室温で運転した。Super Prepフローセル及びRainin検出器(Varian, Inc.から入手できる)を用いて254nmにおいて検出を行った。また、この分析において、Varian SD-1分取用ポンプ(Varian, Inc.から入手できる)、Valco prep手動注入器(Valco Instruments Company Inc.から入手できる)、及びEZ ChromTM(Scientific Software, Inc.から入手できる)も用いた。
【0068】
結果を図5に示す。これは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体を凌ぐ向上したカラム効率を示す。
実施例6:
クロマトグラフィー媒体としてのシリカ粒子の使用:
本実施例においては、5μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して、ペプチドのような種々の生物学的物質を分離する能力を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のペプチド分離能を、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するPhenomex, Inc.から商業的に入手できるLuna(登録商標)の商品名の他の媒体のものと比較した。
【0069】
それぞれのカラムに関する分離方法として逆相クロマトグラフィーを用いた。表1に列記するペプチドの混合物(GY (238 Da)、VYV (379 Da)、Met Enkephalin (YGGFM, 573 Da)、Anglotensin II (DRVYIHPF, 1045 Da)、及びLeu Enkephalin (YGGFL, 555 Da))を、以下の条件下でそれぞれのカラム(4.6mm×250mm)中に注入した。移動相は水中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒A;及びアセトニトリル中の0.085%v/v−TFAを含む溶媒B;を含んでいた。カラムを10%の溶媒B及び90%の溶媒Aで30分間平衡化し;次に溶媒Bを10%から40%に増加させ(60%の溶媒A);40%での溶媒Bの流れを5分間保持し;次に溶媒Bを40%から90%に増加させ(10%の溶媒A);90%での溶媒Bの流れを5分間保持する;勾配プロセスを用いた。流速は1.0mL/分であった。カラムを25℃の室温で運転した。UVD 170S検出器(Dionex Corp., Sunnyvale, CAから入手できる)を用いて225nmにおいて検出を行った。この分析においては、Dionex HPLCシステム(Dionex Corp.から入手できるP580 HPG高圧勾配バイナリーポンプ)、Rheodyne手動注入器(IDEX Corp.から入手できる)、及びCHROMELEON(登録商標)データシステム(Dionex Corp.から入手できる)も用いた。結果を図6及び表2に示す。これらは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体を凌ぐそれぞれのペプチドピークの向上した分離能を示す。
【0070】
【表2】
【0071】
実施例7:
クロマトグラフィー媒体としてのシリカ粒子の使用:
本実施例においては、5μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して、ペプチドのような種々の生物学的物質を分離する能力を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のペプチド分離能を、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するAkzo Nobel ABから商業的に入手できるKromasil(登録商標)の商品名の他の媒体のものと比較した。
【0072】
それぞれのカラムに関する分離方法として逆相クロマトグラフィーを用いた。ペプチドの混合物(Ac-RGGGGLGLGK-アミド (911 Da)、RGAGGLGLGK-アミド (883 Da)、Ac-RGAGGLGLGK-アミド (926 Da)、Ac-RGVGGLGLGK-アミド (954 Da)、及びAc-RGVVGLGLGK-アミド (996 Da))を、以下の条件下でそれぞれのカラム(4.6mm×250mm)中に注入した。移動相は水中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒A;及びアセトニトリル中の0.085%v/v−TFAを含む溶媒B;を含んでいた。カラムを10%の溶媒B及び90%の溶媒Aで30分間平衡化し;次に溶媒Bを10%から40%に増加させ(60%の溶媒A);40%での溶媒Bの流れを5分間保持し;次に溶媒Bを40%から90%に増加させ(10%の溶媒A);90%での溶媒Bの流れを5分間保持する;勾配プロセスを用いた。流速は1.0mL/分であった。カラムを25℃の室温で運転した。UVD 170S検出器(Dionex Corp., Sunnyvale, CAから入手できる)を用いて225nmにおいて検出を行った。この分析においては、Dionex HPLCシステム(Dionex Corp.から入手できるP580 HPG高圧勾配バイナリーポンプ)、Rheodyne手動注入器(IDEX Corp.から入手できる)、及びCHROMELEON(登録商標)データシステム(Dionex Corp.から入手できる)も用いた。結果を図7に示す。これは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体を凌ぐそれぞれのペプチドピークの向上した分離能を示す。
【0073】
実施例8:
クロマトグラフィー媒体としてのシリカ粒子の使用:
