シーケンス設計支援システム
【課題】シーケンス制御プログラムの元データとなるバルブパターン図の作成について自動化率を高め、それによりシーケンス設計をより効率的に行えるように支援するシーケンス設計支援システムの提供。
【解決手段】シーケンス設計支援システムは、バルブなどの機器を配管で接続してなる機器・配管系統における流体の流路状態を制御するシーケンス制御プログラムの設計を支援するのに用いられ、機器・配管系統を表した図面データである機器・配管系統図データD1と機器・配管系統における機器の状態をタイムステップごとに定義して得られるタイムチャートシートD2から、機器・配管系統における流体のタイムステップごとの流路状態を表した図面データであるバルブパターン図D3を生成するバルブパターン図生成手段3を備えている。
【解決手段】シーケンス設計支援システムは、バルブなどの機器を配管で接続してなる機器・配管系統における流体の流路状態を制御するシーケンス制御プログラムの設計を支援するのに用いられ、機器・配管系統を表した図面データである機器・配管系統図データD1と機器・配管系統における機器の状態をタイムステップごとに定義して得られるタイムチャートシートD2から、機器・配管系統における流体のタイムステップごとの流路状態を表した図面データであるバルブパターン図D3を生成するバルブパターン図生成手段3を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブやタンクなどの機器を配管で接続してなる機器・配管系統の制御に用いられるシーケンス制御プログラムの設計に係り、特にそのシーケンス設計を効率的に行えるように支援するシーケンス設計支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば製薬設備のようにバルブやタンクなどの機器(プロセス機器)を配管で接続してなる機器・配管系統を備えた製造設備では、その機器・配管系統を原料や製品あるいは洗浄液などの流体が流れる状態である流路状態をシーケンス制御プログラムにより自動的に制御するようになっている。機器・配管系統におけるそうした制御は、バルブにおける開閉動作のような機器の動作の制御として行われる。このためシーケンス制御プログラムの設計としてのシーケンス設計では、機器・配管系統における流体の時間工程ごとの流路状態を記述した図面データ(以下ではこの図面データをバルブパターン図と呼ぶ)を元データとしてシーケンス制御プログラムの設計を行うのが一般的である。例えば特許文献1にそのようなシーケンス設計の従来における代表的な例が開示されている。
【0003】
特許文献1の「シーケンス制御プログラム入力装置」は、プロセスフロー図生成部、シーン別シーケンス動作生成部およびシーケンス制御プログラム生成部を備えており、制御対象の機器や配管を表示画面上に順次配置しながら機器の配置関係および物流経路を表すプロセスフロー図をプロセスフロー図生成部で生成し、そのプロセスフロー図に対してシーケンス制御動作を順次定義してシーケンス制御動作の各シーンにおける物流と機器動作をシーン別シーケンス動作生成部で生成し、そのシーケンス制御動作(バルブパターン図)からシーケンス制御プログラムをシーケンス制御プログラム生成部で生成するようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−146617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の「シーケンス制御プログラム入力装置」は、シーケンス制御プログラムの元データとなるバルブパターン図(シーケンス制御動作)の作成について自動化を進めており、それなりに効率的にシーケンス設計を行えるようにしている。しかし特許文献1の「シーケンス制御プログラム入力装置」は、バルブパターン図の生成にプロセスフロー図の作成を必要としている。そしてそのプロセスフロー図の作成における作業の多くを手入力に頼ることになっており、そのためにユーザに大きな負担を強いることになっていた。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景になされたものであり、シーケンス制御プログラムの元データとなるバルブパターン図の作成について自動化率を高め、それによりシーケンス設計をより効率的に行えるように支援するシーケンス設計支援システムの実現を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では上記課題を解決するために、バルブなどの機器を配管で接続してなる機器・配管系統における流体の流路状態を制御するシーケンス制御プログラムの設計としてのシーケンス設計を支援するシーケンス設計支援システムにおいて、前記機器・配管系統を表した図面データである機器・配管系統図データと前記機器・配管系統における前記機器の状態をタイムステップごとに定義して得られるタイムチャートシートから、前記機器・配管系統における前記流体のタイムステップごとの流路状態を表した図面データであるバルブパターン図を生成するバルブパターン図生成手段を備えていることを特徴としている。
【0008】
このように、何れも電子データである機器・配管系統図データとタイムチャートシートからバルブパターン図を生成させるようにしたことにより、バルブパターン図の作成について自動化率を大幅に高めることができ、これによりシーケンス設計をより効率的に行えるようになる。
【0009】
上記のようなシーケンス設計支援システムの好ましい形態では、前記バルブパターン図生成手段は、図面認識処理部とバルブパターン図生成処理部を備え、前記図面認識処理部は、前記機器・配管系統図データ上の機器や配管あるいは配管グループなどを個別に認識するとともに、個別認識した機器などの接続関係や配管グループのメンバー配管などの関係性を認識する処理である図面認識処理を行って図面認識データの生成をなし、前記バルブパターン図生成処理部は、前記図面認識データを利用して前記バルブパターン図の生成をなすものとされる。
【0010】
このような形態では、図面認識処理部により生成される図面認識データが機器・配管系統図データとタイムチャートシートの対応付けに効果的に機能し、これにより機器・配管系統図データとタイムチャートシートの自動的な対応付けをより容易に行えるようになり、バルブパターン図の生成をより効率的に行えるようになる。
【0011】
上記のようなシーケンス設計支援システムについては、前記機器・配管系統図データ上での前記機器や配管などの図形表現についての情報である図形情報を格納して前記図面認識処理部に提供する図形情報データベースを前記バルブパターン図生成手段に設け、そして前記図面認識処理部にける前記図面認識処理を前記図形情報に基づいて行うようにするのが好ましい。このようにすることにより、図面認識処理部による図面認識処理をより効率的に行えるようになる。
【0012】
また上記のようなシーケンス設計支援システムの好ましい形態では、前記バルブパターン図生成手段は、タイムチャート生成処理部をさらに備えており、前記タイムチャート生成処理部は、前記タイムチャートシートの生成に用いるタイムチャートシートフォームを前記図面認識データから生成するようにされる。このように図面認識データを利用してタイムチャートシートフォームを生成できるようにすることにより、タイムチャートシートの生成をより効率的に行えるようになる。
【0013】
また上記のようなシーケンス設計支援システムの好ましい形態では、前記バルブパターン図生成処理部における前記バルブパターン図の生成は、前記図面認識データをもとに、まず状態が「入口」となっている配管末端を探索し、それから状態「入口」の配管末端に接続している配管、その配管に接続している機器というように探索し、さらに探索された機器の状態を前記タイムチャートシートにより判定することで、前記機器・配管系における流体の流路状態を決定する、という処理を含んでなすものとされる。このようにすることにより、バルブパターン図生成処理部によるバルブパターン図の生成をより効率的に行えるようになる。
【0014】
また上記のようなシーケンス設計支援システムの好ましい形態では、前記バルブパターン図は、前記機器・配管系における流体の流路状態を前記機器・配管系統データ上の前記配管の表示状態の変更により表示する形態で生成するものとされる。
【0015】
また上記のようなシーケンス設計支援システムの好ましい形態では、前記バルブパターン図生成手段は、前記図面認識データの編集を行うための図面認識データ編集処理部をさらに備えるものとされる。このように図面認識データの編集を行えるようにすることにより、図面認識データの精度を高めることができ、バルブパターン図の自動生成によるシーケンス設計支援をより効率的に行えるようになる。
【0016】
また上記のようなシーケンス設計支援システムの好ましい形態では、前記タイムチャートシートは、前記機器・配管系統図データ上の各機器を配列させる行、前記タイムステップを配列する列、および前記行と前記列が交差する定義欄を有する表形式とされ、前記定義欄で前記機器の状態を定義するようにされる。このような表形式のタイムチャートシートは、機器の状態定義を行い易くする。
【発明の効果】
【0017】
以上のような本発明によれば、シーケンス制御プログラムの元データとなるバルブパターン図の作成について自動化率を高めることができ、それによりシーケンス設計をより効率的に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1に一実施形態によるシーケンス設計支援システムの構成を示す。シーケンス設計支援システム1は、バルブやタンクなどの機器を配管で接続してなる機器・配管系統を表した図面データである機器・配管系統図データ(以下では系統図データと略称する)とタイムステップごとの機器の状態(動作状態など)をユーザ(システム使用者)が定義して得られるシート形式(表形式)のデータであるタイムチャートシート(タイムチャートシートデータ)から、機器・配管系統における原料や製品あるいは洗浄液などの流体のタイムステップごとの流路状態を記述した図面データであるバルブパターン図(バルブパターン図データ)を生成するようになっている。ここで、タイムステップとは、流路状態が現在の状態から次の状態に移行するための条件が成立するまでのある一定時間を1ステップとするタイムステップである。
【0019】
そのためにシーケンス設計支援システム1は、図面データベース2、バルブパターン図生成手段3、バルブパターン図データベース4および入出力装置5を備えている。
【0020】
図面データベース2は、図2にその例を示すような系統図データD1を格納してバルブパターン図生成手段3に提供するのに機能する。
【0021】
バルブパターン図生成手段3は、図面データベース2から取り込む系統図データD1と後述のようにして作成されるタイムチャートシートD2(図3にその例を示す)からバルブパターン図D3(図4にその例を示す)を自動的に生成するのに機能し、そのために図面認識処理部11、図形情報データベース12、図面認識データベース13、図面認識データ編集処理部14、タイムチャート生成処理部15およびバルブパターン図生成処理部16を備えている。
【0022】
図面認識処理部11は、系統図データD1を自動的に認識して図面認識データD4を生成する。より具体的にいうと図面認識処理部11は、図形情報データベース12に格納の図形情報D5(図6〜図9にその例を示す)を用いながら後述のようなパターンマッチング法により系統図データD1の図面認識を行う。図面認識では、系統図データD1上の機器や配管あるいは配管グループなどを個別に認識するとともに、個別認識した機器などの接続関係や配管グループのメンバー配管などの関係性を認識する。そしてこの図面認識で得られる図面認識情報を系統図データD1に埋め込むことで図面認識情報が付与された系統図データ、つまり図面認識情報付与系統図データとして図面認識データD4を生成する。
