説明

シリコーン化合物および両親媒性ポリマーを含有する化粧用製品

【課題】ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのために使用され得る化粧用キットを提供する。
【解決手段】該キットが、互いに異なりかつ別々に包装されている少なくとも2の組成物を有し、上記組成物の少なくとも1はエマルジョン型でありかつ少なくとも1の両親媒性ポリマーを含み、上記キットは、1以上の化合物X、1以上の化合物Yおよび少なくとも1の触媒を含み、化合物XおよびYの少なくとも1はシリコーン化合物であり、上記化合物XおよびYは、それらが触媒の存在下で互いに接触させられるとき、触媒の存在下でヒドロシリル化反応によって互いに反応することができ、化合物X、Yおよび触媒は同時に同じ組成物中に存在しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1の化合物Xを含む第1の組成物および少なくとも1の化合物Yを含む第2の組成物を含有する、特にケラチン性物質のメイクアップおよび/またはケアのための、化粧用キットに主に関し、化合物XおよびYは、必要ならば触媒または過酸化物の存在下で互いに反応可能であり、上記化合物の少なくとも1はシリコーン化合物であり、上記組成物の少なくとも1は両親媒性ポリマーをさらに含む。
【0002】
本発明に従うキットは、ケラチン繊維を含むケラチン性物質、特に皮膚、唇、睫、眉毛または爪、のメイクアップおよび/またはケアのための製品であり得る。
【背景技術】
【0003】
メイクアップおよび/または美容ケアの分野では、多くの組成物がエマルジョンの形である。これらのエマルジョンは一般に、単独でまたは混合して使用される、両性、陰イオン性、陽イオン性または非イオン性の乳化剤から選択される1以上の乳化剤および所望により共乳化剤を含む。
【0004】
乳化剤は、製造されるべきエマルジョン(W/OまたはO/W)に応じて適宜選択される。
【0005】
使用され得る乳化剤中、両親媒性ポリマーを特に挙げることができる。これは、それが関与する特性故に化粧料の分野では非常に高く評価されている。
【0006】
すなわち、両親媒性ポリマーで安定化されたエマルジョンは特に安定であり、そして、低モル量の界面活性剤で安定化されたエマルジョンに対して新しいテクスチュア特性をもたらす。これらのエマルジョンはさらに、種々の性質の脂肪相であるトリグリセリド、アルカン、エステル、シリコーン、サンフィルター(sun filter)、パーフルオロ化化合物を単独でまたは混合で含み得る。最後に、両親媒性ポリマーの濃度と分散された相の割合との比は、界面活性剤によって安定化されたエマルジョンの場合(約0.4)に対して低い(約0.1)。
【0007】
しかし、皮膚への施与後、これらのエマルジョンの脂肪相は、比較的輝きのある皮膚をもたらし得、この効果は、オイルの割合とともにおよび不揮発性オイルの存在によって増強される。
【0008】
今、光沢のこのような特性は、いくつかの化粧用製品、例えば口紅およびマニキュア、には要求されるが、他の化粧用製品、例えばファンデーションおよびケア製品、には逆に望ましくない可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
その結果、本発明は特に、両親媒性ポリマーを包含するが、低下された光沢効果を有するまたは光沢効果を何ら有しさえしないメイクアップおよび/またはケアのための化粧用製品を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
予期しなかったことに、本発明者らは、かかる化粧用エマルジョンが特定のポリマーの系を用いて作られるならば、これらの要件を満たすことが可能であることを見出した。
【0011】
この系は、2つの化合物、特にシリコーン化合物を一緒にする。これらの化合物は、必要ならば触媒または過酸化物の存在下で、接触すると、大気圧および室温でインシチューで重合して、有利には生体適合性でかつべとつかない膜を形成する。そのような系は特に、WO01/96450およびGB2407496に部分的に記載されている。
【0012】
基体、特にケラチン性物質などの上にインシチューに形成され得るこれらのポリマー膜は、化粧に関する有利な特性、すなわち、良好な接着性、良好な持続性および快適さを有することが分かった。
【0013】
すなわち、第一の局面によれば、本発明は、ケラチン性物質、特に皮膚、のケアおよび/またはメイクアップのために使用され得る化粧用キットに関し、該キットが、互いに異なりかつ別々に包装されている少なくとも2の組成物を有し、上記組成物の少なくとも1はエマルジョン型でありかつ少なくとも1の両親媒性ポリマーを含み、上記キットは、1以上の化合物X、1以上の化合物Yおよび所望により少なくとも1の触媒または過酸化物を含み、化合物XおよびYの少なくとも1はシリコーン化合物であり、上記化合物XおよびYは、必要ならば触媒または過酸化物の存在下で、それらが互いに接触させられるとき、触媒の存在下でのヒドロシリル化反応によって互いに反応することができ、または縮合反応によって互いに反応することができ、または過酸化物の存在下での架橋反応によって互いに反応することができ、化合物X、Yおよび、存在するときの触媒または過酸化物は、同時に同じ組成物中に存在しない。
【0014】
特定の実施態様によれば、上記キットは、
i.生理学的に許容される媒体中に少なくとも1の化合物Xを含む第1の組成物、および
ii.生理学的に許容される媒体中に少なくとも1の化合物Yを含む第2の組成物
を少なくとも含み、上記第1および第2の組成物の少なくとも1がエマルジョンの形でありかつ少なくとも1の両親媒性ポリマーを含み、上記第1および第2の組成物の少なくとも1が、必要ならば、少なくとも1の触媒または過酸化物をさらに含む。
【0015】
別の実施態様によれば、上記第1および第2の組成物は共にエマルジョンであり、それぞれが少なくとも1の両親媒性ポリマーで安定化されている。
【0016】
それらを含む上記化粧用組成物の混合の間、化合物XおよびYはインシチューで重合し、ケラチン性物質に接着し、そして皮膚上に光沢の少ない沈着物を与え得る。
【0017】
好ましくは、化合物Xを含む第1の組成物および化合物Yを含む第2の組成物が別々に包装されている。
【0018】
例えば、各組成物は、同一のパッケージ物品中で別々に包装され得る。例えば、2区画ペンにおいて、ベース組成物がペンの一端によって運ばれ、トップ組成物がペンの他端によって運ばれ、各端が、キャップによって十分密閉されている。また、各組成物が、同一のパッケージ物品内の1区画に入れられ得、2つの組成物が、各組成物が運ばれる間にパッケージ物品の先端または両端で混合される。
【0019】
あるいは、第1および第2の組成物の各々が、異なるパッケージ物品に入れられ得る。
【0020】
本発明はまた、ケラチン性物質の美容ケアおよび/またはメイクアップのための方法に関し、上記方法は、ケラチン性物質への(a)少なくとも1の両親媒性ポリマーの施与、(b)1以上の化合物Xの施与、(c)1以上の化合物Yの施与、ここで、化合物XおよびYの少なくとも1はシリコーン化合物であり、上記化合物XおよびYは、互いに接触させられるとき、触媒の存在下でヒドロシリル化反応によって互いに反応することができ、または縮合反応によって互いに反応することができ、または過酸化物の存在下で架橋反応によって互いに反応することができる、および(d)必要ならば、少なくとも1の触媒または過酸化物の施与を少なくとも含み、施与(a)、(b)、(c)および(d)は同時に、または上記化合物XおよびYの相互作用を促進するならばいずれかの順序で逐次的に行われ得る。
【0021】
すなわち、化合物X、化合物Yが、いくつかの組成物からケラチン性物質上に施与され得、上記組成物の少なくとも1はエマルジョンの形であり、上記組成物はそれぞれ、1以上の化合物X、1以上の化合物Y、1以上の両親媒性ポリマーを単独でまたは混合の形で含み、あるいは、1以上の化合物X、1以上の化合物Yおよび1以上の両親媒性ポリマーを含む単一の組成物からケラチン性物質上に施与され得る。
【0022】
本発明の特定の実施態様によれば、1以上の化合物Xを少なくとも含む第1の組成物および1以上の化合物Yを少なくとも含む第2の組成物がケラチン繊維上に施与される。ここで、上記第1および第2の組成物の少なくとも1はエマルジョンの形であり、少なくとも1の両親媒性ポリマーをさらに含み、上記第1および第2の組成物の少なくとも1は、必要ならば、少なくとも1の触媒または過酸化物をさらに含む。
【0023】
特に、上記方法は、ケラチン性物質上に、生理学的に許容され得る媒体中に少なくとも1の化合物X、少なくとも1の化合物Y、適用可能であるならば少なくとも1の触媒または過酸化物、および少なくとも1の両親媒性ポリマーを含むエマルジョン型の少なくとも1の組成物を施与することを含み得る。
【0024】
本発明はまた、ケラチン性物質、特にヒトの皮膚、のメイクアップおよび/またはケアのための化粧方法に関し、上記方法は、
生理学的に許容される媒体中に少なくとも1の化合物Xを含む第1の組成物の少なくとも1の層、および
生理学的に許容される媒体中に少なくとも1の化合物Yを含む第2の組成物の少なくとも1の層
を上記ケラチン性物質上に施与することを含み、ここで、化合物XおよびYの少なくとも1はシリコーン化合物であり、上記化合物XおよびYは、それらが互いに接触させられるとき、触媒の存在下でヒドロシリル化反応によって互いに反応可能であり、または縮合反応によって互いに反応可能であり、または過酸化物の存在下で架橋反応によって互いに反応可能であり、上記第1および第2の組成物の少なくとも1はエマルジョンでありかつ少なくとも1の両親媒性ポリマーを含み、上記第1および第2の組成物の少なくとも1は必要ならば少なくとも1の触媒または過酸化物をさらに含む。
【0025】
1変形によれば、上記方法は、化合物Yおよび必要ならば両親媒性ポリマーを含む第2の組成物の少なくとも1の層をケラチン性物質上に施与すること、次いで上記第2の組成物の層の上に、化合物Xおよび必要ならば両親媒性ポリマーを含む第1の組成物の少なくとも1の層を沈着させることを含み、上記第1および第2の組成物の少なくとも1は、必要ならば、少なくとも1の触媒または過酸化物をさらに含む。
【0026】
この方法の別の変形によれば、ケラチン性物質上に、化合物Xおよび必要ならば少なくとも1の両親媒性ポリマーを含む第1の組成物の少なくとも1の層を施与し、次いで、上記第1の組成物の層の上に、化合物Yおよび必要ならば少なくとも1の両親媒性ポリマーを含む第2の組成物の少なくとも1の層を沈着させることが可能であり、上記第1および第2の組成物の少なくとも1は、必要ならば、少なくとも1の触媒または過酸化物をさらに含む。
【0027】
また、上記第1および第2の組成物の各々のいくつかの層が、ケラチン性物質上に交互に施与され得る。
【0028】
施与される組成物はまた、化合物Xを少なくとも含む第1の組成物および化合物Yを少なくとも含む第2の組成物を、使用するときに混合することによって得ることができ、ここで、上記第1および第2の組成物の少なくとも1はエマルジョンでありかつ少なくとも1の両親媒性ポリマーを含み、上記第1および第2の組成物の少なくとも1は必要ならば少なくとも1の触媒または過酸化物をさらに含む。
【0029】
本発明の意味において、特に組成物が上記したように得られる、すなわち化合物Xを少なくとも含む第1の組成物および化合物Yを少なくとも含む第2の組成物を、使用するときに混合することによって得られる実施態様では、こうして形成される混合物が、化合物Xおよび/またはYを、まだ反応していない形で含み、ヒドロシリル化による、重縮合によるおよび/または過酸化物の存在下での架橋によるそれらの反応生成物の形に限られないと理解されるべきである。
【0030】
すなわち、本発明に従う反応生成物の形成は、処理されるべきケラチン性物質の表面上で直接行われ得、または化合物XおよびYのそれらの相互作用に好ましい条件でのその場での混合による施与の直前に開始され得、後者での反応生成物の形成は、ケラチン性物質の表面上で完結される。
【0031】
明らかな理由のためにおよび化合物Xおよび/またはYの大きい反応性を考慮して、実際に必要なことは、それらの施与が、例えば特にその広がりに関して、それ(またはそれら)を含む組成物の操作性に好ましい条件で行われるべきであるということである。したがって、本発明に従う方法は、化合物XおよびYを含み、かつ、したがってXの全ておよび/またはYの全ての反応から生じる予期される最終の膜の形で固まらない組成物を使用する。
【0032】
1実施態様によれば、上記方法は、XおよびYを含む組成物の層の上に、膜形成性ポリマーおよび有機または水性の媒体を含む第3の組成物の少なくとも1の層を沈着させることを含む追加の工程を含む。
【0033】
別の変形によれば、施与される組成物は、化合物XおよびYの少なくとも1を、カプセル封入された形で含む。
【0034】
すなわち、本発明はまた、生理学的に許容され得る媒体中に、少なくとも1の化合物X、化合物Yおよび適用可能ならば少なくとも1の触媒および上記化合物XおよびYの相互作用のために必要ならば過酸化物および下記に定義される少なくとも1の両親媒性ポリマーを含むエマルジョン型の、特にケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのための化粧用組成物に関し、ここで、化合物XおよびYの少なくとも1はカプセル封入された形である。この実施態様の好ましい変形によれば、2つの化合物XおよびYは別々にカプセル封入された形で存在する。
【0035】
この実施態様によれば、2つの化合物XおよびYは、それらの間の早過ぎる反応の危険を回避しながら、1つの同じ組成物中に入れることができる。上記反応は、上記組成物のケラチン性物質への施与の前または施与の瞬間に上記組成物が操作されるときにのみ生じる。化合物Xおよび/またはYのカプセル封入された形は、乾燥すると破壊され、化合物XおよびYは次いで接触して反応して期待された膜を形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
化合物XおよびY
シリコーン化合物は、ポリオルガノシロキサン化合物を意味する。すなわち、少なくとも2のオルガノシロキサン単位、例えば少なくとも5のオルガノシロキサン単位、特に少なくとも10のオルガノシロキサン単位を含む。特定の実施態様によれば、化合物XおよびYの少なくとも1、または化合物Xおよび化合物Yがシリコーン化合物である。化合物XおよびYはアミノ化されていてもよく、またはアミノ化されていなくてもよい。
【0037】
別の実施態様によれば、化合物XおよびYの少なくとも1がポリマーであり、その主鎖がオルガノシロキサン単位で主に形成されている。下記に挙げられるシリコーン化合物のうち、いくつかは、例えばそれらのシリコーンの割合に依存して、またはそれらが特定の添加物と混合されて使用されるかどうかに依存して、膜形成性および接着性の両方を示し得る。したがって、提案された用途に応じて上記化合物の膜形成性または接着性を調整することが可能であり、これは、いわゆる「室温加硫」反応性エラストマー性シリコーンの場合にはそうである。
【0038】
化合物XおよびYは、室温〜180℃の温度で互いに反応し得る。有利には、化合物XおよびYは、室温(20±5℃)および大気圧で、または有利には触媒の存在下で、ヒドロシリル化反応または縮合反応によって、または過酸化物の存在下で架橋反応によって、互いに反応することができる。
【0039】
極性基
特定の実施態様によれば、化合物XおよびYの少なくとも1、例えば化合物Xは、ケラチン性物質と少なくとも1の水素結合を形成することができる少なくとも1の極性基を有する。
【0040】
極性基とは、その化学構造における炭素原子および水素原子、および少なくとも1のヘテロ原子(例えば、O、N、SおよびP)を有する基を意味し、その結果、上記基は、ケラチン性物質と少なくとも1の水素結合を形成することができる。
【0041】
水素結合を形成し得る少なくとも1の基を有する化合物は、それらを含む組成物にケラチン性物質へのより良好な接着性を付与するので、特に有利である。
【0042】
化合物XおよびYの少なくとも1が有する極性基は、水素結合を形成することができ、陰性原子に結合した水素原子または、陰性原子、例えば酸素、窒素または硫黄原子、を含む。上記基が、陰性原子に結合した水素原子を有するとき、上記水素原子は、例えば別の分子(例えばケラチン)が有する別の陰性原子と相互作用して水素結合を形成し得る。上記基が陰性原子を有するとき、上記陰性原子は、例えば別の分子(例えばケラチン)が有する、陰性原子に結合した水素原子と相互作用して水素結合を形成し得る。
【0043】
有利には、これらの極性基は、下記の基から選択され得る。
カルボン酸−COOH、
アルコール、例えば−CHOHまたは−CH(R)OH(Rは1〜6の炭素原子を有するアルキル基である)、
式−NRのアミノ(RおよびRは同じでも異なっていても良く、1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表し、またはRまたはRの一方が水素原子であり、他方が1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表す)、
ピリジノ、
式−NH−COR’または−CO−NH−R’ のアミド(R’は水素原子または1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表す)、
好ましくは下記式の基から選択される、ピロリジノ、
【化1】

