説明

シートスイッチ

【課題】シートスイッチにおいて、押下げ操作に対する耐久性の向上を図る。
【解決手段】シートスイッチ1は、接点シート2と、接点シート2上に載置されたメタル
ドーム3と、接点シート2及びメタルドーム3を覆う表面シート4と、メタルドーム3と
表面シート4との間に挿入された保護板5とを備える。接点シート2は、対向する上接点
23と下接点24とを有する。表面シート4が押下げられたとき、保護板5がメタルドー
ム3を押圧し、これにより、メタルドーム3が撓んで変形し、接点シート2を押圧し、上
接点23と下接点24とを電気的に導通させる。従って、鍵又はペン等の細くて硬い先端
により表面シート4が押下げられたとしても、メタルドーム3は保護板5を介して押圧さ
れるので、その押圧力を保護板5により分散することができる。そのため、押圧力の集中
によるメタルドーム3の局所的な歪み及び金属疲労を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに押圧操作されるシートスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシートスイッチの構成を図13に示す。このシートスイッチ100は、接点シー
ト101と、接点シート101に載置されたメタルドーム102と、接点シート101及
びメタルドーム102を覆う表面シート103とを備える。メタルドーム102は可撓性
を有する。表面シート103は、積層されたドームスペーサ104及びドーム押え部材1
05を介して接点シート101上に載置されている。
【0003】
接点シート101は、互いに対向する1対のシート106と、これらシート106の対
向面にそれぞれ設けられた接点107と、これら接点107を離間させるための接点スペ
ーサ108とを有する。メタルドーム102は、接点シート101上の接点107に対応
した位置に載置されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
ドーム押え部材105は、メタルドーム102の頂部とその周囲部分とが嵌め込まれる
開口を有し、その開口の縁でもってメタルドーム102を接点シート101に弾性的に押
え付けている。表面シート103が押下げられると、メタルドーム102が変形して接点
シート101を押圧し、接点107を電気的に導通させる。
【0005】
表面シート103はユーザの指の腹で押されるのが通常であり、メタルドーム102は
、指による押下げを前提として、数十万回から百万回程度、押されても問題なく動作する
ように耐久性が付与されている。
【0006】
しかしながら、鍵又はペン等の細くて硬い先端で押下げられると、メタルドーム102
への押圧力が局部集中し、メタルドーム102は局所的に歪んだり、金属疲労が増したり
する。そのため、このような押下げが繰り返されると、メタルドーム102は数百回〜数
千回程度の押下げ操作で反転した状態を保持してしまい、ついには、接点シート101が
押圧されたままになり、接点107が、常時、導通状態になってしまう。このような状態
では、スイッチとしての機能を維持することができない。シートスイッチ100が、例え
ば、入退室を管理する機器のパスワード入力キーとして使用されたときには、不特定多数
の人に操作され、しかも、操作回数が多くなるので、上記の問題が生じ易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平7−1545号公報
【特許文献2】特開2004−14143号公報
【特許文献3】実開平6−50193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、押下げ操作に対す
る耐久性の向上を図ることができ、また、表面シートのスイッチを押した時において良好
な操作感触が得られるシートスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、互いに対向する1対のシートの夫々の対
向面に接点が設けられて成る接点シートと、前記接点シート上の前記接点に対応した位置
に載置されたドーム形状をした金属部材と、前記接点シート及び金属部材を覆う表面シー
トと、を備え、前記表面シートが押下げられたとき、前記金属部材が変形して前記接点シ
ートを押圧し、前記接点を電気的に導通させるシートスイッチにおいて、前記金属部材と
表面シートとの間に、該金属部材への押圧力を分散して該金属部材を保護するための保護
