説明

シリンジ容器

【課題】内容液の成分の一部がシリンダーやピストンに吸着或いは浸透することがなく、シリンダー及びピストンを繰り返し使用することができ、しかも、容易に取り扱うことができるシリンジ容器を提供することを目的とする。
【解決手段】シリンダー5と、シリンダー5内に軸方向へ摺動可能に嵌合されたピストン6と、シリンダー5の先端に設けられ、ノズル46を有する吐出部4と、を備えるシリンジ容器1であって、シリンダー5が、吐出部4に着脱自在に装着され、吐出部4には、シリンダー5内に収容される、内容液Lを充填した容器7が着脱自在に装着され、ピストン6を先端側に押し込むことで容器7内の内容液Lが吐出部4に供給されノズル46から吐出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば消化管内検査を行う際、食道の内壁に検査用の染色液を塗布する場合がある。この場合、口から食道内に挿入されたチューブの体外側の端部に、ジョイントを介して染色液を圧送するためのシリンジ容器を取り付ける。そして、このシリンジ容器を用いて染色液をチューブ内に圧送し、チューブの体内側の端部から染色液を食道内に吐出させる。
【0003】
従来のシリンジ容器は、シリンダーにピストンが摺動可能に嵌合されているとともに、シリンダーの先端に、ノズルを有する吐出部が設けられた構成からなる。このシリンジ容器によれば、シリンダー内に染色液を充填した後、ノズルをチューブの体外側の端部に連結し、その後、ピストンを押し込むことで、シリンダー内の染色液がノズルから圧送されてチューブ内に供給される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−103092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のシリンジ容器では、染色液や検査用液等の内容液がシリンダー内に直接充填される構成であるため、シリンダー及びピストンを繰り返し使用することはできない場合がある。例えば、合成樹脂製のシリンダーやピストンでは、その材質によっては内容液の成分の一部がシリンダーの内壁面やピストンの表面に吸着或いは浸透する可能性があり、この場合、洗浄しても再度使用することができない。
【0005】
また、上記した従来のシリンジ容器では、シリンダー内に内容液を充填させた状態で持ち運ばれていたため、ピストンが先端側へ移動しないように固定する必要があり、取り扱いが煩雑であるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、合成樹脂製のシリンダーやピストンを用いても、内容液の成分の一部がシリンダーやピストンに吸着或いは浸透することがなく、シリンダー及びピストンを繰り返し使用することができ、しかも、容易に取り扱うことができるシリンジ容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシリンジ容器は、シリンダーと、該シリンダー内に軸方向へ摺動可能に嵌合されたピストンと、前記シリンダーの先端に設けられ、ノズルを有する吐出部と、を備えるシリンジ容器であって、前記シリンダーが、前記吐出部に着脱自在に装着され、該吐出部には、前記シリンダー内に収容される、内容液を充填した容器が着脱自在に装着され、前記ピストンを先端側に押し込むことで前記容器内の内容液が前記吐出部に供給され前記ノズルから吐出されることを特徴としている。
【0008】
このような特徴により、シリンジ容器を用いて内容液を吐出する際、まず、吐出部に容器を取り付け、その後、シリンダー内に容器を挿入させつつシリンダーを吐出部に取り付ける。これにより、シリンジ容器が組み立てられる。そして、シリンダー内に嵌合されたピストンを先端側に押し込むと、容器内の内容液が吐出部に供給されてノズルから吐出される。
また、使用後の吐出部、シリンダー及びピストンは再度使用される。すなわち、容器内の内容液を吐出させた後、吐出部からシリンダーを取り外し、その後、使用後の容器を吐出部から取り外す。次に、内容液を充填した新たな容器を上記吐出部に取り付け、その後、一度取り外された元のシリンダーを上記吐出部に再び取り付ける。なお、ピストンはシリンダー内に嵌合させたままでもよく、或いは、シリンダーから取り外しても良い。このようにして、吐出部、シリンダー及びピストンは、交換せずに何度でも使用可能である。
