シート張りパネル
【課題】パネルにシート状物を張設する際、シート状物の図柄や模様に合わせて、張設位置を容易に調節することができるシート張りパネルを提供する。
【解決手段】壁面Wに固定されるベース部1とベース部1に被着されその表面にシート状物4が張設される取付部2とを備えたシート張りパネルであって、シート状物4の端部がベース部1の端部表面に形成された受け部17と受け部17に相対向して取付部2の端部裏面より突出された挟持片25との間に挟持されるように構成すれば、シート状物4の表面を見ながら張設作業ができるので、シート状物4の図柄や模様の位置合わせが容易となる。
【解決手段】壁面Wに固定されるベース部1とベース部1に被着されその表面にシート状物4が張設される取付部2とを備えたシート張りパネルであって、シート状物4の端部がベース部1の端部表面に形成された受け部17と受け部17に相対向して取付部2の端部裏面より突出された挟持片25との間に挟持されるように構成すれば、シート状物4の表面を見ながら張設作業ができるので、シート状物4の図柄や模様の位置合わせが容易となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面、天井面等に取付けられるパネルにおいて、表面にシート状物が張設されたシート張りパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁面を装飾するために、表面に図柄や模様等が描かれたシート状物を壁面に取付ける方法が提案されている。この取付方法としては、一般には、壁面に対して接着剤等を用いてシート状物を貼着させる方法が容易であるが、シート状物を皺が寄らないように貼着させるには高度な熟練を必要とする場合が多く、又、シート状物を交換する時は、シート状物は剥がすと、壁面に接着剤が残る場合があり、このため、シート状物を貼り直すには、壁面の接着剤を剥がす必要があり、手間のかかるものであった。
【0003】
そこで、接着剤等を用いずに、シート状物を壁面に取付ける方法として、例えば、方形のパネルの端縁を折り曲げ、方形のパネルの表面を覆った表装材の周辺部をこの折曲部で止めて、表装材を張設する装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この張設装置は、四辺の裏面にコ字状の折曲部を有する方形パネルに対して、その表面に表装材を重ね合わせ、表装材の周辺部を折曲部に沿わせて折曲端縁から更に裏面に折り返し、その折り返し部を止め具で弾性的かつ着脱自在に止着するようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】実開平4−11838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の如き張設装置には次のような問題点があった。すなわち、接着剤を使用しなくても、パネル表面に表装材を張設することができ、表装材の張設作業も脱離作業も容易ではあるものの、張設方法は、一般的に作業台等の上にシート状物を拡げ、その上に方形パネルを載置して、シート状物の端部を方形パネルの折り返し部に沿わせて止め具で止着するものであるため、作業時はシート状物の表面が見えず、シート状物の図柄や模様の位置合わせが難しく、特に複数枚のパネルを壁面に並べて設置する場合は、隣接するシート状物の図柄や模様を合わせにくい点が問題であった。
【0007】
本発明は、上記の如き問題点を解消し、パネルにシート状物を張設する際、シート状物の張設位置を容易に調節することができるシート張りパネルを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわちこの発明に係るシート張りパネルは、壁面に固定されるベース部と該ベース部に被着されその表面にシート状物が張設される取付部とを備えたシート張りパネルであって、シート状物の端部がベース部の端部表面に形成された受け部と該受け部に相対向して取付部の端部裏面より突出された挟持片との間に挟持されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シート状物の端部は、ベース部の端部表面に形成された受け部と該受け部に相対向して取付部の端部裏面より突出された挟持片との間に挟持されるようになされているので、作業台等にベース部及びベース部に被着された取付部を載置して、その上からシート状物を拡げて、シート状物の張設作業ができるので、シート状物の図柄や模様の位置合わせを容易に行うことができる。
【0010】
そして、シート状物の位置合わせをした後に、シート状物の端部を、ベース部の受け部と取付部の挟持片との間に挟持されれば、取付部の表面にシート状物を張設することができるので、シート状物の位置合わせと張設作業が容易となる。
【0011】
本発明に係るシート張りパネルにおいて、取付部の端部裏面より突出された挟持片は、内側挟持片と外側挟持片とからなり、外側挟持片は内側挟持片より突出高さが低くなるようになされると、へら等を用いてシート状物をこれらの挟持片に向かって案内する際に、へら等を内側挟持片に向かって差し込みやすくなる。そして、シート状物は、内側挟持片とベース部の受け部との間で強固に挟持されると共に、外側挟持片との接触箇所での摩擦抵抗により、不用意に位置ずれしにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0013】
すなわち、図1は本発明に係るシート張りパネルの実施の一形態を示す斜視図、図2は図1の主要部の断面図、図3は図1の主要部の分解斜視図、図4は図1の主要部の裏面図、図5は図1の主要部の分解図と組み立て図、図6はシート状物の張設方法の説明図、図7は、シート状物の変形の一例を示す部分断面図である。
【0014】
先ず、図1〜4に示されたシート張りパネルPは、矩形のベース部1と、ベース部1に被着された矩形の取付部2とを備え、ベース部1は、固定部3を介して壁面Wに固定されると共に、取付部2の表面は、張設されるシート状物4に覆われたものである。
【0015】
シート状物4は、取付部2の表面を覆って本形態に係るシート張りパネルPの意匠性を高めるためのものであって、その材質は特に限定されるものではないが、木綿、絹、麻等の天然繊維、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ナイロン樹脂等による合成繊維からなる織布や不織布、又は前記合成樹脂によるフィルム・シート等、展張した際に容易に破断しない強度を有するシート状のものを適宜使用することができる。
【0016】
