説明

シーソー式スイッチ

【課題】 少ない構成部品で組み付け工数も少なくし、しかも確実なスイッチ動作と操作フィーリングを良好にするシーソースイッチを提供する。
【解決手段】 シーソー式スイッチノブから延びる2本の接触部60A、60Bとこの2本の接触部60A、60Bとそれぞれ接触する2本のバスバー50A、50Bを備えた自動車用室内照明灯アセンブリ10用のシーソー式スイッチであって、バスバー50A、50Bは接触部60A、60Bと接触する表面が山部と谷部から成る波形形状をし、かつ3つの谷部を備えており、両端の谷部の傾斜面が中央の谷部の傾斜面より緩やかで、かつ、第1バスバー60Bの両端の谷部における傾斜面を谷部から途中まで傾斜角θ1とし、途中から山頂まで傾斜角θ2とし、第2バスバー60Aの両端の谷部における傾斜面を傾斜角θ3としたときθ1>θ3> θ2とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーソースイッチに関するもので、特に、自動車用室内照明灯レンズに埋め込まれるシーソースイッチのバスバー接点に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車輌の天井には、一般に室内照明灯が設けられている。この室内照明灯としては、車輌の天井に固定されて一部を内装材である天井板の開口部から露出させた状態に取り付けられる機能部と、天井板の開口部に室内側から嵌装されて機能部に組み付けられるカバーレンズである意匠部とを備え、機能部にスイッチを有し、意匠部にスライド自在なスイッチノブを有して、機能部へ意匠部を組み付ける際に、スイッチのスライダをスイッチノブに形成された凹部からなる係合部に係合させることにより、スイッチノブのスライドによりスイッチの操作を可能とするものが知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、意匠部を機能部へ組み付ける際に、スイッチのスライダとスイッチノブの係合部とを正確に位置合わせしておく必要があり、組立作業が煩雑であった。
これらの課題を解決するものとして、特許文献2記載のスイッチがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−079879号公報
【特許文献2】特開2005−329884号公報
【0004】
〈特許文献2記載のスイッチ〉
特許文献2記載のスイッチは、組立作業性の向上を図るためのシーソースイッチで、この車輌用室内照明灯は、光源と、光源に電力を入断するスイッチレバーを有する機能部と、機能部を覆うカバーレンズ及びスイッチレバーを操作するためのスイッチノブを有する意匠部とから構成されるものである。そして、スイッチレバーが機能部に揺動可能に取り付けられており、また、スイッチノブが意匠部に揺動可能に取り付けられているので、機能部と意匠部とが組み付けられた状態で、スイッチレバーの揺動軸とスイッチノブの揺動軸とが一致するようにしている。
【0005】
〈特許文献2記載のスイッチの長所と問題点〉
特許文献2記載のシーソースイッチによれば、機能部と意匠部とが組み付けられた状態で、スイッチレバーの揺動軸とスイッチノブの揺動軸とが一致するようになるので、組立の作業性が向上する。
しかしながら、特許文献2記載のシーソースイッチは、構成部品が多くなってコストアップになり、また、組み付け工数が多くなる、といった問題点をかかえていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、少ない構成部品で組み付け工数も少なくして組立の作業性を向上させ、しかも確実なスイッチ動作と操作フィーリングを良好にするシーソースイッチとその接点を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願第1発明は、シーソー式スイッチノブと、前記シーソー式スイッチノブから延びる2本のコンタクトと、前記2本のコンタクトと接触するそれぞれのバスバーと、を備えたシーソー式スイッチであって、前記バスバーは前記コンタクトと接触する表面が山部と谷部から成る波形形状をして、かつ3つの谷部を備えており、前記シーソー式スイッチノブの一方および他方を押すことで前記2本のコンタクトがそれぞれのバスバーの山部と谷部に接触しながら一方の谷部から真中の谷部を経て他方の谷部に移動して静止することを特徴としている。