板が設けられているものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載のシートスイッチにおいて前記保護板にはスリット部
が形成されるものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2記載のシートスイッチにおいて前記スリット部は、平面視
で円形状若しくは四角形状の前記保護板において、該保護板の中央付近を除いて略T字形
状で少なくとも1箇所以上形成されるものである。
【0012】
請求項4の発明は、請求項2記載のシートスイッチにおいて前記スリット部は、平面視
で円形状若しくは四角形状の前記保護板において、該保護板の中央付近を除いて渦巻き形
状で形成されるものである。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のシートスイッチにお
いて、前記保護板の前記表面シート側には、前記表面シートと粘着する粘着剤若しくは両
面テープが貼付されるものである。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のシートスイッチにお
いて、前記保護板は、前記金属部材の頂部に対応する位置に、該金属部材へ向けて突出し
た凸部を有するものである。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のシートスイッチにお
いて、前記保護板は、前記表面シートと接点シートとの間に介在されたシート状の板ばね
により構成されるものである。
【0016】
請求項8の発明は、請求項7記載のシートスイッチにおいて、前記シート状の板ばねは
、列状に並んで設けられた前記接点及び金属部材に対応して設けられた複数の保護板部分
と、これらを一体的に繋ぐ枠部分とを有するものである。
【0017】
請求項9の発明は、請求項8記載のシートスイッチにおいて、前記板ばねには、前記表
面シートのスイッチの形状に沿った折曲部が形成されるものである。
【0018】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のシートスイッチに
おいて、前記接点及び金属部材は、列状に並んで複数設けられており、これら複数の接点
及び金属部材に対応する位置に設けられる複数の保護板は、1枚のシート上に貼り付けら
れているものである。
【0019】
請求項11の発明は、請求項10記載のシートスイッチにおいて、前記保護板が貼り付
けられたシートの前記接点シート側の面には、前記金属部材が該シートとの干渉をなくす
ためのスペーサが配置されるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るスイッチシートによれば、表面シートが鍵又はペン等の細くて硬い先端に
より押下げられたとしても、金属部材は保護板を介して押圧されるので、その押圧力は保
護板により分散され、押圧力の集中による金属部材の局所的な歪み及び金属疲労を防ぐこ
とができる。従って、押下げ操作に対する金属部材の耐久性が向上する。
【0021】
本発明に係るシートスイッチによれば、保護板に略T字形状や渦巻き形状のスリット部
が形成されるため、シートスイッチの耐久性は維持しながら、スイッチを押した際の操作
力を軽減し、操作感触も改善できる。
【0022】
本発明に係るシートスイッチによれば、表面シートが押下げられたとき、保護板の凸部
が金属部材の頂部を押すので、その押圧力は押圧部位の周囲へ偏りなく分散され、従って
、上記効果が確実に得られる。
【0023】
本発明に係るシートスイッチによれば、表面シートが偏って押下げられたとしても、保
護板は板ばねの作用により撓んで全体的に下がるので、偏って押し下げられることがなく
なり、金属部材の頂部を押すことができ、上記効果が確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシートスイッチを示す断面図。
【図2】上記シートスイッチの一部が押下げられたときの様子を示す断面図。
【図3】上記シートスイッチを備えた情報入力機器を示す正面図。
【図4】上記実施形態の変形例1に係るシートスイッチを示す断面図。
【図5】上記とは別の変形例2に係るシートスイッチを示す断面図。
【図6】(a)及び(b)は保護板の平面図。
【図7】(a)〜(f)は保護板の平面図。
【図8】(a)は変形例3に係るシートスイッチの断面図、(b)は保護板の平面図。
【図9】(a)は変形例4に係るシートスイッチの断面図、(b)は保護板の平面図、(c)は保護板の他の例の平面図。