固定部3は、図2、4、5に示すように、壁面Wにビス止めされた固定部材31を有し、この固定部材31の表面には、ベース部1を固定するために固定片32が形成されている。本形態では、矩形のベース部1に対応して、4個の固定部3を組合せた矩形に形成されているが、ベース部1を固定できるものであれば、固定部3の数は、3個以下でもよく、5個以上でもよい。
【0017】
固定部3は、一般的には金属や合成樹脂を押出成型して得られる長尺の型材を適宜長さに切断した部材からなるものであり、金属としては、アルミニウム合金、ステンレス合金や鋼材等、合成樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、AAS樹脂、ABS樹脂等、固定部3の長さや必要な強度に応じて、適宜使用できる。
【0018】
ベース部1は、図2、4、5に示すように、4個の長尺のベース部材11の両端部をそれぞれ接合して矩形に形成したものであり、ベース部1の裏面側で固定部3に固定されると共に、ベース部1の表面側で取付部2が被着されるものである。
【0019】
次に、固定部3に対するベース部1の固定方法について詳しく説明する。本形態では、図5の(a)に示すように、固定部3の固定片32は、固定部材31の表面の長手方向に並んでほぼ垂直に突出したものであり、それぞれ外側に向かって屈曲した屈曲部33を有している。そして、ベース部1の裏面には、ベース部材11の長手方向に2個の嵌合片12が並んでほぼ垂直に突出しており、それぞれ固定片32と同様に外側に向かって屈曲した屈曲部13が形成されている。これにより、それぞれの嵌合片12を固定片32の外側から内側に向かって押圧させながら、固定片32の屈曲部33に嵌合片12の屈曲部13を嵌合させることにより、ベース部1は固定部3を介して、壁面Wに強固に固定することができ、脱離させることもできる。
【0020】
尚、固定部3に対するベース部1の固定方法は本形態に限られるものではなく、ベース部1を固定部3に対して嵌合及び脱離可能に固定できるものであればよい。
【0021】
取付部2は、ベース部1と同様に、4個の長尺の取付部材21の両端部をそれぞれ接合して矩形に形成したものであり、図2、3、5に示すように、取付部2の裏面側でベース部1に被着されたものである。取付部2の表面において、外周縁部に沿って上方に向かってコーナー片24が形成され、このコーナー片の端部は内側に向かって断面円弧状に形成されている。これにより、取付部2の表面にシート状物4を張設する際、シート状物4の角部に折れ目が生じず、又、シート状物4に対して不必要に引張力が生じて破損する恐れが小さくなるので好ましい。
【0022】
次に、ベース部1に対する取付部2の被着方法について詳しく説明する。本形態では、図5の(a)に示すように、ベース部材1の表面には、ベース部材11の長手方向に2個の係止片14がほぼ垂直に突出しており、それぞれ内側に向かって突部15が形成されている。そして、取付部2の裏面には、取付部材21の長手方向に2個の係合片22がほぼ垂直に突出しており、それぞれの外側面には凹部23が形成されている。これにより、それぞれの係合片22を係止片14の内壁面を外側に押圧させながら、係止片14の間に挿入し、突部15と凹部23とを係合させることにより、取付部2は、図5の(b)に示すように、ベース部1と一定の間隔を保持して被着される。
【0023】
尚、ベース部1に対する取付部2の被着方法は、本形態に限られるものではなく、ベース部1が取付部2に対して一定の間隔をあけて被着されるものであればよい。
【0024】
ベース部1は、一般的には金属や合成樹脂を押出成型して得られる長尺の型材を適宜長さに切断した部材からなるものであり、金属としては、アルミニウム合金、ステンレス合金や鋼材等、合成樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、AAS樹脂、ABS樹脂等、固定部3の長さや必要な強度に応じて、適宜使用できる。
【0025】
又、取付部2は、一般的には金属や合成樹脂を押出成型して得られる長尺の型材を適宜長さに切断した部材からなるものであり、金属としては、アルミニウム合金、ステンレス合金や鋼材等、合成樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、AAS樹脂、ABS樹脂等、固定部3の長さや必要な強度に応じて、適宜使用できる。
【0026】
ベース部1と取付部2との間には、図2、3に示すように、板材5が配置されている。この板材5は、金属板を必要な大きさに切断して形成されるもので、ベース部1及び取付部2の剛性を高めるものであるが、金属板として、例えば、アルミニウム合金やステンレス鋼等を用いてもよく、又、無機材料や合成樹脂製の板材の両面にこれら金属板を貼り合わせて形成される複合材料等、板材5の大きさや必要な剛性に応じて適宜使用できる。尚、金属板として前記複合材料を用いる場合は、不燃性を有する材料が好ましい。
【0027】
板材5の固定方法は、特に限定されるものではないが、本形態では、板材5を、ベース部1と取付部2との間で挟持すると共に、タッカー7を取付部2の表面から板材5及びベース部1を貫通させて、板材5を固定するものであり、比較的作業が容易であると共に、ベース部1及び取付部2に対して板材5を強固に固定することができるので好ましい。
【0028】
ベース部1の裏面には、図2に示すように、断面略L字状のタッカー受け16が設けられている。これにより、作業者がシート張りパネルを取り扱う際、タッカー7の芯の先端に触れて怪我するよなことが起こりにくくなり好ましい。尚、本形態では、板材5は、ベース部1と取付部2との間に配置されているが、取付部2の表面側に配置されていてもよい。
【0029】
取付部2の表面とシート状物4との間には、図2、3に示すように、吸音材6が配置されている。吸音材6としては、ロックウール、グラスウール、フェルト、樹脂又はコンクリートの発泡体、バインダーを介して金属繊維を結合させたもの、金属粉末や粒子、セラミック粉末や粒子或いは金属短繊維等を焼結した焼結材からなるもの、発泡したモルトプレーン、発泡セラミックス、多孔質セラミックス、ポリエステル系繊維の集合体等、必要に応じて、適宜使用できる。尚、吸音材6はそのまま用いてもよく、袋体に入れシート状に成型されたものを用いてもよいが、吸音材6を用いない形態でもよい。
【0030】
次に、シート状物4の挟持方法について説明する。ベース部1の表面の外周端部には受け部17が形成されると共に、取付部2の裏面には、受け部17に相対向して挟持片25が突出され、シート状物4は、受け部17と挟持片25の間に挟持されるものである。
【0031】