本願第2発明は、第1発明において、前記両端の谷部の傾斜面が中央の谷部の傾斜面より緩やかであることを特徴としている。
本願第3発明は、第2発明において、前記2本のコンタクトとそれぞれ接触する第1バスバーと第2バスバーにおいて、前記第1バスバーの両端の谷部における傾斜面を谷部から途中まで傾斜角θ1とし、途中から山頂まで傾斜角θ2とし、前記第2バスバーの両端の谷部における傾斜面を傾斜角θ3としたとき、θ1>θ3> θ2としたことを特徴としている。
本願第4発明は、第1〜第3発明において、前記谷部の傾斜面に突起または凹部を形成し、前記コンタクトが前記谷部に静止している状態で前記突起または凹部に当接する前記コンタクトの部位に前記突起に係合する窪みまたは前記凹部に係合する突部を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本願第1発明によれば、コンタクトとバスバーの山と谷からなる波形形状でスイッチができるので、従来のシーソースイッチのような高価なボールおよびスプリングを廃止することができ、コストダウンとなる。
また、コンタクトのバネ性とバスバーの山と谷からなる波形形状でスイッチングフィーリングを確保することができる。
本願第2発明によれば、両端の谷部の傾斜面が中央の谷部の傾斜面より緩やかであるので、スイッチの操作荷重に高低がつき操作性を変えることができる。
本願第3発明によれば、弱い荷重でコンタクトが飛び出すことを防止し、大型化を防止し、しかも中間止まりを防止することができる。
本願第4発明によれば、弱い荷重でコンタクトが飛び出すことをさらに防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明が対象としている自動車用室内照明灯アセンブリの斜視図で、図1(A)は表側から見た斜視図、図1(B)は裏側から見た斜視図である。
【図2】図2は図1(B)の状態の自動車用室内照明灯アセンブリの分解斜視図である。
【図3】図3はスイッチノブにコンタクトを圧入する前後を示す斜視図で、図3(A)は圧入前、図3(B)は圧入後である。
【図4】図4(A)はバスバーと金属クリップをハウジングに組み付ける前、図4(B)は組み付けた後を示す斜視図である。
【図5】図5(A)はスイッチノブをハウジングに組み付ける前、図5(B)はスイッチノブを組み付けた後でバルブを組み付ける前を示す斜視図である。
【図6】図6はバルブを組み付けた後でレンズをハウジングに組み付ける前を示す斜視図である。
【図7】図7は図1の自動車用室内照明灯アセンブリの回路図を示している。
【図8】図8(A)は自動車用室内照明灯アセンブリをハウジング側から見た平面図で、図8(B)はスイッチノブ(図5(A))に圧入されたコンタクト(図3(B))が接触するバスバーの部分の図8(A)の拡大図である。
【図9】図9は実施例2を具現化したバスバー部分の拡大平面図で、(A)はスイッチノブの接触部がそれぞれ接触するバスバーおよびバスバーの部位の拡大図で、(B)はコンタクトとバスバーの部分の更なる拡大図である。
【図10】図10は実施例3を説明する図で、図の上部のバスバーの谷部の傾斜と、下部のバスバーの谷部の傾斜とを説明する拡大平面図である。
【図11】図11は実施例4を説明するバスバーの断面図で、図11(A)は突起付き斜面、図11(B)は凹部付き斜面の各縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、少ない構成部品で組み付け工数も少なくして組立の作業性を向上させ、しかも確実なスイッチ動作と操作フィーリングを良好にする本発明に係るシーソースイッチについて説明する。