[ここで、Rは1〜6の炭素原子を有するアルキル基である]、
式−O−CO−NH−R’または−NH−CO−OR’ のカルバモイル(R’は上記で定義した通りである)、
チオカルバモイル、例えば−O−CS−NH−R’または−NH−CS−OR’(R’は上記で定義した通りである)、
ウレイル、例えば−NR’−CO−N(R’)(R’は同じでも異なっていてもよく、上記で定義した通りである)、
スルホンアミド、例えば−NR’−S(=O)−R’(R’は上記で定義した通りである)。
【0044】
好ましくは、これらの極性基は、各化合物XまたはYの重量に対して10重量%以下の量で、好ましくは5重量%以下の量で、例えば1〜3重量%の量で存在する。
【0045】
上記極性基は、化合物Xおよび/またはYの主鎖中に位置し、または主鎖からぶらさがり、または化合物Xおよび/またはYの主鎖の末端に位置することができる。
【0046】
1.ヒドロシリル化によって反応可能な化合物XおよびY
1実施態様によれば、本発明は、ケラチン性物質、特に皮膚、のケアおよび/またはメイクアップのために使用され得る化粧用キットに関し、該キットが、互いに異なりかつ別々に包装されている少なくとも2の組成物を有し、上記組成物の少なくとも1はエマルジョン型でありかつ少なくとも1の両親媒性ポリマーを含み、上記キットは、1以上の化合物X、1以上の化合物Yおよび少なくとも1の触媒を含み、化合物XおよびYの少なくとも1はシリコーン化合物であり、上記化合物XおよびYは、それらが触媒の存在下で互いに接触させられるとき、ヒドロシリル化反応によって互いに反応することができ、化合物X、Yおよび触媒は同時に同じ組成物中に存在しない。
【0047】
この実施態様によれば、化合物XおよびYは、触媒の存在下でヒドロシリル化によって反応することができ、上記反応は、下記のように単純化された様式で図式的に表される。
【0048】
【化2】

ここで、Wは1以上の不飽和脂肪族基を含む炭素鎖および/またはシリコーン鎖を表す。
【0049】
この場合には、化合物Xが、少なくとも2の不飽和脂肪族基を含むシリコーン化合物から選択され得る。例えば、化合物Xは、シリコーン主鎖を含むポリオルガノシロキサンであり得、その不飽和脂肪族基は、主鎖からのペンダントであり(側基)、または上記化合物の主鎖の末端に位置している(末端基)。これらの特定の化合物を以降、不飽和脂肪族基を有するポリオルガノシロキサンと呼ぶ。
【0050】
1実施態様によれば、化合物Xおよび/または化合物Yは、上記したように、ケラチン性物質と少なくとも1の水素結合を形成し得る少なくとも1の極性基を有する。この極性基は、有利には、化合物Xによって有され、化合物Xは少なくとも2の不飽和脂肪族基を有する。
【0051】
1実施態様によれば、化合物Xは、各々ケイ素原子に結合した少なくとも2の不飽和脂肪族基、例えば2または3のビニルまたはアリル基、を含むポリオルガノシロキサンから選択される。
【0052】
有利な実施態様によれば、化合物Xは、下記式(I)のシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサンから選択される。
【0053】
【化3】

【0054】
ここで、Rは、1〜30の炭素原子、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の炭素原子を有する直鎖状または環状の1価の炭化水素基を表し、例えば、例えば1〜10の炭素原子を含む短鎖アルキル基、特にメチル基あるいはフェニル基、好ましくはメチル基であり、
mは1または2であり、
R’は、2〜10、好ましくは3〜5の炭素原子を有する不飽和脂肪族炭化水素基を表し、例えばビニル基または基−R”−CH=CHR”’(R”はケイ素原子に結合された、1〜8の炭素原子を有する2価の脂肪族炭化水素鎖であり、R”’は水素原子または1〜4の炭素原子を有するアルキル基であり、好ましくは水素原子である)であり、基R’として、ビニル基およびアリル基およびそれらの混合物が挙げられ得、あるいは、R’は、5〜8の炭素原子を有する不飽和環式炭化水素基を表し、例えばシクロへキセニル基である。
【0055】
好ましくは、R’は不飽和脂肪族炭化水素基であり、好ましくはビニル基である。
【0056】
1実施態様によれば、Rは、1〜10の炭素原子を有するアルキル基あるいはフェニルを表し、好ましくはメチル基であり、R’はビニル基である。
【0057】
特定の実施態様によれば、上記ポリオルガノシロキサンはまた、下記式(II)の単位を含む。
【0058】
【化4】

ここで、Rは先に定義された基であり、nは1、2または3である。
【0059】
1変形によれば、化合物Xは、少なくとも2のエチレン性不飽和を含むシリコーン樹脂であり得、上記樹脂は、触媒の存在下でヒドロシリル化によって化合物Yと反応し得る。例えば、それら自体が−CH=CH不飽和反応性末端基を持っているMQまたはMTタイプの樹脂が挙げられ得る。
【0060】
これらの樹脂は、架橋されたオルガノシロキサンポリマーである。
【0061】
上記組のシリコーン樹脂は「MDTQ」の名称で知られ、上記樹脂は、それが含む種々のシロキサンモノマー単位に関して記載され、上記文字「MDTQ」の各々が単位の型を特徴付ける。
【0062】
文字Mは、式(CHSiO1/2のモノ官能性単位を表し、ケイ素原子が、上記単位を含むポリマーにおいて1個の酸素原子に結合されている。
文字Dは、2官能性単位(CHSiO2/2を意味し、ケイ素原子が2個の酸素原子に結合されている。
文字Tは式(CH)SiO3/2の3官能性単位を表す。
【0063】
上記で定義された単位M、D、Tにおいて、メチル基の少なくとも1は、メチル基以外の基R、例えば2〜10の炭素原子を有する炭化水素基(特にアルキル基)またはフェニル基、あるいはヒドロキシル基で置換され得る。
【0064】
最後に、文字Qは、4官能性単位SiO4/2を示し、それら自体がポリマーの残部に結合された4つの水素原子にケイ素原子が結合される。上記樹脂の例として、MTシリコーン樹脂、例えばポリ(フェニル−ビニルシルセスキオキサン)、例えばゲレスト(Gelest)社によってSST−3PV1として市販されているもの、が挙げられ得る。
【0065】
好ましくは、化合物Xは、0.01〜1重量%の不飽和脂肪族基を有する。
【0066】
有利には、化合物Xは、ポリオルガノポリシロキサン、特に先に記載されたシロキサン単位(I)および所望により(II)を含むもの、から選択される。
【0067】
化合物Yは好ましくは、少なくとも2の遊離(free)Si−H基(ヒドロゲノシラン基)を有する。
【0068】
化合物Yは、有利には、下記式の少なくとも1のアルキルヒドロゲノシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサンから選択され得る。
【0069】
【化5】

ここで、Rは、1〜30の炭素原子を有する直鎖状または環状の1価の炭化水素基を表し、例えば1〜30の炭素原子、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル基、またはフェニル基であり、pは1または2である。好ましくは、Rは炭化水素基、好ましくはメチル基である。
【0070】
アルキルヒドロゲノシロキサン単位を有するこれらのポリオルガノシロキサン化合物Yは、上記で定義された下記式(II)の単位をさらに含み得る。
【0071】
【化6】

【0072】
化合物Yは、上記で定義された単位M、D、T、Qから選択される少なくとも1の単位を含みかつ少なくとも1のSi−H基を含むシリコーン樹脂であり得、例えばゲレスト(Gelest)社によってSST−3MH1.1として市販されているポリ(メチル−ヒドリドシルセスキオキサン)である。
【0073】
好ましくは、これらのポリオルガノシロキサン化合物Yは、0.5〜2.5重量%のSi−H基を有する。
【0074】
有利には、上記式(I)、(II)、(III)において、基Rがメチル基を表す。
【0075】
好ましくは、これらのポリオルガノシロキサンYが式(CHSiO1/2の末端基を有する。
【0076】
有利には、ポリオルガノシロキサンYが、式−(HC)(H)SiO−の少なくとも2のアルキルヒドロゲノシロキサン単位を有し、所望により−(HC)SiO−単位を含む。
【0077】
ヒドロゲノシラン基を有するこれらのポリオルガノシロキサン化合物Yは、例えば欧州特許出願公開EP0465744に記載されている。
【0078】
1変形によれば、化合物Xが、有機オリゴマーまたはポリマー(有機とは、その主鎖がシリコーン鎖でない化合物を意味し、好ましくはケイ素原子を含まない化合物を意味する)から、またはハイブリッド有機/シリコーンポリマーまたはオリゴマーから選択され、上記オリゴマーまたはポリマーは少なくとも2の不飽和反応性脂肪族基を有し、化合物Yが、上記で挙げられたヒドロゲノシラン基を有するポリオルガノシロキサンYから選択される。
【0079】
1実施態様によれば、少なくとも2の不飽和反応性脂肪族基を有する上記有機またはハイブリッド有機/シリコーン化合物Xが、上記の少なくとも1の極性基を有する。
【0080】
有機性の化合物Xは、そのとき、ビニル系、(メタ)アクリル系のポリマーまたはオリゴマー、ポリエステル、ポリウレタンおよび/またはポリウレア、ポリエーテル、パーフルオロポリエーテル、ポリオレフィン、例えばポリブテン、ポリイソブチレン、デンドリマーまたは有機多分岐(hyperbranched)ポリマー、あるいはそれらの混合物から選択され得る。
【0081】
特に、有機ポリマーまたは、ハイブリッドポリマーの有機部分は、下記ポリマーから選択され得る。
a)エチレン性不飽和を有するポリエステル:
これは、ポリマーの主鎖中にランダムに分布された少なくとも2のエチレン性二重結合を有するポリエステル型のポリマー群である。これらの不飽和ポリエステルは、下記の混合物、すなわち、
3〜50の炭素原子、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の炭素原子を特に有する、直鎖状または分岐状の脂肪族または脂環式ジカルボン酸、例えばアジピン酸またはセバシン酸;8〜50の炭素原子、好ましくは8〜20、より好ましくは8〜14の炭素原子を特に有する、芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、特にテレフタル酸;および/またはエチレン性不飽和を有する脂肪酸の二量体、例えば欧州特許出願公開EP−A−959066(段落[0021])に記載されたオレイン酸またはリノール酸の二量体(ユニケマ社によってPripolの商品名でまたはヘンケル社によってEmpolの商品名で市販されている)、から誘導されるジカルボン酸、ここで、上記全ての二酸は、重合可能なエチレン性二重結合を有しない、
2〜50の炭素原子、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10の炭素原子を特に有する、直鎖状または分岐状の脂肪族または脂環式ジオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールまたはシクロヘキサンジメタノール;6〜50の炭素原子、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜15の炭素原子を有する芳香族ジオール、例えばビスフェノールAおよびビスフェノールB;および/または上記で定義された脂肪酸の二量体の還元によって得られるジオール二量体、および
少なくとも1の重合可能なエチレン性二重結合を有しかつ3〜50の炭素原子、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の炭素原子を有する1以上のジカルボン酸またはそれらの無水物、例えばマレイン酸、フマル酸またはイタコン酸
の混合物の重縮合によって得られる。
【0082】
b)(メタ)アクリレート側基および/または末端基を有するポリエステル:
これは、下記混合物、すなわち、
3〜50の炭素原子、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の炭素原子を特に有する、直鎖状または分岐状の脂肪族または脂環式ジカルボン酸、例えばアジピン酸またはセバシン酸;8〜50の炭素原子、好ましくは8〜20、より好ましくは8〜14の炭素原子を特に有する、芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、特にテレフタル酸;および/またはエチレン性不飽和を有する脂肪酸の二量体、例えば欧州特許出願公開EP−A−959066(段落[0021])に記載されたオレイン酸またはリノール酸の二量体(ユニケマ社によってPripolの商品名でまたはヘンケル社によってEmpolの商品名で市販されている)、から誘導されるジカルボン酸、ここで、上記全ての二酸は、重合可能なエチレン性二重結合を有しない、
2〜50の炭素原子、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10の炭素原子を特に有する、直鎖状または分岐状の脂肪族または脂環式ジオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールまたはシクロヘキサンジメタノール;6〜50の炭素原子、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜15の炭素原子を有する芳香族ジオール、例えばビスフェノールAおよびビスフェノールB、および
(メタ)アクリル酸と2〜20の炭素原子、好ましくは2〜6の炭素原子を有するジオールまたはポリオールとの少なくとも1のエステル、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびグリセロールメタクリレート
の混合物の重縮合によって得られるポリエステル型のポリマー群である。
【0083】
これらのポリエステルは、エチレン性二重結合が主鎖中に位置しないで側基上にまたは主鎖の末端に位置している点で上記a)に記載されたものと異なる。これらのエチレン性二重結合は、ポリマー中に存在する(メタ)アクリレート基のものである。
【0084】
このようなポリエステルは、例えばUCB社によってEBECRYLの商品名で市販されている(EBECRYL450:分子量1600、1分子につき平均6のアクリレート官能基、EBECRYL652:分子量1500、1分子につき平均6のアクリレート官能基、EBECRYL800:分子量780、1分子につき平均4のアクリレート官能基、EBECRYL810:分子量1000、1分子につき平均4のアクリレート官能基、EBECRYL50000:分子量1500、1分子につき平均6のアクリレート官能基)。
【0085】
c)(メタ)アクリレート基を有するポリウレタンおよび/またはポリウレア:
これは、下記混合物、すなわち
4〜50、好ましくは4〜30の炭素原子を特に有する、脂肪族、脂環式および/または芳香族のジイソシアネート、トリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートまたは、3分子のジイソシアネートOCN−R−CNOの三量化によって得られる下記式のイソシアヌレート、
【化7】