【図10】(a)は変形例5に係るシートスイッチの断面図、(b)は保護板シートの平面図、(c)はスリット部を有する保護板シートの平面図。
【図11】(a)は変形例6に係るシートスイッチの断面図、(b)は保護板シートの平面図、(c)はスリット部を有する保護板シートの平面図。
【図12】(a)は変形例7に係るシートスイッチの断面図、(b)は保護板シートの平面図、(c)はスリット部を有する保護板シートの平面図。
【図13】従来のシートスイッチを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係るシートスイッチについて図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態のシートスイッチの構成を示す。このシートスイッチ1は、接点シ
ート2と、接点シート2に載置されたメタルドーム3(ドーム形状をした金属部材)と、
接点シート2及びメタルドーム3を覆う表面シート4と、メタルドーム3を保護するため
の保護板5とを備える。メタルドーム3は可撓性を有する。表面シート4は、積層された
ドームスペーサ6及びドーム押え部材7を介して接点シート2上に載置されており、メタ
ルドーム3と対応した位置にキー部4aを有する。保護板5はメタルドーム3と表面シー
ト4との間に配置されている。
【0026】
接点シート2は、互いに対向する1対のシート21、22と、シート21、22の対向
面にそれぞれ設けられた上接点23及び下接点24(接点)と、上接点23と下接点24
とを離間させるための接点スペーサ25とを有する。上接点23及び下接点24は対向し
ており、接点スペーサ25は、シート21とシート22との間に挿入されている。メタル
ドーム3は、接点シート2上の上接点23と下接点24とに対応した位置に載置されてい
る。メタルドーム3の平面視の大きさはキー部4aの大きさに応じて決められている。キ
ー部4aはその表面に数字、記号、文字等が印刷されている。キー部4aは、ユーザが視
認し易いように、その周囲よりも盛り上がった形状であることが望ましい。
【0027】
保護板5は、メタルドーム3への押圧力を分散してメタルドーム3を保護するための例
えば平面視で円形状若しくは四角形状の平板であり、メタルドーム3と対応した位置に配
置されている。この平板は、SUS(Stainless Steel)板等の金属板、又はPET(Pol
yethylene Terephthalate)等を材料とした樹脂シート等により構成されており、キー部
4aの裏面に接着部材等により接着されている。また、上記平板は、キー部4aに応じた
寸法及び平面視形状であり、平面視でメタルドーム3よりも大きいことが望ましい。保護
板5は、保護板5とメタルドーム3の頂部3aとの間に、所定寸法の隙間を有する。
【0028】
保護板5は、厚くなるほど剛性が強くなるので、保護効果が高まるが、厚くなり過ぎる
と、シートスイッチ1の厚みが増してしまう。また、保護板5により押圧されたメタルド
ーム3が、その復元力により復元できない程に変形し、又は、反転してその状態のままと
なってしまう可能性がある。従って、保護板5の厚さは、メタルドーム3の荷重、外径、
ストローク量(押下げによる高さの変化量)、材料、又は厚さ等に応じて決定されている
ことが望ましい。保護板5の形状、大きさ及び材質についても同様である。
【0029】
ドームスペーサ6は、メタルドーム3の外径以上の直径を有した孔を有し、その孔にメ
タルドーム3が収容されている。ドーム押え部材7は、上記孔と対応した位置に開口を有
しており、この開口からメタルドーム3の頂部3aとその周囲部分とが突出している。ド
ーム押え部材7は、その開口の縁でもってメタルドーム3を接点シート2に弾性的に押え
付けている。なお、保護板5は、押下げられて撓んだ状態で、上記開口に入り込まない寸
法とされている。
【0030】
図2は、シートスイッチ1の一部が押下げられたときの各部の様子を示す。キー部4a
が押下げられると、保護板5がメタルドーム3を押圧し、これにより、メタルドーム3が
撓んで変形し、接点シート2を押圧し、上接点23と下接点24とを接触させて電気的に
導通させる。
【0031】
図3は、シートスイッチ1を適用した情報入力機器を示す。この情報入力機器10にお
いて、シートスイッチ1は、情報入力操作のためのテンキーとして機器前面に整列配置さ
れている。情報入力機器10は、例えば、セキュリティシステムにおけるパスワード等を
