説明

シリンダー装置

【課題】 「シリンダーチューブの軸に直進する方向だけでなく‘全方位に’自在に力を伝達することが可能な」シリンダー装置を提供すること目的とする。
【解決手段】 シリンダーチューブと、前記シリンダーチューブ内に摺動自在に動くように組み込んだピストンと、一端を前記ピストンに固定し且つ他端を前記シリンダーチューブの端の開口部から突出させたピストンロッドと、前記ピストンロッドが突出したシリンダーチューブの端に、前記ピストンロッドが内部を摺動自在に動くように連結されたチューブと、を備えたシリンダー装置において、;前記ピストンロッドが、樹脂製筒状体の中空内部に金属製棒状体を配置して一体化した、しなやか且つ強度を有するものであり、;前記ピストンロッドを覆うように連結されたチューブが、自在に当該チューブの方向を変形可能であり且つ一定の形状を維持できるフレキシブルチューブである、;ことを特徴とするシリンダー装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダー装置に関する。詳しくは、ピストンロッドが突出したシリンダーチューブの端に、前記ピストンロッドが内部を摺動自在に動くように連結されたチューブを備えたシリンダー装置において、「シリンダーチューブの軸に直進する方向だけでなく‘全方位に’自在に力を伝達することが可能な」シリンダー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒の内部をピストンが往復して所要の仕事をするシリンダー装置は、主に人の力による仕事の代替え機器として大いに進展してきた。
シリンダー装置は、単動型と複動型に大別されて、様々な大きさや用途のものがあるが、ピストンロッドに発生する力は押す力と引く力の直進性のものであった。
このように、今迄、蒸気機関などのピストンエンジンより発したピストンロッドは、直進が常識であり、ピストンロッドの仕事口を任意の場所に移動出来るという発想は革命的であり、直進ロッドを肯定した上でシリンダロッドエンド、シリンダジョイントを考案対処して来た。
具体的には、シリンダー装置を設置した後、周辺機器類に接続して力を伝達するために、周辺機器類との接続を可能とするアダプター的な装置を考案し対処してきた。
大方の製造業の機器組立ラインは、主力をシリンダーに求め諸機器と複合され且つ作業者スペースを取り設計され、(1)なるべく短いラインの長さであること、(2)シリンダーは押す力と引く力の直進力であり、軸芯合わせ、平行度合わせ且つしなやかなリンクモーション等が求められる。よってシリンダジョイントやシリンダロッドエンド等により対処してきた。
これらの装置は、連結による機械的な無理を100%吸収出来る物ではなく、クッション的なもので結果ラインの短寿命化をきたすもので、設計段階でシリンダーの設置位置とラインの長さは一番苦心するところであった。
【0003】
そこで、シリンダーにより発生する力を、直進方向以外の方向に直接、力を伝達して利用することが可能なシリンダー装置の開発が望まれていたが、このようなシリンダー装置の開発は、直進方向以外の方向に力を伝達して利用することを可能とするピストンロッドの開発が困難であるとの理由から、難しい状況にあった。
また、シリンダーから突出する‘ピストンロッドの角度’を調節することができるシリンダー装置は存在したが(例えば、特許文献1参照)、全方位に自在に力を伝達するには、程遠いものであった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−227805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決し、「シリンダーチューブの軸に直進する方向だけでなく‘全方位に’自在に力を伝達することが可能な」シリンダー装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず、本発明者は、ピストンロッド全体に柔軟性を持たせ、全方位に自在に方向付け出来る様にしておき、その定めた位置を確保して、そこに留まることの出来る様にシリンダーチューブから突き出ているピストンロッドを柔軟なチューブで覆う構成を想到した。
【0007】