[ここで、Rは、2〜30の炭素原子を有する直鎖状、分岐状または環状の炭化水素基である]、
重合可能なエチレン性不飽和を有しないポリオール、特にジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコールまたはトリメチロールプロパン;および/またはポリアミン、特に脂肪族、脂環式および/または芳香族ジアミン、特に3〜50の炭素原子を有するもの、例えばエチレンジアミンまたはヘキサメチレンジアミン、および
(メタ)アクリル酸と2〜20の炭素原子、好ましくは2〜6の炭素原子を有するジオールまたはポリオールとの少なくとも1のエステル、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびグリセロールメタクリレート
の混合物の重縮合によって得られるものである。
【0086】
アクリレート基を有するこれらのポリウレタン/ポリウレアは、例えば、CRAY VALLEY社によってSR368(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−トリアクリレート)またはCRAYNOR(商品名)435の名称で、またはUCB社によってEBECRYLの商品名で市販されている(EBECRYL210:分子量1500、1分子につき2のアクリレート官能基、EBECRYL230:分子量5000、1分子につき2のアクリレート官能基、EBECRYL270:分子量1500、1分子につき2のアクリレート官能基、EBECRYL8402:分子量1000、1分子につき2のアクリレート官能基、EBECRYL8804:分子量1300、1分子につき2のアクリレート官能基、、EBECRYL220:分子量1000、1分子につき6のアクリレート官能基、EBECRYL2220:分子量1200、1分子につき6のアクリレート官能基、EBECRYL1290:分子量1000、1分子につき6のアクリレート官能基、EBECRYL800:分子量800、1分子につき6のアクリレート官能基)。
【0087】
また、EBECRYL(商品名)2000、EBECRYL(商品名)2001およびEBECRYL(商品名)2002の名称で市販されている水溶性の脂肪族ジアクリレートポリウレタン、およびUCB社によってIRR(商品名)390、IRR(商品名)400、IRR(商品名)422およびIRR(商品名)424の名称で市販されている水性分散物中のジアクリレートポリウレタンも挙げられ得る。
【0088】
d)(メタ)アクリレート基を有するポリエーテル:
これは、C1〜4アルキレングリコールのホモポリマーまたはコポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの好ましくは10000未満の重量平均分子量を有するコポリマー、ポリエトキシル化またはポリプロポキシル化されたトリメチロールプロパン、のヒドロキシル末端基を(メタ)アクリル酸によってエステル化することによって得られるものである。
【0089】
適する分子量のジ(メタ)アクリレートポリオキシエチレンは、例えば、CRAY VALLEY社によってSR259、SR344、SR610、SR210、SR603およびSR252の名称で、またはUCB社によってEBECRYL(商品名)11の名称で市販されている。ポリエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートは、例えば、CRAY VALLEY社によってSR454、SR498、SR502、SR9035、SR415の名称で、またはUCB社によってEBECRYL(商品名)160の名称で市販されている。ポリプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートは、例えば、CRAY VALLEY社によってSR492およびSR501の名称で市販されている。
【0090】
e)エポキシアクリレート:
これは、下記化合物の間の反応によって得られるものである。すなわち、
下記(i)〜(vi)から例えば選択される少なくとも1のジエポキシド:
(i)ビスフェノールAジグリシジルエーテル、
(ii)ビスフェノールAジグリシジルエーテルとエピクロロヒドリンとの間の反応によって得られるジエポキシ樹脂、
(iii)3〜50の炭素原子を有するジカルボン酸と化学量論的に過剰の(i)および/または(ii)との縮合によって得られる、α,ω−ジエポキシ末端基を有するエポキシエステル樹脂、
(iv)3〜50の炭素原子を有するジオールと化学量論的に過剰の(i)および/または(ii)との縮合によって得られる、α,ω−ジエポキシ末端基を有するエポキシエーテル樹脂、
(v)少なくとも2のエポキシド基を有する天然油または合成油、例えばエポキシ化された大豆油、エポキシ化された亜麻仁油およびエポキシ化されたベルノニア(vernonia)油、
(vi)末端基および/または側基がエポキシ化されているフェノール−ホルムアルデヒド重縮合物(Novolac(商品名)樹脂)、
および
カルボキシル基のα,βに少なくとも1のエチレン性二重結合を有する1以上のカルボン酸またはカルボキシルポリ酸、例えば(メタ)アクリル酸またはクロトン酸または、(メタ)アクリル酸と2〜20の炭素原子、好ましくは2〜6の炭素原子を有するジオールまたはポリオールとのエステル、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
の間の反応によって得られるものである。
【0091】
そのようなポリマーは、CRAY VALLEY社によってSR349、SR601、CD541、SR602、SR9036、SR348、CD540、SR480、CD9038の名称で、UCB社によってEBECRYL(商品名)600、EBECRYL609、EBECRYL150、EBECRYL860、EBECRYL3702の名称で、およびヘンケル社によってPHOTOMER(商品名)3005およびPHOTOMER3082の名称で市販されている。
【0092】
f)少なくとも2の官能基を有し、側および/または末端の炭化水素鎖にエチレン性二重結合を有する(C1〜50アルキル)ポリ(メタ)アクリレート、ここで、上記アルキルは、直鎖状、分岐状または環状である。
【0093】
そのようなコポリマーは、例えば、UCB社によって、IRR(商品名)375、OTA(商品名)480およびEBECRYL(商品名)2047の名称で市販されている。
【0094】
g)ポリオレフィン、例えばポリブテン、ポリイソブチレン
【0095】
h)ヒドロキシル側基および/または末端基を有するパーフルオロポリエーテルの、例えば(メタ)アクリル酸による、エステル化によって得られる、アクリレート基を有するパーフルオロポリエーテル
これらのα,ω−ジオールパーフルオロポリエーテルは、欧州特許出願公開EP−A−1057849に特に記載されており、AUSIMONT社によってFOMBLIN(商品名)ZDIOLの名称で市販されている。
【0096】
i)ヒドロキシルまたはアミノ末端基を有するデンドリマーおよび多分岐ポリマーを(メタ)アクリル酸によってエステル化またはアミド化することによってそれぞれ得られる、(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミド末端基を有するデンドリマーおよび多分岐ポリマー
【0097】
デンドリマー(ギリシャ語のdendron=木に由来する)は、「樹木様」ポリマー分子、すなわち、高度に分岐したポリマー分子であり、1990年代初めにD.A.Tomaliaおよび彼のチームによって発明された(Donald A. Tomaliaら、Angewandte Chemie, Int. Engl. Ed.,Vol.29, No.2, 138-175頁)。デンドリマーは、1つの、一般には多価の、中心単位の周りに構築された構造である。分岐した鎖延長単位が、この中心単位の周りに完全に規定された構造にしたがって配置されており、こうして、十分規定された化学的および立体化学的構造を有する対称の単分散マクロ分子を与える。ポリアミドアミン型のデンドリマーは、例えば、DENDRITECH社によってSTARBURSTの商品名で市販されている。
【0098】
多分岐ポリマーは、多官能性モノマーから得られる重縮合物、一般にはポリエステル、ポリアミドまたはポリエチレンアミン型のものであり、それは、デンドリマーのものに類似した樹木様構造を有するが、後者よりも規則性がはるかに小さい(例えば、国際出願公開WO−A−93/17060およびWO96/12754を参照)。
【0099】
PERSTORP社は、BOLTORNの商品名で多分岐ポリエステルを市販している。多分岐ポリエチレンアミンは、DENDRITECH社からCOMBURSTの商品名で入手可能である。ヒドロキシル末端基を有する多分岐ポリ(エステルアミド)は、DSM社によってHYBRANEの商品名で市販されている。
【0100】
アクリル酸および/またはメタクリル酸によってエステル化されたまたはアミド化された、これらのデンドリマーおよび多分岐ポリマーは、上記a)〜h)に記載されたポリマーと、存在する非常に多くのエチレン性二重結合において異なる。この増加された、一般には5より大きい、官能性は、それらが「架橋節」として、すなわち多重架橋部位として作用することを可能にする点においてそれらを特に有用なものにする。
【0101】
したがって、これらのデンドリマーおよび多分岐ポリマーを上記ポリマーおよび/またはオリゴマーa)〜h)の1以上と関連して使用することが可能である。
【0102】
1a.追加の反応性化合物
1実施態様によれば、化合物Xおよび/またはYを含む組成物は、下記のような追加の反応性化合物をさらに含み得る。
表面に少なくとも2の不飽和脂肪族基を有する有機粒子または鉱物粒子、例えば、ビニル系の基を有するシリコーン化合物で表面処理されたシリカ、例えばシクロテトラメチルテトラビニルシロキサン処理されたシリカ、が挙げられ得る、および
シラザン化合物、例えばヘキサメチルジシラザン。
【0103】
1b.触媒
ヒドロシリル化反応は、化合物XまたはYの一方または他方とともに存在し得る、またはそれだけで存在し得る触媒の存在下で生じる。例えば、この触媒は、それが相互作用させなければならない2つの化合物XおよびYが同じ組成物中に、カプセル封入されていない形で存在するならば、カプセル封入された形でその組成物中に存在し得、逆に、化合物XおよびYの少なくとも1がカプセル封入された形でその組成物中に存在するならば、この触媒は、カプセル封入されていない形でそこに含まれ得る。触媒は好ましくは、白金またはスズに基づく。
【0104】
例えば、シリカゲルまたは粉末炭の担体上に担持された白金ベースの触媒、塩化白金、白金の塩および塩化白金酸の塩が挙げられ得る。
【0105】
塩化白金酸は好ましくは、6水和物の形または無水物の形で使用され、それらは、オルガノシリコーン媒体中に容易に分散可能である。
【0106】
また、白金複合体、例えば、塩化白金酸6水和物およびジビニルテトラメチルジシロキサンに基づくものも挙げられ得る。
【0107】
触媒は、それを含む組成物の総重量に対して0.0001〜20重量%の範囲の量で存在し得る。
【0108】
化合物Xおよび/またはYは、重合阻害剤または抑制剤、および特に触媒の阻害剤と組み合わされ得る。非限定的に、環状ポリメチルビニルシロキサン、および特にテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、アセチレン系アルコール、好ましくは揮発性のもの、例えばメチルイソブチノールが挙げられ得る。
【0109】
イオン性の塩、例えば酢酸ナトリウム、の存在は、上記化合物の重合速度に影響を及ぼし得る。
【0110】
触媒の存在下でのヒドロシリル化によって反応する化合物XおよびYの組み合わせの例として、ダウコーニング社によって提供される次の表示のもの、すなわちDC7−9800 Soft Skin Adhesive Parts A & B、ならびにダウコーニング社によって調製された下記混合物AおよびBの組み合わせが挙げられ得る。
【0111】
【表1】

【0112】
【表2】

【0113】
有利には、化合物XおよびYは、触媒の存在下でのヒドロシリル化によって反応し得るシリコーン化合物から選択される。特に化合物Xは、上記式(I)の単位を含むポリオルガノシロキサンから選択され、化合物Yは、上記式(III)のアルキルヒドロゲノシロキサン単位を含むオルガノシロキサンから選択される。
【0114】
特定の実施態様によれば、化合物Xはビニル系末端基を有するポリジメチルシロキサンであり、化合物Yはポリメチルヒドロゲノシロキサンである。
【0115】
2.縮合によって反応し得る化合物XおよびY
1実施態様によれば、本発明は、ケラチン性物質、特に皮膚、のケアおよび/またはメイクアップのために使用され得る化粧用キットに関し、該キットが、互いに異なりかつ別々に包装されている少なくとも2の組成物を有し、上記組成物の少なくとも1はエマルジョン型でありかつ少なくとも1の両親媒性ポリマーを含み、上記キットは、1以上の化合物X、1以上の化合物Yおよび所望により少なくとも1の触媒を含み、化合物XおよびYの少なくとも1はシリコーン化合物であり、上記化合物XおよびYは、それらが互いに接触させられるとき、縮合反応によって互いに反応することができ、化合物X、Yおよび、存在するときの触媒は、同時に同じ組成物中に存在しない。
【0116】
この実施態様によれば、化合物XおよびYは縮合によって反応可能であり、それは、水の存在下(加水分解)でのアルコキシシラン基を有する2つの化合物の反応により、またはアルコキシシラン基を有する化合物とシラノール基を有する化合物との反応によるもしくはシラノール基を有する2つの化合物の反応によるいわゆる「直接の」縮合により反応可能である。
【0117】
縮合が水の存在下で行なわれるとき、水は特に、環境の湿気、皮膚、唇、まつげおよび/または爪の残留水、または外部源からの水、例えばケラチン性物質を(例えばアトマイザーにより、天然または人工の涙により)先に湿らしたことによる水であり得る。
【0118】
このような縮合反応ではしたがって、化合物XおよびYは、同じでも異なっていてもよく、主鎖が少なくとも2のアルコキシシラン基および/または少なくとも2のシラノール(Si−OH)側基または末端基を含むシリコーン化合物から選択され得る。
【0119】
1実施態様によれば、化合物Xおよび/または化合物Yは、上記したように、ケラチン性物質と少なくとも1の水素結合を形成し得る少なくとも1の極性基を有する。
【0120】
有利な実施態様によれば、化合物Xおよび/またはYは、少なくとも2のアルコキシシラン基を含むポリオルガノシロキサンから選択される。「アルコキシシラン基」は、少なくとも1の−Si−OR部分(Rは、1〜6の炭素原子を有するアルキル基である)を含む基を意味する。
【0121】
化合物XおよびYは、アルコキシシラン末端基を有するポリオルガノシロキサンから特に選択され、より特には、少なくとも2のアルコキシシラン末端基、好ましくはトリアルコキシシラン末端基、を有するものから選択される。
【0122】
これらの化合物Xおよび/またはYは、好ましくは、下記式の単位を含む。
【化8】

ここで、基Rは、互いに独立して、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、フルオロアルキル基から選択される基を表し、sは0、1、2または3である。好ましくは、基Rは、互いに独立して、1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表す。アルキル基として、特に、メチル、プロピル、ブチル、ヘキシルおよびそれらの混合物が挙げられ得、好ましくはメチルまたはエチルである。フルオロアルキル基として、3,3,3−トリフルオロプロピルが挙げられ得る。
【0123】
特定の実施態様によれば、化合物XおよびYは、同じでも異なっていてもよく、下記式の単位を含むオポリオルガノシロキサンである。
【化9】

ここで、Rは上記した通りであり、好ましくはRはメチル基であり、fは、ポリマーが有利には、25℃で0.5〜3000Pa.sの範囲、好ましくは5〜150Pa.sの範囲の粘度を有するところの値である。例えばfは2〜5000、好ましくは3〜3000、より好ましくは5〜1000の範囲であり得る。
【0124】
これらのポリオルガノシロキサン化合物XおよびYは、ポリマー1分子につき少なくとも2のトリアルコキシシラン末端基を含む。上記基は、下記式を有する。
【化10】

ここで、基Rは、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル基を表し、好ましくはメチルまたはエチル基であり、Rはメチルまたはエチル基であり、xは0または1であり、好ましくはxは0であり、Zは、エチレン性不飽和を有せずかつ1〜18の炭素原子、好ましくは2〜18の炭素原子を有する2価の炭化水素基(アルキレン基)および下記式(IX)の2価の炭化水素基とシロキサン部分との組み合わせから選択される。
【化11】

ここで、Rは上記した通りであり、Gは、エチレン性不飽和を有せずかつ1〜18の炭素原子、好ましくは2〜18の炭素原子を有する2価の炭化水素基であり、cは1〜6の範囲の整数である。
【0125】
ZおよびGは特に、アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、アリーレン基、例えばフェニレン、から選択され得る。
好ましくは、Zは、アルキレン基、より好ましくはエチレンである。
【0126】
これらのポリマーは、1分子につき平均して少なくとも1.2のトリアルコキシシラン末端基または末端鎖、好ましくは1分子につき平均して少なくとも1.5のトリアルコキシシラン末端基を有し得る。1分子につき少なくとも1.2のトリアルコキシシラン末端基を有し得るこれらのポリマーのいくつかは、他の型の末端基、例えば式CH=CH−SiR−または式R−Si−の末端基(Rは先に定義されたとおりであり、各基Rは独立してRまたはビニル基から選択される)を含み得る。上記末端基の例として、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ビニルジメトキシシランおよびビニルメチルオキシフェニルシラン基が挙げられ得る。
【0127】
そのようなポリマーは、特に米国特許第3175993号明細書、同第4772675号明細書、同第4871827号明細書、同第4888380号明細書、同第4898910号明細書、同第4906719号明細書および同第4962174号明細書に記載されており、これらの中身は、引用することにより本出願に組み入れられる。
【0128】
化合物Xおよび/またはYとして、特に、下記式のポリマーから選択されるポリオルガノシロキサンが挙げられ得る。
【化12】

ここで、R、R、R、Z、xおよびfは上記した通りである。
【0129】
化合物Xおよび/またはYは、また、上記式(VII)のポリマーと下記式(VIII)のポリマーとの混合物を含み得る。
【化13】