【0023】
図形情報データベース12は、系統図データD1上での図形表現についての情報である図形情報D5を格納して図面認識処理部11に提供するのに機能する。
【0024】
図面認識データベース13は、図面認識処理部11が生成した図面認識データD4を格納して図面認識データ編集処理部14、タイムチャート生成処理部15およびバルブパターン図生成処理部16に提供するのに機能する。
【0025】
図面認識データ編集処理部14は、図面認識データD4を必要に応じてユーザが編集するのに用いられる。
【0026】
タイムチャート生成処理部15は、タイムチャートシートD2の生成に用いられる。タイムチャートシートD2の生成は、図面認識データベース13から取り込む図面認識データD4に基づいて自動的に生成されるタイムチャートシートフォームにタイムステップごとの機器の状態の定義をユーザが入力することでなされる。
【0027】
バルブパターン図生成処理部16は、タイムチャートシートD2と図面認識データD4を用いてバルブパターン図D3を自動的に生成する。
【0028】
バルブパターン図データベース4は、バルブパターン図生成手段3が生成したバルブパターン図D3を格納するのに用いられる。
【0029】
入出力装置5は、ユーザが処理命令や処理に必要なデータを入力したり処理に関する操作画面や処理結果を表示したりするのに用いられ、処理命令やデータの入力のためのキーボードやマウス、それに操作画面や処理結果の表示のためのディスプレイなどからなる。
【0030】
以上がシーケンス設計支援システム1の基本的構成である。以下では、このシーケンス設計支援システム1でなされる処理について説明する。シーケンス設計支援システム1における処理は、図5にその流れを示すように、ステップ101〜ステップ103の各処理を含む。
【0031】
ステップ101は、図面認識処理部11が図面認識データD4を生成する図面認識データ生成処理であり、ステップ102は、タイムチャート生成処理部15がタイムチャートシートD2を生成するタイムチャートシート生成処理であり、ステップ103は、バルブパターン図生成処理部16がタイムチャートシートD2と図面認識データD4を用いてバルブパターン図D3を生成するバルブパターン図生成処理である。以下、こられの各処理の詳細を順に説明する。
【0032】
ステップ101の図面認識データ生成処理では、上述のように図形情報D5を用いた系統図データD1の図面認識により図面認識データD4を生成する。こうした処理の詳細を説明するにあたって、まず図形情報D5と図面認識データD4について説明する。
【0033】
図形情報D5の例を図6〜図9に示す。図6の図形情報D5-aは、機器の1つであるバルブについての例であり、図7の図形情報D5-bは、機器の1つである配管末端の例であり、図8の図形情報D5-cは、機器の1つであるタンクの例であり、図7の図形情報D5-bは、配管の1つである直線配管の例である。こられの例に見られるように、図形情報D5は、機器・配管系統図に現れる可能性のある各種機器や各種配管それぞれの種類を単位としたファイルとして作成され、「ファイル名」と「図形データ」の各項目を含む。「ファイル名」には、バルブ、タンク、配管末端、タンクなどの各種機器の種別名や直線配管、2重配管、ベント配管などの各種配管の種別名が記述される。一方、「図形データ」には、機器や配管の機器・配管系統図上での図形パターンが記述される。なお、図2の例の系統図データD1は、機器としてバルブ、タンクおよび配管末端だけを含むものとなっているが、機器にはこの他にポンプなどもある。
【0034】
図面認識データD4は、上述のように、系統図データD1の図面認識で生成される図面認識情報を系統図データD1に埋め込むことで得られる図面認識情報付与系統図データとして生成される。その図面認識情報には、機器認識情報、配管認識情報、配管グループ認識情報という3種類の情報がある。機器認識情報は、系統図データD1に含まれている全ての機器について、それぞれの機器を単位として個別に作成される機器単位認識情報の集合であり、配管認識情報は、系統図データD1に含まれている全ての配管について個別に作成される配管単位認識情報の集合であり、配管グループ認識情報は、系統図データD1に含まれている全ての配管グループについて個別に作成される配管グループ単位認識情報の集合である。
【0035】
以上のように図面認識データD4は、系統図データD1に図面認識情報を付加したものであり、そしてその図面認識情報は、機器単位認識情報の集合である機器認識情報、配管単位認識情報の集合である配管認識情報、および配管グループ単位認識情報の集合である配管グループ認識情報からなるものである。
【0036】
図10〜図12に、機器、配管、配管グループそれぞれの単位認識情報の例を示す。図10に示すのは、図2の系統図データD1におけるバルブAについての機器単位認識情報である。機器単位認識情報は、「機器ID」、「機器種別」、「機器名称」、「接続配管ID」の各情報項目を含む構成とされる。「機器ID」には、系統図データD1上の各機器を個別に識別するための識別情報としてのIDが書き込まれる。「機器ID」に書き込まれるIDは、系統図データD1上の全ての機器で異なるように図面認識処理部11により設定される。「機器種別」には、バルブ、配管末端、タンクなどの機器の種別が書き込まれる。「機器名称」には、系統図データD1上で当該機器に付されている個別の機器名称(図2の例では「バルブA」、「タンクT」、「配管末端H」など)が書き込まれる。「接続配管ID」には、当該機器に接続されている配管の識別情報、具体的には後述のようにして配管に付されるIDが書き込まれる。
【0037】
図11に示すのは、図2の系統図データD1における配管cについての配管単位認識情報である。配管単位認識情報は、「配管ID」、「配管種別」、「配管名称」、「接続機器ID」の各情報項目を含む構成とされる。「配管ID」には、系統図データD1上の各配管を個別に識別するための識別情報としてのIDが書き込まれる。「配管ID」に書き込まれるIDは、系統図データD1上の全ての配管で異なるように図面認識処理部11により設定される。「配管種別」には、直線配管、2重配管、ベント配管などの配管の種別が書き込まれる。「配管名称」には、系統図データD1上で当該配管に付されている個別の配管名称(図2の例では「配管a」、「配管b」など)が書き込まれる。「接続機器ID」には、当該配管が接続している機器の上述のようにして付される機器IDが書き込まれる。
【0038】
図12に示すのは、図2の系統図データD1における配管グループGについての配管グループ単位認識情報である。配管グループ単位認識情報は、「配管グループID」、「配管グループ名称」、「メンバー配管ID」の各情報項目を含む構成とされる。「配管グループID」には、系統図データD1上の各配管グループを個別に識別するための識別情報としてのIDが書き込まれる。「配管グループID」に書き込まれるIDは、系統図データD1上の全ての配管グループで異なるように図面認識処理部11により設定される。ここで、配管グループとは、機器に囲まれている配管をグループ化したものを意味する。図2の例の場合、バルブA、バルブB、バルブC、バルブDで囲まれている一群の配管「配管b、配管c、配管d」が1つの配管グループとなる。「配管グループ名称」には、系統図データD1上で当該配管グループに付されている個別の配管グループ名称が書き込まれる。「メンバー配管ID」には、当該配管グループのメンバーとなっている配管のIDが書き込まれる。
【0039】
以上のような図面認識情報は、系統図データD1に埋め込まれ、それにより図面認識情報付与系統図データとして図面認識データD4が生成される。図面認識情報の系統図データD1への埋め込みは、系統図データD1が有している属性情報欄に図面認識情報を書き込むことでなされる。具体的にいうと、系統図データD1上のオブジェクト(個別の機器や配管)にはオブジェクトごとの属性情報を記録できる属性情報欄が個々に付属させられているので、このオブジェクトごとの属性情報欄にオブジェクトに応じた機器単位認識情報、配管単位認識情報、配管グループ単位認識情報を書き込むことで図面認識情報の系統図データD1への埋め込みを行う。
【0040】
次に、ステップ101における図面認識データ生成処理を説明する。図面認識データ生成処理は、図13と図14にその流れを示すように、ステップ201〜ステップ220の各処理を含む。
【0041】
ステップ201〜ステップ206は、機器についての図面認識処理である。ステップ201では、機器の図形情報、より具体的には機器の図形情報の図形データに格納の図形パターンと系統図データD1上のオブジェクトの形状を比較し、機器の図形情報(図形パターン)に形状が合致するオブジェクトを探索して認識する(形状比較による機器オブジェクト認識処理)。この形状比較による機器オブジェクト認識処理がパターンマッチング法による処理である。パターンマッチング法は、図形情報における図形パターンをそれに含まれる線分の端点でとらえ、その端点の相対位置関係に基づいて系統図データD1上のオブジェクトを認識する手法であり、図15に示すように、ステップ301〜ステップ305の各処理を含む。
【0042】
ステップ301では、図形情報の図形パターンについて、それに含まれる全ての線分の端点位置を求める(図形パターンの端点位置取得処理)。図形パターンの端点位置取得処理では、図6の図形情報D5-aの図形パターンについての例として図16の(a)に示すように、図形パターンにおける枠Fの中心点、つまり図形中心点Sを求め、その図形中心点Sに対する相対位置として各線分の端点E1〜E8それぞれの位置を求める。これは図形中心点Sを原点とした座標上での端点E1〜E8それぞれの座標値を求めることに相当する。
【0043】
ステップ302では、系統図データ上のオブジェクトについて、それに含まれる全ての線分の端点位置を求める(オブジェクトの端点位置取得処理)。オブジェクトの端点位置取得処理では、図2の系統図データD1におけるバルブAについての例として図16の(b)に示すように、オブジェクト(バルブA)における輪郭Lの中心点、つまりオブジェクト中心点sを求め、そのオブジェクト中心点sに対する相対位置として各線分の端点e1〜e8それぞれの位置を求める。これはオブジェクト中心点sを原点とした座標上での端点e1〜e8それぞれの座標値を求めることに相当する。
【0044】
ステップ303では、図形パターンにおける端点E1〜E8とオブジェクトにおける端点e1〜e8をそれぞれの位置について比較する(端点位置比較処理)。端点位置比較処理では、端点E1〜E8の位置と端点e1〜e8の位置の差分を取る。なお、端点位置比較処理は、枠Fと輪郭Lの大きさを合せた状態で行う。
【0045】
ステップ304では、ステップ303で求めた端点位置の差分が予め設定の閾値以下であるか否かを判定し(端点位置差分の判定処理)、その判定結果が肯定的であれば、ステップ305において当該オブジェクトを図形情報の機器(バルブ、配管末端、タンクなど)または配管(直線配管、2重配管、ベント配管など)として認識する(オブジェクトの認識処理)。
【0046】