取付部2の挟持片25は、図6に示すように、内側挟持片26と外側挟持片27とからなる。内側挟持片26の先端は、ベース部1の受け部17にほぼ接した状態である。これにより、図6の(b)に示すように、シート状物4は、内側挟持片26と受け部17との間に確実に挟持される。又、内側挟持片26は内側に向かって傾斜している。これにより、挟持されたシート状物4が外方に引き出される際、それを阻止するように力が作用するので、シート状物4の挟持が弛みにくくなり好ましい。
【0032】
又、外側挟持片27は内側挟持片26より突出高さが低くなされている。これにより、図6の(a)のように、外側挟持片27から下方に向かってシート状物4を配置し、へら等を用いてシート状物4を内側挟持片26及び外側挟持片27と、受け部17との間に案内する際、へら等を比較的奥まで差し込みやすくなるので、シート状物4を内側に案内しやすくなり好ましい。又、一般的に、シート状物4が厚くなるほど、張設する際に必要となる挟持力も大きくなるので、図6の(b)に示すように、比較的薄いシート状物4は、内側挟持片26と受け部17との間で挟持すればよく、図7に示すように、比較的厚いシート状物4は、内側挟持片26及び外側挟持片27と受け部17との間で挟持することにより、より強固に挟持することができる。尚、外側挟持片27の突出高さは、シート状物4の厚さや、シート状物4を挟持する際の必要な挟持力に応じて適宜設定することができる。
【0033】
そして、外側挟持片27の先端は二股に分かれている。これにより、シート状物4が挟持された際、シート状物4と外側挟持片27との先端で働く摩擦力が大きくなり、シート状物4は、不用意に位置ずれしにくくなる。尚、ベース部1の受け部17の表面は、本形態では、平滑に形成されており、へら等でシート状物4を内側に案内しやすいので好ましいが、受け部17にベース部材11の長手方向に突条を形成させて、シート状物4の間で生じる摩擦力を大きくし、シート状物4をより強固に挟持できるようになされてもよい。
【0034】
取付部2の表面において、外周縁部に沿って上方に向かってコーナー片24が形成され、このコーナー片の端部は内側に向かって断面円弧状に形成されている。これにより、取付部2の表面にシート状物4を張設する際、シート状物4の角部に折れ目が生じず、又、シート状物4に対して不必要に引張力が生じて破損する恐れが小さくなるので好ましい。
【0035】
取付部2の内側挟持片26と外側挟持片27として、弾性材を用いると、シート状物4を挟持する作業が容易となると共に、シート状物4を不必要に強い力で挟持することがなく、破れ等が起こりにくくなるので好ましい。弾性材としては、天然ゴムやブタジエンスチレンゴム、ネオプレン、ブタジエンアクリロニトリルゴム、クロロプレン重合体、ブチルゴム、エチレンプロピレンターポリマー、ウレタン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコン樹脂、軟質及び硬質塩化ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン系やポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系等のエラストマーなどの各種合成ゴムや合成樹脂等からなる弾性材等、必要な強度とシート状物4を挟持するために必要な挟持力が生じるものを適宜使用することができる。
【0036】
シート状物4を張設する際は、先ず、ベース部1と、ベース部1に被着された取付部2を作業台に載置して、その上にシート状物4を拡げて、シート状物4の端部を前記のようにして挟持すればよく、シート状物4の模様や図柄の位置を調整しながら、張設することができるので好ましい。特に、壁面Wに対して、本形態に係るシート張りパネルPを縦方向或いは横方法に隣接させて固定する場合、隣接するシート状物4の模様や図柄の位置調整も容易になり、隣接するシート状物4の模様や図柄を連続させることができるので好ましい。
【0037】
そして、ベース部1は、固定部3に対して、嵌合及び脱離可能となされているので、壁面Wに固定されたシート張りパネルPにおいて、シート状物4の一部に傷や汚れが生じた場合も、その部分のシート張りパネルPだけを取り外し、シート状物4を張り替えればよく、その際のシート状物4の模様や図柄の位置合わせも容易になされるので好ましい。
【0038】
次に図8に示された形態について詳しく説明する。
図5に示されたベース部1及び固定部3においては、ベース部1のベース部材11から突出した2個の嵌合片12と、固定部3の固定部材31から突出した2個の固定片32とを互いに嵌合させ、ベース部1を固定部3に固定するものである。これに対し、図8に示された形態においては、ベース部材11において固定部3側へ出入口が形成された凹溝18に、固定部材31からベース部材11に向けて突出した係合突条34を挿入する点において相違するのみで、その他の点については、図5に示された形態と同様である。
【0039】
すなわち、この形態に係るベース部1及び固定部3において、ベース部材11の凹溝18の側壁面には、長手方向に沿って断面山型の凹凸条19が設けられ、又固定部材31の係合突条34の両側面には、前記凹溝と同様な形態の凹凸条35が設けられている。そして、係合突条34を凹溝18に挿入すると、凹凸条19、35が互いに噛合い、係合突条34が凹溝18に係止され、固定部3にベース部1が固定される。これにより、図5に示された形態に比べると、ベース部材11と固定部材31との間に形成される隙間を狭くすることができ、省スペース化を図ることができる。又、凹凸条19、35の凹凸を複数個設けることにより、凹凸条19、35が噛合う位置の調整が可能となり、固定部材31とベース部材31との隙間の間隔を適宜設定することができる。
【0040】
次に図9に示された形態について詳しく説明する。
図5に示された形態においては、ベース部1のベース部材11から突出した2個の係止片14を、取付部2の取付部材21から突出した係合片22に挿入して、取付部2がベース部1に被着されるものである。これに対し、図9に示された形態においては、ベース部1と取付部2とは折曲可能な接続片8を介して一体的に形成され、取付部2をベース部1に向けて折り畳むことにより、ベース部1及び取付部2の係合部81、82が互いに係合され、もって、取付部2がベース部1に被着されるものである。
【0041】
すなわち、この形態においては、図10に示すように、ベース部1及び取付部2は、その一側端において、シート状物4が挟持されると共に、その他側端において、折曲可能な接続片8を介して接続され、一体的に形成されたものである。又、ベース部1のベース部材11は取付部2に向けて突出した係合部81を有し、取付部2の取付部材21にはベース部1に向けて突出した係合部82を有し、係合部81、82には、その先端に鉤部83、84が形成されている。そして、(a)に示すように接続片8を軸として取付部2をベース部1に向けて折り畳むことにより、(b)に示すように鉤部83、84とが互いに係合され、取付部2がベース部1に被着される。この際、取付部2をベース部1に向けて折り畳むことは相対的な動きを表したものであり、ベース部1を取付部2に向けて折り畳むようになされてもよい。尚、係合部81、82は、図5に示された形態を用いてもよく、図8に示されたベース部1を固定部3に固定する形態を用いてもよく、要はシート状物4を挟持した際に、その挟持状態が緩み、シート状物4に弛み等の不具合が生じなければよい。