【0009】
また、本発明に係るシリンジ容器は、前記ピストンの押し込みにより前記シリンダーと前記容器との間に介在する空気が圧縮されて前記容器内に供給されることで、該容器の内圧が上昇して前記空気と該容器内の内容液とが置換されて該内容液が前記吐出部に供給されることが好ましい。
【0010】
これにより、容器を圧縮することなく、ピストンの押し込み量に応じて容器の内圧が上昇し、その内圧上昇(圧入空気量)に応じた量の内容液が容器内から吐出部へ圧送される。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るシリンジ容器によれば、内容液がシリンダーの内周面やピストンの表面に接触しないため、内容液の成分の一部がシリンダーやピストンに吸着或いは浸透することがなく、シリンダー及びピストンを繰り返し使用することができる。また、本発明に係るシリンジ容器によれば、吐出部からシリンダーを取り外した状態で持ち運ばれ、使用する際に吐出部にシリンダーが取り付けられるため、シリンダーに嵌合されたピストンを固定する必要がなく、シリンジ容器の取り扱いが容易となる。
また、繰り返し使用する際には、内容液を充填した容器のみを交換するだけでよい為、同じ場所で使用する場合には、前記容器のみを持ち運ぶだけでよく、取り扱いがさらに容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るシリンジ容器の実施の形態について、図面に基いて説明する。
図1は本実施の形態におけるシリンジ容器1を表した半断面図であり、図2は後述する使用前の容器7を表した半断面図であり、図3は本実施の形態におけるシリンジ容器1の分解図である。
なお、以下の説明において、後述するシリンダー5からみたノズル46側(図1における下側)を先端側とし、その反対のピストン6側(図1における上側)を基端側とする。また、図1の符号Oは、シリンジ容器1の中心軸を示しており、中心軸Oの延在方向(図1における縦方向)を軸方向とする。
【0013】
図1に示すように、シリンジ容器1は、例えば、患者の口から患者の食道や胃等の中に入れられるフレキシブルなチューブ2を介して患者の食道や胃等の内壁面に上記内容液Lを塗布する際に用いられる医療器具であり、染色液や清浄水等の医療に用いる内容液Lをチューブ2内へ圧送するためのものである。シリンジ容器1は、上記チューブ2の体外側の端部に取り付けられる。なお、チューブ2の体内側の端部には、チューブ2から供給された内容液Lを食道や胃等の内壁面に向けて吐出する体内ノズル3が取り付けられている。
【0014】
シリンジ容器1は、ノズルキャップ4(吐出部)と、シリンダー5と、ピストン6と、容器7と、から構成されている。
なお、これらノズルキャップ4、シリンダー5、ピストン6及び容器7は、それぞれポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂からなる。
【0015】
シリンダー5は、軸方向に延在する略円筒形状の部材であり、両端がそれぞれ開放されている。シリンダー5は、容器7を収容する先端側の容器収納部50と、ピストン6を収容する基端側のピストン収納部51と、から構成されている。容器収納部50はピストン収納部51よりも径が大きい円筒体である。
【0016】
シリンダー5の先端部には、雄ネジ部52が形成されており、その雄ネジ部52の基端側には径方向外側に突出する先端側フランジ部53が容器収納部50の全周に亘って形成されている。また、シリンダー5の基端部には、径方向外側及び内側にそれぞれ突出する基端側フランジ部54がピストン収納部51の全周に亘って形成されている。
【0017】
ピストン6は、シリンダー5のピストン収納部51内に軸方向へ摺動可能に嵌合された部材である。ピストン6は、ピストン収納部51内に配置された軸方向に延在する略円筒形状の本体部60と、本体部60の先端部に外装された摺動部61と、本体部60内に設けられたピストン弁62と、から構成されている。
【0018】