ここで、R、R、R、Z、xおよびfは上記した通りである。
【0130】
アルコキシシラン基を有するポリオルガノシロキサン化合物Xおよび/またはYが上記混合物を含むとき、種々のポリオルガノシロキサンは、オルガノシリル末端鎖が、末端鎖数の40%未満、好ましくは25%未満であるような量で存在する。
【0131】
特に好ましいポリオルガノシロキサン化合物Xおよび/またはYは、上記式(VII)のものである。そのような化合物Xおよび/またはYは、例えば国際公開WO01/96450に記載されている。
【0132】
上記したように、化合物XおよびYは、同一でも異なっていてもよい。
【0133】
特に、化合物XおよびYは、メトキシシラン基を有するポリジメチルシロキサンの混合物を表し得る。
【0134】
1変形によれば、2の反応する化合物XまたはYの一方がシリコーン性であり、他方が有機性である。例えば、化合物Xが有機オリゴマーもしくはポリマーまたはハイブリッド有機/シリコーンオリゴマーもしくはポリマーから選択され、ここで、上記ポリマーまたはオリゴマーは少なくとも2のアルコキシシラン基を含み、Yがシリコーン化合物、例えば上記したポリオルガノシロキサン、から選択される。特に、上記有機オリゴマーまたはポリマーは、ビニル系、(メタ)アクリル系のオリゴマーまたはポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンおよび/またはポリウレア、ポリエーテル、ポリオレフィン、パーフルオロポリエーテル、デンドリマーおよび多分岐有機ポリマー、およびそれらの混合物から選択される。
【0135】
1実施態様によれば、有機のまたはハイブリッド有機/シリコーンの化合物Xは、上記したように、ケラチン性物質と少なくとも1の水素結合を形成し得る少なくとも1の極性基を有する。
【0136】
アルコキシシラン側基を有するビニル系または(メタ)アクリル系の有機ポリマーは、特に、少なくとも1のビニル系または(メタ)アクリル系の有機モノマーと(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシランなどとの共重合によって得られ得る。
【0137】
例えば、KUSABE, M., Pitture e Verniei −European Coating; 12-B, 43-49頁、2005に記載された(メタ)アクリル系ポリマー、および特に、KanekaからのMAXの名称を有するアルコキシシラン基を有するポリアクリレートまたはPROBSTER,M., Adhesion-Kleben & Dichten, 2004, 481(1-2), 12-14頁に記載されたもの、が挙げられ得る。
【0138】
重縮合または重付加から得られる有機ポリマー、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンおよび/またはポリウレア、ポリエーテル、であって、アルコキシシラン側基および/または末端基を有するものは、例えば、上記に記載されたオリゴマー性プレポリマーと、少なくとも1のアルコキシシラン基を有する下記のシラン反応パートナー、すなわちアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、の1との反応によって得られ得る。
【0139】
アルコキシシラン基を有するポリエーテルおよびポリイソブチレンの例は、KUSABE,M., Pitture e Verniei − European Coating; 12-B, 43-49頁、2005に記載されている。アルコキシシラン末端基を有するポリウレタンの例としては、PROBSTER,M., Adhesion-Kleben & Dichten, 2004, 481(1-2), 12-14頁に記載されているものあるいはLANDON,S., Pitture e Verniei Vol. 73, No. 11, 18-24頁、1997に記載されているもの、またはHUANG, Mowo,Pitture e Verniei Vol. 5, 2000, 61-67頁に記載されているものが挙げられ得、特に、OSI-WITCO-GEからの、アルコキシシラン基を有するポリウレタンが挙げられ得る。
【0140】
ポリオルガノシロキサン化合物Xおよび/またはYとして、それ自体がアルコキシシランおよび/またはシラノール末端基を有するMQまたはMT型の樹脂、例えば、ゲレスト社によりSST−S7C41(3個のSi−OH基)の名称で提供されている、シラノール官能基を有するポリ(イソブチルシルセスキオキサン)樹脂、が挙げられ得る。
【0141】
2a.追加の反応性化合物
1実施態様によれば、化合物Xおよび/またはYは、少なくとも2のアルコキシシランまたはシラノール基を有する追加の反応性化合物とさらに組み合わされ得る。
例えば、表面にアルコキシシランおよび/またはシラノール基を有する1以上の有機粒子または鉱物粒子、例えば上記基で表面処理されたフィラーが挙げられ得る。
【0142】
2b.触媒
縮合反応は、化合物XまたはYの一方または他方とともに存在し得、またはそれだけで存在し得る金属ベースの触媒の存在下で生じ得る。例えば、上記触媒は、それが相互作用させるべき2つの化合物XおよびYが同じ組成物中に、カプセル封入されていない形で存在するならば、カプセル封入された形でその組成物中に存在し得、逆に、化合物XおよびYの少なくとも1がカプセル封入された形で上記組成物中に存在するならば、この触媒は、カプセル封入されていない形でそこに存在し得る。この種の反応での使用のための触媒は好ましくはチタンベースの触媒である。
【0143】
特に、下記式のテトラアルコキシチタンに基づく触媒が挙げられ得る。
【化14】

ここで、Rは三級アルキル基、例えばt−ブチル、t−アミルおよび2,4−ジメチル−3−ペンチル、から選択され、Rは1〜6の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、ヘキシル基、を表し、yは3〜4の範囲の数であり、好ましくは3.4〜4の範囲の数である。
【0144】
触媒は、それを含む組成物の総重量に対して0.0001〜20重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0145】
2c.希釈剤
Xおよび/またはYを含む、使用され得る組成物は、組成物の粘度を下げるための揮発性シリコーン油(または希釈剤)をさらに含み得る。上記油は、短鎖直鎖状シリコーン、例えばヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、環状シリコーン、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0146】
このシリコーン油は、各組成物の重量に対して5〜95重量%、好ましくは10〜80重量%であり得る。
【0147】
アルコキシシラン基を有しかつ縮合によって反応する化合物XおよびYの組み合わせの例として、ダウコーニング社によって製造された下記混合物A’およびB’の組み合わせが挙げられ得る。
【0148】
【表3】

【0149】
【表4】

【0150】
なお、同一の化合物XおよびYは、混合物A’中に一緒にされている((1)参照)。
【0151】
3.過酸化物の存在下での架橋
1実施態様によれば、本発明は、ケラチン性物質、特に皮膚、のケアおよび/またはメイクアップのために使用され得る化粧用キットに関し、該キットが、互いに異なりかつ別々に包装されている少なくとも2の組成物を有し、上記組成物の少なくとも1はエマルジョン型でありかつ少なくとも1の両親媒性ポリマーを含み、上記キットは、1以上の化合物X、1以上の化合物Yおよび少なくとも1の過酸化物を含み、化合物XおよびYの少なくとも1はシリコーン化合物であり、上記化合物XおよびYは、それらが互いに接触させられるとき、過酸化物の存在下で架橋反応によって互いに反応することができ、化合物X、Yおよび過酸化物は同時に同じ組成物中に存在しない。
【0152】
この反応は好ましくは、50℃以上の温度、好ましくは80℃以上、および120℃までの温度に加熱することにより行なわれる。
【0153】
化合物XおよびYは同じでも異なっていてもよく、この場合には、少なくとも2の−CH側基および/または−CH基を有する少なくとも2の側鎖を有する。
【0154】
化合物XおよびYは好ましくはシリコーン化合物であり、例えば、高分子量であり、6より大きい重合度を有し、かつケイ素原子に結合した少なくとも2の−CH側基および/または−CH基を有する少なくとも2の側鎖を有する不揮発性の直鎖状ポリジメチルシロキサンから選択され得る。例えば、ゲレスト社のカタログ「反応性シリコーン(Reactive Silicones)」、2004版、第6頁に記載されているポリマー、および特に、500,000〜900,000の範囲の分子量および特に2,000,000cStより上の粘度を有するビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンのコポリマー(ガムとも呼ばれる)が挙げられ得る。
【0155】
本発明で使用され得る過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイルおよびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0156】
1実施態様によれば、化合物XおよびYの間の、触媒の存在下でのヒドロシリル化反応、または縮合反応、または過酸化物の存在下での架橋反応は、熱の供給により、例えば系の温度を25℃〜180℃に上げることにより、促進される。
【0157】
一般に、化合物XおよびYが互いに反応するところの反応の型に関係なく、化合物XおよびYの合計に対するXのモル%、すなわちX/(X+Y)x100は、5〜95%、好ましくは10〜90%、より好ましくは20〜80%であり得る。
【0158】
同様に、化合物XおよびYの合計に対するYのモル%、すなわちY/(X+Y)x100は、5〜95%、好ましくは10〜90%、より好ましくは20〜80%であり得る。
【0159】
化合物Xは、150〜1,000,000、好ましくは200〜800,000、より好ましくは200〜250,000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0160】
化合物Yは、200〜1,000,000、好ましくは300〜800,000、より好ましくは500〜250,000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0161】
化合物Xは、それを含む組成物の総重量に対して0.1〜95重量%、好ましくは1〜90重量%、より好ましくは5〜80重量%であり得る。
【0162】
化合物Yは、それを含む組成物の総重量に対して0.1〜95重量%、好ましくは1〜90重量%、より好ましくは5〜80重量%であり得る。
【0163】
化合物Xの化合物Yに対する割合は、反応速度および、したがって、膜の形成速度を調整するように、または意図される用途にしたがって、形成される膜の特性(例えばその接着特性)を適合させるように変えられ得る。
【0164】
特に、化合物XおよびYは、0.05〜20の、好ましくは0.1〜10の範囲のモル比X/Yで存在し得る。
化合物XおよびYは、有利には、少なくとも1のフィラーと組み合わされ得る。すなわち、本発明に従うキットは例えば、組成物の少なくとも1中に、シリカまたは表面処理されたシリカから選択されるフィラーを含み得る。
【0165】
上記で指摘されたように、本発明の1実施態様によれば、化合物XおよびYは、単一の組成物の形で使用され得、そのとき、上記組成物は、それらの少なくとも1または、適用可能ならば、それらの相互作用に必要ならば触媒または過酸化物を、カプセル封入された形で含む。
【0166】
本発明の範囲内において、コア/シェル型のカプセル封入された形(マイクロカプセルまたはナノカプセルとも呼ばれる)が特に考慮される。上記形では、シェルがポリマー性であり、コアが、化合物X、化合物Yを含み、その化合物XおよびYの一方が、上記2つの化合物の相互作用のために必要ならば触媒または過酸化物とともにカプセル封入されている。この触媒が化合物XまたはYの一方または他方とともにカプセル封入されていない場合には、それは、カプセル封入された形を含む化粧用組成物中に存在する。
【0167】
この種のマイクロカプセルまたはナノカプセルを製造するために、現在、多数の技術が利用できる。
【0168】
しかし、好ましい実施態様によれば、本発明に従って考慮されるカプセル封入された形はナノカプセルであり、溶媒ナノ析出と呼ばれる、特に欧州特許出願公開EP274961およびEP1552820に記載されている技術によって得られる。
【0169】
特に、本発明にしたがって用いられる化合物XまたはYのナノカプセルのシェルはポリマー性であり、架橋されておらず、水溶性でなく、かつカプセルコア中に溶解しない。
【0170】
一般に、水と混和しない溶媒中に溶解する全てのポリマー(天然または合成)、および特に、大気圧下での水の沸点(100℃)より下の融点を有するものが適し得る。
【0171】
これらのポリマーは、生物分解性であり得(例えばポリエステル)、または生物分解性でない。
【0172】
本発明に適するポリマーの例として、下記が特に挙げられ得る。
〜C12アルキルシアノアクリレートポリマー、
ポリ−L−ラクチド、ポリ−DL−ラクチド、ポリグリコリドおよび対応するコポリマーによって形成されるポリマー、
ポリカプロラクトン、
3−ヒドロキシ酪酸のポリマー、
塩化ビニルおよび酢酸ビニルのコポリマー、
メタクリル酸およびメタクリル酸エステルの、特にメタクリル酸およびメタクリレートの、コポリマー、
ポリビニルアセトフタレート、
セルロースアセトフタレート、
ポリビニルピロリドン−ビニルアセテートコポリマー、
ポリエチレンビニルアセテート、
ポリアクリロニトリル、
ポリアクリルアミド、
ポリエチレングリコール、
ポリ−(C〜Cヒドロキシアルキルメタクリレート)、
セルロースおよびC〜Cカルボン酸のエステル、
ポリスチレンおよびスチレンと無水マレイン酸とのコポリマー、スチレンとアクリル酸とのコポリマー、スチレンエチレン/ブチレン−スチレンブロック三元ポリマー、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック三元ポリマー、
スチレンアルキル−アルコールオリゴマー、
エチレン、酢酸ビニルおよび無水マレイン酸の三元ポリマー、
ポリアミド、
ポリエチレン、
ポリプロピレン、
ポリジメチルシロキサンを含むオルガノポリシロキサン、
ポリ(アルキレンアジペート)、
ポリオールポリエステル、
ポリシルセスキオキサンシリコーンポリマー、
ヒドロキシル末端官能基を有するデンドリマー性ポリエステル、
水分散性であるが、水と混和しない溶媒中に溶解するポリマー、例えば、ポリエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリウレタンおよびカルボン酸および/またはスルホン酸官能基を有するビニルコポリマーおよび特にFR2787729に記載されたもの、
室温で水不溶性であり、室温で固体であり、上記ポリマーの1の少なくとも1のブロックを有するブロックコポリマー、および
それらの混合物。
【0173】
これらのポリマーまたはコポリマーは、1000〜500,000の、特に1500〜100,000の重量平均分子量を有し得る。
【0174】
下記は、本発明に特に適する。すなわち、ポリ(アルキレンアジペート)、オルガノポリシロキサン、ポリカプロラクトン、セルロースアセトフタレート、セルロースアセト酪酸、セルロースエステル、ポリスチレンおよびその誘導体であり、特にポリカプロラクトンである。
【0175】
もちろん、当業者は、当業者の知識に基づいて、十分な乳化と両立する混合物粘度を有するように、選択されるポリマーの分子量を溶媒中のその濃度に関して調整することができる。
【0176】
脂肪親和性のコアに関して、それは、化合物Xまたは化合物Yに加えて、少なくとも1の油を含み得る。上記油は、油相のための下記に記載される油から選択され得る。油は好ましくはシリコーン油である。
【0177】
本発明の1変形によれば、化合物Xまたは化合物Yのカプセル封入された形は、ラメラ相によってコーティングされ得る。
【0178】
本発明に適するナノカプセルの製造のための操作手順に関して、当業者は、先に引用されたEP1552820における開示を特に参照できる。必要な界面活性剤の選択および上記方法を行なうことは、当業者の知識を必要とする。
【0179】
生理学的に許容される媒体
本発明に従う組成物は、生理学的に許容される媒体、すなわち、ヒトのケラチン性物質に施与され得かつ好ましい外観、芳香および感触を有する非毒性媒体を含み得る。
【0180】
本発明に従う組成物がエマルジョンの形であるとき、エマルジョンは、脂肪相を水性相中に分散させることによって得られる単純なエマルジョンの型または複合的なエマルジョン型であり得る。特には単純なエマルジョンである。これらの組成物は、通常の方法に従って調製される。
【0181】
すなわち、本発明に従う組成物は、有利には、水性相の脂肪相中での分散(W/O)または脂肪相の水性相中での分散(O/W)によって得られるエマルジョン、乳液型の液体または半液体のコンシステンシー、クリームまたはゲル型の軟性、半固体または固体のコンシステンシー、あるいは複合的なエマルジョン(W/O/WまたはO/W/O)の形であり得る。これらの組成物は、通常の方法に従って調製される。
【0182】
油相の定義
第1および第2の組成物の少なくとも1は、液状の脂肪相を含み得る。
【0183】
液状の脂肪相は、少なくとも1の油、特に炭化水素油および/またはシリコーン油および/またはフッ素化油から選択される油を含み得る。
【0184】
本発明に従う組成物中での使用のための油の例として、下記が挙げられ得る。
動物起源の炭化水素油、例えばパーヒドロスクアレン;
植物起源の炭化水素油、例えば4〜10の炭素原子を有する脂肪酸の液状トリグリセリド、例えばヘプタン酸またはオクタン酸のトリグリセリド、あるいは例えばひまわり油、トウモロコシ油、大豆油、キューカービット(cucurbit)油、グレープシード油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ(arara)油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えばStearineries Dubois社販売のものまたはDynamit Nobel社によってMiglyol 810、812および818の名称で販売されているもの、ホホバ油、シアバター油;
合成エステルおよびエーテル、特に脂肪酸のもの、例えば式RCOORおよびRORの油(Rは8〜29の炭素原子を有する脂肪酸の残基を表し、Rは3〜30の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の炭化水素鎖を表す)、例えばパーセリン(purcelline)油、イソノニルイソノナノエート、イソプロピルミリステート、エチル−2−ヘキシルパルミテート、オクチル−2−ドデシルステアレート、オクチル−2−ドデシルエルケート、イソステアリルイソステアレート;ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、脂肪アルコールのヘプタノエート、オクタノエート、デカノエート;ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエートおよびジエチレングリコールジイソノナノエート;およびペンタエリスリトールのエステル、例えばペンタエリスリチルテトライソステアレート;
鉱物起源または合成起源の直鎖状または分岐状炭化水素、例えば揮発性または不揮発性のパラフィン油、およびそれらの誘導体、イソヘキサデカン、イソドデカン、ペトロラタム、ポリデセン、水素化されたポリイソブテン、例えばParleam(商品名)油、
天然または合成の精油、例えば、ユーカリ油、ハイブリッドラベンダー油、ラベンダー油、ベチベルソウ油、リツェア・クベバ油、レモン油、ビャクダン油、ローズマリー油、カモミール油、セイバリー油、ナツメグ油、シナモン油、ヒソップ油、キャラウェー油、オレンジ油、ゲラニオール、ケード油およびベルガモット油;
8〜26の炭素原子を有する脂肪アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノール、オレインアルコールまたはリノールアルコール;
フッ素化油、部分的に炭化水素含有および/またはシリコーン含有、例えば特開平2−295912に記載されたもの;
シリコーン油、例えば直鎖状または環状のシリコーン鎖を有する揮発性または不揮発性のポリメチルシロキサン(PDMS)、室温で液体またはペースト状、特にシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン)、例えばシクロヘキサシロキサンおよびシクロペンタシロキサン;シリコーン鎖のペンダントまたは末端に2〜24の炭素原子を有するアルキル、アルコキシまたはフェニル基を有するポリジメチルシロキサン;フェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2−フェニルエチルトリメチル−シロキシシリケート、およびポリメチルフェニルシロキサン;
それらの混合物。
【0185】
上記油のリストの中で、「炭化水素油」は、主として炭素原子および水素原子を含み所望によりエステル基、エーテル基、フッ素、カルボン酸および/またはアルコールを含む任意の油を意味する。
【0186】
油相中に存在し得る他の脂肪は、例えば、8〜30の炭素原子を有する脂肪酸、例えばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸;ワックス、例えばラノリン、蜜蝋、カルナウバ蝋またはカンデリラロウ、パラフィン蝋、リグナイト蝋または微小蝋、セレシンまたはオゾケライト、合成ワックス、例えばポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス;ガム、例えばシリコーンガム(ジメチコノール)である。これらの脂肪は、所望の特性、例えばコンシステンシーまたはテクスチュア、を有する組成物を製造するために当業者によって種々に選択され得る。特に、それらは、エマルジョンとしての組成物の組成と相容でなければならない。
【0187】
本発明に従う組成物は、揮発性油をさらに含み得る。「揮発性油」は、本発明の意味において、ケラチン性物質との接触において、室温および大気圧で1時間未満で蒸発し得る油を意味する。本発明の揮発性油は、室温で液体の、室温および大気圧でゼロでない蒸気圧、特に0.13Pa〜40,000Pa(10−3〜300mmHg)、特に1.3Pa〜13,000Pa(0.01〜100mmHg)、より特に1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の蒸気圧を有する揮発性の化粧用油である。
【0188】
揮発性油として、特に、2〜6のケイ素原子を含む環状または直鎖状のシリコーン、例えばシクロヘキサシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ブチルトリシロキサンおよびエチルトリシロキサンが挙げられ得る。また、分岐状炭化水素、例えばイソドデカン、および揮発性のパーフルオロアルカン、例えば、3M社によって「PF5050」および「PF5060」の商品名で販売されているドデカフルオロペンタンおよびテトラデカフルオロヘキサン、およびパーフルオロモルホリンの誘導体、例えば3M社によって「PF5052」の商品名で販売されている4−トリフルオロメチルパーフルオロモルホリンを使用することも可能である。
【0189】
第1および第2の組成物は揮発性油を含まなくてもよい。
【0190】
油は、本発明に従う組成物中に、組成物が、水性連続層を有するエマルジョンであるときには特に、組成物の総重量に対して2〜60重量%、好ましくは2〜50重量%の範囲の量で存在し得る。先に記載されたように、エマルジョン型の組成物は、乳化剤として、両親媒性ポリマーを少なくとも含む。
【0191】
両親媒性ポリマー
本発明に従う両親媒性ポリマーは、水溶性または水分散性の両親媒性ポリマーまたは脂溶性または脂肪分散性の両親媒性ポリマーであり得る。特に、上記ポリマーは、組成物が、水性連続相を有するエマルジョンのときには特に、水溶性または水分散性である。
【0192】
「水溶性または水分散性の両親媒性ポリマー」は、水性溶液に0.05重量%で添加されるとき、25℃での水の表面張力を50mN/mより下の、好ましくは40mN/mより下の値に低下させ得るポリマーを意味する。
【0193】
「脂溶性または脂肪分散性の両親媒性ポリマー」は、油に0.05重量%で添加されるとき、25℃でのその表面張力を少なくとも5mN/mだけ、好ましくは少なくとも10mN/mだけ低下させ得るポリマーを意味する。
【0194】
油のポリマーに対する重量比は、組成物が、水性連続層を有するエマルジョンであるときには特に、好ましくは2〜80であり、または5〜50ですらある。
【0195】
1)水溶性または水分散性の両親媒性ポリマー
「水溶性または水分散性のポリマー」は、1%の濃度で水に添加されるときに、1cm厚さのサンプルを通る500nmの波長での光透過率が少なくとも10%である(これは、1.5より下の吸光度(吸光度=−log(透過率))に相当する)、肉眼で均一な溶液をもたらすポリマーを意味する。
【0196】
本発明のポリマーは、一方で少なくとも1の水溶性または水分散性のポリマーブロックを他方で少なくとも1の疎水性ブロックを有するブロックポリマーまたはグラフトポリマーであり得る。
【0197】
本発明の範囲内で使用されるポリマーは、したがって、例えば水溶性ブロックを疎水性ブロックと交互に含むブロックポリマーであり得る。
【0198】
これらのポリマーはまた、水溶性または水分散性の幹を有し、疎水性グラフトを有するグラフトポリマーの形であり得る。この構造は、部分的に架橋され得る。
【0199】
水溶性ポリマーブロック
「水溶性ブロック」は、1%の濃度で水に添加されたときに、1cm厚さのサンプルを通る500nmの波長での光透過率が少なくとも10%である(これは、1.5より下の吸光度(吸光度=−log(透過率))に相当する)、肉眼で均一な溶液をもたらすブロックを意味する。
【0200】
これらの水溶性ブロックは、ビニル系モノマーのラジカル重合によって、または重縮合によって得られ得、あるいは、存在する天然ポリマーまたは変性された天然ポリマーで構成され得る。
【0201】
例えば、下記の水溶性モノマーおよびそれらの塩が挙げられ得、これらは、それら自体でまたは混合されて、上記水溶性または水分散性の単位を形成するために使用され得る。
(メタ)アクリル酸、
ビニルスルホン酸および(メタ)アリルスルホン酸、
ビニルホスホン酸、
メチルビニルイミダゾリウムクロライド、
(メタ)アクリルアミド、
2−ビニルピリジンおよび4−ビニルピリジン、
マレイン酸および無水物、
クロトン酸、
イタコン酸、
式CH=CHOHのビニルアルコール、
N−ビニルラクタム、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムおよびN−ブチロラクタム、
スチレンの水溶性誘導体、特にスチレンスルホネート、
ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、
N−ビニルアセタミドおよびN−メチルN−ビニルアセタミド
N−ビニルホルムアミドおよびN−メチルビニルホルムアミド、
下記式(I)のビニル系水溶性モノマー:
【化14】