以上のようなパターンマッチング法によるオブジェクト認識処理については、系統図データ中で機器が斜めに記載されていたり、横向きに記載されていたりしている場合に対応するための処理を追加することもできる。具体的には、図形情報における図形パターンをある角度で傾けた状態での各端点の中心点に対する相対位置を求め、この傾斜状態端点位置も端点位置比較処理で用いるようにする。
【0047】
また端点位置比較処理に先立って、端点数についての比較による簡易な形状認識を行うようにすることもできる。つまり端点数が異なるオブジェクトは図形情報の機器や配管でないとし、端点数が同一のオブジェクトだけを端点位置比較処理の対象とする。このようにすることで、処理効率を高めることができる。
【0048】
図13に戻って、ステップ202では、ステップ201のオブジェクト認識処理の結果を判定する。具体的には、機器の図形情報における図形パターンに合致するオブジェクトがあるか否かを判定する(機器図形情報合致オブジェクトの有無判定処理)。
【0049】
ステップ203では、ステップ202で合致オブジェクトありとされた場合に、当該合致オブジェクト、つまり当該合致機器に図面認識処理部11が機器IDを割り当て、それを当該機器の機器単位認識情報に書き込む(機器ID付与処理)。
【0050】
ステップ204では、合致機器の機器種別を当該機器の機器単位認識情報に書き込む(機器種別取得処理)。機器種別は、合致もとの機器図形情報の「ファイル名」に記述されているデータから得る。
【0051】
ステップ205では、合致機器の機器名称を当該機器の機器単位認識情報に書き込む(機器名称取得処理)。機器名称には、上述のように、系統図データD1上で当該機器に付されている個別の機器名称(図2の例では「バルブA」、「タンクT」、「配管末端H」など)を用いることができる。
【0052】
以上のステップ201〜ステップ205の処理は、系統図データD1上の全てのオブジェクトについて行う。そのためにステップ206として、系統図データD1上の全てのオブジェクトについて処理したかを判定する。
【0053】
ステップ207〜ステップ212は、配管についての図面認識処理であり、対象オブジェクトが配管であることを除いて、ステップ201〜ステップ206と同様である。
【0054】
ステップ213〜ステップ215は、機器と配管の接続関係についての図面認識処理である。ステップ213では、ステップ215までに認識された各機器と各配管について接続関係を取得する(接続関係取得処理)。
【0055】
ステップ214では、ステップ213で取得した接続関係をもとに機器単位認識情報に接続配管IDを書き込む(接続配管情報取得処理)。具体的には、ステップ213で取得した接続関係をもとに個々の機器それぞれについて接続する配管を認識し、これにより認識された接続相手の配管のIDを機器単位認識情報に接続配管IDとして書き込む。
【0056】
ステップ215では、ステップ213で取得した接続関係をもとに配管単位認識情報に接続機器IDを書き込む(接続機器情報取得処理)。具体的には、ステップ213で取得した接続関係をもとに個々の配管それぞれについて接続する機器を認識し、これにより認識された接続相手の機器のIDを配管単位認識情報に接続機器IDとして書き込む。
【0057】
ステップ216〜ステップ220は、機器と配管の接続関係をもとにした配管グループについての図面認識処理である。ステップ216では、ステップ213で取得した接続関係をもとに配管グループを認識する(配管グループ認識処理)。配管グループは、上述のように機器で囲まれている一群の配管をグループ化したものである。図2の系統図データD1では、配管b、配管c、配管dがバルブA、バルブB、バルブC、バルブDで囲まれていることが接続関係をもとに認識され、この一群の配管が1つの配管グループとして認識される。
【0058】
ステップ217では、ステップ216で認識された配管グループに配管グループIDを図面認識処理部11が割り当て、それを当該配管グループの配管グループ単位認識情報に書き込む(配管グループID付与処理)。
【0059】
ステップ218では、ステップ216で認識された配管グループの配管グループ名称を当該配管グループの配管グループ単位認識情報に書き込む(配管グループ名称取得処理)。配管グループ名称には、上述のように、系統図データD1上で当該配管グループに付されている個別の配管グループ名称(図2の例では「配管グループG」)を用いることができる。
【0060】
ステップ219では、ステップ216で認識された配管グループのメンバーとなっている配管の配管IDを当該配管グループの配管グループ単位認識情報に書き込む(メンバー配管ID取得処理)。
【0061】
以上のステップ213〜ステップ219の処理は、系統図データD1上の全てのオブジェクトについて行う。そのためにステップ220として、系統図データD1上の全てのオブジェクトについて処理したかを判定する。
【0062】
以上のように生成される図面認識データは、図面認識データ編集処理部14を用いて編集することができる。図面認識データの編集は、図面認識処理でのミス認識を補うことを主な目的として行われ、図面認識データ編集処理部14が入出力装置5のディスプレイに表示させる図面認識データ編集用の操作画面(機器編集画面や配管編集画面)を通じて進められる。
【0063】
図17に示すのは、機器編集画面の例としての機器リスト表示画面21である。機器リスト表示画面21には、図面認識処理で認識されている機器の機器単位認識情報に記録されている機器IDと機器種別が一覧表示される。機器リスト表示画面21による図面認識データの編集、より具体的には機器認識情報の編集には、機器単位認識情報の内容を個々に編集する機器単位編集、機器単位認識情報を一括的に削除する一括削除編集、および機器単位認識情報を追加する追加編集などがある。
【0064】
機器単位編集を行うには、機器リスト表示画面21から編集したい機器を選択して編集ボタン22を押す。するとその機器について機器単位認識情報の個別編集画面23が表示されるので、この個別編集画面23を通じて機器単位編集を進める。図の例では、機器IDと機器種別を編集できるようになっている。
【0065】
一括削除編集では、機器リスト表示画面21の一覧表示から削除したい機器を選択し、削除ボタン24を押す。追加編集では、機器リスト表示画面21に一覧表示の機器を系統図データD1上の機器と照合することで、機器単位認識情報の生成がなされていない機器が系統図データD1上にあるかをチェックする。そして機器単位認識情報が未生成の機器が系統図データD1上にあった場合には、その機器について機器単位認識情報を作成する。
【0066】
図18に示すのは、配管編集画面の例としての配管グループリスト表示画面31である。配管グループリスト表示画面31には、図面認識処理で認識されている配管グループの配管グループ単位認識情報に記録されている配管グループIDが一覧表示される。配管グループリスト表示画面31による図面認識データの編集、より具体的には配管グループ単位認識情報の編集には、配管グループ単位認識情報の内容を個々に編集する配管グループ単位編集、配管グループ単位認識情報を一括的に削除する一括削除編集、配管の接続機器についてなす接続機器編集などがある。
【0067】
配管グループ単位編集を行うには、配管グループリスト表示画面31から編集したい配管グループを選択して編集ボタン32を押す。するとその配管グループについて配管グループ単位認識情報の個別編集画面であるメンバー配管リスト画面33が表示されるので、このメンバー配管リスト画面33を通じて配管グループ単位編集を進める。メンバー配管リスト画面33には、選択した配管グループの配管グループ単位認識情報におけるメンバー配管IDが一覧表示される。配管グループ単位編集として、例えばメンバー配管の削除や追加を行う場合には、メンバー配管リスト画面33に一覧表示のメンバー配管IDのメンバー配管を系統図データD1上の配管と照合することで、メンバーから抜けている配管やメンバーでないのにメンバーとされている配管があるかをチェックし、削除すべきメンバー配管があれば、そのメンバー配管のメンバー配管IDを選択して削除ボタン34を押し、またメンバーとして追加したい配管があれば、その配管の配管IDをメンバー配管IDとして追加する。
【0068】
一括削除編集では、配管グループリスト表示画面31の一覧表示から削除したい配管グループを選択し、削除ボタン35を押す。
【0069】
接続機器編集では、メンバー配管リスト画面33の一覧表示から編集したい配管のメンバー配管IDを選択して編集ボタン36を押す。すると接続機器リスト画面37が表示される。接続機器リスト画面37には、選択した配管に接続する機器の接続機器IDが一覧表示される。接続機器編集として、例えば接続機器の削除や追加を行う場合には、接続機器リスト画面37に一覧表示の接続機器IDの機器を系統図データD1上の機器と照合することで、接続機器から抜けている機器や接続機器でないのに接続機器とされている機器があるかをチェックし、削除すべき接続機器があれば、その機器の接続機器IDを選択して削除ボタン38を押し、また接続機器として追加したい機器があれば、その機器の配管IDを接続機器IDとして追加する。
【0070】
以上のような図面認識データの編集を行うようにすることにより、図面認識データの精度を高めることができ、バルブパターン図の自動生成によるシーケンス設計支援をより効率的に行えるようになる。
【0071】
図5に戻り、ステップ102のタイムチャートシート生成処理では、タイムチャート生成処理部15がタイムチャートシートD2を生成する。タイムチャートシートD2の生成は、図面認識データD4を利用してタイムチャート生成処理部15が自動的に生成するタイムチャートシート用のフォームにユーザが機器の状態を定義することでなされる。具体的にいうと、タイムチャートシートフォームは、図3のタイムチャートシートD2に見られるように、図面認識データD4における機器名称を縦軸つまり「行」に配列し、タイムステップを横軸つまり「列」に配列した表形式となっている。図3の例では、機器名称軸にバルブA、バルブB、バルブC、バルブD、バルブE、バルブF、配管末端H、タンクTの各機器名称が表示されており、またタイムステップ軸の各タイムステップにステップ番号が付されている。なお、図3のタイムチャートシートD2は、網掛け行から下側が実効的な「タイムチャートシート」であり、網掛け行から上側はシーケンス設計で参考にしたりする関連情報を記録したものである。
【0072】
ユーザは、このようなタイムチャートシートフォームに機器の状態を定義する。具体的にいうと、タイムチャートシートフォームは、各機器の機器名称軸と各タイムステップのタイムステップ軸が交差する定義欄を有しており、例えばステップ番号が「4」であるタイムステップについてタンクTの機器状態を定義するには、タンクTの機器名称軸とステップ番号「4」のタイムステップ軸が交差する定義欄41にタンクTの機器状態(図の例では「開」)を定義する。
【0073】
定義できる機器状態は、機器種別によって異なる。バルブやタンクの場合は、「開」と「閉」を指定することができる。「開」はバルブやタンクが開いている状態、「閉」はバルブやタンクが閉じている状態を意味する。こうした「開」と「閉」という状態をとる機器には、「開」や「閉」が1つのタイムステップ中で間欠的に繰り返される状態もあり、そのような状態は「間欠」として指定することになる。
【0074】
配管末端の場合は、「入口」と「出口」を指定することができる。「入口」は、配管末端が流体(原料や製品あるいは洗浄液など)の入口となっていることを意味する。「出口」は、流体の出口となっていることを意味する。
【0075】