入力操作するための非接触型ICカードリーダや指紋リーダ等の機器である。シートスイ
ッチ1の適用例は上記に限定されない。
【0032】
上記のように構成されたシートスイッチ1においては、表面シート4が鍵又はペン等の
細くて硬い先端により押下げられたとしても、メタルドーム3は保護板5を介して押圧さ
れる。従って、その押圧力は保護板5により分散され、押圧力の集中によるメタルドーム
3の局所的な歪み及び金属疲労を防ぐことができる。このため、押下げ操作に対するメタ
ルドーム3の耐久性の向上を図ることができる。
【0033】
(変形例1)
図4は、上記実施形態の変形例1に係るシートスイッチを示す。このシートスイッチ1
の保護板5は、メタルドーム3へ向けて突出した球面状の凸部5aを有する。凸部5aは
、メタルドーム3の頂部3aに対応する位置に配置され、頂部3aと対向しており、凸部
5aと頂部3aとの間に所定寸法の隙間を有する。凸部5aは、保護板5と一体に形成さ
れており、同じ材料から成る。凸部5aの形状は上記に限定されない。
【0034】
本変形例においては、表面シート4が押下げられたとき、保護板5の凸部5aが確実に
メタルドーム3の頂部3aを押すので、その押圧力は押圧部位の周囲へ偏りなく分散され
る。従って、メタルドーム3の局所的な歪み及び金属疲労を確実に防ぐことができる。
【0035】
また、メタルドーム3の頂部3aの周囲部分は、押下げ操作に伴って撓んで変形するの
で、変形が繰り返されると、金属疲労が蓄積されるが、本変形例においては、その周囲部
分への押圧を確実に避けることができ、従って、メタルドーム3の耐久性が向上する。
【0036】
(変形例2)
図5は、上記とは別の変形例2に係るシートスイッチを示す。この変形例2のシートス
イッチ1の保護板5は、表面シート5と接点シート2との間に介在された板ばねにより構
成されている。
【0037】
保護板5は、その一端側に、板ばねの撓みの支点となるように固定された固定部5bを
有し、他端側に、固定部5bを支点として撓む可動部5cを有する。固定部5bは、表面
シート4とドーム押え部材7との間に挟まれて固定されている。可動部5cは、キー部4
aとメタルドーム3との間に在り、キー部4aの裏面と接着されていても、いなくてもよ
い。可動部5cは、上記凸部5aと、可動部5cをキー4aの裏面形状に沿わすように折
り曲げられた折曲部5dとを有する。折曲部5dは、固定部5bから可動部5cに向って
上方に傾斜した略階段状である。可動部5cは、表面シート4が押下げられると、固定部
5bを支点としてメタルドーム3の方向に撓む。
【0038】
また、保護板5は、板ばねが樹脂成形品である場合、成形性及び剛性を確保するため、
その厚さは、例えば略1[mm]以上が望ましい。
【0039】
本変形例2においては、表面シート4が偏って押下げられたとしても、可動部5cは板
ばねの作用により撓んで全体的に下がるので、偏って押下げられることがなくなる。その
ため、可動部5cはメタルドーム3の頂部3aを略垂直方向に押すことができ、その押圧
力を押圧部位の周囲へ均等に分散することができる。従って、メタルドーム3の耐久性が
向上する。
【0040】
また、上記図1、図4及び図5(図5の場合にはメタルドーム3又はキー部4aに対応
する部分)に示す保護板5は、図6に示すようなフラット形状な平板であるため、押した
時に撓みにくく、スイッチを押下する時の荷重(押し圧)が大きくなり、ユーザの操作感
触(クリック感)が低下する可能性がある。
【0041】
そこで、図7に示すように、シートスイッチ1の保護板5にスリット部5e,5f若し
くは5gを形成する。スリット部とは、保護板5に形成される切れ目や隙間部であり、こ
のスリット部を保護板5に形成することで保護板5の耐久性は維持しながら、スイッチの
押下時にユーザの操作力を軽減して、操作感触を良くすることができる。
【0042】
図7(a)、(c)及び(d)に示すスリット部5eは、平面視で円形状や四角形状の
保護板5の中央付近を除き四隅に略T字形状で形成されており、図7(b)及び(f)に
示すスリット部5fは、平面視で円形状や四角形状の保護板5の中央付近を除き渦巻き形
状で形成され、図7(e)に示すスリット部5gは、平面視で円形状や四角形状の保護板
5の中央付近を除き略直線状に形成される。なお、スリット部の形状や幅は本図に示す形
状や幅に限定されるものではなく任意に設定できる。但し、スリット部の形状・位置・幅
が適切でないと、メタルドーム3を適切に保護できない場合があり、また、保護板5が折
れる場合も想定される。
【0043】