ここで、RはH、−CH、−Cまたは−Cから選択され、Xは下記:
−OR’型のアルキルオキシド(R’は1〜6の炭素を有する、少なくとも1のハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素、フッ素)で置換された、直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の炭化水素基である);スルホン基(−SO)、スルフェート(−SO)、ホスフェート(−PO);ヒドロキシ(−OH);エーテル(−O−)、第一アミン(−NH);第二アミン(−NHR)、第三アミン(−NR)または第四アミン(−N)であり、ここで、R、RおよびRは、互いに独立して、1〜6の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の炭化水素基であり、ただし、R’+R+R+Rの炭素原子の和は7を超えない、
から選択され、四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート(MADAME)、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートおよびエチレングリコール、ジエチレングリコールまたはポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレートが挙げられ得、
あるいは、Xは下記:
基−NH、−NHR’および−NR’R”(R’およびR”は、互いに独立して、1〜6の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の炭化水素基であり、ただし、R’+R”の炭素原子の総数は7を超えず、R’および/またはR”はハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素、フッ素)で置換されている);ヒドロキシ基(−OH);エーテル(−O−)、スルホン(−SO);スルフェート(−SO);ホスフェート(−PO);第一アミン(−NH);第二アミン(−NHR)、第三アミン(−NR)および/または第四アミン(−N)であり、ここで、R、RおよびRは、互いに独立して、1〜6の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の炭化水素基であり、ただし、R’+R”+R+R+Rの炭素原子の和は7を超えない、
から選択され、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(APTACおよびMAPTAC)が挙げられ得る。
【0202】
水溶性ブロックはまた、疎水性モノマーから得られ得、上記疎水性モノマーは、これらの単位が水溶性であるように十分少量で存在する。疎水性モノマーとして、例えば下記が挙げられ得る。
スチレンおよびその誘導体、例えば4−ブチルスチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエン、
式CH=CH−OCOCHのビニルアセテート、
式CH=CHOR(Rは、1〜6の炭素を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の炭化水素基である)のビニルエーテル、
アクリロニトリル、
カプロラクトン、
塩化ビニルおよび塩化ビニリデン、
シリコーン含有誘導体、例えばメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランおよびシリコーン含有メタクリルアミド、
下記式(2)のビニル系疎水性モノマー:
【化15】

ここで、RはH、−CH、−Cまたは−Cから選択され、Xは下記:
−OR’型のアルキルオキシド(R’は1〜6の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の炭化水素基である)、および
基−NH、−NHR’および−NR’R”(R’およびR”は、互いに独立して、1〜6の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の炭化水素基であり、ただし、R’+R”の炭素原子の総数は6を超えない)、
から選択され、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートおよびエチル2−ヘキシルアクリレートが挙げられ得る。
【0203】
水溶性ブロックは中和されていなくてもよく、または無機または有機塩基によって全体的にまたは部分的に中和され得る。この塩基は、例えば、ナトリウム、アンモニウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、1〜15の炭素原子を有する1〜4のアルキル基で置換されたアンモニウムの塩、あるいは、モノ−、ジ−およびトリエタノールアミン、アミノエチルプロパンジオール、N−メチルグルカミンおよび塩基性アミノ酸、例えばアルギニンおよびリシン、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0204】
グラフトポリマーの幹は、架橋され得、または架橋されていなくてもよい。好ましくは、架橋されていない。
【0205】
架橋剤は、ラジカル重合によって得られるポリマーの架橋のために通常使用されるオレフィン性ポリ不飽和を有する化合物から選択され得る。例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコール−ジアリルエーテル、ポリグリコール−ジアリルエーテル、トリエチレングリコール−ジビニルエーテル、ヒドロキノン−ジアリル−エーテル、テトラアリル−オキセタノイルまたは他の多官能性アリル−またはビニルエーテルアルコール、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリアリルアミン、トリメチロールプロパン−ジアリルエーテル;ジビニルベンゼン、テトラアリルオキシエタン、メチレン−ビス−アクリルアミド、糖類のアルコールのアリルエーテル類、メチレン−ビス−アクリルアミド、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)から選択されるオレフィン性ポリ不飽和を有する化合物;またはそれらの混合物が挙げられ得る。
【0206】
水溶性ブロックの全部または一部を作り得る重縮合物および天然または変性された天然のポリマーのうち、下記が挙げられ得る。
水溶性ポリウレタン、
ポリエチレンイミン、
ポリエーテル、例えばポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン、
キサンタンガム、特にKelcoによってKeltrol TおよびKeltrol SFの商品名で、またはRhodiaからRhodigel SMおよびRhodigel 200の商品名で市販されているもの、
アルギネート(モンサント社のKelcosol(商品名))およびその誘導体、例えばプロピレングリコールのアルギネート(ケルコ社からのKelcoloid LVF(商品名))、
ι、κおよびλ型のカラギーナン、
種々の変性度のペクチン(HMおよびLM)、
セルロース誘導体、特にカルボキシメチルセルロース(Aquasorb A500(商品名)、ハーキュレス(Hercules))、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび四級化ヒドロキシエチルセルロース、
ガラクトマンナンおよびその誘導体、例えばコンニャクガム、ゲランガム、カロブガム、フェヌグリークガム、カラヤガム、トラガカントガム、アラビアガム、アカシアガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、ナトリウムメチルカルボキシレート基で変性されたヒドロキシプロピルグアー(Jaguar XC97-1(商品名)、ロディア(Rhodia))、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、
澱粉誘導体。
【0207】
水溶性ポリマーブロックは、それらがグラフトポリマーの水溶性幹を構成するとき、1000g/モル〜10,000,000g/モルの平均分子量を有する。
【0208】
これらの水溶性ブロックは好ましくは、それらが多ブロックポリマーのブロックを構成するとき、500g/モル〜500,000g/モルの分子量を有する。
【0209】
疎水性ブロック
「疎水性ブロック」は、アルカン、エステル、エーテル、トリグリセリドおよび/またはシリコーン、フッ素化されたものまたは先に挙げられた油の混合物である脂溶性または脂肪分散性ブロックを意味する。
【0210】
これらのブロックは、1%の濃度で油または油性混合物に添加され、50℃で48時間撹拌されると、室温に戻された後、1cm厚さのサンプルを通る500nmの波長での光透過率が少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%である、肉眼で均一な溶液をもたらす。係る油は、アルカン、エステル、トリグリセリド、エーテル、シリコーンまたはフッ素化油または先に挙げられた油の混合物であり得る。
【0211】
例えば下記を含む疎水性ブロックが挙げら得る。
6〜30の炭素原子を有するアルキル基、
〜C30フルオロまたはアルキルフルオロ基(例えば、式(CH−(CF−CFの基)、
コレステリル基またはコレステロール由来の基(例えば、コレステリルヘキサノエート)、
1以上の環状芳香族基、例えばベンゼン、ナフタレンまたはピレン、
シリコーンまたはアルキルシリコーン、あるいはアルキルフルオロシリコーン基。
【0212】
これらの疎水性ブロックの分子量は、100〜10,000g/モル、好ましくは200〜5000g/モルである。
【0213】
最終ポリマーにおける疎水性ブロックの重量割合は、好ましくは、最終ポリマーに対して1%〜60%、特に2%〜40%、特に5%〜30%である。
【0214】
合成
本発明の範囲において使用されるポリマーは、種々の方法によって容易に製造され得る。すなわち、グラフトポリマーは、共重合によって製造され得る。この方法は、例えば、疎水性ブロック(ビニル系末端を有する、先に記載された疎水性ブロック)を有するマクロモノマーおよび水溶性ビニル系モノマー、例えばアクリル酸または式(1)のビニル系モノマー、を共重合することを含む。
【0215】
ブロックポリマーは、カップリング反応によって、リビング重合によってまたは制御されたラジカル重合によって製造され得る。すなわち、最終ポリマーがブロックポリマーの形であるときには、水溶性ブロックおよび各端に相補的反応部位を有する疎水性ブロックの間のカップリング反応によってそれを製造することができる。
【0216】
アニオン型またはカチオン型のリビング重合によって、または制御されたラジカル重合によって本発明のポリマーを製造することも可能である。後者の合成法は、種々の方法、例えば原子移動法(原子移動ラジカル重合、ATRP)、ニトロキシドを伴うなどのラジカル法、あるいは付加−開裂を伴う可逆的連鎖移動法(Radical Addition-Fragmentation Chain Transfer)、例えばMADIX法(Macromolecular Design via Interchange of Xanthate)、にしたがって用いられ得る。これらの合成法は、本発明のポリマーの水溶性ブロックおよび疎水性ブロックを得るために使用され得る。それらはまた、本発明のポリマーの2つの型のブロックの一方のみを合成するために使用され得、他方のブロックは、使用される開始剤を介してあるいは水溶性ブロックおよび疎水性ブロックの間のカップリング反応によって最終ポリマーに導入される。
【0217】
水溶性または水分散性の両親媒性ポリマーは、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)から誘導されるポリマー、アクリル酸から誘導されるポリマー、ポリエーテル誘導体、天然ポリマーから得られる両親媒性ポリマーおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0218】
本発明に従うポリマー、特にAMPSから誘導されるポリマーおよびアクリル酸から誘導されるポリマー、は一般に、50,000〜10,000,000の範囲の重量平均分子量、より好ましくは100,000〜8,000,000、さらにより好ましくは200,000〜3,000,000の範囲の重量平均分子量を有する。
【0219】
本発明に従うポリマー、特にAMPSから誘導されるポリマーおよびアクリル酸から誘導されるポリマー、は好ましくは、無機塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア)または有機塩基、例えばモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N−メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニンおよびリシン、およびそれらの混合物、によって部分的にまたは完全に中和される。
【0220】
本発明に従う両親媒性ポリマー、特にAMPSから誘導されるポリマーおよびアクリル酸から誘導されるポリマー、は架橋され得または架橋されていなくてもよく、好ましくは、架橋されていない。
【0221】
a)AMPS(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)から誘導されるポリマー
本発明に従う水溶性または水分散性の両親媒性ポリマーは特に、AMPSから誘導されるポリマーである。AMPSから誘導されるポリマーは下記を含む。
80〜99モル%の下記式(3)の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)単位:
【化16】