図3のタイムチャートシートD2では、「バルブA」が「開」、「バルブB」が「閉」、「バルブC」が「開」、「バルブD」が「閉」、「バルブE」が「閉」、「バルブF」が「閉」、「配管末端」が「入口」、「タンク」が「開」と指定されている。
【0076】
図5に戻り、ステップ103のバルブパターン図生成処理では、バルブパターン図生成処理部16がタイムチャートシートD2と図面認識データD4つまり図面認識情報付与系統図データを用いてバルブパターン図D3を生成する。バルブパターン図D3は、上述のように機器・配管系統における原料や製品あるいは洗浄液などの流体のタイムステップごとの流路状態を記述した図面データである。したがってバルブパターン図生成処理部16によるバルブパターン図D3の生成は、図面認識データD4について、まず状態が「入口」となっている配管末端を探索し、それから状態「入口」の配管末端に接続している配管、その配管に接続している機器というように探索し、さらに探索された機器の状態を判定することで、流体が流れている配管を決定し、それらの配管を図形表示の変更などより強調するなどして流路状態を見易く表現した機器・配管系統図としてバルブパターン図を生成する、というようにして進められる。
【0077】
こうしたバルブパターン図D3は、タイムチャートシートD2におけるタイムステップごとに生成され、タイムチャートシートD2上でタイムステップを指定することで当該タイムステップについて入出力装置5のディスプレイに表示させたりすることができる。なお図4のバルブパターン図D3は、図3のタイムチャートシートD2におけるステップ番号「4」のタイムステップのバルブパターン図である。
【0078】
図19に、バルブパターン図生成処理における基本的な処理についてその流れを示す。図に見られるようにバルブパターン図生成処理における基本的な処理は、ステップ401〜409の各処理を含む。ステップ401では、配管末端を探索する(配管末端探索処理)。配管末端探索処理では、図面認識データD4における機器認識情報をもとに配管末端を探索する。図2の系統図データD1の場合であれば、例えば配管末端Hが探索される。以下では探索されたのが配管末端Hであるとして説明する。
【0079】
ステップ402では、探索した配管末端Hの状態をタイムチャートシートから取得し(配管末端状態取得処理)、ステップ403において配管末端Hの状態が「入口」であるかを判定する(配管末端状態判定処理)。図3のタイムチャートシートD2の例では配管末端Hが「入口」となっているので、ステップ403の結果は肯定的になる。
【0080】
ステップ403の判定結果が肯定的であれば、ステップ404に進み、配管末端Hに接続の配管のIDを取得する(接続配管ID取得処理)。接続配管ID取得処理では、配管末端Hの機器単位認識情報から接続配管IDを取得する。図2の系統図データD1の場合は配管aが配管末端Hに接続しているので、配管aのIDが接続配管IDとして取得される。
【0081】
ステップ405では、配管aが探索済みであるかを判定する(探索済み判定処理)。ステップ405で配管aが探索済みでないと判定されれば、ステップ406に進み、配管aの配管単位認識情報から接続機器IDを取得する(配管接続機器ID取得処理)。配管接続機器ID取得処理は、一般的に言えば、接続配管IDを配管IDとする配管について当該配管の配管単位認識情報から接続機器IDを取得する処理である。
【0082】
ステップ407では、ステップ406で接続機器IDを取得した機器の状態をタイムチャートシートD2から取得する(機器状態取得処理)。具体的には、ステップ406でバルブAの配管IDが接続機器IDとして取得されるので、そのバルブAの状態「開」をタイムチャートシートD2から取得することになる。
【0083】
ステップ408では、ステップ407で取得された機器の状態が「開」であるかを判定する(機器状態判定処理)。バルブAの場合は「開」であるから機器状態判定処理の結果が肯定的になるのでステップ409に進む。
【0084】
ステップ409では、ステップ408で「開」と判定された機器に接続する配管の表示状態を変更する(配管表示状態変更処理)。具体的には、「開」と判定された機器に接続する配管ないし配管グループのメンバー配管を機器単位認識情報から探索し、その配管ないし配管グループのメンバー配管の図形表示状態を変更する。図4の例では、バルブAに接続する配管aが太線化により表示状態を変更されている。
【0085】
バルブパターン図生成処理は、以上のような基本的処理を骨格として進められるもので、図2の系統図データD1と図3のタイムチャートシートD2に即した例として具体的に説明すると以下のようになる。
【0086】
まず配管末端Hを探索する。配管末端Hはタイムチャートシートで「入口」に設定されているので、これについて以降の探索を開始する。すると配管末端Hに接続されている配管aが探索され、さらに配管aに接続されているバルブAが探索される。バルブAはタイムチャート上で「開」と設定されているので、配管aの表示太さを変更する。
【0087】
続いて、バルブAに接続している配管b、配管c、配管dそれぞれについて探索を行う。まず配管bについて探索を行い、さらに配管bに接続しているバルブBを探索する。バルブBはタイムチャート上で「閉」と設定されているので、配管の表示太さの変更は行わず、バルブBまでで探索を終了する。
次に、配配管cについて探索を行い、さらに配管cに接続しているバルブCを探索する。バルブCはタイムチャート上で「開」と設定されているので、配管cおよび配管cがメンバー配管となっている配管グループのメンバー配管である配管b、配管dの表示太さを変更する。それかバルブCに接続している配管fの探索を行い、さらに配管fに接続しているタンクTを探索する。タンクTはタイムチャート上で「開」と設定されているので、配管fの表示太さを変更する。続いて、タンクTに接続している配管gの探索を行い、配管gの表示太さを変更する。以降、同様にして探索を続ける。
【0088】
次に、配管dについて探索を行い、さらに配管dに接続しているバルブDを探索する。バルブDはタイムチャート上で「閉」と設定されているので、配管の表示太さの変更は行わず、バルブDまでで探索を終了する。
【0089】
以上、本発明を実施するための1つ形態について説明したが、これは代表的な例に過ぎず、本発明は、その趣旨を逸脱することのない範囲で様々な形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】一実施形態によるシーケンス設計支援システムの構成を示す図である。
【図2】系統図データの例を示す図である。
【図3】タイムチャートシートの例を示す図である。
【図4】バルブパターン図の例を示す図である。
【図5】図1のシーケンス設計支援システムにおける処理の全体的な流れを示す図である。
【図6】バルブについての図形情報の例を示す図である。
【図7】配管末端についての図形情報の例を示す図である。
【図8】タンクについての図形情報の例を示す図である。
【図9】配管についての図形情報の例を示す図である。
【図10】機器単位認識情報のデータ構造の例を示す図である。
【図11】配管単位認識情報のデータ構造の例を示す図である。
【図12】配管グループ単位認識情報のデータ構造の例を示す図である。
【図13】図面認識データ生成処理の流れの前半を示す図である。
【図14】図面認識データ生成処理の流れの後半を示す図である。
【図15】パターンマッチング法によるオブジェクト認識処理の流れを示す図である。
【図16】パターンマッチング法における端点位置取得処理を説明する図である。
【図17】機器編集画面である機器リスト表示画面の例を示す図である。
【図18】配管編集画面である配管グループリスト表示画面の例を示す図である。
【図19】バルブパターン図生成処理における基本的な処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1 シーケンス設計支援システム
3 バルブパターン図生成手段
11 図面認識処理部
12 図形情報データベース
14 図面認識データ編集処理部
15 タイムチャート生成処理部
16 バルブパターン図生成処理部
41 定義欄
D1 機器・配管系統図データ
D2 タイムチャートシート
D3 バルブパターン図
D4 図面認識データ
D5 図形情報
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブやタンクなどの機器を配管で接続してなる機器・配管系統の制御に用いられるシーケンス制御プログラムの設計に係り、特にそのシーケンス設計を効率的に行えるように支援するシーケンス設計支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば製薬設備のようにバルブやタンクなどの機器(プロセス機器)を配管で接続してなる機器・配管系統を備えた製造設備では、その機器・配管系統を原料や製品あるいは洗浄液などの流体が流れる状態である流路状態をシーケンス制御プログラムにより自動的に制御するようになっている。機器・配管系統におけるそうした制御は、バルブにおける開閉動作のような機器の動作の制御として行われる。このためシーケンス制御プログラムの設計としてのシーケンス設計では、機器・配管系統における流体の時間工程ごとの流路状態を記述した図面データ(以下ではこの図面データをバルブパターン図と呼ぶ)を元データとしてシーケンス制御プログラムの設計を行うのが一般的である。例えば特許文献1にそのようなシーケンス設計の従来における代表的な例が開示されている。
【0003】
特許文献1の「シーケンス制御プログラム入力装置」は、プロセスフロー図生成部、シーン別シーケンス動作生成部およびシーケンス制御プログラム生成部を備えており、制御対象の機器や配管を表示画面上に順次配置しながら機器の配置関係および物流経路を表すプロセスフロー図をプロセスフロー図生成部で生成し、そのプロセスフロー図に対してシーケンス制御動作を順次定義してシーケンス制御動作の各シーンにおける物流と機器動作をシーン別シーケンス動作生成部で生成し、そのシーケンス制御動作(バルブパターン図)からシーケンス制御プログラムをシーケンス制御プログラム生成部で生成するようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−146617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の「シーケンス制御プログラム入力装置」は、シーケンス制御プログラムの元データとなるバルブパターン図(シーケンス制御動作)の作成について自動化を進めており、それなりに効率的にシーケンス設計を行えるようにしている。しかし特許文献1の「シーケンス制御プログラム入力装置」は、バルブパターン図の生成にプロセスフロー図の作成を必要としている。そしてそのプロセスフロー図の作成における作業の多くを手入力に頼ることになっており、そのためにユーザに大きな負担を強いることになっていた。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景になされたものであり、シーケンス制御プログラムの元データとなるバルブパターン図の作成について自動化率を高め、それによりシーケンス設計をより効率的に行えるように支援するシーケンス設計支援システムの実現を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では上記課題を解決するために、バルブなどの機器を配管で接続してなる機器・配管系統における流体の流路状態を制御するシーケンス制御プログラムの設計としてのシーケンス設計を支援するシーケンス設計支援システムにおいて、前記機器・配管系統を表した図面データである機器・配管系統図データと前記機器・配管系統における前記機器の状態をタイムステップごとに定義して得られるタイムチャートシートから、前記機器・配管系統における前記流体のタイムステップごとの流路状態を表した図面データであるバルブパターン図を生成するバルブパターン図生成手段を備えていることを特徴としている。