【0042】
又、図5に示された形態においては、ベース部1のベース部材11から固定部3に向けて突出した2個の嵌合片12と、固定部3の固定部材31からベース部1に向けて突出した2個の固定片32とが互いに嵌合するようになされている。これに対し、図9に示された形態においては、ベース部材11に形成された係合突起85を、固定部材3に形成された係止溝86に挿入し係止される形態と、固定部材31とベース部材11とがそれぞれ設けられた面ファスナー87、88を介して結合される形態とを組合わせることにより、ベース部1が固定部3に固定されるものである。
【0043】
係合突起85には、先端部が断面菱形状の膨出部が設けられ、係止溝86には、側壁面の端部から相対向する側壁面に向けて斜め下向きに延出部が形成され、互いに離間距離が短くなるようになされると共に、その端部においては、互いに離間距離が長くなるように折曲された断面略く字状に形成され、係合突起85の膨出部は、係止溝86の延出部の間に挿入され係止されるようになされている。
【0044】
つまり、図9の形態においては、まず、ベース部1に形成された係合突起85を、固定部3に形成された係止溝86に挿入し、続いて面ファスナー87、88どうしを貼着させることにより、面ファスナー87、88において、固定部3の施工誤差や加工誤差を吸収することができるので、固定部3に対しベース部1をより容易に固定することができる。その他の点については、図5に示された形態と同様である。
【0045】
接続片8は、一般には、挟持片25と同様な弾性材からなるものであり、ベース部材1や取付部材2に対して接着剤等で接着されてもよいが、ベース部材1や取付部材2が熱可塑性樹脂である場合は、これらと相溶性のある樹脂を用いることにより、ベース部材1、及び取付部材2と一体的に押出成型することが可能で前記の接着作業が不要となり、より好ましい。この際、更に挟持片25を一体的に押出成型してもよい。
【0046】
図11に示された形態は、本形態に係るシート張りパネルPの変形を示すものであり、シート張りパネルPの側端部にカバー材9が取付けられたものである。カバー材7は、略平板状に形成され、取付部2、ベース部1、及び固定部3の側端部を覆うと共に、ベース部2側に向けて相対向する2個の鉤部91、92が突設され、ベース部2及び固定部3の間に挿入され固定されている。これにより、シート張りパネルPを壁面Wに複数個連設する場合に、シート張りパネルPが隣接していない端部にカバー材9を取付ることにより、側方から見た場合にシート張りパネルPを覆い意匠性を高めることができる。又、カバー片9の下部は、その端部は外側に向けて断面円弧状に折曲されている。これにより、前記端部が平坦に形成される場合に比べ、設置後に埃が堆積した場合に、埃を取り除きやすくなる。更に、カバー材9の上部は、取付部2のコーナー片24に沿って、内側に向けて断面円弧状に折曲されている。これにより、シート部材4とカバー片9との間に隙間が生じても、この隙間を覆っても立ちにくくなり、シート張りパネルPを正面から見た場合の意匠性を高めることができる。
【0047】
尚、カバー材9の係止方法は、カバー材9の端部に外側に向けて突出した鉤状に形成し、ベース部2及び固定部3との間に挿入してそれぞれを押圧することによりなされてもよく、ベース部2のベース部材21の裏面及び固定部3の固定部材31の表面に、それぞれ内側に向けて爪部が突設させ、鉤部91、92を押圧することによりなされてもよく、これらを組合わせたものでもよく、要するにカバー片が外れにくいようになされていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、壁面に化粧パネルを固定する際、化粧パネルの着脱が容易で、かつ強固に固定されるため、例えば既設建築物の屋内壁面の表面装飾や、壁面の模様替えに好適に利用でき、又掛留溝を形成した目地部材を使用すれば、化粧パネル上に棚板等を固定することができるので、店舗の壁面等においても好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本発明に係るシート張りパネルの実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】図1の主要部の断面図である。
【図3】図1の主要部の分解斜視図である。
【図4】図1の主要部の裏面図である。
【図5】図2の主要部の分解図と組み図である。
【図6】図2のシート状物の張設方法の説明図である。
【図7】シート状物の変形の一例を示す部分断面図である。
【図8】図2の主要部の変形の一例を示す部分断面図である。
【図9】本発明に係るシート張りパネルの実施の他の形態を示す断面図である。
【図10】図9の主要部の部分断面図である。
【図11】図9の主要部の変形の一例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ベース部
11 ベース部材
12 嵌合片
13 屈曲部
14 係止片
15 突部
17 受け部
18 凹溝
19 凹凸条
2 取付部
21 取付部材
22 係合片
23 凹部
24 コーナー片
25 挟持片
26 内側挟持片
27 外側挟持片
3 固定部
31 固定部材
32 固定片
33 屈曲部
34 係合突条
35 凹凸条
4 シート状物
5 板材
6 吸音板
8 接続片
81、82 係合部
9 カバー材
91、92 鉤部
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面、天井面等に取付けられるパネルにおいて、表面にシート状物が張設されたシート張りパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁面を装飾するために、表面に図柄や模様等が描かれたシート状物を壁面に取付ける方法が提案されている。この取付方法としては、一般には、壁面に対して接着剤等を用いてシート状物を貼着させる方法が容易であるが、シート状物を皺が寄らないように貼着させるには高度な熟練を必要とする場合が多く、又、シート状物を交換する時は、シート状物は剥がすと、壁面に接着剤が残る場合があり、このため、シート状物を貼り直すには、壁面の接着剤を剥がす必要があり、手間のかかるものであった。
【0003】