【0011】
〈本発明が対象としている自動車用室内照明灯アセンブリ〉
図1は本発明が対象としている自動車用室内照明灯アセンブリの斜視図で、図1(A)は表側から見た斜視図、図1(B)は裏側から見た斜視図である。
自動車用室内照明灯アセンブリ10は、レンズ20(図2参照)とハウジング40(図2参照)とをそのレンズ20の係止孔20K(図2)とハウジング40の係止突起40K(図2)とを係合して一体化して成るものである。
【0012】
〈自動車用室内照明灯の構成〉
図2は図1(B)の状態の自動車用室内照明灯アセンブリの分解斜視図である。
図2において、自動車用室内照明灯アセンブリ10は、上から順に、金属クリップ70、バスバー50、ハウジング40、バルブ80、コンタクト60、スイッチノブ30、レンズ20より構成されている。
そこでまず、これらの各構成要素について以下に説明する。
【0013】
〈レンズ20〉
図2において、レンズ20(図6)はバルブ80(図6)からの光を通過させるレンズの機能をする矩形状をした樹脂部材で、係止孔20Kを備えた係止部材20Lが周縁の全周に亘って複数個(本実施例では全周で6個)備え、また、スイッチノブ30を挿入する挿入口20N(本実施例では3個)があけられている。図2において、レンズ20の裏側は意匠面となっている。
【0014】
〈ハウジング40〉
図2において、ハウジング40は、レンズ20以外のスイッチノブ30、バスバー50、コンタクト60、金属クリップ70、バルブ80を収容する樹脂部材である。ハウジング40のレンズ20に対向する面は略矩形状をしており、その矩形の周縁でその垂直面よりも外方向に突出する係止突起40Kを全周に亘って複数個(本実施例では全周で6個)備えている。
【0015】
〈スイッチノブ30〉
図2において、スイッチノブ30はコンタクト60を圧入して成るシーソースイッチで、シーソー運動によって、押圧部の一方が押圧されたときコンタクト60の先端が相手方端子に接触し、他方が押圧されたときコンタクト60の先端が相手方端子から離れて他の端子に接続される。図3はスイッチノブ30にコンタクト60を圧入する前後を示す斜視図で、図3(A)は圧入前、図3(B)は圧入後である。
図3(A)において、スイッチノブ30は平らな細長い蓋状をした押圧部30Nと、押圧部30Nから図で垂直上方に間隔をあけて柱状に立設する2本の収納部30Sと、2本の収納部30Sの間の中央にシーソー運動の中心となる軸孔30Hと、2本の柱状の収納部30Sの対向面にコンタクト60の圧入部60Pが圧入される圧入溝30Pが形成されて成る。
このようにしてスイッチノブ30の2本の柱状の収納部30Sの圧入溝30Pにコンタクト60の圧入部60Pを図で上方から圧入すると、図3(B)のようにコンタクト60の圧入部60Pがスイッチノブ30に収納され、コンタクト60の圧入部60Pから互いに逆方向に延びる2本の脚部60Sがスイッチノブ30から突出する。
そこで、スイッチノブ30の軸孔30Hを中心にスイッチノブ30がシーソー運動をすると、スイッチノブ30から突出する2本の脚部60Sは軸孔30Hを中心に旋回するようになる。
【0016】
〈バスバー50〉
図2において、バスバー50はハウジング40に装着されたスイッチノブ30、コンタクト60、バルブ80のうち電気的に接続されるべき部位間を接続するための金属製長尺板で、複数本から成っている。図4で上方からハウジング40に嵌め込むことでランプ機能部分を構成している。
【0017】
〈コンタクト60〉
図2において、コンタクト60は、図3(A)の拡大図から分かるように、スイッチノブ30の2本の収納部30S間に圧入される圧入部60Pと、この圧入部60Pの中心から同じ距離離れた2点より同じ側でそれぞれ互いに逆方向に斜め上方に延びる脚部60S、60Sと、脚部60S、60Sのそれぞれの先端にある接触部(接点)60A、60Bとが、一体に形成されている。