本体部60の両端はそれぞれ開放されており、その基端部には、その中間部63よりも拡径された段差部64が形成されている。さらに、この段差部64の基端には、径方向外側に突出するフランジ部65が段差部64の全周に亘って形成されている。また、本体部60の内周面には、径方向内側に突出する内フランジ部66が本体部60の内周面全周に亘って形成されている。
【0019】
摺動部61は、例えばシリコンゴム等によって形成され、本体部60の先端部に嵌合されている。摺動部61の外周面61aは、ピストン収納部51の内周面に摺動可能に密接されている。
ピストン弁62は、内フランジ部66内側の給気孔67を開閉する弁である。このピストン弁62は、通常時においては、ピストン弁62の弾性体の付勢力により弁体を内フランジ部66に当接させて給気孔67を閉塞している。一方、押し込まれたピストン6が基端側に引かれてシリンダー5内が減圧されると、弾性体の付勢力に抵抗して弁体が先端側に引っ張られて給気孔67が開放される。
【0020】
なお、上記したピストン6は、上記した段差部64又は摺動部61が容器収納部50の基端側フランジ部54に当接されるので、所定の範囲内で往復動可能となっている。すなわち、ピストン6が先端側へ押し込まれて摺動部61がピストン収納部51の先端部まで移動したとき、段差部64がシリンダー5の基端側フランジ部54に当接され、ピストン6の軸方向先端側への移動が規制される。また、ピストン6が基端側へ引き戻されて摺動部61がピストン収納部51の基端部まで移動したとき、摺動部61が基端側フランジ部54の内縁部分に当接され、ピストン6の軸方向基端側への移動が規制される。
【0021】
ノズルキャップ4は、シリンダー5の先端部に着脱可能に装着される部材である。ノズルキャップ4は、外キャップ40と、内キャップ41と、弁部材42と、ジョイント44と、逆止弁45と、から構成されている。
【0022】
外キャップ40は、径の異なる円筒部を同軸に配設した構成からなる段状の略円筒形部材であり、シリンダー5の先端部に装着されている。外キャップ40は、シリンダー5の雄ネジ部52に螺合される基端側の雌ネジ部40aと、雌ネジ部40aよりも小径の中間筒部40bと、中間筒部40bよりも小径の先端側の先端筒部40cと、から構成されている。中間筒部40bの内周面には、軸方向に延在する溝40dが形成されている。また、外キャップ40の先端には、内容液Lを吐出させる円筒形状のノズル46が軸方向先端側に向けて突設されている。このノズル46は、チューブ2内に差し込むようにしてチューブ2の体外側の端部に連結されている。
【0023】
内キャップ41は、径の異なる円筒部を同軸に配設した構成からなる段状の略円筒形部材であり、軸方向に延在されている。内キャップ41は、外キャップ40の先端筒部40c内に嵌合された先端側の二重筒47と、外キャップ40の中間筒部40b内に配置された基端側の段状の内筒43と、から構成されている。この内キャップ41の内孔は、ノズル46の内孔に連通されている。
二重筒47は、内側筒と外側筒とからなり、前記内側筒の基端部には、逆止弁45が当接した際にも内容液Lを流通させるための切欠部47aが形成されている。
【0024】
内筒43は、先端側の小径筒部43aと、基端側の大径筒部43bと、から構成されている。小径筒部43aの先端部には、給気口43cが形成されている。また、大径筒部43bの外周面には、軸方向に延在する溝43dが形成されている。この溝43dは、外キャップ40の溝40dに対向する位置に配設されており、これらの溝40d,43dは互いに隙間をあけて噛み合わされている。また、小径筒部43aの外径は中間筒部40bの内径よりも小さく、小径筒部43aの外周面と中間筒部40bの内周面との間には空間が形成されている。
【0025】
弁部材42は、軸方向に延在する略円筒形部材であり、二重筒47の前記内側筒と外側筒との間に嵌合されている。弁部材42の外周面には弁42aが設けられている。この弁42aは、通常時においては、図3に示すように、弾性力により内筒43(後述する小径筒部43a)の内面に当接されている。一方、ピストン6が先端側に押し込まれて外キャップ40の内圧(中間筒部40bと後述する内筒43の小径筒部43aとの間の内圧)が上昇すると、図1に示すように、弁42aは、径方向内側に回動し、小径筒部43aの内周面から離間する。また、弁部材42の基端部には、径方向内側に突出するフランジ部42bが弁部材42の全周に亘って形成されている。