そして本発明者は、ピストンロッド全体を、‘しなやか且つ強度を有するもの’にしておき、‘自在に当該チューブの方向を変形可能であり且つ一定の形状を維持できるフレキシブルチューブ’を、前記ピストンロッドが内部を摺動自在に動くように連結することにより、「シリンダーチューブの軸に直進する方向だけでなく‘全方位に’自在に力を伝達すること」が可能になることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、請求項1に係る発明は、シリンダーチューブと、前記シリンダーチューブ内に摺動自在に動くように組み込んだピストンと、一端を前記ピストンに固定し且つ他端を前記シリンダーチューブの端の開口部から突出させたピストンロッドと、前記ピストンロッドが突出したシリンダーチューブの端に、前記ピストンロッドが内部を摺動自在に動くように連結されたチューブと、を備えたシリンダー装置において、;前記ピストンロッドが、樹脂製筒状体の中空内部に金属製棒状体を配置して一体化した、しなやか且つ強度を有するものであり、;前記ピストンロッドを覆うように連結されたチューブが、自在に当該チューブの方向を変形可能であり且つ一定の形状を維持できるフレキシブルチューブである、;ことを特徴とするシリンダー装置、に関するものである。
また、請求項2に係る発明は、シリンダーチューブと、前記シリンダーチューブ内に摺動自在に動くように組み込んだピストンと、一端を前記ピストンに固定し且つ他端を前記シリンダーチューブの端の開口部から突出させたピストンロッドと、前記ピストンロッドが突出したシリンダーチューブの端に、前記ピストンロッドが内部を摺動自在に動くように連結されたチューブと、を備えたシリンダー装置において、;前記ピストンロッドが、金属製もしくは樹脂製棒状体に金属針金をコイル状に隙間なく巻き付けることで一体化した、しなやか且つ強度を有するものであり、;前記ピストンロッドを覆うように連結されたチューブが、自在に当該チューブの方向を変形可能であり且つ一定の形状を維持できるフレキシブルチューブである、;ことを特徴とするシリンダー装置、に関するものである。
また、請求項3に係る発明は、前記フレキシブルチューブが、アルミ製の金属チューブ、もしくは、アルミ製の針金をコイル状に隙間なく巻いたチューブ状のものである、請求項1又は2に記載のシリンダー装置、に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、「シリンダーチューブの軸に直進する方向だけでなく‘全方位に’自在に力を伝達することが可能になる」シリンダー装置を提供することを可能とする。
これにより本発明は、シリンダー装置を設置した後でも、力を伝達する動作部を、周辺機器に自在に接続することが可能となる。
また、本発明は、ピストンロッドの先端部にマウントを取り付けることで、求める作業形態に合致する工具を付けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
本発明において、「シリンダーチューブの軸に直進する方向だけでなく‘全方位に’自在に力を伝達する」ことが可能にするためには、‘自在に当該チューブの方向を変形可能であり且つ一定の形状を維持できるフレキシブルチューブ’を、前記ピストンロッドが内部を摺動自在に動くように連結する、ことを要するものである。
【0011】
図1は、本発明におけるシリンダー装置の一実施形態の縦断面説明図であって、(A)は非加圧時、(B)は加圧時の状態をそれぞれ示している。
本発明のシリンダー装置は、ピストン1と、ピストンロッド2と、フレキシブルチューブ3と、シリンダーチューブ4と、ロッドカバー6、ヘッドカバー7、マウント8と、から主になる。
次に、図2は、図1の一部拡大図であって、ピストンロッド2として、樹脂製筒状体21(中空樹脂)の中空内部に金属製棒状体22(鋼丸棒の束)を配置したものを示している。
また、図3は、図2のA-A断面図であり、図4は、図2のB-B断面図である。
【0012】
シリンダーチューブ4の一端はヘッドカバー7で、他端はロッドカバー6で、それぞれ被われた構造となっている。そして、当該チューブ内には、ピストン1がシリンダーの軸方向に摺動自在に動くように組み込んである。
ヘッドカバー7の中央部に開口部があり、当該開口部を介して加圧した気体を流入させることで、シリンダーチューブ内を加圧することができる。加圧時には、図1Bで示すように、ピストンをロッドカバー6側に移動させることができる。
【0013】
ピストン1は、両側をバンパー10で挟まれた構造になっている。また、気密性を得るために、シリンダーチューブ4の内壁と接するようなピストンパッキン9が組み込まれている。そして、ロッドカバー6側には、ピストンロッド2を固定するために、ロッド固定部5が、備えられている。
なお、ピストン1とシリンダーチューブ4の内壁は、気密性が確保されつつ、且つ、摩擦が少なく内壁に接するものであり、摺動自在に動くような構成のものである。
【0014】
ピストン1とロッドカバー6とに挟まれる位置には、スプリング11が組み込まれている。図1Bで示すように、シリンダーチューブ内の加圧により、ピストン1をロッドカバー6側に移動すると当該スプリング11が収縮するが、収縮したスプリング11の張力によって、ピストン1を再びヘッドカバー7の方向に移動させることができる。