【0008】
このように、何れも電子データである機器・配管系統図データとタイムチャートシートからバルブパターン図を生成させるようにしたことにより、バルブパターン図の作成について自動化率を大幅に高めることができ、これによりシーケンス設計をより効率的に行えるようになる。
【0009】
上記のようなシーケンス設計支援システムの好ましい形態では、前記バルブパターン図生成手段は、図面認識処理部とバルブパターン図生成処理部を備え、前記図面認識処理部は、前記機器・配管系統図データ上の機器や配管あるいは配管グループなどを個別に認識するとともに、個別認識した機器などの接続関係や配管グループのメンバー配管などの関係性を認識する処理である図面認識処理を行って図面認識データの生成をなし、前記バルブパターン図生成処理部は、前記図面認識データを利用して前記バルブパターン図の生成をなすものとされる。
【0010】
このような形態では、図面認識処理部により生成される図面認識データが機器・配管系統図データとタイムチャートシートの対応付けに効果的に機能し、これにより機器・配管系統図データとタイムチャートシートの自動的な対応付けをより容易に行えるようになり、バルブパターン図の生成をより効率的に行えるようになる。
【0011】
上記のようなシーケンス設計支援システムについては、前記機器・配管系統図データ上での前記機器や配管などの図形表現についての情報である図形情報を格納して前記図面認識処理部に提供する図形情報データベースを前記バルブパターン図生成手段に設け、そして前記図面認識処理部にける前記図面認識処理を前記図形情報に基づいて行うようにするのが好ましい。このようにすることにより、図面認識処理部による図面認識処理をより効率的に行えるようになる。
【0012】
また上記のようなシーケンス設計支援システムの好ましい形態では、前記バルブパターン図生成手段は、タイムチャート生成処理部をさらに備えており、前記タイムチャート生成処理部は、前記タイムチャートシートの生成に用いるタイムチャートシートフォームを前記図面認識データから生成するようにされる。このように図面認識データを利用してタイムチャートシートフォームを生成できるようにすることにより、タイムチャートシートの生成をより効率的に行えるようになる。
【0013】
また上記のようなシーケンス設計支援システムの好ましい形態では、前記バルブパターン図生成処理部における前記バルブパターン図の生成は、前記図面認識データをもとに、まず状態が「入口」となっている配管末端を探索し、それから状態「入口」の配管末端に接続している配管、その配管に接続している機器というように探索し、さらに探索された機器の状態を前記タイムチャートシートにより判定することで、前記機器・配管系における流体の流路状態を決定する、という処理を含んでなすものとされる。このようにすることにより、バルブパターン図生成処理部によるバルブパターン図の生成をより効率的に行えるようになる。
【0014】
また上記のようなシーケンス設計支援システムの好ましい形態では、前記バルブパターン図は、前記機器・配管系における流体の流路状態を前記機器・配管系統データ上の前記配管の表示状態の変更により表示する形態で生成するものとされる。
【0015】
また上記のようなシーケンス設計支援システムの好ましい形態では、前記バルブパターン図生成手段は、前記図面認識データの編集を行うための図面認識データ編集処理部をさらに備えるものとされる。このように図面認識データの編集を行えるようにすることにより、図面認識データの精度を高めることができ、バルブパターン図の自動生成によるシーケンス設計支援をより効率的に行えるようになる。
【0016】
また上記のようなシーケンス設計支援システムの好ましい形態では、前記タイムチャートシートは、前記機器・配管系統図データ上の各機器を配列させる行、前記タイムステップを配列する列、および前記行と前記列が交差する定義欄を有する表形式とされ、前記定義欄で前記機器の状態を定義するようにされる。このような表形式のタイムチャートシートは、機器の状態定義を行い易くする。
【発明の効果】
【0017】
以上のような本発明によれば、シーケンス制御プログラムの元データとなるバルブパターン図の作成について自動化率を高めることができ、それによりシーケンス設計をより効率的に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1に一実施形態によるシーケンス設計支援システムの構成を示す。シーケンス設計支援システム1は、バルブやタンクなどの機器を配管で接続してなる機器・配管系統を表した図面データである機器・配管系統図データ(以下では系統図データと略称する)とタイムステップごとの機器の状態(動作状態など)をユーザ(システム使用者)が定義して得られるシート形式(表形式)のデータであるタイムチャートシート(タイムチャートシートデータ)から、機器・配管系統における原料や製品あるいは洗浄液などの流体のタイムステップごとの流路状態を記述した図面データであるバルブパターン図(バルブパターン図データ)を生成するようになっている。ここで、タイムステップとは、流路状態が現在の状態から次の状態に移行するための条件が成立するまでのある一定時間を1ステップとするタイムステップである。
【0019】
そのためにシーケンス設計支援システム1は、図面データベース2、バルブパターン図生成手段3、バルブパターン図データベース4および入出力装置5を備えている。
【0020】
図面データベース2は、図2にその例を示すような系統図データD1を格納してバルブパターン図生成手段3に提供するのに機能する。
【0021】
バルブパターン図生成手段3は、図面データベース2から取り込む系統図データD1と後述のようにして作成されるタイムチャートシートD2(図3にその例を示す)からバルブパターン図D3(図4にその例を示す)を自動的に生成するのに機能し、そのために図面認識処理部11、図形情報データベース12、図面認識データベース13、図面認識データ編集処理部14、タイムチャート生成処理部15およびバルブパターン図生成処理部16を備えている。
【0022】
図面認識処理部11は、系統図データD1を自動的に認識して図面認識データD4を生成する。より具体的にいうと図面認識処理部11は、図形情報データベース12に格納の図形情報D5(図6〜図9にその例を示す)を用いながら後述のようなパターンマッチング法により系統図データD1の図面認識を行う。図面認識では、系統図データD1上の機器や配管あるいは配管グループなどを個別に認識するとともに、個別認識した機器などの接続関係や配管グループのメンバー配管などの関係性を認識する。そしてこの図面認識で得られる図面認識情報を系統図データD1に埋め込むことで図面認識情報が付与された系統図データ、つまり図面認識情報付与系統図データとして図面認識データD4を生成する。
【0023】
図形情報データベース12は、系統図データD1上での図形表現についての情報である図形情報D5を格納して図面認識処理部11に提供するのに機能する。
【0024】
図面認識データベース13は、図面認識処理部11が生成した図面認識データD4を格納して図面認識データ編集処理部14、タイムチャート生成処理部15およびバルブパターン図生成処理部16に提供するのに機能する。
【0025】
図面認識データ編集処理部14は、図面認識データD4を必要に応じてユーザが編集するのに用いられる。
【0026】
タイムチャート生成処理部15は、タイムチャートシートD2の生成に用いられる。タイムチャートシートD2の生成は、図面認識データベース13から取り込む図面認識データD4に基づいて自動的に生成されるタイムチャートシートフォームにタイムステップごとの機器の状態の定義をユーザが入力することでなされる。
【0027】
バルブパターン図生成処理部16は、タイムチャートシートD2と図面認識データD4を用いてバルブパターン図D3を自動的に生成する。
【0028】
バルブパターン図データベース4は、バルブパターン図生成手段3が生成したバルブパターン図D3を格納するのに用いられる。
【0029】
入出力装置5は、ユーザが処理命令や処理に必要なデータを入力したり処理に関する操作画面や処理結果を表示したりするのに用いられ、処理命令やデータの入力のためのキーボードやマウス、それに操作画面や処理結果の表示のためのディスプレイなどからなる。
【0030】
以上がシーケンス設計支援システム1の基本的構成である。以下では、このシーケンス設計支援システム1でなされる処理について説明する。シーケンス設計支援システム1における処理は、図5にその流れを示すように、ステップ101〜ステップ103の各処理を含む。
【0031】
ステップ101は、図面認識処理部11が図面認識データD4を生成する図面認識データ生成処理であり、ステップ102は、タイムチャート生成処理部15がタイムチャートシートD2を生成するタイムチャートシート生成処理であり、ステップ103は、バルブパターン図生成処理部16がタイムチャートシートD2と図面認識データD4を用いてバルブパターン図D3を生成するバルブパターン図生成処理である。以下、こられの各処理の詳細を順に説明する。
【0032】
ステップ101の図面認識データ生成処理では、上述のように図形情報D5を用いた系統図データD1の図面認識により図面認識データD4を生成する。こうした処理の詳細を説明するにあたって、まず図形情報D5と図面認識データD4について説明する。
【0033】
図形情報D5の例を図6〜図9に示す。図6の図形情報D5-aは、機器の1つであるバルブについての例であり、図7の図形情報D5-bは、機器の1つである配管末端の例であり、図8の図形情報D5-cは、機器の1つであるタンクの例であり、図7の図形情報D5-bは、配管の1つである直線配管の例である。こられの例に見られるように、図形情報D5は、機器・配管系統図に現れる可能性のある各種機器や各種配管それぞれの種類を単位としたファイルとして作成され、「ファイル名」と「図形データ」の各項目を含む。「ファイル名」には、バルブ、タンク、配管末端、タンクなどの各種機器の種別名や直線配管、2重配管、ベント配管などの各種配管の種別名が記述される。一方、「図形データ」には、機器や配管の機器・配管系統図上での図形パターンが記述される。なお、図2の例の系統図データD1は、機器としてバルブ、タンクおよび配管末端だけを含むものとなっているが、機器にはこの他にポンプなどもある。
【0034】
図面認識データD4は、上述のように、系統図データD1の図面認識で生成される図面認識情報を系統図データD1に埋め込むことで得られる図面認識情報付与系統図データとして生成される。その図面認識情報には、機器認識情報、配管認識情報、配管グループ認識情報という3種類の情報がある。機器認識情報は、系統図データD1に含まれている全ての機器について、それぞれの機器を単位として個別に作成される機器単位認識情報の集合であり、配管認識情報は、系統図データD1に含まれている全ての配管について個別に作成される配管単位認識情報の集合であり、配管グループ認識情報は、系統図データD1に含まれている全ての配管グループについて個別に作成される配管グループ単位認識情報の集合である。
【0035】