そこで、接着剤等を用いずに、シート状物を壁面に取付ける方法として、例えば、方形のパネルの端縁を折り曲げ、方形のパネルの表面を覆った表装材の周辺部をこの折曲部で止めて、表装材を張設する装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この張設装置は、四辺の裏面にコ字状の折曲部を有する方形パネルに対して、その表面に表装材を重ね合わせ、表装材の周辺部を折曲部に沿わせて折曲端縁から更に裏面に折り返し、その折り返し部を止め具で弾性的かつ着脱自在に止着するようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】実開平4−11838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の如き張設装置には次のような問題点があった。すなわち、接着剤を使用しなくても、パネル表面に表装材を張設することができ、表装材の張設作業も脱離作業も容易ではあるものの、張設方法は、一般的に作業台等の上にシート状物を拡げ、その上に方形パネルを載置して、シート状物の端部を方形パネルの折り返し部に沿わせて止め具で止着するものであるため、作業時はシート状物の表面が見えず、シート状物の図柄や模様の位置合わせが難しく、特に複数枚のパネルを壁面に並べて設置する場合は、隣接するシート状物の図柄や模様を合わせにくい点が問題であった。
【0007】
本発明は、上記の如き問題点を解消し、パネルにシート状物を張設する際、シート状物の張設位置を容易に調節することができるシート張りパネルを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわちこの発明に係るシート張りパネルは、壁面に固定されるベース部と該ベース部に被着されその表面にシート状物が張設される取付部とを備えたシート張りパネルであって、シート状物の端部がベース部の端部表面に形成された受け部と該受け部に相対向して取付部の端部裏面より突出された挟持片との間に挟持されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シート状物の端部は、ベース部の端部表面に形成された受け部と該受け部に相対向して取付部の端部裏面より突出された挟持片との間に挟持されるようになされているので、作業台等にベース部及びベース部に被着された取付部を載置して、その上からシート状物を拡げて、シート状物の張設作業ができるので、シート状物の図柄や模様の位置合わせを容易に行うことができる。
【0010】
そして、シート状物の位置合わせをした後に、シート状物の端部を、ベース部の受け部と取付部の挟持片との間に挟持されれば、取付部の表面にシート状物を張設することができるので、シート状物の位置合わせと張設作業が容易となる。
【0011】
本発明に係るシート張りパネルにおいて、取付部の端部裏面より突出された挟持片は、内側挟持片と外側挟持片とからなり、外側挟持片は内側挟持片より突出高さが低くなるようになされると、へら等を用いてシート状物をこれらの挟持片に向かって案内する際に、へら等を内側挟持片に向かって差し込みやすくなる。そして、シート状物は、内側挟持片とベース部の受け部との間で強固に挟持されると共に、外側挟持片との接触箇所での摩擦抵抗により、不用意に位置ずれしにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0013】
すなわち、図1は本発明に係るシート張りパネルの実施の一形態を示す斜視図、図2は図1の主要部の断面図、図3は図1の主要部の分解斜視図、図4は図1の主要部の裏面図、図5は図1の主要部の分解図と組み立て図、図6はシート状物の張設方法の説明図、図7は、シート状物の変形の一例を示す部分断面図である。
【0014】
先ず、図1〜4に示されたシート張りパネルPは、矩形のベース部1と、ベース部1に被着された矩形の取付部2とを備え、ベース部1は、固定部3を介して壁面Wに固定されると共に、取付部2の表面は、張設されるシート状物4に覆われたものである。
【0015】
シート状物4は、取付部2の表面を覆って本形態に係るシート張りパネルPの意匠性を高めるためのものであって、その材質は特に限定されるものではないが、木綿、絹、麻等の天然繊維、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ナイロン樹脂等による合成繊維からなる織布や不織布、又は前記合成樹脂によるフィルム・シート等、展張した際に容易に破断しない強度を有するシート状のものを適宜使用することができる。
【0016】
固定部3は、図2、4、5に示すように、壁面Wにビス止めされた固定部材31を有し、この固定部材31の表面には、ベース部1を固定するために固定片32が形成されている。本形態では、矩形のベース部1に対応して、4個の固定部3を組合せた矩形に形成されているが、ベース部1を固定できるものであれば、固定部3の数は、3個以下でもよく、5個以上でもよい。
【0017】
固定部3は、一般的には金属や合成樹脂を押出成型して得られる長尺の型材を適宜長さに切断した部材からなるものであり、金属としては、アルミニウム合金、ステンレス合金や鋼材等、合成樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、AAS樹脂、ABS樹脂等、固定部3の長さや必要な強度に応じて、適宜使用できる。
【0018】
ベース部1は、図2、4、5に示すように、4個の長尺のベース部材11の両端部をそれぞれ接合して矩形に形成したものであり、ベース部1の裏面側で固定部3に固定されると共に、ベース部1の表面側で取付部2が被着されるものである。
【0019】
次に、固定部3に対するベース部1の固定方法について詳しく説明する。本形態では、図5の(a)に示すように、固定部3の固定片32は、固定部材31の表面の長手方向に並んでほぼ垂直に突出したものであり、それぞれ外側に向かって屈曲した屈曲部33を有している。そして、ベース部1の裏面には、ベース部材11の長手方向に2個の嵌合片12が並んでほぼ垂直に突出しており、それぞれ固定片32と同様に外側に向かって屈曲した屈曲部13が形成されている。これにより、それぞれの嵌合片12を固定片32の外側から内側に向かって押圧させながら、固定片32の屈曲部33に嵌合片12の屈曲部13を嵌合させることにより、ベース部1は固定部3を介して、壁面Wに強固に固定することができ、脱離させることもできる。
【0020】
尚、固定部3に対するベース部1の固定方法は本形態に限られるものではなく、ベース部1を固定部3に対して嵌合及び脱離可能に固定できるものであればよい。
【0021】