ここで、Xはプロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類カチオンまたはアンモニウムイオンである、および
1〜20モル%、好ましくは1〜15モル%の下記式(4)の単位:
【化16】

ここで、nおよびpは、互いに独立して、モル数を示し、0〜30、好ましくは1〜20であり、ただし、n+pは30以下、好ましくは25未満、より好ましくは20未満であり、Rは水素原子、直鎖状または分岐状のC〜Cアルキル基(好ましくはメチル)を示し、Rはm個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキルを示し、mは6〜30、好ましくは10〜25の範囲である。
【0222】
本発明にしたがって使用される両親媒性ポリマーは、1以上の開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスジメチルバレロニトリル、2,2−アゾビス−[2−アミジノプロパン]ヒドロクロライド(ABAH)、有機過酸化物、例えば過酸化ジラウリル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロパーオキシドなど、無機過酸化物、例えば過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウム、または所望により還元剤の存在下でのH、の存在下で慣用のラジカル重合法により得られ得る。
【0223】
ポリマーは特に、それが析出されるところのt−ブタノール媒体中でのラジカル重合により得られる。t−ブタノール中での重合を使用することにより、その用途に特に適するポリマーの粒子サイズ分布を得ることができる。
【0224】
重合反応は、0℃〜150℃、好ましくは20℃〜100℃の温度で、大気圧下または減圧下で行われ得る。また、不活性雰囲気下、好ましくは窒素下で行われ得る。
【0225】
この方法に従って、上記ポリマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)またはそのナトリウムもしくはアンモニウム塩の1、および(メタ)アクリル酸と下記とのエステルから製造され得る。
8モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC10〜C18アルコール(クラリアント(Clariant)社製のGenapol C-080(商品名))、
8モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC11オキソアルコール(クラリアント社製のGenapol UD-080(商品名))、
7モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC11オキソアルコール(クライリアント社製のGenapol UD-070(商品名))、
7モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12〜C14アルコール(クラリアント社製のGenapol LA-070(商品名))、
9モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12〜C14アルコール(クラリアント社製のGenapol LA-090(商品名))、
11モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12〜C14アルコール(クラリアント社製のGenapol LA-110(商品名))、
8モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16〜C18アルコール(Clariant社製のGenapol T-080(商品名))、
11モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16〜C18アルコール(クラリアント社製のGenapol T-110(商品名))、
15モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16〜C18アルコール(クラリアント社製のGenapol T-150(商品名))、
20モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16〜C18アルコール(クラリアント社製のGenapol T-200(商品名))、
25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16〜C18アルコール(クラリアント社製のGenapol T-250(商品名))、
25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC18〜C22アルコール、
25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたイソ−C16〜C18アルコール。
【0226】
好ましい実施態様によれば、両親媒性ポリマーが、AMPSと、メタクリル酸またはメタクリル酸の塩および6〜25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16〜C18アルコールから得られる、6〜25のオキシエチレン基を有するC16〜C18アルコールメタクリレートとのコポリマーである。
【0227】
両親媒性ポリマーはまた、AMPSと、メタクリル酸またはメタクリル酸の塩および6〜25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC12〜C14アルコールから得られる、6〜25のオキシエチレン基を有するC12〜C14アルコールメタクリレートとのコポリマーであり得る。
【0228】
本発明に従う好ましい両親媒性ポリマーとして、下記が挙げられ得る。
92.65モル%のAMPSおよび7.35モル%の、8のオキシエチレン基を有するC16〜C18アルコールメタクリレート(Genapol T-080(商品名))から得られる、架橋されていないコポリマー、
91.5モル%のAMPSおよび8.5モル%の、7のオキシエチレン基を有するC12〜C14アルコールメタクリレート(Genapol LA-070(商品名))から得られる、架橋されていないコポリマー、
96.45モル%のAMPSおよび3.55モル%の、25のオキシエチレン基を有するC16〜C18アルコールメタクリレート(Genapol T-250(商品名))から得られる架橋されたコポリマー、架橋剤はトリメチロールプロパントリアクリレートである、
AMPSおよび、25のオキシエチレン基を有するC22アルコールメタクリレートから得られる架橋されたコポリマー、このポリマーは、クラリアント社によってAristoflex HMBの商品名で販売されている。
【0229】
これらのコポリマーは、安定したエマルジョンを与えるために好適でありかつ噴霧可能な流体乃至非常に良好な化粧用特性を有するクリームの範囲の種々のテクスチュアを有し得る。
【0230】
さらにより好ましくは、本発明の両親媒性ポリマーは、下記から選択される。
92.65モル%のAMPSおよび7.35モル%の、8のオキシエチレン基を有するC16〜C18アルコールメタクリレート(Genapol T-080(商品名))から得られる、架橋されていないコポリマー、
91.5モル%のAMPSおよび8.5モル%の、7のオキシエチレン基を有するC12〜C14アルコールメタクリレート(Genapol LA-070(商品名))から得られる、架橋されていないコポリマー、
およびそれらの混合物。
【0231】
b)アクリル酸から誘導されるポリマー
本発明に従う両親媒性ポリマーは、アクリル酸の誘導体から選択され得る。これらのポリマーは、下記を含む。
80〜99モル%の下記式(5)のアクリル酸(AA)単位:
【化18】

ここで、Xはプロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類カチオンまたはアンモニウムイオンである、および
1〜20モル%、好ましくは1〜15モル%の下記式(6)の単位:
【化19】