図6や図7に示す保護板5は通常は化学薬品等を用いるエッチング工法にて製作する。
その他、金属製の金型を用いたプレス加工、上側にパンチ、下側に金型を設置して金属板
や樹脂板を予め作成されたプログラムで所定位置に穴を開けるNCタレットパンチプレス
加工、レーザやウォータジェット等を用いた加圧加工も可能であるが、これらの場合には
保護板5のバリ、反り、焼けの防止や細い幅加工ができない場合がある。
【0044】
(変形例3)
図8は、上記実施形態の変形例3に係るシートスイッチ1を示す。本変形例3に係るシ
ートスイッチ1においては、シートスイッチ1が製造時に保護板5を固定するため、図8
(a)及び(b)に示すように、保護板5の表面シート4側の全面に亘って粘着剤8若し
くは両面テープ等の粘着シート8を貼り付ける。この構成により、保護板5を粘着剤8を
用いて表面シート4に確実に粘着させて、製造過程において保護板5を確実に固定できる

【0045】
(変形例4)
図9は、上記実施形態の変形例4に係るシートスイッチ1を示す。なお、上記変形例3
に係るシートスイッチ1の場合、粘着剤8の領域が大きいと保護板5が全体的に固定され
て、スイッチを押した時に撓みにくくなり操作感触が悪くなることも考え得る。そして、
通常、粘着剤8を保護板5に貼り付ける領域は小さい方がスイッチを押した時に保護板5
の動きが比較的自由になる為、操作感触が良くなる。
【0046】
従って、本変形例4に係るシートスイッチ1においては、図9に示すように、保護板5
の表面シート4側の中央付近にのみ粘着剤8を貼り付ける。この場合、粘着剤8が小さく
、粘着剤8を保護板5の中央部へ貼り付ける際の位置決めが難しくなる。従って、図9(
b)や(c)に示すようなスリット部5eや位置決め穴9を保護板5に形成して、粘着剤
8の保護板5の中央部への貼り付け時において、これらスリット部5eや位置決め穴9を
基準に粘着剤8を貼り付けることで粘着剤8の保護板5への位置決めを容易化することが
可能となる。なお、保護板5がPETシート等で形成される場合、PETシートは元々柔
らかく保護板5の表面シート4側の全面に粘着剤8を貼り付けても操作感触に関しては問
題とならない。
【0047】
(変形例5)
図10は、上記実施形態の変形例5に係るシートスイッチ1を示す。本変形例5に係る
シートスイッチ1は、図10(b)や(c)に示すように、接点シート2の列状に並んで
設けられた複数の接点及びメタルドーム3に対応して設けられた可動部5cに相当する複
数の保護板5と、これらを一体的に繋ぐ枠部分5b(固定部)とを有する1枚の板ばねか
ら成る保護板シート11を用いる。この保護板シート11には表面シート4のスイッチの
形状に沿った折曲部5dが形成され、この折曲部5dは、枠部分5bと各保護板5とを繋
ぐ部分となる。
【0048】
図10(b)に示す保護板5にスリット部が形成されない保護板シート11や、図10
(c)に示す保護板5にスリット部5eを形成する保護板シート11は、例えば、エッチ
ングで形状形成後、金型を用いて折曲部5dを形成して製造する。なお、金型を用いるプ
レス加工、NCタレットパンチプレス加工、レーザやウォータジェットを用いる加圧加工
等を用いることができるが、この場合、保護板5に反り、焼け等が生じる可能性がある。
【0049】
(変形例6)
図11は、上記実施形態の変形例6に係るシートスイッチ1を示す。本変形例6に係る
シートスイッチ1では、エッチング工法にて予め製作された平面視で円形状や四角形状の
保護板5を、複数の接点及び金属部材に対応する位置に対応させて、1枚のシート上に貼
り付けた保護板シート12を用いる。シートスイッチ1は、保護板シート12とメタルド
ーム3との干渉を無くすために設けられたスペーサシート13上に保護板シート12を重
ね、この保護板シート12上に表面シート4を重ねることで容易に製作できる。
【0050】
(変形例7)
図12は、上記実施形態の変形例7に係るシートスイッチ1を示す。本変形例7に係る
シートスイッチ1は、接点シート2の列状に並んで設けられた複数の接点及びメタルドー
ム3に対応して設けられた可動部に相当する複数の保護板5と、これらを一体的に繋ぐ枠
部分5b(固定部)とを有する1枚の板ばねから成る保護板シート14を用いる。シート
スイッチ1は、保護板シート14とメタルドーム3との干渉を無くすために設けられたス
ペーサシート13上に保護板シート14を重ね、この保護板シート14上に表面シート4
を重ねることで容易に製作できる。また、本変形例7に係るシートスイッチ1には、図1