取付部2は、ベース部1と同様に、4個の長尺の取付部材21の両端部をそれぞれ接合して矩形に形成したものであり、図2、3、5に示すように、取付部2の裏面側でベース部1に被着されたものである。取付部2の表面において、外周縁部に沿って上方に向かってコーナー片24が形成され、このコーナー片の端部は内側に向かって断面円弧状に形成されている。これにより、取付部2の表面にシート状物4を張設する際、シート状物4の角部に折れ目が生じず、又、シート状物4に対して不必要に引張力が生じて破損する恐れが小さくなるので好ましい。
【0022】
次に、ベース部1に対する取付部2の被着方法について詳しく説明する。本形態では、図5の(a)に示すように、ベース部材1の表面には、ベース部材11の長手方向に2個の係止片14がほぼ垂直に突出しており、それぞれ内側に向かって突部15が形成されている。そして、取付部2の裏面には、取付部材21の長手方向に2個の係合片22がほぼ垂直に突出しており、それぞれの外側面には凹部23が形成されている。これにより、それぞれの係合片22を係止片14の内壁面を外側に押圧させながら、係止片14の間に挿入し、突部15と凹部23とを係合させることにより、取付部2は、図5の(b)に示すように、ベース部1と一定の間隔を保持して被着される。
【0023】
尚、ベース部1に対する取付部2の被着方法は、本形態に限られるものではなく、ベース部1が取付部2に対して一定の間隔をあけて被着されるものであればよい。
【0024】
ベース部1は、一般的には金属や合成樹脂を押出成型して得られる長尺の型材を適宜長さに切断した部材からなるものであり、金属としては、アルミニウム合金、ステンレス合金や鋼材等、合成樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、AAS樹脂、ABS樹脂等、固定部3の長さや必要な強度に応じて、適宜使用できる。
【0025】
又、取付部2は、一般的には金属や合成樹脂を押出成型して得られる長尺の型材を適宜長さに切断した部材からなるものであり、金属としては、アルミニウム合金、ステンレス合金や鋼材等、合成樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、AAS樹脂、ABS樹脂等、固定部3の長さや必要な強度に応じて、適宜使用できる。
【0026】
ベース部1と取付部2との間には、図2、3に示すように、板材5が配置されている。この板材5は、金属板を必要な大きさに切断して形成されるもので、ベース部1及び取付部2の剛性を高めるものであるが、金属板として、例えば、アルミニウム合金やステンレス鋼等を用いてもよく、又、無機材料や合成樹脂製の板材の両面にこれら金属板を貼り合わせて形成される複合材料等、板材5の大きさや必要な剛性に応じて適宜使用できる。尚、金属板として前記複合材料を用いる場合は、不燃性を有する材料が好ましい。
【0027】
板材5の固定方法は、特に限定されるものではないが、本形態では、板材5を、ベース部1と取付部2との間で挟持すると共に、タッカー7を取付部2の表面から板材5及びベース部1を貫通させて、板材5を固定するものであり、比較的作業が容易であると共に、ベース部1及び取付部2に対して板材5を強固に固定することができるので好ましい。
【0028】
ベース部1の裏面には、図2に示すように、断面略L字状のタッカー受け16が設けられている。これにより、作業者がシート張りパネルを取り扱う際、タッカー7の芯の先端に触れて怪我するよなことが起こりにくくなり好ましい。尚、本形態では、板材5は、ベース部1と取付部2との間に配置されているが、取付部2の表面側に配置されていてもよい。
【0029】
取付部2の表面とシート状物4との間には、図2、3に示すように、吸音材6が配置されている。吸音材6としては、ロックウール、グラスウール、フェルト、樹脂又はコンクリートの発泡体、バインダーを介して金属繊維を結合させたもの、金属粉末や粒子、セラミック粉末や粒子或いは金属短繊維等を焼結した焼結材からなるもの、発泡したモルトプレーン、発泡セラミックス、多孔質セラミックス、ポリエステル系繊維の集合体等、必要に応じて、適宜使用できる。尚、吸音材6はそのまま用いてもよく、袋体に入れシート状に成型されたものを用いてもよいが、吸音材6を用いない形態でもよい。
【0030】
次に、シート状物4の挟持方法について説明する。ベース部1の表面の外周端部には受け部17が形成されると共に、取付部2の裏面には、受け部17に相対向して挟持片25が突出され、シート状物4は、受け部17と挟持片25の間に挟持されるものである。
【0031】
取付部2の挟持片25は、図6に示すように、内側挟持片26と外側挟持片27とからなる。内側挟持片26の先端は、ベース部1の受け部17にほぼ接した状態である。これにより、図6の(b)に示すように、シート状物4は、内側挟持片26と受け部17との間に確実に挟持される。又、内側挟持片26は内側に向かって傾斜している。これにより、挟持されたシート状物4が外方に引き出される際、それを阻止するように力が作用するので、シート状物4の挟持が弛みにくくなり好ましい。
【0032】
又、外側挟持片27は内側挟持片26より突出高さが低くなされている。これにより、図6の(a)のように、外側挟持片27から下方に向かってシート状物4を配置し、へら等を用いてシート状物4を内側挟持片26及び外側挟持片27と、受け部17との間に案内する際、へら等を比較的奥まで差し込みやすくなるので、シート状物4を内側に案内しやすくなり好ましい。又、一般的に、シート状物4が厚くなるほど、張設する際に必要となる挟持力も大きくなるので、図6の(b)に示すように、比較的薄いシート状物4は、内側挟持片26と受け部17との間で挟持すればよく、図7に示すように、比較的厚いシート状物4は、内側挟持片26及び外側挟持片27と受け部17との間で挟持することにより、より強固に挟持することができる。尚、外側挟持片27の突出高さは、シート状物4の厚さや、シート状物4を挟持する際の必要な挟持力に応じて適宜設定することができる。
【0033】
そして、外側挟持片27の先端は二股に分かれている。これにより、シート状物4が挟持された際、シート状物4と外側挟持片27との先端で働く摩擦力が大きくなり、シート状物4は、不用意に位置ずれしにくくなる。尚、ベース部1の受け部17の表面は、本形態では、平滑に形成されており、へら等でシート状物4を内側に案内しやすいので好ましいが、受け部17にベース部材11の長手方向に突条を形成させて、シート状物4の間で生じる摩擦力を大きくし、シート状物4をより強固に挟持できるようになされてもよい。
【0034】
取付部2の表面において、外周縁部に沿って上方に向かってコーナー片24が形成され、このコーナー片の端部は内側に向かって断面円弧状に形成されている。これにより、取付部2の表面にシート状物4を張設する際、シート状物4の角部に折れ目が生じず、又、シート状物4に対して不必要に引張力が生じて破損する恐れが小さくなるので好ましい。