以上のように図面認識データD4は、系統図データD1に図面認識情報を付加したものであり、そしてその図面認識情報は、機器単位認識情報の集合である機器認識情報、配管単位認識情報の集合である配管認識情報、および配管グループ単位認識情報の集合である配管グループ認識情報からなるものである。
【0036】
図10〜図12に、機器、配管、配管グループそれぞれの単位認識情報の例を示す。図10に示すのは、図2の系統図データD1におけるバルブAについての機器単位認識情報である。機器単位認識情報は、「機器ID」、「機器種別」、「機器名称」、「接続配管ID」の各情報項目を含む構成とされる。「機器ID」には、系統図データD1上の各機器を個別に識別するための識別情報としてのIDが書き込まれる。「機器ID」に書き込まれるIDは、系統図データD1上の全ての機器で異なるように図面認識処理部11により設定される。「機器種別」には、バルブ、配管末端、タンクなどの機器の種別が書き込まれる。「機器名称」には、系統図データD1上で当該機器に付されている個別の機器名称(図2の例では「バルブA」、「タンクT」、「配管末端H」など)が書き込まれる。「接続配管ID」には、当該機器に接続されている配管の識別情報、具体的には後述のようにして配管に付されるIDが書き込まれる。
【0037】
図11に示すのは、図2の系統図データD1における配管cについての配管単位認識情報である。配管単位認識情報は、「配管ID」、「配管種別」、「配管名称」、「接続機器ID」の各情報項目を含む構成とされる。「配管ID」には、系統図データD1上の各配管を個別に識別するための識別情報としてのIDが書き込まれる。「配管ID」に書き込まれるIDは、系統図データD1上の全ての配管で異なるように図面認識処理部11により設定される。「配管種別」には、直線配管、2重配管、ベント配管などの配管の種別が書き込まれる。「配管名称」には、系統図データD1上で当該配管に付されている個別の配管名称(図2の例では「配管a」、「配管b」など)が書き込まれる。「接続機器ID」には、当該配管が接続している機器の上述のようにして付される機器IDが書き込まれる。
【0038】
図12に示すのは、図2の系統図データD1における配管グループGについての配管グループ単位認識情報である。配管グループ単位認識情報は、「配管グループID」、「配管グループ名称」、「メンバー配管ID」の各情報項目を含む構成とされる。「配管グループID」には、系統図データD1上の各配管グループを個別に識別するための識別情報としてのIDが書き込まれる。「配管グループID」に書き込まれるIDは、系統図データD1上の全ての配管グループで異なるように図面認識処理部11により設定される。ここで、配管グループとは、機器に囲まれている配管をグループ化したものを意味する。図2の例の場合、バルブA、バルブB、バルブC、バルブDで囲まれている一群の配管「配管b、配管c、配管d」が1つの配管グループとなる。「配管グループ名称」には、系統図データD1上で当該配管グループに付されている個別の配管グループ名称が書き込まれる。「メンバー配管ID」には、当該配管グループのメンバーとなっている配管のIDが書き込まれる。
【0039】
以上のような図面認識情報は、系統図データD1に埋め込まれ、それにより図面認識情報付与系統図データとして図面認識データD4が生成される。図面認識情報の系統図データD1への埋め込みは、系統図データD1が有している属性情報欄に図面認識情報を書き込むことでなされる。具体的にいうと、系統図データD1上のオブジェクト(個別の機器や配管)にはオブジェクトごとの属性情報を記録できる属性情報欄が個々に付属させられているので、このオブジェクトごとの属性情報欄にオブジェクトに応じた機器単位認識情報、配管単位認識情報、配管グループ単位認識情報を書き込むことで図面認識情報の系統図データD1への埋め込みを行う。
【0040】
次に、ステップ101における図面認識データ生成処理を説明する。図面認識データ生成処理は、図13と図14にその流れを示すように、ステップ201〜ステップ220の各処理を含む。
【0041】
ステップ201〜ステップ206は、機器についての図面認識処理である。ステップ201では、機器の図形情報、より具体的には機器の図形情報の図形データに格納の図形パターンと系統図データD1上のオブジェクトの形状を比較し、機器の図形情報(図形パターン)に形状が合致するオブジェクトを探索して認識する(形状比較による機器オブジェクト認識処理)。この形状比較による機器オブジェクト認識処理がパターンマッチング法による処理である。パターンマッチング法は、図形情報における図形パターンをそれに含まれる線分の端点でとらえ、その端点の相対位置関係に基づいて系統図データD1上のオブジェクトを認識する手法であり、図15に示すように、ステップ301〜ステップ305の各処理を含む。
【0042】
ステップ301では、図形情報の図形パターンについて、それに含まれる全ての線分の端点位置を求める(図形パターンの端点位置取得処理)。図形パターンの端点位置取得処理では、図6の図形情報D5-aの図形パターンについての例として図16の(a)に示すように、図形パターンにおける枠Fの中心点、つまり図形中心点Sを求め、その図形中心点Sに対する相対位置として各線分の端点E1〜E8それぞれの位置を求める。これは図形中心点Sを原点とした座標上での端点E1〜E8それぞれの座標値を求めることに相当する。
【0043】
ステップ302では、系統図データ上のオブジェクトについて、それに含まれる全ての線分の端点位置を求める(オブジェクトの端点位置取得処理)。オブジェクトの端点位置取得処理では、図2の系統図データD1におけるバルブAについての例として図16の(b)に示すように、オブジェクト(バルブA)における輪郭Lの中心点、つまりオブジェクト中心点sを求め、そのオブジェクト中心点sに対する相対位置として各線分の端点e1〜e8それぞれの位置を求める。これはオブジェクト中心点sを原点とした座標上での端点e1〜e8それぞれの座標値を求めることに相当する。
【0044】
ステップ303では、図形パターンにおける端点E1〜E8とオブジェクトにおける端点e1〜e8をそれぞれの位置について比較する(端点位置比較処理)。端点位置比較処理では、端点E1〜E8の位置と端点e1〜e8の位置の差分を取る。なお、端点位置比較処理は、枠Fと輪郭Lの大きさを合せた状態で行う。
【0045】
ステップ304では、ステップ303で求めた端点位置の差分が予め設定の閾値以下であるか否かを判定し(端点位置差分の判定処理)、その判定結果が肯定的であれば、ステップ305において当該オブジェクトを図形情報の機器(バルブ、配管末端、タンクなど)または配管(直線配管、2重配管、ベント配管など)として認識する(オブジェクトの認識処理)。
【0046】
以上のようなパターンマッチング法によるオブジェクト認識処理については、系統図データ中で機器が斜めに記載されていたり、横向きに記載されていたりしている場合に対応するための処理を追加することもできる。具体的には、図形情報における図形パターンをある角度で傾けた状態での各端点の中心点に対する相対位置を求め、この傾斜状態端点位置も端点位置比較処理で用いるようにする。
【0047】
また端点位置比較処理に先立って、端点数についての比較による簡易な形状認識を行うようにすることもできる。つまり端点数が異なるオブジェクトは図形情報の機器や配管でないとし、端点数が同一のオブジェクトだけを端点位置比較処理の対象とする。このようにすることで、処理効率を高めることができる。
【0048】
図13に戻って、ステップ202では、ステップ201のオブジェクト認識処理の結果を判定する。具体的には、機器の図形情報における図形パターンに合致するオブジェクトがあるか否かを判定する(機器図形情報合致オブジェクトの有無判定処理)。
【0049】
ステップ203では、ステップ202で合致オブジェクトありとされた場合に、当該合致オブジェクト、つまり当該合致機器に図面認識処理部11が機器IDを割り当て、それを当該機器の機器単位認識情報に書き込む(機器ID付与処理)。
【0050】
ステップ204では、合致機器の機器種別を当該機器の機器単位認識情報に書き込む(機器種別取得処理)。機器種別は、合致もとの機器図形情報の「ファイル名」に記述されているデータから得る。
【0051】
ステップ205では、合致機器の機器名称を当該機器の機器単位認識情報に書き込む(機器名称取得処理)。機器名称には、上述のように、系統図データD1上で当該機器に付されている個別の機器名称(図2の例では「バルブA」、「タンクT」、「配管末端H」など)を用いることができる。
【0052】
以上のステップ201〜ステップ205の処理は、系統図データD1上の全てのオブジェクトについて行う。そのためにステップ206として、系統図データD1上の全てのオブジェクトについて処理したかを判定する。
【0053】
ステップ207〜ステップ212は、配管についての図面認識処理であり、対象オブジェクトが配管であることを除いて、ステップ201〜ステップ206と同様である。
【0054】
ステップ213〜ステップ215は、機器と配管の接続関係についての図面認識処理である。ステップ213では、ステップ215までに認識された各機器と各配管について接続関係を取得する(接続関係取得処理)。
【0055】
ステップ214では、ステップ213で取得した接続関係をもとに機器単位認識情報に接続配管IDを書き込む(接続配管情報取得処理)。具体的には、ステップ213で取得した接続関係をもとに個々の機器それぞれについて接続する配管を認識し、これにより認識された接続相手の配管のIDを機器単位認識情報に接続配管IDとして書き込む。
【0056】
ステップ215では、ステップ213で取得した接続関係をもとに配管単位認識情報に接続機器IDを書き込む(接続機器情報取得処理)。具体的には、ステップ213で取得した接続関係をもとに個々の配管それぞれについて接続する機器を認識し、これにより認識された接続相手の機器のIDを配管単位認識情報に接続機器IDとして書き込む。
【0057】
ステップ216〜ステップ220は、機器と配管の接続関係をもとにした配管グループについての図面認識処理である。ステップ216では、ステップ213で取得した接続関係をもとに配管グループを認識する(配管グループ認識処理)。配管グループは、上述のように機器で囲まれている一群の配管をグループ化したものである。図2の系統図データD1では、配管b、配管c、配管dがバルブA、バルブB、バルブC、バルブDで囲まれていることが接続関係をもとに認識され、この一群の配管が1つの配管グループとして認識される。
【0058】
ステップ217では、ステップ216で認識された配管グループに配管グループIDを図面認識処理部11が割り当て、それを当該配管グループの配管グループ単位認識情報に書き込む(配管グループID付与処理)。
【0059】
ステップ218では、ステップ216で認識された配管グループの配管グループ名称を当該配管グループの配管グループ単位認識情報に書き込む(配管グループ名称取得処理)。配管グループ名称には、上述のように、系統図データD1上で当該配管グループに付されている個別の配管グループ名称(図2の例では「配管グループG」)を用いることができる。
【0060】
ステップ219では、ステップ216で認識された配管グループのメンバーとなっている配管の配管IDを当該配管グループの配管グループ単位認識情報に書き込む(メンバー配管ID取得処理)。
【0061】
以上のステップ213〜ステップ219の処理は、系統図データD1上の全てのオブジェクトについて行う。そのためにステップ220として、系統図データD1上の全てのオブジェクトについて処理したかを判定する。
【0062】