本実施例においては、5μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して、ペプチドのような目標の生物学的物質を不純物から分離する能力を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のペプチド分離能を、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するAkzo Nobel ABから商業的に入手できるKromasil(登録商標)の商品名の他の媒体のものと比較した。
【0074】
それぞれのカラムに関する分離方法として逆相クロマトグラフィーを用いた。Bachem, Inc.から入手できる粗合成ペプチド、及び2種類の不純物の混合物を、以下の条件下でそれぞれのカラム(4.6mm×150mm)中に注入した。移動相は水中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒A;及びアセトニトリル中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒B;を含んでいた。カラムを15%の溶媒B及び85%の溶媒Aで30分間平衡化し;次に溶媒Bを15%から50%に増加させ(50%の溶媒A);50%での溶媒Bの流れを1分間保持し;次に溶媒Bを50%から80%に増加させ(20%の溶媒A);80%での溶媒Bの流れを5分間保持する;勾配プロセスを用いた。流速は0.8mL/分であった。カラムを22℃の室温で運転した。UVD 170S検出器(Dionex Corp., Sunnyvale, CAから入手できる)を用いて220nmにおいて検出を行った。この分析においては、Dionex HPLCシステム(Dionex Corp.から入手できるP580 HPG高圧勾配バイナリーポンプ)、Rheodyne手動注入器(IDEX Corp.から入手できる)、及びCHROMELEON(登録商標)データシステム(Dionex Corp.から入手できる)も用いた。結果を図8及び表3に示す。これらは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体を凌ぐ近接して溶出された不純物からのペプチドピークの向上した分離能を示す。
【0075】
【表3】
【0076】
実施例9:
クロマトグラフィー媒体としてのシリカ粒子の使用:
本実施例においては、5μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して、ペプチドのような目標の生物学的物質を不純物から分離する能力を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のペプチド分離能を、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する4μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するPhenomenex, Inc.から商業的に入手できるJupiter(登録商標)の商品名の他の媒体のものと比較した。
【0077】
それぞれのカラムに関する分離方法として逆相クロマトグラフィーを用いた。Biopeptide Co., Inc.から入手できる粗合成ペプチドの混合物を、以下の条件下でそれぞれのカラム(4.6mm×250mm)中に注入した。移動相は水中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒A;及びアセトニトリル中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒B;を含んでいた。カラムを20%の溶媒B及び80%の溶媒Aで20分間平衡化し;次に溶媒Bを20%から40%に増加させる(60%の溶媒A);勾配プロセスを用いた。流速は1.0mL/分であった。カラムを25℃の室温で運転した。UVD 170S検出器(Dionex Corp., Sunnyvale, CAから入手できる)を用いて220nmにおいて検出を行った。この分析においては、Dionex HPLCシステム(Dionex Corp.から入手できるP580 HPG高圧勾配バイナリーポンプ)、Rheodyne手動注入器(IDEX Corp.から入手できる)、及びCHROMELEON(登録商標)データシステム(Dionex Corp.から入手できる)も用いた。結果を図9に示す。これは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体を凌ぐ近接して溶出された不純物からのペプチドピークの向上した分離能を示す。
【0078】
実施例10:
クロマトグラフィー媒体としてのシリカ粒子の使用:
本実施例においては、5μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して、ペプチドのような目標の生物学的物質を不純物から分離する能力を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のペプチド分離能を、シリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するAkzo Nobel ABから商業的に入手できるKromasil(登録商標)、及びシリカ表面に共有結合しているC18シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するPhenomenex, Inc.から商業的に入手できるLuna(登録商標)などの他の媒体のものと比較した。
【0079】