【0026】
ジョイント44は、径の異なる円筒部を同軸に配設した構成からなる段状の略円筒形部材であり、内筒43内に嵌合されている。ジョイント44は、基端側の雌ネジ部44aと、雌ネジ部44aよりも小径の先端筒部44bとから構成されている。先端筒部44bの先端面は、弁部材42の基端側の端面に当接されている。また、先端筒部44bの外径は内筒43の小径筒部43aの内径よりも小さく、先端筒部44bの外周面と小径筒部43aの内周面との間は間隔があけられている。先端筒部44bには外気導入用の開口44cが形成されている。
【0027】
逆止弁45は、弁部材42のフランジ部42b内側の流通孔42cを閉塞する球状の部材であり、弁部材42の内側に配置されている。この逆止弁45は、弁部材42のフランジ部42bと二重筒47の前記内側筒の端部(切欠部47a)との間で軸方向に移動可能に配置されている。したがって、図3に示すようにノズルキャップ4の先端が上向きのとき、逆止弁45は、弁部材42のフランジ部42bに当接され、流通孔42cが閉塞される。一方、図1に示すようにノズルキャップ4の先端が下向きのとき、逆止弁45は、弁部材42のフランジ部42bから離れて二重筒47の前記内側筒の端部(切欠部47a)に当接され、流通孔42cが開放される。
【0028】
容器7は、上記したノズルキャップ4に着脱可能に装着される軸方向に延在する円筒形状のボトルであり、その内部には内容液Lが充填されている。容器7の外径は、シリンダー5の容器収納部50の内径よりも小さく、容器7の外周面と容器収納部50の内周面との間には間隔があけられている。また、容器7の先端部には雄ネジ状の口部70が形成されており、ジョイント44の雌ネジ部44aに螺合されている。
なお、ノズルキャップ4に装着させる前(使用前)の容器7は、図2に示すように、その口部70の上端面にパッキン72を載せた状態でキャップ73が被着されており、このキャップ73を被せた状態で保管及び持ち運びされる。なお、上記パッキン72は内容液Lの影響を考慮して、例えば、少なくとも容器7側の表面をポリエチレンテレフタレート樹脂で構成することが好ましい。
【0029】
上記した容器7と容器収納部50との間の空間、外キャップ40の溝40dと内筒43の溝43dとの間の空間、外キャップ40の中間筒部40bと内筒43の小径筒部43aとの間の空間、及び内筒43に形成された給気口43c内の空間は、それぞれ連通されており、これらの空間により通気路8を形成している。この通気路8内には空気が収容されている。
【0030】
次に、上記した構成からなるシリンジ容器の使用方法について説明する。
【0031】
図3に示すように、まず、チューブ2の体外側の端部にノズルキャップ4を取り付ける。
具体的に説明すると、ノズルキャップ4のノズル46をチューブ2の体外側の端部の中に差し込み、チューブ2とノズル46とを連結する。
【0032】
次に、ノズルキャップ4に容器7を装着する。
具体的に説明すると、まず、図2に示す使用前の容器7の口部70からキャップ73及びパッキン72をそれぞれ取り外す。そして、ノズルキャップ4に備えられたジョイント44の雌ネジ部44aに容器7の雄ネジ状の口部70を螺合させ、ノズルキャップ4に容器7を装着させる。これにより、容器7の内部とジョイント44の先端筒部44bとが連通される。このとき、容器7の口部70が上向きになるように、ノズルキャップ4は、その先端を上向きにしておく。
【0033】
次に、ピストン6が嵌合されたシリンダー5をノズルキャップ4に装着する。
具体的に説明すると、シリンダー5を容器7に被せるようにして、シリンダー5の雄ネジ部52を、ノズルキャップ4に備えられた外キャップ40の雌ネジ部40aに螺合させ、シリンダー5をノズルキャップ4に装着する。
以上の工程により、シリンジ容器1の組み立てが完了する。
【0034】
次に、図1に示すように、ピストン6を先端側へ押し込み、容器7内の内容液Lを圧送する。
具体的に説明すると、まず、ノズル46が下向きになるように、シリンジ容器1を反転させる。これにより、容器7内の内容液Lが口部70から流れて、ジョイント44の先端筒部44b内に内容液Lが充填される。
【0035】