ここで、Rは水素原子、直鎖状または分岐状のC〜Cアルキル基(好ましくはメチル)を示し、Aはエステルもしくはアミド基または酸素原子を示し、Rはm個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキルを示し、mは6〜30、好ましくは10〜25の範囲である。
【0232】
本発明に従う好ましい、アクリル酸由来の両親媒性ポリマーとして、下記が挙げられ得る。
(メタ)アクリル酸およびステアレス−20メタクリレートから得られる、架橋されていないコポリマー(ローム・アンド・ハース社によってAculyn 22の商品名で販売されている)、
(メタ)アクリル酸およびラウレス−25メタクリレートから得られる、架橋されていないコポリマー(ローム・アンド・ハース社によってAculyn 25の商品名で販売されている)、
(メタ)アクリル酸およびベヘネス−25メタクリレートから得られる、架橋されていないコポリマー(ローム・アンド・ハース社によってAculyn 28の商品名で販売されている)、
(メタ)アクリル酸およびビニルネオデカノエートから得られる架橋コポリマー(ローム・アンド・ハース社によってAculyn 38の商品名で販売されている)、
(メタ)アクリル酸およびステアレス−20メタクリレートから得られる架橋コポリマー(ローム・アンド・ハース社によってAculyn 88の商品名で販売されている)、
アルキルC10〜C30アクリレートおよび(メタ)アクリル酸の架橋コポリマー、例えばノベオン(Noveon)社によって販売されているPemulen TR1(商品名)およびTR2(商品名)、
アクリル酸およびビニルイソデカノエートの架橋コポリマー(3V社によってStabylen 30の商品名で販売されている)、
(メタ)アクリル酸およびC10〜C30アルキルアクリレートから得られる架橋コポリマー(ノベオン社によってCarbopol ETD 2020およびCarbopol 1382の商品名で販売されている)、
(メタ)アクリル酸およびステアレス−20イタコネートから得られる、架橋されていないコポリマー(ナショナルスターチ(National Starch)社によってStructure 2001の商品名で販売されている)、
(メタ)アクリル酸およびセテス−20イタコネートから得られる、架橋されていないコポリマー(ナショナルスターチ社によってStructure 3001の商品名で販売されている)、
(メタ)アクリル酸、アミノアクリレートおよびC10〜C30アルキルPEG20イタコネートから得られる、架橋されていないコポリマー(ナショナルスターチ社によってStructure Plusの商品名で販売されている)、
(メタ)アクリル酸、メチルアクリレートおよびエトキシル化アルコールのジメチルメタ−イソプロペニルベンジルイソシアネートから得られる、架橋されていないコポリマー(Amerchol 社によってViscophobe DB 1000の商品名で販売されている)。
【0233】
アクリル酸から誘導される上記ポリマーは特に、(メタ)アクリル酸、メチルアクリレートおよびエトキシル化アルコールのジメチルメタイソプロペニルベンジルイソシアネートから得られる、架橋されていないコポリマーである。
【0234】
c)ポリエーテル誘導体
本発明において好ましい、ポリエーテルから誘導される両親媒性ポリマーは、水溶性ポリウレタン、特にウレタン結合を介してC〜C20アルキル鎖を末端に有するポリエチレングリコール化合物(例えば、45〜160のエチレンオキシド単位を有するもの)である。
【0235】
後者のうち、下記が挙げられ得る。
ウレタン結合を介してステアリル末端基を有するPEG−150コポリマー(ローム・アンド・ハース社によってAculyn 46の商品名で販売されている)、
ウレタン結合を介してデシル末端基を有するPEG−150コポリマー(ローム・アンド・ハース社によってAculyn 44の商品名で販売されている)、
ウレタン結合を介してステアリル末端基を有するPEG−136コポリマー(Elementis社によってNuvis FX 1100の商品名で販売されている)、
ウレタン結合を介してステアリル末端基を有するPEG−50コポリマー(Borchers France社によってBorchigel LW 44の商品名で販売されている)。
【0236】
ポリエーテルから誘導されるポリマーは、ウレタン結合を有しないで脂肪鎖を有し得る。例えば、Sud Chemie社によって販売されている製品Pure Thix HH(商品名)が挙げられる。
【0237】
ポリエーテルから誘導されるポリマーはまた、下記式を有する、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーから選択され得る。
HO(CO)(CO)(CO)
ここで、x、yおよびzは、x+zが2〜100の範囲にあり、yが14〜60の範囲にあるような整数であり、特に、7〜16の範囲のHLBを有する上記式のブロックコポリマーから選択される。
【0238】
これらのブロックコポリマーは特に、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合物から選択され得、特に下記の商品名で販売されているものから選択され得る。
上記式においてx=z=3かつy=18であるPluronic L42(HLB=8)、
上記式においてx=z=12かつy=27であるPluronic P84(INCI名:POLOXAMER184)(HLB=14)、
上記式においてx=z=12かつy=40であるPluronic P103(INCI名:POLOXAMER333)(HLB=9)、
上記式においてx=z=14かつy=48であるPluronic P123(INCI名:POLOXAMER184)(HLB=8)、
上記式においてx=z=5かつy=21であるPluronic L44(INCI名:POLOXAMER124)(HLB=16)。
【0239】
d)天然ポリマーから得られる両親媒性ポリマー
本発明において好ましい、天然源の水溶性または水分散性の両親媒性ポリマーは、例えば、6〜30の炭素原子を有する脂肪鎖で変性された、セルロース誘導体、グアー誘導体、澱粉誘導体およびアカシアガムの誘導体から選択される。
【0240】
6〜30の炭素原子を有する脂肪鎖で変性されたセルロース誘導体の中で、下記が挙げられ得る。
セチルヒドロキシエチルセルロース、例えばHercules社によって販売されているNatrosolCS Plus 330(商品名)、430(商品名)およびPolysurf 67 CS(商品名)、
0.3〜0.6%のモル割合でステアリルオキシヒドロキシプロピル鎖で変性されたヒドロキシプロピルメチルセルロース、Daido社によってSangelose 60L(500,000g/モルのオーダーの分子量)およびSangelose 90L(900,000g/モルのオーダーの分子量)の商品名で販売されている、
置換されたラウリルジメチルアンモニウムエポキシドで四級化されたヒドロキシエチルセルロース、Amerchol社によってQuadrisoft LM 200の商品名で販売されている、
ラウリルまたはステアリル鎖で四級化されかつ変性されたヒドロキシエチルセルロース、Croda社によってCrodacel QM(C12)、QL(C12)およびQS(C18)の商品名で販売されている。
【0241】
6〜30の炭素原子を有する脂肪鎖で変性されたグアー誘導体の中で、ベヘン酸鎖で変性されたヒドロキシプロピルグアー(Lamberti社によってEsaflor HM 22の商品名で販売されている)が挙げられ得る。
【0242】
6〜30の炭素原子を有する脂肪鎖で変性された澱粉誘導体の中で、ナトリウム塩の形のオクテニルコハク酸無水物でエステル化されたトウモロコシ澱粉(National Starch社によってN-creamer 46の商品名で販売されている)が挙げられ得る。
【0243】
6〜30の炭素原子を有する脂肪鎖で変性されたアカシアガムの誘導体の中で、制御されたエステル化によって変性されたアカシアガム(Tic Gums社によってTicamulsion A-2010の商品名で販売されている)が挙げられ得る。
【0244】
天然ポリマーから得られる両親媒性ポリマーは特に、セチルヒドロキシエチルセルロースである。
水溶性または水分散性の両親媒性ポリマーの中で、好ましくは下記が使用される。
92.65モル%のAMPSおよび7.35モル%の、8のオキシエチレン基を有するC16〜C18アルコールメタクリレート(Genapol T-080(商品名))から得られる、架橋されていないコポリマー、
91.5モル%のAMPSおよび8.5モル%の、7のオキシエチレン基を有するC12〜C14アルコールメタクリレート(Genapol LA-070(商品名))から得られる、架橋されていないコポリマー、
(メタ)アクリル酸およびステアレス−20メタクリレートから得られる架橋コポリマー(ローム・アンド・ハース社によってAculyn 88の商品名で販売されている)、
アルキルC10〜C30アクリレートおよび(メタ)アクリル酸の架橋コポリマー、例えばNoveon社によって販売されているPemulen TR1(商品名)およびTR2(商品名)、
(メタ)アクリル酸、メチルアクリレートおよびエトキシル化アルコールのジメチルメタ−イソプロペニルベンジルイソシアネートから得られる、架橋されていないコポリマー(Amerchol 社によってViscophobe DB 1000の商品名で販売されている)、
ウレタン結合を介してステアリル末端基を有するPEG−136コポリマー(Elementis社によってNuvisFX 1100の商品名で販売されている)、
セチルヒドロキシエチルセルロースポリマー、および
それらの混合物。
【0245】
より特に好ましい両親媒性ポリマーは下記である。
92.65モル%のAMPSおよび7.35モル%の、8のオキシエチレン基を有するC16〜C18アルコールメタクリレート(Genapol T-080(商品名))から得られる、架橋されていないコポリマー、
(メタ)アクリル酸、メチルアクリレートおよびエトキシル化アルコールのジメチルメタ−イソプロペニルベンジルイソシアネートから得られる、架橋されていないコポリマー(Amerchol 社によってViscophobe DB 1000の商品名で販売されている)、
天然ポリマーから得られるセチルヒドロキシエチルセルロースポリマー、および
それらの混合物。
【0246】
2)脂溶性または脂肪分散性の両親媒性ポリマー
「脂溶性または脂肪分散性のポリマー」は、油または油性混合物に1%の濃度で添加されて50℃で48時間撹拌されるとき、室温に戻した後に、1cm厚さのサンプルを通る500nmの波長での光透過率が少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%である、肉眼で均一な溶液をもたらすポリマーを意味する。
【0247】
本発明の脂溶性または脂肪分散性の両親媒性ポリマーは、油性の連続相を有するエマルジョンを安定化することを可能にし得る。
【0248】
上記ポリマーは、少なくとも1の極性部分および少なくとも1の非極性部分で構成され得る。上記ポリマーは、ブロックまたはコーム(comb)型の構造を有し得る。
【0249】
脂溶性または脂肪分散性の両親媒性ポリマーは、ポリオレフィンの誘導体、ジメチコンコポリオール、乳化性オルガノポリシロキサンの架橋されたエラストマー、ポリエーテルの誘導体、ポリヒドロキシステアレートの誘導体およびそれらの混合物から選択され得る。
【0250】
a.ポリオレフィンの誘導体
ポリオレフィンから誘導される両親媒性ポリマーは、貯蔵において安定でありかつ化粧用、皮膚用および/または薬剤用の用途に適する油中水型エマルジョンを作るために使用され得る。特に、上記ポリマーは、非常に高い割合の水性相(80重量%より高い)を有しかつ安定な油中水型エマルジョンあるいは低粘度かつ安定な油中水型エマルジョンの調製に使用され得る。これらの界面活性剤は、したがって、油中水型エマルジョンを安定化させるために通常使用される乳化剤、特にアルキルポリグリセロール、アルキルPOE、アルキルソルビタン、脂肪酸の金属塩およびシリコーン含有界面活性剤、に対して利点を提供する。実際、これらの乳化剤に関して、水性相の含量は一般に80重量%未満であり、界面活性剤の濃度は、エマルジョンの良好な安定性を確実にするために高く、脂肪相は、シリコーン含有界面活性剤が使用されるとき、主としてシリコーン油を含む。逆に、ポリオレフィンから誘導される界面活性剤で安定化される油中水型エマルジョンは、シリコーン化されることなく、軽快で新鮮な感触を伴って特に良好な化粧用特性を有する。
【0251】
非極性部分は、ポリオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、および1−オクタデセンのポリマーおよび/またはコポリマー、から選択され得る。上記ポリマー鎖は、水素化されておりまたはされていない。上記ポリマー鎖は、少なくとも40の炭素、好ましくは60〜700の炭素で構成される。
【0252】
本発明の両親媒性ポリマーの極性部分は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、双極イオン性または両性であり得る。例えば、アクリル系誘導体、ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレンイミンで構成される。カルボン酸極性部分を有する両親媒性ポリマーは、例えば、ポリオレフィンとカルボン酸、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アコニット酸、との反応から得られる。好ましくは、その極性部分が、コハク酸またはその無水物、そのエステルまたはアミド誘導体、アルカリ性イオン、アルカリ土類イオン、または対応する有機誘導体の塩、またはポリオキシエチレンで構成される。
【0253】
本発明の脂溶性または脂肪分散性の両親媒性ポリマーは例えば、Allgaier,Poppe, Willner, Richterの文献(Macromolecules, 1997, 30, p.1582-1586)に記載されたポリイソプレン−ポリオキシエチレンまたはポリ(エチレン−コ−プロピレン)−ポリオキシエチレンジブロックポリマーである。
【0254】
本発明の両親媒性ポリマーはまた、米国特許第4234435号、同第4708753号、同第5129972号、同第4931110号、英国特許第2156799号および米国特許第4919179号明細書に記載されたコハク酸のポリオレフィン誘導体から選択され得る。ポリオレフィン部分は、ポリイソブチレンで構成され得、水素化されておりまたはされていない。無水コハク酸またはコハク酸は、アルコール、アミン、アルカノールアミンまたはポリオールで変性され得、あるいはアルカリイオンまたはアルカリ土類イオンの塩の形、あるいはジエタノールアンモニウムまたはトリエタノールアンモニウムイオンなどの有機イオンの塩の形であり得る。特に、変性されたコハク酸末端を有するポリイソブチレンが挙げられ得、例えば、Lubrizol社によってL2724、L2721、L2722、OS156565およびLubrizol 5603の商品名で市販されている製品が挙げられる。
【0255】
本発明での使用のための両親媒性ポリマーの別の例は、無水マレイン酸とポリイソブチレンとの反応生成物、例えばBASFによって市販されているGlissopal ITS(商品名)である。
【0256】
b.ジメチコンコポリオール
油性の連続相を有するエマルジョンを安定化させるために適する両親媒性ポリマーの中で、ジメチコンコポリオール、例えばシクロメチコンおよびジメチコンコポリオールの混合物(ダウコーニング社によってDC5225Cの商品名で販売されている)、およびアルキル−ジメチコンコポリオール、例えばダウコーニング社によってDow Corning 5200 Formulation Aidの商品名で販売されているラウリルメチコンコポリオールおよびGoldshmidt社によってABILEM90の商品名で販売されているセチルジメチコンコポリオール、またはGoldshmidt社によってABIL WE09の商品名で販売されているポリグリセリル−4−イソステアレート/セチルジメチコンコポリオール/ヘキシルラウレート混合物、またはダウコーニング社によってDCSH 3773 Mの商品名で販売されているオキシエチレン化ポリジメチルメチルシロキサンが挙げられ得る。
【0257】
c.乳化性オルガノポリシロキサンの架橋されたエラストマー
少なくとも1のオキシアルキレン基を有する架橋された固体のエラストマー性オルガノポリシロキサン、例えば米国特許公開US−A−5412004の実施例3、4および8および米国特許公開US−A−5811487の実施例における手順にしたがって得られるもの、特にUS−A−5412004の実施例3(合成例)の生成物および信越社によってKSG21の商品名で市販されているものを使用することもできる。
【0258】
また、乳化性シリコーンのエラストマー、例えば信越社によってKSG−210、KSG−310、KSG−320、KSG−330、KSG−440、KSG−710、KSG−830、KSG−840の名称で販売されているものを使用することができる。
【0259】
d.ポリエーテル誘導体
また、ポリエーテルから誘導されるポリマーは、下記式の、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーから選択され得る。
HO(CO)(CO)(CO)
ここで、x、yおよびzは、x+zが2〜100の範囲にあり、yが14〜60の範囲にあるような整数であり、特に、2〜6の範囲のHLBを有する上記式のブロックコポリマーから選択され得る。
【0260】
ブロックコポリマーは特に、ユニケマ社によって「SYNPERONIC」の商品名で、例えば「SYNPERONICPE/L81」(INCI名:POLOXAMER 231)、「SYNPERONIC PE/L92」(INCI名:POLOXAMER 282)の名称で販売されているポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合物から選択され得る。
【0261】
e.ポリヒドロキシステアレート誘導体
本発明に従う両親媒性ポリマーは、多ブロック型の構造を有するポリヒドロキシステアレートから誘導されるポリマーから選択され得る。好ましくは、これらのポリマーは、3ブロックB−A−B(Bはポリヒドロキシステアレートであり、Aはポリエーテルである)で作られる。ユニケマ社によってArlacel P135の商品名で販売されているポリエチレングリコール(30OE)および12−ヒドロキシステアリン酸のコポリマー(INCI名:PEG−30ジポリヒドロキシステアレート)が挙げられ得る。
【0262】
本発明に従うキットまたは組成物中に含まれる両親媒性ポリマーは好ましくは、水溶性または水分散性の両親媒性ポリマーから、特に先に記載されたものから、選択される。
【0263】
両親媒性ポリマーは、本発明に従う第1および第2の組成物の少なくとも1中に、特に水性連続相を有するエマルジョン中に、組成物の総重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.25〜3重量%の量で存在し得る。
【0264】
両親媒性ポリマーは、本発明に従う組成物中に、特に油性連続相を有するエマルジョン中に、組成物の総重量に対して0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の量で存在し得る。
【0265】
本発明に従う組成物中の両親媒性ポリマーおよび化合物Xおよび/または化合物Yの濃度は、両親媒性ポリマーと化合物Xおよび/または化合物Yとの重量比が0.01〜1、特に0.05〜0.2であるような濃度であり得る。
【0266】
所望により、それに拘束されることなく、油相の乳化を促進するために、先に記載された両親媒性ポリマーと異なる少なくとも1の共界面活性剤を添加することができる。
【0267】
界面活性剤
共界面活性剤が、本発明に従う両親媒性ポリマーの重量に対して例えば50%未満の割合で使用される。この界面活性剤は、非イオン性、両性またはカチオン性であり得、好ましくはアニオン性である。
【0268】
例えば、非イオン性界面活性剤として、特に、ポリオールと例えば8〜24の炭素原子、好ましくは12〜22の炭素原子を有する飽和または不飽和鎖を有する脂肪酸とのエステルおよびそれらのオキシアルキレン化誘導体、すなわちオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化された単位を含むもの、例えばグリセロールとC〜C24脂肪酸とのエステルおよびそのオキシアルキレン化誘導体、ポリエチレングリコールとC〜C24脂肪酸とのエステルおよびそのオキシアルキレン化誘導体、ソルビトールとC〜C24脂肪酸とのエステルおよびそのオキシアルキレン化誘導体、糖(スクロ−ス、グルコース、アルキルグルコース)とC〜C24脂肪酸とのエステルおよびそのオキシアルキレン化誘導体、脂肪アルコールのエーテル、糖とC〜C24脂肪アルコールとのエーテル、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0269】
グリセリルと脂肪酸とのエステルとして、特に、ステアリン酸グリセリル(モノ−、ジ−および/またはトリグリセリルステアレート)(CTFA名:ステアリン酸グリセリル)またはリシノール酸グリセリルおよびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0270】
ポリエチレングリコールと脂肪酸とのエステルとして、特に、ステアリン酸ポリエチレングリコール(ポリエチレングリコールのモノ−、ジ−および/またはトリステアレート)、特にポリエチレングリコールモノステアレート50OE(CTFA名:ステアリン酸PEG−50)、ポリエチレングリコールモノステアレート100OE(CTFA名:ステアリン酸PEG−100)およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0271】
また、これらの界面活性剤の混合物、例えばステアリン酸グリセリルおよびステアリン酸PEG−100を含む製品(ユニケマ社によってARLACEL 165の名称で市販されている)、およびステアリン酸グリセリル(モノ−ジグリセリルステアレート)およびステアリン酸カリウムを含む製品(Goldschmidt社によってTEGINの名称で市販されている)(CTFA名:グリセリルステアレートSE)を使用することができる。
【0272】
脂肪酸とグルコースまたはアルキルグルコースとのエステルとして、特に、パルミチン酸グルコース、セスキステアリン酸アルキルグルコース、例えばセスキステアリン酸メチルグルコース、パルミチン酸アルキルグルコース、例えばパルミチン酸メチルグルコースまたはパルミチン酸エチルグルコース、メチルグルコシドの脂肪族エステル、特にメチルグルコシドおよびオレイン酸のジエステル(CTFA名:ジオレイン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドおよびオレイン酸/ヒドロキシステアリン酸混合物の混合エステル(CTFA名:メチルグルコースジオレエート/ヒドロキシステアレート)、メチルグルコシドおよびイソステアリン酸のエステル(CTFA名:イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドおよびラウリン酸のエステル(CTFA名:ラウリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドおよびイソステアリン酸のモノエステルおよびジエステルの混合物(CTFA名:セスキイソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドおよびステアリン酸のモノエステルおよびジエステルの混合物(CTFA名:セスキステアリン酸メチルグルコース)、特にAMERCHOL社によってGlucate SSの名称で市販されている製品、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0273】
脂肪酸およびグルコースまたはアルキルグルコースのオキシエチレン化エーテルとして、例えば、脂肪酸およびメチルグルコースのオキシエチレン化エーテル、特にメチルグルコースおよびステアリン酸のジエステルの約20モルのエチレンオキシドとのポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:ジステアリン酸PEG−20メチルグルコース)、例えばAMERCHOL社によってGlucam E-20の名称で市販されている製品、メチルグルコースおよびステアリン酸のモノエステルおよびジエステルの混合物の約20モルのエチレンオキシドとのポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:セスキステアリン酸PEG−20メチルグルコース)、特にAMERCHOL社によってGlucamate SSE-20の名称で市販されている製品およびGoldschmidt社によってGrillocose PSE-20の名称で市販されている製品、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0274】
スクロースのエステルとして、例えば、パルミトステアリン酸スクロース、ステアリン酸スクロースおよびモノラウリン酸スクロースが挙げられ得る。
【0275】
脂肪アルコールのエーテルとして、例えば、ポリエチレングリコールと8〜30の炭素原子、特に10〜22の炭素原子を有する脂肪アルコールとのエーテル、例えばポリエチレングリコールとセチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール(セチルアルコールおよびステアリルアルコールの混合物)とのエーテルが挙げられ得る。例えば、1〜200、好ましくは2〜100のオキシエチレン基を有するエーテル、例えばCTFA名がセテアレス−20、セテアレス−30のもの、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0276】
糖のエーテルとして、特にアルキルポリグルコシド、例えばデシルグルコシド、例えばKao Chemicals社によってMYDOL10の名称で市販されている製品、ヘンケル社によってPLANTAREN 2000の名称で市販されている製品およびSeppic社によってORAMIX NS 10の名称で市販されている製品;カプリリル/カプリルグルコシド、例えばSeppic社によってORAMIXCG 110の名称でまたはBASF社によってLUTENSOL GD 70の名称で市販されている製品;ラウリルグルコシド、例えばヘンケル社によってPLANTAREN 1200 NおよびPLANTACARE 1200の名称で市販されている製品;ココ−グルコシド、例えばヘンケル社によってPLANTACARE 818/UPの名称で市販されている製品;所望によりセトステアリルアルコールと混合された、セトステアリルグルコシド、例えばSeppic社によってMONTANOV 68の名称で、Goldschmidt社によってTEGO-CARE CG90の名称でおよびヘンケル社によってEMULGADE KE3302の名称で市販されている製品;アラキジルグルコシド、例えばアラキジンアルコールおよびベヘンアルコールとアラキジルグルコシドとの混合物の形のもの(Seppic社によってMONTANOV 202の名称で市販されている);ココイルエチルグルコシド、例えばセチルアルコールおよびステアリルアルコールを有する混合物(35/65)の形のもの(Seppic社によってMONTANOV 82の名称で市販されている);およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0277】
ポリオールのエステルまたはエーテルのうち、特にグリセロールエステル、ポリエチレングリコールエステル、ソルビタンエステルおよびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0278】
本発明のために適する他の製品は、ステアリン酸モノイソグリセリル、例えばGattefosse社によってPeceol Isostariqueの商品名で市販されている製品、イソステアリン酸PEG−8、例えばユニケマ社によってPrisorine 3644の商品名で市販されている製品、Goldschmidt社によってIsolan GI34の商品名で販売されているポリグリセロール化(4モル)イソステアレート、、Cognis社によってLameform TGIの商品名で販売されているポリグリセロール化(3モル)ジイソステアレートおよびNihon emulsion社によってEmalex PGSAの商品名で販売されているポリグリセロール化(2モル)ジステアレートを包含する。
【0279】
イソステアリン酸ソルビタン、例えばユニケマ社によってArlacel 987の商品名で市販されている製品、ソルビタンおよびグリセロールのイソステアレート、例えばユニケマ社によってArlacel 986の商品名で市販されている製品、セスキオレイン酸ソルビタン、例えばユニケマ社によってArlacel 83Vの商品名で市販されている製品、ラウリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタン、例えばユニケマ社によってSpan20、Span 80VおよびSpan 85Vの商品名で市販されている製品も使用することができる。
【0280】
糖エステルとして、例えばイソステアリン酸メチルグルコースが挙げられ得る。
【0281】
本発明の好ましい実施態様によれば、共乳化剤がグリセリルエステルから選択される。
【0282】
本発明の組成物は、化粧品に通常用いられる添加剤の全てを含むことができ、ケア、メイクアップ、日焼け製品および身体衛生の領域において用途を有するであろう。
【0283】
すなわち、組成物の水性相は、グリコール、例えばジプロピレングリコール、グリセロールおよびブチレングリコール、水溶性または水分散性の有機または鉱物UVフィルター、活性剤、塩、フィラーを含み得る。活性剤として、特にビタミン(A、C、E、K、PPなど)(単独でまたは混合物)およびそれらの誘導体、角質溶解剤および/または皮膚剥離剤(サリチル酸およびその誘導体、α−ヒドロキシ酸、アスコルビン酸およびその誘導体)、抗炎症剤、増粘剤、脱色素剤、リフティング剤(lifting agent)、例えば合成ポリマー、植物性タンパク、植物起源のポリサッカライド(ミクロゲルの形であってもなくてもよい)、澱粉、ワックスの分散物、混合シリケートおよび無機フィラーのコロイド状粒子;艶消し剤(dulling agent)、あるいは抗しわ剤、およびそれらの混合物が使用され得る。油相は、親油性ゲル化剤、ワックス、有機または鉱物粒子あるいは親油性または脂肪分散性の有機および鉱物のサンフィルター(sun filter)を含み得る。
【0284】
製造されるべき組成物の流動性に応じて、1以上のゲル化剤、特に親水性のもの、すなわち水に溶解または分散可能なもの、が組成物中に組み入れられ得る。
【0285】
親水性ゲル化剤として、特に、水溶性または水分散性の増粘性ポリマーが挙げられ得る。後者は特に、変性されたまたはされていないカルボキシビニルポリマー、例えばNoveon社によってCarbopolの商品名(CTFA名:カルボマー(carbomer))で市販されている製品;ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、例えばGUARDIAN社によってLubrajelおよびNorgelの商品名でまたはHISPANO CHIMICA社によってHispagelの商品名で販売されている製品;ポリアクリルアミド;2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸のポリマーおよびコポリマー(所望により架橋されおよび/または中和されている)、例えばクラリアント社によってHostacerin AMPS(CTFA名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウルアミド)の商品名で市販されているポリ(2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸);アクリルアミドおよびAMPSの架橋されたアニオン性コポリマー(W/Oエマルジョンの形)、例えばSEPPIC社によってSEPIGEL 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13〜14イソパラフィン/ラウレス−7)の名称でおよびSIMULGEL 600(CTFA名:アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)の名称で市販されているもの;ポリサッカライドバイオポリマー、例えばキサンタンガム、グアーガム、カロブガム、アカシアガム、スクレログルカン、キチンおよびキトーサンの誘導体、カラギーナン、ゲラン、アルギネート、セルロース、例えば微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース;およびそれらの混合物から選択され得る。
【0286】
親油性ゲル化剤として、例えば、変性された粘土、例えば変性されたケイ酸マグネシウム(RHEOXからのbentone gel VS38(商品名))、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドによって変性されたヘクトライト(CTFA名:ジステアルジモニウムヘクトライト)(RHEOX社によってbentone38CEの商品名で市販されている)が挙げられ得る。
【0287】
本発明に従う組成物は、フィラーをさらに含み得る。フィラーとして、例えばポリアミド(Nylon(商品名))の粒子、特にArkema社によってORGASOLの名称で販売されているもの;ポリエチレン粉末;アクリル系コポリマーに基づく微小球、例えばダウコーニング社によってPOLYTRAPの商品名で販売されている、エチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマーで作られたもの;ポリメチルメタクリレートの微小球、Matsumoto社によってMICROSPHERE M-100の商品名でまたはWackherr社によってCOVABEAD LH85の商品名で市販されているもの;エチレン−アクリレートコポリマーの粉末、例えばSumitomo Seika Chemicals社によってFLOBEADSの名称で市販されているもの;膨張された粉末、例えば中空微小球、特に塩化ビニリデン、アクリロニトリルおよびメタクリレート三元ポリマーから形成される微小球(Kemanord Plast社によってEXPANCELの商品名で参照番号551DE12(粒子サイズ約12μmおよび密度40kg/m)、551DE20(粒子サイズ約30μmおよび密度65kg/m)、551DE50(粒子サイズ約40μm)で市販されているもの、またはMatsumoto社によってMICROPEARL F 80 EDの商品名で市販されている微小球;天然有機物質の粉末、例えば澱粉粉末、特にとうもろこし澱粉、小麦澱粉または米澱粉(架橋されていてもいなくてもよい)、例えばオクテニルスクシネート無水物によって架橋された澱粉の粉末(National Starch社によってDRY-FLOの商品名で市販されている);シリコーン樹脂微小ビーズ、例えばToshiba Silicone社によってTOSPEARLの商品名で市販されているもの、特にTOSPEARL 240(商品名);およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0288】
本発明に従うキットにおける組成物の少なくとも1はまた、少なくとも1の着色剤を含み得る。
【0289】
特に、脂ぎった皮膚のケアまたはメイクアップのための用途のために、本発明に従う組成物は、皮膚剥離剤、抗脂漏剤、抗菌剤および鎮静剤から選択される少なくとも1の活性剤を含み得る。
【0290】
特に、老化皮膚のケアまたはメイクアップのための用途のために、本発明に従う組成物は、皮膚剥離剤または水和剤;脱色素剤または抗着色剤;抗グリケート剤(antiglycating agent);抗NO剤;皮膚または表皮のマクロ分子の合成を刺激するおよび/またはそれらの分解を防止する剤;繊維芽細胞またはケラチン生成細胞の増殖および/またはケラチン生成細胞の分化を刺激する剤;筋肉弛緩剤または皮膚の脱収縮剤;抗ラジカル剤または抗汚れ剤;リフティング剤;および微小循環に作用する剤から選択される少なくとも1の活性剤を含み得る。
【0291】
この種の組成物は、ケアまたはメイクアップ製品、ヘアケア製品、日焼け製品または身体衛生製品の形であり得、例えばポット中にクリームの形で、またはチューブもしくはポンプボトル中に流体の形でパッケージされ得る。
【0292】
本発明に従う組成物または本発明に従う方法のために使用される組成物は、顔、手、足のための、主要な解剖学上のヒダのための、またはボディーのための保護、治療またはケアのための組成物の形(例えばデイクリーム、ナイトクリーム、メイクアップリムーバークリーム、サンスクリーン組成物、保護またはケアのためのボディー乳液、日焼け後乳液、スキンケアローション、ゲルまたはムース、人工日焼け組成物);およびアフターシェイブローションの形であり得る。
【0293】
本発明に従うキットは特に、ボディーまたは顔の皮膚をコーティングするための組成物、特にボディーまたは顔の皮膚のメイクアップおよび/またはケアのための組成物として使用され得る。
【0294】
本発明に従う組成物は、使用される成分の性質に応じて、皮膚、ボディーおよび顔、唇、睫および/または爪のメイクアップのために使用され得る。
【0295】
特に、本発明に従う組成物は、ファンデーション、リップスティックまたはリップルージュペースト、抗目くま(anti-eye-circle)またはコントアー製品、アイライナー、アイシャドウ、ボディーのメイクアップのための製品あるいは皮膚着色製品の形であり得る。
【0296】
当業者は、一方では使用される構成成分の性質、特に成分のキャリヤー中での溶解性、を他方では各組成物のために意図される用途を考慮して、常識に基づいて、適切な生薬形態ならびにその製造法を選択することができる。
【0297】
本発明を下記実施例によってより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。特に断らない限り、示される量は、重量%として表される。
【実施例】
【0298】
以下に記載される組成物の例において、ダウコーニング社によって製造された下記混合物AおよびBの組合わせが化合物XおよびYとして使用される。
【0299】
【表5】