それぞれのカラムに関する分離方法として逆相クロマトグラフィーを用いた。Karolinska Institutet, Stockholm, Swedenから入手できる血管作用性腸管ペプチド(28−アミノ酸ペプチド、HSDAVFTDNYTRLRKQMAVKKYLNSILN-アミド、分子量3325.8)、及び2種類の不純物の混合物を、以下の条件下でそれぞれのカラム(4.6mm×250mm)中に注入した。移動相は水中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒A;及びアセトニトリル中の0.085%v/v−TFAを含む溶媒B;を含んでいた。カラムを20%の溶媒B及び80%の溶媒Aで30分間平衡化し;次に溶媒Bを20%から40%に増加させ(60%の溶媒A);40%での溶媒Bの流れを5分間保持し;次に溶媒Bを40%から90%に増加させ(10%の溶媒A);90%での溶媒Bの流れを5分間保持する;勾配プロセスを用いた。流速は1.0mL/分であった。カラムを25℃の室温で運転した。UVD 170S検出器(Dionex Corp., Sunnyvale, CAから入手できる)を用いて225nmにおいて検出を行った。この分析においては、Dionex HPLCシステム(Dionex Corp.から入手できるP580 HPG高圧勾配バイナリーポンプ)、Rheodyne手動注入器(IDEX Corp.から入手できる)、及びCHROMELEON(登録商標)データシステム(Dionex Corp.から入手できる)も用いた。結果を図10及び表4に示す。これらは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体を凌ぐ近接して溶出された不純物からのペプチドピークの向上した分離能を示す。
【0080】
【表4】
【0081】
実施例11:
クロマトグラフィー媒体としてのシリカ粒子の使用:
本実施例においては、5μmの球状の多孔質粒子を含む本発明のシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム内で試験して、カラムのインシュリン正面充填容量を求めた。シリカは、表面処理を行ってシリカ表面に共有結合しているC8シランの層を与えており、これにより粒子が疎水性になっていた。この媒体のインシュリン充填容量を、シリカ表面に共有結合しているC8シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するAkzo Nobel ABから商業的に入手できるKromasil(登録商標)、及びシリカ表面に共有結合しているC8シランの層を有する5μmの球状の多孔質シリカ粒子を有するYMC Co., Ltdから商業的に入手できるHydrosphereなどの他の媒体のものと比較した。
【0082】
以下の条件下でそれぞれのカラム(2.1mm×50mm)を用いて分離法として逆相クロマトグラフィーを用いた。移動相は水中の0.1%v/v−TFAを含む溶媒A;及び5mLのアセトニトリル、2mLの50%氷酢酸、及び43mLのDI水中に250mgのインシュリンを含む溶媒B;を含んでいた。これをDI水中の0.1%−TFAで1:5に希釈して1mg/mLのインシュリン溶液を形成した。カラムを100%の溶媒Aで平衡化し;次に1分間で溶媒Bを0%から100%に増加させ;100%での溶媒Bの流れを200分間保持し;次に1分間で溶媒Aを0%から100%に増加させる(0%の溶媒B);勾配プロセスを用いた。流速は0.2mL/分であった。カラムを25℃の室温で運転した。UVD 170S検出器(Dionex Corp., Sunnyvale, CAから入手できる)を用いて276nmにおいて検出を行った。この分析においては、Dionex HPLCシステム(Dionex Corp.から入手できるP580 HPG高圧勾配バイナリーポンプ)、Rheodyne手動注入器(IDEX Corp.から入手できる)、及びCHROMELEON(登録商標)データシステム(Dionex Corp.から入手できる)も用いた。下記の等式からそれぞれの材料の容量を算出した。
【0083】
【化1】
【0084】
結果を図11に示す。これは、本発明のシリカ粒子を用いた場合の従来の媒体のものを凌ぐ向上したインシュリン充填容量を示す。例えば、本発明のシリカを用いるカラムのインシュリン充填容量は154mg/mLであり、一方、Hydrosphere及びKromasil媒体は、それぞれ133mg/mL及び14mg/mLのインシュリン充填容量を与え、これは約10〜約1000%高い回収率に相当する。
【0085】
本発明を限られた数の態様によって説明したが、これらの特定の態様は本明細書において記載され特許請求されている発明の範囲を限定することを意図するものではない。更なる修正及び変更が可能であることは、本明細書中の代表的な態様を検討することにより当業者に明らかである。実施例及び明細書の残りの部分における全ての部及びパーセントは、他に特定しない限り重量基準である。更に、明細書又は特許請求の範囲において示す全ての数値範囲、例えば特定の特性の組、測定値の単位、条件、物理的状態、又は割合を示すものは、明らかに、言及するか又は他の方法で示すかかる範囲内に含まれる全ての数、並びにそのように示されている全ての範囲内の数の全ての部分集合を文字通り含むものであると意図される。例えば、下限RL及び上限RUを有する数値範囲が開示されている場合には常に、この範囲内に含まれる任意の数Rが具体的に開示されている。特に、この範囲内の次式の数R:R=RL+k(RU−RL)(式中、kは1%の増分で1%〜100%の範囲の変数であり、例えばkは、1%、2%、3%、4%、5%、・・・50%、51%、52%、・・・95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である)が具体的に開示されている。更に、上記で算出されるRの任意の二つの値によって表される任意の数値範囲も、具体的に開示されている。本明細書において示し記載したものに加えて、本発明の任意の修正は、上記の記載及び添付の図面から当業者に明らかとなろう。かかる修正は、特許請求の範囲内に包含されると意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)第1の弾性率を有する内部部分、及び(ii)第2の弾性率を有する粒子の外表面部分を含み、第1の弾性率が第2の弾性率よりも大きい、多孔質シリカ粒子。
【請求項2】
粒子が、粒子の内部における最大弾性率、及び粒子の外表面に近接する箇所か又はその上における最小弾性率を有する弾性率勾配を有する、請求項1に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項3】