【0018】
〈金属クリップ70〉
図2において、金属クリップ70は弾性金属板をU字状に曲げ形成して成り、U字形状の1脚に係止片70H(図4(A)も参照)が形成されている。
一方、ハウジング40の外周側のクリップ係止部40Cに係止孔40H(図4(A)も参照)が形成されているので、金属クリップ70の係止片70Hをハウジング40のクリップ係止部40Cの係止孔40Hに係合させることで、金属クリップ70は図4(B)のようにハウジング40に組み付けられる。
【0019】
〈バルブ80〉
図2において、バルブ80は光源であり、車輌からの信号により点灯・消灯を行う。バルブ80はハウジング40の擂(す)り鉢状をしたバルブ収納部位40L(図5(B))の底部に収納される。図6のように底部に収納されバルブ80から発した光はレンズ20側に向かうようになる。
【0020】
〈自動車用室内照明灯アセンブリ作成手順〉
次に、以上の部品を用いた自動車用室内照明灯アセンブリ作成手順について説明する。
手順1)コンタクト60をスイッチノブ30内へ圧入する:
図3において、まず、スイッチノブ30の2本の柱状の収納部30Sの圧入溝30Pにコンタクト60の圧入部60Pを図で上方から圧入して、図3(B)のようにコンタクト60をスイッチノブ30に取り付ける。
手順2)ハウジング40にバスバー50と金属クリップ70を組み付ける:
次に、図4(A)のような複数本のバスバー50をハウジング40の所定位置へ取り付ける。バスバー50の所定箇所にはピン挿入孔があけられており、一方、ハウジング40には所定箇所にピン40Pが立設されている。そこで、バスバー50をハウジング40の所定位置へ取り付けると、バスバー50のピン挿入孔にハウジング40のピン40Pが挿入するようになる。図4(B)の吹き出し部は、バスバー50のピン挿入孔にハウジング40のピン40Pが挿入した状態を表している。このように、バスバー50のピン挿入孔にハウジング40のピン40Pが挿入した後は、ピン40Pを熱溶着することで、バスバー50はハウジング40に固定される。
さらに、金属クリップ70の係止片70H(図4(A))をハウジング40のクリップ係止部40Cの係止孔40Hに係合させることで、金属クリップ70を図4(B)のようにハウジング40に組み付ける。
手順3)スイッチノブ30をハウジング40に組み付ける:
次に、手順1を終えたスイッチノブ30(図3(B))を、手順2を終えたハウジング40(図4(B))の図5(A)の矢印で示すような位置に組み付ける。
手順4)バルブ80をハウジング40に組み付ける:
さらに、コンタクト60のアセンブリおよびバルブ80をハウジング40の図5(B)の矢印で示すような位置に組み付ける。
手順5)レンズ20をハウジング40に組み付ける:
最後に、手順4を終えたハウジング40(図6)にレンズ20(図2)を組み付ける。ハウジング40にレンズ20を組み付けるには、レンズ20の係止部材20L(図2)の係止孔20K(図2)にハウジング40の係止突起40K(図2)を係合させればよい。
このようにしてすべて取り付けられると、図1の自動車用室内照明灯アセンブリ10が完成する。
【0021】
〈図1の自動車用室内照明灯アセンブリ10の回路図〉
図7は図1の自動車用室内照明灯アセンブリ10の回路図を示している。
図7において、スイッチノブ30は3個あるので、右から30R(右)、30M(中央)、30L(左)とする。上の部品を用いた自動車用室内照明灯アセンブリ作成手順について説明する。このうち、スイッチノブ30Rとスイッチノブ30Lは2接点方式、スイッチノブ30Mは3接点方式のものを採用する。
1)スイッチノブ30Lの操作:
1−1)スイッチノブ30Mは、その接点がDOOR側にあると、ドアが閉まっていると消灯し、ドアが開くと点灯するスイッチである。しかし、スイッチノブ30MがD00R側にあっても、ドアの開閉に関係なくバルブB1を点灯するには、スイッチノブ30Lの接点をON側にする。