その後、ピストン6を先端側に押し込み、摺動部61を軸方向先端側に摺動させる。ピストン6が先端側に押し込まれると、上記通気路8の内圧が上昇するため、弁部材42の弁42aが開かれ、弁部材42の弁42aと内筒43の小径筒部43aの内周面との間に隙間が形成される。これにより、外キャップ40内の空気は、前記隙間を通って先端筒部44bと小径筒部43aとの間の空間内に送り込まれる。小径筒部43a内に入った空気は、ジョイント44の開口44cを通って先端筒部44b内に入り、その後浮上して容器7内に送られ、容器7内の基端部に溜まる。容器7内に空気が送られると、容器7内の内圧が上昇して、空気と容器7内の内容液Lとが置換され、容器7内の内容液Lが弁部材42のフランジ部42b内側の流通孔42cを通って先端側へ圧送される。すなわち、内容液Lは、上記流通孔42cを通過して弁部材42内に流入し、さらに、二重筒47の切欠部47aを介してノズル46内に流入し、ノズル46の先端からチューブ2内に流入する。チューブ2内に圧送された内容液Lは、チューブ2の体内側の端部に向かってチューブ2内を流通し、体内ノズル3内に送られ、体内ノズル3から外部に吐出される。
【0036】
なお、先端側へ押し込んだピストン6を基端側へ引き戻すことも可能である。このとき、シリンダー5内が減圧化されるので、ピストン弁62が開かれて内フランジ部66内側の給気孔67が開放される。これにより、この給気孔67から外気がシリンダー5内に流入する。そして、シリンダー5内が大気圧に達すると、ピストン弁62が閉じられて給気孔67が閉塞される。その後、再びピストン6を先端側へ押し込むことで、上述したように、シリンダー5内の空気が容器7内へ送り込まれ、容器7内の内容液Lがノズル46からチューブ2内へ圧送される。
【0037】
また、容器7内の内容液Lを吐出させた後、少なくとも使用後のシリンダー5及びピストン6は再度使用される。
具体的に説明すると、使用後に、チューブ2内からノズル46を引き抜き、チューブ2からノズルキャップ4を取り外す。また、ノズルキャップ4からシリンダー5を取り外し、その後、使用後の容器7をノズルキャップ4から取り外す。なお、ピストン6は、シリンダー5の中に嵌合された状態のままである。次に、ノズルキャップ4のノズル46に、上記した方法と同様にして、新たなチューブ2を連結させる。また、内容液Lが充填された新たな容器7を、上述した方法と同様に、ノズルキャップ4に取り付ける。その後、一度取り外された元のシリンダー5を、上述した方法と同様に、上記したノズルキャップ4に再び取り付ける。
このようにして、容器7を交換するだけで、少なくともシリンダー5及びピストン6は、交換せずに何度でも使用可能である。
【0038】
上記した構成からなるシリンジ容器1によれば、シリンダー5内に、内容液Lが充填された容器7が収容され、ピストン6を先端側へ押し込むことで容器7内の内容液Lをノズル46から吐出させているため、内容液Lがシリンダー5の内周面やピストン6の表面に接触しない。したがって、合成樹脂製のシリンダー5やピストン6を用いても、内容液Lの成分の一部がシリンダー5やピストン6に吸着或いは浸透することがない。よって、ガラス製のものと比較して破損のおそれが少ない合成樹脂製のシリンダー5及びピストン6を用いることができ、しかも、シリンダー5及びピストン6を繰り返し使用することができる。
【0039】
また、上記したシリンジ容器1によれば、ノズルキャップ4からシリンダー5を取り外した状態で持ち運んだり、容器7のみを持ち運ぶことにより、使用する際にノズルキャップ4にシリンダー5を取り付けるため、シリンダー5内に嵌合されたピストン6を固定する必要がない。このため、シリンジ容器1の取り扱いが容易となる。
【0040】
また、上記したシリンジ容器1によれば、ピストン6の押し込み量に応じて容器7の内圧が上昇し、その内圧上昇に応じた量の内容液Lが容器7内からノズルキャップ4へ圧送される。このため、ピストン6の押し込みを調節することで、内容液Lの吐出量が適宜調整可能であり、必要十分な量の内容液Lをチューブ2へ送ることができる。また、容器7を圧縮することなく、容器7内の内容液Lがノズルキャップ4へ供給されるので、汎用的な容器7を用いることができる。
【0041】