粒子が、粒子の内部における第1の孔密度、及び粒子の外表面に近接する箇所か又はその上における第2の孔密度を有し、第2の孔密度が第1の孔密度よりも大きい、請求項1に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項4】
粒子が実質的に球状である、請求項1に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項5】
粒子が、約100μm未満の平均最大粒子寸法、約0.40cc/g〜約1.4cc/gの孔容積、約40Å〜約700Åの平均孔直径、及び約200m2/g〜約450m2/gの表面積を有する、請求項1に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項6】
粒子が、約3〜約20μmの平均最大粒子寸法、約0.75cc/g〜約1.1cc/gの孔容積、約90Å〜約150Åの平均孔直径、及び約260m2/g〜約370m2/gの表面積を有する、請求項1に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項7】
粒子が約0.95cc/gの孔容積及び約320m2/gの表面積を有する、請求項6に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項8】
粒子が約3μm〜約20μmの平均最大粒子寸法を有する、請求項1に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項9】
請求項1に記載の少なくとも1つの多孔質シリカ粒子を含む、複数のシリカ粒子。
【請求項10】
請求項1に記載の少なくとも1つの多孔質シリカ粒子を含む、クロマトグラフィーカラムにおいて用いるための媒体。
【請求項11】
請求項1に記載の少なくとも1つの多孔質シリカ粒子と組み合わされているクロマトグラフィーカラム。
【請求項12】
少なくとも1つの多孔質シリカ粒子がカラム内に配置されている、請求項11に記載のクロマトグラフィーカラム。
【請求項13】
請求項12に記載のクロマトグラフィーカラムを通して流体を処理する;
工程を含む、クロマトグラフィーカラムの使用方法。
【請求項14】
部分的に加水分解された材料を形成するように有機シリケートを部分的に加水分解し;
部分的に加水分解された材料を蒸留して、エチルアルコールを除去し、蒸留された部分的に加水分解された材料を形成し;
極性連続相中に部分的に加水分解されたシリケートの液滴を形成するように、蒸留された部分的に加水分解された材料を極性連続相中で乳化し;
球状の多孔質粒子を形成するように、水酸化アンモニウムを用いる縮合反応によって液滴をゲル化し;
球状の多孔質粒子を洗浄し;
球状の多孔質粒子を水熱熟成し;そして
球状の多孔質粒子を乾燥して乾燥した多孔質粒子を形成する;
工程を含む、シリカ粒子の製造方法。
【請求項15】
第1の粒径を有しないシリカ粒子から第1の粒径を有するシリカ粒子を分離することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1の粒径が約3μm〜約20μmの範囲である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法によって形成される少なくとも1つのシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム中に導入する;
工程を含む、クロマトグラフィーカラムの製造方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法によって形成される少なくとも1つのシリカ粒子を含むクロマトグラフィーカラムを通して流体を処理する;
工程を含む、クロマトグラフィーカラムの使用方法。
【請求項19】
流体がペプチドを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法によって形成されるシリカ粒子。
【請求項21】
少なくとも約100MPaの塑性変形を有する多孔質シリカ粒子。
【請求項22】
塑性変形が少なくとも約200MPaである、請求項21に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項23】
塑性変形が少なくとも約300MPaである、請求項21に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項24】
塑性変形が少なくとも約400MPaである、請求項21に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項25】
4GPa未満の表面弾性変形を有する多孔質シリカ粒子。
【請求項26】
弾性変形が約3GPa未満である、請求項25に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項27】
弾性変形が約2GPa未満である、請求項25に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項28】
弾性変形が約1GPa未満である、請求項25に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項29】
少なくとも約100MPaの塑性変形及び約4GPa未満の弾性変形を有する多孔質シリカ粒子。
【請求項1】
(i)第1の弾性率を有する内部部分、及び(ii)第2の弾性率を有する粒子の外表面部分を含み、第1の弾性率が第2の弾性率よりも大きい、多孔質シリカ粒子。
【請求項2】
粒子が、粒子の内部における最大弾性率、及び粒子の外表面に近接する箇所か又はその上における最小弾性率を有する弾性率勾配を有する、請求項1に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項3】
粒子が、粒子の内部における第1の孔密度、及び粒子の外表面に近接する箇所か又はその上における第2の孔密度を有し、第2の孔密度が第1の孔密度よりも大きい、請求項1に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項4】