以上のように生成される図面認識データは、図面認識データ編集処理部14を用いて編集することができる。図面認識データの編集は、図面認識処理でのミス認識を補うことを主な目的として行われ、図面認識データ編集処理部14が入出力装置5のディスプレイに表示させる図面認識データ編集用の操作画面(機器編集画面や配管編集画面)を通じて進められる。
【0063】
図17に示すのは、機器編集画面の例としての機器リスト表示画面21である。機器リスト表示画面21には、図面認識処理で認識されている機器の機器単位認識情報に記録されている機器IDと機器種別が一覧表示される。機器リスト表示画面21による図面認識データの編集、より具体的には機器認識情報の編集には、機器単位認識情報の内容を個々に編集する機器単位編集、機器単位認識情報を一括的に削除する一括削除編集、および機器単位認識情報を追加する追加編集などがある。
【0064】
機器単位編集を行うには、機器リスト表示画面21から編集したい機器を選択して編集ボタン22を押す。するとその機器について機器単位認識情報の個別編集画面23が表示されるので、この個別編集画面23を通じて機器単位編集を進める。図の例では、機器IDと機器種別を編集できるようになっている。
【0065】
一括削除編集では、機器リスト表示画面21の一覧表示から削除したい機器を選択し、削除ボタン24を押す。追加編集では、機器リスト表示画面21に一覧表示の機器を系統図データD1上の機器と照合することで、機器単位認識情報の生成がなされていない機器が系統図データD1上にあるかをチェックする。そして機器単位認識情報が未生成の機器が系統図データD1上にあった場合には、その機器について機器単位認識情報を作成する。
【0066】
図18に示すのは、配管編集画面の例としての配管グループリスト表示画面31である。配管グループリスト表示画面31には、図面認識処理で認識されている配管グループの配管グループ単位認識情報に記録されている配管グループIDが一覧表示される。配管グループリスト表示画面31による図面認識データの編集、より具体的には配管グループ単位認識情報の編集には、配管グループ単位認識情報の内容を個々に編集する配管グループ単位編集、配管グループ単位認識情報を一括的に削除する一括削除編集、配管の接続機器についてなす接続機器編集などがある。
【0067】
配管グループ単位編集を行うには、配管グループリスト表示画面31から編集したい配管グループを選択して編集ボタン32を押す。するとその配管グループについて配管グループ単位認識情報の個別編集画面であるメンバー配管リスト画面33が表示されるので、このメンバー配管リスト画面33を通じて配管グループ単位編集を進める。メンバー配管リスト画面33には、選択した配管グループの配管グループ単位認識情報におけるメンバー配管IDが一覧表示される。配管グループ単位編集として、例えばメンバー配管の削除や追加を行う場合には、メンバー配管リスト画面33に一覧表示のメンバー配管IDのメンバー配管を系統図データD1上の配管と照合することで、メンバーから抜けている配管やメンバーでないのにメンバーとされている配管があるかをチェックし、削除すべきメンバー配管があれば、そのメンバー配管のメンバー配管IDを選択して削除ボタン34を押し、またメンバーとして追加したい配管があれば、その配管の配管IDをメンバー配管IDとして追加する。
【0068】
一括削除編集では、配管グループリスト表示画面31の一覧表示から削除したい配管グループを選択し、削除ボタン35を押す。
【0069】
接続機器編集では、メンバー配管リスト画面33の一覧表示から編集したい配管のメンバー配管IDを選択して編集ボタン36を押す。すると接続機器リスト画面37が表示される。接続機器リスト画面37には、選択した配管に接続する機器の接続機器IDが一覧表示される。接続機器編集として、例えば接続機器の削除や追加を行う場合には、接続機器リスト画面37に一覧表示の接続機器IDの機器を系統図データD1上の機器と照合することで、接続機器から抜けている機器や接続機器でないのに接続機器とされている機器があるかをチェックし、削除すべき接続機器があれば、その機器の接続機器IDを選択して削除ボタン38を押し、また接続機器として追加したい機器があれば、その機器の配管IDを接続機器IDとして追加する。
【0070】
以上のような図面認識データの編集を行うようにすることにより、図面認識データの精度を高めることができ、バルブパターン図の自動生成によるシーケンス設計支援をより効率的に行えるようになる。
【0071】
図5に戻り、ステップ102のタイムチャートシート生成処理では、タイムチャート生成処理部15がタイムチャートシートD2を生成する。タイムチャートシートD2の生成は、図面認識データD4を利用してタイムチャート生成処理部15が自動的に生成するタイムチャートシート用のフォームにユーザが機器の状態を定義することでなされる。具体的にいうと、タイムチャートシートフォームは、図3のタイムチャートシートD2に見られるように、図面認識データD4における機器名称を縦軸つまり「行」に配列し、タイムステップを横軸つまり「列」に配列した表形式となっている。図3の例では、機器名称軸にバルブA、バルブB、バルブC、バルブD、バルブE、バルブF、配管末端H、タンクTの各機器名称が表示されており、またタイムステップ軸の各タイムステップにステップ番号が付されている。なお、図3のタイムチャートシートD2は、網掛け行から下側が実効的な「タイムチャートシート」であり、網掛け行から上側はシーケンス設計で参考にしたりする関連情報を記録したものである。
【0072】
ユーザは、このようなタイムチャートシートフォームに機器の状態を定義する。具体的にいうと、タイムチャートシートフォームは、各機器の機器名称軸と各タイムステップのタイムステップ軸が交差する定義欄を有しており、例えばステップ番号が「4」であるタイムステップについてタンクTの機器状態を定義するには、タンクTの機器名称軸とステップ番号「4」のタイムステップ軸が交差する定義欄41にタンクTの機器状態(図の例では「開」)を定義する。
【0073】
定義できる機器状態は、機器種別によって異なる。バルブやタンクの場合は、「開」と「閉」を指定することができる。「開」はバルブやタンクが開いている状態、「閉」はバルブやタンクが閉じている状態を意味する。こうした「開」と「閉」という状態をとる機器には、「開」や「閉」が1つのタイムステップ中で間欠的に繰り返される状態もあり、そのような状態は「間欠」として指定することになる。
【0074】
配管末端の場合は、「入口」と「出口」を指定することができる。「入口」は、配管末端が流体(原料や製品あるいは洗浄液など)の入口となっていることを意味する。「出口」は、流体の出口となっていることを意味する。
【0075】
図3のタイムチャートシートD2では、「バルブA」が「開」、「バルブB」が「閉」、「バルブC」が「開」、「バルブD」が「閉」、「バルブE」が「閉」、「バルブF」が「閉」、「配管末端」が「入口」、「タンク」が「開」と指定されている。
【0076】
図5に戻り、ステップ103のバルブパターン図生成処理では、バルブパターン図生成処理部16がタイムチャートシートD2と図面認識データD4つまり図面認識情報付与系統図データを用いてバルブパターン図D3を生成する。バルブパターン図D3は、上述のように機器・配管系統における原料や製品あるいは洗浄液などの流体のタイムステップごとの流路状態を記述した図面データである。したがってバルブパターン図生成処理部16によるバルブパターン図D3の生成は、図面認識データD4について、まず状態が「入口」となっている配管末端を探索し、それから状態「入口」の配管末端に接続している配管、その配管に接続している機器というように探索し、さらに探索された機器の状態を判定することで、流体が流れている配管を決定し、それらの配管を図形表示の変更などより強調するなどして流路状態を見易く表現した機器・配管系統図としてバルブパターン図を生成する、というようにして進められる。
【0077】
こうしたバルブパターン図D3は、タイムチャートシートD2におけるタイムステップごとに生成され、タイムチャートシートD2上でタイムステップを指定することで当該タイムステップについて入出力装置5のディスプレイに表示させたりすることができる。なお図4のバルブパターン図D3は、図3のタイムチャートシートD2におけるステップ番号「4」のタイムステップのバルブパターン図である。
【0078】
図19に、バルブパターン図生成処理における基本的な処理についてその流れを示す。図に見られるようにバルブパターン図生成処理における基本的な処理は、ステップ401〜409の各処理を含む。ステップ401では、配管末端を探索する(配管末端探索処理)。配管末端探索処理では、図面認識データD4における機器認識情報をもとに配管末端を探索する。図2の系統図データD1の場合であれば、例えば配管末端Hが探索される。以下では探索されたのが配管末端Hであるとして説明する。
【0079】
ステップ402では、探索した配管末端Hの状態をタイムチャートシートから取得し(配管末端状態取得処理)、ステップ403において配管末端Hの状態が「入口」であるかを判定する(配管末端状態判定処理)。図3のタイムチャートシートD2の例では配管末端Hが「入口」となっているので、ステップ403の結果は肯定的になる。
【0080】
ステップ403の判定結果が肯定的であれば、ステップ404に進み、配管末端Hに接続の配管のIDを取得する(接続配管ID取得処理)。接続配管ID取得処理では、配管末端Hの機器単位認識情報から接続配管IDを取得する。図2の系統図データD1の場合は配管aが配管末端Hに接続しているので、配管aのIDが接続配管IDとして取得される。
【0081】
ステップ405では、配管aが探索済みであるかを判定する(探索済み判定処理)。ステップ405で配管aが探索済みでないと判定されれば、ステップ406に進み、配管aの配管単位認識情報から接続機器IDを取得する(配管接続機器ID取得処理)。配管接続機器ID取得処理は、一般的に言えば、接続配管IDを配管IDとする配管について当該配管の配管単位認識情報から接続機器IDを取得する処理である。
【0082】
ステップ407では、ステップ406で接続機器IDを取得した機器の状態をタイムチャートシートD2から取得する(機器状態取得処理)。具体的には、ステップ406でバルブAの配管IDが接続機器IDとして取得されるので、そのバルブAの状態「開」をタイムチャートシートD2から取得することになる。
【0083】
ステップ408では、ステップ407で取得された機器の状態が「開」であるかを判定する(機器状態判定処理)。バルブAの場合は「開」であるから機器状態判定処理の結果が肯定的になるのでステップ409に進む。
【0084】
ステップ409では、ステップ408で「開」と判定された機器に接続する配管の表示状態を変更する(配管表示状態変更処理)。具体的には、「開」と判定された機器に接続する配管ないし配管グループのメンバー配管を機器単位認識情報から探索し、その配管ないし配管グループのメンバー配管の図形表示状態を変更する。図4の例では、バルブAに接続する配管aが太線化により表示状態を変更されている。
【0085】
バルブパターン図生成処理は、以上のような基本的処理を骨格として進められるもので、図2の系統図データD1と図3のタイムチャートシートD2に即した例として具体的に説明すると以下のようになる。
【0086】
まず配管末端Hを探索する。配管末端Hはタイムチャートシートで「入口」に設定されているので、これについて以降の探索を開始する。すると配管末端Hに接続されている配管aが探索され、さらに配管aに接続されているバルブAが探索される。バルブAはタイムチャート上で「開」と設定されているので、配管aの表示太さを変更する。