そうすると、バッテリー→バルブB1→ON側→アース線と回路が閉じて点灯する。
1−2)また、点灯しているバルブB1を消灯するには、スイッチノブ30Lの接点をOFF側にする。そうすると、バッテリー→バルブB1→OFF側からアース線へ行く回路が形成されなくなり、消灯する。
2) スイッチノブ30Rの操作:
2−1)スイッチノブ30MがD00R側にあってもドアの開閉に関係なく、バルブB2を点灯するには、スイッチノブ30Rの接点をON側にする。
そうすると、バッテリー→バルブB2→ON側→アース線と回路が閉じて点灯する。
2−2)また、点灯しているバルブB2を消灯するには、スイッチノブ30Rの接点をOFF側にする。そうすると、バッテリー→バルブB1→OFF側からアース線へ行く回路が形成されなくなり、消灯する。
3) スイッチノブ30Mの操作:
3−1)スイッチノブ30MのDOOR側はカテーシ線Cに繋がり、カテーシ線Cはドアに対向するボデーの一部に設けられたドア開閉スイッチに繋がっており、ドアが閉まっているときはドア開閉スイッチはオフで、ドアが開くとドア開閉スイッチはオンとなる。したがって、バルブB1のスイッチノブ30LがOFF側にあっても、また、バルブB2のスイッチノブ30RがOFF側にあっても、スイッチノブ30MがDOOR側にあるとカテーシ線Cに繋がっているので、ドアが閉じているとドア開閉スイッチがオフなのでバルブB1、B2は消灯のままであるが、ドアが開くとドア開閉スイッチがオンとなり、バルブB1、B2は点灯する。
3−2)スイッチノブ30MをON側にすると、接点がOFF側にあって消灯していたバルブが、ドアの開閉に関係なく点灯する。
3−3)スイッチノブ30MをOFF側にすると、接点がOFF側にあるバルブがドアの開閉に関係なく消灯する。
【0022】
〈バスバーにコンタクトの先端の接触部を接触させる方式〉
図8(A)は自動車用室内照明灯アセンブリ10をハウジング40側から見た平面図で、図8(B)はスイッチノブ30M(図5(A))に圧入されたコンタクト60(図3(B))が接触するバスバー50の部分の図8(A)の拡大図である。図8において、バスバー50Aとバスバー50Bは、スイッチノブ30Mのコンタクト60から反対方向に延びる2本の脚部60S、60Sのそれぞれの先端の接触部60Aと接触部60Bがそれぞれ接触する。2本の脚部60S、60Sは弾性があるので、その先端にある接触部60Aと接触部60Bは、それぞれバスバー50Aとバスバー50Bを互いに拡開させる矢印方向に強い反力が働いている。
【0023】
〈実施例1:バスバーを波形に〉
本発明のコンタクト60のそれぞれの接触部60Aおよび60Bが接触するバスバー50Aとバスバー50Bの接触領域は、直線ではなくて山と谷から成る波形に形成されている。そして、接触部60Aがバスバー50Aの最右の谷部に静止しているときは、接触部60Bもバスバー50Bの最右の谷部に静止し、同じく、接触部60Aがバスバー50Aの最左の谷部に静止しているときは、接触部60Bもバスバー50Bの最左の谷部に静止し、接触部60Aがバスバー50Aの真中の谷部に静止しているときは、接触部60Bもバスバー50Bの真中の谷部に静止している。
図8(B)は、スイッチノブ30M(図5(A))におけるコンタクト60の接触部60A(図5(A))がバスバー50Aの真中の谷部に、接触部60B(図5(A))もバスバー50Bの真中の谷部に、それぞれ静止している状態を表している。
また、接触部60Aがバスバー50Aの最右の山を滑落しているときは、接触部60Bもバスバー50Bの最右の山を同じ方向に滑落している。他の山のときも同様である。
このように、本発明によればコンタクト60とバスバー50の山と谷からなる波形形状でスイッチができるので、従来のシーソースイッチのような高価なボールおよびスプリングを廃止することができ、コストダウンとなる。
また、コンタクト60のバネ性とバスバー50の山と谷からなる波形形状でスイッチングフィーリングを確保することができる。
【0024】
〈実施例2:バスバーの谷部の傾斜角を変更〉