従って、当該シリンダーチューブ4内におけるピストン1の往復運動は、上記ヘッドカバー7の中央部からの加圧による移動と、当該スプリング11の張力による移動が、連続的に行われることで、なされるものである。
なお、ピストン1に備えられたバンパー10は、この往復運動における、スプリング11とヘッドカバー7との衝撃を吸収する構造になっている。
【0015】
ピストンロッド2は、一端を前記ピストン1(ロッド固定部5によって)に固定されている。また、他端は、シリンダーチューブの端の開口部(前記ロッドカバー6の中央部の開口部)から突出したものである。
なお、ロッドカバー6の開口部のうち、ピストンロッド2と接する内壁部分は、往復運動を阻害しないよう、樹脂製筒状体の外周面にはロッドカバー6に至る長さの縦溝を複数形成することにより、摩擦を少なくして発熱を最小限とすることが望ましい。
【0016】
本発明のシリンダー装置におけるピストンロッド2は、「しなやか且つ強度を有するもの」であることを要する。
ここでの「しなやかさ」とは、ロッド全長の約半分程の所から折り曲げて、ロッドの進行方向の反対側にマウントを持ってきても(例えば、U字型に折り曲げても)、スムースにロッドが動作するしなやかさば有る。例えば、このU字型に折り曲げられるしなやかさを使い、ロボットの両腕において動作する指先の動きである、握る、押す、引く、握りを離す、握った物を落とす、方向を転換する、物を突き上げる、下げる等々の精密な作業を行うことが可能となる。
また、「強度を有する」とは、各種用途のシリンダーにおける各ピストンロッドに求められる強度(安定した作業を可能にする強度)を有するものであればよい。
【0017】
具体的には、ピストンロッド2としては、図5に示すように「樹脂製筒状体21の中空内部に金属製棒状体22を配置して一体化したもの」を用いることができる。
図5は、ピストンロッドの一態様を示す説明図である。
ここで、「樹脂製筒状体21」とは、滑りやすく、耐熱性が高く、柔軟で折れにくく、耐シリコン性があるものであれば良い。材質としては、エンジニアリングプラスチックなどのものを挙げることが出来るが、好ましくはポリアミド(ナイロン)のガラス入りを用いることが望ましい。形状としては中空の丸棒を用いることができる。また、外径としては、5〜10mmのものが、しなやかさの点で(特に前記ロボットの指先のような作業に使用する場合に)好ましい。
「金属製棒状体22」は、樹脂製筒状体21と合体させ、共にしなやかに動作する必要があり、折れにくいが柔軟性は高いものであれば良い。材質としては、スプリング材の硬鋼ニッケルメッキの細材を用いることが望ましい。形状としては、前記樹脂製筒状体21の中空部に入る太さの丸棒を用いることが好ましい。また、外径としては、0.3〜0.8mmのものがしなやかさ、折れにくさの点で、好ましい。なお、ここでの金属製棒状体22としては、‘細い棒状体を束ねた束’を一本の棒状体に相当するものとして用いてもよい。
【0018】
上記のように図5におけるピストンロッド2は、上記樹脂製筒状体の中空内部に、金属製棒状体を配置して一体化したものであり、‘一体化したピストンロッド2全体’として、しなやか且つ強度を有するものであればよい。(例えば、樹脂製筒状体21や金属製棒状体22が、‘単体では、しなやかさや強度を欠くもの’であっても構わない。)
なお、ここで一体化とは、まったく性質、性能が異なる材質を複合して(例えば接着等の固定化して)一体化し、柔軟でありながら強靱且つ復元力が強く、耐久性能をより高めたものを指す。
【0019】
また、ピストンロッド2としては、図6(A)に示すように「樹脂製棒状体24に金属針金23をコイル状に隙間なく巻き付けることで一体化したもの」であっても用いることができる。また、図6(B)に示すように「金属製棒状体25に金属針金23をコイル状に隙間なく巻き付けることで一体化したもの」であっても用いることができる。
図6は、ピストンロッドの他の態様を示す説明図である。
図6(A),(B)で示すピストンロッド2の態様は、各作業現場での雰囲気での使用態様に好適な芯を用いることができる。
例えば、狭いスペースの内(具体的には、医療現場等の各種機器類の密集する中など)で使用のように、よりしなやかさを求められる環境で使用する場合、樹脂製棒状体24を芯として用いることが好ましい。
また、シリコン系溶剤が使用されている可能性のある現場や対象物に重量がある場合、金属製棒状体25を芯として用いることが好ましい。
【0020】
ここで、「樹脂製棒状体24」としては、よりしなやかさを求められる場合に使用するもので、材質としては、ポリアミド(ナイロン)ガラス入りでないものなど、特に柔軟性の高いものが望ましい。形状としては丸棒を用いることが好ましい。外径としては、3〜8mmのものが柔軟性の点で、好ましい。尚シリコン系溶剤の使用がまったくない現場で使用出来る工法である。