粒子が実質的に球状である、請求項1に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項5】
粒子が、約100μm未満の平均最大粒子寸法、約0.40cc/g〜約1.4cc/gの孔容積、約40Å〜約700Åの平均孔直径、及び約200m2/g〜約450m2/gの表面積を有する、請求項1に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項6】
粒子が、約3〜約20μmの平均最大粒子寸法、約0.75cc/g〜約1.1cc/gの孔容積、約90Å〜約150Åの平均孔直径、及び約260m2/g〜約370m2/gの表面積を有する、請求項1に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項7】
粒子が約0.95cc/gの孔容積及び約320m2/gの表面積を有する、請求項6に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項8】
粒子が約3μm〜約20μmの平均最大粒子寸法を有する、請求項1に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項9】
請求項1に記載の少なくとも1つの多孔質シリカ粒子を含む、複数のシリカ粒子。
【請求項10】
請求項1に記載の少なくとも1つの多孔質シリカ粒子を含む、クロマトグラフィーカラムにおいて用いるための媒体。
【請求項11】
請求項1に記載の少なくとも1つの多孔質シリカ粒子と組み合わされているクロマトグラフィーカラム。
【請求項12】
少なくとも1つの多孔質シリカ粒子がカラム内に配置されている、請求項11に記載のクロマトグラフィーカラム。
【請求項13】
請求項12に記載のクロマトグラフィーカラムを通して流体を処理する;
工程を含む、クロマトグラフィーカラムの使用方法。
【請求項14】
部分的に加水分解された材料を形成するように有機シリケートを部分的に加水分解し;
部分的に加水分解された材料を蒸留して、エチルアルコールを除去し、蒸留された部分的に加水分解された材料を形成し;
極性連続相中に部分的に加水分解されたシリケートの液滴を形成するように、蒸留された部分的に加水分解された材料を極性連続相中で乳化し;
球状の多孔質粒子を形成するように、水酸化アンモニウムを用いる縮合反応によって液滴をゲル化し;
球状の多孔質粒子を洗浄し;
球状の多孔質粒子を水熱熟成し;そして
球状の多孔質粒子を乾燥して乾燥した多孔質粒子を形成する;
工程を含む、シリカ粒子の製造方法。
【請求項15】
第1の粒径を有しないシリカ粒子から第1の粒径を有するシリカ粒子を分離することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1の粒径が約3μm〜約20μmの範囲である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法によって形成される少なくとも1つのシリカ粒子をクロマトグラフィーカラム中に導入する;
工程を含む、クロマトグラフィーカラムの製造方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法によって形成される少なくとも1つのシリカ粒子を含むクロマトグラフィーカラムを通して流体を処理する;
工程を含む、クロマトグラフィーカラムの使用方法。
【請求項19】
流体がペプチドを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法によって形成されるシリカ粒子。
【請求項21】
少なくとも約100MPaの塑性変形を有する多孔質シリカ粒子。
【請求項22】
塑性変形が少なくとも約200MPaである、請求項21に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項23】
塑性変形が少なくとも約300MPaである、請求項21に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項24】
塑性変形が少なくとも約400MPaである、請求項21に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項25】
4GPa未満の表面弾性変形を有する多孔質シリカ粒子。
【請求項26】
弾性変形が約3GPa未満である、請求項25に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項27】
弾性変形が約2GPa未満である、請求項25に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項28】
弾性変形が約1GPa未満である、請求項25に記載の多孔質シリカ粒子。
【請求項29】
少なくとも約100MPaの塑性変形及び約4GPa未満の弾性変形を有する多孔質シリカ粒子。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−531798(P2010−531798A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511186(P2010−511186)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/007034
【国際公開番号】WO2008/150537
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(508270602)オールテック・アソシエイツ・インコーポレーテッド (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/007034
【国際公開番号】WO2008/150537
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(508270602)オールテック・アソシエイツ・インコーポレーテッド (11)
【Fターム(参考)】
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