実施例2はコンタクト60の接触部60Aおよび60Bがそれぞれ接触するバスバー50Aとバスバー50Bにおいて、真中の谷部の傾斜角を急にして、両端の谷部の傾斜角を緩くしたのが特徴である。
図9は実施例2を具現化したバスバー部分の拡大平面図で、図9(A)はスイッチノブ30M(図5(A))の接触部60A(図5(A))と接触部60Bがそれぞれ接触するバスバー50A1、50A2、50A3およびバスバー50Bの部位の拡大図で、図9(B)は接触部60Aとバスバー50A1、50A2、50A3の部分の更なる拡大図である。
図9において、接触部60Aと60Bがそれぞれバスバー50A1、50Bの最左(ON)の谷部に静止しているときの接触部60Aと60Bを60A1と60B1と表し、バスバー50A2、50Bの真中(DOOR)の谷部に静止しているときの接触部60Aと60Bを60A2と60B2と表し、バスバー50A3、50Bの最右(OFF)の谷部に静止しているときの接触部60Aと60Bを60A3と60B3と表すと、接触部60A1と60B1と、接触部60A3と60B3が静止するバスバーの谷部を傾斜角の緩いスロープS2(図9(B))とし、接触部60A2と60B2が静止するバスバーの谷部を傾斜角の急なスロープS1(図9(B))としている。
このようにすることで、接触部60A2(図9(A))と60B2(図9(A))が図9(B)の矢印のDout方向に動くとき(すなわち、真中の谷部の接触部60A2と60B2が左右のどちらかの谷部へ移るとき)操作荷重が高くなり、逆に、接触部60A1(図9(A))と60B1や接触部60A3と60B3が図9(B)の矢印のDin方向に動くとき(すなわち、左右の谷部のコンタクトが真中の谷部へ移るとき)操作荷重が低くなるといった操作性を変えることができる。
【0025】
〈実施例3:バスバーとコンタクトから成る1対が2対あるときの工夫〉
実施例3はバスバーとコンタクトから成る1対が2対あるときに行うことのできる工夫に関する。
一般に、コンタクトが静止する谷部の傾斜が急であれば弱いスイッチ操作荷重でコンタクトが安易に動くことは防止されるので長所となるが、傾斜を急にするためには谷部の深さを深くしなければならずスイッチ自体が大型化する欠点があり、両者はトレードオフの関係にあった。
しかしながら、バスバーとコンタクトから成る1対が2対あるときには、実施例3によって両者を満足させることができる。
【0026】
〈実施例3の斜面の傾斜角はθ1>θ3> θ2〉
図10は実施例3を説明する図で、図の上部のバスバー50A1・50A2・50A3の谷部の傾斜と、下部のバスバー50Bの谷部の傾斜とを次のようにしている。
下部のバスバー50Bの左右の谷部50B1と50B3の傾斜は谷底から途中まで急(傾斜角θ1)であり、途中から山頂まで緩やか(傾斜角θ2)としてあり(θ1>θ2)、そして上部のバスバー50A1・50A3の谷部の傾斜は一定(傾斜角θ3)であり、3つの傾斜角はθ1>θ3> θ2としてある。
【0027】
〈実施例3の傾斜角θ3> θ2の長所〉
上部のバスバー50A1・50A2・50A3の谷部のうち、左右のバスバーの谷部50A1と50A3の傾斜(傾斜角θ3)を、下部のバスバー50Bの左右のバスバーの谷部50B1と50B3の傾斜(傾斜角θ2)よりも急にしていることで、下のコンタクト60B1(または60B3)が緩い傾斜面を動いているときに中間で止まりそうになっても、コンタクト60B1と一体(図3(A)参照)の上の接触部60A1が急な傾斜面を動いているのでコンタクト60B1を共連(ともづれ)して中間止まりを防止する働きをする。
【0028】
〈実施例3の傾斜角θ1> θ2の長所〉
下部のバスバー50Bの左右の谷部の傾斜は途中まで急(傾斜角θ1)で、途中から山頂まで緩やか(傾斜角θ2)としてあるため、コンタクト60B1(または60B3)が急な斜面の谷底で静止しているので、容易に飛び出すことが防止できる。しかしながら飛び出し防止するために、全斜面を急傾斜(傾斜角θ1)にすると、隣の谷までの距離を稼ぐには深い谷底にしなければならなくなり、スイッチの大型化となるのでこれはできない。したがって、途中から傾斜を緩くせざるを得なかったが、緩斜面にすると逆に「中間止まり」という課題が発生してしまうので、これもできなかった。