以上、本発明に係るシリンジ容器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、外キャップ40の雌ネジ部40aとシリンダー5の雄ネジ部52とが螺合されることで、ノズルキャップ4がシリンダー5の先端部に着脱可能に装着されており、また、ジョイント44の雌ネジ部44aと容器7の雄ネジ状の口部70とが螺合されることで、容器7がノズルキャップ4に着脱可能に装着されているが、本発明は、吐出部とシリンダー、及び、容器と吐出部の装着構造は適宜変更可能である。例えば、一方を他方の中に圧入する装着構造であってもよい。
【0042】
また、上記した実施の形態では、外キャップ40、内キャップ41、弁部材42、ジョイント44、逆止弁45からなるノズルキャップ4が、シリンダー5の先端部に装着されているが、本発明における吐出部は、ピストンを先端側へ押し込むことで容器内の内容液をノズルから吐出させることができる構成であれば適宜変更可能である。
【0043】
また、上記した実施の形態では、本体部60、摺動部61及びピストン弁62からなるピストン6が、シリンダー5内に嵌合されているが、本発明におけるピストンの構成は適宜変更可能であり、例えば、ピストン弁62が備えられていないピストンを用いることも可能であり、本体部と摺動部とが一体形成されたピストンを用いることも可能である。
【0044】
また、上記した実施の形態では、ピストン6の押し込みによりシリンダー5内の空気を容器7内に圧入させて容器7の内圧を上昇させて前記空気と容器7内の内容液Lとを置換する空気置換方式により、容器7内の内容液Lをノズルキャップ4に供給させているが、本発明は、上記構成以外で容器内の内容液を吐出部に供給することも可能である。例えば、可撓性を有する袋状の容器をシリンダー内に配置させ、シリンダーの内圧を上昇させることで上記容器を圧縮し、容器内の内容液を吐出部に供給するものであってもよい。また、軸方向に伸縮可能な蛇腹状の容器をシリンダー内に配置させ、ピストンにより容器を押圧することで容器を圧縮し、容器内の内容液を吐出部に供給するものであってもよい。
【0045】
また、上記した実施の形態では、ノズルキャップ4、シリンダー5、ピストン6、及び容器7がそれぞれ合成樹脂製であるが、本発明は、吐出部、シリンダー、ピストン、及び容器のうちの少なくとも1つを合成樹脂以外の他の素材で形成することも可能であり、例えば、ガラス製のものであってもよい。
【0046】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態を説明するためのシリンジ容器の半断面図である。
【図2】本発明の実施の形態を説明するための使用前の容器の半断面図である。
【図3】本発明の実施の形態を説明するためのシリンジ容器の分解図である。
【符号の説明】
【0048】
1 シリンジ容器
4 ノズルキャップ(吐出部)
5 シリンダー
6 ピストン
7 容器
46 ノズル
L 内容液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダーと、
該シリンダー内に軸方向へ摺動可能に嵌合されたピストンと、
前記シリンダーの先端に設けられ、ノズルを有する吐出部と、を備えるシリンジ容器であって、
前記シリンダーが、前記吐出部に着脱自在に装着され、
該吐出部には、前記シリンダー内に収容される、内容液を充填した容器が着脱自在に装着され、
前記ピストンを先端側に押し込むことで前記容器内の内容液が前記吐出部に供給され前記ノズルから吐出されることを特徴とするシリンジ容器。
【請求項2】
請求項1記載のシリンジ容器において、
前記ピストンの押し込みにより前記シリンダーと前記容器との間に介在する空気が圧縮されて前記容器内に供給されることで、該容器の内圧が上昇して前記空気と該容器内の内容液とが置換されて該内容液が前記吐出部に供給されることを特徴とするシリンジ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−148500(P2009−148500A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331173(P2007−331173)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】