0に示すような折曲部5dは形成されていない。
【0051】
なお、本発明は、上記の実施形態及び変形例の構成に限定されるものでなく、使用目的
に応じ、様々な変形が可能である。例えば、キー部4aの平面視形状を略円状とし、保護
板5のそれも同形状としてもよい。また、ドームスペーサ6及びドーム押え部材7は、そ
れらの機能構成を表面シート4及び/又は接点シート2に持たせるようにすれば、省くこ
とができる。また、図5に示した変形例において、保護板5は、凸部5aを有していない
板ばねであっても、また、折曲部5dを持たない平板状の板ばねであっても構わない。
【符号の説明】
【0052】
1 シートスイッチ
2 接点シート
23 上接点(接点を構成)
24 下接点(接点を構成)
3 メタルドーム(金属部材)
4 表面シート
5 保護板
5a 凸部
5d 折曲部
5e,5f,5g スリット部
6 ドームスペーサ
7 ドーム押え部材
8 粘着剤(両面テープ)
9 位置決め穴
11,12,14 保護板シート
13 スペーサシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する1対のシートの夫々の対向面に接点が設けられて成る接点シートと、前
記接点シート上の前記接点に対応した位置に載置されたドーム形状をした金属部材と、前
記接点シート及び金属部材を覆う表面シートと、を備え、前記表面シートが押下げられた
とき、前記金属部材が変形して前記接点シートを押圧し、前記接点を電気的に導通させる
シートスイッチにおいて、
前記金属部材と表面シートとの間に、該金属部材への押圧力を分散して該金属部材を保
護するための保護板が設けられていることを特徴とするシートスイッチ。
【請求項2】
前記保護板にはスリット部が形成されることを特徴とする請求項1記載のシートスイッ
チ。
【請求項3】
前記スリット部は、平面視で円形状若しくは四角形状の前記保護板において、該保護板
の中央付近を除いて略T字形状で少なくとも1箇所以上形成されることを特徴とする請求
項2記載のシートスイッチ。
【請求項4】
前記スリット部は、平面視で円形状若しくは四角形状の前記保護板において、該保護板
の中央付近を除いて渦巻き形状で形成されることを特徴とする請求項2記載のシートスイ
ッチ。
【請求項5】
前記保護板の前記表面シート側には、前記表面シートと粘着する粘着剤若しくは両面テ
ープが貼付されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のシート
スイッチ。
【請求項6】
前記保護板は、前記金属部材の頂部に対応する位置に、該金属部材へ向けて突出した凸
部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のシートスイッ
チ。
【請求項7】
前記保護板は、前記表面シートと接点シートとの間に介在されたシート状の板ばねによ
り構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のシートスイ
ッチ。
【請求項8】
前記シート状の板ばねは、列状に並んで設けられた前記接点及び金属部材に対応して設
けられた複数の保護板部分と、これらを一体的に繋ぐ枠部分とを有することを特徴とする
請求項7記載のシートスイッチ。
【請求項9】
前記板ばねには、前記表面シートのスイッチの形状に沿った折曲部が形成されることを
特徴とする請求項8記載のシートスイッチ。
【請求項10】
前記接点及び金属部材は、列状に並んで複数設けられており、これら複数の接点及び金
属部材に対応する位置に設けられる複数の保護板は、1枚のシート上に貼り付けられてい
ることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のシートスイッチ。
【請求項11】
前記保護板が貼り付けられたシートの前記接点シート側の面には、前記金属部材が該シ
ートとの干渉をなくすためのスペーサが配置されることを特徴とする請求項10記載のシ
ートスイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−171267(P2011−171267A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117679(P2010−117679)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【出願人】(390001982)株式会社緑マーク (4)
【Fターム(参考)】