実施例3によれば、傾斜角θ1> θ2によって、飛び出し防止と大型化防止を行うことができ、そして大型化防止に貢献する傾斜角 θ2の最大の欠点である「中間止まり」を実施例3の傾斜角θ3> θ2によって防止している。
【0029】
〈実施例4:飛び出し防止〉
図11は実施例4を説明するバスバーの断面図で、図11(A)は突起付き斜面、図11(B)は凹部付き斜面の断面図である。
図11(A)において、バスバー50の斜面に突起50Tが形成されており、一方、コンタクト60には、谷底に静止した状態でその突起50Tの係合する窪み60Tが形成されている。
したがって、谷底に静止した接触部60Bは窪み60Tに突起50Tが係合しているので、弱い荷重で容易に飛び出すことが防止できる。
図11(B)において、バスバー50の斜面に凹部50Qが形成されており、一方、接触部60Bには、谷底に静止した状態でその凹部50Qに係合する突部60Qが形成されている。
したがって、谷底に静止した接触部60Bは突部60Qに凹部50Qが係合しているので、弱い荷重で容易に飛び出すことが防止できる。
【符号の説明】
【0030】
10 自動車用室内照明灯アセンブリ
20 レンズ
20K 係止孔
20L 係止部材
20N 挿入口
30 スイッチノブ
30R 右スイッチノブ
30M 中央スイッチノブ
30L 左スイッチノブ
30H 軸孔
30N 押圧部
30S 収納部
30P 圧入溝
40 ハウジング
40C クリップ係止部
40H 係止孔
40K 係止突起
40L バルブ収納部位
40P ピン
50 バスバー
60 コンタクト
60A、60B 接触部(接点)
60P 圧入部
60S 脚部
70 金属クリップ
70H 係止片
80 バルブ
B1、B2 バルブ
S1、S2 スロープ
50Q 凹部(バスバー側)
50T 突起(バスバー側)
60Q 突部
60T 窪み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーソー式スイッチノブと、前記シーソー式スイッチノブから延びる2本のコンタクトと、前記2本のコンタクトと接触するそれぞれのバスバーと、を備えたシーソー式スイッチであって、
前記バスバーは前記コンタクトと接触する表面が山部と谷部から成る波形形状をして、かつ3つの谷部を備えており、
前記シーソー式スイッチノブの一方および他方を押すことで前記2本のコンタクトがそれぞれのバスバーの山部と谷部に接触しながら一方の谷部から真中の谷部を経て他方の谷部に移動して静止することを特徴とするシーソー式スイッチ。
【請求項2】
前記両端の谷部の傾斜面が中央の谷部の傾斜面より緩やかであることを特徴とする請求項1記載のシーソー式スイッチ。
【請求項3】
前記2本のコンタクトとそれぞれ接触する第1バスバーと第2バスバーにおいて、前記第1バスバーの両端の谷部における傾斜面を谷部から途中まで傾斜角θ1とし、途中から山頂まで傾斜角θ2とし、前記第2バスバーの両端の谷部における傾斜面を傾斜角θ3としたとき、θ1>θ3> θ2としたことを特徴とする請求項2記載のシーソー式スイッチ。
【請求項4】
前記谷部の傾斜面に突起または凹部を形成し、前記コンタクトが前記谷部に静止している状態で前記突起または凹部に当接する前記コンタクトの部位に前記突起に係合する窪みまたは前記凹部に係合する突部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のシーソー式スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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