【0035】
取付部2の内側挟持片26と外側挟持片27として、弾性材を用いると、シート状物4を挟持する作業が容易となると共に、シート状物4を不必要に強い力で挟持することがなく、破れ等が起こりにくくなるので好ましい。弾性材としては、天然ゴムやブタジエンスチレンゴム、ネオプレン、ブタジエンアクリロニトリルゴム、クロロプレン重合体、ブチルゴム、エチレンプロピレンターポリマー、ウレタン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコン樹脂、軟質及び硬質塩化ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン系やポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系等のエラストマーなどの各種合成ゴムや合成樹脂等からなる弾性材等、必要な強度とシート状物4を挟持するために必要な挟持力が生じるものを適宜使用することができる。
【0036】
シート状物4を張設する際は、先ず、ベース部1と、ベース部1に被着された取付部2を作業台に載置して、その上にシート状物4を拡げて、シート状物4の端部を前記のようにして挟持すればよく、シート状物4の模様や図柄の位置を調整しながら、張設することができるので好ましい。特に、壁面Wに対して、本形態に係るシート張りパネルPを縦方向或いは横方法に隣接させて固定する場合、隣接するシート状物4の模様や図柄の位置調整も容易になり、隣接するシート状物4の模様や図柄を連続させることができるので好ましい。
【0037】
そして、ベース部1は、固定部3に対して、嵌合及び脱離可能となされているので、壁面Wに固定されたシート張りパネルPにおいて、シート状物4の一部に傷や汚れが生じた場合も、その部分のシート張りパネルPだけを取り外し、シート状物4を張り替えればよく、その際のシート状物4の模様や図柄の位置合わせも容易になされるので好ましい。
【0038】
次に図8に示された形態について詳しく説明する。
図5に示されたベース部1及び固定部3においては、ベース部1のベース部材11から突出した2個の嵌合片12と、固定部3の固定部材31から突出した2個の固定片32とを互いに嵌合させ、ベース部1を固定部3に固定するものである。これに対し、図8に示された形態においては、ベース部材11において固定部3側へ出入口が形成された凹溝18に、固定部材31からベース部材11に向けて突出した係合突条34を挿入する点において相違するのみで、その他の点については、図5に示された形態と同様である。
【0039】
すなわち、この形態に係るベース部1及び固定部3において、ベース部材11の凹溝18の側壁面には、長手方向に沿って断面山型の凹凸条19が設けられ、又固定部材31の係合突条34の両側面には、前記凹溝と同様な形態の凹凸条35が設けられている。そして、係合突条34を凹溝18に挿入すると、凹凸条19、35が互いに噛合い、係合突条34が凹溝18に係止され、固定部3にベース部1が固定される。これにより、図5に示された形態に比べると、ベース部材11と固定部材31との間に形成される隙間を狭くすることができ、省スペース化を図ることができる。又、凹凸条19、35の凹凸を複数個設けることにより、凹凸条19、35が噛合う位置の調整が可能となり、固定部材31とベース部材31との隙間の間隔を適宜設定することができる。
【0040】
次に図9に示された形態について詳しく説明する。
図5に示された形態においては、ベース部1のベース部材11から突出した2個の係止片14を、取付部2の取付部材21から突出した係合片22に挿入して、取付部2がベース部1に被着されるものである。これに対し、図9に示された形態においては、ベース部1と取付部2とは折曲可能な接続片8を介して一体的に形成され、取付部2をベース部1に向けて折り畳むことにより、ベース部1及び取付部2の係合部81、82が互いに係合され、もって、取付部2がベース部1に被着されるものである。
【0041】
すなわち、この形態においては、図10に示すように、ベース部1及び取付部2は、その一側端において、シート状物4が挟持されると共に、その他側端において、折曲可能な接続片8を介して接続され、一体的に形成されたものである。又、ベース部1のベース部材11は取付部2に向けて突出した係合部81を有し、取付部2の取付部材21にはベース部1に向けて突出した係合部82を有し、係合部81、82には、その先端に鉤部83、84が形成されている。そして、(a)に示すように接続片8を軸として取付部2をベース部1に向けて折り畳むことにより、(b)に示すように鉤部83、84とが互いに係合され、取付部2がベース部1に被着される。この際、取付部2をベース部1に向けて折り畳むことは相対的な動きを表したものであり、ベース部1を取付部2に向けて折り畳むようになされてもよい。尚、係合部81、82は、図5に示された形態を用いてもよく、図8に示されたベース部1を固定部3に固定する形態を用いてもよく、要はシート状物4を挟持した際に、その挟持状態が緩み、シート状物4に弛み等の不具合が生じなければよい。
【0042】
又、図5に示された形態においては、ベース部1のベース部材11から固定部3に向けて突出した2個の嵌合片12と、固定部3の固定部材31からベース部1に向けて突出した2個の固定片32とが互いに嵌合するようになされている。これに対し、図9に示された形態においては、ベース部材11に形成された係合突起85を、固定部材3に形成された係止溝86に挿入し係止される形態と、固定部材31とベース部材11とがそれぞれ設けられた面ファスナー87、88を介して結合される形態とを組合わせることにより、ベース部1が固定部3に固定されるものである。
【0043】
係合突起85には、先端部が断面菱形状の膨出部が設けられ、係止溝86には、側壁面の端部から相対向する側壁面に向けて斜め下向きに延出部が形成され、互いに離間距離が短くなるようになされると共に、その端部においては、互いに離間距離が長くなるように折曲された断面略く字状に形成され、係合突起85の膨出部は、係止溝86の延出部の間に挿入され係止されるようになされている。
【0044】
つまり、図9の形態においては、まず、ベース部1に形成された係合突起85を、固定部3に形成された係止溝86に挿入し、続いて面ファスナー87、88どうしを貼着させることにより、面ファスナー87、88において、固定部3の施工誤差や加工誤差を吸収することができるので、固定部3に対しベース部1をより容易に固定することができる。その他の点については、図5に示された形態と同様である。
【0045】