【0087】
続いて、バルブAに接続している配管b、配管c、配管dそれぞれについて探索を行う。まず配管bについて探索を行い、さらに配管bに接続しているバルブBを探索する。バルブBはタイムチャート上で「閉」と設定されているので、配管の表示太さの変更は行わず、バルブBまでで探索を終了する。
次に、配配管cについて探索を行い、さらに配管cに接続しているバルブCを探索する。バルブCはタイムチャート上で「開」と設定されているので、配管cおよび配管cがメンバー配管となっている配管グループのメンバー配管である配管b、配管dの表示太さを変更する。それかバルブCに接続している配管fの探索を行い、さらに配管fに接続しているタンクTを探索する。タンクTはタイムチャート上で「開」と設定されているので、配管fの表示太さを変更する。続いて、タンクTに接続している配管gの探索を行い、配管gの表示太さを変更する。以降、同様にして探索を続ける。
【0088】
次に、配管dについて探索を行い、さらに配管dに接続しているバルブDを探索する。バルブDはタイムチャート上で「閉」と設定されているので、配管の表示太さの変更は行わず、バルブDまでで探索を終了する。
【0089】
以上、本発明を実施するための1つ形態について説明したが、これは代表的な例に過ぎず、本発明は、その趣旨を逸脱することのない範囲で様々な形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】一実施形態によるシーケンス設計支援システムの構成を示す図である。
【図2】系統図データの例を示す図である。
【図3】タイムチャートシートの例を示す図である。
【図4】バルブパターン図の例を示す図である。
【図5】図1のシーケンス設計支援システムにおける処理の全体的な流れを示す図である。
【図6】バルブについての図形情報の例を示す図である。
【図7】配管末端についての図形情報の例を示す図である。
【図8】タンクについての図形情報の例を示す図である。
【図9】配管についての図形情報の例を示す図である。
【図10】機器単位認識情報のデータ構造の例を示す図である。
【図11】配管単位認識情報のデータ構造の例を示す図である。
【図12】配管グループ単位認識情報のデータ構造の例を示す図である。
【図13】図面認識データ生成処理の流れの前半を示す図である。
【図14】図面認識データ生成処理の流れの後半を示す図である。
【図15】パターンマッチング法によるオブジェクト認識処理の流れを示す図である。
【図16】パターンマッチング法における端点位置取得処理を説明する図である。
【図17】機器編集画面である機器リスト表示画面の例を示す図である。
【図18】配管編集画面である配管グループリスト表示画面の例を示す図である。
【図19】バルブパターン図生成処理における基本的な処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1 シーケンス設計支援システム
3 バルブパターン図生成手段
11 図面認識処理部
12 図形情報データベース
14 図面認識データ編集処理部
15 タイムチャート生成処理部
16 バルブパターン図生成処理部
41 定義欄
D1 機器・配管系統図データ
D2 タイムチャートシート
D3 バルブパターン図
D4 図面認識データ
D5 図形情報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブなどの機器を配管で接続してなる機器・配管系統における流体の流路状態を制御するシーケンス制御プログラムの設計としてのシーケンス設計を支援するシーケンス設計支援システムにおいて、
前記機器・配管系統を表した図面データである機器・配管系統図データと前記機器・配管系統における前記機器の状態をタイムステップごとに定義して得られるタイムチャートシートから、前記機器・配管系統における前記流体のタイムステップごとの流路状態を表した図面データであるバルブパターン図を生成するバルブパターン図生成手段を備えていることを特徴とするシーケンス設計支援システム。
【請求項2】
前記バルブパターン図生成手段は、図面認識処理部とバルブパターン図生成処理部を備え、前記図面認識処理部は、前記機器・配管系統図データ上の機器や配管あるいは配管グループなどを個別に認識するとともに、個別認識した機器などの接続関係や配管グループのメンバー配管などの関係性を認識する処理である図面認識処理を行って図面認識データの生成をなし、前記バルブパターン図生成処理部は、前記図面認識データを利用して前記バルブパターン図の生成をなすようにされていることを特徴とする請求項1に記載のシーケンス設計支援システム。
【請求項3】
前記バルブパターン図生成手段は、前記機器・配管系統図データ上での前記機器や配管などの図形表現についての情報である図形情報を格納して前記図面認識処理部に提供する図形情報データベースをさらに備え、前記図面認識処理部は、前記図形情報に基づいて前記図面認識処理を行うようにされていることを特徴とする請求項2に記載のシーケンス設計支援システム。
【請求項4】
前記バルブパターン図生成手段は、タイムチャート生成処理部をさらに備えており、前記タイムチャート生成処理部は、前記タイムチャートシートの生成に用いるタイムチャートシートフォームを前記図面認識データから生成するようにされていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のシーケンス設計支援システム。
【請求項5】
前記バルブパターン図生成処理部における前記バルブパターン図の生成は、前記図面認識データをもとに、まず状態が「入口」となっている配管末端を探索し、それから状態「入口」の配管末端に接続している配管、その配管に接続している機器というように探索し、さらに探索された機器の状態を前記タイムチャートシートにより判定することで、前記機器・配管系における流体の流路状態を決定する、という処理を含んでなされるようになっていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のシーケンス設計支援システム。
【請求項6】
前記バルブパターン図は、前記機器・配管系における流体の流路状態を前記機器・配管系統データ上の前記配管の表示状態の変更により表示する形態で生成するようにされている請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のシーケンス設計支援システム。
【請求項7】
前記バルブパターン図生成手段は、前記図面認識データの編集を行うための図面認識データ編集処理部をさらに備えていることを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載のシーケンス設計支援システム。
【請求項8】
前記タイムチャートシートは、前記機器・配管系統図データ上の各機器を配列させる行、前記タイムステップを配列する列、および前記行と前記列が交差する定義欄を有する表形式とされ、前記定義欄で前記機器の状態を定義するようにされていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のシーケンス設計支援システム。
【請求項1】
バルブなどの機器を配管で接続してなる機器・配管系統における流体の流路状態を制御するシーケンス制御プログラムの設計としてのシーケンス設計を支援するシーケンス設計支援システムにおいて、
前記機器・配管系統を表した図面データである機器・配管系統図データと前記機器・配管系統における前記機器の状態をタイムステップごとに定義して得られるタイムチャートシートから、前記機器・配管系統における前記流体のタイムステップごとの流路状態を表した図面データであるバルブパターン図を生成するバルブパターン図生成手段を備えていることを特徴とするシーケンス設計支援システム。
【請求項2】
前記バルブパターン図生成手段は、図面認識処理部とバルブパターン図生成処理部を備え、前記図面認識処理部は、前記機器・配管系統図データ上の機器や配管あるいは配管グループなどを個別に認識するとともに、個別認識した機器などの接続関係や配管グループのメンバー配管などの関係性を認識する処理である図面認識処理を行って図面認識データの生成をなし、前記バルブパターン図生成処理部は、前記図面認識データを利用して前記バルブパターン図の生成をなすようにされていることを特徴とする請求項1に記載のシーケンス設計支援システム。
【請求項3】
前記バルブパターン図生成手段は、前記機器・配管系統図データ上での前記機器や配管などの図形表現についての情報である図形情報を格納して前記図面認識処理部に提供する図形情報データベースをさらに備え、前記図面認識処理部は、前記図形情報に基づいて前記図面認識処理を行うようにされていることを特徴とする請求項2に記載のシーケンス設計支援システム。
【請求項4】
前記バルブパターン図生成手段は、タイムチャート生成処理部をさらに備えており、前記タイムチャート生成処理部は、前記タイムチャートシートの生成に用いるタイムチャートシートフォームを前記図面認識データから生成するようにされていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のシーケンス設計支援システム。
【請求項5】
前記バルブパターン図生成処理部における前記バルブパターン図の生成は、前記図面認識データをもとに、まず状態が「入口」となっている配管末端を探索し、それから状態「入口」の配管末端に接続している配管、その配管に接続している機器というように探索し、さらに探索された機器の状態を前記タイムチャートシートにより判定することで、前記機器・配管系における流体の流路状態を決定する、という処理を含んでなされるようになっていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のシーケンス設計支援システム。
【請求項6】
前記バルブパターン図は、前記機器・配管系における流体の流路状態を前記機器・配管系統データ上の前記配管の表示状態の変更により表示する形態で生成するようにされている請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のシーケンス設計支援システム。
【請求項7】
前記バルブパターン図生成手段は、前記図面認識データの編集を行うための図面認識データ編集処理部をさらに備えていることを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載のシーケンス設計支援システム。
【請求項8】
前記タイムチャートシートは、前記機器・配管系統図データ上の各機器を配列させる行、前記タイムステップを配列する列、および前記行と前記列が交差する定義欄を有する表形式とされ、前記定義欄で前記機器の状態を定義するようにされていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のシーケンス設計支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−129913(P2008−129913A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315443(P2006−315443)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
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