また、「金属製棒状体25」としては、シリコン系溶剤使用の可能性が高く、対象物が重く、ピストンロッドの負荷が高い場合に使用するもので、強靱なものが良い。材質としては、スプリング材の硬鋼ニッケルメッキの細材をもっと細いもので巻き付けて束ねスプリング性能を引き出す物である。形状としては丸棒を用いることが好ましい。外径としては、5〜10mmのものが強靱さにおいて好ましい。なお、ここでの金属製棒状体としては、‘細い棒状体を束ねた束’を一本の棒状体に相当するものとして用いてもよい。
そして、「金属針金23」としては、バネ性能が高く、錆びにくく、強靱であればよく、材質としては、スプリング材各種のものを挙げることができるが、好ましくは、シリンダーのスプリングとして高い評価を得ている、硬鋼ニッケルメッキ細針金を用いることが望ましい。また、外径としては、0.3〜0.5mmのもの、好ましくは0.5mmのもの、が摩擦によるすり減り、切断に対処出来る点で、好ましい。
【0021】
上記したように、図6におけるピストンロッド2は、金属製もしくは樹脂製棒状体に金属針金をコイル状に隙間なく巻き付けることで一体化したものであり、‘一体化したピストンロッド2全体’として、しなやか且つ強度を有するものであればよい。(例えば、樹脂製棒状体24や金属製棒状体25が、‘単体では、しなやかさや強度を欠くもの’であっても構わない。)
なお、ここで一体化とは、まったく性質、性能が異なる材質を複合して一体化し、柔軟でありながら強靱且つ復元力が強く、耐久性能をより高めたものを指す。
【0022】
本発明のシリンダー装置において、フレキシブルチューブ3は、前記ピストンロッド2が突出したシリンダーチューブの端に連結されており、前記ピストンロッド2が内部を摺動自在に動くような構造を有するチューブである。
また、本発明のシリンダー装置におけるフレキシブルチューブ3は、「自在に当該チューブの方向を変形可能であり且つ一定の形状を維持できる」性質を有するものである。
【0023】
フレキシブルチューブ3としては、アルミ製の金属チューブ、アルミ製の針金をコイル状に隙間なく巻いたチューブ状のもの、プラスチックで形成したもの等、を使用すれば、‘自在に当該チューブの方向を変形可能であり且つ一定の形状を維持できるもの’を用いることができる。
好ましくは、アルミ製の金属チューブ、アルミ製の針金をコイル状に隙間なく巻いたチューブ状のもの、を用いることができる。
【0024】
例えば、「アルミ製の金属チューブ」の場合、‘アルミの板材を細かくしたものを、一定間隔で蛇腹状に巻き付けた物’を用いることで、その間隔が負荷される力で変化することがないので、加えられた力による変形は崩れることなく維持され、安心して用いることができる。
また、「アルミ製の針金をコイル状に隙間なく巻いたチューブ状のもの」の場合、安定した形状保持力を考えて、例えば、アルミ製の針金としては、外径2〜3mm、好ましくは約2.5mm、のものを、コイル状に隙間なく巻いてチューブ状にしたものを、用いることが、できる。
なお、フレキシブルチューブ3のピストンロッド2と接する内壁部分(もしくはコイル状に巻いた内側)は、往復運動を阻害しないよう、針金をきめ細かく、重ね巻きにならない様にして摩擦が少ない形状にして、発熱を最小限にとどめる配慮をしてあることが望ましい。
【0025】
フレキシブルチューブ3の、シリンダーチューブの端に連結された側とは反対側の端には、チューブ止め12が具備されている。チューブ止め12の中央部には、開口部があり、当該開口部を突出したピストンロッド2の端は、マウント8と接続することができる。
なお、ピストンロッド2とフレキシブルチューブ3の長さは、図1Aに示すようなスプリング開放時(加圧しない状態)において、マウント8がチューブ止め12と接する位置にあること(ピストンロッド2が剥き出しにならないこと)が、工場内雰囲気等の腐食や錆び防止の観点におけるピストンロッドの強度維持の点で好ましい。
【0026】
上記構成により、本発明のシリンダー装置は、「シリンダーチューブの軸に直進する方向だけでなく‘全方位に’自在に力を伝達する」ことを可能となり、例えば、図1の点線部分で示すように、フレキシブルチューブ3を自在に曲げて、用いることが可能となる。
そして、これにより本発明は、シリンダー装置を設置した後でも、力を伝達する動作部を、周辺機器に自在に接続することが可能となる。
具体的には、当該マウント8に、求める作業形態に合致する工具を付けることで、様々な用途への応用、例えば、人の両腕とその指先に代替えするロボットの装置として搭載すれば、最適の場所に指先をセット出来、物品をつかみ、引き出し、離す工具をマウントしておけば、全自動化のロボット役を担うことが可能となる。
【0027】
なお、本発明のシリンダー装置の実施形態としては、既存のシリンダーに取り付けた形態であってもよい。