【0300】
【表6】

【0301】
下記実施例における両親媒性コポリマーは、粉末形態でまたは水性溶液として供給される。粉末形態である場合には、上記コポリマーが、25℃で撹拌されながら30分間水中に溶解される。得られる溶液は、肉眼で均一である。水性溶液の場合には、上記コポリマーが、25℃で撹拌されながら30分間水で希釈される。得られる溶液は、肉眼で均一である。
【0302】
下記実施例におけるエマルジョンは、Moritz型のホモジナイザー(撹拌速度4000rpm)によって15分間撹拌しながら、油相を水性相にゆっくり添加することにより調製される。膜状に乾燥した後のエマルジョンの光沢が、下記のインビトロプロトコルにしたがって測定される。
【0303】
試験組成物の膜を対照カード(Erichsen社によって市販されているPfufkarte型24/5−250cm)上に膜プラーを使用して施与する(湿厚さ50ミクロン)。本発明に従う生成物の場合には、使用するときに、50/50重量比で化合物XおよびYをそれぞれ含む第1および第2の組成物を混合し、次いでこの混合物をカード上に施与する。次いで、組成物を37℃の温度で24時間乾燥する。
【0304】
光沢は、ミクロTRIグロスBYKガードナー光沢計を使用して測定される。光沢の測定は、サンプルの平面に対する垂直面に対して20°の角度で反射される光を測定することによって行われる。
【0305】
実施例1
AMPSに基づく両親媒性ポリマーを含む水中油型エマルジョン
エマルジョンの組成は以下の通りである。使用された両親媒性ポリマーは水溶性であり、コーム(comb)構造を有する。それは、92.65モル%のAMPSおよび7.35モル%の、8オキシエチレン基を含むC16〜C18アルコールメタクリレート(Genapol T080)を含み、クラリアント社から供給される。
【0306】
【表7】

【0307】
エマルジョン1a、1b、1cおよび混合物1a+1bは美しい白色クリームである。エマルジョン1a、1bおよび1cのみは著しい光沢効果を示す。これは、下記に示される光沢試験の結果によって確認される。
【0308】
【表8】

【0309】
実施例2
ヒドロキシエチルセルロースに基づく両親媒性ポリマーを含む水中油型エマルジョン
使用されたコポリマーは水溶性であり、コーム(comb)構造を有する。それは、Hercules社によってNatrosol CS Plus 330の名称で販売されているセチルヒドロキシエチルセルロースである。上記エマルジョンの組成は以下の通りである。
【0310】
【表9】

【0311】
【表10】

【0312】
これらのデータから、本発明に従うエマルジョンの混合物(実施例2からのエマルジョン2aおよびエマルジョン2bの施与に対応する)は、エマルジョン2aおよび2b単独または2cから得られる膜に対して乾燥後の光沢が非常に著しく低下された膜をもたらすことが分かる。
【0313】
実施例3
アクリル酸に基づく両親媒性コームポリマーを含む水中油型エマルジョン
使用された両親媒性コポリマーはViscophobe DB 100(商品名)である。それは水溶性であり、コーム構造を有する。それは、(メタ)アクリル酸、メタクリレートおよびエトキシル化ジメチルメタ−イソプロペニルベンジルアルコールのイソシアネートから得られる、架橋されていないコポリマーである。上記エマルジョンの組成は以下の通りである。
【0314】
【表11】

【0315】
【表12】

【0316】
これらのデータから、本発明に従うエマルジョンの混合物(実施例3からのエマルジョン3aおよびエマルジョン3bの施与に対応する)は、エマルジョン3aおよび3b単独または3cから得られる膜に対して乾燥後の光沢が非常に著しく低下された膜をもたらすことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのために使用され得る化粧用キットであって、該キットが、互いに異なりかつ別々に包装されている少なくとも2の組成物を有し、上記組成物の少なくとも1はエマルジョン型でありかつ少なくとも1の両親媒性ポリマーを含み、上記キットは、1以上の化合物X、1以上の化合物Yおよび少なくとも1の触媒を含み、化合物XおよびYの少なくとも1はシリコーン化合物であり、上記化合物XおよびYは、それらが触媒の存在下で互いに接触させられるとき、触媒の存在下でヒドロシリル化反応によって互いに反応することができ、化合物X、Yおよび触媒は同時に同じ組成物中に存在しないところのキット。
【請求項2】
i.生理学的に許容される媒体中に少なくとも1の化合物Xを含む第1の組成物、および
ii.生理学的に許容される媒体中に少なくとも1の化合物Yを含む第2の組成物
を少なくとも含み、上記第1および第2の組成物の少なくとも1がエマルジョンの形でありかつ少なくとも1の両親媒性ポリマーを含み、上記第1および第2の組成物の少なくとも1が少なくとも1の触媒をさらに含む、請求項1記載のキット。
【請求項3】
上記両親媒性ポリマーが、上記第1または第2の組成物の少なくとも1中に、上記組成物の重量に対して0.01〜10重量%の量で存在する、請求項1または2記載のキット。
【請求項4】
上記両親媒性ポリマーが水溶性または水分散性でありかつアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)から誘導されるポリマー、アクリル酸から誘導されるポリマー、ポリエーテルの誘導体、天然ポリマーから得られる両親媒性ポリマーおよびそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のキット。
【請求項5】
AMPSから誘導されるポリマーが、AMPSと、メタクリル酸またはメタクリル酸の塩および6〜25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化されたC16〜C18アルコールから得られる、6〜25のオキシエチレン基を有するC16〜C18アルコールメタクリレートとのコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項4記載のキット。
【請求項6】
天然ポリマーから得られる両親媒性ポリマーが、6〜30の炭素原子を有する脂肪鎖で変性された、セルロース誘導体、グアー誘導体、澱粉誘導体およびアカシアガムの誘導体から選択されることを特徴とする、請求項4記載のキット。
【請求項7】
化合物Xが、少なくとも2の不飽和脂肪族基を含むシリコーン化合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載のキット。
【請求項8】
化合物Xが、下記式(I)のシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサンから選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載のキット、
【化1】

ここで、Rは、1〜30の炭素原子を有する直鎖状または環状の1価の炭化水素基であり、mは1または2であり、R’は、2〜10の炭素原子を有する不飽和脂肪族炭化水素基または5〜8の炭素原子を有する不飽和環式炭化水素基を表す。
【請求項9】
式(I)のポリオルガノシロキサンが、R’がビニル基または−R”−CH=CHR”’基を表し、R”が、ケイ素原子に結合された、1〜8の炭素原子を有する2価の脂肪族炭化水素鎖であり、R”’が水素原子または1〜4の炭素原子を有するアルキル基であるところのものであることを特徴とする、請求項8記載のキット。
【請求項10】
化合物Yが少なくとも2の遊離Si−H基を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載のキット。
【請求項11】
化合物Yが、下記式(III)を有する少なくとも1のアルキルヒドロゲノシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサンから選択されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載のキット、
【化2】

ここで、Rは1〜30の炭素原子を有する直鎖状もしくは環状の1価の炭化水素基またはフェニル基を表し、pは1または2である。
【請求項12】
Yが、少なくとも2の式−(HC)(H)Si−O−のアルキルヒドロゲノシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサンである、請求項10〜11のいずれか1項記載のキット。
【請求項13】
化合物Xが、ビニル系末端基を有するポリジメチルシロキサンであり、化合物Yがポリメチルヒドロゲノシロキサンであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載のキット。
【請求項14】
両親媒性ポリマーが、両親媒性ポリマーと化合物XまたはYとの重量比0.01〜1で組成物中に存在することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項記載のキット。
【請求項15】
第1および第2の組成物が、同じパッケージ物品中で別々に包装されていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項記載のキット。
【請求項16】
ケラチン性物質の美容ケアおよび/またはメイクアップのための方法において、ケラチン性物質への(a)少なくとも1の両親媒性ポリマーの施与、(b)1以上の化合物Xの施与、(c)1以上の化合物Yの施与、ここで、化合物XおよびYの少なくとも1はシリコーン化合物であり、上記化合物XおよびYは、互いに接触させられるとき、触媒の存在下でヒドロシリル化反応によって互いに反応し得る、および(d)少なくとも1の触媒の施与を少なくとも含み、施与(a)、(b)、(c)および(d)は同時に、または上記化合物XおよびYの相互作用を促進するならばいずれかの順序で逐次的に行われ得るところの方法。
【請求項17】
ケラチン性物質のメイクアップおよび/またはケアのための化粧方法において、
生理学的に許容される媒体中に少なくとも1の化合物Xを含む第1の組成物の少なくとも1の層、および
生理学的に許容される媒体中に少なくとも1の化合物Yを含む第2の組成物の少なくとも1の層
を上記ケラチン性物質上に施与することを含み、化合物XおよびYの少なくとも1はシリコーン化合物であり、上記化合物XおよびYは、それらが互いに接触させられるとき、触媒の存在下でヒドロシリル化反応によって互いに反応可能であり、上記第1および第2の組成物の少なくとも1はエマルジョンでありかつ少なくとも1の両親媒性ポリマーを含み、上記第1および第2の組成物の少なくとも1は少なくとも1の触媒をさらに含むところの方法。
【請求項18】
第1および/または第2の組成物が請求項1〜15のいずれか1項で定義されたものであることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのために使用され得る化粧用キットであって、該キットが、互いに異なりかつ別々に包装されている少なくとも2の組成物を有し、上記組成物の少なくとも1はエマルジョン型でありかつ少なくとも1の両親媒性ポリマーを含み、上記キットは、1以上の化合物X、1以上の化合物Yおよび任意的に少なくとも1の触媒を含み、化合物XおよびYの少なくとも1はシリコーン化合物であり、上記化合物XおよびYは、それらが互いに接触させられるとき、縮合反応によって互いに反応することができ、化合物X、Yおよび存在するときの触媒は同時に同じ組成物中に存在しないところのキット。

【公開番号】特開2008−163023(P2008−163023A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−328980(P2007−328980)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】