接続片8は、一般には、挟持片25と同様な弾性材からなるものであり、ベース部材1や取付部材2に対して接着剤等で接着されてもよいが、ベース部材1や取付部材2が熱可塑性樹脂である場合は、これらと相溶性のある樹脂を用いることにより、ベース部材1、及び取付部材2と一体的に押出成型することが可能で前記の接着作業が不要となり、より好ましい。この際、更に挟持片25を一体的に押出成型してもよい。
【0046】
図11に示された形態は、本形態に係るシート張りパネルPの変形を示すものであり、シート張りパネルPの側端部にカバー材9が取付けられたものである。カバー材7は、略平板状に形成され、取付部2、ベース部1、及び固定部3の側端部を覆うと共に、ベース部2側に向けて相対向する2個の鉤部91、92が突設され、ベース部2及び固定部3の間に挿入され固定されている。これにより、シート張りパネルPを壁面Wに複数個連設する場合に、シート張りパネルPが隣接していない端部にカバー材9を取付ることにより、側方から見た場合にシート張りパネルPを覆い意匠性を高めることができる。又、カバー片9の下部は、その端部は外側に向けて断面円弧状に折曲されている。これにより、前記端部が平坦に形成される場合に比べ、設置後に埃が堆積した場合に、埃を取り除きやすくなる。更に、カバー材9の上部は、取付部2のコーナー片24に沿って、内側に向けて断面円弧状に折曲されている。これにより、シート部材4とカバー片9との間に隙間が生じても、この隙間を覆っても立ちにくくなり、シート張りパネルPを正面から見た場合の意匠性を高めることができる。
【0047】
尚、カバー材9の係止方法は、カバー材9の端部に外側に向けて突出した鉤状に形成し、ベース部2及び固定部3との間に挿入してそれぞれを押圧することによりなされてもよく、ベース部2のベース部材21の裏面及び固定部3の固定部材31の表面に、それぞれ内側に向けて爪部が突設させ、鉤部91、92を押圧することによりなされてもよく、これらを組合わせたものでもよく、要するにカバー片が外れにくいようになされていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、壁面に化粧パネルを固定する際、化粧パネルの着脱が容易で、かつ強固に固定されるため、例えば既設建築物の屋内壁面の表面装飾や、壁面の模様替えに好適に利用でき、又掛留溝を形成した目地部材を使用すれば、化粧パネル上に棚板等を固定することができるので、店舗の壁面等においても好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本発明に係るシート張りパネルの実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】図1の主要部の断面図である。
【図3】図1の主要部の分解斜視図である。
【図4】図1の主要部の裏面図である。
【図5】図2の主要部の分解図と組み図である。
【図6】図2のシート状物の張設方法の説明図である。
【図7】シート状物の変形の一例を示す部分断面図である。
【図8】図2の主要部の変形の一例を示す部分断面図である。
【図9】本発明に係るシート張りパネルの実施の他の形態を示す断面図である。
【図10】図9の主要部の部分断面図である。
【図11】図9の主要部の変形の一例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ベース部
11 ベース部材
12 嵌合片
13 屈曲部
14 係止片
15 突部
17 受け部
18 凹溝
19 凹凸条
2 取付部
21 取付部材
22 係合片
23 凹部
24 コーナー片
25 挟持片
26 内側挟持片
27 外側挟持片
3 固定部
31 固定部材
32 固定片
33 屈曲部
34 係合突条
35 凹凸条
4 シート状物
5 板材
6 吸音板
8 接続片
81、82 係合部
9 カバー材
91、92 鉤部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に固定されるベース部と該ベース部に被着されその表面にシート状物が張設される取付部とを備えたシート張りパネルであって、シート状物の端部がベース部の端部表面に形成された受け部と該受け部に相対向して取付部の端部裏面より突出された挟持片との間に挟持されたことを特徴とするシート張りパネル。
【請求項2】
取付部の端部裏面より突出された挟持片は、内側挟持片と外側挟持片とからなり、外側挟持片は内側挟持片より突出高さが低くなされたことを特徴とする請求項1に記載のシート張りパネル。
【請求項3】
前記ベース部と取付部とは折曲可能な接続片を介して一体的に形成されると共に、ベース部及び取付部はそれぞれ係合部を有し、取付部をベース部に向けて折り畳むことにより、前記係合部が互いに係合され、取付部がベース部に被着されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート張りパネル。
【請求項1】
壁面に固定されるベース部と該ベース部に被着されその表面にシート状物が張設される取付部とを備えたシート張りパネルであって、シート状物の端部がベース部の端部表面に形成された受け部と該受け部に相対向して取付部の端部裏面より突出された挟持片との間に挟持されたことを特徴とするシート張りパネル。
【請求項2】
取付部の端部裏面より突出された挟持片は、内側挟持片と外側挟持片とからなり、外側挟持片は内側挟持片より突出高さが低くなされたことを特徴とする請求項1に記載のシート張りパネル。
【請求項3】
前記ベース部と取付部とは折曲可能な接続片を介して一体的に形成されると共に、ベース部及び取付部はそれぞれ係合部を有し、取付部をベース部に向けて折り畳むことにより、前記係合部が互いに係合され、取付部がベース部に被着されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート張りパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−8132(P2008−8132A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307521(P2006−307521)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【出願人】(000148151)株式会社川島織物セルコン (104)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【出願人】(000148151)株式会社川島織物セルコン (104)
【Fターム(参考)】
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