具体的には、図7のシリンダー装置が示すように、「ヘッドカバー7’の中央部の開口部から、既存のシリンダーaのピストンロッドa2の一端が挿入されて、本発明のシリンダー装置のピストン1と連結されたもの」、であってもよい。
図7は、既存のシリンダーに取り付けた形態を示す、本発明におけるシリンダー装置の他の実施形態の縦断面説明図である。
なお、図7における当該シリンダー装置は、‘連結された既存のシリンダーaのピストンロッドa2が、ピストン1を押すことによる移動’と‘本発明のシリンダーのスプリング11の張力により戻る移動’との往復運動が、連続的に行われるものである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、シリンダー装置を設置した後でも、力を伝達する動作部を、周辺機器に自在に接続することが可能となるシリンダー装置を提供する。
そして、本発明のシリンダーをコンパクト化して複数搭載しておくことで、シーケンス制御で人の手による繰り返し作業に替わるロボットの分野において、まったく新規な方面において活用できるシリンダー装置を提供することも可能となる。
また、本発明は、大型シリンダーを大馬力で運転してカシメ等が発生した場合に、少し動かす、方向をずらす、送る、引く、傾ける、回転させる等の調節を行うこと(ソフト面の上での利用)も可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明におけるシリンダー装置の一実施形態の縦断面説明図であって、(A)は非加圧時、(B)は加圧時の状態をそれぞれ示している。
【図2】図1の一部拡大図であって、ピストンロッド2として、中空樹脂(樹脂製筒状体)の中空内部に金属製棒状体(鋼丸棒の束)を配置したものを示している。
【図3】図2のA-A断面図である。
【図4】図2のB-B断面図である。
【図5】ピストンロッドの一態様を示す説明図である。
【図6】ピストンロッドの他の態様を示す説明図である。
【図7】本発明におけるシリンダー装置の他の実施形態の縦断面説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1:ピストン
2:ピストンロッド
3:フレキシブルチューブ
4:シリンダーチューブ
5:ロッド固定部
6:ロッドカバー
7:ヘッドカバー
7’:ヘッドカバー
8:マウント
9:ピストンパッキン
10:バンパー
11:スプリング
12:チューブ止め
13:マウントナット工具止め
21:樹脂製筒状体
22:金属製棒状体
23:金属針金
24:樹脂製棒状体
25:金属製棒状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダーチューブと、前記シリンダーチューブ内に摺動自在に動くように組み込んだピストンと、一端を前記ピストンに固定し且つ他端を前記シリンダーチューブの端の開口部から突出させたピストンロッドと、前記ピストンロッドが突出したシリンダーチューブの端に、前記ピストンロッドが内部を摺動自在に動くように連結されたチューブと、を備えたシリンダー装置において、;前記ピストンロッドが、樹脂製筒状体の中空内部に金属製棒状体を配置して一体化した、しなやか且つ強度を有するものであり、;前記ピストンロッドを覆うように連結されたチューブが、自在に当該チューブの方向を変形可能であり且つ一定の形状を維持できるフレキシブルチューブである、;ことを特徴とするシリンダー装置。
【請求項2】
シリンダーチューブと、前記シリンダーチューブ内に摺動自在に動くように組み込んだピストンと、一端を前記ピストンに固定し且つ他端を前記シリンダーチューブの端の開口部から突出させたピストンロッドと、前記ピストンロッドが突出したシリンダーチューブの端に、前記ピストンロッドが内部を摺動自在に動くように連結されたチューブと、を備えたシリンダー装置において、;前記ピストンロッドが、金属製もしくは樹脂製棒状体に金属針金をコイル状に隙間なく巻き付けることで一体化した、しなやか且つ強度を有するものであり、;前記ピストンロッドを覆うように連結されたチューブが、自在に当該チューブの方向を変形可能であり且つ一定の形状を維持できるフレキシブルチューブである、;ことを特徴とするシリンダー装置。
【請求項3】
前記フレキシブルチューブが、アルミ製の金属チューブ、もしくは、アルミ製の針金をコイル状に隙間なく巻いたチューブ状のものである、請求項1又は2に記載のシリンダー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−106914(P2010−106914A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278066(P2008−278066)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(308034969)
【Fターム(参考)】